JP2008006373A - 漆塗装方法および樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】漆塗装方法および樹脂組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】リグノレゾルシノールなどのリグノフェノール誘導体をジオキサンなどの有機溶媒に溶解し、それに漆を加えて漆塗装することにより、漆の硬化速度が促進され、かつ光沢性などの漆塗膜の本来の望ましい物性が維持される。また、漆、リグノフェノール誘導体および有機溶媒からなる樹脂組成物は、漆塗装はもとより、接着剤などとして使用できる。
【選択図】なし
【解決手段】リグノレゾルシノールなどのリグノフェノール誘導体をジオキサンなどの有機溶媒に溶解し、それに漆を加えて漆塗装することにより、漆の硬化速度が促進され、かつ光沢性などの漆塗膜の本来の望ましい物性が維持される。また、漆、リグノフェノール誘導体および有機溶媒からなる樹脂組成物は、漆塗装はもとより、接着剤などとして使用できる。
【選択図】なし
Description
本発明は、漆塗装方法および樹脂組成物に関する。より詳しくは、漆の硬化速度が促進され、かつ光沢性などの漆塗膜の本来の望ましい物性が維持された、漆塗装方法およびそのような漆塗装などに用いることができる樹脂組成物に関する。
漆は、ふっくら感、深み感などの感性を発現する美的で耐久性に優れた塗膜を形成するため、古くから主に工芸塗装に使用されている。漆は、その主成分の一つであるウルシオールというフェノール誘導体が、漆が有するフェノール酸化酵素であるラッカーゼの作用により重合し硬化して塗膜を形成する。この硬化過程では、ラッカーぜ酵素は空気中の水分を吸収して酵素活性を発揮するため、通常、25℃、湿度80%程度の室内で2から3週間かけて硬化させて塗膜を形成させ、この工程を数回繰り返して、漆塗装は行われるため、漆塗装は通常長期間を要する。
従来から、ウルシオールの硬化を促進させて漆の塗膜形成期間を短縮する試みが多くなされており、例えば、特許文献1では、漆にオルトケイ酸アルキルエステルなどの特定の有機ケイ酸エステルを添加する方法が提案されており、特許文献2では、予めウルシオールのオリゴマーを製造して、漆塗装を行うことが提案されている。
従来から、ウルシオールの硬化を促進させて漆の塗膜形成期間を短縮する試みが多くなされており、例えば、特許文献1では、漆にオルトケイ酸アルキルエステルなどの特定の有機ケイ酸エステルを添加する方法が提案されており、特許文献2では、予めウルシオールのオリゴマーを製造して、漆塗装を行うことが提案されている。
他方、木質材料のリサイクルの一環として、木質材料の主成分の一つであるリグニンからリグノフェノール誘導体を製造し、このリグノフェノール誘導体を接着剤や高機能性住宅部材用のファイバー状、チップ状などの成形材料としてリサイクルすることが提案されている(特許文献3、特許文献4など)。しかしながら、今まで、リグノフェノール誘導体を漆とともに利用する試みはなされていない。
特開2003−306640号公報
特許第3001056号公報
特開2005−60590号公報
特開平9−278904号公報
従って、本発明の課題は、リグノフェノール誘導体を利用した、漆の硬化速度が促進され、かつ光沢性などの漆塗膜の本来の望ましい物性が維持された、漆塗装方法およびそのような漆塗装などに用いることのできる樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意研究した結果、リグノフェノール誘導体を有機溶媒に溶解し、次いでそれに漆を加えて漆塗装することにより、漆の硬化速度が促進され、かつ光沢性などの漆塗膜の本来の望ましい物性が維持されるることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち本発明は、リグノフェノール誘導体を有機溶媒に溶解し、次いでその溶液に漆を加えて漆塗装することを特徴とする漆塗装方法に関する。
更に本発明は、漆、リグノフェノール誘導体および有機溶媒からなる主としてなる樹脂組成物に関する。
即ち本発明は、リグノフェノール誘導体を有機溶媒に溶解し、次いでその溶液に漆を加えて漆塗装することを特徴とする漆塗装方法に関する。
更に本発明は、漆、リグノフェノール誘導体および有機溶媒からなる主としてなる樹脂組成物に関する。
リグノレゾルシノールなどのリグノフェノール誘導体をジオキサンなどの有機溶媒に溶解し、それに漆を加えて漆塗装することにより、漆の硬化速度が促進され、かつ光沢性などの漆塗膜の本来の望ましい物性が維持される。また、漆、リグノフェノール誘導体および有機溶媒からなる主としてなる樹脂組成物は、漆塗装や接着剤として有効に使用することができる。
本発明では漆として、漆料植物から得られる生漆、生漆をクロメ(加熱脱水)処理して得られる精製漆などの通常使用されるものを使用することができる。また、生漆は日本産、中国産、台湾産などのいずれも使用することができる。
リグノフェノール誘導体としては、特開平2−23701号公報、特開平9−278904号公報、特開2004−75751号公報などに記載の公知の方法により得られるリグノフェノール誘導体を使用することができる。すなわち、木粉、チップ、廃材などのリグノセルロース系材料に、液体状のフェノール誘導体を浸透させて、リグニンをフェノール誘導体により溶媒和させ、次いで濃酸を添加してセルロース成分を溶解分離して、得られるリグノフェノール誘導体、あるいは、リグノセルロース系材料に、溶媒に溶解したフェノール誘導体を浸透させた後に溶媒を留去して、フェノール誘導体を吸着させ、次いで濃酸を添加してセルロース成分を溶解分離して、得られるリグノフェノール誘導体などを用いることができる。ここで使用するフェノール誘導体としては、フェノール、クレゾールなどの1価のフェノール、カテコール、レゾルシノールなどの2価のフェノール、ピロガロールなどの3価のフェノールなどが挙げられる。濃酸としては、硫酸、リン酸などの濃酸を挙げることができる。フェノール誘導体として、例えば、クレゾールを用いた場合には、リグノクレゾールが、レゾルシノールを用いた場合には、リグノレゾルシノールが得られる。本発明では、いずれのリグノフェノール誘導体を用いてもよいが、リグノフェノール、リグノカテコール、リグノレゾルシノールなどが好ましく、特にリグノレゾルシノールが好ましい。
リグノフェノール誘導体としては、特開平2−23701号公報、特開平9−278904号公報、特開2004−75751号公報などに記載の公知の方法により得られるリグノフェノール誘導体を使用することができる。すなわち、木粉、チップ、廃材などのリグノセルロース系材料に、液体状のフェノール誘導体を浸透させて、リグニンをフェノール誘導体により溶媒和させ、次いで濃酸を添加してセルロース成分を溶解分離して、得られるリグノフェノール誘導体、あるいは、リグノセルロース系材料に、溶媒に溶解したフェノール誘導体を浸透させた後に溶媒を留去して、フェノール誘導体を吸着させ、次いで濃酸を添加してセルロース成分を溶解分離して、得られるリグノフェノール誘導体などを用いることができる。ここで使用するフェノール誘導体としては、フェノール、クレゾールなどの1価のフェノール、カテコール、レゾルシノールなどの2価のフェノール、ピロガロールなどの3価のフェノールなどが挙げられる。濃酸としては、硫酸、リン酸などの濃酸を挙げることができる。フェノール誘導体として、例えば、クレゾールを用いた場合には、リグノクレゾールが、レゾルシノールを用いた場合には、リグノレゾルシノールが得られる。本発明では、いずれのリグノフェノール誘導体を用いてもよいが、リグノフェノール、リグノカテコール、リグノレゾルシノールなどが好ましく、特にリグノレゾルシノールが好ましい。
本発明では、このようなリグノフェノール誘導体を有機溶媒に溶解し、その溶液に漆を加えて漆塗装を行う。
本発明で使用する有機溶媒としては、漆とリグノフェノール誘導体の両者を溶解することができ、かつ水に溶解し水と同程度の沸点を有する有機溶媒が好ましく、具体的には、ジオキサン、メタノール、エタノールなどの低級アルコール、アセトン、ジメチルスルホキシド、シメチルホルムアミド、テトラヒドロフランなどが好ましく、特に、ジオキサンが好ましい。有機溶媒の使用量は、リグノフェノール誘導体に対して、通常、100から2000重量%、好ましくは、200から500重量%である。リグノフェノール誘導体を有機溶媒に溶解し、得られる溶液に漆を加える際の漆の量は、リグノフェノール誘導体に対して、通常、10から500重量%、好ましくは、20から100重量%である。
本発明で使用する有機溶媒としては、漆とリグノフェノール誘導体の両者を溶解することができ、かつ水に溶解し水と同程度の沸点を有する有機溶媒が好ましく、具体的には、ジオキサン、メタノール、エタノールなどの低級アルコール、アセトン、ジメチルスルホキシド、シメチルホルムアミド、テトラヒドロフランなどが好ましく、特に、ジオキサンが好ましい。有機溶媒の使用量は、リグノフェノール誘導体に対して、通常、100から2000重量%、好ましくは、200から500重量%である。リグノフェノール誘導体を有機溶媒に溶解し、得られる溶液に漆を加える際の漆の量は、リグノフェノール誘導体に対して、通常、10から500重量%、好ましくは、20から100重量%である。
本発明の漆塗装を実施するには、リグノフェノール誘導体を有機溶媒に溶解し、次いで漆を加えて得られる溶解物を塗料として用いて、通常の塗装方法により塗装することができる。塗装には、ロールコーター、フローコーター、ナイフコーター、ハケ、エアスプレー機、静電塗装機などを用いることができる。リグノフェノール誘導体を有機溶媒に溶解し、次いで漆を加えて得られる溶解物には、通常、塗料に使用される各種顔料や各種添加剤などを添加してもよい。本発明の漆塗装は、木質ボード、合板などの住宅部材の塗装、工芸品の塗装、日用品の塗装などに広く用いることができる。塗装後は、通常、25℃前後の温度、湿度80%程度の室内、あるいは恒温恒湿槽内で硬化させて塗膜を形成するのが好ましい。このような条件下で硬化させることにより、漆中のウルシオールとリグノフェノール誘導体とが、漆中のフェノール酸化酵素であるラッカーゼの作用により、共重合して塗膜が形成されると考えられる。
本発明においては、上記したような、漆、リグノフェノール誘導体および有機溶媒からなる主としてなる樹脂組成物を漆塗装に用いることができ、また、それ以外にも、例えば接着剤として用いることもできる。本発明の樹脂組成物は、通常の接着剤と同様に用いることができる。本発明の樹脂組成物を接着剤として用いる場合、例えば、木質成形材料のバインダーとして有用である。木質成形材料のバインダーとして用いる場合には、本発明の樹脂組成物を、成形前あるいは成形後の木質成形材料に含浸させ、次いで固形化することによって木質成形材料のバインダーとして使用することができる。それに以外にも、本発明の樹脂組成物は、例えば、それ自体を用いて、適当な成形体を作成することもできる。本発明の樹脂組成物は、その用途に応じて、例えば、充填材、補強材、酸化防止剤、発泡剤、消泡剤、接着性付与剤、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤、界面活性剤、エラストマー、染料、顔料、着色剤等の通常、接着剤、塗料、成形体などに添加される添加剤を含有してもよい。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
実施例1
精製漆とリグノクレゾールまたはリグノレゾルシノールとの混合物を各種有機溶媒に溶解して、得られる溶解物を塗料として用いて、その塗料としての物性を評価した。
(1)リグノレゾルシノール、漆およびジオキサンを用いた塗装
リグノレゾルシノールを相分離変換システム技術により調製した。すなわち、シラカバ木粉10gに、アセトンに溶解したレゾルシノール5gを加え、数時間置いた。アセトンを気化させて除いた後、85重量%リン酸9容量部と濃硫酸1容量部の混合物50mlを加えて撹拌した。50℃で30分間混合した後、500mlの水に入れ、遠心分離で不溶物を回収した。これを中性になるまで水で洗浄し、不溶物を乾燥した。これをアセトンで抽出し、抽出物をエーテルに加え、リグノレゾルシノールを沈殿させた。
得られたリグノレゾルシノール0.5gをジオキサン1.5mlに溶解した。これに精製ウルシを0.5g加えた。飴色の均一なゾルになり、これをMDFに塗布して、湿度調整デシケーターに保管した。
1日後には、塗膜は淡褐色となり光沢を持っていた。7日後に、アセトンを染み込ませたキムワイプで表面を拭いたところ、溶解は見られなかった。従って、硬化が完全に完了していた。図1の左側に、塗装後の塗膜の写真を示した。
精製漆とリグノクレゾールまたはリグノレゾルシノールとの混合物を各種有機溶媒に溶解して、得られる溶解物を塗料として用いて、その塗料としての物性を評価した。
(1)リグノレゾルシノール、漆およびジオキサンを用いた塗装
リグノレゾルシノールを相分離変換システム技術により調製した。すなわち、シラカバ木粉10gに、アセトンに溶解したレゾルシノール5gを加え、数時間置いた。アセトンを気化させて除いた後、85重量%リン酸9容量部と濃硫酸1容量部の混合物50mlを加えて撹拌した。50℃で30分間混合した後、500mlの水に入れ、遠心分離で不溶物を回収した。これを中性になるまで水で洗浄し、不溶物を乾燥した。これをアセトンで抽出し、抽出物をエーテルに加え、リグノレゾルシノールを沈殿させた。
得られたリグノレゾルシノール0.5gをジオキサン1.5mlに溶解した。これに精製ウルシを0.5g加えた。飴色の均一なゾルになり、これをMDFに塗布して、湿度調整デシケーターに保管した。
1日後には、塗膜は淡褐色となり光沢を持っていた。7日後に、アセトンを染み込ませたキムワイプで表面を拭いたところ、溶解は見られなかった。従って、硬化が完全に完了していた。図1の左側に、塗装後の塗膜の写真を示した。
(2)リグノクレゾール、漆およびジオキサンを用いた塗装
リグノクレゾールを相分離変換システム技術により調製した。すなわち、シラカバ木粉10gに、アセトンに溶解したクレゾール5gを加え、数時間置いた。アセトンを気化させて除いた後、85重量%リン酸9容量部と濃硫酸1容量部の混合物50mlを加えて撹拌した。50℃で30分間混合した後、500mlの水に入れ、遠心分離で不溶物を回収した。これを中性になるまで水で洗浄し、不溶物を乾燥した。これをアセトンで抽出し、抽出物をエーテルに加え、リグノクレゾールを沈殿させた。
得られたリグノクレゾール0.5gをジオキサン1.5mlに溶解した。これに精製ウルシ0.5gを加えた。黒褐色の均一なゾルになり、これをMDFに塗布して、湿度調整デシケーターに保管した。色は褐色に変化した。
7日後、塗膜表面は乾燥はしたが、アセトンに溶解した。リグノクレゾールの反応性によると思われた。図1の中央に塗装後の塗膜の写真を示した。
リグノクレゾールを相分離変換システム技術により調製した。すなわち、シラカバ木粉10gに、アセトンに溶解したクレゾール5gを加え、数時間置いた。アセトンを気化させて除いた後、85重量%リン酸9容量部と濃硫酸1容量部の混合物50mlを加えて撹拌した。50℃で30分間混合した後、500mlの水に入れ、遠心分離で不溶物を回収した。これを中性になるまで水で洗浄し、不溶物を乾燥した。これをアセトンで抽出し、抽出物をエーテルに加え、リグノクレゾールを沈殿させた。
得られたリグノクレゾール0.5gをジオキサン1.5mlに溶解した。これに精製ウルシ0.5gを加えた。黒褐色の均一なゾルになり、これをMDFに塗布して、湿度調整デシケーターに保管した。色は褐色に変化した。
7日後、塗膜表面は乾燥はしたが、アセトンに溶解した。リグノクレゾールの反応性によると思われた。図1の中央に塗装後の塗膜の写真を示した。
(3)リグノクレゾールまたはリグノレゾルシノール、漆およびアセトンを用いた塗装
上記のようにして得られたリグノクレゾールまたはリグノレゾルシノール1gまたは2gをPPビーカーに採りアセトン3gに溶解し、ドラフト内で粘性が上がる程度のアセトンを留去した。これにウルシ2gを加え、撹拌により均一化した。10分間ほど放置後、絵筆でMDFに塗布した。これを飽和食塩水を含むシャーレを入れたデシケーターに保管した。
7日後、リグノクレゾールまたはリグノレゾルシノールとウルシの混合液の塗膜表面をアセトン含浸キムワイプで拭いた。リグノクレゾールとウルシの混合液の場合にはよく溶けたが、リグノレゾルシノールとウルシの混合液の場合には、1gまたは2gのいずれのリグノレゾルシノールを用いた場合にもアセトン含浸キムワイプの着色はわずかであった。従って、リグノレゾルシノールの場合には、1日後に硬化が完了したことが分かる。
上記のようにして得られたリグノクレゾールまたはリグノレゾルシノール1gまたは2gをPPビーカーに採りアセトン3gに溶解し、ドラフト内で粘性が上がる程度のアセトンを留去した。これにウルシ2gを加え、撹拌により均一化した。10分間ほど放置後、絵筆でMDFに塗布した。これを飽和食塩水を含むシャーレを入れたデシケーターに保管した。
7日後、リグノクレゾールまたはリグノレゾルシノールとウルシの混合液の塗膜表面をアセトン含浸キムワイプで拭いた。リグノクレゾールとウルシの混合液の場合にはよく溶けたが、リグノレゾルシノールとウルシの混合液の場合には、1gまたは2gのいずれのリグノレゾルシノールを用いた場合にもアセトン含浸キムワイプの着色はわずかであった。従って、リグノレゾルシノールの場合には、1日後に硬化が完了したことが分かる。
(4)リグノレゾルシノール、漆およびジメチルスルホキシドを用いた塗装
上記のようにして得られたリグノレゾルシノール0.5gをジメチルスルホキシド1.5mlに溶解した。これに精製ウルシを0.5g加えた。粘性は高かったが均一になった。これをMDFに塗布して、湿度調整デシケーターに保管した。7日後に、塗膜表面をアセトン含浸キムワイプで拭いた。アセトン溶解性が見られた。ジメチルスルホキシドの揮発性によると思われる。但し、その後に加温して乾燥することにより容易に硬化できる程度のアセトン溶解性であった。
上記のようにして得られたリグノレゾルシノール0.5gをジメチルスルホキシド1.5mlに溶解した。これに精製ウルシを0.5g加えた。粘性は高かったが均一になった。これをMDFに塗布して、湿度調整デシケーターに保管した。7日後に、塗膜表面をアセトン含浸キムワイプで拭いた。アセトン溶解性が見られた。ジメチルスルホキシドの揮発性によると思われる。但し、その後に加温して乾燥することにより容易に硬化できる程度のアセトン溶解性であった。
(5)リグノレゾルシノール、漆およびテレピン油を用いた塗装
上記のようにして得られたリグノレゾルシノール1gをアセトンに溶かしアセトン量1gまで留去し、そこに精製ウルシ2gを加え、少し撹拌後テレピン油2gを加えた。これをMDF表面に塗布した。
塗装後の塗膜を図1の右側に示した。塗膜の光沢はなかった。
上記のようにして得られたリグノレゾルシノール1gをアセトンに溶かしアセトン量1gまで留去し、そこに精製ウルシ2gを加え、少し撹拌後テレピン油2gを加えた。これをMDF表面に塗布した。
塗装後の塗膜を図1の右側に示した。塗膜の光沢はなかった。
(6)結果
以上のとおり、有機溶媒としてジオキサンを用いた場合、リグノレゾルシノールと漆は均一に混合し、硬化速度もアセトン同様7日間で硬化した。図1に示したように、塗膜表面も漆様の光沢性が見られた。
有機溶媒としてアセトンを用いた場合には、リグノレゾルシノールおよび漆ともに均一に混合でき、7日間でアセトン不溶状態まで硬化した。
テレピン油を使用した場合、リグノレゾルシノールと漆は均一に混合できず、塗膜表面の光沢性も見られなかった。
以上のとおり、有機溶媒としてジオキサンを用いた場合、リグノレゾルシノールと漆は均一に混合し、硬化速度もアセトン同様7日間で硬化した。図1に示したように、塗膜表面も漆様の光沢性が見られた。
有機溶媒としてアセトンを用いた場合には、リグノレゾルシノールおよび漆ともに均一に混合でき、7日間でアセトン不溶状態まで硬化した。
テレピン油を使用した場合、リグノレゾルシノールと漆は均一に混合できず、塗膜表面の光沢性も見られなかった。
Claims (11)
- リグノフェノール誘導体を有機溶媒に溶解し、次いでその溶液に漆を加えて漆塗装することを特徴とする漆塗装方法。
- 有機溶媒が、漆とリグノフェノール誘導体の両者を溶解することができ、かつ水に溶解し水と同程度の沸点を有する有機溶媒である、請求項1の漆塗装方法。
- 有機溶媒がジオキサン、低級アルコール、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドまたはテトラヒドロフランである、請求項1または2の漆塗装方法。
- 有機溶媒がジオキサンである、請求項1から3のいずれかの漆塗装方法。
- リグノフェノール誘導体がリグノレゾルシノールである、請求項1から4のいずれかの漆塗装方法。
- 漆、リグノフェノール誘導体および有機溶媒から主としてなる樹脂組成物。
- 有機溶媒が、漆とリグノフェノール誘導体の両者を溶解することができ、かつ水に溶解し水と同程度の沸点を有する有機溶媒である、請求項6の樹脂組成物。
- 有機溶媒がジオキサン、低級アルコール、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドまたはテトラヒドロフランである、請求項6または7の樹脂組成物。
- 有機溶媒がジオキサンである、請求項6から8のいずれかの樹脂組成物。
- リグノフェノール誘導体がリグノレゾルシノールである請求項6から9のいずれかの樹脂組成物。
- 漆塗装に用いるための、請求項6から10のいずれかの樹脂組成物。
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JP2011219717A (ja) * | 2010-02-10 | 2011-11-04 | Hitachi Chem Co Ltd | 木質系塗料 |
JP5659390B2 (ja) * | 2012-09-21 | 2015-01-28 | 住鉱潤滑剤株式会社 | 潤滑剤組成物 |
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JPWO2014046202A1 (ja) * | 2012-09-21 | 2016-08-18 | 住鉱潤滑剤株式会社 | 潤滑剤組成物 |
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