JP2655343B2 - 放射線障害防護剤 - Google Patents

放射線障害防護剤

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JP2655343B2
JP2655343B2 JP1084159A JP8415989A JP2655343B2 JP 2655343 B2 JP2655343 B2 JP 2655343B2 JP 1084159 A JP1084159 A JP 1084159A JP 8415989 A JP8415989 A JP 8415989A JP 2655343 B2 JP2655343 B2 JP 2655343B2
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MITSUI SEIYAKU KOGYO KK
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、人間用間は動物用の新規な医薬に関するも
のであり、さらに詳しく言えば、各種の放射線照射によ
る障害の防護作用を有する薬剤あるいは放射線照射によ
る惹起される造血機能障害等の回復を促進する薬剤に関
する。
〔背景技術〕 近来、医療用に用いられる高エネルギーのX線、γ線
等、電磁波、あるいは宇宙線、更に太陽光線に含まれる
紫外線などの放射線による障害、特に悪性腫瘍、癌、白
血病に対する放射線照射療法における放射線により惹起
される障害が問題視されている。放射線療法は、外科手
術と並んで癌治療の根本的治療法であるが、放射線被曝
による患者の早期障害の出現が、放射線療法の有用性へ
の評価、期待を減弱せしめている。早期障害には、造血
機能障害、臓器、皮膚、粘膜に生じる線維化などの局部
的障害、消化器障害などがあるが、特に造血機能障害の
軽減・回復は、患者の予後、延命期間の向上に必須であ
る。
かかる放射線照射により惹起される様々な障害を防護
できる予防・治療剤を開発できれば、放射線療法におい
て患部に照射できる放射線量を飛躍的に増量することが
可能となり、放射線による癌の治療効果を更に高めるこ
とに寄与することができる。
これら放射線による、皮膚の紅斑、色素沈着などの初
期効果、皮膚の放射線火傷、造血機能障害、老化促進、
寿命の短縮などの晩発効果、また特に、放射線療法が原
因となって発生する二次的な発癌の危険などから患者を
いかに防護するかは重要な課題である。
また放射線取扱者、原子炉従事者の放射線被曝、更に
フロンガス等による上空の成層圏にあるオゾン層破壊の
ため、より強力な紫外線の被曝などによる遺伝的影響、
発癌作用等により癌患者の増加が懸念されている。
人間の皮膚は280〜320nmの波長の紫外線に敏感で、特
に305〜310nmの領域の紫外線が皮膚癌を起こすという。
この波長域の紫外線を吸収するオゾン層の破壊は地上に
降り注ぐ紫外線を増加させ、上記のように皮膚癌の増大
につながることが論議されているが、かような放射線被
曝の障害を、予防・治療する薬剤を開発することも重要
な課題となってきている。
放射線被曝から生体を防護する薬剤として、従来、含
硫アミン化合物等が検討されてきたが、臨床上適用され
るまでに至っていない。最近、放射線障害防護剤とし
て、米国で、Amifostine(Walter Reed Army Inst.製)
の臨床治験がなされているが、副作用の点で問題が存在
する。
〔発明の開示〕
本発明者らは、Amifostineのような化学療法剤とは異
なり、また生体に本来存在する防御能を増強するような
薬剤を開発することを目的として、安全性の高い天然由
来の各種ペプチド類につき、放射線障害を防護するため
の予防・治療剤として有用な物質を鋭意探索した。
その結果、血清胸腺因子(Facteur thymique seriqu
e)として知られるノナペプチド(以下FTSと略記する)
およびその誘導体又はそれらの塩類がX線照射マウスの
死亡を確実に阻止し、生存ないし延命させることを見出
した。本発明は、かかる知見に基づいてなされたもので
あり、X線、γ線、紫外線などによる各種障害を防護す
るための予防・治療剤を提供するものである。
本発明者らは先にFTSが多発性硬化症、ギラン・バレ
ー症候群、炎症性神経炎、多発性神経炎などや他の免疫
性脱髄疾患などの免疫不全を伴う各種疾患の治療剤とし
て好適であることを見出し、このような治療剤を提供し
たが(特開昭58−52225)、FTSとして知られるノナペプ
チドが、放射線障害を防護するための予防、治療効果を
有するという事実は、従来技術からは全く予期し得ない
ことであり、本発明者らによって初めて見出されたこと
である。かくして本発明は、下記のアミノ酸配列を有す
るノナペプチド pGlu−Ala−Lys−Ser−Gln−Gly−Gly−Ser−Asn 又は、そのC末端のアスパラギンのカルボキシル基に
おけるエステル、アミド又は、それらの薬学的に許容し
得る塩を有効成分として含有することを特徴とする放射
線障害防護剤を提供するものである。
本発明において使用される前記のノナペプチドは、通
常ペプチド合成に慣用されている液相又は固相における
ペプチド合成法により、困難なく製造することができる
(これらの方法については、特開昭54−16425号公報、U
SP.4301065を参照されたい)。あるいはまた、遺伝子工
学的、細胞工学的手法によっても調製することができ
る。
本発明において使用される前記のノナペプチドのC末
端のアスパラギンのカルボキシル基におけるエステル
は、薬学的に許容し得るカルボン酸のエステル類であ
り、その例としては、メチルエステル、エチルエステ
ル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、n−ブ
チルエステル、イソブチルエステル、tert−ブチルエス
テル、n−ペンチルエステル、イソペンチルエステル、
ネオペンチルエステル、tert−ペンチルエステル、n−
ヘキシルエステル、sec−ヘキシルエステル、ヘプチル
エステル、オクチルエステル、sec−オクチルエステ
ル、tert−オクチルエステル、ノニルエステル、デシル
エステル、ウンデシルエステル、ドデシルエステル、ト
リデシルエステル、テトラデシルエステル、ヘキサデシ
ルエステル、オクタデシルエステル、ノナデシルエステ
ル、エイコシルエステル、シクロペンチルエステル、シ
クロヘキシルエステル、シクロヘプチルエステル、シク
ロオクチルエステル、アリルエステル、イソプロペニル
エステル、ベンジルエステル、o−、m−、又はp−ク
ロルベンジルエステル、o−、m−、又はp−フルオル
ベンジルエステル、o−、m−、又はp−ブロムベンジ
ルエステル、o−、m−、又はp−ヨードベンジルエス
テル、o−、m−、又はp−メチルベンジルエステル、
o−、m−、又はp−エチルベンジルエステル、o−、
m−、又はp−イソプロピルベンジルエステル、シンナ
ミルエステル、アミノエチルエステル、o−、m−、又
はp−アミノベンジルエステル、o−、m−、又はp−
ニトロベンジルエステル、o−、m−、又はp−メトキ
シベンジルエスエル、o−、m−、又はp−エトキシベ
ンジルエステル、o−、m−、又はp−アミノフエネチ
ルエステル、α−フルフリルエステル、α−チエニルメ
チルエステル、α−ピリジルメチルエステル、α−ピリ
ジルエチルエステル、ピペリジノメチルエステル、α−
ピペリジルメチルエステル、モノホリノエチルエステ
ル、α−モルホリニルメチルエステルなどがあげられ
る。
また、本発明において使用される前記のノナペプチド
のC末端のアスパラギンのカルボキシル基におけるアミ
ドは、薬学的に許容し得るカルボン酸のアミド類であ
り、その例としては、アミド、メチルアミド、エチルア
ミド、プロピルアミド、イソプロピルアミド、n−ブチ
ルアミド、イソブチルアミド、tert−ブチルアミド、n
−ペンチルアミド、イソペンチルアミド、ネオペンチル
アミド、tert−ペンチルアミド、n−ヘキシドアミド、
sec−ヘキシルアミド、ヘプチルアミド、オクチルアミ
ド、sec−オクチルアミド、tert−オクチルアミド、ノ
ニルアミド、デシルアミド、ウンデシルアミド、ドデシ
ルアミド、トリデシルアミド、テトラデシルアミド、ヘ
キサデシルアミド、オクタデシルアミド、ノナデシルア
ミド、エイコシルアミド、シクロペンチルアミド、シク
ロヘキシルアミド、シクロヘプチルアミド、シクロオク
チルアミド、アリルアミド、イソプロペニルアミド、ベ
ンジルアミド、o−、m−、又はp−クロルベンジルア
ミド、o−、m−、又はp−フルオルベンジルアミド、
o−、m−、又はp−ブロムベンジルアミド、o−、m
−、又はp−ヨードベンジルアミド、o−、m−、又は
p−メチルベンジルアミド、o−、m−、又はp−エチ
ルベンジルアミド、o−、m−、又はp−イソプロピル
ベンジルアミド、シンナミルアミド、アミノエチルアミ
ド、o−、m−、又はp−アミノベンジルアミド、o
−、m−、又はp−ニトロベンジルアミド、o−、m
−、又はp−メトキシベンジルアミド、o−、m−、又
はp−エトキシベンジルアミド、o−、m−、又はp−
アミノフエネチルアミド、α−フルフリルアミド、α−
チエニルメチルアミド、α−ピリジルメチルアミド、α
−ピリジルエチルアミド、ピペリジノメチルアミド、α
−ピペリジルメチルアミド、モルホリノエチルアミド、
α−モルホリニルメチルアミド、メトキシカルボニル−
(α−メルカプトメチル)メチルアミド、エトキシカル
ボニル−(α−メルカプトメチル)メチルアミドなどが
あげられる。
また、前述の薬学的に許容し得る塩としては、前記の
ノナペプチドのアミノ基における酸付加塩およびカルボ
キシル基における塩基塩があげられる。酸付加塩として
は、有機酸又は無機酸との各塩があげられ、それらの例
としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフ
ルオロ酢酸、酒石酸、フマル酸、りんご酸、マレイン
酸、しゅう酸、ナフトエ酸などのカルボン酸との塩、メ
タンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレン
スルホン酸などのスルホン酸との塩、塩酸、硫酸、硝
酸、リン酸などの無機酸との塩、があげられる。
上記の塩基塩としては、無機塩基との塩すなわち、ア
ルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、
あるいは有機塩基との塩すなわち、アミンとの塩があげ
られ、それらの例としては、リチウム塩、ナトリウム
塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、トリ
エチルアミン塩、エタノールアミン塩、トリス塩、ジシ
クロヘキシルアミン塩などがあげられる。
本発明に係る放射線障害防護剤は、その剤型に応じて
通常慣用の製剤手段を用いて調製される。すなわち、上
記のノナペプチドならびにそのエステル又はアミド誘導
体もしくはそれらの塩類から選ばれた有効成分物質を、
適宜、薬学的に許容し得る担体、賦形剤、希釈剤などを
用いて、適当な剤形に調製する。剤型は外用、経口投
与、非経口投与等々の投与経路に適した種種の剤形とす
ることができる。
本発明に係る放射線障害防護剤の効果は下記の如き実
験により確認されている。すなわち、マウス、ラツト、
モルモツト等哺乳動物ほかにX線照射装置(島津製作所
製、信愛250II)を用いて放射線を全身照射した後、30
日の生存率を求め、その際、上記のノナペプチドの所定
量を放射線照射に先立って、あるいは、照射直後から連
日あるいは隔日に、所定の期間、腹腔内、静注、筋注、
皮下注、経口などの各種の投与ルートで投与し、動物の
体重を測定し、その生死を観察した。この実験結果によ
ると、たとえば対照群マウスが全例死亡したのに対し
て、本発明に係る薬剤投与群では照射線量に応じて、40
〜100%の生存率であることが認められ、また、薬剤投
与群においては、死亡例のみについても、対照群に比べ
て有意なあるいは著明な延命効果が認められた。体重に
ついても、また、薬剤投与群は、対照群に比べて、体重
減少を有意に抑制した。
一方、致死線量あるいは致死量以下の線量の放射線を
動物に全身照射したのち、一定期間の血球数の変化を経
時的に測定し、造血機能障害回復に対する薬剤の促進効
果を調べた。指標とした血球は、赤血球、網状赤血球、
リンパ球や好中球等の白血球、血小板、ヘモグロビン、
ヘマトクリツト等である。本発明に係る薬剤の投与によ
り、顕著に放射線照射によるこれらの血球の減少が抑制
され、また、正常域に回復するのが促進されることが認
められた。更に薬剤投与群の免疫担当細胞の免疫応答、
即ち脾臓細胞のコンカナバリンA(Con A)に対する応
答能、胸腺細胞のインターロイキン−1(IL−1)に対
する反応性は、全例死亡までの間、経日的に調べたとこ
ろ、対照群に比較して明らかに上回ることが認められ
た。また免疫担当細胞の液性因子の産生能、すなわち、
腹腔マクロフアージ(Mφ)のIL−1産生能、脾臓細
胞、腹腔Mφのコロニー刺激因子(colony stimulating
factor,CFS)産生能は、同じく、対照群に比較して薬
剤投与群が上回っていることが認められた。即ち、これ
らの知見により明らかなごとく、本発明に係る薬剤は、
骨髄や脾臓等の造血臓器に作用して、造血機能障害の抑
制効果あるいは回復促進効果を有する結果、動物の延命
あるいは救命効果を発揮するものと解され、放射線障害
の予防・治療剤として価値ある薬剤である。
また、担癌マウスの放射線による治療実験の際、放射
線照射の前から、あるいは照射後より本発明に係る薬剤
を投与すると抗癌効果の増強が見られ、またその投与に
より放射線照射で惹起される副作用が減少し、癌の治療
に用いうる放射線の線量を効果的に増量することが可能
となる。更に放射線照射により、マウスは癌になること
が知られているが、本発明に係る薬剤の一定期間の投与
により、マウスの放射線発癌が阻止される。
本発明に係る薬剤における有効成分物質の毒性を検討
するため、マウスに対し、有効成分物質100mg/kgを連日
14日間皮下投与したが外見的に何ら異常は見られなかっ
た。また、ラツトに対し、有効成分物質30mg/kg連日21
日間、皮下投与したが、外見的にも血清生化学的にも、
また病理解剖を行った結果でも、何ら異常は見られなか
った。このように、本発明に係る薬剤は、きわめて毒性
の少ない安全な薬剤であり、長期間投与することが可能
である。
本発明に係る薬剤を投与することができる対象動物と
しては、例えばヒト及びウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤ
ギ、ウサギ、イヌ、ネコなどの家畜、ライオン、ゾウ、
キリン、クマ、ゴリラ、サル、チンパンジーなどの動物
園等で飼育されている哺乳類動物、マウス、ラツト、モ
ルモツトほか各種の実験動物、ニワトリなどの家禽類、
ペツト用の鳥類、爬虫類、両棲類、魚類などがあげられ
る。その投与量はこれら動物の体重1kgあたり通常、0.1
μg〜500mg/日で、これらは、例えば、1日1回〜6回
に分割投与してもよく、また、投与対象者の年令、病状
などにより適宜投与量を増減することができる。その投
与経路は特に限定されないが、静脈内、筋肉内、皮内、
皮下に注射投与することもできる。また軟膏剤を調製す
ることにより、眼部、口腔内、鼻腔内、皮膚などに塗布
することができ、坐薬やゼリー剤、点眼剤、点鼻剤、鼻
口腔吸収剤、エアロゾル剤、噴霧剤、経口剤などとして
投与することもできる。有効成分物質の生体内での急速
な分解あるいは不活性化を阻止するために、有効成分物
質を適当な製剤成分、たとえば、アルコール性、レシチ
ンなどの油性、脂肪性の生理的に無害な固体または液体
材料あるいはそれらの懸濁物リポソームなどを用いて製
剤とし長時間活性が持続する製剤とすることもできる。
本発明に係る薬剤は、他の薬剤、たとえば免疫賦活剤
等のbiological response modifierと白血球減少回復作
用を有するというグルタチオン製剤、アデニン製剤、セ
フアランチン製剤などとともに投与することができ、ま
た、これらを製剤中に添加し、合剤として臨床効果を高
めることができる。
以下に実施例および実験例を記載し、本発明をより詳
細に説明するが、本発明はこれら各例によって限定され
るものではない。
実施例1 注射用バイアル製剤 FTS・CH3COOH・2H2O(三井製薬工業社製)1mgを蒸留
水に溶解し、除菌ロ過し、バイアル内に充てんし、凍結
乾燥した。
実施例2 注射用アンプル製剤 FTS・CH3COOH・2H2O(三井製薬工業社製)5mgを生理
食塩水に溶解し、除菌ロ過し、アンプル内に充てんし
た。
実施例3 皮下注射用注射剤 FTS・CH3COOH・2H2O(三井製薬工業社製)を単位投与
量あたり2mgを2%カルボキシメチルセルロースPBS(リ
ン酸緩衝生理食塩水)溶液中に懸濁し、大豆ホスフアチ
ドからなるLipomal(Huhtamaki Oy/Leiras Pharmaceuti
cals社製)あるいは静脈用水中油型乳濁液であるIntral
ipid(Cutter Laboratories社製)と混合した。Lipomal
を用いる場合は、FTS溶解PBS溶液とLipomalは等量ずつ
混ぜ合わせた。
Intralipidを用いる場合は、FTS溶解PBS溶液2.5ml、T
ween 80(Sigma Chemicals社製)0.1ml及びIntralipid
4.6mlを混ぜ合わせた。
実施例4 リポソーム製剤 リポソーム製剤には、電荷の異なる3種類があり、そ
れらが、更に構造上から、4種類に分類される。
電荷は中性、陽性、陰性の3種類であり、構造的には
多重層リポソーム(MLV、multilamellar vesicle)、小
さな一枚膜リポソーム(SUV、small unilamellar vesic
le)、および大きな一枚膜リポソーム(LUV、large uni
lamellar vesicle)、更にLUVに近似の構造を有しなが
ら数枚膜のもの(REV、reverse−phase evaporation va
sicle)の4種類が知られている。
FTS封入中性電荷リポソーム ホスフアチジルコリン類、スフインゴミエリン等のリ
ン脂質、およびコレステロールのクロロホルム溶液をモ
ル比2:1、4:1、あるいは1:1となるように混合し、一旦
溶媒を減圧留去したものに、脂質量に対し1/100〜1/100
0当量のFTSのPBS(リン酸緩衝生理食塩水)溶液を添加
し、Vortex mixerにて十分混和すると、MLVが得られ
た。
更に、リン脂質の相転移温度(Tc)以上で超音波処理
することによりSUVが得られた。
得られたSUVに塩化カルシウム水溶液を加え、37℃で
1時間インキユベートして融合させた後、EDTAを添加
し、37℃で30分間インキユベートしてCa++を除くと、LU
Vが得られた。
REVの調製法は以下の通りである。すなわち脂質のク
ロロホルム溶液から溶媒を減圧留去した後、ジエチルエ
ーテルを適当量加えて充分に溶解したものに、FTSのPBS
溶液を加え、超音波処理すると均一な単相の溶液となっ
た。得られた溶液を室温にて減圧濃縮した後、PBS溶液
を加え、Vortex mixerにて充分に混和すると、REVが得
られた。
FTS封入陽性電荷リポソーム 脂質の構成成分が異なるだけで、調製方法は上記中性
電荷リポソームの場合と同様である。
ホスフアチジルコリン類、スフインゴミエリン等のリ
ン脂質、コレステロール、およびステアリルアミン等の
陽性電荷の高級脂肪族アミンをモル比で7:2:1又は4:1:1
で混合して、脂質成分とし、同様の方法でFTSを封入し
た。
FTS封入陰性電荷リポソーム ホスフアチジルコリン類、スフインゴミエリン等のリ
ン脂質、コレステロールおよびジセチルホスフエート、
スルフアチド等の陰性電荷の高級脂肪族エステル等をモ
ル比で7:2:1又は4:1:1で混合して、脂質成分とし、同様
な方法でFTSを封入した。
実施例5 軟膏剤 FTS・CH3COOH・2H2O(三井製薬工業社製)2mgを精製
水に溶解した。次に白色ワセリン25g、ステアリルアル
コール20g、HCO−60 4gおよびモノステアリン酸グリセ
リン1gをとり、混和して予め調製したプロピレングリコ
ール12g、パラオキシ安息香酸0.1g、パラオキシ安息香
酸プロピル0.1gの水溶液(FTS含有)を加えて十分に混
和し、乳液とした後、冷却して固化するまで混和操作を
続けて調製した。
実施例6 坐剤 FTS・CH3COOH・2H2O(三井製薬工業社製)10mgを予め
加温したハードフアツトに分散し、全量を2gとした。
実施例7 経鼻用カプセル剤 FTS 0.05mgを無菌条件下で29.95mgのミグリオル812中
性油(ダイナマイトノーベル社製)に溶解した。この溶
液を常用の単位投与用投与器に充填し、これを使用前に
駆動カプセルに装着した。
実施例8 点鼻剤 蒸留水に以下の量のリン酸二水素ナトリウム、リン酸
水素二ナトリウム、塩化ナトリウム及びEDTA−ジナトリ
ウム塩を室温にて溶解した。この溶液にFTSを溶解し、
メンブランフイルターにより過した。
FTS 0.10mg リン酸一水素ナトリウム・2H2O 0.30mg リン酸二水素ナトリウム・12H2O 10.10mg 塩化ベンザルコニウム 0.10mg エチレンジアミン四酢酸−ジナトリウム塩(EDTA) 0.50mg 塩化ナトリウム 4.50mg 蒸留水 987.60mg pH値 5.0±0.3 実施例9 経鼻用スプレー製剤 FTS・CH3COOH・2H2O(三井製薬工業社製)2mgをヒド
ロキシプロピルセルロース又はヒドロキシプロピルエチ
ルセルロースに懸濁し、噴霧製剤機にてスプレー用剤と
した。
以下に、本発明の薬剤に関する薬理実験、毒性実験の
例を掲げる。
実験例1 800レントゲン(R)照射マウスにおける効
果 雄性10週令のC3H/Heマウスを1群10〜15匹用意した。
X線照射装置(島津製作所社製 信愛250II)を用い
てマウスに8分間、全身照射を行った。実施例1で用い
たFTS・CH3COOH・2H2Oをマウスに、1日1回100μgず
つ、皮下投与し、14日間連続投与した。前投与群は、照
射の2日前より投与を開始した。後投与群は、照射直後
第1回目の投与を行った。対照群として、ピシバニール
1KEを照射直後1回だけ皮下投与した群及び生理食塩水
を連日投与する群を用意した。結果を表1に示す。表1
から明らかなように、本発明に係る薬剤は、放射線照射
によるマウスの死亡を、明瞭に、予防あるいは阻止する
ことが示され、放射線障害の予防・治療剤として価値が
明らかにされた。特に前投与群の場合は、その効果はよ
り顕著なものであった。
実験例2 900R照射マウスにおける効果 実施例1と同様にして9分間X線照射後、0、1、
2、3、4、5、7、8、9、10、11、12日目に計12
回、1日1回、100μgのFTS・CH3COOH・2H2Oをマウス
に皮下投与した。結果を表2に示す。FTS投与群は900R
という高い放射線量被曝に対して延命した。
実験例3 600R照射マウスにおける効果 実施例1、2と同様にしてX線を6分間マウスに照射
した。照射の2日前より、連続14日間、薬剤として、FT
S・CH3COOH・2H2Oを1日1回、100μgずつ皮下投与し
た。致死線量以下のX線照射であったが、19日後に対照
群は生存数が10匹中4匹となり半数以上が死亡したが、
薬剤投与群は10匹中10匹全例が生存した。結果を表3に
示す。
実験例4 血液検査 実験例3で行った生死観察用マウスに対する照射とは
別に、血液検査を経日的に行うためのマウスに対し、60
0RのX線照射を行った。さらに、別の群のマウスを用意
し、この群に対しては400RのX線照射を行った。600R照
射群、400R照射群のそれれぞれについて各2群に分け、
前記薬剤100μg前投与群とした。各マウスについて経
日的に採血し、常法により、その白血球数(WBC)、赤
血球数(RBC)、網状赤血球数(RET)、血小板数(PL
T)、ヘモグロビン数(HGB)、ヘマトクリツト値(HC
T)を測定した。
代表例を表4に示すが。薬剤投与により、X線照射マ
ウスの各血液パラメーターは、対照群に比して明らかに
改善されていることが認められた。
実験例5 体重測定 実験例3の各実験群のマウスの体重を連日測定し、体
重変化を観察した。結果を表5に示すが、薬剤投与群は
対照群に比べ、歴然と体重が上回っていることが認めら
れた。
実験例6 毒性試験 ddY系5週令雄性マウス1群5匹に、有効成分物質50m
g/kg及び100mg/kgをそれぞれ連日14日間、皮下投与した
が、何ら毒性は見られなかった。
実験例7 毒性試験 5週令のウイスターラツト1群10匹に、有効成分物質
30mg/kgを連日21日間、皮下投与したが、何ら毒性は見
られなかった。
以上述べたように、従来、わずかに使用されている白
血球減少回復用剤以外殆ど有効な薬剤が存在しない、放
射線障害を防護するための医療領域において、本発明に
係る薬剤は、免疫系あるいは生体防御系を活性化するこ
とにより放射線障害に対し優れた予防・治療効果をもた
らす点で画期的なものである。また、本発明において使
用するノナペプチド(FTS)は動物由来のペプチドであ
る天然物質であるので、類似のアミノ酸配列をFTS類縁
体(アナローグ)と異なり、生体においても全く無毒で
あり、抗原性、アナフラキシーシヨツクなどの問題も存
在しない。従って、本発明に係る薬剤は、安全かつ有用
な人間用、動物用の医薬として使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石塚 雄作 神奈川県横浜市中区本牧大里町21番地 (72)発明者 安部 速郎 千葉県茂原市東郷2141番地 宮の台アパ ート640―16 (56)参考文献 特開 昭57−62223(JP,A) 特開 昭54−16425(JP,A) 特開 昭58−52225(JP,A) 米国特許4098777(US,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記のアミノ酸配列 pGlu−Ala−Lys−Ser−Gln−Gly−Gly−Ser−Asn を有するノナペプチド又は、そのC末端のアスパラギン
    のカルボキシル基におけるエステル、アミド又は、それ
    らの薬学的に許容し得る塩を有効成分として含有するこ
    とを特徴とする放射線障害防護剤。
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