JP2008004746A - 光半導体素子及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】面発光型半導体レーザ及び静電耐圧素子を有し、高速駆動が可能な光半導体素子及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】半導体基板の表面に直交する方向にレーザ光を射出する多層構造の面発光型半導体レーザと、面発光型半導体レーザの上方または下方に形成された多層構造の光検出素子と、面発光型半導体レーザを静電破壊から保護する静電耐圧素子とを半導体基板上に備え、面発光型半導体レーザを駆動する一対のパッド部35c、36cと光検出素子の一対のパッド部35c、36cとが、それぞれ独立して設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、レーザ光を射出する光半導体素子及びその製造方法に関する。
レーザ光を射出する光半導体素子の一種に面発光型半導体レーザがある。この面発光型半導体レーザは、基板の表面に対して直交する方向に共振器が形成されており、基板表面からレーザ光を射出するレーザである。基板の平行な劈開面を共振器として用いる従来の端面発光型半導体レーザに比べて面発光型半導体レーザは、量産性に適している、直接変調が可能である、低閾値動作が可能である、単一縦モード発振が可能である、二次元レーザアレイ構造を容易に形成することができるなどの特徴を有している。
ところで、面発光型半導体レーザは、従来の端面発光型半導体レーザに比べて素子の体積が小さいため、素子自体の静電破壊耐圧が低い。静電破壊耐圧が低いと、素子を基板や台座などへ実装している最中に機械または作業者から加えられる静電気によって素子が破壊される虞がある。このため、素子の実装を行う際には、静電気を除去する様々な対策が施されている。例えば、作業者の静電気を除去するために、作業者が帯電防止素材を用いた作業着を着用して作業を行ったり、作業環境の湿度を制御すると共にイオナイザーなどを用いて作業環境を常に電気的に中和した状態にしたりしている。しかしながら、これらの対策には限界があり、静電破壊耐圧がおよそ200V以下の素子は実装中に破壊される可能性が高くなる。そこで、静電破壊耐圧を向上させた半導体レーザが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、面発光型半導体レーザは、環境温度によって光出力が変動するという特性がある。そこで、面発光型半導体レーザ上にフォトダイオードなどの受光素子を設け、面発光型半導体レーザから射出されるレーザ光の一部を受光素子で受光してモニタし、このモニタ結果に基づいて面発光型半導体レーザの出力を制御する半導体素子が提案されている(例えば、特許文献2、3参照)
特開2004−6548号公報 特開2005−33106号公報 特開2005−197514号公報
ところで、このような光半導体素子においても、面発光型半導体レーザのさらなる高速駆動化が望まれている。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたものであり、面発光型半導体レーザ及び静電耐圧素子を有し、高速駆動が可能な光半導体素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、本発明にかかる光半導体素子は、板表面に直交する方向にレーザ光を射出する多層構造の面発光型半導体レーザと、該面発光型半導体レーザの上方または下方に形成された多層構造の受光素子と、前記面発光型半導体レーザを静電破壊から保護する静電耐圧素子とを前記基板上に備え、前記面発光型半導体レーザを駆動する一対の入力端子と前記受光素子の一対の出力端子とが、それぞれ独立して設けられていることを特徴とする。
また、本発明の光半導体素子の製造方法は、基板表面に直交する方向にレーザ光を射出する多層構造の面発光型半導体レーザと、当該面発光型半導体レーザの上方または下方に形成された多層構造の受光素子と、前記面発光型半導体レーザを静電破壊から保護する静電耐圧素子とが前記基板上に設けられた光半導体素子の製造方法であって、前記面発光型半導体レーザを駆動する一対の入力端子と前記受光素子の一対の出力端子とをそれぞれ独立して形成することを特徴とする。
この発明では、一対の駆動電極と一対の出力電極とがそれぞれ独立して形成されているので、一対の駆動電極に高速の駆動信号を印加することができ、面発光型半導体レーザを高速駆動することが可能となる。
すなわち、一対の駆動電極の一方と一対の出力電極の一方とが導通している場合、一対の駆動電極に例えば差動駆動のような高速駆動が可能な駆動信号を面発光型半導体レーザに印加すると、一対の出力電極間のバイアス電圧が駆動信号の影響により変動することがある。しかし、駆動電極と出力電極とを独立にすることで、出力電極が駆動電極に印加した駆動信号の影響を受けにくくなる。このため、高速の駆動信号による面発光型半導体レーザの駆動が可能となる。
また、本発明の光半導体素子は、前記静電耐圧素子が、一対の駆動電極の間に前記面発光型半導体レーザに対して並列に接続され、該面発光型半導体レーザとは逆方向の整流作用を有する素子であることが好ましい。
また、本発明の光半導体素子の製造方法は、前記静電耐圧素子を、前記面発光型半導体レーザとは逆方向の整流作用を有するように、前記一対の入力端子の間に前記面発光レーザに対して並列に接続することが好ましい。
この発明では、面発光型半導体レーザに逆バイアスの電圧が印加されても、この逆バイアス電圧による電流が面発光型半導体レーザに流れずに静電耐圧素子に流れるので、逆バイアスに対する静電破壊耐圧を著しく向上させることができる。
また、本発明の光半導体素子は、前記静電耐圧素子に、PN接合、PIN接合、ヘテロ接合またはショットキー接合が形成されていることとしてもよい。
この発明では、PN接合、PIN接合、ヘテロ接合またはショットキー接合が形成された静電耐圧素子に逆バイアス電圧による電流が流れ、面発光型半導体レーザにこの電流が流れることを回避する。
また、本発明の光半導体素子は、前記静電耐圧素子が、前記面発光型半導体レーザ及び前記受光素子の少なくとも一方の前記多層構造の少なくとも一部と同一の層構造を有することが好ましい。
また、本発明の光半導体素子の製造方法は、前記静電耐圧素子を、前記面発光型半導体レーザ及び前記受光素子の少なくとも一方の前記多層構造の少なくとも一部と同一の層構造を有するように形成することが好ましい。
さらに、本発明の光半導体素子の製造方法は、前記静電耐圧素子を、前記面発光型半導体レーザ及び前記受光素子の少なくとも一方と同時に形成することとしてもよい。
この発明では、静電耐圧素子を面発光型半導体レーザや受光素子の多層構造の少なくとも一部と同一の層構造とすることで、静電耐圧素子を面発光型半導体レーザ及び受光素子と共に製造することができる。したがって、静電耐圧素子の製造工程を簡略化して光半導体素子の製造工程の簡略化が図れる。
なお、本発明において「層構造が同一」であるとは、対象となる2つの層の厚み及び組成が同一であることを示しており、対象となる2つの層の層構造が多層構造である場合には多層構造を構成する各層の厚み及び組成が対象となる2つの層でそれぞれ同一であることを示している。
また、本発明の光半導体素子は、前記受光素子が、第1導電型からなる第1半導体層と、光吸収層として機能する第2半導体層と、第2導電型からなる第3半導体層とを備え、前記静電耐圧素子に、前記第1から第3半導体層と同一の層構造によるPIN接合が形成されていることとしてもよい。
そして、本発明の光半導体素子は、前記面発光型半導体レーザと前記受光素子との間に、前記面発光型半導体レーザと前記受光素子とを分離する分離層が形成されていることとしてもよい。
ここで、本発明の光半導体素子は、前記静電耐圧素子に、前記受光素子の前記多層構造の一部と同一の層構造と、前記分離層と、前記面発光型半導体レーザの前記多層構造の一部と同一の層構造とによりヘテロ接合が形成されていることとしてもよい。
また、本発明の光半導体素子は、前記静電耐圧素子が、前記面発光型半導体レーザ及び前記受光素子の前記多層構造と異なる層構造を有することが好ましい。
また、本発明の光半導体素子の製造方法は、前記静電耐圧素子を、前記面発光型半導体レーザ及び前記受光素子の前記多層構造とは異なる層構造を有するように形成することが好ましい。
さらに、本発明の光半導体素子の製造方法は、前記静電耐圧素子を、前記面発光型半導体レーザ及び前記受光素子と異なる工程で形成することとしてもよい。
この発明では、静電耐圧素子を面発光型半導体レーザや受光素子の多層構造と異なる層構造とすることで、面発光型半導体レーザ、受光素子及び静電耐圧素子をそれぞれ光学的及び電気的に最適な構造とすることができる。
また、本発明の光半導体素子は、前記光素子が、第1導電型からなる第1半導体層と、光吸収層として機能する第2半導体層と、第2導電型からなる第3半導体層とを備え、前記静電耐圧素子が、前記第1半導体層または前記第3半導体層と同一の層構造を有することとしてもよい。
そして、本発明の光半導体素子は、前記面発光型半導体レーザと前記受光素子との間に、前記面発光型半導体レーザと前記受光素子とを分離する分離層が形成されていることとしてもよい。
以下、本発明による光半導体素子及びその製造方法の実施形態について説明する。なお、以下の説明で参照する各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするために、各層や各部材ごとに縮尺を適宜変更している。
〔第1の実施形態〕
まず、本発明の第1の実施形態を、図面に基づいて説明する。ここで、図1は光半導体素子を模式的に示す平面図であり、図2は図1におけるA−A矢視断面図であり、図3は図1の等価回路図であり、図4から図6は光半導体素子の製造工程を示す工程図である。
本実施形態における光半導体素子10は、図1及び図2に示すように、面発光型半導体レーザ20、受光素子としての光検出素子30及び静電耐圧素子40を備えている。
〈面発光型半導体レーザ〉
面発光型半導体レーザ20は、例えばn型GaAs基板などで構成された半導体基板11上に形成されている。この面発光型半導体レーザ20は垂直共振器を有しており、垂直共振器を構成する一方の分布反射型多層膜ミラーが柱状の半導体堆積体(以下、第1柱状部と称する)P1に形成されている。すなわち、面発光型半導体レーザ20は、その一部が第1柱状部P1に含まれた構成となっている。
面発光型半導体レーザ20は、分布反射型多層膜ミラー(以下、第1ミラーと称する)21と、活性層22と、分布反射型多層膜ミラー(以下、第2ミラーと称する)23と、コンタクト層24とを順次積層した多層構造となっている。
第1ミラー21は、例えば、n型Al0.9Ga0.1As層とn型Al0.15Ga0.85As層とを交互に40ペア積層した構成となっている。そして、第1ミラー21は、例えばケイ素(Si)がドーピングされることによりn型にされている。
活性層22は、GaAsウェル層とAl0.3Ga0.7Asバリア層からなり、ウェル層が3層で構成される量子井戸構造を有している。
第2ミラー23は、例えば、p型Al0.9Ga0.1As層とp型Al0.15Ga0.85As層とを交互に25ペア積層した構成となっている。そして、第2ミラー23は、例えば炭素(C)がドーピングされることによりp型にされている。
コンタクト層24は、p型GaAsによって構成されている。
したがって、面発光型半導体レーザ20は、p型の第2ミラー23、不純物がドーピングされていない活性層22及びn型の第1ミラー21により、pinダイオードを形成している。
また、面発光型半導体レーザ20のうち、第2ミラー23及びコンタクト層24が第2ミラー23の上面からの平面視において円形の形状にエッチングされており、第1柱状部P1が形成されている。なお、第1柱状部P1の平面形状を円形としたが、これに限られない。
なお、本発明において、AlGaAs層のAl組成とは、ガリウム(Ga)に対するアルミニウム(Al)の組成をいう。AlGaAs層のAl組成は、「0」から「1」までである。すなわち、AlGaAs層は、GaAs層(Al組成が「0」の場合)及びAlAs層(Al組成が「1」の場合)を含む。
また、第1ミラー21、活性層22、第2ミラー23及びコンタクト層24を構成する各層の組成及び層数は、上述した構成に限られない。
さらに、第2ミラー23を構成する層のうち活性層22に近い領域に、AlGaAs層を側面から酸化することにより得られる電流狭窄層25が形成されている。この電流狭窄層25はリング状に形成されている。すなわち、この電流狭窄層25は、図1及び図2に示すように、半導体基板11の表面11aと平行な面で切断した場合における断面形状が、第1柱状部P1の平面形状の円形と同心円のリング状となっている。
また、コンタクト層24上には、第1柱状部P1の外周に沿うように平面視でC字状の電極26が形成されている。この電極26は、例えば、クロム(Cr)と金(Au)及び亜鉛(Zn)の合金と金(Au)との積層膜や、白金(Pt)とチタン(Ti)と金(Au)との積層膜からなる。この電極26は、面発光型半導体レーザ20を駆動するためのものであり、電極26から活性層22に電流が注入される。
〈分離層〉
また、光半導体素子10は、図2に示すように、面発光型半導体レーザ20上に形成された分離層27を備えている。すなわち、分離層27は、面発光型半導体レーザ20と後述する光検出素子30との間に設けられており、コンタクト層24上に形成されている。なお、上述したように、コンタクト層24の上面には平面視でC字状の電極26が形成されているため、分離層27の周囲の一部が電極26に囲まれている。
分離層27は、平面視で円形を有している。ここで、分離層27の平面形状は、図2に示すように、第1コンタクト層31の平面形状と同じであるが、これらの直径は第1柱状部P1の直径よりも小さくなるよう形成されている。なお、分離層27の平面形状は、第1コンタクト層31の平面形状よりも大きく形成することもできる。
〈光検出素子〉
光検出素子30は、第1コンタクト層(第1半導体層)31と光吸収層(第2半導体層)32と第2コンタクト層(第3半導体層)33とを順次積層した多層構造となっており、分離層27上に設けられている。
第1コンタクト層31は、例えばケイ素(Si)がドーピングされることによりn型(第1導電型)にされたn型GaAs層で構成されている。
光吸収層32は、不純物が導入されていないGaAs層で構成されている。
第2コンタクト層33は、例えば炭素(C)がドーピングされることによりp型(第2導電型)にされたp型GaAs層で構成されている。
したがって、光検出素子30は、n型の第1コンタクト層31、不純物がドーピングされていない光吸収層32及びp型の第2コンタクト層33により、pinダイオードを形成している。
また、光吸収層32及び第2コンタクト層33の平面形状は、第1コンタクト層31の平面形状よりも小さく形成されている。
第2コンタクト層33及び光吸収層32は、柱状の半導体堆積体(以下、第2柱状部と称する)P2を構成する。つまり、光検出素子30は、その一部が第2柱状部P2に含まれた構成である。なお、光検出素子30の上面は、面発光型半導体レーザ20からのレーザ光の射出面34とされている。
また、第1コンタクト層31上には、その外周に沿うように電極35が形成されている。つまり、電極35は、第2柱状部P2を取り囲むように設けられている。この電極35は、例えば、クロム(Cr)と金(Au)及びゲルマニウム(Ge)の合金とニッケル(Ni)と金(Au)との積層膜からなる。
電極35は、図1に示すように、平面視でリング状の接続部35aと、平面視で直線状の引出部35bと、平面視で円状のパッド部(出力端子)35cとを備えている。
接続部35aは、第2柱状部P2の外周を取り囲むように形成されており、第1コンタクト層31と電気的に接続されている。引出部35bは、接続部35aとパッド部35cとを接続している。パッド部35cは、光検出素子30からの出力信号を取り出す出力用の電極パッドとして用いられる。
なお、接続部35aの形状は、平面視でリング状となっているが、第1コンタクト層31に接触していれば他の形状であってもよい。
また、第2コンタクト層33上には、電極36が形成されている。この電極36は、図1に示すように、平面視でリング状の接続部36aと、平面視で直線状の引出部36bと、平面視で円状のパッド部(出力端子)36cとを備えている。
この電極36は、例えば、クロム(Cr)と金(Au)及び亜鉛(Zn)の合金と金(Au)との積層膜や、白金(Pt)とチタン(Ti)と金(Au)との積層膜によって形成されている。
接続部36aは、第2コンタクト層33と電気的に接続されており、中央に形成された開口部37から第2コンタクト層33の上面の一部が露出している。この露出した面が、レーザ光の上記射出面34を構成する。したがって、開口部37の平面形状及び大きさを適宜設定することにより、射出面34の形状及び大きさを適宜設定することができる。
引出部36bは、接続部36aとパッド部36cとを接続している。パッド部36cは、パッド部35cと同様に、光検出素子30からの出力信号を取り出す出力用の電極パッドとして用いられる。
したがって、パッド部35c、36cによって光検出素子30の一対の出力端子を構成している。
〈静電耐圧素子〉
静電耐圧素子40は、半導体基板11上であって、第1柱状部P1及び第2柱状部が形成された位置とは異なる位置に形成された柱状の半導体堆積体(以下、第3柱状部と称する)P3の一部と第3柱状部P3上に形成された柱状の半導体堆積体(以下、第4柱状部と称する)P4とによって構成されている。
第3柱状部P3は、第2ミラー23とコンタクト層24と分離層27と第1コンタクト層31を順次積層した構成となっており、これらがエッチングされることで形成されている。また、第4柱状部P4は、光吸収層32と第2コンタクト層33とを積層した構成となっており、これらがエッチングされることで形成されている。
ここで、第3柱状部P3は第1コンタクト層31の上面からみて円形の形状にエッチングされ、第4柱状部P4は第2コンタクト層33の上面からみて円形の形状にエッチングされる。また、図1及び図2に示すように、第4柱状部P4は、その直径が第3柱状部P3の直径よりも小さくなるように形成され、かつ第3柱状部P3と同心とならないよう、第1柱状部P1及び第2柱状部P2から離れる方向に偏心した状態に形成されている。なお、第4柱状部P4が第3柱状部P3から偏心させているが、第3柱状部P3と同心であってもよい。
上述したように、静電耐圧素子40は、第3柱状部P3の第1コンタクト層31と、第4柱状部P4の光吸収層32及び第2コンタクト層33とを含んで構成される。このため、静電耐圧素子40を構成する第1コンタクト層31は、光検出素子30を構成する第1コンタクト層31と層構造が同一となっている。また、静電耐圧素子40を構成する光吸収層32は、光検出素子30を構成する光吸収層32と層構造が同一となっている。そして、静電耐圧素子40を構成する第2コンタクト層33は、光検出素子30を構成する第2コンタクト層33と層構造が同一となっている。
したがって、静電耐圧素子40を構成する第1コンタクト層31、光吸収層32及び第2コンタクト層33によってもpinダイオードが形成される。ここで、「層構造が同一」であるとは、対象となる2つの層の厚み及び組成が同一であることを意味し、対象となる2つの層の層構造が多層構造である場合には、多層構造を構成する各層の厚み及び組成が対象となる2つの層でそれぞれ同一であることを意味する。
静電耐圧素子40を構成する第1コンタクト層31上には、第1柱状部P1及び第2柱状部P2と向かい合う側に、平面視でほぼ矩形状の電極41が形成されている。この電極41は、上述した電極35、36と同じ材質によって形成されている。
また、静電耐圧素子40を構成する第2コンタクト層33上には、平面視で第4柱状部P4の平面形状と相似の円状の電極42が形成されている。電極42は、上述した電極26と同じ材質によって形成されている。これら電極41、42は、静電耐圧素子40を駆動するために使用される。
〈絶縁層〉
また、光半導体素子10には、主に第1柱状部P1、第2柱状部P2及び第3柱状部P3の周面と第4柱状部の側面の一部とに絶縁層50が形成されている。すなわち、絶縁層50は、第1ミラー21または活性層22上に第1柱状部P1及び第3柱状部P3を囲むように形成されている。また、絶縁層50は、第1コンタクト層31上に第2柱状部P2を囲むように形成されている。そして、絶縁層50は、電極35の引出部35b及びパッド部35cの下と、電極36の引出部36b及びパッド部36cの下と、後述する電極配線51、52の下とに形成されている。
〈電極配線〉
また、光半導体素子10は、面発光型半導体レーザ20と静電耐圧素子40との導通を確保する電極配線51、52を備えている。
この電極配線51は、面発光型半導体レーザ20の電極26と、静電耐圧素子40の電極41とを電気的に接続する構成となっており、例えば金(Au)を用いて形成されている。そして、電極配線51は、図1に示すように、平面視でC字状の接続部51aと、平面視でT字状の引出部51bと、平面視で円状のパッド部(入力端子)51cとを備えている。
接続部51aは、電極26上に接合されて電気的に接続されている。また、引出部51bは、接続部51aと静電耐圧素子40の電極41とを接続すると共にパッド部51cに接続されている。そして、パッド部51cは、面発光型半導体レーザ20を駆動させる駆動信号の入力用の電極パッドとして用いられる。
また、電極配線52は、第1ミラー21上に形成された電極28と静電耐圧素子40の電極42とを接続する構成となっており、例えば金(Au)を用いて形成されている。ここで、電極28は、面発光型半導体レーザ20の電極の1つであって、上述した電極35などと同じ材質によって形成されている。そして、電極配線52は、図1に示すように、平面視でリング状の接続部52aと、平面視で矩形状の引出部52bと、平面視で円状のパッド部(入力端子)52bとを備えている。
接続部51aは、電極42上に接合されて電気的に接続されている。また、引出部52bは、接続部52aとパッド部52cとを接続すると共に電極28に接続されている。そして、パッド部52cは、パッド部51cと同様に、面発光型半導体レーザ20を駆動させる駆動信号の入力用の電極パッドとして用いられる。
なお、面発光型半導体レーザ20の電極26と静電耐圧素子40の電極41とを電極配線51で接続し、前記第1ミラー21上の一部に形成された電極28と静電耐圧素子40の電極42とを電極配線52で接続する替わりに、電極26及び電極41や電極28及び電極42をワイヤボンディングで接続してもよい。この場合、電極26と電極28とによって一対の入力端子が形成される。しかし、電極配線51、52を用いて接続した方が配線抵抗を低くすることができるため、高周波特性に優れると共に製造工程の信頼性も高い。
〈全体の構成〉
本実施形態の光半導体素子10は、面発光型半導体レーザ20のn型の第1ミラー21及びp型の第2ミラー23と、光検出素子30のn型の第1コンタクト層31及びp型の第2コンタクト層33とから、全体としてnpnp構造になっている。ここで、光検出素子30は、面発光型半導体レーザ20で発生したレーザ光の出力をモニタするために設けられる。具体的には、光検出素子30は、面発光型半導体レーザ20で生じたレーザ光を電流に変換し、この電流の値によって面発光型半導体レーザ20で生じたレーザ光の出力がモニタされる。
より具体的には、光検出素子30において、面発光型半導体レーザ20により生じたレーザ光の一部が光吸収層32にて吸収され、この吸収された光によって光吸収層32で光励起が生じ、電子及び正孔が生成される。そして、外部から印加された電界によって電子は電極35に、正孔は電極36にそれぞれ移動する。その結果、光検出素子30において、第1コンタクト層31から第2コンタクト層33の方向に電流が生じる。
また、面発光型半導体レーザ20の光出力は、面発光型半導体レーザ20に印加するバイアス電圧によって主に決定される。特に、面発光型半導体レーザ20の光出力は、面発光型半導体レーザ20の周囲温度や面発光型半導体レーザ20の寿命によって大きく変化する。このため、面発光型半導体レーザ20において所定の光出力を維持することが必要である。
そして、光半導体素子10では、面発光型半導体レーザ20の光出力を光検出素子30でモニタし、光検出素子30にて発生した電流の値に基づいて面発光型半導体レーザ20に印加する電圧値を調整することによって、面発光型半導体レーザ20内を流れる電流の値を調整することができる。したがって、面発光型半導体レーザ20において所定の光出力を維持することができる。面発光型半導体レーザ20の光出力を面発光型半導体レーザ20に印加する電圧値にフィードバックする制御は、外部電子回路(駆動回路、図示略)を用いて実現することができる。
また、光半導体素子10は、面発光型半導体レーザ20の電極26と静電耐圧素子40の電極41とが電極配線51によって接続されており、面発光型半導体レーザ20の電極28と静電耐圧素子40の電極42とが電極配線52によって接続されている。ここで、面発光型半導体レーザ20の電極26はp型GaAsからなるコンタクト層24上に形成されたp電極であり、電極28はn型の第1ミラー21上に形成されたn電極である。一方、静電耐圧素子40の電極41はn型GaAs層からなる第1コンタクト層31上に形成されたn電極であり、電極42はp型GaAs層からなる第2コンタクト層33上に形成されたp電極である。したがって、静電耐圧素子40は、電極配線51、52によって、面発光型半導体レーザ20に対して逆極性となるよう(逆方向の整流作用を有するよう)並列に接続されている。
また、面発光型半導体レーザ20は、図3に示すように、アノード電極(正電極)が電極配線51のパッド部51cに、カソード電極(負電極)が電極配線52のパッド部52cに接続されている。そして、静電耐圧素子40は、アノード電極(正電極)が電極配線52のパッド部52cに、カソード電極(負電極)が電極配線51のパッド部51cに接続されている。さらに、光検出素子30は、図3に示すように、アノード電極(正電極)が電極36のパッド部36cに、カソード電極(負電極)が電極35のパッド部35cに接続されている。すなわち、面発光型半導体レーザ20の一対の入力端子を構成するパッド部51c、52cと、光検出素子30の一対の出力端子を構成するパッド部35c、36cとがそれぞれ独立して形成されている。
〔光半導体素子の動作〕
次に、このような構成の光半導体素子10の一般的な動作について説明する。なお、以下に説明する光半導体素子10の駆動方法は一例であり、本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
まず、パッド部51c、52cを電源(図示略)に接続して電極26と電極28との間に順方向の電圧を印加すると、面発光型半導体レーザ20の活性層22において電子と正孔との再結合が生じ、再結合による発光が生じる。そこで生じた光が第2ミラー23と第1ミラー21との間を往復する間に誘導放出が起こって光の強度が増幅される。そして、光利得が光損失を上回ると、レーザ発振が起こり、第2ミラー23の上面からレーザ光が射出され、分離層27へと入射する。次いで、レーザ光は光検出素子30の第1コンタクト層31に入射する。
次に、光検出素子30を構成する第1コンタクト層31に入射した光は光吸収層32に入射する。ここで、この入射光の一部が光吸収層32にて吸収されると光吸収層32において光励起が生じ、電子及び正孔が生じる。そして、外部から印加された電界により、電子は電極35に、正孔は電極36にそれぞれ移動する。その結果、光検出素子30において、第1コンタクト層31から第2コンタクト層33の方向に電流(光電流)が生じる。この電流をパッド部35c、36cから取り出してその値を測定することにより、面発光型半導体レーザ20の光出力を検知することができる。
このとき、面発光型半導体レーザ20のパッド部51c、52cと、光検出素子30のパッド部35c、36cとがそれぞれ独立して形成されているので、例えば差動駆動のような高速駆動が可能な駆動信号をパッド部51c、52cに印加しても、光検出素子30にこの高速駆動による影響が小さい。このため、面発光型半導体レーザ20を高速駆動することが可能となる。
また、電極26と電極28との間に逆方向の電圧が印加されたとする。この逆方向の電圧は、面発光型半導体レーザ20にとっては逆方向の電圧であるが、静電耐圧素子40にとっては順方向の電圧である。このため、面発光型半導体レーザ20にとって逆方向の電圧が印加されても静電耐圧素子40に電流が流れるため、面発光型半導体レーザ20を静電破壊から保護することができる。
〔光半導体素子の製造方法〕
次に、以上のような構成の光半導体素子10の製造方法について説明する。
まず、n型GaAs層からなる半導体基板11の表面11aに組成を変調させながらエピタキシャル成長させて半導体多層膜を形成する(図4(a))。
ここで、半導体多層膜は、例えばn型Al0.9Ga0.1As層及びn型Al0.15Ga0.85As層を交互に積層した40ペアの第1ミラー21と、GaAsウェル層及びAl0.3Ga0.7Asバリア層からなってウェル層が3層で構成される量子井戸構造を含む活性層22と、p型Al0.9Ga0.1As層及びp型Al0.15Ga0.85As層を交互に積層した25ペアの第2ミラー23と、p型GaAsからなるコンタクト層24と、不純物がドーピングされていないAlGaAs層からなる分離層27と、n型GaAs層からなる第1コンタクト層31、不純物がドーピングされていないGaAs層からなる光吸収層32と、p型GaAs層からなる第2コンタクト層33とからなる。これらの層を順に半導体基板11上に積層させることにより、半導体多層膜が形成される。なお、分離層27は、p型またはn型のAlGaAs層としてもよい。
なお、第2ミラー23を成長させる際に、活性層22近傍の少なくとも1層は、後に酸化されて電流狭窄層25となる層に形成される(図5(c)参照)。具体的には、電流狭窄層25となる層は、Al組成が分離層27のAl組成より大きなAlGaAs層(AlAs層を含む)に形成される。すなわち、分離層27は、Al組成が電流狭窄層25となる層より小さなAlGaAs層に形成することが望ましい。これにより、後述する電流狭窄層25を形成する酸化工程において、分離層27は酸化されないようにすることができる。より具体的には、例えば電流狭窄層25となる層のAl組成が0.95以上であって、分離層27のAl組成が0.95未満であるように、電流狭窄層25となる層及び分離層27を形成することが望ましい。分離層27の光学的膜厚は、面発光型半導体レーザ20の設計波長がλであるとすると、例えば、λ/4の奇数倍にすることが好適である。
また、第1コンタクト層31、光吸収層32及び第2コンタクト層33の光学的膜厚の総和、すなわち、光検出素子30の全体の光学的膜厚は、例えばλ/4の奇数倍とすることが好ましい。このような膜厚にすることで、光検出素子30全体は分布反射型ミラーとして機能することができる。すなわち、面発光型半導体レーザ20における活性層22の上方において、光検出素子30全体が、分布反射型ミラーとして機能することができる。したがって、面発光型半導体レーザ20の特性に悪影響を及ぼすことなく、光検出素子30は分布反射型ミラーとして機能することができる。
エピタキシャル成長を行う際の温度は、成長方法や原料、半導体基板11の種類あるいは形成する半導体多層膜の種類、厚さ及びキャリア密度によって適宜決定されるが、一般に、450℃〜800℃に設定するのが好ましい。また、エピタキシャル成長を行う際の所要時間も、温度と同様に適宜決定される。また、エピタキシャル成長させる方法としては、有機金属気相成長(MOVPE:Metal-Organic Vapor Phase Epitaxy)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法、あるいはLPE(Liquid Phase Epitaxy)法を用いることができる。
次に、第2柱状部P2と第4柱状部P4とを形成する(図4(b))。第2柱状部P2及び第4柱状部P4を形成するには、まず、半導体多層膜上にレジスト(図示略)を塗布した後、フォトリソグラフィ法によりレジストをパターニングする。これにより、第2コンタクト層33の上面に所定の平面形状を有するレジスト層を形成する。
そして、このレジスト層をマスクとして、例えばドライエッチング法により、第2コンタクト層33及び光吸収層32をエッチングする。これにより、第2コンタクト層33と、第2コンタクト層33と同一の平面形状を有する光吸収層32とが形成される。
以上より、第2柱状部P2及び第4柱状部P4を形成する。なお、第2柱状部P2及び第4柱状部P4の形成後、上記レジスト層を除去する。
第2柱状部P2及び第4柱状部P4を形成した後、第1コンタクト層31を所定の形状にパターニングする。すなわち、第1コンタクト層31上にレジスト(図示略)を塗布した後、フォトリソグラフィ法により塗布したレジストをパターニングする。これにより、第1コンタクト層31上に第2柱状部P2及び第4柱状部P4を覆うように所定のパターンのレジスト層を形成する。
そして、このレジスト層をマスクとして、第1コンタクト層31を、例えばドライエッチングにより所定の厚みになるまでエッチングする。
その後、残りの第1コンタクト層31を、ウェットエッチング法によりエッチングする。ここで、第1コンタクト層31のエッチングには、エッチャントとして、例えばアンモニアと過酸化水素と水との混合溶液を用いることができる。このとき、アンモニア、過酸化水素及び水の混合比率は、例えば1:10:150程度のものを用いることができるが、これに限られず適宜設定してもよい。なお、第1コンタクト層31の下に分離層27が配置されており、分離層27がエッチングストッパ層として機能するため、分離層27が露出した時点で、第1コンタクト層31のエッチングを正確かつ容易に止めることができる。
以上の工程を経ることにより、光検出素子30及び静電耐圧素子40が形成される。ここで、光検出素子30及び静電耐圧素子40は、それぞれ第2コンタクト層33と光吸収層32と第1コンタクト層31とを含んでいる。また、第1コンタクト層31の平面形状は、第2コンタクト層33及び光吸収層32の平面形状よりも大きく形成される。このように、光検出素子30と静電耐圧素子40とが同一の工程によって形成される。なお、以上説明した工程では、第2コンタクト層33及び光吸収層32をパターニングした後に第1コンタクト層31をパターニングしていたが、第1コンタクト層31をパターニングした後に第2コンタクト層33及び光吸収層32をパターニングしてもよい。
光検出素子30及び静電耐圧素子40を形成した後、分離層27を所定の形状にパターニングする(図4(c))。すなわち、上述のレジスト層(第1コンタクト層31のエッチングに用いたレジスト層)をマスクとして、分離層27をエッチングする。このとき、分離層27の下には、コンタクト層24が配置されており、このコンタクト層24がエッチングストッパ層として機能するため、分離層27のエッチングを、コンタクト層24が露出した時点で、正確かつ容易に止めることができる。ここで、分離層27のエッチングに用いるエッチャントとして、例えばフッ化水素水溶液や、フッ化水素酸系緩衝溶液を用いることができる。
これにより、パターニングされた分離層27を形成する。その後、レジスト層(第1コンタクト層31及び分離層27のエッチングに用いたレジスト層)が除去される。なお分離層27の平面形状は、第1コンタクト層31の平面形状と同じとなるように形成したが、第1コンタクト層31の平面形状よりも大きく形成しても良い。例えば、上述の分離層27のパターニングに用いたレジスト層、平面形状がより大きいレジスト層に替えて分離層27をパターニングしてもよい。
次に、第1柱状部P1を含む面発光型半導体レーザ20及び静電耐圧素子40の下方に位置する第3柱状部P3の残りの部分を形成する(図5(a))。すなわち、まず、コンタクト層24上にレジスト(図示略)を塗布した後、フォトリソグラフィ法により塗布したレジストをパターニングする。これにより、所定のパターンのレジスト層を形成する。
そして、このレジスト層をマスクとして、例えばドライエッチング法により、コンタクト層24、第2ミラー23及び活性層22をエッチングする。なお、第1柱状部P1と第3柱状部P3との間の活性層22は、エッチングせずに残すようにしている。以上のようにして第1柱状部P1及び第3柱状部P3を形成する。
以上の工程により、半導体基板11上に、第1柱状部P1を含む垂直共振器(面発光型半導体レーザ20)が形成される。これにより、面発光型半導体レーザ20と、分離層27と、光検出素子30との積層体が形成され、さらに、第3柱状部P3の上方に静電耐圧素子40が形成される。その後、上記レジスト層を除去する。
なお、光検出素子30、静電耐圧素子40及び分離層27を形成した後に第1柱状部P1及び第3柱状部P3を形成しているが、第1柱状部P1及び第3柱状部P3を形成した後に光検出素子30、静電耐圧素子40及び分離層27を形成してもよい。
続いて、電流狭窄層25を形成する(図5(b))。まず、第1柱状部P1及び第3柱状部P3が形成された半導体基板11を、例えば400℃程度の水蒸気雰囲気中に投入する。これにより、上述した第2ミラー23中のAl組成が高い層が側面から酸化されて、電流狭窄層25が形成される。
酸化レートは、炉の温度、水蒸気の供給量、酸化すべき層のAl組成及び膜厚によって決定される。酸化により形成される電流狭窄層25を備えた面発光型半導体レーザでは、駆動する際に、電流狭窄層25が形成されていない部分(酸化されていない部分)のみに電流が流れる。したがって、電流狭窄層25を形成する工程において、形成する電流狭窄層25の範囲を制御することにより、電流密度の制御が可能となる。また、面発光型半導体レーザ20から射出されるレーザ光の大部分が第1コンタクト層31に入射するように、電流狭窄層25の径を調整することが望ましい。
次に、活性層22及び第1ミラー21上であって第1柱状部P1及び第3柱状部P3の周囲及び第2柱状部P2の周囲に絶縁層50を形成する(図6(a))。絶縁層50の材質は、厚膜化が容易なものを用いることが望ましい。絶縁層50の膜厚は、例えば2〜4μm程度であるが、これに限られず、第1柱状部P1及び第3柱状部P3の高さに応じて適宜設定してもよい。
例えば、絶縁層50は、熱または光などのエネルギーによって硬化可能な液体材料(例えば紫外線硬化型樹脂や熱硬化型樹脂の前駆体)を硬化させることにより得られるものを用いることができる。紫外線硬化型樹脂としては、例えば紫外線硬化型のアクリル系樹脂及びエポキシ系樹脂が挙げられる。また、熱硬化型樹脂としては、熱硬化型のポリイミド系樹脂などが例示できる。また、絶縁層50は、上記材料を複数用いて積層膜とすることもできる。
ここでは、絶縁層50を形成するための材料として、ポリイミド系樹脂の前駆体を用いた場合について述べる。まず、例えばスピンコート法を用いて前駆体(ポリイミド系樹脂の前駆体)を半導体基板11上に塗布して前駆体層を形成する。このとき、第1柱状部P1の上面を覆うように前駆体層を形成する。なお、前駆体層の形成方法としては、上述したスピンコート法のほか、ディッピング法や、スプレーコート法、液滴吐出法などの公知技術が利用できる。次いで、例えばホットプレートなどを用いて半導体基板11を加熱して溶媒を除去した後、例えば350℃程度の炉に入れて前駆体層をイミド化させることにより、ほぼ完全に硬化したポリイミド系樹脂層を形成する。続いて、ポリイミド系樹脂層を公知のリソグラフィ技術を用いてパターニングすることにより、絶縁層50を形成する。
なお、パターニングの際に用いられるエッチング方法としては、ドライエッチング法などを用いることができる。ドライエッチングは、例えば酸素またはアルゴンなどのプラズマにより行うことができる。また、上述の絶縁層50の形成方法では、ポリイミド系樹脂の前駆体層を硬化した後、パターニングを行う例について示したが、ポリイミド系樹脂の前駆体層を硬化する前に、パターニングを行うこともできる。このパターニングの際に用いられるエッチング方法としては、ウェットエッチング法などを用いることができる。ウェットエッチングは、例えばアルカリ溶液または有機溶液などにより行うことができる。
以上の工程が終了した後、第1ミラー21上の電極28及び第1コンタクト層31の上面上の電極35、41を形成し、コンタクト層24上の電極26及び第2コンタクト層33上の電極36、42を形成する(図6(b))。ここで、電極36は、リング状の平面形状を有する接続部36a、直線状の平面形状を有する引出部36b、円状の平面形状を有するパッド部36cを有しているが、第2コンタクト層33の上面上には接続部36aが形成され、引出部36b及びパッド部36cは絶縁層50上に形成される。
電極28、35、41の形成方法について説明する。まず、電極28、35、41を形成する前に、必要に応じてプラズマ処理法などを用いて、第1ミラー21の上面及び第1コンタクト層31の上面を洗浄する。これにより、より安定した特性の素子を形成することができる。次に、例えば真空蒸着法を用いて、例えばクロム(Cr)と金(Au)及びゲルマニウム(Ge)の合金とニッケル(Ni)と金(Au)との積層膜を形成する。次いで、リフトオフ法により、所定の位置以外の積層膜を除去することにより電極28、35、41を形成する。
また、電極26、36、42の形成方法について説明する。まず、電極26、36、42を形成する前に、必要に応じてプラズマ処理法などを用いて、コンタクト層24の上面及び第2コンタクト層33の上面を洗浄する。これにより、より安定した特性の素子を形成することができる。次に、例えば真空蒸着法を用いて、例えばクロム(Cr)と金(Au)及び亜鉛(Zn)の合金と金(Au)との積層膜を形成する。次いで、リフトオフ法により、所定の位置以外の積層膜を除去することにより電極26、36、42が形成される。
なお、上記の電極28、35、41及び電極26、36、42を形成する工程において、リフトオフ法の代わりにドライエッチング法またはウェットエッチング法を用いることもできる。また、上記工程において、真空蒸着法の代わりにスパッタ法を用いることもできる。さらに、上記の工程においては、電極28、35、41を同時にパターニングし、電極26、36、42を同時にパターニングしているが、これらを個々に形成しても良い。
以上の工程が終了した後、電極配線51、52を形成する。ここで、電極配線51は、面発光型半導体レーザ20の電極26と静電耐圧素子40の電極41とを電気的に接続するよう形成される。また、電極配線52は、面発光型半導体レーザ20の電極28と静電耐圧素子40の電極42とを電気的に接続するよう形成される。すなわち、上記各電極を形成する場合と同様に、必要に応じてプラズマ処理法などを用いて半導体基板11上を洗浄する。次に、例えば真空蒸着法により、例えば金(Au)からなる金属膜を形成する。そして、リフトオフ法などにより、所定の位置以外の金属膜を除去することにより電極配線51、52が形成される。
最後に、アニール処理を行う。アニール処理の温度は電極材料に応じて決定され、例えば400℃前後で行う。なお、電極配線51、52を形成する前にアニール処理を必要に応じて行っても良い。
以上のようにして、光半導体素子10を製造する。ここで、本実施形態では、光検出素子30と静電耐圧素子40とが同一の工程を経て形成される。このため、製造プロセスを複雑にすることなく静電破壊耐圧が向上した光半導体素子10を製造することができる。
以上のように、本実施形態の光半導体素子10及びその製造方法によれば、面発光型半導体レーザ20のパッド部51c、52cと、光検出素子30のパッド部35c、36cとをそれぞれ独立させることで、パッド部51c、52cに例えば差動駆動のような高速駆動が可能な駆動信号を印加することができる。これにより、面発光型半導体レーザ20を高速駆動することが可能となる。
また、静電耐圧素子40を面発光型半導体レーザ20に対して並列に接続することで、面発光型半導体レーザ20に逆バイアスの電圧が印加されても、逆バイアスに対する静電破壊耐圧を著しく向上させることができる。
ここで、静電耐圧素子40を面発光型半導体レーザ20や光検出素子30の少なくとも一部と同一の層構造とすることで、静電耐圧素子40を面発光型半導体レーザ20や光検出素子30と同時に製造することができ、静電耐圧素子40の製造工程を簡略化できる。
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、上記実施形態で説明した構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。ここで、図7は光半導体素子を模式的に示す平面図であり、図8は図7のB−B矢視断面図であり、図9は図8の第3柱状部を示す部分拡大図である。
第2の実施形態と第1の実施形態との異なる点は、第2の実施形態における光半導体素子60の静電耐圧素子70が第3柱状部P3のみで形成されている点である。
すなわち、静電耐圧素子70は、図7及び図8に示すように、第2ミラー23のみから形成されている第3柱状部P3で形成されており、第4柱状部P4が形成されていない。
第2ミラー23は、上述と同様に、p型Al0.9Ga0.1As層(以下、第1層と称する)とp型Al0.15Ga0.85As層(以下、第2層と称する)とを交互に積層した構成となっており、いずれか一方の層が第3柱状部P3の上面に露出している。なお、ここでは、第1層が第3柱状部P3の上面に露出しているとする。
第3柱状部P3の最上部には、図9(a)に示すように、第1層L1と第2層L2とが積層されている。また、第3柱状部P3の最上部において、最も上方に位置する第1層L1の一部が除去されており、この部分において第2層L2が第3柱状部P3の上面に露出している。そして、第3柱状部P3の最も上方に位置する第1層L1上には電極71が形成されており、第3柱状部P3の上面に露出している第2層L2には電極72が形成されている。ここで、電極71と第3柱状部P3の最も上方に位置する第1層L1との接合がショットキー接合となっており、これにより静電耐圧素子70が形成されている。すなわち、面発光型半導体レーザ20をなす第1ミラー21の一部と同一の層構造を用いて静電耐圧素子70が形成されている。
ショットキー接合を形成する電極71としては、第1層L1がp型Al0.9Ga0.1As層であることから、チタン(Ti)と白金(Pt)と金(Au)との積層膜や、アルミニウム(Al)からなる金属膜、アルミニウム(Al)と金(Au)との合金からなる金属膜を用いることができる。また、第2層L2上に形成される電極72は、上述した電極26、36、42と同様に、例えば、クロム(Cr)と金(Au)及び亜鉛(Zn)の合金と金(Au)との積層膜や、白金(Pt)とチタン(Ti)と金(Au)との積層膜を用いて形成することができる。
また、電極71上には、図8に示すように、電極配線51が形成されている。これにより、電極71は、面発光型半導体レーザ20の電極26と電気的に接続されている。また、電極72上には、電極配線52が形成されている。これにより、電極72は、面発光型半導体レーザ20の電極28と電気的に接続されている。したがって、光半導体素子60は、電極配線51、52によって静電耐圧素子70が面発光型半導体レーザ20に対して逆極性となるよう(逆方向の整流作用を有するよう)に並列に接続されている。このため、面発光型半導体レーザ20の電極26と電極28との間に逆方向に電圧が印加されても静電耐圧素子40に電流が流れるため、面発光型半導体レーザ20を静電破壊から保護することができる。
なお、本実施形態では、図9(a)に示すように、1ペアを構成する第1層L1上に電極71を、第2層L2上に電極72をそれぞれ形成しているが、図9(b)に示すように、1つのペアの第1層L1上に電極71を形成し、このペアとは異なるペアの第2層L2上に電極72を形成してもよい。また、図9(b)では、上面に電極71が形成された第1層L1(最も上方に位置する第1層L1)と、上面に電極72が形成された第2層L2との間に第1層L1及び第2層L2とが1層ずつ形成された構成となっているが、これらの間に設けられる総数は任意でよい。また、第3柱状部P3の最も上方に位置する層が第1層L1となっているが、第3柱状部P3の最も上方に位置する層が第2層L2であってもよい。すなわち、第2層L2上に電極71が形成され、第1層L1上に電極72が形成されてもよい。
以上のように、本実施形態における光半導体素子60においても、上述と同様の作用、効果を奏する。すなわち、ショットキー接合を得るための電極71を形成する工程が必要となるものの、静電耐圧素子70を形成するための専用の工程が必要ない。
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、上記実施形態で説明した構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。ここで、図10は光半導体素子を模式的に示す断面図である。
第3の実施形態と第1の実施形態との異なる点は、第3の実施形態における光半導体素子80の静電耐圧素子90がコンタクト層24、分離層27及び第1コンタクト層31で構成されている点である。
すなわち、第3柱状部P3は、図10に示すように、第2ミラー23及びコンタクト層24で構成されている。また、第4柱状部P4は、分離層27及び第1コンタクト層31から構成されている。ここで、第4柱状部P4は、第3柱状部P3よりもその径が小さく形成されている。また、コンタクト層24と分離層27とによってヘテロ接合が形成されており、第1コンタクト層31と分離層27とによってヘテロ接合が形成されている。すなわち、面発光型半導体レーザ20を構成するコンタクト層24及び光検出素子30を構成する第1コンタクト層31と同一の層構造を用いて静電耐圧素子90が形成されている。
また、第4柱状部P4の上面(第1コンタクト層31上)には電極91が形成されており、第3柱状部P3の上面(コンタクト層24上)には電極92が形成されている。電極91は、例えば、クロム(Cr)と金(Au)及びゲルマニウム(Ge)の合金とニッケル(Ni)と金(Au)との積層膜を用いて形成することができる。また、電極92は、例えば、クロム(Cr)と金(Au)及び亜鉛(Zn)合金と金(Au)との積層膜や、白金(Pt)とチタン(Ti)と金(Au)との積層膜を用いて形成することができる。
また、電極91上には、図10に示すように、電極配線51が形成されている。これにより、電極91は、面発光型半導体レーザ20の電極26と電気的に接続されている。また、電極92上には電極配線52が形成されている。これにより、電極92は、面発光型半導体レーザ20の電極28と電気的に接続されている。したがって、光半導体素子80は、電極配線51、52によって静電耐圧素子90が面発光型半導体レーザ20に対して逆極性となるよう(逆方向の整流作用を有するよう)並列に接続されている。このため面発光型半導体レーザ20の電極26と電極28との間に逆方向の電圧が印加されても静電耐圧素子40に電流が流れるため、面発光型半導体レーザ20の静電破壊から保護することができる。
本実施形態における光半導体素子60においても、上述と同様の作用、効果を奏する。すなわち、静電耐圧素子90は、面発光型半導体レーザ20及び光検出素子30を形成するために行われるエッチングを工夫することで形成される。したがって、静電耐圧素子90を形成するための専用の工程は必要ない。
〔第4の実施形態〕
次に、本発明の第4の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、上記実施形態で説明した構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。ここで、図11は光半導体素子を模式的に示す平面図であり、図12は図11におけるC−C矢視断面図であり、図13から図16は光半導体素子の製造工程を示す工程図である。
第4の実施形態と第1の実施形態との異なる点は、第4の実施形態における光半導体素子100の静電耐圧素子110が面発光型半導体レーザ20の層構造及び光検出素子30の層構造とは異なる層構造となっている点である。
すなわち、静電耐圧素子110は、図11に示すように、第3柱状部P3が第2ミラー23、コンタクト層24、分離層27、第1コンタクト層31、光吸収層32、第2コンタクト層33、分離層111及び第1コンタクト層112によって構成され、第4柱状部P4が耐圧層113及び第2コンタクト層114によって構成されている。このように、静電耐圧素子110は、面発光型半導体レーザ20の層構造及び光検出素子30の層構造とは異なっている。このため、面発光型半導体レーザ20、光検出素子30及び静電耐圧素子110の構造を、光学的及び電気的に最適な構造にすることができる。
第3柱状部P3に形成される分離層111は、第3柱状部P3の下方の第1コンタクト層31、光吸収層32及び第2コンタクト層33からなるpinダイオードと静電耐圧素子110とを分離するものであり、分離層27と同様の組成で形成されている。
静電耐圧素子110を構成する第1コンタクト層112は、例えばケイ素(Si)がドーピングされることによりn型にされたn型GaAs層で構成されている。
耐圧層113は、不純物が導入されていないGaAs層で構成されている。
第2コンタクト層114は、例えば炭素(C)がドーピングされることによりp型にされたp型GaAs層で構成されている。
したがって、静電耐圧素子110は、第1コンタクト層112、耐圧層113及び第2コンタクト層114により、pinダイオードを形成している。
また、静電耐圧素子110を構成する第1コンタクト層112上には、第1柱状部P1及び第2柱状部P2と向かい合う側に、平面視でほぼ矩形状の電極121が形成されている。この電極121は、上述した実施形態における電極41と同様の組成で形成されている。
そして、静電耐圧素子110を構成する第2コンタクト層114上には、電極122が形成されている。この電極122は、上述した実施形態における電極42と同様の組成で形成されている。
また、電極121上には、図12に示すように、電極配線51が形成されている。これにより、電極121は、面発光型半導体レーザ20の電極26と電気的に接続されている。また、電極122上には、電極配線52が形成されている。これにより、電極122は、面発光型半導体レーザ20の電極28と電気的に接続されている。したがって、光半導体素子100は、電極配線51、52によって静電耐圧素子110が面発光型半導体レーザ20に対して逆極性となるよう(逆方向の整流作用を有するよう)に並列に接続されている。このため、面発光型半導体レーザ20の電極26と電極28との間に逆方向に電圧が印加されても静電耐圧素子110に電流が流れるため、面発光型半導体レーザ20を静電破壊から保護することができる。
〔光半導体素子の製造方法〕
次に、以上のような構成の光半導体素子100の製造方法について説明する。
まず、上述した第1の実施形態と同様に、n型GaAs層からなる半導体基板11の表面11aに組成を変調させながらエピタキシャル成長させて半導体多層膜を形成する(図13(a))。
ここで、半導体多層膜は、第1ミラー21と、活性層22と、第2ミラー23と、分離層27と、第1コンタクト層31、光吸収層32と、第2コンタクト層33と、不純物がドーピングされていないAlGaAs層からなる分離層111と、n型GaAs層からなる第1コンタクト層112と、不純物がドーピングされていないGaAs層からなる耐圧層113と、p型GaAs層からなる第2コンタクト層114とからなる。これらの層を順に半導体基板11上に積層させることにより、半導体多層膜が形成される。なお、分離層111は、p型またはn型のAlGaAs層としてもよい。
次に、第2柱状部P2と第4柱状部P4とを形成する(図13(b))。第4柱状部P4を形成するには、まず、半導体多層膜上にレジスト(図示略)を塗布した後、フォトリソグラフィ法によりレジストをパターニングする。これにより、第2コンタクト層114の上面に所定の平面形状を有するレジスト層を形成する。
そして、このレジスト層をマスクとして、例えばドライエッチング法により、第2コンタクト層114及び耐圧層113をエッチングする。これにより、第2コンタクト層114と、第2コンタクト層114と同一の平面形状を有する耐圧層113とが形成される。
以上より、第4柱状部P4を形成する。なお、第4柱状部P4の形成後、上記レジスト層を除去する。
続いて、第4柱状部P4を覆うようにレジスト層を形成する。そして、このレジスト層をマスクとして、例えばドライエッチング法により、第1コンタクト層112及び分離層111の途中までエッチングする。これにより、静電耐圧素子40が形成される。静電耐圧素子40は、第2コンタクト層43、耐圧層113及び第1コンタクト層112を含んでなる。第1コンタクト層112の平面形状は、第2コンタクト層43及び耐圧層113の平面形状よりも大きく形成される。
なお、静電耐圧素子40の形成後、レジスト層を除去する。また、第2コンタクト層114及び耐圧層113をパターニングした後に第1コンタクト層112をパターニングしていたが、第1コンタクト層112をパターニングした後に第2コンタクト層114及び耐圧層113をパターニングしてもよい。
次いで、第2柱状部P2を形成するには、まず、第2柱状部P2の最上部の第2コンタクト層33を露出させる工程が行われる。ここで、第2コンタクト層33を露出させるのは、上述した通り、光検出素子30をなす各層(第1コンタクト層31、光吸収層32及び第2コンタクト層33の光学的膜厚の総和が、例えばλ/4の奇数倍からずれると面発光型半導体レーザ20の特性を悪化させるからである。
ドライエッチングではエッチング量を精密に制御することが難しいため、上記の工程で分離層111の途中までエッチングし、残りの分離層111を選択エッチングを用いてエッチングして第2コンタクト層33を露出させる。すなわち、まず、第4柱状部P4と第3柱状部P3の上部とを覆って所定形状にパターニングしたレジスト層を形成する。そして、残りの分離層111を、ウェットエッチング法によりエッチングする。ここで、分離層111のエッチングに用いるエッチャントとして、例えばフッ化水素水溶液や、フッ化水素酸系緩衝溶液を用いることができる。これにより、第2コンタクト層33がエッチングストッパ層として機能するため、第2コンタクト層33が露出した時点で、分離層111のエッチングを正確かつ容易に止めることができる。
次いで、レジスト(図示略)を塗布した後、フォトリソグラフィ法によりレジストをパターニングする。これにより、第4柱状部P4及び第3柱状部P3の上面を覆い、かつ、第2コンタクト層33上の第2柱状部P2が形成される箇所にレジスト層を形成する。
このレジスト層をマスクとして、例えばドライエッチング法により、第2コンタクト層33及び光吸収層32をエッチングする。これにより、第2コンタクト層33と、第2コンタクト層33と同一の平面形状を有する光吸収層32とが形成される。これにより、第2柱状部P2及び第4柱状部P4が形成される。なお、第2柱状部P2の形成後、レジスト層を除去する。
第4柱状部P4及び第2柱状部P2を形成した後、上述した第1の実施形態と同様に、第1コンタクト層31をパターニングし、光検出素子30及び静電耐圧素子110を形成する。このように、本実施形態では、光検出素子30と静電耐圧素子110とが異なる工程によって形成されている。
光検出素子30及び静電耐圧素子40を形成した後、上述した第1の実施形態と同様に、分離層27を所定の形状にパターニングし(図14(a))、コンタクト層24、第2ミラー23及び活性層22をパターニングすることで第1柱状部P1及び第3柱状部P3を形成する(図14(b))。これにより、半導体基板11上に、第1柱状部P1を含む垂直共振器(面発光型半導体レーザ20)が形成される。
続いて、電流狭窄層25を形成し(図15(a))、活性層22及び第1ミラー21上であって第1柱状部P1及び第3柱状部P3の周囲及び第2柱状部P2の周囲に絶縁層50を形成する(図15(b))。そして、第1ミラー21上の電極28及び第1コンタクト層31の上面上の電極35を形成し、コンタクト層24上の電極26、第2コンタクト層33上の電極36、第1コンタクト層112上の電極121及び第2コンタクト層114上の電極122を形成する(図16)。
その後、電極配線51、52を形成する。ここで、電極配線51は、面発光型半導体レーザ20の電極26と静電耐圧素子40の電極121とを電気的に接続するように形成される。また、電極配線52は、面発光型半導体レーザ20の電極28と静電耐圧素子40の電極122とを電気的に接続するように形成される。そして、最後に、アニール処理を行う。
以上のようにして、光半導体素子100を製造する。ここで、本実施形態では、光検出素子30と静電耐圧素子40とが別々の工程で形成される。これにより、これらはエッチングを工夫することで容易に形成することができるため、製造プロセスを複雑にすることなく静電破壊耐圧が向上した光半導体素子10を製造することができる。
以上のように、本実施形態の光半導体素子100によっても、上述と同様の作用、効果を奏するが、光検出素子30と静電耐圧素子40とが別々の工程で形成される。これにより、これらはエッチングを工夫することで容易に形成することができるため、製造プロセスを複雑にすることなく静電破壊耐圧が向上した光半導体素子10を製造することができる。
〔第5の実施形態〕
次に、本発明の第5の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、上記実施形態で説明した構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。ここで、図17は光半導体素子を模式的に示す平面図であり、図18は図17のD−D矢視断面図である。
第5の実施形態と第4の実施形態との異なる点は、第5の実施形態では光半導体素子130の静電耐圧素子140が第2コンタクト層33上に積層された耐圧層113及びコンタクト層141によって形成されている点である。
すなわち、静電耐圧素子140には、光検出素子30を構成する第2コンタクト層33と同一の層が含まれている。
耐圧層113上に積層されているコンタクト層141は、第1コンタクト層112と同様に、例えばケイ素(Si)がドーピングされることによりn型にされたn型GaAs層で構成されている。
したがって、静電耐圧素子140は、p型の第2コンタクト層33、不純物がドーピングされていない耐圧層113及びn型のコンタクト層141により、pinダイオードを形成している。
ここで、第2コンタクト層33が第3柱状部P3に形成されており、耐圧層113及びコンタクト層141が第4柱状部P4に形成されている。そして、第3柱状部P3は平面視で円状エッチングされ、第4柱状部P4は平面視で円状にエッチングされている。
また、第4柱状部P4は、図17及び図18に示すように、その直径が第3柱状部P3の直径よりも小さくなるように形成され、かつ第3柱状部P3と同心とならないよう、第1柱状部P1及び第2柱状部P2に向かう方向に偏心した状態に形成されている。なお、第3柱状部P3と第4柱状部P4とを偏心させているが、これらが同心の構造であっても良い。
また、第4柱状部P4の上面(コンタクト層141上)には電極142が形成されており、第3柱状部P3の上面(第2コンタクト層33上)には電極143が形成されている。
この電極142は、例えば、クロム(Cr)と金(Au)及びゲルマニウム(Ge)の合金とニッケル(Ni)と金(Au)との積層膜によって形成されている。また、電極143は、例えば、クロム(Cr)と金(Au)及び亜鉛(Zn)の合金と金(Au)との積層膜や、白金(Pt)とチタン(Ti)と金(Au)との積層膜によって形成されている。
また、電極142上には、電極配線51が形成されている。これにより、電極142は、面発光型半導体レーザ20の電極26と電気的に接続されている。また、電極143上には電極配線52が形成されている。これにより、電極143は、面発光型半導体レーザ20の電極28と電気的に接続されている。したがって、光半導体素子130は、電極配線51、52によって、面発光型半導体レーザ20に対して逆極性となるよう(逆方向の整流作用を有するよう)に並列に接続されている。このため面発光型半導体レーザ20の電極26と電極28との間に逆方向の電圧が印加されても静電耐圧素子40に電流が流れるため、面発光型半導体レーザ20の静電破壊から保護することができる。
また、本実施形態においては、第4の実施形態で必要であった分離層111及び第1コンタクト層112を省いており、第2コンタクト層33を光検出素子30と静電耐圧素子140とで共用している。したがって、本実施形態では、第4の実施形態に比べてエピタキシャル層が2層少ないため、工程数の削減及び材料費削減を図ることができる。また、静電耐圧素子140の耐圧層113は光検出素子30で用いられておらず、静電耐圧素子140の電気的な特性が最適となるよう耐圧層113の膜厚を設定することができる。
以上のように、本実施形態における光半導体素子130においても、上述した第4の実施形態と同様の作用、効果を奏する。
以上、本発明の実施形態について説明した、本発明は上記の実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では面発光型半導体レーザ20の上方に光検出素子30が設けられた構成の光素子を例に挙げて説明したが、例えば特公平7−56552号公報または特開平6−37299号公報に開示されている光検出素子の上方に面発光型半導体レーザが設けられた構成の光素子にも本発明を適用することができる。
また、上記実施形態では、光検出素子が面発光型半導体レーザから射出されたレーザ光の光強度を検出するために設けられていた。しかしながら、外部からの光を受光するために光検出素子を用いても良い。具体的には、例えば光通信の用途に光素子を用い、送信すべき光信号には面発光型半導体レーザから射出されたレーザ光を用い、送信されてきた光信号を光検出素子で受光することができる。光検出素子で受光された光信号は、電気信号として取り出される。さらに、上記実施形態において、各半導体層におけるp型とn型とを入れ替えても本発明の範囲外となるものではない。さらに、上記実施形態では、静電耐圧素子がpinダイオードである場合(PIN接合が形成されてなる素子である場合)を例に挙げて説明したが、これ以外にPN接合、ヘテロ接合、またはショットキー接合が形成されてなる素子によっても静電耐圧素子を形成することができる。
〔第6の実施形態〕
次に、本発明の第6の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図19は本発明の第6の実施形態による光半導体素子を模式的に示す平面図であり、図20は図19中のE−E線に沿う断面図である。図20に示す通り、本実施形態の光半導体素子200は、面発光型半導体レーザ20、受光素子としての光検出素子30及び静電耐圧素子40を含んで構成される。以下、これらの構成及び全体構成について順に説明する。
〈面発光型半導体レーザ〉
面発光型半導体レーザ20は、半導体基板(本実施形態ではn型GaAs基板)11上に形成されている。この面発光型半導体レーザ20は垂直共振器を有しており、本実施形態では垂直共振器をなす一方の分布反射型多層膜ミラーが柱状の半導体堆積体(以下、第1柱状部と称する)P1に形成されている。つまり、面発光型半導体レーザ20はその一部が第1柱状部P1に含まれた構成である。
面発光型半導体レーザ20は、例えば、n型Al0.9Ga0.1As層とn型Al0.15Ga0.85As層とを交互に積層した40ペアの分布反射型多層膜ミラー(以下、第1ミラーと称する)21と、GaAsウェル層とAl0.3Ga0.7Asバリア層からなり、ウェル層が3層で構成される量子井戸構造を含む活性層22と、p型Al0.9Ga0.1As層とp型Al0.15Ga0.85As層とを交互に積層した25ペアの分布反射型多層膜ミラー(以下、第2ミラーと称する)23と、p型GaAsからなるコンタクト層24とが順次積層された多層構造である。
なお、本実施形態において、AlGaAs層のAl組成とは、ガリウム(Ga)に対するアルミニウム(Al)の組成をいう。AlGaAs層のAl組成は、「0」から「1」までである。すなわち、AlGaAs層は、GaAs層(Al組成が「0」の場合)及びAlAs層(Al組成が「1」の場合)を含む。また、以上説明した第1ミラー21、活性層22、第2ミラー23及びコンタクト層24を構成する各層の組成及び層数は特に限定される訳ではない。
面発光型半導体レーザ20をなす第1ミラー21は、例えばケイ素(Si)がドーピングされることによりn型にされており、第2ミラー23は、例えば炭素(C)がドーピングされることによりp型にされている。したがって、p型の第2ミラー23、不純物がドーピングされていない活性層22及びn型の第1ミラー21により、pinダイオードが形成される。また、面発光型半導体レーザ20のうち、第2ミラー23及びコンタクト層24が、第2ミラー23の上面からみて円形の形状にエッチングされて第1柱状部P1が形成されている。なお、本実施形態では、第1柱状部P1の平面形状を円形としたが、この形状は任意の形状をとることができる。
さらに、第2ミラー23を構成する層のうち活性層22に近い領域に、AlGaAs層を側面から酸化することにより得られる電流狭窄層25が形成されている。この電流狭窄層25はリング状に形成されている。すなわち、この電流狭窄層25は、図19及び図20に示す半導体基板11の表面11aと平行な面で切断した場合における断面形状が、第1柱状部P1の平面形状の円形と同心の円のリング状である。
また、コンタクト層24上には、第1柱状部P1の外周に沿うようにリング状の平面形状を有する電極26が形成されている。この電極26は、例えば、クロム(Cr)、金(Au)と亜鉛(Zn)との合金及び金(Au)の積層膜からなる。あるいは、白金(Pt)、チタン(Ti)及び金(Au)の積層膜からなる。この電極26は、面発光型半導体レーザ20を駆動するためのものであり、電極26から活性層22に電流が注入される。
〈分離層〉
本実施形態の光半導体素子200は、面発光型半導体レーザ20上に分離層27が形成されている。すなわち、分離層27は、面発光型半導体レーザ20と後述する光検出素子30との間に設けられている。具体的には、図20に示す通り、分離層27は、コンタクト層24上に形成されている。すなわち、分離層27は、面発光型半導体レーザ20のコンタクト層24と、後述する光検出素子30の後述する第1コンタクト層31との間に設けられている。なお、前述した通り、コンタクト層24の上面にはリング状の電極26が形成されているため、分離層27は周囲が電極26に取り囲まれている。
この分離層27の平面形状は円形である。図示の例では、分離層27の平面形状は第1コンタクト層31の平面形状と同じであるが、これらの直径は第1柱状部P1の直径よりも小さくなるよう形成されている。なお、分離層27の平面形状は、第1コンタクト層31の平面形状よりも大きく形成することもできる。分離層27については、後述する光半導体素子の製造方法の項にてさらに詳細に説明する。
〈光検出素子〉
光検出素子30は分離層27上に設けられている。光検出素子30は第1コンタクト層31、光吸収層32及び第2コンタクト層33を含んで構成される。第1コンタクト層31は分離層27上に設けられ、光吸収層32は第1コンタクト層31上に設けられ、第2コンタクト層33は光吸収層32上に設けられている。光吸収層32及び第2コンタクト層33の平面形状は、第1コンタクト層31の平面形状よりも小さく形成されている。
第2コンタクト層33及び光吸収層32は、柱状の半導体堆積体(以下、第2柱状部と称する)P2を構成する。つまり、光検出素子30はその一部が第2柱状部P2に含まれた構成である。なお、光検出素子30の上面は、面発光型半導体レーザ20からのレーザ光の射出面34とされている。
光検出素子30を構成する第1コンタクト層31はn型GaAs層からなり、光吸収層32は不純物が導入されていないGaAs層からなり、第2コンタクト層33はp型GaAs層からなる。具体的には、第1コンタクト層31は、例えばケイ素(Si)がドーピングされることによりn型にされ、第2コンタクト層33は、例えば炭素(C)がドーピングされることによりp型にされている。したがって、n型の第1コンタクト層31、不純物がドーピングされていない光吸収層32及びp型の第2コンタクト層33により、pinダイオードが形成される。
第1コンタクト層31上には、その外周に沿うようにリング状の平面形状を有する電極211が形成されている。つまり、電極211は、第2柱状部P2を取り囲むように設けられている。この電極211は、例えば、クロム(Cr)、金(Au)とゲルマニウム(Ge)との合金、ニッケル(Ni)及び金(Au)の積層膜からなる。
また、光検出素子30の上面上(第2コンタクト層33上)には電極36が形成されている。電極36、211は、光検出素子30を駆動するために使用される。電極36には開口部37が設けられており、この開口部37によって第2コンタクト層33の上面の一部が露出する。この露出した面が、レーザ光の射出面34である。したがって、開口部37の平面形状及び大きさを適宜設定することにより、射出面34の形状及び大きさを適宜設定することができる。本実施形態においては、図19に示す通り、射出面34が円形であるものとする。また、電極36は、面発光型半導体レーザ20のコンタクト層24上に形成される電極26と同じ材質にて形成することができる。
電極36は、図19に示す通り、リング状の平面形状を有する接続部36aと、直線状の平面形状を有する引出部36bと、円状の平面形状を有するパッド部36cとを有する。電極36は、接続部36aにおいて第2コンタクト層33と電気的に接続されている。電極36の引出部36bは、接続部36aとパッド部36cとを接続している。第4電極のパッド部36cは、電極パッドとして用いられる。なお、本実施形態では電極36の接続部36aの形状がリング状である場合を例に挙げているが、接続部36aは第2コンタクト層33に接触してさえいれば良いため、その平面形状は任意の形状とすることができる。
〈静電耐圧素子〉
静電耐圧素子40は、半導体基板11上であって、第1柱状部P1及び第2柱状部が形成された位置とは異なる位置に形成された柱状の半導体堆積体(以下、第3柱状部と称する)P3及び第3柱状部P3上の柱状の半導体堆積体(以下、第4柱状部と称する)P4に形成されている。第3柱状部P3は、第2ミラー23、コンタクト層24、分離層27及び第1コンタクト層31がエッチングされて形成される。また、第4柱状部P4は、光吸収層32及び第2コンタクト層33がエッチングされて形成される。
第3柱状部P3は第1コンタクト層31の上面からみて円形の形状にエッチングされ、第4柱状部P4は第2コンタクト層33の上面からみて円形の形状にエッチングされる。
また、図19及び図20に示す通り、第4柱状部P4は、その直径が第3柱状部P3の直径よりも小さくなるように形成され、かつ第3柱状部P3と同心とならないよう、第1柱状部P1及び第2柱状部P2から離れる方向に偏心した状態に形成される。なお、本実施形態では、第3柱状部P3と第4柱状部P4とを偏心させた構造を例に挙げて説明するが、これらが同心の構造であっても良い。
静電耐圧素子40は、第3柱状部P3の第1コンタクト層31と、第4柱状部P4の光吸収層32及び第2コンタクト層33とを含んで構成される。静電耐圧素子40を構成する第1コンタクト層31は、光検出素子30を構成する第1コンタクト層31と層構造が同一である。また、静電耐圧素子40を構成する光吸収層32は、光検出素子30を構成する光吸収層32と層構造が同一である。さらに、静電耐圧素子40を構成する第2コンタクト層33は、光検出素子30を構成する第2コンタクト層33と層構造が同一である。
したがって、静電耐圧素子40を構成する第1コンタクト層31、光吸収層32及び第2コンタクト層33によってもpinダイオードが形成される。ここで、「層構造が同一」であるとは、対象となる2つの層の厚み及び組成が同一であることを意味し、対象となる2つの層の層構造が多層構造である場合には、多層構造をなす各層の厚み及び組成が対象となる2つの層でそれぞれ同一であることを意味する。
静電耐圧素子40を構成する第1コンタクト層31上には、第1柱状部P1及び第2柱状部P2と向かい合う側に、略矩形形状の平面形状を有する電極41が形成されている。この電極41は、光検出素子30を構成する第1コンタクト層31上に形成される電極211と同じ材質にて形成することができる。すなわち、電極41を、例えば、クロム(Cr)、金(Au)とゲルマニウム(Ge)との合金、ニッケル(Ni)及び金(Au)の積層膜で形成することができる。
また、静電耐圧素子40を構成する第2コンタクト層33上には、電極42が形成されている。電極41、42は、静電耐圧素子40を駆動するために使用される。電極42は、面発光型半導体レーザ20のコンタクト層24上に形成される電極26と同じ材質にて形成することができる。すなわち、電極42を、例えば、クロム(Cr)、金(Au)と亜鉛(Zn)との合金及び金(Au)の積層膜で形成することができる。この電極42は、その平面形状を第4柱状部P4の平面形状と相似の円形の形状にすることが望ましい。
〈絶縁層〉
本実施形態の光半導体素子200は、図19及び図20に示す通り、主として第1柱状部P1、第2柱状部P2及び第3柱状部P3の周囲を取り囲むよう第1ミラー21の上、または活性層22の上に絶縁層50が形成されている。また、この絶縁層50は、第4柱状部P4の側面の一部を覆うように形成されている。この絶縁層50は、電極36の引出部36b及びパッド部36cの下及び後述する電極配線221、222の下に形成されている。
〈電極配線〉
電極配線221は、面発光型半導体レーザ20の電極26、光検出素子30の電極211及び静電耐圧素子40の電極41とを電気的に接続するものである。図19に示す通り、電極配線221は、リング状の平面形状を有する接続部221aと、T字の平面形状を有する引出部221bと、円状の平面形状を有するパッド部221cとを有する。電極配線221は、接続部221aにおいて電極26、211の上面に接合されて電気的に接続されている。電極配線221の引出部221bは、接続部221aと静電耐圧素子40の電極41とを接続すると共に、パッド部221cに接続されている。電極配線221のパッド部221cは、電極パッドとして用いられる。
また、電極配線222は、第1ミラー21上の一部に形成された電極28及び静電耐圧素子40の電極42とを接続するものである。電極28は、面発光型半導体レーザ20の電極の1つであり、光検出素子30の第1コンタクト層31上に形成される電極211及び静電耐圧素子40の第1コンタクト層31上に形成される電極41と同じ材質にて形成することができる。すなわち、電極28を、例えば、クロム(Cr)、金(Au)とゲルマニウム(Ge)との合金、ニッケル(Ni)及び金(Au)の積層膜で形成することができる。電極配線222は、図19に示す通り、リング状の平面形状を有する接続部222aと、矩形の平面形状を有する引出部222bと、パッド部222cとを有する。電極配線222は、接続部222aにおいて電極42の上面に接合されて電気的に接続されている。電極配線222の引出部222bは、接続部222aとパッド部222cとを接続すると共に、電極28と接続されている。電極配線222のパッド部222cは、電極パッドとして用いられる。電極配線221、222は、例えば金(Au)を用いて形成することができる。
なお、面発光型半導体レーザ20の電極26、光検出素子30の電極211及び静電耐圧素子40の電極41とを電極配線221で接続し、第1ミラー21上の一部に形成された電極28と静電耐圧素子40の電極42とを電極配線222で接続する代わりに、電極26、電極211及び電極41をワイヤボンディングで接続し、電極28と電極42とをワイヤボンディングで接続しても良い。しかしながら、電極配線221、222で接続した方が配線抵抗が低いため、高周波特性に優れると共にプロセスの信頼性も高い。
〈全体の構成〉
本実施形態の光半導体素子200は、面発光型半導体レーザ20のn型の第1ミラー21及びp型の第2ミラー23、並びに光検出素子30のn型の第1コンタクト層31及びp型の第2コンタクト層33から、全体としてnpnp構造になっている。光検出素子30は、面発光型半導体レーザ20で発生したレーザ光の出力をモニタするために設けられる。具体的には、光検出素子30は、面発光型半導体レーザ20で生じたレーザ光を電流に変換し、この電流の値によって面発光型半導体レーザ20で生じたレーザ光の出力がモニタされる。
より具体的には、光検出素子30において、面発光型半導体レーザ20により生じたレーザ光の一部が光吸収層32にて吸収され、この吸収された光によって光吸収層32で光励起が生じ、電子及び正孔が生成される。そして、外部から印加された電界によって電子は電極211に、正孔は電極36にそれぞれ移動する。その結果、光検出素子30において、第1コンタクト層31から第2コンタクト層33の方向に電流が生じる。
また、面発光型半導体レーザ20の光出力は、主として面発光型半導体レーザ20に印加するバイアス電圧によって決定される。特に、面発光型半導体レーザ20の光出力は、面発光型半導体レーザ20の周囲温度や面発光型半導体レーザ20の寿命によって大きく変化する。このため、面発光型半導体レーザ20において所定の光出力を維持することが必要である。
本実施形態の光半導体素子200では、面発光型半導体レーザ20の光出力を光検出素子30でモニタし、光検出素子30にて発生した電流の値に基づいて面発光型半導体レーザ20に印加する電圧値を調整することによって、面発光型半導体レーザ20内を流れる電流の値を調整することができる。したがって、面発光型半導体レーザ20において所定の光出力を維持することができる。面発光型半導体レーザ20の光出力を面発光型半導体レーザ20に印加する電圧値にフィードバックする制御は、外部電子回路(駆動回路:図示略)を用いて実現することができる。
また、本実施形態の光半導体素子200は、面発光型半導体レーザ20の電極26と静電耐圧素子40の電極41とが電極配線221によって電気的に接続されており、面発光型半導体レーザ20の電極28と静電耐圧素子40の電極42とが電極配線222によって電気的に接続されている。面発光型半導体レーザ20の電極26はp型GaAsからなるコンタクト層24上に形成されたp電極であり、電極28はn型の第1ミラー21上に形成されたn電極である。一方、静電耐圧素子40の電極41はn型GaAs層からなる第1コンタクト層31上に形成されたn電極であり、電極42はp型GaAs層からなる第2コンタクト層33上に形成されたp電極である。したがって、静電耐圧素子40は、電極配線221、222によって、面発光型半導体レーザ20に対して逆極性となるよう(逆方向の整流作用を有するよう)並列に接続されている。
図21は、本発明の第6の実施形態による光半導体素子200の電気的な等価回路図である。
図21に示す通り、光検出素子30は、アノード電極(正電極)が電極36のパッド部36cに、カソード電極(負電極)が電極配線221のパッド部221cに接続されている。また、面発光型半導体レーザ20は、アノード電極(正電極)が電極配線221のパッド部221cに、カソード電極(負電極)が電極配線222のパッド部222cに接続されている。静電耐圧素子40は、アノード電極(正電極)が電極配線222のパッド部222cに、カソード電極(負電極)が電極配線221のパッド部221cに接続されている。
〔光半導体素子の動作〕
次に、実施形態の光半導体素子200の一般的な動作について説明する。なお、下記の光半導体素子200の駆動方法は一例であり、本発明の範囲内で種々の変更が可能である。まず、パッド部221c、222cを不図示の電源に接続して電極26と電極28との間に順方向の電圧を印加すると、面発光型半導体レーザ20の活性層22において、電子と正孔との再結合が生じ、再結合による発光が生じる。そこで生じた光が第2ミラー23と第1ミラー21との間を往復する間に誘導放出が起こって光の強度が増幅される。光利得が光損失を上まわると、レーザ発振が起こり、第2ミラー23の上面からレーザ光が射出され、分離層27へと入射する。次いで、レーザ光は光検出素子30の第1コンタクト層31に入射する。
次に、光検出素子30を構成する第1コンタクト層31に入射した光は光吸収層32に入射する。この入射光の一部が光吸収層32にて吸収されると光吸収層32において光励起が生じ、電子及び正孔が生じる。そして、外部から印加された電界により、電子は電極211に、正孔は電極36にそれぞれ移動する。その結果、光検出素子30において、第1コンタクト層31から第2コンタクト層33の方向に電流(光電流)が生じる。この電流をパッド部36c、221cから取り出してその値を測定することにより、面発光型半導体レーザ20の光出力を検知することができる。
ここで、電極26と電極28との間に逆方向の電圧が印加されたとする。この逆方向の電圧は、面発光型半導体レーザ20にとっては逆方向の電圧であるが、静電耐圧素子40にとっては順方向の電圧である。このため、面発光型半導体レーザ20にとって逆方向の電圧が印加されても静電耐圧素子40に電流が流れるため、面発光型半導体レーザ20を静電破壊から保護することができる。
〔光半導体素子の製造方法〕
次に、以上説明した光半導体素子200の製造方法について説明する。図22〜図24は、本発明の第6の実施形態による光半導体素子の製造工程を模式的に示す断面図である。なお、これらの図は図20に示す断面図に対応している。本実施形態の光半導体素子200を製造するには、図22(a)に示す通り、まずn型GaAs層からなる半導体基板11の表面11aに組成を変調させながらエピタキシャル成長させて半導体多層膜を形成する。
ここで、半導体多層膜は、例えばn型Al0.9Ga0.1As層とn型Al0.15Ga0.85As層とを交互に積層した40ペアの第1ミラー21、GaAsウェル層とAl0.3Ga0.7Asバリア層とからなり、ウェル層が3層で構成される量子井戸構造を含む活性層22、p型Al0.9Ga0.1As層とp型Al0.15Ga0.85As層とを交互に積層した25ペアの第2ミラー23、p型GaAsからなるコンタクト層24、不純物がドーピングされていないAlGaAs層からなる分離層27、n型GaAs層からなる第1コンタクト層31、不純物がドーピングされていないGaAs層からなる光吸収層32及びp型GaAs層からなる第2コンタクト層33からなる。これらの層を順に半導体基板11上に積層させることにより、半導体多層膜が形成される。なお、分離層27は、p型またはn型のAlGaAs層としてもよい。
なお、第2ミラー23を成長させる際に、活性層22近傍の少なくとも1層は、後に酸化されて電流狭窄層25となる層に形成される(図23(c)参照)。具体的には、電流狭窄層25となる層は、Al組成が分離層27のAl組成より大きなAlGaAs層(AlAs層を含む)に形成される。換言すると、分離層27は、Al組成が電流狭窄層25となる層より小さなAlGaAs層に形成することが望ましい。これにより、後述する電流狭窄層25を形成する酸化工程において(図23(c)参照)、分離層27は酸化されないようにすることができる。より具体的には、例えば電流狭窄層25となる層のAl組成が0.95以上であって、分離層27のAl組成が0.95未満であるように、電流狭窄層25となる層及び分離層27を形成することが望ましい。分離層27の光学的膜厚は、面発光型半導体レーザ20(図20参照)の設計波長がλであるとすると、例えば、λ/4の奇数倍にすることが好適である。
また、第1コンタクト層31、光吸収層32及び第2コンタクト層33の光学的膜厚の総和、すなわち、光検出素子30(図20参照)の全体の光学的膜厚は、例えばλ/4の奇数倍とすることが好適である。かかる膜厚にすることで、光検出素子30全体は分布反射型ミラーとして機能することができる。すなわち、面発光型半導体レーザ20における活性層22の上方において、光検出素子30全体が、分布反射型ミラーとして機能することができる。したがって、面発光型半導体レーザ20の特性に悪影響を及ぼすことなく、光検出素子30は分布反射型ミラーとして機能することができる。
エピタキシャル成長を行う際の温度は、成長方法や原料、半導体基板11の種類、あるいは形成する半導体多層膜の種類、厚さ及びキャリア密度によって適宜決定されるが、一般に、450℃〜800℃に設定するのが好ましい。また、エピタキシャル成長を行う際の所要時間も、温度と同様に適宜決定される。また、エピタキシャル成長させる方法としては、有機金属気相成長(MOVPE:Metal-Organic Vapor Phase Epitaxy)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法、あるいはLPE(Liquid Phase Epitaxy)法を用いることができる。
次に、図22(b)に示す通り、第2柱状部P2及び第4柱状部P4を形成する。第2柱状部P2及び第4柱状部P4を形成するには、まず、半導体多層膜上にレジスト(図示略)を塗布した後、リソグラフィ法によりレジストをパターニングする。これにより、第2コンタクト層33の上面に所定の平面形状を有するレジスト層が形成される。次いで、このレジスト層をマスクとして、例えばドライエッチング法により、第2コンタクト層33及び光吸収層32をエッチングする。これにより、第2コンタクト層33と、第2コンタクト層33と同一の平面形状を有する光吸収層32とが形成される。これにより、第2柱状部P2及び第4柱状部P4が形成される。なお、第2柱状部P2及び第4柱状部P4が形成されると、レジスト層は除去される。
第2柱状部P2及び第4柱状部P4を形成すると、第1コンタクト層31を所定の形状にパターニングする。具体的には、まず、第1コンタクト層31上にレジスト(図示略)を塗布した後、リソグラフィ法により塗布したレジストをパターニングする。これにより、第1コンタクト層31上に第2柱状部P2及び第4柱状部P4を覆うように所定のパターンのレジスト層が形成される。次いで、このレジスト層をマスクとして、第1コンタクト層31を、例えばドライエッチングにより所定の厚みになるまでエッチングする。
次いで、残りの第1コンタクト層31を、ウェットエッチング法によりエッチングする。ここで、第1コンタクト層31のエッチングには、エッチャントとして、例えばアンモニア、過酸化水素及び水との混合溶液を用いることができる。アンモニア、過酸化水素及び水の混合比率は、例えば1:10:150程度のものを用いることができるが、特にこの混合比率は限定されず、適宜決定される。第1コンタクト層31の下には分離層27が配置されており、分離層27がエッチングストッパ層として機能するため、分離層27が露出した時点で、第1コンタクト層31のエッチングを正確かつ容易に止めることができる。
以上の工程を経ることにより、図22(b)に示す通り、光検出素子30及び静電耐圧素子40が形成される。光検出素子30及び静電耐圧素子40は、第2コンタクト層33、光吸収層32及び第1コンタクト層31を含んでなる。また、第1コンタクト層31の平面形状は、第2コンタクト層33及び光吸収層32の平面形状よりも大きく形成される。このように、本実施形態では、光検出素子30と静電耐圧素子40とが同一の工程を経て形成される。なお、以上説明した工程では、第2コンタクト層33及び光吸収層32をパターニングした後、第1コンタクト層31をパターニングしていたが、第1コンタクト層31をパターニングした後、第2コンタクト層33及び光吸収層32をパターニングしてもよい。
光検出素子30及び静電耐圧素子40を形成すると、図22(c)に示す通り、分離層27を所定の形状にパターニングする。具体的には、上述のレジスト層(第1コンタクト層31のエッチングに用いたレジスト層)をマスクとして、分離層27をエッチングする。
このとき、分離層27の下には、コンタクト層24が配置されており、このコンタクト層24がエッチングストッパ層として機能するため、分離層27のエッチングを、コンタクト層24が露出した時点で、正確かつ容易に止めることができる。ここで、分離層27のエッチングに用いるエッチャントとして、例えばフッ化水素水溶液や、フッ化水素酸系緩衝溶液を用いることができる。
これにより、図22(c)に示す通り、パターニングされた分離層27が形成される。その後、レジスト層(第1コンタクト層31及び分離層27のエッチングに用いたレジスト層)が除去される。図示の例では、分離層27の平面形状は、第1コンタクト層31の平面形状と同じとなるように形成したが、分離層27の平面形状は、第1コンタクト層31の平面形状よりも大きく形成しても良い。具体的には、上述の分離層27のパターニングに用いるレジスト層を、より平面形状の大きなレジスト層にして分離層27をパターニングすることができる。
次に、図23(a)に示す通り、第1柱状部P1を含む面発光型半導体レーザ20及び静電耐圧素子40の下方に位置する第3柱状部P3の残りの部分を形成する。具体的には、まず、コンタクト層24上にレジスト(図示略)を塗布した後、リソグラフィ法により塗布したレジストをパターニングする。これにより、所定のパターンのレジスト層が形成される。次いで、このレジスト層をマスクとして、例えばドライエッチング法により、コンタクト層24、第2ミラー23及び活性層22をエッチングする。なお、本実施形態では、第1柱状部P1と第3柱状部P3との間の活性層22はエッチングせずに残すようにしている。これにより、図23(a)に示す通り、第1柱状部P1及び第3柱状部P3が形成される。
以上の工程により、半導体基板11上に、第1柱状部P1を含む垂直共振器(面発光型半導体レーザ20)が形成される。これにより、面発光型半導体レーザ20と、分離層27と、光検出素子30との積層体が形成され、さらに、第3柱状部P3の上方に静電耐圧素子40が形成される。その後、レジスト層が除去される。なお、本実施形態では前述した通り、光検出素子30及び静電耐圧素子40並びに分離層27をまず形成した後に第1柱状部P1及び第3柱状部P3を形成する場合について説明したが、第1柱状部P1及び第3柱状部P3を形成した後に光検出素子30及び静電耐圧素子40並びに分離層27を形成してもよい。
続いて、図23(b)に示す通り、電流狭窄層25を形成する。この電流狭窄層25を形成するには、上記工程によって第1柱状部P1及び第3柱状部P3が形成された半導体基板11を、例えば400℃程度の水蒸気雰囲気中に投入する。これにより、前述した第2ミラー23中のAl組成が高い層が側面から酸化されて、電流狭窄層25が形成される。
酸化レートは、炉の温度、水蒸気の供給量、酸化すべき層のAl組成及び膜厚に依存する。酸化により形成される電流狭窄層25を備えた面発光型半導体レーザでは、駆動する際に、電流狭窄層25が形成されていない部分(酸化されていない部分)のみに電流が流れる。したがって、電流狭窄層25を形成する工程において、形成する電流狭窄層25の範囲を制御することにより、電流密度の制御が可能となる。また、面発光型半導体レーザ20から射出されるレーザ光の大部分が第1コンタクト層31に入射するように、電流狭窄層25の径を調整することが望ましい。
次に、図24(a)に示す通り、活性層22及び第1ミラー21上であって第1柱状部P1及び第3柱状部P3の周囲及び第2柱状部P2の周囲に絶縁層50を形成する。絶縁層50の材質としては厚膜化が容易なものを用いることが望ましい。絶縁層50の膜厚は、例えば2〜4μm程度であるが、特に限定される訳ではなく、第1柱状部P1及び第3柱状部P3の高さに応じて適宜設定することができる。
例えば、絶縁層50は、熱または光などのエネルギーによって硬化可能な液体材料(例えば紫外線硬化型樹脂や熱硬化型樹脂の前駆体)を硬化させることにより得られるものを用いることができる。紫外線硬化型樹脂としては、例えば紫外線硬化型のアクリル系樹脂及びエポキシ系樹脂が挙げられる。また、熱硬化型樹脂としては、熱硬化型のポリイミド系樹脂などが例示できる。また、例えば、絶縁層50は、上記材料を複数用いて積層膜とすることもできる。
ここでは、絶縁層50を形成するための材料として、ポリイミド系樹脂の前駆体を用いた場合について述べる。まず、例えばスピンコート法を用いて前駆体(ポリイミド系樹脂の前駆体)を半導体基板11上に塗布して前駆体層を形成する。このとき、前駆体層が第1柱状部P1の上面を覆うように前駆体層を形成する。なお、前駆体層の形成方法としては、前述したスピンコート法のほか、ディッピング法、スプレーコート法、液滴吐出法などの公知技術が利用できる。次いで、例えばホットプレートなどを用いて半導体基板11を加熱して溶媒を除去した後、例えば350℃程度の炉に入れて前駆体層をイミド化させることにより、ほぼ完全に硬化したポリイミド系樹脂層を形成する。続いて、図24(a)に示す通り、ポリイミド系樹脂層を公知のリソグラフィ技術を用いてパターニングすることにより、絶縁層50を形成する。
なお、パターニングの際に用いられるエッチング方法としては、ドライエッチング法などを用いることができる。ドライエッチングは、例えば酸素またはアルゴンなどのプラズマにより行うことができる。また、上述の絶縁層50の形成方法では、ポリイミド系樹脂の前駆体層を硬化した後、パターニングを行う例について示したが、ポリイミド系樹脂の前駆体層を硬化する前に、パターニングを行うこともできる。このパターニングの際に用いられるエッチング方法としては、ウェットエッチング法などを用いることができる。ウェットエッチングは、例えばアルカリ溶液または有機溶液などにより行うことができる。
以上の工程が終了すると、図24(b)に示す通り、第1ミラー21上の電極28及び第1コンタクト層31の上面上の電極211、41が形成される。また、コンタクト層24上の電極26及び第2コンタクト層33上の電極36、42が形成される。ここで、電極36は、リング状の平面形状を有する接続部36a、直線状の平面形状を有する引出部36b、円状の平面形状を有するパッド部36cを有しているが、第2コンタクト層33の上面上には接続部36aが形成され、引出部36b及びパッド部36cは絶縁層50上に形成される。
電極28、41、211を形成する具体的な方法は以下の通りである。まず、電極28、41、211を形成する前に、必要に応じてプラズマ処理法などを用いて、第1ミラー21の上面及び第1コンタクト層31の上面を洗浄する。これにより、より安定した特性の素子を形成することができる。次に、例えば真空蒸着法により、例えばクロム(Cr)、金(Au)とゲルマニウム(Ge)との合金、ニッケル(Ni)及び金(Au)の積層膜を形成する。次いで、リフトオフ法により、所定の位置以外の積層膜を除去することにより電極28、41、211が形成される。
また、電極26、36、42を形成する具体的な方法は以下の通りである。まず、電極26、36、42を形成する前に、必要に応じてプラズマ処理法などを用いて、コンタクト層24の上面及び第2コンタクト層33の上面を洗浄する。これにより、より安定した特性の素子を形成することができる。次に、例えば真空蒸着法により、例えばクロム(Cr)、金(Au)と亜鉛(Zn)との合金及び金(Au)の積層膜を形成する。次いで、リフトオフ法により、所定の位置以外の積層膜を除去することにより電極26、36、42が形成される。
なお、上記の電極28、41、211及び電極26、36、42を形成する工程において、リフトオフ法の代わりにドライエッチング法またはウェットエッチング法を用いることもできる。また、上記工程において、真空蒸着法の代わりにスパッタ法を用いることもできる。さらに、上記の工程においては、電極28、41、211を同時にパターニングし、電極26、36、42を同時にパターニングしているが、これらを個々に形成しても良い。
以上の工程が終了すると、図24(b)に示す通り、電極配線221、222が形成される。
ここで、電極配線221は、面発光型半導体レーザ20の電極26、光検出素子30の電極211及び静電耐圧素子40の電極41を電気的に接続するよう形成される。また、電極配線222は、面発光型半導体レーザ20の電極28と静電耐圧素子40の電極42とを電気的に接続するよう形成される。具体的には、上記各電極を形成する場合と同様に、必要に応じてプラズマ処理法などを用いて半導体基板11上を洗浄する。次いで、例えば真空蒸着法により、例えば金(Au)からなる金属膜を形成する。そして、リフトオフ法などにより、所定の位置以外の金属膜を除去することにより電極配線221、222が形成される。
最後に、アニール処理を行う。アニール処理の温度は電極材料に依存する。本実施形態で用いる電極材料の場合は、通常400℃前後で行う。なお、必要であれば、電極配線221、222を形成する前にアニール処理を行っても良い。これによって工程によって図19、図20に示す本実施形態の光半導体素子200が製造される。以上説明した通り、本実施形態では、光検出素子30と静電耐圧素子40とが同一の工程を経て形成される。このため、製造プロセスを複雑にすることなく静電破壊耐圧が向上した光半導体素子200を製造することができる。
〔第7の実施形態〕
図25は本発明の第7の実施形態による光半導体素子を模式的に示す平面図であり、図26は図25中のF−F線に沿う断面図である。なお、図25及び図26においては、図19及び図20に示した構成に相当するものには同一の符号を付してある。図25及び図26に示す通り、本実施形態の光半導体素子230は、面発光型半導体レーザ20、光検出素子30及び静電耐圧素子70を含んで構成される。本実施形態の光半導体素子230が備える面発光型半導体レーザ20及び光検出素子30は、図19、図20に示す第6の実施形態の光半導体素子200が備えるものと同一構成であるが、静電耐圧素子70は光半導体素子200が備える静電耐圧素子40とは異なる構成である。
本実施形態においては、第3柱状部P3が第2ミラー23のみから形成されており、第4柱状部P4は形成されていない。この第3柱状部P3を構成する第2ミラー23は、前述した通り、p型Al0.9Ga0.1As層(以下、第1層と称する)とp型Al0.15Ga0.85As層(以下、第2層と称する)とを交互に積層したものであり、何れか一方の層が第3柱状部P3の上面に現れている。なお、ここでは、第1層が第3柱状部P3の上面に現れているとする。
図27は、第3柱状部P3の最上部を拡大した断面図である。図27(a)に示す通り、第3柱状部P3の最上部には第1層L1と第2層L2とが積層されている。第3柱状部P3の最上部において、最も上方に位置する第1層L1が除去されている部分があり、この部分において第2層L2が第3柱状部P3の上面に現れている。第3柱状部P3の最も上方に位置する第1層L1上には電極71が形成されており、第3柱状部P3の上面に現れている第2層L2上には電極72が形成されている。本実施形態では、電極71と第3柱状部P3の最も上方に位置する第1層L1との接合がショットキー接合となっており、これにより静電耐圧素子70が形成されている。すなわち、面発光型半導体レーザ20をなす第1ミラー21の一部と同一の層構造を用いて静電耐圧素子70が形成されている。
第1層L1はp型Al0.9Ga0.1As層であるため、ショットキー接合を形成する電極71としては、チタン(Ti)、白金(Pt)及び金(Au)の積層膜を用いることができる。あるいは、アルミニウム(Al)からなる金属膜、若しくはアルミニウム(Al)と金(Au)との合金からなる金属膜を用いることができる。また、第2層L2上に形成される電極72は、第6の実施形態の光半導体素子200に形成された電極26、36、42と同様に、例えば、クロム(Cr)、金(Au)と亜鉛(Zn)との合金及び金(Au)の積層膜、または、白金(Pt)、チタン(Ti)及び金(Au)の積層膜を用いて形成することができる。
なお、図27(a)に示す例では、1ペアをなす第1層L1上に電極71を、第2層L2上に電極72を形成していた。しかしながら、図27(b)に示す通り、1つのペアの第1層L1上に電極71を形成し、このペアとは異なるペアの第2層L2上に電極72を形成しても良い。図27(b)に示す例では、上面に電極71が形成された第1層L1(最も上方に位置する第1層L1)と、上面に電極72が形成された第2層L2との間に第1層L1及び第2層L2とが1層ずつ設けられた構成を図示しているが、これらの間に設けられる層数は任意でよい。また、図27に示す例では、第3柱状部P3の最も上方に位置する層が第1層L1である場合を図示しているが、第3柱状部P3の最も上方に位置する層が第2層L2であっても良い。すなわち、第2層L2上に電極71が形成され、第1層L1上に電極72が形成されていても良い。
また、図26に示す通り、電極71上には電極配線221が形成されている。これにより、電極71は、面発光型半導体レーザ20の電極26及び光検出素子30の電極211と電気的に接続されている。また、電極72上には電極配線222が形成されている。これにより、面発光型半導体レーザ20の電極28と電気的に接続されている。したがって、本実施形態の光半導体素子230においても、静電耐圧素子70は、電極配線221、222によって、面発光型半導体レーザ20に対して逆極性となるよう(逆方向の整流作用を有するよう)並列に接続されている。このため面発光型半導体レーザ20の電極26と電極28との間に逆方向の電圧が印加されても静電耐圧素子40に電流が流れるため、面発光型半導体レーザ20の静電破壊から保護することができる。
また、本実施形態においては、ショットキー接合を得るための電極71を形成する工程が必要になるものの、静電耐圧素子70を形成するための専用の工程は必要ない。このため、製造プロセスを複雑にすることなく静電破壊耐圧が向上した光半導体素子230を製造することができる。
〔第8の実施形態〕
図28は、本発明の第8の実施形態による光半導体素子を模式的に示す断面図である。なお、本実施形態の光半導体素子240の平面的な構成は図25に示す構成と同様の構成である。
したがって、図28は、図25中のF−F線に沿う断面図ということができる。なお、図28においては、図19及び図2に示した構成に相当するものには同一の符号を付してある。図28に示す通り、本実施形態の光半導体素子240は、面発光型半導体レーザ20、光検出素子30及び静電耐圧素子90を含んで構成される。本実施形態の光半導体素子240が備える面発光型半導体レーザ20及び光検出素子30は、図19、図20に示す第6の実施形態の光半導体素子200が備えるものと同一構成であるが、静電耐圧素子90は光半導体素子200が備える静電耐圧素子40及び光半導体素子230が備える静電耐圧素子70とは異なる構成である。
本実施形態においては、第3柱状部P3が第2ミラー23及びコンタクト層24から形成されており、第4柱状部P4が分離層27及び第1コンタクト層31から形成されている。なお、第4柱状部P4は、第3柱状部P3よりも径が小さく形成されている。本実施形態では、コンタクト層24、分離層27及び第1コンタクト層31から静電耐圧素子90が形成されている。コンタクト層24と分離層27とによってヘテロ接合が形成されており、第1コンタクト層31と分離層27とによってヘテロ接合が形成されている。すなわち、面発光型半導体レーザ20を構成するコンタクト層24及び光検出素子30を構成する第1コンタクト層31と同一の層構造を用いて静電耐圧素子90が形成されている。
この第4柱状部P4の上面(第1コンタクト層31上)には電極91が形成されており、第3柱状部P3の上面(コンタクト層24上)には電極92が形成されている。電極91は、例えば、クロム(Cr)、金(Au)とゲルマニウム(Ge)との合金、ニッケル(Ni)及び金(Au)の積層膜を用いて形成することができる。また、電極92は、例えば、クロム(Cr)、金(Au)と亜鉛(Zn)との合金及び金(Au)の積層膜、または、白金(Pt)、チタン(Ti)及び金(Au)の積層膜を用いて形成することができる。
また、図28に示す通り、電極91上には電極配線221が形成されている。これにより、電極91は、面発光型半導体レーザ20の電極26及び光検出素子30の電極211と電気的に接続されている。また、電極92上には電極配線222が形成されている。これにより、電極92は、面発光型半導体レーザ20の電極28と電気的に接続されている。したがって、本実施形態の光半導体素子240においても、静電耐圧素子90は、電極配線221、222によって、面発光型半導体レーザ20に対して逆極性となるよう(逆方向の整流作用を有するよう)並列に接続されている。このため面発光型半導体レーザ20の電極26と電極28との間に逆方向の電圧が印加されても静電耐圧素子40に電流が流れるため、面発光型半導体レーザ20の静電破壊から保護することができる。また、本実施形態においては、静電耐圧素子90は、面発光型半導体レーザ20及び光検出素子30を形成するために行われるエッチングを工夫することで形成される。よって、静電耐圧素子90を形成するための専用の工程は必要ない。このため、製造プロセスを複雑にすることなく静電破壊耐圧が向上した光半導体素子240を製造することができる。
〔第9の実施形態〕
図29は本発明の第9の実施形態による光半導体素子を模式的に示す平面図であり、図30は図29中のG−G線に沿う断面図である。なお、図29及び図30においては、図19及び図2に示した構成に相当するものには同一の符号を付してある。図29及び図30に示す通り、本実施形態の光半導体素子250は、面発光型半導体レーザ20、光検出素子260及び静電耐圧素子270を含んで構成される。本実施形態の光半導体素子250が備える面発光型半導体レーザ20は、図19、図20に示す第6の実施形態の光半導体素子200が備えるものと同一構成であるが、光検出素子260及び静電耐圧素子270が光半導体素子200が備えるものとは異なる構成である。
図30に示す通り、面発光型半導体レーザ20は、第1ミラー21、活性層22、第2ミラー23及びコンタクト層24からなる。以上説明した第6〜第8の実施形態では、このコンタクト層24上に分離層27が形成されていたが、本実施形態では分離層27が省略されており、コンタクト層24上に光吸収層261とコンタクト層262が順に積層されて第2柱状部P2が形成されている。本実施形態では、面発光型半導体レーザ20を構成するコンタクト層24、光吸収層261及びコンタクト層262から光検出素子260が形成されている。
コンタクト層24はp型GaAsからなり、光吸収層261は不純物が導入されていないGaAs層からなり、コンタクト層262はn型GaAs層からなる。具体的には、コンタクト層24は、例えば炭素(C)がドーピングされることによりp型にされており、コンタクト層262は、例えばケイ素(Si)がドーピングされることによりn型にされている。したがって、p型のコンタクト層24、不純物がドーピングされていない光吸収層261及びn型のコンタクト層262により、pinダイオードが形成される。
コンタクト層24上には、第1柱状部P1の外周に沿い、かつ第2柱状部P2を取り囲むようにリング状の平面形状を有する電極26が形成されている。本実施形態においてはコンタクト層24は、面発光型半導体レーザ20と光検出素子260とに共用されているため、この電極26は、面発光型半導体レーザ20の一方の電極及び光検出素子260の一方の電極として共用される。
また、光検出素子260の上面上(コンタクト層262上)には電極263が形成されている。電極263は、光検出素子260の他方の電極として使用される。電極263には開口部264が設けられており、この開口部264によってコンタクト層262の上面の一部が露出する。この露出した面が、レーザ光の射出面265である。したがって、開口部264の平面形状及び大きさを適宜設定することにより、射出面265の形状及び大きさを適宜設定することができる。本実施形態においては、図29に示す通り、射出面265が円形であるものとする。電極263は、例えば、クロム(Cr)、金(Au)とゲルマニウム(Ge)との合金、ニッケル(Ni)及び金(Au)の積層膜を用いて形成することができる。
電極36は、図29に示す通り、リング状の平面形状を有する接続部263aと、直線状の平面形状を有する引出部263bと、円状の平面形状を有するパッド部263cとを有する。電極263は、接続部263aにおいてコンタクト層262と電気的に接続されている。電極263の引出部263bは、接続部263aとパッド部263cとを接続している。電極のパッド部263cは、電極パッドとして用いられる。なお、本実施形態では電極263の接続部263aの形状がリング状である場合を例に挙げているが、接続部263aはコンタクト層262に接触してさえいれば良いため、その平面形状は任意の形状とすることができる。
また、本実施形態においては、第3柱状部P3が第2ミラー23及びコンタクト層24から形成されており、第4柱状部P4が光吸収層261とコンタクト層262とから形成されている。なお、第4柱状部P4は、第3柱状部P3よりも径が小さく形成されている。
本実施形態では、光検出素子260と同様に、コンタクト層24、光吸収層261及びコンタクト層262から静電耐圧素子270が形成されている。すなわち、光検出素子260と同一の層構造を用いて静電耐圧素子270が形成されている。
第4柱状部P4の上面(コンタクト層262上)には電極271が形成されており、第3柱状部P3の上面(コンタクト層24上)には電極272が形成されている。電極271は、例えば、クロム(Cr)、金(Au)とゲルマニウム(Ge)との合金、ニッケル(Ni)及び金(Au)の積層膜を用いて形成することができる。また、電極272は、例えば、クロム(Cr)、金(Au)と亜鉛(Zn)との合金及び金(Au)の積層膜、または、白金(Pt)、チタン(Ti)及び金(Au)の積層膜を用いて形成することができる。
また、図28に示す通り、電極271上には電極配線221が形成されている。これにより、電極271は、面発光型半導体レーザ20及び光検出素子260の電極26と電気的に接続されている。また、電極272上には電極配線222が形成されている。これにより、電極272は、面発光型半導体レーザ20の電極28と電気的に接続されている。したがって、本実施形態の光半導体素子250においても、静電耐圧素子270は、電極配線221、222によって、面発光型半導体レーザ20に対して逆極性となるよう(逆方向の整流作用を有するよう)並列に接続されている。このため面発光型半導体レーザ20の電極26と電極28との間に逆方向の電圧が印加されても静電耐圧素子270に電流が流れるため、面発光型半導体レーザ20の静電破壊から保護することができる。また、本実施形態においては、静電耐圧素子270は、光検出素子30と同一の製造プロセスによって形成される。よって、静電耐圧素子270を形成するための専用の工程は必要ない。このため、製造プロセスを複雑にすることなく静電破壊耐圧が向上した光半導体素子250を製造することができる。
以上、本発明の実施形態について説明した、本発明は上記の実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では面発光型半導体レーザ20の上方に光検出素子30、260が設けられた構成の光素子を例に挙げて説明したが、例えば特公平7−56552号公報または特開平6−37299号公報に開示されている光検出素子の上方に面発光型半導体レーザが設けられた構成の光素子にも本発明を適用することができる。
また、上記実施形態では、光検出素子30、260が面発光型半導体レーザ20から射出されたレーザ光の光強度を検出するために設けられていた。しかしながら、外部からの光を受光するために光検出素子30、260を用いても良い。具体的には、例えば光通信の用途に光素子を用い、送信すべき光信号には面発光型半導体レーザ20から射出されたレーザ光を用い、送信されてきた光信号を光検出素子30、260で受光することができる。光検出素子30、260で受光された光信号は、電極36、211または電極26、263から電気信号として取り出される。さらに、上記実施形態において、各半導体層におけるp型とn型とを入れ替えても本発明の範囲外となるものではない。
〔第10の実施形態〕
次に、本発明の第10の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図31は本発明の第10の実施形態による光半導体素子を模式的に示す平面図であり、図32は図31中のH−H線に沿う断面図である。図32に示す通り、本実施形態の光半導体素子300は、面発光型半導体レーザ20、受光素子としての光検出素子30及び静電耐圧素子110を含んで構成される。以下、これらの構成及び全体構成について順に説明する。
〈面発光型半導体レーザ〉
面発光型半導体レーザ20は、半導体基板(本実施形態ではn型GaAs基板)11上に形成されている。この面発光型半導体レーザ20は垂直共振器を有しており、本実施形態では垂直共振器をなす一方の分布反射型多層膜ミラーが柱状の半導体堆積体(以下、第1柱状部と称する)P1に形成されている。つまり、面発光型半導体レーザ20はその一部が第1柱状部P1に含まれた構成である。
面発光型半導体レーザ20は、例えば、n型Al0.9Ga0.1As層とn型Al0.15Ga0.85As層とを交互に積層した40ペアの分布反射型多層膜ミラー(以下、第1ミラーと称する)21と、GaAsウェル層とAl0.3Ga0.7Asバリア層からなり、ウェル層が3層で構成される量子井戸構造を含む活性層22と、p型Al0.9Ga0.1As層とp型Al0.15Ga0.85As層とを交互に積層した25ペアの分布反射型多層膜ミラー(以下、第2ミラーと称する)23と、p型GaAsからなるコンタクト層24とが順次積層された多層構造である。
なお、本実施形態において、AlGaAs層のAl組成とは、ガリウム(Ga)に対するアルミニウム(Al)の組成をいう。AlGaAs層のAl組成は、「0」から「1」までである。すなわち、AlGaAs層は、GaAs層(Al組成が「0」の場合)及びAlAs層(Al組成が「1」の場合)を含む。また、以上説明した第1ミラー21、活性層22、第2ミラー23及びコンタクト層24を構成する各層の組成及び層数は特に限定される訳ではない。
面発光型半導体レーザ20をなす第1ミラー21は、例えばケイ素(Si)がドーピングされることによりn型にされており、第2ミラー23は、例えば炭素(C)がドーピングされることによりp型にされている。したがって、p型の第2ミラー23、不純物がドーピングされていない活性層22及びn型の第1ミラー21により、pinダイオードが形成される。また、面発光型半導体レーザ20のうち、第2ミラー23及びコンタクト層24が、第2ミラー23の上面からみて円形の形状にエッチングされて第1柱状部P1が形成されている。なお、本実施形態では、第1柱状部P1の平面形状を円形としたが、この形状は任意の形状をとることができる。
さらに、第2ミラー23を構成する層のうち活性層22に近い領域に、AlGaAs層を側面から酸化することにより得られる電流狭窄層25が形成されている。この電流狭窄層25はリング状に形成されている。すなわち、この電流狭窄層25は、図31及び図32に示す半導体基板11の表面11aと平行な面で切断した場合における断面形状が、第1柱状部P1の平面形状の円形と同心の円のリング状である。
また、コンタクト層24上には、第1柱状部P1の外周に沿うようにリング状の平面形状を有する電極26が形成されている。この電極26は、例えば、クロム(Cr)、金(Au)と亜鉛(Zn)との合金及び金(Au)の積層膜からなる。あるいは、白金(Pt)、チタン(Ti)及び金(Au)の積層膜からなる。この電極26は、面発光型半導体レーザ20を駆動するためのものであり、電極26から活性層22に電流が注入される。
〈分離層〉
本実施形態の光半導体素子300は、面発光型半導体レーザ20上に分離層27が形成されている。すなわち、分離層27は、面発光型半導体レーザ20と後述する光検出素子30との間に設けられている。具体的には、図32に示す通り、分離層27は、コンタクト層24上に形成されている。すなわち、分離層27は、面発光型半導体レーザ20のコンタクト層24と、後述する光検出素子30の後述する第1コンタクト層31との間に設けられている。なお、前述した通り、コンタクト層24の上面にはリング状の電極26が形成されているため、分離層27は周囲が電極26に取り囲まれている。
この分離層27の平面形状は円形である。図示の例では、分離層27の平面形状は第1コンタクト層31の平面形状と同じであるが、これらの直径は第1柱状部P1の直径よりも小さくなるよう形成されている。なお、分離層27の平面形状は、第1コンタクト層31の平面形状よりも大きく形成することもできる。分離層27については、後述する光半導体素子の製造方法の項にてさらに詳細に説明する。
〈光検出素子〉
光検出素子30は分離層27上に設けられている。光検出素子30は第1コンタクト層31、光吸収層32及び第2コンタクト層33を含んで構成される。第1コンタクト層31は分離層27上に設けられ、光吸収層32は第1コンタクト層31上に設けられ、第2コンタクト層33は光吸収層32上に設けられている。光吸収層32及び第2コンタクト層33の平面形状は、第1コンタクト層31の平面形状よりも小さく形成されている。
第2コンタクト層33及び光吸収層32は、柱状の半導体堆積体(以下、第2柱状部と称する)P2を構成する。つまり、光検出素子30はその一部が第2柱状部P2に含まれた構成である。なお、光検出素子30の上面は、面発光型半導体レーザ20からのレーザ光の射出面34とされている。
光検出素子30を構成する第1コンタクト層31はn型GaAs層からなり、光吸収層32は不純物が導入されていないGaAs層からなり、第2コンタクト層33はp型GaAs層からなる。具体的には、第1コンタクト層31は、例えばケイ素(Si)がドーピングされることによりn型にされ、第2コンタクト層33は、例えば炭素(C)がドーピングされることによりp型にされている。したがって、n型の第1コンタクト層31、不純物がドーピングされていない光吸収層32及びp型の第2コンタクト層33により、pinダイオードが形成される。
第1コンタクト層31上には、その外周に沿うようにリング状の平面形状を有する電極211が形成されている。つまり、電極211は、第2柱状部P2を取り囲むように設けられている。この電極211は、例えば、クロム(Cr)、金(Au)とゲルマニウム(Ge)との合金、ニッケル(Ni)及び金(Au)の積層膜からなる。
また、光検出素子30の上面上(第2コンタクト層33上)には電極36が形成されている。電極36、211は、光検出素子30を駆動するために使用される。電極36には開口部37が設けられており、この開口部37によって第2コンタクト層33の上面の一部が露出する。この露出した面が、レーザ光の射出面34である。したがって、開口部37の平面形状及び大きさを適宜設定することにより、射出面34の形状及び大きさを適宜設定することができる。本実施形態においては、図31に示す通り、射出面34が円形であるものとする。また、電極36は、面発光型半導体レーザ20のコンタクト層24上に形成される電極26と同じ材質にて形成することができる。
電極36は、図31に示す通り、リング状の平面形状を有する接続部36aと、直線状の平面形状を有する引出部36bと、円状の平面形状を有するパッド部36cとを有する。電極36は、接続部36aにおいて第2コンタクト層33と電気的に接続されている。電極36の引出部36bは、接続部36aとパッド部36cとを接続している。第4電極のパッド部36cは、電極パッドとして用いられる。なお、本実施形態では電極36の接続部36aの形状がリング状である場合を例に挙げているが、接続部36aは第2コンタクト層33に接触してさえいれば良いため、その平面形状は任意の形状とすることができる。
〈静電耐圧素子〉
静電耐圧素子110は、半導体基板11上であって、第1柱状部P1及び第2柱状部が形成された位置とは異なる位置に形成された柱状の半導体堆積体(以下、第3柱状部と称する)P3及び第3柱状部P3上の柱状の半導体堆積体(以下、第4柱状部と称する)P4に形成されている。第3柱状部P3は、第2ミラー23、コンタクト層24、分離層27、第1コンタクト層31、光吸収層32及び第2コンタクト層33、並びに、分離層111及び第1コンタクト層112がエッチングされて形成される。また、第4柱状部P4は、耐圧層113及び第2コンタクト層114がエッチングされて形成される。
第3柱状部P3は第1コンタクト層112の上面からみて円形の形状にエッチングされ、第4柱状部P4は第2コンタクト層114の上面からみて円形の形状にエッチングされる。
また、図31及び図32に示す通り、第4柱状部P4は、その直径が第3柱状部P3の直径よりも小さくなるように形成され、かつ第3柱状部P3と同心とならないよう、第1柱状部P1及び第2柱状部P2から離れる方向に偏心した状態に形成される。第3柱状部P3に形成される分離層111は、第3柱状部P3の下方の第1コンタクト層31、光吸収層32及び第2コンタクト層33からなるpinダイオードと静電耐圧素子110とを分離するものであり、分離層27と同様の組成で形成することができる。なお、本実施形態では、第3柱状部P3と第4柱状部P4とを偏心させた構造を例に挙げて説明するが、これらが同心の構造であっても良い。
静電耐圧素子110は、第3柱状部P3の第1コンタクト層112と、第4柱状部P4の耐圧層113及び第2コンタクト層114とを含んで構成される。このように、静電耐圧素子110は、面発光型半導体レーザ20の層構造及び光検出素子30の層構造とは異なる層構造に形成される。このため、面発光型半導体レーザ20、光検出素子30及び静電耐圧素子110の構造を、光学的及び電気的に最適な構造にすることができる。
静電耐圧素子110を構成する第1コンタクト層112はn型GaAs層からなり、耐圧層113は不純物が導入されていないGaAs層からなり、第2コンタクト層114はp型GaAs層からなる。具体的には、第1コンタクト層112は、例えばケイ素(Si)がドーピングされることによりn型にされ、第2コンタクト層114は、例えば炭素(C)がドーピングされることによりp型にされている。したがって、n型の第1コンタクト層112、不純物がドーピングされていない耐圧層113及びp型の第2コンタクト層114により、pinダイオードが形成される。
静電耐圧素子110を構成する第1コンタクト層112上には、第1柱状部P1及び第2柱状部P2と向かい合う側に、略矩形形状の平面形状を有する電極121が形成されている。この電極121は、光検出素子30を構成する第1コンタクト層31上に形成される電極211と同じ材質にて形成することができる。すなわち、電極121を、例えば、クロム(Cr)、金(Au)とゲルマニウム(Ge)との合金、ニッケル(Ni)及び金(Au)の積層膜で形成することができる。
また、静電耐圧素子110を構成する第2コンタクト層114上には、電極122が形成されている。電極121、122は、静電耐圧素子110を駆動するために使用される。電極122は、面発光型半導体レーザ20のコンタクト層24上に形成される電極26と同じ材質にて形成することができる。すなわち、電極122を、例えば、クロム(Cr)、金(Au)と亜鉛(Zn)との合金及び金(Au)の積層膜で形成することができる。この電極122は、その平面形状を第4柱状部P4の平面形状と相似の円形の形状にすることが望ましい。
〈絶縁層〉
本実施形態の光半導体素子300は、図31及び図32に示す通り、主として第1柱状部P1、第2柱状部P2及び第3柱状部P3の周囲を取り囲むよう第1ミラー21の上、または活性層22の上に絶縁層50が形成されている。また、この絶縁層50は、第4柱状部P4の側面の一部を覆うように形成されている。この絶縁層50は、電極36の引出部36b及びパッド部36cの下及び後述する電極配線221、222の下に形成されている。
〈電極配線〉
電極配線221は、面発光型半導体レーザ20の電極26、光検出素子30の電極211及び静電耐圧素子110の電極121とを電気的に接続するものである。図31に示す通り、電極配線221は、リング状の平面形状を有する接続部221aと、T字の平面形状を有する引出部221bと、円状の平面形状を有するパッド部221cとを有する。電極配線221は、接続部221aにおいて電極26、211の上面に接合されて電気的に接続されている。電極配線221の引出部221bは、接続部221aと静電耐圧素子110の電極121とを接続すると共に、パッド部221cに接続されている。電極配線221のパッド部221cは、電極パッドとして用いられる。
また、電極配線222は、第1ミラー21上の一部に形成された電極28と静電耐圧素子110の電極122とを接続するものである。電極28は、面発光型半導体レーザ20の電極の1つであり、光検出素子30の第1コンタクト層31上に形成される電極211及び静電耐圧素子110の第1コンタクト層112上に形成される電極121と同じ材質にて形成することができる。すなわち、電極28を、例えば、クロム(Cr)、金(Au)とゲルマニウム(Ge)との合金、ニッケル(Ni)及び金(Au)の積層膜で形成することができる。
電極配線222は、図31に示す通り、リング状の平面形状を有する接続部222aと、矩形の平面形状を有する引出部222bと、パッド部222cとを有する。電極配線222は、接続部222aにおいて電極122の上面に接合されて電気的に接続されている。電極配線222の引出部222bは、接続部222aとパッド部222cとを接続すると共に、電極28と接続されている。電極配線222のパッド部222cは、電極パッドとして用いられる。電極配線221、222は、例えば金(Au)を用いて形成することができる。
なお、面発光型半導体レーザ20の電極26、光検出素子30の電極211及び静電耐圧素子110の電極121とを電極配線221で接続し、第1ミラー21上の一部に形成された電極28と静電耐圧素子110の電極122とを電極配線222で接続する代わりに、電極26、電極211及び電極121をワイヤボンディングで接続し、電極28と電極122とをワイヤボンディングで接続しても良い。しかしながら、電極配線221、222で接続した方が配線抵抗が低いため、高周波特性に優れると共にプロセスの信頼性も高い。
〈全体の構成〉
本実施形態の光半導体素子300は、面発光型半導体レーザ20のn型の第1ミラー21及びp型の第2ミラー23、並びに光検出素子30のn型の第1コンタクト層31及びp型の第2コンタクト層33から、全体としてnpnp構造になっている。光検出素子30は、面発光型半導体レーザ20で発生したレーザ光の出力をモニタするために設けられる。具体的には、光検出素子30は、面発光型半導体レーザ20で生じたレーザ光を電流に変換し、この電流の値によって面発光型半導体レーザ20で生じたレーザ光の出力がモニタされる。
より具体的には、光検出素子30において、面発光型半導体レーザ20により生じたレーザ光の一部が光吸収層32にて吸収され、この吸収された光によって光吸収層32で光励起が生じ、電子及び正孔が生成される。そして、外部から印加された電界によって電子は電極211に、正孔は電極36にそれぞれ移動する。その結果、光検出素子30において、第1コンタクト層31から第2コンタクト層33の方向に電流が生じる。
また、面発光型半導体レーザ20の光出力は、主として面発光型半導体レーザ20に印加するバイアス電圧によって決定される。特に、面発光型半導体レーザ20の光出力は、面発光型半導体レーザ20の周囲温度や面発光型半導体レーザ20の寿命によって大きく変化する。このため、面発光型半導体レーザ20において所定の光出力を維持することが必要である。
本実施形態の光半導体素子300では、面発光型半導体レーザ20の光出力を光検出素子30でモニタし、光検出素子30にて発生した電流の値に基づいて面発光型半導体レーザ20に印加する電圧値を調整することによって、面発光型半導体レーザ20内を流れる電流の値を調整することができる。したがって、面発光型半導体レーザ20において所定の光出力を維持することができる。面発光型半導体レーザ20の光出力を面発光型半導体レーザ20に印加する電圧値にフィードバックする制御は、外部電子回路(駆動回路:図示略)を用いて実現することができる。
また、本実施形態の光半導体素子300は、面発光型半導体レーザ20の電極26と静電耐圧素子110の電極121とが電極配線221によって電気的に接続されており、面発光型半導体レーザ20の電極28と静電耐圧素子110の電極122とが電極配線222によって電気的に接続されている。面発光型半導体レーザ20の電極26はp型GaAsからなるコンタクト層24上に形成されたp電極であり、電極28はn型の第1ミラー21上に形成されたn電極である。一方、静電耐圧素子110の電極121はn型GaAs層からなる第1コンタクト層112上に形成されたn電極であり、電極122はp型GaAs層からなる第2コンタクト層114上に形成されたp電極である。したがって、静電耐圧素子110は、電極配線221、222によって、面発光型半導体レーザ20に対して逆極性となるよう(逆方向の整流作用を有するよう)並列に接続されている。
図33は、本発明の第10の実施形態による光半導体素子300の電気的な等価回路図である。
図33に示す通り、光検出素子30は、アノード電極(正電極)が電極36のパッド部36cに、カソード電極(負電極)が電極配線221のパッド部221cに接続されている。また、面発光型半導体レーザ20は、アノード電極(正電極)が電極配線221のパッド部221cに、カソード電極(負電極)が電極配線222のパッド部222cに接続されている。静電耐圧素子110は、アノード電極(正電極)が電極配線222のパッド部222cに、カソード電極(負電極)が電極配線221のパッド部221cに接続されている。
〔光半導体素子の動作〕
次に、実施形態の光半導体素子300の一般的な動作について説明する。なお、下記の光半導体素子300の駆動方法は一例であり、本発明の範囲内で種々の変更が可能である。まず、パッド部221c、222cを不図示の電源に接続して電極26と電極28との間に順方向の電圧を印加すると、面発光型半導体レーザ20の活性層22において、電子と正孔との再結合が生じ、再結合による発光が生じる。そこで生じた光が第2ミラー23と第1ミラー21との間を往復する間に誘導放出が起こって光の強度が増幅される。光利得が光損失を上まわると、レーザ発振が起こり、第2ミラー23の上面からレーザ光が射出され、分離層27へと入射する。次いで、レーザ光は光検出素子30の第1コンタクト層31に入射する。
次に、光検出素子30を構成する第1コンタクト層31に入射した光は光吸収層32に入射する。この入射光の一部が光吸収層32にて吸収されると光吸収層32において光励起が生じ、電子及び正孔が生じる。そして、外部から印加された電界により、電子は電極211に、正孔は電極36にそれぞれ移動する。その結果、光検出素子30において、第1コンタクト層31から第2コンタクト層33の方向に電流(光電流)が生じる。この電流をパッド部36c、221cから取り出してその値を測定することにより、面発光型半導体レーザ20の光出力を検知することができる。
ここで、電極26と電極28との間に逆方向の電圧が印加されたとする。この逆方向の電圧は、面発光型半導体レーザ20にとっては逆方向の電圧であるが、静電耐圧素子110にとっては順方向の電圧である。このため、面発光型半導体レーザ20にとって逆方向の電圧が印加されても静電耐圧素子110に電流が流れるため、面発光型半導体レーザ20を静電破壊から保護することができる。
〔光半導体素子の製造方法〕
次に、以上説明した光半導体素子300の製造方法について説明する。図34〜図37は、本発明の第10の実施形態による光半導体素子の製造工程を模式的に示す断面図である。なお、これらの図は図32に示す断面図に対応している。本実施形態の光半導体素子300を製造するには、図34(a)に示す通り、まずn型GaAs層からなる半導体基板11の表面11aに組成を変調させながらエピタキシャル成長させて半導体多層膜を形成する。
ここで、半導体多層膜は、例えばn型Al0.9Ga0.1As層とn型Al0.15Ga0.85As層とを交互に積層した40ペアの第1ミラー21、GaAsウェル層とAl0.3Ga0.7Asバリア層とからなり、ウェル層が3層で構成される量子井戸構造を含む活性層22、p型Al0.9Ga0.1As層とp型Al0.15Ga0.85As層とを交互に積層した25ペアの第2ミラー23、p型GaAsからなるコンタクト層24、不純物がドーピングされていないAlGaAs層からなる分離層27、n型GaAs層からなる第1コンタクト層31、不純物がドーピングされていないGaAs層からなる光吸収層32、p型GaAs層からなる第2コンタクト層33、不純物がドーピングされていないAlGaAs層からなる分離層111、n型GaAs層からなる第1コンタクト層112、不純物がドーピングされていないGaAs層からなる耐圧層113、p型GaAs層からなる第2コンタクト層114からなる。これらの層を順に半導体基板11上に積層させることにより、半導体多層膜が形成される。なお、分離層27、111は、p型またはn型のAlGaAs層としてもよい。
なお、第2ミラー23を成長させる際に、活性層22近傍の少なくとも1層は、後に酸化されて電流狭窄層25となる層に形成される(図36(a)参照)。具体的には、電流狭窄層25となる層は、Al組成が分離層27・分離層111のAl組成より大きなAlGaAs層(AlAs層を含む)に形成される。換言すると、分離層27・分離層111は、Al組成が電流狭窄層25となる層より小さなAlGaAs層に形成することが望ましい。これにより、後述する電流狭窄層25を形成する酸化工程において(図36(a)参照)、分離層27は酸化されないようにすることができる。より具体的には、例えば電流狭窄層25となる層のAl組成が0.95以上であって、分離層27・分離層111のAl組成が0.95未満であるように、電流狭窄層25となる層及び分離層27・分離層111を形成することが望ましい。分離層27の光学的膜厚は、面発光型半導体レーザ20(図32参照)の設計波長がλであるとすると、例えば、λ/4の奇数倍にすることが好適である。また、分離層111の膜厚は、絶縁性、耐圧性及び寄生容量などを考慮して決定することが望ましい。
また、第1コンタクト層31、光吸収層32及び第2コンタクト層33の光学的膜厚の総和、すなわち、光検出素子30(図32参照)の全体の光学的膜厚は、例えばλ/4の奇数倍とすることが好適である。かかる膜厚にすることで、光検出素子30全体は分布反射型ミラーとして機能することができる。すなわち、面発光型半導体レーザ20における活性層22の上方において、光検出素子30全体が、分布反射型ミラーとして機能することができる。したがって、面発光型半導体レーザ20の特性に悪影響を及ぼすことなく、光検出素子30は分布反射型ミラーとして機能することができる。
エピタキシャル成長を行う際の温度は、成長方法や原料、半導体基板11の種類、あるいは形成する半導体多層膜の種類、厚さ及びキャリア密度によって適宜決定されるが、一般に、450℃〜800℃に設定するのが好ましい。また、エピタキシャル成長を行う際の所要時間も、温度と同様に適宜決定される。また、エピタキシャル成長させる方法としては、有機金属気相成長(MOVPE:Metal-Organic Vapor Phase Epitaxy)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法、あるいはLPE(Liquid Phase Epitaxy)法を用いることができる。
次に、図34(b)に示す通り、第4柱状部P4を形成する。第4柱状部P4を形成するには、まず、半導体多層膜上にレジスト(図示略)を塗布した後、リソグラフィ法によりレジストをパターニングする。これにより、第2コンタクト層114の上面に所定の平面形状を有するレジスト層が形成される。次いで、このレジスト層をマスクとして、例えばドライエッチング法により、第2コンタクト層114及び耐圧層113をエッチングする。これにより、第2コンタクト層114と、第2コンタクト層114と同一の平面形状を有する耐圧層113とが形成される。これにより、第4柱状部P4が形成される。なお、第2柱状部P2及び第4柱状部P4が形成されると、レジスト層は除去される。
次に、第4柱状部P4を覆うようにレジスト層を形成する。そして、このレジスト層をマスクとして、例えばドライエッチング法により、第1コンタクト層112及び分離層111の途中までエッチングする。これにより、第3柱状部P3の上部が形成される。以上の工程を経ることにより、図34(b)に示す通り、静電耐圧素子110が形成される。静電耐圧素子110は、第2コンタクト層114、耐圧層113及び第1コンタクト層112を含んでなる。第1コンタクト層112の平面形状は、第2コンタクト層114及び耐圧層113の平面形状よりも大きく形成される。
なお、この工程が終了するとレジスト層は除去される。また、以上説明した工程では、第2コンタクト層114及び耐圧層113をパターニングした後、第1コンタクト層112をパターニングしていたが、第1コンタクト層112をパターニングした後、第2コンタクト層114及び耐圧層113をパターニングしてもよい。
次いで、図34(b)に示す通り、第2柱状部P2を形成する。第2柱状部P2を形成するには、まず、第2柱状部P2の最上部の第2コンタクト層33を露出させる工程が行われる。ここで、第2コンタクト層33を露出させるのは、前述した通り、光検出素子30をなす各層(第1コンタクト層31、光吸収層32及び第2コンタクト層33の光学的膜厚の総和が、例えばλ/4の奇数倍からずれると面発光型半導体レーザ20の特性を悪化させるからである。
ドライエッチングではエッチング量を精密に制御することが難しいため、上記の工程で分離層111の途中までエッチングし、残りの分離層111を選択エッチングを用いてエッチングして第2コンタクト層33を露出させる。具体的には、まず、第4柱状部P4と第3柱状部P3の上部とを覆って所定形状にパターニングしたレジスト層を形成する。そして、残りの分離層111を、ウェットエッチング法によりエッチングする。ここで、分離層111のエッチングに用いるエッチャントとして、例えばフッ化水素水溶液や、フッ化水素酸系緩衝溶液を用いることができる。これにより、第2コンタクト層33がエッチングストッパ層として機能するため、第2コンタクト層33が露出した時点で、分離層111のエッチングを正確かつ容易に止めることができる。
次いで、レジスト(図示略)を塗布した後、リソグラフィ法によりレジストをパターニングする。これにより、第4柱状部P4及び第3柱状部P3の上面を覆い、かつ、第2コンタクト層33上の第2柱状部P2が形成されるべき箇所にレジスト層が形成される。
このレジスト層をマスクとして、例えばドライエッチング法により、第2コンタクト層33及び光吸収層32をエッチングする。これにより、第2コンタクト層33と、第2コンタクト層33と同一の平面形状を有する光吸収層32とが形成される。これにより、第2柱状部P2及び第4柱状部P4が形成される。なお、第2柱状部P2が形成されると、レジスト層は除去される。
第4柱状部P4及び第2柱状部P2を形成すると、第1コンタクト層31を所定の形状にパターニングする。具体的には、まず、レジスト(図示略)を塗布した後、リソグラフィ法により塗布したレジストをパターニングする。これにより、第2柱状部P2を覆うと共に、第4柱状部P4及び第3柱状部P3の上面を覆う所定パターンのレジスト層が形成される。次いで、このレジスト層をマスクとして、第1コンタクト層31を、例えばドライエッチングにより所定の厚みになるまでエッチングする。
次いで、残りの第1コンタクト層31を、ウェットエッチング法によりエッチングする。ここで、第1コンタクト層31のエッチングには、エッチャントとして、例えばアンモニア、過酸化水素及び水との混合溶液を用いることができる。アンモニア、過酸化水素及び水の混合比率は、例えば1:10:150程度のものを用いることができるが、特にこの混合比率は限定されず、適宜決定される。第1コンタクト層31の下には分離層27が配置されており、分離層27がエッチングストッパ層として機能するため、分離層27が露出した時点で、第1コンタクト層31のエッチングを正確かつ容易に止めることができる。
以上の工程を経ることにより、図34(b)に示す通り、光検出素子30が形成される。
光検出素子30は、第2コンタクト層33、光吸収層32及び第1コンタクト層31を含んでなる。光検出素子30の第1コンタクト層31の平面形状は、第2コンタクト層33及び光吸収層32の平面形状よりも大きく形成される。このように、本実施形態では、光検出素子30と静電耐圧素子110とが異なる工程で形成される。なお、以上説明した工程では、第2コンタクト層33及び光吸収層32をパターニングした後、第1コンタクト層31をパターニングしていたが、第1コンタクト層31をパターニングした後、第2コンタクト層33及び光吸収層32をパターニングしてもよい。
光検出素子30及び静電耐圧素子110を形成すると、図35(a)に示す通り、分離層27を所定の形状にパターニングする。具体的には、上述のレジスト層(第1コンタクト層31のエッチングに用いたレジスト層)をマスクとして、分離層27をエッチングする。
このとき、分離層27の下には、コンタクト層24が配置されており、このコンタクト層24がエッチングストッパ層として機能するため、分離層27のエッチングを、コンタクト層24が露出した時点で、正確かつ容易に止めることができる。ここで、分離層27のエッチングに用いるエッチャントとして、例えばフッ化水素水溶液や、フッ化水素酸系緩衝溶液を用いることができる。
これにより、図35(a)に示す通り、パターニングされた分離層27が形成される。その後、レジスト層(第1コンタクト層31及び分離層27のエッチングに用いたレジスト層)が除去される。図示の例では、分離層27の平面形状は、第1コンタクト層31の平面形状と同じとなるように形成したが、分離層27の平面形状は、第1コンタクト層31の平面形状よりも大きく形成しても良い。具体的には、上述の分離層27のパターニングに用いるレジスト層を、より平面形状の大きなレジスト層にして分離層27をパターニングすることができる。
次に、図35(b)に示す通り、第1柱状部P1を含む面発光型半導体レーザ20及び静電耐圧素子110の下方に位置する第3柱状部P3の残りの部分を形成する。具体的には、まず、コンタクト層24上にレジスト(図示略)を塗布した後、リソグラフィ法により塗布したレジストをパターニングする。これにより、所定のパターンのレジスト層が形成される。次いで、このレジスト層をマスクとして、例えばドライエッチング法により、コンタクト層24、第2ミラー23及び活性層22をエッチングする。なお、本実施形態では、第1柱状部P1と第3柱状部P3との間の活性層22はエッチングせずに残すようにしている。これにより、図35(b)に示す通り、第1柱状部P1及び第3柱状部P3が形成される。
以上の工程により、半導体基板11上に、第1柱状部P1を含む垂直共振器(面発光型半導体レーザ20)が形成される。これにより、面発光型半導体レーザ20と、分離層27と、光検出素子30との積層体が形成され、さらに、第3柱状部P3の上方に静電耐圧素子110が形成される。その後、レジスト層が除去される。なお、本実施形態では前述した通り、光検出素子30及び静電耐圧素子110並びに分離層27をまず形成した後に第1柱状部P1及び第3柱状部P3を形成する場合について説明したが、第1柱状部P1及び第3柱状部P3を形成した後に光検出素子30及び静電耐圧素子110並びに分離層27を形成してもよい。
続いて、図36(a)に示す通り、電流狭窄層25を形成する。この電流狭窄層25を形成するには、上記工程によって第1柱状部P1及び第3柱状部P3が形成された半導体基板11を、例えば400℃程度の水蒸気雰囲気中に投入する。これにより、前述した第2ミラー23中のAl組成が高い層が側面から酸化されて、電流狭窄層25が形成される。
酸化レートは、炉の温度、水蒸気の供給量、酸化すべき層のAl組成及び膜厚に依存する。酸化により形成される電流狭窄層25を備えた面発光型半導体レーザでは、駆動する際に、電流狭窄層25が形成されていない部分(酸化されていない部分)のみに電流が流れる。したがって、電流狭窄層25を形成する工程において、形成する電流狭窄層25の範囲を制御することにより、電流密度の制御が可能となる。また、面発光型半導体レーザ20から射出されるレーザ光の大部分が第1コンタクト層31に入射するように、電流狭窄層25の径を調整することが望ましい。
次に、図36(b)に示す通り、活性層22及び第1ミラー21上であって第1柱状部P1及び第3柱状部P3の周囲及び第2柱状部P2の周囲に絶縁層50を形成する。絶縁層50の材質としては厚膜化が容易なものを用いることが望ましい。絶縁層50の膜厚は、例えば2〜4μm程度であるが、特に限定される訳ではなく、第1柱状部P1及び第3柱状部P3の高さに応じて適宜設定することができる。
例えば、絶縁層50は、熱または光などのエネルギーによって硬化可能な液体材料(例えば紫外線硬化型樹脂や熱硬化型樹脂の前駆体)を硬化させることにより得られるものを用いることができる。紫外線硬化型樹脂としては、例えば紫外線硬化型のアクリル系樹脂及びエポキシ系樹脂が挙げられる。また、熱硬化型樹脂としては、熱硬化型のポリイミド系樹脂などが例示できる。また、例えば、絶縁層50は、上記材料を複数用いて積層膜とすることもできる。
ここでは、絶縁層50を形成するための材料として、ポリイミド系樹脂の前駆体を用いた場合について述べる。まず、例えばスピンコート法を用いて前駆体(ポリイミド系樹脂の前駆体)を半導体基板11上に塗布して前駆体層を形成する。このとき、前駆体層が第1柱状部P1の上面を覆うように前駆体層を形成する。なお、前駆体層の形成方法としては、前述したスピンコート法のほか、ディッピング法、スプレーコート法、液滴吐出法などの公知技術が利用できる。次いで、例えばホットプレートなどを用いて半導体基板11を加熱して溶媒を除去した後、例えば350℃程度の炉に入れて前駆体層をイミド化させることにより、ほぼ完全に硬化したポリイミド系樹脂層を形成する。続いて、図36(b)に示す通り、ポリイミド系樹脂層を公知のリソグラフィ技術を用いてパターニングすることにより、絶縁層50を形成する。
なお、パターニングの際に用いられるエッチング方法としては、ドライエッチング法などを用いることができる。ドライエッチングは、例えば酸素またはアルゴンなどのプラズマにより行うことができる。また、上述の絶縁層50の形成方法では、ポリイミド系樹脂の前駆体層を硬化した後、パターニングを行う例について示したが、ポリイミド系樹脂の前駆体層を硬化する前に、パターニングを行うこともできる。このパターニングの際に用いられるエッチング方法としては、ウェットエッチング法などを用いることができる。ウェットエッチングは、例えばアルカリ溶液または有機溶液などにより行うことができる。
以上の工程が終了すると、図37に示す通り、第1ミラー21上の電極28、第1コンタクト層31の上面上の電極211及び第1コンタクト層112上の電極121が形成される。
また、コンタクト層24上の電極26、第2コンタクト層33上の電極36及び第2コンタクト層114上の電極122が形成される。ここで、電極36は、リング状の平面形状を有する接続部36a、直線状の平面形状を有する引出部36b、円状の平面形状を有するパッド部36cを有しているが、第2コンタクト層33の上面上には接続部36aが形成され、引出部36b及びパッド部36cは絶縁層50上に形成される。
電極28、121、211を形成する具体的な方法は以下の通りである。まず、電極28、121、211を形成する前に、必要に応じてプラズマ処理法などを用いて、第1ミラー21の上面、第1コンタクト層31の上面及び第1コンタクト層112の上面を洗浄する。これにより、より安定した特性の素子を形成することができる。次に、例えば真空蒸着法により、例えばクロム(Cr)、金(Au)とゲルマニウム(Ge)との合金、ニッケル(Ni)及び金(Au)の積層膜を形成する。次いで、リフトオフ法により、所定の位置以外の積層膜を除去することにより電極28、121、211が形成される。
また、電極26、36、122を形成する具体的な方法は以下の通りである。まず、電極26、36、122を形成する前に、必要に応じてプラズマ処理法などを用いて、コンタクト層24の上面、第2コンタクト層33の上面及び第2コンタクト層114の上面を洗浄する。これにより、より安定した特性の素子を形成することができる。次に、例えば真空蒸着法により、例えばクロム(Cr)、金(Au)と亜鉛(Zn)との合金及び金(Au)の積層膜を形成する。次いで、リフトオフ法により、所定の位置以外の積層膜を除去することにより電極26、36、122が形成される。
なお、上記の電極28、121、211及び電極26、36、122を形成する工程において、リフトオフ法の代わりにドライエッチング法またはウェットエッチング法を用いることもできる。また、上記工程において、真空蒸着法の代わりにスパッタ法を用いることもできる。さらに、上記の工程においては、電極28、121、211を同時にパターニングし、電極26、36、122を同時にパターニングしているが、これらを個々に形成しても良い。
以上の工程が終了すると、図37に示す通り、電極配線221、222が形成される。ここで、電極配線221は、面発光型半導体レーザ20の電極26、光検出素子30の電極211及び静電耐圧素子110の電極121を電気的に接続するよう形成される。また、電極配線222は、面発光型半導体レーザ20の電極28と静電耐圧素子110の電極122とを電気的に接続するよう形成される。具体的には、上記各電極を形成する場合と同様に、必要に応じてプラズマ処理法などを用いて半導体基板11上を洗浄する。次いで、例えば真空蒸着法により、例えば金(Au)からなる金属膜を形成する。そして、リフトオフ法などにより、所定の位置以外の金属膜を除去することにより電極配線221、222が形成される。
最後に、アニール処理を行う。アニール処理の温度は電極材料に依存する。本実施形態で用いる電極材料の場合は、通常400℃前後で行う。なお、必要であれば、電極配線221、222を形成する前にアニール処理を行っても良い。これによって工程によって図31、図32に示す本実施形態の光半導体素子300が製造される。以上説明した通り、本実施形態では、光検出素子30と静電耐圧素子110とが別々の工程で形成されるが、これらはエッチングを工夫することで容易に形成することができるため、製造プロセスを複雑にすることなく静電破壊耐圧が向上した光半導体素子300を製造することができる。
〔第11の実施形態〕
図38は本発明の第11の実施形態による光半導体素子を模式的に示す平面図であり、図39は図38中のI−I線に沿う断面図である。なお、図38及び図39においては、図31及び図32に示した構成に相当するものには同一の符号を付してある。図38及び図39に示す通り、本実施形態の光半導体素子310は、面発光型半導体レーザ20、光検出素子30及び静電耐圧素子140を含んで構成される。本実施形態の光半導体素子310が備える面発光型半導体レーザ20及び光検出素子30は、図31、図32に示す第10の実施形態の光半導体素子300が備えるものと同一構成であるが、静電耐圧素子140は光半導体素子300が備える静電耐圧素子110とは異なる構成である。
上述した第10の実施形態では、光検出素子30を構成する第2コンタクト層33上には分離層111、第1コンタクト層112、耐圧層113及び第2コンタクト層114が順に積層されており、分離層111上の第1コンタクト層112、耐圧層113及び第2コンタクト層114から静電耐圧素子110が形成されていた。これに対し、本実施形態では、第2コンタクト層33上の分離層111及び第1コンタクト層112が省かれており、第2コンタクト層33上に耐圧層113及びコンタクト層141が順に積層されている。そして、第2コンタクト層33、耐圧層113及びコンタクト層141から静電耐圧素子140が形成されている。
すなわち、静電耐圧素子140には、光検出素子30を構成する第2コンタクト層33と同一の層が含まれている。
耐圧層113上に積層されているコンタクト層141は、第10の実施形態の第1コンタクト層112と同様のn型GaAs層からなる。具体的には、このコンタクト層141は、例えばケイ素(Si)がドーピングされることによりn型にされている。したがって、p型の第2コンタクト層33、不純物がドーピングされていない耐圧層113及びn型のコンタクト層141によりpinダイオードが形成されている。
本実施形態においては、第2コンタクト層33が第3柱状部P3に形成されており、耐圧層113及びコンタクト層141が第4柱状部P4に形成されている。第3柱状部P3は第2コンタクト層33の上面からみて円形の形状にエッチングされ、第4柱状部P4はコンタクト層141の上面からみて円形の形状にエッチングされる。また、図38及び図39に示す通り、第4柱状部P4は、その直径が第3柱状部P3の直径よりも小さくなるように形成され、かつ第3柱状部P3と同心とならないよう、第1柱状部P1及び第2柱状部P2に向かう方向に偏心した状態に形成される。なお、本実施形態では、第3柱状部P3と第4柱状部P4とを偏心させた構造を例に挙げて説明するが、これらが同心の構造であっても良い。
第4柱状部P4の上面(コンタクト層141上)には電極142が形成されており、第3柱状部P3の上面(第2コンタクト層33上)には電極143が形成されている。電極142は、例えば、クロム(Cr)、金(Au)とゲルマニウム(Ge)との合金、ニッケル(Ni)及び金(Au)の積層膜を用いて形成することができる。また、電極143は、例えば、クロム(Cr)、金(Au)と亜鉛(Zn)との合金及び金(Au)の積層膜、または、白金(Pt)、チタン(Ti)及び金(Au)の積層膜を用いて形成することができる。
また、図39に示す通り、電極142上には電極配線221が形成されている。これにより、電極142は、面発光型半導体レーザ20の電極26及び光検出素子30の電極211と電気的に接続されている。また、電極143上には電極配線222が形成されている。これにより、電極143は、面発光型半導体レーザ20の電極28と、電気的に接続されている。したがって、本実施形態の光半導体素子310においても、静電耐圧素子140は、電極配線221、222によって、面発光型半導体レーザ20に対して逆極性となるよう(逆方向の整流作用を有するよう)並列に接続されている。このため面発光型半導体レーザ20の電極26と電極28との間に逆方向の電圧が印加されても静電耐圧素子140に電流が流れるため、面発光型半導体レーザ20の静電破壊から保護することができる。
また、本実施形態においては、第10の実施形態で必要であった分離層111及び第1コンタクト層112を省いており、第2コンタクト層33を光検出素子30と静電耐圧素子140とで共用している。したがって、本実施形態では、第10の実施形態に比べてエピタキシャル層が2層少ないため、工程数の削減及び材料費削減を図ることができる。また、静電耐圧素子140の耐圧層113は光検出素子30で用いられておらず、静電耐圧素子140の電気的な特性が最適となるよう耐圧層113の膜厚を設定することができる。
さらに、本実施形態においても、静電耐圧素子140は、一部が共通するものの光検出素子30とは別の工程で形成される。しかしながら、静電耐圧素子140はエッチングを工夫することで容易に形成することができるため、製造プロセスを複雑にすることなく静電破壊耐圧が向上した光半導体素子300を製造することができる。
以上、本発明の実施形態について説明した、本発明は上記の実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では面発光型半導体レーザ20の上方に光検出素子30が設けられた構成の光素子を例に挙げて説明したが、例えば特公平7−56552号公報または特開平6−37299号公報に開示されている光検出素子の上方に面発光型半導体レーザが設けられた構成の光素子にも本発明を適用することができる。
また、上記実施形態では、光検出素子30が面発光型半導体レーザ20から射出されたレーザ光の光強度を検出するために設けられていた。しかしながら、外部からの光を受光するために光検出素子30を用いても良い。具体的には、例えば光通信の用途に光素子を用い、送信すべき光信号には面発光型半導体レーザ20から射出されたレーザ光を用い、送信されてきた光信号を光検出素子30で受光することができる。光検出素子30で受光された光信号は、電極36、211から電気信号として取り出される。さらに、上記実施形態において、各半導体層におけるp型とn型とを入れ替えても本発明の範囲外となるものではない。さらに、上記実施形態では、静電耐圧素子140がpinダイオードである場合(PIN接合が形成されてなる素子である場合)を例に挙げて説明したが、これ以外にPN接合、ヘテロ接合、またはショットキー接合が形成されてなる素子によっても静電耐圧素子140を形成することができる。
本発明の第1の実施形態における光半導体素子の模式的な平面図である。 図1のA−A矢視断面図である。 図1の等価回路図である。 図1の光半導体素子の製造工程を模式的に示す断面図である。 同じく、図1の光半導体素子の製造工程を模式的に示す断面図である。 同じく、図1の光半導体素子の製造工程を模式的に示す断面図である。 第2の実施形態における光半導体素子の模式的な平面図である。 図7のB−B矢視断面図である。 図7の第3柱状部の最上部を示す部分拡大図である。 第3の実施形態における光半導体素子の模式的な断面図である。 第4の実施形態における光半導体素子の模式的な平面図である。 図11のC−C矢視断面図である。 図11の光半導体素子の製造工程を模式的に示す断面図である。 同じく、図11の光半導体素子の製造工程を模式的に示す断面図である。 同じく、図11の光半導体素子の製造工程を模式的に示す断面図である。 同じく、図11の光半導体素子の製造工程を模式的に示す断面図である。 第5の実施形態における光半導体素子の模式的な平面図である。 図17のD−D矢視断面図である。 第6の実施形態による光半導体素子を模式的に示す平面図である。 図19のE−E矢視断面図である。 図19の等価回路図である。 図19の光半導体素子の製造工程を模式的に示す断面図である。 同じく、図19の光半導体素子の製造工程を模式的に示す断面図である。 同じく、図19の光半導体素子の製造工程を模式的に示す断面図である。 第7の実施形態による光半導体素子を模式的に示す平面図である。 図25のF−F矢視断面図である。 第3柱状部の最上部を示す部分拡大図である。 第8の実施形態による光半導体素子を模式的に示す断面図である。 第9の実施形態による光半導体素子を模式的に示す平面図である。 図29のG−G矢視断面図である。 第10の実施形態による光半導体素子を模式的に示す平面図である。 図31のH−H矢視断面図である。 図31の等価回路図である。 図31の光半導体素子の製造工程を模式的に示す断面図である。 同じく、図31の光半導体素子の製造工程を模式的に示す断面図である。 同じく、図31の光半導体素子の製造工程を模式的に示す断面図である。 同じく、図31の光半導体素子の製造工程を模式的に示す断面図である。 第11の実施形態による光半導体素子を模式的に示す平面図である。 図38のI−I矢視断面図である。
符号の説明
10,60,80,100,130 光半導体素子、11 半導体基板、11a 表面、20 面発光型半導体レーザ、27,111 分離層、30 光検出素子、31 第1コンタクト層(第1半導体層)、32 光吸収層(第2半導体層)、33 第2コンタクト層(第3半導体層)、35c,36c パッド部(出力端子)、40,70,90,110 静電耐圧素子、51c,52c パッド部(入力端子)

Claims (16)

  1. 基板表面に直交する方向にレーザ光を射出する多層構造の面発光型半導体レーザと、該面発光型半導体レーザの上方または下方に形成された多層構造の受光素子と、前記面発光型半導体レーザを静電破壊から保護する静電耐圧素子とを前記基板上に備え、
    前記面発光型半導体レーザを駆動する一対の入力端子と前記受光素子の一対の出力端子とが、それぞれ独立して設けられていることを特徴とする光半導体素子。
  2. 前記静電耐圧素子が、前記一対の入力端子の間に前記面発光型半導体レーザに対して並列に接続され、該面発光型半導体レーザとは逆方向の整流作用を有する素子であることを特徴とする請求項1に記載の光半導体素子。
  3. 前記静電耐圧素子に、PN接合、PIN接合、ヘテロ接合またはショットキー接合が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の光半導体素子。
  4. 前記静電耐圧素子が、前記面発光型半導体レーザ及び前記受光素子の少なくとも一方の前記多層構造の少なくとも一部と同一の層構造を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の光半導体素子。
  5. 前記受光素子が、第1導電型からなる第1半導体層と、光吸収層として機能する第2半導体層と、第2導電型からなる第3半導体層とを備え、
    前記静電耐圧素子に、前記第1から第3半導体層と同一の層構造によるPIN接合が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の光半導体素子。
  6. 前記面発光型半導体レーザと前記受光素子との間に、前記面発光型半導体レーザと前記受光素子とを分離する分離層が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の光半導体素子。
  7. 前記静電耐圧素子に、前記受光素子の前記多層構造の一部と同一の層構造と、前記分離層と、前記面発光型半導体レーザの前記多層構造の一部と同一の層構造とによりヘテロ接合が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の光半導体素子。
  8. 前記静電耐圧素子が、前記面発光型半導体レーザ及び前記受光素子の前記多層構造と異なる層構造を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の光半導体素子。
  9. 前記光素子が、第1導電型からなる第1半導体層と、光吸収層として機能する第2半導体層と、第2導電型からなる第3半導体層とを備え、
    前記静電耐圧素子が、前記第1半導体層または前記第3半導体層と同一の層構造を有することを特徴とする請求項8に記載の光半導体素子。
  10. 前記面発光型半導体レーザと前記受光素子との間に、前記面発光型半導体レーザと前記受光素子とを分離する分離層が形成されていることを特徴とする請求項8または9に記載の光半導体素子。
  11. 基板表面に直交する方向にレーザ光を射出する多層構造の面発光型半導体レーザと、当該面発光型半導体レーザの上方または下方に形成された多層構造の受光素子と、前記面発光型半導体レーザを静電破壊から保護する静電耐圧素子とが前記基板上に設けられた光半導体素子の製造方法であって、
    前記面発光型半導体レーザを駆動する一対の入力端子と前記受光素子の一対の出力端子とをそれぞれ独立して形成することを特徴とする光半導体素子の製造方法。
  12. 前記静電耐圧素子を、前記面発光型半導体レーザとは逆方向の整流作用を有するように、前記一対の入力端子の間に前記面発光レーザに対して並列に接続することを特徴とする請求項11に記載の光半導体素子の製造方法。
  13. 前記静電耐圧素子を、前記面発光型半導体レーザ及び前記受光素子の少なくとも一方の前記多層構造の少なくとも一部と同一の層構造を有するように形成することを特徴とする請求項11または12に記載の光半導体素子の製造方法。
  14. 前記静電耐圧素子を、前記面発光型半導体レーザ及び前記受光素子の少なくとも一方と同時に形成することを特徴とする請求項13記載の光半導体素子の製造方法。
  15. 前記静電耐圧素子を、前記面発光型半導体レーザ及び前記受光素子の前記多層構造とは異なる層構造を有するように形成することを特徴とする請求項11または12に記載の光半導体素子の製造方法。
  16. 前記静電耐圧素子を、前記面発光型半導体レーザ及び前記受光素子と異なる工程で形成することを特徴とする請求項15に記載の光半導体素子の製造方法。
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