JP2008010597A - 半導体発光素子接合体およびサブマウント - Google Patents

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Abstract

【課題】半導体発光素子の放熱性をより向上させることができ、半導体発光素子の性能を劣化させない半導体発光素子接合体およびサブマウントを提供する。
【解決手段】半導体発光素子を搭載するためのサブマウント、一対の電極を有する半導体発光素子、および半導体発光素子に存在する少なくとも1つの電極とサブマウントとの間に介在して両者を接合するはんだ層を含む半導体素子接合体において、はんだ層により接合される少なくとも1つの電極の1/5以下の面積を占める領域であって少なくとも半導体発光素子の発光部の直下となる部分を含む領域の下層に存在するはんだ層の厚さを、該電極の他の領域の下層に存在するはんだ層の厚さよりも薄くする。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体発光素子とサブマウントとがはんだにより接合されて構成される半導体発光素子接合体、および、その構成部材であるサブマウントに関する。
半導体発光素子、特に、光通信や光ストレージシステムの発光源として用いられるレーザーダイオード素子(以下、「LD素子」と省略する場合がある。)の実装では、半導体発光素子は一旦、サブマウントに搭載され、半導体発光素子接合体としてからステムや基板などに実装されるのが一般的である。サブマウントに半導体発光素子が搭載された半導体発光素子接合体においては、動作時における素子の信頼性確保のために、サブマウントと半導体発光素子との熱膨張係数がほぼ同じであることに加えて、高い放熱性が要求される。特に、LD素子は、主に発光部となる活性層から熱を発するので、この熱を効率よく放熱することが必要とされる。
サブマウント材料としては、熱膨張係数が半導体発光素子の熱膨張係数に近い値を持つという理由からシリコンや窒化アルミニウムが使用されることが多い。シリコンからなるサブマウントを用いる場合には、その放熱性を改良するためにシリコン基板のチップ素子取付面と反対側の面における前記基板のチップ素子取付位置に対向する位置に設けた凹部の中にシリコンより熱伝導率の高い高熱伝導率物質を充填すること(特許文献1参照。)、あるいはサブマウント表面の半導体レーザチップマウント領域に、半導体レーザーチップの共振器長の方向に、シリコンよりも高い熱伝導率の高熱伝導部材を埋め込むこと(特許文献2参照)が行われている。
これに対し、窒化アルミニウムは、それ自体が非常に高い熱伝導率を有するので、窒化アルミニウム基板をそのままサブマウントとして使用することができる。窒化アルミニウム製サブマウントに半導体発光素子を搭載する場合には、窒化アルミニウム基板の素子搭載部をメタライズして電極を形成し、該電極と半導体発光素子の電極(通常半導体発光素子の下面全体に形成される)とを“はんだ付け”するのが一般的である。このとき、はんだ付け時において発光面となる半導体発光素子端面に“はんだ”が付着することがあり、それを防止するために、窒化アルミニウム基板の電極上に、半導体発光素子の電極より小面積の金属層を形成することが行われている(特許文献3および4参照)。
特開平9−260539号公報 特開2005−191373号公報 特開平5−13820号公報 特開2002−359425号公報
窒化アルミニウム製サブマウントは、その熱膨張係数が半導体発光素子の熱膨張係数と近似しており、放熱性も高く、さらに絶縁性を有するため回路パターンの形成が容易であるという優れた特徴を有しているが、近年、半導体素子の高出力化に伴い、更なる放熱性の向上が求められている。
しかしなら、工業的に入手可能な絶縁材料であって、熱膨張係数に関する前記要求を満足し、且つ窒化アルミニウムよりも高い熱伝導率を有する材料は、今の所、見出されていない。そこで、窒化アルミニウム製サブマウントについて、半導体発光素子搭載位置を最適化するなどして、少しでも放熱性を高くしようとする努力が払われているのが現状である。
例えば、半導体発光素子がLD素子である場合には、LD素子の端部に位置する発光部において最も多く発熱するため、この位置近傍をサブマウントに触れさせて放熱させるのが望ましいが、発光点から放出されたレーザー光がサブマウントにより散乱しないようにする必要がある。このため、実際には、LD素子の端部がサブマウントの端部からわずかに(10μm程度)外側にはみ出すように設置するといった工夫が成されている。しかしながら、このような素子搭載位置の最適化による放熱性向上効果にも限界がある。
そこで、本発明は、半導体発光素子の放熱性をより向上させることができ、半導体発光素子の性能を劣化させない半導体発光素子接合体およびサブマウントを提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題について鋭意検討した。その結果、サブマウントと半導体発光素子とを接合する“はんだ層”が半導体発光素子の放熱性を阻害していることを見出した。即ち、例えばサブマウントが窒化アルミニウム製である場合、その熱伝導率は150Wm−1−1以上と非常に高いのに対し、はんだ層の熱伝導率は通常、57Wm−1−1程度と低くなっており、この“はんだ層”の存在に起因する放熱性低下効果が無視できないことを見出した。そしてかかる知見に基づいてさらに検討を行い、素子の接合性を低下させることなく“はんだ層”の存在による放熱性低下効果を低減する方法として、最も発熱が大きな部分の直下に位置する限られた領域の“はんだ層”の厚さを選択的に薄くすることに想到し、以下の本発明を完成させるに到った。以下の説明において、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
第1の本発明は、半導体発光素子を搭載するためのサブマウント(30)、一対の電極を有する半導体発光素子(10)、および前記半導体発光素子に存在する少なくとも1つの電極と前記サブマウントとの間に介在して両者を接合する“はんだ層(20)”を含む半導体素子接合体において、前記はんだ層により接合される少なくとも1つの電極の1/5以下の面積を占める領域であって少なくとも半導体発光素子の発光部(16)の直下となる部分を含む領域の下層に存在する“はんだ層”の厚さが、該電極の他の領域の下層に存在する“はんだ層”の厚さより薄いことを特徴とする半導体発光素子接合体(100)である。
第1の本発明において、前記サブマウント(30)は、サブマウント本体(36)と高熱伝導性物質で構成される凸部(32)とを有し、該凸部(32)は、その上面が、前記半導体発光素子(10)が有する少なくとも1つの電極の1/5以下の面積を占める領域であって少なくとも半導体発光素子(10)の発光部(16)の直下となる部分を含む領域の直下に位置するように形成されているのが好ましい。なお、凸部(32)とは、図1に示した凸部(32a)および凸部(32b)を含む上位概念である。
上記凸部(32)を構成する高熱伝導性物質は、銀、銅、金、アルミニウム、および銅−タングステン合金からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属、又は窒化アルミニウムにより構成されていることが好ましい。
第1の本発明において、半導体発光素子(10)は、レーザーダイオード素子であることが好ましい。
第2の本発明は、サブマウント本体(36)と高熱伝導性物質で構成される凸部(32)とを有する半導体発光素子を搭載するためのサブマウントであって、前記凸部(32)は、その上面が、搭載される半導体発光素子が有する少なくとも1つの電極の1/5以下の面積を占める領域であって少なくとも半導体発光素子の発光部(16)の直下となる部分を含む領域の直下に位置するように形成されているサブマウント(30)である。なお、上記サブマウントにおいて、少なくとも、その上にはんだ層が形成される部分の表面には、メタライズ層が形成されていることが望ましく、そのため、サブマウント本体(36)の半導体発光素子載置面の表面には、金属電極(34)が形成される。
また、第3の本発明は、サブマウント本体(36)と、サブマウント本体(36)の表面上に形成される金属電極(34)と、該電極(34)上に配置される、銀、銅、金、アルミニウムおよび銅−タングステン合金からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属で構成される凸部(32a)と、前記電極(34)および凸部(32a)上に形成される“はんだ層パターン”と、を有するサブマウントであって、前記“はんだ層パターン”の面積に対する、前記凸部上面の“はんだ層パターン”に被覆された部分の面積の比が1/5以下であることを特徴とするサブマウントである。
さらに、第4の本発明は、少なくとも1方の主表面に凸部(32b)を有する窒化物セラミックス製のサブマウント本体(36)と、該サブマウント本体(36)の凸部(32b)が存在する面の少なくとも一部および凸部(32b)の露出表面上に形成された金属電極(34)と、該電極(34)上に形成される“はんだ層パターン”と、を有するサブマウントであって、前記“はんだ層パターン”の面積に対する、凸部(32b)上面のはんだ層パターンに被覆された部分の面積の比が1/5以下であることを特徴とするサブマウントである。
本発明の半導体発光素子接合体では、サブマウントと一対の電極を有する半導体発光素子とが前記半導体発光素子に存在する少なくとも1つの電極と前記サブマウントとの間に介在する“はんだ層”を介して接合されているが、接合される半導体発光素子の電極の1/5以下の面積を占める領域であって少なくとも半導体発光素子の発光部(発熱部でもある)の直下となる部分を含む領域の下層に存在する“はんだ層”の厚さが、該電極の他の領域の下層に存在する“はんだ層”の厚さより薄くなっている。このため、本発明の半導体発光素子接合体は、半導体発光素子の発熱部の熱を効率的に発散させることができる。しかも、素子の接合の信頼性は損なわれることがない。
このような優れた効果が得られるのは、放熱性の低下を招く“はんだ層”の厚さを、素子において発熱が最も大きな部分である発光部の直下を含む限られた部分においてのみ薄くすることにより放熱性の低下を抑制するとともに、発熱量がそれほど大きくない部分の直下における“はんだ層”の厚さを、充分な接合性が保てるように厚くしたことによるものと考えられる。
また、本発明の半導体発光素子接合体では、半導体素発光子の発光部直下の“はんだ”を少なくすることによって、“はんだ”の硬化に起因する半導体発光素子にかかる応力を低減させることができ、これにより、特に、半導体発光素子としてLD素子を搭載した場合において、LD特性の劣化を防ぐことができる。即ち、LD素子の活性層は、サブミクロンの膜を積層することにより作製されており、はんだ接合時において該活性層部分に外部応力がかかると、サブミクロンの膜が破壊・変形し、LD特性が劣化してしまう恐れがあったのに対し、本発明の半導体発光素子接合体では、このような恐れは少ない。
以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。
<半導体素子接合体100>
図1(a)に、本発明の半導体発光素子接合体100の構成を説明する側面図を示した。本発明の半導体発光素子接合体100は、一対の電極を有する半導体発光素子10とサブマウント30とが、半導体発光素子10に存在する少なくとも1つの電極とサブマウント30との間に介在して両者を接合する“はんだ層20”を介して接合された基本構造を有する。そして、はんだ層20により接合される少なくとも1つの電極の1/5以下の面積を占める領域であって少なくとも半導体発光素子10の発光部16の直下となる部分を含む領域(以下、単に「発光部下部領域」ともいう。)の下層に存在する“はんだ層”(以下、単に「発光部下部はんだ層」ともいう。)の厚さが、該電極の他の領域(以下、単に「その他領域」ともいう。)の下層に存在する“はんだ層”(以下、単に「その他領域下部はんだ層」ともいう。)の厚さより薄くなっているという特徴を有する。
本発明の半導体発光素子接合体100においては、「発光部下部はんだ層」の厚さを「その他領域下部はんだ層」の厚さよりも薄くすることによって半導体発光素子10の発熱部の熱を効率的に発散させるようにしている。また、半導体発光素子10の発熱部である発光部16直下の“はんだ”を少なくすることによって、“はんだ”の硬化に起因するLD素子10にかかる応力を低減させることができ、これによりLD特性の劣化を防ぐことを可能としている。「発光部下部はんだ層」の厚さは、「その他領域下部はんだ層」の厚さよりも薄ければ、その厚さ自体は特に限定されるものではないが、放熱性および接合の信頼性の観点から「その他領域下部はんだ層」の厚さに対する相対的な厚さで表せば、「その他領域下部はんだ層」の厚さの1/2以下、特に1/5以下であるのが好ましく、1/10以下であるのが最も好ましい。また、絶対値で表せば、「発光部下部はんだ層」の厚さは、放熱性および接合の信頼性の観点から、0.05〜1.00μm、特に0.1〜0.5μmであるのが好ましい。また、接合の信頼性の観点から、「その他領域下部はんだ層」の厚さは、1〜10μm、特に2〜5μmであるのが好ましい。
本発明の半導体発光素子接合体100においては、素子接合の信頼性を確保するために、「発光部下部領域」の面積は、半導体発光素子10の少なくとも1つの電極の面積(即ち、「発光部下部領域」の面積+「その他領」の面積)の1/5以下である必要がある。前記割合が1/5を超える場合には、素子の接合強度が低下する場合があり、接合の信頼性が低下する。接合の信頼性の観点から、前記割合は1/8以下、特に1/10以下であることが好ましい。
「発光部下部はんだ層」の厚さを「その他領域下部はんだ層」の厚さよりも薄くするためには、図1(a)および(b)に示されるように、サブマウントとして「サブマウント本体36と高熱伝導性物質で構成される凸部32を有し、該凸部32は、その上面が、半導体発光素子10が有する少なくとも1つの電極の1/5以下の面積を占める領域であって少なくとも半導体発光素子10の発光部16の直下となる部分を含む領域の直下に位置するように形成されている」ものを使用すればよい。なお、図1(a)および(b)は、本発明の半導体発光素子接合体100の側面図であり発光部16についてもその端面として示されている。この端面が発光面12となり、該発光面12から光が放射されることになる。
以下、本発明の半導体素子接合体100を構成する各部材について詳しく説明する。
(半導体発光素子10)
サブマウント30上に実装する半導体発光素子10としては、一対の電極を有し、内部に活性層を有する半導体発光素子であれば特に限定されず、発熱量の多い発光素子であれば適用することができ、本発明の効果を得ることができる。以下、半導体発光素子10として、LD素子10を使用した場合について、具体的に説明する。
LD素子10は、活性層を介して2つのクラッド層、すなわちn型半導体層とp型半導体層とが接合された積層構造、および両クラッド層と電気的に接続する一対の電極を有する。活性層とは、電子や正孔などのキャリアが集中して効率よく再結合できるようにするために設けられた層であり、ダブルへテロ接合の場合には、クラッド層よりもバンドギャップの小さいn型もしくはp型の半導体からなり、量子井戸接合の場合には半導体層を重ねた超格子からなる。一対の電極を介して外部から電圧を印加することにより活性層に電流注入されると、その部分で効率的に電子と正孔の再結合が起こり、発光が起こる。活性層における電流注入部位(即ち発光部)は、LD素子構造をどのように設計するかによって決めることができる。活性層全体に電流注入される場合もあるが、閾値電流や駆動電流を小さくしたり漏れ電流を少なくしたりするために活性層の一部に選択的に電流注入するか、あるいは電流が注入される特定の位置にのみ活性層を形成することが多い。
本発明の半導体発光素子接合体100においてもこのようなタイプのLD素子10が好適に使用できる。図2に、本発明の半導体発光素子接合体100で好適に使用されるLD素子10の代表的な構成を示す。図示したLD素子10では、サブマウント30に搭載する側の面の全面に電極14が形成さるとともに、反対側の面にも電極(図示せず)が形成されており、これら電極に外部から電力を供給することにより、活性層に電流を注入できるようになっている。該LD素子10においては、電極14よりわずかに上に活性層が形成されており、そのほぼ中心部分(発光部16として示す)に選択的に電流が注入されることにより、その部分が発光し、端面(発光面12)から光が放射されるようになっている。この活性層の電流注入部位(発光部16に対応する)において電気エネルギーが光エネルギーへと変換され、そのロスが発熱される。このため発光部16から最も多く熱が発生することになるが、本発明の半導体発光素子接合体100は、この熱を効率よく発散できるような構成となっている。
なお、図2には、1対の電極がLD素子の上面および下面に形成され、夫々の電極の露出面が互いに反対方向を向くLD素子を示したが、LD素子、延いては半導体発光素子10における電極の配置はこのような態様に限定されるものではない。例えば、1つのクラッド層を広く設計して、そのクラッド層の一部が露出するステップとし、該ステップ上に電極を形成することにより、1対の電極がともに同じ方向を向くように形成することも可能である。この場合、2つの電極が電気的に接続しないように(短絡しないように)して夫々をはんだ付けすることにより半導体発光素子10とサブマウント30とを接合することになるが、発光部16の下に位置する電極14の下部に存在する“はんだ層”について、「発光部下部領域」の面積が該電極の面積(即ち、「発光部下部領域」の面積+「その他領域」の面積)の1/5で、且つ「発光部下部はんだ層」の厚さが「その他領域下部はんだ層」の厚さよりも薄いという条件を満足すればよい。
(サブマウント30)
本発明の代表的なサブマウント30の斜視図を図3に示す。本発明のサブマウント30は、サブマウント本体36と高熱伝導性物質で構成される凸部32とを有する。そして該凸部32は、その上面が、発光部の直下に位置するように形成されている。
サブマウント本体36としては、公知のセラミックスからなる基板を特に制限なく使用することができる。セラミックスとしては、例えば(i)酸化アルミニウム系セラミックス、酸化ケイ素系セラミックス、酸化カルシウム系セラミックス、酸化マグネシウム系セラミックスなどの酸化物系セラミックス;(ii)窒化アルミニウム系セラミックス、窒化ケイ素系セラミックス、窒化ホウ素系セラミックスなどの窒化物系セラミックス;(iii)酸化ベリリウム、炭化ケイ素、ムライト、ホウケイ酸ガラス等を使用することができる。中でも、(ii)窒化物系セラミックスが好ましく、特に窒化アルミニウム系セラミックスが、熱伝導率が高いため好ましく使用することができる。
凸部32を構成する高熱伝導性物質とは、その熱伝導率がはんだ層を構成する金属(はんだ合金など)の熱伝導率よりも高い物質であれば特に限定されるものではないが、窒化アルミニウムをサブマウント本体36に用いる場合、サブマウント本体36と同等もしくはそれよりも高い熱伝導率を有するものであるのが好ましく、200〜500Wm−1−1の物質を用いるのが好ましい。このような観点から、高熱伝導性物質からなる凸部32は、熱伝導性が高いセラミックである窒化アルミニウム、あるいは、熱伝導性が高く、かつ、はんだに対してある程度の耐溶融性を有する金属で形成するのが好ましい。ここでいう「ある程度の耐溶融性」とは、はんだ付けした際に、はんだに溶融しない部分が80%以上あり、凸型の部材32が凸型の形状を保つことができることをいう。具体的には、凸型の部材32がはんだの融点+50℃の温度を有するはんだに囲まれた場合において、凸型の部材32の80%以上が溶融せずに固体の形状を保つことができることをいう。このような条件を満足する金属としては、銀、銅、金、アルミニウム、銅−タングステン合金を挙げることができる。
凸部32をこれら金属を用いて形成する場合には、フォトリソグラフィー法を用いてサブマウント本体36上、あるいは電極34上に開口部を有するレジストパターンを形成し、開口部およびレジストパターン上に蒸着法やスパッタ法にて該金属膜を形成したのち、レジスト膜を除去することにより凸部を形成すればよい。なお、サブマウント本体上に直接金属膜を形成することで密着力の低下が懸念される場合、該金属膜の下部にチタンやクロムなどの接着層を形成しても良い。但し、これらの金属は熱伝導率が該金属膜よりも低く、熱の伝達を阻害する恐れがあるため、0.1μm以下の膜厚が好ましい。
同様に凸部32をセラミックで形成する場合も、スパッタ時のターゲット材料や雰囲気、蒸着時の材料と雰囲気を変更することで作製することが可能である。
また、図1(b)に示したように、高熱伝導性物質からなる凸部32bは、基板36と一体として形成してもよい。このような構成とすることで、基板36の作製段階において凸部32bを形成することができるので、半導体素子10の搭載段階における作業を簡便にすることができる。
凸型の部材32bの形成方法としては、例えば、基板36を構成するシート上に、印刷法によって、セラミックペーストからなる凸型を形成し、基板36と同時に焼成することによって形成することができる。また、焼結体基板上に凸部最表部予定箇所をレジストにて保護層を形成したのち、サンドブラストによって段差を形成してもよいし、さらに、焼結体基板上にセラミックペーストからなる凸型を形成し、基板36を焼成することによって形成してもよい。凸形成位置精度の観点からは、焼結体基板上に凸部を形成する方法(直前に例示した2つの方法の何れか)を採用するのが好ましい。特に、基板36を熱伝導率の高い窒化アルミニウムにより形成するとともに、凸部32bを窒化アルミニウムにより形成した場合は、半導体素子10の放熱性を良好にすることができる。
サブマウント本体36の表面には、半導体発光素子10をはんだ付けするための金属電極34が形成される。該金属電極34は、通常接合される半導体発光素子10の電極14より若干大きめに形成されるのが一般的である。図3には、サブマウント本体36の素子搭載面の前面に金属電極34が形成された態様を示した。
図1(a)に示されるように前記凸部32aが金属材料で構成される場合には、該凸部32aを接合するために金属電極34は凸部32aの下地にも形成されていることが好ましい。また、図1(b)に示されるように前記凸部32bがセラミックス材料で構成される場合には、はんだ濡れ性の観点から、金属電極34は凸部の露出面(上面および側面)を被覆するように形成されていることが好ましい。
金属電極34は、例えば、薄膜法や厚膜法といったセラミックス材料に対するメタライズ法を用いて形成すればよい。例えば、スパッタ法を用いて金属電極層を形成することができる。金属電極層34を形成する金属は特に限定されないが、はんだ濡れ性の観点から、金属電極の露出面は金で構成されるのが好ましい。
なお、図3には、サブマウント本体36の素子搭載面の前面に金属電極34が形成された態様を示したが、金属電極34の大きさおよび形状は搭載される半導体発光素子10の電極形状に応じて適宜変更可能である。たとえば、半導体発光素子10として、前記したような、1対の電極がともに同じ方向を向くように形成されているものを使用する場合には、サブマウント本体には、これら電極に対応するように、互いに絶縁された2つの電極を形成する必要がある。また、この場合には、素子の発光部16の下に位置する電極部にのみ凸部32を形成すればよい。
(はんだ層20)
半導体発光素子10とサブマウント30とを接合する“はんだ層20”を構成する“はんだ金属(若しくは合金)”としては、素子接合用に通常使用されている、はんだ金属(若しくは合金)が特に制限なく使用できるが、Pbフリーという観点から、金−錫はんだ、銀−錫はんだ、銀−錫−銅はんだ、錫はんだ等を用いることができる。この中でも、熱伝導率の点から、錫が約67W/m・Kと高く好ましいが、実際には電極の金が錫中に混入することで熱伝導率は低下し、金−錫と同様になることと、溶融温度が錫単体では高いことから金−錫はんだを使用することが好ましい。金−錫はんだは、鉛−錫はんだと比べて硬度が高いため、はんだ接合時(はんだを溶融させて硬化させる時)において、LD素子10の発光部16にかかる応力が高くなるという問題がある。本発明においては、LD素子10の発熱部である発光部16直下の“はんだ層”20の厚みを減少させて、これにより、発光部16にかかる応力を低減させている。
“はんだ層20”は、サブマウント30の金属電極34と半導体発光素子10の電極14との間に“はんだ金属(若しくは合金)”を介在させて加熱することにより該“はんだ金属(若しくは合金)”を溶融させた後に冷却して硬化するという所謂“はんだ付け”操作により形成される。位置精度の高い“はんだ付け”を行うためには、あらかじめ素子が接合される個所に“はんだ金属(若しくは合金)層”からなるパターンを形成し、該パターン上に半導体発光素子10を載置してから加熱・冷却する“リフローはんだ付け”が採用されることが多い。本発明の半導体発光素子接合体100を製造する場合においても、“リフローはんだ付け”をするのが好ましい。
“リフローはんだ付け”を行うには、サブマウント30として金属電極34上にあらかじめ“はんだ金属(若しくは合金)層”からなるパターンを形成したもの(はんだ層付きサブマウントともいう)用いるのが好適である。本発明で好適に使用できる“はんだ層付きサブマウント”としては、次に示すようなものを挙げることができる。
即ち、図1(a)に示す半導体発光素子接合体100を与えるものとして、サブマウント本体36と、サブマウント本体36の表面上金属電極34と、該電極上に配置される、銀、銅、金、アルミニウムおよび銅−タングステン合金からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属で構成される凸部32aと、電極34および凸部32a上に形成される“はんだ層パターン”と、を有するサブマウントであって、“はんだ層パターン”の面積に対する、凸部32a上面の“はんだ層パターン”に被覆された部分の面積の比が1/5以下であることを特徴とするサブマウントを挙げることができる。
また、図1(b)に示す半導体発光素子接合体を与えるものとして、少なくとも1方の主表面に凸部32bを有する窒化物セラミックス製のサブマウント本体36と、該サブマウント本体36の凸部32bが存在する面の少なくとも一部および凸部32bの露出表面上に形成された金属電極34と、該電極上に形成される“はんだ層パターン”と、を有するサブマウントであって、前記“はんだ層パターン”の面積に対する、凸部32b上面の“はんだ層パターン”に被覆された部分の面積の比が1/5以下であることを特徴とするサブマウントを挙げることができる。
上記2種のはんだ層付きサブマウントにおける“はんだ層パターン”とは、あらかじめ素子が接合される個所に形成された“はんだ金属(若しくは合金)層”からなるパターンを意味し、溶融前の状態を示すという点で、図1(a)および(b)における、“はんだ層20”(該はんだ層20は、はんだ接合後のはんだ層として示されている)とは異なる。前記“はんだ層パターン”は、通常、搭載される半導体発光素子10の電極14と実質的に同一の形状を有するように形成される。“はんだ層パターン”の形成方法としては、フォトリソグラフィーによるリフトオフ方法が好適に採用される。また、“はんだ層パターン”の厚さは特に限定されるものではないが、通常は2〜5μmの範囲であり、熱伝導率が悪いという理由から、2〜3.5μm、特に2〜3μmであるのが好ましい。
以上、現時点において、最も、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う半導体素子接合体およびサブマウントもまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
図1(a)は、本発明の半導体素子接合体の第1実施形態の側面図である。図1(b)は、本発明の半導体素子接合体の第2実施形態の側面図である。 発光部16を透視して示したLD素子10の斜視図である。 本発明のサブマウントの斜視図である。
符号の説明
10 半導体発光素子、LD素子
12 発光面
14 電極
16 発光部
20 はんだ層
30 サブマウント
32、32a、32b 高熱伝導性物質からなる凸部
34 電極
36 サブマウント本体
100 半導体発光素子接合体

Claims (7)

  1. 半導体発光素子を搭載するためのサブマウント、一対の電極を有する半導体発光素子、および前記半導体発光素子に存在する少なくとも1つの前記電極と前記サブマウントとの間に介在して両者を接合するはんだ層を含む半導体素子接合体において、前記はんだ層により接合される少なくとも1つの前記電極の1/5以下の面積を占める領域であって少なくとも前記半導体発光素子の発光部の直下となる部分を含む領域の下層に存在する前記はんだ層の厚さが、前記電極の他の領域の下層に存在する前記はんだ層の厚さより薄いことを特徴とする半導体発光素子接合体。
  2. 前記はんだ層により接合される少なくとも1つの前記電極の1/5以下の面積を占める領域であって少なくとも前記半導体発光素子の発光部の直下となる部分を含む領域の下層に存在する前記はんだ層の厚さが、前記電極の他の領域の下層に存在する前記はんだ層の厚さの1/2以下であることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子接合体。
  3. 前記サブマウントが、サブマウント本体と高熱伝導性物質で構成される凸部とを有し、該凸部は、その上面が、前記半導体発光素子が有する少なくとも1つの前記電極の1/5以下の面積を占める領域であって少なくとも前記半導体発光素子の発光部の直下となる部分を含む領域の直下に位置するように形成されている請求項1又は2に記載の半導体素子接合体。
  4. 前記サブマウント本体が、窒化アルミニウムにより構成されている請求項3に記載の半導体発光素子接合体。
  5. サブマウント本体と高熱伝導性物質で構成される凸部とを有する、半導体発光素子を搭載するためのサブマウントであって、前記凸部は、その上面が、搭載される半導体発光素子が有する少なくとも1つの電極の1/5以下の面積を占める領域であって少なくとも半導体発光素子の発光部の直下となる部分を含む領域の直下に位置するように形成されているサブマウント。
  6. サブマウント本体と、前記サブマウント本体の表面上に形成される金属電極と、該電極上に配置される、銀、銅、金、アルミニウムおよび銅−タングステン合金からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属で構成される凸部と、前記電極および凸部上に形成されるはんだ層パターンと、を有するサブマウントであって、前記はんだ層パターンの面積に対する、前記凸部上面のはんだ層パターンに被覆された部分の面積の比が1/5以下であることを特徴とするサブマウント。
  7. 少なくとも1方の主表面に凸部を有する窒化物セラミックス製のサブマウント本体と、該サブマウント本体の前記凸部が存在する面の少なくとも一部および前記凸部の露出表面上に形成された金属電極と、該電極上に形成されるはんだ層パターンと、を有するサブマウントであって、前記はんだ層パターンの面積に対する、前記凸部上面のはんだ層パターンに被覆された部分の面積の比が1/5以下であることを特徴とするサブマウント。
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JP2018085442A (ja) * 2016-11-24 2018-05-31 浜松ホトニクス株式会社 半導体レーザ装置

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