JP2008016577A - ウエーハのレーザー加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】チャックテーブルに吸引保持されたウエーハの外周部に反りが発生しても、ウエーハの厚さのバラツキに対応してウエーハの内部の所望位置に変質層を形成すことができるウエーハのレーザー加工方法を提供する。
【解決手段】チャックテーブルに吸引保持されたウエーハの外周部に発生する起伏領域Eを検出する起伏領域検出工程と、ウエーハの起伏領域について集光点位置調整手段を作動することなくストリートに沿ってレーザー光線を照射することによりウエーハの起伏領域の内部にストリートに沿って変質層を形成する起伏領域変質層形成工程と、ウエーハの該起伏領域以外の安定保持領域Fについて高さ位置検出手段からの検出信号に基いて集光点位置調整手段を制御しつつストリートに沿ってレーザー光線を照射することにより、ウエーハの安定保持領域の内部にストリートに沿って変質層を形成する安定保持領域変質層形成工程とを含む。
【選択図】図10

Description

本発明は、チャックテーブルに吸引保持されたウエーハの表面に形成されたストリートに沿ってレーザー光線を照射し、ウエーハの内部にストリートに沿って変質層を形成するウエーハのレーザー加工方法に関する。
半導体デバイス製造工程においては、略円板形状である半導体ウエーハの表面に格子状に配列されたストリートと呼ばれる分割予定ラインによって複数の領域が区画され、この区画された領域にIC、LSI等の回路を形成する。そして、半導体ウエーハを分割予定ラインに沿って切断することにより回路が形成された領域を分割して個々の半導体チップを製造している。また、サファイヤ基板の表面に窒化ガリウム系化合物半導体等が積層された光デバイスウエーハも分割予定ラインに沿って切断することにより個々の発光ダイオード、レーザーダイオード等の光デバイスに分割され、電気機器に広く利用されている。
近年、半導体ウエーハ等の板状の被加工物を分割する方法として、その被加工物に対して透過性を有するパルスレーザー光線を用い、分割すべき領域の内部に集光点を合わせてパルスレーザー光線を照射するレーザー加工方法も試みられている。このレーザー加工方法を用いた分割方法は、被加工物の一方の面側から内部に集光点を合わせて被加工物に対して透過性を有する波長(例えば1064nm)のパルスレーザー光線を照射し、被加工物の内部に分割予定ラインに沿って変質層を連続的に形成し、この変質層が形成されることによって強度が低下した分割予定ラインに沿って外力を加えることにより、被加工物を分割するものである。(例えば、特許文献1参照。)
特許第3408805号公報
しかるに、半導体ウエーハ等の板状の被加工物にはウネリがあり、その厚さにバラツキがあると、レーザー光線を照射する際に屈折率の関係で所定の深さに均一に変質層を形成することができない。従って、半導体ウエーハ等の内部の所定深さに均一に変質層を形成するためには、予めレーザー光線を照射する領域の凹凸を検出し、その凹凸にレーザー光線照射手段を追随させて加工する必要がある。
上述した問題を解消するために、チャックテーブルに保持された被加工物にレーザー光線を照射し集光点を生成する集光器を備えたレーザー光線照射手段と、該集光器が生成する集光点を被加工物保持面に垂直な方向に移動する集光点位置調整手段と、チャックテーブルに保持された被加工物におけるレーザー光線の照射領域の高さ位置を検出する高さ位置検出手段と、該高さ位置検出手段によって検出された高さ位置信号に基づいて集光点位置調整手段を制御する制御手段とを具備したレーザー加工装置が提案されている。(例えば、特許文献2参照。)
特開平2005−297012号公報
而して、レーザー加工装置のチャックテーブルにウエーハを吸引保持すると、ウエーハの外周部に反りが発生して起伏が大きくなり、この起伏が所定値(例えば、30μm)を超えると集光点位置調整手段を適正に制御することが困難になるという問題がある。
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、チャックテーブルに吸引保持されたウエーハの外周部に反りが発生しても、ウエーハの厚さのバラツキに対応してウエーハの内部の所望位置に変質層を形成すことができるウエーハのレーザー加工方法を提供することである。
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、ウエーハを吸引保持する保持面を備えたチャックテーブルと、該チャックテーブルの保持面に吸引保持されたウエーハにレーザー光線を照射する集光器を備えたレーザー光線照射手段と、該レーザー光線照射手段の該集光器を該保持面に対して垂直な方向に移動調整する集光点位置付け手段と、該レーザー光線照射手段の該集光器から照射されるレーザー光線の集光点位置を変位せしめる集光点位置調整手段と、該チャックテーブルに保持されたウエーハの上面高さ位置を検出するための高さ位置検出手段と、該高さ位置検出手段からの検出信号に基づいて該集光点位置調整手段を制御する制御手段とを具備するレーザー加工装置を用いて、表面に格子状のストリートが形成されたウエーハの内部にストリートに沿って変質層を形成するウエーハのレーザー加工方法であって、
該チャックテーブルにウエーハの加工面を上にして吸引保持するウエーハ保持工程と、
該高さ位置検出手段により該チャックテーブルに吸引保持されたウエーハの外周部に発生する起伏領域を検出する起伏領域検出工程と、
該チャックテーブルに吸引保持されたウエーハの該起伏領域について、該集光点位置付け手段を作動して該レーザー光線照射手段の該集光器から照射されるレーザー光線の集光点位置を予め設定された位置に位置付け、該集光点位置調整手段を作動することなくストリートに沿ってレーザー光線を照射することにより、ウエーハの該起伏領域の内部にストリートに沿って変質層を形成する起伏領域変質層形成工程と、
該チャックテーブルに吸引保持されたウエーハの該起伏領域以外の安定保持領域について、該高さ位置検出手段からの検出信号に基いて該集光点位置調整手段を制御しつつストリートに沿ってレーザー光線を照射することにより、ウエーハの該安定保持領域の内部にストリートに沿って変質層を形成する安定保持領域変質層形成工程と、を含む、
ことを特徴とするウエーハのレーザー加工方法が提供される。
上記起伏領域検出工程においては、ウエーハを吸引保持した該チャックテーブルを回転しつつ実施する。
本発明によるウエーハのレーザー加工方法においては、チャックテーブルに吸引保持された起伏領域には集光点位置調整手段の作動を停止して、加工用パルスレーザー光線を照射するので、起伏量が大きくても制御手段が制御不能となることはなく、ウエーハの内部に所望の変質層を形成することができる。また、安定保持領域には集光点位置調整手段を作動し、ウエーハの高さ位置に対応して加工用パルスレーザー光線の集光点を調整しつつ加工用パルスレーザー光線を照射するので、ウエーハには加工面に対して平行な位置にレーザー加工を施すことができる。
以下、本発明によるウエーハのレーザー加工方法の好適な実施形態について、添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
図1には、本発明によるウエーハのレーザー加工方法を実施するためのレーザー加工装置の斜視図が示されている。図1に示すレーザー加工装置1は、静止基台2と、該静止基台2に矢印Xで示す加工送り方向に移動可能に配設され被加工物を保持するチャックテーブル機構3と、静止基台2に上記矢印Xで示す方向と直角な矢印Yで示す割り出し送り方向に移動可能に配設されたレーザー光線照射ユニット支持機構4と、該レーザー光線ユニット支持機構4に矢印Zで示す方向に移動可能に配設されたレーザー光線照射ユニット5とを具備している。
上記チャックテーブル機構3は、静止基台2上に矢印Xで示す加工送り方向に沿って平行に配設された一対の案内レール31、31と、該案内レール31、31上に矢印Xで示す加工送り方向に移動可能に配設された第一の滑動ブロック32と、該第1の滑動ブロック32上に矢印Yで示す割り出し送り方向に移動可能に配設された第2の滑動ブロック33と、該第2の滑動ブロック33上に円筒部材34によって支持された支持テーブル35と、被加工物保持手段としてのチャックテーブル36を具備している。このチャックテーブル36は多孔性材料から形成された吸着チャック361を具備しており、吸着チャック361の上面である保持面上に被加工物である例えば円盤状の半導体ウエーハを図示しない吸引手段によって保持するようになっている。このように構成されたチャックテーブル36は、円筒部材34内に配設された図示しないパルスモータによって回転せしめられる。なお、チャックテーブル36には、後述する環状のフレームを固定するためのクランプ362が配設されている。
上記第1の滑動ブロック32は、その下面に上記一対の案内レール31、31と嵌合する一対の被案内溝321、321が設けられているとともに、その上面に矢印Yで示す割り出し送り方向に沿って平行に形成された一対の案内レール322、322が設けられている。このように構成された第1の滑動ブロック32は、被案内溝321、321が一対の案内レール31、31に嵌合することにより、一対の案内レール31、31に沿って矢印Xで示す加工送り方向に移動可能に構成される。図示の実施形態におけるチャックテーブル機構3は、第1の滑動ブロック32を一対の案内レール31、31に沿って矢印Xで示す加工送り方向に移動させるための加工送り手段37を具備している。加工送り手段37は、上記一対の案内レール31と31の間に平行に配設された雄ネジロッド371と、該雄ネジロッド371を回転駆動するためのパルスモータ372等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド371は、その一端が上記静止基台2に固定された軸受ブロック373に回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ372の出力軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロッド371は、第1の滑動ブロック32の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された貫通雌ネジ穴に螺合されている。従って、パルスモータ372によって雄ネジロッド371を正転および逆転駆動することにより、第一の滑動ブロック32は案内レール31、31に沿って矢印Xで示す加工送り方向に移動せしめられる。
図示の実施形態におけるレーザー加工装置1は、上記チャックテーブル36の加工送り量を検出するための加工送り量検出手段374を備えている。加工送り量検出手段374は、案内レール31に沿って配設されたリニアスケール374aと、第1の滑動ブロック32に配設され第1の滑動ブロック32とともにリニアスケール374aに沿って移動する読み取りヘッド374bとからなっている。この送り量検出手段374の読み取りヘッド374bは、図示に実施形態においては1μm毎に1パルスのパルス信号を後述する制御手段に送る。そして後述する制御手段は、入力したパルス信号をカウントすることにより、チャックテーブル36の加工送り量を検出する。なお、上記加工送り手段37の駆動源としてパルスモータ372を用いた場合には、パルスモータ372に駆動信号を出力する後述する制御手段の駆動パルスをカウントすることにより、チャックテーブル36の加工送り量を検出することもできる。また、上記加工送り手段37の駆動源としてサーボモータを用いた場合には、サーボモータの回転数を検出するロータリーエンコーダが出力するパルス信号を後述する制御手段に送り、制御手段が入力したパルス信号をカウントすることにより、チャックテーブル36の加工送り量を検出することもできる。
上記第2の滑動ブロック33は、その下面に上記第1の滑動ブロック32の上面に設けられた一対の案内レール322、322と嵌合する一対の被案内溝331、331が設けられており、この被案内溝331、331を一対の案内レール322、322に嵌合することにより、矢印Yで示す割り出し送り方向に移動可能に構成される。図示の実施形態におけるチャックテーブル機構3は、第2の滑動ブロック33を第1の滑動ブロック32に設けられた一対の案内レール322、322に沿って矢印Yで示す割り出し送り方向に移動させるための第1の割り出し送り手段38を具備している。第1の割り出し送り手段38は、上記一対の案内レール322と322の間に平行に配設された雄ネジロッド381と、該雄ネジロッド381を回転駆動するためのパルスモータ382等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド381は、その一端が上記第1の滑動ブロック32の上面に固定された軸受ブロック383に回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ382の出力軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロッド381は、第2の滑動ブロック33の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された貫通雌ネジ穴に螺合されている。従って、パルスモータ382によって雄ネジロッド381を正転および逆転駆動することにより、第2の滑動ブロック33は案内レール322、322に沿って矢印Yで示す割り出し送り方向に移動せしめられる。
図示の実施形態におけるレーザー加工装置1は、上記第2の滑動ブロック33の割り出し加工送り量を検出するための割り出し送り量検出手段384を備えている。割り出し送り量検出手段384は、案内レール322に沿って配設されたリニアスケール384aと、第2の滑動ブロック33に配設され第2の滑動ブロック33とともにリニアスケール384aに沿って移動する読み取りヘッド384bとからなっている。この送り量検出手段384の読み取りヘッド384bは、図示に実施形態においては1μm毎に1パルスのパルス信号を後述する制御手段に送る。そして後述する制御手段は、入力したパルス信号をカウントすることにより、チャックテーブル36の割り出し送り量を検出する。なお、上記第1の割り出し送り手段38の駆動源としてパルスモータ382を用いた場合には、パルスモータ382に駆動信号を出力する後述する制御手段の駆動パルスをカウントすることにより、チャックテーブル36の割り出し送り量を検出することもできる。また、上記加工送り手段37の駆動源としてサーボモータを用いた場合には、サーボモータの回転数を検出するロータリーエンコーダが出力するパルス信号を後述する制御手段に送り、制御手段が入力したパルス信号をカウントすることにより、チャックテーブル36の割り出し送り量を検出することもできる。
上記レーザー光線照射ユニット支持機構4は、静止基台2上に矢印Yで示す割り出し送り方向に沿って平行に配設された一対の案内レール41、41と、該案内レール41、41上に矢印Yで示す方向に移動可能に配設された可動支持基台42を具備している。この可動支持基台42は、案内レール41、41上に移動可能に配設された移動支持部421と、該移動支持部421に取り付けられた装着部422とからなっている。装着部422は、一側面に矢印Zで示す方向に延びる一対の案内レール423、423が平行に設けられている。図示の実施形態におけるレーザー光線照射ユニット支持機構4は、可動支持基台42を一対の案内レール41、41に沿って矢印Yで示す割り出し送り方向に移動させるための第2の割り出し送り手段43を具備している。第2の割り出し送り手段43は、上記一対の案内レール41、41の間に平行に配設された雄ネジロッド431と、該雄ねじロッド431を回転駆動するためのパルスモータ432等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド431は、その一端が上記静止基台2に固定された図示しない軸受ブロックに回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ432の出力軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロッド431は、可動支持基台42を構成する移動支持部421の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された雌ネジ穴に螺合されている。このため、パルスモータ432によって雄ネジロッド431を正転および逆転駆動することにより、可動支持基台42は案内レール41、41に沿って矢印Yで示す割り出し送り方向に移動せしめられる。
図示の実施形態のおけるレーザー光線照射ユニット5は、ユニットホルダ51と、該ユニットホルダ51に取り付けられたレーザー光線照射手段52を具備している。ユニットホルダ51は、上記装着部422に設けられた一対の案内レール423、423に摺動可能に嵌合する一対の被案内溝511、511が設けられており、この被案内溝511、511を上記案内レール423、423に嵌合することにより、矢印Zで示す方向に移動可能に支持される。
図示のレーザー光線照射手段52は、実質上水平に配置された円筒形状のケーシング521を含んでいる。ケーシング521内には図2に示すように加工用パルスレーザー光線発振手段6と、この加工用パルスレーザー光線発振手段6が発振する加工用パルスレーザー光線を伝送する光学伝送手段7が配設されており、ケーシング521の先端には光学伝送手段7によって伝送されたレーザー光線を集光せしめる集光レンズ81を備えた集光器8が装着されている(図1参照)。加工用パルスレーザー光線発振手段6は、被加工物であるウエーハに対して透過性を有する波長の加工用パルスレーザー光線LB1を発振する。この加工用パルスレーザー光線発振手段6は、ウエーハがシリコン基板、炭化珪素基板、リチウムタンタレート基板、ガラス基板或いは石英基板を含むウエーハである場合、例えば波長が1064nmである加工用パルスレーザー光線LB1を発振するYVO4パルスレーザー発振器或いはYAGパルスレーザー発振器を用いることができる。
光学伝送手段7は、加工用パルスレーザー光線発振手段6から発振された加工用パルスレーザー光線LB1が集光レンズ81によって集光される集光点位置を変位せしめるための集光点位置調整手段71と、該集光点位置調整手段71を介して伝送される加工用パルスレーザー光線LB1を図2において下方に向けて90度変換する方向変換ミラー72とを具備している。集光点位置調整手段71は、間隔を置いて配設された第1の凸レンズ711および第2の凸レンズ712と、該第1の凸レンズ711と第2の凸レンズ712との間に配設され第1の凸レンズ711を透過したレーザー光線を反射偏向する第1のガルバノスキャナー713と、該第1のガルバノスキャナー713によって反射偏向されたレーザー光線を反射偏向する第2のガルバノスキャナー714とからなっている。
第1のガルバノスキャナー713は、図3に示すように所定の間隔をもって互いに平行に反射面を対向して配設された一対の第1のミラー713aおよび第2のミラー713b632と、該第1のミラー713aおよび第2のミラー713bの設置角度を調整する角度調整アクチュエータ713cとによって構成されている。このように構成された第1のガルバノスキャナー713は、図2に示すように第1のミラー713aは第1のレンズ711を透過したレーザー光線を第2のミラー713bに向けて反射偏向し、第2のミラー713bは第1のミラー713aで反射偏向されたレーザー光線を第2のガルバノスキャナー714に向けて反射偏向する。角度調整アクチュエータ713cは、その回動軸713dが一対の第1のミラー713aおよび第2のミラー713bの連結部に伝動連結されている。この角度調整アクチュエータ713cは、後述する制御手段によって制御され、一対の第1のミラー713aおよび第2のミラー713bの設置角度を変更する。
第2のガルバノスキャナー714は、上記第1のガルバノスキャナー713と対向して配設されており、所定の間隔をもって互いに平行に反射面が対向して配設された一対の第1のミラー714aおよび第2のミラー714bと、該第1のミラー714aおよび第2のミラー714bの設置角度を調整する角度調整アクチュエータ714cによって構成されている。このように構成された第2のガルバノスキャナー714は、図2に示すように第2のミラー714bは上記第1のガルバノスキャナー713の第2のミラー713bで反射偏向されたレーザー光線を第2のミラー714bに向けて反射偏向し、第2のミラー714bは第1のミラー714aによって反射偏向されたレーザー光線を上記方向変換ミラー72に向けて反射偏向する。角度調整アクチュエータ714cは、その回動軸714dが一対の第1のミラー714aおよび第2のミラー714bの連結部に伝動連結されている。この角度調整アクチュエータ714cは、後述する制御手段によって制御され、第1のミラー714aおよび第2のミラー714bの設置角度を変更する。
上述した集光点位置調整手段71は、図2に示す状態においては第1の凸レンズ711の焦点(f1)と第2の凸レンズ712の焦点(f2)が、第1のミラー対713の第2のミラー713bと第2のミラー対714の第1のミラー714aの間の集束点Dで一致するように構成されている。この状態においては、第2の凸レンズ712から方向変換ミラー72に向けて照射されるパルスレーザー光線10は平行となる。そして、第1のガルバノスキャナー713の一対の第1のミラー713aおよび第2のミラー713bおよび第2のガルバノスキャナー714一対の第1のミラー714aおよび第2のミラー714bは、それぞれ点対称の位置となる点Q1、Q2を中心として回動せしめられるようになっている。
このように構成された集光点位置調整手段71においては、加工用パルスレーザー光線発振手段6から発振された加工用パルスレーザー光線LB1を、第1の凸レンズ711、第1のガルバノスキャナー713の第1のミラー713aおよび第2のミラー713b、第2のガルバノスキャナー714の第1のミラー714aおよび第2のミラー714b、第2の凸レンズ712を介して方向変換ミラー72に導く。そして、第1のガルバノスキャナー713の角度調整アクチュエータ713cと第2のガルバノスキャナー714の角度調整アクチュエータ714cによって一対の第1のミラー713aおよび第2のミラー713bと一対の第1のミラー714aおよび第2のミラー714bをそれぞれ点Q1、Q2を中心として回動し、各ミラーの設置角度を変更することにより第1の凸レンズ741の焦点(f1)および第2の凸レンズ742の焦点(f2)をそれぞれ図において左右方向に変位することができる。
このように構成された集光点位置調整手段71は、図2に示す状態においては上述したように第1の凸レンズ711の焦点(f1)と第2の凸レンズ722の焦点(f2)が集束点Dで一致し、第2の凸レンズ722から方向変換ミラー72に向けて伝送される加工用パルスレーザー光線LB1を平行にする。この場合、集光レンズ81によって集光される集光点Pは図2で示す位置となる。一方、第1のガルバノスキャナー713の一対の第1のミラー713aおよび第2のミラー713bおよび第2のガルバノスキャナー714の一対の第1のミラー714aおよび第2のミラー714bを点Q1、Q2を中心として一方に回動し、第1の凸レンズ711の焦点(f1)を上記集束点Dより図2において左方に変位し、第2の凸レンズ712の焦点(f2)を上記集束点Dより図2において右方に変位すると、第2の凸レンズ712から方向変換ミラー72に向けて照射される加工用パルスレーザー光線LB1は末広がりとなる。この結果、方向変換ミラー72を介して上記集光レンズ81に入射する加工用パルスレーザー光線LB1も末広がりとなるため、集光レンズ81によって集光される集光点Pは図2で示す状態より下方に変位する。他方、第1のガルバノスキャナー713の第1のガルバノスキャナー713および第2のガルバノスキャナー714の一対の第1のミラー713aおよび第2のミラー713bを点Q1、Q2を中心として他方に回動し、第1の凸レンズ711の焦点(f1)を上記集束点Dより図2において右方に変位し、第2の凸レンズ712の焦点(f2)を上記集束点Dより図2において左方に変位すると、第2の凸レンズ712から方向変換ミラー72に向けて照射される加工用パルスレーザー光線LB1は末細りとなる。この結果、方向変換ミラー72を介して上記集光レンズ81に入射する加工用パルスレーザー光線LB1も末細りとなるため、集光レンズ81によって集光される集光点Pは図2で示す状態より上方に変位する。
上記集光レンズ81を備えた集光器8は、上記ケーシング521の先端部に装着されている。この集光器8は、集光レンズ81を含む組レンズから構成されており、上記加工用パルスレーザー光線発振手段6から発振され集光点位置調整手段71および方向変換ミラー72を介して伝送された加工用パルスレーザー光線LB1を集光点Pに集光する。
図2を参照して説明を続けると、図示の実施形態におけるレーザー加工装置は、チャックテーブルに保持された被加工物の上面高さ位置を検出するための高さ位置検出手段9を具備している。高さ位置検出手段9は、検査用レーザー光線を発振する検査用レーザー光線発振手段90と、上記加工用パルスレーザー光線発振手段6と集光点位置調整手段71と間に配設され検査用レーザー光線発振手段90から発振された検査用レーザー光線を集光点位置調整手段71に向けて反射偏光せしめるダイクロックハーフミラー91と、該ダイクロックハーフミラー91と検査用レーザー光線発振手段90との間に配設された第1のキュービックスプリッター92を具備している。検査用レーザー光線発振手段90は、上記加工用パルスレーザー光線発振手段6から発振される加工用パルスレーザー光線の周波数と異なる周波数のレーザー光線を発振する。この検査用レーザー光線発振手段90は、例えば波長が632nmの検査用レーザー光線LB2を発振するHe-Neパルスレーザー発振器を用いることができる。ダイクロックハーフミラー91は、加工用パルスレーザー光線LB1は通過するが検査用レーザー光線LB2を集光点位置調整手段71に向けて反射偏向せしめる。第1のキュービックスプリッター92は、検査用パルスレーザー光線LB2を通過しダイクロックハーフミラー91によって反射偏向された反射光を反射偏向せしめる。
図示の実施形態における高さ位置検出手段9は、第1のキュービックスプリッター92によって反射された反射光のうち検査用レーザー光線LB2の周波数に対応する反射光のみを通過せしめるバンドパスフィルター93と、該バンドパスフィルターを通過した反射光を第1の経路94aと第2の経路に94bの分光する第2のキュービックスプリッター94と、該第2のキュービックスプリッター94によって第1の経路94aに分光された反射光を100%集光する集光レンズ95と、該集光レンズ95によって集光された反射光を受光する第1の受光素子96を具備している。第1の受光素子96は、受光した光量に対応した電圧信号を後述する制御手段に送る。また、図示の実施形態における高さ位置検出手段9は、第2のキュービックスプリッター94によって第2の経路94bに分光された反射光を受光する第2の受光素子97と、該第2の受光素子97が受光する反射光の受光領域を規制する受光領域規制手段98を具備している。受光領域規制手段98は、図示の実施形態においては第2のキュービックスプリッター94によって第2の経路94bに分光された反射光を一次元に集光するシリンドリカルレンズ981と、該シリンドリカルレンズ981によって一次元に集光られた反射光を単位長さに規制する一次元マスク982とからなっている。該一次元マスク982を通過した反射光を受光する第2の受光素子97は、受光した光量に対応した電圧信号を後述する制御手段に送る。
図示の実施形態における高さ位置検出手段9は以上のように構成されており、以下その作用について説明する。
検査用レーザー光線発振手段90から発振された検査用レーザー光線LB2は、第1のキュービックスプリッター92を通過してダイクロックハーフミラー91に達し、該ダイクロックハーフミラー91によって集光点位置調整手段71に向けて反射偏向される。集光点位置調整手段71に向けて反射偏向された検査用レーザー光線LB2は、上記加工用パルスレーザー光線LB1と同様に集光点位置調整手段71、方向変換ミラー72を介して集光レンズ81によって集光される。なお、検査用レーザー光線発振手段90から発振された検査用レーザー光線LB2は、集光レンズ81によって集光される集光点が上記加工用パルスレーザー光線発振手段6から発振される加工用パルスレーザー光線LB1の集光点Pより図2において下方になるように広がり角の大きいレーザー光線を用いることが望ましい。このようにして集光される検査用レーザー光線LB2は、チャックテーブル36に保持された被加工物の上面で反射し、その反射光が図2において破線で示すように集光レンズ81、方向変換ミラー72、集光点位置調整手段71、ダイクロックハーフミラー91、第1のキュービックスプリッター92を介してバンドパスフィルター93に達する。なお、上記加工用パルスレーザー光線LB1の反射光も検査用レーザー光線LB2と同様に経路を介してバンドパスフィルター93に達する。バンドパスフィルター93は上述したように検査用レーザー光線LB2の周波数に対応する反射光のみを通過せしめるように構成されているので、加工用パルスレーザー光線LB1の反射光はバンドパスフィルター93によって遮断される。従って、検査用レーザー光線LB2の反射光だけがバンドパスフィルター93を通過し、第2のキュービックスプリッター94に達する。
第2のキュービックスプリッター94に達した検査用レーザー光線LB2の反射光は、第1の経路94aと第2の経路94bに分光される。第1の経路94aに分光された反射光は、集光レンズ95によって100%集光され第1の受光素子96に受光される。そして、第1の受光素子96は、受光した光量に対応した電圧信号を後述する制御手段に送る。一方、第2の経路に94bに分光された検査用レーザー光線LB2の反射光は、受光領域規制手段98のシリンドリカルレンズ981によって一次元に集光され、一次元マスク982によって所定の単位長さに規制されて第2の受光素子97に受光される。そして、第2の受光素子97は、受光した光量に対応した電圧信号を後述する制御手段に送る。
ここで、第1の受光素子96と第2の受光素子97によって受光される検査用レーザー光線LB2の反射光の受光量について説明する。
第1の受光素子96に受光される検査用レーザー光線LB2の反射光は、集光レンズ95によって100%集光されるので受光量は一定であり、第1の受光素子96から出力される電圧値(V1)は一定(例えば10V)となる。一方、第2の受光素子97によって受光される検査用レーザー光線LB2の反射光は、シリンドリカルレンズ981によって一次元に集光された後、一次元マスク982によって所定の単位長さに規制されて第2の受光素子97に受光されるので、検査用レーザー光線LB2が集光器8の集光レンズ81によって集光された集光点Paの被加工物に対する位置によって第2の受光素子97の受光量は変化する。従って、第2の受光素子97から出力される電圧値(V2)は、検査用レーザー光線LB2の集光点Paの被加工物Wに対する位置によって変化する。
例えば、図4の(a)に示すように検査用レーザー光線LB2の集光点Paが被加工物Wの表面から浅い位置である場合には、検査用レーザー光線LB2は被加工物Wの表面に照射される面積S1で反射する。この反射光は上述したように第2のキュービックスプリッター94によって第1の経路94aと第2の経路94bに分光されるが、第1の経路94aに分光された面積S1の反射光は集光レンズ95によって100%集光されるので、反射光の全ての光量が第1の受光素子96に受光される。一方、第2のキュービックスプリッター94によって第2の経路94bに分光された面積S1の反射光は、シリンドリカルレンズ981によって一次元に集光されるので断面が楕円形となる。このようにして断面が楕円形に絞られた反射光は、一次元マスク98によって所定の単位長さに規制されるので、第2の経路94bに分光された反射光の一部が第2の受光素子97によって受光されることになる。従って、第2の受光素子97に受光される反射光の光量は上述した第1の受光素子96に受光される光量より少なくなる。
次に、図4の(b)に示すように検査用レーザー光線LB2の集光点Pが上記図4の(a)に示す位置より深い場合には、検査用レーザー光線LB2は被加工物Wの表面に照射される面積S2で反射する。この面積S2は上記面積S1より大きい。この面積S2の反射光は上述したように第2のキュービックスプリッター94によって第1の経路94aと第2の経路94bに分光されるが、第1の経路94aに分光された面積S2の反射光は集光レンズ95によって100%集光されるので、反射光の全ての光量が第1の受光素子96に受光される。一方、第2のキュービックスプリッター94によって第2の経路94bに分光された面積S2の反射光は、シリンドリカルレンズ981によって一次元に集光されるので断面が楕円形となる。この楕円形の長軸の長さは、反射光の面積S2が上記面積S1より大きいので上記図4の(a)に示す場合より長くなる。このようにして断面が楕円形に集光された反射光は、一次元マスク982によって所定の長さに区切られ一部が第2の受光素子99によって受光される。従って、第2の受光素子97によって受光される光量は、上記図4の(a)に示す場合より少なくなる。このように第2の受光素子97に受光される反射光の光量は、検査用レーザー光線LB2の集光点Paが被加工物Wの表面に近いほど多く、検査用レーザー光線LB2の集光点Paが被加工物Wの表面から遠いほど少なくなる。
なお、検査用レーザー光線LB2の集光点Paは、常に被加工物Wの内部に位置付けるように設定することが望ましい。即ち、検査用レーザー光線LB2の集光点Paが被加工物Wの内部に位置付けられても被加工物Wの表面より上側に位置付けられても、被加工物Wの表面から集光点Paまでの距離が同一であると第2の受光素子97によって受光される光量は同一となる。従って、検査用レーザー光線LB2の集光点Paを常に被加工物Wの内部に位置付けるように設定することにより、被加工物Wの表面の高さ位置を確実に検出することができる。
ここで、上記第1の受光素子96から出力される電圧値(V1)と第2の受光素子97から出力される電圧値(V2)との比と、検査用レーザー光線LB2の集光点Paの被加工物Wに対する位置との関係について、図5に示す制御マップを参照して説明する。なお、図5において横軸は検査用レーザー光線LB2の集光点Paの位置で、被加工物Wの表面から内部への距離を示している。また、図5において縦軸は第1の受光素子96から出力される電圧値(V1)と第2の受光素子97から出力される電圧値(V2)との比(V1/ V2)である。
図5に示す例においては、検査用レーザー光線LB2の集光点Paの位置が被加工物Wの表面から10μmの場合上記電圧値の比(V1/
V2)は“2”で、検査用レーザー光線LB2の集光点Paの位置が被加工物Wの表面から40μmの場合上記電圧値の比(V1/
V2)は“6”となっている。なお、検査用レーザー光線LB2の集光点Paの位置が加工用パルスレーザー光線LB1の集光点Pの位置より図2において例えば10μm下方になるように設定している場合には、図5に示す制御マップの上記電圧値の比(V1/ V2)は集光点Pと集光点Paとの間隔に対応して差異を補正した値としておく。即ち、検査用レーザー光線LB2の集光点Paの10μm上方に加工用パルスレーザー光線LB1の集光点Pが位置付けられるので、図5において実線で示すように加工用パルスレーザー光線LB1の集光点Pに関する制御マップを作成する。従って、例えば、上記電圧値の比(V1/ V2)を“6”に設定し、電圧値の比(V1/
V2)が“6”を維持するように上記集光点位置調整手段71を制御することにより、被加工物Wの厚さにバラツキがあっても表面から30μmの位置にレーザー加工することができる。なお、図5に示す制御マップは、後述する制御手段のメモリに格納される。
上述した図2に示す高さ位置検出手段9においては、受光領域規制手段98をシリンドリカルレンズ981と一次元マスク982とによって構成した例を示したが、受光領域規制手段としては、図6に示すように上記第2のキュービックスプリッター94によって第2の経路94bに分光された反射光を単位面積に規制するニ次元マスク99を用いてもよい。なお、ニ次元マスク99を用いると、図5に示す制御マップのグラフは放物線となる。
図1に戻って説明を続けると、上記レーザー光線照射手段52を構成するケーシング521の先端部には、レーザー光線照射手段52によってレーザー加工すべき加工領域を検出する撮像手段11が配設されている。この撮像手段11は、可視光線によって撮像する通常の撮像素子(CCD)の外に、被加工物に赤外線を照射する赤外線照明手段と、該赤外線照明手段によって照射された赤外線を捕らえる光学系と、該光学系によって捕らえられた赤外線に対応した電気信号を出力する撮像素子(赤外線CCD)等で構成されており、撮像した画像信号を後述する制御手段に送る。
図示の実施形態におけるレーザー光線照射ユニット5は、ユニットホルダ51を一対の案内レール423、423に沿って矢印Zで示す方向(吸着チャック361の上面である保持面に対して垂直な方向)に移動させるための集光点位置付け手段53を具備している。集光点位置付け手段53は、一対の案内レール423、423の間に配設された雄ネジロッド(図示せず)と、該雄ネジロッドを回転駆動するためのパルスモータ532等の駆動源を含んでおり、パルスモータ532によって図示しない雄ネジロッドを正転および逆転駆動することにより、ユニットホルダ51および集光器8を備えたレーザー光線照射手段52を案内レール423、423に沿って矢印Zで示す方向に移動せしめる。なお、図示の実施形態においてはパルスモータ532を正転駆動することによりレーザー光線照射手段52を上方に移動し、パルスモータ532を逆転駆動することによりレーザー光線照射手段52を下方に移動するようになっている。
図示の実施形態におけるレーザー加工装置1は、制御手段10を具備している。制御手段10はコンピュータによって構成されており、制御プログラムに従って演算処理する中央処理装置(CPU)101と、制御プログラム等を格納するリードオンリメモリ(ROM)102と、演算結果等を格納する読み書き可能なランダムアクセスメモリ(RAM)103と、カウンター104と、入力インターフェース105および出力インターフェース106とを備えている。制御手段8の入力インターフェース105には、上記加工送り量検出手段374、割り出し送り量検出手段384および撮像手段11等からの検出信号が入力される。制御手段10の入力インターフェース105には、上記加工送り量検出手段374、割り出し送り量検出手段384、第1の受光素子96、第2の受光素子97および撮像手段11等からの検出信号が入力される。そして、制御手段10の出力インターフェース106からは、上記パルスモータ372、パルスモータ382、パルスモータ432、パルスモータ532、加工用パルスレーザー光線発振手段6、検査用レーザー光線発振手段90、第1のガルバノスキャナー713の角度調整アクチュエータ713cおよび第2のガルバノスキャナー714の角度調整アクチュエータ714c等に制御信号を出力する。なお、上述した図5に示す制御マップは、リードオンリメモリ(ROM)102またはランダムアクセスメモリ(RAM)103に格納される。
図示のレーザー加工装置1は以上のように構成されており、以下レーザー加工装置1を用いて実施するウエーハのレーザー加工方法について説明する。
図7には、被加工物であるウエーハとしての半導体ウエーハ20の斜視図が示されている。図7に示す半導体ウエーハ20は、例えば厚さが100μmのシリコンウエーハからなっており、表面20aに格子状に形成された複数のストリート21によって区画された複数の領域にIC、LSI等のデバイス22が形成されている。このように形成された半導体ウエーハ20は、図8に示すように環状のフレーム30に装着されたポリオレフィン等の合成樹脂シートからなる保護テープ40に表面20a側を貼着する。従って、半導体ウエーハ20は、裏面20bが上側となる。
図8に示すように、環状のフレーム30に保護テープ40を介して支持された半導体ウエーハ20は、図1に示すレーザー加工装置のチャックテーブル36上に保護テープ40側を載置する。そして、図示しない吸引手段を作動することにより半導体ウエーハ20は、保護テープ40を介してチャックテーブル36上に吸引保持される(ウエーハ保持工程)。また、環状のフレーム30は、クランプ362によって固定される。なお、チャックテーブル36上に吸引保持された半導体ウエーハ20は、図10に示すように外周部に反りが発生する場合がある。
上述したように半導体ウエーハ20を吸引保持したチャックテーブル36は、加工送り手段37によって撮像手段11の直下に位置付けられる。チャックテーブル36が撮像手段11の直下に位置付けられると、撮像手段11および制御手段10によって半導体ウエーハ20のレーザー加工すべき加工領域を検出するアライメント作業を実行する。即ち、撮像手段11および制御手段10は、半導体ウエーハ20の所定方向に形成されている分割予定ライン21と、分割予定ライン21に沿ってレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段52の集光器8との位置合わせを行うためのパターンマッチング等の画像処理を実行し、レーザー光線照射位置のアライメントを遂行する。また、半導体ウエーハ20に形成されている所定方向と直交する方向に形成されている分割予定ライン21に対しても、同様にレーザー光線照射位置のアライメントが遂行される。このとき、半導体ウエーハ20の分割予定ライン21が形成されている表面20aは下側に位置しているが、撮像手段11が上述したように赤外線照明手段と赤外線を捕らえる光学系および赤外線に対応した電気信号を出力する撮像素子(赤外線CCD)等で構成された撮像手段を備えているので、裏面20bから透かして分割予定ライン21を撮像することができる。
上述したようにアライメントが行われると、チャックテーブル36に吸引保持された半導体ウエーハ20は、図9の(a)に示す座標位置に位置付けられた状態となる。なお、図9の(b)はチャックテーブル36即ち半導体ウエーハ20を図9の(a)に示す状態から90度回転した状態を示している。なお、半導体ウエーハ20に形成された各ストリート(21A1〜21An,21B1〜21Bn)の座標は、その設計値が上記制御手段10のリードオンリメモリ(ROM)102またはランダムアクセスメモリ(RAM)103に格納されている。
上述したようにアライメントが行われたならば、上記高さ位置検出手段9によりチャックテーブル36に吸引保持された半導体ウエーハ20の外周部に発生する起伏領域を検出する起伏領域検出工程を実施する。即ち、上記図5に示す制御マップから高さ位置検出手段9の第1の受光素子96から出力される電圧値(V1)と第2の受光素子97から出力される電圧値(V2)との比(V1/ V2)に基づいて被加工物の表面から検査用レーザー光線LB2の集光点Paまでの距離を求めることができる。従って、先ずチャックテーブル36に吸引保持された半導体ウエーハ20の中央部における高さ位置の上記電圧値の比(V1/ V2)が例えば“4”になる上記レーザー光線照射ユニット5の集光点位置付け手段53を作動してレーザー光線照射手段52を高さ位置(Z方向位置)を調整する。従って、検査用レーザー光線LB2の集光点Paから被加工物の表面までの距離は20μmとなる。次に、チャックテーブル36を移動して図10に示すように半導体ウエーハ20の外周縁をレーザー光線照射手段52の集光器8の直下に位置付ける。そして、半導体ウエーハ20を吸引保持したチャックテーブル36を矢印36aで示す方向に1回転する間に、制御手段10は高さ位置検出手段9の第1の受光素子96から出力される電圧値(V1)と第2の受光素子97から出力される電圧値(V2)との比(V1/ V2)を求める。この電圧値の比(V1/ V2)の最も大きい値が例えば“10”の場合には、制御手段10は図5に示す制御マップから検査用レーザー光線LB2の集光点Paから被加工物の表面までの距離が80μmであるので、半導体ウエーハ20の外周縁は中央部より60μm起伏していると判定する。次に、半導体ウエーハ20を吸引保持したチャックテーブル36を矢印X1で示す方向に所定量(例えば1mm)移動し、上述したようにチャックテーブル36を矢印36aで示す方向に1回転する間に上記電圧値の比(V1/ V2)を求める。そして、この作業を順次実行し、上記電圧値の比(V1/ V2)が例えば“7”(検査用レーザー光線LB2の集光点Paから被加工物の表面までの距離が40μm、即ち半導体ウエーハ20の中央部より10μm起伏)以下になった時点で起伏領域検出工程を終了し、半導体ウエーハ20の外周縁からの起伏領域Eを制御手段10のランダムアクセスメモリ(RAM)103に格納する。そして制御手段10は、この起伏領域Eに基づいて、半導体ウエーハ20に形成された各ストリート(21A1〜21An,21B1〜21Bn)における起伏領域Eおよび起伏領域E以外の安定保持領域Fの座標値を求め、この座標値をランダムアクセスメモリ(RAM)103に格納する。
上述したように起伏領域検出工程を実施したならば、制御手段10は半導体ウエーハ20の起伏領域以外の安定保持領域F領域において加工用パルスレーザー光線LB1を照射するための集光点Pを半導体ウエーハ20の裏面20b(上面)から例えば60μmの位置に設定し、上記電圧値の比(V1/ V2)を図5の制御マップにおける“9”に設定する。そして、上記電圧値の比(V1/ V2)が例えば“9”になる上記レーザー光線照射ユニット5の集光点位置付け手段53を作動してレーザー光線照射手段52の高さ位置(Z方向位置)を調整する。
次に、図11の(a)に示すようにチャックテーブル36に吸引保持された半導体ウエーハ20の所定のストリート21の一端(図11の(a)において左端)をレーザー光線照射手段52の集光器8の直下に位置付ける。そして制御手段10は、集光点位置調整手段71の作動を停止して、レーザー光線照射手段52を制御して集光器8からシリコンウエーハに対して透過性を有する波長の加工用パルスレーザー光線LB1を照射しつつチャックテーブル36を矢印X1で示す方向に所定の加工送り速度で移動せしめる(起伏領域変質層形成工程)。この起伏領域変質層形成工程は、図11の(b)に示すように起伏領域Eの図において左側の内側端に達するまで実施する。このように起伏領域Eに変質層を形成する起伏領域変質層形成工程においては、集光点位置調整手段71の作動を停止して、加工用パルスレーザー光線LB1を照射するので、起伏量が大きくても制御手段10が制御不能となることはなく、図12に誇張して示すように半導体ウエーハ20の図12において左側の起伏領域Eの内部に変質層210を形成することができる。
上述した起伏領域変質層形成工程を起伏領域Eの図11の(b)において内側端に達するまで実施したら、制御手段10は、検査用レーザー光線発振手段90を制御して検査用レーザー光線LB2を発振せしめ集光点位置調整手段71を作動して、シリコンウエーハに対して透過性を有する波長の加工用パルスレーザー光線LB1の照射を継続する(安定保持領域変質層形成工程)。そして、この安定保持領域変質層形成工程は、図11の(c)に示すように起伏領域Eの図において右側の内側端に達するまで実施する。従って、起伏領域E以外の安定保持領域Fにおいては、高さ位置検出手段9によって半導体ウエーハ20の裏面20b(上面)の高さ位置が検出されており、上記第1の受光素子96から出力される電圧値(V1)と第2の受光素子97から出力される電圧値(V2)が制御手段10に送られている。制御手段10は、第1の受光素子96から出力される電圧値(V1)と第2の受光素子97から出力される電圧値(V2)に基いて電圧値(V1/ V2)を演算し、電圧値(V1/ V2)が“9”でなければ電圧値(V1/
V2)が“9”になるように上記集光点位置調整手段71を構成する第1のガルバノスキャナー713の角度調整アクチュエータ713cおよび第2のガルバノスキャナー714の角度調整アクチュエータ714cを制御する。この結果、半導体ウエーハ20の内部には、図12に示すように裏面20b(上面)から60μmの位置に裏面20b(上面)と平行に変質層220が形成される。
上述した安定保持領域変質層形成工程を起伏領域Eの図11の(c)において内側端に達するまで実施したら、制御手段10は、集光点位置調整手段71の作動を停止して、シリコンウエーハに対して透過性を有する波長の加工用パルスレーザー光線LB1の照射を継続する(起伏領域変質層形成工程)。そして、図11の(d)で示すように集光器8の照射位置がストリート21の他端(図11の(d)において右端)に達したら、加工用パルスレーザー光線LB1の照射を停止するとともに、チャックテーブル36の移動を停止する。この結果、図12に示すように半導体ウエーハ20の図12において右側の起伏領域Eの内部には変質層210が形成される。
以上のように、起伏領域変質層形成工程と安定保持領域変質層形成工程および起伏領域変質層形成工程を実施することにより、半導体ウエーハ20の内部には、図12で示すようにストリート21に沿って起伏領域Eおよび安定保持領域Fにそれぞれ所定深さ位置に変質層210および220が形成される。
なお、上記起伏領域変質層形成工程および安定保持領域変質層形成工程における加工条件は、例えば次のように設定されている。
加工用レーザー :YVO4 パルスレーザー
波長 :1064nm
繰り返し周波数 :100kHz
集光スポット径 :φ1μm
加工送り速度 :100mm/秒
なお、上記加工条件においては変質層210および220を20μm程度の厚さで形成することができる。半導体ウエーハ20の厚さが厚い場合には、図13に示すように集光点Pを20μm上方に位置付けるために上記電圧値(V1/ V2)を“7”“5”と段階的に変え上述した加工工程を複数回実行することにより、複数の変質層210a、210b、210cおよび変質層220a、220b、220cを形成することができる。
以上のようにして、半導体ウエーハ20の所定方向に延在する全てのストリート21に沿って上記起伏領域変質層形成工程と安定保持領域変質層形成工程および起伏領域変質層形成工程を実行したならば、チャックテーブル36を90度回動せしめて、上記所定方向に対して直角に延びる各ストリート21に沿って上記起伏領域変質層形成工程と安定保持領域変質層形成工程および起伏領域変質層形成工程を実行する。このようにして、半導体ウエーハ20に形成された全てのストリート21に沿って上記起伏領域変質層形成工程と安定保持領域変質層形成工程および起伏領域変質層形成工程を実行したならば、半導体ウエーハ20を保持しているチャックテーブル36は、最初に半導体ウエーハ20を吸引保持した位置に戻され、ここで半導体ウエーハ20の吸引保持を解除する。そして、半導体ウエーハ20は、図示しない搬送手段によって分割工程に搬送される。
以上のように、本発明によるウエーハのレーザー加工方法においては、チャックテーブル36に吸引保持された起伏領域Eには集光点位置調整手段71の作動を停止して、加工用パルスレーザー光線LB1を照射するので、起伏量が大きくても制御手段10が制御不能となることはなく、半導体ウエーハ20の内部に所望の変質層210を形成することができる。また、安定保持領域Fには集光点位置調整手段71を作動し、半導体ウエーハ20の高さ位置に対応して加工用パルスレーザー光線LB1の集光点Pを調整しつつ加工用パルスレーザー光線LB1を照射するので、半導体ウエーハ20にはその加工面(裏面20b)に対して平行な位置にレーザー加工を施すことができる。
本発明によるウエーハのレーザー加工方法を実施するためのレーザー加工装置の一例を示す斜視図。 図1に示すレーザー加工装置に装備されるレーザー光線加工手段および高さ位置検出手段9の構成を簡略に示すブロック図。 図2に示す高さ位置検出手段を構成する第1のガルバノスキャナーおよび第2のガルバノスキャナーを示す斜視図。 図2に示す高さ位置検出手段から照射される検査用レーザー光線の集光点位置の変化を示す説明図。 図2に示す高さ位置検出手段の第1の受光素子から出力される電圧値(V1)と第2の受光素子から出力される電圧値(V2)との比と、検査用レーザー光線の集光点の被加工物に対する位置との関係を示す制御マップ。 図2に示す高さ位置検出手段を構成する受光領域規制手段の他の実施形態を示すブロック図。 被加工物であるウエーハとしての半導体ウエーハの斜視図。 図7に示す半導体ウエーハを環状のフレームに装着された保護テープの表面に貼着した状態を示す斜視図。 図7に示す半導体ウエーハが図1に示すレーザー加工装置のチャックテーブルの所定位置に保持された状態における座標位置との関係を示す説明図。 本発明によるウエーハのレーザー加工方法における起伏領域検出工程の説明図。 本発明によるウエーハのレーザー加工方法における起伏領域変質層形成工程および安定保持領域変質層形成工程の説明図。 本発明によるウエーハのレーザー加工方法における起伏領域変質層形成工程および安定保持領域変質層形成工程されウエーハの内部に変質層が形成された状態を示す説明図。 被加工物であるウエーハとしての半導体ウエーハの厚さが厚い場合の起伏領域変質層形成工程および安定保持領域変質層形成工程を示す説明図。
符号の説明
1:レーザー加工装置
2:静止基台
3:チャックテーブル機構
36:チャックテーブル
37:加工送り手段
38:割り出し送り手段
4:レーザー光線照射ユニット支持機構
42:可動支持基台
5:レーザー光線照射ユニット
51:ユニットホルダ
52:レーザー光線照射手段
53:集光点位置付け手段
6:パルスレーザー光線発振手段
7:光学伝送手段
71:集光点位置調整手段
711:第1の凸レンズ
712:第2の凸レンズ
713:第1のガルバノスキャナー
714:第2のガルバノスキャナー714
72:方向変換ミラー72
8:集光器
81:集光レンズ
9:高さ位置検出手段
90:検査用レーザー光線発振手段
91:ダイクロックハーフミラー
92:第1のキュービックスプリッター
93:バンドパスフィルター
94:第2のキュービックスプリッター
95:集光レンズ
96:第1の受光素子
97:第2の受光素子
98:受光領域規制手段
981:シリンドリカルレンズ
982:一次元マスク
10:制御手段
11:撮像手段
20:半導体ウエーハ
21:ストリート
22:デバイス
30:環状のフレーム
40:保護テープ

Claims (2)

  1. ウエーハを吸引保持する保持面を備えたチャックテーブルと、該チャックテーブルの保持面に吸引保持されたウエーハにレーザー光線を照射する集光器を備えたレーザー光線照射手段と、該レーザー光線照射手段の該集光器を該保持面に対して垂直な方向に移動調整する集光点位置付け手段と、該レーザー光線照射手段の該集光器から照射されるレーザー光線の集光点位置を変位せしめる集光点位置調整手段と、該チャックテーブルに保持されたウエーハの上面高さ位置を検出するための高さ位置検出手段と、該高さ位置検出手段からの検出信号に基づいて該集光点位置調整手段を制御する制御手段とを具備するレーザー加工装置を用いて、表面に格子状のストリートが形成されたウエーハの内部にストリートに沿って変質層を形成するウエーハのレーザー加工方法であって、
    該チャックテーブルにウエーハの加工面を上にして吸引保持するウエーハ保持工程と、
    該高さ位置検出手段により該チャックテーブルに吸引保持されたウエーハの外周部に発生する起伏領域を検出する起伏領域検出工程と、
    該チャックテーブルに吸引保持されたウエーハの該起伏領域について、該集光点位置付け手段を作動して該レーザー光線照射手段の該集光器から照射されるレーザー光線の集光点位置を予め設定された位置に位置付け、該集光点位置調整手段を作動することなくストリートに沿ってレーザー光線を照射することにより、ウエーハの該起伏領域の内部にストリートに沿って変質層を形成する起伏領域変質層形成工程と、
    該チャックテーブルに吸引保持されたウエーハの該起伏領域以外の安定保持領域について、該高さ位置検出手段からの検出信号に基いて該集光点位置調整手段を制御しつつストリートに沿ってレーザー光線を照射することにより、ウエーハの該安定保持領域の内部にストリートに沿って変質層を形成する安定保持領域変質層形成工程と、を含む、
    ことを特徴とするウエーハのレーザー加工方法。
  2. 該起伏領域検出工程においては、ウエーハを吸引保持した該チャックテーブルを回転しつつ実施する、請求項1記載のウエーハのレーザー加工方法。
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