JP2008000504A - 洗濯機 - Google Patents

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高祖  洋
Toshinari Matsumoto
俊成 松本
Masahito Kyo
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Abstract

【課題】脱水起動時の支持系共振による受け筒の振動とそれに伴う騒音を低減する。
【解決手段】洗濯槽11を回転駆動するモータ12と、前記洗濯槽11を収容し筐体に対して支持手段で支持される受け筒13と、前記受け筒13の振動を検出する振動検出手段21と、前記受け筒13の振動を抑制するアクチュエータ1と、前記振動検出手段21の出力をもとに前記アクチュエータ1を制御する制御手段を有し、アクチュエータ1はラバーアクチュエータで構成し、前記振動検出手段21は、前記モータ12の回転数と前記ラバーアクチュエータの変位量をもとに共振振動を検知する共振検知手段を有し、前記制御手段は、前記共振検知手段の共振検知信号を受信したときに、前記受け筒の振動を小さくするように前記ラバーアクチュエータを制御するようにしたものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、洗い、濯ぎ、脱水および乾燥を行うために、洗濯槽を回転させる回転駆動力を発生させるモータを有する洗濯機に関するものである。
従来、洗濯機における脱水時の洗濯槽の振動低減のために、エアダンパとスプリングを一体化したスプリングダンパで、支持系の振動を減衰させているものがある(例えば、特許文献1参照)。
図12は、第1の従来例の洗濯機の洗濯槽を支持するためのスプリングの構成図である。洗濯槽はエアダンパ101を備えた弾性支持機構102により支持されていて、エアダンパ101内の空気圧を圧力センサ103により検出し、その検出結果より洗濯槽内の洗濯物の量や水量および洗濯槽の振動など洗濯槽に沈みこみを与えるもののいずれか1つを判定している。ここで、エアダンパ101には開口部104を設け、そこに圧力センサ103を装着して振動を検出している。
また、他の洗濯機防振装置としては、摩擦減衰と粘性減衰機構を付加した支持棒で洗濯槽を支持して、防振しているものがある(例えば、特許文献2参照)。
図13は、第2の従来例の洗濯機の防振装置の防振ばねの構成図である。洗濯槽と外装を本体上部から支持する支持棒201と、支持棒を貫通する摺動筒202と、支持棒の下端に防振ばね203を介して摺動筒の内部に接触し上下に振動する摺動子204をもつ防振装置である。防振ばねの外周に接触する防振管205と、摺動子の下部内周に付加した輪ばね206とを備え、摺動子には摺動筒内に貫通している空気穴207、208が設けられている。洗濯槽の回転数が共振点を通過するまでは減衰比を大きくして摩擦減衰を多く効かせ、通過後は減衰比を小さくして空気減衰を小さくしている。共振通過時の減衰要素の割合は空気減衰2未満、摩擦・粘性減衰8以上としている。
また、他のドラム式洗濯機としては、外槽の振動を検出して、その出力値をもとにモータとドラムの回転を制御しているものがある(例えば、特許文献3参照)。
図14は、第3の従来例のドラム式洗濯機の構成図である。外槽301の共振時の振幅と定常回転時の振幅をそれぞれ検出する加速度検出装置A302と加速度検出装置B303とを備えて、2つの加速度検出装置302、303の出力信号に基づいて、ドラムを回転駆動させるモータ304の回転を制御している。
加速度検出装置A302は、防振支持されたドラム305とそれを囲う外槽301などの振動体の共振点(脱水回転数170r/min)近傍に最大の検出感度となるように設定されている。また、加速度検出装置B303は、その共振点が定格脱水回転数(700r/min以上)よりも高い値に設定されている。
脱水工程は、脱水運転開始時、共振点を超えた200r/min程度で一定時間回転させたあと、回転数を定格脱水回転数まで上昇させている。そこで、起動時に布片より量によって加速度検出装置A302の出力が許容値を超える場合、上記低速回転させることを中断して、ドラムを低速で正逆運転させて再度、回転数を上昇させている。
また、定格回転数まで回転数を上昇させたところでも、加速度検出装置B303の出力が許容値を超えた場合、モータへの通電をOFFにして惰性回転させたあと、再起動動作をさせて、布片よりと共振の影響を小さくしながら脱水を行っている。
特開平5−300992号公報 特開2002−200392号公報 特開平11−169581号公報
しかしながら、洗濯機のモータと洗濯槽、支持機構で構成される回転制御機構系では、洗濯槽の支持機構の共振、洗濯槽とモータを連結する軸の共振、さらには洗濯槽自体の共振のため、脱水工程において、振動、騒音が発生し、しかも洗濯物の量、偏りによって振動、騒音はさらに大きくなるという課題がある。
前記第1の従来の構成では、図12のようにエアダンパとスプリングで構成された弾性支持機構で洗濯槽の振動を低減するとともに、弾性支持機構内の空気圧をセンシングすることによって洗濯物アンバランス、振動量などを検出している。そしてその検出値をもとに洗濯機の動作制御を行っている。
しかしながら、高速脱水を行うには、モータ起動時間の短縮とモータの1000r/min以上の高速回転が必要となり、起動時の支持機構共振による振動と、高速定常回転時のモータ振動、洗濯槽振動の筐体への伝達を防振することが必要であるが、従来例1の構成では、エアダンパでの減衰のみで粘性が小さく十分な振動減衰ができない。また弾性支持機構のばねダンパ特性は固定で、弾性支持機構の共振特性を下げすぎると、起動時の振動で洗濯槽が筐体に衝突する危険があるとともに、共振特性を上げすぎると定常回転時に高調波振動が低減できないという課題があり、二律背反する課題に対して、中間の特性になるような設計がなされていて、起動時、定常時ともに振動低減が不十分で、起動時と定常時両方において、共振による振動と騒音を低減できないとい課題を有していた。
また、前記第2の従来の構成では、図13のようにばねと空気穴が設けられた摺動子を有する支持棒で脱水時の振動を低減しようとしている。回転数が共振点を通過するまでは摩擦減衰を多く効かせて共振による洗濯槽の振動を低減しようとしているが、空気の圧縮性を利用したもので、粘性特性が小さいため、洗濯物のアンバランスによる振動などを低減するには、粘性力が小さいという課題を有していた。さらに、摩擦減衰を調整できる構成であるが受動的調整であるため、洗濯動作および洗濯槽の振動状態に最適な振動低減を行うことができないという課題を有していた。また、ばねとエアシリンダの一体構成であるため構造が複雑で製造が難しいという観点でも課題であった。
また、前記第3の従来の構成では、図14のように共振の発生を検出して、そのときの振動振幅を測定、その値に応じて、振動を大きくする要因の布偏りを小さくする工程をいれて、振動と騒音の低減を図っている。しかしながら、偏りが大きいとほぐし動作を行うなど、脱水時間が長くなるという課題があるとともに、速度制御系は洗濯槽の支持機構、連結軸の共振の影響を補償して安定に速度制御する構成がないため、回転機構系の振動とそれによる騒音が発生してもそれを補償、低減することができないという課題を有していた。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、洗濯槽、モータを含む回転制御機構系の共振による振動、騒音を制御的に低減できるようにした洗濯機を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の洗濯機は、洗濯物を回転させる洗濯槽と、前記洗濯槽を回転駆動するモータと、前記洗濯槽を収容し筐体に対して支持手段で支持される受け筒と、前記受け筒の振動を検出する振動検出手段と、前記受け筒の振動を抑制するアクチュエータと、前記振動検出手段の出力をもとに前記アクチュエータを制御する制御手段とを備え、前記アクチュエータは、ラバーアクチュエータにより構成し、前記振動検出手段は、前記モータの回転数と前記ラバーアクチュエータの変位量をもとに共振振動を検知する共振検知手段を有し、前記制御手段は、前記共振検知手段の共振検知信号を受信したときに、前記受け筒の振動を小さくするように前記ラバーアクチュエータを制御するようにしたものである。
これによって、ラバーアクチュエータの内部圧力をセンシングするとともに圧力制御を行うことによって、ラバーアクチュエータによる振動制御を実現し、洗濯機の脱水工程における、回転起動時の支持機構の共振振動と、定常回転時の洗濯槽の共振振動による支持機構振動とそれによる騒音を、ラバーアクチュエータの振動制御で低減、防止することができる。
本発明の洗濯機は、洗濯機の脱水工程における回転起動時の支持機構の共振振動と、定常回転時の洗濯槽の共振振動による支持機構振動と、それによる騒音を低減、防止することができる。
第1の発明は、洗濯物を回転させる洗濯槽と、前記洗濯槽を回転駆動するモータと、前記洗濯槽を収容し筐体に対して支持手段で支持される受け筒と、前記受け筒の振動を検出する振動検出手段と、前記受け筒の振動を抑制するアクチュエータと、前記振動検出手段の出力をもとに前記アクチュエータを制御する制御手段とを備え、前記アクチュエータは、ラバーアクチュエータにより構成し、前記振動検出手段は、前記モータの回転数と前記ラバーアクチュエータの変位量をもとに共振振動を検知する共振検知手段を有し、前記制御手段は、前記共振検知手段の共振検知信号を受信したときに、前記受け筒の振動を小さくするように前記ラバーアクチュエータを制御するようにしたことにより、洗濯機の脱水工程における、回転起動時の支持機構の共振振動と、定常回転時の洗濯槽の共振振動による支持機構振動と、それによる騒音を、ラバーアクチュエータの振動制御で低減、防止することができる。
第2の発明は、特に、第1の発明の制御手段は、振動検出手段の共振検知手段の共振検知信号を受信しないとき、流量制御弁をオフにしてラバーアクチュエータ内の圧力を一定にすることにより、制御電流なしでラバーアクチュエータのバネ定数を所定の一定値にすることが可能となり、洗濯機の脱水工程における、回転起動時の支持機構の共振振動と、定常回転時の洗濯槽の共振振動による支持機構振動とそれによる騒音を、ラバーアクチュエータの振動制御で低減、防止することができる。
第3の発明は、特に、第1または第2の発明のラバーアクチュエータは、内部の圧力増加に伴い変位量が小さくなり、引張の力が加わる部分に配置されることにより、引張力につりあう圧縮力で洗濯槽の振動を抑制することになり、洗濯機の脱水工程における、回転起動時の支持機構の共振振動と、定常回転時の洗濯槽の共振振動による支持機構振動とそれによる騒音を、ラバーアクチュエータの振動制御で低減、防止することができる。
第4の発明は、特に、第1または第2の発明のラバーアクチュエータは、内部の圧力増加に伴い変位量が大きくなり、圧縮の力が加わる部分に配置されることにより、圧縮力につりあう引張力で洗濯槽の振動を抑制することになり、洗濯機の脱水工程における、回転起動時の支持機構の共振振動と、定常回転時の洗濯槽の共振振動による支持機構振動とそれによる騒音を、ラバーアクチュエータの振動制御で低減、防止することができる。
第5の発明は、特に、第1〜第4のいずれか1つの発明の制御手段は、ラバーアクチュエータのフィードバック制御パラメータ及びそれによる制御帯域をモータ回転数に応じて変更する振動制御係数調整手段を有することにより、モータ回転数ごとにラバーアクチュエータのバネ定数を調整することが可能になり、洗濯機の脱水工程における、回転起動時の支持機構の共振振動と、定常回転時の洗濯槽の共振振動による支持機構振動とそれによる騒音を、ラバーアクチュエータの振動制御で低減、防止することができる。
第6の発明は、特に、第5の発明の制御手段は、モータが支持機構共振周波数以下の回転数の場合のカットオフ周波数F1と、支持機構共振周波数以上の回転数の場合のカットオフ周波数F2が、F1>F2となるように調整することにより、共振時はラバーアクチュエータのばね定数を大きくして、ばねの弾性エネルギで振動力を吸収するとともに、共振以上の回転数では、ばね定数を小さくして高次の振動が筐体に伝達しないようにすることが可能となり、洗濯機の脱水工程における、回転起動時の支持機構の共振振動と、定常回転時の洗濯槽の共振振動による支持機構振動とそれによる騒音を、ラバーアクチュエータの振動制御で低減、防止することができる。
第7の発明は、特に、第5の発明の制御手段は、モータが支持機構共振周波数以下の回転数の場合の粘性係数b1と、支持機構共振周波数以上の回転数の場合の粘性係数b2が、b1>b2となるように調整することにより、速度に比例する減衰力特性を共振周波数以下でも大きくすることが可能となるため、洗濯機の脱水工程における、回転起動時の支持機構の共振振動と、定常回転時の洗濯槽の共振振動による支持機構振動とそれによる騒音を、ラバーアクチュエータの振動制御で低減、防止することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における洗濯機のモータ制御装置と振動制御装置のブロック図である。図1において、10は洗濯機機構部で、11は洗濯物を収容し回転させる洗濯槽としての回転ドラム、12は回転ドラムを速度制御しながら回転させるモータで、ブラシレスモータにより構成している。13は洗濯物と水が入る受け筒、18は洗濯物投入口を有するカバー、14は受け筒と洗濯物投入口のあるカバー18との隙間をなくして接続するためのシールパッキン、15は洗濯槽の姿勢を支持するための支持ばね、16は洗濯時(モータ回転時)に発生する振動を低減してカバー18や床への振動伝達を小さくするためのダンパ、19は洗濯機を床に設置する防振ゴムである。
また、1はアクチュエータで、伸縮自在なゴム弾性体で構成されるマッキベン型のラバーアクチュエータである。3は空気圧圧力源、4は前記ラバーアクチュエータ内の圧力を測定する圧力センサ、2は前記ラバーアクチュエータ1へ圧縮空気を流入、あるいはラバーアクチュエータから圧縮空気を流出させる流量制御弁である。
ここで使用するゴム弾性体で構成されるマッキベン型のラバーアクチュエータは、図2に示す(イ)のように、ゴム弾性体内部の圧力を高くすることによってゴム弾性体は収縮し、アクチュエータの長さが短くなる。
20は洗濯機電気部で、21は圧力センサ4からの信号をもとに第1テーブルより変位量及び振動量を検出する振動検出手段、22は前記振動検出手段21の出力をもとにラバーアクチュエータ1の圧力制御量を演算して前記流量制御弁2を制御駆動する圧力制御手段、23はモータ12のホールICの信号をもとに回転速度を検出する速度検出手段、24は前記速度検出手段23の出力をもとに速度制御量を演算してモータ12を制御駆動する速度制御手段、27はモータ12の回転数と振動量によって共振を検知する共振検知手段である。
はじめに、モータ制御について説明する。図3は、本発明の第1の実施の形態における洗濯機のモータ制御装置である速度制御手段のブロック図である。以下、速度制御方法について説明する。洗濯機コントローラより、モータ12の目標回転速度Vrefが指令される。また、ここで使用するモータとしてはブラシレスDCモータで、その中でもリラクタンストルクを使用して回転させるリラクタンスモータである。12はブラシレスモータで、12−1はマグネットとコイルで構成されるモータ部、12−2はロータ位相を検出できるホール素子である。
速度検出手段23は、ここではタコジェネレータを使用する。ブラシレスタコジェネレータは、モータ中に組み込まれたホール素子とコンパレータ、アナログスイッチで構成される。この速度検出手段23よりモータ12の回転速度Vmと電気角速度ωeを検出する。減算器242が目標回転速度Vrefと検出したモータ回転速度Vmの速度偏差VEを計算して、243が速度フィードバックゲインKvを乗じて速度フィードバック制御量を演算するとともに、速度偏差VEの積分値に積分フィードバックゲインを乗じて積分フィードバック制御量を演算し、これら2つの制御量を加算し、制御量Iqaを出力している。
図3におけるブラシレスモータのベクトル制御におけるq軸(quadrature)電流指令Iqaとなる。また、図3においてリラクタンストルクに相当するd軸(direct)電流指令Idaは、洗濯機コントローラより目標回転速度に応じて出力される。
次に、電流制御器247について説明する。図3における3相UVW/dq変換器247−8の詳細ブロック図を図4に示す。図において、U相電流とV相電流よりq軸電流Iqとd軸電流Idを検出している。前記電流値より減算器247−1と247−2がq軸指令電流との偏差Iqa’とd軸指令電流との偏差Ida’を演算している。そして、それぞれの偏差に比例積分制御(PI制御)を行って指令電圧VqaとVdaを出力している。
ここで非干渉制御器247−7の詳細ブロック図を図5に示す。図において、Φは相電機子鎖交磁束数、Laは電機子巻線の自己インダクタンスである。演算された指令電圧VqaとVdaは、次に非干渉制御器24−7の出力を加算器247−5、247−6で加算して相互独立な指令電圧Vqa’とVda’となる。ブラシレスモータにはd、q軸間で干渉しあう速度起電力がある。それらはq軸電流Iq、d軸電流Idに影響するが直接制御することはできない。そこで、その速度起電力を求めておいてそれらを打ち消す制御がここでの非干渉制御器247−7である。非線形制御器では、電機子巻線自己インダクタンスLaと巻線鎖交磁束数Φより非線形制御量を演算している。なお、通常トルク定数ktは極数pとΦによって決定される。
そして、相互独立な指令電圧Vqa’とVda’は、246のdq/3相UVW変換器へ出力される。ここで2相/3相変換器の詳細ブロック図を図6に示す。
dq/3相変換器246−1とロータ位相角演算器246−4の関係を示すブロック図を示す。dq/3相変換器246では、指令電圧Vqa’とVda’に対してロータ位相角のサイン値、コサイン値を乗じて、3相(U相、V相、W相)への指令電圧Vu、Vv、VwをPWMインバータ回路246−2に出力する。PWMインバータ回路246−2は、3相の正弦波指令電圧に対して、キャリア周波数15.6kHz、印加電圧100Vのパルス波信号をブラシレスモータ12に出力している。246−3は抵抗による電流検出器で、検出されたU相とV相の電流値は3相UVW/dq変換器247−8へ出力されている。
そして、247−8が非干渉制御器と減算器247−1、247−2へd軸電流値とq軸電流値を出力している。
以上が、モータの速度制御器で、本実施の形態では、脱水時900r/min(15Hz)まで回転数を上昇させている。
次に、ラバーアクチュエータを用いた振動制御について説明する。図7は、本発明の第1の実施の形態における洗濯機の振動制御装置である圧力制御装置のブロック図である。
図7において、21は振動検出手段で、211はラバーアクチュエータ1内の圧力センサ4の出力より内部圧力をフィードバックする圧力検出器、212は内部圧力よりラバーアクチュエータの変位量を推定して振動量を検出する振動変位検出器、22は圧力制御手段で、221はラバーアクチュエータの初期変位量Xrefと、振動変位検出器212の出力である現在の変位量との差分を計算して、振動量に相当する変位誤差を出力する減算器、222は変位誤差をもとにラバーアクチュエータ内の目標圧力となる振動制御量を演算する制御器、224は目標圧力と圧力検出器211の出力である内部圧力をもとに圧力制御量を演算する圧力制御器、223は制御器222と圧力制御器224の2つの制御量を加算する加算器、225は加算器223の出力をもとに流量制御弁2を制御駆動する駆動回路である。また制御器222は、振動による変位量と振動の速度を推定する状態推定器を有している。
次に、制御器222と圧力制御器224について詳しく説明する。ここでは、洗濯機コントローラにおいてドラムが回転振動していると判断した場合の制御系について説明する。また、ドラムの振動は回転数により推定/検出可能とする。
ラバーアクチュエータとドラムの運動方程式は式(1)のようになる。
ここでドラムの回転軸まわりの回転モーメントをJ、支持系の粘性係数をb、ラバーアクチュエータの断面積をA、ラバーアクチュエータ内の圧力をそれぞれp1、p2、初期圧力をp0、供給圧力源をPs、ドラムの回転揺動角度をθとする。
また、2つのラバーアクチュエータの圧力は、式(2)、式(3)のようになる。
ここでk1、k2はアクチュエータの形状、温度などに関係する定数である。
また、ドラムの揺動振動をラバーアクチュエータの動作方向のみで考えると、運動方程式は式(4)のようになる。
ここで、Mはモータを含むドラムの質量、ドラムの振動変位をxとする。
いま、状態変数を式(5)のX、入力変数を式(6)とすると、状態変数行列Acは式(7)、入力変数行列Bcは式(8)のようになる。
また、洗濯機コントローラが、ドラムが上下方向に振動していると判断した場合、式(1)、式(4)の運動方程式は、式(9)のようになる。
図7において、センサ4と圧力検出器211でラバーアクチュエータ内の圧力を測定し、この圧力値をもとに振動検出手段21で振動量を測定する。
図8にラバーアクチュエータの圧力―変位特性を示す。横軸が圧力で縦軸が収縮率である。例として、長さ30cmのラバーアクチュエータを使用した場合について説明すると、洗濯物が0kgの状態で、初期圧力が0.05MPaとなるようにラバーアクチュエータを配置する。その状態で、振動が発生するとドラムが揺動あるいは上下動で振動するため、ラバーアクチュエータは伸び縮みすることになり、ラバーアクチュエータ内の圧力が変化する。たとえば、振動によって圧力が0.02MPa変化した場合、ラバーアクチュエータは4%変化したことになり、振動量は1.2cmと計算される。この計算を振動変位検出器212で行っている。
次に、制御量の導出について説明する。圧力検出器211により測定された2つのラバーアクチュエータの圧力差δpをもとに式(10)のu2を圧力制御器224で計算して出力する。
また、減算器221では目標変位(初期変位)と振動によるドラム変位の差を検出してその誤差(振動量に相当)を制御器222に出力している。
図9に制御器222のブロック図を示す。図より、振動量にフィードバックゲインKpを乗じて制御量u11を出力するとともに、振動量を積分器2224に入力して誤差の積分値にフィードバックゲインKiを乗じて制御量u13を出力している。また、振動変位の速度成分にフィードバックゲインKvを乗じて制御量u12を出力している。これら3つの制御量を加算器2227で式(10)の制御量u1を計算して出力している。
図10は状態推定器226のブロック図である。制御量uと検出した振動量を入力として、振動による変位と振動の速度成分を推定している。
状態推定器226において2261が状態変数Ae、2262が入力変数Be、2263が出力変数Ceで、2264は積分要素、2265は推定フィードバックゲインKeである。Ae、Be、Ceは式(11)、(12)、(13)のとおりである。
このような振動制御システムにおいて以下のような使用で振動制御を行う。
<仕様>
圧力源:5MPa(空気圧)
初期圧力:0.05MPa
ラバーアクチュエータ長:30cm
ラバーアクチュエータ径:4cm
ラバーアクチュエータ特性:図4
制御帯域:30Hz
サンプリング周波数:1kHz
モータトルク定数:0.83Nm/A
モータ回転数:0〜900r/min(15Hz)
キャリア周波数:16kHz
支持系の共振が120r/min(2Hz)〜300r/min(5Hz)の間に存在していて、その共振振動低減のためにラバーアクチュエータを使用する。
また、モータ制御、バーアクチュエータ制御ともにPWM制御されている。制御信号である電圧信号と、キャリア周波数16kHzの三角波で比較演算して、出力電圧のパルス幅を変化させて等価的に出力電圧を変化させる電圧信号で、モータ及びラバーアクチュエータを駆動している。
この状態で、共振検知手段27がモータ回転数と振動量の大きさから支持系の共振振動を検出するとともに、共振検出時に振動制御手段である圧力制御手段に流量制御弁の制御を指令しているところと、共振未検出時に流量制御弁の動作を停止してラバーアクチュエータのゴム弾性体内の空気を密封する指令を行っている。
共振検知手段27は、あらかじめ支持系の共振周波数を略記憶していて、その周波数近傍で振動量があらかじめ設定していた閾値を超えた場合、共振と判断する。
本実施の形態では、支持系は200Hzと280Hzに共振を有し、振動量は5mm以上で共振と判断している。
ここでは、共振で洗濯槽の振動が大きくなる場合のみラバーアクチュエータによる振動制御を行い、省エネおよび排気吸気による騒音発生を抑制している。
以上より、洗濯機にラバーアクチュエータを搭載して、その内部圧力をセンシングして圧力制御を行うことによって、ラバーアクチュエータによる洗濯槽の振動制御を実現し、洗濯機の脱水工程における回転起動時の支持機構の共振振動と、定常回転時の洗濯槽の共振振動による支持機構振動とそれによる騒音を低減、防止することができる。
(実施の形態2)
図11は本発明の第2の実施の形態である洗濯機の振動制御装置のブロック図である。振動制御装置の基本的な構成については、第1の実施の形態と同様のため、ここでは、基本的な説明は省略する。また、第1の実施の形態と同一の構成要素については、図1と同一の符号を付している。
図1と異なるところは、共振検知手段27がなく、振動制御係数調整手段28がモータの回転数に応じて図5におけるKp231、Kv232を変更して、ラバーアクチュエータによる受け筒の振動制御を行っているところである。
ここでは、300r/minで制御系の係数を変更、調整している。300r/min未満の場合、制御帯域を30Hz、ダンピング比を0.9になるように上記2つのフィードバックゲインを調整する。また、300r/min以上では、制御帯域を2Hz、ダンピング比を0.7になるように上記2つのフィードバックゲインを調整する。
以上より、洗濯機にラバーアクチュエータを搭載して、振動制御係数調整手段28によって、フィードバックゲインを変更し、制御特性を調整して、その内部の圧力をセンシングして圧力制御を行うことによって、安定したラバーアクチュエータによる洗濯槽の振動制御を実現し、洗濯機の脱水工程における回転起動時の支持機構の共振振動と、定常回転時の洗濯槽の共振振動による支持機構振動とそれによる騒音を低減、防止することができる。
なお、本実施の形態において、マッキベン型ラバーアクチュエータは、内部圧力増加で縮む構成であったが、図2に示す(ロ)のように、内部圧力増加で伸びる構成であっても同様の効果が可能である。
また、本実施の形態では、マッキベン型ラバーアクチュエータの本数を2本としたが、1本あるいは3本以上でも同様の効果が得られる。
また、本実施の形態では、圧力源を空気圧としたが水道圧でも同様の効果が得られる。
また、本実施の形態では、ラバーアクチュエータの長さを30cm、断面の直径を4cmとしたが、他の寸法でもよい。
また、本実施の形態では、サンプリング周波数を1kHz、制御帯域を30Hzとしたが、サンプリング周波数が制御帯域の5倍以上の周波数であれば、同様の効果が得られる。
また、本実施の形態では、ラバーアクチュエータの圧力変位特性を図4のようにしたが他の特性でもよい。
また、第2の実施の形態では、300r/minで制御系の係数を変更、調整して、300r/min未満の場合、制御帯域を30Hz、ダンピング比を0.9になるように上記2つのフィードバックゲインを調整し、また、300r/min以上では、制御帯域を2Hz、ダンピング比を0.7になるように上記2つのフィードバックゲインを調整しているが、しきい値回転数、制御帯域、ダンピング比とも他の値であっても同様の効果が得られる。
以上のように、本発明にかかる洗濯機は、ラバーアクチュエータを搭載して、その内部の圧力をセンシングして圧力制御を行うことによって、安定したラバーアクチュエータによる洗濯槽の振動制御を実現し、洗濯機の脱水工程における回転起動時の支持機構の共振振動と、定常回転時の洗濯槽の共振振動による支持機構振動とそれによる騒音を低減、防止することができるので、洗濯機における脱水起動時の振動や騒音低減のために有用である。
本発明の実施の形態1における洗濯機の振動制御装置のブロック図 同洗濯機のラバーアクチュエータの構成図 同洗濯機の速度制御装置のブロック図 同洗濯機のベクトル制御演算の3相/2相変換器を示す図 同洗濯機のベクトル制御演算の非干渉制御器を示す図 同洗濯機のベクトル制御演算の2相/3相変換器を示す図 同洗濯機の圧力制御装置のブロック図 同洗濯機のラバーアクチュエータの圧力変位特性図 同洗濯機の圧力制御装置における制御器の詳細ブロック図 同洗濯機の制御器における状態推定器の詳細ブロック図 本発明の実施の形態2における洗濯機の振動制御装置のブロック図 従来の洗濯機におけるスプリングの構成図 従来の他の洗濯機における防振ばねの構成図 従来のドラム式洗濯機の構成図
符号の説明
1 アクチュエータ
2 流量制御弁
3 圧力源
4 圧力センサ
11 回転ドラム(洗濯槽)
12 モータ
13 受け筒
14 シールパッキン
15 支持ばね
16 ダンパ
18 カバー
21 振動検出手段
22 圧力制御手段
23 速度検出手段
24 速度制御手段
27 共振検知手段

Claims (7)

  1. 洗濯物を回転させる洗濯槽と、前記洗濯槽を回転駆動するモータと、前記洗濯槽を収容し筐体に対して支持手段で支持される受け筒と、前記受け筒の振動を検出する振動検出手段と、前記受け筒の振動を抑制するアクチュエータと、前記振動検出手段の出力をもとに前記アクチュエータを制御する制御手段とを備え、前記アクチュエータは、ラバーアクチュエータにより構成し、前記振動検出手段は、前記モータの回転数と前記ラバーアクチュエータの変位量をもとに共振振動を検知する共振検知手段を有し、前記制御手段は、前記共振検知手段の共振検知信号を受信したときに、前記受け筒の振動を小さくするように前記ラバーアクチュエータを制御するようにしたことを特徴とする洗濯機。
  2. 制御手段は、振動検出手段の共振検知手段の共振検知信号を受信しないとき、流量制御弁をオフにしてラバーアクチュエータ内の圧力を一定にすることを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
  3. ラバーアクチュエータは、内部の圧力増加に伴い変位量が小さくなり、圧縮の力が加わる部分に配置されることを特徴とする請求項1または2記載の洗濯機。
  4. ラバーアクチュエータは、内部の圧力増加に伴い変位量が大きくなり、引張の力が加わる部分に配置されることを特徴とする請求項1または2記載の洗濯機。
  5. 制御手段は、ラバーアクチュエータのフィードバック制御パラメータ及びそれによる制御帯域をモータ回転数に応じて変更する振動制御係数調整手段を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の洗濯機。
  6. 制御手段は、モータが支持機構共振周波数以下の回転数の場合のカットオフ周波数F1と、支持機構共振周波数以上の回転数の場合のカットオフ周波数F2が、F1>F2となるように調整することを特徴とする請求項5記載の洗濯機。
  7. 制御手段は、モータが支持機構共振周波数以下の回転数の場合の粘性係数b1と、支持機構共振周波数以上の回転数の場合の粘性係数b2が、b1>b2となるように調整することを特徴とする請求項5記載の洗濯機。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016165377A (ja) * 2015-03-10 2016-09-15 日立アプライアンス株式会社 洗濯機
EP4190956A1 (de) * 2021-12-02 2023-06-07 Marquardt GmbH Verfahren zur verwendung eines sensors in einem wartungsmodus einer vorrichtung sowie ein haushaltsgerät an welchem das verfahren durchführbar ist

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