JP2007528332A - 塩化カリウム及びKClが富化した食用塩の同時回収 - Google Patents

塩化カリウム及びKClが富化した食用塩の同時回収 Download PDF

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Abstract

KCl及びKClが富化した食用塩を同時に回収するための方法であって、(i)CaCl2を用いて苦汁を脱硫酸し、(ii)脱硫酸された苦汁を濃縮し、(iii)工程(ii)の脱硫酸された苦汁をMgCl2濃厚溶液と混合してカーナライトを得て、(iv)カーナライトを水を用いて分解しKCl及び残留苦汁を得て、(v)残留苦汁を濃縮して苦汁中のNaCl及びKClを粗カーナライト及びカーナライト分解液として得て、(vi)工程(v)の粗カーナライトを水を用いて分解し、KClが富化した低ナトリウム塩と、同時にカーナライト分解液を生成し、(vii)工程(v)及び(vi)のカーナライト分解液を集め、石灰を用いて処理してMg(OH)2及びCaCl2とKClを含む濾液を生成し、(viii)カーナライト分解液中に失われたKClを回収しながら、工程(vii)の濾液を工程(i)に再利用し、(ix)工程(iii)の最終苦汁をカーナライト及びCaCl2を生成させるために再利用し、(x)余剰のMgCl2を活用して、臭素を回収し及びMgCl2・6H2Oを得ることを含む。

Description

本発明は、工業グレードの塩化カリウム及び低ナトリウム食用塩を苦汁から回収するための新規な方法に関する。塩化カリウムは植物の必須養分であり、単一肥料として又は他の植物養分との組み合わせのいずれかの肥料として主に使用される。また、塩化カリウムは、染料、石けん、洗剤、食品、医薬のようないくつかの産業においても、及び水酸化カリウム及び炭酸カリウムのような他のカリウムの化学製品を調製するための出発原料としても使用されている。これらの用途における純度に対する要求はより厳しく、多くの場合において98.0%より高い純度が要求される。塩化ナトリウムと塩化カリウムの混合物である低ナトリウム塩は、高血圧症及び心臓疾患を持つ人々に特に適したバランス塩である。
塩化カリウムは植物の必須養分であり、単一肥料として又は他の植物養分との組み合わせのいずれかの肥料として主に使用される。また、塩化カリウムは、染料、石けん、洗剤、食品、医薬のようないくつかの産業においても、及び水酸化カリウム及び炭酸カリウムのような他のカリウムの化学製品を調製するための出発原料としても使用されている。これらの用途における純度に対する要求はより厳しく、多くの場合において98.0%より高い純度が要求される。塩化ナトリウムと塩化カリウムの混合物である低ナトリウム塩は、高血圧症及び心臓疾患を持つ人々に特に適したバランス塩である。
J.H.Hildebrand(「Extraction of Potash and other Constituents from sea water Bittern」,Journal of Industrial and Engineering Chemistry,vol.10,no.2,1918 pp 96−106)は、海水苦汁からカリを回収する理論的側面について開示しており、抽出方法を提案している。この方法によれば、苦汁を100〜120℃の温度で濃縮し、そのことによって塩化ナトリウムとキーセライト(MgSO4・H2O)の固体混合物を生成し、加熱した遠心分離機中で高温条件下においてこの混合物を分離し、カーナライトを分離するために冷却器中で母液を冷却する。カーナライトを分解し水を用いて洗浄して塩化カリウムが生成する。この方法の欠点は、エネルギー必要量の観点から要求が多く、カーナライトから得られるKClは工業用グレードではないことである。
K.Seshadri他(「Manufacture of Potassium chloride and byproducts from Sea Bittern」,Salt Research and Industry,April−July 1970,Vol.7,page 39−44)は、ソーラーパン中で苦汁をさらに濃縮することを開示している。粗製塩及びsels’混合物[NaCl及びエプソム塩(MgSO4・7H2O)の混合物]を除去した後、混合塩[NaCl、MgSO4・7H2O、KCl・MgSO4・3H2O(カイナイト)及びMgCl2・6H2Oの混合物]がソーラーパン中に生成する。混合塩を適当な比率で高密度の苦汁に分散し、110℃に加熱してキーセライト(MgSO4・H2O)を生成させ、高温条件下でスラリーを濾過することにより分離する。濾液は周囲温度に冷却して、カーナライト(KCl・MgCl2・6H2O)を結晶化させる。塩化マグネシウムは溶液中に行き、カーナライトは水を用いて分解して塩化ナトリウムと塩化カリウムの固体混合物を得る。塩化カリウムと塩化ナトリウムの固体混合物は既知の手法を用いて精製し、純粋な塩化カリウムが生成する。この方法の欠点は、先の2種類の固体蒸発残留物、すなわち粗製塩及びsels’混合物を分離除去した後にやっと混合塩(カイナイトを含む)が得られることである。これは、パン中で天日濃縮し、パンから塩を除去し、中間パンの中に液体を汲み入れることによって行われ、全てが非常に労働集約的である。カイナイト型混合塩は、高密度苦汁と一緒に混合し及び高温抽出法を用いることによりさらに処理され、その後混合塩からカーナライトを抽出するため冷却される。これは、面倒でエネルギー集約的な操作でありKClの回収効率も低い。この方法によって得られるカーナライトは、複塩の分解後に塩化カリウムと一緒に残存する相当量の塩化ナトリウムを含んでおり、エネルギー集約的な高温浸出工程によって精製する必要がある。
1963年7月30日付の米国特許第3099528号「Recovery of values from Natural Lake and Sea Brines」では、カーナライトが生成物の一つとして得られることが請求されている。しかしながら、このカーナライトは相当量の塩化ナトリウムを含み、塩化カリウムを生成させるためには浮選を再度必要とするシルビナイト(sylvinite)を分解の際に生成する。
ドイツのKali−und Salzに従う他の方法においては、静電選別法によってKClがシルビナイトから生成するが、この方法はエネルギー集約的である。
Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,Sixth Edition,1999の中の、Potassium compoundsの章においては、死海から得られる苦汁を天日濃縮する通常の方法によってカーナライトを生成させる。しかしながら、そのカーナライトは大量の塩化ナトリウム不純物を含み、その結果、水を用いて分解した後に得られる生成物は相当量の塩化ナトリウムで汚染された塩化カリウムであり、肥料グレードの品質の塩化カリウムを生成させるためにはフロス浮選または高温浸出の操作を必要とする。高温浸出処理は、カーナライト分解生成物(CDP)を平衡液(塩化ナトリウムと塩化カリウムの飽和溶液)を用いて高温で処理することを含み、高温で濾過して固体の塩化ナトリウムを除去し、濾液を冷却して塩化カリウムを生成させる。この手法の主な問題は、KClを結晶化させるために濾液を冷却する処理の間、いくらかの塩化ナトリウムもまた析出することであり、その結果、塩化カリウムは約3%のNaClで汚染される。第2に、CDPが約0.5%〜1.0%のMg2+を含むために、同じものが平衡液中に抽出されて液の抽出効率を下げてしまう。フロス浮選の場合は、有機発泡剤を塩化カリウムの精製のために添加しなければならず、そのことは一般に土壌及び環境に対して有害である。低温結晶化法と呼ばれている他の報告されている方法においては、湿式ふるい分けを含む分別結晶化によって塩化ナトリウムをカーナライトから除去し、そのことにより約4〜5%のNaClを含有するカーナライトを生成させる。
Song Youlin(CN)による、2000年12月6日付の中国特許CN1275531「Method for directly obtaining low sodium carnallite」では、固体のビショファイト(bischofite)を苦汁に添加して低ナトリウムカーナライトを結晶化し、そこから塩化カリウムを生成させることが可能であることが記載されている。この方法においては、ビショファイトを得るために、カーナライトの回収後に得られた苦汁を非常に高密度に濃縮する必要が生じる場合がある。回収効率及び廃液中に残存するK+をどのように処理するかについては言及されていない。Song Yioian(CN)及びJinyu Zhou(CN)による、1996年7月24日付の中国特許CN1127219「Preparing large crystal high purity potassium chloride by adding halogen method to remove Na and isolate K」では、固体のカーナライトを異なる種類の苦汁と混合することが開示されている。
Li Lianglin(CN)、Li Yunping(CN)及びWei Xinjun(CN)による、2000年3月29日付の中国特許CN1248549「Process for preparing high−quality potassium containing products by salt−field method」では、カリウムを抽出することが開示されており、そこでは、最初に温度の高い日中に苦汁をナトリウム槽に導入して塩化ナトリウムなどの塩鉱物を析出させ、温度の低い夜間に苦汁をカリウム槽に導入してカリウム塩を析出させる。この処理を、苦汁のカリウムイオン含量が2/1000より小さくなるまで数回繰り返す。しかしながら、その特許で言及されているように、生成物のカリウム含量は約52%である。その上、このような操作は構想としては興味深いが実施する上で制約がある。
Dillard Jr.;David S;Davis II;J.Gilbert;Every及びRichard L.による、1976年11月30日付の米国特許第3994531号「Method of solution mining potassium chloride from subterranean deposits」では、塩化カリウム及び塩化ナトリウムの両方を含む地下鉱床から塩化カリウムを溶液採掘する改善された方法が開示されている。この方法においては、塩化カリウム及び塩化ナトリウムがその中に溶解するように水性媒体を鉱床の中を透過させる。塩化マグネシウムを含む第2の地下床においてもまた、塩化マグネシウム溶液を得るために水性媒体を透過させる。これら両方の溶液を合わせて、塩化カリウム、塩化ナトリウム及び塩化マグネシウムを特定の比率で含む水性溶液を生成し、塩化カリウムの溶解度を下げる。合わせた水性のブライン溶液を濃縮し、濃縮した溶液を冷却してほぼ純粋な塩化カリウムの沈殿を生じさせる。しかしながら、海水系にこの方法を適用することは簡単ではない場合がある。
Sadan及びAbrahamによる、1979年2月20日付の米国特許第4140747号「Process for production of potassium chloride and magnesium chloride」では、塩化カリウムと塩化マグネシウム六水和物(ビショファイト)をカーナライト又は塩化ナトリウムを含むカーナライトから生成させる方法が開示されている。この方法は、添加水の存在下70℃にカーナライトを加熱すること、又は添加水なしで167.5℃に加熱することを含んでいる。固体の塩化カリウムはその後分離される。残留ブラインにおいては、濃縮又は温度を下げることによりカーナライトを分離して、最初の段階へ再循環させる。残留溶液は本質的には塩化マグネシウムからなり、ビショファイトとして回収する。カーナライトの加熱は加圧下で行い、フラッシュ蒸発により温度を下げる。この方法においては、得られるKClの純度に関して特別な言及がされていない。
単一の生成物に焦点を当てた前記方法の全てにおいては、苦汁中のKClの一部のみが実際に回収され、残りはKClの収率を上げるために再循環しなければならない。その上KClの純度が高い場合であっても、カーナライトを経由して野外でKClを生成させると、有機物を含む分離困難な不溶性粒子の沈殿がカーナライト中に生じうることが知られている。これら不溶物は生成物の見た目の品質に影響する。
1962年1月10日付の米国特許第3099528号「Recovery of values from Natural Lake and Sea Brines」では、粗カーナライトから得られるシルビナイトを経由してKClを生成させることが主目的である方法が開示されている。カーナライトの生成を促進するためにブラインを脱硫酸するのに必要な塩化カルシウムは、水素化されたカチオン交換樹脂を利用したイオン交換システムに重いせっこうスラリーを通すことによって生成する。イオン交換システム中で、流入するせっこうスラリーのカルシウムイオンは、イオン交換樹脂の水素イオンと交換し、流出物としてH2SO4を生成する。HCl溶離液を用いて樹脂についたカルシウムを溶離させることにより、塩化カルシウムの溶離溶液が得られる。この交換は昇温して行わなければならない。
1978年8月2日付の米国特許第1500288号「Purification of Brine」では、30℃〜50℃の温度でHClを添加することによりブラインのpHを7〜9に保ちながら、化学量論的に過剰量の塩化カルシウムを添加することにより、ブラインを含むアルカリ塩化物の硫酸塩含量を2g/Lにまで低下させた方法が開示されている。取り上げられている用途は、精製工程を経てアルカリ塩化物を生成させるためのブラインの直接的な利用である。外部から調達したCaCl2を使用することは少量の硫酸塩を脱硫酸するのに差し支えはないが、苦汁及び石灰からCaCl2を生成させる方が有利であると考えられ、有用な副生成物としてMg(OH)2が同時に生成する点でさらに有利である。
Chr.Balarew,D.Rabadjieva及びS.Tepavitcharova(「Improved Treatment of Waste Brines」,International Symposium on Salt 2000,page 551−554)は、海洋化学物質の回収を開示している。記載された方法においては、KClの回収前に純粋な形態のせっこう及び水酸化マグネシウムを回収することを目的として苦汁を脱硫酸している。苦汁の脱硫酸に必要なCaCl2は、石灰と脱硫酸された苦汁との反応から生成する。この方法の主な欠点は、(i)KClを回収する前に苦汁中からMgを析出させたことにより、KClと比べてカーナライトの溶解度がより低いことをうまく利用できず、うまく利用していたならば苦汁をより濃縮しなくてもKClを得ることができたかも知れないこと、(ii)KClが大量のNaClで汚染されることが不可避であり、精製工程が面倒かつエネルギー集約的となりうること、及び(iii)脱硫酸された原料苦汁が顕著な量のボロンを含むため、記載された方法によりMg(OH)2から生成されうるMgOが、高い不純物レベルのB23で汚染されることが不可避であると考えられることである。
Vohra、Rajinder N.他による、2001年10月29日付の米国特許出願20030080066では、高純度の塩、塩化カリウム及び7.5g/LのBrを含む最終苦汁を回収するための一体化した方法が開示されている。この方法は、ソーダ灰工業の蒸留残渣又は石灰石と酸から生成した塩化カルシウムを用いてブラインを脱硫酸することに基づいている。この特許出願の主な欠点は、蒸留残渣が近隣で入手できない場合にこの方法がより魅力的でなくなること、及び得られるカーナライトが高程度のNaClの汚染を受けておりさらに精製を必要とすることである。
Benjamin及びBurtonによる「The Heinz Handbook of Nutrition」(McGraw Hill Book Co. Second Edition,page 132−133)を参照すると、カリウムの食事必要量はナトリウムのそれと大体同じであることが記載されている。
Alves de Lima他による、2000年9月12日付のブラジル特許BR9806380A「Production of dietetic salt by mixing」では、海塩を塩化カリウム、ヨウ素酸カリウム及びナトリウムアルミニウムシリケートと混合することにより低ナトリウム治療塩を生成し、そのことによって4部の塩化ナトリウムを6部の塩化カリウムと混合することが述べられている。この方法の欠点は、固形混合物を作るためには、塩化ナトリウムと塩化カリウムを別々に入手してそれらを一緒に混合しなければならないことである。低ナトリウム塩の成分が、最初に純粋な形態で作られてその後再混合されており、そのような混合物が直接得られていた場合と比べて明らかにより費用がかかるという事実は別にしても、真に均一な固形混合物を調製するのが困難な場合もある。
Shuqing Wangによる、2000年11月1日付の中国特許CN1271541 A「Multi−element low sodium nutritive salt」では、真空下で飽和ブラインから塩を結晶化させることによって、低ナトリウム栄養塩を調製することが開示されている。この塩をその後、KCl及びMgSO4・7H2Oのような塩と均一に混合し、KIO3及びNa2SeO3溶液と混合し、乾燥して、最後に活性なCa及びZnの乳酸塩と混合する。この方法の欠点は、様々な構成成分を均一な固体混合物に混合することが難しいこととは別に、高温飽和ブラインから塩を結晶化する必要があって高いエネルギー消費を伴い、そのため製造コストが増加することである。
90年1月25日付の特許公開平02−22122「塩化ナトリウムと塩化カリウムとの複合塩の製造方法」では、海水をイオン交換膜を通して選択的に濃縮し、真空蒸発器でさらに濃縮して、所望のレベルのNaCl及びKClを溶液で得る方法が開示されている。この方法は、高度なイオン交換膜技術が必要であり、大量の水を蒸発させる必要があるため非常にエネルギー集約的なものとなりうる。
2002年1月31日付のPCT国際出願PCT/IN02/00018では、苦汁からKClが富化した低ナトリウム塩を生成させる方法が開示されている。この方法の欠点の一つは、野外で粗カーナライトを生成した場合、結果的にこの発明の目的を台無しにしてしまう再溶解、濾過及び再結晶の手順を再度踏まない限り、カーナライト分解生成物から除去することが困難な、塵、捕捉された有機物質、遍在する黒色粒子などのような不溶性物質で汚染されうることである。
Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,Sixth Edition,2002(Electronic Version)中の、Margarete Seeger,Walter Otto,Wilhelm Flich,Friedrich Bickelhaupt及びOtto.S.Akkermanによるマグネシウム化合物を扱った章を参照すると、海水から水酸化マグネシウムを調製する方法が記載されている。そこには、マグネシア中のB23含量を0.05%より低く保つためには、低ボロン含有マグネシアの調製の際、最大でpH12となる海水のオーバーライミングが必要であると記載されている。オーバーライミングは、より高い石灰コスト、上澄みを中和する必要、及び濾過がより難しいコロイド分散が生じることを含む。回避できない他の欠点は、海に戻して廃棄される塩化カルシウムを含む廃液が生成することである。
それゆえ、本発明の目的は、工業グレードの塩化カリウム及び低ナトリウム食用塩を苦汁から回収するための一体化した方法を提供することである。
本発明の他の目的は、全ての余分な物質を取り除くために、供給する苦汁を既知の手法を用いて濾過することであり、それによって余分な物質のないKCl及び低ナトリウム塩を得ることである。
本発明の他の目的は、純粋なKCl及び低ナトリウム塩に伴う副生成物として高純度の水を生成させることである。
本発明の他の目的は、一定の製品品質を維持し、及び設備投資が減るよう年間を通じた製造を可能とするため、夏期の数ヶ月間に天日濃縮によって塩田中で32.0°Be’〜32.5°Be’(比重1.263〜1.288)の苦汁を生成し、その後工場内でその苦汁を用いて全ての下流操作を行うことである。
他の目的は、取り込まれているMgCl2を除去するために遠心分離し及び少量の水を用いて洗浄すること以外にはいかなる精製をも必要とせずに、純粋な及び粗製のカーナライトから、それぞれのカーナライトの簡単な水性分解物を用いて、商業的価値のある2種類の有用な固体生成物を生成させることである。
他の目的は、段階7において石灰を用いて処理することによってCaCl2を生成させるために、生成したカーナライト分解液(CDL)中のMgCl2を利用することである。
本発明の他の目的は、ボロンを除去するための付加的な工程を全く必要とせずに低ボロンマグネシアに転換することのできる低ボロン含有Mg(OH)2の生成に、低ボロン含量のCDLを利用することである。
本発明の他の目的は、低ボロン不純物含有マグネシアを得るため一般的に行われるオーバーライミングを避けることによって、容易に濾過可能なMg(OH)2を得ることである。
本発明の他の目的は、現在一般的に行われているようにCaCl2溶液を海中廃棄する代わりに、先行技術において広く知られているようにカーナライト生成を促進する目的で、供給する苦汁の脱硫酸にCaCl2溶液を利用することである。
本発明の他の目的は、工程中に生成するCDL中に溶解して残存するKClを再循環させることである。
本発明の他の目的は、最終苦汁に含まれる最終的に処分される少量の損失を除き、苦汁中の全てのKClを回収することである。
本発明の他の目的は、工程中で最終苦汁の主な部分を再循環させ、必要であればCaCl2の付加的な生成のために残量のうち少量を転換し、さらに臭素及びMgCl2の効率的な生成のために、又はそれらから誘導体を生成させるために残りを利用することである。
他の目的は、白色セメントの製造又は焼せっこうの製造に用いることのできる高純度のせっこうを、脱硫酸工程から生成させることである。
他の目的は、供給した苦汁の全ての成分をほぼ完全に利用することにより、工場内での廃棄物の生成をなくすことである。
従って本発明は、KClの全収率が90〜95%であり、工業グレードの塩化カリウム及び低ナトリウム食用塩を同時に回収するための一体化した方法を提供し、その方法は、
(i)塩化カルシウム溶液を用いて苦汁を脱硫酸し、
(ii)密度が32〜32.5°Be’(比重1.283〜1.288)に到達するまで該脱硫酸された苦汁を濃縮し、
(iii)工程(ii)において得られた該脱硫酸された苦汁をMgCl2濃厚溶液と混合して高純度のカーナライトを得、
(iv)該カーナライトを水を用いて分解し、全量の約60%のKCl及び残留苦汁を得、
(v)残留苦汁を濃縮して苦汁中の残留NaCl及びKClを、粗カーナライト及びカーナライト分解液の形態で得、
(vi)工程(v)において得られた該粗カーナライトを水を用いて分解し、該元の32〜32.5°Be’(比重1.283〜1.288)苦汁中のKClに関する全収率が30〜35%のKClが富化した低ナトリウム塩、及びカーナライト分解液を生成し、
(vii)上記工程(v)及び(vi)において得られたカーナライト分解液を集めて、高品質の石灰を用いて処理し、低ボロン水酸化マグネシウム並びにCaCl2及びKClを含む濾液を生成し、
(viii)カーナライト分解液中に失われたKClを同時に回収しながら、上記工程(vii)において得られた該濾液を、上記工程(i)で苦汁を脱硫酸するために再循環させ、
(ix)工程(iii)のMgCl2に富んだ最終苦汁を、高純度カーナライトの継続的な生成のため、及びCaCl2の生成のためにも再循環させ、並びに
(x)余剰のMgCl2を利用して、臭素を回収し並びにMgCl2・6H2O及びその誘導体を得ることを含む。
本発明の実施態様の一つにおいては、工程(i)において使用される苦汁の密度が28〜30°Be’(比重1.24〜1.26)である。
本発明の他の実施態様においては、工程(i)におけるCaCl2とSO4 2-の化学量論比が0.9:1〜1.1:1であり、好ましくは1:1である。
本発明の他の実施態様においては、工程(iv)において、32〜32.5°Be’(比重1.283〜1.289)1部を、400〜440g/LのMgCl2を含む最終苦汁2.0〜2.5部と混合して、得られる苦汁の密度が34.0〜35.0°Be’(比重1.306〜1.318)、より好ましくは34.4〜34.6°Be’(比重1.311〜1.315)である。
本発明の他の実施態様においては、工程(iii)において、必要であれば、塵、黒色粒子、有機物質のような不溶性物質を除去するために、前記32〜32.5°Be’(比重1.283〜1.289)の苦汁を濾過する。
本発明のさらに他の実施態様においては、工程(iv)におけるカーナライトのNaCl含量が0.2〜2.0%であり、より好ましくは0.2〜0.4%である。
本発明の他の実施態様においては、工程(iv)において、付着したMgCl2を除去するために水を用いて洗浄した後に得られるKClの純度は97〜99%である。
本発明の他の実施態様においては、天日濃縮、又は好ましくはオープンパン中での、もしくはさらにより好ましくは水を回収するための多重効用蒸発器中での強制濃縮のいずれかによって、前記苦汁は36.5〜37.2°Be’(比重1.306〜1.318)の最終密度まで濃縮される。
本発明の他の実施態様においては、工程(v)における前記粗カーナライトが14〜16%のKCl及び18〜22%のNaClを含む。
本発明の他の実施態様においては、前記低ナトリウム塩が40〜50%のKCl及び50〜60%のNaClを含む。
本発明の他の実施態様においては、前記カーナライト分解液が15〜20mg/LのB23及び60〜80g/LのMgを含む。
本発明の他の実施態様においては、得られた前記Mg(OH)2は0.02%未満のB23を含むMgOに転換される。
本発明の他の実施態様においては、前記濾液は15〜30%のCaCl2及び5〜10%のKClを含む。
本発明の他の実施態様においては、苦汁中のNaCl含有分の問題は、ほとんどNaCl不純物を含まずに60〜70%のKClを回収するような方法で処理されており、残りのKClは、苦汁中のNaCl含有分の全量を含む非常に栄養価の高い食用塩の形態で回収されている。
本発明の実施態様においては、低ナトリウムカーナライトは、脱硫酸された28〜30°Be’(比重1.24〜1.26)の苦汁から、密度が32〜32.5°Be’(比重1.283〜1.288)に到達するまでソーラーパン中でその苦汁を濃縮し、濃縮された苦汁を密度が36.5〜37°Be’(比重1.33〜1.34)の最終苦汁(この工程中で生成する)と攪拌容器内で混合し、そのことによりカーナライトを結晶化させることによって生成する。そのカーナライトは濾過後に0.3〜2.0%のNaClを含んでおり、野外から得られた濃縮された苦汁を既知の手法で濾過し、カーナライトを塩田ではなく工場環境中で製造したために、塵などのような余分な物質を含まない。
本発明の他の実施態様においては、上記のようにして得られた低ナトリウムカーナライトを水を用いて分解して固体のカーナライト分解生成物を生成し、周囲温度で水洗浄した際に、少なくとも98%のKCl及び最大で1.0%のNaClを含む工業グレードの塩化カリウムが生成する。
本発明の他の実施態様においては、32〜32.5°Be’(比重1.283〜1.288)の濃縮された苦汁に含まれる約60%のKClが高純度のカーナライトとして回収される。
本発明の他の実施態様においては、34〜35°Be’(比重1.30〜1.34)の得られた苦汁を、強制濃縮システム中で苦汁の密度が36.5〜37°Be’(比重1.33〜1.342)に到達するまで濃縮した場合、冷却することによって、塩化ナトリウムと残留する塩化カリウムから生成するカーナライトの固体混合物が生成する。
本発明の他の実施態様においては、密度が36.5〜37°Be’(比重1.33〜1.342)の最終苦汁から得られた固体混合物を水を用いて分解した場合、40〜50%のKCl及び50〜60%のNaClを含む低ナトリウム塩として直接販売できる固体生成物が生成する。
本発明の他の実施態様においては、工業グレードの塩化カリウム及び低ナトリウム塩の両方とも高純度であり、塵、黒色粒子及び有機物質のような全ての余分な物質を含まない。
本発明の他の実施態様においては、新しい水を入手できないインドのカッチ大湿地のような場所においても、操業を持続するために重要な高純度の水が回収される。
本発明の他の実施態様においては、最終苦汁の一部は再循環され、最終苦汁の残りは水酸化マグネシウム、及び脱硫酸に使用される塩化カルシウムを生成させるためさらに処理される。
本発明の他の実施態様においては、先行技術で明示されているように最初に高純度の塩を回収するためにブラインを苦汁の代わりに脱硫酸することができ、その後、工業グレードの塩化カリウム及び低ナトリウム塩を生成させるために苦汁を使用することができる。
従って本発明は、32.0〜32.5°Be’(比重1.28〜1.288)と36.5〜37.2°Be’(比重1.33〜1.342)の脱硫酸された苦汁を1:2.5の比率で混合することにより、2%未満のNaCl含量と苦汁中のKClに関して60%の収率でカーナライトを効率的に調製するための一体化した方法を提供し、その後適当量の水の存在下周囲温度で分解することにより処理し、続いて遠心分離して、98〜99%純度のKClが直接生成する。
他の実施態様において本発明は、苦汁を強制濃縮することによって粗カーナライト(NaClとカーナライトの混合物)を生成させるために、純粋なカーナライトを回収した後に得られる苦汁を利用する。そこから、400〜440g/LのMgCl2及び7.0〜7.5g/LのBrを含むMgCl2に富んだ最終苦汁を同時に生成しながら、40〜45%のKCl及び50〜55%のNaClを含む、すなわち文献に理想的であると記されているのと同様の比率の低ナトリウム食用塩を90%の収率で得ることができる。
本発明は、工業グレードの塩化カリウム及び低ナトリウムでKClが富化した塩を苦汁から改善された方法によって同時に回収することに関し、石灰を除く全ての原材料は苦汁自体から生成し、工程中に生成した副生成物は完全に利用されている。その結果、上記カリウム生成物を回収するために基本的である必須の脱硫酸工程は、工程中に生成したCaCl2を用いて行われ、同時に、蒸留水に加えて有用な副生成物、すなわち低ボロンマグネシア及び高品質の粉末せっこうも得られる。
従って本発明は、苦汁中のKClに関して90〜95%の全回収効率で、苦汁から工業グレードの塩化カリウムと低ナトリウム塩を同時に回収するための改善された方法を提供し、(i)最初は外部から調達した塩化カルシウムを、通常は苦汁中の硫酸塩に関して化学量論比で0.9:1〜1.1:1の比率で添加することによって、及びそれ以降はカーナライト分解液と石灰の反応から得た塩化カルシウムを用いて、密度が28〜30°Be’(比重1.24〜1.26)の苦汁を脱硫酸し、(ii)密度が32〜32.5°Be’(比重1.283〜1.288)に到達するまでソーラーパン中で脱硫酸された苦汁を濃縮し、そのことによって、その濃縮の一部に太陽光のエネルギーを利用すると同時に、KClの顕著な損失を伴わずに苦汁から不要な塩化ナトリウムを結晶化させるために太陽光のエネルギーを利用し、(iii)全ての不溶性物質を除去するために苦汁を濾過し、(iii)そのような苦汁を400〜440g/LのMgCl2を含む溶液2.5容積部と混合し、MgCl2を含む溶液は最初は外部から調達し、それ以降は高純度のカーナライトを生成させる工程自体から再循環させ、(iv)苦汁中の全量のKClのうち約60%を、98%より高い純度の高純度KClの形態で得て、(v)強制濃縮によってその残留苦汁を濃縮して、最大量のKCl(カーナライトとして)及びNaClを追い出して、それらはその後、苦汁中のKClに関して30〜35%の全収率でKClが富化した低ナトリウム塩が生成するように処理することができ、(vi)MgCl2及びKClに富みわずかに15mg/LのB23を含むそのカーナライト分解液を集め、高品質の石灰を用いて処理し、15〜30%のCaCl2及び5〜10%のKClを含む水溶液と一緒に低ボロン水酸化マグネシウムを生成し、(vi)そのCaCl2溶液を苦汁の脱硫酸に利用し、及びカーナライト分解液中に失ったKClを再循環させ、(vii)持続的に高純度のカーナライトを生成させるために、及び必要となるであろう追加量のCaCl2を生成させるために、MgCl2に富んだ最終苦汁を再循環させ、及び(viii)臭素を効率的に回収するために、並びにMgCl2・6H2O及びその誘導体を生成させるために、余剰のMgCl2を利用することを含む。
本発明は以下の工程段階に従う。
1)密度が28〜30°Be’(比重1.239〜1.261)の苦汁を以下の段階10で得られる塩化カルシウムを用いて脱硫酸する。
2)その脱硫酸された苦汁を、密度が32.0〜32.5°Be’(比重1.283〜1.288)に到達するまでソーラーパン中で既知の手法により濃縮する。その時点で苦汁中のKCl濃度は35〜40g/Lであり、NaClは25〜30g/Lである。
3)(2)で得られた苦汁を濾過して余計な物質を除去する。
4)攪拌した容器中で、以下の工程(7)で得られる、密度36.5〜37.0°Be’(比重1.33〜1.342)の最終苦汁2.5容積部を、段階(3)の苦汁1容積部に添加し、周囲条件下で35〜45分攪拌を続けて、そこからカーナライトを沈殿させる。
5)段階(4)で得られたカーナライトを遠心分離機中で分離し、その母液を多重効用蒸発システム中に移す。
6)段階(5)のカーナライト1重量部を水0.45重量部を用いて既知の手法により分解し、遠心分離して、カーナライト中のKClに関して収率75%でKClを生成させる。300〜320g/LのMgCl2及び50〜55g/LのKClを含むカーナライト分解液(CDL)は分離して集める。
7)段階(5)の母液を強制濃縮システム中で濃縮し、冷却し、そのことによって、元の最終苦汁の密度である36.5〜37.0°Be’(1.33〜1.342)に到達するまで、塩化ナトリウムをカーナライトの形態の残留塩化カリウムと一緒に結晶化させる。
8)(7)で得られた塩化ナトリウムとカーナライトの混合物を上記段階(6)のように水を用いて分解し、CDL及び40〜50%のKClと50〜60%のNaClを含む低ナトリウム塩を生成させる。
9)段階(6)及び(8)のCDLを一緒に混合し、必要であれば最終苦汁をいっぱいまで継ぎ足し、80〜90%の中和をするため消石灰を用いて処理し、濾過して、Mg(OH)2及び15〜30%のCaCl2と22〜40g/LのKClを含む濾液を得る。
10)段階(9)の濾液を段階(1)の処理に使用し、その後段階(2)〜(9)を繰り返す。
主な進歩性は、ある部分はほぼ完全にNaClを含まない一方、他の部分はNaClが富化されており、両方の生成物は有用でさらに精製する必要がないような方法で、苦汁中のNaCl及びKClを不均化できることにあると考えられる。他の進歩性は、塩化カルシウムと低ボロンマグネシアを生成させるために、カーナライト分解液を使用することであり、前者は苦汁の脱硫酸に使用され、工程中で高品質のせっこうに転換される。他の進歩性は、年間を通した操業及び一定の高品質の製品、加えて苦汁中のKClのほぼ定量的な回収を確実なものとしながら、同時にエネルギー効率を最大化するために天日濃縮と強制濃縮の組み合わせを最適に使用することである。
以下の実施例は説明する手段として示され、本発明の範囲を限定するものとみなしてはならない。
例1:組成がMg2+=50.9gL-1、Na+=33.4gL-1、K+=13.6gL-1、Ca2+=痕跡量、Cl-=195.76gL-1、SO4 2-=20.4gL-1である、28.5°Be’(比重1.244)の原料苦汁を、外部から調達した濃度440gL-1の塩化カルシウムを化学量論量用いて処理し、上澄みをさらに密度32.4°Be’(比重1.28)になるまで天日濃縮し、この時点で、Na+=8.0gL-1、K+=22.24gL-1、Mg2+=86.6gL-1、SO4 2-=2.0gL-1の組成を有していた。沈殿した塩を除去し、この苦汁を3.1L取って、35.9°Be’(比重1.33)までさらに濃縮して、KCl 14%、MgCl2 30.61%、CaSO4 0.2%、NaCl 4.9%の組成を有する粗カーナライト0.7kgを生成した。このカーナライトを水0.35kgを用いて処理して、分析結果がKCl=78.67%、NaCl=12.24%、MgCl2=5.17%であるカーナライト分解生成物(CDP)0.117kgを得た。このように従来の方法によって得られたカーナライトは、最高で80%の純度のKClを生成し、工業グレードのKClを生成させるためにはさらなる精製が必要になると考えられる。
例2:この例においては、K+=18.34gL-1、Na+=10.82gL-1、Mg2+=86gL-1、Ca2+=3.4gL-1、SO4 2-=0.71gL-1、Cl-=284.3gL-1の組成を有する、脱硫酸された密度32°Be’(比重1.283)の苦汁1Lを、K+=1.13gL-1、Na+=2.45gL-1、Mg2+=114gL-1、Ca2+=3.58gL-1、SO4 2-=痕跡量、Cl-=335.2gL-1の組成を有する、37°Be’(比重1.342)の最終苦汁2.5Lと混合して、30分攪拌した。濾過によって、湿ったカーナライト[KCl=19.2%、NaCl=2.0%、MgCl2=36.25%、Ca2+=痕跡量、SO4 2-=痕跡量、H2O(結合水及び自由水の両方)=42.00%]120g、及び密度34.5°Be’(比重1.312)の濾液[K+=2.51gL-1、Na+=4.95gL-1、Mg2+=95.0gL-1、Ca2+=3.63gL-1、Cl-=289.20gL-1、SO4 2-=0.2gL-1]3.44Lを得た。KClはカーナライトの形態で、苦汁中のKClに関して66.0%回収された。カーナライトを従来法のように水66gを用いて分解し、KCl=97.0%、NaCl=2.0%、MgCl2=0.8%の組成を有するKCl18gを生成した。34.5°Be’(比重1.312)の濾液を加熱により濃縮し、冷却して、37°Be’(比重1.34)の最終苦汁3Lと、粗カーナライト(KCl=15.0%、NaCl=22.0%、MgCl2=28.5%)90gを得た。粗カーナライトを分解して、40%のKCl及び59%のNaClを有する低ナトリウム塩30gが生成した。
例3:攪拌時間を30分の代わりに45分に増やしたこと以外は、例2の実験を繰り返した。分析結果がKCl=19.96%、NaCl=0.37%、MgCl2=36.60%、Ca2+=痕跡量、SO4 2-=痕跡量、H2O=43%である、湿ったカーナライト105gを得た。
カーナライトを分解して、純度が98.5%でありわずか1%のNaCl不純物を含むKCl16gを得た。得られた34.7°Be’(比重1.31)の苦汁の3.4Lを量り取り、濃縮して粗カーナライト83gを回収し、分解して、43%のKCl及び53%のNaClを含む低ナトリウム塩27gを生成した。最終苦汁の体積は3Lであり、うち0.5Lを別にとっておき、2.5Lを新しい32°Be’(比重1.283)の苦汁1Lに再び添加し、工程を繰り返して純粋なカーナライト(KCl=20.16%、NaCl=0.35%、MgCl2=37.34%)105g及び予想された量の粗カーナライトを得た。2.5Lの最終苦汁をもう一度新しい32°Be’(比重1.283)の苦汁1Lと混合し、純粋なカーナライト(KCl=21%、NaCl=0.4%、MgCl2=36.7%)106gを得て、その後粗カーナライトを加熱した。2.5Lの最終苦汁をもう一度新しい32°Be’(比重1.283)の苦汁1Lと混合し、純粋なカーナライト(KCl=20.5%、NaCl=0.5%、MgCl2=36.8%)100gを得た。この例では、純粋なKCl及び低ナトリウム塩を生成させる目的で、一定の収率及び品質の純粋なカーナライト及び粗カーナライトを得るために最終苦汁を再循環できることが示されている。それぞれのバッチにおける余剰量の最終苦汁は、一部は脱硫酸用のCaCl2を生成させるのに利用し、残りの余剰部分はMgCl2又はその誘導体を生成させるのに利用できる。
例4:この例においては、32°Be’(比重1.283)の脱硫酸された苦汁20Lを用いて例3の工程を行った。最初のサイクルから適当量の最終苦汁を、新しい脱硫酸された苦汁16Lと混合し、2つのサイクルからの純粋なカーナライト画分を一緒に混合し、分解して、純度98%のKCl0.62kgを得た。同様に、粗カーナライト画分も混合し、分解して、低ナトリウム塩を生成した。
例5:MgCl2 302.6gL-1、KCl 52.5gL-1、B23 15.42mgL-1を含むCDL(カーナライト分解液)1Lを水1Lで希釈し、その後、生石灰(CaO)220gを用いて処理し、得られたスラリーを安定にした。例2の工程において外部から調達したCaCl2の代わりに使用される、CaCl2 167.8gL-1、MgCl2 9.48gL-1、KCl 26.2gL-1を含む濾液1.4Lを得た。Mg(OH)2ケーキは水を用いて洗浄し、MgOに転換した。CDL中のB23濃度が低いために、オーバーライミングが不要であるにもかかわらず、MgOはB23を0.013%未満しか含まなかった。より少量の硫酸塩を含む下層土苦汁の場合、必要とする全てのCaCl2は、例2の工程において生成するCDLから生成させることができる。しかしながら、海水苦汁を用いた場合、CaCl2の一部は工程中に得られる余剰の最終苦汁(37°Be’)(比重1.283)からも生成させる。

Claims (13)

  1. KClの全収率が90〜95%である工業グレードの塩化カリウム及び低ナトリウム食用塩を同時に回収するための一体化した方法であって、
    (i)塩化カルシウム溶液を用いて苦汁を脱硫酸し、
    (ii)密度が32〜32.5°Be’(比重1.283〜1.288)に到達するまで該脱硫酸された苦汁を濃縮し、
    (iii)工程(ii)において得られた該脱硫酸された苦汁をMgCl2濃厚溶液と混合して高純度のカーナライト(carnallite)を得、
    (iv)該カーナライトを水を用いて分解し、全量の約60%のKCl及び残留苦汁を得、
    (v)残留苦汁を濃縮して苦汁中の残留NaCl及びKClを、粗カーナライト及びカーナライト分解液の形態で得、
    (vi)工程(v)において得られた該粗カーナライトを水を用いて分解し、該元の32〜32.5°Be’(比重1.283〜1.288)苦汁中のKClに関する全収率が30〜35%でKClが富化した低ナトリウム塩、及びカーナライト分解液を生成し、
    (vii)上記工程(v)及び(vi)において得られたカーナライト分解液を集めて、高品質の石灰を用いて処理し、低ボロン水酸化マグネシウム並びにCaCl2及びKClを含む濾液を生成し、
    (viii)カーナライト分解液中に失われたKClを同時に回収しながら、上記工程(vii)において得られた該濾液を、上記工程(i)で苦汁を脱硫酸するために再循環させ、
    (ix)工程(iii)のMgCl2に富んだ最終苦汁を、高純度カーナライトの継続的な生成のため、及びCaCl2の生成のためにも再循環させ、並びに
    (x)余剰のMgCl2を利用して、臭素を回収し並びにMgCl2・6H2O及びその誘導体を得る
    ことを含む方法。
  2. 工程(i)において、使用される苦汁の密度が28〜30°Be’(比重1.24〜1.26)の範囲内である、請求項1に記載の方法。
  3. 工程(i)において、CaCl2とSO4 2-の化学量論比が、0.9:1〜1.1:1の範囲内であって、好ましくは1:1である、請求項1に記載の方法。
  4. 工程(iv)において、32〜32.5°Be’(比重1.283〜1.289)1部を、400〜440g/LのMgCl2を含む最終苦汁2.0〜2.5部と混合し、前記得られた苦汁の密度が、34.0〜35.0°Be’(比重1.306〜1.318)の範囲内であり、より好ましくは34.4〜34.6°Be’(比重1.311〜1.315)の範囲内である、請求項1に記載の方法。
  5. 工程(iii)において、必要であれば、塵、黒色粒子及び有機物質のような不溶性物質を除去するために、前記32〜32.5°Be’(比重1.283〜1.289)の苦汁を濾過する、請求項1に記載の方法。
  6. 工程(iv)において、カーナライトのNaCl含量が0.2〜2.0%の範囲内であり、好ましくは0.2〜0.4%の範囲内である、請求項1に記載の方法。
  7. 工程(iv)において、付着したMgCl2を除去するために水を用いて洗浄した後に得られるKClの純度が97〜99%の範囲内である、請求項1に記載の方法。
  8. 工程(v)において、天日濃縮、又は好ましくはオープンパン中での、もしくはさらにより好ましくは水を回収するための多重効用蒸発器中での強制濃縮のいずれかによって、前記苦汁が36.5〜37.2°Be’(比重1.306〜1.318)の最終密度に濃縮される、請求項1に記載の方法。
  9. 工程(v)において、前記粗カーナライトが、14〜16%のKCl及び18〜22%のNaClを含む、請求項1に記載の方法。
  10. 工程(vi)において、前記低ナトリウム塩が、40〜50%のKCl及び50〜60%のNaClを含む、請求項1に記載の方法。
  11. 工程(vii)において、前記カーナライト分解液が、15〜20mg/LのB23及び60〜80g/LのMgを含む、請求項1に記載の方法。
  12. 工程(vii)において、得られた前記Mg(OH)2が、0.02%未満のB23を含むMgOに転換される、請求項1に記載の方法。
  13. 工程(vii)において、前記濾液が15〜30%のCaCl2及び5〜10%のKClを含む、請求項1に記載の方法。
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