(発明の詳細な説明)
(I.キナーゼおよび/またはHMG−CoAレダクターゼインヒビター)
本発明の1つの態様は、プロテインキナーゼ、例えば、炎症シグナリングカスケードに関与するプロテインキナーゼを阻害する化合物に関する。いくつかの実施形態において、これらの化合物はマイトジェン−活性化プロテインキナーゼ(MAPキナーゼ)を阻害することができる。例えば、これらの化合物はp38 MAPキナーゼおよび/またはストレス−活性化プロテインキナーゼ/Jun N−末端キナーゼ(SAPK/JNK)を阻害することができる。いくつかの実施形態において、これらの化合物はp38α MAPキナーゼを阻害することができる。好ましい実施形態において、そのような化合物は、例えば、後により詳細に記載するように、イン・ビトロおよびイン・ビボにて抗−炎症効果を奏する。
図1は、炎症シグナリングカスケードに関与する経路のいくつか、およびMAPキナーゼインヒビターによるこれらの経路のあるものの中断を示す。この図は概略に過ぎず、断じて、本発明に関して限定的なことを意図しない。例えば、当業者であれば、示されたスキームの変形および修飾を容易に認識するであろう。
図1が示すように、炎症シグナリングカスケードは、細胞膜101外部からシグナルを細胞質102および、最終的には、核103に伝達させる。プロ−炎症性サイトカイン104(例えば、TNF−αおよびIL−1)ならびに、細胞ストレス105および成長因子106はシグナル変換カスケードを開始し、これは、MKK3、MKK6およびp38 MAPキナーゼを含めたいくつかのセリン/スレオニンキナーゼの活性化に導く。Chakravarty et al.,Annual Reports in Medicinal Chemistry,Chapter 18、Elsevier Science(2002)。当該分野で知られているように、p38 MAPキナーゼは少なくとも4つのイソ形態、p38α(全ての組織において発現)、p38β(全ての組織で発現)、p38γ(主として骨格組織で発現)、およびp38δ(主として肺、腎臓、精巣、膵臓および小腸で発現)で存在する。これらのMAPキナーゼの1以上は本発明の化合物、または1以上のそのような化合物を含む組合せによって、例えば、それらの共有されるThr−Gly−Tyrデュアルリン酸化活性化モチーフとの相互作用、および/またはそれらの高度に保存されたアミノ酸配列、例えば、ATPについての保存された結合ポケットとの相互作用によって阻害することができる。好ましい実施形態において、p38α MAPキナーゼが阻害され、p38α MAPキナーゼはプロ−炎症サイトカインと関連する一次MAPキナーゼとして働く。それ自体、p38α MAPキナーゼは、サイトカインの生産を低下させ、および関連する炎症および/または自己免疫疾患を治療することを狙った小分子療法についての標的を提示する。
図1に示したように、上流キナーゼによるp38 MAPキナーゼの活性化は、MNKおよびMAPKAP−2、ならびにプロ−炎症サイトカインの転写および生産を制御する転写因子ATF−2、Elk−1、およびMSK−1を含めた、下流基質のリン酸化に導く。また、図1は、二重棒線によって示される、p38 MAPキナーゼの下流効果を低下させることができるインヒビターの作用点を示す。例えば、本発明の化合物、または1以上のそのような化合物を含む組成物を用いるp38α MAPキナーゼの阻害は、MNK、MAPKAP−2、ATF−2、Elk−1および/またはMSK−1のリン酸化を低下させることができ、後に詳細に議論するように、ある実施形態においては、プロ−炎症性サイトカインの生産を低下させる。
本発明の第2の態様は、酵素3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−コエンザイムAレダクターゼ(HMG−CoAレダクターゼ)を阻害することができる化合物に関する。これらの化合物はコレステロールレベルをイン・ビトロおよびイン・ビボで降下させることができる。図2aは、コレステロール生合成に関与する経路のいくつか、および高コレステロール血症のアテローム発生メカニズムのいくつか、ならびにHMG−CoAレダクターゼインヒビターによるこれらの経路のあるものの中断を示す。この図面は、概略のみを供し、断じて限定的であることを意図しない。例えば、当業者であれば、示されたスキームの変形および修飾を容易に認識することができ、より詳細な記載は、生化学、代謝、病理生理学等についての標準的なテキストで見出すことができる。
当該分野で知られたように、HMG−CoAレダクターゼは、哺乳動物細胞においてテルペンおよびコレステロールの合成の関係する律速工程を触媒する。それは、かくして、アテローム発生およびその関連心血管リスクを低下させることを狙った小分子治療剤(例えば、「スタチン」)に対する標的を表す。HMG−CoAレダクターゼは3−ヒドロキシ−3−メチル−グルタリルCoA(HMG−CoA)に作用して、メバロン酸塩を生じる。メバロン酸塩はコレステロールに変換され、これは、低密度リポタンパク質(LDL)および高密度リポタンパク質(HDL)として知られた2つの特殊化された粒子において主として血液中で行われる。該経路は、ファルネゾル、ドリコール、およびユビキノンのような他の非−ステロールイソプレノイド生成物も生じる。
図2aに示すように、LDLは動脈壁に付着し、暫時に酸化される。Palinski et al.,J.Am.Soc.Nephrol.,13:1673−1681(2002)。広範囲にわたり酸化されたLDLはマクロファージによって取り込まれて、アテローム性動脈硬化症の鍵となる特徴である泡状細胞を形成する。これは、単球およびT−細胞の動員、および免疫応答カスケードにおけるサイトカインの分泌に導く。二重棒線は、コレステロールの生産を低下させるにおけるプロセスのみならず、ピロリン酸ファルネシルおよびピロリン酸ゲラニルゲラニルのような他の代謝産物の作用を介して免疫応答を変調することにおけるプロセスに対しても、HMG−CoAレダクターゼインヒビター(例えば、スタチン)の現在知られた効果を示す。例えば、ゲラニルゲラニル−PPは内皮細胞酸化窒素シンターゼ(eNOS)発現を低下させ、酸化窒素−誘導血管拡張を阻害する。本発明の化合物または1以上のそのような化合物を含む組成物を用いるHMG−CoAレダクターゼの阻害は、後に詳細に議論するように、ある実施形態においては、これらの効果をやはり生じ得る。
本発明の化合物、または1以上のそのような化合物を含む組み合わせは、ある実施形態において、HDLレベル(「良好なコレステロール」)を増加させることができる。HDLは、逆コレステロール輸送経路として知られたものにおいて過剰な細胞コレステロールを運ぶ役割を演じる。一般に、HDLはタンパク質、脂質およびコレステロールの複合体であり、これは、血管の壁を「擦り磨いて」過剰のコレステロールを除去する。逆コレステロール輸送においては、末梢組織(例えば、血管マクロファージ)は、アポリポタンパク質A−Iに対するABCA1を介して過剰なコレステロールを除去し、プレ−β−HDLを形成する。次いで、レシチン−コレステロールアシルトランスフェラーゼは遊離コレステロールをコレステリルエステルにエステル化し、プレ−β−HDLを成熟球状α−HDLに変換する、。ここに引用して援用する、Forrester,J.S.,Makkar,R.,Shah,P.K.Circulation 111:1847−1854(2005)。本発明の化合物、または1以上のそのような化合物を含む組成物は、いくつかの実施形態において、血清LDL/HDL比を低下させることができる。
コレステロール生合成経路におけるいくつかの工程は、アルツハイマー病−関連プロセスに関連付けられてきた。アルツハイマー病はコレステロール生合成経路のいくつかのタンパク質にリンクされている。当該分野で知られたように、ニューロン細胞は2つの方法でコレステロールを得る:デ・ノボ合成を介するもの、またはエンドソームメカニズムを介する内部化によるもの。前者を利用する細胞は小胞体においてデ・ノボにてコレステロールを合成し、しかる後、それを細胞膜に輸送する。後者を利用する細胞は、神経膠星状細胞のような他のニューロン細胞によって合成されるコレステロールを内部化する。例えば、ATP−結合カセットトランスポーター1(ABCA1)トランスポータータンパク質を介して分泌されるコレステロールは、アポリポタンパク質EおよびJを含有する脳HDLによって摂取される。コレステロール−含有脳HDLは、低密度リポタンパク質−関連受容体(LRP)と呼ばれる細胞外膜受容体を介してニューロン細胞によって内部化することができる。摂取は、LRP8および超低密度リポタンパク質受容体(VLDLR)によってさらに援助される。コレステロール経路タンパク質をコードする遺伝子における多形は、アルツハイマー病に対する推定危険因子である。そのようなコレステロール経路タンパク質は、例えば、輸送分子アポリポタンパク質E、摂取分子LRP、LRP8、およびVLDLR、ならびにABCA1(異化−関連分子)、およびCyp46(オキシステロールプロデューサー)を含む。Wolozin,W.,Cholesterol,statins and dementia(review),Curr.Op.Lipidol.15:667−672(2004)。
アルツハイマー病の病理は、β−アミロイド(Aβ)タンパク質断片から主として構成される神経炎プラークの存在によって特徴付けられる。膜結合アミロイド前駆体タンパク質(APP)がタンパク質分解酵素であるβ−セクレターゼおよびγ−セクレターゼによって切断される場合に、Aβが生産される。可溶性Aβ断片は相互にクラスターをなして、オリゴマー、次いで、フィブリルAβ凝集体、および結局は、神経炎Aβプラークを形成する。
図2bはまた、アミロイド前駆体タンパク質のプロセッシングに関与する経路のいくつか、そのような経路におけるコレステロールによって演じられる役割、ならびにHMG−CoAレダクターゼインヒビターによるこれらの経路のあるものの中断を示す。この図面は概略を供するに過ぎず、断じて、限定する意図のものではない。例えば、当業者であれば、示されたスキームの変形および修飾を容易に認識し、より詳細な記載は、生化学、代謝、病理生理学等についての標準的なテキストに見出すことができる。
図2bに示すように、コレステロール−リッチな膜は、引き続いて、Aβの生産および最終的なAβプラーク形成に導くAPPのタンパク質分解に必要である。Wolozin,W.,Cholesterol,statins and dementia(review), Curr.Op.Lipidol.15:667−672(2004)。図2bの細胞1は、デ・ノボにてそれ自身のコレステロールを合成し、次いで、それを細胞膜に輸送してAPPプロセッシングを行うプロセスにおけるニューロン細胞を示す。細胞2は、ABCA1トランスポータータンパク質を通じてそれを合成し、分泌するプロセスにおけるニューロン細胞を示し、そこでは脳HDLタンパク質はコレステロールに結合する。細胞3は、LRPによるHDL−コレステロール複合体を内部化するプロセスにおいてニューロン細胞を示す。コレステロールの細胞3の膜への引き続いての輸送により、APPプロセッシングが起こる。図2bは、どのようにして、HMG−CoAレダクターゼインヒビターを用いる細胞1および細胞2におけるHMG−CoAレダクターゼの阻害がコレステロール合成に対する阻害効果を生じ、それにより、APPプロセッシングに影響するかを示す。二重棒線は、これらのプロセスに対するHMG−CoAレダクターゼインヒビター(例えば、スタチン)の現在知られた効果を示す。例えば、HMG−CoAレダクターゼインヒビターは、APPを過剰発現する培養されたヒト細胞においてAPPのβ−セレクターゼタンパク質分解を低下させることが見出されており、他方、そのような細胞への可溶化されたコレステロールの適用の結果Aβ産物が有意に増加した。加えて、海馬ニューロンにおける細胞コレステロールの低下は、Aβ形成を阻害することが示されている。Reiss,A.B.et al.,Cholesterol in neurologic disorders of the elderly:stroke and Alzheimer’s disease(review),Neurobiology of Aging 25:977−89(2004)。本発明の化合物または1以上のそのような化合物を含む組成物を用いるHMG CoAレダクターゼの阻害もまた、後に詳細に議論するように、ある実施形態においては、これらの効果を生じ得る。
本発明の第三の態様は、MAPキナーゼおよびHMG−CoAレダクターゼ活性双方を阻害する化合物に関する。そのような化合物はイン・ビトロおよびイン・ビボにて炎症性応答およびコレステロール生合成経路を共に阻害することができ、例えば、抗−炎症性、脂質−変調、および抗−アテローム発生特性をイン・ビボにて発揮することができる。さらに、そのような化合物は、炎症性および心血管障害の間の相互作用のため、HMG−CoAレダクターゼを阻害するがMAPキナーゼは阻害しない処理と比較して、心血管病のようなHMG−CoAレダクターゼ−関連疾患を治療するにおいて優れた利点を供することができる。他の実施形態において、そのような化合物は、再度炎症性、および心血管疾患の間の相互作用のため、MAPキナーゼを阻害するが、HMG−CoAレダクターゼを阻害しない処理と比較して、炎症のようなMAPキナーゼ−関連疾患を治療するにおいて優れた利点を供することができる。
本発明の第四の態様は、MAPキナーゼおよび/またはHMG−CoAレダクターゼ活性を阻害して、例えば、前記した1以上の効果を生じさせる2以上の化合物または化合物の形態の組合せに関する。そのような組合せは、特に、炎症性疾患を治療するにおいて用途を見出す。特定の仮説にも理論にも機構にも限定されるものではないが、HMG−CoAレダクターゼおよびMAPキナーゼは、ある種の炎症性疾患において役割を演じると共に、組合せ療法の使用を特に有効なものとする。例えば、HMG−CoAレダクターゼおよびMAPキナーゼは、共に、皮膚の炎症性疾患に関連付けられている。
アクネは、MAPキナーゼおよびHMG−CoAレダクターゼ双方の活性に関連する皮膚炎症性疾患の例である。アクネは、面皰、続いての、面皰周囲炎症(または毛包炎)の形成に由来する。面皰(または黒色面皰)は、毛包脂腺管が閉塞した場合、および/または皮脂腺による皮脂の増大した生産がある場合に形成される。面皰の形成に続いて、例えば、脂漏性保持および/または皮脂の過剰生産による細菌増殖に由来する炎症が起こる。代表的には、細菌はPropionibacteria(acne、granulosum、avidum)のようなジフテロイド嫌気性菌である。炎症経路に加えて、HMG−CoAレダクターゼに関連する経路もまた関連し得る。例えば、コレステロールおよびその代謝産物は表皮細胞、特に角質細胞(角質層を構成する細胞)の接着において役割を演じることが、当該分野で公知である。。
もう1つの例として、乾癬は慢性過剰増殖皮膚疾患であり、ここに、患者は炎症、ならびに表皮細胞の過剰増殖(スケーリング)を呈する。原因は、T細胞の機能不全によって促進された皮膚のいくつかのエレメントに対する異常な免疫応答であると考えられる。当該分野においては、複数細胞事象は、増大した細胞接着分子発現、サイトカインおよび増殖因子のアップレギュレーション、およびリンパ球による組織の浸透を含めた応答部位で起こることが知られている。また、当該分野においては、HMG−CoAレダクターゼインヒビターは細胞接着因子の発現をダウンレジュレートし、炎症部位への白血球浸潤に必要な接着分子の間の相互作用を阻害し、T細胞上のT−ヘルパー−1ケモカイン受容体の発現を抑制し、およびプロ炎症性サイトカインの発現を阻害することが知られている。Namazi,M.R.,Experimental Dermatology,13:337−39(2004)。湿疹、アトピー性皮膚炎の形態が炎症性メディエーターIFN−γおよび/またはTNF−αによって媒介されるもう1つの例が当該分野で知られている。
HMG−CoAレダクターゼおよび/またはMAPキナーゼもまた、関節炎、乾癬性関節炎、骨関節炎、慢性関節リウマチ、および骨粗鬆症のような筋肉骨格炎症性疾患において役割を演じ得る。例えば、骨粗鬆症および慢性関節リウマチにおける病理学的骨再吸収または腐食は破骨細胞(分化したマクロファージから形成された大きな多核細胞)の活性化を必要とし、およびTNF−α、IFN−γおよびIL−1は過剰な破骨細胞活性のトリガリングに関連付けられてきた。Roux,S.Bone Loss.Factors that regulate osteoclast defferenciation an update(review),Arthritis Res.,2(6):451−456(2000);Evans et al.,Nitric Oxide and Bone(review),J Bone Miner Res.Mar;11(3):300−5(1996)。
HMG−CoAレダクターゼおよび/またはMAPキナーゼは呼吸器系炎症性疾患においての役割を演じ得る。例えば、炎症性メディエーターIFN−γおよび/またはTNF−αは、当該分野においては、アレルギー性鼻炎のような喘息および粘膜皮下炎症性疾患を媒介することが知られている。
HMG−CoAレダクターゼおよび/またはMAPキナーゼは胃腸および尿生殖器炎症疾患においても役割を演じ得る。例えば、(潰瘍性結腸炎およびクローン病を含めた)炎症性腸病、腹腔病、腸感染、腸結腸炎および胃炎のような胃腸炎症性疾患は、IFN−γおよびTNF−αによって媒介される慢性自然発生再発腸障害を呈する。さらに、当該分野においては、尿生殖器炎症性障害はIFL−γおよびTNF−αによって媒介することが知られている。
HMG−CoAレダクターゼおよび/またはMAPキナーゼは自己免疫病においても役割を演じえる。例えば、最近の報告によると、HMG−CoAレダクターゼインヒビターは多発性硬化症(MS)のような自己免疫障害に対して有益な効果を有し得る。Stuve,O.,et al.,The potential therapeutic roll of statins in central nervous system autoimmune disorders(review),Cell Mol Life Sci.2003 Nov;60(11):2483−91。一般に、MSは、抗原提示細胞(APC)上のMHCクラスII分子に関連する特異的ミエリンタンパク質を認識するプロ炎症性CD4 T(Th1)細胞によって媒介される。当該分野においては、HMG−CoAレダクターゼのインヒビターは小神経膠細胞および神経膠星状細胞、双方のAPCによるiNOS、TNF−α、IL−1βおよびIL−6の生産を阻害することが知られている。HMG−CoAレダクターゼインヒビターはまた、例えばIFN−γ誘導性プロモータの転写を阻害することによって、APC上でのIFN−γ誘導性クラスII発現を阻害し、これは、APCによる抗原提示の抑制をもたらし得る。また、いくつかのHMG−CoAレダクターゼインヒビターはリンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、β2−インテグリンに結合し、そのリガンドであるICAM−1との相互作用、ならびにT細胞の活性化を妨げ、これは、HMG−CoAレダクターゼの阻害とは独立してMSに対する有益な効果を示唆する。
HMG−CoAレダクターゼおよび/またはMAPキナーゼは、器官または組織移植後における移植片拒絶においても役割を演じ得る。例えば、HMG−CoAレダクターゼインヒビターは、心臓移植体(Kobashigawa et al.,Dual roles of HMG−CoA reductase inhibitors in solid ogran transplantation:lipid lowering and immunosuppression(review),Kidney Int.Suppl.,Dec;52:S112−5(1995))および腎臓移植体(Katznelson,S.et al.,The effect of pravastatin on acute rejection after kidney transplantation−−a pilot study(review),Transplantation,May 27;61(10):1649−74(1997))の受容者における器官拒絶、移植血管障害、およびナチュラルキラー(NK)細胞の細胞傷害性の発生を有意に低下させることが示されている。加えて、そのようなインヒビターは、移植体血管障害の進行を減少させ、患者の生存を増加させることが示されており(Wenke,K.et al.,Simvastatin reduces graft vessel disease and mortality after heart transplantation:A four−year randomized trial,Ciculation,Sep 2;96(5):1398−402.(1997))、可能な薬物クラス効果を示唆する。当該分野においては、HMG−CoAレダクターゼインヒビターでの心臓および腎臓移植患者の処置は、プレドニゾン、アザチオプリン、およびサイクロスポリンからなり、ベースラインレジメンで得られたものを超えてNK細胞の細胞傷害性を有意に阻害することが知られている。例えば、当該分野においては、それ自体は免疫抑制性ではない臨床的に適切な濃度のシンバスタチンは、イン・ビトロにて、サイクロスポリンAによるヒトT−細胞応答の阻害を有意に増強することが知られている。インヒビターおよびサイクロスポリンAの間の相乗効果は、移植患者においてユニークに観察される免疫抑制に対する基礎で潜在的にあり得ることが提唱されている。Katznelson,S.et al.,Effect of HMG−CoA reductase inhibitors on chronic allograft rejection(Review),Kidney Int Suppl.1999 Jul;71:S117−21(1999)。
従って、本発明の化合物の組合せまたは化合物の形態による、HMG−CoAレダクターゼおよび/またはMAPキナーゼの阻害、好ましくは双方の阻害もまた、後に詳細に議論するように、ある実施形態においては、前記した効果を生じさせることもできる。
ある実施形態において、本発明の組成物は式Iおよび/またはIIの化合物を含み、ここに、Iはδ−ラクトン(環状エステル)であって、IIはプロトン化形態(式IIa)または脱プロトン化形態(式IIb)の3,5−ジヒドロキシカルボン酸である。
図3は、δ−ラクトンおよび酸形態の間の相互変換を示し、ここに、δ−ラクトン環は開環して水の添加により酸形態となり(可逆的)、さらにプロトンの喪失により脱プロトン化形態と平衡化して、対応するカルボキシレートイオンを得る。迅速な平衡がカルボン酸のプロトン化形態およびその脱プロトン化カルボキシレート形態の間に存在すること、および脱プロトン化形態は中性および塩基性pHにおいて支配的であることは当業者によって認識されるであろう。脱プロトン化形態は酸の塩基形態と同等である。さらに、「式II」または「II」に対する言及は、本明細書中においては、式IIaおよび式IIb双方を、あたかもフレーズ「式IIaおよび式IIb」が「式II」または「II」の代わりに用いられるのと同程度までいう。同様に、IIaまたはIIb形態いずれかを示す図面または構造は、対応する他のIIbまたはIIa形態を、あたかも双方の構造が示されたのと同程度に含む。さらに、本発明は、本明細書中に開示された化合物のプロトン化および脱プロトン化(すなわち、塩)形態双方を含む。
これらの式において、Xは好ましくは親油性基を含む。本明細書中において用いるように、親油性基とは、例えば、炭化水素溶媒中で脂肪−様溶媒に溶解する傾向を有する分子全体またはその部分をいうことができる。そのような基もまた疎水性基ということができる。好ましくは、Xは少なくとも1つの芳香族置換基を担う親油性基を含む。Aは共有結合、または所望によりO、NまたはSのようなヘテロ原子を含有してもよい2個〜6個の炭素の、置換されたもしくは置換されていないアルキレン、アルケニレンもしくははアルキニレンリンカーを表す。Aは好ましくは共有結合、メチレン、1,2−オキサメチレン、1,2−エチレン、1,2−エチニレン、1,2−エテニレン、1,3−プロピレンまたは1,3−プロペニレンである。より好ましくは、Aは1,2−エチレンまたはE−1,2−エテニレンである。Yは水素または低級アルキル、好ましくは水素である。Zはヒドロキシ(−OH)基または水素、好ましくはヒドロキシ基である。
図3aにおいては、式IおよびIIの2つの立体中心の各々における立体配置は特定されない。本発明は、式IおよびIIの2つの立体中心の各々における2つの可能な絶対立体配置から生起する4つの可能な立体異性体の各々を含む。本発明で有用な化合物は種々の立体異性体の混合物または純粋な立体異性体形態を含むことができる。
図3bは、本発明のいくつかの実施形態において好ましい(T,T)で示される絶対立体配置を示す。本明細書中で用いられる表示(T,T)とは示された立体化学をいい、ここに、楔形の実線は示した面上方に突き出した結合を示し、ダッシュ線が該面の下方に延びる結合を示し、したがって、式Iの環酸素および式IIの対応するヒドロキシのように、Y基は面の上方にあり;他方、Z基は示した面の下方にある。この(T,T)表示は、慣用的なRまたはS表示よりもむしろ用いられて、現実の絶対立体化学配置が立体中心の1つにおけるAの同一性、および他の立体中心におけるYおよびZの同一性に依存するという事実を反映する。例えば、もしAがエチレンであれば、3,5−ジヒドロキシカルボン酸の5−位置はRとなり、他方、もしAがエテニレンであれば、立体化学はSとなる。立体中心における置換基の命名法および優先性の標準的な規則に基づき、当業者であれば、立体化学は、図3bに示された空間的配置において各A、YおよびZに対する立体中心の各々についてRまたはSであるかを容易に決定することができる。いくつかの実施形態において、(T,T)立体異性体は約50%を超える、約70%を超える、好ましくは約90%を超える、より好ましくは約98%を超える、1種を超える立体異性体の混合物を含むことができる。
さらに、当業者であれば、本発明のある種の化合物が互変異性、立体配座異性、幾何異性および/または光学異性の現象を呈することができることを認識するであろう。本発明は本明細書中に記載されたMAPキナーゼおよび/またはHMG−CoAレダクターゼインヒビターの互変異性、立体配座異性、光学異性、および/または幾何異性形態、ならびにこれらの種々の異なる形態の混合物を含むことは理解されるべきである。例えば、本発明の光学的に活性な化合物はエナンチオマー的に純粋な(または実質的に純粋な)形態にて、あるいはラセミ混合物におけるような右旋性および左旋性エナンチオマーの混合物として投与することができる。また、本明細書中に開示された化合物は、例えば、多形を含めた異なる結晶形態で存在することができる。本発明は、これらの異なる結晶形態、異なる結晶形態混合物、および純粋なまたは実質的に純粋な結晶形態を含む。
(A.MAPキナーゼインヒビターのアナログ)
式IおよびIIの化合物のサブセットはMAPキナーゼの公知のインヒビターの新規なアナログであり、ここに、Xは親油性MAPキナーゼインヒビターまたはMAPキナーゼインヒビターの親油性基を含む。図4は、p38α MAPキナーゼのインヒビターの12のクラス(a〜l)の各々の1以上の非限定的例を示す。
いくつかの実施形態において、好ましいアナログは、図4aに示された、化合物1000〜1004のようなピラゾールから由来するものを含む。いくつかの実施形態において、好ましいアナログは、図4bに示される化合物1005のようなオキサゾールに由来するものを含む。いくつかの実施形態において、好ましいアナログは、図4cに示されるような、化合物1006〜1017のような、イミダゾールの誘導体を含む。
いくつかの実施形態において、好ましいアナログは、図4dに示される、化合物1018および1019のような、ピロロ[2,3−b]ピリミジンの誘導体を含む。いくつかの実施形態において、好ましいアナログは、図4eに示される、化合物1020のようなジアザイソキノリノンに由来するものを含む。いくつかの実施形態において、好ましいアナログは、図4fに示される化合物1021のような1,2−ピラジンに由来するものを含む。いくつかの実施形態において、好ましいアナログは、図4gに示される化合物1022のようなピロールの誘導体を含む。いくつかの実施形態において、好ましいアナログは、図4hに示される化合物1023のような4−アミノベンゾフェノンの誘導体を含む。いくつかの実施形態において、好ましいアナログは、図4iに示される化合物1024のような3−アミノベンズアミドに由来するものを含む。いくつかの実施形態において、好ましいアナログは、図4jに示される化合物1025のようなピリジンに由来するものを含む。いくつかの実施形態において、好ましいアナログは、図4kに示される化合物1026のようなピリミジノ[4,5−d]ピリミジノンに由来するものを含む。いくつかの実施形態において、好ましいアナログは、図4lに示される化合物1027のようなインドールに由来するものを含む。
本発明は、式Iおよび/またはIIのMAPキナーゼインヒビターの新規なアナログのいずれかの立体中心における可能な絶対立体配置から生起する全ての立体異性体を含み、例えば、ここに、Xは親油性MAPキナーゼインヒビターまたはMAPキナーゼインヒビターの親油性部分を含む。種々の立体異性体または純粋なもしくは実質的に純粋な立体異性体形態の混合物は、本発明の種々の実施形態で用いることができる。
ある実施形態においては、親油性MAPキナーゼインヒビターは、各々、式IおよびIIのA−ラクトンまたはA−酸部分で置換され、またはそれが付加されて、本発明の新規な化合物を形成する。図5は、図4に示されたp38α MAPキナーゼのインヒビターの12のクラスの各々の1つの例のラクトン(式I)誘導体を示す。これらはある実施形態の例を表し、他のキナーゼインヒビター、結合点、連結基(A)、立体化学等は明白に考えられ、本発明の他の実施形態に含まれることが考えられるべきである。さらに、これらの例の各々およびいずれかの酸形態(式II)もまた本発明の考えられる実施形態である。
図5aは式Iのいくつかの好ましい化合物を示し、ここに、XはA−ラクトン部分で3つの異なる位置が置換された、または該位置に付加されたピラゾールMAPキナーゼインヒビター化合物1000またはその親油性部分を含み、およびここに、Aは1,2−エテニレンまたは1,2−エチレンであって、Yは水素である。
図5bは式Iのいくつかの好ましい化合物を示し、ここに、XはオキサゾールMAPキナーゼインヒビター化合物1005の親油性部分を含み、およびここに、Aは1,2−エテニレンであって、Yは水素である。示された2つの構造の各々において、オキサゾール環上の化合物1005の付加物の1つは式IのA−ラクトン部分によって置換されている。図5bに示される2つの構造は、いくつかの実施形態において、好ましい化合物である。
図5cは式Iのいくつかの好ましい化合物を示し、ここに、XはイミダゾールMAPキナーゼインヒビター化合物1006またはその親油性部分を含み、Aは1,2−エテニレンであって、Yは水素である。3つの示された例の1つにおいて、該親油性部分は、式IのA−ラクトン部分で置き換えられている、4−ピペリジル基を除いた化合物1006の全てを含む。示された例のもう1つにおいて、親油性部分は、置換されている2−メトキシ−4−ピリミジニル部分を除いて化合物1006の全てを含む。図5cに示された3つの構造は、本発明のいくつかの実施形態において好ましい化合物である。
図5dは式Iのいくつかの好ましい化合物を示し、ここに、Xはピロロ[2,3−b]ピリミジンMAPキナーゼインヒビター化合物1018の親油性部分を含み、Aは1,2−エテニレンであって、Yは水素である。示された例において、親油性部分は、各々、式IのA−ラクトン部分がこれらの置換基の1つに代えて置換されている点で、化合物1018の芳香族置換基の1つを除いて全てを含む。図5dに示される2つの構造はいくつかの実施形態において好ましい化合物である。
図5eは式Iのいくつかの好ましい化合物を示し、ここに、XはジアザイソキノリノンMAPキナーゼインヒビター化合物1020またはその親油性部分を含み、Aは1,2−エテニレンまたは1,2−メテノメチレンであって、Yは水素である。示された例の2つにおいて、親油性部分は、式IのA−ラクトン部分がこれらの置換基の各々の1つに代えて置換されている点で、化合物1020の、チオアリール置換基を除く全て、または1つのカルボニル酸素置換基を除いて全てを含む。
図5fは式Iのいくつかの好ましい化合物を示し、ここに、Xは1,2−ピラジンMAPキナーゼインヒビター化合物1021またはその親油性部分を含み、Aは1,2−エテニレンであって、Yは水素である。示された例において、親油性部分は、式IのA−ラクトン部分がこれらの置換基の各々の1つに代えて置換されている点で、化合物1021の1つの芳香族置換基を除いて全て、またはベンゼン環を除いて全て、またはピペラジン環を除いて全てを含む。
図5gは式Iのいくつかの好ましい化合物を示し、ここに、XはピロールMAPキナーゼインヒビター化合物1022またはその親油性部分を含み、Aは1,2−エチレンまたは1,2−エテニレンであって、Yは水素である。示された例の1つにおいて、親油性部分は、式IのA−ラクトン部分がこの置換基に代えて置換されている点で、化合物1022のカルボキシメチル基を除いて全てを含む。図5gに示された3つの構造は、いくつかの実施形態において好ましい化合物を表す。
図5hは式Iのいくつかの好ましい化合物を示し、ここに、Xは4−アミノベンゾフェノンMAPキナーゼインヒビター化合物1023を含み、Aは1,2−エテニレンであって、Yは水素である。示された例において、化合物1023の構造は式IのA−ラクトン部分で3つの異なる位置に付加されている。図5hに示された3つの構造は、いくつかの実施形態において、好ましい化合物を表す。
図5iは式Iのいくつかの好ましい化合物を示し、ここに、Xは3−アミノベンズアミドMAPキナーゼインヒビター化合物1024を含み、Aは1,2−エテニレンであって、Yは水素である。示した例において、化合物1024の構造は式IのA−ラクトン部分で3つの異なる位置に付加されている。
図5jは式Iのいくつかの好ましい化合物を示し、ここに、XはピリジンMAPキナーゼインヒビター化合物1025またはその親油性部分を含み、Aは1,2−エチレンまたは1,2−エテニレンであって、Yは水素である。示された例の1つにおいて、親油性部分は、式IのA−ラクトン部分がこの置換基に代えて置換されている点で、化合物1025のヒドロキシメチル基を除いて全てを含む。図5jに示された第一および第四の構造は、いくつかの実施形態において、好ましい化合物である。
図5kは式Iのいくつかの好ましい化合物を示し、ここに、Xはピリミジノ[4,5−d]ピリミジノンMAPキナーゼインヒビター化合物1026またはその親油性部分を含み、Aは1,2−メテノメチレン、メチレン、または1,2−エチレンであって、Yは水素である。示された例の1つにおいて、親油性部分は、式IのA−ラクトン部分がこの置換基に代えて置換されている点で、化合物1026の4−ヒドロキシシクロヘキシル部分を除いて全てを含む。
図5lは式Iのいくつかの好ましい化合物を示し、ここに、XはインドールMAPキナーゼインヒビター化合物1027を含み、Aはメチレンまたは1,2−エチレンであって、Yは水素である。示された例において化合物1027の構造はA−ラクトン部分で3つの異なる位置に付加されている。図5lに示された第2の構造はいくつかの実施形態において好ましい。
本発明で開示された化合物は、当該分野で公知の方法によって製造することができる。というのは、それらは当該分野で知られた化合物のクラスの誘導体だからである。
本発明は、これらの化合物、例えば、組合せ処方におけるこれらの化合物の1以上を含む医薬処方、および後により詳細に記載するように、MAPキナーゼ−関連および/またはHMG−CoAレダクターゼ−関連疾患を治療することにおける式IIのそのような化合物および/または対応する酸の使用に関する。
(B.HMG−CoAレダクターゼインヒビターのアナログ)
式IおよびIIの化合物のサブセットはHMG−CoAレダクターゼの公知のインヒビターの新規なアナログであり、ここに、Xは親油性HMG−CoAレダクターゼインヒビター、例えば、スタチン、またはHMG−CoAレダクターゼインヒビターの親油性部分を含む。スタチンとは、一般には、式IまたはIIを含む、HMG−CoAレダクターゼを阻害することができる全ての化合物をいうことができる。HMG−CoAレダクターゼの公知の親油性インヒビターとしては、例えば、メバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、セリバスタチン、ロスバスタチン、ピタバスタチン、グレンバスタチン、ベルバスタチン、ダルバスタチン、エプタスタチン、ジヒドロエプタスタチン、イタバスタチン、L−154819、アドビコール、L−654969、および高コレステロール血症のような障害を治療するのに用いられる他のスタチン薬物が挙げられる。
スタチンは、当該分野においては、その起源に応じて天然または合成スタチンとして分類される。天然スタチンとしては、例えば、メバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン等が挙げられる。合成スタチンとしては、例えば、アトルバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチン、ロスバスタチン、ピタバスタチン、およびグレンバスタチンが挙げられる。
図6は、式Iのラクトン形態のHMG−CoAレダクターゼのスタチンインヒビターの12の公知のクラス(a〜l)の各々の例を示す。図6aはフルバスタチンラクトンを示し、その誘導体は、本発明のある実施形態において好ましい。図6bはアトルバスタチンラクトンを示し、その誘導体は、本発明のある種の実施形態で好ましい。図6cはピタバスタチンラクトンを示し、その誘導体はある種の好ましい実施形態において好ましい。図6dはセリバスタチンラクトンを示し、その誘導体は、本発明のある実施形態において好ましい。図6eは、ロスバスタチンラクトンを示し、その誘導体は、本発明のある実施形態において好ましい。図6fはグレンバスタチンラクトンを示し、その誘導体は、本発明のある実施形態において好ましい。図6gはシンバスタチンラクトンを示し、その誘導体は、本発明のある実施形態において好ましい。図6hはロバスタチンラクトンを示し、その誘導体は、本発明のある実施形態において好ましい。図6iはプラバスタチンラクトンを示し、その誘導体は、本発明のある実施形態において好ましい。図6jはメバスタチンラクトンを示し、その誘導体は、本発明のある実施形態において好ましい。図6kはベルバスタチンラクトンを示し、その誘導体は、本発明のある実施形態において好ましい。図6lはダルバスタチンラクトンを示し、その誘導体は、本発明のある実施形態において好ましい。特に、より好ましいスタチンラクトンは合成スタチンから誘導されるのであり、なおより好ましいスタチンラクトンはアトルバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン、セリバスタチン、ピタバスタチンおよびグレンバスタチンに由来するものである。
図7は、例えば、合成スタチンおよびそれらの置換基の6つのクラス(a〜f)に由来する親油性部分(X)のより具体的な例を示す。各場合において、独立して、P1はtert−ブチル、イソ−プロピル、シクロプロピル、2−ヒドロキシ−2−プロピル、1−ヒドロキシシクロプロピルであり;P2は水素、フッ素、または−トリフルオロメチルであり;P3は水素、シアノ、メトキシ、フェノキシ、アニリノ、フェニルメチルアミノ、またはアミノであり;P4は水素、フェニルまたはフェニルカルバモイルであり;P5は水素、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、アニリン、置換されたアニリン、フェニルエーテル、置換されたフェニルエーテル、N−アルキルアルキルスルホンアミド、N−アルキルアリールスルホンアミド、N−アルキルアルカンアミド、またはN−アルキルアリールアミノであって;およびQは−CH、窒素、または酸化窒素である。
図7aは、好ましくはいくつかの実施形態においてフルバスタチンに関連するインドール−ベースの親油性部分の例を示す。図7bは、いくつかの実施形態において好ましい、アトルバスタチンに関連するイミダゾール−ベースの親油性部分の2つの例を示す。図7cは、ある実施形態において好ましいアトルバスタチンに関連するピロール−ベースの親油性部分の5つの例を示す。図7dは、いくつかの実施形態で好ましい、ピタバスタチンに関連するキノリン−ベースの親油性部分の3つの例を示す。図7eは、いくつかの実施形態で好ましい、セリバスタチンに関連するピリジン−ベースの親油性部分の4つの例を示す。図7fは、いくつかの実施形態において好ましい、ロスバスタチンに関連するピリミジン−ベースの親油性基の例を示す。
ある実施形態において、例えば、図7の親油性部分を含めたスタチンの親油性誘導体は、各々、式IおよびIIのA−ラクトンまたはA−酸部分で置換されているか、または付加されて、本発明の新規化合物を形成する。図8は、例えば、図7に表されたスタチンの4つのクラス(a〜d)の各々のラクトン(式I)誘導体の具体例を示し、ここに、P1、P2、P3、P4、P5およびQの各々は、本発明のある実施形態において好ましい化合物を与えるように選択されている。これらはある実施形態の例を表し、他のスタチン、結合点、連結基(A)、立体化学等は明らかに考えられ、本発明の他の実施形態として含まれることが理解されるべきである。さらに、これらの例の各々およびいずれかの酸形態(式II)もまた本発明の考えられる実施形態である。
図8aは、いくつかの実施形態において好ましい、フルバスタチンに関連する選択されたインドール−ベースの親油性部分を示す(ファミリーI)。図8bは、いくつかの実施形態において好ましい、アトルバスタチンに由来する選択されたイミダゾール−ベースの親油性部分を示す(ファミリーII)。図8cは、アトルバスタチンに由来する選択されたピロール−ベースの親油性部分を示す(ファミリーIII)。図8dは、2つのファミリー、ファミリーIVおよびファミリーVの中に分けられる、いくつかの実施形態において好ましい、ピタバスタチンに関連する選択されたキノリン−ベースの親油性部分を示す。図8eは、いくつかの実施形態において好ましい、セリバスタチンに関連する選択されたピリジン−ベースの親油性部分を示す(ファミリーVI)。
本発明は、式Iおよび/またはIIのHMG−CoAレダクターゼインヒビターの新規なアナログのいずれかの立体中心において可能な絶対立体配置に生起する全ての立体異性体を含み、例えば、ここに、Xは親油性HMG−CoAレダクターゼインヒビター、例えば、スタチン、またはHMG−CoAレダクターゼインヒビターの親油性部分を含む。種々の立体異性体の混合物、または純粋若しくはは実質的に純粋な立体異性体形態が本発明の種々の実施形態で用いることができる。
本明細書中で開示された化合物は、当該分野で知られた方法によって生産することができる。というのは、それらは当該分野で公知の化合物のクラスの誘導体だからである。例えば、スタチンの合成はRoth et al.,J.Med.Chem.,34:357−366(1991);Krause et al.,J.Drug Dev.,3(Suppl.1):255−257(1990);およびKaranewsky,et al.,J.Med.Chem.33:2952−2956(1990)に記載されている。その例もまた、後の実施例に提供される。さらに、本発明の具体的な例は当業者に知られ、かつ本明細書中で供される方法の変形によってなすことができ、例えば、ここに、出発物質、溶媒および他の反応条件は収率を最適化するように変化させる。
ある実施形態において、本発明の化合物は、出発物質として商業的に入手可能な化合物を用いて作製することができる。例えば、式Iのラクトンは、HMG−CoAレダクターゼインヒビターの商業的入手可能な塩から調製することができる。例えば、アトルバスタチン、フルバスタチン、およびロスバスタチンの商業的に入手可能なカルシウム塩またはナトリウム塩は、弱酸性水性媒体からの塩形態を酢酸エチルのような非プロトン性有機溶媒に抽出することによって、それらのプロトン化遊離酸形態に変換することができる。このまたは(トルエンのような)もう1つの非プロトン性有機溶媒中で遊離酸形態をほぼ室温にて、または室温よりも高温にて攪拌することによって、ラクトン形態への自然発生変換が約数時間〜数日のタイムフレームにわたって起こる。ラクトン形態は、約5:1(v:v)アセトン:酢酸エチルのような標準的な溶出溶媒系を用いるカラム、シリカゲルカラム上の分取用薄層、回転、または高速クロマトグラフィーによることを含めた、当該分野によって知られたいずれかの方法によって便宜には精製することができる。
他の実施形態において、本発明の化合物は、公知のスタチンの合成経路の中間体を修飾することから作製することができる。例えば、基は、アミノ、ハロゲン、またはヒドロキシ基、あるいはナトリウム、マグネシウムまたはリチウムのような金属誘導体のごとき反応性基によって置換することができ、これらの基をさらに反応させることができる。さらに、当業者であれば、種々の当該分野で知られた方法によって合成された本発明の化合物はシス/トランス異性体、E/Z形態、ジアステレオマー、および光学異性体を与え、その全ては本発明に含まれることを認識するであろう。
式IIの側鎖を合成するための詳細は、後に実施例9で供される。
本発明はこれらの化合物、例えば、組合せ処方における、これらの化合物の1以上を含む医薬処方、およびMAPキナーゼ−関連、および/またはHMG−CoAレダクターゼ−関連疾患を治療するにおける、そのような化合物および/または式IIの対応する酸の使用に関する。
本発明のもう1つの態様は、例えば、閉環構造に有利に働くように、および/または閉環構造を強いるように修飾された構造、例えば、そのカルボン酸またはカルボキシレート形態へ加水分解されないか、あるいは実質的に加水分解されない環構造または環状形態を有する、公知の親油性MAPキナーゼおよび/またはHMG−CoAレダクターゼインヒビターのアナログ(例えば、スタチン)に関する。それらの文法的連結と一緒に、「加水分解されない」および「実質的に加水分解されない」は、化合物のいくつかが、いくらかは加水分解ないまま加水分解される状況を含む。好ましくは、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約95%の化合物が平衡にある環状形態の環構造にあり、化合物は実質的に加水分解されない状況にある。好ましくは、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約95%、なおより好ましくは少なくとも約98%の化合物は平衡にある環構造または環状形態にあり、該化合物は加水分解されていない状況にある。
図9はδ−ラクトンのアナログである修飾された閉環構造の2つの例を示し;図9aはデス−オキソ−形態(式III)を表し、カルボニル酸素は除かれており、それにより、加水分解開環を阻害する。図9bはδ−ラクタム形態(式IV)を表し、ここに、窒素は環中の酸素を置き換え、このことは環状形態の加水分解安定性を増大させる。これらの式において、Xは親水性部分を含む。いくつかの好ましい実施形態において、Xは親油性MAPキナーゼインヒビター、またはMAPキナーゼインヒビターの親油性部分、例えば、図4のMAPキナーゼインヒビター、ならびに図5のもののようなMAPキナーゼインヒビターのアナログの親油性部分を含む。いくつかの好ましい実施形態において、Xは、例えば、図6のスタチンを含めたスタチンの親油性部分、ならびに図7および8のもののようなスタチンアナログの親油性部分を含む。好ましくは、Xは少なくとも1つの芳香族置換基を担う親油性部分、より好ましくは合成スタチンの芳香族部分を含む。Aは共有結合、または所望によりO、NまたはSのようなヘテロ原子を含有しても良い2個〜6個の炭素の、置換されたもしくは置換されていないアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンリンカーを表す。Aは好ましくは共有結合、メチレン、1,2−オキサメチレン、1,2−エチレン、1,2−エチニレン、1,2−エテニレン、1,3−プロピレンまたは1,3−プロペニレンである。より好ましくは、Aは1,2−エチレンまたはE−1,2−エテニレンである。Yは水素または低級アルキル、好ましくは水素である。Zはヒドロキシ(−OH)基または水素、好ましくはヒドロキシ基である。および、P6は、水素、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、アルカリール、置換されたアルカリール、ベンジル、置換されたベンジル、ナフチルメチレン、または置換されたナフチルメチレンである。好ましくは、P6はアルカリールまたは置換されたアルカリールであり;より好ましくはP6はベンジル、置換されたベンジル、ナフチルメチレン、または置換されたナフチルメチレンである。
さらに、式IIIおよびIVの2つの立体中心の各々における2つの可能な絶対立体配置から生起する、4つの可能な立体異性体の各々は本発明の考えられる実施形態である。特に、(T,T)で表される図3bに示されるような絶対立体配置はいくつかの実施形態において好ましい。また、例えば、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン、セリバスタチン、ピタバスタチン、およびグレンバスタチンを含めた合成スタチンに由来するデス−オキソおよびδ−ラクタム形態はいくつかの実施形態において特に好ましい。
いくつかの実施形態は、新規なシリーズの置換されたイミダゾール、置換されたピラゾール、置換されたピロール、置換されたインドール、置換されたピリジン、置換されたピリミジン、または置換されたキノリンを含む化合物であり、そのいくつかの実施形態は後により詳細に議論する。
本発明はこれらの化合物、例えば、組合せ処方での、これらの化合物の1以上を含む医薬処方、および後により詳細に記載される、MAPキナーゼ−関連および/またはHMG−CoAレダクターゼ−関連疾患を治療するにおけるそのような化合物および/または式IIの対応する酸の使用に関する。
(C.置換されたイミダゾールシリーズ)
本発明のいくつかの態様において、本明細書中に記載される方法は、式V:
であり;
ここに、nは0またはいずれかの整数であり;
R
2は所望により置換されていてもよいアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
R
4は所望により置換されていてもよい:
であり;
およびR
5は所望により置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールである]の置換されたイミダゾール、またはその塩である、式IおよびIIの化合物のサブセットを使用する。
R1の架橋基における点線は、該架橋基がエチル(すなわち、−CH2−CH2−)基またはエテニル(すなわち、−CH=CH−)基いずれかであり得ることを示すことを意味する。また、その塩、溶媒和物、エステル、互変異性体、多形、代謝産物、プロドラッグ、N−オキシド、スルホキシドまたはスルホンは式Vの範囲内に入ると考えられる。好ましい塩としては、カルシウム、ナトリウムおよびカリウムの塩が挙げられる。
いくつかの実施形態において、イミダゾール環の3−位置におけるNはプロトン化されており(例えば、可逆的にプロトン化されており)、あるいは所望により置換されていてもよい。また、R4のピリミジニル、ピリジニルまたはイミダゾリル環が該環のいずれかの利用可能な炭素原子または窒素原子を介して結合されている化合物は式Vの範囲内にあると考えられる。
本発明の化合物を選択するにおいて、当業者であれば、種々の置換基、すなわち、R1、R2等は化学構造連結性のよく知られた原理に適合して選択されるべきことを認識するであろう。
用語「置換された」は、命名された置換基による複数程度の置換を含むことができる。複数の置換基が開示されまたは特許請求されている場合、置換された化合物は、単独でまたは複数で、1以上の開示されたまたは特許請求された置換部分で独立して置換することができる。
「アルキル」、ならびにアルコキシ、アルカノイルのような接頭辞「アルク」を有する他の基は、直鎖または分岐鎖あるいはその組合せであり得る所望により置換されていてもよい炭素基をいうことができる。アルキル基の例は、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソ−、sec−およびtert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル等を含む。
「アリール」とは、炭素原子のみを含有する所望により置換されていてもよい単環または二環芳香族環をいうことができる。該用語は、単環シクロアルキル基、または単環シクロヘテロアルキル基に縮合したアリール基も含むことができ、ここに、結合点は芳香族部分にある。アリール基の例は、例えば、フェニル、ナフチル、インダニル、インデニル、テトラヒドロナフチル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾピラニル、1,4−ベンゾジオキサニル等を含む。
「ヘテロアリール」とは、N、OおよびSのような少なくとも1つのへテロ原子(炭素以外の原子)含有する所望により置換されていてもよい単環または二環の芳香族環をいうことができ、各環は約5個〜約6個の原子を含有する。ヘテロアリール基の例は、例えば、ピロリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラニル、トリアジニル、チエニル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、フロ(2,3−b)ピリジル、キノリル、インドリル、イソキノリル等を含む。
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素および要素を含むことができる。
本明細書中で用いるように、R、およびR’等は一般には、特に断りのない限り、例えば、置換されたもしくは置換されていないアルキル基を含めたいずれかの非芳香族基をいう。Ar、Ar’等は、一般には、例えば、アリールおよびヘテロアリールを含めた置換されたもしくは置換されていない芳香族基をいう。
式Vの化合物は1以上の不斉中心を含み、かくして、ラセミ体およびラセミ混合物、純粋なまたは実質的に純粋な異性体形態、単一エナンチオマー、ジアステレオマー混合物、および個々のジアステレオマーとして存在することができる。本発明は、式Vの化合物の全てのそのような異性体形態を含むことを意味する。
いくつかの好ましい実施形態において、nは0、1、2または3である。いくつかの好ましい実施形態において、R1は以下の立体化学を有する。
本明細書中に記載された化合物のいくつかはオレフィン性二重結合を含み、断りのない限り、Eおよび/またはZ幾何異性体を共に含むことを意図する。いくつかの実施形態において、E幾何異性体が好ましい。
本明細書中に記載された化合物のいくつかは、互変異性体という、水素の結合点が異なって存在し得る。そのような例はケト−エノール互変異性体として知られたケトン形態およびそのエノール形態であり得る。個々の互変異性体ならびにその混合物は式Vの化合物内に含まれる。
好ましい実施形態において、式VおよびMAPキナーゼインヒビターであり、および/または例えば、MAPキナーゼ−関連疾患の治療において、MAPキナーゼの阻害が望まれる方法で用いられる。
より好ましい実施形態において、式Vの化合物(またはその塩)の新規なサブセットが提供され、ここに、R1が
であり、
ここに、nは0またはいずれかの整数、好ましくは0、1または2であり;および
R
4は所望により置換されていてもよい
であり、
但し、R
4がハロゲン原子およびヒドロキシル、C
1−3アルキル、C
1−3アルコキシおよびトリフルオロメチル基から選択される1以上の置換基で所望により置換されていてもよいピリジニル環である場合、R
1の架橋基は−CH
2−CH
2−である。
R4の置換基はピリミジニル、ピリジニル、またはイミダゾリル環の炭素および/またはヘテロ原子の1以上の空の位置に存在し得る。適切な置換基の例としては、限定されるものではないが、酸素、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子、あるいはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、または所望により置換されていてもよいアミノ基が挙げられる。例えば、いくつかの実施形態において、R4は1以上の所望により置換されていてもよいアミノ基で置換されたピリジニル環であり、およびR1の架橋基は−CH2−CH2−または−CH=CH−である。特に好ましいR4の置換基としては−NH−フェニル、−NH−CH3、およびNH2基が挙げられる。
さらにいくつかの実施形態において、R4置換基としてはN−オキシド、例えば:
さらにいくつかの実施形態において、R4は
式Vの化合物の特に好ましい基は、R2が1個〜3個のハロゲン原子で所望により置換されていてもよいC1−6アルキル基、例えば、トリフルオロメチルまたはC1−4アルキル基、より具体的にはC3−4分岐アルキル基、例えば、1−メチルプロピルである。なおより好ましい実施形態において、R2はイソプロピル、t−ブチル、−CF3、フェニル、
いくつかの実施形態において、この特別に好ましい基内で、R5が所望により置換されていてもよいフェニル基である化合物が特に好ましい。
R5が置換されたフェニル基である場合、これらは好ましくは1〜3の置換基を含む。適切なR5置換基の例としては、ハロゲン原子、例えば、フッ素、臭素、塩素、メトキシ、メチル、エチル、ヒドロキシまたはトリフルオロメチル基が挙げられる。好ましい置換されたR5の置換基としては、4−フルオロフェニル、4−クロロフェニル、3−クロロフェニル、3−ブロモフェニル、3,5−ジブロモフェニル、3,5−ジクロロフェニルのようなハロフェニル、5−クロロ−2−メチルフェニル、4−フルオロ−2−メチルフェニル、3,5−ジメチル−4−フルオロフェニル、4−クロロ−3,5−ジメチルフェニルおよび3,5−ジエチル−4−フルオロフェニルのようなアルキル−ハロフェニル、4−メチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、ヒドロキシフェニル、メトキシフェニルまたは3−トリフルオロメチルフェニルのようなアルキルフェニルが挙げられる。特に好ましいのは4−フルオロフェニル、または3−トリフルオロメチルフェニルである。
化合物の特に好ましい基は、R2がフェニル、トリフルオロメチル、t−ブチルまたはより特別にはイソプロピル基であり;R5がフェニル、3−クロロフェニル、3−トリフルオロメチルフェニル、4−クロロフェニル、4−フルオロフェニル、4−フルオロ−2−メチルフェニル、3,5−ジエチル−4−フルオロフェニルまたは3,5−ジメチル−4−フルオロフェニル基であり;およびR4が4−ピリジニル基、4−ピリミジニル基、または4−イミダゾリル基、2−アミノフェニル−4−ピリジニル基、2−アミノフェニル−4−ピリミジニル基、2−アミノメチル−4−ピリジニル基、または2−アミノメチル−4−ピリミジニル基、特に4−ピリミジニル、4−ピリジニル、2−アミノフェニル−4−ピリミジニル、2−アミノメチル−4−ピリミジニル、2−アミノ−4−ピリジニル、または2−アミノメチル−4−ピリミジルを含むものである。化合物のこの特に好ましい基内では、R5が4−フルオロフェニル基であるものが特に好ましい。
式Vの化合物の好ましい基は式Va:
であり;
nは0または整数、好ましくは0、1または2であり;
R
2は所望により置換されていてもよいアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;
ピリミジニル環は所望により置換されていてもよい;
およびR
5は所望により置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールである]
の化合物、またはその塩である。
いくつかの実施形態において、ピリミジニル環は置換されていない。他の実施形態において、ピリミジニル環は、例えば、所望により置換されていてもよいアミノ基、特に−NH−CH3または−NH−フェニル;または−O−CH3で置換されている。
式Vの化合物のもう1つの好ましい基は式Vb:
であり;
ここに、nは0またはいずれかの整数、好ましくは、0、1または2であり;
R
2は所望により置換されていてもよいアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
該ピリジニル環は所望により置換されていてもよく、但し、該ピリジニル環は置換されていないか、あるいは水素原子およびヒドロキシル、C
1−3アルキル、C
1−3アルコキシおよびトリフルオロメチル基から選択される1以上の置換基で置換されている場合、R
1の架橋基は−CH
2−CH
2−であり;
およびR
5は所望により置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールである]
の化合物、またはその塩である。
いくつかの実施形態において、該ピリジニル環は置換されていない。他の実施形態において、該ピリジニル環は、例えば、所望により置換されていてもよいアミノ基、例えば、−NH2または−NH−CH3で置換されている。
本発明の化合物の特に好ましい例としては、限定されるものではないが、以下のものが挙げられる。
本発明の化合物のより特に好ましい例としては、限定されるものではないが、以下のものが挙げられる:
他の特に好ましい例としては、限定されるものではないが、以下のものが挙げられる。
式Vの化合物は、例えば、適切な溶媒、例えば、MeOHまたは酢酸エチルまたはその混合物からの分別結晶化によってエナンチオマーのジアステレオマー対に分離することができる。エナンチオマーの対は、例えば、分割剤としての光学的に活性なアミンの使用によって、またはキラルHPLCカラムで個々の立体異性体に分離することができる。ラセミ混合物は、多数の慣用的方法のいずれかによってそれらの個々のエナンチオマーに分離することができる。これらとしては、キラルクロマトグラフィー、キラル補助剤での誘導体化、続いての、クロマトグラフィーまたは結晶化による分離、およびジアステレオマー塩の分別結晶化が挙げられる。
別法として、一般式Vの化合物のいずれかのエナンチオマーは、光学的に純粋な出発物質または公知の立体配置の試薬を用いて立体特異的合成によって得ることができる。好ましい実施形態において、式Vの化合物はエナンチオマー的に純粋な(または実質的にエナンチオマー的に純粋な)処方として投与される。
本発明の式Vのイミダゾールを合成するための詳細は後の実施例13および14に供される。具体的には、実施例13が(3R,5R)−7−(2,5−ジフェニル−4−(ピリジン−4−イル)−1H−イミダゾール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸、カルシウム塩および(3R,5R)−7−(5−(4−フルオロフェニル)−2−フェニル−4−(ピリジン−4−イル)−1H−イミダゾール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸、カルシウム塩を側鎖縮合を介して合成する例を提供する。実施例14は(3S,5S),(3R,5R)−6−(5−(4−フルオロフェニル)−2−フェニル−4−(ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘキサン酸、カリウム塩をN−アルキル化を介して合成する例を提供する。
(D.置換されたピラゾールシリーズ)
本発明のいくつかの態様において、本明細書中に記載される方法は、式VI:
であり;
ここに、nは0またはいずれかの整数であり;
R
2は所望により置換されていてもよいアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;
R
4は所望により置換されていてもよい
であり;
およびR
5は所望により置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールである]
の置換されたピラゾール、またはその塩である、式IおよびIIの化合物のサブセットを使用する。
R1の架橋基における点線は、架橋基がエチル(すなわち、−CH2−CH2−)基またはエテニル(すなわち、−CH=CH−)基いずれかであり得ることを示すことを意味する。また、式VIの範囲内に入るものとして、その塩、溶媒和物、エステル、互変異性体、多形、代謝産物、プロドラッグ、N−オキシド、スルホキシドまたはスルホンが考えられる。好ましい塩としては、カルシウム、ナトリウムおよびカリウムの塩が挙げられる。
いくつかの実施形態において、ピラゾール環の2−位置におけるNはプロトン化(例えば、可逆的にプロトン化)されており、あるいは所望により置換されていてもよい。また、式VIの範囲内にあると考えられるのは、R4のピリミジニル、ピリジニル、またはイミダゾール環が該環のいずれかの利用可能な炭素原子または窒素原子を介して結合している化合物である。
本発明の化合物を選択するにおいて、当業者であれば、種々の置換基、例えば、R1、R2等は化学構造結合性のよく知られた原理に適合するように選択されるべきことを認識するであろう。
用語「置換された」は、命名された置換基による複数程度の置換を含むことができる。複数の置換基部分が開示されまたは特許請求される場合、置換された化合物は、単独でまたは複数で、開示されたまたは特許請求された置換基部分の1以上で独立して置換され得る。
式VIの化合物は1以上の不斉中心を含み、かくして、ラセミ体およびラセミ混合物、純粋なまたは実質的に純粋な異性体形態、単一のエナンチオマー、ジアステレオマー混合物および個々のジアステレオマーとして存在し得る。本発明は、式VIの化合物の全てのそのような異性体形態を含むことを意味する。
いくつかの好ましい実施形態において、nは0、1、2または3である。いくつかの好ましい実施形態において、R1は以下の立体化学を有する。
本明細書中に記載された化合物のいくつかはオレフィン性二重結合を含み、特に断りのない限り、Eおよび/またはZ幾何異性体を共に含むことを意味する。いくつかの実施形態において、E幾何中心が好ましい。
本明細書中に記載された化合物のいくつかは、互変異性体という、水素の結合点が異なって存在し得る。そのような例はケト−エノール互変異性体として知られたケトン形態およびそのエノール形態であり得る。個々の互変異性体ならびにその混合物は式VIの化合物内に含まれる。
好ましい実施形態において、式VIの化合物は、MAPキナーゼインヒビターであり、そして/または例えば、MAPキナーゼ−関連疾患の治療において、MAPキナーゼの阻害が望まれる方法で用いられる。
いくつかの好ましい実施形態において、式VIの化合物(またはその塩)の新規なサブセットが提供され、ここで、R1は
またはその塩であり、
ここで、nは0またはいずれかの整数、好ましくは0、1または2であり;および
R
4は所望により置換されていてもよい
であり;但し、R
2が1個〜3個の炭素原子からのアルキル、トリフルオロメチル、アルキルが1個〜4個の炭素原子であるジアルキルアミノ、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、またはピペラジノである場合、R
4は置換されている。
R4の置換基はピリミジニル、ピリジニルまたはイミダゾリル環の炭素および/またはヘテロ原子の1以上の空の位置に存在し得る。適切な置換基の例としては、限定されるものではないが、酸素、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子、あるいはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、または所望により置換されていてもよいアミノ基が挙げられる。特に好ましいR4置換基としては−OCH3および−NH−フェニル基が挙げられる。
さらにいくつかの実施形態において、R4置換基としては、N−オキシド、例えば、
さらにいくつかの実施形態において、R4は
特に好ましいR2基としては、低級アルキル、例えば、1個〜4個の炭素原子からのアルキル、ジメチルアミノ、または1−メチルプロピル、特に、イソプロピル、フェニル、または水素が挙げられる。
さらにいくつかの好ましい実施形態において、R5は1個〜3個の炭素原子からのアルキル、フッ素、塩素、またはトリフルオロメチルでモノ置換されたフェニル;あるいは1個〜3個の炭素原子からのアルキル、フッ素、塩素、またはトリフルオロメチルから独立して選択される2つの基で二置換されたフェニルである。特に好ましいのは4−フルオロフェニルまたは3−トリフルオロメチルフェニルである。
化合物の特に好ましい基は、R2が水素、フェニル、またはイソプロピル基であり;R5が3−トリフルオロメチルフェニル、または4−フルオロフェニル基であり;およびR4が4−ピリジニル基、4−ピリミジニル基、または4−イミダゾリル基、特に、2−メトキシ−4−ピリミジニル、2−アミノフェニル−4−ピリミジニル、または2−アミノフェニル−4−ピリジニルである。化合物のこの特に好ましい基内では、R5が3−トリフルオロメチルフェニル基であるものが特に好ましい。
式VIの化合物の好ましい基は式VIa
であり;
ここに、nは0またはいずれかの整数、好ましくは0、1または2であり;
R
2は所望により置換されていてもよいアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
該ピリミジニル環は所望により置換されていてもよく;
およびR
5は所望により置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールであり;
但し、R
2が1個〜3個の炭素原子のアルキル、トリフルオロメチル、アルキルが1個〜4個の炭素原子であるジアルキルアミノ、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノまたはピペラジノである場合、R
4は置換されている]
の化合物、またはその塩である。
いくつかの実施形態において、該ピリミジニル環は置換されていない。他の実施形態において、該ピリミジニル環は、例えば、所望により置換されていてもよいアミノ基、特に−NH−フェニルで置換されるか、または所望により置換されていてもよいアルコキシル基、特に、−O−CH3で置換されている。
式VIの化合物のもう1つの好ましい基は、式VIb:
であり;
ここに、nは0またはいずれかの整数、好ましくは0、1または2であり;
R
2は所望により置換されていてもよいアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;
該ピリジニル環は所望により置換されていてもよく;
およびR
5は所望により置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールであり;
但し、R
2が1個〜3個の炭素原子からのアルキル、トリフルオロメチル、アルキルが1個〜4個の炭素原子であるジアルキルアミノ、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノまたはピペラジノである場合、R
4は置換されている]
の化合物、またはその塩である。
いくつかの実施形態において、該ピリジニル環は置換されていない。他の実施形態において、ピリジニル環は、例えば、所望により置換されていてもよいアミノ基、特に、−NH−フェニルで置換されている。
本発明の化合物の特に好ましい例としては、限定されるものではないが、以下のものが挙げられる。
本発明の化合物のより特に好ましい例としては、限定されるものではないが、以下のものが挙げられる。
他の特に好ましい例としては、限定されるものではないが、以下のものが挙げられる。
式VIの化合物は、例えば、適切な溶媒、例えば、MeOHまたは酢酸エチルまたはその混合物からの分別結晶化によってエナンチオマーのジアステレオマー対に分離することができる。エナンチオマーの対は、例えば、分割剤としての光学的に活性なアミンの使用によって、あるいはキラルHPLCカラムで個々の立体異性体に分離することができる。ラセミ混合物は、多数の慣用的方法のいずれかによってそれらの個々のエナンチオマーに分離することができる。これらはキラルクロマトグラフィー、キラル補助剤での誘導体化、引き続いての、クロマトグラフィーまたは結晶化による分離、およびジアステレオマー塩の分別結晶化を含む。
別法として、一般式VIの化合物のいずれのエナンチオマーも、光学的に純粋な出発物質または公知の立体配置の試薬を用いて立体特異的合成によって得ることができる。好ましい実施形態において、式VIの化合物はエナンチオマー的に純粋な(または実質的にエナンチオマー的に純粋な)処方として用いられる。
本発明の式VIのピラゾールを合成するための詳細は、後に実施例10および11に供される。具体的には、実施例10は4つのN−ピリジルピラゾールを合成する例を提供し、実施例11は8つのN−ピリミジニルピラゾールを合成する方法を提供する。
(E.置換されたピロールシリーズ)
本発明のいくつかの態様において、本明細書中に記載された方法は、式VII:
であり;
ここに、nは0またはいずれかの整数であり;
R
2が所望により置換されていてもよいアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;
R
3がいずれかの置換基であり;
R
4が所望により置換されていてもよい
であり;
およびR
5は所望により置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールである]
の置換されたピロール、またはその塩である、式IおよびIIの化合物のサブセットを使用する。
R1の架橋基における点線は、該架橋基がエチル(すなわち、−CH2−CH2−)基またはエテニル(すなわち、−CH=CH−)基いずれかであり得ることを示すことを意味する。また、その塩、溶媒和物、エステル、互変異性体、多形、代謝産物、プロドラッグ、N−オキシド、スルホキシドまたはスルホンは式VIIの範囲内に入ると考えられる。好ましい塩としてはカルシウム、ナトリウムおよびカリウムの塩が挙げられる。
また、式VIIの範囲内にあると考えられるのは、R4のピリミジニル、ピリジニルまたはイミダゾリル環が該環のいずれかの利用可能な炭素原子または窒素原子を介して結合されている化合物である。
本発明の化合物を選択するにおいて、当業者であれば、種々の置換基、すなわち、R1、R2等は化学構造連結性のよく知られた原理に適合して選択されるべきことを認識するであろう。
用語「置換された」は、命名された置換基による複数程度の置換を含むことができる。複数の置換基部分が開示されまたは特許請求されている場合、置換された化合物は、単独でまたは複数で、1以上の開示されたまたは特許請求された置換基部分で独立して置換することができる。
式VIIの化合物は1以上の不斉中心を含む、かくして、ラセミ体およびラセミ混合物、純粋なまたは実質的に純粋な異性体形態、単一エナンチオマー、ジアステレオマー混合物、および個々のジアステレオマーとしえて存在し得る。本発明は、式VIIの化合物の全てのそのような異性体形態を含むことを意味する。
いくつかの好ましい実施形態において、nは0、1、2または3である。いくつかの好ましい実施形態において、R1は以下の立体化学を有する。
本明細書中に記載された化合物のいくつかはオレフィン性二重結合を含み、断りのない限り、Eおよび/またはZ幾何異性体を共に含むことを意図する。いくつかの実施形態において、E幾何異性体が好ましい。
本明細書中に記載された化合物のいくつかは、互変異性体という、水素の結合点が異なって存在し得る。そのような例はケト−エノール互変異性体として知られたケトン形態およびそのエノール形態であり得る。個々の互変異性体ならびにその混合物は式VIIの化合物内に含まれる。
好ましい実施形態において、式VIIの化合物はMAPキナーゼインヒビターであり、そして/または例えば、MAPキナーゼ−関連疾患の治療において、MAPキナーゼの阻害が望まれる方法で用いられる。
いくつかの好ましい実施形態において、式VIIの化合物(またはその塩)の新規なサブセットが提供され、ここに、R1は
であり;
ここに、nは0またはいずれかの整数、好ましくは0、1または2であり;および
R
4は所望により置換されていてもよい
R4の置換基はピリミジニル、ピリジニルまたはイミダゾリル環の炭素原子および/またはヘテロ原子の1以上の空の位置に存在し得る。適切な置換基の例としては、限定されるものではないが、酸素、メチル、エチル、nープロピル、イソプロピル、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、または所望により置換されていてもよいアミノ基が挙げられる。例えば、いくつかの実施形態において、R4は1以上の所望により置換されていてもよいアミノ基で置換されたピリミジニル環である。特に好ましいR4置換基としては、−OCH3、−NH2、−NH−CH3、および−NH−フェニルが挙げられる。
さらにいくつかの実施形態において、R4の置換基としては、N−オキシド、例えば:
さらにいくつかの実施形態において、R4は
式VIIの化合物の特に好ましい基は、R2がイソプロピルまたはイソブチルのような分岐したアルキル基であるものである。特に好ましいのはイソプロピルである。
式VIIの化合物のもう1つの好ましいクラスは、R5が置換されたフェニル基であって、好ましくは1個〜3個の置換基を含む化合物である。適切なR5の置換基の例としては、ハロゲン原子、例えば、フッ素、臭素、塩素、メトキシ、メチル、エチル、ヒドロキシ、フルオロフェニル、またはトリフルオロメチル基が挙げられる。特に好ましいのは4−フルオロフェニルまたは3−トリフルオロメチルフェニルである。
式VIIの化合物のもう1つの好ましいクラスは、R3が−CONH−Wであり、ここに、Wが所望により置換されていてもよいフェニルである化合物である。適切な置換基の例としては、限定されるものではないが、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子、あるいはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、または所望により置換されていてもよいアミノ基が挙げられる。特に好ましいのは、Wが置換されていないフェニルである化合物である。
化合物の特に好ましい基は、R2がイソプロピルであり;R5が4−フルオロフェニルであり;R3が−CONH−フェニルであり;およびR4が4−ピリミジニル基、2−メチル−4−ピリジニル基、2−アミノ−4−ピリジニル基、2−アミノフェニル−4−ピリジニル基、2−アミノメチル−4−ピリミジニル基、2−アミノメチル−4−ピリジニル基、または4−イミダゾリル基、特に、4−ピリミジニル、2−メトキシ−4−ピリミジニル、2−アミノ−4−ピリミジニル、または2−アミノフェニル−4−ピリミジニルを含むものである。
式VIIの化合物の好ましい基は式VIIa:
であり;
ここに、nはいずれかの整数、好ましくは0、1または2であり;
R
2は所望により置換されていてもよいアルキル、またはアリールまたはヘテロアリールであり;
該ピリミジニル環は所望により置換されていてもよく;
およびR
5は所望により置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールである]
の化合物、またはその塩である。いくつかの実施形態において、該ピリミジニル環は置換されていない。他の実施形態において、該ピリミジニル環は、例えば、所望により置換されていてもよいアミノ基、特に、−NH
2または−NH−フェニルで置換されるか、または所望により置換されていてもよいアルコキシル基、特に−O−CH
3で置換されている。
式VIの化合物のもう1つの好ましい基は、式VIIb:
であり;
ここに、nは0またはいずれかの整数、好ましくは0、1または2であり;
R
2は所望により置換されていてもよいアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;
該ピリジン環は置換されており;
およびR
5は所望により置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールである]
の化合物、またはその塩である。
本発明の化合物の特に好ましい例としては、限定されるものではないが、以下のものが挙げられる。
本発明の化合物のより特に好ましい例としては、限定されるものではないが、以下のものが挙げられる。
式VIIの化合物は、適切な溶媒、例えば、MeOHまたは酢酸エチル、またはその混合物からの例えば分別結晶化によってエナンチオマーのジアステレオマー対に分離することができる。エナンチオマーの対は、例えば、分割剤としての光学的に活性なアミンの使用によって、あるいはキラルHPLCカラムで個々の立体異性体に分離することができる。ラセミ混合物は多数の慣用的方法のいずれかによってそれらの個々のエナンチオマーに分離することができる。これらとしては、キラルクロマトグラフィー、キラル補助剤での誘導体化、続いての、クロマトグラフィーまたは結晶化による分離、およびジアステレオマー塩の分別結晶化が挙げられる。
別法として、一般式VIIの化合物のいずれのエナンチオマーも、光学的に純粋な出発物質または公知の立体配置の試薬を用いて立体特異的な合成によって得ることができる。好ましい実施形態において、式VIIの化合物はエナンチオマー的に純粋な(または実質的にエナンチオマー的に純粋な)処方として投与される。
本発明の式VIIのピロールを合成するための詳細は、以下の実施例12に提供される。
(F.スタチンラクトンおよびもう1つの活性剤の組合せ)
もう1つの態様において、本発明は、1以上のさらなる活性剤、好ましくは薬理活性剤とスタチンラクトンとの組合せを含む組成物を提供する。いくつかの実施形態は2以上のスタチンラクトン;スタチンの2以上のヒドロキシ酸形態;2以上の非−スタチン抗−炎症剤;スタチンラクトンおよびスタチンのヒドロキシ酸形態;非−スタチン抗−炎症剤およびスタチンラクトン;ならびに非−スタチン抗−炎症剤およびスタチンのヒドロキシ酸の形態を含む組み合わせを包含する。いくつかの実施形態において、そのような組合せは約99:1〜約1:99のモル比率を有する。好ましくは、モル比率の範囲は約80:20〜約20:80;約75:25〜約25:75、約70:30〜約30:70、約66:33〜約33:66、約60:40〜約40:60;約50:50;および約90:10〜約10:90から選択される。より好ましくは、モル比率は約1:9、そして最も好ましくは約1:1である。
いくつかの実施形態において、スタチンラクトンは同一または異なるスタチンのヒドロキシ酸形態、またはその薬学的に受容可能な塩と組み合わされる。いくつかの実施形態において、スタチンラクトンおよびヒドロキシ酸(または塩)形態は約99:1〜約1:99のモル比率で組合すことができる。好ましくは、スタチンラクトン:ヒドロキシ酸(または塩)のモル比率の範囲は約80:20〜約20:80;約75:25〜約25:75、約70:30〜約30:70、約66:33〜約33:66、約60:40〜約40:60;約50:50;および約90:10〜約10:90から選択される。より好ましくは、スタチンラクトン:ヒドロキシ酸(または塩)のモル比率は約1:9、そして最も好ましくは、約1:1である。
スタチンラクトンは、好ましくは、フルバスタチンラクトン、シンバスタチンラクトン、ロバスタチンラクトン、ロスバスタチンラクトン、ピタバスタチンラクトン、グレンバスタチンラクトン、セリバスタチンラクトン、プラバスタチンラクトン、メバスタチンラクトン、ベルバスタチンラクトンおよびダルバスタチンラクトンから選択される少なくとも1つのラクトンであり、最も好ましくはアトルバスタチンラクトンである。スタチンヒドロキシ酸(または塩)は、好ましくは、フルバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、ロスバスタチン、ピタバスタチン、グレンバスタチン、セリバスタチン、プラバスタチン、メバスタチン、ベルバスタチンおよびダルバスタチンから選択される少なくとも1つの酸(または塩)であり、最も好ましくはアトルバスタチンおよび/またはピタバスタチンである。例えば、いくつかの実施形態において、アトルバスタチンのカルシウム塩および/またはピタバスタチンのナトリウム塩を用いることができる。さらにいくつかの実施形態は、リビバスタチンとしても知られているセリバスタチンのナトリウム塩;フルバスタチンのナトリウム塩;および/またはNK−104ともいわれるニスバスタチンを用いる。例えば、Drugs of the Future, 1999;24(5),pp.511−513参照。
スタチンのヒドロキシ酸(または塩)形態と組み合わされたスタチンラクトンを含む組成物のさらなる詳細は実施例4に提供される。具体的には、実施例4aは、1:1の比率で、アトルバスタチンラクトンおよびアトルバスタチンカルシウムを含むゲル処方を記載する。実施例4bは、1:1の比率で、アトルバスタチンラクトンおよびアトルバスタチンカルシウムを含む錠剤処方を記載する。実施例4cは、1:1の比率にて、アトルバスタチンラクトンおよびピタバスタチンカルシウムを含む錠剤処方を記載する。
いくつかの実施形態において、スタチンラクトンは非−スタチン抗−炎症剤と組み合わされる。例えば、スタチンラクトンおよび非−スタチン抗−炎症剤は約99:1〜約1:99のモル比率で組み合わせることができる。好ましくは、スタチンラクトン:非−スタチン抗−炎症剤のモル比率の範囲は約80:20〜約20:80;約75:25〜約25:75、約70:30〜約30:70、約66:33〜約33:66;約60:40〜約40:60;約50:50;および約90:10〜約10:90から選択される。より好ましくは、スタチンラクトン:非−スタチン抗−炎症剤のモル比率は約1:9、最も好ましくは約1:1である。スタチンラクトンは、好ましくは、フルバスタチンラクトン、シンバスタチンラクトン、ロバスタチンラクトン、ロスバスタチンラクトン、ピタバスタチンラクトン、グレンバスタチンラクトン、セリバスタチンラクトン、プラバスタチンラクトン、メバスタチンラクトン、ベルバスタチンラクトンおよびダルバスタチンラクトンから選択される少なくとも1つのラクトンであり、最も好ましいのはアトルバスタチンである。
非−スタチン抗−炎症剤は、スタチンラクトンまたはスタチンのヒドロキシ酸形態またはその塩でないいずれかの剤であり得る。好ましくは、該非−スタチン抗−炎症剤は免疫抑制剤、ステロイド抗−炎症剤、抗−ヒスタミン、肥満細胞安定化剤および抗−オータコイド、プロテインキナーゼインヒビター、MAPキナーゼインヒビター、p38 MAPキナーゼインヒビター、疾患−修飾抗−リウマチ薬物(DMARD)、より好ましくは、非−ステロイド抗−炎症剤(NSAID)から選択することができる。
好ましい免疫抑制剤は、例えば、ミコフェノレートモフェチル、サイクロスポリン、アザチオプリン、タクロリムス、ピメクロリウス、シロリムスなどを含む。好ましいステロイド抗−炎症剤は、例えば、処方および非処方の局所およびエアロゾルの、コルチコステロイド、コルチゾン、コルチゾンアセテート、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾンフォスフェート塩、プレドニゾン、プレドニゾロンホスフェート塩、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、メチルプレドニゾロンアセテート、ベクロメタゾン、ベクロメタゾンジプロピオネート、ブデソニド、シクレソニド、フルニソリド、トリアノシノロンアセトニドなどを含む。
好ましい非−ステロイド抗−炎症剤(NSAID)は、例えば、サリシレート、アセチルサリチル酸、サルチル酸ナトリウム、コルヒチン、コリンマグネシウムトリサリシレート、サルサレート、ジフルニザル、サリチル酸、スルファザラジン、オルサラジン、インドメタシン、スリンダック、エトドラック、マクロライド免疫抑制剤、トルメチン、クロベタゾール、ダプゾン、ジフロラゾン、ハロベタゾール、ジクロフェナク、ケトロラック、イブプロフェン、ナプロキセン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、フェノプロフェン、オキサプロジン、メファナム酸、メクロフェナム酸、パラ−アミノフェノール、プロピオン酸、ピロキシカム、テノキシカム、メロキシカム、ニメスリド、フェニルブタゾン、オキシフェンタトラゾン、ナブメトン、ダルブフェロン、リコフェロン、ロフェコキシブ、セレコキシブ、エトリコキシブ、バルデコキシブ、ルミラコキシブ、シミコキシブ、パレコキシブ、BMS−347070、LAS−34475、GM−406,381、CS−501、P−54、FK−3311、S−2474、アジュレミン酸等、ならびにその薬学的に受容可能な塩を含む。他の好ましいNSAIDは、例えば、プロスタグランジン、ロイコトリエンおよびトロンボキサン、およびシクロオキシゲナーゼ酵素を阻害する他の剤、特に、特異的シクロオキシゲナーゼインヒビターを含む。
非−スタチン抗−炎症剤と組み合わせたスタチンラクトンを含む組成物のさらなる詳細は実施例4で提供される。具体的には、実施例4dは、1:1の比率の、アトルバスタチンラクトンおよび非−スタチン抗−炎症剤のナプロキセンナトリウムを含む軟膏を記載する。実施例4eは、1:1の比率の、アトルバスタチンラクトンおよび非−スタチン抗−炎症剤のジクロフェナクを含む軟膏を記載する。実施例4fは、1:9の比率の、アトルバスタチンラクトンおよび非−スタチン抗−炎症剤アミノサリチル酸を含む直腸坐薬を記載する。実施例4g、4h、および4iは、各々、軟膏、ゲルおよびクリームを記載し、各々、1:1の比率の、アトルバスタチンラクトンおよび非−スタチン抗−炎症性インドメタシンを含む。
本発明のいくつかの実施形態において、2以上の前記化合物、形態および/または剤を含む組成物は相乗効果を提供する。相乗効果とは、2以上の化合物、形態および/または剤が一緒に働いて、いずれかの1つの化合物、形態および/または剤単独のそれよりも優れたおよび/またはより大きな合計効果を生じるものをいうことができる。例えば、合計効果は、MAPキナーゼの阻害のより大きなパーセンテージ増加および/またはMAPキナーゼ−関連イン・ビトロおよび/またはイン・ビボ効果の阻害のより大きなパーセンテージ増加、および/またはMAPキナーゼ−関連疾患の治療における有効性のより大きなパーセンテージ増加であり得る。例えば、相乗効果は少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%または少なくとも約80%より大きな増加であり得る。
好ましい実施形態において、スタチンラクトンおよび1以上の他の活性剤の組合せは、炎症を低下または阻害するのに対する相乗効果を示す。例えば、本発明の組合せの使用は、組合せの1または他の成分単独を用いる効果と比較して、炎症による腫れのより大きなパーセンテージ減少を提供し得る。例えば、いくつかの実施形態において、アトルバスタチンラクトンとアトルバスタチンヒドロキシ酸(または塩);アトルバスタチンラクトンとピタバスタチンヒドロキシ酸(または塩);またはアトルバスタチンラクトンとインドメタシンとの組合せは、アトルバスタチンラクトン単独、アトルバスタチンヒドロキシ酸(または塩)単独、ピタバスタチンヒドロキシ酸(または塩)単独、および/またはインドメタシン単独を用いる効果と比較して、炎症を低下または阻害する相乗効果を生じる。所与の仮説、理論および/または作用メカニズムに限定されるものではなく、アトルバスタチンラクトンは、前記したような炎症シグナリングカスケードに中枢的に関与するp38α MAPキナーゼを阻害することによって作用できる。炎症の低下または阻害に対する相乗効果を提供するそのような組合せのさらなる詳細は、例えば、後の実施例8に提供され、ここに、アトルバスタチンラクトンおよび非−スタチン抗−炎症剤インドメタシンの組合せを含む処方での処置は、炎症に対する相乗的阻害効果を生じる。
(II.処置の方法)
本発明のもう1つの態様は、薬学的組成物を用いる方法、およびキナーゼ−関連および/またはレダクターゼ−関連化合物、好ましくはMAPキナーゼ−関連および/またはHMG−CoAレダクターゼ−関連疾患を治療するための本明細書中に記載された化合物を含むキット、ならびにMAPキナーゼ−関連疾患の治療のための公知の化合物、およびMAPキナーゼ−および/またはHMG CoAレダクターゼ−関連疾患、特に炎症性疾患の治療のための新規な組合せの新規な使用に関する。
本発明は、動物被験体の治療のための方法、薬学的組成物、およびキットを提供する。本明細書中で用いる用語「動物被験体」はヒトならびに他の哺乳動物を含む。本明細書中で用いる用語「治療する(treating)」は、治療的利点および/または予防的利点を達成することを含む。治療的利点とは、治療すべき基礎となる障害の根絶または軽減を意味する。例えば、関節炎患者において、治療的利点は基礎となる関節炎の根絶または軽減を含む。また、治療的利点は、患者が基礎となる障害に依然として罹り得るという事実にもかかわらず、改善が患者で観察されるように、基礎となる障害に関連する生理学的兆候の1以上の根絶または軽減で達成される。例えば、本発明のMAPキナーゼインヒビターは、慢性関節リウマチが根絶される場合のみならず、関節における固さまたは腫れのような、慢性関節リウマチに伴う他の障害または不快に関連して改善が患者で観察される場合に、治療的利点を提供する。同様に、本発明の組成物が、MAPキナーゼ−関連疾患、例えば、発赤、発疹、腫れ、痒み、刺激、乾燥、スケーリング(scaling)、フレーキング(flaking)、疼痛、体温上昇、正常機能の喪失等を含めた、炎症および/または自己免疫疾患に関連する他の兆候を軽減することにおいて治療的利点を提供することができる。
予防的利点については、本発明の薬学的組成物は、疾患の診断はなされ得ていないが、MAPキナーゼ−関連疾患および/またはHMG−CoAレダクターゼ−関連疾患を発症する危険性がある患者、またはそのような疾患の生理学的兆候の1以上を報告する患者に投与することができる。投与は疾患が発生するのを妨げることができるか、あるいはそれは発症する疾患を低下させ、減少させ、短縮しおよび/またはそうでなければ軽減することができる。
(A.MAPキナーゼ−関連疾患の治療)
本明細書中で用いる用語「MAPキナーゼ−関連疾患」とは、アレルギー、炎症および/または自己免疫応答のシグナリングカスケードに関与するタンパク質キナーゼの活性を直接的にまたは間接的に低下することが望ましい疾患、および/またはプロテインキナーゼの1以上の産物の産生および/または効果を直接的にまたは間接的に低下させることが望ましい疾患をいう。例えば、MAPキナーゼ−関連疾患は、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)、インターロイキン−1β(IL−1β)、(TNF−αおよびIL−1βに対する応答、またはその発現を含めた)炎症、アポトーシス、増殖および分化に関連するシグナル変換経路の他の化学的メッセンジャーのような1以上のプロ−炎症性サイトカインの過剰産生あるいは望まない産生を含むことができる。
MAPキナーゼ−関連疾患の例は、限定されるものではないが、アレルギー性、炎症性および自己免疫疾患、例えば眼アレルギー、眼炎症および/または眼自己免疫疾患;耳のアレルギー性、炎症性および/または自己免疫疾患;皮膚および皮膚構造物のアレルギー性、炎症性および/または自己免疫疾患;胃腸アレルギー性、胃腸炎症性および/または胃腸自己免疫疾患;呼吸器系のアレルギー性、呼吸器系の炎症性および/または呼吸器系の自己免疫疾患;ならびに関節炎、慢性関節リウマチ、および/または筋肉骨格系の他の炎症性/自己免疫疾患;骨関節炎;血管炎症性疾患、血管炎、(潰瘍性結腸炎およびクローン病を含めた)炎症性腸疾患、セリアックスプルー、アクネ、乾癬(ならびに扁平苔癬のような他の丘疹鱗屑)、局所皮膚炎;アトピー性皮膚炎(湿疹を含む)、刺激性接触皮膚炎、内毒素血症、再狭窄、敗血症、およびトキシンショック症候群、ならびに移植片拒絶を含む。他のMAPキナーゼ−関連疾患は老化、光−老化、悪液質、らい病、リーシュマニア症、喘息、慢性骨盤疼痛、炎症性筋肉病、アレルギー性鼻炎(枯草熱)、胃炎、膣炎、結膜炎、間質性膀胱炎、慢性疲労症候群、骨粗しょう症、強皮症などを含む。MAP−キナーゼ関連疾患は糖尿病、慢性閉塞性肺病、ならびにアテローム性動脈硬化症のような心血管−関連疾患、心筋梗塞、鬱血性心不全、虚血性−再灌流負傷および他の血管炎症疾患を含むこともできる。MAP−キナーゼ関連疾患は例えば、多発性骨髄腫、線維性障害のような癌を含めた増殖性障害、糸球体腎炎のようなメサンギウム細胞増殖性障害、糖尿病性腎臓障害悪性腎硬化症、血栓微小血管障害症候群、器官移植体拒絶および糸球体障害を含むこともできる。MAP−キナーゼ関連疾患は神経変性病、例えば、アルツハイマーおよび疼痛感覚、ならびにウイルス、細菌および真菌感染のような感染症を含むこともできる。
本発明の組成物、キットおよび方法で治療可能な他の疾患は、可溶性TNF受容体、抗−TNF抗体、IL−1受容体アンタゴニスト、TLF−α変換酵素インヒビター、プロテイン−チロシンキナーゼのインヒビターおよび/またはプロテインセリンのインヒビター/MAPキナーゼファミリーのスレオニンキナーゼで現在治療されるものを含み、好ましくは、p38 MAPキナーゼおよび/またはストレス−活性化プロテインキナーゼ/Jun N−末端キナーゼ(SAPK/JNK)のインヒビターで現在治療される疾患を含む。最も好ましくは本発明の実施で治療可能な疾患は、p38α MAPキナーゼに関するもの、例えば、p38α MAPキナーゼ活性の阻害によって現在治療される疾患を含む。
プロテインキナーゼ、例えば、MAPキナーゼの活性の低下は該キナーゼを「阻害する」ともいう。用語「阻害する」および「阻害性」のようなその文法的語形変化は完全な阻害を必要としないが、キナーゼ活性の低下をいう。そのような低下は阻害効果の不存在下における、例えば、インヒビターの不存在下における酵素の活性の好ましくは少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約95%である。逆に、語句「阻害しない」およびその文法的語形変化は、化合物の存在下における酵素活性の、約20%未満、約10%未満、好ましくは約5%未満の低下がある状況をいう。さらに、語句「実質的に阻害しない」およびその文法的語形変化は、化合物の存在下における酵素活性の、約30%未満、約20%未満、好ましくは約10%未満の低下がある状況をいう。
酵素活性を低下させる能力は、化合物、または化合物の組合せの酵素に向けてのまたはそれに対する能力または活性の尺度である。能力は、好ましくは、IC50、Kiおよび/またはED50値に関する無細胞、全細胞および/またはイン・ビボアッセイによって測定される。IC50値は、与えられた組の条件下で半分(50%)だけ酵素活性を阻害するのに必要な化合物の濃度を表す。Ki値は、酵素に対する阻害化合物の結合についての平衡親和性定数を表す。ED50値は、生物学的アッセイにおける半−最大応答を行うのに必要な化合物の量を表す。これらの尺度のさらなる詳細は当業者によって認識され、生化学、酵素学などについての標準的テキストで見出すことができる。
いくつかの実施形態において、式I、II、IIIおよびIVによって表される1以上の形態の化合物はMAPキナーゼを阻害する。これらの化合物はイン・ビトロおよび/またはイン・ビボにおいて抗−炎症効果を発揮することができ、ヒトおよび他の哺乳動物において、MAPキナーゼ−関連疾患、例えば、アレルギー性、炎症性および/または自己免疫疾患の治療で有用な薬学的組成物についての基礎を形成することができる。ある実施形態において、例えば、これらの組成物はTNF−αおよびIL−1βの産生、およびそれに関連するシグナリング経路を低下させる。
前記したように、式IおよびIIの化合物のサブセットはMAPキナーゼの公知のインヒビターの新規なアナログであり、ここに、Xは親油性MAPキナーゼインヒビターまたは親油性部分またはそのアナログを含む。これらのアナログのいくつかはラクトンおよび/または酸形態におけるMAPキナーゼインヒビター活性を保持し、有効量の少なくとも1つのそのような化合物を被験体に投与することによって、本発明の実施において、例えば、MAPキナーゼ−関連疾患を治療する方法において有用である。例えば、図5に示すある種のラクトン誘導体は、前記で詳細に記載したように、いくつかの実施形態で好ましい。
また、前記したように、式IおよびIIの化合物のサブセットはHMG−CoAレダクターゼの公知のインヒビターの新規なアナログであり、ここに、XはHMG−CoAレダクターゼインヒビター、例えば、スタチン、合成スタチン、またはそのアナログの親油性部分を含む。これらのアナログのいくつかはラクトンおよび/または酸形態でMAPキナーゼ阻害活性を呈し、そのような化合物の少なくとも1つの有効量を被験体に投与することによって、本発明の実施において、例えば、MAPキナーゼ−関連疾患を治療する方法において有用である。例えば、図7に示されたある種のラクトン誘導体は前記にて詳細に記載したようにいくつかの実施形態において好ましく、他方、図8に示された特異的ラクトン誘導体はなおより好ましい。いくつかの実施形態において、そのような化合物の酸形態もまたMAPキナーゼ阻害活性を呈する。いくつかの好ましい実施形態において、MAPキナーゼ阻害は、ファルネシルピロフォスフェート、ゲラニルゲラニルピロフォスフェート、メバロネート、またはメバロネートのいずれかの下流産物の添加によって逆行されない。いくつかの実施形態において、ラクトン形態は、HMG−CoAレダクターゼを阻害しないか、または実質的に阻害しない。いくつかの好ましい実施形態において、ラクトン形態は、局所適用および/または直腸投与のために溶液、懸濁液、軟膏および/または坐薬に処方することができる。該処方は炎症の領域に適用して、例えば、後により詳細に記載するように局所的効果を発揮することができる。好ましくは、そのような実施形態において、ほとんどまたは全く全身効果は観察されない。
式Iの化合物のもう1つのサブセットは、メバサチン、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトロバスタチン、セリバスタチン、ロスバスタチン、ピタバスタチン、グレンバスタチン、ベルバスタチン、ダルバスタチン、エプタスタチン、ジヒドロエプタスタチン、イタバスタチン、L−154819、アドビコール、L−654969、および高コレステロール血症のような障害を治療するのに用いる他のスタチン薬物を含めた、HMG−CoAレダクターゼの公知のインヒビターである。
これらの化合物の場合において、本発明は、MAPキナーゼ−関連疾患、例えば、炎症病、特に、p38α MAPキナーゼ活性の阻害が望まれ、および合成スタチンラクトンが用いられる疾患を治療するにおける、式Iの対応するラクトンの使用に関する。例えば、そのような化合物は、有効量のスタチンラクトンを被験体に投与することによって、炎症性疾患を治療するのに用途を見出し、ここに、該ラクトンはMAPキナーゼを阻害する。例えば、図6に示されたスタチンラクトンが、いくつかの実施形態において、MAPキナーゼ−関連疾患を治療するのに好ましい。より好ましいスタチンラクトンはアトルバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン、セリバスタチン、ピタバスタチンおよびグレンバスタチンに由来するものである。いくつかの好ましい実施形態において、MAPキナーゼ阻害はファルネシルピロフォスフェート、ゲラニルゲラニルピロフォスフェート、メバロネート、またはメバロネートのいずれかの下流産物の添加によって逆行されない。いくつかの好ましい実施形態において、該ラクトンは、酸を形成するために、加水分解されないか、あるいは実質的に加水分解されない。そのようないくつかの実施形態において、該ラクトンはHMG−CoAレダクターゼを阻害しないか、または実質的に阻害しない。これらの好ましい実施形態のいくつかにおいて、ラクトン形態は局所適用および/または直腸投与のために溶液、懸濁液、軟膏および/または坐薬に処方することができる。該処方は炎症の領域に適用して、例えば、後により詳細に記載するように、局所的効果を発揮することができる。好ましくは、そのような実施形態において、ほとんどまたは全く全身効果が観察されない。いくつかの実施形態において、そのような化合物の酸形態もまたMAPキナーゼ阻害活性を呈する。
表Iは、2つのクラスのスタチンの各々のラクトン誘導体によるp38α MAPキナーゼ活性のイン・ビトロ阻害を示す。
アトルバスタチンおよびフルバスタチンのδ−ラクトン形態は、ヒトp38α MAPキナーゼに対する阻害活性を示す。アトルバスタチンラクトンは約20μMのIC50を与え、他方、フルバスタチンラクトンはいくつかの実施形態において約45μMのIC50値を呈した。また、フルバスタチンの酸/塩形態(例えば、フルバスタチンナトリウム)はp38α MAPキナーゼを阻害し、いくつかの実施形態において、約34μMのIC50を示す。
さらに、前記した式IIIおよびIVの化合物を含めた、閉環構造または環状形態に好都合な構造を有する、ある種の親油性MAPキナーゼインヒビター並びに親油性部分およびそのアナログもまたMAPキナーゼ阻害活性を呈することができる。親油性MAPキナーゼインヒビターまたはその親油性部分、例えば、図4のMAPキナーゼインヒビター、ならびに図5のもののような親油性部分またはそのアナログを含む構造は、いくつかの実施形態において好ましい。
さらに、前記した式IIIおよびIVの化合物を含めた、閉環構造または環状形態に好都合なように修飾された構造を有する公知の親油HMG−CoAレダクターゼインヒビターのあるアナログもまたMAPキナーゼ阻害活性を呈することができる。そのような構造は、例えば、有効量の少なくとも1つのそのような化合物を被験体に投与することによって、MAPキナーゼ−関連疾患を治療するための方法において、本発明の実施で有用であり得る。いくつかの実施形態において、式IIIまたはIVの化合物は、HMG−CoAレダクターゼを阻害しないか、または実質的に阻害しない。スタチンまたはスタチンの親油性部分、例えば、図6のスタチン、ならびに図7および8のもののようなスタチンアナログの親油性部分を含む構造は、いくつかの実施形態において好ましい。より好ましい実施形態は、合成スタチンからのデス−オキソおよびδ−ラクタム誘導体、または前記したようなアトルバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン、セリバスタチン、ピタバスタチンおよびグレンバスタチンからのデス−オキソおよびδ−ラクタム誘導体を含む。
また、本発明は、MAPキナーゼ−関連疾患を治療するのに用いることができるキットも含む。これらのキットは、本明細書中に記載された化合物または化合物の組合せ、好ましくは、本明細書中に記載された種々の方法およびアプローチに従って当該キットを用いることを教示する指令書を含む。そのようなキットは、科学文献刊行物、パッケージインサート材料、臨床試験の結果および/またはこれらの要約等のような情報も含み、これは、化合物の活性および/または利点を示し、またはそれを確立する。そのような情報は、種々の研究、例えば、イン・ビボモデルを含む実験動物を用いる研究、およびヒト臨床試験に基づく研究の結果に基づくことができる。本明細書中に記載されたキットは、医師、看護師、薬剤師、処方薬局等を含めたヘルスプロバイダーに提供され、市販されおよび/または促進することができる。
(B.HMG−CoAレダクターゼ−関連疾患の治療)
本明細書中で用いる用語「HMG−CoAレダクターゼ−関連疾患」とは、HMG−CoAレダクターゼの活性を直接的にまたは間接的に低下させることが望ましい疾患、および/またはHMG−CoAレダクターゼの1以上の産物の産生および/または効果を直接的にまたは間接的に低下させることが望ましい疾患をいう。例えば、HMG−CoAレダクターゼ−関連疾患は、上昇したレベルのLDLコレステロールのような、上昇したレベルのコレステロール、特に、血漿中の非−HDLコレステロールを含むことができる。代表的には、患者は多数の基準に基づいて高いまたは上昇したコレステロールレベルを有すると考えられる。例えば、本明細書において参考として援用されるPearlman,Postgrad.Med.112(2):13−26(2002)参照。ガイドラインは、HDLレベルと比較したLDLのような血清脂質プロフィールを含む。
HMG−CoAレダクターゼ−関連疾患の例は高コレステロール血症、高脂血症のような脂質障害、およびアテローム性硬化症を含めたアテローム発生および心血管病のその続発症、他の血管炎症性疾患、心筋梗塞、虚血症発作、閉塞性発作、および末梢血管病、ならびにコレステロール生合成経路のコレステロールおよび/または他の産物の減少が利点を生じさせることができる他の疾患を含む。本発明の組成物、キット、および方法で治療できる他のHMG−CoAレダクターゼ−関連疾患はスタチンで現在治療されるものを含む。
HMG−CoAレダクターゼの活性の低下は、酵素を「阻害する」ともいう。用語「阻害する」および「阻害性」のようなその文法的語形変化は完全な阻害を必要とせずに、HMG−CoAレダクターゼ活性の低下をいう。そのような低下は、阻害効果の不存在下における、例えば、インヒビターの不存在下における、酵素の活性の好ましくは少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約95%である。逆に、語句「阻害しない」、およびその文法的語形変化は、化合物の存在下における酵素活性の約20%未満、約10%未満、好ましくは約5%未満の低下がある状況をいう。さらに、語句「実質的に阻害しない」およびその文法的語形変化は、化合物の存在下における酵素活性の約30%未満、約20%未満、好ましくは約10%未満の低下がある状況をいう。
酵素活性を低下させる能力は、酵素に向けての、またはそれに対する化合物または化合物の組合せの能力または活性の尺度である。能力は、好ましくは、IC50またはED50値に関して、無細胞、全細胞および/またはイン・ビボアッセイによって測定される。IC50値は、条件の与えられた組の下で、半分(50%)だけ酵素活性を阻害するのに必要な化合物の濃度を表す。Ki値は、酵素への阻害性化合物の結合についての平衡親和性定数を表す。ED50値は、生物学的アッセイにおける半−最大応答を行うのに必要な化合物の用量を表す。これらの尺度のさらなる詳細は当業者によって認識され、生化学、酵素学等についての標準的なテキストに見出すことができる。
いくつかの実施形態において、式I、II、III、およびIVによって表される1以上の形態の化合物はHMG−CoAレダクターゼを阻害する。多くの実施形態において、式IIの化合物はHMG−CoAレダクターゼを阻害する。そのような化合物は本発明の実施において、例えば、有効量のそのような化合物の少なくとも1つを被験体に投与することによって、HMG−CoAレダクターゼ−関連疾患を治療する方法において用途を見出す。これらの化合物はイン・ビトロおよびイン・ビボにおいてコレステロールレベルを降下させることができ、および/またはHDLを増加させることができ、それにより、ヒトおよび他の哺乳動物において、HMG−CoAレダクターゼ−関連疾患、例えば、高コレステロール血症およびアテローム性動脈硬化症の治療で有用な薬学的組成物についての基礎を形成する。
前記したように、式IおよびIIの化合物のサブセットは、MAPキナーゼの公知のインヒビターの新規なアナログであり、ここに、Xは親油性MAPキナーゼインヒビターまたは親油性部分またはそのアナログを含む。これらのアナログのいくつかは、例えば、酸形態(式II)において、HMG−CoAレダクターゼ阻害活性を呈し、本発明の実施において、例えば、有効量の少なくとも1つのそのような化合物を被験体に投与することによって、HMG−CoAレダクターゼ−関連疾患を治療する方法において有用である。例えば、図5に示されたあるラクトン誘導体の酸形態、特に、カルボキシレート形態は、HMG−CoAレダクターゼ−関連疾患の治療のために、いくつかの実施形態において好ましい。
また、前記したように、式IおよびIIの化合物のサブセットはHMG−CoAレダクターゼの公知のインヒビターの新規なアナログであり、ここに、XはHMG−CoAレダクターゼインヒビター、例えば、スタチン、またはそのアナログの親油性部分を含む。これらのアナログのいくつかはラクトンおよび/または酸形態、特に、酸カルボキシレート形態においてHMG−CoAレダクターゼ阻害活性を保持し、本発明の実施において、例えば、有効量のそのような化合物の少なくとも1つを被験体に投与することによって、HMG−CoAレダクターゼ−関連疾患を治療する方法で有用である。例えば、図7に示されたあるラクトン誘導体の酸カルボキシレート形態がいくつかの実施形態で好ましい。
また、前記したように、いくつかの実施形態において、本発明の化合物、または1以上のそのような化合物を含む組成物は、HDLレベルを増大させることによってHMG−CoAレダクターゼ−関連疾患を治療するのに用いることができる。より高いレベルのHDLは、例えば、アテローム性動脈硬化症に対して保護すると考えられ、他方、低いHDLは冠動脈病についての独立した危険性因子として認識される。例えば、約40mg/DL未満のHDLレベルが治療で必要と考えることができる。特定の理論および仮定に制限されることなく、本発明の化合物は、アテローム性動脈硬化症のようなHMG−CoAレダクターゼ関連疾患を治療するにおいて、HDLのアップレギュレーションを行うことができる。
HDLをアップレギュレートするとは、HDLまたはHDLレベルを「増加させる」ともいう。用語「増加させる」およびその文法的語形変化は、治療すべき被験体における、小さな、有意なおよび/または実質的な増加、好ましくは、HMG−CoAレダクターゼ−関連疾患の危険性を低下させるのに十分な増加をいうことができる。そのような増加は、好ましくは、治療の不存在下における少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも約50%のHDLレベルである。好ましい実施形態において、アトルバスタチンおよびアトルバスタチンのアナログを用いてHDLを増加させる。
本発明は、HMG−CoAレダクターゼ−関連疾患を治療するのに用いることができるキットも含む。これらのキットは本明細書中に記載された化合物または化合物の組合せおよび、好ましくは、本明細書中に記載された種々の方法およびアプローチに従う該キットの使用を教示する指令書を含む。そのようなキットは科学的文献刊行物、パッケージインサート材料、臨床試験の結果および/またはこれらのまとめ等のような情報も含み、これは、化合物の活性および/または利点を示し、または確立する。そのような情報は、種々の研究、例えば、イン・ビボモデルを含む実験動物を用いる研究、およびヒト臨床試験に基づく研究の結果に基づくことができる。本明細書中に記載されたキットは、医師、看護師、薬剤師、処方薬局等を含めたヘルスプロバイダーに提供し、市販し、および/または促進することができる。
(C.MAPキナーゼ−およびHMG−CoAレダクターゼ−関連疾患双方の治療)
本発明の目的の1つは、MAPキナーゼおよびHMG−CoAレダクターゼを共に阻害する化合物、または化合物の組合せを記載することにある。そのような化合物または組合せは、イン・ビトロおよび/またはイン・ビボにて同時抗−炎症およびコレステロール−降下効果を発揮することができる。ある実施形態において、例えば、これらの化合物または組合せはTNF−αおよびIL−1βの産生、およびそれに関連するシグナリング経路、ならびにコレステロールおよび/またはメバロネートピロホスフェート、イソペンチルピロホスフェート、ゲラニルピロホスフェート、ファルネシルピロホスフェート、ドシコール、ファルネシル化タンパク質、トランス−トランスゲラニルゲラニルピロホスフェート、ユビキノン、ゲラニル−ゲラニル化タンパク質、スクワラン等を含めたメバロネートの他の下流産物の産生の阻害を低下させる。さらに、いくつかの実施形態において、これらの化合物または組合せは、イン・ビボにて、優れた抗−アテローム発生および/または抗炎症性の効果を発揮することができる。
そのような化合物または組合せは、ヒトおよび他の哺乳動物において、MAPキナーゼ−関連疾患およびHMG−CoAレダクターゼ−関連疾患双方を治療するための薬学的組成物、キット、および方法についての基礎を形成することができる。さらに、そのような化合物は、HMG−CoAレダクターゼを阻害するが、MAPキナーゼを阻害しないか、または実質的に阻害しない治療と比較して、心血管病のようなHMG−CoAレダクターゼ−関連疾患を治療するにおいて優れた利点を提供することができる。また、本発明の組成物は、MAPキナーゼを阻害するが、HMG−CoAレダクターゼを阻害しないか、または実質的に阻害しない治療と比較して、炎症性疾患のようなMAPキナーゼ−関連疾患を治療するにおいて優れた利点を提供することができる。
図10は、例えば、本発明の組成物がMAPキナーゼ−およびHMG−CoAレダクターゼ−関連疾患双方において利点を生じる治療アプローチを示す。この図面は例としてのみ働き、断じて、本発明に関連する限定であることは意図されない。例えば、当業者であれば、示したスキームの適当な変形および修飾を容易に認識するであろうし、そのような変形および修飾もまた本発明の範囲内に含まれると考えられる。
図10が示すように、本発明の化合物のδ−ラクトン形態(式I)はMAPキナーゼを阻害することができ、酸形態(式II)、特に、脱プロトン化カルボキシレート形態(式IIb)はHMG−CoAレダクターゼを阻害することができる。したがって、この治療アプローチは、例えば、有効量の少なくとも1つのそのような化合物を被験体に投与し、例えば、アレルギー性、炎症性および/または自己免疫疾患のようなMAPキナーゼ−関連疾患の治療においてプロ−炎症性サイトカイン産生を低下させる、および心血管病のようなHMG−CoAレダクターゼ−関連疾患の治療においてコレステロール産生を低下させることを含む方法において、HMG−CoAレダクターゼ−関連疾患およびMAPキナーゼ−関連疾患双方において利点を提供することができる。MAPキナーゼ、例えば、p38α MAPキナーゼの阻害によるプロ−炎症性サイトカイン産生におけるこの低下が、例えば、ファルネシルピロホスフェートおよび/またはゲラニルゲラニルピロホスフェートのような代謝産物の作用を介して免疫変調応答を生じさせ得るいくつかのHMG−CoAレダクターゼインヒビターの他の免疫変調効果に加えて存在し得る。さらに、いくつかの実施形態において、MAPキナーゼ−関連経路における本発明の化合物の役割は、ゲラニルゲラニルピロホスフェートおよび/またはファルネシルピロホスフェートのような代謝産物を介するいくつかのスタチンの抗−炎症効果とは区別される。例えば、MAPキナーゼに対する、およびMAPキナーゼ−キナーゼ関連疾患に対する本発明のいくつかの化合物の阻害活性は、メバロネート(例えば、ナトリウムメバロネート)、ゲラニルゲラニルピロホスフェート、ファルネシルピロホスフェート、および/またはメバロネートの他の下流産物の外因性添加によって逆行させる必要はない。
さらに、炎症とHMG−CoAレダクターゼ−関連障害との間の相互作用は、MAPキナーゼおよびHMG−CoAレダクターゼ経路双方を調節する組成物が特に有益であり得ることを意味する。HMG−CoAレダクターゼの阻害は、減少したLDLおよび増加したHDLレベルのような改良された血清脂質プロフィールを導くことができ、今度は、アテローム発生の率の低下を導くことができる。他方、(例えば、泡沫細胞を介する)アテローム形成性プラーク沈積の開始は、MAPキナーゼの阻害から由来するものを含めた、抗−炎症効果によって低下される。MAPキナーゼの阻害は、炎症プロセスに拮抗することもでき、これは、アテローム形成性プラークの破壊に寄与し、今度は、動脈血栓症、遮断等に導くことができる。その結果、式I/IIの化合物を含み、MAPキナーゼおよびHMG−CoAレダクターゼ双方に対する阻害活性を有する薬学的組成物は、HMG−CoAレダクターゼのみを標的化する薬剤よりも優れ得、好ましくは区別的に優れ得る。いくつかの好ましい実施形態において、そのような組成物は、アテローム性動脈硬化症のプラークの形成および破壊を含めた、アテローム発生に関連する心血管病を治療するのに区別的に優れた利点を提供することができる。さらに、MAPキナーゼおよびHMG−CoAレダクターゼ双方に対する阻害活性を有する式Iおよび/または式IIの化合物または化合物の組合せを含む薬学的組成物は、再度、炎症性疾患と心血管疾患との間の相互作用のため、炎症のようなMAPキナーゼ関連疾患を治療する点において、MAPキナーゼのみを標的化する薬物よりも優れ、好ましくは区別的に優れ得る。
いくつかの実施形態において、式Iの化合物はMAPキナーゼを阻害するか、またはそれに対してより優れており、他方、同等なX、Y、Z、Aおよび立体化学を持つ式IIの対応する化合物はHMG−CoAレダクターゼを阻害するか、またはそれに対してより優れている。いくつかの好ましい実施形態において、式Iの化合物および式IIの対応する化合物の活性または能力は、MAPキナーゼおよびHMG−CoAレダクターゼに対して同様である。好ましい実施形態において、それらの各標的に対するこれらの形態の能力は、約1000、より好ましくは約100、最も好ましくは約10のファクター以下だけ異なる。好ましい実施形態において、式IおよびIIの化合物は図3bに示された絶対立体配置を有し、前記定義のように、(T,T)絶対立体配置と表示される。
他の好ましい実施形態において、MAPキナーゼに対する式Iおよび/またはIIの化合物の能力は、HMG−CoAレダクターゼに対するその能力よりも大きい。そのような実施形態において、MAPキナーゼおよびHMG−CoAレダクターゼに関する能力は、少なくとも約10のファクターだけ異なる。より好ましくは、能力は約100のファクターを超えて異なり得る。最も好ましくは、能力は約1000のファクターを超えて異なり得る。なお他の好ましい実施形態において、HMG−CoAレダクターゼに対する式Iおよび/またはIIの化合物の能力はMAPキナーゼに対するその能力よりも大きい。そのような実施形態において、HMG−CoAレダクターゼおよびMAPキナーゼに関する能力は少なくとも約10のファクターだけ異なる。より好ましくは、能力は約100のファクターを超えて異なり得る。最も好ましくは、能力は約1000のファクターを超えて異なり得る。
いくつかの実施形態において、式Iの化合物はMAPキナーゼおよびHMG−CoAレダクターゼを共に阻害する。いくつかの実施形態において、式IIの化合物はMAPキナーゼおよびHMG−CoAレダクターゼを共に阻害する。他の実施形態において、式IIIの化合物はMAPキナーゼおよびHMG−CoAレダクターゼを共に阻害し;なお他の実施形態において、式IVの化合物はMAPキナーゼおよびHMG−CoAレダクターゼを共に阻害する。ほとんど全ての好ましい実施形態において、式IIの化合物はHMG−CoAレダクターゼを阻害する。
前記したように、式IおよびIIの化合物のサブセットはMAPキナーゼの公知のインヒビターの新規なアナログであり、ここに、Xは親油性MAPキナーゼインヒビターまたは親油性部分またはそのアナログを含む。これらのアナログのいくつかは、ラクトンおよび/または酸形態にてMAPキナーゼ阻害活性を保有し、他方、酸および/またはラクトン形態においてHMG−CoAレダクターゼ阻害活性も呈する。いくつかの好ましい実施形態において、本発明のMAPキナーゼアナログは式Iのラクトン形態におけるMAPキナーゼを阻害し、式IIの対応する酸形態、特に、式IIbのカルボキシレート形態においてHMG−CoAレダクターゼを阻害する。好ましい実施形態において、そのような化合物は本発明において、例えば、有効量の少なくとも1つのそのような化合物を被験体に投与して、MAPキナーゼ−関連疾患を治療し、加えて、HMG−CoAレダクターゼ−関連疾患を治療することを含む方法で有用である。図5に示されたMAPキナーゼアナログは、そのような好ましい実施形態の例を提供し得る。他の実施形態において、ラクトン形態はMAPキナーゼおよびHMG−CoAレダクターゼを共に阻害し;なお他の実施形態において、酸形態はMAPキナーゼおよびHMG−CoAレダクターゼを共に阻害する。
また、前記したように、式IおよびIIの化合物のサブセットはHMG−CoAレダクターゼの公知のインヒビターの新規なアナログであり、ここに、XはHMG−CoAレダクターゼインヒビター、例えば、スタチン、合成スタチン、またはそのアナログの親油性部分を含む。これらのアナログのいくつかは酸および/またはラクトン形態にてHMG−CoAレダクターゼ阻害活性を保有し、他方、また、ラクトンおよび/または酸形態にてMAPキナーゼ阻害活性を呈する。いくつかの好ましい実施形態において、本発明のスタチンアナログは式IIの酸形態にて(特に、式IIbのカルボキシレート形態にて)HMG−CoAレダクターゼを阻害し、式Iの対応するラクトン形態にて、MAPキナーゼを阻害する。好ましい実施形態において、そのような化合物は、本発明の実施において、例えば、有効量の少なくとも1つのそのような化合物を被験体に投与してMAPキナーゼ−関連疾患を治療し、加えて、HMG−CoAレダクターゼ−関連疾患を治療することを含む方法において用途を見出す。図7に示したスタチンアナログはそのような好ましい実施形態の例を提供することができ、図8に示した特別な例はなおより好ましい実施形態を提供することができる。他の実施形態において、ラクトン形態はMAPキナーゼおよびHMG−CoAレダクターゼを共に阻害し;なお他の実施形態において、酸形態はMAPキナーゼおよびHMG−CoAレダクターゼを共に阻害する。
本発明は、MAPキナーゼ−およびHMG−CoAレダクターゼ−関連疾患、特に、アテローム発生に関連する心血管病を治療するのに用いることができるキットも含む。これらのキットはMAPキナーゼおよびHMG−CoAレダクターゼ双方に対して阻害活性を有する式Iおよび/またはIIの化合物を含めた、本明細書中に記載された化合物または化合物の組合せおよび、好ましくは、本明細書中に記載された種々の方法およびアプローチに従うキットの使用を教示する指令書を含むことができる。
そのようなキットはまた、科学的文献刊行物、パッケージインサート材料、臨床試験結果、および/またはこれらの要約等のような情報を含み、これは、化合物または組合せの多重活性を示すか、またはそれを確立し、そしてHMG−CoAレダクターゼおよび/またはMAPキナーゼ−関連疾患を治療するにおいて、好ましくは、心血管病を治療するにおいて、どのようにしてその使用が利点および/または種々の優秀性を提供するかを示し、そして/またはそれを確立する。そのような情報は種々の研究、例えば、イン・ビボモデルを含む実験動物を用いる研究、およびヒト臨床試験に基づく研究の結果に基づくことができる。本発明のキットは、MAPキナーゼ+HMG−CoAレダクターゼ阻害活性の組合せを呈しない他の療法と本発明のアプローチを比較する材料も含むことができる。本明細書中に記載されたキットは、医師、看護師、薬剤師、処方薬局等を含めた健康プロバイダーに提供し、市販し、そして/または促進することができる。
(D.炎症疾患の治療)
本発明のもう1つの態様は、炎症疾患であるMAPキナーゼ−関連および/またはHMG−CoAレダクターゼ−関連疾患を治療するための、本明細書中に記載された薬学的組成物、ならびに化合物、形態および/または剤の組合せを含むキットを使用する方法に関する。本明細書中で用いる炎症疾患とは、MAPキナーゼ−、HMG−CoAレダクターゼ−および/または他の経路に対する関連性に起因して炎症に関連する炎症性疾患または障害をいうことができる。本発明のいくつかの実施形態を用いて治療可能な炎症疾患は、異なる器官系を含むことができ、些細〜致死性の重症度は変化し得る。
例えば、限定されるものではないが、アトピー性皮膚炎、加齢関連効果、アクネ、湿疹、乾癬および皮膚癌を含めた、皮膚の炎症疾患は本発明のいくつかの実施形態で治療することができる。例えば、萎縮性アクネ、臭素アクネまたは塩化アクネ(chlorine acne)、通常のアクネ(尋常性アクネ)、集簇性アクネ、接触アクネ、接触感染性アクネ、化粧品アクネ(acne cosmetica)、嚢腫性アクネ、洗浄剤アクネ(acne detergicans)、流行性アクネ(epidemic acne)、夏季アクネ(acne estivalis)、引掻きアクネ、前頭部アクネ、劇症アクネ、ハロゲンアクネ、硬結性アクネ(acne indurata)、幼児アクネ、ヨードアクネ、アクネケロイド、機械的アクネ(acne mechanica)、粟粒性壊疽性アクネ、新生児アクネ、丘疹性アクネ(acne papulosa)、ピッカーアクネ(picker’s acne)、ポマードアクネ(pommade acne)、月経前アクネ、膿胞性アクネ、しゅさ性アクネ、壊血病アクネ(acne scorbutica)、丘疹性壊疽性結核疹、熱帯アクネ、蕁麻疹様アクネ、痘瘡状アクネ、毒物性アクネ(acne venenata)等を含めた種々のタイプのアクネを、本発明のいくつかの実施形態を用いて治療することができる。
例えば、一般には幼児および若い成人で見られる湿疹の最も普通の形態であるアトピー性皮膚炎のような湿疹性皮膚炎を含めた種々のタイプの湿疹を本発明のいくつかの実施形態において治療することができる。湿疹は、恐らくは、赤色皮膚パッチ、面皰、痂皮(crust)、疥癬(scab)、および水放出を伴う、急性または慢性であり得る皮膚の赤色の痒い非−接触感染性炎症として存在し得る。
例えば、老化に帰すことができる皮膚−関連炎症病を含めた種々の老化の効果は本発明のいくつかの実施形態において治療することができる。そのような効果は皺および細い線の形成、皮膚および皮下組織のゆるみ、皮膚の弾性の喪失、皮膚の調子およびテキスチャーの低下および/または黄化を含むことができる。弾性の喪失は表皮の萎縮に起因し得、小規模で始まり、結局は、真皮中の細胞の数を減少させる。毛細血管は挫傷に対してより感受性となり得、コラーゲン代謝は遅くなり得、そして/または(他の細胞および基質の認識において役割を有すると考えられる)細胞表面分子グリコサミノグリカンの濃度は減少し得る。老化と共に、皮膚は拡大した線維芽細胞と慢性の炎症を呈し得る。日光暴露で炎症を起こした老化の効果、例えば、色素沈着マーク、毛細管拡張症、弾力線維症、および/または他の皮膚光−損傷、ならびに良性、プレ悪性および/または悪性新生物(例えば、長い日光暴露によって引き起こされる)はいくつかの実施形態で治療することもできる。老化それ自体は、例えば、炎症疾患として考えることができる。例えば、というのは、炎症応答に準備する能力は減少し、負傷に対する治癒時間は年齢と共に増加するからである。
本発明のいくつかの実施形態において治療することができる皮膚の炎症疾患は、皮膚癌、および例えば限定されるものではないが、基底細胞癌腫、扁平上皮癌(ボーエン病)、(光線性角化症または脂漏性角化症のような)角化症、および/または(魚鱗癬および角皮症のような)角化の障害を含めた他の過剰増殖性皮膚障害を含む。
限定されるものではないが、アレルギー性鼻炎、慢性閉塞性肺病、成人呼吸窮迫症候群、喘息等を含めた、呼吸器系の炎症疾患は、本発明のいくつかの実施形態において治療することができる。アレルギー性喘息は、気道の炎症によって特徴付けられる肺のアトピー性の慢性病を含むことができる。アレルギー性鼻炎または枯草熱は、例えば、アレルゲンに応答しての、季節性、または季節に無関係に続く鼻の炎症によって特徴付けられる粘膜を冒す疾患を含むことができる。本発明のいくつかの実施形態を用いて治療することができる他の粘膜炎症疾患は、葉状魚鱗癬、アクネ、酒さ等を含むことができる。
限定されるものではないが、膣炎および間質性膀胱炎、および尿生殖器上皮および/または膀胱の炎症によって特徴付けられる他の疾患を含めた、尿生殖器管の炎症性疾患は本発明のいくつかの実施形態によって治療することができる。間質性膀胱炎は、機能不全膀胱グリコサミノグリカン保護層および/または増大した数の活性化された膀胱肥満細胞に関連する他の疾患を含むことができる。
限定されるものではないが、腹腔病、例えば、腹腔スプルー、(潰瘍性結腸炎およびクローン病を含めた)炎症性腸疾患、腸感染、腸炎、胃炎等を含めた、胃腸管の炎症性疾患は本発明のいくつかの実施形態において治療することができる。
限定されるものではないが、炎症性筋肉疼痛、関節炎、慢性関節リウマチ、乾癬性関節炎、変形性関節炎、骨粗鬆症等を含めた、筋肉骨格系の炎症性疾患は本発明のいくつかの実施形態において治療することができる。骨粗鬆症は、減少した骨質量、残りの骨の増大した脆弱性、および/または骨折の増大した発生率によって特徴付けられる疾患を含むことができる。
限定されるものではないが、高コレステロール血症、高脂血症、アテローム発生、およびアテローム性動脈硬化症の関連の心臓血管の危険性、血栓症、心筋梗塞、虚血性脳卒中、虚血性−再灌流障害、末梢血管病、例えば、末梢閉塞性病等を含めた、血管系の炎症性疾患は、本発明のいくつかの実施形態において治療することができる。全身循環の炎症性疾患は、内毒素血症、エリテマトーデス、敗血症、トキシックショック症候群および移植片拒絶も含むことができ、いくつかの実施形態においてやはり治療することができる。
限定されるものではないが、アルツハイマー病のような、神経原性炎症および神経変性病等を含めた中枢神経系の炎症性疾患は本発明のいくつかの実施形態において治療することができる。
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載された化合物、形態および/または剤の組合せを含む組成物は自己免疫疾患での治療を提供する。本明細書中に記載された自己免疫疾患は、器官または組織−特異的自己免疫疾患ならびに全身を冒すものを含むことができる。本発明のいくつかの実施形態において治療することができる器官または組織−特異的自己免疫疾患は、例えば、I型真性糖尿病、多発性硬化症、原発性胆汁性肝硬変、橋本甲状線炎、悪性貧血、クローン病、アジソン病、重症筋無力症、慢性関節リウマチ、ブドウ膜炎、乾癬、ギアン−バレー症候群、グレーヴズ病等を含む。いくつかの実施形態において治療することができる全身自己免疫疾患は、例えば、全身性エリテマトーデス、エルマトミオシティス(ermatomyositis)等を含む。
前記したように、いくつかの実施形態において、スタチンラクトンおよび1以上のさらなる活性剤を含む組合せは、本明細書中で提供される炎症性疾患の1以上を治療するにおいて用いることができる。好ましい組合せは、冒された系に依存し得る。例えば、スタチンラクトンおよびヒドロキシ酸スタチンの塩形態を含む組合せは、血管系および中枢神経系の炎症性疾患、特に、アルツハイマー病、ならびに皮膚の炎症性疾患、特に、湿疹、乾癬、アクネ、および老化の効果の治療で好ましい。また、前記したように、好ましい組合せは、約90:10〜約10:90のモル比でのアトルバスタチンまたはピタバスタチンいずれかの塩とアトルバスタチンラクトンを含む。他の実施形態において、スタチンラクトンおよび非−スタチン抗−炎症剤を含む組合せが好ましく、例えば、ここに、アトルバスタチンラクトンおよび非−ステロイド抗−炎症薬物を含む組合せは約90:10〜約10:90のモル比で用いられる。
本発明の目的の1つは、炎症性疾患、例えば、本明細書中で提供された1以上の炎症性疾患を治療するにおいて相乗効果を生じ得る化合物の組合せを教示することである。例えば、いくつかの好ましい実施形態において、スタチンラクトンおよびもう1つの活性剤の組合せは、前記にて詳細に記載したように、炎症性疾患を治療するにおいて相乗効果を提供する。炎症を治療するにおいて相乗阻害性効果を提供する組合せのさらなる詳細は、後の実施例8に提供される。
(III.処方、投与の経路、および有効な用量)
本発明のなおもう1つの態様は、本発明の化合物または化合物の組合せを含む薬学的組成物のための、処方、投与経路および有効な用量に関する。そのような薬学的組成物を用いて、前記にて詳細に記載したように、炎症性、MAPキナーゼ−関連、および/またはHMG−CoAレダクターゼ−関連疾患を治療することができる。
式I/IIの化合物はラクトンまたは酸形態いずれかにて提供され得、そして/または投与後にイン・ビボにて相互変換させることができる。すなわち、δ−ラクトンまたはヒドロキシカルボン酸形態、またはその薬学的に受容可能な塩、エステルまたはアミドいずれかを、本発明で用いる処方を開発するのに用いることができる。さらに、いくつかの実施形態において、化合物は、1以上の他の化合物との、または1以上の他の形態との組み合わせで用いることができる。例えば、処方は、ラクトンおよび酸形態の相対的能力、および意図される適応症に依存して、特定の割合のラクトンおよび酸形態双方を含むことができる。例えば、ラクトン形態がMAPキナーゼを阻害し、酸(カルボキシレート)形態がHMG−CoAレダクターゼを阻害し、ここに、能力が同様である、MAPキナーゼ−およびHMG−CoAレダクターゼ−関連疾患双方を治療するための組成物において、酸形態に対するラクトンの約1:1の比率を用いることができる。2つの形態は、同一投与単位において、例えば、1つのクリーム、坐薬、錠剤、カプセル、または飲料に溶解させるべき粉末のパケットにおいて、一緒に処方することができ;あるいは各形態は別々の単位、例えば、2つのクリーム、2つの坐薬、2つの錠剤、2つのカプセル、錠剤および該錠剤を溶解させるための液体、粉末のパケットおよび該粉末を溶解させるための液体などにて処方することができる。
同様に、式IIIおよびIVの化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩、そのエステル、またはアミドは、単独で、一緒に、あるいは前記した、式IおよびIIの対応する化合物または他の化合物と組み合わせて用いることができる。例えば、式IVの化合物(閉じたδ−ラクタム環)は、式IIの化合物(開いた酸形態)と共に投与され得、ここに、該化合物類は同等のX、Y、Z、Aおよび立体化学を有する。そのような投与はMAPキナーゼ−およびHMG−CoAレダクターゼ−関連疾患を共に治療するのに有用であり得、例えば、ここに、該ラクタム形態はMAPキナーゼを阻害し、該酸(カルボキシレート)形態はHMG−CoAレダクターゼを阻害する。該2つの形態は一緒に、同一の投与単位において、例えば、1つのクリーム、坐薬、錠剤、カプセル、または飲料に溶解させるべき粉末のパケットにおいて処方することができるか;あるいは各形態は別々の単位にて、例えば、2つのクリーム、坐薬、錠剤、2つのカプセル、錠剤および該錠剤を溶解させるための液体、粉末のパケット、および該粉末を溶解させるための液体などにて処方することができる。
用語「薬学的に受容可能な塩」は、本発明で用いる化合物の生物学的有効性および特異性を保持し、かつ生物学的に望ましくないものではないか、またはそうでなくて望ましくないものではない塩を意味する。例えば、薬学的に受容可能な塩は、MAPキナーゼおよび/またはHMG−CoAレダクターゼを阻害するにおいて、例えば、炎症性、MAPキナーゼ−関連および/またはHMG−CoAレダクターゼ−関連疾患を治療するにおいて本発明の化合物の有益な効果に干渉しない。
代表的な塩は、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムのイオン等のような無機イオンのものである。そのような塩は塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酢酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、マンデル酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸またはマレイン酸のような無機酸または有機酸との塩を含む。加えて、化合物がカルボキシ基または他の酸性基を含有する場合、それは無機塩基または有機塩基との薬学的に受容可能な付加塩に変換することができる。適当な塩基の例は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシル−アミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等を含む。
薬学的に受容可能なエステルまたはアミドとは、本発明で用いる化合物の生物学的有効性および特性を保持し、かつ生物学的に望ましくないものではないか、またはそうでなくて望ましくないものではないものをいう。例えば、該エステルまたはアミドは、MAPキナーゼおよび/またはHMG−CoAレダクターゼを阻害するにおいて、例えば、炎症性、MAPキナーゼ−関連および/またはHMG−CoAレダクターゼ−関連疾患を治療するにおいて本発明の化合物の有益な効果に干渉しない。代表的なエステルは、エチル、メチル、イソブチル、エチレングリコール等を含む。代表的なアミドは、置換されていないアミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド等を含む。
いくつかの実施形態において、化合物は、例えば、前記したように、1以上の他の化合物、形態、および/または剤と組み合わせて投与することができる。スタチンラクトンと1以上の他の活性剤との組合せを含む薬学的組成物は、あるモル比を含むように処方することができる。例えば、他の活性剤に対するスタチンラクトンの約99:1〜約1:99のモル比率を用いることができる。好ましくは、スタチンラクトン:他の活性剤のモル比の範囲は、約80:20〜約20:80;約75:25〜約25:75、約70:30〜約30:70、約66:33〜約33:66、約60:40〜約40:60;約50:50;および約90:10〜約10:90から選択される。より好ましくは、スタチンラクトン:他の活性剤のモル比率は、約1:9、最も好ましくは約1:1である。2つの化合物、形態および/または剤は、一緒に、同一の投与単位において、例えば、1つのクリーム、坐薬、錠剤、カプセル、または飲料に溶解させるべき粉末のパケットにて処方することができるか;あるいは各化合物、形態、および/または剤は別々の単位にて、例えば、2つのクリーム、坐薬、錠剤、2つのカプセル、錠剤および該錠剤を溶解させるための液体、粉末のパケットおよび該粉末を溶解させるための液体等にて処方することができる。
もし必要であれば、または望ましければ、上記化合物および/または化合物の組合せはさらに他の剤と共に投与することができる。本発明の化合物および/または化合物の組合せと共に投与することができる剤の選択は、少なくとも部分的には、治療すべき疾患に依存し得る。本発明の処方における特定の用途の剤は、例えば、キナーゼ−関連および/またはHMG−CoAレダクターゼ−関連疾患に対する治療効果を有するいずれかの剤を含み、例えば、炎症性疾患を治療するのに用いる薬物を含む。例えば、アクネに対する治療において、本発明の処方は、加えて、角質溶解剤、例えば、レチノイド、特にレチノイン酸;ペルオキシド、特に過酸化ベンゾイルのような抗−炎症剤;および抗脂漏剤のような1以上の慣用的なアクネ治療剤を含有することができる。骨粗鬆症のための治療において、もう1つの例として、処方は、加えて、ビタミンDおよび/またはカルシウムのような1以上のサプリメント、および/または、例えば、骨再吸収をブロックする1以上のビホスホネート医薬を含有することができる。
なお他の実施形態において、本明細書中に記載された化合物および/または化合物の組合せは共処方することができ、そして/またはアテローム性動脈硬化症およびその続発症の予防および/または治療で有用な剤と共投与することができる。これらの剤は、限定されるものではないが、例えば、コレステロールエステルトランスフェラーゼタンパク質(CETP)のインヒビター(例えば、JTT−705、トルセトラピブ);ステロールアシル−CoA−アシルトランスフェラーゼ(ACAT)のインヒビター(例えば、パクチミブ、SMP−797、K−604);ミクロソームトリグリセリドトランスフェラーゼタンパク質(MTTP)のインヒビター(例えば、イムプリチピド、JTT−130);ペルキシソーム増殖剤活性化受容体(PPAR)のモジュレーター(例えば、ビニフィブレート、ゲムフィブロジル、クリノフィフィブレート、ロニフィブレート、フェノフィブレート、ベザフィブレート、LY−929、GW−516、GW−590735、NS−220、LY−674、DRF−10945、SB−641597、AVE−8134、AVE−0847、シグリタゾン、ピオグリタゾン、ダルグリタゾン、ロシグリタゾン、イサグリタゾン、レグリタザール、ファルグリタザール、テサグリタザール、バラグリタゾン、ラガグリタザール、リボグリタゾン、イミグリタザール、エダグリタゾン、オキセグリタザール、ムラグリタザール);コレステロール吸収のインヒビター(例えば、エゼチミブ、コレセベラム塩酸塩、コレスチラミン、コレスチミド、コレスチポル塩酸塩、BTG−511);ビタミン(例えば、ナイアシン);血小板凝集のインヒビター(例えば、アスピリン、クロピドグレル、D−003);回腸胆汁酸輸送体(IBAT)のインヒビター(例えば、S−8921、BARI−1741);リポタンパク質−関連ホスホリパーゼA2(Lp−PLA2)のインヒビター(例えば、SB−480848、SB−659032、SB−677116);スクワランシンターゼ(例えば、TAK−475)のインヒビター;ケモカインCCR2受容体のアンタゴニスト(例えば、INCB−3284、C−8834、C−1602)を含む。
化合物(またはその薬学的に受容可能な塩、エステルまたはアミド)はそれ自体で、あるいは活性化合物が1以上の薬学的に受容可能なキャリアとの混合物(admixtureまたはmixture)中に存在する、薬学的組成物の形態で投与することができる。本明細書中で用いられる薬学的組成物は、被験体への投与のために調製されたいずれかの組成物であり得る。本発明に従って用いられる薬学的組成物は、例えば、投与することができる製剤への活性化合物の加工を容易にする賦形剤、希釈剤、および/または補助剤を含む1以上の生理学的に受容可能なキャリアを用いて慣用的に処方することができる。適当な処方は、少なくとも一部分は、選択された投与経路に依存することができる。本発明で有用な化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、エステル、またはアミドは、経口、頬側、局所、直腸、経皮、経粘膜、皮下、静脈内、および筋肉内適用、ならびに吸入を含めた、多数の投与の経路または様式を用いて患者に送達することができる。
経口投与では、該化合物は、活性化合物と当該分野で良く知られた薬学的に受容可能なキャリアと組み合わされることによって容易に処方されることができる。そのようなキャリアは、本発明の化合物が、治療すべき患者によって経口摂取されるように、咀嚼錠剤を含めた錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル、ロゼンジ、ハードキャンディー、液体、ゲル、シロップ、スラリー、粉末、懸濁液、エリキシル剤、ウエハー等として処方されるのを可能にする。そのような処方は、固体希釈剤または充填剤、滅菌水性媒体および種々の非−毒性有機溶媒を含めた薬学的に受容可能なキャリアを含むことができる。一般に、本発明の化合物は、投与の所望の単位を提供するのに十分な量にて、経口投与形態の合計組成物の重量で表して約0.5%、約5%、約10%、約20%、または約30%〜約50%、約60%、約70%、約80%または約90%の範囲の濃度レベルで含まれる。
経口用途のための水性懸濁液は、懸濁剤(例えば、メチルセルロース)、湿潤剤(例えば、レシチン、リソレシチンおよび/または長鎖脂肪アルコール)、ならびに着色剤、保存剤、フレーバー剤等のような、薬学的に受容可能な賦形剤と共に本発明の化合物を含有することができる。
いくつかの実施形態において、油または非水性溶媒は、例えば、大きな親油性部分の存在のため、化合物を溶液とするのに必要であり得る。あるいは、エマルジョン、懸濁液、または他の製剤、例えば、リポソーム製剤を用いることができる。リポソーム製剤に関しては、疾患の治療用のリポソームを調製するための任意の公知の方法を用いることができる。例えば、本明細書において参考として援用される、Banghamら,J.Mol.Biol.23:238−252(1965)およびSzokaら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 75:4194−4198(1978)参照。リガンドをリポソームに結合させて、これらの組成物を特定の作用部位に向けることができる。本発明の化合物は、食品、例えば、クリームチーズ、バター、サラダドレッシング、またはアイスクリームに配合して、可溶化、投与、および/またはある患者集団におけるコンプライアンスを容易とすることもできる。
経口使用用の医薬製剤は、固体賦形剤として得ることができ、所望により得られた混合物を粉砕し、所望であれば適当な補助剤を加えた後に顆粒の混合物を処理して、錠剤または糖衣錠コアを得ることができる。適当な賦形剤は、特に、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを含めた糖のような充填剤;フレーバーエレメント、例えば、トウモロコシ澱粉、小麦澱粉、米澱粉、ジャガイモ澱粉、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)のようなセルロース調製物である。所望であれば、架橋したポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸、またはアルギン酸ナトリウムのようなその塩のような崩壊剤を加えることができる。化合物は徐放製剤として処方することもできる。
糖衣錠コアには適当なコーティングを設けることができる。この目的では、濃縮された糖溶液を用いることができ、これは、所望により、アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポリゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および適当な有機溶媒または溶媒混合物を含有することができる。染料または色素を、同定のために、あるいは活性化合物の異なる組合せを特徴付けるために、錠剤または糖衣錠コーティングに加えることができる。
経口的に用いることができる医薬製剤は、ゼラチンで作製されたプッシュ−フィットカプセル(push−fit capsule)、ならびにゼラチンで作製された柔軟なシールされたカプセル、およびグリセロールまたはソルビトールのような可塑剤を含む。プッシュ−フィットカプセルは、ラクトースのような充填剤、澱粉のようなバインダー、および/またはタルクまたはステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤および、所望により、安定化剤と混合した有効成分を含有することができる。ソフトカプセルにおいては、活性化合物は脂肪油、流動パラフィン、または流動ポリエチレングリコールのような適当な液体に溶解または懸濁させることができる。加えて、安定化剤を加えることができる。経口投与用の全ての処方は、投与に適した用量とすべきである。
いくつかの好ましい実施形態において、経口処方を用いて、中枢神経系のアルツハイマーおよび/または他の炎症疾患を治療する。いくつかの好ましい実施形態において、経口処方を用いて、関節炎、慢性関節リウマチおよび/または筋肉骨格系の他の炎症疾患を治療する。前記で詳細に記載したように、そのような実施形態における好ましい組成物は、スタチンラクトンおよび非−スタチン抗−炎症剤を含むものである。
いくつかの好ましい実施形態において、経口処方を用いて、血管系の炎症疾患、特に、高コレステロール血漿、高脂血症、アテローム性動脈硬化症、末梢閉塞性疾患、心筋梗塞、および脳卒中を治療する。そのような実施形態における好ましい組成物は、スタチンラクトンおよびヒドロキシ酸スタチンの塩形態を含むものである。より好ましいのは、アトルバスタチンまたはピタバスタチンいずれかの塩とアトルバスタチンラクトンの組合せであり、なおより好ましくは、約90:10〜約10:90のモル範囲である。経口処方のためのそのような好ましい実施形態のさらなる詳細は、前記にて概説したように、実施例4に提供される。具体的には、実施例4bは、1:1の比率にて、アトルバスタチンラクトンおよびアトルバスタチンカルシウムを含む被覆された錠剤処方を記載する。実施例4cは、1:1の比率にて、アトルバスタチンラクトンおよびピタバスタチンカルシウムを含む腸溶−被覆顆粒の被覆された錠剤処方を記載する。
注射では、本発明の化合物は水性溶液にて、好ましくはハンクス溶液、リンゲル溶液、または生理食塩緩衝液のような生理学的に適合する緩衝液にて処方することができる。そのような組成物は1以上の賦形剤、例えば、保存剤、可溶化剤、充填剤、滑沢剤、安定化剤、アルブミン等も含むことができる。処方の方法は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,最新版,Mack Publishing Co.,Easton P.に開示されているように当該分野で知られている。
既に記載した処方に加え、化合物はデポ製剤として処方することもできる。そのような長期作用処方は、移植または経皮送達(例えば、皮下または筋肉内)、筋肉内注射または経皮パッチの使用によって投与することができる。かくして、例えば、化合物は(例えば、受容可能な油中のエマルジョンとして)適当なポリマーまたは疎水性物質、あるいはイオン交換樹脂で、あるいは難溶性誘導体として、例えば、難溶性塩として処方することができる。
いくつかの実施形態において、本発明の1以上の化合物を含む薬学的組成物は、炎症の特定の部位もしくはその近くに局所投与されるか、または注射される場合、局所的および領域的な抗−炎症効果を発揮する。粘稠液、ゲル、ゼリー、クリーム、ローション、軟膏、坐薬、泡状物、またはエアロゾルスプレーの直接的局所適用を局所投与で用いて、例えば、局所および/または領域的効果を生じさせることができる。そのような処方のための薬学的に受容可能なビヒクルは、例えば、低級脂肪族アルコール、ポリグリコール(例えば、グリセロールまたはポリエチレングリコール)、および脂肪酸のエステル、油、脂肪、シリコーンなどを含む。そのような製剤は保存剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸)、または抗酸化剤(例えば、アルコルビン酸およびトコフェノール)を含むことができる。また、Dermatological Formulations:Percutaneous absorption,Barry(編),Marcel Dekker Incl,1983)を参照されたし。いくつかの好ましい実施形態において、スタチンラクトンおよび非−スタチン抗−炎症剤を含む局所(local)/局所的(topical)処方を用いて、炎症疾患を治療する。そのような実施形態における好ましい組成物は、アトルバスタチンラクトンおよび非−ステロイド抗−炎症薬物を含むもの、なおより好ましくは、約90:10〜約10:90のモル比のものである。
いくつかの好ましい実施形態において、局所(local)/局所的(topical)処方を用いて、特に、湿疹、乾癬、アクネおよび老化の効果を治療するために、皮膚または皮膚構造のアレルギー性、炎症性および/または自己免疫疾患を治療する。例えば、炎症性および/または自己免疫疾患を治療するための、式I、II、IIIまたはIVにおける本発明の化合物を含むクリームを冒された部位、例えば、乾癬において赤色プラークまたは乾燥スケールを呈する部位、または皮膚炎における刺激および乾燥の領域に局所適用することができる。そのような実施形態における好ましい組成物は、スタチンラクトンおよびヒドロキシ酸スタチンの塩形態を含むものである。より好ましいのは、アトルバスタチンまたはピタバスタチンいずれかの塩とアトルバスタチンラクトンとの組合せであり、なおより好ましいのは、約90:10〜約10:90のモル比率のものである。
本発明の薬学的組成物は、化粧品的にまたは皮膚科学的に受容可能なキャリアを含有することができる。そのようなキャリアは皮膚、爪、粘膜、組織および/または毛髪に適合し、これらの要件を満足するいずれかの慣用的に使用される化粧的または皮膚科学的なキャリアを含むことができる。そのようなキャリアは当業者によって容易に選択され得る。皮膚軟膏を処方するにおいて、本発明の化合物または化合物の組合せは、油性炭化水素基剤、無水吸収基剤、油中水型吸収基剤、水中油型水除去可能基剤および/または水溶性基剤にて処方することができる。
本発明による組成物は、水性、水性−アルコール性または油性溶液、ローションまたは血清分散液、水性ゲル、無水ゲルまたは油性ゲル、水性相中に脂肪相を分散させることによって得られるエマルジョン(O/Wまたは水中油)または、逆に、(W/Oまたは油中水)、マイクロエマルジョンまたは別法としてマイクロカプセル、ミクロ粒子、またはイオン性および/または非イオン性タイプの脂質小胞分散液を含めた、局所適用に適したいずれかの形態とすることができる。これらの組成物は慣用的方法に従って調製することができる。本発明の化合物以外では、本発明による組成物の種々の構成要素の量は当該分野で慣用的に用いられるものである。これらの組成物は、特に、顔のための、手のための、身体のための、および/または粘膜のための、または皮膚を洗浄するために保護、治療またはケアのクリーム、ミルク、ローション、ゲルまたは泡状物を構成する。組成物は、石鹸または洗浄バーを構成する固体製剤よりなることもできる。
本発明の組成物は、親水性または親油性ゲル化剤、親水性または親油性活性剤、保存剤、抗酸化剤、溶媒、フレグランス、充填剤、日焼け止め、臭い−吸収剤および色素のような化粧品および皮膚科学の分野に共通したアジュバントを含有することもできる。これらの種々のアジュバントの量は考えられる分野において慣用的に用いられるものであり、例えば、組成物の全重量の約0.01%〜約20%である。それらの性質に応じて、これらのアジュバントは脂肪相に、水性相に、および/または脂質小胞に導入することができる。
軟膏処方物の好ましい実施形態は実施例4に記載される。実施例4aは、アトルバスタチンラクトンおよびアトルバスタチンカルシウムを含むゲル処方物を記載する。実施例4dは、アトルバスタチンラクトンおよびナプロキセンナトリウムを含む親水性軟膏を記載する。実施例4eは、アトルバスタチンラクトンおよびジクロフェナクを含むポリエチレングリコール軟膏を記載する。実施例4gは、アトルバスタチンラクトンおよびインドメタシンを含む軟膏を記載する。実施例4hは、アトルバスタチンラクトンおよびインドメタシンを含むゲル処方を記載する。実施例4iは、アトルバスタチンラクトンおよびインドメタシンを含むクリーム処方を記載する。実施例4jは、アトルバスタチンラクトンおよびワセリンUSPを含む皮膚軟膏を記載する。実施例4kは、フルバスタチンラクトンおよび白色ワセリンを含む皮膚軟膏を記載する。実施例4lは、セリバスタチンラクトンを含む皮膚軟膏を記載する。実施例4mは、ピタバスタチンラクトンおよびポリエチレングリコールを含む皮膚軟膏を記載する。より好ましい実施形態において、実施例4g、4h、および4iに記載された軟膏処方物、ゲル処方物、および/またはクリーム処方物は、各々、例えば、後の実施例8に詳細に記載されたように、炎症を治療するにおいて相乗的阻害効果を供する。
いくつかの実施形態において、目のアレルギー性状態、炎症性状態および/または自己免疫状態は、本発明の化合物または化合物の組合せを含む眼の溶液、懸濁液、軟膏または挿入物で効果的に治療することができる。目の使用のための処方物に好ましい実施形態は実施例4で供される。具体的には、実施例4nは、ロスバスタチンを含む等張溶液を記載し;実施例4oは、セリバスタチンラクトンを含む軟膏を記載し;および実施例4pは、アトルバスタチンラクトンを含む軟膏を記載し、その各々は、目の適用で用いることができる。
いくつかの実施形態において、耳のアレルギー性状態、炎症性性状態および/または自己免疫性状態は、本発明の化合物または化合物の組合せを含む、耳溶液、懸濁液、軟膏または挿入物で効果的に治療することができる。耳の使用のための処方の好ましい実施形態は、実施例4に供される。具体的には、実施例4qは、耳の使用のためのフルバスタチンナトリウムおよびグリセリンを含む溶液を記載する。
いくつかの好ましい実施形態において、本発明の化合物は懸濁液形態よりはむしろ可溶性形態で送達され、これは、作用部位へのより迅速かつ定量的吸収を可能とする。一般に、ゼリー、クリーム、ローション、坐薬および軟膏のような処方物は、本発明の化合物へのより延長された曝露を領域に提供することができ、他方、溶液の処方物(例えば、スプレイ)は、より即座の短時間の曝露を提供する。
局所的(topical)/局所的(local)適用に関連するいくつかの実施形態において、薬学的組成物は1以上の浸透促進剤を含むことができる。例えば、処方物は、本発明の化合物または化合物の組合せの、浸透性バリアー(例えば、皮膚)を横切る浸透を増大させるか、またはその送達を助ける、適当な固体またはゲル相のキャリアまたは賦形剤を含むことができる。これらの浸透−促進化合物の多くは局所処方の分野で公知であり、例えば、水、アルコール(例えば、テルペン様のメタノール、エタノール、2−プロパノール)、スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド、デシルメチルスルホキシド、テトラデシルメチルスルホキシド)、ピロリドン(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−(2−ヒドロキシエチル)ピロリドン)、ラウロカプラム、アセトン、ジメチルアセタミド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフルフリルアルコール、L−α−アミノ酸、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤または非イオン性界面活性剤(例えば、ミリスチン酸イソプロピルおよびラウリル硫酸ナトリウム)、脂肪酸、脂肪アルコール(例えば、オレイン酸)、アミン、アミド、クロフィブリン酸アミド、ヘキサメチレンラウラミド、タンパク質分解酵素、α−ビスアボロール、d−リモネン、尿素およびN,N−ジメチル−m−トルアミド等を含む。さらなる例は、保湿剤(例えば、尿素)、グリコール(例えば、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコール)、グリセロールモノラウレート、アルカン、アルカノール、ORGELASE、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖、澱粉、セルロース誘導体、ゼラチン、および/または他のポリマーを含む。いくつかの実施形態において、薬学的組成物が1以上のそのような浸透促進剤を含むであろう。
いくつかの実施形態において、局所的(local)/局所的(topical)様適用のための薬学的組成物は、第四級アンモニウム化合物、有機水銀、p−ヒドロキシベンゾエート、芳香族アルコール、クロロブタノール等のような1以上の抗微生物保存剤を含むことができる。
胃腸アレルギー性状態、炎症性状態および/または自己免疫状態は、本発明の化合物または化合物の組合せを含む、経口的に送達されるかまたは直腸に送達される、溶液、懸濁液、軟膏、浣腸および/または坐薬で効果的に治療することができる。局所的(local)/局所的(topical)処方物は、クローン結腸炎、および胃腸系の他のアレルギー性状態、炎症性状態および/または自己免疫状態の療法で好ましい。
炎症性腸疾患を治療するにおいて、例えば、本明細書中に開示された化合物または化合物の組み合わせの坐薬処方物を用いることができる。そのような実施形態において、活性成分は、MAPキナーゼインヒビターによって、例えば、p38α MAPキナーゼを阻害することによって、全身よりはむしろ、適用部位またはその近くで局所的に利点を生じさせることができる。いくつかの好ましい実施形態において、公知のスタチンのラクトン形態(式I)をMAPキナーゼの局所阻害用の処方物中で用いる。より好ましい実施形態において、局所的に用いられるスタチンラクトンは、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ピタバスタチン、グレンバスタチン、および/またはロスバスタチンのような合成スタチンラクトンであり、例えば、図7および8に供された構造を含む。いくつかの好ましい実施形態において、図9の式IIIおよびIVのような閉環構造に好都合なように修飾された化合物を、MAPキナーゼの局所的阻害用の処方物中で用いる。より好ましい実施形態において、この修飾された化合物は、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ピタバスタチン、グレンバスタチン、および/またはロスバスタチンのような合成スタチンラクトンから誘導される。
浣腸処方物および坐薬処方物についての好ましい実施形態の詳細は実施例4に記載される。具体的には、実施例4rは、セリバスタチンナトリウムを含む停留浣腸を記載し;実施例4sは、ピタバスタチンラクトンを含む停留浣腸を記載し;実施例4tは、フルバスタチンラクトンを含む直腸坐薬を記載し;実施例4uは、アトルバスタチンラクトンを含む直腸坐薬を記載し;および実施例4fは、アトルバスタチンラクトンおよびアミノサリチル酸を含む直腸坐薬を記載する。
呼吸器系アレルギー性状態、炎症性状態および/または自己免疫状態は、本発明の化合物または化合物の組合せを含む、エアロゾル溶液、懸濁液、または乾燥粉末で効果的に治療することができる。吸入による投与は、肺の炎症性疾患を治療するのに特に有用である。エアロゾルは呼吸器系または鼻通路を通って投与することができる。例えば、当業者であれば、本発明の組成物は適当なキャリア、例えば、薬学的に受容可能なプロペラントに懸濁または溶解させ、鼻スプレイまたは吸入剤を用いて肺に直接的に投与することができることを理解する。例えば、MAPキナーゼおよび/またはHMG−CoAレダクターゼインヒビターを含むエアロゾル処方物は、例えば、鼻スプレイまたは吸入剤としての投与のために、プロペラントまたは溶媒とプロペラントとの混合物に溶解させるか、懸濁させるかまたは乳化させることができる。エアロゾル処方物は、当該分野で慣用的に用いられる、任意の圧力下での許容されるプロペラント、好ましくは美容的にまたは皮膚科学的にまたは薬学的に受容可能なプロペラントを含有することができる。
鼻投与用のエアロゾル処物方は、一般には、点剤またはスプレイにて鼻通路に投与されるように設計された水性溶液である。鼻溶液は、それらが一般的には等張であって、僅かに緩衝化されて、約5.5〜約6.5のpHを維持する点で、鼻分泌と同様であり得るが、この範囲の外のpH値をさらに用いることができる。抗微生物剤または保存剤もまた、該処方物に含めることができる。
吸入用のエアロゾル処方物、および吸入剤は、本発明の化合物または化合物の組合せが、鼻呼吸器経路または経口呼吸器経路によって投与した場合に被験体の呼吸器系管系へと運ばれるように設計することができる。吸入溶液は、例えば、ネビュライザーによって投与することができる。微粉砕された薬物または液体薬物を含む吸入剤または通気剤は、(例えば放出を助けるための)プロペラント中の化合物または化合物の組合せの溶液または懸濁液の医学エアロゾルとして呼吸器系に送達され得る。プロペラントは、ハロカーボン、例えば、フッ化塩化炭化水素、ヒドロクロロフルオロカーボンのようなフルオロカーボンおよびヒドロクロロカーボン、ならびに炭化水素および炭化水素エーテルを含めた液化ガスであり得る。
本発明で有用なハロカーボンプロペラントは、全ての水素がフッ素で置き換えられたフルオロカーボンプロペラント、全ての水素が塩素および少なくとも1つのフッ素で置き換えられたクロロフルオロカーボンプロペラント、水素−含有フルオロカーボンプロペラントおよび水素−含有クロロフルオロカーボンプロペラントを含む。ハロカーボンプロペラントは1994年12月27日に発行されたJohnsonの米国特許第5,376,359号;1993年3月2日に発行されたByronら,の米国特許第5,190,029号;および1998年7月7日に発行されたPurewalら,の米国特許第5,776,434号に記載されている。本発明で有用な炭化水素プロペラントは、例えば、プロパン、イソブタン、n−ブタン、ペンタン、イソペンタンおよびネオペンタンを含む。炭化水素のブレンドもプロペラントとして用いることができる。エーテルプロペラントは、例えば、ジメチルエーテルならびにエーテルを含む。本発明のエアロゾル処方物は、1を超えるプロペラントを含むこともできる。例えば、このエアロゾル処方物は、2以上のフルオロカーボンのような同一クラスからの1を超えるプロペラント;またはフルオロ炭化水素および炭化水素のような1を超える、2を超える、3を超える異なるクラスからのプロペラントを含むことができる。本発明の薬学的組成物は、圧縮ガス、例えば、二酸化炭素、酸化窒素または窒素のような不活性ガスで分注することもできる。
エアロゾル処方物は他の成分、例えば、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ならびに界面活性剤または他の成分(例えば、油および洗剤)を含むこともできる。これらの成分は、処方物および/または滑沢剤バルブ成分を安定化させるように働くことができる。
エアロゾル処方物は加圧下でパッケージすることができ、溶液調製物、懸濁液調製物、エマルジョン調製物、粉末調製物および半固体調製物を用いてエアロゾルとして処方することができる。例えば、溶液エアロゾル処方物は、(実質的に)純粋なプロペラント中に、あるいはプロペラントおよび溶媒の混合物として、新規なHMG−CoAレダクターゼインヒビターのような本発明の化合物の溶液を含むことができる。該溶媒を用いて、化合物を溶解させること、および/またはプロペラントの蒸発を遅延させることができる。本発明で有用な溶媒は、例えば、水、エタノールおよびグリコールを含む。適当な溶媒のいずれかの組合せは、所望により、保存剤、抗酸化剤、および/または他のエアロゾル成分と組み合わせて用いることができる。
エアロゾル処方物は分散液または懸濁液でもあり得る。懸濁液エアロゾル処方物は、本発明の化合物または化合物の組合せ(例えば、HMG−CoAレダクターゼインヒビター)と分散剤との懸濁液を含むことができる。本発明で有用な分散剤は、例えば、ソルビタントリオレエート、オレイルアルコール、オレイン酸、レシチンおよびトウモロコシ油を含む。懸濁液エアロゾル処方は、滑沢剤、保存剤、抗酸化剤、および/または他のエアロゾル成分を含むこともできる。
エアロゾル処方物は、同様に、エマルジョンとして処方することができる。エマルジョンエアロゾル処方は、例えば、エタノールのようなアルコール、界面活性剤、水およびプロペラントならびに本発明の化合物または化合物の組合せ(例えば、HMG−CoAレダクターゼインヒビター)を含むことができる。用いる界面活性剤は、非イオン性、アニオン性またはカチオン性であり得る。エマルジョンエアロゾル処方物の1つの例は、例えば、エタノール、界面活性剤、水およびプロペラントを含む。エマルジョンエアロゾル処方物のもう1つの例は、例えば、植物油、グリセリルモノステアレートおよびプロパンを含む。
エアロゾル処方物の好ましい実施形態は、実施例4に記載されている。具体的には、実施例4vは、ピタバスタチンラクトンおよびラクトンを含む乾燥粉末エアロゾル処方物を記載する。実施例4wは、フルバスタチンナトリウムを含む乾燥粉末エアロゾル処方物を記載する。実施例4xは、アトルバスタチンラクトンを含む乾燥粉末エアロゾル処方物を記載する。実施例4yは、アトルバスタチンラクトンを含む計量用量エアロゾル処方物を記載する。
本発明で用いるのに適した薬学的組成物は、活性成分が有効量にて存在する、すなわち、MAPキナーゼ−関連疾患およびHMG−CoAレダクターゼ−関連疾患の少なくとも1つにおいて治療的および/または予防的利点を達成するのに有効な量で存在する、組成物を含む。特定の適用で効果的な実際の量は、治療すべき状態、被験体の状態、処方、および投与の経路、ならびに当業者に公知の他の因子に依存するであろう。MAPキナーゼおよび/またはHMG−CoAレダクターゼインヒビターの有効量の決定は、本明細書中における開示に徴して十分に当業者の能力の範囲内のものであり、慣用的な最適化技術を用いて決定されるであろう。
ヒトで用いる有効量は動物モデルから決定することができる。例えば、ヒトでの用量は、動物で効果的なことが見出されている循環、肝臓、局所および/または胃腸の濃度を達成するように処方することができる。当業者であれば、特に、本明細書中に記載された動物モデル実験データに徴して、ヒト使用用の有効量を決定することができる。後に供される実施例8は、炎症状態がマウスにおいて誘導され、本発明の組成物が投与され、抗炎症効果が観察された実験を詳細に記載する。後により詳しく記載するように、表IIは、本発明の化合物および化合物の組合せの得られた阻害のパーセンテージ、および有効量を示す。この動物データ、および他のタイプの同様なデータに基づき、当業者であれば、ヒトに適した本発明の組成物の有効量を決定することができる。
本発明の化合物または化合物の組合せに言及する場合、有効量は、一般的には、医療または薬学分野における種々の規制または助言組織のいずれか(例えば、FDA、AMA)によって、あるいは製造業者または供給業者によって推奨されるか、または認可された用量範囲、投与の態様、処方等を意味するであろう。HMG−CoAレダクターゼインヒビターの有効量は、例えば、Physicians Desk Referenceに見出すことができる。例えば、アトルバスタチンカルシウムについての日用量は約2mg〜約50mg、約3mg〜約30mg、代表的には約10mgの範囲である。セリバスタチンナトリウムについての日用量は約200μgであり、他方、フルバスタチンナトリウム、ロスバスタチンナトリウム、プラバスタチンナトリウムおよびシンバスタチンナトリウムについての日用量は、各々、約20mgである。本発明のいくつかの好ましい化合物(例えば、HMG−CoAレダクターゼインヒビターのアナログ)は、公知のHMG−CoAレダクターゼインヒビターに代表的な用量とほぼ同一の用量、またはそれ未満、またはそれを超える用量にて有用であり得る。
MAPキナーゼインヒビターの有効量は、例えば、ヒト臨床試験の結果の公表された報告で見出すことができる。一般には、本発明のMAPキナーゼインヒビター(例えば、p38α MAPキナーゼインヒビター)についての推奨される用量は、経口にて供される、日ベースにて、約0.01mg/kg〜約1,000mg/kg、より好ましくは約0.1mg/kg〜約20mg/kgである。インヒビターは、代表的には、約100mgの用量で投与され、これは、本発明で有用であろう用量の範囲内にある。他の投与経路を用い、MAPキナーゼインヒビターの約0.01mg/kg/日〜約1,000mg/kg/日の用量が用いられ、好ましくは、約0.1mg/kg/日および約20mg/kg/日の間の用量が用いられると考えられる。
一般には、本発明のHMG−CoAレダクターゼインヒビターについての推奨される用量は、経口で供される、日ベースで、約0.01mg/kg〜約1,000mg/kg、より好ましくは約0.1mg/kg〜約20mg/kgの用量である。インヒビターは、代表的には、約10mgの用量で投与され、これは、本発明で有用であろう容量の範囲にある。他の投与経路を用い、約0.01mg/kg/日〜約1,000mg/kg/日のHMG−CoAレダクターゼインヒビターの用量が用いられ;好ましくは、約0.1mg/kg/日および約1mg/kg/日の間の用量が用いられると考えられる。
さらに、スタチンラクトン、スタチンのヒドロキシ酸形態、または非スタチン抗炎症剤についての適当な用量は、本明細書中に供されるイン・ビトロ実験結果に基づいて決定することができる。例えば、HMG−CoAレダクターゼを阻害するか、および/または炎症メディエーターを阻害する際の化合物のイン・ビトロ能力は、同様な生物学的効果を達成するための効果的なイン・ビボ用量の開発において有用な情報を提供する。
HDLレベルを増大させるのに用いる本発明の化合物および/または化合物の組合せの有効量は、動物モデルデータを含めた、イン・ビトロ実験データに基づいて同様に決定することができる。例えば、動物モデルを用いて、ヒトで望ましいであろうHDLレベルのパーセンテージ増大、およびそのようなレベルを達成するための化合物または化合物の組合せの対応する有効用量を決定することができる。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物の投与は間歇的とすることができ、例えば、投与を、2日毎に1回、3日毎に1回、5日毎に1回、1週間毎に1回、1ケ月毎に1回または2回等とすることができる。いくつかの実施形態において、量、形態、および/または異なる形態の量は投与の異なる時点において変化させることができる。例えば、時間的に1つの時点において、本発明の化合物の酸形態を投与することができ、他方、もう1つの時点において、対応するラクトン形態を用いることができる。
当業者であれば、特定の化合物の投与の効果を患者においてモニターすることができるであろう。例えば、コレステロールレベルは、LDL、HDL、および/または全血清コレステロールレベルを測定することによって決定することができる。炎症促進性サイトカインの放出は、TNF−αおよび/またはIL−1βを測定することによって決定することができる。他の技術は、当業者に明らかであろう。
(IV.キナーゼおよび/またはHMG−CoAレダクターゼインヒビターの合理的設計)
本発明のなおもう1つの態様は、式I/II/III/IVの化合物を設計し;MAPキナーゼおよび/またはHMG−CoAレダクターゼをこの化合物が阻害するか否かを試験し;次いで、MAPキナーゼおよび/またはHMG−CoAレダクターゼを阻害するための組成物を製造するにおいてこの化合物を用いることによって、MAPキナーゼおよび/またはHMG−CoAレダクターゼを阻害する組成物を得るか、および/または製造する方法に関する。より好ましくは、本発明は、MAPキナーゼおよびHMG−CoAレダクターゼを共に阻害することができる式I/IIの化合物を設計し、試験するための方法に関する。
「式I/II」とは、δ−ラクトンまたはヒドロキシカルボン酸形態、または双方の形態いずれかがMAPキナーゼ、HMG−CoAレダクターゼまたは双方の阻害を担うことができることを意味する。図11は、MAPキナーゼおよび/またはHMG−CoAレダクターゼを阻害する化合物を開発するための設計アプローチを示す。
図11aはMAPキナーゼの公知のインヒビターが系統的に変化し、HMG−CoAレダクターゼ阻害活性について試験されるアプローチを示す。このアプローチにおいて、MAPキナーゼの公知のインヒビターおよびそのアナログには、各々、式IまたはIIのA−δ−ラクトンまたはA−ヒドロキシカルボン酸基を付着させ、またはそれらで置換する。かくして、いくつかの実施形態において、親油性部分(X)は公知のMAPキナーゼインヒビターまたはその親油性部分である。例えば、図4は、いくつかの好ましい実施形態を設計するにおいて用いることができる公知のp38α MAPキナーゼインヒビターを示す。他の実施形態において、親油性部分は、例えば、HMG−CoAレダクターゼインヒビター(好ましくは、HMG−CoAレダクターゼインヒビターの親油性部分)に対する構造的多様性または同様性に基づいて選択されるか、あるいは、例えば、結合適合性を示すためのファルマコフォアモデリングを用いて、HMG−CoAレダクターゼへの結合との構造的適合性に基づいて選択される、MAPキナーゼインヒビターのアナログである。例えば、図5は、いくつかの実施形態において好ましいMAPキナーゼアナログを示す。
図11bは、HMG−CoAレダクターゼの公知のインヒビターが系統的に変化し、MAPキナーゼ阻害活性について試験されるアプローチを示す。このアプローチにおいて、HMG−CoAレダクターゼの公知のインヒビターの親油性部分(X)が系統的に変化し、その結果アナログがもたらされる。図6は、例えば、いくつかの好ましい実施形態を設計するにおいて用いることができる公知のスタチンを示す。いくつかの実施形態において、親油性部分アナログが、MAPキナーゼインヒビター(好ましくは、MAPキナーゼインヒビターの親油性部分)に対する構造的多様性または同様性に基づいて、例えば、結合適合性を示すためのファルマコフォアモデリングを用いて、p38α MAPキナーゼのようなMAPキナーゼへの結合についての構造的適合性に基づいて選択される。例えば、図7は、好ましい親油性部分アナログを示し、図8は、いくつかの実施形態においてなおより好ましいスタチンアナログの具体例を示す。
本発明の合理的設計方法は、HMG−CoAレダクターゼおよびMAPキナーゼの結晶構造の現在の理解によって援助される。例えば、p38α MAPキナーゼのX線構造は、ATP結合ポケットを持つN−末端ドメイン、および触媒部位、金属結合部位、およびリン酸化リップを持つC−末端ドメインを含むことが示されている。2つのドメインは、基質が結合するヒンジ領域によって結合される。さらに、酵素への候補化合物の結合の「密接性」と該化合物のイン・ビトロ細胞活性との間の直接的相関が示されている。
図11cは、式IまたはIIの化合物の親油性部分が変化し、MAPキナーゼおよび/またはHMG−CoAレダクターゼ阻害活性につき試験されるアプローチを示す。いくつかの実施形態において、親油性部分はランダムに選択される。いくつかの実施形態において、親油性部分は、MAPキナーゼインヒビターに対する構造的多様性または同様性に基づき、あるいは、例えば結合適合性を示すためのファルマコフォアモデリングを用いて、MAPキナーゼへの結合に対する構造的適合性に基づいて選択される。いくつかの実施形態において、親油性部分は、HMG−CoAレダクターゼインヒビターに対する構造的多様性または同様性に基づき、あるいは、例えば結合適合性を示すためのファルマコフォアモデリングを用い、HMG−CoAレダクターゼに対する結合との構造的適合性に基づいて選択される。選択された親油性部分は、各々、式IまたはIIのA−δ−ラクトンまたはA−ヒドロキシカルボン酸基を付着させることができ、次いで、MAPキナーゼの阻害および/またはHMG−CoAレダクターゼの阻害につき試験することができる。
化合物は、計算方法を用いて、全部を設計しそして試験することができるか、あるいはそのような設計および試験の一部は計算によりなすことができ、残りはwet lab技術でなすことができる。
試験は、設計された化合物の、MAPキナーゼおよび/またはHMG−CoAレダクターゼに関する阻害活性についての評価を含む。いくつかの実施形態において、設計されたアナログのコレクションは、計算方法によって評価して、物理的に化合物を合成することなく、MAPキナーゼおよび/またはHMG−CoAレダクターゼを阻害する際のそれらの活性を予測することができる。そのような計算方法を用いて、溶解度、膜浸透性、代謝および毒性のような化合物の他の特性を予測することもできる。
いくつかの実施形態において、試験は、設計された化合物を合成すること、および1以上の生物学的アッセイにおけるMAPキナーゼおよび/またはHMG−CoAレダクターゼを阻害する際のそれらの活性をwet lab技術を介して評価することを含む。HMG−CoAレダクターゼおよびMAPキナーゼのインヒビターの合成のための公知の方法を当てはめて、δ−ラクトンまたはヒドロキシカルボン酸形態のいずれかの設計されたアナログ、ならびにカルボキシレート(塩)形態の設計されたアナログを調製することができる。
次いで、合成された化合物の活性は、MAPキナーゼの阻害、および/またはHMG−CoAレダクターゼの阻害を直接的にまたは間接的に反映する、生物学的アッセイによって評価することができる。代表的な生物学的アッセイは、限定されるものではないが、1)MAPキナーゼ阻害の無細胞研究;2)HMG−CoAレダクターゼ阻害の無細胞研究;3)(リポ多糖(LPS)を含めた薬剤によるチャレンジに際してのサイトカイン産生および/または放出のような)炎症性応答の阻害の全細胞研究;4)テルペンおよびステロール生合成の全細胞研究;5)関節炎、慢性関節リウマチ、骨関節炎、血管炎症性疾患、炎症性腸疾患、乾癬、局所的皮膚炎、湿疹、内毒素血症、敗血症、およびトキシンショック症候群、ならびに移植片拒絶を含めた、炎症性状態および/または自己免疫状態のようなMAPキナーゼ関連疾患に対する能力のイン・ビボモデル;6)高コレステロール血症、高脂質血のような脂質障害、およびアテローム性動脈硬化症を含めたアテローム発生およびその続発症、他の血管炎症性状態、心筋梗塞、虚血性発作、閉塞性発作、末梢閉塞性疾患、および他の末梢血管疾患のようなHMG−CoAレダクターゼ関連疾患を治療する際の能力のイン・ビボモデルを含む。
イン・ビトロアッセイに関しては、MAPキナーゼおよび/またはHMG−CoAレダクターゼの活性を阻害する候補化合物の能力は、この化合物を、MAPキナーゼおよび/またはHMG−CoAレダクターゼの活性を測定するためのアッセイ混合物と接触させ、次いで、この化合物の存在下および不存在下における酵素の活性を測定することによって評価することができる。化合物の不存在下とは対照的に存在下でのMAPキナーゼの活性の減少は、MAPキナーゼインヒビターを示す。化合物の不存在とは対照的に存在下におけるHMG−CoAレダクターゼの活性の減少は、HMG−CoAレダクターゼインヒビターを示す。MAPキナーゼおよびHMG−CoAレダクターゼは共に公知であり、かつ商業的に入手可能であり、阻害活性についての単純なイン・ビトロアッセイを容易にする。
無細胞MAPキナーゼアッセイの例は、本明細書中で参考として援用する、ClerkおよびSugden,FEBS Letters,426:93−96(1998)に記載されたものを含む。簡単に述べれば、約10μM以下の候補化合物の不存在下または存在下にて、血清をソルビトールに曝露された(約30分)新生児ラットおよび筋細胞から取り出すことができる。SAPK/JNKは、Mono Q HR5/5カラムでのFPLCによって分離することができ、ここに、MAPキナーゼは30mLの直線NaCl勾配(約0〜約0.5M NaCl)を用いて溶出させる。それらは、基質として、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)または約0.5mg/mLグルタチオンS−トランスフェラーゼ−GST−c−Jun(1−135)での直接的方法によってアッセイすることができ、ここに、該アッセイ混合物は約0.1%(v/v)ジメチルスルホキシドまたは約10μMの候補化合物(最終濃度)を含有する。画分のサンプルはイン−ゲルキナーゼアッセイのために取ることができる。画分をプールし、限外濾過によって濃縮し、イムノブロット分析のために調製することができる。MAP−KAPK2では、タンパク質をMono S HR5/5カラムに適用し、MAP−KAPK2精製し、アッセイすることができる。GST−c−Jun(1−135)を用いて、筋細胞抽出物から全SAPK/JNKを「取り押さえる」ことができる。ペレットを、最終濃度の候補化合物を含有するキナーゼアッセイ緩衝液(例えば、約20mM HEPES pH約7.7、約2.5mM MgCl2、約0.1mM EDTA、約20mM β−グリセロホスフェート)中で洗浄することができる。ペレットを、最終濃度の2倍の候補化合物を含有する約15μLのキナーゼ活性緩衝液に再懸濁させ、リン酸化を、約10μM ATPおよび約1μCi[γ−32P]ATPを含有する約15μLのキナーゼ活性緩衝液で開始させることができる。JNK1イソ形態は、抗体を用いて筋細胞抽出物から免疫沈澱させることができる。ペレットは、最終濃度の候補化合物を含有するキナーゼアッセイ緩衝液中で洗浄することができる。最終濃度の2倍の候補化合物を含有する約15μLキナーゼアッセイ緩衝液中のGST−c−Jun(1−135)を加え、リン酸化を、約20μM ATPおよび約2μCi[γ−32P]ATPを含有する約15μLのキナーゼアッセイ緩衝液で開始することができる。後の実施例5は、多数の候補化合物を用いる結果としての、ヒトp38α MAPキナーゼ阻害アッセイのさらなる詳細を供する。
無細胞HMG−CoAレダクターゼアッセイの例は、本明細書中で参考として援用する、Shumら,Ther.Drug Monit.20:41−49(1998)に記載されたラジオメトリー手法を含む。簡単に述べれば、約150μg/mLのHMG−CoAレダクターゼを、約37℃にて約0.5時間、約200μLの0.2Mリン酸緩衝液(pH約7.2)中の約12μM[14C]HMG−CoAおよび約200μM NADPHと一緒に、候補化合物と共にインキュベートすることができる。形成される[14C]メバロネートを酸性条件下で[14C]メバロノラクトンに変換し、例えば、イオン−交換クロマトグラフィーによって未反応基質から分離することができ、次いで、例えば、液体シンチレーションカウンティングによって計量することができる。
炎症性応答の阻害の全細胞アッセイの例は、候補化合物の存在下および不存在下において、ネズミ胸腺T細胞増殖およびIL−2産生または遺伝子発現を評価することを含む。T細胞増殖およびIL−2産生は当該分野における標準的な周知の技術である。炎症についての全細胞アッセイの他の例は、例えば、本明細書中で参考として援用する、Welkerら,Int.Arch.Allergy & Immunology,109:110−115(1996);Suhindlerら,Blood,75:40(1990);およびGulenboikら,JBL,266:19490(1991)に記載されているように、やはり当該分野で公知である。後に供される実施例6は、本発明のある種の合理的設計実施形態で有用な全細胞抗−炎症アッセイをさらに詳細に記載する。後に供される実施例7は、本発明のある種の合理的設計実施形態でやはり有用な全細胞LPS−刺激TNF−α放出アッセイをさらに詳細に記載する。
炎症応答または免疫応答を反映させるのに用いる動物モデルを利用して、イン・ビボにてMAPキナーゼ阻害活性を評価することができる。例示的動物モデルは、限定されるものではないが、マウスまたはラット;マウス急性刺激モデル;無病原体条件ではない条件下で育てた場合に慢性再発性皮膚炎症を発症する同系NC/Ngaマウス;Shistosoma japonicaグルタチオン−S−トランスフェラーゼを注射した場合に皮膚炎を発症するBalb/cマウス;アトピー性皮膚炎のモデルとなるオボアルブミン抗原への反復性上皮下曝露によって感作されたマウス;炎症性腸疾患のモデルとなる、デキストラン硫酸ナトリウム、トリニトロベンゼンスルホン酸、およびオキサゾロンによって誘導される結腸炎を含む。また、Nagaiら,J.Pharmacol.Exp.Theraputics 288:43−50(1999);Boismenuら,J.Leukoc.Biol.,67:267−278(2000);およびBlumbergら,Curr.Opin.Immunol.11:648−656(1999)参照。さらに、後の実施例8は、本発明のある種の合理的設計実施形態で有用な局所炎症動物モデルのより詳細を供する。
いくつかの好ましい実施形態において、式I/IIの化合物の活性または能力は、好ましくは、MAPキナーゼおよびHMG−CoAレダクターゼに関して、全細胞によって測定された場合、および/または後により詳細に記載されるようにIC50値またはED50値のイン・ビボアッセイで測定された場合、同様である。好ましい実施形態において、MAPキナーゼおよびHMG−CoAレダクターゼに関する能力は、約1000以下のファクターでしか異ならない。より好ましくは、能力は約100以下のファクターでしか異ならない。より好ましくは、能力は約10以下のファクターでしか異ならない。かなり好ましい実施形態において、化合物のラクトン形態(式I)はMAPキナーゼに対してより優れた形態であり、ヒドロキシカルボン酸形態またはカルボキシレート(塩)形態(式II)はHMG−CoAレダクターゼに対してより優れた形態であり、各標的に対するこれらの形態の能力は約10以下のファクターでしか異ならない。
他の好ましい実施形態において、MAPキナーゼに対する式I/IIの化合物の能力はHMG−CoAレダクターゼに対するその能力よりも大きい。そのような実施形態において、MAPキナーゼおよびHMG−CoAレダクターゼに関する能力は、少なくとも約10のファクターで異なる。より好ましくは、能力は、約100を超えるファクターで異なる。最も好ましくは、能力は約1000を超えるファクターで異なる。
なお他の好ましい実施形態において、HMG−CoAレダクターゼに対する式I/IIの化合物の能力は、MAPキナーゼに対するその能力よりも大きい。そのような実施形態において、HMG−CoAレダクターゼおよびMAPキナーゼに関する能力は、少なくとも約10のファクターで異なる。より好ましくは、能力は約100を超えるファクターで異なる。最も好ましくは、能力は、約1000を超えるファクターで異なる。
本明細書中において言及した全ての刊行物、特許、および特許出願は、あたかもその個々の刊行物、特許、または特許出願が具体的かつ個々に参考として援用されるように示されるのと同程度に、本明細書中で参考として援用される。
以下の実施例は、断じて限定することなく、本発明の詳細を説明する意図のものである。
実施例1:アトルバスタチンラクトンの合成。5.0g(8.6ミリモル)のアトルバスタチンカルシウムを300mLの酢酸エチルに溶解させ、300mLの10%(w/v)硫酸水素ナトリウム水溶液(pH3)で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で溶媒を除去して、2.85g(5.11ミリモル)のアトルバスタチン酸を得た。この物質を300mLの無水トルエンに溶解させ、60℃にて40時間加熱し、その時点で、4:1塩化メチレン:アセトン溶離剤を用いる分析薄層クロマトグラフィーは、出発酸のより極性の低い産物へのほとんど完全な変換を示した。トルエンを減圧下で除去し、4:1塩化メチレン:アセトン溶離剤を用いて反応混合物を300ccのシリカゲル上で分画して、適当な画分を合わせ、濃縮し、乾燥した後、2.14g(3.96ミリモル,全部で46%)のアトリバスタチンラクトンを白色泡状物として得た。400MHz 1H核磁気共鳴(NMR)スペクトルおよび電子スプレーマススペクトル(ES−MS)はラクトン産物と合致した。
実施例2:フルバスタチンラクトンの合成。7.0g(16ミリモル)のフルバスタチンナトリウムを300mLの酢酸エチルに溶解させ、300mLの10%(w/v)硫酸水素ナトリウム水溶液(pH3)で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去して、5.76g(14.0ミリモル)のフロバスタチン酸を得た。この物質を300mLの無水トルエンに溶解させ、室温にて7日間攪拌し、その時点で、5:1塩化メチレン:アセトン溶離剤を用いる分析薄層クロマトグラフィーは、出発酸のより極性の低い産物へのほぼ30%の変換を示した。トルエンを減圧下で除去し、反応混合物を5:1塩化メチレン:アセトン溶離剤を用いる400ccのシリカゲル上で分画して、適当な画分を合わせ、濃縮し、および乾燥した後に、2.02g(5.14ミリモル,全部で32%)のフルバスタチンラクトンを白色泡状物として得た。400MHz
1H核磁気共鳴(NMR)スペクトルおよびエレクトロスプレイ質量スペクトル(ES−MS)はラクトン産物と合致した。
また、わずかにより極性の産物が得られ、これは、
1H NMRによると、StokkerおよびPitzenberger(Heterocycles 1987,26,157)の知見と合致して、C5ラクトンエステル中心における逆転によって形成されたフルバスタチンラクトンのthreo−エピマーであることが示された。この異性体は0.173g(0.440ミリモル,全部で2.8%の量)の量で得られた。
実施例1および2に概説された手法を用い、式IIa/IIbの他の化合物は式Iの化合物に変換される。
実施例3:シンバスタチンナトリウムの合成。1.43g(3.42ミリモル)のシンバスタチンラクトンを10mLのアセトニトリルに溶解させ、水(5mL)および水酸化ナトリウム(151mg,3.78ミリモル)で処理した。反応を室温にて3日間攪拌し、その時点で、4:1塩化メチレン:アセトン溶離剤を用いる分析薄層クロマトグラフィーは、出発ラクトンのより極性の高い産物への実質的に完全な変換を示した。次いで、反応混合物を1:1アセトニトリル:水で50mLに希釈し、凍結し、凍結乾燥して1.22g(2.66ミリモル,77.8%)のシンバスタチンナトリウムをふわふわした白色固体として得た。400MHz 1H核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、カルボン酸ナトリウム産物と合致した。
実施例3に概説した手法を用いて、式Iの他の化合物は式IIbの化合物に変換される。
実施例4:局所的/領域的適用のための、式I/IIa/IIbまたはIIIまたはIVの化合物を、所望により、公知の抗炎症剤と共に含む薬学的組成物。
実施例4a:ゲル処方物
アトルバスタチンラクトン 0.1g
アトルバスタチンカルシウム 0.1g
ポリグリセリルアクリレート(Norgel) 3g
ポリアクリルアミド/C13−14イソパラフィン/ラウレス−7(Sepigel 305) 0.2g
EDTAナトリウム 0.01g
クロロブタノール 0.4g
水 6g
実施例4b:被覆された錠剤
錠剤コア:
アトルバスタチンラクトン 100g
アトルバスタチンカルシウム 100g
二塩基性リン酸カルシウム二水和物 140g
微結晶性セルロース 24g
ナトリウム澱粉グリコレート 10g
ステアリン酸マグネシウム 1g
水 6g
コーティング:
アゾポリマー溶液 水中10%w/v
実施例4c:腸溶−被覆顆粒の被覆錠剤
錠剤コア:
アトルバスタチンラクトン 100g
ピタバスタチンカルシウム 100g
セルロースアセテートフタレート溶液 アセトン中10%w/v
アカシア溶液 水中10%w/v
コーティング:ガラクトマンナン溶液 水中10%w/v
実施例4d:親水性軟膏USP
アトルバスタチンラクトン 1.0g
ナプロキセンナトリウム 1.0g
メチルパラベン 0.025g
プロピルパラベン 0.015g
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0g
プロピレングリコール 12g
ステアリルアルコール25g
白色ワセリン 25g
精製水 35g
実施例4e:ポリエチレングリコール軟膏NF
アトルバスタチンラクトン 1.0g
ジクロフェナク 1.0g
ポリエチレングリコール3350 40g
ポリエチレングリコール400 58g
実施例4f:直腸坐薬
アトルバスタチンラクトン 0.10g
アミノサリチル酸 0.90g
カカオバター 1.0cc
実施例4g:親水性ワセリンUSP中の軟膏
アトルバスタチンラクトン 1.5g
インドメタシン 1.5g
コレステロール 3.0g
ステアリルアルコール 3.0g
白色ワックス 8.0g
白色ワセリン 86g
実施例4h:ゲル処方物
アトルバスタチンラクトン 0.1g
インドメタシン 0.1g
ポリグリセリルアクリレート(Norgel) 3g
ポリアクリルアミド/C13−14イソパラフィン/ラウレス−7(Sepigel 305) 0.2g
ナトリウムEDTA 0.01g
クロロブタノール 0.4g
水 6g
実施例4i:クリーム処方物
相A:
アトルバスタチンラクトン 1g
インドメタシン 1g
5−n−オクタノイルサリチル酸 0.5g
スイートアーモンド油 14.5g
カラテバター 7g
PPG−3ミリスチルエーテル 5g
プロピルパラべン 0.1g
ポリソルベート60 2.5g
ソルビタンステアレート 2.5g
相B:
シクロメチコン 4g
キサンタンガム 0.2g
カルボキシビニルポリマー 0.5g
相C:
トリエタノールアミン 0.5g
水 2g
相D:
メチルパラべン 0.2g
グリセロール 5g
水 54.5g
実施例4j:ワセリンUSP軟膏中のアトルバスタチンラクトン皮膚軟膏
アトルバスタチンラクトン 2.0g
ワセリンUSP 98g
実施例4k:親水性ワセリンUSP中のフルバスタチンラクトン皮膚軟膏
フルバスタチンラクトン 3.0g
コレステロール 3.0g
ステアリルアルコール 3.0g
白色ワックス 8.0g
白色ワセリン 86g
実施例4l:親水性軟膏USP中のセリバスタチンラクトン皮膚軟膏
セリバスタチンラクトン 0.5g
メチルパラベン 0.025g
プロピルパラベン 0.015g
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0g
プロピレングリコール 12g
ステアリルアルコール 25g
白色ワセリン25g
精製水 37g
実施例4m:ポリエチレングリコール軟膏NF中のピタバスタチンラクトン皮膚軟膏
ピタバスタチンラクトン 2.0g
ポリエチレングリコール3350 40g
ポリエチレングリコール400 60g
実施例4n:眼使用のための等張ロスバスタチンカルシウム溶液
ロスバスタチンカルシウム 1.0g
塩化ナトリウムUSP 0.9g
塩化ベンザルコニウム 0.01g
滅菌蒸留水 100mLまで
実施例4o:眼使用用のセリバスタチンラクトン軟膏
セリバスタチンラクトン 2.0g
白色ワセリン 97.5g
クロロブタノール 0.50g
実施例4p:眼使用用の軟膏
アトルバスタチンラクトン 1.0g
クロモリンナトリウム 1.0g
白色ワセリン 97.5g
クロロブタノール 0.50g
実施例4q:耳使用用のフルバスタチンナトリウム溶液
フルバスタチンナトリウム 1.0g
リン酸二水素ナトリウム 0.56g
リン酸水素二ナトリウム 0.28g
塩化ナトリウム 0.5g
エデト酸二ナトリウム 0.1g
硝酸第二水銀フェニル 0.005g
グリセリン 30mL
滅菌蒸留水 100mLまで
実施例4r:セリバスタチンナトリウム停留浣腸
セリバスタチンナトリウム 0.40g
リン酸二水素ナトリウム 1.6g
リン酸水素二ナトリウム 17.9g
塩化ナトリウム 36g
アスコルビン酸ナトリウム 2.0g
トラガカント 16g
メチルパラベン 8g
プロピルパラベン 2g
プロピレングリコール 100mL
蒸留水 4000mLまで
実施例4s:ピタバスタチンラクトン停留浣腸
ピタバスタチンラクトン 0.010g
カルボキシメチルセルロースナトリウムUSP 1.0g
蒸留水 100mL
実施例4t:フルバスタチンラクトン直腸坐薬
フルバスタチンラクトン 0.10g
カカオバター 2.0cc
実施例4u:アトルバスタチンラクトン直腸坐薬
アトルバスタチンラクトン 0.10g
ポリエチレングリコール1000 1.5g
ポリエチレングリコール4000 0.5g
実施例4v:ピタバスタチンラクトン乾燥粉末エアロゾル処方
ピタバスタチンラクトン 0.004g
ラクトース 0.0085g
(該混合物を微粉砕して、3〜6μmの間の大きさの平均質量粒子とする)
実施例4w:フルバスタチンナトリウム計量用量エアロゾル処方物
フルバスタチンナトリウム 0.080g
(3〜6μmの間の大きさの平均質量粒子まで微粉砕)
エタノールUSP 0.20g
ジクロロジフルオロメタン 19.72g
(プロペラント)
実施例4x:乾燥粉末エアロゾル処方
アトルバスタチンラクトン 0.004g
クロモリンナトリウム 0.004g
ラクトース 0.0085g
(該混合物を微粉砕して、3〜6μmの間の大きさの平均質量粒子とする)
実施例4y:計量−用量エアロゾル処方
アトルバスタチンラクトン 0.040g
クロモリンナトリウム 0.04g
(3〜6μmの間の大きさの平均質量粒子まで微粉砕)
エタノールUSP 0.20g
ジクロロジフルオロメタン 19.72g
(プロペラント)
実施例5:ヒトp38α MAPキナーゼ阻害アッセイ
イン・ビトロ無細胞p38α MAPキナーゼ阻害アッセイは、式I/IIa/IIbにおける多数のラクトンにつきClerkら,FEBS Lett.,426:93−96(1998)に記載された方法によって行った。簡単に述べると、E.coli(UBI #14−251)で発現されたヒト組換えp38αプロテインキナーゼを用いた。ミエリン塩基性タンパク質(MBP,UBI #13−110)を基質として使用し、マイクロタイタープレートウェルを4℃にて一晩MBP(0.01mg/mL)で被覆した。候補化合物および/またはビヒクルを、修飾されたHEPES緩衝液pH7.4中の0.075μg/mL酵素と共に25℃にて15分間プレインキュベートした。反応を、100μM ATPの添加によって開始させ、さらに60分間進行させた。溶液を吸引することによって反応を終了させた。リン酸化MBPは、マウスモノクローナルIgG2a抗−ホスホMBP抗体とのインキュベーションによって検出した。結合した抗ホスホMBP抗体は、HRP結合体化ヤギ抗マウスIgGとのインキュベーションによって定量した。プロテインキナーゼ活性は、ABTS マイクロウェルペルオキシダーゼ基質系との反応から得られる405nmにおける光学密度の読み取りに比例した。
この方法を用い、IC50データを得た。結果を前記したように表Iに示す。
実施例6:全細胞抗炎症アッセイ
Welkerら,Int.Arch.Allergy & Immunology 109:110−115(1996)に記載された手法に従うことができる。すなわち、末梢血液単核細胞(PBMC)は、Ficoll−Hypaque(Seromed,Berlin,Germany)での差次的遠心分離によって4名の異なるドナーから調製することができる。2名のドナー(1および2)は、例えば、吸入剤アレルゲンおよび上昇した血清IgEレベルに対して季節性鼻結膜炎を有し得る(刺傷試験で陽性である)。PBMCはほぼ10%のCD14−陽性単球細胞、ほぼ90%リンパ球およびほぼ<1%顆粒球および血小板を含有し得る。
THP−1細胞はATCC(Rockville,Md.,USA;TIB 202)から得られ、10%FCS(Seromed)および50μMメルカプトエタノール(Gibco)を加えたRPMI培地(Gibco,Eggenstein,Germany)中に慣用的に保持することができる。HL−60細胞(ATCC;No.CCL 240)は20%FCSを含むRPMI培地中に維持することができ、U−937細胞(ATCC;No.CCL 1593)は10%FCSを含むRPMI培地中に維持することができる。
以下のグルココルチコイドをDMSOに溶解させる:メチルプレドニゾロンアセポネート(MPA)、メチルプレトニゾロン−17−プロピオネート(MPP)、プレドニカルベート(PC)およびベタメタゾンバレレート(BMV)(Schering,Berlin,Germany)。ストック溶液を、用いる前に培地で<0.1%DMSOまで希釈して、細胞に対する毒性効果を回避する。
全ての細胞(106/mL)を24−ウェルポリスチレン培養プレート中に維持することができ、単独で、または10−5〜10−8M GCを加えて、無血清のRPMI培地(Gibco)中でリポ多糖(LPS;50ng/mL;Sigma,St.Louis,Mo.,USA)で37℃にて24時間刺激することができる。
THP−1細胞、HL−60細胞およびU−937細胞はフォルボールミリステートアセテート(PMA;25ng/mL)のみ、およびカルシウムイオノフォアA23187(Ion;2×10−7M;共にSigmaから)との組合せで刺激することもできる。事前インキュベーション実験において、刺激体の添加前に、細胞を異なるGC(10−6M)と共に1時間培養する。コントロールとして、細胞を、刺激体またはGC無しの、0.1%DMSOを含む、培地のみと共に培養する。インキュベーションの後、細胞を遠心分離し、培養上清を分析するまで−20℃で凍結する。
細胞上清中のサイトカイン(IL−1β,IL−8およびTNF−α)を、ELISA(Quantikine,Biermann,Bad Nauheim,Germany)によって定量することができ、106の生きた細胞について計算された2つの値の平均としてデータを表すことができる。二連測定のデータは非常に狭い限界内でばらつき得る(<5%)。全ての実験は3回(細胞系)または4回(PBMC)反復することができる。PMA/A23187を含むかまたは含まない、そして10−6M MPAを含むかまたは含まない、24時間刺激した5×107THP−1細胞を、3M塩化リチウムおよび6M尿素で溶解させ、20,000rpmにて60分間遠心分離し、RNAをフェノールークロロホルム中で抽出した。
レーン当たり8μgの全RNAを電気泳動に付し、標準的な技術によってニトロセルロース膜(NEN Research,Boston,Mass.,USA)に移すことができる。ノーザンブロットハイブリダイゼーションでは、TNF−α(680bp)のHinIII/Bam−HI DNA断片を用いることができる。32P−標識dCTP(NEN Research)およびランダムプライマー標識キット(Boehringer,Mannheim,Germany)を用いて断片をニックトランスレーションすることができる。ハイブリダイゼーションは、標準的手法に従い、50%ホルムアミド(Sigma)および10%デキストラン硫酸(Sigma)を含有するSSC(NaCl/クエン酸ナトリウム)(Sigma)緩衝液中で42℃にて一晩行うことができる。翌日、ニトロセルロース膜を、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS;Sigma)を含有する2×SSC緩衝液中で42℃にて15分間2回、および0.1 SDSを含有する0.2×SSC中で50℃にて2回洗浄することができる。乾燥の後、ブロットを7日間までX線フィルム(Kodak,Rochester,Mass.,USA)に曝露することができる。
統計学的有意性は両側t−検定で計算することができる。IC50データ(阻害定数)は、コンピュータ−援助プログラム(SPSS,Microsoft)を用い、サイトカイン放出の50%阻害を引き起こすGC濃度として計算することができる。
実施例7:全細胞LPS刺激TNF−α放出アッセイ
Welkerら,Int.Arch.Allergy and Immunol.109:110−115(1996)に記載された手法に従うことができる。簡単に述べれば、候補化合物および/またはビヒクルを、AIM−V培地pH7.4中のヒト末梢血液単核白血球(PBML,5×105/mL)細胞と共に2時間事前インキュベートすることができる。リポ多糖(LPS,25ng/mL)を加えて、細胞を刺激することができ、これを37℃にて一晩インキュベートすることができる。次いで、条件培地中のTNF−αサイトカインレベルをサンドイッチELISAキットを用いて定量することができる。
実施例8:局所的炎症の阻害についてのモデル。体重22±2gである5匹のBALB/c雄マウスの群を、オキサゾロン(100μL,アセトン中1.5%v/v)の剃毛した腹部表面への適用によって感作した。感作から7日後に、候補化合物(20μLアセトン、エタノールまたはエタノールビヒクル中0.1〜5mg)またはビヒクル単独(20μL)を、オキサゾロン(1%v/v,25μL/耳)チャレンジを右側耳と同じ様式で適用する30分前、および15分後に、右側耳の前および後ろ表面に局所適用した。左側耳は未処理であった。各動物の双方の耳の厚みをオキサゾロンチャレンジから24時間後にDyerモデルマイクロメーターゲージで測定し、右側耳−対−左側耳の厚みの正味の増加を各動物について計算した。パーセント阻害は式:[(Iv−It)/Iv]×100に従って計算し、式中、IvおよびItは、各々、ビヒクルおよび候補化合物処理マウスについての右側耳厚み(mm)の平均正味増加をいう。
表IIは、スタチンラクトン、ヒドロキシ酸スタチンの塩形態、インドメタシン、およびその組合せを用い、この方法を用いて得られた結果をまとめる。
(表II)
スタチンラクトン、インドメタシン、ヒドロキシ酸スタチンの塩形態およびその組合せによるオキサゾロン−誘導マウス耳の腫れの阻害の結果
表IIは2×0.3mgの用量におけるアトルバスタチンラクトンの投与に際しての炎症耳腫れの50%、58%または40%阻害を示し、他方、非−スタチン抗−炎症剤インドメタシンの投与は44%阻害を示した。また、表IIは炎症の64%阻害を示し、ここに、処理はアトルバスタチンラクトンおよびインドメタシンの投与を含むものであった。64%阻害は、スタチンラクトンおよび非−スタチン抗−炎症剤の組合せによる相乗効果の例である。
いくつかの観察がこのデータからなすことができる。まず、アトルバスタチンラクトンはこのアッセイにおいて最も優れた抗−炎症活性を呈し、2×0.3mgの用量において耳腫れは40%阻害される。第2に、アトルバスタチンラクトンは非−ステロイド抗−炎症薬物インドメタシンと同様な能力を呈する。第3に、アトルバスタチンラクトンおよびインドメタシンの組合せは、いずれかの剤単独よりも耳腫れを低下させるにおいてより効果的である。第4に、アトルバスタチンナトリウムおよびピタバスタチンカルシウムは、各々、2×2mgの用量において、63%および60%だけ耳腫れを効果的に阻害する。
実施例9:側鎖合成のためのスキーム
式I/IIの化合物のラクトン/ヒドロキシ酸ヒドロキシ側鎖を合成するための全スキームを以下に掲げる。全スキームを実行するための2つのアプローチを実施例9aおよび9bに詳細に示す。
実施例9a:側鎖合成スキームを行うためのアプローチ1
1つのアプローチにおいて、側鎖を結合させるにおいて以下に示す構造を用い、8工程で調製される(工程1〜8)。
工程1:エチル5−ヒドロキシ−3−オキソ−7−(トリメチルシリル)ヘプト−6−イノエート、1は以下のように調製される。
全てのガラス器具は高温オーブン中で予め乾燥し、反応混合物は一定窒素流下で維持する。−78℃のテトラヒドロフラン(1500mL)中のジイソプロピルアミン(174.3mL)の溶液にカニューレを介してn−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M,666.6mL)を加える。混合物を0.5時間で−40℃まで温め、次いで、−78℃まで逆に冷却し、アセト酢酸エチル(104.3g)を純物を滴下する。冷却浴を取り除き、混合物を1時間温め、次いで、−78℃まで再度冷却し、アルデヒド(103.0g)を純物を滴下する。反応を16時間にわたって雰囲気温度まで温め、混合物を酢酸エチルおよび水の間に分配し、水性層をpH2まで酸性化する。水性層をさらに酢酸エチルの何回か分で抽出し、併せた有機物をブラインで2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、茶色油(266g)まで濃縮し、これを次の工程で粗生成物として用いる。
この工程で得られた化合物は以下のNMRデータで示す:
工程2:エチル3,5−ジヒドロキシ−7−(トリメチルシリル)ヘプト−6−イノエート、2は以下のように調製される。
全てのガラス器具は高温オーブン中で予め乾燥し、反応混合物を一定窒素流下に維持する。無水テトラヒドロフラン(2000mL)および無水メタノール(220mL)の混合物中の粗製エチル5−ヒドロキシ−3−オキソ−7−(トリメチルシリル)ヘプト−6−イノエート、1の溶液を−78℃まで冷却し、ジエチルメトキシボラン(107.3mL)を純物を滴下する。混合物を1時間攪拌し、次いで、ホウ水素化ナトリウム(30.9g)を何回かに分けて加える。混合物を16時間にわたって雰囲気温度まで温め、次いで、氷浴中で冷却し、酢酸(170g)を加える。0.5時間攪拌した後、反応混合物を酢酸エチルおよび炭酸水素ナトリウム水溶液の間に分配し、有機層をpH8まで温め、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、茶色油まで濃縮する。該油をメタノールに溶解させ、真空中で60℃にて濃縮する。この3回のさらなる反復の後、粗製表記化合物(152g)を次の工程のために取る。
この工程で得られた化合物は以下のNMRデータを示す:
工程3:エチル2−(2,2−ジメチル−6−((トリメチルシリル)エチニル)−1,3−ジオキサン−4−イル)アセテート、3は以下のように調製される。
全てのガラス器具は高温オーブン中で予め乾燥し、反応混合物を一定窒素流下に維持する。無水エチレングリコールジメチルエーテル(1100mL)中の粗製エチル3,5−ジヒドロキシ−7−(トリメチルシリル)ヘプト−6−イノエート、2(152.0g)、2,2−ジメトキシプロパン(362.0mL)、p−トルエンスルホン酸一水和物(56.0g)および3Åモレキュラーシール(200g)を含有する溶液を雰囲気温度にて16時間振盪する。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、炭酸水素ナトリウム水溶液に対して分配する。有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮する。フラッシュクロマトグラフィーによる精製により、表記化合物(89.6g)を油として得る。
この工程で得られた化合物は以下のNMRデータを示す:
工程4:2−(6−エチニル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル)酢酸、4は以下のように調製する。
0℃におけるエタノール(155mL)中の2−(2,2−ジメチル−6−((トリメチルシリル)エチニル)−1,3−ジオキサン−4−イル)酢酸エチル、3(30.0g)の溶液に、水酸化ナトリウムの溶液(2M,105.7mL)の溶液を滴下する。雰囲気温度における3時間の攪拌の後、混合物を酢酸エチルおよび水の間に分配する。水性層を酢酸エチルの3回分で洗浄し、有機物を捨てる。水性層をpH4まで酸性化し、酢酸エチルの4回分で抽出する。併せた有機物を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮して、表記化合物(16.6g)を得る。
この工程で得られた化合物は以下のNMRデータを示す:
工程5:(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エタナミニウム,(4R,6S)−および(4S,6R)−2−(6−エチニル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル)酢酸塩、5は以下のように調製される。
0℃のジエチルエーテル(200mL)中の2−(6−エチニル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル)酢酸、4(63.4g)の冷却溶液に、ジエチルエーテル(200mL)中の(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エタナミン(54.9g)の溶液を加える。混合物を0.5時間攪拌し、溶媒を真空中で除去して、ジアステレオマー塩5の混合物(117.0g)を得る。
工程6:(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エタナミニウム,2−((4R,6S)−6−エチニル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル)酢酸塩、6は以下のように調製される。
粗製塩、5(117g)は45mg/mLの濃度にて熱メチルイソブチルケトンから再結晶する。得られた結晶を濾過し、氷冷メチルイソブチルケトン、次いで、ヘキサンで洗浄し、真空中で乾燥する。このプロセスをさらに2回反復し、その時点で、物質は、キラルHPLC(ヘキサン中の1〜8%エタノールで溶出するChiralpak ADカラム)および
1H NMR(29.8g)によって評価してジアステレオマー的に純粋である。
この工程で得られた化合物は以下のNMRデータを示す:
工程7:2−((4R,6S)−6−エチニル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル)酢酸、7は以下のように調製する。
(R)−1−(ナフタレン−1−イル)エタナミニウム,2−((4R,6S)−6−エチニル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル)酢酸塩、6(6.58g)を酢酸エチルおよび希塩酸(0.2M,89.2mL)の間に分配する。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮して、2−((4R,6S)−6−エチニル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル)酢酸、7を黄色油(3.60g)が得られ、これをさらに精製することなく用いる。
この工程で得られた化合物は以下のNMRデータを示す:
工程8:2−((4R,6S)−6−エチニル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル)酢酸エチル、8は以下のように調製される。
無水アセトニトリル(40mL)中の2−((4R,6S)−6−エチニル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル)酢酸、7(3.60g)の溶液に、無水アセトニトリル(10mL)中のヨードエタン(4.25g)の溶液、続いて、無水アセトニトリル(10mL)中の1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(4.15g)の溶液を加える。混合物を1.5時間で55℃まで温め、次いで、冷却し、溶媒を真空中で除去する。残渣を酢酸エチルおよび炭酸水素ナトリウム水溶液の間に分配する。有機層を0.05M塩酸、次いで、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、油(3.01g)まで濃縮する。
この工程で得られた化合物は以下のNMRデータを示す:
実施例9b:側鎖合成スキームを行うためのアプローチ2
第2のアプローチにおいて、以下に示す構造を側鎖を結合させるのに用いる。この構造は、後に詳細に記載するように、実施例9aで得られた産物から1工程(工程1)で調製することができる。
工程1:2−((4S,6R)−2,2−ジメチル−6−ビニル−1,3−ジオキサン−4−イル)酢酸エチル、9は以下のように調製する。
エタノール(15mL)中の2−((4R,6S)−6−エチニル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル)酢酸エチル、8(0.70g)の溶液にギ酸アンモニウム(1.95g)、キノリン(13μL)および炭酸カルシウム上のパラジウム(0.07g)を加える。反応混合物を、反応が完了するまで、ギ酸アンモニウムおよび炭酸カルシウム上のパラジウムを周期的に添加しつつ加熱灌流する。次いで、反応をCeliteを通して濾過し、酢酸エチルおよび水の間に分配する。有機相を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、再度濾過し、蒸発させて、表記化合物(0.62g)を得る。
この工程で得られた化合物は以下のNMRデータを示す:
実施例10:N−ピリジルピラゾール化合物の合成のためのスキーム
本発明の式VIのN−ピリジル置換ピラゾール化合物を合成するための全スキームを以下に掲げる。以下の実施例10a、10b、10cおよび10dは全スキームに従った4つの具体例を詳細に記載する。
実施例10a:N−ピリジルピラゾールの合成
1つの具体例において、以下に示す構造を有する化合物は9つの工程(工程1〜9)で調製される。
工程1:1−(4−フルオロフェニル)−4−メチルヘキサン−1,3−ジオン、10は以下のように調製される。
窒素下、無水1,4−ジオキサン(150mL)中の水素化ナトリウム(15g)の0℃懸濁液に、1,4−ジオキサン(50mL)中の1−(4−フルオロフェニル)エタノンの溶液、続いて、1,4−ジオキサン(50mL)中のエチル−2−メチルブタノエートの溶液を滴下する。反応溶液を4時間で80℃まで加熱し、その間に、激しいガスの発生が起こる。反応混合物を氷冷1N塩酸に注ぎ、次いで、酢酸エチルで2回抽出する。合わせた有機層をブラインで洗浄し、次いで、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮する。減圧下での蒸留により、12.4gの表記化合物を油として得る。
この工程で得られた化合物は以下の沸点およびマススペクトルデータを示す:
1mmHgにおける沸点101〜104℃
LC/MS:C13H15FO2は221.1を必要とする;観察されたM/Z 221.3[M−H]−。RT(RT)5.62分。
工程2:4−ヒドラジニルピリジン−2(1H)−オン、11は以下のように調製される。
2−エトキシエタノール(20mL)中の4−ヒドロキシピリジン−2(1H)−オン(5g)の懸濁液にヒドラジン(10mL)を加える。混合物を窒素でフラッシュし、次いで、4日間加熱灌流する。0℃まで冷却するに際し、表記化合物は沈殿を形成し、これを濾過し、次いで、沸騰エタノール中に取り、再度濾過し、さらに熱エタノールで洗浄する。真空中での溶媒の除去により、2.2gの表記化合物を得る。
この工程で得られた化合物は以下のマススペクトルデータを示す:LC/MS:C5H7N3Oは125.1を必要とする;観察されたM/Z 126.1[M+H]+。RT0.50分。
工程3:4−(3−sec−ブチル−5−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)ピリジン−2(1H)−オン、12aおよび4−(5−sec−ブチル−3−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)ピリジン−2(1H)−オン、12bは以下のように調製される。
1−(4−フルオロフェニル)−4−メチルヘキサン−1,3−ジオン、10(0.200g)および4−ヒドラジニルピリジン−2(1H)−オン、11(0.113g)の溶液を酢酸(3mL)に溶解させ、混合物を2時間で90℃まで加熱する。冷却に際し、溶液を炭酸水素ナトリウムでクエンチし、酢酸エチルで抽出する。水性層を酢酸エチルのさらなる分で抽出し、合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮して油とし、これは放置すると結晶化する。残渣を9:1イソ−ヘキサン/酢酸エチルでトリチュレートして、0.145gの12aおよび12bを混合物として得る。
この工程で得られた化合物は以下のマススペクトルデータを示す:LC/MS:C18H18FN3Oは311.1を必要とする;観察されたM/Z 312.2[M+H]+,310.3[M−H]−。RT 5.25分。
工程4:4−(5−sec−ブチル−3−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)−2−クロロピリジン、13aおよび4−(3−sec−ブチル−5−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)−2−クロロピリジン、13bは以下のように調製される。
位置異性体12aおよび12bの混合物(5.3g)をオキシ塩化リン(30mL)に溶解させ、16時間で95℃まで加熱する。冷却に際して、反応混合物を氷−水に注ぎ、次いで、酢酸エチルで抽出する。有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液およびブラインで洗浄し、次いで、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮する。フラッシュクロマトグラフィーにより、2.77gの4−(5−sec−ブチル−3−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)−2−クロロピリジン、13aおよび0.54gの4−(3−sec−ブチル−5−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)−2−クロロピリジン、13bならびに0.57gの混合した画分を得る。
4−(5−sec−ブチル−3−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)−2−クロロピリジン、13aは以下のマススペクトルおよびNMRデータを示す。
LC/MS:C18H17ClFN3は329.1を必要とする;観察されたM/Z 330.1/332.0(Cl)[M+H]+。RT 7.40分。
4−(3−sec−ブチル−5−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)−2−クロロピリジン、13bは以下のマススペクトルデータを示す。
LC/MS:C18H17ClFN3は329.1を必要とする;観察されたM/Z 330.1/332.0(Cl)[M+H]+。RT7.40分。
工程5:4−(4−ブロモ−5−sec−ブチル−3−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)−2−クロロピリジン、14は以下のように調製される。
4−(5−sec−ブチル−3−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)−2−クロロピリジン、13a(2.49g)およびN−ブロモスクシンイミド(2.69g)の溶液をN,N−ジメチルホルムアミド(40mL)に溶解させ、室温にて3時間攪拌する。粗製混合物を水およびジクロロメタンの間に分解し、水性相をジクロロメタンのさらなる分で抽出する。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮する。フラッシュクロマトグラフィーにより、2.54gの表記化合物を得る。
この工程で得られた化合物は以下のマススペクトルデータを示す:LC/MS:C18H16BrClFN3は407.0を必要とする;観察されたM/Z 407.8/409.9/411.9(Br/Cl)[M+H]+。RT 8.21分。
工程6:4−(4−ブロモ−5−sec−ブチル−3−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)−N−フェニルピリジン−2−アミン、15は以下のように調製する。
2,2,2−トリフルオロエタノール(20mL)中の4−(4−ブロモ−5−sec−ブチル−3−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)−2−クロロピリジン、14(2.53g)およびアニリン(1.13g)の溶液にトリフルオロ酢酸(2.21mL)を滴下し、混合物を36時間で80℃まで加熱する。冷却に際して、反応混合物を炭酸水素ナトリウムおよび酢酸エチルの間に分配する。有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮する。フラッシュクロマトグラフィーによる精製により、1.10gの表記化合物を得る。
この工程で得られた化合物は以下のマススペクトルデータを示す:LC/MS:C24H22BrFN4は464.1を必要とする;観察されたM/Z 464.9/466.9(Br)[M+H]+,463.0/465.0(Br)[M−H]−。RT7.72分。
工程7:2−((4R,6S)−6−((E)−2−(5−sec−ブチル−3−(4−フルオロフェニル)−1−(2−(フェニルアミノ)ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)ビニル)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル)酢酸エチル、16は以下のように調製される。
窒素下、テトラヒドロフラン(3mL)中の2−((4R,6S)−エチニル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル)酢酸エチル、9(1.34g)およびジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(0.040g)の0℃溶液に、純物水素化トリブチルスズ(1.79g)を滴下する。得られた混合物を30分間攪拌し、次いで、N,N−ジメチルホルムアミド(4mL)中の4−(4−ブロモ−5−sec−ブチル−3−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)−N−フェニルピリジン−2−アミン、15(1.10g)およびジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(80mg)を含有する溶液に加える。反応混合物を窒素でフラッシュし、16時間で80℃まで加熱する。冷却に際して、混合物を酢酸エチルおよびブラインの間に分配し、有機層をさらにブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮する。フラッシュクロマトグラフィによる精製により、0.57gの表記化合物を得る。
この工程で得られた化合物は以下のマススペクトルデータを示す:LC/MS:C36H41FN4O4は612.3を必要とする;観察されたM/Z 613.1[M+H]+,611.3[M−H]−。RT 7.60分。
工程8:(3R,5S,E)−エチル 7−(3−sec−ブチル−5−(4−フルオロフェニル)−1−(2−フェニルアミノ)ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エノエート、17は以下のように調製される。
3.1のテトラヒドロフラン/水(10mL)中の2−((4R,6S)−6−((E)−2−(5−sec−ブチル−3−(4−フルオロフェニル)−1−(2−(フェニルアミノ)ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)ビニル)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル)酢酸エチル、16(0.640g)の0℃溶液に、p−トルエンスルホン酸一水和物(0.298g)を加え、混合物を室温にて72時間攪拌する。反応混合物を酢酸エチルおよびブラインの間に分配し、有機層を炭酸水素ナトリウムおよびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮する。フラッシュクロマトグラフィーによる精製により、0.270gの表記化合物を得る。
この工程で得られた化合物は以下のマススペクトルデータを示す:LC/MS:C33H37FN4O4は572.3を必要とする;観察されたM/Z 573.2[M+H]+,571.2[M−H]−。RT 5.79分。
工程9:(3R,5S,E)−7−(3−sec−ブチル−5−(4−フルオロフェニル)−1−(2−(フェニルアミノ)ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エン酸カルシウムエン、18は以下のように調製される。
エタノール(0.6mL)中の(3R,5S,E)−エチル 7−(3−sec−ブチル−5−(4−フルオロフェニル)−1−(2−フェニルアミノ)ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エノエート、17(0.135g)の0℃溶液に、1M水酸化ナトリウム溶液(0.236mL)を滴下し、混合物を室温にて2時間攪拌する。化合物が沈殿を開始するまで、エタノールを真空中で除去し、次いで、塩化カルシウム水溶液(0.118M,2.0mL)を滴下する。得られた沈殿を濾過し、水、アセトニトリル、水、アセトニトリルで洗浄し、真空中で乾燥して、表記化合物(0.077g)を得る。
この工程で得られた化合物は以下のマススペクトルおよびNMRデータを示す。
LC/MS 遊離酸として:C31H33FN4O4は544.2を必要とする;観察されたM/Z 545.1 [M+H]+,545.0[M−H]−。RT 2.99分。
実施例10b:N−ピリジルピラゾールの合成
第2の実施形態実施例において、以下に示す構造を有する化合物は前記で詳細に記載した実施例10aで得られた生成物から1つの工程(工程1)で調製される。
工程1:(4R,6S,E)−6−(2−(3−sec−ブチル−5−(4−フルオロフェニル)−1−(2−(フェニルアミノ)ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)ビニル)−4−ヒドロキシ−テトラヒドロピラン−2−オン、19は以下のように調製される。
(3R,5S,E)−7−(3−sec−ブチル−5−(4−フルオロフェニル)−1−(2−(フェニルアミノ)ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エン酸カルシウム塩、18(0.050g)をトルエン(2.5mL)に溶解させ、10時間で90℃まで加熱する溶液を真空中で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィーによって精製して、0.026gの表記化合物を粉末として得る。
この工程で得られる化合物は以下のマススペクトルおよびNMRデータを示す。
LC/MS:C31H31FN4O3は526.2を必要とする;観察されたM/Z 527.1[M+H]+,525.2[M−H]−。RT 5.59分。
実施例10cおよび10d:N−ピリジルピラゾールの合成
2つのさらなる具体例において、以下に示す構造を有する化合物は、前記実施例10aで得られた中間体17から2つの工程(工程1〜2)で調製される。
工程1:(3R,5R)−エチル 7−(3−sec−ブチル−5−(4−フルオロフェニル)−1−(2−(フェニルアミノ)ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタノエート、20および(4R,6R)−6−(2−(3−sec−ブチル−5−(4−フルオロフェニル)−1−(2−(フェニルアミノ)ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)エチル)−4−ヒドロキシ−テトラヒドロピラン−2−オン、21は以下のように調製される。
エタノール(5mL)中の(3R,5S,E)−エチル 7−(3−sec−ブチル−5−(4−フルオロフェニル)−1−(2−フェニルアミノ)ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エノエート、17(0.100g)、ギ酸アンモニウム(0.220g)および炭素上のパラジウム(0.020g)を含有するフラスコを3時間で80℃まで加熱し、1時間毎にギ酸アンモニウムおよび触媒のさらなる分を加える。得られた混合物をセライトを通して濾過し、真空中で濃縮し、次いで、フラッシュクロマトグラフィーによって精製して、0.043gの(3R,5R)−エチル 7−(3−sec−ブチル−5−(4−フルオロフェニル)−1−(2−(フェニルアミノ)ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタノエート、20および(4R,6R)−6−(2−(3−sec−ブチル−5−(4−フルオロフェニル)−1−(2−(フェニルアミノ)ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)エチル)−4−ヒドロキシ−テトラヒドロピラン−2―オン、21(0.002g)を得る。
(3R,5R)−エチル 7−(3−sec−ブチル−5−(4−フルオロフェニル)−1−(2−(フェニルアミノ)ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタノエート、20は以下のマススペクトルデータを示す:C/MS:C33H39FN4O4は574.3を必要とする;観察されたM/Z 575.1[M+H]+。RT 5.85分。
(4R,6R)−6−(2−(3−sec−ブチル−5−(4−フルオロフェニル)−1−(2−(フェニルアミノ)ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)エチル)−4−ヒドロキシ−テトラヒドロピラン−2―オン、21は以下のマススペクトルデータを示す:LC/MS:C31H33FN4O3は528.3を必要とする;観察されたM/Z 529.1[M+H]+。RT 5.50分。
工程2:(3R,5R)−7−(3−sec−ブチル−5−(4−フルオロフェニル)−1−(2−(フェニルアミノ)ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸カルシウム塩、22は以下のように調製される。
(3R,5R)−7−(3−sec−ブチル−5−(4−フルオロフェニル)−1−(2−(フェニルアミノ)ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸カルシウム塩、22(0.026g)は、(3R,5R)−エチル 7−(3−sec−ブチル−5−(4−フルオロフェニル)−1−(2−(フェニルアミノ)ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタノエート、20(0.043g)から、実施例10a、工程9と同様にして粉末として得られる。
この工程で得られる化合物は以下のマススペクトルおよびNMRデータを示す:
LC/MS:C31H35FN4O4は546.3を必要とする;観察されたM/Z 547.2[M+H]+。RT 3.07分。
実施例11:N−ピリミジニルピラゾール化合物の合成についてのスキーム
本発明の式VIのN−ピリミジニル置換ピラゾール化合物を合成するための全スキームは以下に掲げる。以下の実施例11a〜gおよび11iは、全スキームに従った8つの具体例を詳細に記載する。
実施例11a:N−ピリミジニルピラゾールの合成
1つの具体例において、以下に示す構造を有する化合物は、8つの工程(工程1〜8)で調製される。
工程1:3,5−ジフェニル−1H−ピラゾール、22は以下のように調製される。
ヒドラジン一水和物(2.16mL)をエタノール(100mL)中の1,3−ジフェニルプロパン−1,3−ジオン(10.0g)の溶液に加え、混合物を2.5時間で60℃まで加熱し、この時間にわたって白色沈殿を形成する。エタノールを真空中で除去し、残渣を酢酸エチル中に取る。得られた懸濁液を濾過して、3,5−ジフェニル−1H−ピラゾール、22(3.44g)を白色粉末として得る。濾液を水(2×100mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮して、さらに3,5−ジフェニル−1H−ピラゾール、22(5.90g)を固体として得る。
この工程で得られた化合物は以下のマススペクトルデータを示す:LC/MS:C15H12N2は220.1を必要とする;観察されたM/Z 221.3[M−H]−,219.4[M−H]−。RT 4.84分。
工程2:4−(3,5−ジフェニル−1H−ピラゾール−1−イル)−2−(メチルチオ)ピリミジン、23は以下のように調製する。
無水N,N−ジメチルホルムアミド(71mL)中の3,5−ジフェニル−1H−ピラゾール、22(9.34g)の溶液を、窒素下、N,N−ジメチルホルムアミド(36mL)中の水素化ナトリウムの懸濁液(鉱油中60%分散液の1.87g)に滴下する。滴下が完了した後、無水N,N−ジメチルホルムアミド(24mL)中の4−クロロー2−(メチルチオ)ピリミジン(6.82g)の溶液を滴下し、反応混合物を雰囲気温度にて1時間攪拌する。次いで、水を注意深く加え、生成物を酢酸エチルで抽出する。有機層を水、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し濃縮する。フラッシュクロマトグラフィーによる精製により、8.06gの表記化合物を得る。
この工程で得られた化合物は以下のマススペクトルデータを示す:LC/MS:C20H16N4Sは344.1を必要とする;観察されたM/Z 345.1[M+H]+。RT 6.60分。
工程3:4−(3,5−ジフェニル−1H−ピラゾール−1−イル)−2−(メチルスルホニル)ピリミジン、24は以下のように調製される。
テトラヒドロフラン(145mL)およびメタノール(320mL)の混合液中の4−(3,5−ジフェニル−1H−ピラゾール−1−イル)−2−(メチルチオ)ピリミジン、23(8.06g)の溶液に、水(80mL)中のオキソン(57.60g)および酢酸ナトリウム三水和物(44.64g)のスラリーを加える。フラスコを窒素でフラッシュし、次いで、雰囲気温度にて20時間攪拌し、その後、混合物を水およびジクロロメタンの間に分配する。有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮して、固体を得る。ジエチルエーテルでのトリチュレーションによる精製により、表記化合物(7.70g)を得る。
この工程で得られた化合物は以下のマススペクトルデータを示す:LC/MS:C20H16N4O2Sは376.1を必要とする;観察されたM/Z 377.1[M+H]+。RT 6.10分。
工程4:4−(4−ブロモ−3,5−ジフェニル−1H−ピラゾール−1−イル)−2−(メチルスルホニル)ピリミジン、25は以下のように調製される。
N,N−ジメチルホルムアミド(35mL)中の4−(3,5−ジフェニル−1H−ピラゾール−1−イル)−2−(メチルスルホニル)ピリミジン、24(3.50g)の溶液に固体のN−ブロモスクシンイミド(2.49g)を加え、混合物を雰囲気温度にて16時間攪拌する。反応混合物を水および酢酸エチルの間に分配し、有機層をブラインで洗浄する。併せた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、真空中で濃縮し、得られた固体をジエチルエーテルでトリチュレートして、表記化合物(4.06g)を得る。
この工程で調製されるべき化合物は以下のマススペクトルデータを示す:LC/MS;C20H15BrN4O2Sは454.0を必要とする;観察されたM/Z 454.9/456.9(Br)[M+H]+。RT 6.04分。
工程5:4−(4−ブロモ−3,5−ジフェニル−1H−ピラゾール−1−イル)−N−フェニルピリミジン−2−アミン、26は以下のように調製される。
ジメチルスルホキシド(40mL)中の4−(4−ブロモ−3,5−ジフェニル−1H−ピラゾール−1−イル)−2−(メチルスルホニル)ピリミジン、25(4.00g)およびアニリン(1.60mL)の溶液を60時間で110℃まで加熱する。次いで、反応混合物を酢酸エチルおよびブラインの間に分配し、水性層をさらなる酢酸エチルで抽出する。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮する。フラッシュクロマトグラフィーによる精製により、表記化合物(1.13g)を得る。
この工程で得られた化合物は以下のマススペクトルデータを示す:LC/MS:C25H18BrN5は467.1を必要とする;観察されたM/Z 467.9/469.9[M+H]+。RT 6.92分。
工程6:2−((4R,6S)−6−((E)−2−(3,5−ジフェニル−1−(2−(フェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)ビニル)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル)酢酸エチル、27は以下のように調製される。
4−(4−ブロモ−3,5−ジフェニル−1H−ピラゾール−1−イル)−N−フェニルピリミジン−2−アミン、26(0.300g)、2−((4S,6R)−2,2−ジメチル−6−ビニル−1,3−ジオキサン−4−イル)酢酸エチル、9(0.249g)およびジクロロビス−(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(0.012g)を、窒素下、N,N−ジメチル−ホルムアミド(1mL)およびトリエチルアミン(1mL)の混合液に溶解させ、混合物を36時間で110℃まで加熱し、この間に触媒のさらに2回分を加える。反応を冷却し、Celiteを通して濾過し、真空中で溶媒を除去する。得られた残渣をジクロロメタンおよび水の間に分配し、有機層をブラインで洗浄する。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過および濃縮の後、粗製残渣をフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、表記化合物(0.195g)を得る。
別法として、生成物27(0.585g)は、4−(4−ブロモ−3,5−ジフェニル−1H−ピラゾール−1−イル)−N−フェニルピリミジン−2−アミン、26(0.886g)から、実施例10a、工程7と同様にして灰色がかった白色粉末として得る。
この工程で得られる化合物は以下のマススペクトルデータを示す:LC/MS:C37H37N5O4は615.3を必要とする;観察されたM/Z 616.2[M+H]+,614.4[M−H]−。RT 7.34分。
工程7:(3R,5S,E)−エチル 7−(3,5−ジフェニル−1−(2−(フェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エノエート、28は以下のように調製される。
生成物(0.347g)は、2−((4R,6S)−6−((E)−2−(3,5−ジフェニル−1−(2−(フェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)ビニル)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル)酢酸エチル、27(0.574g)から実施例10a、工程8と同様にして得られる。
この工程で得られた化合物は以下のマススペクトルデータを示す:LC/MS:C34H33N5O4は575.3を必要とする;観察されたM/Z 576.2[M+H]+。RT 5.62分。
工程8:(3R,5S,E)−7−(3,5−ジフェニル−1−(2−(フェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エン酸カルシウム塩、29は以下のように調製される。
生成物(0.072g)は、(3R,5S,E)−エチル 7−(3,5−ジフェニル−1−(2−(フェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エノエート、28(0.160g)から、実施例10a、工程9と同様にして得られる。
この工程で得られる化合物は以下のマススペクトルおよびNMRデータを示す:
LC/MS 遊離酸として:C32H29N5O4は547.2を必要とする;観察された548.1[M+H]+,546.2[M−H]−。RT 2.84分。
実施例11b:N−ピリミジニルピラゾールの合成
第2の具体例において、以下に示す構造を有する化合物は、前記で詳細に記載した実施例11aで得られた生成物から1つの工程(工程1)で調製される。
工程1:(4R,6S,E)−6−(2−(3,5−ジフェニル−1−(2−(フェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)ビニル)−4−ヒドロキシ−テトラヒドロピラン−2−オン、30は以下のように調製される。
生成物(0.018g)は、(3R,5S,E)−7−(3,5−ジフェニル−1−(2−(フェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)−3,5−ジヒドロキイシルヘプタ−6−エン酸カルシウム塩、29(0.050g)から、実施例10b、工程1と同様にして得られる。
この工程で得られる化合物は以下のマススペクトルおよびNMRデータを示す:
LC/MS:C32H27N5O3は529.2を必要とする;観察された530.1[M+H]+,528.2[M−H]−。RT 5.20。
実施例11cおよび11d:N−ピリミジニルピラゾールの合成
2つのさらなる具体例において、以下に示す構造を有する化合物は、前記実施例11aで得られた中間体28から2つの工程(工程1〜2)で調製される。
工程1:(3R,5R)−エチル 7−(3,5−ジフェニル−1−(2−(フェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタノエート、31および(4R,6R)−6−(2−(3,5−ジフェニル−1−(2−(フェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)エチル)−4−ヒドロキシ−テトラヒドロピラン−2−オン、32は以下のように調製される。
エタノール(10mL)中の(3R,5S,E)−エチル 7−(3,5−ジフェニル−1−(2−(フェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エノエート、28(0.227g)、ギ酸アンモニウム(0.500g)および炭素上のパラジウム(0.050g)を含有するフラスコを2時間で80℃まで加熱し、45分毎に触媒およびギ酸アンモニウム過剰分を加える。反応混合物を雰囲気温度にて16時間放置し、次いで、Celiteを通して濾過し、濃縮する。得られた残渣を酢酸エチルおよび水の間に分配し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮する。フラッシュクロマトグラフィーによる精製により、(3R、5R)−エチル 7−(3,5−ジフェニル−1−(2−(フェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタノエート、31(0.162g)および(4R,6R)−6−(2−(3,5−ジフェニル−1−(2−(フェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)エチル)−4−ヒドロキシ−テトラヒドロピラン−2−オン、32(0.023g)を得る。
(3R,5R)−エチル 7−(3,5―ジフェニル−1−(2−(フェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタノエート、31は以下のマススペクトルデータを示す:
LC/MS:C34H35N5O4は577.3を必要とする;観察されたM/Z 578.1[M+H]+,576.2[M−H]−。5.72分のRT。
(4R,6R)−6−(2−(3,5−ジフェニル−1−(2−(フェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル(エチル)−4−ヒドロキシ]−テトラヒドロピラン−2−オン、32は以下のマススペクトルおよびNMRデータを示す:
LC/MS:C32H29N5O3は、531.2を必要とする;観察されたM/Z 532.1[M+H]+,530.2[M−H]−。RT 5.34分。
工程2:(3R,5R)−7−(3,5−ジフェニル−1−(2−(フェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸、33は以下のように調製される。
生成物(0.090g)は、(3R,5R)−エチル−7−(3,5−ジフェニル−1−(2−(フェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸、31(0.162g)から、実施例10a、工程9と同様にして得られる。
この工程で得られた化合物は以下のマススペクトルおよびNMRデータを示す:
LC/MS 遊離酸として:C32H31N5O4が549.2を必要とする;観察されたM/Z 550.1[M+H]+,548.2[M−H]−。RT 3.04分。
実施例11e:N−ピリミジニルピラゾールの合成
第5の具体例において、以下に示す構造を有する化合物は9つの工程(工程1〜9)で調製される。
工程1:4−メチル−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ペンタン−1,3−ジオン、34は以下のように調製される。
生成物(4.91g)は、1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)エタノン(10.00g)およびイソ酪酸エチル(6.00g)から、実施例10a、工程1と同様にして透明な油として得られる。
この工程で得られた化合物は以下の沸点およびマススペクトルデータを示す:
1mmHgにおける沸点67−80℃
LC/MS:C13H13F3O2は258.1を必要とする;観察されたM/Z 257.3[M−H]−。RT 5.09分。
工程2:4−ヒドラジニル−2−(メチルチオ)ピリミジン、35は以下のように調製される。
エタノール(200mL)中の4−クロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン(50.0g)の溶液にヒドラジン(15.58g)を一度に加え、混合物を雰囲気温度にて16時間攪拌し、その間に、沈殿が形成される。この沈殿を濾過し、豊富な氷冷エタノールで洗浄して、表記化合物(25.0g)を白色粉末として得る。
この工程で得られた化合物は以下のマススペクトルデータを示す:LC/MS:C5H8N4Sは156.0を必要とし、観察されたM/Z 157.2[M+H]+,155.3[M−H]―。RT 1.79分。
工程3:4−(3−イソプロピル−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)−2−(メチルチオ)ピリミジン、36は以下のように調製される。
4−メチル−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ペンタン−1,3−ジオン、34(1.65g)および4−ヒドラジニル−2−(メチルチオ)ピリミジン、35(1.00g)は酢酸(15mL)に溶解させ、混合物を2時間で90℃まで加熱する。冷却し、混合物をジクロロメタンおよび炭酸水素ナトリウム水溶液の間に分配し、水性層をジクロロメタンのさらに2回分で洗浄する。合わせた有機物をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮する。フラッシュクロマトグラフィーによる精製によって、表記化合物(1.29g)を得る。
この工程で得られた化合物は以下のマススペクトルデータを示す:LC/MS:C18H17F3N4Sは378.1を必要とする;観察されたM/Z 379.0[M+H]+。RT 7.43分。
工程4:4−(3−イソプロピル−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)−2−(メチルスルホニル)ピリミジン、37は以下のように調製される。
生成物(0.485g)は、4−(3−イソプロピル−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)−2−(メチルチオ)ピリミジン、36(0.50g)から、実施例11a、工程3と同様にして得られる。
この工程で得られた化合物は以下のマススペクトルデータを示す:LC/MS:C18H17F3N4O2Sは410.1を必要とする;観察されたM/Z 411.0[M+H]+。RT 5.68分。
工程5:4−(4−ブロモ−3−イソプロピル−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)−2−(メチルスルホニル)ピリミジン、38は以下のように調製される。
生成物(0.524g)は、フラッシュクロマトグラフィーの後に、4−(3−イソプロピル−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)−2−(メチルスルホニル)ピリミジン、37(0.496g)から、実施例11a、工程4と同様にして得られる。
この工程で得られた化合物は以下のNMRデータを示す:
工程6:4−(4−ブロモ−3−イソプロピル−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)−2−メトキシピリミジン、39は以下のようにして得られる。
メタノール(3mL)中の4−(4−ブロモ−3−イソプロピル−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)−2−(メチルスルホニル)ピリミジン、38(0.745g)およびナトリウムメトキシド(0.087g)の混合物を2時間で60℃まで加熱する。冷却に際し、溶媒を蒸発によって除去し、残渣をフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、表記化合物(0.582g)を得る。
この工程で得られた化合物は以下のマススペクトルデータを示す:LC/MS:C18H16BrF3N4Oは440.0を必要とする;観察されたM/Z 440.9/442.9(Br)[M+H]+。RT 6.92分。
工程7:2−((4R,6S)−6−((E)−2−(3−イソプロピル−1−(2−メトキシピリミジン−4−イル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル)ビニル)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル)酢酸エチル、40は以下のように調製される。
4−(4−ブロモ−3−イソプロピル−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)−2−メトキシ−ピリミジン、39(0.500g)、2−((4S,6R)−2,2−ジメチル−6−ビニル−1,3−ジオキサン−4−イル)酢酸エチル、9(0.440g)およびジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(0.024g)を、窒素下、N,N−ジメチルホルムアミド(2mL)およびトリエチルアミン(2mL)の混合液に溶解させ、混合物を36時間で110℃まで加熱し、この間に触媒のさらに2回分を加える。反応を冷却し、Celiteを通して濾過し、真空中で溶媒を除去する。得られた残渣をジクロロメタンおよび水の間に分配し、有機層をブラインで洗浄する。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮した後、粗製残渣をフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、表記化合物(0.118g)を得る。
この工程で得られた化合物は以下のマススペクトルデータを有する:LC/MS:C30H35F3N4O5は588.3を必要とする;観察されたM/Z 589.1[M+H]+。RT 8.07分。
工程8:(3R,5S,E)−エチル 3,5−ジヒドロキシ−7−(3−イソプロピル−1−(2−メトキシピリミジン−4−イル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル)ヘプタ−6−エノエート、41は以下のように調製される。
生成物(0.045g)は、2−((4R,6S)−6−((E)−2−(3−イソプロピル−1−(2−メトキシピリミジン−4−イル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル)ビニル)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル)酢酸エチル、40(0.118g)から、実施例10a、工程8と同様にして得られる。
この工程で得られた化合物は以下のマススペクトルデータを有する:LC/MS:C27H31F3N4O5は548.2を必要とする;観察されたM/Z 549.1[M+H]+。RT 5.50分。
工程9:(3R,5S,E)−3,5−ジヒドロキシ−7−(3−イソプロピル−1−(2−メトキシピリミジン−4−イル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル)ヘプタ−6−エン酸カルシウム塩、42は以下のように調製される。
生成物(0.015g)は、(3R,5S,E)−エチル 3,5−ジヒドロキシ−7−(3−イソプロピル−1−(2−メトキシピリミジン−4−イル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル)ヘプタ−6−エノエート、41(0.045g)から、実施例10a、工程9と同様にして得られる。
この工程で得られた化合物は以下のマスペクトルおよびNMRデータを有する:
LC/MS 遊離酸として:C25H27F3N4O5は520.2を必要とする;観察されたM/Z 521.0[M+H]+、519.2[M−H]―。RT 2.67分。
実施例11f:N−ピリミジニルピラゾールの合成
第6の具体例において、以下に示される構造を有する化合物は、前記実施例11eで得られた中間体41から、2つの工程(工程1〜2)で調製される。
工程1:(3R,5S,E)−3,5−ジヒドロキシ−7−(3−イソプロピル−1−(2―メトキシピリミジン−4−イル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル)ヘプタ−6−エン酸、43は、以下のように調製される。
エタノール(0.5mL)中の(3R,5S,E)−エチル 3,5−ジヒドロキシ−7−(3−イソプロピル−1−(2−メトキシピリミジン−4−イル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル)ヘプタ−6−エノエート、41(0.031g)の溶液に水酸化ナトリウム水溶液(1M溶液の57μL)を加える。室温で0.25時間攪拌した後、有機溶媒を真空中で除去し、水(2mL)と共に塩酸(1M溶液の57μL)を加える。溶液を酢酸エチルで抽出し、次いで、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮して、表記化合物(0.024g)を得る。
この工程で得られた化合物は以下のマススペクトルデータを示す:LC/MS:C25H27F3N4O5は520.2を必要とする;観察されたM/Z 521.0[M+H]+,519.2[M−H]―,RT 2.67分。
工程2:(4R,6S,E)−4−ヒドロキシ−6−(2−(3−イソプロピル−1−(2−メトキシピリミジン−4−イル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル)ビニル)−テトラヒドロピラン−2−オン、44は以下のように調製される。
(3R,5S,E)−3,5−ジヒドロキシ−7−(3−イソプロピル−1−(2−メトキシピリミジン−4−イル)―5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル)ヘプタ−6−エン酸、43(0.024g)をトルエン(3mL)に溶解させ、16時間で90℃まで加熱する。冷却し、残渣を真空中で濃縮し、次いで、フラッシュクロマトグラフィーによって精製して、表記化合物(0.010g)を得る。
この工程で得られた化合物は以下のマススペクトルおよびNMRデータを示す:
LC/MS:C25H25F3N4O4は502.2を必要とする;観察されたM/Z 503.0[M+H]+,501.2[M+H]―。RT 5.84分。
実施例11g:N−ピリミジニルピラゾールの合成
第7の具体例において、以下に示す構造を有する化合物は8つの工程(工程1〜8)で調製される。
工程1:3−オキソ−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)プロパノール、45は以下のように調製される。
生成物(4.81g)は、3−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド(10.00g)およびギ酸エチル(3.94g)から、実施例10a、工程1と同様にして油として得られる。
この工程で得られた化合物は以下の沸点およびマススペクトルデータを示す:
1mmHgにおける沸点67〜75℃
LC/MS:C10H7F3O2は216.0を必要とする;観察されたM/Z 215.2[M−H]―。RT 7.49分。
工程2:2−(メチルチオ)−4−(5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)ピリミジン、46は以下のように調製される。
生成物(2.33g)は、3−オキソ−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)プロパノール、45(2.59g)から、実施例11e、工程2と同様にして得られる。
この工程で得られた化合物は以下のNMRデータを示す:
工程3:2−(メチルスルホニル)−4−(5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾールー1−イル)ピリミジン、47は以下のように調製される。
生成物(2.04g)は、2−(メチルチオ)−4−(5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)ピリミジン、46(2.33g)から、実施例11a、工程3と同様にして得られる。該物質は仕上げ処理後に次の工程で粗生成物として用いる。
工程4:4−(4−ブロモ−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)−2−(メチルスルホニル)ピリミジン、48は以下のように調製される。
生成物(1.50g)は、2−(メチルスルホニル)−4−(5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)ピリミジン、47(1.84g)から、実施例10a、工程5と同様にして得られる。
この工程で得られる化合物は以下のマススペクトルデータを示す:LC/MS:C15H10BrF3N4O2Sは446.0を必要とする;観察されたM/Z 446.8/448.8(Br)[M+H]+。RT 5.12分。
工程5:4−(4−ブロモ−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)−N−フェニルピリミジン−2−アミン、49は以下のように調製される:
ジメチルスルホキシド(1mL)およびトリフルオロ酢酸(40μL)中の4−(4−ブロモ−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)−2−(メチルスルホニル)ピリミジン、48(0.100g)およびアニリン(42μL)の溶液を16時間で90℃まで加熱する。次いで、反応混合物を酢酸エチルおよびブラインの間に分配し、水性層をさらに酢酸エチルで抽出する。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮する。フラッシュクロマトグラフィーによる精製により、表記化合物(0.06g)を得る。
この工程で得られた化合物は以下のマススペクトルデータを示す:LC/MS:C20H13BrF3N5は459.0を必要とする;観察されたM/Z 459.9/461.9(Br)[M+H]+,458.0/460.0(Br)[M−H]―。RT 6.30分。
工程6:2−((4R,6S)−2,2−ジメチル−6−((E)−2−(1−(2−(フェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル)ビニル)−1,3−ジオキサン−4−イル)酢酸エチル、50は以下のように調製される。
塩化ビストリフェニルホスフィンパラジウム(II)(0.16g)を、DMF(3mL)中の4−(4−ブロモ−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)−N−フェニルピリミジン−2−アミン、49(0.86g)、2−((4S,6R)−2,2−ジメチル−6−ビニル−1,3−ジオキサン−4−イル)酢酸エチル、9(0.72g)およびトリエチルアミン(3mL)の脱気した溶液に加え、混合物を100℃まで加熱する。18時間後に、塩化ビストリフェニルホスフィンパラジウム(II)のさらなる分(0.16g)を加え、加熱を継続する。さらに24時間後、反応混合物をCeliteを通して濾過し、蒸発乾固する。残渣を酢酸エチルおよび炭酸水素ナトリウム水溶液の間に分配し、有機層を水およびブラインで洗浄し、蒸発乾固し、フラッシュクロマトグラフィーによって精製して、表記化合物(0.103g)を得る。
この工程で得られた化合物は以下のマススペクトルデータを示す:LC/MS:C32H32F3N5O4は607.2を必要とし;観察されたM/Z 680.1[M+H]+。RT 7.74分。
工程7:(3R,5S,E)−エチル 3,5−ジヒドロキシ−7−(1−(2−(フェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル)ヘプタ−6−エノエート、51は以下のように調製される。
2−((4R,6S)−2,2−ジメチル−6−((E)−2−(1−(2−(フェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾール−4―イル)ビニル)−1,3−ジオキサン−4−イル)酢酸エチル、50(0.100g)およびp−トルエンスルホン酸一水和物(0.033g)を、水(0.5mL)を含有するテトラヒドロフラン(1.5mL)の混合液に溶解させる。18時間後に、p−トルエンスルホン酸(0.033g)のさらなる分を加え、攪拌を継続する。4日後に、反応混合物を酢酸エチルおよび炭酸水素ナトリウム水溶液の間に分配する。有機層を炭酸カリウムで乾燥し、真空中で蒸発させて、茶色油を得る。フラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製によって、表記化合物(0.031g)を得る。
この工程で得られた化合物は以下のNMRデータを示す:LC/MS:C29H28F3N5O4は567.2を必要とする;観察されたM/Z 568.0[M+H]+,566.2[M−H]−。RT 5.05分。
工程8:(3R,5S,E)−3,5−ジヒドロキシ−7−(1−(2−(フェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル)ヘプタ−6−エン酸カルシウム塩、52は以下のように調製する。
水酸化ナトリウム水溶液(1M溶液の0.054mL)を、エタノール(0.4mL)中の(3R,5S,E)−エチル 3,5−ジヒドロキシ−7−(1−(2−(フェニルアミノ)ピリミジン−4−イル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル)ヘプタ−6−エノエート、51(0.031g)の溶液に加え、混合物を室温にて攪拌する。0.5時間後、エタノールを真空中で除去し、残りの水溶液を0℃まで冷却する。塩化カルシウム水溶液(0.118M溶液の0.23mL)を加え、標的分子を濾過によって固体として収集する。
この工程で得られた化合物は以下のマススペクトルおよびNMRデータを示す:
LC/MS:遊離酸として:C27H24F3N5O4は539.2を必要とする;観察されたM/Z 540.4 [M;H]+、538.2[M−H]−。RT 2.79分。
実施例11h:前記実施例11gの中間体46への代替経路を用いるN−ピリミジニルピラゾールの合成
前期中間体46は後に詳細に記載する2つの工程(工程1〜2)で得ることもできる。
工程1:(E)−3−(ジメチルアミノ)−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)プロプ−2−エン−1−オン、53は以下のように調製される。
N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(2.5g)および3’−(トリフルオロメチル)アセトフェノン(4.0g)の混合物を7時間で100℃まで加熱する。粗反応生成物(5.22g)をさらに精製することなく用いる。
この工程で得られた化合物は以下のマススペクトルデータを示す:LC/MS:C12H12F3NOは243.1を必要とする;観察されたM/Z 244.3[M+H]+。RT 4.17分。
工程2:2−(メチルチオ)−4−(5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)ピリミジン、46は以下のように調製される。
酢酸(5.0mL)中の(E)−3−(ジメチルアミノ)−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)プロプ−2−エン−1−オン、53(0.50g)および4−ヒドラジニル−2−(メチルチオ)ピリミジン、35(0.32g)の溶液を12時間で80℃まで加熱する。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、水性洗浄液が塩基性となるまで、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄する。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、真空中で濃縮して、油が得られる。
1H NMR分析は、2−(メチルチオ)−4−(5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)ピリミジン、46に好都合な異性体の4:1比率を示す。
実施例11i:N−ピリミジニルピラゾールの合成
第8の具体例において、以下に示す構造を有する化合物を2つの工程(工程1〜2)で調製する。
工程1:4,4,4−トリフルオロ−1−(3−(トリフルオロメチル)メチル)ブタン−1,3−ジオン、55は以下のように調製される。
窒素下、水素化ナトリウム(8.5g)を含有する0℃のフラスコに、無水1,4−ジオキサン(200mL)中の3’−(トリフルオロメチル)アセトフェノン(20g)の溶液を滴下する。15分間攪拌した後、無水1,4−ジオキサン(200mL)中のトリフルオロ酢酸エチル(15.1g)の溶液を滴下し、その間に、激しいガスの発生が起こる。反応を雰囲気温度にて一晩攪拌する。反応を氷冷塩酸に注ぎ、次いで、酢酸エチルで2回抽出する。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、茶色油まで濃縮する。該油をフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、18gの表記化合物を油として得る。
この工程で得られた化合物は以下のマススペクトルデータを示す:LC/MS:C11H6F6O2は284.0を必要とする;観察されたM/Z 283.2[M−H]−,Rt 2.85分。
工程2:2−(メチルチオ)−4−(3−(トリフルオロメチル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)ピリミジン、56は以下のように調製される。
酢酸(10mL)中の4,4,4−トリフルオロ−1−(3−(トリフルオロメチル)メチル)ブタン−1,3−ジオン、55(1.00g)の溶液に4−ヒドラジニル−2−(メチルチオ)ピリミジン、35(0.55g)を加え、反応を48時間加熱灌流する。冷却に際し、溶液を炭酸水素ナトリウムでクエンチし、酢酸エチルで抽出する。水性層を酢酸エチルのさらなる分で抽出し、合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、油まで濃縮する。フラッシュクロマトグラフィーにより表記化合物(0.11g)を油として得る。
この工程で得られた化合物は以下のマススペクトルおよびNMRデータを示す:
LC/MS:C16H10F6N4Sは404.1を必要とする;観察されたM/Z 404.9[M+H]+,RT 6.43分。
実施例12:ピロール化合物の合成のためのスキーム
本発明の式VIIの置換されたピロール化合物を合成するためのスキームを以下に掲げる。構造65の化合物は以下に詳細に記載するように9つの工程(工程1〜9)で調製することができる。
工程1:(E)−4−(ジメチルアミノ)−1,1−ジメトキシブタ−3−エン−2−オン、57は以下のように調製される。
N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(67.21g)および1,1−ジメトキシメトキシプロパン−2−オン(66.62g)を一緒に100℃にて16時間加熱する。残存メタノールを真空中で除去し、生成物を次の工程で粗製物として用いる。
工程2:4−(ジメトキシメトキシメチル)−2−(プロピルチオ)ピリミジン、58を以下のように調製する。
0℃にて、(E)−4−(ジメチルアミノ)−1,1−ジメトキシブタ−3−エン−2−オン、57(10.0g)およびチオ尿素(4.40g)をメタノール(50mL)に溶解させ、ナトリウムメトキシド(3.12g)を何回かに分けて加える。該混合物を22時間で80℃まで加熱し、次いで、雰囲気温度にて24時間放置する。1−ブロモプロパン(5.25mL)を加え、混合物を5時間で50℃まで温める。混合物を真空中で濃縮し、酢酸エチルおよび水の間に分配する。水性層をさらに酢酸エチルで洗浄し、合わせた有機物で乾燥し(硫酸マグネシウム)、濾過し、濃縮する。フラッシュクロマトグラフィーによる精製により、表記化合物を油(8.53g)として得る。
この工程で得られる化合物は以下のマススペクトルデータを示す:LC/MS:C10H16N2O2Sは228.1を必要とする;観察されたM/Z 229.2[M+H]+。RT 4.75分。
工程3:4−(ジメトキシメチル)−2−(プロピルスルホニル)ピリミジン、59は以下のようにして調製する。
テトラヒドロフラン(144mL)およびメタノール(320mL)の混合液中の4−(ジメトキシメチル)−2−(プロピルチオ)ピリミジン、58(8.35g)の溶液に、水(80mL)中のオキソン(90.05g)および酢酸ナトリウム三水和物(50.00g)の懸濁液を加える。得られた懸濁液を雰囲気温度にて16時間攪拌し、その時点の後、有機溶媒を真空中で除去する。残渣を酢酸エチルおよび水の間に分配する。有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液、ブラインで洗浄し、乾燥し(硫酸マグネシウム)、濾過し、濃縮して、表記化合物(8.66g)を油として得る。
この工程で得られる化合物は以下のマススペクトルデータを示す:LC/MS:C10H16N2O4Sは260.1を必要とする;観察されたM/Z 261.1[M+H]+。RT 3.13分。
工程4:4−(ジメトキシメチル)−2−メトキシピリミジン、60は以下のように調製する。
4−(ジメトキシメチル)−2−(プロピルチオ)ピリミジン、59をメタノール(40mL)に溶解し、ナトリウムメトキシド(1.57g)を加える。混合物を1時間で60℃まで加熱し、次いで、溶媒を真空中で除去する。残渣を酢酸エチルおよび水の間に分配し、水性層をさらに酢酸エチルで抽出する。合わせた有機物を乾燥し(硫酸マグネシウム)、濾過し、濃縮して、表記化合物(4.53g)を油として得る。
この工程で得られた化合物は以下のマススペクトルデータを示す:LC/MS:C8H12N2O3は184.1を必要とする、観察されたM/Z 185.2[M+H]+。RT 2.57分。
工程5:2−メトキシピリミジン−4−カルバルデヒド、61は以下のように調製される。
4−(ジメトキシメチル)−2−メトキシピリミジン、60(1.50g)を希塩酸(1M,12.3mL)に溶解させ、混合物を3時間で55℃まで加熱する。反応混合物を水およびジクロロメタンの間に分配し、水性層をジクロロメタンのさらなる分で抽出する。合わせた有機物を乾燥し(硫酸マグネシウム)、濾過し、濃縮して黄色ガム(1.10g)とする。該アルデヒドをさらに精製することなく次の工程で直ちに用いる。
この工程で得られた化合物は以下のマススペクトルデータを示す:LC/MS:C6H6N2O2は138.0を必要とする;観察されたM/Z 139.1[M+H]+。RT 0.85分。
工程6:(Z)−2−((2−メトキシピリミジン−4−イル)メチレン)−4−メチル−3−オキソ−N−フェニルペンタナミド、62は以下のように調製される。
2−メトキシピリミジン−4−カルバルデヒド、61(0.833g)および4−メチル−3−オキソ−N−フェニルペンタナミド(1.23g)の混合物にピペリジン(4滴)および酢酸(4滴)を加える。混合物を3時間で65℃まで加熱し、その時点の後にそれを水およびジクロロメタンの間に分配する。水性層をさらにジクロロメタンで抽出し、合わせた有機異物を乾燥し(硫酸マグネシウム)、濾過し、濃縮する。フラッシュクロマトグラフィーによる精製、続いての、トルエンでのトリチュレーションにより、表記化合物(0.221g)を粉末として得る。
この工程で得られた化合物は以下のマススペクトルデータを示す:LC/MS:C18H19N3O3は325.1を必要とする;観察されたM/Z 326.1[M+H]+,324.2[M−H]−。RT4.02分。
工程7:2−(2−(4−フルオロフェニル)−1−(2−メトキシピリミジン−4−イル)−2−オキソエチル)−4−メチル−3−オキソ−N−フェニルペンタナミド、63を以下のようにして調製する。
無水テトラヒドロフラン(2mL)中の塩化3−ベンジル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウム(0.166g)の溶液に、(Z)−2−((2−メトキシピリミジン−4−イル)メチレン)−4−メチル−3−オキソ−N−フェニルペンタナミド、62(0.200g)、トリエチルアミン(63μL)および4−フルオロベンズアルデヒド(66μL)を加える。混合物を3時間で60℃まで加熱し、次いで、水およびジクロロメタンの間に分配する。有機層を乾燥し(硫酸マグネシウム)、濾過し、濃縮する。残渣をフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、表記化合物(0.046g)を得る。
この工程で得られた化合物は以下のマススペクトルデータを示す:LC/MS:C35H24FN3O4は449.2を必要とする;観察されたM/X 450.0[M+H]+,448.2[M−H]−。RT 5.05分。
工程8:(3R,5R)−tert−ブチル 7−(2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−(2−メトキシピリミジン−4−イル)−4−(フェニルカルバモイル)−1H−ピロール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸、64は以下のように調製される。
2−(2−(4−フルオロフェニル)−1−(2−メトキシピリミジン−4−イル)−2−オキソエチル)−4−メチル−3−オキソ−N―フェニルペンタナミド、63(0.046g)、tert−ブチル 2−((4R,6R)−6−(2−アミノエチル)−2−フェニル−1,3,2−ジオキサボリナン−4−イル)酢酸(0.032g)およびピバル酸(0.010g)の混合物を16時間で80℃まで加熱する。次いで、溶媒を真空中で除去し、残渣をフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、その間に、ボロネート基は加水分解されて、表記化合物(0.024g)を得る。
この工程で得られた化合物は以下のマススペクトルデータを示す:LC/MS:C36H43FN4O6は646.3を必要とする;観察されたM/Z 6467.2[M;H]+,645.3[M−H]−。RT 5.24分。
工程9:(3R,5R)−7−(2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−(2−メトキシピリミジン−4−イル)−4−(フェニルカルバモイル)−1H−ピロール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸カルシウム塩、65は以下のように調製される。
テトラヒドロフラン(0.4mL)中の(3R,5R)−tert−ブチル 7−(2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−(2−メトキシピリミジン−4−イル)−4−(フェニルカルバモイル)−1H−ピロール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸、64(0.019g)の溶液に水酸化ナトリウム水溶液(1M溶液の33μL)を加え、混合物を雰囲気温度にて5時間攪拌する。有機溶媒を真空中で除去し、残渣を水(0.5mL)に溶解させる。塩化カルシウム水溶液(0.118M溶液の265μL)を加え、得られた沈殿を濾過によって収集し、水およびアセトニトリルで洗浄して、表記化合物(0.003g)を得る。
この工程で得られる化合物は以下のマススペクトルおよびNMRデータを示す:LC/MS 遊離酸として:C32H35FN4O6は590.3を必要とする;観察されたM/Z 591.1[M+H]+,589.3[M−H]−。RT 2.62分。
実施例13:側鎖との縮合を介するイミダゾール化合物の合成についてのスキーム
本発明の式Vの置換されたイミダゾール化合物を合成するための全スキームを以下に掲げる。以下の実施例13aおよび13bは、全スキームによる2つの具体例を詳細に記載する。
実施例13a:側鎖との縮合を介するイミダゾール化合物(3R,5R)−7−(2,5−ジフェニル−4−(ピリジン−4−イル)−1H−イミダゾール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸カルシウム塩の合成
1つの具体例において、以下の構造を有する(3R,5R)−7−(2,5−ジフェニル−4−(ピリジン−4−イル)−1H−イミダゾール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸カルシウム塩は以下の4つの工程(工程1〜4)で調製される。
工程1:N−(ピリジン−4−イル(トシル)メチル)ベンズアミド、66は以下のように調製される。
2,2,2−トリフルオロエタノール(50mL)中のピリジン−4−カルボキシアルデヒド(6.2g)およびベンズアミド(5.4g)の混合物にクロロトリメチルシラン(32.5mL)を加える。3時間の加熱灌流に際して、溶媒を蒸発させ、以下の:アセトニトリル(20mL)、トルエン(20mL)、4−トルエンスルフィン酸(14.0g)およびクロロトリメチルシラン(8.5mL)をその順序で加える。懸濁液を引き続いて4時間で55℃まで加熱し、室温まで冷却し、ゆっくりと、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(300mL)およびtert−ブチルメチルエーテル(100mL)の攪拌混合液に注ぐ。軽く攪拌した後、沈殿を収集し、tert−ブチルメチルエーテルで洗浄して、表記化合物、66(10.0g)を得る。
この工程で得られた化合物を以下のマススペクトルデータを示す:LC/MS:C20H18N2O3Sは367.1を必要とする;観察されたM/Z 228.3[{M−(C7H7O2S)}+NH3]+。RT 2.45分。
工程2:N−(2−オキソ−2−フェニル−1−(ピリジン−4−イル)エチル)ベンズアミド、67は以下のように調製する。
N−(ピリジン−4−イル(トシル)メチル)ベンズアミド、66(10.0g)およびヨウ化3,4−ジメチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−チアゾリウム(1.1g)の混合物を含有するフラスコを15分間窒素でフラッシュする。ジクロロメタン(150mL)およびベンズアルデヒロを加え、溶液を45℃まで加熱し、次いで、トリエチルアミン(42mL)を加える。16時間加熱した後、溶液を室温まで冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加える。層を分離し、水性相をさらなるジクロロメタンで抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄する。乾燥(硫酸マグネシウム)、濾過、濃縮、およびクロマトグラフィーにより、表記化合物67(1.6g)を得る。
この工程で得られた化合物は以下のマススペクトルデータを示す:LC/MS:C21H16N2O2は316.1を必要とする;観察されたM/Z 317.1[M+H]+。RT 4.05分。
工程3:(3R,5R)−tert−ブチル 7−(2,5−ジフェニル−4−(ピリジン−4−イル)−1H−イミダゾール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸、68は以下のように調製される。
エタノール(50mL)中のN−(2−オキソ−2−フェニル−1−(ピリジン−4−イル)エチル)ベンズアミド、67(1.6g)および酢酸(1.5mL)の溶液に、tert−ブチル 2−((4R,6R)−6−(2−アミノエチル)−2−フェニル−1,3,2−ジオキサボリナン−4−イル)酢酸(7.9g)を加える。16時間の還流下での加熱に際して、溶液を室温まで冷却し、溶媒を蒸発させる。残渣を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液およびジクロロメタンの間に分配し、層を分離し、有機相をブラインで洗浄し、乾燥し(硫酸マグネシウム)、濾過し、濃縮する。クロマトグラフィーを介する残渣の精製により、表記化合物68(0.35g)を得る。
この工程で得られた化合物は以下のマススペクトルデータを示す:LC/MS:C31H35N3O4は513.3を必要とする;観察されたM/Z 514.1[M+H]+。RT 4.64分。
工程4:(3R,5R)−7−(2,5−ジフェニル−4−(ピリジン−4−イル)−1H−イミダゾール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸カルシウム塩、69は以下のように調製される。
テトラヒドロフラン(2mL)中の(3R,5R)−tert−ブチル 7−(2,5−ジフェニル−4−(ピリジン−4−イル)−1H−イミダゾール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸、68(100mg)の0℃溶液に、水酸化ナトリウムの1M溶液(0.19mL)を滴下し、混合物を室温にて16時間攪拌する。溶液が濁り始めるまで、テトラヒドロフランを真空中で除去し、次いで、塩化カルシウムの水溶液(0.118M,0.17mL)を滴下する。得られた沈殿を濾過し、水、アセトニトリル、水、アセトニトリルで洗浄し、真空中で乾燥して、表記化合物69(22mg)を得る。
この工程で得られた化合物は以下のマススペクトルデータを示す:LC/MS:(遊離酸として)C27H27N3O4は457.2を必要とする;観察されたM/Z 458.1[M+H]+。RT 2.11分。
実施例13b:側鎖との縮合を介するイミダゾール化合物(3R,5R)−7−(5−(4−フルオロフェニル)−2−フェニル−4−(ピリジン−4−イル)−1H−イミダゾール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸カルシウム塩の合成
もう1つの具体例において、以下の構造を有する(3R、5R)−7−(5−(4−フルオロフェニル)−2−フェニル−4−(ピリジン−4−イル)−1H−イミダゾール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸カルシウム塩は、実施例13aで得られた中間体を用い、以下の3つの工程(工程1〜3)で調製される。
工程1:N−(2−(4−フルオロフェニル)−2−オキソ−1−(ピリジン−4−イル)エチル)ベンズアミド、70は以下のように調製される。
生成物、N−(2−(4−フルオロフェニル)−2−オキソ−1−(ピリジン−4−イル)エチル)ベンズアミド、70(23mg)は、66から調製され、4−フルオロベンズアルデヒド(37mg)から、実施例13a、工程2と同様にして得られる。
この工程で得られる化合物は以下のマススペクトルデータを示す:LC/MS:C20H15FN2O2は334.1を必要とする;観察されたM/Z 335.1[M+H]+。RT 4.18分。
工程2:(3R,5R)−tert−ブチル 7−(5−(4−フルオロフェニル)−2−フェニル−4−(ピリジン−4−イル)−1H−イミダゾール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸、71は以下のように調製される。
生成物、(3R,5R)−tert−ブチル 7−(5−(4−フルオロフェニル)−2−フェニル−4−(ピリジン−4−イル)−1H−イミダゾール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸、71(5mg)は、N−(2−(4−フルオロフェニル)−2−オキソ−1−(ピリジン−4−イル)エチル)ベンズアミド、70(23mg)から、実施例13a、工程3と同様にして得られる。
この工程で得られる化合物は以下のマススペクトルデータを示す:LC/MS:C31H34FN3O4は531.3を必要とする;観察されたM/Z 532.2[M+H]+。RT 4.70分。
工程3:(3R,5R)−7−(5−(4−フルオロフェニル)−2−フェニル−4−(ピリジン−4−イル)−1H−イミダゾール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸カルシウム塩、72は以下のように調製される。
生成物、(3R,5R)−7−(5−(4−フルオロフェニル)−2−フェニル−4−(ピリジン−4−イル)−1H−イミダゾール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸カルシウム塩、72(1mg)は、(3R,5R)−tert−ブチル 7−(5−(4−フルオロフェニル)−2−フェニル−4−(ピリジン−4−イル)−1H−イミダゾール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸、71(5mg)から、実施例13a、工程4と同様にして得られる。
この工程で得られた化合物は以下のマススペクトルデータを示す:LC/MS:(遊離酸として)C27H26FN3O4は475.2を必要とする;観察されたM/Z 476.0[M+H]+。RT 2.34分。
実施例14:N−アルキル化を介するイミダゾール化合物の合成についてのスキーム
N−アルキル化を介する本発明の式Vの置換されたイミダゾール化合物を合成するための全スキームを以下に掲げる。実施例14aは、N−アルキル化スキームで用いる側鎖を合成するためのスキームを提供する。実施例14bは、全N−アルキル化スキームに従う具体例を詳細に記載する。
実施例14a:N−アルキル化を介するイミダゾール化合物の合成で用いる側鎖の合成についてのスキーム
N−アルキル化を介するイミダゾール化合物を合成するのに用いられる側鎖は以下のように調製することができる。
実施例14b:N−アルキル化を介するイミダゾール化合物(3S,5S),(3R,5R)−6−(5−(4−フルオロフェニル)−2−フェニル−4−(ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘキサン酸カルシウム塩の合成
1つの具体的な例において、以下の構造を有する(3S,5S),(3R,5R)−6−(5−(4−フルオロフェニル)−2−フェニル−4−(ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘキサン酸カルシウム塩は以下の10の工程(工程1〜10)で調製される。
工程1:1−(4−フルオロフェニル)−2−(2−(メチルチオ)ピリミジン−4−イル)エタノン、73は以下のように調製される。
−78℃における窒素の雰囲気下、n−BuLi(ヘキサン中1.6M,8.4mL)を無水テトラヒドロフラン(40mL)中のジイソプロピルアミン(2.9mL)の溶液に滴下する。5分間攪拌した後、無水テトラヒドロフラン(20mL)中の4−メチル−2−(メチルチオ)ピリミジン(2.0g)の溶液を加え、攪拌を−78℃にてさらに30分間継続し、その際、無水テトラヒドロフラン(20mL)中の4−フルオロ−N−メトキシ−N−メチルベンズアミド(2.8g)の溶液を加える。溶液を室温まで温め、次いで、酢酸エチルおよび水の混合液に注ぐ。
層を分離し、水性層を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥する。濾過、および溶媒の蒸発、続いての残渣のジエチルエーテルおよびヘキサンの混合物(1:10)でのトリチュレーションにより、表記化合物73(3.1g)を得る。
この工程で得られる化合物は以下のマススペクトルデータを示す:LC/MS:C13H11FN2OSは262.1を必要とする;観察されたM/Z 263.2[M+H]+。RT 4.81分。
工程2:(Z)−1−(4−フルオロフェニル)−2−(ヒドロキシイミノ)−2−(2−(メチルチオ)ピリミジン−4−イル)エタノン、74は以下のように調製される。
窒素雰囲気下、−10℃にて、エタノール(20mL)中の1−(4−フルオロフェニル)−2−(2−(メチルチオ)ピリミジン−4−イル)エタノン、73(1.0g)の懸濁液に、亜硝酸t−ブチル(0.5mL)、続いて、n−プロパノール中の塩化水素(2.5〜3N,0.6mL)を、温度を−5℃未満に維持しつつ滴下する。一旦滴下が完了すれば、溶液を攪拌しつつ室温まで加温し、2時間後、溶媒を蒸発させ、残渣を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および酢酸エチルの間に分配する。層を分離し;水性相を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥する。濾過および溶媒の蒸発により、表記化合物74(1.0g)を得る。
この工程で得られた化合物は以下のマススペクトルデータを示す:LC/MS:C13H10FN3O2Sは291.1を必要とする;観察されたM/Z 292.0[M+H]+。RT 3.74分。
工程3:4−(4−(4−フルオロフェニル)−2−フェニル−1H−イミダゾール−5−イル)−2−(メチルチオ)ピリミジン、75は以下のように調製される。
酢酸(11mL)中の(Z)−1−(4−フルオロフェニル)−2−(ヒドロキシイミノ)−2−(2−(メチルチオ)ピリミジン−4−イル)エタノン(0.5g)、酢酸アンモニウム(2.7g)およびベンズアルデヒド(0.2g)の混合物を還流下で4時間加熱し、室温まで冷却し、溶媒の大部分を蒸発させる。残渣を氷冷飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および酢酸エチルの間に分配する。層を分離し、水性相を酢酸エチルで抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、溶媒を蒸発させる。残渣をメタノール(8mL)に溶解させる。この溶液を塩酸中の塩化チタン(III)の溶液(0.44mL,15wt%,20〜30%塩酸)で処理し、続いて、室温にて3時間攪拌し、溶媒を蒸発させる。残渣を氷冷飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および酢酸エチルの間に分配し、次いで、層を分離し、水性相を酢酸エチルで抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、溶媒を蒸発させ、残渣をクロマトグラフィーによって精製して、表記化合物75(0.15g)を得る。
この工程で得られる化合物は以下のマススペクトルデータを示す:LC/MS:C20H15FN4Sは262.1を必要とする;観察されたM/Z 263.1[M+H]+。RT 4.39分。
工程4:4−(4−(4−フルオロフェニル)−2−フェニル−1H−イミダゾール−5−イル)−2−(メチルスルホニル)ピリミジン、76は以下のように調製される。
オキソン(10.4g)の水溶液(40mL)を、メタノール(40mL)中の4−(4−(4−フルオロフェニル)−2−フェニル−1H−イミダゾール−5−イル)−2−(メチルチオ)ピリミジン、75(2.1g)の攪拌氷冷溶液に滴下する。室温にて4時間攪拌した後、メタノールを蒸発させ、溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で希釈し、酢酸エチルで抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒の蒸発により、表記化合物76(2.1g)を得る。
この工程で得られた化合物は以下のマススペクトルデータを示す:LC/MS:C20H15FN4O2Sは394.1を必要とする;観察されたM/Z 395.0[M+H]+。RT 4.13分。
工程5:4−(4−(4−フルオロフェニル)−2−フェニル)−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン、77は以下のように調製される。
エタノール(20mL)中の4−(4−(4−フルオロフェニル)−2−フェニル−1H−イミダゾール−5−イル)−2−(メチルスルホニル)ピリミジン、76(0.50g)の懸濁液に、何回かに分けて、ホウ水素化ナトリウム(0.28g)を加えた。一晩攪拌した後、塩酸(20mL,0.5m)を加え、溶液を30分間攪拌し、その際、溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、ジクロロメタンで抽出する。合わせた有機相を水およびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発させる。次いで、残渣をクロマトグラフィーに付し、表記化合物77(0.29g)を得る。
この工程で得られた化合物は以下のマススペクトルデータ:LC/MS:C19H13FN4を316.1を必要とする;観察されたM/Z 317.1[M+H]+。RT 5.32分。
工程6:2−((4S,6R),(4R,6S)−2,2−ジ−tert−ブチル−6−ビニル−1,3,2−ジオキサシリナン−4−イル)酢酸エチル、78は以下のように調製される。
全てのガラス器具は高温オーブン中で予め乾燥し、反応混合物は窒素の雰囲気下で維持される。ジクロロジ−tert−ブチルシラン(0.37g)を、0℃にて、ジメチルホルムアミド(5mL)中の硝酸銀(0.59g)および(Syn Comm;24(13),1833,(1994)に従って調製された)(3S,5R),(3R,5S)−エチル 3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エノエート(0.25g)の溶液に加える。5分後、溶液を室温まで温め、攪拌を30分間継続する。トリエチルアミン(0.41g)を加え、10分後、混合物を酢酸エチルおよび飽和炭酸水素ナトリウム水溶液の間に分配する。水性層を酢酸エチルのさらなる分で抽出し、合わせた有機抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮して、表記化合物78(0.48g)を得る。
この工程で得られた化合物は以下のNMRデータを示す:
工程7:2−((4S,6S),(4R,5R)−2,2−ジ−tert−ブチル−6−(2−ヒドロキシエチル)−1,3,2−ジオキサシリナン−4−イル)酢酸エチル、79は以下のように調製される。
全てのガラス器具は高温オーブン中で予め乾燥し、反応混合物は窒素の雰囲気下に維持する。テトラヒドロフラン中の9−ボラビシクロノナンの溶液(0.5M溶液の18.3mL)を、0℃にて、テトラヒドロフラン(10mL)中の2−((4S,6S),(4R,6S)−2,2−ジ−tert−ブチル−6−ビニル−1,3,2−ジオキサシリナン−4−イル)酢酸エチル、78(1.0g)の溶液に0.5時間にわたって加える。反応混合物を4℃にて64時間放置し、次いで、0℃まで冷却する。温度を5℃未満に維持しつつ、水酸化ナトリウム(3M溶液の2.9mL)および過酸化水素(水中の35%溶液の7.1mL)を1時間にわたって同時に加える。反応混合物を3時間にわたって室温まで温め、次いで、酢酸エチルおよびブラインの間に分配する。水性層を酢酸エチルのさらなる分で抽出し、合わせた有機抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮して油とし、これをフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、表記分子79(0.41g)を得る。
この工程で得られた化合物は以下のNMRデータを示す:
工程8:2−((4S,4S),(4R,6R)−2,2−ジ−tert−ブチル−6−(2−(メチルスルホニルオキシ)エチル)−1,3,2−ジオキサシリナン−4−イル)酢酸エチル、80は以下のように調製される。
全てのガラス器具は高温オーブン中で予め乾燥し、反応混合物を窒素の雰囲気下に維持する。−40℃にて、ジイソプロピルエチルアミン(0.23g)を、ジクロロメタン(5mL)中の2−((4S,6S),(4R,5R)−2,2−ジ−tert−ブチル−6−(2−ヒドロキシエチル)−1,3,2−ジオキサシリナン−4−イル)酢酸エチル、79(0.30g)の溶液に加える。3分後、塩化メタンスルホニル(0.15g)を加え、混合物を室温まで温める。16時間後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液およびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で濃縮して、表記化合物80(0.16g)が得られ、これをさらに精製することなく用いる。
工程9:2−((4S,6S),(4R,6R)−2,2−ジ−tert−ブチル−6−(2−(5−(4−フルオロフェニル)−2−フェニル−4−(ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾール−1−イル)エチル)−1,3,2−ジオキサシリナン−4−イル)酢酸エチル、81は以下のように調製される。
全てのガラス器具は高温オーブン中で予め乾燥し、反応混合物は窒素の雰囲気下に維持される。−40℃にて、無水ジメチルホルムアミド(1.6mL)中の4−(4−(4−フルオロフェニル)−2−フェニル−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン、77(162mg)の溶液に、トルエン中のカリウムヘキサメチルジシリルアミドの溶液(1.03mL,0.5M)を滴下する。溶液を室温まで温め、引き続いて、−40℃まで再度冷却し、その際、無水ジメチルホルムアミド(1mL)中の2−((4S,6S),(4R,6R)−2,2−ジ−tert−ブチル−6−(2−(メチルスルホニルオキシ)エチル)−1,3,2−ジオキサシリナン−4−イル)酢酸エチル、80(327mg)を加える。次いで、溶液を室温まで温め、85℃にて20時間加熱し、室温まで冷却する。溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および酢酸エチルの混合液に注ぎ、層を分離し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液の3回分、およびブラインで洗浄する。残渣の乾燥(硫酸マグネシウム、濾過、溶媒の蒸発およびクロマトグラフィーにより、表記化合物をエナンチオマーの混合物81(87mg)として得る。
この工程で得られる化合物は以下のマススペクトルデータを示す:LC/MS:C36H45FN4O4Siは664.3を必要とする;観察されたM/Z 645.3[M+H]+。RT 8.10分。
工程10:(3S,5S),(3R,5R)−7−(5−(4−フルオロフェニル)−2−フェニル−4−(ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸、82は以下のように調製される。
無水テトラヒドロフラン(0.45mL)中の2−((4S,6S),(4R,6R)−2,2−ジ−tert−ブチル−6−(2−(5−(4−フルオロフェニル)−2−フェニル−4−(ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾール−1−イル)エチル)−1,3,2−ジオキサシリナン−4−イル]酢酸エチル、81(0.037g)の溶液に、フッ化テトラブチルアンモニウム(テトラヒドロフラン中1M溶液、0.115mL)を加え、得られた溶液を50℃にて1時間攪拌し、表記化合物を得る。
この工程で得られる化合物は以下のマススペクトルデータを示す:LC/MS:C26H25FN4O4は467.2を必要とする;観察されたM/Z 477.0[M+H]+,475.2[M−X]−。RT 2.09分。
前記実施例で供された報告されたHPLC保持時間(RT)は以下の条件下で測定した:
カラム Waters Xterra MS C18 5ミクロン,4.6mm×50mm
粒子サイズ 5ミクロン
寸法 4.6mm×50mm
溶媒A 0.1%v/vアンモニア水を含有する水
溶媒B 0.1%v/vアンモニア水を含有するアセトニトリル
流速1.5mL/分
初期の条件 95%A:5%B
時間=7.0分 5%A:95%B
時間=7.9分 5%A:95%B
時間=8.0分 95%A:5%B
時間=10.0分 95%A:5%B
検出 215および254nmにおいてUV
実施例15:本明細書中に記載された特別なピラゾール化合物を用いるHMG−CoAレダクターゼおよび/またはMAPキナーゼ阻害活性についてのイン・ビトロアッセイ
以下の表IIIは、特別なピラゾール化合物のHMG−CoAおよび/またはMAPキナーゼ阻害活性についての前記したイン・ビトロアッセイの結果をまとめる。
実施例11a、11b、11c、11d、11e、11f、11g、10aおよび10bに従って得られたピラゾール化合物を示したように試験し、得られた結果を以下に掲げる。
aラット肝臓HMG−CoAレダクターゼを50%だけ阻害するのに必要な化合物の濃度
b組換えヒトp38α MAPキナーゼによるミエリン塩基性タンパク質のリン酸化を50%だけ阻害するのに必要な化合物の濃度
cヒト末梢血液単核細胞からのLPS−誘導TNF−α放出を50%だけ阻害するのに必要な化合物の濃度
上記実施例は、決して、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。さらに、添付の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなく多くの変更および改変をなすことができ、そのような変更および改変は本発明の範囲内にあると考えられることは当業者に理解され得る。