JP2008014911A - 超音波探傷装置および超音波探傷方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】超音波探傷装置は、入力される電気信号を超音波に変換して試験体中に送信し、且つ、試験体中を伝搬する超音波を受信し、該超音波を電気信号に変換する超音波探触子と、超音波探触子を駆動し、且つ、超音波探触子からの電気信号を受信する送受信器と、を備える超音波探傷装置において、超音波探触子を伝搬する超音波は、縦波であり、試験体中を伝搬する超音波は、試験体中の伝搬に伴い波面が試験体の表面に達し、且つ、試験体の表面に疑似表面SV波を発生する横波であり、超音波探触子と試験体との境界面において、入力される電気信号が変換された縦波が横波にモード変換され、また、試験体の表面を伝搬する疑似表面SV波が縦波に変換される。
【選択図】図1
Description
また、表面SHARE Horizontal(SH)波を固体表面に伝搬させて検査する方法も提案されている(例えば、非特許文献2参照)。
また、クリーピング波は、エネルギーを漏洩しながら伝搬するので減衰が大きく、十分な検出感度が得られないという問題がある。
また、表面SH波は、探触子と試験体との間に粘性の大きな接触媒質を塗布し、接触状態を安定させる必要がある。このため、検査の作業効率が良くないという問題がある。
また、粘性の大きな接触媒質が必要であるため、探触子を走査して探傷を行うには、不向きである。
この発明の説明において、「傷」という呼び方で検出対象物を表現しているが、この発明に係わる超音波探傷装置および超音波探傷方法の適用範囲は傷の検出だけに限定するものではなく、試験体の表面近傍の性状の全般を検査対象としている。
図1は、この発明の実施の形態1に係わる超音波探傷装置の構成を示す図である。また、図1は、斜角探触子から傷までの超音波の伝搬を説明するための図でもある。図2は、傷から斜角探触子までの超音波の伝搬を説明するための図である。図3は、アクリル樹脂と鋼との境界面における平面波の往復透過率に関するデータを示すグラフである。図4と図5は、斜角探触子のくさび内および試験体内を伝搬する音場シミュレーションの結果である。
そして、斜角探触子1は、探傷器2から供給される電気信号を超音波に変換する振動子3と、振動子3の振動により超音波が発信され、内部を超音波が伝搬するくさび4と、を備える。この斜角探触子1は、送受信される超音波が横波、即ちSHARE VERTICAL(SV)波となるように設計された横波斜角探触子である。
この発明の説明では、図1に示すように、試験体5として、表面に傷6があり、その傷6は斜角探触子1からみて障害物7の遠方にあるものを用いる。
探傷器2から励振信号を斜角探触子1に入力し、斜角探触子1の振動子3を励振する。
そして、振動子3が振動すると、くさび4の内部に縦波8が発生し、縦波8がくさび4内部を伝搬し、くさび4と試験体5との境界面に波面が達した縦波8がSV波9にモード変換され、試験体5中を主にSV波9が伝搬する。
なお、試験体5中には、モード変換によって発生した表面波も伝搬していくが、説明を簡単にするため、図1中には表面波は示さない。
図1には、SV波9と疑似表面SV波10の波面が伝搬していく模式的な様子を示している。
また、SV波9が主たる波動となる横波斜角探触子1を用いるので、粘性の大きな接触媒質を用いる必要はなく、水を接触媒質としても十分探傷可能である。このため、表面SH波を用いて探傷する場合に比べて作業効率が大幅に改善できる。
音場シミュレーションの結果を、図4および図5に示す。図4および図5では、振動子3を励振してからの経過時間が20μsまでの音場を4μs経過ごとに示している。図4および図5では、黒い部分がくさび4および試験体5の内部を示し、その黒い部分の中の白い部分が縦波8、SV波9または疑似表面SV波10の波面を示す。
図4(b)に示す8μs後の音場では、モード変換によって生じたSV波9と表面波11が伝搬する。この表面波11はレイリー(Rayleigh)波と呼ばれるものである。
図4(c)に示す12μs後の音場では、SV波9が試験体5内を、表面波11が試験体5の表面に沿って伝搬する。
図5(a)に示す16μs後の音場では、表面波11は試験体5の表面に沿って伝搬し、障害物7を透過する方向に伝搬しない。このことから、図1に示したような試験体5の形状では、表面波11による探傷が困難であることが分かる。
図5(b)に示す20μs後の音場には、傷6で反射されたSV波9が伝搬していく様子を示している。
弾性波FDTD法では試験体5中の粒子速度を計算するので、粒子の振動をベクトルとして求めることができる。図7に、疑似表面SV波10が伝搬している箇所の小さな矢印によるベクトル図を示している。また、図8に、粒子の振動を表すベクトルの概念図を示している。
また、図10には、傾斜角αを変えた場合のくさび4内音場を示している。図10から分かるように、傾斜角αを変えても受信用の斜角探触子1b内部における縦波8の波面の角度は変わらない。この波面と送信用の斜角探触子1aの振動子3とが平行であると、効率良く疑似表面SV波10を送信でき、受信用の斜角探触子1bの振動子3と平行であると、効率良く疑似表面SV波10を受信できる。すなわち、疑似表面SV波10を効率良く送受信する傾斜角αが存在する。この発明に係わる超音波探傷装置においては、斜角探触子1の構成として、傾斜角αが疑似表面SV波10を効率良く送受信する角度であることを特徴とする。
この角度調整機構21は、図11に示すように、くさび4の両側面を挟持する保持棒22と、保持棒22を回転自在に支持する軸受23を一端に設けられた支持棒24と、支持棒24の他端を固定する枠25と、を備える。
図12からも分かるように、角度調整機構21により振動子3の傾斜角αを調整することにより、くさび4内の縦波8の波面と振動子3とを平行にすることができ、効率良く疑似表面SV波10により発生される縦波8を受信することができる。すなわち、SN比を向上させるという効果がある。送信についても同様である。このような角度調整は、直接接触法では困難であるが、水ギャップ法や水浸法であれば角度調整は可能である。
図13は、この発明の実施の形態2に係わる超音波探傷装置の構成図である。
この発明の実施の形態2に係わる超音波探傷装置は、実施の形態1に係わる超音波探傷装置と超音波の送受信を別々の斜角探触子1a、1bを用いて行うことが異なっており、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。
そして、この実施の形態2に係わる探傷器2Bは、送信用の斜角探触子1aに対して振動子3aを励振する励振信号を入力する。一方、受信用の斜角探触子1bの振動子3bがくさび4bを伝搬してきた縦波8を検出したときの検出信号が入力される。
実施の形態1と同様に、斜角探触子1aから試験体5の表面に近い部分にSV波9を伝搬させ、SV波9の伝搬に伴って発生する疑似表面SV波10を試験体5の表面に伝搬させる。
そして、実施の形態1のように傷6からのエコー信号を受信するのではなく、そのまま斜角探触子1bにより疑似表面SV波10を受信する。また、くさび4a、4b内の縦波8の伝搬遅延時間を予め求めておく。また、送信用の探触探触子1aと受信用の斜角探触子1bとの間の距離を測定しておく。
それから、送信用の斜角探触子1aから試験体5内を伝搬するSV波9を送信し、受信用の斜角探触子1bにより試験体5の表面を伝搬した疑似表面SV波10を受信して伝搬遅延時間を求め、伝搬遅延時間と距離とから試験体5を伝搬するSV波9の音速を測定する。
また、従来は、試験体5の表面に対して垂直方向に伝搬する横波の音速を求めていたが、実施の形態2に係わる超音波探傷装置を用いて測定した音速は、試験体5の表面に沿って伝搬する音速とほぼ同じであるので、傷6が表面にあるために起こる音速の変化を検出することにより、精度よく超音波探傷を行うことができる。
Claims (7)
- 入力される電気信号を超音波に変換して試験体中に送信し、且つ、上記試験体中を伝搬する超音波を受信し、該超音波を電気信号に変換する超音波探触子と、上記超音波探触子を駆動し、且つ、上記超音波探触子からの電気信号を受信する送受信器と、を備える超音波探傷装置において、
上記超音波探触子を伝搬する超音波は、縦波であり、
上記試験体中を伝搬する超音波は、上記試験体中の伝搬に伴い波面が上記試験体の表面に達し、且つ、上記試験体の表面に疑似表面SV波を発生する横波であり、
上記超音波探触子と上記試験体との境界面において、上記入力される電気信号が変換された縦波が上記横波にモード変換され、また、上記試験体の表面を伝搬する疑似表面SV波が縦波に変換されることを特徴とする超音波探傷装置。 - 入力される電気信号を超音波に変換して試験体中に送信する送信用の超音波探触子と、上記試験体中を伝搬する超音波を受信し、該超音波を電気信号に変換する受信用の超音波探触子と、上記送信用の超音波探触子を駆動し、且つ、上記受信用の超音波探触子からの電気信号を受信する送受信器と、を備える超音波探傷装置において、
上記送信用および受信用の超音波探触子を伝搬する超音波は、縦波であり、
上記試験体中を伝搬する超音波は、上記試験体中の伝搬に伴い波面が上記試験体の表面に達し、且つ、上記試験体の表面に疑似表面SV波を発生する横波であり、
上記送信用の超音波探触子と上記試験体との境界面において、上記入力される電気信号が変換された縦波が上記横波にモード変換され、
上記受信用の超音波探触子と上記試験体との境界面において、上記試験体の表面を伝搬する疑似表面SV波が縦波に変換されることを特徴とする超音波探傷装置。 - 上記超音波探触子の振動子は、上記表面に沿って伝搬する疑似表面SV波がモード変換されて上記超音波探触子のくさび内に形成される縦波の波面に対して平行になるように配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の超音波探傷装置。
- 上記試験体の表面に沿って伝搬する疑似表面SV波がモード変換されて上記超音波探触子のくさび内に形成される縦波の波面に対して、上記超音波探触子の振動子が平行になるように調整する角度調整機構を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の超音波探傷装置。
- 上記疑似表面SV波が上記試験体の表面の所定の距離を伝搬したときの伝搬遅延時間を求め、上記伝搬遅延時間から上記試験体の横波音速を測定することを特徴とする請求項1または2に記載の超音波探傷装置。
- 入力された電気信号が超音波探触子により縦波に変換され、該縦波が上記超音波探触子と試験体との境界面で波面が上記試験体の表面に達する横波にモード変換されるステップと、
上記試験体の表面近傍の傷で反射して戻る上記横波が伝搬するとき、上記試験体の表面に発生する疑似表面SV波が上記超音波探触子と試験体との境界面で縦波にモード変換されるステップと、
を有することを特徴とする超音波探傷方法。 - 上記疑似表面SV波が上記試験体の表面の所定の距離を伝搬したときの伝搬遅延時間を求め、上記伝搬遅延時間から上記試験体の横波音速を測定し、該横波音速に基づいて傷を探傷するステップを有することを特徴とする請求項6に記載の超音波探傷方法。
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