JP2007526150A - 複合物品 - Google Patents

Abstract

この発明は、（ａ）互いに独立して、金属、プラスチック、ガラス、天然物質及び／若しくは炭素から形成されたフィルム、シート、繊維マット及び／若しくはフォームの少なくとも１つからなる２つの被覆層（３、３’）；並びに（ｂ）該被覆層（３、３’）どうしの間に配され、多数の空孔を有する金属、プラスチック、天然物質及び／又は紙からなるコア層（４）を少なくとも有してなるサンドイッチ構造を有する複合物品に関する。注型樹脂系が被覆層（３、３’）及びコア層（４）に少なくとも部分的に侵入しており、該被覆層（３、３’）はプレスによって前記コア層（４）に接合されている。複合物品は、サンドイッチ構造の少なくとも１つの領域（５、５’）にて互いにプレスされており、該サンドイッチ構造は前記プレスされた領域（５、５’）において熱可塑性材料による射出成形によって包囲されている。

Description

発明の詳細な説明

この発明は、２つの外側層の間に配された少なくとも１つのコア層を有するサンドイッチ構造を有する複合物品に関する。注型樹脂系(cast-resin system)は層の中に少なくとも部分的に侵入して（通って）おり、層は加圧成形によって一体に接合されている。本発明は、そのような複合物品の製造方法にも関する。

例えば、紙、アルミニウム若しくはプラスチックから形成されたハニカム構造又は波板状構造(corrugated structure)を有するコア層と、天然物質、ガラス、プラスチック又は炭素繊維から形成された繊維マット(fibre mats)から形成された下側外側層及び上側外側層からなるサンドイッチ構造を有する軽量の複合物品は、例えばＥＰ１ ３１９ ５０３Ａから知られている。それらの単位面積当たりで小さい重量及び小さい壁部厚みにて有している高い曲げ強度(flexural strength)のため、それらの物品は、例えば自動車構造における室内装備に用いられている。下側外側層及び上側外側層を構成する繊維マットは、２成分ポリウレタン（ＰＵ）系によって湿潤化され、２成分ポリウレタン（ＰＵ）系は例えばコア層の一部又は全体の中を通る（又は全体の中に侵入する）。ＰＵ系は、容易に発泡させることができ、例えば外側層をコア層へ接着させ及び成形することができる。

これらのサンドイッチ構造の複合物品は、加圧成形プロセス(compression moulding process)によって製造されている。コア層及び外側層を有するサンドイッチ構造体の両側の表面全体に２成分ＰＵ系が吹き付けられて、前記構造体は型(mould)に入れられ、型は一般に６０〜１６０℃、好ましくは１２０〜１４０℃に加熱され、加圧成形(press moulded)される。型から出されて冷却された後、複合物品は、必要な場合には、例えば、穴あけされ、ミリングされ又はラミネートされる。

スクリュー接続、部分的金属補強、エレメント接続、エレメントの取り付け又はそれらと同様の操作は、制限内で可能である。例えば、加圧成形型の中で複合物品を製造する間にインサートを適宜配置し、加圧成形の間にＰＵ系を発泡及び硬化させることによって、インサートを複合物品に結合させることができる。インサートは、該インサートの頂部に外側層、例えば繊維マットを配置し、加圧成形の間にその外側層をインサートへプレスすることによって、複合物品の中にほぼ完全に封入(enclosed)することができる。

溶接（又は溶着(welding))によって、例えばプラスチック製の成形された部材を軽量の複合物品に取り付ける（又は結合させる）ことは、よく知られている。しかしながら、成形された物品を最初に独立して製造し、その後、溶接のために溶接ツールに導入する必要があるため、この操作は比較的複雑である。更に、溶接接続部の品質は、用いられる材料に非常に大きく依存する。

そのようなサンドイッチ構造複合物品を、易流動性材料、例えばポリウレタンによって封入（又は封止(encapsulation))することも知られている。ポリウレタンと共に射出成形されるこれら複合物品の問題点は、剛性(rigidity）及び強度(strength）が比較的低いことである。更に、架橋ポリウレタン（ＰＵ）樹脂系を伴う複合物品の個々の領域を選択的に射出成形することは容易ではない。射出成形されたポリウレタン（ＰＵ）にバリ(flash)が生成することも、コストのかかる２次的仕上げを必要とする。最後に、射出成形されたポリウレタン（ＰＵ）表面は特定の用途のための視覚的要件を満たしておらず、着色することができない。

本発明の目的は、従来技術から知られているサンドイッチ構造を有する軽量の複合物品から出発して、射出成形プロセスによって、特に熱可塑性ポリマーから形成された、成形された物品と機能的なエレメントとの一体化（集積化(integration))のために好適な複合物品を提供することである。

本発明は、
（ａ）２つの外側層であって、それぞれ独立して、金属、プラスチック、ガラス、天然物質及び／若しくは炭素から形成されたフィルム、シート、繊維マット及び／若しくはフォームの少なくとも１つからなる外側層；並びに
（ｂ）前記外側層どうしの間に配置されるコア層であって、金属、プラスチック、天然物質及び／若しくは紙から形成され、多数のキャビティを有するコア層
を少なくとも有してなり、注型樹脂系が前記外側層及び前記コア層に少なくとも部分的に侵入し（又は浸透し）、前記外側層は及び前記コア層はプレスによって接合されているサンドイッチ構造を有する複合物品であって、前記サンドイッチ構造の少なくとも１つの領域において、前記外側層は互いにプレスされ、前記サンドイッチ構造のプレスされた領域は熱可塑性ポリマーによって封止（又は封入）されていることを特徴とするサンドイッチ構造を有する複合物品を提供する。

本発明の複合物品は少なくとも３つの層からなり、それら３つの層は１つのコア層と該コア層の両側に設けられる２つの外側層からなる。複数の層のコア層と複数の層の外側層からなる構造も可能である。コア層は、金属、プラスチック、天然物質及び／若しくは紙からなる。好ましい金属は、アルミニウム、マグネシウム及びそれらの合金である。好ましいプラスチックは、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン（ＡＢＳ）、ポリアミドイミド（ＰＡＩ）及びそれらの混合物である。プラスチックは、補強されているものであっても、補強されていないものであってもよいし、充填されているものであっても、充填されていないものであってもよい。天然物質の例には、木材、亜麻(flax)、サイザル麻(sisal)、黄麻(jute)、麻(hemp)がある。本発明では、紙とはいずれの種類の紙であってもよく、例えば複層紙、例えば板紙、又は樹脂含浸紙などの種類の紙も含まれると理解される。

本発明の複合物品のコア層は、その実質的な特徴として、多数のキャビティを有している。キャビティはいずれの幾何学的形状であってもよい。それらは、例えば、角張っているか又は丸いチャンネル、細孔若しくはバブル(bubbles)であってよい。キャビティは、規則的若しくは不規則的に配することができる。コア層は、波板状構造、角度付けされた構造、ハニカム状、又はフォーム状のプロファイルを有することが好ましい。コア層は、例えば波板状構造の金属又は波形を付けられた板紙であってもよい。波板状の金属又は波板状の板紙と同様に、コア層は、波板状とするよりも、例えば矩形又は三角形の形状に角度付けすることもできる。更に、波板状の金属又は波板状の板紙と同様に、コア層もプラスチックから形成することができる。角度付けされた又は波板状にされたプラスチック異形材は、例えば押出しすることができる。例えば、多層壁シート(multi-wall sheet)をプラスチックのコア層として用いることができる。

コア層の厚さは５〜５０ｍｍの範囲であることが好ましい。多数のキャビティを有するため、その厚さに対してコア層の重量は小さい。密度は１０〜１０００ｋｇ／ｍ^３であることが好ましい。

本発明の複合物品のコア層の両側に設けられる外側層は、それぞれ独立して、金属、プラスチック、ガラス、天然物質及び／若しくは炭素から形成される。外側層は、フィルム、シート、繊維マット及び／若しくはフォームの形態である。繊維マットは、例えばメッシュ、織布、メリヤス、編まれた布、不織布又はフェルトであってよい。外側層のための好ましい金属は、アルミニウム、マグネシウム及びそれらの合金である。好ましいプラスチックは、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ＡＢＳ、ＰＡＩ及びそれらの混合物である。外側層のための天然物質は、例えば亜麻、サイザル麻、黄麻及び麻であってよい。コア層の両側側面上の外側層は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。

外側層の厚さは好ましくは０．１〜２ｍｍである。外側層の単位面積あたり重量は、２２５〜１２００ｇ／ｍ^２であることが好ましい。

注型用樹脂系は、本発明の複合物品のコア層及び外側層に少なくとも部分的に侵入（又は浸透）する。このことは、注型用樹脂系がコア層のキャビティを部分的に又は完全に充填することを意味している。同様に、外側層が繊維マット又はフォームからなる場合には、注型用樹脂系は外側層の繊維及び細孔、キャビティ等に侵入する。外側層がフィルム又はシートの形態である場合には、注型用樹脂系は外側層とコア層との間に入り（又は存在するようになり）、注型用樹脂系は外側層に部分的に又は完全に接触する（又は湿潤化させる）。注型用樹脂系は、層どうしを一体に結合させる作用を果たし、該注型用樹脂系が硬化する前に熱にさらされて加圧成形される。外側層が繊維状である場合には、注型用樹脂系は繊維を固定して、複合物品の表面を形成する。特に、注型用樹脂系は、層どうしを一体に結合させることによって、複合物品に高い強度及び剛性を付与する。少なくとも１つのコア層、２つの外側層及び注型用樹脂系からなるこの複合材料は、従来技術（例えば、ＥＰ １ ３１９ ５０３ Ａ）から知られており、本発明の意義の範囲内では、「サンドイッチ構造(sandwich structure)」と称する。

注型用樹脂系は、１成分系又は多成分系、例えば２成分系であってよい。注型用樹脂系は、発泡させてもよいし、発泡させなくてもよい。用いることができる注型用樹脂系の例には、ポリウレタン（ＰＵ）系、ポリエステル樹脂系、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系等がある。２成分ＰＵ系が好ましく用いられ、ＥＰ １ ３１９ ５０３ Ａの第２頁第２６行〜第３頁第２０行に記載されているような２成分ＰＵ系が特に好ましい。硬化した２成分ＰＵ系の単位面積あたり重量は、４００〜１２００ｇ／ｍ^２であることが好ましい。

従来技術から知られているサンドイッチ構造の単位面積あたり重量は、好ましくは２１００〜３６００ｇ／ｍ^２である。

本発明によれば、複合物品のサンドイッチ構造の少なくとも１つの領域において、外側層が一体にプレスされ、そのプレスされた領域においてサンドイッチ構造は熱可塑性ポリマーによって封止される。本発明の意義の範囲内では、サンドイッチ構造の外側層を互いに一体にプレスすることは、外側層が実際に相互に接触するまでサンドイッチ構造が一体に押圧されること（又は圧縮されること）を意味する。外側層の間のコア層は、このプロセスにて最小限度まで圧縮される。

射出成形プロセスにおいて、外側層を一体にプレスすることによって、熱可塑性ポリマーをサンドイッチ構造に結合させることができる。外側層が一体にプレスされていない従来技術から知られているサンドイッチ構造では、サンドイッチ構造上へ熱可塑性ポリマーを射出成形する間に、高い注入圧のためにコア層の中に制御されない状態でポリマーが拡がり、その結果、サンドイッチ構造を変形させたり、損傷させたりするという問題点が生じ得る。本発明によれば、外側層を一体にプレスした後では外側層は実際に相互に接触しているので、射出成形の間に、プラスチック溶融物が外側層どうしの間でコア層の中に流入することが防止される。従って、一体にプレスすることによって、射出成形の間に、コア層の中に制御不可能な状態でプラスチック溶融物が流入することを防止して、熱可塑性ポリマーを取り扱うために必要とされる高い注入圧によってコア層を変形させたり、損傷させたりすることを防止する。外側層が一体にプレスされる領域では、プラスチック溶融物は射出成形型のキャビティの中に侵入することができるだけであるので、外側層を一体にプレスすることによって、複合物品の制御不能な過剰な塗布をも防止する。外側層が一体にプレスされないその他の領域では、複合物品は成形型キャビティの内側壁部に対して（又は接触して）位置し、プラスチック溶融物の制御されていない拡がりに対して成形型キャビティを封止する。

外側層は複合物品のサンドイッチ構造のエッジ領域において一体にプレスすることができ、例えば、熱可塑性ポリマーによって封止され得る。従って、サンドイッチ構造は、熱可塑性ポリマーの部分的な又は連続した封止された縁部を有することができる。複合物品の外側層は、その複合物品のどの領域が熱可塑性ポリマーによって封止されるかということにも依存するが、その他のいずれかの領域の製造の間に一体にプレスすることができる。例えば、複合物品が開口部を有する場合、開口部の縁部をプレスして、熱可塑性ポリマーによって封止することができる。複合物品の表面におけるビード部(beads)及びその他の変形部もプレスして、熱可塑性ポリマーによって封止することができる。

他方で、プラスチック溶融物が複合物品の１つの領域でコア層に入ること、アンダーカットを形成すること、従って、サンドイッチ構造と熱可塑性ポリマーとの間に積極的な結合を生じさせることを意図的に可能にすることもできる。このことは、例えば、開口部の又はサンドイッチ構造の縁部からある程度の間隔をおいて、例えば、開口部のまわりで環状の形態で、複合物品の外側層を一体にプレスすることによって行うことができる。射出成形の間、プラスチック溶融物は、開口部を通って、即ち開口部の圧縮されていない縁部を通って、コア層に入る。しかし、プレスされているため、プラスチック溶融物は制御されない状態でコア層の中に拡がることはできず、たかだか圧縮された領域まで拡がり得る、例えば開口部のまわりで拡がり得る。

射出成形によってサンドイッチ構造が封入される熱可塑性ポリマーは、ポリアミド（ＰＡ）、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）、ポリブチレンテレフタレート（ＰＢＴ）、ポリスチレン（ＰＳ）、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン（ＡＢＳ）、熱可塑性ポリウレタン（ＴＰＵ）、ポリオレフィン、特にポリプロピレン（ＰＰ）、ポリエチレン（ＰＥ）、ポリカーボネート（ＰＣ）、ポリプロピレンオキシド（ＰＰＯ）、ポリスルホン（ＰＳＯ）、ポリフェニレンスルフィド（ＰＰＳ）、ポリイミド（ＰＩ）、ポリエーテルエーテルケトン（ＰＥＥＫ）系のポリマー又はこれらポリマーの混合物であって、補強されているもの、補強されていないもの及び／又は充填されたものであることが好ましい。

注型用樹脂系を用いて、熱可塑性ポリマーを用いて、コア層及び外側層からなるサンドイッチ構造を封入することによって、サンドイッチ構造の剛性及び強度を向上させることができる。更に、機能性エレメント、例えば補強エレメント、硬化エレメント又は接合エレメントを、種々の方法で、いずれかのポイントにて、例えば表面上に又は縁部上に注入し成形することができる。この方法では、他の材料、例えば金属から形成された物品又は成形された物品若しくは部品を本発明の複合物品に比較的容易に結合させることができる。この方法では、いくつかの同一の又は異なる成形された物品若しくは部品を含んでなるシステム全体の中に、本発明の複合物品を比較的容易に統合することができる。本発明の複合物品の形式のいくつかの成形したパーツ（部品又は物品）を、このようにして一体に結合させることもできる。

この発明は、本発明の複合物品を製造する方法をも提供する。その方法は、
（ｉ）コア層及び外側層を、前記外側層どうしの間に前記コア層を配置して、加圧成形型の中に導入する工程；
（ii）少なくとも１つの外側層に注型用樹脂系を適用する工程；
［但し、工程（ｉ）と工程（ii）とはいずれの順序で実施してもよい］
（iii）コア層を外側層と共に加圧成形してサンドイッチ構造を形成し、サンドイッチ構造の少なくとも１つの領域において外側層を一体にプレスする工程；
（iv）前記工程（iii）で加圧成形したサンドイッチ構造を型から取り出す工程；
（ｖ）前記加圧成形したサンドイッチ構造を射出成形型の中に導入（又は挿入）し、及び、外側層を一体にプレスした領域においてサンドイッチ構造上へ熱可塑性ポリマーを射出成形する工程
を含んでなる。

本発明の複合物品の従来技術から知られているサンドイッチ構造は、加圧成形プロセスによって製造される。即ち、加圧成形(press moulding)によって、特に全体プレス型(all-over press moulding)によって、外側層がコア層に結合される（工程（iii))。加圧成形の前に、注型用樹脂系は液状形態で少なくとも１つの外側層に、特にその表面全体に適用される（工程（ii))。注型用樹脂系は、例えば、噴霧によって適用することもできる。注型用樹脂系の適用（工程（ii))は、コア層及び外側層の導入（工程（ｉ))の後で加圧成形型の内側へ行うこともできるし、或いはコア層及び外側層の導入の前に加圧成形型の外側へ行うこともできる。圧縮型の中で、コア層は外側層どうしの間に配置され（工程（ｉ))、その後射出成形される（工程（iii))。この方法の性能（又は効果）は、例えばＥＰ １ ３１９ ５０３Ａに説明されている。

注型用樹脂系が硬化する前に、本発明のサンドイッチ構造の外側層は、所望の領域、例えばエッジ領域において一体にプレスされる（工程（iii))。コア層を外側層と共に加圧成形して各層を一体に結合させること、及び選択された領域において外側層を一体にプレスすることは、加圧成形型内で、同時に又は連続して行われる。外側層を一体にプレスすることを、コア層及び外側層の加圧成形型と同じ加圧成形型内で行うことは、サンドイッチ構造それ自体を製造するために有利である。しかしながら、基本的に、２つのサブ工程を異なるプレス型の中で連続して実施することも可能である。硬化、場合により行う冷却及び型外し（工程（iv))の後で、加圧成形されたサンドイッチ構造は射出成形型の中に配置され、外側層が一体にプレスされている領域において、射出成形型の中で熱可塑性ポリマーによって封止される（工程（ｖ))。

本発明の複合物品は、自動車構造において、例えば、ドアのクラッド部(cladding)、フロア部、計器パネル、計器パネルサポート、及び水平のボディ部分等のエレメントに用いることができるが、家庭用電気製品又は家具等のエレメントに用いることもできる。加圧成形されたサンドイッチ構造へ射出成形された熱可塑性ポリマーは、機能的エレメント、例えば補強リブであってよい。
本発明を、添付図面を参照して、より詳細に説明する。

図１において、複合物品１は、射出成形型（全体は図示せず）の２つの型半部分(mould halves)２、２’の間に配置されている。複合物品１は、２つの外側層３、３’とコア層４とからなっており、コア層４は例えばハニカム状の構造を有している。コア層４は、２つの外側層３、３’の間に配置されている。図１に示す複合物品１の態様例において、外側層３、３’はそれらの縁部領域５、５’にて一体にプレスされており、外側層３、３’は実際には互いに対向する状態にある。外側層３、３’の間に位置するコア層４は、プレスされた縁部領域５、５’では実際に全体的にプレスされている。プレスされた縁部領域５、５’において、複合物品１は熱可塑性ポリマー６によって封止されている。熱可塑性ポリマー６は、一体にプレスされている外側層３、３’の間の複合物品１のコア層４の中に侵入してはいない。

図１に示す態様例とは対照的に、図２に示す態様例では、２つの外側層３、３’は縁部領域１０、１０’において互いに直接的にプレスされてはおらず、縁部領域１０、１０’から多少の間隔をおいた領域９、９’において互いに直接的にプレスされている。熱可塑性ポリマー６を複合物品１上へ射出成形する間に、プレスされていない縁部領域１０、１０’において、熱可塑性ポリマー６はコア層４の中へ、即ち外側層３、３’の間へ侵入する。熱可塑性ポリマー６は、プレスされた領域９、９’まで、コア層４の中へ侵入する。射出成形されたポリマー６は、このようにしてアンダーカットを成形する。外側層３、３’が一体にプレスされている領域９、９’では、ポリマー６はコア層４の中へはそれ以上侵入しない。プレスされている領域９、９’は、ポリマー６がコア層４の中へ、特に制御されずに拡がることを防止する。

図３は、複合物品１のもう１つの態様例を示している。複合物品１は射出成形型（全体は図示せず）の２つの型半部分２、２’の間に配置されている。外側層３、３’は横方向に延びる(overlying）開口部７、７’を示している。コア層も、開口部７、７’の領域において、同様に横方向に延びる開口部１１を示している。外側層３、３’は、開口部７、７’の外周縁部８、８’において互いに一体にプレスされている。横方向に延びる（又は横たわる）開口部７、７’、１１は熱可塑性ポリマー６によって封止されており、熱可塑性ポリマー６は複合物品１との間に積極的な結合を生じている。

特に図示しないが、もう１つの態様例では、例えば、封止された熱可塑性ポリマーに開口部を形成することができる。

実施例
サンドイッチ構造は、コア層として、約１０００ｇ／ｍ^２の単位面積あたり重量を有する、厚さ６ｍｍのハニカム状紙材料と、該コア層の両側の、それぞれ約４００ｇ／ｍ^２の単位面積あたり重量を有する、２つのガラス繊維マットから形成されている。これらの層は、約４００ｇ／ｍ^２の単位面積あたり重量を有するポリオール及びジイソシアネートを含んでなるポリウレタン注型用樹脂系（Ｂａｙｐｒｅｇ Ｆ（登録商標）、Ｂａｙｅｒ ＡＧ、ドイツ）によって、加圧成形型内で加圧成形されることによって互いに接合されている。この方法によって製造されたサンドイッチ構造の単位面積あたり重量は、２６３０ｇ／ｍ^２（密度０．４ｇ／ｃｍ^３）であった。

加圧成形型内で層が一体に加圧成形されるのと同時に、即ちポリウレタン注型用樹脂系を硬化させる前に１段階の処理工程で、サンドイッチ構造の外側層をそれらの外側のエッジ領域にて一体にプレスした。ポリウレタン（ＰＵ）樹脂の硬化の後で、成形された物品を型から取り出して、射出成形型の中に配置した。射出成形型内では、プレスされた縁部領域にて、ポリアミド６ＧＦ３０がサンドイッチ構造上に射出成形された。射出成形されたプラスチックの厚さは６ｍｍであった。複合物品全体の厚さは６ｍｍであり、密度は約０．７ｇ／ｃｍ^３であり、単位面積あたり重量は約４４００ｇ／ｍ^２であった。射出成形された熱可塑性ポリマーは、外側層どうしの間ではコア層に侵入していなかった。

図１は、プレスされた縁部領域で熱可塑性ポリマーを射出成形した後の射出成形型内における、本発明の複合物品の部分の模式的な断面図を示している。 図２は、プレスされた縁部領域で熱可塑性ポリマーを射出成形した後の射出成形型内における、本発明の複合物品の部分の模式的な断面図を示している。プレスされていない領域にて、ポリマーはコア層の中に侵入している。 図３は、複合物品のプレスされた開口部の領域において、熱可塑性ポリマーを射出成形した後の射出成形型内における、本発明の複合物品の部分の模式的な断面図を示している。

Claims (9)

1. （ａ）２つの外側層（３，３’）であって、それぞれ独立して、金属、プラスチック、ガラス、天然物質及び／若しくは炭素から形成されたフィルム、シート、繊維マット及び／若しくはフォームの少なくとも１つからなる外側層（３，３’）；並びに
   （ｂ）前記外側層（３，３’）どうしの間に配置されるコア層（４）であって、金属、プラスチック、天然物質及び／若しくは紙から形成され、多数のキャビティを有するコア層（４）
   を少なくとも有してなり、注型樹脂系が前記外側層（３，３’）及び前記コア層（４）に少なくとも部分的に侵入し、前記外側層（３，３’）は加圧成型によって前記コア層（４）に接合されているサンドイッチ構造を有する複合物品であって、前記サンドイッチ構造の少なくとも１つの領域（５，５’，８，８’，９，９’）において、前記外側層（３，３’）は一体にプレスされており、前記サンドイッチ構造のプレスされた領域（５，５’，８，８’，９，９’）は熱可塑性ポリマー（６，６’）によって封止されていることを特徴とするサンドイッチ構造を有する複合物品。
2. コア層（ｂ）は、波板状構造、角度付けされた構造、ハニカム状構造、又はフォーム状構造を有することを特徴とする請求項１記載の複合物品。
3. 外側層（ａ）が繊維マットであることを特徴とする請求項１又は２記載の複合物品。
4. 注型樹脂系が２成分ポリウレタン系であることを特徴とする請求項１〜３のいずれかに記載の複合物品。
5. 外側層（ａ）がサンドイッチ構造の縁部領域において一体にプレスされており、プレスされた縁部領域は熱可塑性ポリマーによって封止されていることを特徴とする請求項１〜４のいずれかに記載の複合物品。
6. 外側層（ａ）がサンドイッチ構造の開口部、ビード部又は変形部の領域でプレスされており、プレスされた領域は熱可塑性ポリマーによって封止されていることを特徴とする請求項１〜５のいずれかに記載の複合物品。
7. 一体にプレスされた外側層（ａ）の領域の近くの封止された熱可塑性ポリマーが、コア層（ｂ）がアンダーカットを形成するように、前記コア層（ｂ）を少なくとも部分的に充填することを特徴とする請求項１〜６のいずれかに記載の複合物品。
8. 熱可塑性ポリマーは、ポリアミド（ＰＡ）、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）、ポリブチレンテレフタレート（ＰＢＴ）、ポリスチレン（ＰＳ）、アクリロニトリル−ブタジエンースチレン（ＡＢＳ）、熱可塑性ポリウレタン（ＴＰＵ）、ポリオレフィン、特にポリプロピレン（ＰＰ）、ポリエチレン（ＰＥ）、ポリカーボネート（ＰＣ）、ポリプロピレンオキシド（ＰＰＯ）、ポリスルホン（ＰＳＯ）、ポリフェニレンスルフィド（ＰＰＳ）、ポリイミド（ＰＩ）、ポリエーテルエーテルケトン（ＰＥＥＫ）系のもの又はこれらポリマーの混合物であって、補強されたもの、補強されていないもの及び／又は充填されたものであることを特徴とする請求項１〜７のいずれかに記載の複合物品。
9. 請求項１〜８のいずれかに記載の複合物品を製造する方法であって、
   （ｉ）コア層及び外側層を、外側層どうしの間にコア層を配置して、加圧成形型の中に導入する工程；
   （ii）少なくとも１つの外側層に注型用樹脂系を適用する工程；
   ［但し、工程（ｉ）と工程（ii）とはいずれの順序で実施してもよい］
   （iii）コア層を外側層と共に加圧成形してサンドイッチ構造を形成し、サンドイッチ構造の少なくとも１つの領域において外側層を一体にプレスする工程；
   （iv）前記工程（iii）で加圧成形したサンドイッチ構造を型から取り出す工程；
   （ｖ）前記加圧成形したサンドイッチ構造を射出成形型の中に導入し、及び、外側層を一体にプレスした領域においてサンドイッチ構造上へ熱可塑性ポリマーを射出成形する工程
   を含んでなることを特徴とする方法。

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