JP2008011818A - ナタデココシートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】種培養工程を撹拌培養とすることにより、種培養工程の微生物汚染を防止し、作業スペースを節約する。種培地中に生じるセルロース塊は、1)種培地の濾過、2)セルラーゼを含む種培地を用いて種培養を行う、3)種培養終了後、種培地にセルラーゼを添加する、のいずれかの手段によって除去する。種培地中のセルロース塊を除去することにより、本培養培地にセルロース塊が混入することを防ぎ、ナタデココシート表面を滑らかにすることが可能となる。
【選択図】図1
Description
セルロース産生能を有する酢酸菌を撹拌培養によって種培養する種培養工程と、
前記種培養工程後の種培地を濾過することにより、長径軸150μm以上のセルロース塊を除去する濾過工程と、
前記濾過工程後の種培地の一部を本培養培地に接種して静置培養する濾過後本培養工程と、
を有することを特徴とするナタデココシートの製造方法に関する(請求項1)。
セルロース産生能を有する酢酸菌を、セルラーゼを添加した培地を用い撹拌培養によって種培養するセルラーゼ添加種培養工程と、
前記セルラーゼ添加種培養工程後の種培養液の一部を本培養培地に接種して静置培養する本培養工程と、
を有することを特徴とするナタデココシートの製造方法に関する(請求項4)。
セルロース産生能を有する酢酸菌を撹拌培養によって種培養する種培養工程と、
前記種培養工程終了後、セルラーゼを種培地に添加し、セルロース塊を除去するセルロース分解工程と、
前記セルロース分解工程後の種培養液の一部を本培養培地に接種して静置培養する本培養工程と、
を有することを特徴とするナタデココシートの製造方法に関する(請求項6)。
(本願第一発明)
図1(a)に示す第一発明では、ステップS1として、種培養を撹拌培養によって行う(種培養工程)。この種培地は、基本的にはセルラーゼを含まないが、種培地中のセルロース塊を分解するには不十分な低濃度でセルラーゼを含む場合も、第一発明に包含される。
図1(b)に示す第二発明では、ステップS10として、200u/mL以上2000u/mL以下の濃度範囲でセルラーゼを含む培地を用いて、種培養を撹拌培養によって行う(セルラーゼ添加種培養工程)。
図1(c)に示す第三発明では、第一発明と同様、ステップS20として、種培養を撹拌培養によって行う(種培養工程)。この種培地も、セルラーゼを含まない。
次に、本発明のナタデココシートの製造方法における、好ましい培養条件等について説明する。なお、本発明のナタデココシートの製造方法においては、使用する酢酸菌は、バクテリアセルロースを産生することができるものであれば、特に限定されない。例えば、アセトバクター・キシリナム(Acetobacter xylinum)、アセトバクター・パスツリアヌス(Acetobacter pasteurianus)等のAcetobacter属、グルコンアセトバクター・キシリナス(Gluconacetobacter xylinus)等のGluconacetobacter属の菌種を使用することができる。
まず、撹拌培養による種培養について、種培地の初発pHの至適範囲について検討した。BSH(Blastocidin S Hydrochloride)培地(酵母エキス0.5%、ポリペプトン0.5%、グルコース3%、クエン酸0.115%、リン酸二水素ナトリウム0.27%、マンニトール0.5%、エタノール0.5%)のpHを4.00〜5.02に調整し、セルラーゼ(セルラーゼY-2NC、ヤクルト薬品工業製、酵素活性60u/mg)を添加し、300u/mLの濃度となるように調整した試験培地(No.1〜No.4)を準備した。試験培地は、それぞれ100mL三角フラスコに50mLずつ採取し、グルコンアセトバクター・キシリナス(Gluconacetobacter xylinus)を接種した後、30.5℃で撹拌培養を行った。
次に、本願第一発明において、種培養後の培地中に形成されたセルロース塊について、どの程度の大きさ(長径軸)の塊を濾過工程で除去すればよいか検討した。
次に、本願第二発明において、種培養中に形成されるセルロース塊を分解するために、どの程度の濃度でセルラーゼを種培地に添加すればよいか検討した。
次に、本願第三発明において、種培養中に形成されたセルロース塊を分解するために、どの程度の濃度でセルラーゼを種培地に添加すればよいか検討した。
次に、本願第二発明又は第三発明において、種培地中からセルラーゼを除去しない場合には、本培養培地にセルラーゼが混入し、本培養中にバイオセルロースが分解されることになる。そこで、本培養中のセルラーゼ濃度が、ナタデココシートの突き刺し強度及び厚みにどのように影響するか検討した。
[実施例1/本願第一発明]
表3に示す成分を滅菌精製水に溶解させ、水酸化ナトリウムを用いてpH4.5に調整し、種培地とした。この種培地を100mL三角フラスコ3本に50mLずつ採取し、グルコンアセトバクター・キシリナスを接種した後、30.5℃で撹拌培養を行った(初濃度:1.9×104個/mL)。なお、撹拌培養は、上述したように、振とう器(Bw-100、yamato製)を用いて、振幅125mpaという条件で3日間行った(種培養終了時濃度:3.3×108個/mL)。
表3に示す成分を滅菌精製水に溶解させ、水酸化ナトリウムを用いてpH4.5に調整し、種培地とした。この種培地にセルラーゼ(セルラーゼY-2NC、ヤクルト薬品工業製、酵素活性60u/mg)を添加し、300u/mLの濃度となるように調整した。セルラーゼ添加後の種培地を、100mL三角フラスコに50mLずつ採取し、グルコンアセトバクター・キシリナスを接種した後、30.5℃で3日間撹拌培養を行った(初濃度:約4.3×103個/mL)。なお、撹拌培養は、実施例1と同じ条件で行った(種培養終了時濃度:2.5×108個/mL)。
[実施例3/本願第三発明]
表3に示す成分を滅菌精製水に溶解させ、水酸化ナトリウムを用いてpH4.5に調整し、種培地とした。この種培地を、100mL三角フラスコに50mL採取し、グルコンアセトバクター・キシリナスを接種した後、30.5℃で3日間撹拌培養を行った(初濃度:8.3×103個/mL)。なお、撹拌培養は、実施例1と同じ条件で行った(種培養終了時濃度:7.4×107個/mL)。
表3に示す成分を滅菌精製水に溶解させ、水酸化ナトリウムを用いてpH4.5に調整し、種培地とした。この種培地を100mL三角フラスコ3本に50mLずつ採取し、グルコンアセトバクター・キシリナスを接種した後、30.5℃で3日間撹拌培養を行った(初濃度:1.1×104個/mL)。なお、撹拌培養は、実施例1と同じ条件で行った(種培養終了時濃度:2.9×108個/mL)。
Claims (11)
- セルロース産生能を有する酢酸菌を撹拌培養によって種培養する種培養工程と、
前記種培養工程後の種培地を濾過することにより、長径軸150μm以上のセルロース塊を除去する濾過工程と、
前記濾過工程後の種培地の一部を本培養培地に接種して静置培養する濾過後本培養工程と、
を有することを特徴とするナタデココシートの製造方法。 - 前記種培養工程おいて、酢酸菌濃度を5×107個/mL以上とする請求項1に記載のナタデココシートの製造方法。
- 前記種培養工程の時間が24時間以上96時間以下である請求項1又は2に記載のナタデココシートの製造方法。
- セルロース産生能を有する酢酸菌を、セルラーゼを添加した培地を用い撹拌培養によって種培養するセルラーゼ添加種培養工程と、
前記セルラーゼ添加種培養工程後の種培養液の一部を本培養培地に接種して静置培養する本培養工程と、
を有することを特徴とするナタデココシートの製造方法。 - 前記セルラーゼ添加種培養工程におけるセルラーゼ濃度が200u/mL以上2000u/mL以下の濃度範囲である請求項4に記載のナタデココシートの製造方法。
- セルロース産生能を有する酢酸菌を撹拌培養によって種培養する種培養工程と、
前記種培養工程終了後、セルラーゼを種培地に添加し、セルロース塊を分解するセルロース分解工程と、
前記セルロース分解工程後の種培養液の一部を本培養培地に接種して静置培養する本培養工程と、
を有することを特徴とするナタデココシートの製造方法。 - 前記セルロース分解工程におけるセルラーゼ濃度が300u/mL以上2000u/mL以下の濃度範囲である請求項6に記載のナタデココシートの製造方法。
- 前記セルラーゼ添加種培養工程及び前記種培養工程おいて、酢酸菌濃度をそれぞれ108個/mL以上及び5×107個/mL以上とする請求項4乃至7のいずれか1項に記載のナタデココシートの製造方法。
- 前記セルラーゼ添加種培養工程又は前記種培養工程の時間が24時間以上96時間以下である請求項4乃至8のいずれか1項に記載のナタデココシートの製造方法。
- 前記本培養工程において、本培養培地に接種する種培地の液量及び/又はセルラーゼ濃度によって本培養工程終了時のシートの硬さを調整する請求項4乃至9のいずれか1項に記載のナタデココシートの製造方法。
- 前記本培養工程前に、種培地からセルラーゼを除去するセルラーゼ除去工程をさらに有する請求項4乃至9のいずれか1項に記載のナタデココシートの製造方法。
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