JP2008006716A - 凹凸状シートの製造方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】表面に規則的な微細凹凸パターンが形成された光学材料やイメージング材料のシート状物を、欠陥なく高品質で、かつ高ラインスピードで生産性よく製造する。
【解決手段】シートWの表面に、エンボスローラ13表面の凹凸を転写形成する凹凸状シートの製造方法である。帯状可撓性のシートWを連続走行させる工程と、このシートWの表面に放射線硬化樹脂を塗布し塗布層を形成する工程と、シートWを回転するエンボスローラに巻き掛け、塗布層にローラ表面の凹凸を転写する工程と、シートWがローラに巻き掛けられている状態で放射線を照射し塗布層を硬化させる工程と、シートWを凹凸ローラから剥離させる工程と、剥離後のシートWの表面に金属又は金属酸化物の被膜を積層する工程と、被膜の積層後のシートWをロール状に巻き取る工程を含む。
【選択図】 図1
【解決手段】シートWの表面に、エンボスローラ13表面の凹凸を転写形成する凹凸状シートの製造方法である。帯状可撓性のシートWを連続走行させる工程と、このシートWの表面に放射線硬化樹脂を塗布し塗布層を形成する工程と、シートWを回転するエンボスローラに巻き掛け、塗布層にローラ表面の凹凸を転写する工程と、シートWがローラに巻き掛けられている状態で放射線を照射し塗布層を硬化させる工程と、シートWを凹凸ローラから剥離させる工程と、剥離後のシートWの表面に金属又は金属酸化物の被膜を積層する工程と、被膜の積層後のシートWをロール状に巻き取る工程を含む。
【選択図】 図1
Description
本発明は、凹凸状シートの製造方法及び装置に係り、特に、表面に規則的な微細凹凸パターンが形成された光学材料やイメージング材料のシート状物を、欠陥なく高品質で、かつ高ラインスピードで生産性よく製造するのに好適な凹凸状シートの製造方法及び装置に関する。
近年、液晶等の電子ディスプレイ、プロジェクタ材料の用途に、反射型偏光フィルムや位相差フィルムなどが採用されている。このようなフィルム状の光学素子の製造方法として、従来より各種の方法が知られている(特許文献1〜4参照)。
特許文献1には、ワイヤグリッド構造反射偏光子(WGP)をバッチ(平板)で1枚毎に製造する方法として、光透過性材料から成る基板に形成される凹凸側の表面に対し、真空蒸着法やスパッタ法などで金属層を形成する方法が記載されている。また、特許文献2には、ワイヤグリッド構造反射偏光子を連続的に製造する方法が記載されている。
一方、特許文献3、4には、位相差フィルムの製造方法として、連続走行するフィルム基材の表面に対し、蒸着法を用いて金属層を形成する方法が記載されている。
また、特許文献5〜7には、構造色シートを製造する方法として、微細パターンを形成した表面に、真空蒸着法やスパッタ法などで金属層を形成する方法が記載されている。
特開2005−172955号公報
特開2005−148417号公報
特開平11−263861号公報
特開2004−271695号公報
特開2003−53875号公報
特開2005−153192号公報
特開2005−194595号公報
しかしながら、特許文献1に記載の製造方法は、バッチで1枚毎に製造する方法であり、光学フィルムの量産化には適さない方法である。また、特許文献2に記載の製造方法は、グリッド構造を精度良く形成できず、十分な偏光度を得るには難しい方法であり、本発明のように、特定のパターンで金属層を形成する対象ではない。
更に、特許文献3、4に記載の製造方法は、表面に凹凸が形成されていないフィルム基材の表面に対して金属層を形成する方法である。
また、特許文献5〜7に記載の製造方法は、バッチで1枚毎に製造する方法であり、量産化には適さない方法である。
一般的に、表面に規則的な微細凹凸パターンが形成された光学素子を高精度に量産化するためには、1)連続プロセス、2)迅速で高精度の微細パターン転写、3)超薄膜形成、4)パターン表面の保護、などが必要である。しかしながら、既述の特許文献1〜7に記載された製造方法には、上記の1)〜4)の各条件を全て満足するものはない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、表面に規則的な微細凹凸パターンが形成された凹凸状シートを、欠陥なく高品質で、かつ高ラインスピードで生産性よく製造するのに好適な凹凸状シートの製造方法及び装置を提供することを目的とする。
本発明は、前記目的を達成するために、シート状体の表面に、凹凸ローラ表面の凹凸を転写形成する凹凸状シートの製造方法において、帯状可撓性のシート状体を連続走行させる工程と、連続走行している前記シート状体の表面に放射線硬化樹脂液を塗布し塗布層を形成する工程と、連続走行している前記シート状体を回転する前記凹凸ローラに巻き掛け、前記塗布層に前記凹凸ローラ表面の凹凸を転写する工程と、連続走行している前記シート状体が前記凹凸ローラに巻き掛けられている状態で放射線を照射し前記塗布層を硬化させる工程と、連続走行している前記シート状体を前記凹凸ローラから剥離させる工程と、剥離後の連続走行している前記シート状体の表面に金属又は金属酸化物の被膜を積層する工程と、前記被膜の積層後の連続走行している前記シート状体をロール状に巻き取る工程と、を含むことを特徴とする凹凸状シートの製造方法を提供する。
また、このために、本発明は、帯状可撓性のシート状体を送り出すシート状体供給手段と、前記シート状体の表面に放射線硬化樹脂液を塗布し塗布層を形成する塗布手段と、連続走行している前記シート状体を回転する前記凹凸ローラに巻き掛け、前記塗布層に前記凹凸ローラ表面の凹凸を転写する転写手段と、連続走行している前記シート状体が前記凹凸ローラに巻き掛けられている状態で放射線を照射し前記塗布層を硬化させる硬化手段と、連続走行している前記シート状体を前記凹凸ローラから剥離させる剥離手段と、剥離後の連続走行している前記シート状体の表面に金属又は金属酸化物の被膜を積層する積層手段と、前記被膜の積層後の連続走行している前記シート状体をロール状に巻き取るシート状体巻き取り手段と、を備えたことを特徴とする凹凸状シートの製造装置を提供する。
本発明によれば、上流側からの一連の工程により、連続走行しているシート状体の表面に放射線硬化樹脂を塗布し、このシート状体を凹凸ローラに巻き掛け表面の凹凸を転写している状態で放射線を照射して塗布層を硬化させ、このシート状体を凹凸ローラから剥離し、このシート状体の表面に金属又は金属酸化物の被膜を積層し、このシート状体をロール状に巻き取る。したがって、一連の工程で巻き取りまで行えるので、欠陥なく高品質で、かつ高ラインスピードで生産性よく製造することができる。
なお、本明細書において「凹凸ローラ」とは、円柱状のローラの表面に凹凸パターン(エンボス形状用が形成されたエンボスローラのみならず、エンドレスベルト等のベルト状体の表面に凹凸パターン(エンボス形状)が形成されたものをも含むものとする。このようなベルト状体であっても、円柱状のエンボスローラと同様に作用し、同様の効果が得られるからである。
また、本発明において、前記被膜の積層後の連続走行している前記シート状体の片面又は両面に保護フィルムをラミネートする工程を含むことが好ましく、前記被膜の積層後の連続走行している前記シート状体の前記塗布層側の面が、前記保護フィルムでラミネートされるまで、他の固体物に接触しないように搬送されることがより好ましい。このような保護フィルムをシート状体にラミネートするのであれば、シート状体をロール状に巻き取る際の欠陥発生を未然に防止できる。
また、本発明において、連続走行している前記シート状体の幅方向の端部位置を検出して前記シート状体の幅方向位置を制御する工程を含むことが好ましい。本発明の凹凸状シートは、シート表面に微細なパターンを形成するため、シート搬送時の寄りや変動があると、非常に敏感に欠陥発生につながるが、このように、シート状体の幅方向位置を制御することができれば、上記の欠陥発生を有効に防止できる。
また、本発明において、外周面に前記シート状体を吸引保持するとともに所定の周速度で回転する駆動ドラムにより前記シート状体を連続走行させることが好ましい。このような駆動ドラムによりシート状体を連続走行させるのであれば、シート状体の走行速度が安定し、転写形状が良好となる。このような駆動ドラムとしては、外周面に形成された多数の孔からの吸引によりシート状体を保持するドラムや、外周面に形成された複数の溝によりシート状体を保持する、いわゆるグルーブドサクションドラムが使用できる。
また、本発明において、張力制御手段により連続走行している前記シート状体の張力を制御することが好ましい。このような張力制御手段によりシート状体の張力を制御するのであれば、シート状体の走行速度が安定し、転写形状が良好となる。
また、本発明において、ロール状に巻き取った前記シート状体を製品サイズに裁断する工程を含むことが好ましい。このような裁断工程は、一連の工程の後にオフラインで行うのが好ましい。
また、本発明において、前記シート状体に転写形成された凹凸パターンの欠陥を検査する工程を含むことが好ましい。このような検査工程が一連の工程に含まれていれば、欠陥部分の排除が容易となる。
また、本発明において、前記金属又は金属酸化物の被膜を前記シート状体の表面に積層する方法が、蒸着、スパッタ、及びイオンプレーティングのいずれかであることが好ましい。
これらの方法は、ドライプロセスのため、迅速、且つ高精度に、被腹膜を形成できる。
また、本発明において、前記シート状体に転写形成された凹凸パターンのピッチが1μm以下であることが好ましい。また、本発明において、前記凹凸状シートが光学材料として使用されることが好ましい。
本発明によれば、表面に規則的な微細凹凸パターンが形成された凹凸状シートを、欠陥なく高品質で、かつ高ラインスピードで生産性よく製造することができる。
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施態様について説明する。図1は、本発明が適用される光学材料の製造装置10の構成を示す構成図である。
この光学材料の製造装置10は、シート供給手段11と、塗布手段12と、乾燥手段19と、凹凸ローラであるエンボスローラ13と、ニップローラ14と、樹脂硬化手段15と、剥離ローラ16と、保護フィルム供給手段17と、シート巻き取り手段18と、金属膜積層手段20等とより構成される。
シート状体供給手段であるシート供給手段11は、シート状体であるシートWを送り出すもので、シートWが巻回された送り出しロール等より構成される。
塗布手段12は、シートWの表面に放射線硬化樹脂液を塗布する装置であり、放射線硬化樹脂液を供給する液供給源と、液供給装置(送液ポンプ)と(以上、図示略)、塗布ヘッド12Cと、塗布の際にシートWを巻き掛けて支持する支持ローラ12Dと、液供給源より塗布ヘッド12Cまで放射線硬化樹脂液を供給するための図示しない配管等より構成される。なお、塗布ヘッド12Cとしては、ダイコータ(エクストルージョン方式のコータ)の塗布ヘッドが採用されている。
エンボスローラ13としては、シートWの表面に、ローラ表面の凹凸を転写形成できる、凹凸パターンの精度、機械的強度、真円度等を有することが求められる。このようなエンボスローラ13としては、金属製のローラが好ましい。
エンボスローラ13の外周面には、規則的な微細凹凸パターンが形成されている。このような規則的な微細凹凸パターンは、製品としての光学材料の表面の微細凹凸パターンを反転した形状であることが求められる。
製品としての光学素子や構造色の表面構造としては、微細凹凸パターンが二次元もしくは三次元配列された、たとえば矩形もしくは三角形状、さらに円錐・角錐等の微細な錐体をXY方向に敷きつめた平板レンズ等が対象となり、エンボスローラ13の外周面の微細凹凸パターンは、これに対応させる。
エンボスローラ13の外周面の規則的な微細凹凸パターンの形成方法としては、エンボスローラ13の表面をダイヤモンドバイト(シングルポイント)で切削加工する方法、エンボスローラ13の表面にフォトエッチング、電子線描画、レーザー加工等で直接凹凸を形成する方法が採用でき、また、薄い金属製の板状体の表面にフォトエッチング、電子線描画、レーザー加工、光造形法等で凹凸を形成し、この板状体をローラの周囲に巻き付け固定し、エンボスローラ13とする方法が採用できる。
その他、金属より加工しやすい素材の表面にフォトエッチング、電子線描画、レーザー加工、光造形法等で凹凸を形成し、この形状の反転型を電鋳等により形成して薄い金属製の板状体を作成し、この板状体をローラの周囲に巻き付け固定し、エンボスローラ13とする方法も採用できる。特に反転型を電鋳等により形成する場合には、1つの原盤(マザー)より複数の同一形状の板状体が得られるという特長がある。
エンボスローラ13の表面には、離型処理を施すことが好ましい。このように、エンボスローラ13の表面に離型処理を施すことにより、微細凹凸パターンの形状が良好に維持できる。離型処理としては、公知の各種方法、たとえば、フッ素樹脂によるコーティング処理が採用できる。なお、エンボスローラ13には駆動手段が設けられていることが好ましい。エンボスローラ13は、図示の矢印のように、反時計方向(CCW)に回転する。
ニップローラ14は、エンボスローラ13と対になってシートWを押圧しながらローラ成形加工するもので、所定の機械的強度、真円度等を有することが求められる。ニップローラ14表面の縦弾性係数(ヤング率)は、小さ過ぎるとローラ成形加工が不十分となり、大き過ぎるとゴミ等の異物の巻き込みに敏感に反応し欠点を生じやすいことより、適宜の値とすることが好ましい。なお、ニップローラ14には駆動手段が設けられていることが好ましい。ニップローラ14は、図示の矢印のように、時計方向(CW)に回転する。
エンボスローラ13とニップローラ14との間に所定の押圧力を付与するべく、エンボスローラ13とニップローラ14のいずれかに加圧手段を設けることが好ましい。同様に、エンボスローラ13とニップローラ14との隙間(クリアランス)を正確に制御できるような微調整手段を、エンボスローラ13とニップローラ14のいずれかに設けることが好ましい。
樹脂硬化手段15は、ニップローラ14の下流側においてエンボスローラ13に対向して設けられる光照射手段である。この樹脂硬化手段15は、光照射によってシートWを透過して樹脂液層を硬化させるもので、樹脂の硬化特性に応じた波長の光(放射線)を照射でき、シートWの搬送速度に応じた量の放射線を照射できることが好ましい。樹脂硬化手段15として、たとえば、シートWの幅と略同一長さの円柱状照射ランプが採用できる。また、この円柱状照射ランプを複数本平行に設けることもでき、この円柱状照射ランプの背面に反射板を設けることもできる。
剥離ローラ16は、エンボスローラ13と対になってエンボスローラ13からシートWを剥離させるもので、所定の機械的強度、真円度等を有することが求められる。剥離箇所において、エンボスローラ13の周面上に巻き掛けられたシートWを回転するエンボスローラ13と剥離ローラ16とで挟みながら、シートWをエンボスローラ13から剥離させて剥離ローラ16に巻き掛ける。この動作を確実にすべく、剥離ローラ16には駆動手段が設けられていることが好ましい。剥離ローラ16は、図示の矢印のように、時計方向(CW)に回転する。
なお、硬化により樹脂等の温度が上昇するような場合には、剥離時にシートWを冷却させて剥離を確実にすべく、剥離ローラ16に冷却手段を設ける構成も採用できる。
なお、図示は省略したが、エンボスローラ13の押圧箇所(2時の位置)から剥離箇所(8時の位置)までの間に複数のバックアップローラを対向して設け、この複数のバックアップローラとエンボスローラ13とでシートWを押圧しながら硬化処理を行う構成も採用できる。
金属膜積層手段20は、エンボスローラ13の下流側において剥離ローラ13に対向して設けられ、エンボスローラ13から剥離され剥離ローラ16に巻き掛けられたシートWの表面(凹凸側の面)に、金属若しくは金属酸化物の被膜(以下、「金属膜」という。)を積層する装置である。金属膜積層手段20によって積層される被膜は1層に限らず、2層以上であってもよい。金属膜積層手段20としては、たとえば、真空蒸着、スパッタ、イオンプレーティングなどの各種薄膜形成方法を用いる装置を採用することができる。なお、蒸着には真空蒸着や化学蒸着などがあり、中でも、大気圧で金属膜を積層可能なプラズマCVDを選択することも可能である。図1では、金属膜積層手段20として、スパッタリング装置が採用される。なお、図示は省略したが、光学材料の製造装置10は、装置全体を、真空のチャンバ内部に配置される。
なお、図示は省略したが、剥離ローラ16の下流側に、欠陥検査手段が配されていてもよい。このような欠陥検査手段により、シートWに転写形成された凹凸パターンの欠陥が検査でき、欠陥部分の排除が容易となる。欠陥検査手段の形式としては、公知の各種タイプの検査装置(たとえば、CCD撮像装置)が使用できる。
シート巻き取り手段18は、剥離後のシートWを収納するもので、シートWを巻き取る巻き取りロール等より構成される。このシート巻き取り手段18において、隣接して設けられる保護フィルム供給手段17より供給される保護フィルムHがシートWの表面に供給され、両フィルムが重なった状態で、シート巻き取り手段18に収納される。
光学材料の製造装置10において、塗布手段12とエンボスローラ13との間、剥離ローラ16とシート巻き取り手段18との間等に、シートWの搬送路を形成するガイドローラ等を設けてもよく、その他必要に応じて、シートWの搬送中の弛みを吸収すべく、テンションローラ等を利用してシートWの張力を制御する張力制御手段(不図示)を設けたり、シートWの幅方向の端部位置を検出してシートWの幅方向位置を制御するエッジ位置制御手段(不図示)を設けたりしてもよい。
また、シート供給手段11と塗布手段12との間、剥離ローラ16とシート巻き取り手段18との間等に、サクションドラム(不図示)を設けてもよい。このサクションドラムは、シートWを吸引保持するとともに所定の周速度で回転駆動することにより、シートWを連続走行させる手段である。シートWの吸引保持は、ドラムの外周面に形成された多数の孔からの吸引による構成でもよく、ドラムの外周面に形成された複数の溝により保持する構成(グルーブサクションドラム)でもよい。
次に、本発明に適用される各材料について説明する。シートWとしては、樹脂フィルム、紙(レジンコーティッド紙、合成紙、等)、金属箔(アルミニウムウェブ等)等を使用できる。樹脂フィルの材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリオレフィン、アクリル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、PET(ポリエチレンテレフタレート)、二軸延伸を行ったポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドイミド、ポリイミド、芳香族ポリアミド、セルロースアシレート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースダイアセテート等の公知のものが使用できる。これらのうち、特に、ポリエステル、セルロースアシレート、アクリル、ポリカーボネート、ポリオレフィンが好ましく使用できる。
シートWの幅としては、0. 1〜3mが、シートWの長さとしては、1000〜100000mが、シートWの厚さとしては、1〜300μmのものがそれぞれ一般的に採用される。ただし、これ以外のサイズの適用も妨げられるものではない。
これらのシートWは、あらかじめコロナ放電、プラズマ処理、易接着処理、熱処理、除塵処理などを行っておいてもよい。シートWの表面粗さRaはカットオフ値0.25mmにおいて3〜10nmが好ましい。
また、シートWには、あらかじめ接着層等の下地層を設け乾燥硬化させたもの、裏面に他の機能層があらかじめ形成されたもの、等を用いてもよい。同様に、シートWとして1層構成のもののみならず、2層以上の構成のものも採用できる。また、シートWは、光が透過できるような透明体、半透明体であることが好ましい。
本発明に使用可能な樹脂は(メタ)アクロイル基、ビニル基やエポキシ基などの反応性基含有化合物と、紫外線などの放射線照射にて該反応性基含有化合物を反応させうるラジカルやカチオン等の活性種を発生する化合物を含有するものが使用できる。
特に硬化の速さからは、(メタ)アクロイル基、ビニル基などの不飽和基を含有する反応性基含有化合物(モノマ−)と、光によりラジカルを発生する光ラジカル重合開始剤の組み合わせが好ましい。中でも(メタ)アクリレ−ト、ウレタン(メタ)アクリレ−ト、エポキシ(メタ)アクリレ−ト、ポリエステル(メタ)アクリレ−トなどの(メタ)アクロイル基含有化合物が好ましい。
この(メタ)アクロイル基含有化合物としては(メタ)アクロイル基が1個あるいは2個以上含有した化合物を用いることができる。また、上記のアクロイル基、ビニル基などの不飽和基を含有する反応性基含有化合物(モノマ−)は必要に応じて、単独で用いても、複数種を混合して用いても良い。
このような、(メタ)アクロイル基含有化合物としては、たとえば、(メタ)アクロイル基含有化合物を1個だけ含有する単官能モノマ−としてイソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。
更に芳香環を有する単官能モノマ−として、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ−2−メチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、3−(2−フェニルフェニル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレンオキシドを反応させたp−クミルフェノールの(メタ)アクリレート、2−ブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4−ブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4−ジブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,6−ジブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
このような、芳香を有する環単官能モノマ−の市販品としては、アロニックスM113、M110、M101、M102、M5700、TO−1317(以上、東亞合成(株)製)、ビスコート#192、#193、#220、3BM(以上、大阪有機化学工業(株)製)、NKエステルAMP−10G、AMP−20G(以上、新中村化学工業(株)製)、ライトアクリレートPO−A、P−200A、エポキシエステルM−600A、ライトエステルPO(以上、共栄社化学(株)製)、ニューフロンティアPHE、CEA、PHE−2、BR−30、BR−31、BR−31M、BR−32(以上、第一工業製薬(株)製)等が挙げられる。
また、(メタ)アクリロイル基を分子中に2つ有する不飽和モノマーとしては、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレートなどのアルキルジオールジアクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレートなどのポリアルキレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンメタノールジアクリレート等が挙げられる。
ビスフェノール骨格をもつ不飽和モノマ−としては、エチレンオキシド付加ビスフェノールA(メタ)アクリル酸エステル、エチレンオキシド付加テトラブロモビスフェノールA(メタ)アクリル酸エステル、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA(メタ)アクリル酸エステル、プロピレンオキシド付加テトラブロモビスフェノールA(メタ)アクリル酸エステル、ビスフェノールAジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸とのエポキシ開環反応で得られるビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸とのエポキシ開環反応で得られるテトラブロモビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸とのエポキシ開環反応で得られるビスフェノールFエポキシ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールFジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸とのエポキシ開環反応で得られるテトラブロモビスフェノールFエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
このような構造を有する不飽和モノマ−の市販品としては、ビスコート#700、#540(以上、大阪有機化学工業(株)製)、アロニックスM−208、M−210(以上、東亞合成(株)製)、NKエステルBPE−100、BPE−200、BPE−500、A−BPE−4(以上、新中村化学(株)製)、ライトエステルBP−4EA、BP−4PA、エポキシエステル3002M、3002A、3000M、3000A(以上、共栄社化学(株)製)、KAYARAD R−551、R−712(以上、日本化薬(株)製)、BPE−4、BPE−10、BR−42M(以上、第一工業製薬(株)製)、リポキシVR−77、VR−60、VR−90、SP−1506、SP−1506、SP−1507、SP−1509、SP−1563(以上、昭和高分子(株)製)、ネオポールV779、ネオポールV779MA(以上、日本ユピカ(株)製)等が挙げられる。
更に、3官能以上の(メタ)アクリレート不飽和モノマ−としては、3価以上の多価アルコールの(メタ)アクリレート、たとえばトリメチロールプロパンリト(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられ、市販品としては、アロニックスM305、M309、M310、M315、M320、M350、M360、M408(以上、東亞合成(株)製)、ビスコート#295、#300、#360、GPT、3PA、#400(以上、大阪有機化学工業(株)製)、NKエステルTMPT、A−TMPT、A−TMM−3、A−TMM−3L、A−TMMT(以上、新中村化学(株)製)、ライトアクリレートTMP−A、TMP−6EO−3A、PE−3A、PE−4A、DPE−6A(以上、共栄社化学(株)製)、KAYARAD PET−30、GPO−303、TMPTA、TPA−320、DPHA、D−310、DPCA−20、DPCA−60(以上、日本化薬(株)製)等が挙げられる。
加えてウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを配合してもよい。ウレタン(メタ)アクリレートとしては、たとえばポリエチレングリコール、ポリテトラメチルグリコール等のポリエーテルポリオール;コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、テトラヒドロ(無水)フタル酸、ヘキサヒドロ(無水)フタル酸等の二塩基酸とエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のジオールの反応によって得られるポリエステルポリオール;ポリε−カプロラクトン変性ポリオール;ポリメチルバレロラクトン変性ポリオール;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のアルキルポリオール;エチレンオキシド付加ビスフェノールA、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA等のビスフェノールA骨格アルキレンオキシド変性ポリオール;エチレンオキシド付加ビスフェノールF、プロピレンオキシド付加ビスフェノールF等のビスフェノールF骨格アルキレンオキシド変性ポリオール、又はそれらの混合物とトリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の有機ポリイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートから製造されるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー等が挙げられる。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、本発明の硬化性組成物の粘度を適度に保つ上で好ましい。
これらウレタン(メタ)アクリレートの市販品のモノマーとしては、たとえばアロニックスM120、M−150、M−156、M−215、M−220、M−225、M−240、M−245、M−270(以上、東亞合成(株)製)、AIB、TBA、LA、LTA、STA、ビスコート#155、IBXA、ビスコート#158、#190、#150、#320、HEA、HPA、ビスコート#2000、#2100、DMA、ビスコート#195、#230、#260、#215、#335HP、#310HP、#310HG、#312(以上、大阪有機化学工業(株)製)、ライトアクリレートIAA、L−A、S−A、BO−A、EC−A、MTG−A、DMP−A、THF−A、IB−XA、HOA、HOP−A、HOA−MPL、HOA−MPE、ライトアクリレート3EG−A、4EG−A、9EG−A、NP−A、1,6HX−A、DCP−A(以上、共栄社化学(株)製)、KAYARADTC−110S、HDDA、NPGDA、TPGDA、PEG400DA、MANDA、HX−220、HX−620(以上、日本化薬(株)製)、FA−511A、512A、513A(以上、日立化成(株)製)、VP(BASF製)、ACMO、DMAA、DMAPAA(以上、興人(株)製)等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、(a)ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート、(b)有機ポリイソシアネート及び(c)ポリオールの反応物として得られるものであるが、(a)ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートと(b)有機ポリイソシアネートを反応させた後、次いで(c)ポリオールを反応させた反応物であることが好ましい。
以上の不飽和モノマ−は単独で用いても良く、必要に応じて複数種を混合して用いても良い。
光ラジカル重合開始剤としては、たとえばアセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、べンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、エチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルォスフィンオキシドなどが挙げられる。
光ラジカル重合開始剤の市販品としては、たとえばIrgacure184、369、651、500、819、907、784、2959、CGI1700、CGI1750、CGI11850、CG24−61、Darocurl116、1173(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、LucirinLR8728、8893X(以上、BASF社製)、ユベクリルP36(UCB社製)、KIP150(ランベルティ社製)等が挙げられる。これらの中で、液状で溶解しやすく、高感度という観点からはLucirinLR8893Xが好ましい。
光ラジカル重合開始剤は全組成物中に、0.01〜10重量%、特に0.5〜7重量%配合されるのが好ましい。配合量の上限は組成物の硬化特性や硬化物の力学特性および光学特性、取り扱い等の点からこの範囲が好ましく、配合量の下限は、硬化速度の低下防止の点からこの範囲が好ましい。
本発明の組成物には更に光増感剤を配合することができ、当該光増感剤としては、たとえばトリエチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、エタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等が挙げられ、市販品としては、たとえばユベクリルP102、103、104、105(以上、UCB社製)等が挙げられる。
更にまた、上記成分以外に必要に応じて各種添加剤として、たとえば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、シランカップリング剤、塗面改良剤、熱重合禁止剤、レベリング剤、界面活性剤、着色剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、溶媒、フィラー、老化防止剤、濡れ性改良剤、離型剤等を必要に応じて配合することができる。
ここで、酸化防止剤としては、たとえばIrganox1010、1035、1076、1222(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、Antigen P、3C、FR、GA−80(以上、住友化学工業(株)製)等が挙げられ、紫外線吸収剤としては、たとえばTinuvin P、234、320、326、327、328、329、213(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、Seesorb102、103、110、501、202、712、704(以上、シプロ化成(株)製)等が挙げられ、光安定剤としては、たとえばTinuvin 292、144、622LD(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、サノールLS770(三共(株)製)、Sumisorb TM−061(住友化学工業(株)製)等が挙げられ、シランカップリング剤としては、たとえばγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、市販品として、SH6062、6030(以上、東レ・ダウ コーニング・シリコーン(株)製)、KBE903、603、403(以上、信越化学工業(株)製)等が挙げられ、塗面改良剤としては、たとえばジメチルシロキサンポリエーテル等のシリコーン添加剤や、非イオン性フルオロ界面活性剤が挙げられ、シリコーン添加剤の市販品としてはDC−57、DC−190(以上、ダウ コーニング社製)、SH−28PA、SH−29PA、SH−30PA、SH−190(以上、東レ・ダウ コーニング・シリコーン(株)製)、KF351、KF352、KF353、KF354(以上、信越化学工業(株)製)、L−700、L−7002、L−7500、FK−024−90(以上、日本ユニカー(株)製)、非イオン性フルオロ界面活性剤の市販品としてはFC−430、FC−171(以上、3M(株)製)、メガファックF−176、F−177、R−08、F780(以上、大日本インキ(株)製)等が挙げられ、離型剤としてはプライサーフA208F(第一工業製薬(株)製)等が挙げられる。
本発明の樹脂液は、前記の各成分を常法により混合して製造することができ、必要に応じて加熱溶解により製造できる。このようにして調製される樹脂液の粘度は、通常100〜50000mPa・s/25°Cである。
シートWやエンボスローラ13に樹脂液を供給する場合には、粘度が高すぎると、均一に組成物を供給するのが難しくなり、塗布むらやうねり、気泡の混入が生じたりするため、目的とする、一定の厚みを得るのが難しくなり、性能を充分に発揮できない。塗布欠陥を減らすために、保温設定により、粘度を調整することも可能である。
次に、図1に戻って、光学材料の製造装置10の作用について説明する。シート供給手段11より、一定速度でシートWを送り出す。シートWは塗布手段12へ送り込まれ、シートWの表面に樹脂液が塗布される。
塗布後に乾燥手段19によりシートWに塗布された樹脂液が乾燥され、所定量の溶剤分が蒸発する。このように、シートWをエンボスローラ13に巻き掛けて硬化させる前に、この塗布層に含まれる溶剤を乾燥させる工程を設けているために、添加した溶剤が硬化後も残ることによる製品の機能劣化や硬化膜の強度劣化の心配はない。同様に、製品使用中に溶剤が放出されて悪臭を発生したり、健康に悪影響を与えたりする心配もない。
次いで、シートWはエンボスローラ13とニップローラ14からなる成形手段へ送り込まれる。これにより、連続走行するシートWを、エンボスローラ13の2時の位置において、回転するエンボスローラ13とニップローラ14とで押圧しながらローラ成形加工がなされる。すなわち、シートWを、回転するエンボスローラ13に巻き掛け、樹脂層にエンボスローラ13表面の凹凸を転写する。
次いで、シートWがエンボスローラ13に巻き掛けられている状態で、樹脂硬化手段15によりシートWを透過して樹脂液層に放射線照射を行い、樹脂液層を硬化させる。その後、エンボスローラ13の8時の位置において、シートWを剥離ローラ16に巻き掛けることによりエンボスローラ13から剥離する。
次いで、エンボスローラ13から剥離されたシートWが剥離ローラ16に巻き掛けられている状態で、金属膜積層手段20によりシートWの表面(凹凸側の面)に金属又は金属酸化物の被膜を積層する。
なお、図1には示していないが、シートWを剥離した後、硬化を更に促進させるため、再度放射線照射を行うこともできる。
剥離されたシートWは、シート巻き取り手段18に搬送され、保護フィルム供給手段17より供給される保護フィルムHがシートWの表面に供給され、両フィルムが重なった状態でシート巻き取り手段18の巻き取りロールにより巻き取られ、収納される。このようなシートWの完成後の概略断面形状を図2に示す。シートWの表面には、エンボスローラ13表面の凹凸が転写された樹脂層Fが形成されている。
この巻き取りロールにより巻き取られ、収納された完成後のシートWを一連の工程の後にオフラインで製品サイズに裁断することもできる。このような完成後のシートWは光学フイルムとして好ましく使用される。
以上説明した本実施の形態によれば、上流側からの一連の工程により、連続走行しているシートWの表面に放射線硬化樹脂を塗布し、このシートWをエンボスローラ13に巻き掛け、エンボスローラ表面の凹凸を転写している状態で放射線を照射して塗布層を硬化させ、このシートWをエンボスローラ13から剥離し、更に、剥離ローラ16にシートWが巻き掛けられている状態でシートWの表面(凹凸側の面)に金属膜(金属又は金属酸化物の被膜)を形成し、剥離されたシートWの片面又は両面に保護フイルムHをラミネートし、ロール状に巻き取る。したがって、一連の工程で巻き取りまで行えるので、欠陥なく高品質で、かつ高ラインスピードで生産性よく製造することができる。
以上、本発明に係る凹凸状シートの製造方法の実施形態の例について説明したが、本発明は上記実施形態の例に限定されるものではなく、各種の態様が採り得る。
たとえば、本実施形態の例では、ローラ状のエンボスローラ13を使用する態様を採用したが、エンドレスベルト等のベルト状体の表面に凹凸パターン(エンボス形状)が形成されたものを使用する態様も採用できる。このようなベルト状体であっても、円柱状のローラと同様に作用し、同様の効果が得られるからである。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[樹脂液の調整]
図3の表に示す化合物を記載の重量比にて混合し、50°Cに加熱して攪拌溶解し、樹脂液(塗布液)を得た。なお、各化合物の名称と内容は以下の通りである。
図3の表に示す化合物を記載の重量比にて混合し、50°Cに加熱して攪拌溶解し、樹脂液(塗布液)を得た。なお、各化合物の名称と内容は以下の通りである。
EB3700:エベクリル3700、ダイセルUC(株)製、
ビスフェノールAタイプエポキシアクリレート、
(粘度:2200mPa・s/65°C)
BPE200:NKエステルBPE−200、新中村化学(株)製、
エチレンオキシド付加ビスフェノールAメタクリル酸エステル、
(粘度:590mPa・s/25°C)
BR−31 :ニューフロンティアBR−31、第一工業製薬(株)製、
トリブロモフェノキシエチルアクリレート、
(常温で固体、融点50°C以上)
LR8893X:Lucirin LR8893X、BASF(株)製の北ラジカル発生剤、
エチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルオスフィンオキシド
MEK :メチルエチルケトン
[光学材料の製造]
図1に示される構成の光学材料の製造装置10を使用して光学材料、ここでは、構造色シートの製造を行った。
ビスフェノールAタイプエポキシアクリレート、
(粘度:2200mPa・s/65°C)
BPE200:NKエステルBPE−200、新中村化学(株)製、
エチレンオキシド付加ビスフェノールAメタクリル酸エステル、
(粘度:590mPa・s/25°C)
BR−31 :ニューフロンティアBR−31、第一工業製薬(株)製、
トリブロモフェノキシエチルアクリレート、
(常温で固体、融点50°C以上)
LR8893X:Lucirin LR8893X、BASF(株)製の北ラジカル発生剤、
エチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルオスフィンオキシド
MEK :メチルエチルケトン
[光学材料の製造]
図1に示される構成の光学材料の製造装置10を使用して光学材料、ここでは、構造色シートの製造を行った。
シートWとして、幅500mm、厚さ100μmの透明なPET(ポリエチレンテレフタレート)のフィルムを使用した。
シートWの走行速度(ライン速度)を、1m/分に設定した。
エンボスローラ13として、次の手順で製作したものを用いた。すなわち、Si基板の表面に、構造色として、設計された、100〜500nmピッチ、高さ50〜200nmの凹凸パターンを電子線描画とエッチングで形成し、この形状の反転型をNi電鋳により形成した薄い金属製の板状体(Ni電鋳シート)を複数枚製作し、その複数枚をローラ表面に巻き付け固定したものを、エンボスローラ13として用いた。なお、Ni電鋳シートの継ぎ目は段差を生じないように平滑化した。図4にエンボスローラ13の平面図を一例として示す。
塗布手段12としてダイコータを使用した。塗布手段12の塗布ヘッド12Cとして、エクストルージョンタイプのものを使用した。
既述の図3の表に記載の塗布液F(樹脂液)を使用した。
塗布液F(樹脂液)の湿潤状態の厚さは、有機溶剤乾燥後の膜厚が10μmになるように、塗布ヘッド12Cへの塗布液Fの供給量を液供給装置(送液ポンプ)により制御した。
乾燥手段19として、熱風循環方式の装置を用いた。塗布後の乾燥条件(熱風の温度等)により、塗布液F中の溶剤濃度を調整した。
ニップローラ14として、直径が200mmで、表面にゴム硬度が90のシリコンゴムの層を形成したローラを使用した。エンボスローラ13とニップローラ14とでシートWを押圧するニップ圧(実効のニップ圧)は、0.5Paとした。
樹脂硬化手段15として、メタルハライドランプを使用し、1000mJ/cm2のエネルギーで照射を行った。
金属層形成手段20として、真空蒸着装置を用いた。このときの真空度は、3×10−5 Torrに設定した。
以上により構成される光学材料の製造装置10を用いて、構造色シートを製造した。具体的には、次に示すとおりの手順で行った。
まず、シート供給手段11よりシートW(PETフィルム)を送り出し、PETフィルムの表面に樹脂液F(UV硬化樹脂液)を塗布ヘッド12Cにより塗布した後、PETフィルムをエンボスローラ13に巻き掛け、樹脂層Fにエンボスローラ13表面の凹凸を転写した。次いで、PETフィルムがエンボスローラ13に巻き掛けられている状態で、樹脂硬化手段15(メタルハライドランプ)によってPETフィルムを透過して樹脂層Fに放射線照射を行い、樹脂層Fを硬化させた。更に、エンボスローラ13から剥離されたPETフィルムが剥離ローラ16に巻きかけられている状態で、金属膜積層手段20(真空蒸着装置)によって、PETフィルムの表面(凹凸側の面)にTiO2を厚みが150nmとなるように積層した。次に、同様な条件にて、フィルム表面にSiO2を厚みが200nmとなるように積層した。さらに、その上に、同様な条件にて、フィルム表面にTiO2を厚みが150nmとなるように積層した。その後、剥離ローラ16から剥離されたPETフィルムを、シート巻き取り手段18に搬送し、保護フィルム供給手段17より供給される保護フィルムHをPETフィルムの表面に供給し、両フィルムが重なった状態でシート巻き取り手段18の巻き取りロールにより巻き取った。最後に、巻き取ったロールから、所定の製品サイズに裁断することによって、所望の構造色シートを得ることができた。なお、表面に形成する凹凸のパターンおよび積層する材料、この場合、TiO2やSiO2の屈折率、さらに、積層する層数や厚みを変更することにより、構造色の色味ならびに輝度などを変更することができる。
以上より、上流側から一連の工程で巻き取りまで行えるので、欠陥なく高品質で、かつ生産性よく製造することができるということを確認した。
10…光学材料の製造装置、11…シート供給手段、12…塗布手段、13…エンボスローラ、14…ニップローラ、15…樹脂硬化手段、16…剥離ローラ、17…保護フィルム供給手段、18…シート巻き取り手段、20…金属膜積層手段、H…保護フィルム、W…シート
Claims (15)
- シート状体の表面に、凹凸ローラ表面の凹凸を転写形成する凹凸状シートの製造方法において、
帯状可撓性のシート状体を連続走行させる工程と、
連続走行している前記シート状体の表面に放射線硬化樹脂液を塗布し塗布層を形成する工程と、
連続走行している前記シート状体を回転する前記凹凸ローラに巻き掛け、前記塗布層に前記凹凸ローラ表面の凹凸を転写する工程と、
連続走行している前記シート状体が前記凹凸ローラに巻き掛けられている状態で放射線を照射し前記塗布層を硬化させる工程と、
連続走行している前記シート状体を前記凹凸ローラから剥離させる工程と、
剥離後の連続走行している前記シート状体の表面に金属又は金属酸化物の被膜を積層する工程と、
前記被膜の積層後の連続走行している前記シート状体をロール状に巻き取る工程と、
を含むことを特徴とする凹凸状シートの製造方法。 - 前記塗布層中の溶剤を乾燥させる工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の凹凸状シートの製造方法。
- 前記被膜の積層後の連続走行している前記シート状体の片面又は両面に保護フィルムをラミネートする工程を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の凹凸状シートの製造方法。
- 前記被膜の積層後の連続走行している前記シート状体の前記塗布層側の面が、前記保護フィルムでラミネートされるまで、他の固体物に接触しないように搬送されることを特徴とする請求項3に記載の凹凸状シートの製造方法。
- 連続走行している前記シート状体の幅方向の端部位置を検出して前記シート状体の幅方向位置を制御する工程を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の凹凸状シートの製造方法。
- 外周面に前記シート状体を吸引保持するとともに所定の周速度で回転する駆動ドラムにより前記シート状体を連続走行させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の凹凸状シートの製造方法。
- 張力制御手段により連続走行している前記シート状体の張力を制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の凹凸状シートの製造方法。
- ロール状に巻き取った前記シート状体を製品サイズに裁断する工程を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の凹凸状シートの製造方法。
- 前記シート状体に転写形成された凹凸パターンの欠陥を検査する工程を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の凹凸状シートの製造方法。
- 前記放射線が紫外線であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の凹凸状シートの製造方法。
- 前記金属又は金属酸化物の被膜を前記シート状体の表面に積層する方法が、蒸着、スパッタ、及びイオンプレーティングのいずれかであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の凹凸状シートの製造方法。
- 前記金属又は金属酸化物の被膜を前記シート状体の表面に積層する方法が、ドライプロセスであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の凹凸状シートの製造方法。
- 前記シート状体に転写形成された凹凸パターンのピッチが1μm以下であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の凹凸状シートの製造方法。
- 前記シート状体が光学材料として使用されることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の凹凸状シートの製造方法。
- 帯状可撓性のシート状体を送り出すシート状体供給手段と、
前記シート状体の表面に放射線硬化樹脂液を塗布し塗布層を形成する塗布手段と、
連続走行している前記シート状体を回転する前記凹凸ローラに巻き掛け、前記塗布層に前記凹凸ローラ表面の凹凸を転写する転写手段と、
連続走行している前記シート状体が前記凹凸ローラに巻き掛けられている状態で放射線を照射し前記塗布層を硬化させる硬化手段と、
連続走行している前記シート状体を前記凹凸ローラから剥離させる剥離手段と、
剥離後の連続走行している前記シート状体の表面に金属又は金属酸化物の被膜を積層する積層手段と、
前記被膜の積層後の連続走行している前記シート状体をロール状に巻き取るシート状体巻き取り手段と、
を備えたことを特徴とする凹凸状シートの製造装置。
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