JP2008009206A - 近赤外吸収フィルター - Google Patents

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Abstract

【課題】分光特性に優れ、しかも耐熱、耐光性に優れた近赤外吸収フィルターを提供する。
【解決手段】クアテリレン色素および/又はシアニン色素を含む、近赤外吸収フィルター。
【選択図】なし

Description

本発明は可視領域の透過率が高く、耐熱性および耐光性の高い、近赤外線を遮断する近赤外吸収フィルターに関する。特に、固体撮像素子(CCD、CMOSなど)、プラズマディスプレイ(PDP)等に用いられる近赤外吸収フィルターに関する。
固体撮像素子に用いられるシリコンフォトダイオードは、可視部以外の近赤外域まで感度を有するため、通常近赤外吸収の目的で、封止ガラスに近赤外吸収機能を付与したガラスを使用している。
しかしながらこの近赤外吸収能を有するガラスは、非常に高価である。また、ガラスであるために加工性に問題があり、光学特性の設計の自由度も狭い。それゆえ、あらたな近赤外吸収能を組み込んだフィルターおよび組成物(熱硬化或いは光硬化性組成物を含んでも良い)の開発が望まれていた。
組成物で提供する場合、カラーフィルターと同様に扱われるため、ガラスとは異なる耐熱性、耐光性が要求されるが、従来の近赤外吸収材料は、熱及び又は光に対する耐性が弱く組成物として供給しても熱や光に対する耐性の悪さのため実用レベルのものはなかった。
近赤外吸収材料に関しては、無機、有機問わず数多くの出願がされている。無機化合物としては、例えば、特開2001−154015号、特開平9−184914号、特開平8−75919号の各公報等に記載されているようなリン含有樹脂とCu2+で錯体形成したCu含有樹脂フィルム、特開平10−49642号、特開平10−88107号の各公報等に記載されている燐酸イッテルビウム化合物、特開2004−231708号公報に記載されている燐酸銅、ITO、ATO、酸化亜鉛等に代表される金属酸化物、特開2004−18295号公報他に記載される6ホウ化物微粒子、特開2004−198665号、特開2003−315531号の各公報に記載の金属ナノロッド等が挙げられる。
有機化合物に関しては、特開2000−214628号、特開2000−26748号、特開平11−60579号の各公報等に記載のフタロシアニン化合物、特開平11−323121号公報に記載されるジイモニウム化合物、特開2000−44883号、特開平11−60580号、特開平11−152415号の各公報他に記載されているナフタロシアニン化合物、特開平11−152416号公報に記載のアミノナフタロシアニン化合物、特開平11−349920号公報に記載されるアミノチオフェノレート系金属錯体色素、特許文献1に記載されるシアニンおよびオキソノール色素、特開2002−122729号公報に記載のスクアリリウム、クロコニウム色素、特開平11−116567号公報に記載のキノジメタン誘導体、特開2000−302992号公報に記載のポリメチン系色素化合物、特開2001−108815号公報に記載のアントラキノン化合物、特開2001−288380号公報に記載される置換スルホニルベンゼンジチオールニッケル錯体等が挙げられる。これらの殆どがプラズマディスプレイ用であり、上述した固体撮像素子用には耐熱、耐光性の観点で封止用のガラスの代替となるものはない。また中には可視域と近赤外域の区別が殆どつかないものも多い。
一方、特許文献2には、蛍光染料または顔料として有用なクアテリレンテトラカルボン酸ジイミドが記載されている。
かかる問題に鑑み、可視部の吸収が実質的になく、近赤外域に吸収を有しシリコンフォトダイオードが感度を有する不要な近赤外光を吸収し、かつ耐熱、耐光性に優れた近赤外吸収フィルターの開発が望まれている。
また、プラズマディスプレイから発生する赤外線によって遠隔操作装置(リモコン)が誤動作することが知られている。この問題を解決するために前記の色素を用いた近赤外吸収フィルターが知られているがさらなる耐光性の改良が望まれている。
特開2002−90521号公報 米国特許第5,986,099号明細書
本発明の目的は、分光特性に優れた近赤外吸収フィルターを提供することにあり、耐熱、耐光性に優れた近赤外吸収フィルターを提供することにある。さらに、本発明の目的は、分光特性、耐熱、耐光性に優れた近赤外吸収フィルターを用いた、固体撮像素子並びにプラズマディスプレイパネルを提供することにある。
前記課題は、以下の具体的手段により解決された。
<1>下記一般式(1)で表されるクアテリレン色素(以下、単に「一般式(1)で表される色素」ということもある。)を含むことを特徴とする近赤外吸収フィルター。
Figure 2008009206
式中、2個のRは同一でも異なっていてもよく水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表し、Zはクアテリレン骨格を構成する炭素原子に結合する1価の置換基であって、水素原子、アルキル基、アリール基、OR1で示される基(R1はアルキル基、アリール基または複素環基を表す。)、SR1で示される基(R1はアルキル基、アリール基または複素環基を表す。)またはハロゲン原子を表し、nは0〜16の整数を表す。
<2>前記一般式(1)で表されるクアテリレン色素および下記一般式(2)で表されるシアニン色素を含むことを特徴とする<1>に記載の近赤外吸収フィルター。
Figure 2008009206
式中、ZおよびZは、それぞれ独立に、縮環してもよい5員または6員の含窒素複素環を形成する非金属原子群を表し、RおよびRは、それぞれ独立に、脂肪族基またはアリール基を表し、Lは、奇数個のメチン基からなるメチン鎖を表す。aおよびbはそれぞれ独立に0または1を表し、Xはアニオンを表す。cは0または分子の電荷を中性に保つのに必要な数を表す。
<3>前記一般式(2)で表されるシアニン色素が、下記一般式(3)で表されるシアニン色素であることを特徴とする<2>に記載の近赤外吸収フィルター。
Figure 2008009206
式中、Lは奇数個のメチン基からなるメチン鎖を表し、R〜R、AおよびAはそれぞれ独立にアルキル基を表し、B1およびB2はそれぞれ独立に芳香族炭化水素環または芳香族複素環を形成するのに必要な原子群を表し、Yは電荷のバランスに必要なカチオンを表す。
<4>前記一般式(3)において、Yがアルカリ土類金属イオン、遷移金属イオンまたはこれら以外の2価または3価の金属イオンであることを特徴とする<3>に記載の近赤外吸収フィルター。
<5>前記シアニン色素を固体微粒子分散物として含むことを特徴とする<2>〜<4>のいずれか1項に記載の近赤外吸収フィルター。
<6>前記近赤外吸収フィルターが、熱及び/又は光硬化性組成物を用いて作製されたことを特徴とする<1>〜<5>のいずれか1項に記載の近赤外吸収フィルター。
<7>前記近赤外吸収フィルターが、固体撮像素子用であることを特徴とする<1>〜<6>のいずれか1項に記載の近赤外吸収フィルター。
<8>前記<1>〜<6>のいずれか1項に記載の近赤外吸収フィルターを有することを特徴とする固体撮像素子。
<9>前記<1>〜<6>のいずれか1項に記載の近赤外吸収フィルターを有することを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
本発明の近赤外吸収フィルターは、分光特性、耐熱性、耐光性に優れ、高価なガラスを使用する必要性が無くなり、従来のプロセスを変えることなく、また性能を落とさずに安価な固体撮像素子を得ることが可能となる。さらに、プラズマディスプレイ用近赤外吸収フィルターにも有用である。
本発明の固体撮像素子は、シリコンフォトダイオードに不要な近赤外光を遮断しうる。
本発明のプラズマディスプレイパネルは、赤外線発生が抑制され遠隔操作装置(リモコン)の誤動作がない。
以下、本発明の近赤外吸収フィルターについて説明する。
本発明の赤外吸収フィルターは700nm〜1100nmに光吸収の極大を有しており、その透過率は極大の波長においてそれぞれ0.01%〜30%の間であることが好ましく、0.05%〜20%の間であることがより好ましく、0.1〜10%の間であることが最も好ましい。
本発明の近赤外吸収フィルター(以下、単に「近赤外カットフィルター」ということもある。)は、クアテリレン色素、さらにはこれと併用するシアニン色素はともに吸光度が高く、かつ可視域の吸収が少ないことにより分光特性に優れ、固体微粒子分散物にすることで耐熱性及び耐光性に優れる。
本発明の近赤外吸収フィルターは、フィルターとして、或いは液状組成物から形成してなる塗布薄膜(樹脂被膜)として提供されることが好ましい。
本発明の近赤外吸収フィルターの作製に用いられる近赤外吸収色素含有組成物は、下記近赤外吸収色素およびバインダー(アルカリ可溶性樹脂を含む。)を含んでなり、さらに有機溶剤、硬化剤、硬化触媒などを含有し、硬化性を有する近赤外吸収色素含有硬化性組成物とすることが好ましい。
また、本発明の近赤外吸収フィルターは、熱及び/又は光硬化性化合物ないしは樹脂を含む組成物(以下、単に「熱及び/又は光硬化性組成物」ということもある。)を用いて作製されることがより好ましい。前記熱及び/又は光硬化性化合物を含む組成物としては、ラジカル重合性モノマー、光重合開始剤、熱重合開始剤、架橋剤(熱硬化性樹脂を含む。)などを挙げることが出来る。
以下、本発明の近赤外吸収フィルターに用いる近赤外吸収色素について説明する。
まず、本発明の近赤外吸収フィルターに用いる一般式(1)で表されるクアテリレン色素について説明する。
Figure 2008009206
式中、2個のRは同一でも異なっていてもよく水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表し、Zはクアテリレン骨格を構成する炭素原子に結合する1価の置換基であって、水素原子、アルキル基、アリール基、OR1で示される基(R1はアルキル基、アリール基または複素環基を表す。)、SR1で示される基(R1はアルキル基、アリール基または複素環基を表す。)またはハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、沃素)を表し、nは0〜16の整数を表す。
Rで表されるアルキル基、アリール基および複素環基、Zで表されるアルキル基、アリール基およびハロゲン原子、Rで表されるアルキル基、アリール基および複素環基は、一般式(2)について後述するそれぞれの基の具体例と同義である。
前記一般式(1)で表される色素は水や有機溶剤等に溶解させた溶液として用いることが出来るが耐熱、耐光性向上のために色素の固体分散物として用いるのが好ましい。有機溶剤及び固体分散についてはそれぞれ、<有機溶剤>、<固体分散>の項で後述する。
一般式(1)で表される色素の具体例を次に示すがこれらに限定されるものではない。
Figure 2008009206
これらの一般式(1)で表される色素はJ.Mater.Chem,1998,8(11),2357−2369および米国特許第5,986,099号明細書に記載の方法もしくは準じた方法で容易に合成できる。
前記一般式(1)で表される色素は、可視域(400〜700nm)の副吸収が少なく、近赤外吸収フィルターに使用する色素として好ましい。
前記一般式(1)で表されるクアテリレン色素の含有量は特に限定するものではないが、前記近赤外吸収色素含有組成物の全固形分中(質量)に対して、5〜90質量%が好ましく、10〜80質量%がより好ましく、20〜70質量%が特に好ましい。
次に、本発明の近赤外吸収フィルターに用いる「長波吸収色素」について説明する。
本発明の近赤外吸収フィルターにおいて、波長が700〜1100nmの範囲に吸収極大を示すフィルターを作製するには、さらに長波吸収色素を混合するのが好ましい。
本発明の近赤外吸収フィルターにおいて、「長波吸収色素」とは、近赤外領域に対して長波長側領域(800〜1100nm)において光吸収する色素をいう。
前記一般式(1)で表される色素の吸収極大はクロロホルム中で約765nm程度であるため、長波吸収色素の吸収極大波長の範囲は800nm〜1100nmであることが好ましい。
長波吸収色素は水や溶剤等に溶解させた溶液として提供することも可能であるが耐熱、耐光性向上のために分散状態にある色素を用いることが好ましく、メチン色素のJ会合体が特に好ましい。
J会合体はシャープな吸収スペクトルピークを示す。J会合体については、文献(例えば、Photographic Science and Engineering Vol 18,No 323−335(1974))に詳細に記載されている。J会合状態の色素の吸収極大は、溶液状態の色素の吸収極大よりも長波側に移動する。従って、フィルター層に含まれる色素が会合状態であるか、非会合状態であるかは、吸収極大を測定することで容易に判断できる。
本発明の近赤外吸収フィルターにおいて併用される長波吸収色素としては、シアニン色素、スクアリリウム色素、クロコニウム色素、メロシアニン色素、オキソノール色素、スチリル色素を挙げることができ、シアニン色素、オキソノール色素、スクアリリウム色素、クロコニウム色素であることが好ましい。中でも、シアニン色素がさらに好ましい。これらの色素は単独でも混合して用いても良い。
前記シアニン色素は、下記式で定義される。
Bs=Lo−Bo
式中、Bsは、塩基性核であり、Boは、塩基性核のオニウム体であり、Loは、奇数個のメチン基からなるメチン鎖である。
本発明の近赤外吸収フィルターにおいて、一般式(1)で表される色素と併用する長波吸収色素としては、下記一般式(2)で表されるシアニン色素が好ましい。
Figure 2008009206
一般式(2)において、Z及びZは、それぞれ独立に5員又は6員の含窒素複素環を形成する非金属原子群を表す。該含窒素複素環には、他の複素環、芳香族環または脂肪族環が縮合してもよい。含窒素複素環およびその縮合環の具体例としては、オキサゾール環、イソオキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、ナフトオキサゾール環、オキサゾロカルバゾール環、オキサゾロジベンゾフラン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ナフトチアゾール環、インドレニン環、ベンゾインドレニン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ナフトイミダゾール環、キノリン環、ピリジン環、ピロロピリジン環、フロピロール環、インドリジン環、イミダゾキノキサリン環、およびキノキサリン環等が挙げられる。含窒素複素環は、6員環より5員環の方が好ましい。5員の含窒素複素環にベンゼン環又はナフタレン環が縮合しているのがさらに好ましい。中でもベンゾチアゾール環、ナフトチアゾール環、キノリン環、インドレニン環またはベンゾインドレニン環が特に好ましく、ベンゾインドレニン環が最も好ましい。
含窒素複素環及びそれに縮合している環は、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、脂肪族基、アリール基、複素環基、−OR10、−COR11、−COOR12、−OCOR13、−NR1415、−NHCOR16、−CONR1718、−NHCONR1920、−NHCOOR21、−SR22、−SO23、−SOOR24、−NHSO25または−SONR2627が挙げられる。R10〜R27は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族基、アリール基または複素環基を表す。なお、−COOR12のR12が水素の場合(すなわち、カルボキシル基)および−SOOR24のR24が水素原子の場合(すなわち、スルホ基)は、水素原子が解離しても、塩の状態であってもよい。
本発明の近赤外吸収フィルターにおいて脂肪族基は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基またはアラルキル基を表す。これらの基は置換基を有していてもよい。
アルキル基は、鎖状であっても環状(すなわち、シクロアルキル基)であってもよい。鎖状アルキル基は、分岐を有していてもよい。アルキル基の炭素原子数は、1乃至20が好ましく、1乃至12であることがさらに好ましく、1乃至8であることが最も好ましい。アルキル基の具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、シクロプロピル、シクロヘキシルおよび2−エチルヘキシルが挙げられる。
置換アルキル基のアルキル部分は、上記アルキル基と同様である。置換アルキル基の置換基としては、ZおよびZの含窒素複素環の置換基と同じものが挙げられる(但し、シアノ基およびニトロ基は除く)。置換アルキル基の具体例としては、2−ヒドロキシエチル、2−カルボキシエチル、2−メトキシエチル、2−ジエチルアミノエチル、3−スルホプロピルおよび4−スルホブチルが挙げられる。
アルケニル基は、鎖状であっても環状(すなわち、シクロアルケニル基)であってもよい。鎖状アルケニル基は、直鎖状でも分岐していてもよい。アルケニル基の炭素原子数は、2ないし20が好ましく、2乃至12がさらに好ましく、2乃至8が最も好ましい。アルケニル基の具体例としては、ビニル、アリル、1−プロペニル、2−ブテニル、2−ペンテニル及び2−ヘキセニルが挙げられる。
置換アルケニル基のアルケニル部分は、上記アルケニル基と同様である。置換アルケニル基の置換基は、アルキル基の置換基と同じである。
アルキニル基は、環状であっても鎖状であってもよい。鎖状アルキニル基は、直鎖状でも分岐していてもよい。アルキニル基の炭素原子数は、2乃至20が好ましく、2乃至12がさらに好ましく、2乃至8が最も好ましい。アルキニル基の具体例としては、エチニルおよび2−プロピニルが挙げられる。
置換アルキニル基のアルキニル部分は、上記アルキニル基と同様である。置換アルキニル基の置換基は、アルキル基の置換基と同じである。
アラルキル基のアルキル部分は、上記アルキル基と同様である。アラルキル基のアリール部分は、後述するアリール基と同様である。アラルキル基の具体例としては、ベンジルおよびフェネチルが挙げられる。
置換アラルキル基のアラルキル部分は、上記アラルキル基と同様である。置換アラルキル基のアリール部分は、後述するアリール基と同様である。
本発明の近赤外吸収フィルターにおいて、芳香族環としてはアリール基が挙げられる。前記アリール基は、置換基を有していてもよい。
アリール基または置換アリール基の炭素原子数は、6乃至25であることが好ましく、6乃至15であることがさらに好ましく、6乃至10であることが最も好ましい。アリール基の具体例としては、フェニル基およびナフチル基が挙げられる。
置換アリール基の置換基の具体例は、ZおよびZの含窒素複素環の置換基と同じである。置換アリール基の具体例としては、4−カルボキシフェニル、4−アセトアミドフェニル、3−メタンスルホンアミドフェニル、4−メトキシフェニル、3−カルボキシフェニル、3,5−ジカルボキシフェニル、4−メタンスルホンアミドフェニルおよび4−ブタンスルホンアミドフェニルが挙げられる。
本発明の近赤外吸収フィルターにおいて、複素環基は、置換基を有していてもよい。複素環基の複素環は、5または6員環であることが好ましい。複素環に、脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合していてもよい。複素環(縮合環を含む)の具体例としては、ピリジン環、ピペリジン環、フラン環、ジベンゾフラン環、フルフラン環、チオフェン環、ピロール環、キノリン環、モルホリン環、インドール環、イミダゾール環、ピラゾール環、カルバゾール環、フェノチアジン環、フェノキサジン環、インドリン環、チアゾール環、ピラジン環、チアジアジン環、ベンゾキノリン環およびチアジアゾール環が挙げられる。
複素環の置換基は、ZおよびZの含窒素複素環の置換基と同じである。
一般式(2)のRおよびRで表される脂肪族基およびアリール基は前述のZにおけるものと同じである。
は奇数個のメチン基からなるメチン鎖であり、1〜9個のメチン基からなるメチン鎖が好ましく、5個または7個がより好ましい。
メチン基は置換基を有していてもよい。置換基を有するメチン基は中央の(メソ位の)メチン基であることが好ましい。置換基の具体例としては、ZおよびZの含窒素複素環の置換基と同様である。また、メチン鎖の二つの置換基が結合して5または6員環を形成しても良い。
aおよびbはそれぞれ独立に0又は1である。aおよびbはともに0であることが好ましい。cは0または分子の電荷を中性に保つのに必要な数(例えば、1、2)を表す。cはシアニン色素がスルホ基やカルボキシル基のようなアニオン性置換基を有して分子内塩を形成する場合は、0である。
Xはアニオンを表す。アニオンの具体例としては、ハライドイオン(Cl-、Br-、I-)、p−トルエンスルホン酸イオン、エチル硫酸イオン、PF -、BF -またはClO -が挙げられる。
本発明の近赤外吸収フィルターに用いるシアニン色素は、カルボキシル基(塩でもよい)またはスルホ基(塩でもよい)を含むことが好ましく、スルホ基を有することが特に好ましい。その対塩を形成するカチオンは、アルカリ金属イオン(Li,Na,K)、アルカリ土類金属イオン(例、Mg2+、Ca2+、Ba2+、Sr2+)、遷移金属イオン(例、Ag 、Fe、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+)、その他の金属イオン(好ましくは、前記以外の2価または3価の金属イオンで、例えば、Al3+)、アンモニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン、トリブチルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオンおよびテトラブチルアンモニウムイオンなどが好ましい。アルカリ土類金属イオン(例、Mg2+、Ca2+、Ba2+、Sr2+)、遷移金属イオン(例、Fe、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+)、これら以外の2価または3価の金属イオン(例、Al3+)であることが特に好ましい。
さらに、本発明の近赤外吸収フィルターに用いるシアニン色素はJ会合体であることが好ましい。
本発明の近赤外吸収フィルターに用いるシアニン色素はさらに好ましくは下記一般式(3)で表されるシアニン色素である。
Figure 2008009206
1は奇数個のメチン基からなるメチン鎖を表し、R〜R、AおよびAはそれぞれ独立にアルキル基を表す。B1およびB2はそれぞれ独立に芳香族炭化水素環または芳香族複素環を形成するのに必要な原子群を表し、Yは電荷のバランスに必要なカチオンを表す。ここでYは、アルカリ土類金属イオン(例、Mg2+、Ca2+、Ba2+、Sr2+)、遷移金属イオン(例、Ag 、Fe、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+)またはこれら以外の2価または3価の金属イオン(例、Al3+)が好ましい。
芳香族炭化水素環としてベンゼン環およびナフタレン環を挙げることが出来る。芳香族複素環としては前述の含窒素複素環および複素環などを挙げることが出来る。Lは、1〜9個のメチン基からなるメチン鎖が好ましく、7個のメチン鎖がより好ましい。R〜R、AおよびAで表されるアルキル基は前記と同義であり、R〜Rは炭素原子数1〜3の低級アルキルまたはお互いに連結した炭素原子数5または炭素原子数6のシクロ環が好ましい。AおよびAはスルホ基を有するアルキル基(例、スルホエチル基、スルホプロピル基、スルホブチル基)が好ましい。Yで表されるカチオンはMgイオンおよびZnイオンが特に好ましい。さらにJ会合体であることが好ましい。
本発明の近赤外吸収フィルターに用いるシアニン色素はさらに一般式(4)で表されるシアニン色素が好ましい。
Figure 2008009206
1は奇数個のメチン基からなるメチン鎖を表し、AおよびAはそれぞれ独立にスルホ基を有するアルキル基を表し、Yは電荷のバランスに必要なカチオンを表す。ここでYは、アルカリ土類金属イオン(Mg2+、Ca2+、Ba2+、Sr2+)、遷移金属イオン(Ag、Fe、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+)またはこれら以外の2価または3価の金属イオン(Al3+)が好ましい。
さらに、L1は5〜7個のメチン基からなるメチン鎖が好ましく、7個のメチン鎖がより好ましい。複数のメチン基各々は水素原子が任意の置換基で置換されていてよく、互いに結合して環(5〜7員環が好ましく、さらに好ましくは5〜6員環)を形成してもよい。メチン鎖の置換基としてはアルキル基(好ましくは炭素数1〜4)、ハロゲン原子(Cl、Brなど)、アリール基(前述と同義である。)、複素環基(前述と同義である。)またはSR30(R30は前述と同義のアルキル基またはアリール基)が好ましい。A、Aはスルホ基を有するアルキル基であり、スルホエチル、スルホプロピル、またはスルホブチルが好ましい。さらに、Yで表されるカチオンはCa、Mg、SrおよびZnの各イオンが好ましく、MgイオンおよびZnイオンが特に好ましい。
さらに、J会合体であることが好ましい。
以下にシアニン色素の具体例を示す。
Figure 2008009206
Figure 2008009206
前記シアニン色素は、エフ・エム・ハーマー(F.M.Harmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズーシアニンダイズ・アンド・リレイテッド・コンパウンズ(Heterocyclic Compounds Cyanine Dyes and Related Compounds)」,ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社(ニューヨーク、ロンドン),1964年刊、デー・エム・スターマー(D.M.Sturmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズースペシャル・トッピクス・イン・ヘテロサイクリック・ケミストリー(Heterocyclic Compounds−Special topics in heterocyclic chmistry)」,第18章,第14節,482〜515頁、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社(ニューヨーク、ロンドン),1977年刊、「ロッズ・ケミストリー・オブ・カーボン・コンパウンズ(Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds)」2nd.Ed.,vol.,IV,partB,第15章、369〜422頁,1977年刊、エルセビア・サイエンス・パブリック・カンパニー・インク(Elsevier Science Publishing Company Inc.)社(ニューヨーク)、特開平6−313939号公報および同5−88293号公報等に記載の方法またはこれらに準じた方法で容易に合成できる。
<固体分散>
前記一般式(1)で表されるクアテリレン色素又は前記一般式(2)〜(4)のいずれかで表されるシアニン色素は、固体微粒子分散物として使用することが好ましい。固体分散については、例えば、株式会社 技術情報協会 発行の「顔料分散技術−表面処理と分散剤の使い方および分散性評価−」、株式会社 朝倉書店発行の「顔料の事典」、株式会社 技術情報協会発行の「最新『顔料分散』実務ノウハウ・事例集」に詳しく記載されている。固体微粒子分散物にするためには、公知の分散機を用いることが出来る。分散機の具体例としては、ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル及びローラミルが挙げられる。分散機については、特開昭52−92716号公報及び国際公開第88/074794号パンフレットに記載がある。縦型又は横型の媒体分散機が好ましい。
分散は、適当な媒体(例、水、アルコール、シクロヘキサノン、2−メトキシ−1−メチルエチル アセテート)の存在下で実施してもよい。分散用界面活性剤を用いることが好ましい。分散用界面活性剤としては、アニオン界面活性剤(特開昭52−92716号公報及び国際特許88/074794号パンフレットに記載)が好ましく用いられる。必要に応じてアニオン性ポリマー、ノニオン性界面活性剤あるいはカチオン性界面活性剤を用いてもよい。
色素を適当な溶媒中に溶解した後、その貧溶媒を添加して、微粒子状の粉末を得てもよい。この場合も、上記の分散用界面活性剤を用いてもよい。あるいはpHを調整することによって溶解し、次にpHを変化させて色素の微結晶を析出させてもよい。
シアニン色素は、水に溶解するだけで会合体が形成する化合物もある。但し、一般には、色素の水溶液にゼラチンまたは塩(例、塩化バリウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム)を添加して会合体を形成する。色素の水溶液にゼラチンを添加する方法が好ましい。さらに、レーキ顔料を分散して会合体を得ることが好ましい。
本発明に用いる前記分散物(会合状態の色素も含む。)は、平均粒径1000μm以下が好ましく、0.001μm〜100μmがより好ましく、0.005μm〜50μmがさらに好ましい。
本発明の近赤外吸収フィルターにおいては、色素の分散性を向上させる目的で上述の界面活性剤のほかに従来公知の顔料用分散剤や界面活性剤を添加することが出来る。これらの分散剤としては、多くの種類の化合物が用いられるが、例えば、フタロシアニン誘導体(市販品:EFKA−745(エフカ社製))、ソルスパース5000(ゼネカ製);オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社油脂化学工業(株)製)、W001(裕商(株)製)等のカチオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤;W004、W005、W017(裕商(株)製)等のアニオン系界面活性剤;EFKA−46、EFKA−47、EFKA−47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450(以上、森下産業(株)製)、ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(サンノプコ(株)製)等の高分子分散剤;ソルスパース3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、24000、26000、28000などの各種ソルスパース分散剤(ゼネカ(株)製);アデカプルロニックL31、F38、L42、L44、L61、L64、F68、L72、P95、F77、P84、F87、P94、L101、P103、F108、L121、P−123(旭電化(株)製)およびイソネットS−20(三洋化成(株)製)が挙げられる。
上記分散剤としては、公知のものを適宜選定して用いることができ、例えば、カチオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、高分子分散剤等が挙げられる。
また、特開平10−254133号公報に記載される主鎖部に特定の酸アミド基含有モノマーおよび四級アンモニウム塩モノマー残基を有するグラフト共重合体は、顔料を微分散する優れた作用を有することから、上記分散剤として用いることができる。
上記分散剤は、単独で用いてもよくまた2種以上組み合わせて用いてもよい。上記分散剤の本発明の近赤外吸収フィルターに用いる組成物中の含有量は、通常色素100質量部に対して1〜150質量部程度が好ましい。
<バインダー>
本発明の近赤外吸収フィルターに用いるバインダーは、前記近赤外吸収色素と混合した時に分離せず均一な塗布が可能であればよく耐熱性、入手性等の観点から選ばれることが好ましい。
前記バインダーとしては、線状有機高分子重合体で、水あるいは有機溶剤に可溶であれば好ましく、弱アルカリ水溶液で現像できるものがあればパターン形成する場合好ましい。このような線状有機高分子重合体としてはゼラチン、側鎖にカルボン酸を有するポリマー、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているような、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等が挙げられ、また同様に側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体も有用である。
上記のほか、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの等や、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、ポリ(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)、ポリビニールピロリドンやポリエチレンオキサイド、ポリビニールアルコール、等も有用である。
また、親水性を有するモノマーを共重合してもよく、この具体例としては、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、2級又は3級のアルキルアクリルアミド、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、モルホリン(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルイミダゾール、ビニルトリアゾール、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、分岐又は直鎖のプロピル(メタ)アクリレート、分岐又は直鎖のブチル(メタ)アクリレート、フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
その他、前記親水性を有するモノマーとして、テトラヒドロフルフリル基、燐酸、燐酸エステル、4級アンモニウム塩、エチレンオキシ鎖、プロピレンオキシ鎖、スルホン酸及びその塩、モルホリノエチル基等を含んでなるモノマー等も有用である。
また、架橋効率を向上させるために、重合性基を側鎖に有してもよく、アリル基、(メタ)アクリル基、アリルオキシアルキル基等を側鎖に含有するポリマー等も有用である。前記重合性基を含有するポリマーの具体例としては、KSレジスト−106(大阪有機化学工業(株)製)、サイクロマーPシリーズ(ダイセル化学工業(株)製)等が挙げられる。また、硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロルヒドリンのポリエーテル等も有用である。
これら各種バインダーの中でも、耐熱性の観点からは、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましく、現像性制御の観点からは、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましい。
前記アクリル系樹脂としては、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド等から選ばれるモノマーからなる共重合体、KSレジスト−106(大阪有機化学工業(株)製)、サイクロマーPシリーズ(ダイセル化学工業(株)製)等が好ましい。
前記バインダーとしては、質量平均分子量(GPC法で測定されたポリスチレン換算値)が1000〜2×10の重合体が好ましく、2000〜1×10の重合体がより好ましく、5000〜5×10の重合体が特に好ましい。
前記バインダーの含有量としては、前記近赤外吸収色素含有組成物の全固形分(質量)に対して、10〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましく、30〜70質量%が特に好ましい。
<ラジカル重合性モノマー>
次に、ラジカル重合性モノマーについて説明する。ラジカル重合性モノマーとしては、少なくとも1つの付加重合可能なエチレン性二重結合を有する、常圧下で100℃以上の沸点を持つエチレン性不飽和基を持つ化合物が好ましい。後述の光重合開始剤等と共に含有することにより、近赤外吸収色素含有硬化性組成物をネガ型に構成することができる。
その具体例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、等の単官能のアクリレートやメタアクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、
トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48−41708号、特公昭50−6034号、特開昭51−37193号の各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号各公報に記載されているポリエステルアクリレート類、脂環式固形エポキシ樹脂、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタアクリレート及びこれらの混合物を挙げることができる。更に、日本接着協会誌Vol.20,No.7,300〜308頁に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものが挙げられる。
前記ラジカル重合性モノマーの近赤外吸収色素含有硬化性組成物中における含有量としては、該組成物の全固形分(質量)に対して、0.1〜90質量が好ましく、1.0〜80質量%が更に好ましく、2.0〜70質量%が特に好ましい。
<光重合開始剤>
次に、光重合開始剤について説明する。
光重合開始剤は、近赤外吸収色素含有硬化性組成物をネガ型に構成する場合(以下、単に「近赤外吸収色素含有ネガ型硬化性組成物」ということもある。)に上記のラジカル重合性モノマーと共に含有される。光重合開始剤としては、前記ラジカル重合性モノマーを重合させ得るものであれば、特に限定されないが、特性、開始効率、吸収波長、入手性、コスト等の観点で選ばれるのが好ましい。
本発明における光重合開始剤は2種以上の組み合わせからなり、必ず下記開始剤Aもしくは開始剤Bの特性を有しており、AとB各々一種以上含有する。
前記光重合開始剤としては、例えば、ハロメチルオキサジアゾール化合物及びハロメチル−s−トリアジン化合物から選択される少なくとも一つの活性ハロゲン化合物、3−アリール置換クマリン化合物、ロフィン2量体、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物及びその誘導体、シクロペンタジエン−ベンゼン−鉄錯体及びその塩、オキシム系化合物、等が挙げられる。
ハロメチルオキサジアゾール化合物である活性ハロゲン化合物としては、特公昭57−6096号公報に記載の2−ハロメチル−5−ビニル−1,3,4−オキサジアゾール化合物等や、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−シアノスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、等が挙げられる。
ハロメチル−s−トリアジン系化合物である活性ハロゲン化合物としては、特公昭59−1281号公報に記載のビニル−ハロメチル−s−トリアジン化合物、特開昭53−133428号公報に記載の2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス−ハロメチル−s−トリアジン化合物及び4−(p−アミノフェニル)−2,6−ジ−ハロメチル−s−トリアジン化合物、等が挙げられる。
具体的には、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチリル−s−トリアジン、2,6−ビス(トリクロロメチル)−4−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,6−ビス(トリクロロメチル)−4−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1,3−ブタジエニル)−s−トリアジン、2−トリクロロメチル−4−アミノ−6−p−メトキシスチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(4−ブトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−〔4−(2−メトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジンなどが挙げられる。
その他、緑化学社製のTAZシリーズ(例えば、TAZ−107、TAZ−110、TAZ−104、TAZ−109、TAZ−140、TAZ−204、TAZ−113、TAZ−123)、PANCHIM社製のTシリーズ(例えば、T−OMS、T−BMP、T−R、T−B)、チバガイギー社製のイルガキュアシリーズ(例えば、イルガキュア651、イルガキュア184、イルガキュア500、イルガキュア1000、イルガキュア149、イルガキュア819、イルガキュア261)、ダロキュアシリーズ(例えばダロキュア1173)、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−4−モルホリノブチロフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、
2−(o−クロルフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(p−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(p−メチルメルカプトフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、ベンゾインイソプロピルエーテル、等も有用に用いられる。
これら光重合開始剤には、増感剤や光安定剤を併用することができる。
その具体例として、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、〔ベンゾイン、〕9−フルオレノン、2−クロロ−9−フルオレノン、2−メチル−9−フルオレノン、9−アントロン、2−ブロモ−9−アントロン、2−エチル−9−アントロン、9,10−アントラキノン、2−エチル−9,10−アントラキノン、2−t−ブチル−9,10−アントラキノン、2,6−ジクロロ−9,10−アントラキノン、キサントン、2−メチルキサントン、2−メトキシキサントン、2−メトキシキサントン、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、アクリドン、10−ブチル−2−クロロアクリドン、ベンジル、ジベンジルアセトン、p−(ジメチルアミノ)フェニルスチリルケトン、p−(ジメチルアミノ)フェニル−p−メチルスチリルケトン、ベンゾフェノン、p−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(又はミヒラーケトン)、p−(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンゾアントロン等や特公昭51−48516号公報記載のベンゾチアゾール系化合物等や、チヌビン1130、同400等が挙げられる。
本発明の近赤外吸収フィルターに用いる熱及び/又は光硬化性組成物には、上述の光重合開始剤のほかに他の公知の開始剤を使用することができる。
具体的には、米国特許第2,367,660号明細書に開示されているビシナールポリケトルアルドニル化合物、米国特許第2,367,661号及び同第2,367,670号の各明細書に開示されているα−カルボニル化合物、米国特許第2,448,828号明細書に開示されているアシロインエーテル、米国特許第2,722,512号明細書に開示されているα−炭化水素で置換された芳香族アシロイン化合物、米国特許第3,046,127号及び同第2,951,758号の各明細書に開示されている多核キノン化合物、米国特許第3,549,367号明細書に開示されているトリアリルイミダゾールダイマー/p−アミノフェニルケトンの組合せ、特公昭51−48516号公報に開示されているベンゾチアゾール系化合物/トリハロメチール−s−トリアジン系化合物、等を挙げることができる。また、特許第3611716号公報に記載の熱重合開始材また、2,2’−アゾビス−イソブチロニトリル(AIBN)などの熱重合開始剤を用いることができる。
光重合開始剤(及び公知の開始剤)の総含有量としては、前記ラジカル重合性モノマー固形分(質量)に対して、0.01質量%〜50質量%が好ましく、1質量%〜30質量%がより好ましく、1質量%〜20質量%が特に好ましい。該使用量が、0.01質量%より少ないと重合が進み難くなることがあり、50質量%を超えると、重合率は大きくなるが分子量が低くなり膜強度が弱くなることがある。
<熱硬化性化合物>
本発明の近赤外吸収フィルターに使用可能な熱硬化性化合物としては、加熱により膜硬化を行えるものであれば特に限定はなく、例えば、熱硬化性官能基として、エポキシ基、メチロール基、アルコキシメチル基、及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも一つの基を有するものが好ましい。好ましい化合物としては、(a)エポキシ樹脂、(b)メチロール基、アルコキシメチル基、及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換された、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物又はウレア化合物、(c)メチロール基、アルコキシメチル基、及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換された、フェノール化合物、ナフトール化合物又はヒドロキシアントラセン化合物、が挙げられる。中でも、多官能エポキシ樹脂が好ましい。
前記熱硬化性化合物ないしは樹脂の熱及び/又は光硬化性組成物における総含有量としては、素材により異なるが、該硬化性組成物の固形分(質量)に対して、0.1〜70質量%が好ましく、0.2〜50質量%がより好ましく、1〜40質量%が特に好ましい。
(硬化剤)
本発明の近赤外吸収フィルターにおいて、熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂を使用する場合、硬化剤を添加することも好ましい。エポキシ樹脂の硬化剤は種類が非常に多く、性質、樹脂と硬化剤の混合物との可使時間、粘度、硬化温度、硬化時間、発熱などが使用する硬化剤の種類によって非常に異なるため、硬化剤の使用目的、使用条件、作業条件などによって適当な硬化剤を選ばねばならない。前記硬化剤に関しては垣内弘編 「エポキシ樹脂(昇晃堂)」第5章に詳しく解説されている。前記硬化剤の具体例を挙げると以下のようになる。
触媒的に作用するものとしては、第3アミン類、三フッ化ホウ素−アミンコンプレックス、エポキシ樹脂の官能基と化学量論的に反応するものとして、ポリアミン、酸無水物等;また、常温硬化のものとして、ジエチレントリアミン、ポリアミド樹脂、中温硬化のものの具体例としてジエチルアミノプロピルアミン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール;高温硬化の具体例として、無水フタル酸、メタフェニレンジアミン等がある。また化学構造別に見るとアミン類では、脂肪族ポリアミンとしてはジエチレントリアミン;芳香族ポリアミンとしてはメタフェニレンジアミン;第二および第三アミンとしてはトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール;酸無水物としては無水フタル酸、ポリアミド樹脂、ポリスルフィド樹脂、三フッ化ホウ素−モノエチルアミンコンプレックス;合成樹脂初期縮合物としてはフェノール樹脂、その他ジシアンジアミド等が挙げられる。
これら硬化剤は、加熱によりエポキシ基と反応し、重合することによって架橋密度が上がり硬化するものである。薄膜化のためには、バインダー、硬化剤とも極力少量の方が好ましく、特に硬化剤に関しては熱硬化性樹脂に対して35質量%以下、好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下とすることが好ましい。
(硬化触媒)
本発明の近赤外吸収フィルターに用いる色素含有硬化性組成物には硬化触媒を使用することができる。前記硬化性樹脂等にエポキシ樹脂を用いた場合、有用な硬化触媒としては、イミダゾール化合物、三フッ化ホウ素錯体(特にアミン錯体)、第三アミン類(グアニジン、ビグアニド、チタン酸エステルなどが挙げられる。中でもイミダゾール化合物が硬化速度の点で好ましい。またホスフィン誘導体なども硬化触媒として使用できる。前記硬化触媒の添加量としてはエポキシ当量が150〜200程度のエポキシ樹脂に対して、質量基準で1/10〜1/1000程度、好ましくは1/20〜1/500程度さらに好ましくは1/30〜1/250程度のわずかな量で硬化させることが可能である。
前記硬化触媒の具体例としては市販されているものもあり、例えば、ジャパンエナジー(株)のイミダゾールシランシリーズ「IS−1000」、「IS−1000D」、「IM−1000」、「SP−1000」、「IA−1000A」、「IA−100P」、「IA−100F」、「IA−100AD」、「IA−100FD」、「IM−100F」、「IS−3000」、「IS−4000」などの他、四国化成(株)製の「1B2PZ」、「SFZ」が有用であるが、本発明はこれに限定されるものではない。
<架橋剤>
以下、架橋剤について説明する。
本発明の近赤外吸収フィルターにおいては、補足的に架橋剤を用いて更に高度に硬化させた膜を得ることも可能である。
本発明の近赤外吸収フィルターに使用可能な架橋剤としては、架橋反応により膜硬化を行えるものであれば特に限定はなく、例えば、(a)エポキシ樹脂、(b)メチロール基、アルコキシメチル基、及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換された、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物又はウレア化合物、(c)メチロール基、アルコキシメチル基、及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換された、フェノール化合物、ナフトール化合物又はヒドロキシアントラセン化合物、が挙げられる。中でも、多官能エポキシ樹脂が好ましい。
前記架橋剤の前記近赤外吸収色素含有硬化性組成物における総含有量としては、素材により異なるが、該硬化性組成物の固形分(質量)に対して、0.1〜70質量%が好ましく、0.5〜50質量%がより好ましく、1〜30質量%が特に好ましい。またこれらの架橋剤は、バインダーとして使用することも可能である。
<有機溶剤>
本発明の近赤外吸収フィルターに用いる近赤外吸収色素含有硬化性組成物を有機溶剤を用いて調製する際には、少なくとも1種類の有機溶剤を含むことを特徴とする。用いられるそれぞれの有機溶剤は、各成分の溶解性や硬化性組成物の塗布性を満足すれば基本的に特に限定されないが、特に色素、バインダーの分散性、溶解性、塗布性、安全性を考慮して選ばれることが好ましい。
前記溶剤としては、エステル類、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、アルキルエステル類、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、等;
3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル等の3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類、例えば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、等;2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル等の2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類、例えば、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、等;ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等;
エーテル類、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等;
ケトン類、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、等;芳香族炭化水素類、例えば、トルエン、キシレン等が好ましい。
<各種添加物>
本発明の近赤外吸収フィルターに用いる近赤外吸収色素含有硬化性組成物には、必要に応じて、各種添加物、例えば充填剤、上記以外の高分子化合物、界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を配合することかできる。
前記各種添加物の具体例としては、ガラス、アルミナ等の充填剤;ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリフロロアルキルアクリレート等の結着樹脂以外の高分子化合物;ノニオン系、カチオン系、アニオン系等の界面活性剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤;2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤;及びポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤を挙げることができる。
また、非画像部のアルカリ溶解性を促進し、本発明の近赤外吸収色素含有硬化性組成物の現像性の更なる向上を図る場合には、該組成物に有機カルボン酸、好ましくは分子量1000以下の低分子量有機カルボン酸の添加を行うことができる。
具体的には、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、ジエチル酢酸、エナント酸、カプリル酸等の脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルコハク酸、テトラメチルコハク酸、シトラコン酸等の脂肪族ジカルボン酸;トリカルバリル酸、アコニット酸、カンホロン酸等の脂肪族トリカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、クミン酸、ヘメリト酸、メシチレン酸等の芳香族モノカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、トリメシン酸、メロファン酸、ピロメリト酸等の芳香族ポリカルボン酸;フェニル酢酸、ヒドロアトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、マンデル酸、フェニルコハク酸、アトロパ酸、ケイ皮酸、ケイ皮酸メチル、ケイ皮酸ベンジル、シンナミリデン酢酸、クマル酸、ウンベル酸等のその他のカルボン酸が挙げられる。
<近赤外吸収フィルターの製造方法>
次に、本発明の近赤外吸収フィルターの製造方法について説明する。
本発明の近赤外吸収フィルターは、熱或いは光による硬化膜を形成してなるがカラーフィルターと同様にパターン形成してもよい。
アルカリ現像でのパターン形成用近赤外吸収フィルターの製造方法においては、既述の本発明に用いる近赤外吸収色素含有硬化性組成物が用いられる。
本発明の近赤外吸収フィルターに用いる近赤外吸収色素含有硬化性組成物を支持体上に回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の塗布方法により塗布して感放射線性組成物層を形成し、該層を所定のマスクパターンを介して露光し、現像液で現像することによって、ネガ型の着色パターンを形成する(画像形成工程)。また、必要により、形成された着色パターンを加熱及び/又は露光により硬化する硬化工程を含んでいてもよい。
近赤外吸収フィルターの作製においては、前記画像形成工程(及び必要により硬化工程)を所望の色相数だけ繰り返すことにより、所望の色相よりなるカラーフィルターを作製することができる。この際に使用される光若しくは放射線としては、特にg線、h線、i線等の紫外線が好ましく用いられる。
前記基板としては、例えば、液晶表示素子等に用いられるソーダガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラス及びこれらに透明導電膜を付着させたものや、撮像素子等に用いられる光電変換素子基板、例えばシリコン基板等や、相補性金属酸化膜半導体(CMOS)等が挙げられる。これらの基板は、各画素を隔離するブラックストライプが形成されている場合もある。
また、これらの基板上には、必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止あるいは基板表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。
前記現像液としては、本発明の近赤外吸収フィルターに用いる近赤外吸収色素含有硬化性組成物の未硬化部を溶解する一方、照射部は溶解しない組成よりなるものであればいかなるものも用いることができる。具体的には、種々の有機溶剤の組合わせやアルカリ性の水溶液を用いることができる。前記有機溶剤としては、本発明の近赤外吸収フィルターに用いる近赤外吸収色素含有ネガ型硬化性組成物を調製する際に使用される前述の有機溶剤が挙げられる。
前記アルカリ性の水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−〔5.4.0〕−7−ウンデセン等のアルカリ性化合物を、濃度が0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜1質量%となるように溶解してなるアルカリ性水溶液が好適である。尚、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合は、一般に、現像後水で洗浄する。
本発明の近赤外吸収フィルターは、液晶表示素子やCCD等の固体撮像素子に用いることができ、特に100万画素を超えるような高解像度のCCD素子やCMOS等に好適である。本発明の近赤外カットフィルターは、例えば、CCDを構成する各画素の受光部と集光するためのマイクロレンズとの間に配置される近赤外吸収フィルターとしても用いることができる。
また、本発明の近赤外吸収フィルターにおける組成物の保存安定性改良のため、熱重合防止剤を添加してもよい。さらに、放射線未照射部のアルカリ溶解性を促進し、本発明の近赤外吸収フィルターにおける組成物の現像性の更なる向上を図る場合には、本発明の近赤外吸収フィルターにおける組成物に有機カルボン酸、好ましくは分子量1000以下の低分子量有機カルボン酸を添加することができる。
(樹脂被膜としての本発明の近赤外吸収フィルターの製造方法)
樹脂被膜としての本発明の近赤外吸収フィルターは、まず、近赤外吸収色素と分散剤、さらに必要に応じて用いられるアルカリ可溶性樹脂、感光性重合成分、光重合開始剤、その他の添加剤を溶剤とを混合、或いは近赤外吸収色素と分散剤、さらに必要に応じて用いられるバインダー、モノマー、熱硬化性樹脂その他の添加剤を溶剤とを混合し、各種の混合機、分散機を使用して混合分散する(混合分散工程)ことによって調製し、得られた本発明における組成物を基板に塗布し、乾燥することによって形成することができる。
尚、混合分散工程は、後記のように混練分散処理とそれに続けて行う分散処理からなる方法を用いるのが好ましい。
−本発明の近赤外吸収フィルターにおける組成物の調製−
上述の通り、樹脂被膜を形成するためには、近赤外吸収色素粒子を微粒子化し、且つ、その粒子サイズ分布をシャープにした方法が好適である。具体的には、平均粒子径が0.001μm〜1μm程度であり、且つ粒子径がサイズにもよるが0.01±0.005μmの範囲にある色素粒子を75質量%以上含んで構成される色素を用いる方法が好ましい。
色素の粒子サイズ分布を上述の範囲に調整するためには、色素の分散方法が特に重要となる。そのような分散方法としては、例えば、ニーダーや二本ロールなどのロールミルを用いて高粘度状態で分散する乾式分散(混練分散処理)と三本ロールやビーズミル等を用いて比較的低粘度状態で分散する湿式分散(微分散処理)とを組み合わせた分散方法が挙げられる。また、前記分散方法においては、2種以上の色素を共分散したり、混練分散処理時には、溶剤を使用しないか若しくは使用量をできるだけ少なくしたり、各種分散剤を用いるのも好ましい。更に、ソルベントショックを和らげるために樹脂成分を上記混練分散処理時と微分散処理時とに分けて添加(2分割使用)したりすることが好ましく、また、混練分散処理から微分散処理に移行する際に顔料粒子が再凝集するのを防止するために溶解性に優れた樹脂成分を用いるのが好ましい。更に、微分散処理時に使用するビーズミルのビーズに高硬度のセラミックスを使用したり、粒径の小さいビーズを使用したりする手段も有効である。尚、上記樹脂成分としては、例えば、上述のアルカリ可溶性樹脂を用いることができる。
本発明の近赤外吸収フィルターにおいては、特に、2種以上の色素を用い、更に2種以上の色素を50000mPa・s以上の高粘度状態で分散した後に、更に1000mPa・s以下の低粘度状態で分散して得られた着色剤を用いることが好ましい。
一般に、これら色素は合成後、種々の方法で乾燥を経て供給される。通常は水媒体から乾燥させて粉末体として供給されるが、水が乾燥するには大きな蒸発潜熱を必要とするため、乾燥して粉末とさせるには大きな熱エネルギーを与える。そのため、色素は一次粒子が集合した凝集体(二次粒子)を形成しているのが普通である。
好ましい本発明の近赤外吸収フィルターにおける組成物の調製方法について説明する。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
上記調製方法において、まず色素にアルカリ可溶性樹脂等を混練分散処理後の粘度が50,000mPa・s以上(好ましくは50,000〜100,000mPa・s)の比較的高粘度になるように混練分散処理を施す。ここで、混練分散処理は、高粘度分散であってもよいし、乾式分散であってもよい。
次いで、必要に応じて混練分散処理後の分散物にアルカリ可溶性樹脂を追加添加し、微分散処理後の粘度が1000mPa・s以下(好ましくは100mPa・s以下)の比較的低粘度になるように微分散処理を施す。尚、微分散処理は、低粘度分散であってもよいし、湿式分散であってもよい。
上記混練分散処理においては、溶剤の比率が被分散物に対して0〜20質量%であることが好ましい。このように、溶剤をあまり使用せずに分散を行うと、色素粒子の表面をビヒクルの樹脂成分を主体とした構成成分との濡れを促進させることができ、顔料粒子表面が形成する界面を、色素粒子と空気との固体/気体界面から、色素粒子とビヒクル溶液との固体/溶液界面に変換することができる。色素粒子の表面が形成する界面を空気から溶液に変換し混合攪拌すると、色素を一次粒子に近い微小な状態にまで分散することができる。
このように、色素を高度に分散させるためには、色素粒子表面が形成する界面を空気から溶液に変換することが有効である。かかる変換には強い剪断力や圧縮力が必要である。このため、上記混練分散処理においては、強い剪断力や圧縮力を発揮できる混練機を用い、被混練物として高粘度のものを用いるのが好ましい。
また、上記微分散処理時においては、ガラスやセラミックの微粒状の分散用メディアと共に混合攪拌することが好ましい。さらに、微分散処理時における溶剤の比率は、被分散物の20〜90質量%であることが好ましい。上記微分散処理時においては、色素粒子を微小な状態にまで均一に安定させて分布させることが必要であることから、凝集している色素〔粒子に衝撃力と剪断力とを付与できる分散機とを用い、被分散物として低粘度のものを用いるのが好ましい。
本発明の近赤外吸収フィルターにおける組成物を用いて、例えば、近赤外カットフィルターを作製するための混練分散処理は、先ず色素等の着色剤と分散剤、表面処理剤、被最小量の溶剤で混練する。混練機としては二本ロール、三本ロール、ボールミル、トロンミル、ディスパー、ニーダー、コニーダー、ホモジナイザー、ブレンダー、単軸および2軸の押出機等を用いることができ、強い剪断力を与えながら分散する。上記混練機としては、特に二本ロールミルが好ましい。次いで、溶剤および必要に応じてアルカリ可溶性樹脂を加えて、主として縦型若しくは横型のサンドグラインダー、ボールミル、ピンミル、スリットミル、ホモジナイザー、ディスパー、超音波分散機等を使用し、0.1〜1mmの粒径のガラス、ジルコニア等でできたビーズで分散する。
尚、混練、分散についての詳細はT.C.Patton著”PaintFlowandPigmentDispersion”(1964年,JohnWileyandSons社刊)等にも記載されている。
次いで、得られた本発明の近赤外吸収フィルターにおける組成物を、直接または他の層を介して基板に回転塗布、スリット塗布、流延塗布、ロール塗布等の塗布方法により塗布して、本発明の着色樹脂被膜(感放射線性組成物層)を形成し、所定のマスクパターンを介して露光し、光照射された塗布膜部分だけを硬化させ、現像液で現像することによって、各色(3色あるいは4色)の画素からなるパターン状皮膜を形成する、カラーフィルターのように製造することができる。この際に使用される放射線としては、特にg線、i線等の紫外線が好ましく用いられる。なお、本発明でいう放射線とは、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線等を含む広い概念である。
次いでアルカリ現像処理を行うことにより、上記露光により光未照射部分をアルカリ水溶液に溶出させ、光硬化した部分だけが残る。現像液としては、光未照射部の感光性層を溶解し、一方光照射部を溶解しないものであればいかなるものも用いることができる。
さらに、余剰の現像液を洗浄除去し、乾燥を施した後に、50℃〜240℃の温度で加熱処理(ポストベーク)を行う。〔このように各色ごとに前記工程を順次繰り返して硬化皮膜を製造することができる。これにより近赤外吸収フィルターが得られる。〕
アルカリ現像してパターン現像しない場合は、近赤外吸収色素含有硬化性組成物を熱硬化、或いは光硬化させて硬化膜を作製すればよい。
基板としては、例えば液晶表示素子等に用いられる無アルカリガラス、ソーダガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラスおよびこれらに透明導電膜を付着させたものや、固体撮像素子等に用いられる光電変換素子基板、例えばシリコン基板等が挙げられる。さらに、プラスチック基板も可能である。基板上には、通常、各画素を隔離するブラックストライプが形成されていてもよい。
本発明の近赤外吸収フィルターに用いる近赤外吸収色素含有硬化性組成物は、カラーフィルターの上層にあることが好ましいがカラーフィルターから封止ガラスまでで製膜できればよく特に制限は無い。膜厚に関しても特に制限は無く0.01〜2000μmまで任意に選択できる。カラーフィルター上層〜マイクロレンズ上層までは0.01〜500μm程度が好ましく、0.01〜50μm程度がさらに好ましい。ガラス上に製膜する場合は特に膜厚の制限は無く0.01〜2000μmの間であることが好ましく、更には0.01〜1000μmの範囲であることがさらに好ましい。
(プラズマディスプレイ用フィルター)
本発明の近赤外吸収フィルターはプラズマディスプレイに用いる近赤外吸収フィルターに用いることが出来る。プラズマディスプレイの透明支持体、下塗り層、フィルター層、反射防止層、電磁波遮蔽層などについては特開2002−90521号公報に記載されている。
本発明の近赤外吸収フィルターは、固体撮像素子(CCD、CMOSなど)等の光学フィルターとして用いられるのみならず、プラズマディスプレイやインクジェット等に用いることができる。
[実施例]
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
<近赤外カットフィルターの作製>
下記組成物を攪拌しながら混合し、平坦化層用樹脂組成物を調製した。
〔組成〕
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 165質量部
(共重合モル比=70/30、質量平均分子量 30000)
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレート 65質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 138質量部
・エチル−3−エトキシプロピオネート 123質量部
・ハロメチルトリアジン系開始剤 3質量部
(光重合開始剤、商品名:TAZ107、みどり化学(株)製)
得られた平坦化層用樹脂組成物を、フォトダイオードを形成した8インチシリコンウェハー上にスピンコートで均一に塗布した。尚、スピンコートは、塗布後に塗布膜の表面温度を110℃×120秒の条件でホットプレートを用いて加熱処理し、この時の膜厚が2μmになるように回転数を調節して塗布を行なった。
次にカラーフィルターを作製した。
Green、Red、Blue各色のカラーフィルターをここでは下記表1並びに下記<着色樹脂組成物の調製>に従って調製した着色物組成物をGreen、Red、Blueの順に、先ほど作製した平坦化層上に塗布し、乾燥(プリベーク)、パターン露光、アルカリ現像、リンス、硬化乾燥(ポストベーク)を行なって着色樹脂被膜を形成し、フォトダイオード付シリコンウェハー上にカラーフィルターを作製した。
<着色樹脂組成物の調製>
表1から得られた各色の顔料分散液の各々200質量部あたりにつき、下記組成をそれぞれ攪拌しながら混合し、各色用のカラーフィルター着色樹脂組成物を調製した。
〔組成〕
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 33質量部
(アルカリ可溶性樹脂、共重合モル比=70/30、質量平均分子量 30000)
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(モノマー) 36質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 110質量部
・エチル−3−エトキシプロピオネート(溶剤) 44質量部
・オキシム系開始剤 4質量部
(光重合開始剤、商品名:CGI−242、チバスペシャリティケミカルズ(株)製)
Figure 2008009206
尚、パターン露光は、1.5μmマスクパターンを介して、i線ステッパー(商品名:FPA−3000i5+、キャノン(株)製)を用いて300mj/cmで行なった。また、アルカリ現像には、有機アルカリ性現像液(商品名:CD−2000、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の40質量%水溶液を用いて、室温(25℃)にて60秒間パドル現像を行なった後、20秒スピンシャワーにて純水でリンスを行い、更に純水で水洗を行なった。その後、20秒スピンシャワーにて純水でリンスを行い、更に純水で水洗を行なった。その後、水滴を高圧のエアーで飛ばし、基板を自然乾燥させてパターンを得た後、ホットプレート上で表面温度200℃、5分間の条件でポストベーク処理を行なった。以下このようにして得られたサンプルをSAMP−1とする。
(近赤外吸収膜A(以下単に「近赤外カット膜A」という。))
下記組成物をアイガーモーターミルを用いて、3時間の分散を行い、近赤外カットフィルター用固体分散物を得た。
・楠本化成(株)製 湿潤分散剤 KS−873N 10質量部
・色素a−4 10質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 60質量部
次に固体分散物を下記組成の通り攪拌しながら混合し、下記近赤外カットフィルター用硬化性組成物を得た。
・上記固体分散物 50質量部
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 2質量部
・EHPE3150(ダイセル(株)製、脂環式固形エポキシ樹脂)3質量部
前記SAMP−1上に近赤外カット樹脂組成物をスピンコートで平均膜厚が1.0μmになるように均一に塗布を行なった後、100℃、2分で塗布膜の乾燥を行なった。
その後、上記サンプルをホットプレートで220℃、5分の加熱を行い硬化膜を形成した。このようにしてカラーフィルター上に近赤外吸収能を有する、平坦化近赤外カット膜Aを形成した。
実施例1の前記色素a−4の代わりに前記色素1−16を用いて実施例1と同様に近赤外カット膜Bを形成した。
実施例1と実施例2の硬化性組成物を混合質量比1:1にて混合して実施例1と同様に近赤外カット膜Cを形成した。
(近赤外吸収光学フィルターの評価)
上記方法で得た近赤外カットフィルターの吸収を測定した。尚、吸収に関しては別途、同じ膜厚で透明なガラス基板に塗布したもので測定した。また、溶液での吸収も同時に測定した。
上記測定結果として、近赤外カット膜Aは、780nm及び880nmに極大吸収波長(λmax)を示し、Bは960nmにλmaxを示し、Cは750nm〜1000nmの幅広い近赤外域に吸収を有していた。前記色素a−4のλmaxは765nm/CHCl、前記色素1−16は836nm/HOだった。
上記方法で形成した近赤外カットフィルターは以降のプロセスにおいて、例えばはんだ付け工程(特に無鉛はんだ)などで260℃近い熱の下に置かれても分光特性に変化は無く非常に安定であった。特にシアニン色素が熱に対して安定になることがわかった。更に、下塗り層のカラーフィルターとの密着性もよく、加熱工程を経ても剥がれは認められなかった。また、光に対しても安定なことがわかった。
厚さ175μmの透明な2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの両面をコロナ処理した後、両面に屈折率1.55、ガラス転移温度37℃のスチレン−ブタジエンコポリマーからなるラテックス(日本ゼオン(株)製、LX407C5)を塗布し、下塗り層を形成した。乾燥後の膜厚さとして、厚さ300nmとなるように塗布し透明支持体を得た。
下記組成物を、アイガーモーターミルを用いて、3時間の分散を行い、近赤外吸収フィルター用固体分散物(a)を得た。
・花王(株)製 分散剤 ディモールSNB 1質量部
・色素a−4 10質量部
・イオン交換水 89質量部
同様に前記色素a−4の代わりに前記色素1−16を用いて固体分散物(b)を得た。
ゼラチンの10質量%水溶液180gに固体分散物(a)50mg(色素として)/mおよび(b)29mg/mを添加した。得られたフィルター層用塗布液を上記透明支持体の厚さ300nmの下塗り層側に、乾燥膜厚が3.5μmとなるように塗布し、120℃で10分間乾燥して近赤外吸収フィルターを作製した。
得られた近赤外吸収フィルターの分光透過率を調べたところ760nm〜1000nmの幅広い吸収を示した。
(近赤外吸収フィルターの評価)
市販のプラズマディスプレイパネル(PDS4202,J−H,富士通(株)製)の前面版の最表面フィルムを剥がし、その代わりに上記で作製した光学フィルターを接着剤で貼りつけた。プラズマディスプレイパネルに対向して設置したテレビジョンのリモコンの誤動作があるかどうかを評価した。本発明の近赤外吸収フィルターを用いると誤動作はなかった。また、光に対しても安定なことがわかった。

Claims (9)

  1. 下記一般式(1)で表されるクアテリレン色素を含むことを特徴とする近赤外吸収フィルター。
    Figure 2008009206
    式中、2個のRは同一でも異なっていてもよく水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表し、Zはクアテリレン骨格を構成する炭素原子に結合する1価の置換基であって、水素原子、アルキル基、アリール基、OR1で示される基(R1はアルキル基、アリール基または複素環基を表す。)、SR1で示される基(R1はアルキル基、アリール基または複素環基を表す。)またはハロゲン原子を表し、nは0〜16の整数を表す。
  2. 前記一般式(1)で表されるクアテリレン色素および下記一般式(2)で表されるシアニン色素を含むことを特徴とする請求項1に記載の近赤外吸収フィルター。
    Figure 2008009206
    式中、ZおよびZは、それぞれ独立に、縮環してもよい5員または6員の含窒素複素環を形成する非金属原子群を表し、RおよびRは、それぞれ独立に、脂肪族基またはアリール基を表し、Lは、奇数個のメチン基からなるメチン鎖を表す。aおよびbはそれぞれ独立に0または1を表し、Xはアニオンを表す。cは0または分子の電荷を中性に保つのに必要な数を表す。
  3. 前記一般式(2)で表されるシアニン色素が、下記一般式(3)で表されるシアニン色素であることを特徴とする請求項2に記載の近赤外吸収フィルター。
    Figure 2008009206
    式中、Lは奇数個のメチン基からなるメチン鎖を表し、R〜R、AおよびAはそれぞれ独立にアルキル基を表し、B1およびB2はそれぞれ独立に芳香族炭化水素環または芳香族複素環を形成するのに必要な原子群を表し、Yは電荷のバランスに必要なカチオンを表す。
  4. 前記一般式(3)において、Yがアルカリ土類金属イオン、遷移金属イオンまたはこれら以外の2価または3価の金属イオンであることを特徴とする請求項3に記載の近赤外吸収フィルター。
  5. 前記シアニン色素を固体微粒子分散物として含むことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の近赤外吸収フィルター。
  6. 前記近赤外吸収フィルターが、熱及び/又は光硬化性組成物を用いて作製されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の近赤外吸収フィルター。
  7. 前記近赤外吸収フィルターが、固体撮像素子用であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の近赤外吸収フィルター。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の近赤外吸収フィルターを有することを特徴とする固体撮像素子。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の近赤外吸収フィルターを有することを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
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