JP2007526770A - ボツリヌス毒素スクリーニングアッセイ - Google Patents

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Abstract

サンプル中のBoNT/A 活性を検出する方法、BoNT/A 受容体結合と競合可能な分子をスクリーニングする方法、ヒトにおいてBoNT/A 活性を低下させる方法およびFGFR3に選択的に結合可能な神経毒を政府または地方の規制当局に販売する方法。

Description

発明の詳細な説明
本特許出願は、35 U.S.C. セクション119(e)にしたがって、2004年2月24日出願の仮出願60/547591号からの優先権を主張し、その出願全体を引用により本明細書に含める。
本出願において引用するすべての刊行物はその全体を引用により本明細書に含める。
ボツリヌス毒素(BoNT)の筋弛緩特性は多種多様な治療および美容用途において利用されている。例えば、William J. Lipham、Cosmetic and Clinical Applications of BOTULINUM TOXIN(Slack、Inc.、2004)を参照されたい。例えば、以下の治療のためのCoNT療法が提案されている:ジストニア(例えば、Kei Roger Aoki、et al.、Method for treating Dystonia with botulinum toxin C to G、米国特許第6319505号(Nov. 20、2001)を参照されたい); 疼痛(例えば、Kei Roger Aoki、et al.、Method for Treating Pain by Peripheral Administration of a Neurotoxin、米国特許第6464986号(Oct. 15、2002)を参照されたい); 筋肉損傷(例えば、Gregory F. Brooks、Methods for Treating Muscle Injuries、米国特許第6423319号(Jul. 23、2002)を参照); 心血管疾患(例えば、Gregory F. Brooks、Methods for Treating Cardiovascular diseases with Botulinum Toxins、米国特許公開第2003/0185860号 (Oct. 2、2003)を参照); 神経精神医学的障害(例えば、Steven Donovan、Therapeutic Treatments for Neuropsychiatric Disorders、米国特許公開第2003/0211121号(Nov. 13、2003) を参照); 腰背部疼痛(例えば、Kei Roger Aoki、et al.、Botulinum Toxins Therapy for lower back Pain、米国特許公開第2004/0037852号(Feb. 26、2004)を参照);およびその他の神経筋障害(例えば、Kei Roger Aoki、et al.、Multiple Botulinum Toxins for Treating neuromuscular disorders and Conditions、米国特許公開第2001/0021695号(Sep. 13、2001); Kei Roger Aoki、et al.、Treatment of neuromuscular disorder and Conditions with Different Botulinum、米国特許公開第2002/0010138号(Jan. 24、2002); Kei Roger Aoki、et al.、Use of Botulinum Toxins for Treating Various Disorders and Conditions and Associated Pain、米国特許公開第 2004/0013692号(Jan. 22、2004) 参照)。生物薬剤学的神経修飾物質としてのBoNTのさらなる提案されている用途は、神経筋基盤を欠く特定の障害を標的とする多種多様な治療を含むように広がっている。例えば、自律神経系に対する効果により、腋窩多汗症または発汗の治療用のボツリヌス毒素血清型 A (BoNT/A)療法の開発が可能となっており、報告によると、BoNT/Aは、筋筋膜痛疼痛および緊張、脳卒中、外傷性脳障害、脳性麻痺、消化管運動障害、尿失禁、癌および片頭痛の治療に有効でありうると示されている。最後に、美容およびその他の治療への適用はよく知られている。実際、ヒトの治療的および美容的処置の両方におけるBoNTの期待される用途は、これら毒素の筋弛緩特性から恩恵を被りうるさらに広範な疾患および栄養用途(aliment)に広がることが予測される。
ボツリヌス毒素の臨床および治療での使用の拡大は、例えば、正確な製剤処方の保証および確立した品質管理基準のモニターを行うために、BoNT活性の正確なアッセイの医薬産業による使用を必要とする。さらに、食品における少量のBoNTに関係する潜在的な危険性を考慮すると、例えば、新規な食品包装方法の承認および食品安全性の保証のために、食品産業においてもBoNT活性アッセイが必要となる。さらに、BoNT活性アッセイは、BoNT活性の修飾物質、例えば、解毒剤として有用であり得るBoNT活性を低下させる修飾物質、および、より強力またはより持効性の製剤処方の作成において有用であり得るBoNT活性を上昇させる修飾物質の同定において有用である。本発明は、様々な産業、例えば、医薬および食品産業に有用なBoNTの存在または活性を検出するための新規なBoNT アッセイを提供するとともに、関連する利益も提供する。
図面の簡単な説明
図1は、BoNT/A中毒機構の現在の概念図の模式図を示す。この中毒過程は4段階から構成されるように記載しうる: 1)BoNT/AがBoNT/A 受容体系に結合する受容体結合、これにより、中毒過程が開始する; 2) BoNT/A結合後、毒素/受容体系複合体を含むベシクルが細胞内へエンドサイトーシスされる複合体インターナリゼーション; 3)ベシクル内部のpH変化、BoNT/A 重鎖のHNドメインを含むチャンネル穴の形成、BoNT/A 軽鎖の重鎖からの分離、軽鎖の酵素活性化および活性化した軽鎖の放出を含む、複数の事象が起こると考えられている軽鎖転位置;および4) BoNT/Aの活性化軽鎖がタンパク分解によりSNARE 基質、例えば、SNAP-25などのその標的を切断する酵素標的の修飾。
図2は、FGFR3および選択的スプライシングを受けてFGFR3IIIbおよびFGFR3IIIcを生じるエキソンの模式図を示す。最上図はFGFR3の一般図を示す。細胞外ドメインは、シグナルペプチド (SPと示すボックス)、3つのIg-様ドメイン(IgI、IgIIおよびIgIIIと示すループ)および酸ボックス(酸と示すボックス)を含む。一つの膜貫通領域は、膜貫通ドメイン (TMと示すボックス)を含む。受容体の細胞質内部分は、チロシンキナーゼドメインを含む。中央図は、FGFR3IIIb アイソフォームをコードするエキソンの一般図を示し、ここでエキソン 9はプロセシングの際に一次転写産物からスプライシングにより除かれる。最下図はFGFR3IIIc アイソフォームをコードするエキソンの一般図を示し、ここで、エキソン 8はプロセシングの際に一次転写産物からスプライシングにより除かれる。
図3は、PURE-AのHIT-T15 細胞へのエレクトロポレーションの結果を示す。図3aは、インスリン放出阻害アッセイの結果を示す。グラフは25 mMまでのグルコースの添加は、非処理細胞 (対照)およびPURE-A非添加でエレクトロポレーションに供された細胞(エレクトロポレーション無PURE-A)からのインスリン分泌を誘導したことを示す。しかし、PURE-Aが導入されたHIT-TI5細胞(エレクトロポレーション PURE-A)はインスリン分泌の低下を示し、これら細胞はインスリン分泌の誘導に非応答性であったことが示される。図3bは、SNAP-25 切断アッセイの結果を示す。ウェスタンブロット分析により、 PURE-A 処理細胞(エレクトロポレーション PURE-A)においてBoNT/A SNAP-25197 切断産物の存在が示されたが、対照においては示されなかった(対照およびエレクトロポレーション無PURE-A)、ここでレーン当たり等量のタンパク質がロードされ、BoNT/A SNAP-25197切断産物を検出する抗体をプローブとした。
図4は、HIT-T15 細胞のエレクトロポレーションの長時間での影響を示す。図4aは、インスリンアッセイについての放出阻害の結果を示し、毒素の存在が対照と比較して、HIT-T15 細胞の増殖を遅延させるが、毒素-処理細胞は回復期間後には正常に複製することができたことを示す。図4bはウェスタンブロット分析を示し、これによって、PURE-Aが細胞に導入された場合、試験したすべての時点でSNAP-25の切断が検出されたことが示された。ここでレーン当たり等量のタンパク質がロードされ、BoNT/A SNAP-25197切断産物を検出する抗体をプローブとした。
図5は、ヒト脳cDNAライブラリーにより形質転換され、BONT/Aが結合している磁気ビーズを用いて選択されたHIT-T15 細胞を示す。個々のコロニーはディッシュ中で目視でき、磁気ビーズに囲まれている。
図6は、推定 BONT/A 受容体を含むHIT-T15 細胞からのインスリン放出アッセイの結果を示す。細胞を1 nM PURE-Aに曝し、グルコース刺激時のインスリン放出の阻害をアッセイした。
図7は、2つの単離されたHIT-T15 細胞分離株 C6およびC7の分析を示す。図7aは、代表的 HIT-T15 形質転換体C6およびC7におけるBONT/Aとのインキュベーション時のインスリン放出の低下を示す。図7bはウェスタンブロット分析を示し、これによって、BONT/AとともにインキュベートされたクローンC6およびC7において、SNAP-25の切断が検出されたことが示される。ここで、レーン当たり等量のタンパク質がロードされ、BoNT/A SNAP-25197切断産物を検出する抗体をプローブとした。
図8は、クロストリジウム毒素に対して高アフィニティーの取り込みを示す細胞を同定するウェスタンブロット分析を示す。図8aはBoNT/Aを取り込み可能な細胞の同定に用いたウェスタンブロット分析を示す。ブロットは1 nM のPURE-Aで一晩処理された5つの細胞株を示す。ここで、レーン当たり等量のタンパク質がロードされ、BoNT/A SNAP-25197切断産物を検出する抗体をプローブとした。図8bは、BoNT/A 取り込みに必要な時間を評価するために用いたウェスタンブロット分析を示す。ブロットは、1 nMのPURE-Aで様々な時間処理されたNeuro-2A 細胞またはSH-SY5Y 細胞のいずれかを示す。ここで、レーン当たり等量のタンパク質がロードされ、BoNT/A SNAP-25197切断産物を検出する抗体をプローブとした。図8cは、BoNT/A 取り込みに必要な濃度範囲を評価するために用いたウェスタンブロット分析を示す。ブロットは様々な濃度範囲のPURE-Aで一晩処理されたNeuro-2A 細胞を示す。ここで、レーン当たり等量のタンパク質がロードされ、BoNT/A SNAP-25197切断産物を検出する抗体をプローブとした。
図9は、ボツリヌス毒素の取り込みの上昇に用いたガングリオシド処理の効果を評価するウェスタンブロット分析を示す。図9aは、BoNT/Aの取り込みに対するガングリオシド処理の効果を評価するウェスタンブロット分析を示す。ブロットは、25μg/mLのGT1bとともに、またはGT1b無しで(-または+)処理され、3種類の濃度のBoNT/A (12.5 pM、25 pMまたは50 pM)に一晩曝されたNeuro-2A 細胞を示す。ここで、レーン当たり等量のタンパク質がロードされ、BoNT/A SNAP-25197切断産物を検出する抗体をプローブとした。図9bは、BoNT/Eの取り込みに対するガングリオシド処理の効果を評価するウェスタンブロット分析を示す。ブロットは25 μg/mLのGT1b、GQ1b、GD1a、GD1bまたはGD3のいずれかで処理され、およそ5 時間、14 nMのBoNT/E 二本鎖に曝されたNeuro-2A 細胞を示す。ここで、レーン当たり等量のタンパク質がロードされ、非切断 SNAP-25206 基質およびBoNT/E SNAP-25180 切断産物を検出する抗体(SMI-81; Sternberger Monoclonals、Lutherville、MD)でプローブした。
図10は、BoNT/A-SBED 毒素を用いたNeuro-2A 細胞における架橋実験の結果を示す。図10aは、推定 BONT/A 受容体に架橋された150 kDa 神経毒を含むNeuro-2A 細胞からのおよそ250 kDaの複合体の単離を示す。バンドは銀染色により可視化した。図10bは、BoNT/A 受容体を同定するために用いたウェスタンブロット分析を示す。ブロットは、97 kDa FGFR3に対応する1つのバンド(第一パネル)および150 kDa BoNT/A ホロ毒素および100 kDa BoNT/A 重鎖に対応する2つのバンド(第二パネル)の存在を示す。ここで、レーン当たり等量のタンパク質がロードされ、FGFR3またはBoNT/Aのいずれかを検出する抗体でプローブした。
図11は、5種類の細胞株におけるFGFRの存在を判定するために用いたウェスタンブロット分析を示す。FGFR3に選択的に結合する抗体のみが、BoNT/A 受容体を含む細胞株に関連するバンドを検出した。
図12は、PURE-AおよびFGF リガンドを用いたNeuro-2a 細胞における受容体競合実験の結果を示す。ウェスタンブロット分析は、FGF1およびFGF2の両方がBoNT/A 受容体への結合についてBoNT/Aと有効に競合したことを示す。ここで、レーン当たり等量のタンパク質がロードされ、非切断 SNAP-25206 基質およびBoNT/E SNAP-25180 切断産物を検出する抗体 (SMI-81; Sternberger Monoclonals、Lutherville、MD)でプローブした。非切断 SNAP-25206 基質の出現は1nM という低濃度のFGF リガンドが存在する場合に検出され、5 nMのFGF リガンドが存在する場合は明らかに目視できた。検出可能なレベルのBoNT/A SNAP-25197切断産物は、200 mM のFGF リガンド処理においては存在しなかった。
図13は、Neuro-2A 細胞におけるFGFR3 リン酸化研究の結果を示す。図13は、FGF2またはBoNT/Aに曝された後のリン酸化FGFR3の存在を示すウェスタンブロット分析を示す。ブロットは、5 nM FGF2 または5 nM PURE-Aのいずれかで様々な時間処理されたNeuro-2A 細胞を示し、ここで、レーン当たり等量のタンパク質がロードされ、FGFR3を検出する抗体でプローブした。図13bは、多量のDMBIに曝されるとリン酸化FGFR3が低減することを示すウェスタンブロット分析を示す。ブロットは、5 nM FGF2で10 分間処理されたNeuro-2A 細胞を示し、ここで、レーン当たり等量のタンパク質がロードされ、リン酸化FGFR3を検出する抗体でプローブした。図13cは、多量のDMBIに曝されるとSNAP-25197切断産物が低減することを示すウェスタンブロット分析を示す。ブロットは5 nM のPURE-Aで10 分間処理されたNeuro-2A 細胞を示し、ここで、レーン当たり等量のタンパク質がロードされ、BoNT/A SNAP-25197切断産物を検出する抗体をプローブとした。
発明の詳細な説明
本発明は、神経細胞の選択的中毒に対する第一段階としてBoNT/Aが選択的に結合する細胞表面受容体の同定に基づく。本明細書は、一部において、線維芽細胞成長因子受容体 3 (FGFR3)がBoNT 受容体、例えば、BoNT/A 受容体として有用であることを開示する。さらに、本明細書の開示では、BoNTのBoNT 受容体に対する結合および神経細胞内への毒素のインターナリゼーションを促進する特定のガングリオシドを同定する。例えば、GT1b等のガングリオシドを使用することによりBoNT/A 受容体へのBoNT/Aの結合が促進され; GQ1b、GD1a、GD1bまたはGD3等のガングリオシドを使用することによりBoNT/E 受容体へのBoNT/Eの結合が促進される。
本発明は、活性BoNT/Aの存在または非存在を検出する新規なアッセイを提供する。本明細書に開示する新規な方法は、複数の毒素の機能、即ち、毒素の結合および細胞による取り込み、細胞の細胞基質への転位置、およびプロテアーゼ活性を分析するのに未だ用いられている動物に基づく毒性研究の必要性を低下させる。以下にさらに説明するように、本明細書に開示の新規方法は、粗およびバルクサンプルならびに高度に精製された二本鎖毒素および製剤化毒素製品の分析に用いることが出来、そして、自動化ハイスループットアッセイ形式にも適用できる。
本発明の側面は、サンプルを外来性FGFR3を含む細胞と接触させること(ここで、接触した該細胞はBoNT/A中毒となり得る)、および、対照細胞と比較しての接触した該細胞のBoNT/A 活性の存在を検出することにより、BoNT/A 活性を検出する方法を提供し、ここで該対照細胞と比較しての接触した該細胞の該BoNT/A 活性における相違はBoNT/A 活性を示す。本発明の別の側面は、サンプルを一過性に外来性 FGFR3を含む細胞と接触させること(ここで接触した該細胞はBoNT/A中毒となり得る)、および、対照細胞と比較しての接触した該細胞のBoNT/A 活性の存在を検出することにより、BoNT/A 活性を検出する方法を提供し、ここで該対照細胞と比較しての接触した該細胞の該BoNT/A 活性における相違はBoNT/A 活性を示す。本発明の別の側面は、サンプルを外来性FGFR3を安定に含む細胞と接触させること(ここで、接触した該細胞はBoNT/A中毒となり得る)、および、対照細胞と比較しての接触した該細胞のBoNT/A 活性の存在を検出することにより、BoNT/A 活性を検出する方法を提供し、ここで該対照細胞と比較しての接触した該細胞の該BoNT/A 活性における相違はBoNT/A 活性を示す。
本発明の別の側面は、FGFR3に選択的に結合する分子を含む医薬組成物をヒトに投与することを含む、該ヒトにおいてBoNT/A 活性を低下させる方法を提供し、ここで該選択的結合は、BoNT/Aが該FGFR3に結合する能力を低下させる。
本発明の別の側面は、サンプルとFGFR3を含む組成物とを接触させることおよび分子が該FGFR3に選択的に結合するか否かを検出することを含む、 BoNT/A 中毒に感受性の細胞に対する選択的結合についてBoNT/Aと競合しうる分子をスクリーニングする方法を提供する。ここで該分子の該FGFR3との選択的結合は、該分子がBoNT/A 中毒に感受性の細胞に対する選択的結合についてBoNT/Aと競合しうることを示し、該分子が BoNT/Aである場合、該方法はLD50 アッセイを含まない。
本発明の別の側面は、治療用神経毒についての政府または地方の規制当局からの販売認可を得ること、該規制当局の要求に従った様式で販売用に該神経毒を包装すること、および該神経毒を売ることを含む、BoNT/A と同様にFGFR3に選択的に結合することが出来る神経毒の販売方法を提供し、ここで該神経毒は、該神経毒とFGFR3を含む組成物とを接触させることおよび該神経毒が該FGFR3に選択的に結合するか否かを検出することを含む、細胞への選択的結合についてのアッセイをされており、ここで、該神経毒の該FGFR3への選択的結合は、該神経毒がBoNT/A 中毒に感受性の細胞に選択的に結合できることを示し、該分子が BoNT/Aである場合、該方法はLD50アッセイを含まない。
本発明の別の側面は、治療用神経毒について政府または地方の規制当局から販売認可を得ること、該規制当局の要求に従った様式で販売用に該神経毒を包装すること、および該神経毒を売ることを含む、BoNT/Aと同じFGFR3に選択的に結合することが出来る神経毒の販売方法を提供し、ここで、該神経毒は、該神経毒と外来性 FGFR3を含む細胞とを接触させる工程(ここで接触した該細胞はBoNT/A中毒となり得る)および対照細胞と比較しての接触した該細胞のBoNT/A 活性の存在を検出する工程を含む、細胞に対する選択的結合についてアッセイされたものであり、該対照細胞と比較しての接触した該細胞の該BoNT/A 活性における相違はBoNT/A 活性を示す。
BoNTはそれぞれおよそ 150 kDaの一本鎖ポリペプチドとして翻訳され、その後、細菌または組織プロテアーゼによりジスルフィドループ内でのタンパク分解切断により切断される。この翻訳後プロセシングにより、およそ 50 kDaの軽鎖 (LC)とおよそ100 kDaの重鎖 (HC)が一つのジスルフィド結合および非共有結合相互作用によってつながって含まれる二本鎖分子が生じる。各成熟二本鎖分子は3つの機能的に異なるドメインを含む: 1)神経伝達物質放出装置のコア成分を特異的に標的とする亜鉛依存性エンドペプチダーゼ活性を含むメタロプロテアーゼ領域を含むLCに位置する酵素ドメイン; 2)細胞内ベシクルから標的細胞の細胞質への毒素の放出を促進するHCのアミノ末端側半分(HN)に含まれる転位置ドメイン; および3)標的細胞の表面に位置する受容体複合体に対する毒素の結合活性および結合特異性を決定するHCのカルボキシ末端側半分(HC)に見られる結合ドメイン。
これら3つの機能性ドメインの結合、転位置および酵素活性はすべて毒性に必要である。この過程のすべての詳細はまだ正確には知られていないが、BoNTが神経細胞に侵入し、神経伝達物質放出を阻害する全体としての細胞中毒機構はタイプと関係なく類似している。本出願人は以下の記載により拘束される意図はないが、中毒機構は以下の4工程を含むとして記載できる: 1) 受容体結合、2) 複合体インターナリゼーション、3) 軽鎖転位置、および4) 酵素標的の修飾 (図1参照)。この過程は標的細胞の原形質膜表面に位置するBoNT-特異的受容体複合体にBoNTのHCドメインが結合すると開始する。受容体複合体の結合特異性は、部分的には、明確に各BoNT/A 受容体複合体を含むようであるガングリオシドおよびタンパク質受容体の特定の組合せによって達成されると考えられている。一度結合すると、BoNT/受容体複合体はエンドサイトーシスによりインターナライズされ、インターナライズしたベシクルは特定の細胞内経路に局在化される。転位置工程は、ベシクル区画の酸性化によってトリガーされるようである。この過程は、毒素の疎水性を上昇させ、酵素活性化を促進する、2つの重要なpH-依存的構造再編成を開始させるようである。いったん活性化されると、毒素の軽鎖エンドペプチダーゼが細胞内ベシクルから細胞基質へと放出され、それは細胞基質において神経伝達物質放出装置の3つの既知のコア成分の1つを特異的に標的化する。3つのこれらのコアタンパク質である、ベシクル-結合膜タンパク質 (VAMP)/シナプトブレビン、25 kDaのシナプトソーム-結合タンパク質(SNAP-25)およびシンタキシンは、神経終末におけるシナプスのベシクルドッキングおよび融合に必要であり、可溶性 N-エチルマレイミド-感受性因子-付着タンパク質-受容体(SNARE) ファミリーのメンバーを構成する。シナプスのSNAREの選択的タンパク質分解は、インビボでのクロストリジウム毒素により起こる神経伝達物質放出の完全なブロックの原因である。クロストリジウム毒素のSNARE タンパク質標的は様々な非神経細胞タイプにおけるエキソサイトーシスに共通である; かかる細胞において、神経細胞におけるように、軽鎖ペプチダーゼ活性がエキソサイトーシスを阻害する。例えば、Yann Humeau et al.、How Botulinum and Tetanus Neurotoxins Block Neurotransmitter Release、82(5) Biochimie. 427-446 (2000); Kathryn Turton et al.、Botulinum and Tetanus Neurotoxins: Structure、Function and Therapeutic Utility、27(11) Trends Biochem. Sci. 552-558. (2002); M. Zouhair Atassi、Basic and Therapeutic Aspects of Botulinum and Tetanus Toxins、(Dirk W. Dressler & Joseph J. Jankovic eds.、2003); Giovanna Lalli et al.、The Journey of Tetanus and Botulinum Neurotoxins in Neurons、11(9) Trends Microbiol. 431-437、(2003)を参照。
BoNT/Aの三次元結晶構造は、毒素の3つの機能性ドメインが構造的に異なることを示す。例えば、Humeau et al.、前掲、(2000)、Turton et al、前掲、(2002);およびLalli et al.、前掲、(2003) 参照。軽鎖のHEXXH コンセンサスモチーフは、チャンネルが接近しうるタンパク質表面の深い裂け目に位置する触媒部位の四面体亜鉛結合ポケットを形成する。この保存された亜鉛結合モチーフは、その触媒機能に必要な少なくとも1つの亜鉛原子に結合する。HNおよびHCドメインの構造は、主に1つのα-ヘリックスが結合したβ-シートトポロジーからなる。HNドメインはβ-バレル、レクチンにみられる炭水化物結合部分に類似のゼリーロールフォールドを含み、このことから、このドメインがオリゴ糖含有分子を認識し得、細胞内ソーティングにおける役割を果たし得ることが示唆される。レクチンとのその全体の構造類似性に加えて、HNドメインはまた、機能を示唆する2つの異なる構造特徴を含む。第一に、HNドメインは、ウイルスタンパク質のいくつかにみられるコイルドコイルモチーフと類似の長い両親媒性ヘリックスの対を含む。ウイルスにおいて、これらヘリックスは宿主細胞膜とウイルス膜との融合を補助しており、これによって、コイルドコイル領域が細胞内ベシクルの膜へのHNドメインの挿入を補助しうることが示唆される。第二に、「転位置ベルト」と称される長いループが、亜鉛原子が活性部位の触媒-結合ポケットに近づくことを阻害する軽鎖の大きな負に荷電した裂け目の周囲を包んでいる。HCドメインは、ガングリオシド-結合部位および5残基のガングリオシド-結合モチーフを含む。これらの領域は、細胞表面のアクセプター分子を含む特定の炭水化物への結合を媒介すると考えられている4つの異なる炭水化物結合領域を形成する修飾されたβ-三葉型フォールド構造の形をとる。この機能と一致して、HCドメインはクロストリジウム毒素間でもっとも高い配列の多様性を示し、このことにより、TeNTおよびBoNTの異なる結合特性とソーティングスキームが説明されうる。HCドメインは、HNドメインから突き出ており(tilts away)、表面ループを露出し、それらを結合に関与できるようにしている。軽鎖およびHCドメインの間に接触は起こらないようである。HC 領域のN-末端は、タンパク質の炭水化物結合ファミリーであるS-レクチンのものと関連するゼリーロール構造を示す。一方、HCのC-末端は、配列的には関連のないインターロイキン-1αおよび1β、Kunitz-型トリプシン阻害剤および線維芽細胞成長因子(FGF)との構造類似性を示す偽三部分三葉型コンホメーションをとる。これらタンパク質は、ほとんどβ-タンパク質であり、タンパク質-タンパク質相互作用に関与している。
細胞表面ガングリオシドはBoNT/Aの受容体系の一部であるようであり、毒素のそのBoNT/A 受容体への結合に関与しているようである。毒素結合がガングリオシドの存在に厳密には依存していないとしても、特定のガングリオシドの存在は、高アフィニティー結合に必要であるようである。特に、BoNTはポリシアロガングリオシド、特にG1bシリーズのもの(GD1a、GD1b、GD3、GQ1b、またはGT1b)とインビトロおよびインビボで相互作用することが観察されている。例えば、Jane L. Halpern & Elaine A. Neale、Neurospecific binding、Internalization、and retrograde axonal transport、195 Curr. Top. Microbiol. Immunol. 221-241 (1995) 参照。毒素とこれらガングリオシドとのプレインキュベーションにより、BoNT 毒性からマウスの神経筋接合部 (NMJ)が保護される。高アフィニティー、トリプシン-感受性、BoNT-結合部位が単離シナプトソームにおいて見いだされている。例えば、R. S. Williams et al、Radioiodination of botulinum Neurotoxin Type A with retention of biological activity and its binding to brain sunaptosomes. 131(2) Eur. J. Biochem. 1437-1445 (1983) 参照。シアル酸に対して高アフィニティーを有するレクチンはBoNTの結合に拮抗するため、それらのタンパク質受容体は糖タンパク質である可能性がある。BoNTに対する受容体はそれらを酸性ベシクルへと向かわせ、LCの神経細胞の細胞基質への転位置を可能にするのかもしれない。HCのC-末端アミノ酸配列は異なるクロストリジウム神経毒間であまりよく保存されておらず、競合実験により、異なるBoNT 血清型は神経細胞表面の異なるタンパク質受容体に結合することが示されている。この分析はそれゆえBoNT神経毒は、少なくとも2つの成分;タンパク質成分および炭水化物成分、を含む受容体系に結合するという仮説と一致する。
これら知見に基づき、本明細書において提供する本明細書の開示のように、本出願人らは、線維芽細胞成長因子受容体 3 (FGFR3)を発現する細胞がBoNT/Aに結合できることを見いだした。毒素のインターナリゼーションはこれら細胞株が毒素に曝された後に起こりうる。さらに、BoNT/A インターナリゼーションは、FGF、例えば、FGF1、FGF2、FGF4、FGF8およびFGF9が様々な濃度で添加される場合、用量依存的に阻害される。本出願人らにより試験されたFGFR3 受容体を表示しない細胞は、BoNT/A の存在下でエレクトロポレーションに供した場合、SNAP-25の細胞内切断が検出されたにも拘わらず、毒素をインターナライズすることができず、このことは、毒素のエンドペプチダーゼ活性は変化せず維持され、細胞はエンドペプチダーゼに感受性のままであることを示す。さらに、本出願人らはポリシアロガングリオシド GT1bによる前処理がBoNT/A 細胞内取り込みを向上させることを見いだした。
線維芽細胞成長因子(FGF)は、複雑な組合せのシグナル伝達系路を介して、細胞の多くの発達、分化および成長ならびに修復過程に関与している。現在、少なくとも 23のリガンド(FGF1-23)が、5種類の膜貫通型チロシンキナーゼ FGF 受容体のファミリー(FGFR1-4)を介してシグナル伝達していることが知られている。アミノ酸配列同一性は、FGFR ファミリーメンバー間で高度に保存されており、それぞれ特徴的な構造組織を共有している。FGFRの細胞外部分は、アミノ末端疎水性シグナルペプチド、3つのIg-様ドメイン (IgI、IgIIおよびIgIII)およびおよそ8酸性残基の酸ボックスドメイン、次いで一つの疎水性膜貫通ドメイン、その後に細胞内チロシンキナーゼドメインを含んでいる(図2参照)。リガンドに対するFGFRのアフィニティーは非常に多様であり、成長因子の各ファミリーメンバーについてアフィニティーはそれぞれ異なる。例えば、C. J. Powers et al.、Fibroblast growth factors、their receptors and signaling 7(3)Endocr. Relat. Cancer. 165-197 (2000) 参照。表1に、様々なFGFおよびそのFGFRの公知のFGF-FGFR シグナル伝達関係のいくつかを挙げる。
Figure 2007526770
表 1:FGFR 変異体およびリガンドアフィニティー。FGFR 変異体、関連リガンド、および組織分布、例えば、Powers et al、前掲、(2000); およびReuss & von Bohlen und Halbach、前掲、(2003) 参照。
5種類を超える受容体のFGF シグナル伝達における多様性は、部分的には、異なる受容体アイソフォームをコードする選択的スプライシングを受けた変異体の生成により達成される。例えば、Bernhard Reuss & Oliver von Bohlen und Halbach、fiblobrast growth factors and their receptors in the central nervous system、313(2) Cell Tissue Res. 139-157 (2003) 参照。リガンド結合特異性に対してもっとも高い影響を有すると考えられるタンパク質領域は、IgIII ドメインの一部であり、それに対する3種類のスプライス変異体によってコードされるアイソフォームが同定されている。これら3種類のアイソフォームはIgIIIa、IgIIIbおよびIgIIIcと称されるが、相異なるFGFR ファミリーメンバーに対して関連のある(relative)結合アフィニティーを有する。FGFR リガンド結合ドメインにおける、aおよびbと称される選択的スプライシングにより、新規なリガンドアフィニティーを有するさらなる受容体アイソフォームが生じる。IgIIIa、IgIIIbおよびIgIIIcについてのアイソフォームがFGFR1とFGFR2との両方について同定されている。これまで、FGFR3のIgIIIa アイソフォームおよびFGFR4およびFGFR5のIgIIIaおよびIgIIIb アイソフォームは報告されていない。
上記のように、FGFR3は一般に2つのアイソフォーム、FGFR3IIIcおよびFGFR3IIIbとして存在し、それらは一次転写産物の選択的スプライシングによって生じ、選択的スプライシングにおいてエキソン 8または9のいずれかがそれぞれ切り出される(図2参照)。しかし、さらなるアイソフォームが存在する。例えば、あるFGFR3 アイソフォームは酸ボックスを欠いていると記載されている。例えば、Akio Shimizu et al、A novel alternatively spliced fiblobrast growth factor receptor 3 isoform lacking the acid box domain is expressed during chondrogenic differentiation of ATDC5 cells、276(14) J. Biol. Chem. 11031-11040 (2001) 参照。さらなる例において、新規な、潜在的に細胞質にあり得るアイソフォームが最近同定され、FGFR3Sと称されており、FGFR3Sにおいてはエキソン8、9および10がスプライシングにより切り出されてIgIIIcの後ろの半分および膜貫通ドメインを欠くFGFR3が生じる。例えば、L-M. Sturla et al.、FGFR3IIIS: a novel soluble FGFR3 spliced variant that modulates growth is frequently expressed in tumour cells、89(7) Br. J. Cancer 1276-1284 (2003) 参照。
本発明の側面は、部分的には、サンプルと外来性 FGFR3を含む細胞とを接触させること、ここで接触した該細胞はBoNT/A中毒となり得る、および、対照細胞と比較しての接触した該細胞のBoNT/A 活性の存在を検出することによるBoNT/A 活性の検出方法を提供し、ここで、接触した該細胞の該対照細胞と比較しての該BoNT/A 活性の相違はBoNT/A 活性を示す。一つの態様において、BoNT/A 活性の検出方法は、サンプルを一過性に外来性 FGFR3を含む細胞と接触させること、ここで接触した該細胞はBoNT/A中毒となり得る、および対照細胞と比較しての接触した該細胞のBoNT/A 活性の存在を検出することを含み、該対照細胞と比較しての接触した該細胞の該BoNT/A 活性の相違はBoNT/A 活性を示す。別の態様において、BoNT/A 活性の検出方法は、サンプルを安定に外来性 FGFR3を含む細胞と接触させること、ここで接触した該細胞はBoNT/A中毒となり得る、および、対照細胞と比較しての接触した該細胞のBoNT/A 活性の存在を検出することを含み、ここで、該対照細胞と比較しての接触した該細胞の該BoNT/A 活性の相違はBoNT/A 活性を示す。
本明細書において用いる「ボツリヌス毒素血清型 A」とは、「BoNT/A」、「A型」またはボツリヌス菌A型神経毒を明白に称する同様の用語と同義であり、多数のポリペプチド神経毒のいずれかおよびその誘導体であって、ボツリヌス菌血清型 A 株から精製することが出来、細胞表面受容体としてFGFR3を共有するものを意味する。かかる神経毒には、表 2に挙げる以下の株および受入番号においてみられるか、あるいはそれらに対応するものが含まれる。
Figure 2007526770
本明細書において用いる、「線維芽細胞成長因子 3 受容体」の語は、「FGFR3」と同義であり、BoNT/A 中毒応答を誘発するようにBoNT/Aと結合するFGFR3 ペプチドまたはペプチド疑似体を意味する。本発明において有用なFGFR3には限定的ではないが以下が挙げられる:野生型 FGFR3、天然 FGFR3 変異体、非天然 FGFR3 変異体、例えば、ランダム突然変異誘発によって作られたか、または合理的に設計された遺伝子操作されたFGFR3変異体、およびFGFR3由来の活性の断片。非限定的な例として、ヒトFGFR3、天然ヒトFGFR3 変異体、非天然ヒトFGFR3 変異体および、選択的にBoNT/Aに結合して中毒過程を媒介する能力を保持するヒト FGFR3 断片が、本発明の側面におけるBoNT/A 受容体として有用でありうる。別の非限定的な例において、ウシFGFR3、天然ウシ FGFR3 変異体、非天然ウシ FGFR3 変異体および選択的にBoNT/Aに結合して中毒過程を媒介する能力を保持するウシ FGFR3 断片が、本発明の側面におけるBoNT/A 受容体として有用でありうる。別の非限定的な例において、ラット FGFR3、天然 ラット FGFR3 変異体、非天然 ラット FGFR3 変異体および選択的にBoNT/Aに結合して中毒過程を媒介する能力を保持するラット FGFR3 断片は、本発明の側面におけるBoNT/A 受容体として有用でありうる。さらに別の非限定的な例において、マウス FGFR3、天然マウス FGFR3 変異体、非天然マウス FGFR3 変異体および選択的にBoNT/Aに結合して中毒過程を媒介する能力を保持するマウス FGFR3 断片は、本発明の側面におけるBoNT/A 受容体として有用でありうる。別の非限定的な例において、ニワトリ FGFR3、天然ニワトリ FGFR3 変異体、非天然ニワトリ FGFR3 変異体および選択的にBoNT/Aに結合して中毒過程を媒介する能力を保持するニワトリ FGFR3 断片は、本発明の側面におけるBoNT/A 受容体として有用でありうる。別の非限定的な例において、カエル FGFR3、天然カエル FGFR3 変異体、非天然カエル FGFR3 変異体および選択的にBoNT/Aに結合して中毒過程を媒介する能力を保持する、カエル FGFR3 断片は、本発明の側面におけるBoNT/A 受容体として有用でありうる。別の非限定的な例において、イモリ FGFR3、天然イモリ FGFR3 変異体、非天然イモリ FGFR3 変異体および選択的にBoNT/Aに結合して中毒過程を媒介する能力を保持するイモリ FGFR3 断片は、本発明の側面におけるBoNT/A 受容体として有用でありうる。別の非限定的な例において、ゼブラフィッシュ FGFR3、天然ゼブラフィッシュ FGFR3 変異体、非天然ゼブラフィッシュ FGFR3 変異体および選択的にBoNT/Aに結合して中毒過程を媒介する能力を保持するゼブラフィッシュ FGFR3 断片は、本発明の側面におけるBoNT/A 受容体として有用でありうる。本明細書に開示されるFGFR3をコードする核酸分子、例えば、DNAおよびRNA、および本明細書に開示されるFGFR3を含むペプチド分子またはペプチド疑似体はともに本発明の側面において有用であることも理解される。配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25 および27は、本発明の側面において有用な代表的FGFR3をコードする核酸分子を開示し、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26および28は、本発明の側面において有用な代表的FGFR3ペプチド分子を開示する。
本明細書において用いる、「ペプチド疑似体」という用語は、それの構造的な基礎であるペプチド BoNT/A 受容体と同様にBoNT/Aに選択的に結合するペプチド様分子を意味するために広範に用いられる。かかるペプチド疑似体には、化学修飾されたペプチド、非天然アミノ酸を含むペプチド様分子、およびN-置換グリシンのオリゴマー集合に起因するペプチド様分子であって、ペプチド疑似体が由来するペプチド基質と同様にBoNT/Aに選択的に結合するペプトイドが含まれる。例えば、Goodman and Ro、Peptodomimetics for Drug Design、in “Burger's Medicinal Chemistry and Drug Discovery” Vol. 1 (ed. M.E. Wolff; John Wiley & Sons 1995)、pages 803-861) 参照。
様々なペプチド疑似体が当該技術分野において知られており、例えば、束縛されたアミノ酸を含むペプチド様分子、ペプチド二次構造を模倣する非ペプチド成分、またはアミド結合同配体が含まれる。束縛された非天然アミノ酸を含むペプチド疑似体は、例えば、α-メチル化アミノ酸;α,α-ジアルキル-グリシンまたはα-アミノシクロアルカンカルボン酸; Nα-Cα 環化アミノ酸; Nα-メチル化アミノ酸;β-またはγ-アミノシクロアルカンカルボン酸;α,β-不飽和アミノ酸; β,β-ジメチルまたはβ-メチルアミノ酸;β-置換-2,3-メタノアミノ酸; NCδまたはCα-Cδ 環化アミノ酸;または置換プロリンまたはその他のアミノ酸疑似体を含みうる。さらに、ペプチド二次構造を模倣するペプチド疑似体には、、例えば、非ペプチド性 β-ターン模倣体; γ-ターン模倣体;β-シート構造模倣体;またはヘリックス構造模倣体も含まれ得、それらはいずれも当該技術分野において周知である。ペプチド疑似体はまた、例えば、アミド結合同配体、例えば、レトロインバース(retro-inverso)修飾; 還元アミド結合; メチレンチオエーテルまたはメチレンスルホキシド結合; メチレンエーテル結合; エチレン結合; チオアミド結合; トランス-オレフィンまたはフルオロオレフィン結合; 1,5-ジ置換テトラゾール環; ケトメチレンまたはフルオロケトメチレン結合またはその他のアミド同配体を含むペプチド様分子であってもよい。当業者は、これらおよびその他のペプチド疑似体が本明細書において用いる「ペプチド疑似体」という用語の意味に含まれることを理解するであろう。
したがって、この態様の側面において、FGFR3は、BoNT/Aに選択的に結合し、例えば、配列番号2のFGFR3と少なくとも70%のアミノ酸同一性、配列番号2のFGFR3と少なくとも75%のアミノ酸同一性、配列番号2のFGFR3と少なくとも 80%のアミノ酸同一性、配列番号2のFGFR3と少なくとも 85%のアミノ酸同一性、配列番号2のFGFR3と少なくとも 90%のアミノ酸同一性または配列番号2のFGFR3と少なくとも 95%のアミノ酸同一性を有するヒト FGFR3IIIbであってよい。この態様の別の側面において、FGFR3は、BoNT/Aに選択的に結合し、例えば、配列番号2のFGFR3に対して多くとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10アミノ酸の置換を有するヒト FGFR3IIIbである。
この態様の別の側面において、FGFR3は、BoNT/Aに選択的に結合し、例えば、配列番号4のFGFR3と少なくとも 70%のアミノ酸同一性、配列番号4のFGFR3と少なくとも 75%のアミノ酸同一性、配列番号4のFGFR3と少なくとも 80%のアミノ酸同一性、配列番号4のFGFR3と少なくとも 85%のアミノ酸同一性、配列番号4のFGFR3と少なくとも 90%のアミノ酸同一性または配列番号4のFGFR3と少なくとも 95%のアミノ酸同一性を有するヒト FGFR3IIIcであってよい。この態様の別の側面において、FGFR3は、BoNT/Aに選択的に結合し、例えば、配列番号4のFGFR3に対して多くとも 1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10のアミノ酸置換を有するヒト FGFR3IIIcである。
この態様の別の側面において、FGFR3は、BoNT/Aに選択的に結合し、例えば、配列番号6のFGFR3と少なくとも 70%のアミノ酸同一性、配列番号6のFGFR3と少なくとも 75%のアミノ酸同一性、配列番号6のFGFR3と少なくとも 80%のアミノ酸同一性、配列番号6のFGFR3と少なくとも 85%のアミノ酸同一性、配列番号6のFGFR3と少なくとも 90%のアミノ酸同一性または配列番号6のFGFR3と少なくとも 95%のアミノ酸同一性を有するヒト FGFR3IIISであってよい。この態様の別の側面において、FGFR3は、BoNT/Aに選択的に結合し、配列番号6のFGFR3に対して、例えば、多くとも 1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10アミノ酸置換を有するヒト FGFR3IIISである。
この態様の別の側面において、FGFR3は、BoNT/Aに選択的に結合し、例えば、配列番号8のFGFR3と少なくとも 70%のアミノ酸同一性、配列番号8のFGFR3と少なくとも 75%のアミノ酸同一性、配列番号8のFGFR3と少なくとも 80%のアミノ酸同一性、配列番号8のFGFR3と少なくとも 85%のアミノ酸同一性、配列番号8のFGFR3と少なくとも 90%のアミノ酸同一性または配列番号8のFGFR3と少なくとも95%のアミノ酸同一性を有するウシ FGFR3IIIcであってよい。この態様の別の側面において、FGFR3は、BoNT/Aに選択的に結合し、配列番号8のFGFR3に対して例えば、多くとも 1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10アミノ酸置換を有するウシ FGFR3IIIcである。
この態様の別の側面において、FGFR3は、BoNT/Aに選択的に結合し、例えば、配列番号10のFGFR3と少なくとも 70%のアミノ酸同一性、配列番号10のFGFR3と少なくとも 75%のアミノ酸同一性、配列番号10のFGFR3と少なくとも 80%のアミノ酸同一性、配列番号10のFGFR3と少なくとも 85%のアミノ酸同一性、配列番号10のFGFR3と少なくとも 90%のアミノ酸同一性または配列番号10のFGFR3と少なくとも 95%のアミノ酸同一性を有するマウス FGFR3IIIbであってよい。この態様の別の側面において、FGFR3は、BoNT/Aに選択的に結合し、配列番号10のFGFR3に対して例えば、多くとも 1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10アミノ酸置換を有するマウス FGFR3IIIcである。
この態様の別の側面において、FGFR3は、BoNT/Aに選択的に結合し、例えば、配列番号12のFGFR3と少なくとも 70%のアミノ酸同一性、配列番号12のFGFR3と少なくとも 75%のアミノ酸同一性、配列番号12のFGFR3と少なくとも 80%のアミノ酸同一性、配列番号12のFGFR3と少なくとも 85%のアミノ酸同一性、配列番号12のFGFR3と少なくとも 90%のアミノ酸同一性または配列番号12のFGFR3と少なくとも 95%のアミノ酸同一性を有するマウス FGFR3IIIcであってよい。この態様の別の側面において、FGFR3は、BoNT/Aに選択的に結合し、例えば、配列番号12のFGFR3に対して多くとも 1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10アミノ酸置換を有するマウス FGFR3IIIcである。
この態様の別の側面において、FGFR3は、BoNT/Aに選択的に結合し、例えば、配列番号14のFGFR3と少なくとも 70%のアミノ酸同一性、配列番号14のFGFR3と少なくとも 75%のアミノ酸同一性、配列番号14のFGFR3と少なくとも 80%のアミノ酸同一性、配列番号14のFGFR3と少なくとも 85%のアミノ酸同一性、配列番号14のFGFR3と少なくとも 90%のアミノ酸同一性または配列番号14のFGFR3と少なくとも 95%のアミノ酸同一性を有するマウス FGFR3-delAcidであってよい。この態様の別の側面において、FGFR3は、BoNT/Aに選択的に結合し、例えば、配列番号14のFGFR3に対して多くとも 1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10アミノ酸置換を有するマウス FGFR3-delAcidである。
この態様の別の側面において、FGFR3は、 BoNT/Aに選択的に結合し、例えば、配列番号16のFGFR3と少なくとも 70%のアミノ酸同一性、配列番号16のFGFR3と少なくとも 75%のアミノ酸同一性、配列番号16のFGFR3と少なくとも 80%のアミノ酸同一性、配列番号16のFGFR3と少なくとも 85%のアミノ酸同一性、配列番号16のFGFR3と少なくとも 90%のアミノ酸同一性または配列番号16のFGFR3と少なくとも 95%のアミノ酸同一性を有するラット FGFR3IIIbであってよい。この態様の別の側面において、FGFR3は、BoNT/Aに選択的に結合し、例えば、配列番号16のFGFR3に対して多くとも 1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10アミノ酸置換を有するラット FGFR3IIIbである。
この態様の別の側面において、FGFR3は、BoNT/Aに選択的に結合し、例えば、配列番号18のFGFR3と少なくとも 70%のアミノ酸同一性、配列番号18のFGFR3と少なくとも 75%のアミノ酸同一性、配列番号18のFGFR3と少なくとも 80%のアミノ酸同一性、配列番号18のFGFR3と少なくとも 85%のアミノ酸同一性、配列番号18のFGFR3と少なくとも 90%のアミノ酸同一性または配列番号18のFGFR3と少なくとも 95%のアミノ酸同一性を有するラット FGFR3IIIcであってよい。この態様の別の側面において、FGFR3は、BoNT/Aに選択的に結合し、例えば、配列番号18のFGFR3に対して多くとも 1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10アミノ酸置換を有するラット FGFR3IIIcである。
この態様の別の側面において、FGFR3は、BoNT/Aに選択的に結合し、例えば、配列番号20のFGFR3と少なくとも 70%のアミノ酸同一性、配列番号20のFGFR3と少なくとも 75%のアミノ酸同一性、配列番号20のFGFR3と少なくとも 80%のアミノ酸同一性、配列番号20のFGFR3と少なくとも 85%のアミノ酸同一性、配列番号20のFGFR3と少なくとも 90%のアミノ酸同一性または配列番号20のFGFR3と少なくとも 95%のアミノ酸同一性を有するニワトリ FGFR3であってよい。この態様の別の側面において、FGFR3は、BoNT/Aに選択的に結合し、例えば、配列番号20のFGFR3に対して多くとも 1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10アミノ酸置換を有するニワトリ FGFR3である。
この態様の別の側面において、FGFR3は、BoNT/Aに選択的に結合し、例えば、配列番号22のFGFR3と少なくとも 70%のアミノ酸同一性、配列番号22のFGFR3と少なくとも 75%のアミノ酸同一性、配列番号22のFGFR3と少なくとも 80%のアミノ酸同一性、配列番号22のFGFR3と少なくとも 85%のアミノ酸同一性、配列番号22のFGFR3と少なくとも 90%のアミノ酸同一性または配列番号22のFGFR3と少なくとも 95%のアミノ酸同一性を有するカエル FGFR3-1であってよい。この態様の別の側面において、FGFR3は、BoNT/Aに選択的に結合し、配列番号22のFGFR3に対して例えば、多くとも 1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10アミノ酸置換を有するカエル FGFR3である。
この態様の別の側面において、 FGFR3は、BoNT/Aに選択的に結合し、例えば、配列番号24のFGFR3と少なくとも 70%のアミノ酸同一性、配列番号24のFGFR3と少なくとも 75%のアミノ酸同一性、配列番号24のFGFR3と少なくとも 80%のアミノ酸同一性、配列番号24のFGFR3と少なくとも 85%のアミノ酸同一性、配列番号24のFGFR3と少なくとも 90%のアミノ酸同一性または配列番号24のFGFR3と少なくとも 95%のアミノ酸同一性を有するカエル FGFR3-2であってよい。この態様の別の側面において、FGFR3は、BoNT/Aに選択的に結合し、配列番号24のFGFR3に対して例えば多くとも 1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10アミノ酸置換を有するカエル FGFR3である。
この態様の別の側面において、FGFR3は、BoNT/Aに選択的に結合し、例えば、配列番号26のFGFR3と少なくとも 70%のアミノ酸同一性、配列番号26のFGFR3と少なくとも 75%のアミノ酸同一性、配列番号26のFGFR3と少なくとも 80%のアミノ酸同一性、配列番号26のFGFR3と少なくとも 85%のアミノ酸同一性、配列番号26のFGFR3と少なくとも 90%のアミノ酸同一性または配列番号26のFGFR3と少なくとも 95%のアミノ酸同一性を有するイモリ FGFR3であってよい。この態様の別の側面において、FGFR3は、BoNT/Aに選択的に結合し、配列番号26のFGFR3に対して、例えば、多くとも 1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10アミノ酸置換を有するイモリ FGFR3である。
この態様の別の側面において、FGFR3は、 BoNT/Aに選択的に結合し、例えば、配列番号28のFGFR3と少なくとも 70%のアミノ酸同一性、配列番号28のFGFR3と少なくとも 75%のアミノ酸同一性、配列番号28のFGFR3と少なくとも 80%のアミノ酸同一性、配列番号28のFGFR3と少なくとも 85%のアミノ酸同一性、配列番号28のFGFR3と少なくとも 90%のアミノ酸同一性または配列番号28のFGFR3と少なくとも 95%のアミノ酸同一性を有するゼブラフィッシュ FGFR3であってよい。この態様の別の側面において、FGFR3は、BoNT/Aに選択的に結合し、配列番号28のFGFR3に対して、例えば、多くとも 1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10アミノ酸置換を有するゼブラフィッシュ FGFR3である。
本発明の別の側面は、部分的には、ポリシアロガングリオシド、特にG1b シリーズのもの、例えば、GD1a、GD1b、GD3、GQ1b、またはGT1bの任意の使用を提供する。FGFR3およびポリシアロガングリオシドを含む細胞組成物は、ポリシアロガングリオシドを含まない組成物と比較してBoNT/Aに対する選択的結合が上昇している可能性がある。したがって、一つの態様において、組成物は、FGFR3および所望によりポリシアロガングリオシドを含む。この態様の側面において、組成物は、FGFR3および所望によりG1b ポリシアロガングリオシド、例えば、GD1a、GD1b、GD3、GQ1b、またはGT1bを含む。
したがって、一つの態様において、BoNT/A 活性を検出する方法は以下を含む:サンプルを外来性 FGFR3 および所望により G1b ポリシアロガングリオシドを含む細胞と接触させること、ここで接触した該細胞はBoNT/A中毒となり得る、および、対照細胞と比較しての接触した該細胞のBoNT/A 活性の存在を検出すること、ここで該対照細胞と比較しての接触した該細胞の該BoNT/A 活性の相違はBoNT/A 活性を示す。別の態様において、BoNT/A 活性を検出する方法は以下を含む:サンプルを外来性 FGFR3およびG1b ポリシアロガングリオシドを一過性に含む細胞と接触させること、ここで接触した該細胞はBoNT/A中毒となり得る、および、対照細胞と比較しての接触した該細胞のBoNT/A 活性の存在を検出すること、ここで、該対照細胞と比較しての接触した該細胞の該BoNT/A 活性の相違はBoNT/A 活性を示す。別の態様において、BoNT/A 活性を検出する方法は以下を含む:サンプルを外来性 FGFR3およびG1b ポリシアロガングリオシドを安定に含む細胞と接触させること、ここで接触した該細胞はBoNT/A中毒となり得る、および、対照細胞と比較しての接触した該細胞のBoNT/A 活性の存在を検出すること、ここで、該対照細胞と比較しての接触した該細胞の該BoNT/A 活性の相違はBoNT/A 活性を示す。
本発明の別の側面は、部分的には、以下を含むBoNT/A 活性を検出する方法を提供する:サンプルを一過性に外来性 FGFR3を含む細胞と接触させること、ここで接触した該細胞はBoNT/A中毒となり得る、および、対照細胞と比較しての接触した該細胞のBoNT/A 活性の存在を検出すること、ここで、該対照細胞と比較しての接触した該細胞の該BoNT/A 活性の相違はBoNT/A 活性を示す。本明細書において用いる、「一過性に含む」という用語は、本明細書に開示されるアッセイを行うために細胞にFGFR3が一時的に導入されていることを意味する。したがって、本明細書に開示されるFGFR3を一過性に含む細胞の態様としては、FGFR3を例えば、多くとも 約1日、多くとも約2日、多くとも約3日、多くとも約4日、多くとも約5日、多くとも約6日、多くとも約7日、多くとも約8日、多くとも約9日、および多くとも約10日含む細胞を含みうる。
この態様の側面において、FGFR3は、哺乳類 FGFR3、例えば、ヒト FGFR3、ウシ FGFR3、ラット FGFR3 またはマウス FGFR3; 鳥類FGFR3、例えば、ニワトリ FGFR3; 両生類FGFR3、例えば、イモリ FGFR3またはカエル FGFR3;および魚類FGFR3、例えば、ゼブラフィッシュFGFR3からの核酸分子によってコードされうる。この態様の側面において、BoNT/A 活性を検出する方法は以下を含む:サンプルを外来性哺乳類 FGFR3をコードする核酸分子を一過性に含む細胞と接触させること、ここで接触した該細胞はBoNT/A中毒となり得る、および、対照細胞と比較しての接触した該細胞のBoNT/A 活性の存在を検出すること、ここで、該対照細胞と比較しての接触した該細胞の該BoNT/A 活性の相違はBoNT/A 活性を示す。この態様の別の側面において、BoNT/A 活性を検出する方法は以下を含む:サンプルを外来性鳥類 FGFR3をコードする核酸分子を一過性に含む細胞と接触させること、ここで、接触した該細胞はBoNT/A中毒となり得る、および、対照細胞と比較しての接触した該細胞のBoNT/A 活性の存在を検出すること、ここで、該対照細胞と比較しての接触した該細胞の該BoNT/A 活性の相違はBoNT/A 活性を示す。この態様の側面において、BoNT/A 活性を検出する方法は以下を含む:サンプルを外来性両生類 FGFR3をコードする核酸分子を一過性に含む細胞と接触させること、ここで、接触した該細胞はBoNT/A中毒となり得る、および、対照細胞と比較しての接触した該細胞のBoNT/A 活性の存在を検出すること、ここで、該対照細胞と比較しての接触した該細胞の該BoNT/A 活性の相違はBoNT/A 活性を示す。この態様の別の側面において、BoNT/A 活性を検出する方法は以下を含む:サンプルを外来性 魚類 FGFR3をコードする核酸分子を一過性に含む細胞と接触させること、ここで、接触した該細胞はBoNT/A中毒となり得る、および、対照細胞と比較しての接触した該細胞のBoNT/A 活性の存在を検出すること、ここで、該対照細胞と比較しての接触した該細胞の該BoNT/A 活性の相違はBoNT/A 活性を示す。
この態様の別の側面において、FGFR3は哺乳類 FGFR3、例えば、ヒト FGFR3、ウシ FGFR3、ラット FGFR3またはマウス FGFR3;鳥類 FGFR3、例えば、ニワトリ FGFR3;両生類 FGFR3、例えば、イモリ FGFR3またはカエル FGFR3;および魚類 FGFR3、例えば、ゼブラフィッシュ FGFR3であり得る。したがって一つの態様において、BoNT/A 活性を検出する方法は以下を含む:サンプルを一過性に外来性 FGFR3を含む細胞と接触させること、ここで、接触した該細胞はBoNT/A中毒となり得る、および、対照細胞と比較しての接触した該細胞のBoNT/A 活性の存在を検出すること、ここで、該対照細胞と比較しての接触した該細胞の該BoNT/A 活性の相違はBoNT/A 活性を示す。この態様の側面において、FGFR3は 哺乳類 FGFR3、例えば、ヒト FGFR3、ウシ FGFR3、ラット FGFR3またはマウス FGFR3;鳥類 FGFR3、例えば、ニワトリ FGFR3;両生類 FGFR3、例えば、イモリ FGFR3またはカエル FGFR3;および魚類 FGFR3、例えば、ゼブラフィッシュ FGFR3でありうる。この態様の側面において、BoNT/A 活性を検出する方法は以下を含む:サンプルを外来性 哺乳類 FGFR3を一過性に含む細胞と接触させること、ここで、接触した該細胞はBoNT/A中毒となり得る、および、対照細胞と比較しての接触した該細胞のBoNT/A 活性の存在を検出すること、ここで、該対照細胞と比較しての接触した該細胞の該BoNT/A 活性の相違はBoNT/A 活性を示す。この態様の別の側面において、BoNT/A 活性を検出する方法は以下を含む:サンプルを一過性に外来性 鳥類 FGFR3を含む細胞と接触させること、ここで、接触した該細胞はBoNT/A中毒となり得る、および、対照細胞と比較しての接触した該細胞のBoNT/A 活性の存在を検出すること、ここで、該対照細胞と比較しての接触した該細胞の該BoNT/A 活性の相違はBoNT/A 活性を示す。この態様の側面において、BoNT/A 活性を検出する方法は以下を含む:サンプルを一過性に外来性両生類 FGFR3を含む細胞と接触させること、ここで、接触した該細胞はBoNT/A中毒となり得る、および、対照細胞と比較しての接触した該細胞のBoNT/A 活性の存在を検出すること、ここで、該対照細胞と比較しての接触した該細胞の該BoNT/A 活性の相違はBoNT/A 活性を示す。この態様の別の側面において、BoNT/A 活性を検出する方法は以下を含む:サンプルを一過性に外来性 魚類 FGFR3を含む細胞と接触させること、ここで、接触した該細胞はBoNT/A中毒となり得る、および、対照細胞と比較しての接触した該細胞のBoNT/A 活性の存在を検出すること、ここで、該対照細胞と比較しての接触した該細胞の該BoNT/A 活性の相違はBoNT/A 活性を示す。
本発明の別の側面は、部分的には以下を含む、BoNT/A 活性を検出する方法を提供する:サンプルを安定に外来性 FGFR3を含む細胞と接触させること、ここで、接触した該細胞はBoNT/A中毒となり得る、および、対照細胞と比較しての接触した該細胞のBoNT/A 活性の存在を検出すること、ここで、該対照細胞と比較しての接触した該細胞の該BoNT/A 活性の相違はBoNT/A 活性を示す。本明細書において用いる、「安定に含む」という用語は、本明細書のアッセイを行うために、細胞に導入され、長期間維持されるFGFR3 を意味する。安定に維持された核酸分子は以下を含む:染色体外にあり、自律的に複製する安定に維持された核酸分子、および、細胞の染色体物質に組み込まれ、非自律的に複製する安定に維持された核酸分子。したがって本明細書に開示されるFGFR3を安定に含む細胞の側面は、FGFR3を、例えば、少なくとも10日間、少なくとも 20日間、少なくとも 30 日間、少なくとも40 日間、少なくとも 50 日間、および少なくとも 60 日間、少なくとも 70 日間、少なくとも 80 日間、少なくとも 90 日間および少なくとも 100 日間含む細胞を含みうる。本明細書に開示されるFGFR3を安定に含む細胞の別の側面は、FGFR3を、例えば、少なくとも 100 日間、少なくとも 200 日間、少なくとも 300 日間、少なくとも 400 日間、および少なくとも 500 日間含む細胞も含みうる。本明細書に開示されるFGFR3を安定に含む細胞のさらなる別の態様は、FGFR3を永久に含む細胞を含みうる。
この態様の側面において、FGFR3は以下からの核酸分子によってコードされうる:哺乳類 FGFR3、例えば、ヒト FGFR3、ウシ FGFR3、ラット FGFR3またはマウス FGFR3; 鳥類 FGFR3、例えば、ニワトリ FGFR3;両生類 FGFR3、例えば、イモリ FGFR3またはカエル FGFR3; および魚類 FGFR3、例えば、ゼブラフィッシュ FGFR3。この態様の側面において、BoNT/A 活性を検出する方法は以下を含む:サンプルを安定に外来性 哺乳類 FGFR3をコードする核酸分子を含む細胞と接触させること、ここで、接触した該細胞はBoNT/A中毒となり得る、および、対照細胞と比較しての接触した該細胞のBoNT/A 活性の存在を検出すること、ここで、該対照細胞と比較しての接触した該細胞の該BoNT/A 活性の相違はBoNT/A 活性を示す。この態様の別の側面において、BoNT/A 活性を検出する方法は以下を含む:サンプルを安定に外来性 鳥類 FGFR3をコードする核酸分子を含む細胞と接触させること、ここで、接触した該細胞はBoNT/A中毒となり得る、および、対照細胞と比較しての接触した該細胞のBoNT/A 活性の存在を検出すること、ここで、該対照細胞と比較しての接触した該細胞の該BoNT/A 活性の相違はBoNT/A 活性を示す。この態様の側面において、BoNT/A 活性を検出する方法は以下を含む:サンプルを安定に外来性両生類 FGFR3をコードする核酸分子を含む細胞と接触させること、ここで、接触した該細胞はBoNT/A中毒となり得る、および、対照細胞と比較しての接触した該細胞のBoNT/A 活性の存在を検出すること、ここで、該対照細胞と比較しての接触した該細胞の該BoNT/A 活性の相違はBoNT/A 活性を示す。この態様の別の側面において、BoNT/A 活性を検出する方法は以下を含む:サンプルを安定に外来性 魚類 FGFR3をコードする核酸分子を含む細胞と接触させること 、ここで、接触した該細胞はBoNT/A中毒となり得る、および、対照細胞と比較しての接触した該細胞のBoNT/A 活性の存在を検出すること、ここで、該対照細胞と比較しての接触した該細胞の該BoNT/A 活性の相違はBoNT/A 活性を示す。
この態様の別の側面において、FGFR3は以下であり得る:哺乳類 FGFR3、例えば、ヒト FGFR3、ウシ FGFR3、ラット FGFR3またはマウス FGFR3;鳥類 FGFR3、例えば、ニワトリ FGFR3;両生類 FGFR3、例えば、イモリ FGFR3またはカエル FGFR3;および魚類 FGFR3、例えば、ゼブラフィッシュ FGFR3。この態様の側面において、BoNT/A 活性を検出する方法は以下を含む: サンプルを安定に外来性 哺乳類 FGFR3を含む細胞と接触させること、ここで、接触した該細胞はBoNT/A中毒となり得る、および、対照細胞と比較しての接触した該細胞のBoNT/A 活性の存在を検出すること、ここで、該対照細胞と比較しての接触した該細胞の該BoNT/A 活性の相違はBoNT/A 活性を示す。この態様の別の側面において、BoNT/A 活性を検出する方法は以下を含む:サンプルを安定に外来性 鳥類 FGFR3を含む細胞と接触させること、ここで、接触した該細胞はBoNT/A中毒となり得る、および、対照細胞と比較しての接触した該細胞のBoNT/A 活性の存在を検出すること、ここで、該対照細胞と比較しての接触した該細胞の該BoNT/A 活性の相違はBoNT/A 活性を示す。この態様の側面において、BoNT/A 活性を検出する方法は以下を含む:サンプルを安定に外来性両生類 FGFR3を含む細胞と接触させること、ここで、接触した該細胞はBoNT/A中毒となり得る、および、対照細胞と比較しての接触した該細胞のBoNT/A 活性の存在を検出すること、ここで、該対照細胞と比較しての接触した該細胞の該BoNT/A 活性の相違はBoNT/A 活性を示す。この態様の別の側面において、BoNT/A 活性を検出する方法は以下を含む:サンプルを安定に外来性 魚類 FGFR3を含む細胞と接触させること、ここで、接触した該細胞はBoNT/A中毒となり得る、および、対照細胞と比較しての接触した該細胞のBoNT/A 活性の存在を検出すること、ここで、該対照細胞と比較しての接触した該細胞の該BoNT/A 活性の相違はBoNT/A 活性を示す。
上記のように、核酸分子を用いて本明細書に開示されるFGFR3を発現させることが出来る。核酸分子を細胞に導入するためのすべてのあらゆる方法が利用可能であると考えられる。核酸分子を細胞に導入するのに有用な方法はこれらに限定されないが以下を含む:リン酸カルシウム媒介、DEAEデキストラン媒介、脂質媒介、ポリブレン媒介、ポリリシン媒介、ウイルス媒介、マイクロインジェクション、プロトプラスト融合、遺伝子銃、エレクトロポレーションおよび抗体、グラマシジン S、人工ウイルスエンベロープまたはその他の細胞内キャリア、例えば、 TATとの接合。例えば、Introducing Cloned Genes into Cultured Mammarian Cells、pp. 16.1-16.62 (Sambrook & Russell、eds.、Molecular Cloning A Laboratory Manual、Vol. 3、3rd ed. 2001); Alessia Colosimo et al.、Transfer and expression of foreign genes in Mammarian Cells、29(2) Biotechniques 314-318、320-322、324 (2000); Philip Washbourne & A. Kimberley McAllister、Techniques for gene transfer into neurons、12(5) Curr. Opin. Neurobiol. 566-573 (2002);および Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley and Sons、pp 9.16.4-9.16.11 (2000) 参照。当業者であれば、核酸分子を細胞に導入する特定の方法の選択は、部分的には、細胞が一過性にBoNT/A 受容体を含むか、または細胞が安定にBoNT/A 受容体を含むかに依存することを理解している。
上記のように、本明細書に開示されるFGFR3は細胞に導入されうる。FGFR3を細胞に導入する送達剤を用いるすべてのあらゆる方法が利用可能であると考えられる。本明細書において用いる、「送達剤」という用語は、共有結合した、非-共有結合した、またはその他の様式で結合したFGFR3の細胞へのインターナリゼーションを可能にするか、または促進するあらゆる分子を意味する。したがって、「送達剤」という用語は限定的ではないが以下を含む:タンパク質、ペプチド、ペプチド疑似体、低分子、核酸分子、リポソーム、脂質、ウイルス、レトロウイルスおよび細胞であって、限定的ではないが、共有結合または非-共有結合した基質を、細胞膜、細胞質または核に輸送するもの。「送達剤」という用語は以下を含むあらゆる機構によりインターナライズされる分子を含むことがさらに理解される:受容体媒介エンドサイトーシスを介して機能する送達剤および受容体媒介エンドサイトーシスに依存しないで機能する送達剤。
本発明に有用な送達剤は共有結合した FGFR3の、例えば、化学結合または遺伝的に生産した融合タンパク質による細胞内取り込みを可能にするか促進する剤であり得る。送達剤を共有結合させる方法およびかかる剤を使用する方法は例えば以下に記載されている:Steven F. Dowdy、Protein Transduction System and Methods of Use Thereof、国際出願公表 WO 00/34308 (Jun. 15、2000); Gerard Chassaing & Alain Prochiantz、Peptides which can be Used as Vectors for the Intraceller Addresing of Active Molecuels、米国特許第6080724号 (Jun. 27、2000); Alan Frankel et al.、Fusion Protein Comprising TAT-derived Transport Moiert、米国特許第5674980号(Oct. 7、1995); Alan Frankel et al.、TAT-derived Transport Polypeptide Conjugates、米国特許第5747641号(May 5、1998); Alan Frankel et al.、TAT-derived Transport Polypeptides and Fusion Proteins、米国特許第5804604号 (Sep. 8、1998); Peter F. J. O'Hare et al.、Use of Transport Proteins、米国特許第6734167号 (May 11、2004); Yao-Zhong Lin & Jack J. Hawiger、method for importing biologically active molecules into cells、米国特許第 5807746号 (Sep. 15、1998); Yao-Zhong Lin & Jack J. Hawiger、Method for importing biologically active molecules into cells、米国特許第6043339号 (Mar. 28、2000); Yao-Zhong Lin et al.、Sequence and Method for Genetic Engineering of Proteins with Cell Membrane Translocating Activity、米国特許第6248558号 (Jun. 19、2001); Yao-Zhong Lin et al.、Sequence and Method for Genetic Engineering of Proteins with Cell Membrane Translocating Activity、米国特許第6432680号 (Aug 13、2002); Jack J. Hawiger et al.、Method for importing biologically active molecules into cells、米国特許第6495518号 (Dec. 17、2002); Yao-Zhong Lin et al.、Sequence and Method for Genetic Engineering of Proteins with Cell Membrane Translocating Activity、米国特許第6780843号(Aug 24、2004); Jonathan B. Rothbard & Paul A Wender、Method and Composition for Enhancing Transport Across Biological Membranes、米国特許第 6306993号(Oct. 23、2001); Jonathan B. Rothbard & Paul A Wender、Method and Composition for Enhancing Transport Across Biological Membranes、米国特許第6495663号 (Dec. 17、2002); およびPamela B. Davis et al.、Fusion proteins for protein delivery、米国特許第6287817号 (Sep. 11、2001)。
本発明に有用な送達剤は、非-共有結合したFGFR3の細胞内取り込みを可能にするか、または促進する剤であってもよい。共有結合の非存在下で機能する方法およびかかる剤を使用する方法は例えば以下に記載されている:Gilles Divita et al、Peptide-mediated Transfection Agents and Methods of Use、米国特許第6841535号 (Jan. 11、2005); Philip L Felgner and Olivier Zelphati、Intracellular Protein Delivery Compositions and Methods of Use、米国特許公開第2003/0008813); およびMichael Karas Intracellular Delivery of Small molecules、Proteins and Nucleic Acids、米国特許公開2004/0209797号(Oct. 21、2004)。かかるペプチド送達剤は、標準的方法によって調製および使用することができ、市販されている。例えば、ChariotTM Reagent (Active Motif、Carlsbad、CA); BioPORTERR (登録商標)Reagent (Gene Therapy Systems、Inc.、San Diego、CA)、BioTrekTM Protein Delivery Reagent (Stratagene、La Jolla、CA)、および Pro-JectTM Protein Transfection Reagent (Pierce Biotechnology Inc.、Rockford、IL) 参照。
上記のように、細胞は本明細書に開示されるFGFR3を安定に含みうる。FGFR3を安定に含む細胞を製造および使用するのに有用な方法は例えば以下に記載されている: Elizabeth E. Plowright et al.、Ectopic expression of fiblobrast growth factor 3 promotes myeloma Cell proliferation and prevents apoptosis、95(3) Blood 992-998 (2000); TC、例えば、Hiroyuki Onose et al.、Over-expression of fiblobrast growth factor receptor 3 in a human thyroid carcinoma cell line results in overgrowth of the confluent cultures、140(2) Eur. J. Endocrinol. 169-173 (1999); M. Kana et al.、Signal transduction pathway of human fiblobrast growth factor receptor 3. Indentification of a novel 66-kDa phosphoprotein、272(10) J. Biol. Chem. 6621-6628 (1997);およびJanet E. Henderson et al.、Expression of FGFR3 with the G380R achondroplasia mutation inhibits proliferation and maturation of CFK2 chondrocytic cells、15(1) J. Bone Miner. Res. 155-165 (2000)参照。
本発明の別の側面は、部分的には、本明細書に開示されるFGFR3をコードする核酸分子の発現を可能にする発現コンストラクトを提供する。これら発現コンストラクトは、細胞におけるFGFR3の発現に有用な発現ベクターからの制御配列と作動可能に連結した本明細書に開示されるFGFR3をコードするオープンリーディングフレームを含む。本明細書において用いる「作動可能に連結した」という用語は、組成物によりコードされるペプチドが細胞に導入された場合に発現するように、本明細書に開示される核酸分子を発現ベクターに連結しうるあらゆる様々なクローニング方法をいう。ポリメラーゼ連鎖反応 (PCR) 増幅、制限酵素反応、アガロースゲル電気泳動、核酸ライゲーション、細菌形質転換、核酸精製、核酸配列決定を含むがこれらに限定されない手法を含む本明細書に開示される発現コンストラクトの作成に必要であり得るよく確立された分子生物学的技術は、当業者の技術範囲内であり、本明細書の教示から得られるルーチン的手法である。発現コンストラクトの作成に必要な具体的なプロトコールの非限定的な例は例えば、Molecular Cloning A Laboratory Manual、前掲、(2001);およびCurrent Protocols in Molecular Biology (Frederick M. Ausubel et al.、eds. John Wiley & Sons、2004)に記載されている。これらプロトコールは当業者の技術範囲内であって、本明細書からの教示から得られるルーチン的手法である。
多種多様な発現ベクターをFGFR3をコードするオープンリーディングフレームの発現に用いることが出来、限定的ではないが以下が含まれる:ウイルス発現ベクター、原核生物発現ベクターおよび 真核生物発現ベクター、例えば、酵母、昆虫および哺乳類発現ベクター。発現ベクター、かかる発現ベクターからの発現コンストラクトの作成および使用のためのよく確立された試薬および条件の非限定的な例は製造メーカーから容易に入手可能であり、メーカーとしては限定的ではないが以下が挙げられる:BD Biosciences-Clontech、Palo Alto、CA; BD Biosciences Pharmingen、San Diego、CA; Invitrogen、Inc、Carlsbad、CA; EMD Biosciences-Novagen、Madison、WI; QIAGEN、Inc.、Valencia、CA; および Stratagene、La Jolla、CA。適当な発現ベクターの選択、作成および使用は、当業者の技術範囲内であり、本明細書の教示から得られるルーチン的手法である。
様々な発現系が本明細書に開示される発現コンストラクト組成物に有用であると考えられる。発現系には、細胞に基づく系と無細胞発現系の両方が含まれる。細胞に基づく系としては限定的ではないが、ウイルス発現系、原核生物発現系、酵母発現系、バキュロウイルス発現系、昆虫発現系および哺乳類発現系が挙げられる。無細胞系としては限定的ではないが、コムギ胚芽抽出物、ウサギ網状赤血球抽出物および大腸菌抽出物が挙げられる。発現系を用いる発現には、様々な特徴のものが含まれ、例えば限定的ではないが、誘導性発現、非-誘導性発現、構成的発現、ウイルス媒介発現、安定に組み込まれた発現、および一過性発現が挙げられる。よく特徴づけられたベクター、試薬、条件および細胞を含む発現系はよく確立され製造メーカーから容易に入手でき、製造メーカーとしては限定的ではないが、Ambion、Inc. Austin、TX; BD Biosciences-Clontech、Palo Alto、CA; BD Biosciences Pharmingen、San Diego、CA; Invitrogen、Inc、Carlsbad、CA; QIAGEN、Inc.、Valencia、CA; Roche Applied Science、Indianapolis、IN; およびStratagene、La Jolla、CAが含まれる。適当な異種発現系の選択と使用についての非限定的な例は、例えば以下に記載されている:Protein Expression. A Practical Approach (S. J. Higgins and B. David Hames eds.、Oxford University Press、1999); Joseph M. Fernandez & James P. Hoeffler、Gene Expression Systems Using Nature for the Art of Expression (Academic Press、1999);およびMeena Rai & Harish Padh、Expression System for Production of heterologous Proteins、80(9) Current Science 1121-1128、(2001)。これらプロトコールは当業者の技術範囲内であり、本明細書の教示から得られるルーチン的手法である。
本明細書に開示されるFGFR3をコードする核酸分子を含む発現コンストラクトは、核酸分子の発現を直接または間接的に正または負に調節しうる以下のような様々な調節要素に作動可能に連結すればよい:例えば、構成的、組織特異的、誘導性または合成プロモーターおよびエンハンサー。構成的調節要素の非限定的な例としては例えば、サイトメガロウイルス (CMV)、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ (HSV TK)、サルウイルス 40 (SV40)初期、5'末端反復配列 (LTR)、伸長因子-1α (EF-1α)およびポリユビキチン(polybiquitin)(UbC) 調節要素が挙げられる。本発明の側面に有用な誘導性調節要素の非限定的な例としては、例えば、化学誘導性調節要素、例えば、これらに限定されないが、アルコール調節、テトラサイクリン調節、ステロイド調節、金属調節および病原関連調節要素;および物理的誘導性調節要素、例えば、これらに限定されないが、温度調節および光調節調節要素が挙げられる。かかる誘導性調節要素は標準的方法により調製および使用することができ、市販されている。例えばこれらに限定されないが以下が挙げられる:テトラサイクリン-誘導性およびテトラサイクリン-抑制性要素、例えば、Tet-OnTMおよびTet-OffTM (BD Biosciences-Clontech、Palo Alto、CA)およびT-RExTM (Tetracyclin Regulated Expression)およびFlp-InTM T-RExTMシステム (Invitrogen、Inc.、Carlsbad、CA); エクジソン-誘導性調節要素、例えば、Complete Control(登録商標)誘導性哺乳類発現系 (Stratagene、Inc.、La Jolla、CA); イソプロピル β-D-ガラクトピラノシド (IPTG)-誘導性調節要素、例えば、LacSwitch(登録商標) II 誘導性哺乳類発現系 (Stratagene、Inc.、La Jolla、CA);および ステロイド-誘導性調節要素、例えば、キメラプロゲステロン受容体誘導性システム、GeneSwitchTM (Invitrogen、Inc.、Carlsbad、CA)。当業者は、これらおよびその他の様々な構成的および誘導性調節システムが市販されているか、当該技術分野において周知であり、BoNT/A 受容体をコードする核酸分子の発現の制御のために本発明に有用であり得ることを理解している。
一つの態様において、FGFR3をコードする核酸分子は所望により構成的調節要素のような調節要素に連結していてもよい。この態様の側面において、哺乳類FGFR3をコードする核酸分子は所望により構成的調節要素のような調節要素に連結していてもよい;鳥類FGFR3をコードする核酸分子は所望により構成的調節要素のような調節要素に連結していてもよい;両生類FGFR3をコードする核酸分子は所望により構成的調節要素のような調節要素に連結していてもよい;および、魚類FGFR3をコードする核酸分子は所望により構成的調節要素のような調節要素に連結していてもよい。
別の態様において、FGFR3をコードする核酸分子は所望により誘導性調節要素のような調節要素に連結していてもよい。この態様の側面において、哺乳類FGFR3をコードする核酸分子は所望により誘導性調節要素のような調節要素に連結していてもよい;鳥類FGFR3をコードする核酸分子は所望により誘導性調節要素のような調節要素に連結していてもよい;両生類FGFR3をコードする核酸分子は所望により誘導性調節要素のような調節要素に連結していてもよい; および、魚類FGFR3をコードする核酸分子は所望により誘導性調節要素のような調節要素に連結していてもよい。この態様の別の側面において、核酸分子の発現は、例えば、テトラサイクリン-誘導性、エクジソン-誘導性またはステロイド-誘導性調節要素を用いて誘導される。
本発明の側面に有用なFGFR3は所望により1以上のさらなる成分を含んでいてもよいことが理解される。非限定的な例として、可動性スペーサー配列、例えば、ポリ-グリシン配列は本発明に有用なFGFR3に含めてもよい。有用なFGFR3はさらに限定的ではないが以下の1以上を含んでいてもよい: エピトープ結合タグ、例えば、FLAG、Express(商標)、ヒトインフルエンザウイルスヘマグルチニン (HA)、ヒト p62c-Myc タンパク質 (c-MYC)、水疱性口内炎ウイルス糖タンパク質 (VSV-G)、単純ヘルペスウイルス (HSV)の糖タンパク質-D 前駆体、V5、およびAU1; アフィニティー結合性、例えば、ポリヒスチジン (HIS)、ストレプトアビジン結合ペプチド (strep)、およびビオチンまたはビオチン化配列; ペプチド-結合領域、例えば、グルタチオン-S-トランスフェラーゼのグルタチオン結合ドメイン、カルモジュリン結合タンパク質のカルモジュリン結合ドメインおよびマルトース結合タンパク質のマルトース結合ドメイン; イムノグロブリンヒンジ領域; N-ヒドロキシスクシンイミドリンカー;ペプチドまたはペプチド疑似体ヘアピンターン; または親水性配列またはその他の、例えば、FGFR3の溶解性または安定性を促進する成分または配列。適当な結合ペプチドを選択、作成および使用する具体的プロトコールの非限定的な例は例えば、Epitope Tagging、pp. 17.90-17.93 (Sambrook and Russell、eds.、Molecular Cloning A Laboratory Manual、Vol. 3、3rd ed. 2001); Antibody: A Laboratory Manual (Edward Harlow & David Lane、eds.、Cold Spring Harbor Laboratory Press、2nd ed. 1998);およびUsing Antibody: A Laboratory Manual: Portable Protocol No. I (Edward Harlow & David Lane、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1998)に記載されている。さらに、結合ペプチドおよびよく特徴づけられた 試薬、条件およびプロトコールの非限定的な例は製造メーカーから容易に入手でき、製造メーカーとしては限定的ではないが、以下が挙げられる:BD Biosciences-Clontech、Palo Alto、CA; BD Biosciences Pharmingen、San Diego、CA; Invitrogen、Inc、Carlsbad、CA; QIAGEN、Inc.、Valencia、CA; および Stratagene、La Jolla、CA。これらプロトコールは当業者の技術範囲内であり、本明細書の教示から得られるルーチン的手順である。
本発明の側面は、部分的には、外来性 FGFR3を含む細胞を提供し、ここで、該細胞はBoNT/A中毒となり得る。本明細書において用いる、「細胞」という用語は、BoNT/Aに結合する少なくとも1つの外来性 FGFR3を発現するか、または操作されて発現しうるあらゆる真核生物細胞をいう。細胞という用語は様々な生物由来の細胞を含み、例えば、マウス、ラット、ブタ、ウシ、ウマ、霊長類およびヒト細胞が挙げられる;また、様々な細胞タイプからの細胞を含み、 例えば、神経および非-神経細胞が挙げられる;また、細胞は異種細胞集団、組織または生物またはそれらの一部から単離できる。本発明の側面に有用な細胞には、これらに限定されないが以下が含まれることが理解される:初代細胞; 培養細胞; 樹立細胞; 正常細胞; 形質転換細胞; 腫瘍細胞; 感染細胞; 増殖性および最終分化細胞;および、安定にまたは一過性にトランスフェクトされた細胞、例えば、安定に、および、一過性にトランスフェクトされた細胞。本発明の側面に有用な細胞はいかなる状態にあってもよいことがさらに理解され、例えば以下が挙げられる: 増殖または静止状態; インタクトまたは例えば以下のように透過処理された状態、化学物質媒介トランスフェクション、例えば、リン酸カルシウム媒介、ジエチルアミノエチル (DEAE) デキストラン媒介、脂質媒介、ポリエチレンイミン (PEI)-媒介、ポリブレン媒介、およびタンパク質送達剤; 物理特性媒介トランスフェクション、例えば、遺伝子銃粒子送達、マイクロインジェクションおよびエレクトロポレーション;およびウイルス媒介トランスフェクション、例えば、レトロウイルス媒介トランスフェクション。本発明の側面に有用な細胞は構成的、組織特異的、細胞特異的または誘導性プロモーター要素、エンハンサー要素またはそれらの両方の制御下でFGFR3を発現する細胞を含みうることがさらに理解される。
本明細書において用いる、「BoNT/A中毒となり得る細胞」という用語は、基質、例えば、SNAP-25をBoNT/Aがタンパク分解的に切断する全細胞機構が可能である細胞を意味し、BoNT/Aの低または高アフィニティー受容体への結合、毒素/受容体複合体のインターナリゼーション、BoNT/A 軽鎖の細胞質への転位置およびBoNT/A 基質の酵素標的の修飾を含む。定義によると、BoNT/A中毒となり得る細胞はFGFR3を発現しなければならない。非限定的な例として、神経細胞または非-神経細胞は一過性にまたは安定に操作されて外来性 FGFR3をコードする核酸分子を発現しうる。別の非限定的な例として、神経細胞または非-神経細胞は一過性に操作されて外来性 FGFR3を含みうる。
本発明の側面に有用な細胞には神経細胞と非神経細胞の両方が含まれる。本発明の側面に有用な神経細胞としては限定的ではないが、初代神経細胞; 不死化または樹立神経細胞; 形質転換神経細胞; 神経腫瘍細胞; 安定におよび一過性にトランスフェクトされた神経細胞およびさらに、限定的ではないが、哺乳類、マウス、ラット、霊長類およびヒト神経細胞が挙げられる。本発明の側面に有用な神経細胞の非限定的な例としては、例えば、以下が挙げられる:末梢神経細胞、例えば、運動神経細胞および感覚神経細胞;およびCNS 神経細胞、例えば、脊髄神経細胞、例えば、胚性脊髄神経細胞、後根神経節 (DRG) 神経細胞、大脳皮質神経細胞、小脳神経細胞、海馬神経細胞および運動神経細胞。本発明に有用な神経細胞としては、例えば、以下が挙げられる:中枢神経系 (CNS) 神経細胞; 神経芽腫細胞; 運動神経細胞、海馬神経細胞または小脳神経細胞、さらに、これらに限定されないが、Neuro-2A、SH-SY5Y、NG108-15、N1E-115またはSK-N-DZ 細胞。当業者は、これらおよびさらなる初代および樹立神経細胞が本発明の細胞および方法に有用であり得ることを理解している。
本発明の側面に有用な神経細胞としては限定的ではないが、初代培養、例えば、胚性後根神経節 (DRG) 神経細胞の初代培養が挙げられる。一例として、胚性ラット DRG 神経細胞の初代培養がMary J. Welch et al.、Sensitivity of Embryonic Rat Dorsal Root ganglia neurons to Clostridium botulinus toxins、38(2) Toxicon 245 258 (2000)に記載されている; および胎児脊髄神経細胞の初代培養、例えば、マウス胎児脊髄神経細胞の初代培養は、Elaine A. Neale et al.、Botulinum Neurotozxin A blocks Synaptic Vesicle Exocytosis but not Endocytosis at the Nerve terminal、147(6) J. Cell Biol. 1249-1260 (1999)、および John A. Chaddock et al.、Inhibition of vesicular secretion in both Neuronal and non-Neuronal cells by a retargeted endopeptidase derivative of Clostridium botulinus Neurotoxin type A、68(5) Infect. Immun. 2587-2593 (2000)に記載されている。したがって、一つの態様において、BoNT/A中毒となり得る細胞は外来性 FGFR3を含む神経細胞であり得る。この態様の側面において、神経細胞は例えば初代培養、胚性後根神経節初代培養または胎児脊髄初代培養からの神経細胞でありうる。非限定的な例として、本明細書に開示される方法に有用な細胞としては、外来性 FGFR3を含む初代神経細胞、例えば、外来性 FGFR3を含むラット胚性後根神経節 (DRG) 神経細胞または外来性 FGFR3を含むマウス胎児脊髄神経細胞が挙げられる。
本発明の側面に有用な神経細胞株としては限定的ではないが、神経芽腫細胞株、神経細胞ハイブリッド細胞株、脊髄細胞株、中枢神経系細胞株、大脳皮質細胞株、後根神経節細胞株、海馬細胞株およびクロム親和細胞種細胞株が挙げられる。
神経芽腫細胞株、例えば、マウス、ラット、霊長類またはヒト神経芽腫細胞株は本発明の側面において有用であり得る。本発明の側面において有用な神経芽腫細胞株としては限定的ではないが以下が挙げられる:BE(2)-C (ATCC CRL-2268; ECACC 95011817)、BE(2)-M17 (ATCC CRL-2267; ECACC 95011816)、C1300 (ECACC 93120817)、CHP-212 (ATCC CRL-2273)、CHP-126 (DSMZ ACC 304)、IMR 32 (ATCC CRL-127; ECACC 86041809; DSMZ ACC 165)、KELLY (ECACC 92110411; DSMZ ACC 355)、LA-N-2(例えば、Robert C. Seeger et al.、Morphology、growth、chromosomal pattern and fibrinolytic activity of two new human neuroblastoma cell lines、37(5) Cancer Res. 1364-1371 (1977);およびG. J. West et al.、Adrenergic、cholinergic、and inactive human neuroblastoma cell lines with the action-potential Na+ ionophore、37(5) Cancer Res. 1372-1376 (1977) 参照)、MC-IXC (ATCC CRL-2270)、MHH-NB-11 (DSMZ ACC 157)、N18Tg2 (DSMZ ACC 103)、N1E-115 (ATCC CCL-2263; ECACC 88112303)、N4TG3 (DSMZ ACC 101)、Neuro-2A (ATCC CCL-131; ECACC 89121404; DSMZ ACC 148)、NB41A3 (ATCC CCL-147; ECACC 89121405)、NS20Y (DSMZ ACC 94)、SH-SY5Y (ATCC CRL-2266; ECACC 94030304; DSMZ ACC 209)、SIMA (DSMZ ACC 164)、SK-N-DZ (ATCC CRL-2149; ECACC 94092305)、SK-N-F1 (ATCC CRL-2142、ECACC 94092304)、SK-N-MC (ATCC HTB-10、DSMZ ACC 203)およびSK-N-SH (ATCC HTB-11、ECACC 86012802)。したがって、一つの態様において、BoNT/A中毒となり得る細胞は外来性 FGFR3を含む神経芽腫細胞であり得る。この態様の側面において、神経芽腫細胞は例えば以下であり得る:BE(2)-C、BE(2)-M17、C1300、CHP-212、CHP-126、IMR 32、KELLY、LA-N-2、MC-IXC、MHH-NB-11、N18Tg2、N1E-115、N4TG3、Neuro-2A、NB41A3、NS20Y、SH-SY5Y、SIMA、SK-N-DZ、SK-N-F1、SK-N-MCおよびSK-N-SH。非限定的な例として、本明細書に開示される方法によるBoNT/A 活性の検出に有用な細胞としては、外来性 FGFR3を含む神経芽腫細胞 、例えば、外来性 FGFR3を含むSH-SY5Y細胞 ;外来性 FGFR3を含むNeuro-2a細胞 ;および外来性 FGFR3を含むN1E-115細胞 ;および外来性 FGFR3を含むSK-N-DZ細胞が挙げられる。
神経細胞ハイブリッド細胞株、例えば、マウス、ラット、霊長類およびヒトハイブリッド神経細胞株は本発明の側面において有用であり得る。かかるハイブリッド細胞株としては以下が挙げられる:神経芽腫/神経膠腫ハイブリッド、例えば、N18 (ECACC 88112301)、NG108-15 (ATCC HB-12317、ECACC 88112302)およびNG115-401L (ECACC 87032003);運動神経細胞の特徴を発現し、多極神経細胞様表現型を示し、高レベルのコリンアセチルトランスフェラーゼ (CHAT)を発現し、活動電位を生成し、神経フィラメント三つ組(triplet)タンパク質を発現し、そしてアセチルコリンを合成、貯蔵および放出する神経芽腫/運動神経細胞ハイブリッド、例えば、NSC-19 および NSC-34(例えば、N. R. Cashman et al.、Neuroblastoma x Spinal Cord (NSC) Hybrid cell limes resemble developing moter neurons、194(3) Dev. Dyn. 209-221 (1992);および Christopher J. Eggett et al.、Development and characterisation of a glutamate-sensitive moter nuronal cell line、74(5) J. Neurochem. 1895-1902 (2000) 参照); 神経芽腫/根神経節神経細胞ハイブリッド、例えば、F11(例えば、Doros Platika et al.、Neuronal traits of clonal cell line derived by fusion of dorsal root ganglia neurons with neuroblastoma cells、82(10) Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 3499-3503 (1985)を参照)、ND-E (ECACC 92090915)、ND-U1 (ECACC 92090916)、ND7/23 (ECACC 92090903)、ND8/34 (ECACC 92090904)およびND27 (ECACC 92090912); 神経芽腫/海馬神経細胞ハイブリッド、例えば、HN-33(例えば、Henry J. Lee et al.、Neuronal properties and trophic activities of immortalized hippocampal cells from embryonic and young adult mice. 10(6) J. Neurosci. 1779-1787 (1990) 参照)。したがって、一つの態様において、BoNT/A 毒素中毒となりうる細胞は、外来性 FGFR3を含むハイブリッド神経細胞であってよい。この態様の側面において、ハイブリッド神経細胞としては例えば、外来性 FGFR3を含む神経芽腫/神経膠腫ハイブリッド細胞 、外来性 FGFR3を含む神経芽腫/運動神経細胞ハイブリッド細胞 、外来性 FGFR3を含む神経芽腫/根神経節神経細胞ハイブリッド細胞および外来性 FGFR3を含む神経芽腫/ 海馬 神経細胞ハイブリッド細胞が挙げられる。この態様のさらなる側面において、神経芽腫/神経膠腫ハイブリッドは例えば、N18、NG108-15およびNG115-401Lであり得る。この態様のさらなる側面において、神経芽腫/運動神経細胞ハイブリッドは例えば、NSC-19 およびNSC-32でありうる。この態様のさらなる側面において、神経芽腫/根神経節神経細胞ハイブリッドは例えば、F11、ND-E、ND-U1、ND7/23、ND8/34およびND27でありうる。この態様のさらなる側面において、神経芽腫/海馬 神経細胞ハイブリッドは例えば、HN-33でありうる。本明細書に開示される方法によるBoNT/A 活性の検出に有用な細胞の非限定的な例としては、神経細胞ハイブリッド細胞、例えば外来性 FGFR3を含むNG108-15細胞が挙げられる。
脊髄細胞株、例えば、マウス、ラット、霊長類またはヒト脊髄細胞株は本発明の側面において有用であり得、限定的ではないが、TE 189.T (ATCC CRL-7947)およびM4bが挙げられる(例えば、Ana M. Cardenas et al.、Establishment and characterization of immortalized neuronal cell lines derived from the spinal cord of normal and trisomy 16 fetal mice、an animal model of Down syndrome、68(1) J. Neurosci. Res. 46-58 (2002) 参照)。一例として、ヒト脊髄細胞株はテトラサイクリン抑制性 v-myc 癌遺伝子により不死化されたヒト胚性脊髄細胞(妊娠初期胚)の前駆体から以下の記載により作られうる:Ronghao Li et al.、Motoneuron differentiation of immortalized human spinal cord cell line、59(3) J. Neurosci. Res. 342-352 (2000)。かかる細胞は増殖性成長条件において永久に拡張することが出来、その後(4-7 日間)迅速に神経細胞表現型マーカー、例えば、コリンアセチルトランスフェラーゼを発現する機能的な神経細胞へと分化する。 別の例として、マウス脊髄細胞株は胚性脊髄培養を形質転換培地を用いて不死化することにより調製することが出来る。かかる脊髄細胞株は、例えば、マウス M4b株であり得、神経細胞マーカー、例えば、 NSE、シナプトフィジン、MAP 2およびコリンアセチルトランスフェラーゼを発現することが出来、適当な刺激によりアセチルコリンを放出することができる。例えば、Cardenas et al.、前掲、(2002) 参照。したがって、一つの態様において、BoNT/A中毒となり得る細胞は外来性 FGFR3を含む脊髄細胞でありうる。この態様の側面において、外来性 FGFR3を含む脊髄細胞は例えば、外来性 FGFR3を含むTE 189.T細胞および外来性 FGFR3を含むM4b細胞であり得る。
中枢神経系 (CNS) 細胞株、例えば、マウス、ラット、霊長類およびヒトCNS 細胞株は、本発明の側面において有用であり得る。有用なCNS 細胞株は、例えば、テトラサイクリン 抑制性 v-myc 癌遺伝子で不死化されたヒト CNS 細胞株であり、Dinah W. Sah et al.、Bipotent progenitor cell line from the human CNS、15(6) Nat. Biotechnol. 574-580 (1997)に記載されている。癌遺伝子の抑制により、細胞は神経細胞へと分化する。したがって、一つの態様において、BoNT/A中毒となり得る細胞は外来性 FGFR3を含むCNS細胞であり得る。
大脳皮質細胞株、例えば、マウス、ラット、霊長類およびヒト大脳皮質細胞株は、本発明の側面において有用であり得、限定的ではないが、CNh(例えば、Ana M. Cardenas et al.、Calcium Signals in cell line derived from the cerebral cortex of normal and trisomy 16 mice、10(2) Neuroreport 363-369 (1999)参照)、HCN-1a (ATCC CRL-10442)およびHCN-2 (ATCC CRL-10742)が挙げられる。一例として、12-16 日胚からのマウス皮質初代培養は、例えば、インビトロで形質転換を誘導するラット甲状腺細胞株からの培養上清中で細胞を培養することにより不死化することが出来る。不死化細胞は、適当な培地を用いて神経細胞マーカーを発現する神経細胞へと分化させることが出来る; これらの分化細胞はコリンアセチルトランスフェラーゼを発現し、脱分極およびニコチン刺激に応答してアセチルコリンおよびグルタミン酸を分泌する。例えば、David D. Allen et al.、Impaired cholinergic function in cell line derived from the cerebral cortex of normal and trisomy 16 mice、12(9) Eur. J. Neurosci. 3259-3264 (2000) 参照。したがって、一つの態様において、BoNT/A中毒となり得る細胞は 外来性 FGFR3を含む大脳皮質細胞であり得る。この態様の側面において、外来性 FGFR3を含む大脳皮質細胞は例えば、外来性 FGFR3を含むCNh細胞 、外来性 FGFR3を含むHCN-1a細胞および外来性 FGFR3を含むHCN-2細胞であり得る。
後根神経節細胞株、例えば、マウス、ラット、霊長類およびヒト後根神経節細胞株は、本発明の側面において有用であり得、限定的ではないが、G4bが挙げられる(例えば、David D. Allen et al.、A dorsal root ganglia cell line derived from trisomy 16 fetal mice、a model for Down syndrome、13(4) Neuroreport 491-496 (2002) 参照)。胚性後根神経節初代培養は上記のように形質転換培養上清により不死化できる。分化すると、細胞株は神経細胞の形質を示し、免疫組織化学によると膠細胞マーカーを欠く。神経伝達物質、例えば、アセチルコリンの放出は、カリウムおよびニコチンに応答して誘導され得、例えば、Allen et al.、前掲、(2002) 参照。したがって、一つの態様において、 BoNT/A中毒となり得る細胞は外来性 FGFR3を含む後根神経節細胞でありうる。この態様の側面において、後根神経節細胞は例えば、外来性 FGFR3を含むG4b細胞でありうる。
海馬細胞株、例えば、マウス、ラット、霊長類およびヒト海馬株は、本発明の側面において有用であり得、限定的ではないが、HT-4(例えば、K. Frederiksen et al.、Immortalization of precursor cells from the mammalian CNS、1(6) Neuron 439-448 (1988) 参照)およびHT-22(例えば、John B. Davis and Pamela Maher、Protein kinase C activation inhibits glutamate-induced cytotoxicity in a neuronal cell line、652(1) Brain Res. 169-173 (1994) 参照)が挙げられる。非限定的な例として、マウス海馬細胞株 HT-22 は本発明において有用であり得る。さらなる非限定的な例としては、不死化HN33 海馬細胞株は本発明において有用であり得る。この海馬細胞株は出生後21日目のマウスの海馬からの初代神経細胞とN18TG2 神経芽腫細胞株とを融合して得られたものであり、分化すると、初代培養において成体海馬神経細胞と膜特性を共有する。例えば、Henry J. Lee et al.、Neuronal Properties and Trophic Activities of Immortalized hipocampal cell from Embryonic and Young Adult Mice、19(6) J. Neurosci. 1779-1787 (1990);および Henry J. Lee et al.、Immortalized young adult neurons from the septal reagion: generation and characterization、52(1-2) Brain Res. Dev Brain Res. 219-228 (1990) 参照。したがって、一つの態様において、BoNT/A中毒となり得る細胞は、外来性 FGFR3を含む海馬細胞であり得る。この態様の側面において、外来性 FGFR3を含む海馬細胞は例えば、外来性 FGFR3を含むHT-4細胞、外来性 FGFR3を含むHT-22細胞および外来性 FGFR3を含むHN33細胞でありうる。
様々な非-神経細胞が本発明の側面において有用である。本発明の側面に有用な非-神経細胞としては限定的ではないが、初代非-神経細胞; 不死化または樹立非-神経細胞; 形質転換非-神経細胞; 非-神経腫瘍細胞; 安定におよび一過性にトランスフェクトされた非-神経細胞が挙げられ、さらにこれも限定的ではないが、哺乳類、マウス、ラット、霊長類およびヒト 非-神経細胞が含まれる。本発明の側面に有用なさらなる非-神経細胞としては限定的ではないが、以下のいずれかの初代または樹立細胞が挙げられる: 下垂体前葉細胞; 副腎細胞、例えば、副腎髄質クロム親和性細胞; 膵臓細胞、例えば、膵腺房細胞、膵島 β細胞および膵島細胞腺腫 HITまたはINS-1 細胞; 卵巣細胞、例えば、ステロイド- 産生卵巣細胞; 腎臓細胞、例えば、髄質内部集合尿細管 (IMCD) 細胞; 胃細胞、例えば、腸クロム親和性細胞; 血液細胞、例えば、赤血球、白血球、血小板、好中球、好酸球、肥満細胞; 上皮細胞、例えば、頂端原形質膜上皮細胞; 線維芽細胞; 甲状腺細胞; 軟骨細胞; 筋肉細胞; 肝細胞; 腺細胞、例えば、下垂体細胞、副腎細胞、クロム親和性細胞;およびグルコーストランスポーター (GLUT4) 転位置に関与する細胞。したがって、一つの態様において、BoNT/A中毒となり得る細胞は非-神経細胞でありうる。この態様の側面において、非-神経細胞は初代または樹立非-神経細胞株のいずれの由来であってよく、これら細胞は例えば、 以下に由来のものであってよい:下垂体前葉細胞、副腎細胞、膵臓細胞、卵巣細胞、腎臓細胞、胃細胞、血液細胞、上皮細胞、線維芽細胞、甲状腺細胞、軟骨細胞、筋肉細胞、肝細胞および腺細胞。
非限定的な例として、本明細書に開示される方法によるBoNT/A 活性の検出に有用な細胞には、外来性 FGFR3を含む初代または樹立非-神経細胞が含まれ、例えば、外来性 FGFR3を含むクロム親和性細胞または外来性 FGFR3を含む膵腺房細胞 ; 外来性 FGFR3を含む初代神経細胞が挙げられる。
上記のように、本発明に有用な細胞としては、内在性受容体を低レベルまたは検出不可能なレベルでしか発現しないが、1以上のFGFR3をコードする1以上の外来性核酸分子によってトランスフェクトされたかあるいはそれらを発現するように操作された、神経細胞および非-神経細胞が含まれる。本発明の側面にさらに有用な細胞としては限定的ではないが、1以上の外来性 FGFR3を過剰発現する、形質転換、腫瘍またはその他の細胞が挙げられる。過剰発現した受容体は野生型形態の受容体であってもよいし、野生型受容体と比較して1以上のアミノ酸修飾を有する受容体であってもよいことが理解されるが、ただし、t BoNT/A 中毒過程が依然として起こりうるものである。BoNT/A 活性の検出に有用な細胞の非限定的な例としては、外来性哺乳類 FGFR3、例えば、ヒト FGFR3、ウシ FGFR3、ラット FGFR3またはマウス FGFR3を発現または過剰発現する細胞が挙げられる。別の非限定的な例として、BoNT/A 活性の検出に有用な細胞としては、外来性 鳥類 FGFR3、例えば、ニワトリ FGFR3を発現または過剰発現する細胞が挙げられる。別の非限定的な例として、BoNT/A 活性の検出に有用な細胞としては、外来性両生類 FGFR3、例えば、イモリ FGFR3 またはカエル FGFR3を発現または過剰発現する細胞が挙げられる。別の非限定的な例として、BoNT/A 活性の検出に有用な細胞としては、外来性 魚類 FGFR3、例えば、ゼブラフィッシュ FGFR3を発現または過剰発現する細胞が挙げられる。
したがって、一つの態様において、BoNT/A中毒となり得る細胞は、外来性 FGFR3を安定に発現する細胞でありうる。この態様の側面において、BoNT/A中毒となり得る細胞は、外来性哺乳類 FGFR3、例えば、ヒト FGFR3、ウシ FGFR3、ラット FGFR3またはマウス FGFR3を安定に発現する細胞でありうる。この態様の別の側面において、BoNT/A中毒となり得る細胞は、外来性鳥類 FGFR3、例えば、ニワトリ FGFR3を安定に発現する細胞でありうる。この態様の別の側面において、BoNT/A中毒となり得る細胞は、外来性両生類 FGFR3、例えば、イモリ FGFR3またはカエル FGFR3を安定に発現する細胞でありうる。この態様の別の側面において、BoNT/A中毒となり得る細胞は、外来性 魚類 FGFR3、例えば、ゼブラフィッシュ FGFR3を安定に発現する細胞でありうる。
本発明の側面は、部分的には、対照細胞と比較しての接触した細胞のBoNT/A 活性の存在を検出することを提供し、ここで、該対照細胞と比較しての接触した該細胞の該BoNT/A 活性の相違はBoNT/A 活性を示す。本明細書において用いる、「対照細胞」という用語は、接触した細胞と同じまたは類似のタイプであり、同じ条件下で培養されているが、いかなるサンプルとも接触されていないか、または規定された陰性サンプルまたは規定された陽性サンプルと接触されている、細胞を意味する。当業者は様々な対照細胞が本明細書に開示される方法において有用であり、対照細胞は陽性対照細胞または陰性対照細胞でありうることを理解している。対照細胞は、例えば、陰性対照細胞であり得、例えば、類似の、活性BoNT/Aを欠くことが知られている規定された陰性サンプルと接触されたか、またはサンプルと接触されていない、同一または類似の FGFR3を含む類似または同一細胞であり得る。対照細胞はまた、例えば、陽性対照細胞であり得、例えば、活性BoNT/Aを含むことが知られている規定された陽性サンプルと接触された同一または類似の FGFR3を含む類似または同一の細胞であり得る。
多種多様なアッセイをBoNT/A 活性の存在の判定に用いることが出来、例えば、毒素取り込みについての直接的および間接的アッセイが挙げられる。BoNT/A結合または取り込み特性を判定するアッセイを用いてBoNT/A 活性を評価することが出来る。かかるアッセイとしては限定的ではないが、標識BoNT/A、例えば、BoNT/A-SBED(例えば、本明細書実施例II参照)、および [125I] BoNT/A(例えば、Noriko Yokosawa et al.、Binding of Crostridium Botulinum type C neurotoxin to different neuroblastoma cell line、57(1) Infect. Immun. 272-277 (1989); Noriko Yokosawa et al.、Binding of botulinum type Cl、D and E neurotixins to neuronal cell lines and synaptosomes、29(2) Toxicon 261-264 (1991);およびTei-ichi Nishiki et al.、Identification of protein receptor for Crostridium Botulinum type B neurotoxin in rat brain synaptosomes、269(14) J. Biol. Chem. 10498-10503 (1994) 参照)を用いた架橋アッセイが挙げられる。その他の非限定的なアッセイとしては以下が挙げられる:標識化または非標識化抗体を用いて毒素結合を検出する免疫細胞化学アッセイ(例えば、Atsushi Nishikawa et al.、The receptor and transporter for internalization of Crostoridum botulinum type C progenitor toxin into HT-29 cells、319(2) Biochem. Biophys. Res. Commun. 327-333 (2004) 参照)および免疫沈降アッセイ(例えば、Yukako Fujinaga et al.、Molecular characterization of binding subcomponents of Crostoridum botulinum type C progenitor toxin for intestinal epidermal cells and erythrocytes、150(Pt 5) Microbiology 1529-1538 (2004) 参照)。これらのアッセイに有用な抗体としては限定的ではないが、BoNT/Aに対して選択された抗体、BoNT/A 受容体、例えば、FGFR3に対して選択された抗体、ガングリオシド、例えば、GD1a、GD1b、GD3、GQ1b、またはGT1bに対して選択された抗体および被験化合物、例えば、BoNT/A 受容体に選択的に結合する分子に対して選択された抗体が挙げられ、ここで、選択的結合はBoNT/A 活性を調節する。抗体が標識されている場合、分子の結合は以下のような様々な手法により当業者に周知の技術を用いて検出できる:ウェスタンブロッティング、抗体の細胞での位置の直接顕微鏡観察、洗浄工程後に細胞または基質に結合している抗体の測定または電気泳動。抗体が標識されていない場合、結合している分子の間接的検出のための標識化二次抗体を用いることが出来、検出は標識化抗体の場合と同様に行うことができる。BoNT/A 取り込み特性または特徴を測定するこれらおよび類似のアッセイは、BoNT/A 活性の検出に有用であり得ることが理解される。
BoNT/Aに曝された後の分子の放出をモニターするアッセイを用いてBoNT/A活性の存在について評価することが出来る。これらアッセイにおいて、分子の放出の阻害がBoNT/A処理後にFGFR3を発現する細胞において起こるであろう。非限定的な例として、本明細書に開示されるインスリン放出阻害アッセイにより、BoNT/Aに曝された後の分子の放出をモニターすることができ、それは、分子が選択的にBoNT/A 受容体に結合するかの評価において有用である (実施例I参照)。別の非限定的なアッセイとしては以下が挙げられる:放射標識カテコールアミンの神経細胞からの放出、例えば、[3H] ノルアドレナリンまたは[3H] ドーパミン放出、の阻害を測定する方法(例えば、A Fassio et al.、Evidence for calcium-dependent vesicular transmitter release insensitivity to tetanus toxin and Clostoridium botulinum type F、90(3) Neuroscience 893-902 (1999);およびSara Stigliani et al.、The sensitivity of catecholamine relaese to Clostoridium botulinum C1 and E suggests selective targeting of vesicles set into the readily releasable pool、85(2) J. Neurochem. 409-421 (2003) 参照)、または、 蛍光定量的手順を用いてカテコールアミン放出を測定する方法(例えば、Anton de Paiva et al.、A role for the interchain disulfide or its participating thiols in the internalization of botulinum neurotoxin A revealed by a toxin derivative that binds to ecto-acceptors and inhibits transmitter release intracellularly、268(28) J. Biol. Chem. 20838-20844 (1993); Gary W. Lawrence et al.、Different exocytotic responses of intact and permeabilised chromaffin cells after cleavate of the 25-kDa synaptosome-binding protein (SNAP-25) or synaptbrevin by botulinum toxin A or B、236(3) Eur. J. Biochem. 877-886 (1996);およびPatrick Foran et al.、Botulinum neurotoxin C1 cleaves both syntaxin and SNAP-25 in intace and permeabilized chromaffin cells: correlation with its blockade of catecholamine release、35(8) Biochemistry 2630-2636 (1996)参照);および、内分泌細胞、例えば、下垂体前葉細胞または卵巣細胞からのホルモン放出阻害を測定する方法。分子放出についてのこれらおよび類似のアッセイがBoNT/A 活性の評価において有用であり得ることが理解される。
非限定的な例として、インスリン放出阻害アッセイを用いて、FGFR3を含み、インスリンを分泌することが出来る細胞におけるBoNT/A活性の存在を判定することが出来る;ノルアドレナリン放出阻害アッセイを用いてFGFR3を含み、ノルアドレナリンを分泌することが出来る細胞におけるBoNT/A活性を判定することが出来る;およびエストロゲン放出阻害アッセイを用いて、 FGFR3を含み、エストロゲンを分泌することが出来る細胞におけるBoNT/A活性を判定することが出来る。
BoNT/Aに曝された後のBoNT/A 基質の切断を検出するアッセイを用いて、BoNT/A活性の存在について評価することが出来る。これらアッセイにおいて、BoNT/A 切断産物の生成はBoNT/A処理後に検出されるであろう。非限定的な例として、本明細書に開示されるSNAP-25 切断アッセイにより、BoNT/Aに曝された後のBoNT/A 基質の切断を検出することが出来、それはBoNT/A 活性の評価に有用である(実施例I参照)。BoNT/Aに曝された後のBoNT/A 基質の切断の検出に有用な別の非限定的な方法は例えば以下に記載されている:Lance E. Steward et al.、FRET Protease Assays for Botulinum serotype A/E toxins、米国特許公開第2003/0143650号(Jul. 31、2003); およびEster Fernandez-Salas et al.、Cell-based Fluorescence Resonance Energy Transfer (FRET) Assays for Crostridium boturinus、米国特許公開第2004/0072270号(Apr. 15、2004)。これらおよび類似のBoNT/A 基質切断アッセイがBoNT/A 活性の評価において有用であり得ることが理解される。
非限定的な例として、BoNT/A SNAP-25-切断産物を認識する抗体を用いるウェスタンブロット分析を用いてBoNT/A活性の存在を判定できる。これらアッセイに有用な抗-SNAP-25 抗体の例としては限定的ではないが以下が挙げられる:ウサギポリクローナル抗SNAP-25197 抗血清 pAb 抗SNAP-25197#1 (Allergan、Inc.、Irvine、CA)、マウスモノクローナル 抗-SNAP-25 抗体 SMI-81 (Sternberger Monoclonals、Lutherville、MD)、マウスモノクローナル 抗-SNAP-25 抗体 CI 71.1 (Synaptic Systems、Goettingen、Germany)、マウスモノクローナル 抗-SNAP-25 抗体 CI 71.2 (Synaptic Systems、Goettingen、Germany)、マウスモノクローナル 抗-SNAP-25 抗体 SP12 (Abcam、Cambridge、MA)、ウサギポリクローナル 抗-SNAP-25 抗血清 (Synaptic Systems、Goettingen、Germany)、およびウサギポリクローナル 抗-SNAP-25 抗血清 (Abcam、Cambridge、MA)。
本明細書に開示される方法には、部分的には、サンプルが含まれる。本明細書において用いる、「サンプル」という用語は、活性BoNT/Aを含むかまたは潜在的に含みうるあらゆる生物学的物質を意味する。様々なサンプルが、本明細書に開示される方法によりアッセイすることが出来、これらに限定されないが以下が挙げられる:精製された、部分的に精製された、または精製されていないBoNT/A;天然または非天然配列を有する組換え一本鎖または二本鎖毒素;変化したプロテアーゼ特異性を有する組換え BoNT/A;変化した細胞特異性を有する組換え BoNT/A;複数の BoNT/A 種またはサブタイプからの構造要素を含むキメラ毒素;バルクBoNT/A;製剤されたBoNT/A製品;および食物; 細胞または、粗、分画化または部分的に精製された細胞可溶化液、例えば、BoNT/Aをコードする組換え核酸を含むように操作された可溶化液;細菌、バキュロウイルスおよび酵母可溶化液; 生の、調理された、部分的に調理されたまたは加工された食品; 飲料; 動物飼料;土壌サンプル;水サンプル; 池底質; ローション;化粧品;および医療用製剤。サンプルという用語は、これらに限定されないが以下の組織サンプルを含むことが理解される:例えば、哺乳類組織サンプル、家畜組織サンプル、例えば、ヒツジ、ウシおよびブタ組織サンプル; 霊長類組織サンプル;およびヒト組織サンプル。かかるサンプルには、これらに限定されないが以下が含まれる:腸サンプル、例えば、幼児腸サンプル、創傷から得た組織サンプル。その他のかかるサンプルとしては、哺乳類組織、哺乳類唾液、哺乳類排泄物および哺乳類便が挙げられる。非限定的な例として、本発明の方法は、食品または飲料サンプルにおけるBoNT/Aの存在または活性を検出するのに有用であり得る;例えば、BoNT/Aに曝されたか、BoNT/A 曝露の1以上の症状を有するヒトまたは動物からのサンプルのアッセイに有用であり得る; BoNT/Aの生産および精製における活性の追跡に有用であり得る;あるいは、製剤化されたBoNT/A製品、例えば、医薬または化粧品のアッセイに有用であり得る。
本明細書に開示の方法と組みあわせて以下を含む多種多様な処理形式を利用することが考えられる;これらに限定されないが、手動処理、一部自動化処理、半自動化-処理、全自動化処理、ハイスループット処理、ハイコンテント処理など、またはそれらの組合せ。
本発明の別の側面は、ヒトにFGFR3に選択的に結合する分子を含む医薬組成物を投与することを含むヒトにおけるBoNT/A 活性を低下させる方法を提供し、ここで、該選択的結合がBoNT/Aが該FGFR3に結合する能力を低下させる。同一のFGFR3に対するBoNT/A結合を阻害する様式でFGFR3に選択的に結合しうる分子が有用であることが考えられ、かかる分子としては、これらに限定されないが、抗-FGFR3 抗体、FGFまたはFGF アゴニストが挙げられる。さらに、FGFR3、BoNT/Aとの選択的結合活性を保持するFGFR3 断片、またはそのペプチド疑似体も有用であり得る。FGFR3に選択的に結合する分子、したがってBoNT/A 活性を低下させる方法に有用な分子は例えば以下に記載されている:Avner Yayon et al.、Antibody that block receptor protein tyrosone kinase activation、Methods of screening for and using thereof、国際出願公表WO 02/102972 (Dec. 27、2002); Avner Yayon et al.、Antibody that block receptor protein tyrosone kinase activation、Methods of screening for and using thereof、国際出願公表WO 02/102973 (Dec. 27、2002); およびElisabeth Thomassen-Wolf et al.、Antibody that block receptor protein tyrosone kinase activation、Methods of screening for and using thereof、国際出願公表WO 02/102854 (Dec. 27、2002)。
本発明の側面は、その一部として、FGFR3に選択的に結合する分子を含む医薬組成物を投与することによるヒトにおけるBoNT/A 活性を低下させる方法を提供する。投与される組成物は以下に記載のような様々な医薬上許容される媒体に製剤するとよい。本明細書に開示される組成物の有効な用量は、選択した特定の分子、投与経路、およびヒトまたはその他の哺乳類の特定の特徴、例えば、年齢、体重、全体的な健康などに依存するであろう。有効な用量はヒトへの投与の前に動物モデルにおいて決定できる。本発明の側面に有用な組成物は、免疫応答を刺激するために様々な経路によって投与することが出来る。非限定的な例として、経口免疫寛容は当該技術分野において周知である(例えば、Weiner、Hospital Practice、pp. 53-58 (Sept. 15、1995) 参照)。当業者であれば、特定の組成物について、特定の動物、例えば、ヒトにおいて有用な、好適な薬理学的組成、適当な抗原負荷量; 投与経路; 投与量;および投薬計画を容易に決定することが出来る。
本明細書に開示のように、医薬組成物はBoNT/A 活性を低下させるためにヒトまたはその他の哺乳類に投与される。本明細書において用いる、「低下させる」という用語は、ヒトまたはその他の哺乳類への有効量の医薬組成物の投与に言及して用いられる場合は、ヒトまたはその他の哺乳類において、BoNT/A 活性に対する曝露(exposure)に特徴づけられる病状の症状を低下させること、またはBoNT/A 活性に対する曝露に特徴づけられる病状の症状の発症を遅延または防止することを意味する。例えば、「低下させる」という用語は、BoNT/A 活性に対する曝露により特徴づけられる病状の症状を少なくとも 30%、40%、60%、70%、80%、90%または100%低下させることを意味しうる。BoNT/A 活性に対する曝露に特徴づけられる病状の治療における医薬組成物の有効性は、病状に関連する1以上の臨床症状または生理的指標を観察することによって判定できる。BoNT/A 活性に対する曝露に特徴づけられる病状の改善はまた、併用療法の必要性の低下によっても示されうる。当業者であれば特定の病状に関連する適当な症状または指標を知っているであろうし、あるヒトまたはその他の哺乳類が本明細書に開示される医薬組成物による治療の候補であるかを判定する方法を知っているであろう。具体的には、当業者であれば、ある病状がBoNT/A 活性曝露に特徴づけられるものであるかを、例えば、そのヒトまたはその他の哺乳類からのBoNT/A 活性と正常対照細胞からのBoNT/A 活性のレベルを比較することにより判定することができるであろうことが理解される。
本方法の特定の用途のために投与すべき適当な有効量は当業者によって本明細書において提供する教示を用いて決定されうる。例えば、有効量は上記のアッセイから外挿することができる。当業者であれば、患者の病状を治療過程においてモニターすることができ、投与すべき組成物の有効量はそれにしたがって調整しうることを認識しているであろう。
本発明の側面に有用な医薬組成物は通常は医薬上許容される組成物において投与される。本明細書において用いる、「医薬上許容される」という用語は、ヒトまたはその他の哺乳類に投与した場合に、有害な、アレルギー性またはその他の有害または望ましくない反応を起こさないあらゆる分子実体または組成物をいう。本明細書において用いる、「医薬上許容される組成物」という用語は、治療上有効な濃度の活性成分をいう。医薬組成物は患者に単独で投与してもよいし、その他の補助的な活性成分、薬剤、薬物またはホルモンと組みあわせて投与してもよい。医薬組成物は様々な工程のいずれを用いて製造してもよく、これらに限定されないが以下の工程が含まれる:常套の混合、溶解、造粒、糖衣錠製造、粉砕、乳化、カプセル化、封入、および凍結乾燥。医薬組成物はいずれの様々な形態であってよく、これらに限定されないが以下が挙げられる:無菌溶液、懸濁液、乳濁液、凍結乾燥物、錠剤、丸剤、ペレット、カプセル、散剤、シロップ、エリキシルまたはその他の投与に好適な投与形態。
本明細書に開示される医薬組成物は、活性成分の医薬上許容される組成物への加工を促進する医薬上許容される担体を所望により含んでいてもよい。本明細書において用いる、「薬理学的に許容される担体」という用語は、投与した際に長期または永続する有害作用を実質的に示さないあらゆる担体をいい、以下のようなものを含む:例えば、「薬理学的に許容される媒体、安定化剤、希釈剤、補助剤または賦形剤」。かかる担体は一般に活性化合物と混合されるか、活性化合物を希釈または封入するものであり、固体、半固体、または液体のいずれであってもよい。活性成分は可溶性であってもよいし、所望の担体または希釈剤中の懸濁液として送達してもよいことが理解される。様々な医薬上許容される担体のいずれも利用することが出来、これらに限定されないが以下が挙げられる:水性媒体例えば、蒸留水、脱イオン水、生理的食塩水; 溶媒; 分散媒; コーティング; 抗細菌および抗真菌剤; 等張剤および吸収遅延剤;またはあらゆるその他の不活性成分。薬理学的に許容される担体の選択は、投与様式に依存しうる。いずれの薬理学的に許容される担体も活性成分と非適合性でない限り、その医薬上許容される組成物における使用が考えられる。かかる医薬上の担体の特定の使用の非限定的な例は以下に記載されている:Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems (Howard C. Ansel et al.、eds.、Lippincott Williams & Wilkins Publishers、7th ed. 1999); Remington: The Science and Practice of Pharmacy (Alfonso R. Gennaro ed.、Lippincott、Williams & Wilkins、20th ed. 2000); Goodman & Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics (Joel G. Hardman et al.、eds.、McGraw-Hill Professional、10th ed. 2001); およびHandbook of Pharmaceutical Excipients (Raymond C. Rowe et al.、 APhA Publications、4th edition 2003)。これらプロトコールはルーチン的手法でありあらゆる修飾が当業者の技術範囲内であり、本明細書の教示から得られる。
さらに、本明細書に開示される医薬組成物は所望により限定的ではないが、以下を含むがこれらに限定されないその他の医薬上許容される成分を含みうることが考えられる:緩衝剤、保存料、浸透圧調整剤、塩、抗酸化剤、生理学的物質、薬理学的物質、充填剤、乳化剤、湿潤剤、甘味料または香味料など。様々な緩衝剤およびpH調整手段が本明細書に開示される医薬組成物の製造に利用できるが、ただし、その結果得られる製剤は医薬上許容されるものでなければならない。かかる緩衝剤としては限定的ではないが、酢酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、中性緩衝食塩水、リン酸緩衝食塩水およびホウ酸緩衝剤が挙げられる。酸または塩基が所望により組成物のpH調整に利用できることが理解される。医薬上許容される抗酸化剤としては限定的ではないが、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アセチルシステイン、ブチル化ヒドロキシアニソールおよびブチル化ヒドロキシトルエンが挙げられる。有用な保存料としては限定的ではないが、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、チメロサール、フェニル酢酸第二水銀、フェニル硝酸第二水銀および安定化オキシクロロ組成物、例えば、PURITER(登録商標)が挙げられる。医薬組成物において有用な浸透圧調整剤としては限定的ではないが、塩、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトールまたはグリセリンおよびその他の医薬上許容される浸透圧調整剤が挙げられる。医薬組成物は塩として提供してもよく、以下を含むがこれらに限定されない多くの酸とともに形成されうる:塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸など。塩は水性またはその他のプロトン性溶媒中に、対応する遊離塩基形態と比べてより可溶性である傾向がある。薬理学分野において知られているこれらおよびその他の物質が本発明に有用な医薬組成物中に含まれうることが理解される。
本開示の方法に有用な医薬組成物は、有効量にてヒトまたはその他の哺乳類に投与される。かかる有効量は一般に、以下であり得る所望の治療の効果を達成するのに必要な最少量である:例えば、BoNT/A 活性に対する曝露に関連する症状を低下させるに必要なだいたいの量。例えば、「有効量」という用語は、BoNT/A 活性への曝露の処置に関して用いられる場合、症状を、例えば、少なくとも 30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%低下させるのに十分な用量であり得る。かかる用量は一般に0.1-1000 mg/日の範囲であり、例えば、0.1-500 mg/日、0.5-500 mg/日、0.5-100 mg/日、0.5-50 mg/日、0.5-20 mg/日、0.5-10 mg/日または0.5-5 mg/日といった範囲であってよく、実際の投与量は以下を含む関連する環境を考慮して医師により決定される: BoNT/A 曝露の重篤度、患者の年齢および体重、患者の全身健康状態、BoNT/A 曝露の原因および投与経路。反復投与を行う場合、投与頻度は、部分的には、医薬組成物の半減期に依存する。坐薬および徐放性製剤は本発明において有用であり得、例えば以下が含まれる:経皮パッチ、皮膚表面または皮膚下に沈着する製剤および筋肉内注射用製剤。遅効性製剤も本発明の方法に有用でありうることが理解される。医薬組成物を投与される対象はBoNT/A 活性への曝露を経験しうるいずれの哺乳類またはその他の脊椎動物であってよく、例えば、ヒト、霊長類、ウマ、ウシ、イヌ、ネコまたは鳥類が挙げられる。
様々な投与経路が本発明の方法によるBoNT/A 活性の低下に有用であり得る。本発明の方法に有用な医薬組成物は以下に依存する様々な手段によって哺乳類に投与されうる:例えば、処置すべきBoNT/A 曝露の型および位置、医薬組成物、または組成物に含まれるその他の化合物および対象の病歴、危険因子および症状。本発明の方法に好適な投与経路には、全身および局所投与の両方が含まれる。非限定的な例として、BoNT/A 活性を低下させるのに有用な医薬組成物は以下によって投与されうる:経口または皮下ポンプ;経皮パッチ;静脈内、皮下または筋肉内注射;局所ドロップ(drop)、クリーム、ゲルまたは軟膏; インプラントまたは注射される徐放製剤; 生体内分解性または非-生体内分解性送達システム;皮下ミニポンプまたはその他のインプラント装置;くも膜下腔内ポンプまたは注射;または硬膜外注射。生分解性ポリマーおよび使用方法の例示的リストは例えば以下に記載されている:Handbook of biodegradable polymers (Abraham J. Domb et al.、eds.、Overseas Publishers Association、1997); Controlled Drug Delivery: Designing Technologies for the Future (Kinam Park & Randy J. Mrsny eds.、American Chemical Association、2000); Vernom G. Wong、Method for Reducing or Preventing Transplant Rejection in the Eye and Intraocular Implants for Use Therefor、米国特許第6699493号 (Mar. 2、2004); Vernon G. Wong & Mae W. L. Hu、Methods for Treating Inflammation-mediated Conditions of the Eye、米国特許第6726918号(Apr. 27、2004); David A. Weber et al.、Methods and Device for Delivery of Ocular Implants、米国特許公開第US2004/0054374号(Mar. 18、2004); Thierry Nivaggioli et al.、Biodegradable Ocular Implant、米国特許公開第US2004/0137059号(Jul. 15、2004)。投与頻度および持続時間は部分的には所望の治癒度および免疫寛容原性(tolerogizing)組成物の半減期に依存するであろうことが理解される。
具体的態様において、本発明の方法は医薬組成物の末梢投与によって実施される。本明細書において用いる、「末梢投与」または「末梢に投与する」という用語は、薬剤を対象の中枢神経系の外側に導入することを意味する。末梢投与には、脊椎または脳への直接投与以外のあらゆる投与経路が含まれる。したがって、くも膜下腔内および硬膜外投与ならびに頭蓋注射または埋め込みは、「末梢投与」または「末梢に投与する」という用語の範囲外であることが明白である。
末梢投与は局所または全身でありうる。局所投与によると、投与部位から遠い領域と比べて局所投与部位自体およびその周囲に医薬組成物が有意に多く送達される。全身投与によると、医薬組成物は実質的に対象の全末梢神経系に送達され、組成物の性質に応じて中枢神経系にも送達されうることになる。
本発明の方法に有用な末梢投与経路にはこれらに限定されないが以下が含まれる:経口投与、局所投与、静脈内またはその他の注射、および埋め込まれたミニポンプまたはその他の徐放 装置または製剤。本発明において有用な医薬組成物は以下のような末梢投与しうるものである:例えば、あらゆる許容される形態での経口投与、例えば、錠剤、液剤、カプセル、散剤など;静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下または非経口注射;経皮拡散または電気泳動;あらゆる許容される形態の局所投与、例えば、ドロップ、クリーム、ゲルまたは軟膏;およびミニポンプまたはその他の埋め込み徐放装置または製剤。
本発明の別の側面は、サンプルとFGFR3を含む組成物を接触させること、および、分子が選択的に該FGFR3に結合するかを検出することによる、BoNT/A 中毒に感受性の細胞への選択的結合に対してBoNT/Aと競合できる分子をスクリーニングする方法を提供し、ここで該分子の該FGFR3への選択的結合は該分子がBoNT/A 中毒に感受性の細胞への選択的結合に対してBoNT/Aと競合できることを示し、該分子がBoNT/Aの場合、該方法はLD50アッセイを含まない。本明細書において用いる、「選択的」結合という用語は、結合物質(binding agent)が生理的条件下、または実質的におよそ生理的条件であるインビトロ条件下において、神経細胞の表面の別の非標的分子に対するよりも統計的に有意に大きい程度にて(即ち、Kdまたは解離定数がより小さい)、その標的に結合することが出来ることを意味する。「Kd」は標的分子の半分に結合物質が結合する際の結合物質のモル濃度である。本明細書において用いる、「LD50アッセイ」という用語は、生きている動物に基づく神経毒活性のインビボアッセイであり、処理された動物の50%が死亡する神経毒の用量を検出することを含むアッセイを意味する。例えば、the Mouse Protection Assay (MPA)、Charles L. Hatheway & Carol Dang、Immunogenicity of the Neurotoxins of Crostridium botrinum、93-107 (Neurological Disease and Therapy-Therapy with Crostridium botrinum、Joseph Jankovic & Mark Hallett eds.、Marcel Dekker、1994) 参照。
BoNT/A 中毒に感受性の細胞との選択的結合についてBoNT/Aと競合することが出来る分子のスクリーニングに好適なあらゆるアッセイ条件が有用であり得ると考えられ、例えば、インビトロおよびインビボアッセイが挙げられる。さらに、多種多様な処理形式が本明細書に開示の方法と組みあわせて用いることが出来ると考えられ、かかる形式としては、これらに限定されないが、手動処理、部分自動化処理、半自動化処理、全自動化処理、ハイスループット処理、ハイコンテント処理などまたはその組合せが挙げられる。
上記のように、本明細書に開示されるBoNT/A 活性の検出に有用な方法および本明細書に開示されるBoNT/A 活性の検出に有用な方法を実施するのに有用な組成物はいずれも、FGFR3への選択的結合についてBoNT/Aと競合する分子のスクリーニングにおいて有用でありうる。したがって、この態様の側面において、FGFR3は以下由来の核酸分子によってコードされるものであってよい:哺乳類 FGFR3、例えば、ヒト FGFR3、ウシ FGFR3、ラット FGFR3またはマウス FGFR3;鳥類 FGFR3、例えば、ニワトリ FGFR3;両生類 FGFR3、例えば、イモリ FGFR3またはカエル FGFR3;および魚類 FGFR3、例えば、ゼブラフィッシュ FGFR3。この態様の別の側面において、FGFR3は以下であってよい:哺乳類 FGFR3、例えば、ヒト FGFR3、ウシ FGFR3、ラット FGFR3またはマウス FGFR3;鳥類 FGFR3、例えば、ニワトリ FGFR3;両生類 FGFR3、例えば、イモリ FGFR3またはカエル FGFR3;および魚類 FGFR3、例えば、ゼブラフィッシュ FGFR3。この態様の別の側面において、FGFR3との選択的結合についてBoNT/A と競合する分子のスクリーニングに有用なFGFR3 は、細胞に一過性に含まれるものでも安定に含まれるものでもよい。この態様の別の側面において、FGFR3との選択的結合についてBoNT/A と競合する分子のスクリーニングに有用な組成物は、FGFR3 および所望により G1b ポリシアロガングリオシド、例えば、GD1a、GD1b、GD3、GQ1b、またはGT1bを含む。
この態様の別の側面において、細胞には以下の細胞が含まれうる:例えば、神経細胞、例えばこれらに限定されないが、初代神経細胞; 不死化または樹立神経細胞; 形質転換神経細胞; 神経腫瘍細胞; 安定におよび一過性にトランスフェクトされた FGFR3を発現する神経細胞。そしてさらに限定的ではないが以下の細胞が含まれうる:哺乳類、マウス、ラット、霊長類およびヒト神経細胞。この態様のその他の側面には以下由来の細胞が含まれる:例えば、神経細胞株、これらに限定されないが例えば、神経芽腫細胞株、神経細胞ハイブリッド細胞株、脊髄細胞株、中枢神経系細胞株、大脳皮質細胞株、後根神経節細胞株、海馬細胞株およびクロム親和細胞種細胞株。神経細胞株の非限定的な例としては例えば以下が含まれる:神経芽腫細胞株 BE(2)-C、BE(2)-M17、C1300、CHP-212、CHP-126、IMR 32、KELLY、LA-N-2、MC-IXC、MHH-NB-11、N18Tg2、N1E-115、N4TG3、Neuro-2A、NB41A3、NS20Y、SH-SY5Y、SIMA、SK-N-DZ、SK-N-F1、SK-N-MC および SK-N-SH; 神経芽腫/神経膠腫ハイブリッド細胞株 N18、NG108-15およびNG115-401L; 神経芽腫/運動神経細胞ハイブリッド細胞株 NSC-19 およびNSC-32; 神経芽腫/根神経節神経細胞ハイブリッド細胞株 F11、ND-E、ND-U1、ND7/23、ND8/34およびND27; 神経芽腫/海馬神経細胞ハイブリッド細胞株 HN-33; 脊髄細胞株 TE 189.T および M4b; 大脳皮質細胞株 CNh、HCN-1aおよびHCN-2; 後根神経節細胞株 G4b; 海馬細胞株 HT-4、HT-22 およびHN33; FGFR3 発現細胞株 H929、JIM-3、KMS-11、KMS-18、LB278、LB375、LB1017、LB2100、LP-1、OPM-2、PCL1およびUTMC-2。この態様のさらなる側面において、FGFR3 発現細胞は以下であり得る:例えば、H929、JIM-3、KMS-11、KMS-18、LB278、LB375、LB1017、LB2100、LP-1、OPM-2、PCL1 UTMC-2、B9、TC、L6およびCFK2。この態様のその他の側面には、非-神経細胞などの細胞が含まれ、これらに限定されないが以下が含まれる:初代非-神経細胞; 不死化または樹立非-神経細胞; 形質転換非-神経細胞; 非-神経腫瘍細胞; 安定におよび一過性にトランスフェクトされた FGFR3を発現する非-神経細胞、さらにまたこれらに限定されないが、哺乳類、マウス、ラット、霊長類およびヒト非-神経細胞。この態様のその他の側面には本発明の側面に有用な非-神経細胞などの細胞が含まれ、例えば、限定的ではないが以下が含まれる:下垂体前葉細胞; 副腎細胞、膵臓細胞、卵巣細胞、腎臓細胞、胃細胞、血液細胞、上皮細胞、線維芽細胞、甲状腺細胞、軟骨細胞、筋肉細胞、肝細胞、腺細胞およびグルコーストランスポーター (GLUT4) 転位置に関与する細胞。
スクリーニング方法において試験される分子は、合成起源の「低分子(small)」有機化合物であってもよいし、高分子(合成または生物起源のいずれか)であってもよく、例えば、これらに限定されないが以下が含まれる:ポリペプチド、例えば、成長因子、神経毒、修飾神経毒、抗体または抗体誘導体;核酸、例えば、核酸アプタマー; および多糖、例えば、ガングリオシドまたはレクチン。一つの態様において、分子はFGFの三次構造および三次元コンホメーションに基づいて設計された合成分子であるか、またはFGFR3に対するBoNT/A結合を阻害する抗体である。かかるSAR (構造/活性相関) 分析は他の技術分野のなかでもとりわけ製薬分野においてルーチン的である。
多種多様なアッセイを用いて、分子がFGFR3に選択的に結合するか否かを判定することが出来、例えば、毒素取り込みについての直接的および間接的アッセイが含まれる。BoNT/A結合または取り込み特性を測定するアッセイを用いて、分子が選択的にFGFR3に結合するか否かを評価することが出来る。かかるアッセイとしては限定的ではないが、以下が挙げられる:標識BoNT/A、例えば、BoNT/A-SBED(例えば、本明細書の実施例II参照)および[125I] BoNT/A(例えば、Noriko Yokosawa et al.、Binding of Crostridium botulinum type C neurotoxin to different neuroblastoma cell lines、57(1) Infect. Immun. 272-277 (1989); Noriko Yokosawa et al.、Binding of botulinum type Cl、D and E Neurotoxins to neural cell lines and synaptosomes、29(2) Toxicon 261-264 (1991);および Tei-ichi Nishiki et al.、Identification of protein receptor for Crostridium botulinum type B neurotoxun in rat brain synaptosomes、269(14) J. Biol. Chem. 10498-10503 (1994)参照)を用いる架橋アッセイ。別の非限定的なアッセイには以下が含まれる:例えば、標識化または非標識化抗体を用いて毒素結合を検出する免疫細胞化学アッセイ(例えば、Atsushi Nishikawa et al.、The receptpr and transporter for internalization of Crostoridium botulinum type C progenitor toxin into HT-29 cells、319(2) Biochem. Biophys. Res. Commun. 327-333 (2004) 参照)および免疫沈降アッセイ(例えば、Yukako Fujinaga et al.、Molecular characterization of binding subcomponents of Crostoridium botulinum type C progenitor toxin for intestinal epidermal cells and erythrocytes、150(Pt 5) Microbiology 1529-1538 (2004) 参照)。これらアッセイに有用な抗体としては限定的ではないが、以下が挙げられる:BoNT/Aに対して選択された抗体、BoNT/A 受容体、例えば、FGFR3に対して選択された抗体、ガングリオシド、例えば、GD1a、GD1b、GD3、GQ1bまたはGT1bに対して選択された抗体、および、被験化合物、例えば、BoNT/A受容体に選択的に結合する分子に対して選択された抗体、ここで選択的結合はBoNT/A 活性を調節する。抗体が標識されている場合、分子の結合は以下を含む当業者に周知の技術を用いる様々な手段によって検出することができる:ウェスタンブロッティング、抗体の細胞内位置の直接顕微鏡観察、洗浄工程の後に細胞または基質に結合した抗体の測定または電気泳動。抗体が標識されていない場合、結合している分子の間接的検出のために標識化二次抗体を用いればよく、検出は標識化抗体と同様に行うことができる。BoNT/A 取り込み特性または特徴を判定するこれらおよび類似のアッセイは、神経細胞またはその他の本発明の側面に有用な細胞の選択において有用でありうることが理解される。
BoNT/Aに曝された後の分子の放出をモニターするアッセイも、分子がFGFR3に選択的に結合するか否かを評価するのに利用しうる。かかるアッセイにおいて、分子の放出の阻害がBoNT/A処理後にFGFR3を発現する細胞において起こるであろう。非限定的な例として、本明細書に開示されるインスリン放出阻害アッセイは、BoNT/Aに曝された後の分子の放出をモニターすることができ、それによって分子が選択的にFGFR3に結合するか否かの評価に有用である(実施例I参照)。別の非限定的なアッセイとしては以下が含まれる:神経細胞からの放射標識カテコールアミン放出、例えば、 [3H] ノルアドレナリンまたは[3H] ドーパミン放出の阻害を測定する方法(例えば、A Fassio et al.、Evidence for calcium-dependent vesicular transmitter release insensitive to tetanus toxin and Crostridium botulinum type F、90(3) Neuroscience 893-902 (1999); およびSara Stigliani et al.、The sensitivity of catecholamine release to botulinum toxin C1 and E suggests selective targeting of vesicles set into the readily releasable pool、85(2) J. Neurochem. 409-421 (2003)参照)、または蛍光定量的手法を用いるカテコールアミン放出の測定方法(例えば、Anton de Paiva et al.、A role for the interchain disulfide or its participating thiols in the internalization of botulinum neurotoxin A revealed by a toxin derivative that binds to ecto-acceptors and inhibits transmitter release intracellularly、268(28) J. Biol. Chem. 20838-20844 (1993); Gary W. Lawrence et al.、Different exocytotic responses of intact and permeabilised chromaffine cells after cleavage of the 25-kDa synaptosome-binding protein (SNAP-25) or synaptobrevin by Crostoridium botulinum A or B、236(3) Eur. J. Biochem. 877-886 (1996); および Patrick Foran et al.、Botulinum neurotoxin C1 cleaves both syntaxin and SNAP-25 in intact and permeablized chromaffine cells: correlation with its blockade of catecholamine release、35(8) Biochemistry 2630-2636 (1996) 参照); および、内分泌細胞、例えば、下垂体前葉細胞または卵巣細胞からのホルモン放出の阻害を測定する方法。分子放出に対するこれらおよび類似のアッセイが分子が選択的にFGFR3に結合するか否かの評価に有用でありうることが理解される。
非限定的な例として、インスリン放出阻害アッセイはインスリンを分泌することが出来るFGFR3を含む細胞において分子が選択的にFGFR3に結合するか否かを試験するのに利用することが出来る;ノルアドレナリン放出阻害アッセイの使用はノルアドレナリンを分泌することが出来るFGFR3を含む細胞において分子が選択的にFGFR3に結合するか否かを試験するのに利用することが出来る;およびエストロゲン放出阻害アッセイはエストロゲンを分泌することが出来るFGFR3を含む細胞において分子が選択的にFGFR3に結合するか否かをアッセイするのに利用することが出来る。
BoNT/Aに曝された後のBoNT/A 基質の切断を検出するアッセイもまた、分子が選択的にFGFR3に結合するか否かを評価するのに有用であり得る。かかるアッセイにおいて、BoNT/A 切断産物の生成はBoNT/A処理後のFGFR3を発現する細胞において検出されるであろう。非限定的な例として、本明細書に開示されるSNAP-25 切断アッセイはBoNT/Aに曝された後のBoNT/A 基質の切断を検出することが出来、それによって分子が選択的にBoNT/A 受容体に結合するか否かを評価するのに有用である(実施例I参照)。BoNT/Aに曝された後のBoNT/A 基質の切断の検出に有用な別の非限定的な方法は例えば以下に記載されている:Lance E. Steward et al.、FRET protease assays for Botulinum serotype A/E toxins、米国特許公開第2003/0143650号(Jul. 31、2003); および Ester Fernandez-Salas et al.、Cell-based Fluorescence Resonance Energy Transfer (FRET) assays for Clostoridium toxins、米国特許公開第2004/0072270号(Apr. 15、2004)。 BoNT/A 基質切断のこれらおよび類似のアッセイが、分子が選択的にFGFR3に結合するか否かの評価において有用であり得ることが理解される。
非限定的な例として、BoNT/A SNAP-25-切断産物を認識する抗体を用いるウェスタンブロット分析を、分子が選択的にFGFR3に結合するか否かのアッセイにおいて利用することができる。かかるアッセイに有用な抗-SNAP-25 抗体の例としては限定的ではないが、以下が挙げられる:ウサギポリクローナル 抗SNAP-25197抗血清 pAb 抗SNAP-25197#1 (Allergan、Inc.、Irvine、CA)、マウスモノクローナル抗-SNAP-25 抗体 SMI-81 (Sternberger Monoclonals、Lutherville、MD)、マウスモノクローナル 抗-SNAP-25 抗体 CI 71.1 (Synaptic Systems、Goettingen、Germany)、マウスモノクローナル 抗-SNAP-25 抗体 CI 71.2 (Synaptic Systems、Goettingen、Germany)、マウスモノクローナル 抗-SNAP-25 抗体 SP12 (Abcam、Cambridge、MA)、ウサギポリクローナル 抗-SNAP-25 抗血清 (Synaptic Systems、Goettingen、Germany)、およびウサギポリクローナル 抗-SNAP-25 抗血清 (Abcam、Cambridge、MA)。
FGFR3に対する選択的結合についての分子とBoNT/Aとの競合的結合を検出するアッセイも、分子が選択的にFGFR3に結合するか否かについての評価に有用であり得る。かかるアッセイにおいて、BoNT/A 活性の低下は、BoNT/Aに対する選択的結合についてBoNT/Aと競合する分子の量が増える場合に検出されるであろう。非限定的な例において、本明細書に開示されるFGF リガンドを用いる競合阻害アッセイはFGFR3に対する選択的結合についてBoNT/Aと分子との競合的結合を検出するのに有用であり得、それゆえ、分子が選択的にBoNT/A 受容体に結合するか否かの評価において有用である(実施例II参照)。したがってこの態様の一つの側面において、FGFR3に対する選択的結合についてBoNT/AとFGFR3結合分子を用いる競合的結合アッセイは、分子が選択的にFGFR3に結合するか否かの評価に有用であり得る。
本発明の別の側面は、細胞によるFGFR3の発現を誘導することを含む、BoNT/AによるSNARE タンパク質の切断を該細胞が受けやすくする方法を提供する。本発明の別の側面は、細胞によるFGFR3の発現を一過性に誘導することを含む、BoNT/AによるSNARE タンパク質の切断を該細胞が一過性に受けやすくする方法を提供する。本発明の別の側面は、細胞によるFGFR3の発現を安定に誘導することを含む、BoNT/AによるSNARE タンパク質の切断を該細胞が安定に受けやすくする方法を提供する。
本発明の別の側面は、以下を含む、BoNT/Aと同じFGFR3に選択的に結合することが出来る神経毒の販売方法を提供する:治療用神経毒のための販売認可を政府または地方の規制当局から得ること、および、該神経毒が選択的に該FGFR3に結合するか否かを検出すること、ここで、該神経毒は細胞への選択的結合について該神経毒をFGFR3を含む組成物と接触させることを含むアッセイに供される、ここで、該FGFR3への該神経毒の選択的結合は該神経毒がBoNT/A 中毒に感受性の細胞に選択的に結合することができることを示す、そして、該分子がBoNT/Aである場合は、該方法はLD50アッセイを含まない;該規制当局の要求にしたがって販売用に該神経毒を包装すること、および該神経毒を売ること。
本発明の別の側面は、以下を含む、BoNT/Aと同じFGFR3に選択的に結合することができる神経毒の販売方法を提供する:治療用神経毒についての販売認可を政府または地方の規制当局から得ること、および、対照細胞と比較しての接触した該細胞のBoNT/A 活性の存在を検出すること、ここで該神経毒は、該神経毒を外来性 FGFR3を含む細胞と接触させることを含む細胞に対する選択的結合についてのアッセイに供され、ここで接触した該細胞はBoNT/A中毒となり得る、ここで、該対照細胞と比較しての接触した該細胞の該BoNT/A 活性の相違はBoNT/A 活性を示す;該規制当局の要求にしたがって販売用に該神経毒を包装すること、および該神経毒を売ること。
別の態様において、本発明は、少なくともBONT/AのHC 領域を含むポリペプチドに関し、 該ポリペプチドはバルクまたは製剤化調製物から生産され、ここで該バルクまたは製剤化調製物は該ポリペプチドとFGFR3 受容体および所望によりGT1b ガングリオシドを含む組成物とを接触させること、および、該ポリペプチドが選択的にFGFR3に結合するかを検出することを含む方法を使用して神経細胞に対する特異的結合についてアッセイされる。
本発明の上記側面のと類似の別の態様において、ポリペプチドはBoNT/AのHCドメイン以外の少なくとも1つのFGFR3 結合ドメインを含む。かかる結合ドメインは、例えば、FGF、例えば、 FGF 1、FGF2、FGF4、FGF8またはFGF 9あるいは抗-FGFR3 抗体を含むものであり得る。さらに、 該ポリペプチドは、転位置ドメイン、例えば、BoNT/AのHNドメインを所望により含むものであってもよい。さらに、 該ポリペプチドは一般にクロストリジウム神経毒軽鎖またはその変異体(variation)を含み、該軽鎖の性質および/または起源は 該ポリペプチドの治療効果の程度および半減期における相違を提供しうる。
したがって、この態様において、請求されるポリペプチドはバルクまたは製剤化調製物から生産される(その生産は、精製、酵素処理、および/または酸化工程を含んでいてもよい)。一つの態様において調製物は、例えば、ボツリヌス菌のBoNT/A-生産株の発酵由来の、またはBoNT/Aの組換え体を生産する好適な哺乳類、昆虫または細菌宿主細胞由来の、細胞可溶化液であってよい。かかるバルク調製物は、無細胞転写法を用いて生産してもよい。別の態様において、調製物は、安定化タンパク質、例えば、血清アルブミンとともに製剤化された精製BoNT/Aであってもよい。何れの場合においても、調製物は標的細胞に結合しないように変性しているか、または誤ってフォールディングされたBoNT/A 分子を含みうる。調製物または調製物から精製された画分の作用強度および/または比活性は、本発明のアッセイ方法を用いて検出することができる。
あるいは、アッセイされるポリペプチドは完全なBoNT/A 分子の一部分のみを含むものであってもよい。例えば、バルク調製物はBoNT/Aの重鎖のみを含むものであってもよく、というのは、毒素の重鎖および軽鎖の別々の生産は研究者が偶発的に神経毒に曝露されることを避けるために好ましい方法であり得るからである。
上記態様の別の例として、ポリペプチドはBoNT/A重鎖のHC 領域(または何らかのその他のFGFR3-結合部分、例えば、FGF自体)を含むキメラ組換えポリペプチドであってもよい。キメラポリペプチドは野生型 BoNT/A分子に存在するものに加えて、またはそれとは異なる、アミノ酸配列領域を含む。例えば、ボツリヌスおよび破傷風毒素は輸送タンパク質の作成の基礎として使用しうる。例えば、James Oliver Dolly et al.、Modification of clostridial toxins for use as transport proteins、米国特許第 6203794号 (Mar. 20、2001) 参照。これら輸送タンパク質の軽鎖は一般に、治療的部分により置換されるか、または不活性化されてかかる治療的部分に結合される。さらに、キメラ神経毒は2以上の神経毒のドメインを含むポリペプチドを含むように作られうる。例えば、James Oliver Dolly et al.、Activatable recombinant neurotoxins、国際出願公表第WO 01/14570号(Mar. 1、2001) 参照。したがって、本発明のこの側面はまた、一態様として、BoNT/Aの少なくともHCドメインを含むキメラ神経毒も包含する。かかる分子は、分泌ベシクル放出の阻害の時間または程度の調節に有用であり得る。さらに、剤、例えば、治療剤を神経細胞膜の細胞外表面に標的化するのが望ましいであろう。したがってかかる剤はBoNT/AのHC 部分と(例えば、融合タンパク質として、または翻訳後接合を介して)結合させればよい。かかる場合において、細胞可溶化液または接合反応混合物は本発明のこの側面にしたがってバッチ調製物を含みうる。
上記ポリペプチドは、所望のスクリーニング方法の態様において実質的に上記のように結合および/またはインターナリゼーションについてスクリーニングされる。
さらに別の態様において、本発明は、以下を含む、FGFR3受容体に結合することができる領域を含むポリペプチドの販売方法に関する: 該ポリペプチドの販売のための認可を政府または地方の薬剤規制当局から得ること、ここで 該ポリペプチドは、 該ポリペプチドを含むバルク調製物とFGFR3受容体および所望により GT1b ガングリオシドを含む組成物と接触させることにより、神経細胞に対する 該ポリペプチドの選択的結合についてアッセイされたバルク調製物からまず生産される、および、かかる条件下で 該ポリペプチドが選択的にFGFR3に結合するか否かを検出すること、該規制当局の要求にしたがった方法での販売用に 該ポリペプチドを包装すること、および 該ポリペプチドの販売を申し出ること。
この態様において、本発明はBoNT/A 毒素のHC 領域を含むポリペプチドの販売方法に関する。本発明のこの態様において問題となるポリペプチドは上記のようなスクリーニング方法を用いて純度または活性についてアッセイされたバルク調製物から産生される。この方法の一工程において、認可はかかるポリペプチドの販売について規制機関から得られる。この文脈において、「認可」とは黙示であっても明示であってもよい;即ち、認可または承認は 該ポリペプチドを含む治療剤または組成物の販売についての規制当局から得られるものであり得、この場合、「認可」とはかかる治療剤または組成物の販売のための販売認可である。あるいは本明細書において用いる「認可」とは、この新規様式においてアッセイされたポリペプチドを含む製品の販売を継続することに対するかかる規制当局の、賛成により与えられるか、またはその反対が無いことにより明示される、同意も含み得る。前記のように、 該ポリペプチドは、BoNT/AまたはBoNT/A 重鎖のHC 領域を含むその誘導体または融合タンパク質または接合体を含みうる。
このようにアッセイされたバルク調製物に元々含まれるポリペプチドを含む治療用製品は、規制当局の要求にしたがってラベルを添付される。該製品は販売の申し出をされる。販売の申し出には、公告またはセールス活動、医師、病院、保険業者または患者に対する教育的セミナー、公式の談話、補助金償還に関する地域または政府当局者も含まれ得る(例えば、高齢者医療保険または医療費保険(Medicare or Medical))。
実施例 I
遺伝子補完手順(Genetic Complementation Procedure)を用いるBoNT/A 受容体の同定
1. BoNT/A 受容体についてのスクリーニングに有用な細胞の同定
1a.インスリン放出阻害アッセイを用いるBoNT/A 受容体欠損細胞の同定
HIT-T15 細胞がBoNT/Aに対する受容体を発現するか否かを判定するため、インスリン放出阻害アッセイを行った。グルコース刺激に応答して、ハムスター膵島細胞腺腫細胞株 HIT-T15はベシクルのドッキングおよび融合に対するSNAP-25の活性に依存するエキソサイトーシス過程においてインスリンを分泌する。HIT-T15 細胞がBoNT/A 受容体を欠損している場合、これら細胞はBoNT/Aに曝露された際にこの毒素を取り込むことができないであろうし、培地中の高レベルのグルコースの存在下でインスリン分泌が起こりうる。しかし、HIT-T15 細胞がBoNT/A 受容体を含んでいると、インスリン分泌はBoNT/A処理後に阻害されるであろう。というのはこの毒素は細胞を中毒にならしめ、SNAP-25を切断しうるからである。
インスリン放出阻害アッセイを行うために、好適な播種密度であるおよそ 1.5 x 105 細胞/mLのHIT-T15 細胞を、10% ウシ胎児血清 (FBS)、1x ペニシリン/ストレプトマイシン溶液 (Invitrogen、Inc、Carlsbad、CA)および4mM グルタミン (Invitrogen、Inc、Carlsbad、CA)を添加した3 mLの完全ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)を含む、6-ウェルのポリ-D-リジン/ラミニンに被覆された組織培養プレートの各ウェルに播種し、5% 二酸化炭素下で37℃インキュベーター中で細胞が約 5x 105 細胞/mlの密度に達するまで(6-16 時間)培養した。1群の HIT-T15 細胞を960 μF および0,28 kVに設定したGENE PULSERR(登録商標) II (Bio-Rad Laboratories、Hercules、CA)を用いたエレクトロポレーションを使用して毒素を導入することによりおよそ 1 nM のPURE-Aで処理した。非処理対照群はPURE-A無しのエレクトロポレーションに供した。処理群および非処理群のエレクトロポレーションされた細胞を含むウェルからの培地を、5.6 mM グルコース (低グルコース)または25 mM グルコース (高グルコース)のいずれかを添加した3 mLの新しい完全DMEMと交換し、これら細胞を5% 二酸化炭素下で37℃のインキュベーター中でおよそ 1 時間インキュベートしてインスリン分泌を誘導した。培養上清を15 mL チューブに移し、培養上清サンプルに存在するインスリン量をインスリン ELISA アッセイ (Peninsula Laboratories、Inc.、San Carlos、CA)を用いて測定した。エキソサイトーシスは1.5 x 105 細胞/時間について分泌されるインスリン量として表される。インスリン放出は、25 mM グルコースによって刺激したBoNT/A-非処理細胞において検出されたが、インスリン分泌はBoNT/A-処理細胞においては阻害された(図3a参照)。これらのデータは、HIT-T15 細胞におけるインスリン放出が部分的には、SNAP-25によって媒介されているが、これら細胞はBoNT/A 受容体を欠損していることを示す。
1b. SNAP-25 切断アッセイを用いるBoNT/A 受容体欠損細胞の同定
HIT-T15 細胞がBoNT/Aに対する受容体を発現するか否かを調べるために、SNAP-25 切断アッセイを行った。HIT-T15 細胞がBoNT/A 受容体を欠損している場合、ウェスタンブロット分析の後に非切断 SNAP-25 基質の存在のみが検出されるであろう。しかし、HIT-T15 細胞がBoNT/A 受容体を含んでいると、該毒素は細胞を中毒化し得(intoxicate)、切断されたBoNT/A SNAP-25197産物の存在が検出されるであろう。
SNAP-25 切断アッセイを行うために、ポリ-D-リジン/ラミニンで被覆された6-ウェルプレートで細胞を培養し、実施例 I、1aに記載のように、PURE-Aで処理した。細胞を15 ml チューブに回収し、1 mlのリン酸緩衝食塩水、pH 7.4で1回洗浄し、次いで1.5 ml 微小遠心管に移した。細胞を、50 mM N-(2-ヒドロキシエチル) ピペラジン-N'-(2-エタンスルホン酸) (HEPES)、pH 6.8、150 mM 塩化ナトリウム、1.5 mM 塩化マグネシウム、1mMエチレングリコールビス(β-アミノエチルエーテル) N、N、N'、N'-テトラ酢酸 (EGTA)、10% グリセロールおよび1% (v/v) Triton-X(登録商標) 100 (4-オクチルフェノールポリエトキシラート)を含む0.5 mlの溶解バッファー中で、1 時間4℃で回転させながら溶解した。溶解した細胞を5000 rpmで10分間4℃で遠心し、壊死組織片を除き、上清を新しいシリコン処理済チューブに移した。タンパク質濃度はブラッドフォード法により測定し、1mg/mL 以上の濃度で1 x SDS サンプルバッファー中に再懸濁した。
切断されたBoNT/A基質の存在を検出するために、サンプルを5分間煮沸し、40μlのアリコットをNuPAGE(登録商標)Novex 4-12% Bis-Tris プレキャストポリアクリルアミドゲル (Invitrogen、Inc、Carlsbad、CA)を用いた変性、還元条件下でのMOPS ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分離した。分離したペプチドをTrans-Blot(登録商標) SD 半乾燥電気泳動トランスファーセル装置 (Bio-Rad Laboratories、Hercules、CA)を用いたウェスタンブロッティングによりゲルからポリビニリデン フルオリド (PVDF) メンブレン(Invitrogen、Inc、Carlsbad、CA)にトランスファーした。PVDF メンブレンを室温で2 時間、25 mM Tris-緩衝食塩水 (25 mM 2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール塩酸(Tris-HCl)(pH 7.4)、137 mM 塩化ナトリウム、2.7 mM 塩化カリウム)、0.1% TWEEN-20(登録商標)ポリオキシエチレン (20) ソルビタンモノラウレート(laureate)、2% ウシ血清アルブミン、5% 脱脂粉乳を含む溶液中でインキュベートすることにより、ブロッキングした。ブロッキングしたメンブレンを1: 5,000 希釈のウサギポリクローナル 抗-SNAP25 抗血清 pAb 抗SNAP-25197#1、即ちSNAP-25197切断産物に特異的であり、全長SNAP-25206には交差反応しないポリクローナル抗体(Allergan,Inc.,Zymed Laboratories Inc.,South San Francisco、CAとのコンタクトの下に作成)を含むTris-緩衝食塩水TWEEN-20(登録商標) (25 mM Tris-緩衝食塩水、0.1% TWEEN-20(登録商標)ポリオキシエチレン (20) ソルビタンモノラウレート)中で一晩4℃でインキュベートした。一次抗体でプローブされたブロットをTris-緩衝食塩水TWEEN- 20(登録商標)で3回、各15 分間洗浄した。洗浄したメンブレンを室温で2 時間、二次抗体としてセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP;Pierce Biotechnology, Inc., Rockford, IL)に結合した1: 20,000 希釈の ヤギポリクローナル 抗-ウサギイムノグロブリン G、重鎖および軽鎖 (IgG、H+L) 抗体を含むTris-緩衝食塩水 TWEEN- 20(登録商標)中でインキュベートした。二次抗体でプローブされたブロットを3回、各15 分間Tris-緩衝食塩水TWEEN- 20(登録商標)で洗浄した。標識BoNT/A SNAP-25197切断産物のシグナル検出はECL plusTMウェスタンブロット検出システム(Amersham Biosciences、Piscataway、NJ)を用いて可視化し、メンブレンを画像化し、切断産物をTyphoon 9410 Variable Mode Imager and Imager Analysis software (Amersham Biosciences、Piscataway、NJ)で定量した。画素サイズの選択(100〜200 ピクセル)およびPMT 電圧設定(350〜600、通常は400)は個々のブロットに依存させた。BoNT/A SNAP-25197切断産物は BoNT/A で処理したHIT- T15 細胞において検出されたが、非処理細胞では検出されず、HIT-T15細胞がSNAP-25を発現するが、BoNT/A 受容体は発現しないことが示された(図3b参照)。
1c.HIT-T15成長に対するBoNT/A曝露の評価
細胞中の毒素の存在が細胞成長に影響するかを評価するため、HIT-T15細胞を実施例I、 laに記載のようにエレクトロポーレーションに供し、10 日間モニターした。図4aは、毒素の存在が対照と比較して成長を遅延させるが、毒素-処理細胞は回復期間の後正常に複製することができたことを示す。3、5、7および10日目の細胞アリコットを実施例I、lbに記載のように SNAP-25 切断アッセイを用いてBoNT/A SNAP-25197切断産物の存在について試験した。図4bはSNAP-25の切断が、PURE-Aが細胞に導入されている場合はアッセイしたいずれの時期においてもウェスタンブロット分析により検出されたことを示す。
2. 遺伝的相補性を用いたBoNT/A 受容体の同定
BoNT/A 受容体を同定するために、BoNT/A 受容体をコードする核酸分子を遺伝的相補性によってクローニングした。この手順にはレトロウイルス形質導入により通常は受容体 を含まない細胞株にBoNT/A 受容体をコードする核酸分子を導入することが含まれる。例えば、Mitchell H. Finer et al., Methods for Production of High Titer Virus and High Efficiency Retroviral Mediated Transduction of Mammalian Cells、米国特許第5858740号(Jul. 12,1999)参照。
2a. pLIB 発現コンストラクトを含むレトロウイルスストックの生産
ヒト脳核酸分子をコードする発現コンストラクトを含むレトロウイルスストックを作るために、約5x105の HEK 293に基づく細胞(AmphoPackTM 293 cells; BD Biosciences Clontech、Palo Alto、CA) を10% 胎児ウシ血清 (FBS)、lx ペニシリン/ストレプトマイシン溶液 (Invitrogen、Inc、Carlsbad、CA)および4mM グルタミン (Invitrogen、Inc、Carlsbad、CA)を添加した5 mL の完全ダルベッコ変法イーグル培地 (DMEM)を含む60 mm 組織培養ディッシュに播種し、細胞が60-80% 集密または約 1〜2x106細胞/ml密度に達するまで5% 二酸化炭素下で37℃インキュベーターで培養した(12-24 時間)。トランスフェクションした日において、完全添加DMEM 培地を 3 mLのOPTI-MEM 低血清培地に交換した。500μlのトランスフェクション溶液を、室温で5分間インキュベートした、15 μLのLipofectAmine 2000 (Invitrogen、Carlsbad、CA) を含む250μlのOPTI-MEM 低血清培地の、5μgのヒト脳細胞由来の核酸分子を含むpLIB レトロウイルス 発現コンストラクト (BD Biosciences Clontech、Palo Alto、CA)を含む250μlのOPTI-MEM 低血清培地への添加により調製した。このトランスフェクションを室温でおよそ20 分間インキュベートした。500μLのトランスフェクション溶液をAmphoPackTM293 細胞に添加し、細胞を5% 二酸化炭素下でおよそ 8-10 時間37℃インキュベーターでインキュベートした。トランスフェクション培地を3mLの新しい 完全添加DMEMに交換し、細胞を37℃インキュベーターで5% 二酸化炭素下でおよそ 48-72 時間インキュベートした。レトロウイルス-含有細胞を培地を用い培養プレートから細胞を剥がすことにより細胞を剥離することにより回収した。剥離した細胞および培地を15 mL チューブに移し遠心し(5000x g、20℃、15 分間)、細胞壊死組織片をペレットにした。清澄となったレトロウイルス粒子を含む上清を1 mL アリコットにおいて2 mLのクリオバイアル(cryovial)に移し、およそ5x104〜106 tu/mLのレトロウイルス粒子を含むようにした。アリコットは使用時まで-80℃で保存できる。
2b. pLIB 発現コンストラクトを含むレトロウイルスストックによる細胞への形質導入
ヒト脳核酸分子をコードする発現コンストラクトを含むレトロウイルスストックにて細胞を形質導入するために、約1.5x105のHIT-T15細胞を、10% 胎児ウシ血清 (FBS)、1xペニシリン/ストレプトマイシン溶液 (Invitrogen、Inc、Carlsbad、CA)および4mM グルタミン (Invitrogen、Inc、Carlsbad、CA)を添加した5mLの完全ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)を含む60 mm 組織培養ディッシュに播種し、37℃インキュベーターで5%二酸化炭素下で細胞が60%〜80% 集密、または約5x 105細胞/mLの密度に達するまで培養した(6-16 時間)。細胞に、ヒト脳細胞由来の核酸分子を含むレトロウイルスストックを(実施例I、2a参照)、好適な感染効率にて接種した。およそ 4-8μg/mL のポリブレンを添加し、細胞を37℃インキュベーターで5%二酸化炭素下でおよそ 16-24 時間インキュベートした。形質導入培地を5mLの新しい完全添加DMEMに交換し、細胞を37℃インキュベーターで5%二酸化炭素下でおよそ4日間インキュベートした。形質導入された細胞を用いて次にBoNT/A 受容体の同定のためのスクリーニングアッセイを行った。この実施例に記載の手順についてのさらなる詳細については、Retroviral Gene Transfer and Expresion User Manual PT3132-1 (PR43789)、BD Biosciences Clontech、Palo Alto、CA、(Mar. 3,2004)を参照。
2c.レトロウイルスcDNAライブラリーを発現するHIT-T15 細胞のスクリーニング
BoNT/A 受容体を発現する細胞をスクリーニングするために、実施例 I、2bに記載のように形質導入されたHIT-T15細胞を、Pure Aで被覆されたDynexビーズに結合するその能力に基づいてスクリーニングした (ref)。およそ 7.5 mgのBONT/A軽鎖に対する抗体で被覆されたDynabeads(登録商標)磁気ビーズ (Dynal Biotechnology、LLC、Brown Deer、WI) を培地に30 分間4℃で添加し、BoNT/A 軽鎖に結合した細胞を磁石に曝した後の細胞凝集塊として単離した。これら単離細胞をPBSで1回洗浄し、新しい5mLの完全DMEMを含む60 mm 組織培養ディッシュに移した。これら細胞を7.5 mgのPURE-Aで被覆したDynabeads(登録商標)磁気ビーズで30 分間4℃で再スクリーニングし、PURE-A に結合した細胞を磁石に曝した後の細胞凝集塊として単離した(図5参照)。これらの再単離細胞コロニーを0.25mLの完全DMEMを含む96-ウェルプレートに移し、細胞を37℃インキュベーターで5%二酸化炭素下で集密となるまで培養した。
BoNT/A 受容体の存在を試験するために、実施例I、la に記載のようにして96-ウェルプレートに含まれる個々の細胞をインスリン放出阻害アッセイを用いてアッセイした。候補 BoNT/A 受容体を含む細胞株をインスリン放出阻害の検出に基づいて選択した。図6は、候補細胞株としての形質導入したHIT-T15 細胞株 C6およびC7がBoNT/A 受容体を発現することを示す。これら結果を確認するために、実施例I,2aに記載のようにクローンC6およびC7の培養物を増殖させ、インスリン放出阻害アッセイおよびSNAP-25 切断アッセイを用いて、実施例 I、lbに記載のように試験した。結果は、インスリン放出阻害(図7a参照)およびBoNT/A SNAP25197切断産物の存在 (図7b参照)に基づいてこれら細胞株においてBoNT/A 受容体が存在していることを示した。
2d. BoNT/A 受容体のクローニング
BoNT/A 受容体をコードする核酸分子を単離するために、DNAを実施例I、2cに記載のように同定したBoNT/A 受容体を含有するHIT-T15 細胞分離株から精製し、BoNT/A 受容体をコードする核酸分子をポリメラーゼ連鎖反応 (PCR) 法を用いてクローニングした。C7 細胞株からのゲノムDNAをアルカリ法によって単離し、ADVANTAGE(登録商標) Genomic PCR kit (BD Biosciences Clontech、Palo Alto、CA) および以下の2つのオリゴヌクレオチド
Figure 2007526770
(配列番号29)および
Figure 2007526770
(配列番号30)を用いたPCR 反応で増幅した。 反応は1 分間95℃でインキュベートし、次いで68℃30 秒、95℃30秒を25 サイクル行い、次いで68℃6 分間を1 サイクル、そして最後のインキュベーションを4℃で行った。結果として得られた PCR産物をQIAquick Gel Extraction Kit (QIAGEN、Inc.、Valencia、CA)によってPCR 反応物から精製し、第二のPCR 増幅に供した。第二のPCRに用いたオリゴヌクレオチドは、元の精製したPCR産物内にみられる配列にアニーリングするよう設計されたネステッドプライマーであり、以下のヌクレオチド配列を有する:
Figure 2007526770
(配列番号: 31)および
Figure 2007526770
(配列番号: 32)。結果として得られた ネステッド DNA産物をpTOPO(登録商標)-XLベクターにTOPO(登録商標) TA クローニング方法 (Invitrogen、Inc、Carlsbad、CA)を用いてサブクローニングした。ライゲーション混合物を熱ショック法を用いて化学的コンピテント大腸菌TOP10細胞 (Invitrogen、Inc、Carlsbad、CA)に形質転換し、100μg/mlのアンピシリンを含む1.5% LB(Luria-Bertani)寒天プレート(pH 7.0)に播種し、37℃インキュベーターに一晩おいて培養した。アンピシリン-耐性コロニーをアルカリ法・プラスミドミニ-プレパレーション手順を用いて分析し、候補受容体コンストラクトを制限エンドヌクレアーゼマッピングによりスクリーニングし、正しいインサート断片の存在および方向を判定した。所望の発現コンストラクトを含む培養物を200mLの100μg/mlのアンピシリンを含むLB(Luria-Bertani)培地を含む1 L バッフル付き(baffled)フラスコに接種し、37℃インキュベーターに入れ、250 rpmで振盪しながら、一晩培養した。発現コンストラクトに対応する精製プラスミド DNAをQIAGEN Maxi-prep method(QIAGEN, Inc.,Valencia, CA)を用いて単離し、 正しい発現コンストラクトが作られているかを確認するために配列決定した(Sequentech Corp. Mountain View、CAとの請負契約)。このクローニング戦略により、HIT-T15 C7 単離株に含まれるBoNT/A 受容体の配列組成を同定した。
実施例 II:架橋手順を用いるBoNT/A 受容体の同定
1. BoNT/Aを高アフィニティーで取り込む細胞株の同定
BoNT 血清型のそれぞれに対して感受性が異なることが、それぞれ異なる毒素血清型に対して個々の受容体系が存在すること、および異なる細胞株においてそれらの発現が異なることに基づいて予測されうる。細胞におけるBoNTに対する高アフィニティー受容体系の存在は、以下の2つの特徴により明らかとなる: 細胞による神経毒の迅速な取り込みおよび細胞中毒化に必要とされる低神経毒濃度。BoNT/Aに対する高アフィニティー受容体系を有する細胞株を同定するために、本発明者らは2種類のインビトロ切断アッセイの1つを用いて細胞株を試験した。一方は、中毒に必要とされる毒素の量の測定であり、他方は神経毒取り込みについて細胞が必要とする時間の測定である。
1a. 細胞中毒化に必要とされるBoNT/A濃度を測定するアッセイ
細胞を中毒化するのに必要なBoNT/Aの量を評価するために、神経細胞起源の哺乳類細胞株のパネル (表3参照)をスクリーニングして、毒素への曝露の結果として内在性に発現したSNAP-25の切断が起こるかどうかを判定した。各株からの好適な播種密度の細胞を、6-ウェルのポリ-D-リジン/ラミニン被覆組織培養プレートの、3 mLの好適な培地を含む個々のウェルに播種し (表3参照)、37℃インキュベーターで5%二酸化炭素下でおよそ24 時間培養した。BoNT/A(Metabiologic, Inc., Madison, WI)を様々な濃度(0nM、1nM、5 nM、12.5 nM、25 nM、50nM)で細胞を含む培地におよそ8時間またはおよそ16 時間添加した。細胞を15 ml チューブに回収し、1 mlのリン酸緩衝食塩水、pH 7.4で1回洗浄し、1.5 ml 微小遠心管に移した。細胞を0.5 mlの、50 mM N- (2-ヒドロキシエチル) ピペラジン-N'- (2-エタンスルホン酸)(HEPES) pH 6.8、150 mM 塩化ナトリウム、1.5 mM 塩化マグネシウム、エチレングリコールビス(□-アミノエチルエーテル) N、N、N'、N'-テトラ酢酸 (EGTA)、10% グリセロール および1% (v/v)Triton-X(登録商標)100 (4−オクチルフェノールポリエトキシラート)を含む溶解バッファー中で1 時間4℃で回転させながら溶解した。溶解した細胞を5000 rpmで10分間、4℃で遠心し、壊死組織片を除き、上清を新しいシリコン処理済チューブに移した。タンパク質濃度をブラッドフォード法により測定し、lmg/ml 以上の濃度にて1 x SDS サンプルバッファーに再懸濁した。
BoNT/A SNAP25197-切断産物の存在を実施例I、lbに記載のようにウェスタンブロット分析で判定した。BoNT/A SNAP25197-切断産物は、少なくとも5 nMのBoNT/Aとともに少なくとも8 時間インキュベーションした後に、細胞株 SH-SY5Y、NG108-15、NIE-115、Neuro-2AおよびSK-N-BE (2)において検出され、これによって、BoNT/Aがこれら細胞株を中毒化する能力が示された(図8a参照)。
マウス神経芽腫細胞株 Neuro-2Aをさらに低濃度の BoNT/Aにより分析して、内在性に発現したSNAP-25の切断に必要な神経毒の濃度を判定した。細胞を実施例 II、laに記載のようにポリ-D-リジン/ラミニン被覆6-ウェルプレート中で培養した。様々な濃度(0 nM、0.05 nM、0.1 nM、0.2 nM、0.5 nM、1nM、5 nMおよび20 nM)のBoNT/A(Metabiologic, Inc., Madison, WI)を細胞を含む培地におよそ8時間またはおよそ16 時間添加した。毒素処理した細胞を回収し、実施例II、laに記載のように溶解した。BoNT/A SNAP25197- 切断産物の存在を実施例 II、laに記載のようにウェスタンブロット分析にて判定した。BoNT/A SNAP25197- 切断産物は少なくとも 0.5 nM BoNT/A との少なくとも8 時間のインキュベーション後に細胞株 Neuro-2Aにおいて検出され、それによりBoNT/Aがこれら細胞株を中毒化する能力が示された (図8c参照)。
1b. BoNT/Aの取り込みのために細胞に要求される時間を測定するアッセイ
BoNT/Aの取り込みに細胞株によって必要とされる時間を評価するために、神経細胞起源の哺乳類細胞株のパネルをスクリーニングして、内在性に発現したSNAP-25を切断するのに必要な毒素曝露時間を判定した。各株からの細胞を実施例 II、la に記載のようにポリ-D-リジン/ラミニン被覆6-ウェルプレートで培養した。およそ 1 nMのBoNT/A(Metabiologic, Inc., Madison, WI)を培地に、10分間、20分間、30分間、60分間、2 時間、4 時間、6 時間、8 時間または16 時間添加した。毒素処理した細胞を回収し、実施例II、laに記載のように溶解した。BoNT/A SNAP25197- 切断産物の存在を実施例 II、laに記載のようにウェスタンブロット分析により測定した。BoNT/A SNAP25197- 切断産物は1 nM BoNT/A との少なくとも8 時間のインキュベーションの後に細胞株 Neuro-2A、SH-SY5Y、およびNG108-15において検出され、それにより、これら細胞株がBoNT/Aを迅速に取り込む能力が示された (図8b参照)。
Figure 2007526770

Figure 2007526770
1c.細胞によるBoNT/Aの高アフィニティー取り込みを促進するガングリオシド処理
BoNT/Aが細胞を中毒化する能力に対するガングリオシド処理の効果を評価するために、Neuro-2A 細胞株を様々なガングリオシドで前処理し、これら糖部分がこれら細胞によるBoNT/Aの取り込みを促進しうるかを判定した。Neuro-2A 細胞を3 mLの好適な培地 (表 3参照)を含む6-ウェル、ポリ-D-リジン/ラミニン被覆組織培養プレートの個々のウェルに好適な密度で播種し、37℃インキュベーターで5%二酸化炭素下で培養した。およそ 24 時間後、培地を無血清培地に交換し、25μg/mLの以下のガングリオシドのいずれか1つを個々のウェルに添加した:GD1a、GDlb、GD3、GQlb、またはGT1b(AXXORA, LLC、San Diego、CA)。一晩37℃のインキュベーション時間後、ガングリオシド-処理細胞を1 mlのリン酸緩衝食塩水、pH 7.4で3回洗浄し、様々な濃度(0 nM、12.5 nM、25 nM、50nM)のBoNT/A (Metabiologics, Inc., Madison,WI)を含む1% 血清培地とともに37℃でおよそ8または16時間インキュベートした。細胞を15ml チューブに回収し、1 mlのリン酸緩衝食塩水、pH 7.4で1回洗浄し、1.5 ml 微小遠心管に移した。細胞を50 mM N- (2- ヒドロキシエチル)ピペラジン-N'-(2-エタンスルホン酸) (HEPES)、pH 6.8、150 mM 塩化ナトリウム、1.5 mM 塩化マグネシウム、1mMエチレングリコールビス(-アミノエチルエーテル)N,N,N',N'-テトラ酢酸 (EGTA)、10% グリセロールおよび1% (v/v) Triton-X(登録商標)100(4-オクチルフェノールポリエトキシラート)を含む0.5 mlの溶解バッファーで1 時間回転させながら4℃で溶解した。溶解した細胞を5000 rpm、4℃で10分間遠心し、壊死組織片を除き上清を新しいシリコン処理済チューブに移した。タンパク質濃度はブラッドフォード法で測定し、lmg/ml 以上の濃度にて1 x SDS サンプルバッファーに再懸濁した。 BoNT/A SNAP25197- 切断産物の存在を実施例II、laに記載のようにウェスタンブロット分析で判定した。BoNT/A SNAP25197切断産物の増加がガングリオシド GTlbで処理されたNeuro-2A 細胞株で検出され、それによりGTlb-処理が、Neuro-2A 細胞によるBoNT/A取り込みを促進しうることが示された (図9a参照)。
1d. 細胞によるBoNT/Eの高アフィニティー取り込みを促進するガングリオシド処理
BoNT/Eが細胞を中毒化する能力に対するガングリオシド処理の効果を評価するために、Neuro-2A 細胞株を様々なガングリオシドで前処理し、これら糖部分がこれら細胞によるBoNT/Eの取り込みを促進しうるかを調べた。 Neuro-2A 細胞は、実施例II 、lcに記載のようにガングリオシドで処理したポリ-D-リジン/ラミニン被覆6-ウェルプレートで培養した。ガングリオシド-処理細胞を様々な濃度(0nM、12.5nM、25nM、50nM)のBoNT/E(Metabiologics, Inc., Madison,WI)とともに1% 血清培地でおよそ 6またはおよそ16 時間インキュベートした。毒素処理した細胞を回収し実施例 II、lcに記載のように溶解した。BoNT/E SNAP25180切断産物の存在を実施例I、lbに記載のようにウェスタンブロット分析で判定し、ただし、ブロッキングされたPVDF メンブレンを、ウサギポリクローナル抗血清 pAb 抗SNAP-25197#1ではなく、1: 50,000 希釈のマウスモノクローナル 抗-SNAP-25 抗体 (SMI-81; Sternberger Monoclonals、Lutherville、MD) を含む一次抗体溶液および、ヤギポリクローナル 抗-ウサギ IgG-HRP 抗体ではなく、1: 20,000 希釈のセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP; Pierce Biotechnology、Inc.、Rockford、IL)に結合したヤギポリクローナル抗-マウスイムノグロブリンG、重鎖および軽鎖 (IgG、H+L) 抗体を含む二次抗体溶液中でインキュベートしてBoNT/E SNAP25180切断産物を検出した。BoNT/E SNAP25180切断産物の増加がガングリオシド、 GD3、GDlbおよびGDlaで処理されたNeuro-2A 細胞株において検出され、それによって、GD3-処理、GDlb-処理またはGDla-処理によりNeuro-2A 細胞によるBoNT/Eの取り込みが促進されうることが示された(図9b参照)。
2. Neuro-2A 細胞からのBoNT/A 受容体の単離
Neuro-2A 細胞をBoNT/Aを用いたリガンド架橋実験の実施に選択した。というのはこれら細胞は、迅速な毒素取り込みプロファイル (約 10 分間)およびBoNT/Aに対する高アフィニティーを有するためである。三官能性スルホ-SBED(Pierece Biotechnologiy, Inc., Rockford, IL)を用いた。試薬 スルホ-SBEDは3つの官能基 (その1つはUVで活性化されるように設計されている)を含み、標的タンパク質をビオチン化するように設計されている。
架橋剤をBoNT/Aに接合させるために、およそ 100μgのPure Aを10,000 x g で10 分間、4℃で遠心し、毒素をペレットとし、最終容積900 μLのリン酸緩衝食塩水 (pH 7.4)に入れた。溶液を暗所に移し、900 μLの0.25 mM SBED、1% DMSO 溶液を添加し、振盪装置上の第二の容器(secondary container)中で2時間4℃でインキュベートした。反応を50μLの1M TRIS (pH 7.4)の添加により停止した。溶液を6回反転させ、氷上で30 分間インキュベートした。結果として得られた PURE-A-SBED 溶液をBoNT/A 受容体を同定するための架橋実験の実施に用いた。
PURE-AをNeuro-2A 細胞に存在するBoNT/A 受容体に架橋するするために、約1.5x105の Neuro-2A 細胞を10% FBS、2 mM グルタミン (Invitrogen、Inc、Carlsbad、CA)、1mM ピルビン酸ナトリウム (Invitrogen、Inc、Carlsbad、CA)、1.5 g/L 重炭酸ナトリウムおよびlx MEM 非必須アミノ酸溶液 (Invitrogen、Inc、Carlsbad、CA)を添加した3 mLの完全EMEMを含む35 mm 組織培養ディッシュに播種し、37℃インキュベーターで5%二酸化炭素下で細胞が約5x105細胞/mlの密度に達するまで培養した。Neuro-2A 細胞を、トリプシン処理による細胞の剥離により回収し、細胞を15 ml チューブに移し、細胞を5,000 x g 、4℃、10分間遠心分離した。細胞ペレットを9 mLのTris-緩衝食塩水で3回洗浄し、次いで4 x108細胞のアリコットに分配した。各アリコットの細胞を12 mL 冷却 Tris-緩衝食塩水 に最終密度2 x107細胞/mLとなるように懸濁し、氷上で15 分間放置した。細胞懸濁液の1つのアリコットに、1mL のPURE-A- SBEDを添加し、終濃度およそ 100 ug PURE A (33nM)とした。第二の細胞 アリコットに、スルホ-SBEDのみを添加し、偽陽性のための対照とした。両方のNeuro-2 細胞懸濁液を振盪装置を用いて第二の容器において2時間4℃でインキュベートし、次いで各細胞溶液を1.0 mLの13のアリコットに分配した。これらアリコットを15 分間4℃で紫外線照射 (365 nm)に曝した。
細胞を5,000 x g、4℃で15 分間遠心分離し、1 mL冷Tris-緩衝食塩水で1回洗浄した。洗浄した細胞を50 mM N- (2-ヒドロキシエチル) ピペラジン-N'- (2-エタンスルホン酸) (HEPES)、pH 6.8、150 mM 塩化ナトリウム、1.5 mM 塩化マグネシウム、1mMエチレングリコールビス(アミノエチルエーテル) N、N、N'、N'-テトラ酢酸 (EGTA)、10% グリセロール、1% (v/v)TritonX(登録商標) 100 (4-オクチルフェノールポリエトキシラート)を含む0.5 mlの溶解バッファーと好適なプロテアーゼ阻害剤により、4℃で一晩回転させながら溶解した。溶解した細胞を 5,000 rpmで4℃で10分間遠心し、壊死組織片を除去し、上清を新しいシリコン処理済チューブに移し、0.05mLのアビジンビーズを清澄な上清に添加した。この混合物を4℃で3 時間インキュベートした。アビジンビーズを1000 x g、4℃、10分間での2回の遠心分離により洗浄してビーズをペレットにし、上清をデカントし、0.5mLの溶解バッファーを添加し、溶液 を4℃で10 分間インキュベートした。アビジンビーズを0.5mLのリン酸緩衝食塩水 (pH 7.4)で2回洗浄した。およそ 100μLのSDS-PAGE ローディングバッファーを洗浄したペレットとしたアビジンビーズに添加し、10 分間煮沸した。40μLのアリコットをNuPAGE(登録商標)Novex 4-12% Bis-Tris プレキャスト ポリアクリルアミドゲル(Invitrogen、Inc、Carlsbad、CA)を用いた非変性および変性、還元条件下でのMOPS ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供した。図10aは非変性ゲルにおけるおよそ 250 kDa タンパク質を示し、これは推定 BoNT/A 受容体に結合したインタクトな架橋試薬 PURE-A- SBED 毒素を示す。同じサンプルを変性条件で泳動すると、およそ 100 kDa タンパク質がPURE-A-SBEDと共精製されることが示された。
架橋実験から単離されたBoNT/A 受容体の実体を判定するために、ポリペプチドFGF 1 受容体 (FGFR1)、FGF 2 受容体 (FGFR2)、FGF 3 受容体 (FGFR3)およびFGF 4 受容体 (FGFR4)の細胞質領域に対する抗体を用いたウェスタンブロット分析を行った。実施例II、 2に記載のようにして得た沈降した受容体-PureA 複合体のおよそ 40μLのアリコットをNuPAGE(登録商標)Novex 4-12% Bis-Tris プレキャスト ポリアクリルアミドゲル(Invitrogen、Inc、Carlsbad、CA) を用いた非-還元および変性、還元条件でのMOPS ポリアクリルアミドゲル 電気泳動で分離した。分離したペプチドをゲルからポリビニリデンフルオリド (PVDF) メンブレン (Invitrogen、Inc、Carlsbad、CA)にTrans-Blot(登録商標) SD 半乾燥電気泳動トランスファーセル装置 (Bio-Rad Laboratories、Hercules、CA)を用いたウェスタンブロッティングによりトランスファーした。PVDF メンブレンを、25 mM Tris-緩衝食塩水 (25 mM 2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール塩酸 (pH 7.4)、137 mM 塩化ナトリウム、2.7 mM 塩化カリウム)、0.1% TWEEN-20(登録商標)ポリオキシエチレン (20) ソルビタンモノラウレート、2% ウシ血清アルブミン、5% 脱脂粉乳を含む溶液中で室温で2 時間インキュベートすることによりブロッキングした。ブロッキングしたメンブレンを以下の一次抗体溶液のいずれかを含むTris-緩衝食塩水 TWEEN-20(登録商標)(25 mM Tris-緩衝食塩水、0.1% TWEEN-20(登録商標)ポリオキシエチレン (20) ソルビタンモノラウレート)中で4℃で一晩インキュベートした: 1) 1: 1000希釈のウサギポリクローナル抗-FGFR1抗血清(Santa Cruz、Biotechnologies, Inc., Santa Cruz CA); 2) 1: 1000 希釈のヤギポリクローナル抗-FGFR2 抗血清 (Santa Cruz、Biotechnologies, Inc., Santa Cruz CA);3)1:1000希釈のウサギポリクローナル抗-FGFR3(C15)抗血清(Santa Cruz、Biotechnologies, Inc., Santa Cruz CA);または、4)1:1000希釈のヤギポリクローナル抗-FGFR4抗血清(Santa Cruz、Biotechnologies, Inc., Santa Cruz CA)。一次抗体でプローブされたブロットをTris- 緩衝食塩水Tween-20(登録商標)で各回15 分間3回洗浄した。洗浄したメンブレンを室温で2 時間以下のいずれかを含むTris-緩衝食塩水TWEEN-20(登録商標)中でインキュベートした:FGFR1およびFGFR3 ブロットに対する二次抗体としてセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP:Pierce Biotechnolohy, Inc., Rockford,IL)と結合した1: 20,000 希釈のヤギポリクローナル抗-ウサギイムノグロブリンG、重鎖および軽鎖(IgG、H+L) 抗体、または、FGFR2およびFGFR4 ブロットに対する、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP:Pierce Biotechnolohy, Inc., Rockford,IL)と結合した1: 20,000 希釈の ウサギポリクローナル抗-ヤギイムノグロブリンG、重鎖および軽鎖(IgG、H+L) 抗体。二次抗体でプローブされたブロットをTris-緩衝食塩水Tween-20(登録商標)中で各回15 分間3回洗浄した。標識BoNT/A SNAP-25197 切断産物のシグナル検出は、ECL Plus Western Blot Detection System (Amersham Biosciences、Piscataway、NJ) を用いて可視化し、メンブレンを画像化し、切断産物をTyphoon 9410 Variable Mode Imager および Imager Analysis software (Amersham Biosciences、Piscataway、NJ)により定量した。画素サイズ (100〜200 ピクセル)およびPMT電圧設定(350〜600、通常400)の選択は個々のブロットに依存した。抗-FGFR3 抗血清でプローブされた毒素-受容体サンプルにおいて検出されたバンドはおよそ 97 kDaであり、これはFGFR3のサイズと一致し、FGFR3がBoNT/A 受容体であることが示された(図10b参照)。
3.様々な細胞からのBoNT/A 受容体の同定
BoNT/A 取り込みに応答性のいくつかの細胞株をFGFR1、FGFR2、FGFR3およびFGFR4に対する抗体でプローブし、これら細胞株がどのFGFRを発現しているのかを判定した。さらに、BoNT/A非応答性のHIT-T15 野生型細胞株からの細胞およびBoNT/A応答性のHIT-T15 単離株C7 細胞株を実施例I、2cおよび2dに記載のように調べた。
BoNT/A 曝露に応答性の細胞株におけるFGFRの存在を調べるために、実施例II、 la、lbまたは2cに記載のように、細胞を培養し、回収および溶解し、40μlのアリコットを実施例II、2に記載のようにウェスタンブロット分析に供した。これらの結果は、BoNT/A 応答性細胞株 Neuro-2A、SH-SY5YおよびHIT-T15-C7はすべてFGFR3を発現するが、BoNT/A 非応答性野生型 HIT-T15は発現しないことを示した(図11参照)。またデータは、FGFR2およびFGFR4はいずれの試験した細胞株においても検出されないのに対し、FGFR1は、BoNT/A 曝露に非応答性の野生型 HIT-T15 細胞を含む試験した全ての細胞株において検出されたということを明らかにした(図11参照)。
4. 競合的競合 アッセイ
BoNT/A 毒素がFGFR3を介してNeuro-2A 細胞に侵入していることを実証するために、本発明者らはPURE-Aとの競合実験を行い、被験物の応答性を実施例I、 lbに記載のようにSNAP-25 切断アッセイを用いて分析した。BoNT/AおよびFGFR3 リガンドが同じ受容体に結合するとすれば、FGF リガンド量を増加させると、BoNT/A 曝露に対する細胞の応答性が低くなるであろう。しかし、BoNT/AおよびFGFR3 リガンドが異なる受容体に結合するのであれば、FGF リガンドの量を増加させてもBoNT/A 曝露に対する細胞の応答性には影響がないであろう。本出願人は請求していないが、表 1はFGF 受容体およびFGF種の完全な作表であり、FGFR ファミリーの特定のメンバーおよびその既知のリガンドおよび組織分布を示す。
FGFR3に対するリガンドがFGFR3との結合についてBoNT/Aと競合的に競合しうるかを判定するために、2 mM グルタミン (Invitrogen、Inc、Carlsbad、CA)、1mM ピルビン酸ナトリウム (Invitrogen、Inc、Carlsbad、CA)、1.5 g/L 重炭酸ナトリウムおよびlx MEM 非必須アミノ酸溶液 (Invitrogen、Inc、Carlsbad、CA)を含む3 mLのEMEMを含有する6-ウェルのポリ- D-リジン/ラミニン被覆組織培養プレートの個々のウェルに、約5x105のNeuro-2A 細胞を播種し、37℃インキュベーターで5%二酸化炭素下で細胞が集密に達するまで培養した。細胞を含む培地中様々な濃度(0 nM、0.1 nM、1nM、5 nM、50 nM、200 nM)のFGF1またはFGF2、あるいはFGF1とFGF2との両方とともにおよそ5nMのPURE-A(Metabiologics, Inc.,Madison,WI)を添加し、およそ 10 分間37℃でインキュベートした。細胞を15 ml チューブに回収し、1 mlのリン酸緩衝食塩水、pH 7.4、で1回洗浄し、1.5 ml 微小遠心管に移した。 50 mM N-(2-ヒドロキシエチル) ピペラジン-N'- (2-エタンスルホン酸) (HEPES)、pH 6.8、150 mM 塩化ナトリウム、1.5 mM 塩化マグネシウム、1mMエチレングリコールビス(アミノエチルエーテル) N、N、N'、N'-テトラ酢酸 (EGTA)、10% グリセロールおよび1% (v/v) Triton-X(登録商標)100 (4-オクチルフェノールポリエトキシラート)を含む0.5 mlの溶解バッファー中で、1 時間4℃で回転させながら細胞を溶解した。溶解した細胞を5000 rpm 、4℃で10分間遠心し、壊死組織片を除き、上清を新しいシリコン処理済チューブに移した。タンパク質濃度はブラッドフォード法により測定し、 lmg/ml 以上の濃度にて1 x SDS サンプルバッファーに再懸濁した。
BoNT/A SNAP25197切断産物の存在を実施例 II、1aに記載のようにウェスタンブロット分析により判定したが、ただし、ブロッキングしたPVDF メンブレンをウサギ ポリクローナル 抗-SNAP25 抗血清 pAb 抗SNAP-25197#1とではなく、1: 50,000 希釈のマウスモノクローナル 抗-SNAP-25 抗体(SMI-81;Sternberger Monoclonals、Lutherville、MD)を含む一次抗体溶液、そしてヤギポリクローナル抗ウサギIgG-HRP抗体ではなくセイヨウワサビペルオキシダーゼ (HRP;Pierce Biotechnology, Inc., Rockford, IL)と結合した、1: 20,000 希釈のヤギポリクローナル抗-マウスイムノグロブリンG、重鎖および軽鎖(IgG、H+L) 抗体含む二次抗体溶液とインキュベートして、非切断 SNAP-25 基質およびBoNT/A SNAP25197切断産物の両方を検出した。FGF リガンド量の増加は、これらFGF1およびFGF2が BoNT/A と同一の受容体に対して競合していることを示し、 FGFR3がBoNT/A 受容体であることがさらに確認された(図12参照)。
実施例 III
BoNT/A重鎖のC 末端部分およびBoNT/Eの軽鎖を含む融合 タンパク質を、BoNT/A 感受性細胞に選択的に結合し、該細胞を中毒化する能力について試験した。融合タンパク質の希釈物を含む調製物を GTlb ガングリオシドの存在下で外来性 FGFR3を発現するHIT-T15 膵島細胞腺腫細胞とともにインキュベートした。融合ペプチドが膵島細胞腺腫細胞に結合して侵入する能力は、実施例I、laに記載のようにグルコースの存在に応答したインスリン分泌を検出することによって検出した。一方、インスリン分泌は、FGFR3を発現しない細胞においては影響を受けなかった。
このアッセイ結果は、培地に分泌されるインスリンの量は、融合タンパク質が培地に添加された場合に用量依存的に低下することを示した。細胞可溶化液のウェスタンブロットは、全長 SNAP-25の切断形態への変換は、BoNT/E 軽鎖プロテアーゼのタンパク分解活性に典型的であることを示す。それゆえこのアッセイは、融合ペプチドがBoNT/A 感受性細胞に結合し、該細胞に侵入することが出来ることを示すのに有用である。
同融合タンパク質は神経筋接合部の細胞を中毒化することも出来る。
実施例 IV
FGFR3に結合することができるFGF 種(FGF1、FGF2、FGF4およびFGF9を含む)の受容体結合部分およびBoNT/Eの転位置ドメインおよび軽鎖を含む融合タンパク質を、BoNT/A 感受性細胞に選択的に結合し、該細胞を中毒化する能力について試験した。アッセイは上記実施例 1に記載のように行い、類似の結果が得られた;検出された切断されたSNAP-25 断片はBoNT/A 中毒の特徴である。
実施例 V
ボツリヌス菌発酵から産生されるBoNT/Aを標準的発酵技術を用いて産生した。発現した毒素のバルク調製物および精製された製剤化形態の一方または両方を以下のように、純度と活性について試験した。BoNT/A 希釈調製物を含む調製物をGTlb ガングリオシドの存在下で外来性 FGFR3を発現するHIT-T15 膵島細胞腺腫細胞とともにインキュベートした。毒素が膵島細胞腺腫細胞に結合し、該細胞に侵入する能力を実施例I、la に記載のようにグルコースの存在に応答したインスリン分泌を検出することによって検出した。調製物の比活性は、測定されたタンパク質濃度および様々な用量での調製物の活性から計算することが出来る。
これらのデータは製薬会社によってBoNT/Aの製剤方法および試験方法を示すデータの一部として米国食品医薬品局(U. S. Food and Drug Administration)に提出された。この情報はFDAによって考慮される。FDAは、BoNT/Aのこのロット、後に類似の方法で製造および試験されるロットを、部分的にはこのバルクおよび/または製剤アッセイデータに基づき、治療用医薬製品として、製造および販売の認可を決定する。
BoNT/Aを含む医薬品はしたがって処方薬として販売促進される。
実施例 VI
実施例 Vと同じであるが、産生されるポリペプチドは大腸菌で産生される実施例 IIIの融合神経毒である。融合神経毒のバルクおよび/または製剤化ロットが上記のように試験され、FDAにデータが提出され、少なくとも部分的にはかかるデータに基づいて、FDAによってかかる融合ポリペプチドの治療剤としての販売認可または継続販売認可が決定される。製薬会社は融合神経毒を治療用処方薬として販売促進する。
実施例VII
インビトロアッセイを、ガングリオシド GTlbの存在下で固体支持体に結合したクローニングした FGFR3を用いて確立した。結合したFGFR3はまずリン酸緩衝食塩水 (PBS)中の BoNT/A 重鎖 (H 鎖)により飽和され、非結合FGFを除くよう洗浄した。化合物コンビナトリアルライブラリーからの被験化合物を実質的に生理的条件下(例えば、PBS)下で受容体と接触させ、溶出液を回収した。溶出液中のH 鎖濃度を、H 鎖がFGFR3に結合していない対照溶出液のH 鎖濃度と比較した。
FGFR3に強力に結合することが出来、かつFGFR3結合についてH 鎖と競合できる (例えば、この節に記載した方法) 被験化合物は、急性ボツリヌス中毒に対する解毒剤の開発用の候補化合物である。
実施例 VIII
安定にFGFR3を含む細胞の作成
1. pQB125/FGFR3の構築
pQBI-25/FGFR3を構築するために、配列番号4のFGFR3を含むアミノ酸領域をコードする核酸断片をポリメラーゼ連鎖反応法によってヒト脳cDNAライブラリーから増幅し、TOPO(登録商標) TA クローニング 方法 (Invitrogen、Inc、Carlsbad、CA)を用いてpCR2.1 ベクターにサブクローニングした。この反応に用いたフォワードおよびリバースオリゴヌクレオチドプライマーは、後のサブクローニング工程に有用な特有の制限酵素部位を含むように設計した。結果として得られた pCR2.1/FGFR3 コンストラクトを、1) FGFR3をコードする全オープンリーディングフレームを含むインサートを切り出し、かつ、2) pQBI-25ベクター(Qbiogene. Inc., Irvine, CA)にインサートが作動可能に連結することを可能とする制限酵素によって消化した。このインサートをT4 DNA リガーゼ手順を用いて適当な制限エンドヌクレアーゼで消化したpQBI-25 ベクターにサブクローニングし、pQBI-25/FGFR3を得た。ライゲーション混合物を化学的コンピテント大腸菌 BL21 (DE3) 細胞 (Invitrogen、Inc、Carlsbad、CA)に熱ショック法を用いて形質転換し、100μg/mlのアンピシリンを含む1.5% LB(Luria-Bertani)寒天プレート (pH 7.0) に播種し、37℃インキュベーターで一晩培養した。発現コンストラクトを含む細菌をアンピシリン耐性コロニーとして同定した。候補コンストラクトをアルカリプラスミドミニプレップ法(alkaline lysis plasmid mini-preparation procedure)を用いて単離し、制限エンドヌクレアーゼ消化マッピングにより分析してインサートの存在と方向を判定した。このクローニン戦略により、pQBI-25 ベクターの発現要素に作動可能に連結した、配列番号4のFGFR3をコードする哺乳類発現コンストラクトが得られた。
2.組換え交差手順を用いて安定に形質転換された細胞
交差手順を用いてFGFR3を発現する安定に組み込まれた細胞株を作るために、好適な密度(1x105〜1x106細胞)の適当な細胞、例えば、HIT-T15またはNeuro2A、を3 mLの完全追加培地を含む35 mm 組織培養ディッシュに播種し、37℃インキュベーターで5%二酸化炭素下で細胞がトランスフェクションに適当な密度となるまで培養した。室温で5分間インキュベートされた15μlのLipofectAmine 2000 (Invitrogen、Carlsbad、CA)を含む250 μLのOPTI-MEM 低血清培地の、FGFR3をコードする5μgの発現コンストラクト、例えば、pQBI-25/FGFR3(実施例VIII、1参照)を含む250μlのOPTI-MEM 低血清培地への添加により、500μlのトランスフェクション溶液を調製した。このトランスフェクションは室温でおよそ 20 分間インキュベートした。完全追加培地を2 mLのOPTI-MEM 低血清培地と交換し、500μlのトランスフェクション溶液を細胞に添加し、細胞を37℃インキュベーターで5%二酸化炭素下でおよそ 16 時間インキュベートした。トランスフェクション培地を3 mLの新しい完全追加培地と交換し、細胞を37℃インキュベーターで5%二酸化炭素下でおよそ48 時間インキュベートした。培地をおよそ 5μg/mlのG418を含む3 mLの新しい完全追加培地と交換した。細胞を37℃インキュベーターで5%二酸化炭素下でおよそ 4週間インキュベートし、古くなった培地は新しい G418 選択完全追加培地と4〜5 日間毎に交換した。G418-耐性コロニーが確立すれば、耐性クローンをおよそ 5μg/mlのG418を追加した新しい完全培地を含む新しい35 mm培養プレートに再播種し、これら細胞が密度6〜20x105細胞/mlとなるまで培養した。
FGFR3をコードする発現コンストラクト、例えば、pQBI-25/FGFR3(実施例VIII、1参照)を安定に組み込まれた単離細胞株からのFGFR3の発現を試験するために各細胞株からおよそ1.5x105の細胞を3 mL のG418-選択完全添加DMEMを含む35 mm 組織培養ディッシュに播種し、37℃インキュベーターで5%二酸化炭素下で、 細胞が密度約5x105細胞/mlとなるまで培養した(6-16 時間)。 培地を3 mLの新しい G418-選択完全追加培地と交換し、細胞を37℃インキュベーターで5%二酸化炭素下でインキュベートした。48 時間後、細胞を1回3.0 mLの100 mM リン酸緩衝食塩水、pH 7.4ですすぐことにより細胞を回収し、62.6 mM 2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3- プロパンジオール塩酸(Tris-HCl) pH 6.8 および2%ラウリル硫酸ナトリウム (SDS)を含むバッファーで溶解した。溶解した細胞を4℃、5000 rpmで10分間遠心して壊死組織片を除き、上清を新しいシリコン処理済チューブに移した。タンパク質濃度はブラッドフォード法により測定し、lmg/ml 以上の濃度にて1 x SDS サンプルバッファーに再懸濁した。
FGFR3の存在を検出するために、実施例II、2に記載のようにサンプルをMOPS ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離し、1: 1000 希釈の ウサギ ポリクローナル 抗-FGFR3 (C15) 抗血清 (Santa Cruz Biotechnologies, Inc, Santa Cruz, CA)を用いるウェスタンブロッティング手順で分析し、FGFR3 基質を安定に組み込んでおり、かつそれを安定に発現する細胞株を同定した。
実施例 IX
FGFR3 リン酸化研究
1. FGFまたはBoNT/Aに曝されたFGFR-3のリン酸化
特定のリガンドにより結合された場合、FGFR類は特定のチロシン残基において自己リン酸化される。これによって、受容体とリガンドとの両方のエンドソーム経路へのインターナリゼーション過程が開始する。BoNT/Aが FGFR3に結合していると、BoNT/Aへの曝露は曝された細胞におけるFGFR3の自己リン酸化を導く。
BoNT/A結合により、 FGFR3のリン酸化が起こるか否かを判定するために、およそ1.5x105の Neuro-2A 細胞を1 mM ピルビン酸ナトリウム (Invitrogen、Inc、Carlsbad、CA)、1.5 g/L 重炭酸ナトリウムおよびlx MEM 非必須アミノ酸溶液 (Invitrogen、Inc、Carlsbad、CA)を追加した3 mLの無血清 EMEMを含む6-ウェルポリ-D- リジン/ラミニン被覆組織培養プレートのウェルに播種し、37℃インキュベーターで5%二酸化炭素下で細胞が密度約5x105細胞/mlに達するまで培養した。無血清培地を、1 % FBS (Invitrogen、Inc、Carlsbad、CA)および、5 nM FGF-2 (Biosource International, Camarillo,CA)または5nM PURE/A(Metabiologics, Inc., Madison, WI)のいずれかを含む新しい追加EMEMに交換した。細胞を次いで、37℃インキュベーターで5%二酸化炭素下でおよそ5分間、10分間、20分間および30分間インキュベートし、時間0として曝露されていない細胞を用いた。細胞を15 ml チューブに回収し、1 mlのリン酸緩衝食塩水、pH 7.4で1回洗浄し、そして1.5 ml 微小遠心管に移した。細胞を、50 mM N-(2-ヒドロキシエチル) ピペラジン-N'- (2-エタンスルホン酸) (HEPES)、pH 6.8、150 mM 塩化ナトリウム、1.5 mM 塩化マグネシウム、1mMエチレングリコールビス(℃-アミノエチルエーテル) N、N、N'、N'-テトラ酢酸 (EGTA)、10% グリセロールおよび1% (v/v) Triton-X(登録商標)100 (4-オクチルフェノールポリエトキシラート)を含む0.5 mlの溶解バッファー中で1 時間回転させながら4℃で溶解した。溶解した細胞を5000 rpm、4℃で10分間遠心し、壊死組織片を除き、上清を新しいシリコン処理済チューブに移した。タンパク質濃度はブラッドフォード法で測定し、1 x SDS サンプルバッファーにlmg/ml 以上の濃度にて再懸濁した。
100μgのタンパク質を含む上清をセファロースビーズに結合させた5μgの抗ホスホチロシン抗体(Zymed Laboratory, Inc., South San Francisco、CA)を用いて免疫沈降した。免疫沈降産物を実施例II、4に記載のようにウェスタンブロット分析に供し、ブロットはFGFR3 (Santa Cruz Biotechnologies, Inc., Santa Cruz, CA)についてプローブした。これらの結果は、FGF2またはBoNT/Aに曝露された際にFGFR3がリン酸化されることを示し、それによってBoNT/AがFGFR3に結合したことが示された(図13a参照)。
2. FGFに曝露されたFGFR-3 リン酸化のDMBI 阻害
DMBIがBoNT/A-誘導性 FGFR3 リン酸化を阻害するか否かを調べるために、実施例 IX、1 に記載のようにNeuro- 2A 細胞を播種し、培養した。Neuro-2A 細胞を密度5x105細胞/ウェル(6ウェルプレート)にて播種し一晩無血清培地中でインキュベートした。培地を新しい0、1μM、5μM、 20μM、または100μMのDMBI (EMD Calbiochem、San Diego、CA)を含む無血清追加EMEMに1 時間交換した。DMBIはFGFRおよびPDGF型受容体の自己リン酸化および二量体化を阻害する。細胞を洗浄し、新しい1 % FBS (Invitrogen、Inc、Carlsbad、CA)および5 nM FGF-2 (Biosource International、Camarillo、CA)を含む追加EMEMに交換した。細胞を37℃インキュベーターで5%二酸化炭素下でおよそ 50分間、10分間インキュベートし、実施例 IX、1に記載のように回収し、免疫沈降させた。免疫沈降産物を実施例II、 4に記載のようにウェスタンブロット分析にかけ、ただし、ブロットを1: 1000 希釈のウサギポリクローナル抗-ホスホチロシン抗血清 (Upstate USA,Inc.,Charlottesville,VA) を含む一次抗体溶液および、1;20,000希釈のセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP;Pierce Biotechnology, Inc., Rockford, IL)に結合したヤギポリクローナル抗-ウサギイムノグロブリン G、重鎖および軽鎖 (IgG、H+L) 抗体を含む二次抗体溶液でプローブした。結果は、DMBIが効果的にFGF2 曝露の際のFGFR3のリン酸化を阻害することを示した (図13b参照)。
3. BoNT/A 活性のDMBI 阻害
DMBIがBoNT/A 活性を阻害しうるかを判定するために、実施例 IX、1に記載のようにNeuro-2A 細胞を播種し、培養した。培地を新しい0、1μM、5μM、 20μM、または100μM のDMBI(EMD、Calbiochem、San Diego、CA)を含む無血清追加EMEMに1 時間交換した。DMBI はFGFRおよびPDGF型受容体の自己リン酸化および二量体化を阻害する。細胞を洗浄し、新しい1 % FBS (Invitrogen、Inc、Carlsbad、CA)および 5 nMのPURE/A(Metabiologics, Inc.,Madison, WI)を含む追加EMEM と交換した。細胞を、37℃インキュベーターで5% 二酸化炭素下でおよそ 5分間、10分間インキュベートし、実施例 IX、1に記載のように回収した。アリコットを実施例I、 lbに記載のようにSNAP-25切断アッセイを用いてBoNT/A SNAP25197切断産物の存在について試験した。これらの結果は存在するSNAP-25 切断産物の量の低下を示し、したがって、DMBIが効果的にBoNT/A 活性を阻害することが示され、この毒素がFGFR3によってインターナライズされることが確認された (図13c参照)。
本明細書において提供する実施例は単に本発明の様々な側面の例示であり、本発明は本明細書に添付の特許請求の範囲によってのみ規定されることを理解されたい。
図1は、BoNT/A中毒機構の現在の概念図の模式図を示す。 図2は、FGFR3および選択的スプライシングを受けてFGFR3IIIbおよびFGFR3IIIcを生じるエキソンの模式図を示す。 図3は、PURE-AのHIT-T15 細胞へのエレクトロポレーションの結果を示す。 図4は、HIT-T15 細胞のエレクトロポレーションの長時間での影響を示す。 図5は、ヒト脳cDNAライブラリーにより形質転換され、BONT/Aが結合している磁気ビーズを用いて選択されたHIT-T15 細胞を示す。 図6は、推定 BONT/A 受容体を含むHIT-T15 細胞からのインスリン放出アッセイの結果を示す。 図7は、2つの単離されたHIT-T15 細胞分離株 C6およびC7の分析を示す。 図8は、クロストリジウム毒素に対して高アフィニティーの取り込みを示す細胞を同定するウェスタンブロット分析を示す。 図9は、ボツリヌス毒素の取り込みの上昇に用いたガングリオシド処理の効果を評価するウェスタンブロット分析を示す。 図10は、BoNT/A-SBED 毒素を用いたNeuro-2A 細胞における架橋実験の結果を示す。 図11は、5種類の細胞株におけるFGFRの存在を判定するために用いたウェスタンブロット分析を示す。 図12は、PURE-AおよびFGF リガンドを用いたNeuro-2a 細胞における受容体競合実験の結果を示す。 図13は、Neuro-2A 細胞におけるFGFR3 リン酸化研究の結果を示す。

Claims (78)

  1. 以下によって、BoNT/A 活性を検出する方法:
    サンプルを外来性 FGFR3を含む細胞と接触させること、ここで、接触された該細胞はBoNT/A中毒となり得る、および、
    対照細胞と比較しての接触された該細胞のBoNT/A活性の存在を検出すること、ここで、該対照細胞と比較しての接触された該細胞の該BoNT/A 活性における相違はBoNT/A 活性を示す。
  2. 該細胞が一過性に外来性 FGFR3を含む、請求項1の方法。
  3. 該細胞が安定に外来性 FGFR3を含む、請求項1の方法。
  4. 該FGFR3が哺乳類 FGFR3である、請求項1の方法。
  5. 該哺乳類 FGFR3がヒト FGFR3である、請求項4の方法。
  6. 該哺乳類 FGFR3がウシ FGFR3である、請求項4の方法。
  7. 該哺乳類 FGFR3がマウス FGFR3である、請求項4の方法。
  8. 該哺乳類 FGFR3がラット FGFR3である、請求項4の方法。
  9. 該FGFR3が鳥類 FGFR3である、請求項1の方法。
  10. 該鳥類 FGFR3がニワトリ FGFR3である、請求項9の方法。
  11. 該FGFR3が両生類 FGFR3である、請求項1の方法。
  12. 該両生類 FGFR3がカエル FGFR3である、請求項11の方法。
  13. 該両生類 FGFR3がイモリ FGFR3である、請求項11の方法。
  14. 該FGFR3が魚類 FGFR3である、請求項1の方法。
  15. 該魚類 FGFR3がゼブラフィッシュ FGFR3である、請求項15の方法。
  16. 該細胞がさらにGlb ポリシアロガングリオシドを含む、請求項1の方法。
  17. 該ポリシアロガングリオシドが、GD1a、GD1b、GD3、GQlb、またはGTlbからなる群から選択される、請求項16の方法。
  18. 該細胞が神経細胞である、請求項1の方法。
  19. 該神経細胞が初代神経細胞である、請求項18の方法。
  20. 該神経細胞が不死化神経細胞である、請求項18の方法。
  21. 該神経細胞が形質転換神経細胞である、請求項18の方法。
  22. 該神経細胞が、神経芽腫細胞、神経細胞ハイブリッド細胞、脊髄細胞、中枢神経系細胞、大脳皮質細胞、後根神経節細胞、海馬細胞およびクロム親和細胞種細胞からなる群から選択される、請求項18の方法。
  23. 該細胞が非神経細胞である、請求項1の方法。
  24. 該非神経細胞が初代神経細胞である、請求項23の方法。
  25. 該非神経細胞が不死化神経細胞である、請求項23の方法。
  26. 該非神経細胞が形質転換神経細胞である、請求項23の方法。
  27. 該非神経細胞が、下垂体前葉細胞、副腎細胞、膵臓細胞、卵巣細胞、腎臓細胞、胃細胞、血液細胞、上皮細胞、線維芽細胞、甲状腺細胞、軟骨細胞、筋肉細胞、肝細胞、および腺細胞からなる群から選択される、請求項23の方法。
  28. 該サンプルが、精製されたBoNT/A、部分的に精製されたBoNT/Aまたは精製されていないBoNT/Aからなる群から選択される、請求項1の方法。
  29. 該サンプルが、バルク BoNT/A、製剤化されたBoNT/A、美容用BoNT/A 製剤または臨床用 BoNT/A 製剤からなる群から選択される、請求項1の方法。
  30. 該サンプルが組換え BoNT/Aである、請求項1の方法。
  31. 該サンプルが、未加工食品、調理済みの食品、部分的に調理済みの食品または加工食品からなる群から選択される、請求項1の方法。
  32. 該サンプルが哺乳類から採取されたサンプルである、請求項1の方法。
  33. 該哺乳類サンプルが、組織、唾液、排泄物または便からなる群から選択される、請求項32の方法。
  34. FGFR3に選択的に結合する分子を含む医薬組成物をヒトに投与することを含む、該ヒトにおけるBoNT/A 活性を低下させる方法、ここで、該選択的結合はBoNT/Aが該FGFR3に結合する能力を低下させる。
  35. Glbポリシアロガングリオシドを該ヒトに投与することをさらに含む、請求項24の方法。
  36. 該ポリシアロガングリオシドが、GD1a、GDlb、GD3、GQlb、またはGTlbからなる群から選択される、請求項34の方法。
  37. 以下による、BoNT/A 中毒に感受性の細胞に対する選択的結合についてBoNT/Aと競合することが出来る分子をスクリーニングする方法:
    サンプルをFGFR3を含む組成物と接触させる工程、および、
    該分子が選択的に該FGFR3に結合するか否かを検出する工程、
    ここで、該分子の該FGFR3への選択的結合は、該分子がBoNT/A 中毒に感受性の細胞に対する選択的結合についてBoNT/Aと競合することが出来ることを示す、
    ただし、該分子がBoNT/Aの場合、該方法はLD50アッセイを含まない。
  38. 該接触させる工程をインビトロで行う、請求項37の方法。
  39. 該接触させる工程をインビボで行う、請求項37の方法。
  40. 該FGFR3が細胞の表面に発現する、請求項37の方法。
  41. 該細胞が外来性 FGFR3を一過性に含む、請求項39の方法。
  42. 該細胞が外来性 FGFR3を安定に含む、請求項39の方法。
  43. 該FGFR3が哺乳類 FGFR3である、請求項37の方法。
  44. 該哺乳類 FGFR3がヒト FGFR3である、請求項43の方法。
  45. 該哺乳類 FGFR3がウシ FGFR3である、請求項43の方法。
  46. 該哺乳類 FGFR3がマウス FGFR3である、請求項43の方法。
  47. 該哺乳類 FGFR3がラット FGFR3である、請求項43の方法。
  48. 該FGFR3が鳥類 FGFR3である、請求項37の方法。
  49. 該鳥類 FGFR3がニワトリ FGFR3である、請求項48の方法。
  50. 該FGFR3が両生類 FGFR3である、請求項37の方法。
  51. 該両生類 FGFR3がカエル FGFR3である、請求項50の方法。
  52. 該両生類 FGFR3がイモリ FGFR3である、請求項50の方法。
  53. 該FGFR3が魚類 FGFR3である、請求項37の方法。
  54. 該魚類 FGFR3がゼブラフィッシュ FGFR3である、請求項53の方法。
  55. 該組成物がさらにGlb ポリシアロガングリオシドを含む、請求項37の方法。
  56. 該ポリシアロガングリオシドが、GD1a、GDlb、GD3、GQlb、またはGTlbからなる群から選択される、請求項55の方法。
  57. 該細胞が神経細胞である、請求項37の方法。
  58. 該神経細胞が初代神経細胞である、請求項57の方法。
  59. 該神経細胞が不死化神経細胞である、請求項57の方法。
  60. 該神経細胞が形質転換神経細胞である、請求項57の方法。
  61. 該神経細胞が、神経芽腫細胞、神経細胞ハイブリッド細胞、脊髄細胞、中枢神経系細胞、大脳皮質細胞、後根神経節細胞、海馬細胞およびクロム親和細胞種細胞からなる群から選択される、請求項57の方法。
  62. 該細胞が非神経細胞である、請求項37の方法。
  63. 該非神経細胞が初代神経細胞である、請求項62の方法。
  64. 該非神経細胞が不死化神経細胞である、請求項62の方法。
  65. 該非神経細胞が形質転換神経細胞である、請求項62の方法。
  66. 該非神経細胞が、下垂体前葉細胞、副腎細胞、膵臓細胞、卵巣細胞、腎臓細胞、胃細胞、血液細胞、上皮細胞、線維芽細胞、甲状腺細胞、軟骨細胞、筋肉細胞、肝細胞、腺細胞からなる群から選択される、請求項62の方法。
  67. 該分子がBoNT/Aである、請求項37-39のいずれかの方法。
  68. 該分子がBoNT/A 重鎖の受容体結合ドメインを含む、請求項67の方法。
  69. 該分子がFGFR3の受容体結合ドメインに選択的に結合し、かつ、BoNT/Aではない分子である、請求項37-39のいずれかの方法。
  70. 該分子がFGFR3の受容体結合ドメインに結合する抗-FGFR3 抗体を含む、請求項69の方法。
  71. 該分子がFGFR3の受容体結合ドメインに結合するFGFを含む、請求項69の方法。
  72. 該FGF 分子が、FGF1、FGF2、FGF4、FGF8およびFGF9からなる群から選択される、請求項71の方法。
  73. 該分子がFGFR3の受容体結合ドメインに選択的に結合し、かつ、BoNT/A 軽鎖によって切断される部位以外の部位においてSNARE タンパク質を切断するプロテアーゼドメインを含む分子である、請求項37-39のいずれかの方法。
  74. 該プロテアーゼドメインが、BoNT/A以外のクロストリジウム毒素の軽鎖の活性部位を含む、請求項73の方法。
  75. 該プロテアーゼドメインが、BoNT/Eの軽鎖の活性部位を含む、請求項74の方法。
  76. 請求項37の方法を含む、BoNT/Aを含む調製物からBoNT/A 活性を判定する方法。
  77. 以下を含む、BoNT/Aと同じFGFR3に選択的に結合することができる神経毒の販売方法:
    治療用神経毒についての販売承認を政府または地方の規制当局から得ること、ここで、該神経毒は細胞に対する選択的結合についてアッセイされ、該アッセイは、該神経毒とFGFR3を含む組成物とを接触させること、および、該神経毒が該FGFR3に選択的に結合するか否かを検出することを含み、ここで、該神経毒の該FGFR3への選択的結合は、該神経毒がBoNT/A 中毒に感受性の細胞に選択的に結合することが出来ることを示す、ここで、該分子がBoNT/Aの場合、該方法はLD50アッセイを含まない;
    該規制当局の要求にしたがって販売用に該神経毒を包装すること、および、
    該神経毒を売ること。
  78. 以下を含む、BoNT/Aと同じFGFR3に選択的に結合することができる神経毒の販売方法:
    治療用神経毒についての販売承認を政府または地方の規制当局から得ること、ここで、該神経毒は細胞に対する選択的結合についてアッセイされ、該アッセイは、該神経毒と外来性 FGFR3を含む細胞とを接触させること、ここで、接触された該細胞はBoNT/A中毒となり得る、および、対照細胞と比較しての接触された該細胞でのBoNT/A活性の存在を検出することを含み、ここで、該対照細胞と比較しての接触された該細胞での該BoNT/A 活性の相違はBoNT/A 活性を示す;
    該規制当局の要求にしたがって販売用に該神経毒を包装すること、および
    該神経毒を売ること。
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