JP2008014956A - 車両用レーダ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】上昇部ビート信号及び下降部ビート信号のピーク周波数から対象物の方位を正しく算出できない状況において、対象物の方位等が誤って算出されることを防止する。
【解決手段】周波数上昇部、周波数下降部からなるレーダ波を送信し、そのレーダ波の反射波を2個のアンテナAR1、AR2で受信した場合に、それぞれの受信信号に関して、周波数上昇部及び周波数下降部毎に、送信信号と受信信号の周波数の差を示すビート信号を生成する。そして、例えば、これらのビート信号を周波数解析した周波数スペクトルデータにおける周波数上昇部の積分値及び周波数下降部の積分値を用いて、ビート信号のピーク周波数を示す波形の正確性を判定し、正確性が劣っていると判定した場合には、方位等の算出を中止する。
【選択図】図7

Description

本発明は、レーダ波の送受信により車両の周囲に存在する対象物を検出する車両用レーダ装置に関するものである。
従来より、車両用レーダ装置として、モノパルス方式のレーダ装置が知られている(例えば特許文献1参照)。このモノパルス方式のレーダ装置は、所定の間隔を隔てて配置した2個のアンテナによってレーダ波の反射波を受信し、その受信信号の位相差に基づいて、反射波を生じさせた対象物の方位を算出するものである。この方位算出原理について簡単に説明する。
例えば、図13に示すようにアンテナA1,A2の垂線とのなす角度(方位)θにある物標(対象物)Mで反射した波長λのレーダ波が、間隔Dを隔てて配置された2個のアンテナA1,A2にて受信される場合を想定する。この場合、各アンテナA1,A2にて受信されるレーダ波の経路長には差Δdが発生する。この経路長の差Δdは、アンテナA1,A2の垂線と物標Mによって反射されたレーダ波の到来方向とのなす角度θに応じて変化する。従って、経路長の差Δdを両受信信号の位相差Δφとして求め、この位相差Δφから物標Mの方位(角度θ)を求めることができる。ここで、2つの受信信号の位相差Δφと角度θとの関係を式で表すと、以下の数式1のようになる。
(数1)
Δφ=(2π/λ)Dsinθ
角度θが十分に小さい場合には、sinθ≒θであるため、数式1を角度θについて変形すると、数式2のようになる。
(数2)
θ=Δφ・λ/(2π・D)
次に、位相差Δφの算出方法について説明する。まず、周波数が上昇する上昇部と周波数が下降する下降部とを備える三角波状の送信信号をレーダ波として送信し、対象物によって反射されたレーダ波を2個のアンテナA1、A2で受信して受信信号を発生する。そして、上昇部及び下降部毎に、それらの送信信号と受信信号とをミキシングして、送信信号の周波数と受信信号の周波数との差に相当する周波数信号(上昇部ビート信号及び下降部ビート信号)を求める。さらに、その上昇部ビート信号及び下降部ビート信号に対してそれぞれ高速フーリエ変換(FFT)による周波数解析を行ない、送信信号の周波数が上昇する上昇部及び周波数が減少する下降部の区間毎に、周波数スペクトルデータを求める。この周波数スペクトルデータは、各周波数毎の複素ベクトルとして得られる。
そして、上昇部及び下降部の各周波数スペクトルデータにおける各周波数毎の複素ベクトルの絶対値から、それぞれの周波数スペクトルのピークを検出して、上昇部ピーク周波数及び下降部ピーク周波数を特定する。なお、これらの上昇部ピーク周波数及び下降部ピーク周波数は、対象物によって反射されたレーダ波によって発生するものであり、当該対象物との距離及び相対速度に応じた周波数となる。
上昇部ピーク周波数及び下降部ピーク周波数が特定されると、その上昇部ピーク周波数及び下降部ピーク周波数におけるビート信号の位相を算出する。この位相は、例えば、複素ベクトルが実数軸となす角度から求めることができる。そして、受信信号毎に算出されたビート信号の上昇部ピーク周波数における位相同士の減算、及び下降部ピーク周波数における位相同士の減算を行なうことにより、上昇部ピーク周波数における位相差及び下降部ピーク周波数の位相差を求めることができる。
このようにして位相差が算出されると、上昇部ピーク周波数における位相差と下降部ピーク周波数における位相差の一方が、適宜、方位算出用の位相差Δφとして選択される。そして、その選択された位相差Δφに基づいて、上記数式2を用いて対象物の方位が算出される。
特開平9−152478号公報
ここで、上昇部ピーク周波数と下降部ピーク周波数とは、対象物の方位を算出する以外にも、当該対象物の距離及び相対速度を算出するために利用される。以下に、上昇部ピーク周波数と下降部ピーク周波数とに基づく距離及び相対速度の算出方法を説明する。
図14(a)に示すように、レーダ装置を取り付けた車両と、レーダ波を反射する対象物との移動速度が等しい(相対速度V=0)場合、対象物で反射したレーダ波は、対象物との間の距離Dを往復に要する時間だけ遅延する。この場合、受信信号frは、送信信号fsからその遅延時間分だけ時間軸に沿ってシフトしたものとなり、上昇部ピーク周波数fbuと下降部ピーク周波数fbdとは等しく(fbu=fbd)なる。
一方、レーダ装置を取り付けた車両と対象物との移動速度が異なる(相対速度V≠0)場合、対象物で反射したレーダ波は、対象物との相対速度Vに応じたドップラシフトを受ける。このため、受信信号frは、対象物との距離Dに応じた遅延時間分のシフトに加え、相対速度Vによるドップラ成分の分だけ、周波数軸に沿ってシフトしたものとなる。この場合、図14(a)、(b)に示すように、上昇部ピーク周波数fbuと下降部ピーク周波数fbdとは異なったもの(fb1≠fb2)となる。
このように、受信信号frは、対象物との距離D及び相対速度Vに応じて、時間軸及び周波数軸方向にシフトされる。換言すれば、送信信号fsと受信信号frとの時間軸における周波数の差は対象物との距離Dに対応し、周波数軸における周波数の差は相対速度Vに対応する。それぞれの周波数は、下記の数式3及び数式4から求めることができる。
(数3)
距離Dに対応する周波数fb=(|fbu|+|fbd|)/2
(数4)
相対速度Vに対応する周波数fd=(|fbu|−|fbd|)/2
これらの距離D及び相対速度Vに対応する周波数fb、fdから、以下の数式5及び数式6によって、対象物との距離D及び相対速度Vを算出することが出来る。
(数5)
D={C/(4×ΔF×fm)}×fb
(数6)
V={C/(2×f0)}×fd
なお、△Fは送信信号fsの周波数変調幅、f0は送信信号fsの中心周波数、fmは繰り返し周波数、Cは光速を表す。
ただし、レーダ波を反射する対象物が複数ある場合には、その対象物に応じた数だけ上昇部ピーク周波数fbu及び下降部ピーク周波数fbdが現れる。従って、各対象物との距離D及び相対速度Vを算出するためには、上昇部ピーク周波数fbuと下降部ピーク周波数fbdとを各対象物毎に組み合わせる(ペアマッチ)必要がある。
このペアマッチの方法として、上述した位相差Δφが近似していることを条件として、上昇部ピーク周波数fbuと下降部ピーク周波数fbdとを組み合わせることが考えられる。近似した位相差Δφを持つ場合、その上昇部ピーク周波数fbuと下降部ピーク周波数fbdとは同一の対象物によって発生したものと考えられるためである。
しかしながら、複数の対象物によるピーク周波数が重なってしまった場合に、そのピーク周波数における位相を演算すると、その複数の対象物による反射波の各位相が合成された合成位相が算出されてしまう。従って、この場合、上昇部ピーク周波数及び下降部ピーク周波数における位相差から、正しいペアマッチを行なうことができない。この結果、対象物の方位を始めとし、距離や相対速度を誤って算出してしまう可能性がある。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、上昇部ビート信号及び下降部ビート信号のピーク周波数から対象物の方位を正しく算出できない状況において、対象物の方位等が誤って算出されることを確実に防止することができる車両用レーダ装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために請求項1に記載の車両用レーダ装置は、
少なくとも上昇部及び下降部を有する波形の変調信号により周波数変調された送信信号をレーダ波として送信する送信手段と、
所定の間隔を持って配置され、送信されたレーダ波が対象物により反射された場合に、その反射波を受信して受信信号を発生する2個の受信手段と、
2個の受信手段によって発生される受信信号に基づいて、対象物の方位を算出する信号処理手段とを備えた車両用レーダ装置において、
2個の受信手段は、それぞれ、受信信号と送信信号との周波数の差に相当するビート信号を、送信信号の上昇部及び下降部毎に発生するビート信号発生手段を備え、
信号処理手段は、2個の受信手段の受信信号からそれぞれ生成された上昇部及び下降部の少なくとも一方のビート信号のピーク周波数における位相差に基づいて、対象物の方位を算出する方位算出手段と、
上昇部及び下降部の少なくとも一方のビート信号のピーク周波数を示す波形の正確性を判定し、その正確性が所定の基準を満足していない場合に、方位算出手段による方位の算出を中止する中止手段とを備えることを特徴とする。
このように、上昇部及び下降部の少なくとも一方のビート信号のピーク周波数を示す波形の正確性が所定の基準を満足していない場合に、方位算出手段による方位の算出を中止することにより、対象物の方位が誤って算出されることを確実に防止することができる。
請求項2に記載したように、中止手段は、上昇部及び下降部の少なくとも一方のビート信号の積分値が所定の閾値以上である場合に、ピーク周波数を示す波形の正確性は所定の基準を満足していないと判定して、方位算出手段による方位の算出を中止することが好ましい。ビート信号の積分値が所定の閾値以上である場合には、路側反射物からの反射波により多数のピークが発生していたり、ノイズ等の影響によってビート信号全体のレベルが高まっていたりすることが考えられる。このような場合は、ピーク周波数を正確に検出すること自体が困難になるため、方位の算出を中止する。
また、請求項3に記載したように、中止手段は、上昇部及び下降部の少なくとも一方のビート信号のピーク周波数に関する過去の履歴データを記憶し、その履歴データにおけるピーク周波数の変化から、複数のピーク周波数が重なることが予測される場合に、ピーク周波数を示す波形の正確性は所定の基準を満足していないと判定して、方位算出手段による方位の算出を中止するようにしても良い。上昇部又は下降部ビート信号において、複数の対象物によるピーク周波数が重なると、上述したように、そのピーク周波数におけるビート信号の位相差から対象物の方位を正確に算出することはできない。このため、ピーク周波数に関する履歴データを記憶するとともに、その履歴データからピーク周波数の重なりが予測される場合には、方位の算出を中止しても良い。
また、請求項4に記載したように、中止手段は、レーダ波を送信する方向の画像を取得する画像取得手段を備え、その取得した画像から、路側にレーダ波の反射強度が大きい特定の物体が存在することを認識した場合に、ピーク周波数を示す波形の正確性は所定の基準を満足していないと判定して、方位算出手段による方位の算出を中止することが好ましい。例えば、路側にガードレールが存在したり、トンネルの壁面が存在する場合、それらからのレーダ波の反射波により、検知すべき対象物によるピーク周波数を正確に検出することが困難となるためである。
同様の理由から、請求項5に記載のように、中止手段は、車両の走行位置を検出する走行位置検出手段を備え、当該走行位置検出手段によって車両がトンネル内を走行していることを検出した場合に、ピーク周波数を示す波形の正確性は所定の基準を満足していないと判定して、方位算出手段による方位の算出を中止するようにしても良い。車両の走行位置を検出する走行位置検出手段としては、例えば、車両用ナビゲーション装置を用いることができる。
また、請求項6に記載のように、中止手段は、車両のステアリングホイールの操舵状態を検出する操舵状態検出手段を備え、当該操舵状態検出手段によってステアリングホイールの操舵角度が所定角度以上であることを検出した場合に、ピーク周波数を示す波形の正確性は所定の基準を満足していないと判定して、方位算出手段による方位の算出を中止するようにしても良い。ステアリングホイールの操舵角度が所定角度以上である場合、車両に搭載されたレーダ装置は、路側に存在するカードレール等からの反射波を多く受信していることが考えられるためである。
また、請求項7に記載の車両用レーダ装置においては、方位算出手段が、対象物の方位として、上昇部ピーク周波数における位相差に基づく上昇部方位と下降部ピーク周波数における位相差に基づく下降部方位とを算出するものであり、
信号処理手段は、さらに、上昇部方位と下降部方位とが近似すること、かつピーク強度が近似することを条件として、当該上昇部ピーク周波数と下降部ピーク周波数とが同じ対象物によって生じたものとみなし、それらのピーク周波数を組み合わせる組合せ手段と、
組合せ手段によって組み合わされた上昇部及び下降部ピーク周波数を用いて、対象物の距離及び相対速度を算出する算出手段とを備え、
中止手段は、組合せ手段によって、上昇部ビート信号のピーク周波数と下降部ビート信号のピーク周波数との組み合わせられた割合が所定の基準値よりも低い場合に、ピーク周波数を示す波形の正確性は所定の基準を満足していないと判定して、前記方位算出手段による方位の算出を中止することを特徴とする。
上昇部ビート信号及び下降部ビート信号の複数の周波数にピークが発生し、かつ、それらの内、組み合わせられたピーク周波数の割合が所定の基準値よりも低い場合には、ピーク周波数が重なっていたり、ビート信号にノイズが多く含まれていると考えられるためである。
さらに、請求項8に記載したように、中止手段は、上昇部及び下降部の少なくとも一方のビート信号のピーク周波数の数が基準値よりも多い場合に、ピーク周波数を示す波形の正確性は所定の基準を満足していないと判定して、方位算出手段による方位の算出を中止するようにしても良い。車両用レーダ装置が検知すべき対象物は、先行車両や路上の障害物である。このような先行車両や路上の障害物の数は、それほど多数になることはない。従って、対象物を示すピーク周波数の数が所定の基準値よりも多い場合には、ガードレール等の路側物からの反射波やノイズが多く含まれていることが考えられるためである。
(参考例)
まず、本発明の実施形態を説明する前に、本実施形態の基礎となる参考例について図面を参照して説明する。図1は、参考例における車両用レーダ装置の全体構成を表すブロック図である。
図1に示すように、参考例によるレーダ装置2は、送信アンテナASを介してミリ波帯のレーダ波を送信する送信器4を備えている。この送信器4は、マイコン10から出力される時間に対して周波数が漸増、漸減及び一定となるパターンの信号をデジタルアナログ(D/A)変換するD/A変換器12と、このD/A変換器12から出力される信号を変調信号として入力し、この変調信号により変調されたミリ波帯の高周波信号を生成する電圧制御発振器14と、電力制御発振器14の出力を送信信号fsとローカル信号Lとに電力分配する分配器16とから構成される。そして、送信信号fsは、送信アンテナASに供給され、ローカル信号Lは、受信器6へ供給される。
また、参考例によるレーダ装置2は、先行車両等の対象物によって反射されたレーダ波(以下、反射波)を受信する、所定の間隔を隔てて配置された2個の受信アンテナAR1,AR2を備えている。反射波が2個のアンテナAR1,AR2で受信されると、各アンテナAR1,AR2はその反射波に応じた受信信号fr1,fr2を発生し、受信器6に与える。
受信器6は、各アンテナAR1,AR2に対応して、受信信号fr1,fr2とローカル信号Lとをミキシングして、これらの信号の差の周波数に相当するビート信号B1,B2を生成する2個のミキサMX1,MX2と、各ミキサMX1,MX2で発生されたビート信号B1,B2をそれぞれ増幅する2個の増幅器AMP1,AMP2を備えている。なお、増幅器AMP1,AMP2は、ビート信号B1,B2から不要な高周波成分を除去するフィルタ機能も有している。
増幅器AMP1,AMP2によって増幅されたビート信号B1,B2は、A/D変換部8に与えられる。A/D変換部8は、ビート信号B1,B2をそれぞれサンプリングしてデジタルデータD1,D2に変換する2個のA/D変換器AD1,AD2を備えている。A/D変換器AD1,AD2によって変換された各ビート信号B1,B2のデジタルデータD1,D2は、マイクロコンピュータ10に与えられる。
マイクロコンピュータ10は、CPU,ROM,RAMを中心に構成され、A/D変換部8からのデジタルデータD1,D2に基づき、先行車両等の対象物との距離、相対速度、方位の検出を行なう検出処理を実行する。さらに、マイクロコンピュータ10は、それらの処理を行なう際にデジタルデータD1,D2に対して高速フーリエ変換(FFT)処理を実行するためのデジタルシグナルプロセッサ等を備えている。
このように構成された車両レーダ装置2においては、図3に示すように、周波数が漸増、漸減及び一定となるパターンの変調信号による変調の結果、周波数上昇部、周波数下降部、及び周波数一定部からなるレーダ波が、送信器4によって送信アンテナASを介して送信される。そのレーダ波が先行車両等の対象物によって反射されると、その反射波が各受信アンテナAR1,AR2にて受信される。そのとき、各受信アンテナAR1,AR2にて発生される受信信号は、受信器6のミキサMX1,MX2にてローカル信号Lと混合されることにより、各受信信号とローカル信号L(送信信号fr)との差の周波数成分に相当するビート信号B1,B2が生成される。なお、各A/D変換器AD1,AD2は、送信信号fsの周波数上昇部、周波数下降部、及び周波数一定部毎に、ビート信号B1,B2を所定回数づつサンプリングしてA/D変換する。これにより、周波数上昇部、周波数下降部、及び周波数一定部とでそれぞれビート信号が生成される。
次に、マイクロコンピュータ10にて実行される、対象物との距離、相対速度、方位を検出する検出処理を、図2に示すフローチャートに基づいて説明する。
まず、ステップS100において、先行車両等の対象物により反射したレーダ波を受信することにより受信器6から出力されるビート信号B1,B2のデジタルデータD1,D2が、それぞれ周波数上昇部、周波数下降部及び周波数一定部において所定個数づつ読み込まれ、RAMに一時保存される。
続くステップS110では、周波数上昇部及び周波数下降部のビート信号B1,B2としてRAMに保存された各デジタルデータD1,D2に対して周波数解析処理(高速フーリエ変換処理)を実行する。この高速フーリエ変換処理の結果として、ビート信号B1,B2の各周波数毎の複素ベクトルが得られる。この複素ベクトルの絶対値は、対応する各周波数の振幅(強度)を示すものである。すなわち、高速フーリエ変換処理によって、各ビート信号B1,B2に対して、周波数ごとの強度を示したスペクトルデータが得られる。なお、この高速フーリエ変換処理は、周波数上昇部におけるビート信号B1,B2と周波数下降部におけるビート信号B1,B2とに対して、別個に行なわれる。
次にステップS120では、各ビート信号B1,B2に対して算出された周波数スペクトルデータを周波数上昇部及び周波数下降部毎に平均化処理する。そしてステップS130では、その平均化した上昇部スペクトルデータ及び下降部スペクトルデータから、ビート信号B1,B2の共通の上昇部ピーク周波数UPF及び下降部ピーク周波数DPFを抽出する。この場合、上昇部スペクトルデータ及び下降部スペクトルデータから、そのスペクトル上でピークとなる全ての周波数成分を抽出して、その周波数をピーク周波数として特定する。
ここで、各ビート信号B1,B2には異なるノイズが重畳されており、また、各受信チャンネルの経路や各アンテナAR1,AR2の性能が微妙に異なるため、各ビート信号B1,B2のピーク周波数にずれが生じる場合がある。そのため、上記のように各ビート信号B1,B2の各周波数成分の強度を示すスペクトルデータを平均化し、その結果から共通のピーク周波数UPF、DPFを抽出する。これにより、ノイズはランダムであるため、平均化処理によりノイズ成分の強度はピーク周波数UPF,DPFの強度に対して小さくなり、S/N比を向上することができる。なお、理論的には、同一の対象物によって反射された反射波を受信した場合、各ビート信号B1,B2は同じ周波数にピーク周波数成分を有するはずである。このため、1つのビート信号B1,B2のスペクトルデータを求め、そのスペクトルデータからピーク周波数を抽出し、他のビート信号B1,B2にも同様のピーク周波数が発生していると推測しても良い。
このようなステップS130の処理により、各ビート信号B1,B2に対して共通の上昇部ピーク周波数UPFと下降部ピーク周波数DPFが抽出される。なお、ピーク周波数の検出方法としては、例えば、各周波数の振幅の変化を順次求め、その前後にて振幅の変化の符号がプラスからマイナスに反転する周波数にピークがあるものとして、その周波数をピーク周波数として特定すれば良い。
ステップS140では、共通の上昇部及び下降部ピーク周波数UPF,DPFにおけるビート信号B1,B2の位相差をそれぞれ算出する。この位相差の算出方法としては、従来のように、複素ベクトルが実数軸となす角度からピーク周波数における各ビート信号B1,B2の位相を求めた上で、その位相同士の差を算出すれば良い。なお、上昇部及び下降部ビート信号B1,B2の複数の周波数にピークがある場合には、それぞれのピーク周波数において、ビート信号B1,B2の位相差を算出する。
ステップS150では、ステップS140にて算出した上昇部ピーク周波数UPFにおけるビート信号B1,B2の位相差と、下降部ピーク周波数DPFにおけるビート信号B1、B2の位相差との差が所定値未満となり、かつピーク強度の差が所定値未満となる上昇部ピーク周波数UPFと下降部ピーク周波数DPFとの組合せを判定する。この組合せ判定において、位相差及びピーク強度が近似している組合せが見つかった場合、その上昇部ピーク周波数UPFと下降部ピーク周波数DPFとをペアマッチさせる。
レーダ波を反射する対象物が複数ある場合には、その対象物に応じた数だけ上昇部ピーク周波数UPF及び下降部ピーク周波数DPFが現れるため、その上昇部ピーク周波数UPFと下降部ピーク周波数DPFとを各対象物毎に組み合わせる(ペアマッチ)必要がある。本参考例では、上昇部ピーク周波数UPFと下降部ピーク周波数DPFとが、同一の対象物からの反射波によって生じた場合には、上昇部及び下降部ピーク周波数UPF,DPFの位相差がほぼ同じになることに着目して、上昇部及び下降部ピーク周波数UPF、DPF2におけるビート信号B1,B2の位相差が近似していることを条件として、ペアマッチを行なうのである。
ただし、このペアマッチの条件としては、上述した位相差、ピーク強度差のみに基づくことなく、例えば、相対速度が−200km/h以上100km/h以下の範囲に属する等の他の条件を加えても良い。
ステップS150においてペアマッチされた上昇部ピーク周波数UPFと下降部ピーク周波数DPFの組合せに対して、ステップS200において、上述した数式2を用いて、上昇部もしくは下降部ピーク周波数UPF、DPFにおけるビート信号B1,B2の位相差から対象物の方位θを算出する。その後、ステップS210に進み、上述した数式5及び数式6を用いて、ペアマッチされた上昇部ピーク周波数UPFと下降部ピーク周波数DPFとから、対象物との距離D及び相対速度Vを算出する。ステップS220では、算出した方位θ、距離D及び相対速度Vを履歴データとして記憶する。なお、この履歴データは、過去に算出された複数個の方位θ、距離D及び相対速度Vからなるもので、複数の対象物が存在する場合には、対象物毎に分類して記憶される。
一方、ステップS150においてペアマッチされない上昇部ピーク周波数UPFと下降部ピーク周波数DPFがあった場合には、ステップS160以降の処理により、偶々、複数の対象物による反射波によって生じたピーク周波数が重なってしまいペアマッチができなかったのか否かを判定し、そのようなケースに該当する場合には、ペアマッチすべき上昇部ピーク周波数UPFと下降部ピーク周波数DPFを特定し、対象物の方位θ、距離D及び相対速度Vの算出を行なう。
ここで、複数の対象物からの反射波によって生じるピーク周波数が重なる状況の一例について、図4を用いて説明する。図4には、レーダ装置2を搭載した自車両が、複数の車線からなる道路を走行している時、2台の車両A,Bが、その自車両の前方を走行している状況を示している。このとき、先行車両Aは、自車両から距離r離れた地点において、自車両との相対速度−v2の速度で走行し、先行車両Bは、自車両から距離R(>r)離れた地点において、自車両との相対速度−v1(|v1|<|v2|)の速度で走行しているものとする。
このような状況においては、図5に示すように、車両A,Bとも自車両と相対速度を持つため、上昇部ピーク周波数UPF1、UPF2と下降部ピーク周波数DPFとがずれる。但し、車両Aの相対速度−v2の絶対値は、車両Bの相対速度−v1の絶対値よりも大きいため、上昇部ピーク周波数UPF1と下降部ピーク周波数DPFとのずれ量は大きくなる。さらに、車両Bの距離Rは車両Aの距離rよりも長いため、車両Bからの反射波による上昇部ピーク周波数UPF2及び下降部ピーク周波数DPFは、より高い周波数域に現れる。このとき、車両Aの下降部ピーク周波数DPFがドップラシフトにより、高周波数域に移動すると、車両Aの下降部ピーク周波数DPFと車両Bの下降部ピーク周波数DPFとが重なる場合が生じる。
このような場合、下降部ピーク周波数DPFにおけるビート信号B1,B2の位相は、車両Aからの反射波による位相と車両Bからの反射波による位相とが合成された位相となる。このため、下降部ピーク周波数DPFにおけるビート信号B1,B2の位相差を算出しても、車両A,Bのいずれの上昇部ピーク周波数UPF1、UPF2におけるビート信号B1,B2の位相差と異なることになる。
しかしながら、図6に示すように、周波数一定部のビート信号に対して高速フーリエ変換を行なって周波数スペクトルデータを算出すると、車両Aと車両Bとは相対速度が異なるため、それぞれの相対速度−v1、−v2に対応した周波数にピークが生ずる。このようにして、周波数一定部のビート信号の周波数スペクトルデータを参照することにより、相対速度が異なる複数の対象物を識別することができる。
このため、ステップS160において、周波数一定部のビート信号に対して高速フーリエ変換を行なうことによって、周波数スペクトルデータを算出する。その後、ステップS170では、ステップS160で算出した周波数スペクトルデータのピーク周波数に対応する相対速度分だけずれた上昇部ピーク周波数UPFと下降部ピーク周波数DPFとの組合せが存在するか否かを判定する。このような照合により、周波数一定部のビート信号と、上昇部及び下降部のビート信号とに、同じ相対速度の対象物によるピーク周波数が発生していることを確認することができる。
例えば、図5に示す例においては、まず、車両Aにより一定部ビート信号のスペクトルデータに生じたピーク周波数に対応する相対速度(−v2)に相当する分だけずれた上昇部ピーク周波数UPFと下降部ピーク周波数DPFとの組合せが存在するかどうか判定される。この場合、上昇部ピーク周波数UPF1と下降部ピーク周波数DPFとがその条件を満足することになる。次に、車両Bにより一定部ビート信号のスペクトルデータに生じたピーク周波数に対応する相対速度(−v1)に相当する分だけずれた上昇部ピーク周波数UPFと下降部ピーク周波数DPFとの組合せが存在するかどうか判定される。この場合、上昇部ピーク周波数UPF2と下降部ピーク周波数DPFとがその条件を満足することになる。
このような確認がなされた場合、ステップS180に進み、該当する上昇部ピーク周波数UPFと下降部ピーク周波数DPFとをペアマッチする。そして、ステップS190において、周波数一定部のビート信号のピーク周波数における位相差から、対象物の方位θを算出する。その後は、上述したと同様に、ステップS210にて、対象物との距離D及び相対速度Vを算出し、ステップ220にて、算出した距離D及び相対速度Vを履歴データとして記憶する。
以上説明したように、参考例による車両レーダ装置によれば、上昇部ビート信号もしくは下降部ビート信号において、複数の対象物によるピーク周波数が重なった場合でも、一定部のビート信号を用いて、その対象物の方位を算出するとともに、上昇部ピーク周波数と下降部ピーク周波数とのペアマッチが可能となる。従って、先行車両等の対象物を見失うことなく、継続して、その対象物を検知することができる。
(実施形態)
実施形態による車両用レーダ装置について説明する。なお、本実施形態による車両用レーダ装置の構成は、前述の参考例による車両用レーダ装置と同様であるため、その説明を省略する。
本実施形態における車両用レーダ装置は、上昇部及び下降部の少なくとも一方のビート信号のピーク周波数を示す波形の正確性が劣っている場合、前述の参考例のように、他の手段によって対象物の方位を算出したりするのではなく、そのビート信号を用いた方位の算出を中止することにより、対象物の方位が誤って算出されることを確実に防止するものである。
図7は、本実施形態による、対象物との距離、相対速度、方位を検出する検出処理を示すフローチャートである。このフローチャートにおいては、図2のフローチャートと大半の処理が共通する。このため、同様の処理に関して同じ参照番号を付与することにより、その説明を省略する。
図7のフローチャートにおいて特徴となる処理は、ステップS121及びステップS122の処理である。ステップS121は、各ビート信号B1,B2に対して算出された周波数スペクトルデータを周波数上昇部及び周波数下降部毎に平均化処理するステップS120の後に実行される。そして、ステップS120にて算出された周波数上昇部の平均スペクトルデータ及び周波数下降部の平均スペクトルデータの各々に関して積分処理を行ない、上昇部積分値及び下降部積分値を算出する。
ステップS122では、ステップS121にて算出された上昇部積分値及び下降部積分値を所定の閾値と比較する。そして、上昇部積分値及び下降部積分値がともに所定の閾値以下である場合に、ステップS130以降の処理に進んで、対象物の方位θ、距離D及び相対速度Vの算出を行なう。一方、上昇部積分値及び下降部積分値の一方でも閾値より大きくなると、対象物の方位θ等の算出を行なわず、ステップS100に戻る。
上述した上昇部積分値あるいは下降部積分値が所定の閾値を超えるのは、検知すべき先行車両や路上の障害物以外に、例えばガードレール等の路側反射物からの反射によって多数のピーク周波数が生じている場合や、ノイズ等の影響が大きくビート信号全体のレベルが高くなっている場合などである。図8に、ガードレール等の路側反射物からの反射がある場合のスペクトルデータと、そのような反射がない場合のスペクトルデータとを示す。
路側反射物からの反射がある場合は、先行車両等の対象物からのピーク周波数の検出や上述したペアマッチを正確に行なうことが困難になるため、結果として、対象物の方位θ等を誤って算出してしまう可能性が生じる。対象物を誤って認識することは確実に防止すべきであるので、本実施形態では、上述した上昇部積分値及び下降部積分値を用いて、ビート信号のピーク周波数を示す波形の正確性を判定し、正確性が劣っていると判定した場合には、方位等の算出を中止するのである。
(変形例1)
上述した実施形態においては、周波数上昇部の平均スペクトルデータ及び周波数下降部の平均スペクトルデータの各々に関して積分処理を行なうことにより算出した上昇部積分値及び下降部積分値を用いて、ビート信号のピーク周波数を示す波形の正確性を判定した。それに対して、本変形例1では、上昇部ビート信号及び下降部ビート信号に対して高速フーリエ変換処理を行なうことによって算出した上昇部スペクトルデータ及び下降部スペクトルデータにおける全ピーク周波数の数に対して、ペアマッチされたピーク周波数の数の割合により、ピーク周波数を示す波形の正確性を判定するものである。
すなわち、図9のフローチャートに示すように、ステップS141において、ステップS140にて算出した各上昇部ピーク周波数UPFにおけるビート信号B1,B2の位相差と、各下降部ピーク周波数DPFにおけるビート信号B1、B2の位相差との差が所定値未満となる上昇部ピーク周波数UPFと下降部ピーク周波数DPFとの組合せを全て抽出する。そして、ステップS142において、上昇部スペクトルデータもしくは下降部スペクトルデータにおける全ピーク周波数の数を基準として、ペアマッチされたピーク周波数の数の割合を算出するとともに、その割合が所定の閾値以上であるか否か判定する。
このステップS142の判定において、ペアマッチされたピーク周波数の数の割合が所定の閾値以上と判定されると、ステップS143に進み、ペアマッチされた上昇部ピーク周波数UPF及び下降部ピーク周波数DPFに基づいて、対象物の方位θ、距離D及び相対速度Vを算出する。一方、ステップS142においてペアマッチされたピーク周波数の数の割合が所定の閾値よりも小さいと判定された場合には、全ての対象物について方位θ等の算出を中止する。
このように、ペアマッチされたピーク周波数の数の割合によっても、ピーク周波数を示す波形の正確性を判定することができる。なぜなら、ペアマッチされないピーク周波数が多い場合には、路側反射物により多数のピーク周波数が発生し、相互に重なりあっている場合や、ノイズ成分が多く含まれている場合だからである。
(変形例2)
本変形例2は、上昇部ビート信号及び下降部ビート信号に対して高速フーリエ変換処理を行なうことによって算出した上昇部スペクトルデータ及び下降部スペクトルデータにおけるピーク周波数の密度(つまり、所定の周波数域におけるピーク周波数の数)により、ピーク周波数を示す波形の正確性を判定するものである。
すなわち、図10のフローチャートに示すように、ステップS131において、ステップS130にて各ビート信号B1,B2に対して共通の上昇部ピーク周波数UPFと下降部ピーク周波数DPFが抽出された後に、所定の周波数域における上昇部ピーク周波数UPFの数及び下降部ピーク周波数DPFの数を算出し、これらと所定の閾値とを比較する。
このステップS131の判定において、上昇部ピーク周波数UPFの数及び下降部ピーク周波数DPFの数が所定の閾値以下と判定されると、ステップS140以降の処理に進み、対象物の方位θ、距離D及び相対速度Vを算出する。一方、ステップS131において上昇部ピーク周波数UPFの数あるいは下降部ピーク周波数DPFの数が所定の閾値よりも多いと判定されると、全ての対象物について方位θ等の算出を中止する。
このように、上昇部ピーク周波数UPF及び下降部ピーク周波数の数によっても、ピーク周波数を示す波形の正確性を判定することができる。なぜなら、先行車両等の検知すべき対象物によって閾値以上の数のピーク周波数が発生する可能性は非常に低く、そのような多数のピーク周波数が発生した場合には、路側反射物からの多数の反射波を受信している可能性が高いためである。
(変形例3)
本変形例3は、各対象物の方位θ、距離D及び相対速度Vからなる履歴データに基づいて、上昇部及び下降部ビート信号のピーク周波数に関する変化を予測し、その予測により複数の対象物のピーク周波数が重なる可能性が高い場合には、ピーク周波数を示す波形の正確性は所定の基準を満足していないと判定して、方位等の算出を中止するものである。
すなわち、図11のフローチャートに示すように、ステップS10において、ステップS220にて記憶された、各対象物の方位θ、距離D及び相対速度Vからなる履歴データに基づいて、各対象物の反射波によるピーク周波数が発生する周波数を予測するとともに、同じ周波数帯に複数の対象物によるピーク周波数が発生するか否かを判定する。このピーク周波数が発生する周波数は、履歴データにおける距離D及び相対速度Vの変化分を、最新の距離D及び相対速度Vに加減算することにより、距離D及び相対速度Vを予測し、その予測距離Dと相対速度Vから上述した数式3〜数式6を逆算することによって求められる。
このステップS10において、複数の対象物によるピーク周波数が重なると判定された場合、ステップS20において、その複数の対象物によるピーク周波数の発生する周波数帯が異なるまでの時間分だけ待機する。その待機後は、ステップS100以降に進み、各対象物の検出処理を開始する。
上述したように、複数の対象物によるピーク周波数が重なる場合には、そのピーク周波数におけるビート信号B1,B2の位相は合成位相となるため、ペアマッチを行なうために、例えば一定部のビート信号を用いる等の処置が必要になる。このため、このような場合には、ピーク周波数を示す波形の正確性が乏しいと判定し、方位等の算出処理を中止しても良い。
なお、上述したように、各対象物の方位θ、距離D及び相対速度Vからなる履歴データからピーク周波数を予測しても良いが、履歴データに、上昇部ピーク周波数UPF及び下降部ピーク周波数DPFを追加すれば、ピーク周波数の予測のための処理が容易になる。
(変形例4)
本変形例4は、レーダ波を送信する方向の画像を撮像する撮像装置、車両の走行位置を検出するナビゲーション装置、及び車両のステアリングホイールの操舵角度を検出する検出装置の少なくとも1つを備え、それらの装置によって、車両レーダ装置が対象物の検知処理を行なうに不適切な状況を検出した場合には、ピーク周波数を示す波形の正確性が低下しているものとみなして、対象物の方位等の算出を中止するものである。
すなわち、図12のフローチャートに示すように、ステップS30において、車両の進行方向前方のレーダ波が送信される方向における画像、ナビゲーション装置によって検出される車両の走行位置、もしくはステアリングホイールの操舵角度が、レーダ装置によって対象物の検知処理を行なうのに適しているか否かが判定される。
ここで、画像に関しては、路側にレーダ波の反射強度が大きい特定の物体(例えばガードレールやトンネルの壁面)が存在することを認識した場合に、方位等の算出を中止する。路側にガードレールが存在したり、トンネルの壁面が存在する場合、それらからのレーダ波の反射波により、検知すべき対象物によるピーク周波数を正確に検出することが困難となるためである。
また、ナビゲーション装置によって検出される車両の走行位置が、トンネル内であった場合にも、同様の理由から、対象物の方位等の算出を中止する。
さらに、ステアリングホイールの操舵角度に関しては、その操舵角度が所定角度以上である場合に、対象物の方位等の算出を中止する。ステアリングホイールの操舵角度が所定角度以上である場合、車両に搭載されたレーダ装置は、路側に存在するカードレール等からの反射波を多く受信していることが考えられるためである。なお、操舵角度は、ステアリングホイールの回転軸にロータリエンコーダ等の検出器を設けることで検出しても良いし、例えば転動輪の回転数差から間接席に操舵角度を検出しても良い。
このような装置によって検出された状況が、レーダ装置によって対象物の検知処理を行なうのに適していると判定されたときのみ、ステップS100以降の対象物の検知処理を実行することにより、対象物を誤って検知することを確実に防止することが可能になる。
なお、前述した参考例においては、周波数上昇部、周波数下降部及び周波数一定部からなるレーダ波を用いたが、実施形態及び変形例1〜変形例4においては、そのようなレーダ波に限らず、単に周波数上昇部と周波数下降部とからなるレーダ波を用いても良い。
参考例における車両用レーダ装置の全体構成図を表すブロック図である。 参考例のマイクロコンピュータ10にて実行される、対象物との距離、相対速度、方位を検出する検出処理を示すフローチャートである。 参考例における、送信器から送信されるレーダ波の波形を示す波形図である。 複数の対象物によって生じた複数のピーク周波数が重なる状況の一例を説明するための説明図である。 図4に示した状況において、車両Aと車両Bからの反射波によって発生する下降部ピーク周波数DPFが重なる原理を説明するための波形図である。 図4に示した状況において、車両Aと車両Bからの反射波によって発生する、周波数一定部のビート信号のピーク周波数を示す波形図である。 実施形態における、対象物との距離、相対速度、方位を検出する検出処理を示すフローチャートである。 ガードレール等の路側反射物からの反射がある場合のビート信号の周波数スペクトルデータと、そのような反射がない場合のビート信号の周波数スペクトルデータとを示す波形図である。 変形例1における、対象物との距離、相対速度、方位を検出する検出処理を示すフローチャートである。 変形例2における、対象物との距離、相対速度、方位を検出する検出処理を示すフローチャートである。 変形例3における、対象物との距離、相対速度、方位を検出する検出処理を示すフローチャートである。 変形例4における、対象物との距離、相対速度、方位を検出する検出処理を示すフローチャートである。 モノパルス方式のレーダ装置における、方位の検出原理について説明するための説明図である。 従来のFMCW方式のレーダ装置における対象物の検出原理について説明するものであり、(a)は送信信号fs及び受信信号frを示すグラフであり、(b)は送信信号fsと受信信号frとの周波数の差に相当するビート周波数を示すグラフである。
符号の説明
2 レーダ装置
4 送信器
6 受信器
8 A/D変換部
10 マイクロコンピュータ
12 D/A変換器
14 電力制御発振器
14 電力分配器
AS 送信アンテナ
AR1,AR2 受信アンテナ
AMP1,AMP2 増幅器
MX1,MX2 ミキサ
AD1,AD2 A/D変換器

Claims (8)

  1. 少なくとも上昇部及び下降部を有する波形の変調信号により周波数変調された送信信号をレーダ波として送信する送信手段と、
    所定の間隔を持って配置され、前記送信されたレーダ波が対象物により反射された場合に、その反射波を受信して受信信号を発生する2個の受信手段と、
    前記2個の受信手段によって発生される受信信号に基づいて、前記対象物の方位を算出する信号処理手段とを備えた車両用レーダ装置において、
    前記2個の受信手段は、それぞれ、前記受信信号と送信信号との周波数の差に相当するビート信号を、前記送信信号の上昇部及び下降部毎に発生するビート信号発生手段を備え、
    前記信号処理手段は、前記2個の受信手段の受信信号からそれぞれ生成された上昇部及び下降部の少なくとも一方のビート信号のピーク周波数における位相差に基づいて、前記対象物の方位を算出する方位算出手段と、
    前記上昇部及び下降部の少なくとも一方のビート信号のピーク周波数を示す波形の正確性を判定し、その正確性が所定の基準を満足していない場合に、前記方位算出手段による方位の算出を中止する中止手段と、を備えることを特徴とする車両用レーダ装置。
  2. 前記中止手段は、前記上昇部及び下降部の少なくとも一方のビート信号の積分値が所定の閾値以上である場合に、前記ピーク周波数を示す波形の正確性は所定の基準を満足していないと判定して、前記方位算出手段による方位の算出を中止することを特徴とする請求項1に記載のレーダ装置。
  3. 前記中止手段は、前記上昇部及び下降部の少なくとも一方のビート信号のピーク周波数に関する過去の履歴データを記憶し、その履歴データにおけるピーク周波数の変化から、複数のピーク周波数が重なることが予測される場合に、前記ピーク周波数を示す波形の正確性は所定の基準を満足していないと判定して、前記方位算出手段による方位の算出を中止することを特徴とする請求項1に記載のレーダ装置。
  4. 前記中止手段は、前記レーダ波を送信する方向の画像を取得する画像取得手段を備え、その取得した画像から、路側にレーダ波の反射強度が大きい特定の物体が存在することを認識した場合に、前記ピーク周波数を示す波形の正確性は所定の基準を満足していないと判定して、前記方位算出手段による方位の算出を中止することを特徴とする請求項1に記載のレーダ装置。
  5. 前記中止手段は、前記車両の走行位置を検出する走行位置検出手段を備え、当該走行位置検出手段によって前記車両がトンネル内を走行していることを検出した場合に、前記ピーク周波数を示す波形の正確性は所定の基準を満足していないと判定して、前記方位算出手段による方位の算出を中止することを特徴とする請求項1に記載のレーダ装置。
  6. 前記中止手段は、車両のステアリングホイールの操舵状態を検出する操舵状態検出手段を備え、当該操舵状態検出手段によって前記ステアリングホイールの操舵角度が所定角度以上であることを検出した場合に、前記ピーク周波数を示す波形の正確性は所定の基準を満足していないと判定して、前記方位算出手段による方位の算出を中止することを特徴とする請求項1に記載のレーダ装置。
  7. 前記方位算出手段は、前記対象物の方位として、上昇部ピーク周波数における位相差に基づく上昇部方位と下降部ピーク周波数における位相差に基づく下降部方位とを算出するものであり、
    前記信号処理手段は、さらに、
    前記上昇部方位と下降部方位とが近似すること、かつピーク強度が近似することを条件として、当該上昇部ピーク周波数と下降部ピーク周波数とが同じ対象物によって生じたものとみなし、それらのピーク周波数を組み合わせる組合せ手段と、
    前記組合せ手段によって組み合わされた上昇部及び下降部ピーク周波数を用いて、前記対象物の距離及び相対速度を算出する算出手段とを備え、
    前記中止手段は、前記組合せ手段によって、上昇部ビート信号のピーク周波数と下降部ビート信号のピーク周波数との組み合わせられた割合が所定の基準値よりも低い場合に、前記ピーク周波数を示す波形の正確性は所定の基準を満足していないと判定して、前記方位算出手段による方位の算出を中止することを特徴とする請求項1に記載のレーダ装置。
  8. 前記中止手段は、前記上昇部及び下降部の少なくとも一方のビート信号のピーク周波数の数が基準値よりも多い場合に、前記ピーク周波数を示す波形の正確性は所定の基準を満足していないと判定して、前記方位算出手段による方位の算出を中止することを特徴とする請求項1に記載のレーダ装置。
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