JP2008013452A - 医薬組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】血管炎の予防・治療剤、又は健康食品を提供すること。
【解決手段】血管炎の予防又は治療剤、又は健康食品として、生体由来のペプチドが提供される。本発明により、血清胸腺因子FTSとして知られるノナペプチドおよびその誘導体又はそれらの塩類又はそれら各化合物と金属との結合物が、血管炎を生じる動物の傷害を予防・治療することができる。本発明に係わる薬剤は、きわめて毒性の少ない安全な薬剤であり、長期間投与することが可能であり、血管炎の傷害を防護するための予防・治療用薬剤として有用である。
【選択図】なし
【解決手段】血管炎の予防又は治療剤、又は健康食品として、生体由来のペプチドが提供される。本発明により、血清胸腺因子FTSとして知られるノナペプチドおよびその誘導体又はそれらの塩類又はそれら各化合物と金属との結合物が、血管炎を生じる動物の傷害を予防・治療することができる。本発明に係わる薬剤は、きわめて毒性の少ない安全な薬剤であり、長期間投与することが可能であり、血管炎の傷害を防護するための予防・治療用薬剤として有用である。
【選択図】なし
Description
本発明は、血管炎の予防・治療剤、又は健康食品に関する。
血管炎、血管炎症候群と称せられる疾患は、全身のさまざまな血管と血管周囲に炎症が起こり、血管の流れが障害されて起こる特殊な病気の総称である。血管炎は細菌やウイルスなどの感染性病原体による直接的血管障害で引き起こされるが、一方、原因不明な、全身の種々の血管に様々な炎症性変化が観察される血管炎症候群も存在すると言われている。血管炎は血管壁を病変の場とし、病態は、T細胞や好中球と血管内皮細胞との相互作用により誘導される血管と血管周囲の炎症により惹起されるとされている。現在の治療には、プレドニゾロン、シクロホスファミド、アザチオプリン、ミゾリビン、シクロスポリン、免疫グロブリン製剤などが適用されている(非特許文献1、特許文献1〜3)。
Serumthymic factor prevents LPS-induced pancreatic cell damage in mice viaup-regulation of Bcl-2 expression in pancreas.Saitoh N, Awaya A, Sakudo A, SungWook S, Saeki K, Matsumoto Y, OnoderaT.Microbiol Immunol. 2004;48(9):629-38.
Serumthymic factor prevents LPS-induced pancreatic cell damage in mice viaup-regulation of Bcl-2 expression in pancreas.Saitoh N, Awaya A, Sakudo A, SungWook S, Saeki K, Matsumoto Y, OnoderaT.Microbiol Immunol. 2004;48(9):629-38.
我が国で血管炎を罹患している患者は、1990年代半ばの厚生省の研究班の調査では、20000〜30000人存在すると言われていたが、現在の薬物治療法だけでは対処がなかなか難しい状況であることが、専門医の関連学会等での報告から伺える。壊死性血管炎高安動脈炎、側頭動脈炎(巨細胞性動脈炎)、リベド血管炎、アレルギー性肉芽腫性血管炎(チャーグ・ストラウス症候群)、ウェゲナー肉芽腫症、結節性多発動脈炎、顕微鏡的多発血管炎、チャーグ・ストラウス症候群、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病等々が血管炎類に分類されている。
他の難治疾患の治療と同様に、血管炎の薬物治療においても、現有の治療薬を補完、あるいは凌駕する、新たな予防・治療剤を創製して、患者の疾患の診断、治療、予防にあたる医師が用いうる薬剤の選択肢を増やすことが重要なことである。血管炎の治療領域においても、従来にない、化学構造式とか作用メカニズムを持った薬剤を提供し、疾患の多角的な予防・治療方法を編み出してゆくことが、人々の健康と医療に携わる者が、常に念頭に置いてゆくべき使命であろう。
臨床医が血管炎に処方しうる医薬品が少なく、手をこまねいている状況があり、新たな医薬品の臨床開発のニーズが高い現実がある一方、医薬研究開発を行う企業は、患者数の少ない疾患領域には、関心が薄く、研究資源を投入したがらない状況がある。それでも、血管炎治療剤の特許出願が散見されるようであるが、新たに臨床研究に入ったり、当局から許認可が得られた薬物は最近殆ど無く、旧来の上記のステロイド剤や免疫抑制剤等しか患者には、適用されていないのが現実である。
本発明者は、非特許文献1と特許文献1〜3に例示したような、様々な疾患分野で、血清胸腺因子・FTSnonapeptideの薬効を明らかにし、論文報告と特許出願を行って来たが、既に本発明者が特許出願した治療分野に含まれない別な疾患である血管炎については、病態が複雑な難治疾患であり、予防医学的、疫学的研究が少ないために、また疾患の基礎研究の進展も遅れていて、適当な動物モデルの作製や入手が、なかなか、難しいという状況があり、薬物のスクリーニングなど手軽にできない分野であり、また基礎的薬理評価研究と臨床評価との間に知見の互換性・脈絡や連携の程度が過小であるという問題が横たわる領域であり、本発明者にとっては、予防・治療剤を探索しようという機会が殆ど無く、手が出しにくい疾患領域であった。
ところが、本発明者が、全く別な目的で作製した動物モデルにおいて、臓器内に明瞭な血管炎が惹起されている病態を見出し、この病態を指標にすれば、FTSのより広い作用・効果(薬効拡大)を検討し、見出すのに良い動物モデルになりうると想到するに至り、その後の、新たな血管炎モデルの作製・検討、FTSを含めて様々なペプチド類の投与実験を行い、本発明のFTSの投与によって、血管炎の病態が、着想通り、抑制・改善されるという有用な結果を得て、本発明を完成するに到った。
本発明者らは、上記のように、血管炎領域の予防・治療に適合するような物質を、生体に本来存在し、生体防御能を有する物質の中に求め、安全性の高い天然由来の各種ペプチド類につき、血管炎の病態を修復・改善し、血管炎の予防・治療剤として有用な物質を鋭意探索した結果、血清胸腺因子(Facteur thymique serique、以下FTSと略記する)として知られるノナペプチドおよびその誘導体又はそれらの塩類又はそれら各化合物と金属との結合物が血管炎を生じる動物の傷害を予防・治療すること、を見出した。
本発明者らは先にFTSとして知られるノナペプチドが多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、炎症性神経炎、多発性神経炎などや他の免疫性脱髄疾患などの免疫不全を伴う各種疾患の治療剤として、またそれに続き、特許文献に記載したような疾患群の予防・治療のための薬剤として好適であることを見出し、このような治療剤を提供した(特公平3−71413、USP5,112,810、特開昭58−52225、特許2709839、特開平6−135849、特許3728515など)。
ここに、FTSとして知られるノナペプチドが、血管炎なる疾患を防護するための予防、治療効果を有するという事実は、FTSの適応を試みようとする対象疾患として、従来報告されていない、未開の手のついていない領域の疾患であり、今回、本発明者らの新たな検討によって、たまたま、見出された発見によってもたらされたものである。
これまでの本発明者らの出願が、臓器ごとの実質臓器の障害疾患の予防・治療剤を目指しているものであったが、各臓器に存在し共通的な、血管という組織の炎症を、FTSノナペプチドが抑えるという新たな治療領域を、見出した点が、斬新なことである。
ここに、FTSとして知られるノナペプチドが、血管炎なる疾患を防護するための予防、治療効果を有するという事実は、FTSの適応を試みようとする対象疾患として、従来報告されていない、未開の手のついていない領域の疾患であり、今回、本発明者らの新たな検討によって、たまたま、見出された発見によってもたらされたものである。
これまでの本発明者らの出願が、臓器ごとの実質臓器の障害疾患の予防・治療剤を目指しているものであったが、各臓器に存在し共通的な、血管という組織の炎症を、FTSノナペプチドが抑えるという新たな治療領域を、見出した点が、斬新なことである。
本発明はかかる知見に基づいてなされたものであり、本発明は、配列番号1(配列中、XaaはpGluを表す)のアミノ酸配列を有するノナペプチド又は、そのC末端のアスパラギンのカルボキシル基におけるエステル、アミド又はそれら各化合物の薬学的に許容し得る塩又はそれら各化合物と亜鉛などの金属との結合物を有効成分として含有することを特徴とする、血管炎の傷害を防護するための予防・治療用薬剤を提供するものである。
本発明により、血清胸腺因子FTSとして知られるノナペプチドおよびその誘導体又はそれらの塩類又はそれら各化合物と金属との結合物が、血管炎を生じる動物の傷害を予防・治療することができる。本発明に係わる薬剤は、きわめて毒性の少ない安全な薬剤であり、長期間投与することが可能である。
本発明において使用される前記のノナペプチドは公知物質であって、通常ペプチド合成に慣用されている液相又は固相におけるペプチド合成法、例えば、特開昭54−16425号公報、USP4,301,065記載の方法により、 困難なく製造することができる。あるいはまた、このノナペプチドは、遣伝子工学的方法、細胞工学的方法によっても調製することができる。
本発明において使用される前記のノナペプチドのC末端のアスパラギンのカルボキシル基におけるエステルは、薬学的に許容し得るカルボン酸のエステル類であり、その例としては、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、n−ブチルエステル、イソブチルエステル、tert−ブチルエステル、n−ペンチルエステル、イソペンチルエステル、ネオペンチルエステル、tert−ペンチルエステル、n−ヘキシルエステル、sec−ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、sec−オクチルエステル、tert−オクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル、ウンデシルエステル、ドデシルエステル、トリデシルエステル、テトラデシルエステル、ヘキサデシルエステル、オクタデシルエステル、ノナデシルエステル、エイコシルエステル、シクロペンチルエステル、シクロヘキシルエステル、シクロヘプチルエステル、シクロオクチルエステル、アリルエステル、イソプロペニルエステル、ベンジルエステル、o−、m−、又はp−クロルベンジルエステル、o−、m−、又はp−フルオルベンジルエステル、o−、m−、又はp−ブロムベンシルエステル、o−、m−、又はp−ヨードベンジルエステル、o−、m−、又はp−メチルベンジルエステル、o−、m−、又はp−エチルベンジルエステル、o−、m−、又はp−イソプロピルベンジルエステル、シンナミルエステル、アミノエチルエステル、o−、m−、又はp−アミノベンジルエステル、o−、m−、又はp−ニトロベンジルエステ ル、o−、m−、又はp−メトキシベンジルエステル、o−、m−、又はp−エトキシベンジルエステル、o−、m−、又はp−アミノフエネチルエステル、α−フルフリルエステル、α−チエニルメチルエステル、α−ピリジルメチルエステル、α−ピリジルエチルエステル、ピペリジノメチルエステル、α−ピペリジルメチルエステル、モルホリノエチルエステル、α−モルホリニルメチルエステルなどがあげられる。
また、本発明において使用される前記のノナペプチドのC末端のアスパラギンのカルボキシル基におけるアミドは、薬学的に許容し得るカルボン酸のアミド類であり、その例としては、アミド、メチルアミド、エチルアミド、プロピルアミド、イソプロピルアミド、n−ブチルアミド、イソブチルアミド、tert−ブチルアミド、n−ペンチルアミド、イソペンチルアミド、ネオペンチルアミド、tert−ペンチルアミド、n−ヘキシルアミド、sec−ヘキシルアミド、ヘプチルアミド、オクチルアミド、sec−オクチルアミド、tert−オクチルアミド、ノニルアミド、デシルアミド、ウンデシルアミド、ドデシルアミド、トリデシルアミド、テトラデシルアミド、ヘキサデシルアミド、オクタデシルアミド、ノナデシルアミド、エイコシルアミド、シクロペンチルアミド、シクロヘキシルアミド、シクロヘプチルアミド、シクロオクチルアミド、アリルアミド、イソプロペニルアミド、ベンジルアミド、o−、m−、又はp−クロルベンジルアミド、o−、m−、又はp−フルオルベンジルアミド、o−、m−、又はp−ブロムベンジルアミド、o−、m−、又はp−ヨードベンジルアミド、o−、m−、又はp−メチルベンジルアミド、o−、m−、又はp−エチルベンジルアミド、o−、m−、又はp−イソプロピルベンジルアミド、シンナミルアミド、アミノエチルアミド、o−、m−、又はp−アミノベンジルアミド、o−、m−、又はp−ニトロベンジルアミド、o−、m−、又はp−メトキシベンジルアミド、o−、m−、又はp−エトキシベンジルアミド、o−、m−、又はp−アミノフエネチルアミド、α−フルフリルアミド、α−チエニルメチルアミド、α−ピリジルメチルアミド、α−ピリジルエチルアミド、ピペリジノメチルアミド、α−ピペリジルメチルアミド、モルホリノエチルアミド、α−モルホリニルメチルアミド、メトキシカルボニル−(α−メルカプトメチル)メチルアミド、エトキシカルボニル−(α−メルカプトメチル)メチルアミドなどがあげられる。
また、前述の薬学的に許容し得る塩としては、前記のノナペプチドのアミノ基における酸付加塩およびカルボキシル基における塩基塩があげられる。酸付加塩としては、有機酸又は無機酸との各塩があげられ、それらの例としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、酒石酸、フマル酸、りんご酸、マレイン酸、しゅう酸、ナフトエ酸などのカルボン酸との塩、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などのスルホン酸との塩、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸との塩があげられる。
上記の塩基塩としては、無機塩基との塩すなわち、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、あるいは有機塩基との塩すなわち、アミンとの塩があげられ、それらの例としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、トリエチルアミン塩、エタノールアミン塩、トリス塩、ジシクロヘキシルアミン塩などがあげられる。
前記の各化合物と金属との結合物における金属としては亜鉛、鉄、マグネシウム、コバルト、ニッケル、クロム、金、ゲルマニウム、ガリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、銅、マンガン、セレンなどの1価、2価、3価又は4価の金属が例示される。
本発明に係わる血管炎の予防・治療を目的とする予防・治療剤は、その剤型に応じて通常慣用の製剤手段を用いて調製される。即ち、上記のノナペプチドならびにそのエステル又はアミド誘導体もしくはそれらの塩類又はそれら各化合物と金属との結合物から選ばれた有効成分物質を、適宜、薬学的に許容し得る担体、賦形剤、希釈剤などを用いて、適当な剤形に調製する。剤形は外用、経口投与、非経口投与等々の投与経路に適した種々の剤形とすることができる。
本発明に係わる血管炎を予防・治療することを目的とする予防・治療剤の生物活性は、下記の如き試験により確認される。即ち、マウス、ラット、ハムスター、スナネズミ、モルモット、ウサギ等哺乳動物を用い、これらの動物に対し、アルドステロンやエンドセリンやアンジオテンシンIIやレニンやバソプレシンやTNF-αやノルエピネフリン等々の様々な薬物や、塩化水銀等無機物、あるいはリポポリサッカライド(LPS)や微生物由来菌体成分やウイルス等微生物類そのものや、酵母類、キノコ類、カビ類、原虫類、寄生虫類、ダニ類、ハウスダスト、ゴキブリ、ハチ、ガ等昆虫類、クモ、ムカデ、サソリ等節足動物類等の抗原類、カラゲニンや、様々な種類の花粉類などの抗原類を投与して、血管炎を惹起せしめ、あるいは自然発症血管炎の発症の経過を追い、一定期間経時的に、血液検査、尿検査などを行い、C反応性蛋白質(CRP)や各種炎症性サイトカイン、接着分子等の、様々なパラメーターも測定し、その際平行して、上記のFTSノナペプチド類の所定量を、これら血管炎惹起薬剤や惹起抗原類の投与に先立って、あるいは投与直後から、あるいは乳飲み子の時から、連日あるいは隔日に、所定の期間、腹腔内注射、皮下注、筋注、静注、経口などの各種の投与ルートで投与し、対照群とノナペプチド投与群との間の血液、尿検査値、体重測定値さらには生存率を比較し、一方、組織・病理学的な比較・観察を行った。各種炎症性サイトカインとしては、文献上、TNF-α類や様々なインターロイキン類、ケモカイン類が、パラメーターとして、実験的に、また臨床的に測定されているので、同様に行うことができる。また、転写因子NF-κBとIκBの発現量等も検査対象パラメーターとして、測定することは有用である。病態の進展や改善のパラメーターとして、上記の起炎物質としても用いる物質の、各実験動物での血中濃度も測定されるが、他に心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、アドレノメデュリン、テネイシンC等も測定対象として良い。
血管炎を自然発症する高血圧自然発症ラット(SHR)や脳卒中易発症高血圧自然発症ラット(SHRSP)や、大動脈炎、肺動脈炎を示す高好酸球ラットモデルや、塩化水銀(HgCl2)投与Brown Norway rat(BN-rat)等々の実験系を用いることにより、血管炎の病態が把握でき、FTSノナペプチド等の新たな血管炎予防・治療剤の探索が行える。また、NODマウスやBB ratの他、NCマウス、NOAマウス等、様々なアレルギー病態を生じる、マウスやラット、ハムスター、スナネズミ、スンクス、モルモット等も、薬物や抗原類、アレルゲン類、ネコ皮屑、イヌ皮屑等の投与により、血管炎病態が作製できるモデルとして活用がはかれると本発明者は考える。また、ウサギ、ミニブタ、ブタ、イヌ、サル等での血管炎モデルの作製、自然発症のブタ、イヌ、サル等血管炎の病態でも、FTSノナペプチド等の新たな血管炎予防・治療剤の効果の検討、探索が可能である。血管炎を自然に発症する動物においては、薬物や抗原類の投与によって、血管炎の発症を早めたり、病態の程度を強めたりすることにより、血管炎の予防・治療剤の探索が効率的に行えるのである。
これらの試験結果によると、対照群マウス、ラット、ハムスター、スナネズミ、モルモット、ウサギに関しては、血管炎惹起薬剤の投与量の増加に応じて、あるいは自然発症血管炎の発症の進行・経過に対して、FTSノナペプチド投与群においては、各々の臓器の血管炎が抑制されるか、あるいは正常化することが、血管炎の炎症パラメーターの測定や、組織化学的病理学的検査で認められた。血管炎の惹起される場所は、冠動脈、大動脈、肺動脈、腎細動脈、大腸粘膜血管、腸間膜動脈、腎動脈、肝動脈等々であり、弾力繊維の断裂を伴う血管全層炎が動脈炎の病態である。病態として、組織学的に、血管壁のフィブリノイド壊死と、初めは好中球,後に単核球や線維芽細胞等の細胞浸潤を主とするもので、内弾性板と中膜の破壊,動脈瘤形成,線維化,内膜の増殖,血栓もみられるとされている。
本発明に係わる薬剤を投与することができる対象動物としては、例えばヒトをはじめとし、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、イヌ、ネコなどの家畜、ライオン、ゾウ、キリン、クマ、ゴリラ、サル類、チンパンジー類などの動物園等で飼育されている哺乳類動物、マウス、ラット、ハムスター、スナネズミ、モルモットほか種々の実験動物、ニワトリ、七面鳥などの家禽類、飼育・ペット用の鳥類、爬虫類、両棲類、魚類などがあげられる。
本発明に係わる薬剤における有効成分物質、FTS類の毒性を検討するため、 マウスに対し、FTSノナペプチド100mg/kgを連日14日間皮下投与したが外見的に何ら異常は見られなかった。また、ラットに対し、有効成分物質30mg/kg連日21日間、皮下投与したが、外見的にも血清生化学的にも、また病理解剖を行った結果でも、何ら異常は見られなかった。このように、本発明に係わる薬剤は、きわめて毒性の少ない安全な薬剤であり、長期間投与することが可能である。
その投与量はこれら動物の体重1kgあたり通常、0.01μg〜1000mg/日で、これらは、例えば、1日1回〜6回に分割投与してもよく、また投与対象者の年齢、病状などにより適宜投与量を増減することができる。その投与経路は特に限定されないが、静脈内、筋肉内、皮内、皮下に注射投与することもできる。また軟膏剤や、ゲル剤、パッチ剤やテープ剤、バンド剤を調製することにより、眼部、口腔内、鼻腔内、舌下、皮膚などに塗布、貼付することができ、坐薬やゼリー剤、点眼剤、点鼻剤、鼻口腔吸収剤、エアロゾル剤、噴霧剤、一般的な経鼻・経肺剤、適当なデバイスを用いた経鼻・経肺剤、経口剤などとして投与することもできる。即ち、水性液剤、油性液剤、粉剤、軟膏剤、ペースト剤、カプセル剤、軟カプセル剤、錠剤、丸薬等、様々な製剤を製造し、患者、動物等に投薬することになる。鼻腔用組成物の剤形の一例としては、ゾル状、液状、軟膏状等が挙げられる。有効成分物質の生体内での急速な分解あるいは不活性化を阻止するために、有効成分物質を適当な製剤成分、たとえば、アルコール性、レシチンなどの油性、脂肪性の生理的に無害な固体または液体材料あるいはそれらの懸濁物リポソームなどを用いて製剤とし長時間活性が持続する製剤とすることもできる。
本発明に係わる薬剤は、他の薬剤、たとえば免疫賦活剤等のbiological response modifierや各種の、生体防御能を有する合成医薬や化学療法剤などとともに生体に投与することができ、また、これらを製剤中に添加し、合剤として投与し、臨床効果を高めることができる。
以下に実施例および実験例を記載し、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら各例によって限定されるものではない。以下の実施例、実験例においては、前記のノナペプチドを便宜上、FTSと略記する。
実施例1
注射用バイアル製剤FTS・CH3COOH・2H2O(三井製薬工業社製)1mgを蒸留水に溶解し、除菌濾過し、バイアル内に充填し、凍結乾燥した。
注射用バイアル製剤FTS・CH3COOH・2H2O(三井製薬工業社製)1mgを蒸留水に溶解し、除菌濾過し、バイアル内に充填し、凍結乾燥した。
実施例2
注射用アンプル製剤FTS・CH3COOH・2H2O(三井製薬工業社製)5mgを生理食塩水に溶解し、除菌濾過し、アンプル内に充填した。
注射用アンプル製剤FTS・CH3COOH・2H2O(三井製薬工業社製)5mgを生理食塩水に溶解し、除菌濾過し、アンプル内に充填した。
実施例3
皮下注射用注射剤FTS・CH3COOH・2H2O(三井製薬工業社製)を単位投与量あたり2mgを2%カルボキシメチルセルロースPBS(リン酸緩衝生理食塩水)溶液中に懸濁し、大豆ホスフアチドからなるLipomal(HuhtamakiOy/Leiras
Pharmaceuticals社製)あるいは静脈用水中油型乳濁液であるIntralipid(Cutter Laboratories社製)と混合した。Lipomalを用いる場合は、FTS溶液PBS溶液とLipomalは等量ずつ混ぜ合わせた。Intralipidを用いる場合は、FTS溶解PBS溶液2.5ml、Tween
80(Sigma Chemicals社製)0.1ml及びIntralipid 4.6mlを混ぜ合わせた。
皮下注射用注射剤FTS・CH3COOH・2H2O(三井製薬工業社製)を単位投与量あたり2mgを2%カルボキシメチルセルロースPBS(リン酸緩衝生理食塩水)溶液中に懸濁し、大豆ホスフアチドからなるLipomal(HuhtamakiOy/Leiras
Pharmaceuticals社製)あるいは静脈用水中油型乳濁液であるIntralipid(Cutter Laboratories社製)と混合した。Lipomalを用いる場合は、FTS溶液PBS溶液とLipomalは等量ずつ混ぜ合わせた。Intralipidを用いる場合は、FTS溶解PBS溶液2.5ml、Tween
80(Sigma Chemicals社製)0.1ml及びIntralipid 4.6mlを混ぜ合わせた。
実施例4
リポソーム製剤リポソーム製剤には、電荷の異なる3種類があり、それらが、更に構造上から、4種類に分類される。電荷は中性、陽性、陰性の3種であり、構造的には多重層リポソーム(MLV、multilamellar vesicle)、小さな一枚膜リポソーム(SUV、small unilamellar vesicle)、および大きな一枚膜リポソーム(LUV、large unilamellar vesicle)、更にLUVに近似の構造を有しながら数枚膜のもの(REV、reverse−phase evaporation vesicle)の4種類が知られている。
リポソーム製剤リポソーム製剤には、電荷の異なる3種類があり、それらが、更に構造上から、4種類に分類される。電荷は中性、陽性、陰性の3種であり、構造的には多重層リポソーム(MLV、multilamellar vesicle)、小さな一枚膜リポソーム(SUV、small unilamellar vesicle)、および大きな一枚膜リポソーム(LUV、large unilamellar vesicle)、更にLUVに近似の構造を有しながら数枚膜のもの(REV、reverse−phase evaporation vesicle)の4種類が知られている。
(1)FTS封入中性電荷リポソームホスフアチジルコリン類、スフインゴミエリン等のリン脂質、およびコレステロールのクロロホルム溶液をモル比2:1、4:1、あるいは1:1となるように混合し、一旦溶媒を減圧留去したものに、脂質量に対し1/100〜1/1000当量のFTSのPBS(リン酸緩衝生理食塩水)溶液を添加し、Vortex mixerにて十分混和すると、MLVが得られた。
更に、リン脂質の相転移温度(Tc)以上で超音波処理することによりSUVが得られた。得られたSUVに塩化カルシウム水溶液を加え、37℃で1時間インキュベートして融合させた後、EDTAを添加し、37℃で30分間インキュベートしてCa++を除くと、LUVが得られた。
REVは以下の通りにして調製される。すなわち脂質のクロロホルム溶液から溶媒を減圧留去した後、ジエチルエーテルを適当量加えて充分に溶解したものに、FTSのPBS溶液を加え、超音波処理すると均一な単相の溶液となった。得られた溶液を室温にて減圧濃縮した後、PBS溶液を加え、Vortex mixerにて充分に混和すると、REVが得られた。
(2)FTS封入陽性電荷リポソーム脂質の構成成分が異なるだけで、調製方法は上記中性電荷リポソームの場合と同様である。ホスフアチジルコリン類、スフインゴミエリン等のリン脂質、コレステロール、およびステアリルアミン等の陽性電荷の高級脂肪族アミンをモル比で7:2:1又は4:1:1で混合して、脂質成分とし、同様の方法でFTSを封入した。
(3)FTS封入陰性電荷リポソームホスフアチジルコリン類、スフインゴミエリン等のリン脂質、コレステロールおよびジセチルホスフエート、スルフアチド等の陰性電荷の高級脂肪族エステル等をモル比で7:2:1又は4:1:1で混合して、脂質成分とし、同様の方法でFTSを封入した。
実施例5
軟膏剤FTS・CH3COOH・2H2O(三井製薬工業社製)2mgを精製水に溶解した。次に白色ワセリン25g、ステアリルアルコール20g、HCO−604gおよびモノステアリン酸グリセリン1gをとり、混和して予め調製したプロピレングリコール12g、パラオキシ安息香酸メチル0.1g、パラオキシ安息香酸プロピル0.1gの水溶液(FTS含有)を加えて充分に混和し、乳液とした後、冷却して固化するまで混和操作を続けて調製した。
軟膏剤FTS・CH3COOH・2H2O(三井製薬工業社製)2mgを精製水に溶解した。次に白色ワセリン25g、ステアリルアルコール20g、HCO−604gおよびモノステアリン酸グリセリン1gをとり、混和して予め調製したプロピレングリコール12g、パラオキシ安息香酸メチル0.1g、パラオキシ安息香酸プロピル0.1gの水溶液(FTS含有)を加えて充分に混和し、乳液とした後、冷却して固化するまで混和操作を続けて調製した。
実施例6
坐剤FTS・CH3COOH・2H2O(三井製薬工業社製)10mgを予め加温したハードファットに分散し、全量を2gとした。
坐剤FTS・CH3COOH・2H2O(三井製薬工業社製)10mgを予め加温したハードファットに分散し、全量を2gとした。
実施例7
経鼻用カプセル剤FTS 0.05mgを無菌条件下で29.95mgのミグリオル812中性油(ダイナマイトノーベル社製)に溶解した。この溶液を常用の単位投与用投与器に充填し、これを使用前に駆動カプセルに装着した。
経鼻用カプセル剤FTS 0.05mgを無菌条件下で29.95mgのミグリオル812中性油(ダイナマイトノーベル社製)に溶解した。この溶液を常用の単位投与用投与器に充填し、これを使用前に駆動カプセルに装着した。
実施例8
点鼻剤蒸留水に以下の量のリン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、塩化ナトリウム及びEDTA−ジナトリウム塩を室温にて溶解した。この溶液にFTSを溶解し、メンブランフィルターにより濾過した。
点鼻剤蒸留水に以下の量のリン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、塩化ナトリウム及びEDTA−ジナトリウム塩を室温にて溶解した。この溶液にFTSを溶解し、メンブランフィルターにより濾過した。
FTS・CH3COOH・2H2O 0.10mg リン酸一水素ナトリウム・2H2O
0.30mg リン酸二水素ナトリウム・12H2O 10.10mg 塩化ベンザルコニウム 0.10mg
エチレンジアミン四酢酸−ジナトリウム塩(EDTA) 0.50mg 塩化ナトリウム 4.50mg 蒸留水 987.60mg pH値 5.0±0.3
0.30mg リン酸二水素ナトリウム・12H2O 10.10mg 塩化ベンザルコニウム 0.10mg
エチレンジアミン四酢酸−ジナトリウム塩(EDTA) 0.50mg 塩化ナトリウム 4.50mg 蒸留水 987.60mg pH値 5.0±0.3
実施例9
経鼻用スプレー製剤FTS・CH3COOH・2H2O(三井製薬工業社製)2mgをヒドロキシプロピルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースに懸濁し、噴霧製剤機にてスプレー用剤とした。
経鼻用スプレー製剤FTS・CH3COOH・2H2O(三井製薬工業社製)2mgをヒドロキシプロピルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースに懸濁し、噴霧製剤機にてスプレー用剤とした。
実施例10
経鼻・経肺剤FTS・CH3COOH・2H2O 2mgをカチオン化ゼラチン微粒子に懸濁し、分散液とした。
以下に、本発明の薬剤に関する薬理実験、毒性実験の例を掲げる。
経鼻・経肺剤FTS・CH3COOH・2H2O 2mgをカチオン化ゼラチン微粒子に懸濁し、分散液とした。
以下に、本発明の薬剤に関する薬理実験、毒性実験の例を掲げる。
実験例1
10週齢雄 BALB/cAJcl マウスにSalmonella typhimuriumのLPS(10μg/頭)を腹腔内投与した。これに先立ち、FTS(Carlbiotech社製、50μg/頭)を腹腔内投与するか、LPS投与直後に、FTSを腹腔内投与した。対照群として、LPS投与前、あるいは直後に、生理食塩水を投与した。LPS投与の24時間後に麻酔下、放血し、膵臓を摘出し、リン酸緩衝ホルマリンを用い, 固定した。パラフィン包埋後ミクロトームで6umに薄切しプレパラートに貼付けた。脱パラフィン後、ヘマトキシリンーエオシン(HE)染色した。光学顕微鏡にて100〜200倍率で無作為に10視野を観察した。各群のマウスについて膵臓組織内の動・静脈の障害を評価した。
FTS(−)の生食投与群マウスにおいて、動脈の管を形成している弾性組織の随所に腔胞がみられた。また動・静脈の弾性組織はしっかりとした結合組織状態を示さず、随所に裂け目が見られた。一方、FTS投与マウスは、動脈の弾性組織に空胞は見られず、弾性組織は密にしっかり形成され、裂け目は見られなく、静脈も血管壁は動脈に比べて薄いが、同様に正常的であり、FTSが動・静脈血管組織の血管炎発症を良く抑えていることが明らかにされた。
10週齢雄 BALB/cAJcl マウスにSalmonella typhimuriumのLPS(10μg/頭)を腹腔内投与した。これに先立ち、FTS(Carlbiotech社製、50μg/頭)を腹腔内投与するか、LPS投与直後に、FTSを腹腔内投与した。対照群として、LPS投与前、あるいは直後に、生理食塩水を投与した。LPS投与の24時間後に麻酔下、放血し、膵臓を摘出し、リン酸緩衝ホルマリンを用い, 固定した。パラフィン包埋後ミクロトームで6umに薄切しプレパラートに貼付けた。脱パラフィン後、ヘマトキシリンーエオシン(HE)染色した。光学顕微鏡にて100〜200倍率で無作為に10視野を観察した。各群のマウスについて膵臓組織内の動・静脈の障害を評価した。
FTS(−)の生食投与群マウスにおいて、動脈の管を形成している弾性組織の随所に腔胞がみられた。また動・静脈の弾性組織はしっかりとした結合組織状態を示さず、随所に裂け目が見られた。一方、FTS投与マウスは、動脈の弾性組織に空胞は見られず、弾性組織は密にしっかり形成され、裂け目は見られなく、静脈も血管壁は動脈に比べて薄いが、同様に正常的であり、FTSが動・静脈血管組織の血管炎発症を良く抑えていることが明らかにされた。
実験例2
4週齢NOD(自然発症糖尿病)マウスに、毎週1回FTSを10μg/頭、腹腔内投与する群と、投与しない群とを用意し、8週齢、14週齢、16週齢、18週齢時に、実験例1同様に、膵臓組織内の動・静脈の障害を評価した。生食投与群マウスでは、動脈壁に多数の腔胞が存在し、血管壁が崩れているに対して、FTS投与群では、血管壁の厚さは正常であり、FTSによる、血管炎病態の緩和・正常化効果が、実験例1同様、観察された。
4週齢NOD(自然発症糖尿病)マウスに、毎週1回FTSを10μg/頭、腹腔内投与する群と、投与しない群とを用意し、8週齢、14週齢、16週齢、18週齢時に、実験例1同様に、膵臓組織内の動・静脈の障害を評価した。生食投与群マウスでは、動脈壁に多数の腔胞が存在し、血管壁が崩れているに対して、FTS投与群では、血管壁の厚さは正常であり、FTSによる、血管炎病態の緩和・正常化効果が、実験例1同様、観察された。
実験例3
3ヵ月齢のBN-ratに1mg/kgの塩化水銀(HgCl2)を1日おきに、5回皮下投与した。FTSをHgCl2投与の2日前、1日前、直前、およびその後毎日1回、腹腔内投与した群とFTS(−)の同様のスケジュールの生食投与群とを用意した。HgCl2投与14日目にラットを屠殺して、肺臓、消化管や腎臓の組織を病理学的に観察した。肺臓においては、生食投与群では、血管周囲に強いび慢性の単核球浸潤と出血が見られたが、FTS投与群では、血管炎の病態が極めて改善されていた。一方、生食投与群の回盲部粘膜に多発性潰瘍が見られ、その下方に、リンパ球浸潤と壊死性血管炎が観察されたのに対して、FTS投与群では、血管炎が殆ど見られなかった。
3ヵ月齢のBN-ratに1mg/kgの塩化水銀(HgCl2)を1日おきに、5回皮下投与した。FTSをHgCl2投与の2日前、1日前、直前、およびその後毎日1回、腹腔内投与した群とFTS(−)の同様のスケジュールの生食投与群とを用意した。HgCl2投与14日目にラットを屠殺して、肺臓、消化管や腎臓の組織を病理学的に観察した。肺臓においては、生食投与群では、血管周囲に強いび慢性の単核球浸潤と出血が見られたが、FTS投与群では、血管炎の病態が極めて改善されていた。一方、生食投与群の回盲部粘膜に多発性潰瘍が見られ、その下方に、リンパ球浸潤と壊死性血管炎が観察されたのに対して、FTS投与群では、血管炎が殆ど見られなかった。
実験例4
脳卒中易発症高血圧自然発症ラット(SHRSP)の乳飲み子2週齢に、Al(OH)3に吸着させたスギ花粉抽出エキスを1日2回、7日間連続で点鼻投与した。以後1週間に1回宛、8週齢まで、スギ花粉を繰り返し吸入させた。経時的に屠殺して、各臓器の血管炎を観察した。一方、乳飲み子2週齢からスギ花粉を繰り返し投与してゆく別なSHRSPを、2群に分けて、FTS投与群とFTS(−)の生食投与群とを用意して、経時的に血管炎の病態を比較・検討した。生食投与群においては、8週齢においても、13週齢、18週齢、24週齢、30週齢時においても、肺動脈、冠動脈、大動脈、腎細動脈、大腸粘膜血管、腸間膜動脈、肝動脈等各臓器の血管の組織標本では、明確な血管炎が観察され、瘤も観察されたのに対して、FTS投与群では、血管炎の進展が抑制されていることが分かった。
脳卒中易発症高血圧自然発症ラット(SHRSP)の乳飲み子2週齢に、Al(OH)3に吸着させたスギ花粉抽出エキスを1日2回、7日間連続で点鼻投与した。以後1週間に1回宛、8週齢まで、スギ花粉を繰り返し吸入させた。経時的に屠殺して、各臓器の血管炎を観察した。一方、乳飲み子2週齢からスギ花粉を繰り返し投与してゆく別なSHRSPを、2群に分けて、FTS投与群とFTS(−)の生食投与群とを用意して、経時的に血管炎の病態を比較・検討した。生食投与群においては、8週齢においても、13週齢、18週齢、24週齢、30週齢時においても、肺動脈、冠動脈、大動脈、腎細動脈、大腸粘膜血管、腸間膜動脈、肝動脈等各臓器の血管の組織標本では、明確な血管炎が観察され、瘤も観察されたのに対して、FTS投与群では、血管炎の進展が抑制されていることが分かった。
実験例5
毒性試験 ddy系5週令雄性マウス1群5匹に、FTS50mg/kg及び100mg/kgをそれぞれ連日14日間、皮下投与したが、何ら毒性は見られなかった。
毒性試験 ddy系5週令雄性マウス1群5匹に、FTS50mg/kg及び100mg/kgをそれぞれ連日14日間、皮下投与したが、何ら毒性は見られなかった。
実験例6
毒性試験 5週令のウイスターラット1群10匹に、FTS30mg/kgを連日21日間、皮下投与したが、何ら毒性は見られなかった。
毒性試験 5週令のウイスターラット1群10匹に、FTS30mg/kgを連日21日間、皮下投与したが、何ら毒性は見られなかった。
本発明に係わる薬剤は、きわめて毒性の少ない安全な薬剤であり、血管炎の傷害を防護するための予防・治療用薬剤として有用である。
Claims (1)
- 配列番号1(配列中、XaaはpGluを表す)のノナペプチド又は、そのC末端のアスパラギンのカルボキシル基におけるエステル、アミド又はそれら各化合物の薬学的に許容し得る塩又はそれら各化合物と金属との結合物を有効成分として含有することを特徴とする、血管炎の傷害を防護するための予防・治療用薬剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006184236A JP2008013452A (ja) | 2006-07-04 | 2006-07-04 | 医薬組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006184236A JP2008013452A (ja) | 2006-07-04 | 2006-07-04 | 医薬組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008013452A true JP2008013452A (ja) | 2008-01-24 |
Family
ID=39070834
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006184236A Pending JP2008013452A (ja) | 2006-07-04 | 2006-07-04 | 医薬組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2008013452A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016504379A (ja) * | 2013-01-03 | 2016-02-12 | ハンミ ファーム.カンパニー リミテッドHanmi Pharm.Co.,Ltd. | N−末端の電荷が改変されたインスリン分泌ペプチド誘導体 |
-
2006
- 2006-07-04 JP JP2006184236A patent/JP2008013452A/ja active Pending
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