JP2007525490A - 膜骨格タンパク質 - Google Patents

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イェレナ ブイ. グリンコバ,
イリア ジー. デニソフ,
ステファン ジェームス グリンメ,
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Abstract

本発明の膜骨格タンパク質(MSP)は、疎水性タンパク質または部分的に疎水性のタンパク質と集合して、天然の構造および機能を保持する可溶性のナノスケール粒子を形成し;MSPは、安定性および生物学的活性の保持および天然の形状の観点で、リポソームおよび界面活性剤ミセルよりも改良されている。リン脂質の存在下で、MSPはナノスケールのリン脂質二重層ディスクを形成し、MSPは二層ドメインの周囲で粒子を安定化させる。粒子二層構造は、走査プローブ顕微鏡または表面プラズモン共鳴のような表面感受性技術を用いる使用のためを含む、溶液中または固体支持体上に組み込まれたタンパク質の操作を可能にする。ナノスケール粒子は、結合性および組み込まれたタンパク質の生物学的活性の維持の観点で優れており、薬学的および生物学的研究、構造/機能相関、構造決定、生体分離、および薬物開発を容易にする。

Description

本発明の分野は、分子生物学および膜技術を含む。具体的には、本発明は、膜骨格タンパク質(MSP)、特に人工MSP、および完全または部分的に疎水性のタンパク質を安定化し、分散し、可溶化するための、膜骨格タンパク質(限定されないが、つながれ、埋め込まれ、または一体型の膜タンパク質が挙げられる)を、これらのタンパク質の生物学的活性を維持しながら使用する方法、または天然の膜環境の模倣物内に可溶化された膜断片または膜から精製されるか、化学的に可溶化されるか、または直接的に得られるタンパク質を安定化し、分散し、可溶化するための方法に関する。疎水性タンパク質は、本明細書中でナノディスクと呼ばれるナノスケールのディスク様構造を形成するための膜骨格タンパク質と関連する。
数年前、本願発明者らは、アポリポタンパク(ヒト血清から調製)と錯体化された脂質の構造的研究および機能的研究を続行し、プローブ顕微鏡を走査することによって、例えば、配向した様式の雲母上への合成高密度リポタンパク質ディスク(rHDL、アポA−I)の吸着を用いて、これらの分子集合体を特徴付けた(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4)。観察される円板状構造の直径は約10nmであり、高さは5.5nmである。観察される高さ5.5nmの位相幾何学は、原子的に平坦な雲母表面にエピタキシャルに配向した単一膜二重層と、最も互換性を持つ(非特許文献1)。
本願発明者らは、精製された膜タンパク質が、特定のこのような円板状構造のリン脂質二重層ドメインに再構成されることができ、溶液中で試験されるか、または配向されたタンパク質二重層アセンブリの表面を利用する構造技術または分光学技術による試験のために、その後に適切な表面上に吸着されることをその後発見した。後者の場合、膜タンパク質を含有するその下にある円板状構造は、容易に認識可能であり、サンプルおよび画像の質を判断するための参照点を与える。
高密度リポタンパク質(HDL)はアポA−1と呼ばれるタンパク質および種々のリン脂質成分の球状アセンブリである。HDL分子は、コレステロール逆輸送のための主要な導管として作用することによって、哺乳動物のコレステロールホメオスタシスにおいて重要な役割を果たす(非特許文献5)。コレステロールトランスポーターとしてのHDLの機能は、HDLリポタンパク質粒子内へのコレステロールエステルの挿入を媒介するHDL関連酵素レシチン−コレステロールアシルトランスフェラーゼ(すなわち、LCAT(非特許文献6;非特許文献7))の活性に依存する。アポA−1タンパク質の特定の部分は、この酵素の活性のために必要である(非特許文献8)。それに加えて、アポA−1タンパク質の一部分は、N末端の球状ドメイン内にあると考えられており、細胞表面レセプターとの相互作用の原因となると考えられている。HDL粒子の1つの発生形態は、染色された調整物の電子顕微鏡法に基づいて円板状の形態であるとみなされた(非特許文献9)。本願発明者らの研究所は、水性条件下でのrHDLの合成形態の原子力顕微鏡(AFM)の研究を用いてこれを確認した。しかし、この形態は、インビボで循環している主要な形態ではない。むしろ、アポA−1配列は、さらに一般的な球状構造形態を安定化させるために発達したと思われる。
HDLディスクの発生期の構造の2つの一般的モデルが提案された。1つのモデルは、湾曲している分割されたαらせんのロッドから構成される水平バンドまたは「ベルト」としての円形の二重層部分に囲まれるアポA−1タンパク質を有する(非特許文献10)。他の「杭垣」モデルは、一連のらせん部分で二重層の端を垂直に横断するタンパク質を有する(非特許文献11)。両モデルは主に間接的な実験証拠に基づき、粒子全体の三次元構造は両モデル間で区別することができない。
現在認められているモデルはベルトモデルであり、このモデルは、いくつかの電子顕微鏡法および中性子散乱データと整合しており(非特許文献10)、このらせんは「ベルト」のような二重層ディスクの端周辺に縦に配列される(非特許文献12)。二色性測定値のためのサンプル配向の新規な方法を使用しているさらに最近の赤外線スペクトル法研究は、以前の調査と比較して、ベルトモデルとさらに整合性がある(Wald et al.,1990;非特許文献13)。これまで、脂質なしで結晶化したアポA−1についての低分解X線結晶構造(非特許文献14)が得られているにもかかわらず、このモデルが正しいという完全で直接的な証拠が存在しない。N−末端で先端を切断したアポA−1の低分解結晶構造は、蹄鉄形状にたわみ、約125×80×40Åの円形の凝集物を与えるように組み合わされる4本のらせんロッドから構成されるテトラマー種を含有する単位セルを示す。このベルト形状におけるダイマー種が円板状分子を形成可能であることが示唆された。
コレステロール逆輸送サイクルおよびHDL粒子の成熟に関する現在までの情報は、アポA−1タンパク質がリポタンパク質粒子の形成を生じる膜と自発的に相互作用可能な固有の性質を有することを示唆する。初期のアポA−1脂質結合事象が提案された(Rogers et al.,1998)が、二重層に関連する形態の円板状分子への変換についての機構は不明なままである。利用可能な証拠は、脂質を含まないアポA−1の安定化エネルギーがかなり低く、2つの配座異性体間に平衡が存在することを示唆する(非特許文献15;Rogers et al.,1998)。1つの配座異性体は長いらせんのロッドであってもよく、もう1つは長さが約半分のらせん「ヘアピン」構造であってもよい。脂質膜に遭遇する場合、低い安定化エネルギーおよび配座の形成性が、アポA−1を構造的に再編成可能にし、膜とタンパク質の両方に必要な構造変化が容易に起こり、別個のリポタンパク質粒子が得られることが示唆された(Rogers et al., 1998)。一旦これらの粒子が形成されると、アポA−1は、リポタンパク質粒子の動的な機能性および酵素とレセプターとの間の相互作用に貢献する特定の配座の変化を受け得る。これらの相互作用および変化の全てが、タンパク質−脂質界面で起こり、特定の位相幾何学において、重要な残り部分の表面への近づきやすさを与える。このように、アポA−1自身が制御された寸法の安定なナノメートルサイズのリン脂質二重層を生成するのに理想的であると考える理由がほとんどない。
異なる種類の脂質凝集物が、精製された膜タンパク質の再構成および研究のために使用され;これらの凝集物は、膜分散物、界面活性剤、界面活性剤ミセルおよびリポソームを含む(図1)。生化学的研究および物理学的研究のための精製されたシステムは安定性を必要とするが、これはこれらのシステムに固有ではないか、またはこれらのシステムに限定されない。リポソームは、内部水を含有している閉じた球状二重層シェルである。界面活性剤透析または他の方法によるリポソーム内への再構成は、典型的には、外側および内腔の空間に関してタンパク質のランダム配向を生じる。リガンドまたはタンパク質標的が通常は親水性であるか荷電しているため、それらは図1に示されるようにリポソーム二重層を通過することができない。但し、これはいくつかの例において有利である場合がある。リポソーム二重層の両側にはかさ高いものを溶解するほど近づくことができないため、二重層の反対側のドメイン間のカップリング効果は研究するのが困難である。リポソームはさらに、凝集し融合する傾向があり、通常は、長期間、または特定の物理的操作(例えば流れの停止または激しい攪拌)下では不安定である。リポソームのサイズは、均一の直径を示すのではなく、むしろ粒度分布において多分散の規定の円筒状の細孔径を通って押し出されることによって得られた。
リポソームはさらに、光分散、二重層中に存在する膜タンパク質の凝集および熱力学的不安定性に起因する問題点を示す場合がある(非特許文献16;非特許文献17)。リポソームの表面積は比較的大きい(10〜10)。組み込まれた1個の膜タンパク質を有するリポソームを得るために、脂質:タンパク質の大きなモル比を必要とする。
界面活性剤ミセルは、タンパク質膜に埋め込まれた部分との相互作用によって、膜タンパク質の可溶化を可能にし、利用が容易になる。界面活性剤ミセルは動的であり、サブユニット解離を促進する構造変動を受け、希釈溶液中でタンパク質を扱う能力において問題がしばしば生じる。しかし、過剰の界面活性剤ミセルは、凝集していない可溶性状態にタンパク質を維持するのに必要である。界面活性剤はさらに変性することがあり、しばしば、リン脂質二重層系中に見られる性質を維持していない。リン脂質種は、しばしば、タンパク質の構造および機能を支持し、調整するために必要である(非特許文献18)。このように、界面活性剤に可溶化された膜タンパク質の構造、機能および安定性は、異議を唱えられる場合がある。過剰の界面活性剤ミセルが必要であるため、タンパク質複合体は、タンパク質濃度および界面活性剤:タンパク質比に依存して解離する場合がある。対照的に、本発明のMSPなの構造は、構造的に最も強く、別個のサイズのリン脂質二重層模倣ドメインおよび組成物を有し、ユニラメラリポソームよりも大きな安定性を有し、より小さな表面積を有する。ディスク構造は、界面活性剤のような二重層の両側に接近することが可能であり、さらに、リポソームのような二重層構造を提供する。
膜タンパク質および他の疎水性タンパク質または部分的に疎水性のタンパク質を分散し、これらのタンパク質の天然の活性および性質が保持されるための、安定で規定された組成物についての当該技術分野で長く必要性が感じられてきた。タンパク質以外の化合物もさらに、本発明のナノスケール粒子中に分散させることができる。
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(発明の要旨)
本明細書中で使用される膜骨格タンパク質(MSP)は、ナノメーターサイズの膜に重層内でリン脂質およびリン脂質混合物と共に自己集合する、人工の両親媒性タンパク質である。これらのナノメーターサイズのアセンブリのサブセットは、形状において円板状であり、ナノディスク構造と称される。これらのナノスケール粒子は、直径が約5〜約500nm、約5〜約100nm、または約5〜約20nmであることができる。リン脂質およびMSPを含むこれらの構造は、通常の膜の最終的な二重層構造を保持するが、溶液中に両方とも可溶性であり、種々の表面にアセンブリ可能かまたは付着可能なシステムを提供する。
特定の例示されるMSPのアミノ酸配列は、配列番号6、配列番号9、配列番号17、配列番号19、配列番号29、配列番号23、配列番号43、配列番号44、配列番号45および配列番号73〜86、配列番号91〜99、配列番号111、配列番号113、配列番号115、配列番号117、配列番号119、配列番号129、配列番号131、配列番号133および配列番号135、およびN−末端12アミノ酸Hisタグまたは23アミノ酸HisTEVタグ部分を欠失している対応する配列で与えられる。さらに、1〜5アミノ酸の保存的酸置換、挿入または欠失を有する人工改変MSP、または特定の例示されたMSP配列と70〜100%のアミノ酸配列同一性を有する人工改変体も本発明の範囲内である。
His−タグおよび/またはHis−tag TEV配列を含有するMSP、およびタンパク質の「タグ」部分を除去するためのタンパク分解または他の開裂の結果物であるMSP、およびプロテアーゼ認識配列から誘導される1つ以上のアミノ酸をN−末端で含有するMSP、本明細書中の表において具体的に例示されるか、または機能改変を有してもよいMSP(例えば、本明細書中に開示されるような、P1‘位置に、SerまたはGlyのいずれかを有するTEV認識配列)は、本発明の範囲内である。P2‘位置での特定のアミノ酸置換が、His TEV−MSPまたはそれらのタンパク分解産物において可能であり;例えば、P21アミノ酸が、Ser、Gly、Thr、Ala、Asn、LysまたはMetであることができることがさらに理解される。このような置換を有するMSPは、本発明の範囲内である。特定の実施形態では、天然に生じる膜骨格タンパク質、例えば、アポリポタンパクA−1、A−II、C−I、C−II、C−IIIまたはE、アポリポホリンIIIは特に、本発明のMSPの代わりに使用することができる(すなわち、この組み合わせは従来技術に報告されていない)。
人工MSPを組換え的に産生する方法はさらに本発明の範囲内である。具体的に例示された人工MSPに加えて、人工MSPの主な構造内に含まれるさらなるらせんドメインが存在することができ、例えば、アポA−II、アポC−I、アポC−II、アポC−III、アポE、アポリポホリンIII、ミオグロブリンまたはヘモグロビンから誘導されるものが存在することができる。らせんビルディングブロック(部分的な実施例について表19を参照)の数および順序は変動させることができ、但し、ナノディスク形成の自己集合機能が存在する。
本発明はさらに、さらなる疎水性分子または部分的に疎水性の分子を組み込むための、疎水性タンパク質または部分的に疎水性のタンパク質を含むMSPを用いて形成されるナノメータースケールリン脂質二重層構造またはナノディスクの使用を提供する。これらのさらなるタンパク質は、例えば、界面活性剤を用いて可溶化させることができる、可溶化したタンパク質は、リン脂質を含んでまたは含まないでMSPの溶液に添加することができ、ナノスケール粒子は、MSPおよびさらなる「標的」タンパク質が安定で可溶性の粒子に組み込まれるように自己集合する。次いで、任意の界面活性剤を、透析またはイオン交換樹脂またはマクロ多孔性のポリマー吸着ビーズ、例えば、スチレンジビニルベンゼンで作成されたBiobeadを用いた処理によって除去することができる。
MSP、膜断片、膜または精製もしくは部分的に精製された疎水性タンパク質または部分的に疎水性のタンパク質の分散において有用な界面活性剤(または他の可溶化剤)としては、限定されないが、コール酸、中和されたコール酸、デオキシコール酸、デオキシコール酸ナトリウム(n−ドデシル−p−D−マルトシドを含む)、t−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール(Triton X−100、Union Carbide Chemicals and Plastics Co.,Inc.)、n−オクチル−β−D−グルコピラノシド(オクチルグルコシド)、オクタエチレングリコールモノドデシルエーテル(C12E8)、ノナエチレングリコールモノドデシルエーテル(C12E9)、エマルゲン913、ミリストイルスルホベタイン、ジヘキサノイルホスファチジルコリン、ジギトニンおよびJB3−14が挙げられる。ペプチド界面活性剤も同様に使用することができる。高い流体力学上の圧力(約200〜約200,000気圧)はまた、疎水性タンパク質または部分的に疎水性のタンパク質または他の分子を可溶化する(溶媒和する)ために用いることができる。
本発明のナノディスクアセンブリ方法において使用可能なリン脂質としては、限定されないが、特に、PC、ホスファチジルコリン;PE、ホスファチジルエタノールアミン、PI、ホスファチジルイノシトール;DPPC、ジパルミトイル−ホスファチジルコリン;DMPC、ジミリストイルホスファチジルコリン;POPC、1−パルミトイル−2−オレイル−ホスファチジルコリン;DHPC、ジヘキサノイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルイノシトール;ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン;ジミリストイルホスファチジルイノシトール;ジヘキサノイルホスファチジルエタノールアミン;ジヘキサノイルホスファチジルイノシトール;1−パルミトイル−2−オレイル−ホスファチジルエタノールアミン;1−パルミトイル−2−オレイル−ホスファチジルイノシトールが挙げられる。リン脂質は、グリセロール骨格を含有することができ、またはリン脂質は、スフィンゴ脂質を含むことができる。一般的に、リン脂質は、以下に例示される一般的に使用されるヘッドグループを有する6〜20個の炭素原子を有する飽和脂肪酸を有し、ヘッドグループとしては、限定されないが、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミンおよびホスファチジルセリンが挙げられる。ヘッドグループは、荷電していないか、正に荷電しているか、負に荷電しているか、または双極性であることができる。リン脂質は、天然(天然に生じるもの)または合成(天然には生じないもの)、または天然および合成の混合物であることができる。望ましくは、MSP:全膜タンパク質のモル比は、約10nm直径のそれぞれの円板状構造において約100〜約200のリン脂質分子を産生するようなモル比である。これらのタンパク質は、天然または生きた有機物の種々の膜構造と関連して見出され、自己集合のプロセスを介してナノ二重層またはナノディスクに支持されたMSP中に可溶化し、天然の構造および標的タンパク質の活性は、これらのMSPに支持された構造において保持されている。
精製または可溶化された疎水性タンパク質または部分的に疎水性のタンパク質に加えて、膜または膜断片または破壊された膜に結合するか、または膜または膜断片または破壊された膜内の疎水性タンパク質または部分的に疎水性のタンパク質は、標的タンパク質の前精製の必要なく、本発明のMSPと共にアセンブリ可能である。当業者に理解される。特定のリン脂質の性質が、ナノディスクの特定の適用のためのその適性を決定し;例えば、整合性あるゲル状であるDPPCは、特定の適用における使用のために適切な選択ではない。膜タンパク質がインタクトまたは可溶化された膜または膜断片からナノディスクに直接組み込まれる場合、MSP1の使用はMSP2の使用よりも好ましい。
二重層またはナノディスクに支持されたMSPは、構造物に支持されたMSPに組み込まれたタンパク質の天然構造およびリガンド結合、抗原性決定物および/または酵素活性が維持されるように、溶液中で使用されるか、または多くの表面に適用されることができる。特定的に例示される場合、構造物に支持されたMSPは、金表面に、例えば、表面プラズモン分解技術における使用のために、マルチウェルプレートに、または限定されないが、ビーズ、磁気粒子、クロマトグラフィーマトリックス材料およびその他を含む固体表面に、付着する。MSPが付着可能な固体材料としては、限定されないが、金、ケイ素、ポリスチレン、水晶、シリカ、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、および他の単純な物質または複雑な物質が挙げられる。ポリヒスチジン配列(Hisタグ)がMSPの一部分として保持されている場合、ナノディスクは、例えば、ニッケル−NTA−コーティングされた表面に結合することができる。このような技術を用いて、表面への結合を媒介するか、または精製を容易にし、一般的にN−末端またはC−末端で目的のタンパク質に対して融合可能な他のオリゴペプチドタグとしては、限定されないが、ストレプトアビジンまたはその誘導体のストレプトアクチン(Sigma−Genosys)に直接結合するstrep−タグ(Sigma−Genosys,The Woodlands,TX);固体支持体にカップリングしたグルタチオンに直接結合するグルタチオン−S−トランスフェラーゼ遺伝子融合系(Amersham Pharmacia Biotech,Uppsala,Sweden);カルモジュリン樹脂を用いた精製が可能なカルモジュリン−結合ペプチド融合系(Stratagene,La Jolla,CA);およびアミロース樹脂に結合可能なマルトース結合タンパク質融合系(New England Biolabs,Beverly,MA)が挙げられる。
Hisまたは他のタグが、せんドメインの形成と干渉せず、ナノディスクのアセンブリを媒介する能力と干渉せず、らせん形成および粒子アセンブリのために必要ともされないことが注記される。MAP一次配列の適切な改変を用いて、ポリヒスチジンまたは他のタグ部分は、特定のタンパク分解によって、例えば、Tobacco Etch Virusプロテアーゼを用いて除去することができ、ここで、タグとMSPの第1のらせんドメインとの間の同源認識配列が存在する。
本発明はさらに、膜に関連するか、または本発明の少なくとも1つのMSPを含む他の疎水性タンパク質または部分的に疎水性のタンパク質(または他の疎水性分子または部分的に疎水性の分子)をナノスケール脂質二重層またはナノディスクに組み込むための方法に関する。膜タンパク質(つながれ、埋め込まれ、または一体型の)は、本発明の方法において使用することができる。これらのタンパク質は、可溶化されたインタクトな膜調製物、インタクトな細胞(天然または組換え)から、または破壊された膜または膜断片から、膜タンパク質の前調製または前フラグメント化を行なうことなく、MSPを有するナノスケール粒子に組み込むことができるか、またはタンパク質は、組み込みの前に精製することができる(必要な場合可溶化して)。
タンパク質の比較的小さな部分を解して膜二重層と関連するつながれた膜タンパク質は、種々の供給源由来のシトクロムP450レダクターゼおよびシトクロムb5タンパク質によって例示することができる。
埋め込まれた膜タンパク質は、二重層とより広範囲な集合を有するが、典型的には、タンパク質のバルクは、細胞外環境または細胞質と接触した状態である。埋め込まれた膜タンパク質の例としては、限定されないが、一般的な種類の膜関連シトクロムP450、例えば、ウサギ肝臓ミクロソーム由来のシトクロムP450 2B4、ヒト肝臓ミクロソーム由来のシトクロムP450 3A4、および昆虫ミクロソーム由来のシトクロムP450が挙げられる。
一対型膜タンパク質は、膜二重層中のらせんセグメントを含む一般的な種類のタンパク質によって例示され、例えば、7−らせん膜貫通タンパク質、限定されないが、Halobacterium halobium由来のバクテリオロドプシン(bR)、ヒトp−アドレナリン作動性レセプター、ホモサピエンス由来の5−ヒドロキシトリプタミン1A G−タンパク質結合レセプター、およびヒト、植物、動物または他の供給源由来の他のG−タンパク質に結合したタンパク質レセプターが挙げられる。概して、一対型膜タンパク質は、膜二重層から延びる少なくとも1つの部分を有する。他の例としては、限定されないが、チャネル形成タンパク質、トランスポータータンパク質、シグナル形成タンパク質、サイトカインレセプター(例えば、腫瘍壊死因子レセプター)、インターロイキンレセプター、Fasレセプター、CD27、CD40、CD30、インスリンおよびインスリンファミリーレセプター、ドーパミンレセプター、リゾホスファチジン酸レセプター、およびケモカインレセプター、例えば、CXCR4およびCCR5、ドーパミンレセプター、および増殖因子レセプター(例えば、上皮細胞成長因子および/またはHGFレセプター)が挙げられる。膜二重層を通過する1〜20個を超えるタンパク質のドメインが存在することができる。本発明のナノスケール粒子に首尾よく組み込まれた1パスタンパク質の例は、Escherichia coli由来のアスパルテートレセプター(Tar)であり、ナノディスクに組み込まれた20個の6パスタンパク質はE.coliトランスヒドロゲナーゼである。膜タンパク質のそれぞれの種類のメンバーは、MSPおよび本発明の方法を用いてナノスケール構造に首尾よく組み込まれる。特に、細胞表面レセプター、特にGタンパク質結合型レセプター(限定されないが、βアドレナリン作動性、ケモカインおよび他のレセプタータンパク質が挙げられる)は、本発明の膜骨格タンパク質(MSP)内に形成されるナノ二重層に組み込むことができる。7−らせん膜貫通タンパク質の-ダイマーまたはそれ以上のオリゴマーがナノディスクに組み込まれることが望ましい場合、9nm直径よりも大きなナノディスクが好ましく、比較的大きなMSP配列(例えば、MSP1E1、MSP1E2またはMSP1E3)の使用によって達成することができる。
本発明はさらに、自己集合したナノ粒子の安定性および単分散を増加させる人工または天然に生じるMSPを用いた物質および方法を提供する。Gタンパク質結合型レセプター(GPCR)は、シグナル導入要素として機能し、いくつかの種類の生体活性リガンドに結合し、細胞内の仕組みに情報を伝える、哺乳動物細胞膜における薬学的標的の重要で多様な種類である。本発明の人工MSPは、GPCRsの膜関連形態を安定化させ、可溶化させ、溶液中またはフローサイトメトリー、ハイスループットスクリーニング適用において使用するための固体支持体上で使用するための、表面プラスモンバイオセンサーおよび走査プローブ技術のための表面で使用するための、および他の分析適用のための製および操作を可能にする。本発明ののナノディスク作成のための方法は、安定な、生物学的に活性で可溶性の形態で、天然に産生または組換え膜タンパク質の精製を容易にするために使用することができる。
さらに、目的の分子またはイオンをナノディスク内のタンパク質(または他の分子)に吸着または結合するための方法であって、ここで、このタンパク質(または他の分子)は、目的の化合物またはイオンを含有する溶液から目的の化合物またはイオンの除去を促進するように十分なアフィニティーを有して目的の化合物またはイオンに結合する方法は本発明の範囲内である。ナノディスク技術のこの適用は、汚染物質を除去するために使用することができるか、または、分離または精製スキームにおいて使用することができる。同様に、MSPおよびリン脂質を含有するナノディスクは、比較的非特異的な様式でナノディスクのリン脂質部分
疎水性物質を分配することによって、疎水性物質を溶液から分離するために使用することができる。非限定的な例として、親油性色素は、自己集合プロセスの間、または溶液からナノディスクの二重層内で分配することのいずれかによって、ナノディスク内に組み込まれることが示されている。
本発明はさらに、ナノディスクの外側上で目的のタンパク質または炭水化物がMSPに結合(共有結合または非共有結合)するナノディスク粒子を提供する。あるいは、炭水化物またはタンパク質は、アルカンまたはリン脂質に共有結合することができ、炭水化物が外側の水性環境にに接近可能なように、ナノディスク内に組み込まれる。炭水化物はさらに、ナノディスク内に組み込まれる糖タンパク質の形態であることができる。このような炭水化物を有するナノディスクは、インビボまたはインビトロのいずれかで、細胞応答をポジティブまたはネガティブに調整するために使用することができる。このことはさらに、ナノディスクによって保有される炭水化物または他の分子の選択に依存して、ナノディスクを細胞またはレクチンを示す表面またはレクチンの表面、またはレセプターのリガンドのレセプターに向けるために使用することができる。ナノディスクに共有結合または非共有結合したタンパク質としては、限定されないが、抗体またはそれらの抗原結合フラグメント、標的分子または目的の細胞に結合可能な付着分子または他のタンパク質または糖タンパク質が挙げられる。
本発明のさらに別の局面、ナノディスクの疎水性コア内への疎水性治療分子または化粧用分子の組み込みである。このストラテジーは、化合物の循環寿命を延ばすことができ、比較的不溶性および/または分子の持放性放出の利点をさらに提供することができる。このような疎水性治療剤としては、限定されないが、光力学性治療剤、例えば、ソラレン、ポルフィリンおよびフタルアシアニン関連分子、タモキシフェン、パクリタキセル、抗癌剤、例えば、アドリアマイシン、ダウノルビシンまたはドキソルビシン、コレステロール低下薬物、抗菌剤、例えば、バンコマイシン、脂溶性ビタミン、例えば、DおよびE、および抗真菌剤、例えば、アゾール(例えば、ケトコナゾール)またはポリエン(例えば、アンホテリシンB)を挙げることができる。化合物が組み込まれたナノディスクはさらに、本発明の範囲内である。
ナノディスク内に組み込まれるかまたはナノディスクに結合(例えば、MSPに対する共有結合によって)可能な他の分子としては、特に、抗体、モノクローナル抗体、同源抗原、レクチン、ホルモン、ケモカイン、リンフォカイン、ペプチド、脂質、アルブミン、アミノ糖およびレクチン、核酸に結合可能な抗原フラグメントが挙げられる。本発明のナノディスクはさらに、皮膚の概観または質を向上させる親油性薬剤(限定されないが、ビタミンAおよび/またはEまたはレチノールが挙げられる)を安定化し、送達するために使用することができる。ナノディスク粒子を含み、治療用または化粧用活性成分が組み込まれた有効量の治療用または化粧用活性組成物を投与または適用することによって皮膚を向上させるための方法または疾患を処置するための方法は本発明の範囲内である。このような疎水性薬剤は、直接的にまたは疎水性(親油性)低分子と自己集合を介してナノディスク内にパッケージングされる。
本明細書中で議論される薬物(治療用薬剤)は例であり、いかなる様式でも限定することを意味するものではない。疎水性抗炎症剤としては、限定されないが、任意の既知の疎水性非ステロイド抗炎症剤、および任意の既知の疎水性ステロイド抗炎症剤、任意の既知の非ステロイド抗炎症剤、例えば、サリチル酸誘導体(アスピリン)、パラ−アミノフェノール誘導体(例えば、アセトアミノフェン)、インドールおよびインデン酢酸(インドメタシン)、ヘテロアリール酢酸(ケトロラク)、アリールプロピオン酸(イブプロフェン)、アントラニル酸(メフェナム酸)、エノール酸(オキシカム)、およびそれらの相対的な糖コルチコイド(代謝性)およびミネラルコルチコイド(電解質を調整する)活性に対してコルチコステロイドおよび生物学的に活性な合成アナログを含むことができるアルカノン(ナブメトン)および任意の既知のステロイド抗炎症剤が挙げられる。さらに、ナノディスクに組み込まれる炎症の治療または抗炎症剤において使用される他の薬物としては、限定されないが、自能性アンタゴニスト、例えば、全てのヒスタミンおよびブラジキニンレセプターアンタゴニスト、ロイコトリエンおよびプロスタグランジンレセプターアンタゴニスト、および血小板活性化因子レセプターアンタゴニストを挙げることができる。
抗菌剤としては、限定されないが、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤および抗原虫剤を上げることができる。抗菌剤(抗生物質)の非限定例は、スルホンアミド、トリメトプリム−スルファメトキサゾール、キノロン、ペニシリンおよびセファロスポリンである。抗真菌薬としては、限定されないが、アゾールが挙げられ、特に、アンホテリシンBおよびナイスタチンが挙げられる。原生動物に対して有効な治療用化合物を、同様にナノディスク内に組み込むことができる。可溶化、潜在的な毒性の減少および徐放は利点である。
抗新生物剤としては、限定されないが、臓器表面または臓器内部に存在してもよい腫瘍(例えば、特に、癌、肉腫、造血癌、例えば、粘液腫、脂肪腫、乳頭状の弾性線維腫、横紋筋腫、線維腫、血管腫、テラトーマ、房室結節の中皮腫、リンパ腫、および標的臓器に対して転移する腫瘍)を処置するために適切な薬剤(癌化学治療剤を含む)、当該技術分野で周知の種々の薬剤、例えば、アドリアマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、タモキシフェンおよびパクリタキセルが挙げられる。抗新生物剤はさらに、新生細胞に特異的な抗体および治療用放射性核種または他の治療薬剤が結合した抗体を含むことができる。
脈管形成因子(例えば、臓器修復を促進するための、または血栓症を回避するバイオバイパスの発達のための)としては、限定されないが、塩基性線維芽細胞成長因子、酸性線維芽細胞成長因子、血管内皮成育因子、アンギオゲニン、腫瘍増殖因子、腫瘍壊死因子、アンジオポイエチン、血小板由来増殖因子、胎盤の成育因子、肝細胞増殖因子およびプロリフェリンが挙げられる。
血栓溶解(凝血塊溶解)剤としては、限定されないが、ウロキナーゼ、プラスミノーゲンアクティベータ、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、α2−プラスミンインヒビターのインヒビターおよびプラスミノーゲンアクティベータインヒビター−1、アンギオテンシン変換酵素(ACE)インヒビター、スピロノラクトン、TPA(tPA)、インターロイキンIβ−転換酵素のインヒビター、抗トロンビンIII、などのインヒビターが上げられる。
標的器官が心臓である場合、送達するための例示的な薬物としては、水にほとんど可溶性ではな薬物に必ずしも限定されないが、水、成育因子、脈管形成剤、カルシウム拮抗薬、血圧降下剤、変カ性因子、反アテローム生成剤、血液凝固阻止剤、β遮断剤、反不整脈剤、強心配糖体、抗炎症剤、抗生物質、抗ウイルス因子などが挙げられる。
カルシウム拮抗薬としては、限定されないが、ジヒドロピリジン、例えばニフェジピン、ニカルジピン、ニモジピンなど;ベンゾチアゼピン(例えばジリタゼム);フェニルアルキルアミン(例えばベラパミル);ジアリールアミノプロピルアミンエーテル(例えばベプリジル);およびベンズイミダゾール置換テトラリン(例えばミベフラジル)が挙げられる。血圧降下剤としては、限定されないが、サイアザイド(例えばヒドロクロロチアジド、フロセミド、スピロノラクトン、トリアムテレンおよびアミロライド)を含む利尿剤;クロニジン、グアナベンズ、グァンファシン、メチルドパ、トリメタファン、レセルピン、グアネチジン、グアナドレル、フェントラミン、フェノキシベンズアミン、プラゾシン、テラゾシン、ドキサゾシン、プロパノロール、メトプロロール、ナドロール、アテノロール、チモロール、ベタキソロール、カルテオロール、ピンドロール、アセブトロール、ラベタロールを含む抗アドレナリン作働剤;ヒドラリジン、ミノキシジル、ジアゾキシド、ニトロプルシドを含む血管拡張剤;およびカプトプリル、ベナゼプリル、エナラプリル、エナラプリラート、フォシノプリル、リシノプリル、キナプリル、ラミプリルを含むアンギオテンシン変換酵素阻害剤;アンギオテンシンレセプターアンタゴニスト(例えばロサルタン);およびカルシウムチャンネルアンタゴニスト、ニフェジン(nifedine)、アムロジピン、フェロジピンXL、イサジピン(isadipine)、ニカルジピン、ベンゾチアゼピン(例えばジルチアゼム)およびフェニルアルキルアミン(例えばベラパミル)が挙げられる。血液凝固阻止剤としては、限定されないが、ヘパリン、ワルファリン、ヒルジン、チック血液凝固阻止剤ペプチド、低分子量のヘパリン(例えばエノキサパリン、ダルテパリンおよびアルデパリン)、チクロピジン、ダナパロイド、アルガトロバン、アブシキマブおよびチロフィバンが挙げられる。
抗不整脈剤としては、限定されないが、ナトリウムチャネル遮断薬(例えばリドカイン、プロカインアミド、エンカイニド、フレカニド(flecanide)など)、βアドレナリン作動の遮断薬(例えばプロプラノロール)、活動電位持続(例えばアミオダロン)の長引かせるものおよびカルシウム拮抗薬(例えばベルパミル(verpamil)、ジルチアゼム、塩化ニッケルなど)が挙げられる。心筋抑制薬(例えばリドカイン)、強心薬(例えばイソプロテレノール、ドーパミン、ノルエピネフリン、その他)および多数の心臓剤(例えば心房性細動を処置するジゴキシン/キニジン)の組合せの送達は、本発明のナノディスクを使用して可能である。
うっ血性心不全を処置する薬剤としては、限定されないが、強心配糖体、変カ性因子、ループ利尿薬、チアジド利尿薬、カリウムイオンを割いている利尿剤、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、アンギオテンシン受容体アンタゴニスト、ニトロ血管拡張剤、ホスホジエステラーゼインヒビター、直接の血管拡張神経、アドレナリン受容体きっ抗薬、カルシウム拮抗薬および交感神経様作動薬が挙げられる。心筋症を処置することに適している薬剤としては、限定されないが、ドーパミン、エピネフリン、ノルエピネフリンおよびフェニルエフリンが挙げられる。
再狭窄の発生率を予防するかまたは減少する薬剤がさらに適しており、この薬剤としては、限定されないが、タキソール(パクラタキサン(paclataxane))および関連化合物;および抗分裂剤が挙げられる。組み込むことができる他の化合物としては、ビタミンA、DおよびEと、スタチンのようなコレステロール制御薬物が挙げられる。
低分子の治療薬剤は、本発明のナノスケール円板状粒子に組み込むことができる。ナノディスクの有利な血漿寿命、ナノディスクを囲む親媒性の膜骨格タンパク質を介して部分的に疎水性の化合物を可溶性にすること、およびナノディスクのMSPまたはリン脂質成分の改変を介する潜在的な標的化能力は、提供される重要な利点である。例15〜18は、アンホテリシンB、ケトコナゾールおよび光力学性剤を用いる特定の具体例を提供するが、他の治療用分子を同様の比率およびプロトコルを用いて組み込むことができる。童謡に、特に例示されるMSPはMSP1T2であるが、本明細書中に教示される性質を有する他のものをそれと置換することができる。
治療用ナノディスク組成物は、安定な可溶性溶液として望ましく維持され;ナノディスクの溶液はさらに、凍結乾燥することができ、乾燥粉末として貯蔵することができる。ナノディスク中に含有される特定の治療用化合物の必要な患者への投与は、意図される患者の応答に十分な用量で、好ましくは、非経口経路によってであり、非経口経路は、動脈内、筋肉内、皮内、皮下を含むことができ、または、例えば、エアロゾール適用(特に乾燥粉末薬物−ナノディスク調製物によって)またはさらに下部の呼吸系を介して粘膜表面と接触させることができる。
本発明のナノディスクはさらに、皮膚の外観および/または質を向上させる親油性剤(限定されないが、ビタミンEまたはレチノールを含む)を安定化し、送達するために使用することができる。皮膚の外観を改善するための方法または疾患を処置するための方法はさらに、本発明の範囲内である。このような疎水性剤は、直接または脂質およびリン脂質成分の自己集合を介してナノディスク内にパッケージングされる。投与は、望ましくは、ナノディスクを含む所定量の組成物の局所的投与によってであり、ナノディスク内には、向上が必要な皮膚の外観を向上させるのに有効量で(および頻度で)、改良の必要な皮膚の領域に化粧用活性成分が組み込まれる適用を有する。
本発明の範囲は、疎水性または部分的に疎水性の抗原を有し、タンパク質、リポ多糖類、リポオリゴ糖またはリポタンパク質であることができる、ナノディスクの使用を含む。このようなナノディスクは、免疫原性組成物として、例えば、ワクチン成分として使用することができる。目的のウイルスタンパク質としては、限定されないが、ヒト免疫不全ウイルスのgp120、ヘルペス単純ウイルスのエンベロープグリコタンパク質、はしかウイルスのエンベロープグリコタンパク質、ASRSウイルスの「スパイク」タンパク質、インフルエンザウイルスのヘマグルチニン、パラインフルエンザウイルスのヘマグルチニン、が挙げられる。例示的な細菌性抗原としては、限定されないが、細胞表面タンパク質、例えば、Streptococcus pyogenesのM6タンパク質、Porphoryomonas gingivalisのフィムブリリン(fimbrillin)、Listeria monocytogenesのInIBタンパク質、Listeria monocytogenesのActAタンパク質、Yersinia enterocoliticaのYadAタンパク質、Shigella flexneriのIcsAタンパク質、Yersinia pseudotuberculosisのインベーシン、Vibrio choleraeの少なくとも1つのacf遺伝子産物、Bacillus anthracisのポリ−D−グルタメートポリペプチドを含むカプセル状物質、Staphylococcus aureusのフィブリノーゲン/フィブリン結合タンパク質、Yersinia pestisのVおよび/またはW抗原、Yersinia enterocoliticaまたはYersinia pseudotuberculosis、Campylobacterjejuniのフラジェリン、Campylobacterjejuniのポリンが挙げられる。同様に、Salmonella typhi、Salmonella choleraesuisまたはSalmonella enteritidisのO抗原は、本明細書中に記載されるタンパク質および方法を用いてナノディスクに組み込むことができる。
本発明はさらに、その中に、薬学的に受容可能なキャリアとともに少なくとも1つの疎水性または部分的に疎水性の抗原が組み込まれたナノディスクを含む免疫原性組成物を提供する。必要に応じて、アジュバントおよび/または免疫刺激剤、例えば、ケモカインは、本訴生物に組み込むことができる。ナノディスクは、抗原の天然形状を維持しつつ、水性環境にさらされた抗原の親水性領域を表面に出しつつ、疎水性抗原の安定化および可溶化を可能にし、免疫原性組成物が投与されたヒトまたは動物における免疫応答を向上させる。
本ナノディスク技術のさらなる適用は、医学または獣医学の設定において使用される診断手順および/または結像手順においてである。この適用において、標的因子は、ナノディスク内に埋め込まれるか、またはナノディスクに結合し、結合部位が水性環境および結像化合物(例えば染料、放射性核種または蛍光またはルミネッセンス分子)に接近可能であり、ナノディスク内に組み込まれる。適切な結像剤を有するナノディスクを用いて有用な結像技術は、当該術分野で周知であるように、磁気共鳴画像、電子常磁性共鳴イメージング、光学イメージングおよび超音波イメージングにおいて使用することができる。標的因子の結合部位は、抗原、腫瘍抗原、または他の細胞表面または組織特異的なマーカーに特異的である。ディスクは、結像剤、MSPおよび標的特異的なタンパク質を含む水性混合物からアセンブリ可能である。治療の導入に関しては、MSPは望ましくは抗原的に中性であり、すなわち、投与されたヒトまたは動物内の免疫応答を引き起こさないべきである。
抗原を含有するナノディスクのさらなる適用は、生物学的サンプル中の特定の抗原に特異的な抗体の検出のためのアッセイキットおよび方法を含む。ナノディスクに結合した抗原に結合する抗体の検出は、当該技術分野で既知の任意の手段によってなすことができる。生物学的サンプルにおける抗体の検出は、ヒトまたは動物を目的の抗原にさらす前であることを示し、しばしばこのアプローチは、病原体に対する暴露を認識するために使用される。生物学的サンプルは、得られたナノスケールリポタンパク質粒子において、より大きな安定性、種々のサイズの種類にわたる均質性、および有用な機能性について骨格タンパク質(MSP)を設計することによって、血液、血清、血漿または組織であることができる。これらの粒子は、例えば、ヒドロゲル中または金バイオセンサー表面上でのディスクの精製、表面に対する結合および物理的操作のためのタグを含むことができ、迅速で再生可能なアッセイおよび溶液系NMRスクリーニングおよび固体状態NMR構造研究のための強固な実在物として役立つことができる。NMR適用において、ナノディスクは、目的のタンパク質および他の疎水性分子のための、特にリガンド結合が研究されるレセプタータンパク質のための安定な単分散環境を提供する。例えば、ナノディスクに支持されたレセプターに結合する化合物は、より広いシグナルを示すことがあり、それ故に、+/−標的リガンド間の差スペクトルは、結合したリガンドの同一性を表すことができる。ナノ粒子および膜タンパク質骨格は、バイオテクノロジー、製薬産業および基礎研究において有用である。それに加えて、本発明者らの発見および関連技術でカバーされない構造的および機能的原理は、分子レベルでタンパク質と脂質二重層との間の相互作用の理解を容易にする。
ナノディスクは、1種類の機能性タンパク質を含有することができるか、またはMSPおよび得られたナノディスクが大きい場合、これらは巨大分子アセンブリ、例えば、細胞運動性モーター(鞭毛または睫毛)、多成分バイオリアクター、例えば、多酵素複合体、エネルギー変換錯体または光合成的錯体を含有することができる。シトクロムおよびレダクターゼタンパク質の組み合わせを含む巨大分子アセンブリの組み込みの際に、例えば、MSP1E1、MSP1E2またはMSP1E3を用いて比較的大きなMSPを使用してナノディスクを調製する。MSP1より大きなMSPが使用される場合、さらに大きなモル比の脂質:MSP(70:1〜140:1、または90:1〜115:1)を用いて組み込むことによってその結果が改良される。
1つより多いナノディスクが互いに関係する複合体はまた、本発明の範囲内である。複合体は、1個のナノディスク粒子よりもヒトまたは動物においてより長い循環時間を有することができる。これらの粒子の関連は、静電的相互作用(ここで、らせんの親水性表面の異なる部分が異なる電荷を有する)によって共に保持することができるか、または、例えば、MSPのらせんの少なくともいくつかの親水性表面がシステイン残基を含有する場合、これらはジスルフィド結合によって共有結合することができるか、またはMSP融合構築物の遺伝子操作によって構築することができる。複合体中の粒子は、治療用化合物、抗体または結像化合物を含むことができる。例えば、ガドリニウムは、ヒトにおける乏血イメージングにおいて使用するためにナノディスクに組み込むことができる。
本発明はさらに、適切に結合するタンパク質または酵素がその生体活性形状でナノディスク内に組み込まれた、特定の化学物質の解毒および/または治療において有用な組成物および方法を包含する。例は、少なくとも1つのハロゲン化炭化水素または軽炭化水素を酸化(および/またはハロゲン化)可能なタンパク質をコードするシトクロムP450コード配列である。例としては、限定されないが、トリクロロエチレン、エチレンジブロミド、クロロホルム、四塩化炭素、スチレン、ベンゼン、1,2−ジクロロプロパン、塩化ビニル、ジクロロメタン、塩化メチル、メチルクロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、パークロロエチレン、ジクロロエチレン、臭化ビニル、アクリロニトリル、ビニル炭酸塩、ウレタン、アセトアミノフェンおよびメチルtert−ブチルエーテルが挙げられる。最終的な立体化学およびホモオリゴマー化およびヘテロオリゴマー化状態を制御可能な、膜に結合したレドックス輸送パートナーありまたはなしのいずれかでのヒトシトクロムP450のナノディスクへの組み込みは、薬物代謝、薬物動態学およびリード化合物および候補薬の代謝物毒性研究の定量化のために医薬産業によって現在使用されている粗膜調製物に対して顕著な改良である。このような例において、ナノディスクは、溶液中で使用することができるか、またはナノディスクは、固体支持体に共有結合または非共有結合することができる。
(発明の詳細な説明)
本明細書中で使用される省略語として、以下のものが挙げられる:A、Ala、アラニン;M、Met、メチオニン;C、Cys、システイン;N、Asn、アスパラギン;D、Asp、アスパラギン酸;P、Pro、プロリン;E、Glu、グルタミン酸;Q、Gin、グルタミン;F、Phe、フェニルアラニン;R、Arg、アルギニン;G、Gly、グリシン;S、Ser、セリン;H、His、ヒスチジン;T、Thr、スレオニン;I、Iie、イソロイシン;V、Val、バリン;K、Lys、リシン;W、Try、トリプトファン;L、Leu、ロイシン;Y、Tyr、チロシン;MSP、膜骨格タンパク質;DPPG、ジパルミトイルホスファチジルコリン;PC、ホスファチジルコリン;PS、ホスファチジルセリン;BR、バクテリオロドプシン;アポA−I、アポリポタンパクA−I;GABA、ガンマアミノブタン酸;PACAP、脳下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド。
最も単純な単細胞の有機体は、水性材料および種々の可溶性低分子および高分子で満たされた中心領域からなる。この領域を囲むのは、二重層構造に配置されるリン脂質から成る膜である。さらに複雑な生細胞において、さらに膜によって囲まれる内部コンパートメントおよび構造が存在する。これらの膜構造内に埋め込まれるかまたは関連する多くのタンパク質分子が存在し、これらのいわゆる膜タンパク質は、情報およびエネルギーの通信および加工を含む細胞機能を決定するためにしばしば最も重要である。膜タンパク質の研究において最も大きな問題は、リン脂質二重層の内側が疎水性であり、膜タンパク質の埋め込まれるかまたは固定された一部分がそれ自身疎水性であることである。これらの膜タンパク質をそれらの天然の膜環境から単離する場合、凝集物が形成するのを防ぐのは非常に困難であり、生化学調査のために通常使用される水性環境において不活性または不溶性であり得る。本発明は、目的の疎水性タンパク質(標的タンパク質)内に組み込まれ、標的タンパク質またはさらに小さな疎水性分子を可溶性および単分散存在物として維持することができる天然様のリン脂質二重層を提供する可溶性のナノ粒子を作成するための様式を提供する。このことは、本明細書中に記載されるようなMSPを用いて、疎水性タンパク質(例えば膜タンパク質)をナノメータースケールの構造物に組み込むことによって達成される。
(可溶化剤)
本明細書の本文において、可溶化剤は、疎水性および/または両親媒性分子のアセンブリまたは凝集を三次元構造で導く疎水性相互作用を破壊するものである。例えば、可溶化剤、例えば界面活性剤は、膜または膜断片内の疎水性タンパク質を溶液に入れるために使用される。本文において有用な界面活性剤としては、限定されないが、コレート、デオキシコレート、1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロホスホコレート、1−パルミトイル−2−オレイル−sn−グリセロホスホセリン、1−パルミトイル−2−オレイル−sn−グリセロホスホエタノールアミン、CHAPS、n−ドデシル−p−D−マルトシド、オクチル−グルコピラノシド、Triton X−100、ミリストイルスルホベタイン、ジヘキサノイル−ホスホチジルコリン、ジギトニン、エマルゲン913またはJB3−14が挙げられる。ペプチド界面活性剤を使用することもでき;例えば、Schafmeister et al.(1993)を参照。
(膜骨格タンパク質)
膜骨格タンパク質(membrane scaffold protein:MSP)は本明細書中で使用される場合、ナノメーターサイズの膜二重層内でリン脂質およびリン脂質混合物と自己集合する人工(非天然に生じるもの、天然に生じないもの、すなわち、任意の天然に生じるタンパク質由来のアミノ酸とは異なるもの)両親媒性タンパク質であってもよい。これらのナノメーターサイズアセンブリのサブセットは、円板状の計上であり、ナノディスクまたはナノディスク構造と称される。望ましくは、MSPは、いくつかのらせんドメインを含み、らせんドメインの対は中断領域によって分割されており、この中断領域はらせん形成を好まない1〜5アミノ酸から作成されているか、または隣接するアミノ酸のらせん形成を停止させる傾向がある。例示的ならせん領域は、表19に提供される。これらのビルディングブロックは、具体的に例示されるもの以外の順序および数で組み合わせることもでき、但し、安定で可溶性のナノスケールディスク様粒子の自己集合の機能は維持されている。同様に、これらの具体的に例示されたビルディングブロックは、他のタンパク質(例えば他のアポリポタンパク、アポリポホリンなど)由来の他のらせんビルディングブロックと組み合わせることができる。MSPおよびリン脂質のこれらのアセンブリされた構造は、正常な膜の最終的な二重層構造を保持するが、可溶性で種々の表面に対してアセンブリまたは付着することができる系を提供する。MSPの天然に生じる例は、ヒトアポ−AIである。それに加えて、MSPは、ヒトアポタンパク質A−I以外のタンパク質、例えば、他の種のアポA−I、またはアポC、アポE、種々の種のミオグロブリンまたはヘモグロビンタンパク質のらせんセグメントを用いて設計することができる。適切な終止配列を用いて1つより多いタンパク質のらせんセグメントを組み合わせることができ、本明細書中に記載される有用な性質を有するMSPを形成することができる。さらに、機能的MSPは、デノボタンパク質設計によって作成することができ、ここで、両親媒性らせんタンパク質構造の所望な形質が作成される。保存的アミノ酸置換が具体的に例示される配列中に作成されることができ、但し、自己集合機能が維持されることがさらに理解される。このような置換改変体は、具体的に例示された配列のホモログと呼ばれることができる。目的の種々のタンパク質は、Bolanos−Garcia et al.(2003)Progress in Biophy. Molec.Biol.83:47−68.に記載されている。
疎水性タンパク質または部分的に疎水性のタンパク質(例えば膜タンパク質、または膜断片)は、疎水性タンパク質または膜断片が、酵素活性またはリガンド結合に関するタンパク質の機能性を維持する安定な構造中に有効に可溶化されるように、これらの粒子と関連することができる。同様に、目的の他の疎水性分子または部分的に疎水性の分子はさらに、本発明のナノスケール円板状粒子内に組み込むことができる。
ナノディスク粒子は、溶液中で安定であるか、またはナノディスク粒子は、表面に対して均一な配向で有利に表面に付着させることができる。本明細書中で使用される場合、MSPを含むナノ粒子(別の疎水性タンパク質または部分的に疎水性のタンパク質を有するかまたは有さない)は、約5〜約500nm直径、望ましくは約5〜約100nm直径、または約5〜約20nm直径であることができる。約5〜約15nm直径のナノ粒子(ディスク)は、特に有用である。
また、疎水性パッセンジャー化合物、タンパク質または複合体をパッケージングするためのMSPを設計することは、当業者の把握の範囲内で容易であり、ここで、MSPはβシートに基づく両親媒性構造と推定され、タンパク質のアミノ酸は、アミノ酸の可撓性(ヒンジ)によって分割されるβシート形成部分の領域が存在するように中断される。βシート形成配列の領域は、望ましくは、約10〜約30アミノ酸であり、中断領域は3〜10アミノ酸を含むことができ、MSP中にアンチパラレルβシートが存在するか、またはベータシートがパラレルである約10〜約30アミノ酸が存在する。機能的MSPは、二次構造のドメイン間に中断を有しても有していなくてもよい。中断慮息は、タンパク質内の二次構造の領域を破壊する。プロリンおよび/またはグリシン残基は、らせんドメインを有するタンパク質中の好ましい中断領域である。特定の特徴的な二次構造を有するドメインを破壊する以外に、中断領域は、タンパク質の構造に対する可撓性を提供することができ、特に2〜3アミノ酸の場合に、望ましくはプロリン、グリシンおよびアラニン残基を含むヒンジ領域を作成するのに役立つ。中断領域(または終止配列、ヒンジ領域またはヒンジ配列)は、二次構造のドメインがαらせんである場合、1〜30アミノ酸、望ましくは1〜2アミノ酸を含むことができ、MSP中にアンチパラレルβシートが存在する場合、5〜30、特に、3〜10アミノ酸である。
融合したMSP間のリンカー(中断、ヒンジ)配列の必要な性質は可撓性および可溶性であり、その結果、融合されたタンパク質は、2個の別個のMSP分子に類似の様式で粒子内にアセンブリする。Gly−Gly−Gly−Ser/Thr−(配列番号46)の繰り返しからなるリンカー配列はこれらの性質を有する。少なくともいくつかのMSPにおいて、リンカーの長さを最少にすることも望ましい。本発明者らは、本明細書中以下にk試合されるようなKpnIについてのコンセンサスDNA制限部位に対応する最少のリンカー配列−GT−を有する融合物を構築した。KpnI部位は、KpnIで制限し、任意の所望なリンカーをコードする二本鎖合成DNAを挿入することによって任意の所望なリンカー配列の簡単な挿入様式を提供する(Robinson et al.1998)。本発明者らはさらに、さらに長いリンカー配列−GTGGGSGGGT−(配列番号15)を有する融合構築物を作成した。しかし、最少のリンカーを有するMSP2は、2個のMSP1タンパク質を含有する粒子と非常に類似して粒子にアセンブリされるが、これは2個のMSP1タンパク質で構成されるものよりも安定である。特定のMSPの最良の選択はアセンブリされる特定のタンパク質に依存することが理解される。概して、さらに大きなタンパク質またはタンパク質複合体を用いたアセンブリはさらに大きなMSPの使用を必要とする。
均質な生化学アッセイまたは結晶化のための適切な環境を用いて、概して膜タンパク質、および特にGタンパク質結合型レセプター(GPCR)を提供するために膜骨格タンパク質(MSP)を利用することにおける1つの重要なゴールは、均質な粒子を調製することである。本発明者が記載した設計された膜骨格タンパク質としては、限定されないが、それぞれ、アミノ末端の可溶性ドメインが除去され、1つ以上のタンパク質セグメントが除去または挿入された突然変異が欠失または挿入され、先端が切断されたヒトアポA−I(MSP1)、MSP1のタンデム繰り返しまたは欠失変異体、溶液中でリン脂質を用いて自己集合される場合にヒスチジンタグが組み込まれ、主に8〜10nm(直径)の粒子を形成する上述の物質のいずれかが挙げられる。望ましくは、MSPはらせんH1を含まない。しかし、MSPおよびリン脂質の最適化されていない立体化学を用いてアセンブリした際に、他のサイズの粒子は存在してもよい。標準的なサイズ分離クロマトグラフィーが1個の種類の粒子を精製するために使用されつつ、標的タンパク質、MSPおよびリン脂質の初期の再構成混合物のサイズ分布を最小化することが好ましい。種々のサイズの設計されたナノディスクは、膜骨格タンパク質の長さの最適な選択によって形成することができる。8〜10nm直径の粒子は、通常は、2つのMSPタンパク質を含む。
(アポリポタンパク配列)
いくつかのアポリポタンパク、ヘモグロビンおよびミオグロブリンの配列は、The National Center for Biotechnology Information(NCIB),National Institutes of Healthのサイトでインターネット上で入手可能である。コード配列は、インターネット上で見出すことができ、人工MSPコード配列の構築において使用することができるか、またはこの配列は選択した組換え宿主細胞における発現を最適化するためにテイラーメードすることができる。コドン選択および翻訳されていない配列についての情報の大部分が当該技術分野に存在する。アポリポタンパクC配列としては、限定されないが、ウシ、XP77416;マウス、AAH28816;ヒトNP000032;およびサル、Q28995が挙げられる。ミオグロブリン配列としては、例えば、マウスの配列、NP038621;ウシ、NP776306;ラット、NP067599;およびヒト、NP005359が挙げられる。ヘモグロビンα鎖配列としては、ヒト、AAH32122またはNP000549が挙げられ;β鎖配列としては、ヒト、NP000509またはP02023;ラット、NP150237;マウス、NP032246;ウシ、NP776342(これらの全ては本明細書中に参考として組み込まれる)が挙げられる。他のものは、NCBIウェブサイトおよび科学文献に同様に見出され得る。
本明細書中で使用される場合、両親媒性(amphiphilic)および両親媒性(amphipathic)は膜骨格タンパク質を参照して同義的に使用される。両親媒性タンパク質またはタンパク質の両親媒性らせん領域は、疎水性領域および親水性領域の両方を有するものである。
(MSP設計)
本発明のMSPは、両親媒性でなければならず、その構造の1つがより親水性であるかまたは親水性が低く、その部分が水性溶媒に面し、別の部分がより疎水性であるかまたは疎水性が低く、その部分が安定化される疎水性二重層の中心に面する。タンパク質の二次構造の要素は、三次元空間に親水性領域および疎水性領域を作成する。基本的な生化学文献の試験により、この必要な両親媒性の特徴を有し得る2つの候補タンパク質構造が明らかである:らせんおよびプリーツ状シート。本発明者らは、基本的な両親媒性ビルディングブロックを有するように本明細書中に記載されるMSPを設計した。それぞれのMSPは、より疎水性の残基(例えば、A、C、F、I、L、M、V、WまたはY)をらせんの1つの面に優先的に用いて、より極性または荷電した残基(例えば、D、E、N、Q、S、T、H、KまたはRおよび時々C)をらせんの他の面に優先的に用いて、両親媒性らせんを形成するアミノ酸配列を有する。概略図については図2を参照。それに加えて、それぞれのらせんビルディングブロックは、必須ではないが、例えば、プロリン(P)またはグリシン(G)残基で周期的に中断されることができ、らせんの全体的な幾何学を中断することによって全体的な構造に可撓性を導入することができる。1つの実施形態では、これらの中断は、約20〜25アミノ酸ごとに生じ、「キンク(kink)」を形成するか、または円板状リン脂質二重層の縁の周りにMSPの「ラッピング」を容易にするための回転を開始させる。中断領域(または配列)は、1〜10アミノ酸、特に3〜10アミノ酸を含むことができ、MSP中にアンチパラレルβシートが存在する。らせんの1つの面で優先的に疎水性アミノ酸の交換を示す、全般的な線状アミノ酸配列およびらせん車輪図を示す、図2を参照。
本発明者らは、新規分子を作成するための短いリンカー配列によって結合されたMSP1のタンデム繰り返しを設計することによって、この種の人工MSPは、タンデム繰り返しMSPと呼ばれる。図4Cおよび配列番号17を参照。比較的大量の(10ミリグラム/1リットルの細胞培養物)本発明の人工MSPが、微生物発現系で産生される。本発明者らの構築物は、形成可能なサイズの種類の数を減らす(3つのMSP1分子に対応するもの)。本明細書中で使用される場合、タンデム繰り返し膜骨格タンパク質は、膜骨格の少なくとも4つのらせんが新しい膜骨格タンパク質において線形の順序で繰り返されるもの(例えば、H1−H2−H3−H4−H5−H6−H7−H8−スペーサー−H1−H2−H3−H4−H5−H6−H7−H8)である。タンデム繰り返しMSPの例はさらに、図4Eおよび4Gにも与えられる。さらに、特に、配列番号17および配列番号19を参照。
MSP1配列のタンデム繰り返し(2つ)で作成されたナノディスクは、少なくともいくつかの場合には、特定の他のMSP構造を用いたものよりもさらに大きいが、安定性が低かった。H1の少なくとも1つの複製物を欠失しているMSPの設計により、さらに大きなサイズの安定なナノディスクの調製が可能となった。特に、ダイマー構造の第2の半分における第1のらせんの非存在は、改良された結果において重要な役割を果たす。
MSP2タンデム繰り返し骨格タンパク質についての完全なアミノ酸および核酸配列は、表7および8に示され;さらに、配列番号16および配列番号17を参照。MSP2融合タンパク質は、E.coli中で発現され、基本的には1個のMSPについて記載されるような同じ手順に基づいて均質に精製した。MSP2タンパク質は、可溶化界面活性剤を除去する際にリン脂質と自己集合する有効な骨格タンパク質として役立つ。名目上10nm粒子に対する200の脂質/ダイマー比で、MSP2タンパク質によって得られるかなり大きな単一分散性が存在する。重要なことに、ディスクの最終的な安定性は、化学的に誘導されたアンフォールディングによってモニタリングされ、溶媒に対してトリプトファン残基がさらされることによってモニタリングされる場合、モノマー膜骨格タンパク質の融合によって改変されない。
本発明者らは、以下に記載されるような2つの新しい膜骨格タンパク質ダイマーを作成し、これらをリン脂質で自己集合させた。得られたナノディスクは、17nmの円盤状の最終的な物理的直径に対応する約15.5nmの小角X線分散によって決定される最終的なストークス直径を有する。これらは、今日までに構築された最も大きなナノディスクである。これらの新しいタンデム繰り返しMSPのモジュラー配列(表19も参照)は以下のとおりである:
Figure 2007525490
他のMSPがさらに作成され、特性決定される。本発明者らは、MSP1E1、MSP1E2およびMSP1E3を有する単分散ナノ粒子を得るために自己集合の条件を最適化し、これらの粒子中の脂質/タンパク質の化学量論が測定され、タンパク質の長さが粒子の直径の決定因子であることを示し、融点より上または下の脂質を用いて形成された粒子間の構造差を示した(POPCについて270K、DPPCについて314K)。本発明者らはさらに、第1のらせん(残基44〜65)の4分の1、2分の1、または全体が欠失した一連の欠失変異膜骨格タンパク質を調製した。先端が切断されたタンパク質を用いて形成されたナノディスクを用いた実験は、第1のらせんがこれらのナノディスクの自己集合にとって必要ではないことを示した。この観察結果は、アポA−Iを用いて形成された円板状粒子のサイズおよびそれらの異種性についての以前の意見の相違を説明すると考えられる。異なるサイズの骨格タンパク質を用いて形成されたこれらのナノディスクについてのSAXSデータは、図19において示される構造モデルと一致する。図19はさらに、ナノディスクの外側の周りのMSPの「ベルト」の形成においてH1が顕著な役割を果たさないことを示す。
二重層構造の周りにさらに小さなベルトを作成するために、らせんビルディングブロックの最終的な長さを減らすことができ、中断はさらに頻繁に導入されてもよい。実際のアミノ酸配列は、設計された線形配列内の疎水性アミノ酸の位置および数を変動させることができる。らせん軸がナノディスク二重層の垂線に対して平行または垂直のいずれかである単純なモデルを作成することができる。ほぼ10nmの直径を有するディスクを作成するために、MSPは、この全体的に両親媒性の配列を有する約12〜約20以上の繰り返し単位を含む。好ましくは、このタンパク質は、それぞれ14〜25アミノ酸長さを有する両親媒性αらせんで構成され、らせん形成のために好ましくない残基(例えば、プロリンまたはグリシンまたはらせん形成に好ましくない約1〜5アミノ酸の配列)によって線形配列で中断され、リン脂質二重層の疎水性コアを安定化する小さならせんビルディングブロックを形成する。約20〜25アミノ酸のらせん(本明細書の本文ではらせんビルディングブロック)は、膜二重層の厚みに匹敵する高さを有する。これらの小さならせんセグメントは、0〜約5アミノ酸(特にGまたはP)を用いて結合する(中断される)。いずれかの「ベルトモデル」が存在する10nmの円板状分子の縁を覆うために、これらは、10〜20のこのようならせんの間に必要とされ、図3の単純なグラフ分析に基づく有用な数が16である。望ましくは、らせんは、1回転あたり約3〜約18アミノ酸を含有し、らせんの種類は、特に、α、πまたは3,10らせんであることができる。らせんの1回転あたり、3〜16、3〜8、望ましくは3〜4のアミノ酸を有するらせん。本発明のMSPは、50〜400回転を含むことができる。二次構造の予測は、当該技術分野で容易に利用可能なプログラムを用いて決定することができる;例えば、Swiss Institute of BioinformaticsのExPASyプロテオミクスサーバのインターネット上。二次構造の予測におけるガイダンスはさらに、刊行物、例えば、Chou et al.(1974)Biochemistry 13:211,222;Chou et al.(1978)Ann.Rev Biochem.47:251−278;Fasman(1987)Biopolymers 26(supp.):S59−S79に与えられる。 タンパク質のダイマーまたはさらに高次のオリゴマー、例えば、7−TM膜タンパク質が存在する場合、または1つより多いタンパク質(例えば、レダクターゼおよびシトクロム)が1個のナノディスク内に組み込まれる場合、使用されるMSPは、9〜10nmよりも大きな直径を有するナノディスク粒子を形成することができなければならない。さらに長いMSP配列、例えば、MSP1E1、MSP1E2またはMSP1E3を用いて、さらに大きなナノディスクが調製される。
代替の実施形態では、設計された両親媒性MSPは、水性環境から保護され、安定化され、可溶化される標的疎水性標的分子を有する疎水性領域の関連を可能にする適切な長さのスペーサー領域を有する三次元空間に二次構造の領域(例えば、パラレルまたはアンチパラレルβシート)を含有する。
特定の重要な系制御細胞機能は、膜コンパートメント中に配置される。これらの膜タンパク質アセンブリの多くは、特定のリン脂質環境が最適な酵素ターンオーバーまたはリガンド結合活性を維持するためにしばしば必須であるため、可溶性の活性形態で単離することが典型的には困難な重要な薬学的標的をあらわす。いくつかの薬理学的に顕著な例は、個々の酵素およびレセプターについての特定のリン脂質の要求を示し、これは、膜タンパク質を可溶化するための典型的に使用される界面活性剤によって混乱する。例としては、有効なレセプターホルモン応答のための中性脂質を必要とするヒトβアドレナリン作動性レセプター(Kirolovsky et al.,1985)および有効な薬物代謝のためのいくつかのリン脂質種を必要とするヒトシトクロムP450モノオキシゲナーゼ(P450)スーパーファミリー(Imaoka et al.,1992)が挙げられる。精製された系における界面活性剤可溶化されたタンパク質の脂質必要性を忠実に再構成することができないことは、これらの酵素の測定された活性に影響を与え得るか、しばしば実際に影響を与える。
これらの天然タンパク質の特性決定のために最も広範囲に使用される代替例の1つは、天然の細胞膜のサブフラクション化およびミクロンサイズのリポソームへの組み込みを含む。しかし、リポソームは、熱力学的不安定性、サイズ異質性および二重層の溶媒に接近不可能な側での標的膜タンパク質の隔離という弱点を有する(Angrand et al.,1997;Savelli et al.,2000)。リン脂質二重層中にアセンブリされた大量の可溶性の機能性幕タンパク質を得るための他の簡便な方法は入手可能ではなく、結果として、細胞膜内で機能する多くのタンパク質複合体について本発明者らが理解することには障害があった。本明細書において、本発明者らは、異種発現されるかまたは天然の膜タンパク質を、ハイスループット分析における操作に耐える十分な標的安定性、生物学的活性および十分な頑丈さによって特徴付けられる安定で可溶性のナノメータースケールの二重層構造にコンパートメント化するための迅速な方法を報告する。
本発明のMSPは、つながれ、埋め込まれ、または一体型の膜タンパク質をナノスケール構造中に可溶化するために使用することができる。つながれた膜タンパク質は、そのほとんどが二重層に対して外側にある1個の比較的可溶性の球状ドメインおよびこの単純な球状ドメインを膜二重層に結合する比較的単純な(例えば、1個の膜により広がるか、または膜挿入ドメイン)で構成される。球状ドメインは、実際に、細胞外または細胞質内の配向であることができる。
つながれた膜タンパク質は、NADPH−シトクロムP450レダクターゼ(例えば、ラット肝臓小胞体または昆虫由来)およびシトクロムb5によって例示される。NADPH−シトクロムP450レダクターゼは、小胞体で見つかる膜タンパク質である。ピリジンヌクレオチド脱水およびシトクロムP450に結合した膜に対する電子移動を触媒する。類似した構造のアイソザイムは、ヒト、植物、他の哺乳類、昆虫などで見つかる。
シトクロムb5は、膜二重層を透過する単一の膜アンカー領域を有する膜に結合した(つながれた)ヘムタンパク質である。その天然の膜から可溶化されたシトクロムb5は、界面活性剤の非存在下では大きな凝集物として存在し、天然のポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)で別個のバンドよりも塗布標本としてあらわれる。MSPを用いる自己集合プロセスを介するナノディスクの形成は、本発明を教示し、シトクロムb5は、MSPおよびリン脂質の調製物に添加され、シトクロムb5がディスク構造に組み込まれる。シトクロムb5を含有するディスク複合体は、クロマトグラフィーにより分離することができ、所望でない凝集した物質から精製することができる。精製された物質のヘム発色団の光学吸収性能は、ヘム活性部位が天然の形状であることを示す。つながれた膜タンパク質は、ディスク系瀬尾の間のいずれかでナノディスクに組み込むことができるか、または、あらかじめ形成されたナノディスクに関連することができる。
埋め込まれた膜タンパク質は、本明細書中に定義されるとおり、ポリペプチドの膜結合セグメントを含むが、タンパク質の表面に疎水性アミノ酸のグループ分けを有し、疎水性ドメインが膜二重層内に埋め込まれているものである。埋め込まれたタンパク質の例としては、限定されないが、インターフェロンレセプタースーパーファミリー、神経増殖因子/腫瘍および壊死因子レセプタースーパーファミリーおよびシトクロムP450タンパク質が挙げられる。
組織因子(TF)、またはトロンボプラスチンは、血液凝集カスケードの開始にとって重要な30,000DaのI型膜タンパク質である。この膜に結合したタンパク質は、因子VII、血液凝集において第1の酵素ステップを行なう可溶性セリンプロテアーゼのための活性化共因子として作用する。組織因子の発現は、血液血漿と直接接触しない細胞に限定されており、細胞は「止血エンベロープ」を形成する。TF:VII複合体は、高い活性を示すために膜表面上にアセンブリされなければならず、最適な活性は、膜が負に荷電したヘッドグループを有するリン脂質を含有する場合にのみ見られる。
ナノディスクに組み込まれた別の一対型膜タンパク質は、微生物アスパルテートレセプターである。E.coliおよびSalmonellaでは、化学受容体TsrおよびTarは、セリンおよびアスパルテートに対する走性をそれぞれ媒介し、これらのアミノ酸の立体特異的な結合を介して媒介する。E.coliでは、Tarレセプタータンパク質は、リガンドで占められた可溶性マルトース結合タンパク質の認識を介してマルトースに対する走性を媒介する。過剰発現したTarタンパク質を含有するE.coli由来の膜(Gerald Hazelbauer,University of Missouri,Columbia,MOによって提供された)は、CHAPS界面活性剤を用いて可溶化され、骨格タンパク質MSP1T2と混合される。界面活性剤は吸着によって除去された(本明細書中以下に記載されるようなBiobead処置を用いて)。Tarレセプターは、ナノディスクに組み込まれ、次いで、Ni−アフィニティーカラムクロマトグラフィーによって精製され、HPLCサイズ排除クロマトグラフィーによって分析された。標的の組み込みは、SDS PAGEによって確認された。
埋め込まれたシトクロムP450膜タンパク質の例としては、限定されないが、ウサギ肝臓ミクロソーム由来のシトクロムP450 2B4、ヒト肝臓ミクロソーム由来のシトクロムP450 3A4、昆虫脂肪体由来のシトクロムP450 6B1、および植物由来のシトクロムP450 86A1、73A5および86A8が挙げられる。シトクロムP450は、全ての生物形態において見出される酵素のスーパーファミリーである。多くのP450の1つの役割は、生体外物質を解毒することであり;例えば、ヒト肝臓P450は、内因性化合物および外因性化合物を解毒し、これらの酵素は、摂取される全ての薬物の平均血漿寿命を決定する。最も広く研究されたヒト肝臓シトクロムP450の1つはシトクロムP450 3A4(CYP3A4)である。この膜に結合したP450は、ヒト肝臓において最も大量にP450を発現し、全ての医薬のほぼ50%を代謝する役割を果たす(Guengerich,PP..Cytochrome P450.Cytochrome P450,ed.P.R.Ortiz de Montellano,1995,New York:Plenum Press.473−535)。シトクロムP450の研究のためのナノディスク技術の有用性を示すために、本発明者らは、CYP 3A4をMSP支持されたナノ二重層ディスクに組み込んだ。サイズ分離クロマトグラフィーおよびPAGE分析からのさらなる証拠は、CYP 3A4のナノディスクへの組み込みの結果を支持する。
シトクロムP450 6B1(CYP 6B1)は、大きなシトクロムP450モノオキシゲナーゼタンパク質スーパーファミリーのメンバーであり、埋め込まれた膜タンパク質の別の例である。GYP 6B1は、Papilio polyxenes(黒ツバメの尾)から単離され、フラノクマリン(ほとんどの有機体に対して光毒性である植物ソラレン誘導体)を産生する植物上で排他的に供給される。CYP 6B1は、せぽきしか反応であると考えられているフラノクマリンの解毒を触媒する(Ma et al.(1994))。
一体型膜タンパク質は、膜二重層内に配置される構造の支配的および重要な領域を有する。あるいは、疎水性二重層コア(特に、サイトカイン型分子およびレセプター)を介して一次配列の1つ以上の経路によって結合し、単純なワンパス結合を有するが、二重層の両側いに可溶性ドメインを有する、二重層の両側に比較的大きな可溶性ドメインが存在することができる。本明細書中で使用される場合、一体型膜タンパク質は、膜二重層中の1つ以上のらせんセグメントが、限定されないが、周知の7らせん膜透過タンパク質(例えば、GPCR)を含む一般的な種類のタンパク質によって例示される。
本発明者らは、MSP1、MSP2、MSP1E1、MSP1E2、MSP1E3およびMSP2がバクテリオロドプシンとアセンブリすることを示した。最初の再構成混合物から、添加されたリン脂質の非存在下でMSP1またはMSP2を用いて粒子が形成される場合、2つのバクテリオロドプシン含有種が観察される。MSPは、形成混合物からのMSPの除去により大量の非特異的バクテロイロドプシン凝集物を生じ、この凝集物がゲルろ過カラムの空隙に溶出するため、バクテリオロドプシンを可溶化してこれらの種を形成するために絶対に必要である。バクテリオロドプシンの大多数が、MSPの存在下で可溶化されるようであった。
疎水性または部分的に疎水性の「標的タンパク質」を可溶化する手段としてのMSPを含有する本発明のナノ粒子の特に価値の高い利点は、ナノ粒子に組み込まれたタンパク質が天然のものとよく似た概観を有することである。天然の標的タンパク質形状が維持され、天然の標的タンパク質−膜相互作用および幾何学が保存され、標的タンパク質が天然様環境で維持され、それによって不活性化および変性に対する標的タンパク質の安定性が増加し、標的タンパク質の幾何学が膜に対して維持される。膜に対する標的タンパク質の幾何学の維持は、細胞−細胞または細胞−ウイルス相互作用、リガンドの溶出または標的タンパク質の膜外領域に対する抗体の結合、または特定の輸送経路を介する標的タンパク質の送達について標的をスクリーニングするために特に重要である。
(膜および膜断片からの組み込み)
本発明者らは、膜タンパク質および脂質天然のレパートリーを含有する膜または膜断片をナノディスクに組み込むことができることを示した。このことは、膜タンパク質集合の前精製または可溶化を行なわずに、直接影響を与えることができる。特に重要な実施形態は、膜タンパク質のための種々の一般的に使用される非相同発現系におけるこの技術の使用である。これらとしては、限定されないが、昆虫細胞、酵母細胞、哺乳動物細胞、例えばHEK細胞、Vero細胞およびCHO細胞、および細菌細胞が挙げられる。病原体(例えばバクテリア)のウイルスエンベロープタンパク質または細胞膜は、それぞれ抗原性タンパク質または他の分子の複数の複製物を含有することができるが、これらも使用することができる。特定の例示的な実施形態は、通常の昆虫細胞−バキュロウイルス発現系の使用である。本発明者らは、過剰発現した昆虫CYP6B1および過剰発現した昆虫NADPHシトクロムP450レダクターゼを含有するミクロソーム調製物が産生されるように共感染された市販のSf9昆虫細胞株を使用した。従って、本発明者らは、MSPナノディスクが別のシトクロムP450系を可溶性単分散粒子に組み込むために使用可能であることを示すだけではなく、このP450の供給源がクローン化されたCYP6B1遺伝子を有するバキュロウイルスを用いて感染したSf9細胞株からの全膜であることを示す。
本明細書中に記載される手順によって作成されたナノディスクは、元々の天然膜出発物質の由来の脂肪酸およびリン脂質を含有し、それ故に、目的の膜に結合した酵素またはレセプターをアッセイするための信頼性が高いインビトロ環境を提供する。このように、MSPが支持されたナノディスクは、ハイスループットスクリーニングベンチャー、例えば、膜関連タンパク質のためのリガンドの同定において、例えば、ペプチド、タンパク質または化学化合物のコンビナトリアルライブラリーを用いて、および新規医薬の同定のために、使用することができる。さらに、ナノディスクへの組み込みの単純な手順は、X線結晶学またはNMR分光学を用いて構造決定するためのサンプルを作成するために使用することができる。膜タンパク質可溶化のための代替方法を越えるナノディスク系の特定の利点は、粒子の光分散が顕著に減少しているために、光学測定の感度が上がっていることである。本発明の方法は、目的の標的タンパク質を含有する膜断片の任意の他の供給源、例えば、任意の酵母、昆虫、微生物または哺乳動物細胞培養物系または発現系にまで拡張することができる。
(ハイスループットスクリーニング)
本発明のナノディスク技術の重要な有用性は、酵素またはリガンド結合活性についてハイスループットスクリーニングである。多くのこのような系では、ナノディスクに組み込まれた1つより多い標的膜タンパク質、例えば、P450モノオキシゲナーゼ触媒作用に必要な電子移動パートナーまたはG−タンパク質にカップリングしたレセプターを用いて組み込まれた対応するG−タンパク質を有することが利点である。
これらの状況下でMSPナノディスク技術の有用性を示すために、本発明者らは、NADPHシトクロムP450レダクターゼおよびシトクロムP450 6B1をナノディスクに首尾よく組み込んだ。本明細書中に示されるように、それぞれの標的膜タンパク質は、MSPを用いてナノディスクに独立して組み込むことができるか、または組み合わせて組み込むことができる。レダクターゼに対する内因性のシトクロムP450の相対量は、レダクターゼ1分子に対してP450分子約10〜20である(Feyereisen,R.(1999)Ann.Rev.Entomol.44,501−533)。ディスクに再構築した後にCYP6B1の活性を得るために、過剰量のレダクターゼを再構築混合物に添加することができる。
BR(一体型膜タンパク質)は、本明細書中に記載されるようにMSPナノディスクに組み込まれ、本発明者らはさらに、5−HT−1A(セロトニン)のためのG−タンパク質に結合したヒトレセプターの宿主である膜フラクションを提供する、市販の昆虫細胞発現系を使用した。5−HT−1Aをナノディスクに組み込むために詳細に記録されたリガンド結合活性は、タンパク質が本発明のナノディスクにおいて活性形状状態であることを証明する。その後の実験は、β−2アドレナリン作動性レセプター、ドーパミンD2およびD1レセプターおよびサイトカインレセプターCXCR4およびCCR5が全て、7−膜貫通タンパク質ファミリーおよびGタンパク質結合型レセプター型であり、これらが本発明の方法によってナノディスクに容易に組み込まれることを示す。
ナノディスクに首尾よく組み込まれる膜タンパク質および膜タンパク質複合体の他の例としては、ラット、昆虫および植物由来のシトクロムP450レダクターゼ、バクテリオロドプシントリマー、光合成反応中心複合体、26の膜貫通ドメインEscherichia coliトランスヒドロゲナーゼおよびインテグリンが挙げられる。
化学量論量のタンパク質および脂質は、全てのMSPを有する単分散性ディスクの形成において重要な因子である。一連の拡張されたMSPは、十分に定義された最適量の脂質/タンパク質比が存在することを示し、これが単分散性円板状粒子の定量的アセンブリにとって重要である。それに加えて、化学量論量の比率は、骨格タンパク質に囲まれた筒状脂質二重層を有する円板状構造の十分に規定された幾何学(図19)のために、MSP長によって決定され、脂質/タンパク質比を決定する。異なるサイズのディスクのための脂質/タンパク質の化学量論比は、図19に示されるように記載され、実験的に試験された。脂質の濃度は、記載されるように、同じ化学構造を有するトリチウム化された脂質を測定し、カラムフラクションをシンチレーション計測した(Bayburt et al.(2002)、前出)。骨格タンパク質の濃度は、Pace et al. (1995)Protein Science 4:2411−2423に記載されるように、Gill−von Hippelの改変された方法に従って既知のアミノ酸配列について計算されたモル吸光係数を用いて分光光度学的に決定された(Jones et al.(1990)J.Biol.Chem.274:22123−22129)。全ての測定は、較正されたSuperdex 200(サイズ排除クロマトグラフィー)カラムを用いてHPLCによってアセンブリされた脂質−タンパク質粒子を分離した後、狭いフラクションでなされた(Millenium System,Waters,Milford,MA)。
小角X線分散(SAXS)は、サンプルから2D検出器まで1500mmの距離を有する真空チャンバで、光子エネルギー15KeV(波長0.826A)で295Kの周囲温度で測定された。ナノディスクの溶液を直径1.5mmのガラスキャピラリーに密閉し、キャリブラント(calibrant)および緩衝溶媒と共にサンプルチャンバ中のホルダーに置いた(Agベヘネート,空間58.38Å)。生データをプログラムFIT2D(Hammersley,AP.(1998)ESRF Internal Report,ESRF98HA01T,FITD2D V9.129 Reference Manual V3. 1;Hammersley et al.(1996)High Pressure Research 14:235−248)を用いて処理し、1g(I/I)対Q=4πsin(q)/2の形態で分散曲線を得た。SAXSデータの分析は、プログラムCRYSOL(Svergun et al.(1995)J.Appl.Cryst 28:768−773)およびMATLAB(MathWorks,Natick,MA)を用いた家庭用記録モデリングおよびフィッテングサブルーチンを用いて行なった。Takahasi et al. (2003) J. Appl. Cryst 36:549−552; Koch et al. (2003) Quart. Rev. Biophys. 36:147−227にまとめられる他の有名なプログラムCRYSOL、DUMMIN、SAXS3DおよびDALAI_GAにおいてなされる場合、フィッティングプログラムはDebye式および異なるコントラストを有する密閉された球状ビーズによるナノ粒子のモデリングに基づいている。フィッティングのためのモデルは、この論文に記載される他の方法によって得られるナノディスクのサイズおよび組成に関する情報を用いて構築された。コントラストを分散するための初期の概算、すなわち、二重層、脂質アシル鎖の中心部分、脂質極性ヘッドグループにおける水についての電子密度0.334e/Å−3とメチレン基についての平均電子密度間の差(Wiener et al(1989)Biophys. J. 55:31 5−325)、および粒子の周囲の膜骨格タンパク質(Svergun et al. (1998) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:2267−2272)を、対応する相を示すそれぞれのビーズに割り当てた。それぞれの種類のナノディスクについての実験的曲線は、5つのパラメーター、4つの電子密度およびディスクの半径を用いてフィッティングされた。フィッティングにサイズまたは形状の不均質性を導入するためになされる企ては存在しない。このような5%内の不均質性のモデリング(他の実験データによって示唆されるような)は、計算された分散曲線と大きな差はなく、サイズおよび形状においてさらに顕著な変動があると、分散曲線に対して観察された特徴を失ってしまい、かなり一致しない。
MSPは、円板状のリン脂質二重層損座物の構造における変動を最少化するために設計され、ディスク構造のさらに大きな構造的安定性およびサイズ均質性の増加を提供し、ディスクの精製および物理的操作のためのペプチドタグのような有用な官能基を組み込む。目的のタンパク質に融合可能な(分子生物学的方法または化学的方法による)このようなオリゴペプチドタグとしては、限定されないが、ストレプトアビジンまたはその誘導体のストレプトアクチン(Sigma−Genosys)に直接結合するstrep−タグ(Sigma−Genosys,The Woodlands,TX);固体支持体にカップリングしたグルタチオンに直接結合するグルタチオン−S−トランスフェラーゼ遺伝子融合系(Amersham Pharmacia Biotech,Uppsala,Sweden);カルモジュリン樹脂を用いた精製が可能なカルモジュリン−結合ペプチド融合系(Stratagene,La Jolla,CA);およびアミロース樹脂に結合可能なマルトース結合タンパク質融合系(New England Biolabs,Beverly,MA);およびNi2+−NTAカラム(Qiagen,Valencia,CA)を用いた精製を可能にするオリゴ−ヒスチジン融合ペプチド系が挙げられる。
ディスクの均質性は、1個の膜タンパク質または1個の膜タンパク質複合体を1個の種類のサイズのディスクに有効に組み込むために必要である。親分子であるアポA−Iは、ディスク構造安定化を超える機能を有する(Forte et al.,1971;Holvoet et al.,1995;Fidge,1999)。これらの機能性領域は不必要であり、本発明の人工二重層系においてしばしば失われている。
二次構造の予測は、骨格タンパク質の構造的特徴の評価を可能にする。アポA−O構造は、繰り返し配列においてほとんどらせんで、時にプロリンまたはグリシン残基によって中断された構造からなる。8〜9個のらせんがディスクの形態で脂質と関連していると考えられている。アポA−IのN−末端「GLOB」領域(配列番号89)が、特徴としてさらに球状であると予想される。この部分の分子が除去され、設計されたMSP1が作成される。高い単分散性を有するディスクアセンブリを産生するMSPが望ましい。半繰り返しの役割を確認し、MSP構造および機能をさらに特性決定し最適化するために、突然変異を使用して、本明細書中以下に記載されるように改変体を作成した。以下の表2〜21を参照。
MSPディスク内に組み込まれた疎水性または部分的に疎水性のレセプターは、構造的研究、生化学的研究および薬学的研究に有用である。膜タンパク質の研究は、以前は、不溶性の膜分散物、界面活性剤ミセル、およびリポソームに制限されていた。生化学的研究および物理学的研究のための精製系は安定性を必要とし、界面活性剤を用いて得られても、界面活性剤を用いずに得られてもよい。界面活性剤ミセルは動的であり、サブユニット解離を促進し、希釈溶液中でのタンパク質のハンドリングにおいて困難性を示す構造変動を受ける。MSPナノ二重層(Nanodiscs)は構造的にさらに頑丈であり、別個のサイズおよび組成を有するリン脂質二重層模倣物を有し、大きな安定性を有し、ユニラメラリポソームよりも表面積が小さい。本発明の粒子は、4℃で少なくとも1ヶ月間、サイズ、形状および生物学的活性において安定である。
(表面技術)
本発明のMSPは、ナノディスク内に配合される場合、表面技術における分析(例えば、ハイスループットスクリーニングまたは固相アッセイ技術のためのバイオセンサー、限定されないが、例えば、ポリスチレンで作成されたマルチウェルプレートが挙げられる)に使用可能である。MSPがHisタグを含む場合、ナノディスクは、固定化された金属(例えば、二価ニッケルカチオン)に結合することができる。本発明者らが作業したディスク骨格はさらに、表面関連アセンブリを含んでいた。
例えば、表面プラズモン分解(SPR)バイオセンサーは、表面プラズモンと誘電成分(サンプル)とを金フィルム上でカップリングさせるために光学成分上の約50nmの金フィルムを使用する。MSPにより安定化された二重層は、MSP内のシステインを設計することによって、目的のタンパク質または他の標的を含有する生体模倣層として使用するための表面に結合させることができる(図7A)。チオールの使用は、金表面に分子を結合させるために周知である。ベルトモデルに基づいて、システイン残基は、両親媒性らせん軸の極性側に沿って配置させることができ、ただし、システイン残基はらせん−らせん界面には位置しない。MSPがそのように設計される場合には、複数のシステイン残基がジスルフィド結合したダイマーを形成することができる(Segrest et al.,1999)。代替例は、可撓性N−末端またはC−末端リンカー内にシステインを導入することである。このような構築物は、理論的には、ディスクのベルト(または杭垣)モデルを金表面に対して関連させることが可能である。あるいは、チオール脂質を二重層ドメイン内に組み込むことができる。相乗構造の光学屈折率の差を利用する方法論、例えば、全内反射分光法、共鳴鏡、光学面に設計される光学回折格子等は、直接的外挿によって同様に利用することができる。SPRに加えて、金上で表面関連したディスクは、STMおよび電気化学的研究、例えば、膜関連レドックスタンパク質、例えば、シトクロムP450およびそのフラボタンパク質、およびイオンチャネルにおいて使用することができる。SPRデータはさらに、誘導体の薄膜(例えば、SPRにおける基質として通常に使用される金属フィルム上の二酸化ケイ素)を用いて作成された測定値から得ることができる。この態様の技術は、結合プラズモン導波管分解(CPWR)と呼ばれている(Salamon et al.,1997a)。シリカがこれらのプラズモン分解実験における活性表面として使用可能なため、自己集合した二重層を作成するプロセスは、マイカまたは他の酸化ケイ素表面で表面を作成するために使用される手順に従って適用することができる。このことは、AFM実験のために使用される条件と直接比較してSPR実験のために使用される条件を作成するのに利点を加える。CPWR技術は、シリカコーティングをSPR分光法で現在使用されている金属フィルムスライドに単純に追加することによってSPR装置で容易に行なうことができる。
利用可能なシステイン基を有するMSPはさらに、ゲルマトリックスにおける固定化のための化学的反応基またはアフィニティータグを用いて特定の標識が可能である。反応性カップリング基を有するヒドロゲルは、SPR測定のためのタンパク質を固定化するのに有用である。ヒドロゲル形状において、ディスクは、リガンド結合のために利用可能な細胞内および細胞外ドメインの両方を有する単分散形態において、二重層に埋め込まれた膜タンパク質のためのキャリアとして役立つ。本発明者らは、Hisタグを含有するディスクが金属キレートマトリックスに結合し、これがHisタグ化MSPを含有するナノディスクを固定化するために使用可能であることをすでに示した。Hisタグベクターは市販されており(例えば、Qiagen,Valencia,CAから)、米国特許第5,284,933号および第5,130,663号に記載されている。当該技術分野で既知の他のタグペプチド配列(限定されないが、Flagタグ(鞭毛抗原)またはStepタグ(ストレプトアビジン結合))は、分子生物学法によってMSP内に設計することができる。選択の支持体への結合を媒介することに加えて、タグ配列は、MSPの精製またはそれを含むナノディスクの精製を容易にすることができる。ナノディスクはまた、バイオ分離プロセスおよびリガンド親和性の測定のためのアフィニティーマトリックスを調製する際に使用することができる。本発明の方法によって製造される粒子は、膜タンパク質のドラッグデリバリー、構造/機能相関、および構造決定のために有用である。
(膜タンパク質の構造および機能の分析)
膜タンパク質の構造決定は、大量の膜タンパク質を製造する能力、およびこれらのタンパク質を結晶化する能力によって制限されてきた。ナノディスクおよびMSPは、膜タンパク質の安定化および発現のためのキャリアとして有用である。MSPは、界面活性剤の代わりに、結晶化のために膜タンパク質を可溶化するために役に立つことができる。確かに、脂質結合型のMSPは、構造的に安定かつ強固な場合、結晶化は、MSPを通しての血漿接触の導入によって増強することができる。本発明者らは、MSP1、MSP1の伸長型、およびMSP2または他のタンデム反復MSPは、外因性脂質の存在下および非存在下での紫膜からBRを可溶化するために使用することが可能である。
膜(または他の)タンパク質およびMSP領域との融合構築物は、当該技術分野において公知の多数のベクターのいずれかを使用してEscherichia coli中で発現し、膜アンカーを含む膜タンパク質の安定かつ可溶性型を大量に産生することができる。付加されたリン脂質の非存在下で、MSPがBRを可溶化するという刺激的な発見は、界面活性剤または脂質付加物の非存在下で膜タンパク質を安定化するために人工のMSPの使用を可能にする。本明細書に開示される(人工の)MSPには、シトクロムP450、シトクロムP450レダクターゼ、および5−HT−1Aレセプター、ならびに他の膜結合レセプタータンパク質および酵素が含まれるがこれらに限定されない。
シグナル伝達エレメントは膜を横切って存在し、一方ベシクルは、膜の一方の側を親水性試薬およびエフェクタータンパク質に接近不可能にする。本発明の特定の実施形態は、天然に提示されるGPCR、イオンチャネル、レセプターキナーゼ、およびホスファターゼなどの薬学的標的を可溶化および安定化するためのディスクを使用する。本発明者らは、GPCRに焦点を伴って、本発明のディスクに複数の膜貫通ドメインを有するタンパク質を組み込んだ。本発明者らは、モデルサーペンタイン膜タンパク質、バクテリオロドプシンをナノディスクに首尾よく組み込んだ。バクテリオロドプシンはGPCRのためのモデルであり、これは創薬のための現在の標的である。現在、種々の生物からの1000個を超える可能性のあるG−タンパク質レセプターがクローニングされ、いわゆる「オーファン」レセプターの多くが天然の(または合成の)リガンドの同定を待っている。リガンドのクラスには、ホルモン、神経伝達物質、エイコサノイド、脂質、カルシウム、ヌクレオチド、および生体アミンが含まれる。GPCRは、現在上市されている医薬品の半分より多くの標的であると考えられている。膜タンパク質の構造的なクラスは、あらかじめ可溶化したタンパク質または膜結合タンパク質としてMSPと接触させた場合に、ナノディスクに容易に組み込むことができる。ナノディスクに挿入されたG−タンパク質共役レセプターは、膜を横切るシグナル伝達プロセスにおいて完全に機能的である。再構築されたレセプターの構造的な特徴付けは、化学分析、分光光度法および原子間力顕微鏡法を使用して実行される。
シトクロムタンパク質は、植物、昆虫、哺乳動物、鳥類または他の供給源に由来することができる。特定の例には、昆虫シトクロムP450レダクターゼおよびシトクロムP450 CYP6B1ならびに植物シトクロムP450 CYP7B12、CYP7B13、CYP73A5、CYP86A1、CYP86A2、CYP86A4、CYP86A7またはCYP86A8が含まれる。「に由来する」とは、MSPと接触されてナノディスクを産生するときに、標的タンパク質が天然の(ネイティブな)膜中で存在すること、または標的タンパク質が単離、精製、もしくはあらかじめ可溶化されることができること、または標的タンパク質が、それが組換え的に産生される細胞の膜と結合できることを意味し得る。
ナノスケールリン脂質二重層中で可溶化されるGPCRには、クラスA(ロドプシン様)GPCRが含まれ、これは、化合物の中でも、とりわけ、アミン、ペプチド、ホルモンタンパク質、ロドプシン、嗅覚プロスタノイド、ヌクレオチド様化合物、カンナビノイド、血小板活性化因子、ゴナドトロピン放出ホルモン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンおよび分泌促進物質、メラトニンおよびリゾスフィンゴ脂質およびリゾホスファジン酸(LPA)を結合する。アミンリガンドを有するGPCRには、限定されないが、アセチルコリンまたはムスカリン性、アドレナリンレセプター、ドーパミン、ヒスタミン、セロトニンまたはオクトパミンレセプターが含まれ;ペプチドリガンドには、限定されないが、アンギオテンシン、ボンベシン、ドラジキニン、アナフィラトキシン、Fmet−leu−phe、インターロイキン−8、ケモカイン、コレシストキニン、エンドセリン、メラノコルチン、ニューロペプチドY、ニューロテンシン、オピオイド、ソマトスタチン、タキキニン、トロンビン バソプレッシン様、ガラニン、プロテイナーゼ活性化、オレキシンおよびニューロペプチドFF、アドレノメデュリン(G10D)、GPR37/エンドセリンB様、ケモカインレセプター様およびニューロメデュリンUが含まれる。
他の例示的なタンパク質には、哺乳動物、特にヒトの、CCR5およびCXCR4ケモカインレセプターが含まれる。これらは、ネイティブなまたは組換えのタンパク質を含む膜を接触させることによってナノディスクに組み込まれた。CCR5−およびCXCR4−特異的抗体との、CCR5−含有またはCXCR4−含有ナノディスクの反応によって証明されるように、ネイティブなタンパク質コンホメーションは維持される。ヒトbet−2アドレナリン作動性レセプターを含むナノディスクもまた作製された。
他の特定のGPCRのリガンドには、とりわけ、ホルモンタンパク質、ロドプシン、嗅覚化合物、プロスタノイド、ヌクレオチド様(アデノシン、プリノセプター)、カンナビノイド、血小板活性化因子、ゴナドトロピン放出ホルモン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンおよび分泌促進物質、メラトニンおよびリゾスフィンゴ脂質およびLPAが含まれる。クラスBセレクチン様GPCRには、限定されないが、カルシトニン、コルチコトロピン放出因子、胃抑制ペプチド、グルカゴン、成長ホルモン放出ホルモン、副甲状腺ホルモン、脳下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)、セレクチン、血管活性腸管ポリペプチド、利尿ホルモン、EMR1およびラトロフィリンを結合するものが含まれる。クラスC代謝調節型グルタミン酸レセプターには、とりわけ、代謝調節型グルタミン、細胞外カルシウム−感受性レセプターまたはGABA−Bレセプターを結合するものが含まれる。それらのリガンドが未知である「オーファン」レセプターもまた、本発明のアッセイの潜在的な標的である。
特定のリガンドの結合を実証し、またはMSPに支持されたGPCRに結合するリガンドの阻害剤またはコンペティターを同定するために使用される本発明のアッセイにおいて、種々の検出可能な部分(リガンド)が、リガンド分子(例えば、放射活性アイソトープ、例えば、H、14C、35S、32P、125I、131I、蛍光化合物、発光化合物など)に取り込まれることができ、コグネイトレセプターへの結合が、標識に起因して有意に減少しないならば、リガンド分子に結合されることができる。
(走査型プローブ顕微鏡法)
ディスク構造および結合したタンパク質の特徴付けにおいて使用される重要な技術は、走査型プローブ顕微鏡法(SPM)である。SPMは、走査型トンネル顕微鏡(STM)において最初に開発された走査原理を利用する任意の顕微鏡について包括的用語であるが、これらの顕微鏡は非常に大きく変動し得るので、これらを導く中心原理によって最も良好に議論される。この技術は、生物学的膜およびそれらに付随するタンパク質、二重層構造、および組み込まれた膜タンパク質表面の分析において使用されてきた。SPMは、表面のある特性を検出することが可能である検出系(プローブ)と、3つすべての空間的な方向における独立した移動(走査)を組み合わせる。プローブできる種々の表面特性(伝導率、表面力、圧縮率、静電容量、磁気、蛍光放射)は、入手することができる情報の豊富さを実証する。原子間力顕微鏡の優秀なz軸感度は、rHDL単層に結合する、またはナノディスク中のタンパク質の存在を容易に検出可能にする(Bayburt et al.,1998)。正確な高さの測定はAFMを用いて可能であり、膜タンパク質の高さの測定は、種々のナノディスクアセンブリ上でAFMプローブの力を調節することによって得られる(Bayburt et al.,2000)。MSPから形成されたディスクの表面結合は、SPMによって、表面上のリン脂質二重層に組み込まれた単一の膜タンパク質の生物物理学的特性の直接的な研究を可能にする。原子的に平坦である導電性表面(例えば、金またはシリカなど)にディスクを取り付ける能力は、操作型トンネル顕微鏡(STM)のために必要である。理論によって束縛されることを望むことはないが、酸化還元−活性系を通してのトンネル効果は、酵素の機能的状態をプローブするために使用することができると考えられている(Friis et al.,1999;Mukhopadhyay et al.,2000)。これらの2つの技術は相補的データを提供し、二重層/溶液界面で起こる事象を研究するために協調して使用することができる。金表面上にディスクを配置する能力はまた表面プラズモン共鳴(SPR)の使用を可能にする。このような人工の脂質二重層への膜タンパク質の挿入、または表面結合したタンパク質とのそれらの相互作用は、SPRによって検出および定量され得る。
ナノディスクをその上に結合することができる他の有用な固体表面には、限定されないが、石英、シリカ、ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、ポリスチレン、プラスチックおよびレジンが含まれる。
(ディスクの安定性およびサイズの分散)
ディスクの安定性の測定およびクラス間のサイズの分散の決定は、構築物およびナノディスクを評価するために必要である。ゲル濾過およびネイティブゲル電気泳動が、粒子を分離し、かつそのサイズを定量するために使用される。スペクトル測定は、操作されたMSPの、二次構造(CD)、ならびに熱変性および化学変性に基づく安定性を含む、脂質結合(蛍光)の特性を定量するために使用される。ディスク中の成分の組成および化学量論は、タンパク質および脂質成分の放射活性標識または蛍光標識、質量分析法などを使用する、伝統的な方法によって定量することができる。
ナノディスクの脂質二重層への蛍光団の取り込みにおける進歩が達成されてきた。このような実験は、治療用途のため、ならびに組織局在化のために標識された構造の生成およびADME/毒物学研究において、ナノディスクへの低分子の取り込みのための重要な情報を提供する。蛍光は、タンパク質を追跡するため、およびタンパク質結合事象を分析するために最も広範に使用される技術の1つである。ナノディスクは、親油性蛍光色素を含むように、およびタンパク質を標識するように調製され得る。いくつかの異なる蛍光団が、自己集合の間またはその後にナノディスクの脂質二重層に組み込まれてきた。ナノディスクの脂質二重層の小さなサイズ(〜8nm直径)に起因して、色素が、二重層に組み込まれたタンパク質の数ナノメートル以内に保持される。さらに、タンパク質対色素の化学量論は厳密に制御することができる。この方法論は、所望の数の色素が、変異または他の侵襲性もしくは潜在的に破壊的な技術を通して色素を直接的に結合することなく、タンパク質を標識することを可能にする。
関連する実験において、多数の蛍光標識脂質が、ナノディスクの形成において使用された。結果は、ハイドロマティックに(hydromatically)モニターされるように、30から40までの多くの低分子有機分子が、円板状の二重層構造を混乱させることなく、単一のナノディスクに組み込まれ得ることを示唆してきた。これらの高度に蛍光性のナノ粒子は、微小流動アレイおよび診断薬のためのオンチップ分析系を含む、光学的に感受性および分別的な適用において有用である。
この技術の例として、ナノディスクが、DHPE−フルオレセイン脂質およびMSP1を添加したDPPCを使用してアセンブルした。サイズ排除クロマトグラフィーによって示されるように、10および20%DHPE−フルオレセインを含む脂質混合物はナノディスクを生じた。これらのパーセンテージは、ナノディスクあたり16および32の蛍光標識された脂質に対応し、これは、MSP1とアセンブルしたときに、160DPPCを含むことが示された。種々の親油性蛍光団がナノディスクに取り込まれた。これらには、フルオレセインの親油性誘導体、脂質相状態マーカーラウルダン(laurdan)およびヒドロキシクマリンの誘導体、pH感受性プローブが含まれる。これらの蛍光団は、アセンブリプロセスの間とその後の両方で、ナノディスクに取り込まれた。ラウルダンは、DPPCおよびDMPCを含むナノディスクに取り込まれた。すべての蛍光団は、DMPCを含むナノディスクに、ならびに内在性膜タンパク質標的を取り込むようにプレアセンブルされたナノディスクに取り込まれた。
(疎水性化合物または両親媒性化合物の取り込み)
疎水性または両親媒性の有機化合物、例えば、蛍光および/または親油性色素、例えば、膜構造をプローブするために使用されるものは、2つの方法のうちの1つで、ナノディスクに容易に取り込むことができる。最も一般的には、このような化合物は、界面活性剤で可溶化した混合物に加えることができる。次いで、興味のある化合物は、界面活性剤の除去によって開始されるナノディスクアセンブリの間に、最終的な構造に自然にアセンブルされる。代替的には、これらの化合物は、単純なインキュベーションによって、あらかじめ形成されたナノディスクに取り込むことができる。この場合において、予測される液体リン脂質状態へのより容易な取り込みが存在し、この状態は、リン脂質混合物の相転移温度と比較して、インキュベーション温度によって決定される。しかし、疎水性二重層構造へのこのような化合物の強い分配は、DPPC(相転移温度約42℃)を用いての、室温(約25℃)においてさえの首尾よい取り込みを可能にする。ナノディスクに分配する親油性色素は、限定されないが、ジフェニルヘキサトリエン、オクチルデシルインドカルボシアニン (Dil)、C1−BODIPY 500/510、ジヘキサデカノイルグリセロホスホエタノールアミンフルオレセインを含むことができる。
疎水性または部分的に疎水性の造影剤、治療剤および/または化粧用に活性の分子などもまた、同じかまたは同様のプロトコルを使用して取り込むことができる。
(原子間力顕微鏡法)
AFMは、本発明のナノディスクの脂質成分およびタンパク質成分の構造組成に対する分子解像データを提供するために使用される。この技術は、空気中、真空中、ならびに水溶液および非水溶液下で使用することができる。後者の能力は、これを、生物科学において最も重要な操作型プローブ技術にする。AFMは、接触、タッピング、位相、および横力のモードにおける画像および他の型の力のデータを獲得することが可能であるので、非常に多用途の機器である(Sarid,1994)。これらの操作モードは、Digital Instrumentsの複数モード走査型プローブ顕微鏡(Digital Instruments,Plainview,NY)上で利用可能であり、そしてこれらは、組み込んだタンパク質を伴うナノディスクとこれを伴わないナノディスクの両方に結合したrHDLおよびタンパク質を画像化するために首尾よく使用されてきた。この機器はまた、金結合ナノディスクおよび組み込まれた酸化還元タンパク質の特徴を研究するためにSTMおよび電気化学モードで使用することができる。
MSP一次構造の修飾は、代替的であり、より有効かつ安定な膜骨格タンパク質を生成することを可能にする。例えば、本発明者らは、新規な人工の膜骨格タンパク質を産生するために、MSP1のへリックス領域を、欠失および/または二重にした。このような膜骨格タンパク質の例については、以下の本明細書中の表21を参照のこと。
製造したナノディスクのサイズに関する均質性を補償するために、再構成混合物中のMSPの濃度に対する慎重な配慮が必要である。最適なリン脂質対MSP比は、生成された全体サイズのナノディスクに依存し、これは次には、膜骨格タンパク質を取り囲む全体の長さによって決定される。例えば、MSP1骨格タンパク質は、名目上、9.7nm直径ディスクを形成するように自己集合し、ナノディスクあたり組み込まれた163個のDPPCリン脂質(PL)分子を伴う(MSP1あたり81.6)。MSP内にさらなるへリックスセグメントを付加することによってより大きいように操作されるナノディスクについては、より多くのリン脂質(PL)が封入される。さらなる22マーへリックスを有するMSPE1は、直径10.4nmの粒子およびMSP1E1あたり105.7PLを生成した。2つの22マーへリックスがMSPに挿入されたとき、直径11.1nmのナノディスクが、MSP1E2あたり138.2PL分子を伴って生成される。加えられた3つの22マーへリックスを用いると、12nmの粒子が、得られるナノディスクあたり176.6DPPC分子を伴って製造される。
本発明者らは、天然の細胞膜とともに形成されるナノディスクの脂質組成を研究してきた。天然の生物学的膜からのナノ二重層のアセンブリへのMSP技術の首尾よい適用は、細胞からの膜タンパク質の直接的単離、およびそれらの可溶化、およびネイティブな細胞環境を密接に模倣する系へのそれらの分散を提供する。単離されたナノディスクのリン脂質含量がもともとのSf9ミクロソーム膜のそれを模倣する程度をさらに明確にするために、Sf9ミクロソーム膜とともにアセンブルされたニッケルアフィニティー精製されたナノ構造が、薄層クロマトグラフィーによって分析された。ホスファチジルコリン、ホスファチジルイノシトール、およびホスファチジルエタノールアミンである、昆虫細胞膜において見い出される主要なリン脂質型との、これらのナノディスクリン脂質集団の比較(Marheineke et al.,1998)(図17)は、内因性Sf9ミクロソーム膜のリン脂質組成が、アセンブルされたナノディスクにおいて保存されていることを明確に示す。
(機能的プロテオミクス)
異種発現膜タンパク質の機能的プロテオミクス分析と適合可能である形式にMSP技術を適合させるために、CYP6B1を過剰発現するSf9細胞からの膜は、操作された膜骨格タンパク質MSP1の存在下で、界面活性剤を用いて完全に可溶化された。界面活性剤の除去(Biobeads(登録商標)を使用する)は、図14に概略されるように、MSPによって支持されたリン脂質ナノ二重層への、膜タンパク質集団の組み込みを可能にする。MSP1含有粒子は、引き続いて、骨格タンパク質のN末端上にHis6−タグを結合するためのニッケルキレート化レジンを使用して単離された。変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動による、アフィニティー精製された可溶性ナノ二重層の分析は、もともとのSf9細胞膜(図15)に存在する内因性タンパク質のアレイと同様に、CYP6B1標的タンパク質の存在を確証した(図15)。ニッケルアフィニティー精製サンプルをサイズ排除クロマトグラフィーによって分画し(図16A)、417nmにおける吸光度によって分析して、90%より多くの可溶化したヘム含有標的タンパク質を含む10nm画分を同定した。
膜骨格タンパク質の非存在下の非存在下で処理されかつ分画されたCYP6B1−発現Sf9細胞膜のサイズ排除クロマトグラフィーは、標的が、大きく非特異的な凝集体として溶出することを示す(図16A、点線部)。生成されたMSP1が支持されたナノディスクの均質性は、再構築手順において使用される脂質の同一性、およびMSPの量に対する脂質のその比率に依存する(Bayburt et al.,2002)前出)。Sf9昆虫細胞膜からの天然の脂質プールとアセンブルされたMSPの本発明者らの分析は、最初のニッケルアフィニティー精製したナノディスク中の他のサイズ集団を示す(図16A)。これらの変動は、変動量の異種P450タンパク質を発現する膜調製物中の脂質組成物に理想的には一致する、MSPタンパク質の正確な濃度、およびこのプロセス中でまたナノ構造にアセンブルされる内因性膜タンパク質の顕著なサイズ分布を先験的に決定することの困難さに起因する。これらの他のサイズのクラスは、約10nm直径ナノ二重層アセンブリから容易に分離される非特異的凝集体を表す。P450標的タンパク質を含むナノディスクのサイズ分画された集団は、Superdex(商標)200などのサイズ分画カラム上での再分画を通して均一かつ安定である。最終的なCYP6B1−含有集団は、10個のナノディスクあたり約1個のCYP6B1タンパク質の化学量論を示す(図16B)。
本発明者らは、ナノディスクにアセンブルされた膜タンパク質の完全性を試験した。CYP6B1−含有ナノ構造を、鉄の還元および一酸化窒素(CO)の結合によってアッセイした。これは、インタクトでありかつP450によって媒介される触媒のために正確に配置されるタンパク質の量を、450nmにおける最大吸収を介してモニターする(Omura and Sato(1964)(図18を参照のこと)。このスペクトルアッセイは、420nmにおける吸収の非存在を示し、P450などの通常は不安定なタンパク質が、引き続く分画および生化学的分析のために適切であるナノディスクに、それらのネイティブな型で組み込まれるという事実を実証する。可溶化された膜タンパク質が基質を結合するために接近可能であり、かつハイスループット光学分析における使用のために適切であることをさらに実証するために、P450によって代謝されるいくつかのフラノクマリン基質の1つであるキサントトキシンの、MSP−1−およびCYP6B1−含有ナノディスクへの結合が、96ウェルマイクロタイタープレート中で、200μlのみのナノディスクのサンプル量(10ピコモル酵素)および種々の濃度の基質を使用して分析された。種々の濃度のキサントトキシンで得られたI型結合スペクトル(Estabrook and Werringloer,1978)は、P450触媒部位におけるヘム鉄への6番目のリガンドとして水を効果的に置換する基質に特徴的な420nmから390nmまでの吸収のシフト、および鉄を低スピンから高スピンに転換することを示す。図18に提示したデータは、基質を結合するCYP6B1の能力が、ナノディスクアセンブリおよび引き続く分画プロセスの全体にわたって維持されることを明確に例証する。
要約すると、本発明は、細胞二重層中に存在する複雑な複数成分のアセンブリと同様に、膜タンパク質標的の研究のための重要なツールを提供する。頻繁に使用されるバキュロウイルス、酵母および哺乳動物発現系中で個々にクローニングされたP450または他の膜タンパク質を発現する本発明者らの能力と結び付けたときに、これらの技術は、以前には可溶性タンパク質に制限されていた生化学的方法論の開発において、ネイティブな膜二重層中に支持される単一の膜タンパク質を示すための機会を提供する。MSP由来の粒子および膜または膜断片の脂質組成は、開始時の膜またはフラグメントのそれと類似する。とりわけ、可溶化した膜または膜断片調製物が、リン脂質および疎水生タンパク質または関心のある他の疎水性分子の供給源として使用される。これは、MSPとともに粒子に組み込まれるようになる膜タンパク質(または他の疎水性タンパク質)のネイティブなコンホメーションおよび活性を維持することに寄与する。
マイクロタイタープレート中で高感度の光学差スペクトルを使用して、基質、阻害剤および他の相互作用分子を、これらの可溶化された膜タンパク質と結合する能力は、多くの異なる型の膜タンパク質のためのハイスループットスクリーニング方法の開発を可能にする。例えば、ナノディスクへの組み込みを通して、機能的状態で安定化されたシトクロムP450およびそのレダクターゼは、製薬工業における応用とともに、薬物代謝および薬力学の測定のための魅力的な手段を提供する。ナノディスク可溶化手順がすべての膜タンパク質に非特異的に応用できるという事実は、この技術が、細胞膜から直接的に多くの薬学的標的タンパク質を可溶化および分画するために使用できることを意味する。MSP分子上のヒスチジン(または他の)タグと結び付けると、この技術は、ハイスループットスクリーニングのために適切である表面上の標的タンパク質の固定化を可能にする。本明細書に記載されるすべてのMSPは、精製しかつ可溶化した疎水性もしくは部分的に疎水性のタンパク質を有する、または膜もしくは膜断片調製物から可溶化した、疎水性もしくは部分的に疎水性の膜タンパク質を有するナノディスクを調製する際に使用することができる。
(免疫原性組成物)
疎水性または部分的に疎水性である抗原は、細胞性または体液性のいずれかである免疫応答が所望されるヒトまたは動物への投与のための免疫原性組成物に製剤化することができる。本発明のMSPを有するナノディスクへの抗原の組み込みは、凝集する傾向を有さない安定な水性調製物の調製を可能にする。抗原の少なくとも1つの抗原決定基が水相に提示され、抗原のより疎水性の部分が、ナノディスクの疎水性の中心領域内に埋め込まれる。ナノディスク内に組み込まれた抗原は、細胞膜タンパク質もしくはウイルスエンベロープタンパク質などのタンパク質であることが可能であり、またはこれはリポポリサッカリドもしくはリポオリゴサッカリドであることが可能である。
抗原は、ウイルス、とりわけエンベロープを有するウイルス、細菌、真菌、原生動物、寄生生物を含むがこれらに限定されない細菌に由来することが可能であり、またはこれは、特定の型の腫瘍もしくは癌に由来することが可能である。抗原含有ナノディスク調製物は、免疫応答を生成するための予防的または治療的な処置レジメンにおいて投与することができ、そしてこれらのナノディスクの投与は、初回免疫および/または追加免疫のために他のワクチン調製物と組み合わせて実行することができる。
本発明の方法において、抗原の供給源としての使用のために細胞がそこから入手することができる癌(新生物状態)には、癌腫、肉腫、白血病および神経系の細胞由来の癌が含まれる。これらには、骨の癌(骨肉腫)、脳の癌、膵臓癌、小細胞および大細胞の腺癌などの肺癌、横紋筋肉腫(rhabdosarcoma)、扁平上皮癌、基底細胞癌、悪性黒色腫、他の皮膚癌、細気管支肺胞上皮癌、結腸癌、他の胃腸癌、腎臓癌、肝臓癌、乳癌、子宮、卵巣、または子宮頸部の癌、前立腺癌、リンパ腫、骨髄腫、膀胱癌、B細胞リンパ腫またはT細胞リンパ腫などの細網内皮系(RES)の癌、黒色腫、および軟部組織癌が含まれる。
用語「新生物細胞」、「腫瘍細胞」、または「癌細胞」は、単数形または複数形のいずれかで使用され、宿主生物に対してその細胞を有害にする悪性の形質転換を受けている細胞をいう。原発性癌細胞(すなわち、悪性形質転換の部位の近くから得られる細胞)は、十分に確立された技術によって、特に、組織学的試験によって、非癌性細胞から容易に区別することができる。癌細胞の定義は、本明細書で使用されるように、原発性癌細胞を含むのみならず、癌細胞の祖先に由来する任意の細胞もまた含む。これには、転移した癌細胞、ならびにインビトロ培養物および癌細胞に由来する細胞株が含まれる。固形腫瘍として通常表れる癌の型をいうときに、「臨床的に検出可能な」腫瘍は、腫瘍塊に基づいて;例えば、CATスキャン、磁気共鳴映像法(MRI)、X腺、超音波、または触診などの手法によって検出可能なものである。生化学的または免疫学的な発見単独では、この定義を満たすためには不十分であるかもしれない。
複数抗原の免疫学的応答が有利である病原体には、ウイルス、細菌、真菌および原生動物の病原体が含まれる。免疫が望ましいウイルスには、限定されないが、とりわけ、以下が含まれる:出血熱ウイルス(エボラウイルスなど)、免疫不全ウイルス(ネコ免疫不全ウイルスまたはヒト免疫不全ウイルスなど)、ヘルペスウイルス、コロナウイルス、アデノウイルス、ポックスウイルス、ピコルナウイルス、オルトミクソウイルス、パラミクソウイルス、風疹、トガウイルス、フラビウイルス、ブンヤウイルス、レオウイルス、レトロウイルスなどの発癌ウイルス、病原性アルファウイルス(セムリキ森林ウイルスまたはシンドビスウイルスなど)、ライノウイルス、肝炎ウイルス(B型、C型など)、インフルエンザウイルス。免疫応答が助けになる細菌病原体には、限定されないが、以下が含まれる:ブドウ球菌(staphylococci)、連鎖球菌(streptococci)、肺炎球菌(pneumococci)、サルモネラ菌(salmonellae)、大腸菌(escherichiae)、エルシニア(yersiniae)、腸球菌(enterococci)、クロストリジウム(clostridia)、コリネバクテリア(corynebacteria)、ヘモフィルス(hemophilus)、ナイセリア(neisseriae)、バクテロイド(bacteroides)、フランシセラ(francisella)、レジオネラ(legionella)、パスツレラ(pasteurellae)、ブルセラ(brucellae)、ミコバクテリア(mycobacteriae)、ボルデテラ(bordetella)、スピロヘータ(spirochetes)、放線菌(actinomycetes)、クラミジア(chlamydiae)、マイコプラズマ(mycoplasmas)、リケッチア(rickettsias)など。関心のある病原性真菌には、限定されないが、以下が含まれる:カンジダ(Candida)、クリプトコッカス(cryptococci)、分芽菌(blastomyces)、ヒストプラスマ(histoplasma)、コクシジオイド(coccidioides)、藻菌(phycomycetes)、トリコデルマ(trichodermas)、アスペルギルス(aspergilli)、ニューモシスティス(pneumocystis)など。免疫が有用である原生動物には、限定されないが、以下が含まれる:トキソプラズマ(toxoplasma)、プラスモジウム(plasmodia)、住血吸虫(schistosomes)、アメーバ(amoebae)、ランブル鞭毛虫(giardia)、バベシア(babesia)、リーシュマニア(leishmania)など。他の寄生生物には、線虫(roundworm)、鈎虫(hookworm)およびサナダムシ(tapeworm)、糸状虫(filiaria)などが含まれる。
本発明のさらなる目的は、抗原に特異的な抗体の産生、または抗原を共有する細胞もしくは組織が細胞もしくは細胞毒性免疫応答の対象であるような細胞応答免疫応答を生成するための、ヒトまたは動物(例えば、ウマ、ブタ、ウシ、ヤギ、ウサギ、マウス、ハムスター)への本発明の抗原含有免疫原性ナノディスク組成物の投与である。このようなヒトまたは動物から収集した血清または細胞は、モノクローナル血清を生成するハイブリドーマの産生のためのポリクローナル血清または細胞を提供する際に有用であり、このような抗体調製物は、研究的、診断的、および治療的な適用において有用である。
免疫応答の生成は、腫瘍細胞(または新生物状態)、病原体、または寄生生物に向けられる少なくともある程度のレベルの防御免疫を含むのに対して、新生物状態または寄生生物もしくは病原体での感染に苦しむ患者における臨床的結果は、当該技術分野に公知であるように、適切な化学療法剤で患者をまた治療することによって改善することができる。病原体がウイルスである場合、アシクロビルなどの抗ウイルス化合物は、ヘルペスウイルス感染を有する患者において抗原含有ナノディスクワクチン投与と同時に、またはHIVに感染した個体におけるHAART(高活性高レトロウイルス治療)と同時に投与できる。病原体が細菌病原体である場合、細菌が感受性である抗生物質が望ましく投与され、病原体が真菌である場合、適切な抗真菌抗生物質が望ましく投与される。
同様に、寄生生物感染の制御および/または根絶のための化学薬剤が公知であり、当該技術分野に周知である投薬量およびスケジュールを使用して、ヒトまたは動物の患者に有利に投与される。患者が新生物状態、例えば、癌に苦しんでいる場合、それが投与された患者への1つまたは複数の多重度の癌関連抗原を有するナノディスクを含む免疫原性組成物の投与には、タキソール、チオウレア、治療量放射線核種と結合した癌特異性抗体などの化学療法剤を含むがこれらに限定されない、抗新生物剤の投与が望ましく付随し、但し、この薬剤は、患者においてその発現をそれらが指向する、投与されたナノディスクおよび抗原に対する免疫応答を生成する患者の能力を除去しないという条件である。遺伝子発現を調節するため、または機能的タンパク質の発現を指向するための核酸は、とりわけ、核酸分子が、その多くが市販されているカチオン性脂質と複合体形成する場合に、ナノディスクに組み込むことができる。
本発明の薬学的製剤、例えば、ワクチンまたは他の免疫原性組成物は、薬学的キャリアと組み合わせた、免疫原性量の抗原を有するナノディスクを含む。「免疫原性量」は、薬学的製剤が投与される被験体において免疫応答を誘発するために十分である、抗原を有するナノディスクの量である。用量あたり約10〜約1011個、好ましくは10〜10個の粒子の量が、治療される被験体の年齢および種に依存して、適切であると考えられている。投与のための設定(すなわち、疾患の治療または予防)に依存して、用量(および投与の反復)は、治療的に有効または予防的に有効であるように選択することができる。
例示的な薬学的に受容可能なキャリアには、限定されないが、滅菌した発現物質を含まない水および滅菌した発現物質を含まない生理食塩水溶液が含まれる。本発明の抗原含有ナノディスクの免疫学的量を投与されてもよい被験体には、限定されないが、ヒトおよび動物(例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ブタ、ウシ、ヤギ、ウサギ、ロバ、マウス、ハムスター、サル)の被験体が含まれる。サイトカインおよび/またはBCGなどの免疫学的に活性な化合物はまた、投与された免疫原性調製物に対する免疫応答を増加するために加えることができる。
本発明の方法を使用して産生された、関心のある抗原を組み込むナノディスクを含む免疫原性組成物は、当該技術分野において公知の手段のいずれかによって製剤化されてよい。このような組成物、とりわけワクチンは、典型的には、注射剤として、液体溶液または懸濁液のいずれかとして調製される。注射の前の、液体中への溶液、または液体中への懸濁液のために適切である固体形態もまた調製されてもよい。
活性免疫原性成分(ナノディスク)は、薬学的に受容可能でありかつ活性成分と適合可能である賦形剤またはキャリアと有利に混合される。適切な賦形剤には、限定されないが、滅菌水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、およびその組み合わせが含まれる。
さらに、所望される場合、ワクチンを含む免疫原性組成物が、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、および/またはワクチンの有効性を増強するアジュバントなどの補助物質の微少量を含んでもよい。有効である可能性のあるアジュバントの例には、限定されないが、以下が含まれる:水酸化アルミニウム;N−アセチル−ムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP);N−アセチル−nor−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(CGP 19835A、MTP−PEとも呼ばれる);ならびに、2%スクアレン/Tween80エマルジョン中の細菌から抽出された2種の成分を含むRIBI、モノホスホリルリピドA、トレハロースジミコレートおよび細胞壁骨格(MPL+TDM+CWS)。アジュバントの有効性は、投与後のナノスケール粒子の免疫原性成分に対して指向される抗体の量を測定することによって決定されてもよい。当該技術分野において公知であるようなこのようなさらなる製剤および投与の様式もまた、使用されてもよい。
免疫原性(またはさもなくば生物学的に活性な)抗原含有ナノディスク成分は、投薬製剤と適合可能である様式で、ならびに予防的および/または治療的に有効である量で投与される。1回の用量で一般的に約10〜約1010粒子、好ましくは10〜10の範囲である投与される量は、治療される被験体、個体の免疫系が抗体を合成する能力、および所望される防御の程度に依存する。投与されるために必要とされる活性成分の適切な量は、医師、獣医、または他の健康の実務者の判断に依存してもよく、各個体に特有であってもよく、しかしこのような決定は、このような実務者の技術の範囲内である。
ワクチンまたは他の免疫原性組成物は、単回用量または複数回用量スケジュールで与えられてもよい。複数回用量スケジュールは、免疫応答を維持および/または強化するために必要とされるように、ワクチン接種の初回治療単位が1〜10以上の別個の用量、続いて引き続く時間間隔で投与される他の用量を含んでもよいものであり、例えば、第2の用量のために、毎週、毎月または1〜4ヶ月、および必要とされる場合、数ヶ月または数年後の引き続く用量である。疎水性または部分的に疎水性の抗原は、他の分子(膜タンパク質または低分子など)について記載されるように、ナノディスクに組み込むことができある。抗原が、事実上、膜と結合されるか、または膜中に存在する場合、可溶化された純粋なもしくは部分的に純粋な調製物、または可溶化された膜もしくは膜断片調製物が、ナノディスクアセンブリ混合物ちゅうのインプット抗原の供給源として使用することができる。
(核磁気共鳴)
心筋虚血の診断のための現在の方法は、ガドリニウム(Gd)を含むNMR緩和剤を利用する。現在の業界大手は、Magnevist(Berlexの商標)である。Gd金属は、ガドペンテテートジメグルミンの型でキレート化される。不運なことに、この化合物の半減期は、その小さなサイズおよび迅速なクリアランスに起因して、ヒトにおいてはわずか数分間である。ナノディスクは、ヒト血漿においては数時間の半減期を有すると考えられている。
種々の有機および無機複合体が、脂肪酸様鎖との結合体化(共有結合)によってナノディスク二重層に組み込まれ得、次いでこれはナノディスク二重層に分配する。本発明者らは、種々の負荷においてナノディスクに蛍光分子を加えるためにこの技術を使用した。約160個のDPPCリン脂質分子を含む典型的な10nm直径ナノディスクについては、ネイティブなリン脂質を置き換え、ナノディスク構造を含むことなく、約40〜50までのこのようなアルキル鎖が固定された種が組み込むことができる。この同じ手順が、ナノディスクに他の有機物または無機物を固定するために使用することができ、次に、ナノディスクは、化合物のキャリアとなり、小さくかつ強固なサイズを提供しながら、有利に制御された循環半減期を有する。このような化合物には、糖、造影剤、親油性色素、感光剤(光増感剤)などが含まれる。光増感剤には、限定されないが、腫瘍またはアテローム斑を治療するために有用であるもの、例えば、ポルフィリンおよびフタロシアニン(phthalacyanin)関連分子が含まれる。
種々のキレート剤は、10nm直径パッケージ中に約50のGd緩和剤をナノディスクを提供するように構築することができる。これは、心臓血管の画像化のためのより長い半減期の画像化剤を提供する際に大きな利点を有するはずである。本発明者らは、市販のキレート剤を使用して、これらの線に沿って第1の実験を意図したが、これは、Gd分子の不完全な配位を提供する。次に、この化合物は沈殿する傾向がある。Magnevistと同じキレート特性を有するが、増加した血漿半減期を有するより濃縮された実体であるために、Magnevist構造に、例えば、メチレン炭素の位置に長いアルキル鎖を加えることは正攻法的な化学である(J.Med.Chem 42,2852(1999))。
(機能的等価物)
本発明のMSPのアミノ酸配列に対して実質的に同一(少なくとも約80〜99%、およびその間のすべての整数で同一)であるアミノ酸配列を有する、特に例示されたMSPの変種が作製することができ、これは機能的に等価な、両親媒性の、三次元構造を形成し、そしてリン脂質および/またはパッセンジャー分子、例えば、とりわけ、疎水性タンパク質または部分的に疎水性のタンパク質を有するナノディスクを形成する能力を保持することが理解される。特定のアミノ酸置換が、タンパク質の機能に影響を与えることなく、タンパク質配列中で作製することができることは、生物学の技術分野において周知である。
一般的に、保存性アミノ酸置換または類似のアミノ酸の置換は、タンパク質機能に影響をすることなく許容される。類似のアミノ酸は、サイズおよび/または電荷特性が類似しているものであり得、例えば、アスパラギンおよびグルタミン、ならびにイソロイシンおよびバリンは、両方とも類似のアミノ酸である。非極性アミノ酸には、アラニン、バリン、ロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、イソロイシン、システイン、およびグリシンが含まれる。非荷電アミノ酸には、セリン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン、およびチロシンが含まれる。荷電した極性塩基性アミノ酸には、リジン、アルギニン、およびヒスチジンが含まれる。1つのアミノ酸の別のものでの置換は、へリックス形成が、意図される場合を除いて破壊されない場合に許容される。アミノ酸対間での類似性は、多数の方法で、当該技術分野において評価されてきた。例えば、本明細書に参照により援用されるDayhoff et al.(1978) Atlas of Protein Sequence and Structure,Volume 5,Supplement 3,Chapter 22,pages 345−352は、アミノ酸の類似性の尺度として利用され得るアミノ酸置換のための度数分布表を提供する。Dayhoffの度数分布表は、進化的に異なる種々の供給源からの同じ機能を有するタンパク質についてのアミノ酸ヒア列の比較に基づいている。
開示されたヌクレオチド(およびアミノ酸)配列の置換変異、挿入、および欠失の改変体は、当該技術分野において周知である方法によって容易に調製することができる。これらの改変体は、これらの改変体が本明細書の具体的に例示される配列と実質的な配列同一性を有する限り、例示されるMSP配列と同じ様式で使用することができる。本明細書で使用されるように、実質的な配列同一性とは、その改変体が由来するポリヌクレオチドまたはタンパク質と同じ能力で機能することを、その改変体ポリヌクレオチドまたはタンパク質に可能にするために十分である相同性(または同一性)をいう。好ましくは、この配列同一性は、70%または80%よりも大きく、より好ましくは、この同一性は85%よりも大きく、またはこの同一性は90%よりも大きく、および/または代替的には、この同一性は95%、および70と100%の間のすべての整数よりも大きい。機能が等価であるか、または配列の機能を改善するため、もしくはさもなくば方法論的な利点を提供するために設計される、置換変異、挿入、および欠失変異を作製することは、十分に当該技術分野の当業者の範囲内にある。任意の天然に存在するタンパク質と見なされ得る改変体、または先行技術の改変体と見なされ得る改変体は、特許請求される本明細書の範囲内にあることは意図されない。
もともとの全長配列の得られるフラグメントおよび/または変異体が、全長配列の所望の特性を保持できるように、本発明のポリヌクレオチド配列が短縮および/または変異させることができることは、当該技術分野において周知である。より大きな核酸分子からフラグメントを生成するために適切である広範な種々の制限酵素が周知である。さらに、Bal31エキソヌクレアーゼが、時間で制御する限定消化のために便利に使用できることが周知である。例えば、参照により本明細書に援用される、Maniatis (1982) Molecular Cloning: A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory, New York,pages 135−139を参照のこと。Wei et al.(1983 J.Biol.Chem.258:13006−13512もまた参照のこと。Bal31エキソヌクレアーゼの使用によって(「一塩基消去」手順と一般的には呼ばれる)、当業者は、対象の核酸のいずれかの末端または両方の末端からヌクレオチドを除去することができ、対象のヌクレオチド配列と機能的に等価である広範なスペクトルのフラグメントを生成する。当業者は、この様式で、もともとのMSPをコードする配列に沿ったすべての位置からの制御された、様々な長さの何百ものフラグメントを生成することができる。当業者は、本明細書で教示されるように、それらの特性について生成したフラグメントを日常的に試験またはスクリーニングし、およびフラグメントの有用性を決定することができる。全長配列またはそのフラグメントの変異配列は、部位特異的変異誘発を用いて容易に産生することができることもまた周知である。例えば、Larionov,O.A.and Nikiforov,V.G.(1982)Genetika 18(3):349−59;Shortle,D,DiMaio,D.,and Nathans,D.(1981)Annu.Rev.Genet 15:265−94を参照のこと;両方とも参照により本明細書に援用される。当業者は、欠失型、挿入型、または置換型の変異を日常的に産生することができ、全長野生型配列、またはそのフラグメントの所望の特性を含む得られる変異体、すなわち、GlcNAc T−Vb活性を保持するものを同定することができる。
表1、3、4または5の列挙されたDNAコード配列(配列番号1、3、7または9)に対して少なくとも70、80、85、90または95%以上の同一性を有し、かつGlcNAc T−Vbタンパク質をコードするように機能するするDNA配列は、本明細書の範囲内にある。機能的等価物は、GlcNAc T−Vbコード配列の定義に含まれる。本明細書における教示に従い、および当該分野において周知の知見および技術を使用して、当業者は、過度の実験を費やすことなく、本明細書に列挙されたものに対して等価なDNA配列を有する大量の操作的な態様作製することが可能である。
本明細書で使用されるように、2つの核酸の配列パーセントは、Altschul et al.(1997) Nucl.Acids Res.25:3389−3402のアルゴリズムを使用して決定される;Karlin and Altschul(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873−5877において改変されたような、Karlin and Altschul(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2264−2268もまた参照のこと。このようなアルゴリズムは、Altschul et al.(1990)J.Mol.Biol.215:402−410のNBLASTおよびXBLASTプログラムに組み込まれている。BLASTヌクレオチド検索は、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12を用いて実行され、所望の配列同一性パーセントを有するヌクレオチド配列を得る。比較目的のためにギャップを有するアラインメントを得るために、ギャップ付きBLASTが、Altschul et al.(1997) Nucl. Acids.Res.25:3389−3402に記載されるように使用される。BLASTおよびギャップ付きBLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(NBLASTおよびXBLAST)のデフォルトパラメーターが使用される。インターネット上のNational Center for Biotechnology Informationを参照のこと。
(抗体技術)
モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体、好ましくは、本発明のMSP(または関心のある別のタンパク質)と特異的に反応するモノクローナル抗体は、当該技術分野で公知の方法によって作製することができる。例えば、Harlow and Lane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratories;Goding(1986)Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,2d ed.,Academic Press,New York;およびAusubel et al.(1993)Current Protocols in Molecular Biology,Wiley Interscience,New York,NYを参照のこと。
DNAの単離、増幅、および精製のため、DNAリガーゼ、DNAポリメラーゼ、制限エンドヌクレアーゼなどを含む酵素反応のため、および種々の分離技術のための標準的な技術は、当業者によって公知であり、かつ一般的に利用される。多数の標準的な技術が、Sambrook et al.(1989)Molecular Cloning,Second Edition,Cold Spring Harbor Laboratory,Plainview,New York;Maniatis et al.(1982)Molecular Cloning,Cold Spring Harbor Laboratory,Plainview,New York;Wu(ed.)(1993)Meth.Enzymol.218,Part I;Wu(ed.)(1979)Meth.Enzymol 68;Wu et al.(eds.)(1983)Meth.Enzymol.100および101;Grossman and Moldave(eds.)Meth.EnzymoL 65;Miller(ed.)(1972)Experiments in Molecular Genetics,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor, New York;Old and Primrose(1981)Principles of Gene Manipulation,University of California Press,Berkeley;Schleif and Wensink(1982)Practical Methods in Molecular Biology, Glover(ed.)(1985)DNA Cloning Vol.IおよびII,IRL Press,Oxford,UK;Hames and Higgins(eds.)(1985)Nucleic Acid Hybridization,IRL Press,Oxford,UK; Setlow and Hollaender(1979)Genetic Engineering:Principles and Methods,Vols.1−4,Plenum Press,New York;ならびにAusubel et al.(1992)Current Protocols in Molecular Biology,Greene/Wiley,New York,NYに記載されている。利用される場合、略号および命名法は、当該分野において標準的と見なされ、かつ本明細書で引用されるもののような専門誌において一般に使用される。
本願において引用されるすべての参考文献は、本開示と一致しないことがない程度まで、本明細書において参照により援用される。
本明細書に提供される説明は、本明細書で特許請求されるような本明細書の範囲を限定することを意図しない。当業者によって行われる、例示された物品および方法における任意のバリエーションは、本発明の範囲内にあることが意図される。
(実施例1.MAPを発現するための組換えDNA分子の構築)
以下に与えられるようなヒトプロアポA−1コード配列を、pET−28中のNcolおよびHindIII部位(下線部)に挿入した(Novagen,Madison,Wl)。開始コドンおよび停止コドンは太字である。クローニングにおいて使用される制限エンドヌクレアーゼ認識部位は下線部である。
(表1)
(プロアポA−1コード配列(配列番号1)クローニングにおいて使用される制限部位は下線部であり、翻訳開始シグナルおよび停止シグナルは太字で示される。)
Figure 2007525490
(表2)
(プロアポA−1アミノ酸配列(配列番号2))
Figure 2007525490
MSP1コード配列の構築を以下のように達成した。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)突然変異によって、DNAをコードするMSP1を産生するようにプライマー、プロアポA−1のN−末端ドメインを欠失している先端を切断されたタンパク質を設計した(Higuchi et al.,1988)。
プライマー1(配列番号3)
(5’−TATACCATGGGCCATCATCATCATCATCATATAGAAGGAAGACTAAAGCTCCTTGACAACT−3’)
は、MSP1の精製および操作のためのN−末端6−ヒスチジン、およびヒスチジンタグの除去のための因子Xa開裂部位を導入する。因子Xaは、タンパク質配列IEGRにおけるRの後を開裂する。
プライマー(配列番号4)
(5’−GCAAGCTTATTACTGGGTGTTGACCTTCTT−3’)
を逆プライマーとして使用した。
(表3)
(ヒスチジンタグ化MSP1コード配列(配列番号5)。クローニングにおいて使用される制限部位は下線部であり、翻訳開始シグナルおよび停止シグナルは太字で示される。)
Figure 2007525490
(表4)
(ヒスチジンタグ化MSP1アミノ酸配列(配列番号6))
Figure 2007525490
N−末端ヒスチジンタグを用いずにMSP1を産生するために、プライマー1をプライマー1a:5’−TACCATGGCAAAGCTCCTTGACAACTG−3’(配列番号7)と置き換え、配列番号8に提供される配列を作成した。
(表5)
(「非ヒスチジンタグ化MSP1 DNA配列(配列番号8)。クローニングにおいて使用される制限部位は下線部であり、翻訳開始シグナルおよび停止シグナルは太字で示される。)
Figure 2007525490
(表6)
(非ヒスチジンタグ化MSP1 アミノ酸配列(配列番号9))
Figure 2007525490
タンデム繰り返し(MSP2)を用いたMSPの産生を以下に記載されるように行なった。以下尾プライマーを使用してMSP2を作成した(図6A〜6Bを参照)。
プライマー3(配列番号10):
5’−TACCATGGCAAAGCTCCTTGACAACTG−3’
プライマー3a(配列番号11):
5’−TATACCATGGGCCATCATCATCATCATCATATAGAAGGAAGACTAAAGCTCCTTGACAACT−3’
プライマー4(配列番号12):
5’−TAAGAAGCTCAACACCCAGGGTACCGGTGGAGGTAGTGGAGGAGGTACCCTA−3’
プライマー5(配列番号13):
5’−CAGGGTACCGGTGGAGGTAGTGGAGGTGGTACCCTAAAGCTCCTTGACAA−3
プライマー6(配列番号14):
5’−GCAAGCTTATTACTGGGTGTTGAGCTTCTT−3’
第1のPCRにおいて、プライマー2(またはN−末端ヒスチジンタグについてプライマー2a)およびプライマー4を使用して、MSP遺伝子の3’末端にリンカー配列(アミノ酸配列GTGGGSGGGT;配列番号15をコードする)を付加して、MSP−Aを作成した。第2のPCRにおいて、リンカーをMSP遺伝子の5’末端に付加してMSP−Bを作成した。KpnIを用いたMSP−AおよびMSP−Bの処理およびその後に続く結さつによって以下の構築物(リンカーを有するものおよびリンカーを有さないもの)を得た。KpnI部位は、KpnIを用いた制限および所望のリンカーをコードする二本鎖合成DNAを用いた再結さつによって、任意の所望なリンカー配列を挿入するための容易な様式を提供する。図6A〜6Bを参照。
(表7)
(MSP2(ヒスチジンタグを有し、長いリンカーを有さない)DNA配列(配列番号16)。翻訳開始コドンおよび停止コドンは太字であり、クローニングにおいて使用される制限エンドヌクレアーゼ認識部位は下線部である。)
Figure 2007525490
(表8)
(MSP2(ヒスチジンタグを有し、長いリンカーを有さない)アミノ酸配列(配列番号17))
Figure 2007525490
(表9)
(MSP2L(ヒスチジンタグを有し、長いリンカーを有さない)DNA配列(配列番号18)。翻訳開始コドンおよび停止コドンは太字であり、クローニングにおいて使用される制限エンドヌクレアーゼ認識部位は下線部である。)
Figure 2007525490
(表10)
(MSP2(ヒスチジンタグを有し、長いリンカーを有し、太字)アミノ酸配列(配列番号19))
Figure 2007525490
ヒンジ領域を削除するために、以下のPCRプライマーおよびテンプレートとしてMSP1コード領域のSacIおよびHindIIIフラグメントを用いて、MSP1のC−末端部位を構築することによって、らせん4および5の削除を行なった。
プライマーA(配列番号20):
5’−TGGAGCTCTACCGCCAGAAGGTGGAGCCCTACAGCGACGAGCT−3’
プライマーB(配列番号21):
5’−GCAAGCTTATTACTGGGTGTTGAGCTTCTT−3’
この増幅産物をSacIおよびHindIIIで消化し、配列決定のためにpLitmus28に結さつした。次いで、PET28ベクター中のSacI+HindIIIで処理されたヒスチジンタグ化MSP1構築物を上述のフラグメントと結さつし、MSP1Daを作成した。
(表11)
(MSP1D5D6 DNA配列(配列番号22))
翻訳開始コドンおよび停止コドンは太字であり、クローニングにおいて使用される制限エンドヌクレアーゼ認識部位は下線部である。
Figure 2007525490
(表12)
(MSP1D5D6 アミノ酸配列(配列番号23))
Figure 2007525490
らせん5および6の欠失が同様の様式で行なわれたが、以下のプライマーを用いる2個の別個のPCRステップを第1の反応で使用した(反応1、プライマーC:5’−CAGAATTCGCTAGCCGAGTACCACGCCAA−3’、配列番号24;およびプライマーD:5’−GCAAGCTTATTACTGGGTGTTGAGCTTCTT−3’、配列番号25)および第2の反応(反応2、プライマーE:5’−ATACCATGGGCCATCATCATCATCATCATA−3’、配列番号26;およびプライマーF:5’−CAGAATTCGCTAGCCTGGCGCTCAACTTCTCTT−3’、配列番号27)。
PCR産物は、らせん5および6の両方を欠失しており、NheI制限部位をそれぞれ含有するMSPのN−末端部分およびC−末端部分をコードする。PCR産物をNheI、NcoIおよびHindIIIで消化した後、フラグメントをNcoI+HindIII処理したPET28に結さつし、MSP1D6D7のDNA配列を産生した。図9A〜9Bを参照。
(表13)
(MSP1D6D7 DNA配列(配列番号28))
翻訳開始コドンおよび停止コドンは太字であり、クローニングにおいて使用される制限エンドヌクレアーゼ認識部位は下線部である。
Figure 2007525490
(表14)
(MSP1D6D7 アミノ酸配列(配列番号29))
Figure 2007525490
(実施例2.合成MSP遺伝子の構築)
MSP1のための合成遺伝子を、PCRを用いて満たされた以下の重複合成オリゴヌクレオチドを用いて作成する。コドンの使用はE.coliにおける発現について最適化され、制限部位は、遺伝子のさらなる遺伝子操作のために導入された。
合成ヌクレオチドtaps1a(配列番号30)
Figure 2007525490
合成ヌクレオチドtaps2a(配列番号31)
Figure 2007525490
合成ヌクレオチドtaps3a(配列番号32)
Figure 2007525490
合成ヌクレオチドtaps4a(配列番号33)
Figure 2007525490
合成ヌクレオチドtaps5a(配列番号34)
Figure 2007525490
合成ヌクレオチドtaps6a(配列番号35)
Figure 2007525490
合成ヌクレオチドtaps1b(配列番号36)
Figure 2007525490
合成ヌクレオチドtaps2b(配列番号37)
Figure 2007525490
合成ヌクレオチドtaps3b(配列番号38)
Figure 2007525490
合成ヌクレオチドtaps4b(配列番号39)
Figure 2007525490
合成ヌクレオチドtaps5b(配列番号40)
Figure 2007525490
合成ヌクレオチドtaps6b(配列番号41)
Figure 2007525490
(表15)
(MSP1についての全合成遺伝子配列(配列番号42))
(翻訳開始コドンおよび停止コドンは太字であり、クローニングにおいて使用される制限エンドヌクレアーゼ認識部位は下線部である。)
Figure 2007525490
以下のものは、半繰り返しが欠失しているMSPポリペプチドのアミノ酸配列である:
(表16)
(MSP1D3(配列番号43))
Figure 2007525490
(表17)
(MSP1D9(配列番号44))
Figure 2007525490
(表18)
(第1の半繰り返しが欠失したMSPタンデム繰り返し(MSP2デルタ1)(配列番号45))
Figure 2007525490
Bayburt et al.(2002) Nanoletters2:853−856に記載される伸長したMSPの発現のためのプラスミドを、製造業者の推奨に従って「シームレス」クローニングキット(Stratagene)を用いてMSP1のためのプラスミドから構築した。MSP1TEVのための代替のN−末端をPCRによって付加し;NcoIおよびHindIII制限部位を含むようにプライマーを設計した。PCR産物をpET28aプラスミド(Novagen)へとクローン化した。MSP1TEVプラスミドをテンプレートとして用いて、MSPの先端を切断された変異体をQuick−チェンジキット(Stratagene)を用いて産生した。所望の挿入または欠失の存在およびPCRにより誘発された突然変異の非存在をDNA配列決定によって確認した。
MSPタンパク質の発現および精製を本明細書中に記載されるように行なった。タンパク質純度をSDS−PAGEおよびElectrospray Mass Spectrometryによって特徴決定し;95%より大きいことがわかった。TEVプロテアーゼ発現系を購入し(Science Reagents,Inc.,Atlanta,GA)、いくつかのマイナーな改変の後に使用した。新規骨格タンパク質の配列をSegrest et al.(1999)J.Biol.Chem.274:31755−31758に記載されるようなアンチパラレルダイマーのベルトモデルについて塩リンクスコアに関して最適化した。最初に、伸長した変異体のアミノ酸配列を作成した。中央のらせん(H3〜H7)(図19を参照)のそれぞれが、他の中央のらせんの間の全ての位置に順に挿入され、すなわち、H3、H4、H5、およびH6の後に挿入され、得られた骨格タンパク質中のアンチパラレルダイマーの全ての可能な形状について(好ましい塩リンクの数)−(同じ電荷を有する好ましくない接触物の数)を計算した(Segrest(1999)、前出)。結果として、図20に示される挿入変異体が、最大の塩リンクスコアについて最適であるとして選択された。これらの伸長した骨格タンパク質、および先端を切断された骨格タンパク質はさらに、N−末端に異なるタグ配列を含有し、E.coli中で設計され、公衆率で発現され、標準的な手順によって精製された。
以下のタンパク質およびDNA配列を参照して、本発明者らが利用したMSPを以下のリンクされた構造としてまとめることができる。H1、H2は、らせん#1などの配列と称される。Hisは(His)6タグであり、TEVはタバコウイルスプロテアーゼであり、Xは因子X(10)プロテアーゼ部位である。
(表19)
(MSPビルディングブロックのアミノ酸配列)
Figure 2007525490
(表20)
(表19のMSPビルディングブロックをコードする配列)
Figure 2007525490
本発明において有用ないくつかの特定のMSP配列は、表21および他のものに与えられるように、上述の配列の以下の組み合わせである。
(表21)
(ナノディスク調製において有用な設計されたMSP)
Figure 2007525490
Figure 2007525490
これらの配列に加えて、参照の2つの融合タンパク質(タンデム繰り返しMSP)構築物が存在する。これらは、Gly−Thrリンカーによってリンクされる2つのMSP1構築物で構成される:
MSP2(MSP1−Gly−Thr−MSP1、配列番号17)およびMSP2D1D1(MSP1T3−Gly−Thr−H2−H3−H4−H5−H6−H7−H8−H9−H10、配列番号86)。
容易に産生される他の構築物は、上述の配列、すなわち、以下の任意の組み合わせを有する短いまたは長いリンカー配列を有するMSP1またはタンデムに繰り返されるMSPを含む:ヒンジ欠失、ヒンジ交換、半繰り返し欠失、ヒスチジンタグ、MSP2アナログのための異なるリンカー。
MSP1T4のコード配列およびアミノ酸配列はそれぞれ表22および表23に与えられる。
(表22)
(MSP1T4をコードするDNA配列(配列番号100))
Figure 2007525490
(表23)
(MSP1T4のためのアミノ酸配列(配列番号91))
Figure 2007525490
MSP1T5についての図において、H2.5はH2らせん配列の第2の半分、すなわち、最後の33ヌクレオチドまたは11アミノ酸がMSP配列に含まれないことを示す。このタンパク質についてのコード配列およびアミノ酸配列はそれぞれ表24および25に示される。
(表24)
(MSP1T5をコードするDNA配列(配列番号101))
Figure 2007525490
(表25)
(MSP1T5のためのアミノ酸配列(配列番号92))
Figure 2007525490
(表26)
(MSP1T6をコードするDNA配列(配列番号102))
Figure 2007525490
(表27)
(MSP1T6のアミノ酸配列(配列番号93))
Figure 2007525490
MSP1T5およびMSP1T6のディスクは、すべてのアセンブリ条件下で均質であるわけではない。これらの結果は、特定のアセンブリ条件に高度に依存する。
以下のMSP構築物(MSP1N1)において、H10は含まれておらず、2つのH4モチーフが挿入されている。コード配列およびアミノ酸配列は、表28および29にそれぞれ示される。このMSPは、へリックス間の界面上の可能な塩橋の数を増加させるように設計される。
(表28)
(MSP1N1をコードするDNA配列(配列番号103))
Figure 2007525490
(表29)
(MSP1N1のアミノ酸配列(配列番号97))
Figure 2007525490
以下の「拡張」MSPは、切断可能なHis−タグを組み込み、TEVプロテアーゼ認識部位を使用する。
(表30)
(MSP1E3TEV(HisTev−H1−H2−H3−H4−H5−H6−H4−H5−H6−H7−H8−H9−H10)をコードするDNA配列(配列番号105))
Figure 2007525490
(表31)
(MSP1E3TEVのアミノ酸配列(配列番号94))
Figure 2007525490
(表32)
(MSP1E3D1をコードするDNA配列(配列番号106)(HisTev−H0.5−H2−H3−H4−H5−H6−H4−H5−H6−H7−H8−H9−H10))
Figure 2007525490
(表33)
(MSP1E3D1のアミノ酸配列(配列番号95))
Figure 2007525490
N末端のTEV切断可能なHis−タグを有するMSP2に対応するタンパク質を設計した。コード配列およびアミノ酸配列を、表34および表35にそれぞれ示した。
(表34)
(MSP2TEV(HisTev−H1−H2−H3−H4−H5−H6−H7−H8−H9−H10−GT−H1−H2−H3−H4−H5−H6−H7−H8−H9−H10)をコードするDNA配列(配列番号107))
Figure 2007525490
(表35)
(HisTEV−MS2のアミノ酸配列(配列番号96))
Figure 2007525490
単一のポリペプチド配列のみを有するナノディスクを生成するために、「直鎖状二量体」作製するものを産生するような新規な構築物を設計した。これらは、重要であるMSP1配列の一部の本発明者らの知見を利用し、かつ「MSP誘導体」である融合物である。すべてがTEVプロテアーゼ切断His−タグを有する。
(表36)
(MSP2N1(HisTev−H0.5−H2−H3−H4−H5−H6−H7−H8−H9−H10−GT−H1/2−H2−H3−H4−H5−H6−H7−H8−H9−H10)をコードするDNA配列(配列番号108))
Figure 2007525490
(表37)
(MSP2N1のアミノ酸配列(配列番号98))
Figure 2007525490
(表38)
(MSP2N2(HisTev−H0.5−H2−H3−H4−H5−H6−H7−H8−H9−H10−GT−H2−H3−H4−H5−H6−H7−H8−H9−H10)をコードするDNA配列(配列番号109))
Figure 2007525490
(表39)
(MSP2N2のアミノ酸配列(配列番号99))
Figure 2007525490
さらなるMSP2誘導体(MSP2N3は、H1へリックス配列のリンカー部分の後にへリックス2〜10を含むように設計した。DNAコード配列およびアミノ酸配列を、表40および表41にそれぞれ示した。
(表40)
(MSP2N3(HisTev−H0.5−H2−H3−H4−H5−H6−H7−H8−H9−H10−GTREQLG−H2−H3−H4−H5−H6−H7−H8−H9−H10)をコードするDNA配列(配列番号110))
Figure 2007525490
(表41)
(MSP2N3のアミノ酸配列(配列番号111))
Figure 2007525490
MSP2およびMSP2TEVとは異なり、これらのタンパク質は、300:1〜400:1のモル比で脂質と自己集合し、有意により大きな粒子の好ましい形成を伴う(ストークス直径約15.5nm、約17nmの円板形状と仮定して計算された直径と一致)。
β−ターンを形成するための高度な傾向を有する2つの異なるリンカーから構成される融合領域(Creighton,Proteins,p.226)を有する、新規な二量体配列(すなわち、タンデム反復MSP)を設計した。これらの骨格タンパク質は、ナノディスク中で逆平行へリックス−ターン−へリックス構造を促進するように詳細に設計する。構成成分である骨格タンパク質には、MSP1T3、ならびに本明細書に記載される詳細に設計された新規な骨格タンパク質、MSP1N1、および逆平行へリックス−ターン−へリックス構造中で2つの骨格タンパク質間で構成される塩橋を最適化するために両親媒性へリックスの修飾配列を有する、環状に入れ替えたMSP2N5が含まれる。
タンデム反復MSPについての一般的スキームは、MSP−リンカー−MSPであり、ここでリンカーは以下に定義されるリンカー1またはリンカー2配列のいずれであってもよく、MSPは以前に定義されたモノマー性膜骨格タンパク質のいずれかであってもよい。リンカー1(Lb1)は4個のアミノ酸、好ましくは配列Asn−Pro−Gly−Thr(配列番号104)から構成される。リンカー2(Lb2)は、より柔軟性を提供するために両方の末端に1つのさらなる残基を有する6個のアミノ酸、好ましくは、配列Ser−Asn−Pro−Gly−Thr−Gln(配列番号136)から構成される。
(表42)
(MSP2N4(His−TEV−H2S−H3−H4−H5−H6−H7−H8−H9−H10−NPGT−H2−H3−H4−H5−H6−H7−H8−H9−H10)をコードするDNA配列(配列番号112))
Figure 2007525490
(表43)
(MSP2N4のアミノ酸配列(配列番号113))
Figure 2007525490
(表44)
(MSP2N5(His−TEV−H2S−H3−H4−H4−H5−H6−H7−H8−H9−NPGT−H3−H4−H4−H5−H6−H7−H8−H9−H2)をコードするDNA配列(配列番号114))
Figure 2007525490
(表45)
(MSP2N5のアミノ酸配列(配列番号115))
Figure 2007525490
(表46)
(MSP2N6(His−TEV−H2S−H3−H4−H4−H5−H6−H7−H8−H9−SNPGTQ−H3−H4−H4−H5−H6−H7−H8−H9−H2)をコードするDNA配列(配列番号116))
Figure 2007525490
(表47)
(MSP2N6のアミノ酸配列(配列番号117))
Figure 2007525490
膜骨格タンパク質の融合構築物は、他のタンパク質およびペプチドとともに構築した。シトクロムP450レダクターゼ(CPR)との融合物は以下を含む:
(表48)
(MSP2CPRをコードするDNA配列(MSP2−リンカー−CPR、リンカーアミノ酸配列はVDであり、CPRはラットシトクロムP450レダクターゼ完全配列である)(配列番号118))
Figure 2007525490
Figure 2007525490
Figure 2007525490
(表49)
(MSP2CPRのアミノ酸配列(配列番号119))
Figure 2007525490
蛍光タンパク質(FP)およびMSP配列を有する融合物を調製した。すべての構築物の型は、His−TEV2−(FP)−MSP1T2またはHis−TEV−MSP1T2−GT−(FP)であり、ここで、(FP)は増強グリーン蛍光タンパク質(EGFP)、増強イエロー蛍光タンパク質(EYFP)、またはシアン蛍光タンパク質(CFP)である。
全体のN末端配列はHis−TEV2(これは配列にBamH1制限部位を組み込むために修飾した)の型である。修飾したHis−TEV2 DNA配列は、atgggtcatcatcatcatcatcatcacgattatgatattcctactactgagaatttgtattttcagggatcc(配列番号120)であり、修飾したHis−TEV2タンパク質配列は、MGHHHHHHHDYDIPTTENLYFQGS(配列番号121)である。
蛍光タンパク質は以下のDNA配列およびタンパク質配列を有する:
(表50)
(EGFPをコードするDNA配列(配列番号122))
Figure 2007525490
(表51)
(EGFPのアミノ酸配列(配列番号123))
Figure 2007525490
(表52)
(EYFPをコードするDNA配列(配列番号124))
Figure 2007525490
(表53)
(EYFPのアミノ酸配列(配列番号125))
Figure 2007525490
(表54)
(ECFPをコードするDNA配列(配列番号126))
Figure 2007525490
(表55)
(ECFPのアミノ酸配列(配列番号127))
Figure 2007525490
(表56)
(His−TEV−MSP1T2−GTをコードするDNA配列(配列番号128))
Figure 2007525490
(表57)
(His−TEV−MSP1T2−GTのアミノ酸配列(配列番号129))
Figure 2007525490
点変異による骨格タンパク質へのシステイン残基の組み込みを有するMSP誘導体を調製した。DNAコード配列およびアミノ酸配列を、表58および59にそれぞれ示した。MSP1RC12’において、システイン残基は、X因子認識部位中の最後の残基に組み込まれる。この変異体は、蛍光標識したディスクを調製するため、および表面またはマトリックスに結合するために使用される。MSP1K90Cにおいて、リジン90はシステインによって置き換えられる。コード配列およびアミノ酸配列については、表60および61をそれぞれ参照のこと。MSP1K152Cにおいては、リジン152がシステインによって置き換えられる;表62および63を参照のこと。
(表58)
(MSP1RC12’をコードするDNA配列(配列番号130))
Figure 2007525490
(表59)
(MSP1RC12’のタンパク質配列(配列番号131))
Figure 2007525490
(表60)
(MSP1K90CをコードするDNA配列(配列番号132))
Figure 2007525490
(表61)
(MSP1K90Cのタンパク質配列(配列番号133))
Figure 2007525490
(表62)
(MSP1K152CをコードするDNA配列(配列番号134))
Figure 2007525490
(表63)
(MSP1K152Cのタンパク質配列(配列番号135))
Figure 2007525490
MSP1K90CおよびMSP1K152Cにおける変異は、へリックス内界面上に位置する。ディスクはDTTの存在下で形成された。このディスクは、温度誘導性の不可逆的分解に対してより安定である。これらは、本発明者らの「ミラノ(Milano)」変異の改変体である。
これらの配列に加えて、参照の2つの融合タンパク質構築物が存在する。これらは、Gly−Serリンカーによって連結された2つのMSP1構築物:MSP2(MSP1−Gly−Thr−MSP1、配列番号17)およびMSP2D1D1(MSP1T3−Gly−Thr−H2−H3−H4−H5−H6−H7−H8−H9−H10、配列番号86)から構成される。
容易に産生され得る他の構築物には、上記の入れ替え、すなわち、以下の任意の組み合わせ:ヒンジ欠失、ヒンジ置換、半分の反復欠失、ヒスチジンタグ、MSP2アナログのための異なるリンカーを有するMSP1またはMSP2またはMSP2aが含まれる。
(実施例3.組換えMSPの発現)
MSPタンパク質を発現するために、核酸構築物を、pET28発現ベクター中のNcoI部位とHindIII部位の間に挿入し、E.coli BL21(DE3)に形質転換した。形質転換体を、選択のためにカナマイシンを使用して、LBプレート上で増殖させた。コロニーを使用して、30μg/mlカナマイシンを含むLBブロス中で増殖させた5mlスターター培養を接種した。過剰発現のために、1体積の一晩培養物を、100体積の、30μg/mlカナマイシンを含むLBブロスに加えることによって、培養物を接種し、振盪フラスコ中で37℃にて増殖させた。600nmにおける光学密度が0.6〜0.8に達したときに、イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を1mMの濃度まで加えて発現を誘導し、細胞を3〜4時間長く増殖させ、その後遠心分離による収集を行った。細胞ペレットを瞬時に凍結し、−80℃で保存した。
(実施例4.組換えMSPの精製)
ヒスチジンタグ化MSPの精製を以下のように実行した。1リットルの発現培養からの凍結した細胞ペレットを、25ミリリットルの1mM フェニルメチルスルホニルフルオリドを含む20mM Tris HCl pH 7.5中に再懸濁した。Triton X−100(t−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール)を、10%(w/v)ストックから、1%の最終濃度まで蒸留水に加えた。再懸濁した細胞を、氷上で、50%負荷サイクルで、5の出力設定で、1分間オン、5分間オフの4サイクルの間、Branson probe sonifierを用いて超音波処理した。得られた溶解物を、30分間、30,000rpmで、超遠心分離機中のBeckman Ti45ローター中で遠心分離した。得られた上清を、0.22μmナイロンシリンジフィルターと通してろ過した。塩濃度を、水中の4M NaClストックから0.5Mまで調整し、5mlのHi−Trapニッケルカラム(Pharmacia,Piscataway,NJ)に適用した。
His−タグ化MSP1については、カラムを、1% Triton X−100を含む20ml緩衝液(10mM Tris pH 8,0.5M NaCl)、続いて20ml緩衝液+50mMコール酸ナトリウム、次に20ml緩衝液および20mlの緩衝液中100mMイミダゾールで洗浄した。His−タグ化ポリペプチドは、緩衝液中15mlの0.5Mイミダゾールで溶出した。
His−タグ化MSP2については、カラムを、1% Triton X−100を含む20ml緩衝液(10mM Tris pH 8,0.5M NaCl);20ml緩衝液+50mMコール酸;20ml緩衝液;20mlの緩衝液中35mMイミダゾールで洗浄した。次いで、His−タグ化ポリペプチドは、緩衝液中15mlの0.5M イミダゾールで溶出し、精製したタンパク質を、10,000MWカットオフセルロース透析膜を使用して、10mM Tris pH 8、0.15M NaClに対して透析する。
(実施例5.MSP含有ナノスケール粒子の精製)
本発明のMSPタンパク質を脂質とともに再構築するために、精製したMSPを、加圧した限外濾過装置(Amicon)中で濃縮した。タンパク質の濃度は、ビシンコニン酸アッセイ(Pierce Chemical,Rockford,IL)、または理論的な吸光度係数と使用してA280の測定によって決定した。クロロホルムストック溶液中のリン脂質(この場合はジパルミトイルホスファチジルコリン、しかし異なるホスファチジルコリン、およびホスファチジルコリンと他の脂質の混合物が使用可能である)を、窒素の気流下で乾燥させ、真空中に一晩配置した。リン酸分析を、クロロホルムストック溶液の濃度を決定するために実行した。乾燥した脂質フィルムを、0.15M NaClおよび50mM コール酸ナトリウムを含む緩衝液10mM Tris HCl pH 8.0またはpH 7.5中に再懸濁し、25mMの最終脂質濃度を得た。この懸濁液をボルテックスし、50℃まで加熱して清澄な溶液を得た。リン脂質溶液をMSPの溶液(2〜6mg/mlタンパク質)に加えて、2:200のMSP1:脂質のモル比、およびMSP2については1:200のモル比を得た。この混合物を37℃で一晩インキュベートし、次いでコール酸を含まない1000体積の緩衝液に対して透析し、2〜3日にわたって緩衝液を4回交換した。
(実施例6.組織因子の組み込み)
組織因子(TF)は代表的な膜タンパク質である。つながれた膜タンパク質のためのMSP技術の価値を実証するために、組換えヒトTFを、MSP−支持ナノディスクに組み込んだ。この組換えタンパク質は、細胞外ドメイン、膜貫通アンカー、および短縮型細胞質ドメインからなる。短縮化は、細菌プロテアーゼによるタンパク質分解に供せられる、タンパク質のC末端部分を除去することによって、タンパク質の相同性を増加する。この修飾はTF活性に影響を与えない。タンパク質に対するさらなる修飾には、N末端輸送ペプチドおよびHPC4エピトープタグが含まれる、輸送ペプチドは、発現されたタンパク質を、組換えE.coli宿主細胞の膜間部分に方向付け、この膜間部分でペプチド配列が切断される。HPC4エピトープは、Ca2+依存性抗体を用いるアフィニティー精製を可能にし(Rezaie et al.,1992)、これはTF活性に影響を与えない。
80%ホスファチジルコリンおよび20%ホスファチジルセリンを含む25mM脂質混合物を、10mM Tris Cl、150mM NaCl、pH 8.0中の50mMコール酸で可溶化した。TF、MSP1および脂質(1:10:1000の比率)を合わせ、37℃で一晩インキュベートした。次いで、サンプルを、10mM Tris Cl、150mM NaCl、pH 8.0を含む緩衝液(コール酸を欠く)に対して、37℃で2時間透析した(10,000ダルトン分子量カットオフ膜)。次いで、透析をさらに6時間、2時間毎に緩衝液を交換して、4℃にて継続した。次いで、約1mlのサンプルを、YM−10遠心濃縮機を使用して<250μlまで濃縮し、Pharmacia 10/30 Superdex 200 HRゲル濾過カラムに注入した。サンプルを、上記のもの(コール酸なし)と同一の緩衝液を使用して、1分間あたり0.5mlで溶出した。クロマトグラフィーからの画分を、8〜25%グラジエントSDS−ポリアクリルアミドゲル上で泳動して見かけのサイズを決定し、次いで凝集活性について確認した。MSPナノディスクの過度の集団に取り込まれたTFの溶出を示すクロマトグラムは、図16A〜16Bに示される。
いくつかのディスク画分中のTFの活性は、ヒト血清との凝集アッセイによって決定した。画分25〜28における活性を、凝集時間の逆数としてモニターした。活性は、画分25において40時間−1であり、画分28、30時間−1にかけて減少した。これは、ナノディスクピークの先端が、MSP支持二重層中のTFの組み込みに起因するより大きな有効分子量を有するという点で、サイズクロマトグラムにおいて予測されている。従って、このアッセイは、TFが活性コンホメーションでナノディスクに組み込まれること、およびナノディスクの膜環境がネイティブな膜系のそれと密接に類似することを実証する。
シトクロムb5は、膜二重層を貫通する単一の膜アンカードメインを有する、膜に固着されたヘムタンパク質である。そのネイティブな膜から可溶化されたシトクロムb5は、界面活性剤の非存在下では大きな凝集体として存在し、ネイティブポリアクリルアミドゲル電気泳動上では、分離したバンドであるよりもむしろスメアとして見られる。シトクロムb5がMSPおよびリン脂質の調製物に加えられる、自己集合プロセスを通してのナノディスクの形成は、ナノディスク構造へのシトクロムb5の組み込みを生じる。これは、ナノディスクに対応するバンドの強烈なヘム染色によって確認される。このデータは、シトクロムb5が、MSP技術を使用して首尾よく可溶化できること、およびシトクロムb5を含むディスク複合体がクロマトグラフィー的に分離することができ、かつ望ましくない凝集した物質から精製することができることを示す。精製した物質のヘム色素団の光学的吸収特性は、ネイティブコンホメーションにおけるヘム活性部位を実証する。
ナノディスクはまた、20μlのMSP1(10mg/ml)、6.6μlシトクロムb5(0.5mM)および50μl卵ホスファチジルコリン/コール酸ナトリウム(11.2卵PC、8.2mg/mlコール酸ナトリウム)を混合すること、4℃でインキュベートすること、その後のコール酸を除去するための透析によって形成することができる。精製は、25mM Tris Cl、pH 8.0中で平衡化されたPharmacia MonoQ FPLCアニオン交換カラムを使用して達成した。直線状勾配を、0.5ml/分で、0〜1M NaCl、20分間で実行した。
可溶化し、精製したタンパク質から、ナノディスクにつながれた膜タンパク質を組み込むための代替として、つながれた膜タンパク質は、興味があるつながれた膜タンパク質を含む、膜タンパク質または膜タンパク質フラグメント調製物を使用して、MSPとともにナノディスクに組み込むことができる。
(実施例7.包埋膜タンパク質の組み込み)
ウサギ乾燥からのシトクロムP450 2B4、ヒト肝臓ミクロソームにおいて事実上見い出されるシトクロムP450 3A4、および昆虫ミクロソームからのシトクロムP450 6B1は、代表的な包埋膜タンパク質である。
シトクロムP450 2B4は、フェノバルビタールを用いる誘導後にウサギ肝臓ミクロソームから単離した。2B4ナノディスクの形成は以下の通りである。シトクロムP450 2B4を、界面活性剤透析法によって、ディスクに再構築した。緩衝液は、10mM Tris−HCI pH 8.0、0.1M NaCl、10%(v/v)グリセロールからなった。apoA−l、コール酸およびリン脂質(1:220:110モル比)の混合物を、37℃で8時間インキュベートし、続いてp450の添加(1:0.5、apoA−l:P450モル比)および室温で一晩のインキュベーションを行った。この混合物を、10,000 MWカットオフslide−a−Iyzer(Pierce Chemical Co.,Rockford,IL)を使用して、室温で2時間透析し、次に緩衝液を交換し、透析を4℃で継続した。P450含量の82%がこれらの条件下で回収できることを見い出した。透析後、この混合物を、再構成緩衝液中で平衡化したSuperdex 200 HR10/30ゲル濾過カラム(Pharmacia,Uppsala,SE)に、室温にて、0.25ml/分の流速で注入し、0.5ml画分の収集を行った。Phastgelシステム(Pharmacia,Uppsala,Sweden)を使用して、8〜25%勾配ネイティブゲル上でのネイティブポリアクリルアミド勾配ゲル電気泳動およびクマシー染色を使用して、画分をアッセイした。
通常は肝臓ミクロソームからである、ヒトシトクロムP450 3A4もまたクローニングし、E.coli中で発現し、そしてMSP支持二重層ナノディスクに組み込んだ。10ナノモルのMSP2、1マイクロモルの脂質、5ナノモルのシトクロムP450 3A4タンパク質および2マイクロモルのコール酸を、37℃で2時間、一緒にインキュベートした、次いで、このインキュベートした混合物を10K Slide−A−iyzer透析カセット(Pierce Chemical Co.,Rockford,IL)中で透析した。透析を、10mMリン酸カリウム(pH 7.4)150mM NaCl緩衝液を用いて実行した。サンプルを37℃で6時間透析し、次に緩衝液の交換を行い、12時間間隔で2回緩衝液を交換して、4℃で透析を継続した。次いで、サンプルを、透析緩衝液中で平衡化したSuperdex 200 HR 10/30カラム(Pharmacia,Uppsala,SE)上で、室温にて0.5ml/分の流速で分画した。
シトクロムP450 6B1は、別のモデル包埋膜タンパク質である;これは、Papilio polyxenes、アメリカクロアゲハから単離された。これらの蝶は、多くの生物に対して光毒性である植物代謝物であるフラノクマリンを産生する植物を独占的に餌としている。シトクロムP450 6B1は、フラノクマリンの無毒化を触媒する。
本発明のMSP方法論の有用性を示すために、本発明者らは、膜タンパク質のそれらのレパートリーおよび天然の脂質を含む単離された膜が、膜タンパク質をナノディスクに組み込むための供給源として使用することができることを実証した。重要な例証的な実施形態は、異種発現系として広範に使用されている、一般的な昆虫細胞(Sf9)−バキュロウイルス発現系の使用である。従って、本発明者らは、ミクロソーム調製物が過剰発現した昆虫CYP6B1、および過剰発現した昆虫NADPHシトクロムP450レダクターゼもまた含むように同時発現させた昆虫細胞株を使用した。これらの実験において、本発明者は、MSPナノディスクが、シトクロムP450系を可溶性単分散粒子に組み込むために使用できるだけではなく、このP450の供給源が、単にこのタンパク質を含む全体の膜であり得ること実証した。
標準的なバキュロウイルス発現系を使用して、過剰発現された昆虫シトクロムCYP6B1および昆虫NADPH P450レダクターゼを有するミクロソーム調製物を得た。組換えCYP6B1バキュロウイルス発現ベクターの構築およびSpodoptera frugiperda(Sf9)の感染は、以前に記載されたように実行した(Chen et al.,2002)。典型的には、各々6×10バキュロウイルス感染細胞を含む(2のMOI)32枚のプレートを、感染後72時間に収集した。ミクロソーム膜を、0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH 7.8)、1.1mM EDTA、20%グリセロール、0.5mM PMSF、0.1mM DTT、および5μg/ml(w/v)ロイペプチンから構成される2ml摩砕緩衝液(pH 7.8)中でホモジナイズした。膜を液体窒素中で凍結し、−80℃で保存した。
ミクロソーム調製物からのCYP6B1を含むナノディスクをアセンブルするために、膜のタンパク質濃度を、Pierce(Rockford,IL)からのBCA(商標)タンパク質アッセイキットを使用して決定した。本発明者らは、摩駆虫でのタンパク質:脂質の1:1の質量関係、および750グラム/モルのリン脂質の平均分子量を仮定した。膜を、0.5Mコール酸(中和済み)で界面活性剤による可溶化を行い、MSP:脂質:界面活性剤について、少なくともある場合においては、1:25:50〜1:2000:1000、好ましくは1:75:150のおよその比率で、MSPと混合した。典型的には、再構成サンプルは、およそ100nmolの骨格タンパク質、10μmol脂質、および20μmol中和コール酸を含み、これを4℃で1.5時間プレインキュベーションした。選択した温度は、脂質の相転移温度よりも高かった。界面活性剤は、BioRad Laboratories(Hercules,CA)からのBiobeads(登録商標)SM−2(1mlの再構成混合物あたり0.4グラムのBiobeads)とともに、4℃で1.5時間インキュベートすること、次に11,750×gで5分間での遠心分離によって除去した。7.5mgのHis6−タグ化MSPあたり、Qiagen,Inc.(Valencia,CA)からの1mlのNi−NTAアガロースとともに4℃で1時間インキュベートすること、続いて11,750×gで5分間の遠心分離によって、His6−タグ化MSP粒子を精製した。Ni−NTAアガロースに結合したMSP粒子を、3回の連続的なレジン量の、それぞれ、0.3M NaClを含み、0.15M NaClを含み、およびNaClを含まない、0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH 7.4)で洗浄した。CYP6B1タンパク質の完全性を維持するために、以前のMSP精製において使用した50mMイミダゾールではなく、(痕跡量の金属イオンをキレートするために)0.25M EDTAを含む0.1M リン酸ナトリウム緩衝液(pH 7.4)でMSP粒子を溶出した。
ミクロソーム調製物に含まれる脂質濃度に基づいて、MSP技術を使用して、110:1:220の脂質:MSP1:コール酸の比率を使用して、ミクロソームタンパク質をナノディスクにアセンブルした。ミクロソームサンプルは、中和したコール酸で界面活性剤による可溶化を行い、MSP1と混合した。このサンプルを、4℃で2時間インキュベートした。界面活性剤は、透析または疎水性ビーズへの吸着によって除去できる。この実験において、Biobeads(疎水性ビーズ、BioRad,Hercules,CAの商標)を過剰に加え(1mlディスク混合物あたり0.25g)、そして4℃で2時間インキュベートして界面活性剤を除去した。サンプルをビーズから取り出し、His−タグ化MSPを、Ni2+レジンを用いるバッチ精製方法によって単離した。次いで、MSPディスクを、Superdexサイズ分画カラムクロマトグラフィーによって単離した(図9)。His−タグ化ディスクへのP450の組み込みを、ニッケルアフィニティーカラム精製した画分およびサイズ分画カラム精製した分画のCO差スペクトル法によって追跡した(図10)。SDS−PAGEを、クマシーブルーで染色した8〜25%勾配ゲルを使用して実行しディスクへのP450 6B1の組み込みを確証した(図10)。
内因性の(天然の)シトクロムP450対レダクターゼの比率は約10〜20である。ディスクへの再構成後にシトクロムP450の活性を得るために、P450分子とレダクターゼ分子の両方が単一のディスクに分配するように、再構成混合物に過剰のレダクターゼを加えることが好ましい。外因性に加えられたレダクターゼのミクロソーム調製物への補充は、首尾よく実証された。
ミクロソーム調製物を使用してディスクを作製するためのプロトコルは、1つの修飾とともに使用した。外因性ラットレダクターゼを、コール酸ナトリウムを用いるミクロソーム調製の可溶化工程の後、かつMSP1の添加の前に加えた。他の点では、同一のディスクアセンブリおよび精製手順に従った。サンプルをSuperdexサイズ分画カラムによって分離し、ここで280nmにおける吸収はMSP1の存在を示し、420および456nmにおける吸収は三価の鉄の種の存在を示し、そして456nmにおける吸収はまた、レダクターゼの存在を示す。456〜420nmの比率プロットを作製した;これは、クロマトグラム上で、456nmにおける吸収がシトクロムP450 6B1と結合したものよりも上であり、従って、レダクターゼによる吸収に帰することができる位置を示した。保持時間は、シトクロムP450 6B1およびレダクターゼを含む10nm粒子の存在を反映した(図13)。
精製タンパク質、膜断片、または破壊された膜を有するMSP−支持ナノディスクは、例えば、新規な医薬品および他の生物学的に活性な分子を同定するために、ハイスループットスクリーニング開発において使用することができる。
(実施例8.内在性膜タンパク質の組み込み)
バクテリオロドプシン(BR)は、モデル内在性膜タンパク質であり、モデルの7つの膜貫通ドメインを有するタンパク質である。BRは、他のタンパク質のためにも同様に有効であるプロトコルである、以下の手順を使用して、ナノスケール構造に組み込まれた。BRはSigma(St.Louis,MO)からの凍結乾燥した紫膜として入手した。1mgのBRを、1mlの25mMリン酸カリウム、pH 6.9に懸濁した。同じ緩衝液1ml中の90mM n−オクチル β−D−グルコピラノシドを加え、サンプルを暗所に24℃で一晩配置した。この処理は、界面活性剤で可溶化されたモノマー型を産生した(Dencher et al.,1982)。BRを、550nmにおけるモル吸光係数63,000と仮定して定量した。BR(7.8μM)をMSP1(97μM)またはMSP2(110μM)およびコール酸(50mM)と混合して、10:1のMSP1:BRまたは5:1のMSP2:BRの最終モル比、ならびに約8mMのコール酸濃度を得た。リン脂質との再構成のために、脂質は、50mMコール酸の存在下で上記のように可溶化され、そしてMSP1と、1MSP1:110脂質:0.1BRのモル比で混合した。この混合物を、室温にて、〜3時間インキュベートし、次に10,000MWカットオフ透析装置(Slide−a−lyzer,Pierce Chemical)を使用して、1000倍体積に対する一晩の透析を行った。透析を、数回の緩衝液の交換を伴って、4℃で2日間継続した。10mM HEPES、pH 7.5、0.15M NaCl緩衝液が使用され得る。Tris緩衝液pH 7.5またはpH 8もまた、首尾よく使用された。
ヒト5−ヒドロキシトリプタミン 1A Gタンパク質共役レセプターが、MSP含有ナノディスクに組み込まれた。ヒト5−ヒドロキシトリプタミン 1A(5−HT−1A)GPCRを含む膜画分を提供する、市販の昆虫細胞発現系を、ナノディスクを調製するためのこのGPCRの供給源として使用した。手短に述べると、5−HT−1Aレセプター含有膜調製物を、45:45:10の比率のリン脂質(ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン)、MSP1およびコール酸(中和したコール酸)と混合した。
市販のSf9昆虫細胞膜調製物(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)中で過剰発現された5−HT−1Aレセプターを、以下のプロトコルを使用して可溶化した。クロロホルム中のPOPC、POPSおよびPOPE(Avanti Phospholipids)を、45:10:45のモル比で混合し、窒素の気流下で乾燥させ、次いで真空下に数時間配置し、残渣の溶媒を除去した。リン脂質を、50mM Tris pH 7.4、0.2M NaCl、50mM コール酸ナトリウム緩衝液に、25mMリン脂質の濃度で分散させた。5マイクロリットルのSf9膜調製物(0.2mg/mlタンパク質)、1.62マイクロリットルの緩衝液中のリン脂質、2.4マイクロリットルのMSP1(4.2mg/ml)および0.28マイクロリットルの4M NaClを混合し、氷上に1時間放置した。この混合物を、50mM Tris pH 7.4で100マイクロリットル総量まで希釈し、50mM Tris pH 7.4に対し、mini slide−a−lyzer(Pierce Chemical)中で4℃にて透析した(1リットルの緩衝液を2回交換)。
ナノディスクと結合した5−HT−1Aレセプターの量を決定するために、放射標識リガンドをレセプターに結合させ、ディスク−レセプター−リガンド複合体を、以下のプロトコールに従って、MSP1中に存在する6−ヒスチジンタグを使用して単離した。透析後、この混合物を、50mM Tris pH 7.4で、200マイクロリットルの総量まで希釈した。95マイクロリットルの希釈混合物を、各々2つのチューブ中に配置した。105マイクロリットルのストック試薬を加えて、200マイクロリットルの最終体積中に、50mM Tris pH 7.4、10mM MgSO4、0.5mM EDTA、0.1%アスコルビン酸の最終濃度を得た。トリチウム標識8−ヒドロキシ−DAT(比活性135000Ci/mole)を各チューブに加え、1.5nMの濃度を得た。コントロールとして、未標識メテルゴリン(最終濃度100μM)を、コンペティティブリガンドとしてチューブの一方に加えた。氷上で1時間後、His−タグ化MSP1ディスクと結合したレセプターを特異的に結合するために、この混合物を200マイクロリットルのNi−キレートレジンに適用した。このレジンを、0.5mlの冷50mM Tris pH 7.4で3回洗浄して、非特異的結合リガンドを除去した。レセプター/ディスク複合体に結合した、特異的に結合した放射性標識8−ヒドロキシ−DATを、0.5mlの、10mM Tris pH 7.4、0.5M NaCl中の0.5Mイミダゾールで溶出した。シンチレーションカクテルを溶離液と混合し、そして特異的に結合した放射性リガンドを、シンチレーション計数によって決定した。Sf9膜に最初に存在したレセプターの5%から15%の間が、MSP1ナノディスクと結合したレセプター中でリガンドを結合することが見い出された。
5−HT−1A GPCRが組み込まれた粒子を透析した。機能性(リガンド結合による)を、このレセプターのアゴニストである、トリチウム化8−OH−DATを含む緩衝液とともにインキュベートすることにより試験した。次いで、MSP1上のヒスチジンタグを介して結合するため、および粒子に結合しなかった8−OH−DATからこの粒子を分離するために、この粒子をNi−NTAカラムに通し、次いで、カラムに結合した物質を溶出した。トリチウム標識したアゴニストの結合を実証し、このことは、組み込まれたGPCRが、アゴニストを結合するその能力を保持したことを示した。
つながれた膜タンパク質について上記に議論したように、内在性膜タンパク質および包埋膜タンパク質は、精製した、可溶化したタンパク質ではなく、MSPおよび可溶化した膜タンパク質を使用して、ナノディスクに組み込むことができる。タンパク質が生成されているか否か、またはそれらが膜調製物に直接由来するか否かに関わらず、ナノディスク内での自然なタンパク質の提示が維持される。
(実施例9.MSP−支持ナノディスクリン脂質アセンブリの分析)
さらなる標的タンパク質を伴うかまたは伴わないかのいずれかで、膜骨格タンパク質およびリン脂質の自己集合から生じる粒子を以下のように分析した。
バクテリオロドプシン含有粒子を透析し、得られる混合物をSuperdex 200 HR10/30ゲル濾過カラム(Pharmacia)に注入し、緩衝液で、0.5ml/分で、室温にて溶出させた。吸光度を、タンパク質について280nm、およびBRについて550nmでモニターした。0.5ml画分を収集した。カラムを、サイログロブリン(669kDa、ストークス直径170A)、フェリチン(440kDa、ストークス直径122A)、カタラーゼ(232kDa、ストークス直径92A)、乳酸デヒドロゲナーゼ(140kDa、ストークス直径82A)、ウシ血清アルブミン(66kDa、ストークス直径71A)、およびウマ心臓シトクロムc(12.4kDa、ストークス直径35.6A)を使用して較正した。
原子間力顕微鏡法を、緩衝液下で、鋭い窒化ケイ素プローブとの接触モードで、Digital Instruments Nanoscope IIIaを用いて実行した。MSP1およびMSP2ジパルミトイルホスファチジルコリン粒子を、10mM Tris pH 8、0.15M NaCl、2mM CaCl中にて、重量で1:50のXa因子:MSPで8時間処理した。2〜10mlのサンプルを、新鮮に切断したマイカ表面に、20mlの画像化緩衝液(10mM Tris pH 8、0.15M NaCl、2mM MgCl)とともに配置し、サンプルを液体セルにマウントする前に30分間以上インキュベートした。数ミリリットルの緩衝液を液体セルを通して流し、未吸着物質を除去した。
ナノスケール分子のリン酸分析を以下のように実行した。リン酸アッセイ手順を、Chen et al.(1956)およびFiske and Subbarow(1925)から適合された。およそ40モルの脂質リン酸を含むサンプルを、ガラス管の中で乾燥させた。75μlの8.9N HSOを各管に加え、30分間210℃に加熱した。1滴のHを各管に加え、30分間加熱した。管を冷却し、0.65mlのHOを加え、次に83.3μlの2.5% w/vモリブデン酸アンモニウム四水和物を加え、その後ボルテックスし、83.3μlの10% w/vアスコルビン酸を加えた。混合後、管を、7分間、沸騰しているウォーターバス中に配置した。820nmにおける吸光度を読み取った。0〜100nmolリン酸のリン酸カリウム標準を使用して、吸光度を較正した。カラムクロマトグラフィーからの緩衝液ブランクを、MSPタンパク質のために含めた。
(実施例10.表面上のMSP−支持構造)
MSPおよび興味のあるタンパク質を含むナノディスクは、金表面または他の固体表面(固体支持体)上でアセンブルできる。このことの有用性は、溶液に対して、ナノディスクアセンブリに組み込まれた標的の得られるエピタキシャル提示に関連する。これは、他の高分子、または標的タンパク質に誘電性造影剤でタグ化した低分子の結合を定量するための理想的な系を提供する。このような測定を達成する一般的な方法は、表面プラズモン共鳴(SPR)技術を使用する。SPRは、表面における成体分子の相互作用をモニターするために使用される一般的な技術である。金表面上で未標識のタンパク質相互作用を迅速に検出および定量するSPRの能力は、ディスク上の多様な膜タンパク質(包埋されているかまたは可溶化されている)のためのハイスループット湿布アッセイを作製するために有用である。
さらなるチオール化脂質およびMSP1タンパク質を有するかまたは有さないかのいずれかである、リン脂質DPPCからなるディスクを以下のように調製した。ホスファチジルコリンを含む25mM脂質混合物を、10mM Tris Cl、150mM NaCl、pH 8.0中の50mMコール酸で可溶化し、一緒にし、そして37℃で一晩インキュベートした。チオール化ディスクについては、90%ホスファチジルコリンおよび10%チオール化脂質(ATA−TEG−DSPA,Northern Lipids,Vancouver,BC,CA)を、チオール化脂質中のチオールをマスク除去するために、3.3mM Tris Cl、66.7mMホウ酸、150mM NaCl、pH 9.0中で可溶化した。MSP1および脂質(1:100)を一緒にして、37℃で一晩インキュベートした。次いで、サンプルを、コール酸を含まない10mM Tris Cl、150mM NaCl、pH 8.0を含む緩衝液に対して、37℃で2時間透析した(10,000MWカットオフ膜)。次いで、2時間毎に緩衝液を交換して、透析を4℃でさらに6時間継続した。およそ1mlのサンプルを、YM−10遠心濃縮機を使用して<250μlまで濃縮し、そしてPharmacia 10/30 Superdex 200 HRゲル濾過カラムに注入した。サンプルを、コール酸を含まない前述の緩衝液を使用して、0.5ml/分の流速で、カラムから溶出した。クロマトグラフィーからの画分を、8〜25%勾配ポリアクリルアミドゲルを使用するポリアクリルアミドゲルによって分析し、見かけのサイズを決定した。
記載したように調製したナノディスクサンプル(3〜20μM)をSPR機器に注入して、ディスクが金表面に結合するか否かを決定した。DPPCと10%チオール化脂質ディスクの両方が金表面に吸着し、金表面を修飾して、メチル末端チオール(ノナンチオール)またはカルボキシ末端チオール(11−メルカプトウンデカン酸)の単層で被覆した。チオール化ディスクを、3.3mM Tris、66.7mM ホウ酸、150mM NaCl、pH 9.0からなる緩衝液を使用して注入した。DPPCディスクを、10mM Tris、150mM NaCl、pH 7.5またはpH 8.0の緩衝液を使用して注入した。すべての場合において、ディスクは、厳しい条件下(0.5M HCl)でさえ除去することができなかった。表面の被覆は、注入されたディスクの濃度を増加させるとともに相加することが示された(3μM対19μM)。ディスクは、完全に充填された単層を形成するのではなく、従って、表面の被覆は、0.547の妨害限度(同一の重複しない硬い球としての表面モデル化ディスクに対するランダムな連続的な吸着に基づく理論的な最大被覆)によって制限される。完全な単層のディスクについての被覆は、5.5nmのディスク高さおよび1.45から1.5の間の屈折率の仮定に基づいて計算した。完全な単層の値は、最大被覆を決定するために妨害限度によって乗算され、次いでこれは、実験値に基づいて被覆パーセントを決定するために使用された。ディスク濃度が少なくとも10μMである場合、見積もられた被覆は、約62%から約103%の間であった。金表面へのナノディスクの結合を実証する得られるSPR追跡を図14に示す。
MSPおよび関心のあるタンパク質を含むナノディスクは、MSP上のHisタグを介して固体支持体に結合することができ、ここで、この支持体は、Ni−NTAまたは例えば、BD Biosciences Clontech,Palo Alto,CAから市販されているHis−タグ特異的抗体、または例えば、Qiagen,Valencia,CAから市販されているNi−NTAアガロースビーズ、またはビーズ、チップ、プレートおよびマイクロタイターディッシュを含む他の固体支持体で被覆される。
(実施例11.一般的技術)
SDS−PAGEについては、マイクロタイターサンプルは、8〜25%勾配ポリアクリルアミドゲル(Pharmacia)上で分離し、クマシーブルーで染色した。
サイズ分画カラムクロマトグラフィー精製は以下のように実行した。ニッケルアフィニティー精製したサンプル混合物を、0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH 7.4)中で平衡化したSuperdex(Pharmacia,Piscataway,NJの商標)200 HR10/30ゲル濾過カラム(Pharmacia)に、0.5ml/分の流速で注入した。CYP6B1を含む画分を、Centricon YM−30遠心分離フィルター装置(Millipore Corporation,Billerica,MA)を使用して濃縮し、Superdex 200 HR1 0/30ゲル濾過カラムに、同じ緩衝液条件下で再注入した。
脂質は、Folchの方法(Folch−Pi et al.(1957))によって抽出し、ここで、サンプルを2:1 クロロホルム−メタノール(v/v)でホモジナイズし、1/4体積の水中0.88%KClで洗浄した。この溶液を激しく混合し、5分間の遠心分離(3,000×g)により相を完全に分離させた。
ナノディスクアセンブリを以下のように一般的に実行する。膜のタンパク質濃度を、Pierce(Rockford,IL)からのBCA(商標)(ビシンコニン酸)タンパク質アッセイキットを使用して決定した。本発明者らは、750グラム/モルのリン脂質の平均分子量を用いて、膜中でのタンパク質:脂質の1;1の質量関係を仮定した。膜は、0.5Mコール酸(中和済み)を用いて界面活性剤による可溶化を行い、1:25:50〜1:2000:1000、好ましくは1:75:150のおよその比率でMSPと混合した。膜は、0.5Mコール酸(中和済み)を用いて界面活性剤による可溶化を行い、MSP:脂質:界面活性剤について、1:100:200のおよその比率でMSPと混合した。典型的には、再構成サンプルは、約100nmol膜骨格タンパク質、10μmol脂質、および20μmolコール酸を含み、4℃で1.5時間プレインキュベートした。BioRad Laboratories(Hercules,CA)からのBiobeads(登録商標)SM−2吸着剤(1mlの再構成混合物あたり0.4グラムのBiobeads)とともに4℃で1.5時間インキュベートすること、続いて11,750×gでの5分間の遠心分離によって、界面活性剤を除去した。7.5ミリグラムのHis6−タグ化MSPあたり、Qiagen,Inc.(Valencia,CA)からの1mlのNi−NTAアガロースとともに4℃で1時間インキュベートすること、続いて11,750×gでの5分間の遠心分離によって、His6−タグ化MSP粒子を精製した。Ni−NTAアガロースに結合したMSP粒子を、3回の連続的なレジン量の、それぞれ、0.3M NaClを含み、0.15M NaClを含み、およびNaClを含まない、0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH 7.4)で洗浄した。CYP6B1タンパク質の完全性を維持するために、以前のMSP精製において使用した50mMイミダゾールではなく、0.25M EDTAを含む0.1M リン酸ナトリウム緩衝液(pH 7.4)でMSP粒子を溶出した。
薄層クロマトグラフィー(TLC)を以下のように実行した。サンプルを、EM Science(Hawthorne,NY)から購入した調製用シリカゲル固定相TLCプレート、Avant (Alabaster,AL)から購入したリン脂質標準と平行してスポットし、クロロホルム/メタノール/水酸化アンモニウム(65:25:4)の移動相を使用して展開した。TLCプレートを、可視化のためにヨウ素蒸気にさらし、Hewlett Packard ScanJetを使用してスキャンし、そしてU.S. National Institutes of Healthにおいて開発されたパブリックドメインのNIH画像化プログラム(rsb.info.nih.gov/nih−imageという表題のウェブサイトにおいてインターネット上で利用可能である)を使用して、Macintoshコンピュータ上で定量した。
(実施例12.基質結合)
Superdexサイズ分画後に収集したナノディスクのCYP6B1−含有集団を、50nMの酵素濃度まで濃縮した、マイクロタイタープレートを、各々が200μlナノディスクサンプルを含むウェルA1〜A5およびウェルB1〜B5、ならびに各々が200μl緩衝液(0.1M リン酸ナトリウム、pH7.4)を含むウェルC1〜C5を用いて配列した。行AおよびCには、メタノール中のキサントトキシン(Sigma Chemical Co.)の20mMストック濃度を、0μM(列1)、10μM(列2)、20μM(列3)、50μM(列4)、および150μM(列5)の最終濃度を生じるように加えた。この希釈は、全体の有機溶媒含量が、ナノディスクサンプルに加えられたときに1%を超えないようにしたものである。行Bには、0μl、0.1μl、0.2μl、0.5μl、および1.5μlのメタノールを加えた。
各マイクロタイタープレートウェルの含量は、SpectraMAX(登録商標)Plus microplate spectrophotometer(Molecular Devices,Sunnyvale,CA)を使用して、1nmの増分でスキャンし、バックグラウンドの緩衝液の吸収(行Cにおいて規定される)およびナノディスク吸収(ウェルA1)について補正した。
(実施例13.より大きなMSPを有するナノディスク)
比較的大きなナノディスク(「拡張」膜骨格タンパク質配列)は、ナノディスクに組み込まれる、特に大きく、またはオリゴマー化する傾向がある7−Tmレセプターまたは他の疎水性もしくは部分的に疎水性であるタンパク質のオリゴマー化状態を制御する際に有用である。具体的に例示されるように、バクテリオロドプシン三量体は、より長いMSPを使用して、より長いナノディスク中で自己集合される。
紫膜を、Halobacterium salinarum JW−3培養物から、記載されるように(Oesterhelt and Stoeckenius 1974)単離した。スクロースを、Beckman Ti−45ローター中での35,000rpmで15分間の遠心分離によって除去し、続いて水に再懸濁した。このプロセスを3回反復し、サンプルをアリコートとし、凍結乾燥し、そして−20℃で保存した。MSPの濃度は、計算した吸光計数に基づいて(Gill and von Hippel 1989)、MSP1のための24740M−1cm−1の吸光計数、および他のMSPのための31720M−1cm−1を使用して、280nmにおける吸光度から決定した。MSP1E1、MSP1E2およびMSP1E3についてのナノディスク緩衝液中での吸光計数は、20mM リン酸緩衝液、6M グアニジンHCl pH 6.5中での計算値と等しいことが見い出された。DMPCはAvanti Polar Lipids,Inc.kら入手し、クロロホルム中に溶解し、そしてリン酸分析によって定量した(Chen,Toribara et al.1956)。緩衝液は、他に言及しない限りは、10mM Tris HCI pH 7.4、0.1M NaCl、0.01% NaNからなった。水はMilli−Qシステム(Millipore)を用いて精製した。他のすべての試薬は高品質試薬であった。
バクテリオロドプシンおよび拡張MSPとともにナノディスクを自己集合するために、バクテリオロドプシンを、記載されるように(Dencher and Heyn 1978)、4% w/v Triton X−100を用いて最初に可溶化した。MSPストック溶液(200〜400μM)およびDMPC/コール酸混合物(緩衝液中200/400mM)を、エッペンドルフチューブまたはファルコンチューブ中でbRに加え(典型的には約190μM)、2:3のMSP対bRモル濃度比率、および異なるリン脂質比率を与えた。室温にて1時間後、ビーズを懸濁状態に維持するため穏やかに攪拌しながら、溶液1mlあたり400mgの湿潤したBiobeads SM−2(BioRad)を用いる3〜4時間の処理によって、界面活性剤を除去した(Levy,Bluzat et al.1990)。ビーズを、チューブの底に作ったピンホールを通して懸濁液を遠心分離することによって除去した。
自己集合したナノディスク混合物を、)0.22ミクロンフィルターを通してろ過し、サイズ排除クロマトグラフィーカラム(Superdex 200 HR 10/30カラムに注入し、室温にて0.5ml/分で流し、1分間画分の収集を行った。ピーク溶出を、280および560nmでモニターした。
ナノディスクをSDS−PAGEによって分析し、タンパク質を定量し、そして脂質の化学量論を決定した。MSP1E3および異なる量のbRを較正標準として含むサンプルを、MSP1E3−bRナノディスクのゲル濾過精製したサンプルとともに、Phastgelシステム(Pharmacia)を使用して、20% SDS−PAGE上で分離した。ブリリアントブルーR−250を用いる染色後、ゲルをスキャンし、コンピュータプログラムNIH imageを使用してバンドを定量して、ナノディスク中のbR対MSP1E3の比率を決定した。MSP1E3ディスク中のbRあたりの脂質の量は、レチナール滴定の方法によって測定された、MSP1E3ナノディスク中のbRについての吸光計数ε560=56,600±1200M−1cm−1を使用して決定し、リン脂質含量はリン酸分析(Chen,Toribara et al.1956; Rehorek and Heyn 1979)によって決定した。円二色性スペクトルを、Jasco J−720分光偏光計(spectrapolarimeter)を用いて、大気温度にて、約2のサンプルODで測定した。
3〜2の比率におけるbR−MSPを、ゲル濾過クロマトグラフィーによって評価したようなbR可溶化のための最適な比率を決定するために、脂質で滴定した。最適な比率は、可溶化bRの主ピークが、最小量のより大きな種を有する主要な成分である比率として選択される。最適に満たない比率においては、より小さなサイズの種が出現する。このようしきで決定される、MSP1、E1、E2、およびE3についての最適比率は、それぞれ10:1、10:1、55:1および80:1であり、主ピークは、注入された全体のbRの約80%である。プールされた主ピークの再注入の結果を図19に示す。一連の標準タンパク質を用いるカラムの較正に基づくサイズは、MSP1E1、MSP1E2、およびMSP1E3についての直径で、それぞれ、11、11.4、12.2、12.8nmである。
紫膜中のbRは、CDスペクトルにおいてポジティブなピークおよびネガティブなピークを生じる、三量体中のbRレチナール発色団間の励起的な相互作用を示す。モノマー型のbRは、タンパク質環境とのレチナールの相互作用から生じる単一のポジティブピークを示す。最適な脂質比率においてMSPによって可溶化されたbRのCDスペクトルを図20に示す。MSP1E2およびMSP1E3のみが、600nmにおいてネガティブピークを有し、このことは、ナノスケール円板状粒子中のbRの三量体型のアセンブリを示す。
(実施例14.アンホテリシンB−負荷ナノディスク)
2つのナノディスク調製物、1つはアンホテリシンB(AmB)を含み、そして1つは含まない(コントロールとして)を作製した。AmB粒子中のMSP1T2/POPC/AmBの比率は2:130:1であり、コントロール粒子調製物中のMSP1T2/POPCの比率は1:65である。
合成の1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(POPC)を、Avanti Polar Lipids(Alabaster,AL)から入手し、クロロホルム中75mM(70〜80mMの範囲内の濃度が受容可能である)ストックとして調製し、−20℃で保存した。脂質濃度は、Chen et al.(1956)の方法を使用して全体のリンを定量することによって決定する。アンホテリシンB(AmB)粉末はSigma (St.Louis,MO)から入手し、DMSO中の2mMストックとして調製し、光から保護して−20℃で保存した。MSP172は、Denisov et al.(2004)によって記載されるように発現および精製する。
AmBは、65:1の脂質:AmBモル濃度比率を与えるように、POPC脂質溶液に加える。この溶液は、窒素の気流下で乾燥させ、残渣の溶媒を除去するために一晩真空下に配置する。AmBを含むサンプルの操作は、可能であるときにはいつでも、光から保護した。この混合物を、標準緩衝液(10mM Tris−HCl(pH 7.4)、0.1M NaCl、1mM EDTA)中の100mMコール酸の添加によって再懸濁し、50mMの脂質濃度を生じる。チューブをボルテックスし、超音波処理し、そして混合物が完全に可溶化されるまで、37℃のウォーターバスで手短に加熱する。
MSP1T2タンパク質は、脂質/AmB/コール酸溶液に加えて、2:130:1のタンパク質/脂質/AmB比率を与える。最終異質濃度は約15mMである。この混合物を、POPCにとっての相転移温度の近くである4℃で、2時間インキュベートする。コール酸を除去するためにBioBeadsを加え、そしてサンプルをさらに2時間、4℃でインキュベートする。サンプルを、Superdex 200 HR 10/30カラム(Amersham Biosciences,Piscataway,NJ)上でのサイズ排除クロマトグラフィーによって分離し、10nm画分を保持した。アンホテリシンBの濃度を、1〜20μg/mlまでで構築したアンホテリシンBの標準曲線に対して、A405を比較することによって決定する。ナノディスク濃度は、A280を測定することによって決定する(MSP1T2ε280=21,000M−1cm−1)。
(実施例15.ケトコナゾール負荷ナノディスク)
低分子抗真菌剤ケトコナゾールを含むナノディスクを、MSP1T2、ケトコナゾール、DMPC、およびコール酸を、それぞれ1:10:80:160のモル濃度比率でインキュベートすることによって調製した。この混合物を25℃で45分間インキュベートし、Biobeadsを加え(50% w/v)、そしてインキュベーションをさらに45分間継続した。BioBeadsとのインキュベーションはコール酸を除去し、ナノディスクの自己集合、および新生ナノディスクの二重層環境への親油性ケトコナゾールの分配を生じた。
ケトコナゾール含有ナノディスクを、ニッケルアフィニティークロマトグラフィーによって精製し、カラム溶離液を、標準緩衝液(20mM Tris−HCl(pH 7.4)、0.1M NaCl、0.5mM EDTA)を用いるダイアフィルトレーションによって濃縮した。ケトコナゾール含有ナノディスク調製物の抗真菌活性を、酵母ポテトデキストロース(YPD)寒天上で増殖したCandida albicansのローン(lawn)に対して定性的にアッセイした。新鮮に増殖したC.albicansのコロニーを滅菌水中で混合し、1mlの細胞懸濁液を最終的にYPD−寒天プレートの表面に適用した。過剰の細胞液をデカントし、そしてケトコナゾールを含むナノディスク、ケトコナゾールを含まないように調製したナノディスク(空のナノディスク)、および1%DMSO中13μg/ml ケトコナゾール溶液の20μlのアリコートをプレートの表面に別々にスポットした(図21A)。このプレートを35℃で18時間インキュベートした。ケトコナゾールを含むナノディスクは、C.albicansの増殖を、ケトコナゾールコントロールと一致する様式で阻害したのに対して、空のナノディスクは、真菌増殖に効果を示さなかった。この結果は、ケトコナゾールの抗真菌活性がナノディスクと同時精製されることを実証し、そしてケトコナゾールが、自己集合後にナノディスクと結合したことを示す。標準緩衝液または1%DMSOの20μlアリコートの適用は、抗真菌活性を示さなかった(図21B)。ケトコナゾールの0.13μg/ml 20μlの添加は、増殖を可視的に阻害しなかった。このことは、この100倍低い薬物の濃度の適用は、プレート上に存在する細胞密度においては、希釈され過ぎて真菌に影響を与えなかったことを示す。
(実施例16.ガドリニウム含有ナノディスク)
両親媒性ガドリニウムキレートを含むナノディスクは、両親媒性脂質の極性頭部としてキレート基を有する、リン脂質または他の型の脂質を組み込むことによって作製することができる。1つのこのようなリン脂質は、ホスファチジルエタノールアミンを、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)の二無水物を反応させることによって合成され、ナノディスクのアセンブリの前またはその後のいずれかで、Gd3+を負荷することができる、四歯状(detradentate)キレートリン脂質を生じる。Gd3+を有するかまたは有さないこのキレート脂質は、有機溶液中の他の型のリン脂質を伴って、または伴わずに混合することができ、次には通常の方法によって溶媒の除去およびナノディスクの形成を行う。
ガドリニウムカチオンのために適切な別のキレート剤は、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−ジエチレントリアミン五酢酸(DPPE−DTPA)である。エチレンジアミン四酢酸(EDTA)誘導体は、DTPAグループの代わりに使用することができる。ジミリストイルおよびジステアロイルは、ジパルミトイル部分の代わりに置換することができる。キレート部分の残りに結合する比較的長鎖の脂肪酸は、ナノディスク粒子へのガドリニウムまたは他の関心があるイオン(限定されないが、イリジウム、テクネチウム、および一般的なランタノイドの三価カチオンが含まれる)の取り込みを容易にする。DTPAリン脂質が有用である。親油性キレート剤の議論については、Urizzi et al.(1996)Tetrahedron Lett.37:4685−4688を参照のこと。
(実施例17.光力学的化合物を含むナノディスク)
光力学的化合物、とりわけ治療用光力学化合物を含むナノディスクは、アンホテリシンBおよびケトカナゾールのために本明細書上記に本質的に記載されたように調製されるが、ソラレン、フタロシアニン(phthalacyanin)、またはポルフィリンなどの光力学化合物の使用では、ストック溶液、アセンブリ反応、およびナノディスク調製が光から保護されなくてはならないという修飾を伴う。
(実施例18.蛍光標識されたナノディスク)
小さな有機分子、特に蛍光標識を含むナノディスクの調製のための方法論は、以下の通りである。
この手順に含まれるすべてのガラス器具は、1M KOHで洗浄し、可能な場合、15分間超音波処理を行う。
2つのナノディスク調製物、1つは標識され、そして1つは標識されないものを記載する。標識調製物中のMSP1/DPPC/Dilの比率は1/100/.05であり、0.5mgのMSP1を使用し、そして非標識調製物中のMSP1/DPPCの比率は1/100であり、2mgのMSP1を使用する。DPPCはクロロホルム中に溶解したストック溶液から得られる。適切な量のDPPCを2つのガラス管に送達する。エタノール中のDilを、標識ディスク調製管に加える。窒素を使用して溶媒を乾燥させ、サンプルを真空デシケータ中に一晩配置して、残渣の溶媒を除去する。
標準緩衝液(10mM Tris−HCl pH 7.4、0.1M NaCl、1mM EDTA。0.03% NaN)中の50mMコール酸を、乾燥した脂質サンプルに加えて、25mMの最終脂質濃度を得る。管をボルテックスし、加熱し、そして脂質が完全に溶液中に入るまで超音波処理を行う。37℃の緩衝液中の0.5mgのMSP1を、標識するためにサンプルに加え、37℃の緩衝液中の2mgのMSP1あお、未標識サンプルに加える。これらのサンプルを37℃で4時間インキュベートする。次いで、透析を実行して、コール酸ナトリウムを除去する。透析は、標準緩衝液中で37℃、24時間、3回緩衝液を交換して行う。
両方のサンプルを約0.3mlまで濃縮し、ろ過し、そしてSuperdexカラム状のサイズ排除クロマトグラフィーに供する。画分を収集し、一緒にし、そして約10nmの直径を有する粒子を含むものを保存する。ナノディスクの濃度を、280nmの吸光度を測定することによって決定する(1mg/ml MSPのA280は1.0である)。280nmにおけるDilの吸光度を、標識したディスクサンプル中で無視できると仮定する。
(参考文献)
Figure 2007525490
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図1は、膜タンパク質を組み込んだ異なる種類の脂質凝集物を模式的に示す。小さな円および三角形は、それぞれレセプタータンパク質の細胞内および細胞外ドメインのためのリガンドをあらわす。 図2は、両親媒性の性質をらせんに与える、疎水性および親水性アミノ酸側鎖が交換された、αらせんの車輪構造を示す。 図3は、MSPが支持された二重層の「ベルト」モデルの概略図である。長方形は、直径が約1.5nmでらせん長が約3.9nmの1個のらせんをあらわす。 図4A〜4Gは、杭垣(picket fence)幾何学を有する種々の設計されたMSP構造および配列分析に基づくらせんの割り当てを示す。図4A:半繰り返しの位置を示すMSP1。半繰り返し1は分子動力学シミュレーション(Phillips,1997)に基づいて順不同である。図4B:ヒンジドメイン異動。図4C:半繰り返しの除去。図4D:らせん3および4を交換したヒンジドメイン。図4E:MSP1の配列のタンデム複製を有するMSP2。図4F:MSP1D1を作成するための半繰り返し1の除去。図4G:MSP2D1を形成するためのMSP1D1のタンデム繰り返し。 図5A〜5Bは、人工MSPを増幅させるために使用されるPCRストラテジーを概略的に示す。 図6A〜6Bは、長いリンカーを有する(図6A)、および短いリンカー配列を有する(図6B)、タンデム繰り返しMSP2の図を示す。 図7A〜7Bは、ディスクに組み込まれ、固体支持体に結合した膜タンパク質を示す。図7A:金上のレセプター−標的複合体のディスク関連レセプターおよびリガンドにより誘導されたアセンブリ。図7B:ゲルマトリックス中のディスク関連レセプター。 図8は、リン脂質として100%のDPPCで構成される10nm二重層ディスク内に組み込まれたシトクロムP450 3A4のクロマトグラムである。 図9は、サンプル1(シトクロムP450 6B1およびNADPH P450 レダクターゼを共に発現する細胞由来のミクロソームの膜を用いて調製されたナノディスク)を用いたPAGEの結果を示す。サンプル2は、CYP6B1を発現しないミクロソームから調製された。 図10は、ナノディスク内に組み込まれた活性なシトクロムP450 6B1の特有の光学スペクトルを提供し;特徴的なピークは450nmである。このようなスペクトルは、正しいチオレートヘム結さつを示し、可溶化した膜二重層系におけるシトクロムの不活性な「P420」形態の存在の証拠は存在しない。 図11は、Superdexサイジングカラムによって分離されたサンプルのクロマトグラムを示す。保持時間はrHDL粒子のサイズが10nmであることを示していた。 図12は、MSPナノディスクにおけるシトクロムP450 レダクターゼおよびシトクロムP450 6B1の共組み込みを示す。456nmでの吸光度(主にレダクターゼ):420nmでの吸光度(主にP450)の比は、保持時間の関数としてプロットされる。約26分でのピークは、レダクターゼおよびシトクロムを含有するナノディスク集合を示す。 図13は、表面プラズモン共鳴によってモニタリングされた場合の、金表面に対してカルボニル末端にチオールを含有するDPPCナノディスクの結合を示す。 図14は、自己集合を介してナノスケール支持された脂質二重層(ナノディスク)の形成を記載する概略図を提供する。標的膜タンパク質を含有する細胞膜調製物は、膜骨格タンパク質(MSP)の存在下で界面活性剤を用いて可溶化される(本明細書中以下を参照)。透析またはBiobeadsTMによって界面活性剤を除去する際に、可溶性のMSP−支持されたナノディスクは、得られたリン脂質二重層内に組み込まれた標的を用いて形成される。 図15は、ナノディスク混合物の一次元SDS−PAGEの結果を示す。レーン1、低分子量マーカー。レーン2(左側パネル)、昆虫細胞由来のSf9昆虫細胞膜をCYP6B1の過剰発現のために遺伝的に改変した。55kDaでのバンドは、過剰発現された標的膜に結合したタンパク質をあらわす。レーン2(右側パネル)は、CYP6B1を過剰発現するSf9昆虫細胞膜からアセンブリされたナノディスク混合物を示す。MSP1およびCYP6B1は、それぞれ25kDaおよび55kDaの分子量であった。 図16A〜16Bは、MSP1を用いて作成され、異種発現されたシトクロムP450、CYP6B1を含有するナノディスクのサイズ排除クロマトグラフィーの結果を示す。標的タンパク質は、本文に記載される単純な自己集合プロセスを介してナノディスクに組み込まれる。図16A:再構成された粒子(SuperdexTM200)のサイズ分離を示すクロマトグラム。点線は、MSPの非存在下での膜サンプルのサイズ分離が高分子量の非特異的および非機能的豪州物の存在を示すことをを示す。図16B:自己集合したCYP6B1−二重層構造の均一性を示すフラクションを含有するCYP6B1の再クロマトグラム。 図17は、得られた可溶性ナノディスク二重層において出発膜調製物のリン脂質含量の保存を示す。縦線は、出発膜または自己集合したナノディスクの3ッ組のサンプルから決定されるリン脂質の種類をあらわす。PC:ホスファチジルコリン、PE:ホスファチジルエタノールアミン、PI:ホスファチジルイノシトール。 図18は、MSP1を有するナノディスク膜二重層に組み込まれたCYP6B1に対して結合するリガンドを示す。特徴的な「I型」結合スペクトル(約417nmの吸収を有する基質低スピンシトクロムにおける減少および約390nmで吸収する高スピンフラクションにおける付随する増加)が、ハイスループットプレートリーダーを用いた後、環境的なフラノクマリンキサントトキシンを段階的に添加したマイクロタイタープレートにおいて得られる。ほぼ30μMの解離定数が計算された。 図19は、種々のMSPについてリン脂質:MSPの化学量論を示す。H1らせんドメインは、ナノディスクを取り囲むタンパク質「ベルト」の形成において顕著な役割を果たさない。本発明者らは、MSP1を用いて構築されたナノディスクのサイズおよびH1の半分または全てのいずれかを失っているMSPを用いて構築されたナノディスクのサイズが同じであり、ナノディスク1個あたりに組み込まれたリン脂質分子の数が同じであることを発見した。 図20は、A−MSP1−DPPC;B−MSP1E1−DPPC;C−MSP1E2−DPPC;D−MSP1E3−DPPCで自己集合されたナノディスクについてのサイズ排除クロマトグラフィー溶出プロフィールを示す。曲線Eは、一連の較正タンパク質:1−ウシ血清アルブミン、2−ウシ肝臓カタラーゼ、ストークス直径10.4nm;3−フェリチン、直径12.2nm;4−チログロブリンの溶出プロフィールを示す。 図21Aは、ケトコナゾール、およびケトコナゾールの1%DMS溶液でロードされたナノディスクによるCandida albicansの阻害を示す。「空の」ナノディスクによる阻害はおこらなかった。図21Bは、ナノディスク緩衝液、1%DMSOまたは少量のケトコナゾールによる増殖阻害が起こらないことを示す。

Claims (99)

  1. 水溶液中の粒子に集合する人工膜骨格タンパク質であって、該人工膜骨格タンパク質が少なくとも1つの両親媒性らせんを含む、人工膜骨格タンパク質。
  2. 前記両親媒性らせんがαらせんである、請求項1に記載の人工膜骨格タンパク質。
  3. 前記両親媒性らせんが50と200との間のらせん回転を含む、請求項1に記載の人工膜骨格タンパク質。
  4. 前記両親媒性らせんがらせん1回転あたり3〜16のアミノ酸を含む、請求項1に記載の人工膜骨格タンパク質。
  5. 前記らせんが1回転あたり3〜10のアミノ酸を含む、請求項1に記載の人工膜骨格タンパク質。
  6. 前記αらせんが12〜600のアミノ酸を含む、請求項1に記載の人工膜骨格タンパク質。
  7. 前記タンパク質が少なくとも2つのらせんを含み、該らせんが終止配列によって結合され、該終止配列が1〜5のアミノ酸を含む、請求項1に記載の人工膜骨格タンパク質。
  8. 前記終止配列が、グリシン、アラニンおよびプロリンからなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸を含む、請求項7に記載の人工膜骨格タンパク質。
  9. 前記膜骨格タンパク質が、配列番号91、配列番号91のアミノ酸24〜201、配列番号92、配列番号92のアミノ酸24〜190、配列番号93、配列番号93のアミノ酸24〜179、配列番号94、配列番号94のアミノ酸24〜289、配列番号95、配列番号94のアミノ酸24〜289、配列番号95、配列番号95のアミノ酸24〜278、配列番号96、配列番号96のアミノ酸24〜423、配列番号97、配列番号97のアミノ酸24〜199、配列番号98、配列番号98のアミノ酸24〜401、配列番号99、配列番号99のアミノ酸24〜392、配列番号111、配列番号111のアミノ酸24〜397、配列番号113、配列番号113のアミノ酸24〜383、配列番号115、配列番号115のアミノ酸24〜379、配列番号117、配列番号117のアミノ酸24〜381、配列番号119、配列番号119のアミノ酸13〜1094、配列番号129、配列番号129のアミノ酸25〜214、配列番号131、配列番号131のアミノ酸25〜212、配列番号133、配列番号133のアミノ酸25〜212、配列番号135および配列番号135のアミノ酸13〜212からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の人工膜骨格タンパク質。
  10. 前記タンパク質が、配列番号6、配列番号9、配列番号17、配列番号17のアミノ酸13〜414、配列番号19、配列番号19のアミノ酸13〜422、配列番号23、配列番号23のアミノ酸13〜168、配列番号29、配列番号29のアミノ酸13〜168、配列番号43、配列番号43のアミノ酸13〜201、配列番号44、配列番号44のアミノ酸13〜201、配列番号45、配列番号45のアミノ酸13〜392、配列番号73、配列番号73のアミノ酸13〜234、配列番号74、配列番号74のアミノ酸13〜256、配列番号75、配列番号75のアミノ酸13〜278、配列番号76、配列番号76のアミノ酸24〜223、配列番号77、配列番号78、配列番号78のアミノ酸24〜212、配列番号79、配列番号80、配列番号80のアミノ酸24〜201、配列番号81、配列番号81のアミノ酸13〜168、配列番号82、配列番号82のアミノ酸13〜168、配列番号83、配列番号83のアミノ酸13〜190、配列番号84、配列番号84のアミノ酸13〜201、配列番号85、配列番号85のアミノ酸13〜190、配列番号86、配列番号86のアミノ酸24〜381、配列番号91、配列番号91のアミノ酸24〜201、配列番号92、配列番号92のアミノ酸24〜190、配列番号93、配列番号93のアミノ酸24〜179、配列番号94、配列番号94のアミノ酸24〜289、配列番号95、配列番号94のアミノ酸24〜289、配列番号95、配列番号95のアミノ酸24〜278、配列番号96、配列番号96のアミノ酸24〜423、配列番号97、配列番号97のアミノ酸24〜199、配列番号98、配列番号98のアミノ酸24〜401、配列番号99、配列番号99のアミノ酸24〜392、配列番号111、配列番号111のアミノ酸24〜397、配列番号113、配列番号113のアミノ酸24〜383、配列番号115、配列番号115のアミノ酸24〜379、配列番号117、配列番号117のアミノ酸24〜381、配列番号119、配列番号119のアミノ酸13〜1094、配列番号129、配列番号129のアミノ酸25〜214、配列番号131、配列番号131のアミノ酸25〜212、配列番号133、配列番号133のアミノ酸25〜212、配列番号135、および配列番号135のアミノ酸13〜212のアミノ酸配列を含み、該配列が、1〜5の保存的アミノ酸、1〜5のアミノ酸の挿入または1〜5のアミノ酸の欠失によって改変される、請求項1に記載の人工膜骨格タンパク質。
  11. 請求項9に記載の人工膜骨格タンパク質であって、さらなる両親媒性らせんをさらに含み、該さらなる両親媒性らせんがアポリポタンパクA−1由来のアミノ酸配列に由来しない、人工膜骨格タンパク質。
  12. 前記さらなる両親媒性らせんが、アポリポタンパクA−II、アポリポタンパクC−I、アポリポタンパクC−II、アポリポタンパクC−III、アポリポタンパクE、アポリポホリンIII、ミオグロブリンおよびヘモグロビン由来のアミノ酸配列に由来する、請求項11に記載の人工膜骨格タンパク質。
  13. 前記さらなる両親媒性らせんが、1〜5のアミノ酸の終止配列によって前記タンパク質のらせんに結合する、請求項12に記載の人工膜骨格タンパク質。
  14. 前記終止配列が、プロリン、アラニンおよびグリシンからなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸を含む、請求項13に記載の人工膜骨格タンパク質。
  15. 水溶液中で安定かつ可溶性の少なくとも1つの疎水性分子または部分的に疎水性の分子をナノスケール円板状粒子に組み込むための方法であって、該方法は、以下の工程:
    (a)水溶液中に少なくとも1つの疎水性分子または部分的に疎水性の分子および可溶化剤を含む可溶化組成物を提供する工程;
    (b)少なくとも1つのリン脂質を有する膜骨格タンパク質と工程(a)の可溶化組成物とを接触させる工程;ならびに
    (c)該可溶化剤を除去する工程
    を包含し、これにより、少なくとも1つの疎水性分子または部分的に疎水性の分子および前記膜骨格タンパク質は水溶液中のナノスケール粒子に自己集合し、但し、該膜骨格タンパク質はアポリポタンパクA−1ではないか、あるいは該膜骨格タンパク質は、配列番号6、配列番号9、配列番号17、配列番号17のアミノ酸13〜414、配列番号19、配列番号19のアミノ酸13〜422、配列番号23、配列番号23のアミノ酸13〜168、配列番号29、配列番号29のアミノ酸13〜168、配列番号43、配列番号43のアミノ酸13〜201、配列番号44、配列番号44のアミノ酸13〜201、配列番号45、配列番号45のアミノ酸13〜392、配列番号73、配列番号73のアミノ酸13〜234、配列番号74、配列番号74のアミノ酸13〜256、配列番号75、配列番号75のアミノ酸13〜278、配列番号76、配列番号76のアミノ酸24〜223、配列番号77、配列番号78、配列番号78のアミノ酸24〜212、配列番号79、配列番号80、配列番号80のアミノ酸24〜201、配列番号81、配列番号81のアミノ酸13〜168、配列番号82、配列番号82のアミノ酸13〜168、配列番号83、配列番号83のアミノ酸13〜190、配列番号84、配列番号84のアミノ酸13〜201、配列番号85、配列番号85のアミノ酸13〜190、配列番号86および配列番号86のアミノ酸24〜381からなる群より選択されるアミノ酸配列によって特徴付けられる、方法。
  16. 少なくとも1つのリン脂質が、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、1−パルミトイル−2−オレイル−ホスファチジルコリン、1−パルミトイル−2−オレイル−ホスファチジルセリン、1−パルミトイル−2−オレイル−ホスファチジルエタノールアミン、ジヘキサノイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルイノシトール、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルイノシトール、ジヘキサノイルホスファチジルエタノールアミン、ジヘキサノイルホスファチジルイノシトール、1−パルミトイル−2−オレイル−ホスファチジルエタノールアミンおよび1−パルミトイル−2−オレイル−ホスファチジルイノシトールである、請求項15に記載の方法。
  17. 前記疎水性分子または部分的に疎水性の分子がタンパク質である、請求項15に記載の方法。
  18. 前記リン脂質が、可溶化膜調製物または可溶化膜断片調製物に由来する、請求項17に記載の方法。
  19. 前記ナノスケール粒子がコレステロールまたはコレステロールエステルをさらに含む、請求項18に記載の方法。
  20. 前記タンパク質がシトクロムP450である、請求項17に記載の方法。
  21. 前記可溶化タンパク質組成物が、電子伝達系、シトクロムP450レダクターゼまたはシトクロムb5をさらに含む、請求項20に記載の方法。
  22. 前記疎水性タンパク質または部分的に疎水性のタンパク質がレセプタータンパク質である、請求項17に記載の方法。
  23. 前記レセプタータンパク質がGタンパク質結合型レセプターである、請求項22に記載の方法。
  24. 前記レセプタータンパク質が、5−ヒドロキシトリプタミンレセプター、βアドレナリン作動性レセプター、ドーパミンD4レセプター、リゾホスファチジン酸レセプターまたはケモカインレセプターである、請求項23に記載の方法。
  25. 前記ケモカインレセプターが、CXCR4レセプターまたはCCR5レセプターである、請求項24に記載の方法。
  26. 前記疎水性タンパク質または部分的に疎水性のタンパク質がトランスヒドロゲナーゼまたはアスパルテートレセプタータンパク質である、請求項17に記載の方法。
  27. 前記膜骨格タンパク質が、配列番号91、配列番号91のアミノ酸24〜201、配列番号92、配列番号92のアミノ酸24〜190、配列番号93、配列番号93のアミノ酸24〜179、配列番号94、配列番号94のアミノ酸24〜289、配列番号95、配列番号94のアミノ酸24〜289、配列番号95、配列番号95のアミノ酸24〜278、配列番号96、配列番号96のアミノ酸24〜423、配列番号97、配列番号97のアミノ酸24〜199、配列番号98、配列番号98のアミノ酸24〜401、配列番号99、配列番号99のアミノ酸24〜392、配列番号111、配列番号111のアミノ酸24〜397、配列番号113、配列番号113のアミノ酸24〜383、配列番号115、配列番号115のアミノ酸24〜379、配列番号117、配列番号117のアミノ酸24〜381、配列番号119、配列番号119のアミノ酸13〜1094、配列番号129、配列番号129のアミノ酸25〜214、配列番号131、配列番号131のアミノ酸25〜212、配列番号133、配列番号133のアミノ酸25〜212、配列番号135および配列番号135のアミノ酸13〜212を含む、請求項15に記載の方法。
  28. 前記膜骨格タンパク質が、配列番号6、配列番号9、配列番号17、配列番号17のアミノ酸13〜414、配列番号19、配列番号19のアミノ酸13〜422、配列番号23、配列番号23のアミノ酸13〜168、配列番号29、配列番号29のアミノ酸13〜168、配列番号43、配列番号43のアミノ酸13〜201、配列番号44、配列番号44のアミノ酸13〜201、配列番号45、配列番号45のアミノ酸13〜392、配列番号73、配列番号73のアミノ酸13〜234、配列番号74、配列番号74のアミノ酸13〜256、配列番号75、配列番号75のアミノ酸13〜278、配列番号76、配列番号76のアミノ酸24〜223、配列番号77、配列番号78、配列番号78のアミノ酸24〜212、配列番号79、配列番号80、配列番号80のアミノ酸24〜201、配列番号81、配列番号81のアミノ酸13〜168、配列番号82、配列番号82のアミノ酸13〜168、配列番号83、配列番号83のアミノ酸13〜190、配列番号84、配列番号84のアミノ酸13〜201、配列番号85、配列番号85のアミノ酸13〜190、配列番号86、配列番号86のアミノ酸24〜381、配列番号91、配列番号91のアミノ酸24〜201、配列番号92、配列番号92のアミノ酸24〜190、配列番号93、配列番号93のアミノ酸24〜179、配列番号94、配列番号94のアミノ酸24〜289、配列番号95、配列番号94のアミノ酸24〜289、配列番号95、配列番号95のアミノ酸24〜278、配列番号96、配列番号96のアミノ酸24〜423、配列番号97、配列番号97のアミノ酸24〜199、配列番号98、配列番号98のアミノ酸24〜401、配列番号99、配列番号99のアミノ酸24〜392、配列番号111、配列番号111のアミノ酸24〜397、配列番号113、配列番号113のアミノ酸24〜383、配列番号115、配列番号115のアミノ酸24〜379、配列番号117、配列番号117のアミノ酸24〜381、配列番号119、配列番号119のアミノ酸13〜1094、配列番号129、配列番号129のアミノ酸25〜214、配列番号131、配列番号131のアミノ酸25〜212、配列番号133、配列番号133のアミノ酸25〜212、配列番号135、および配列番号135のアミノ酸13〜212からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み、該アミノ酸配列に、1〜5の保存的アミノ酸置換、1〜5のアミノ酸の欠失または1〜5のアミノ酸の挿入が存在する、請求項15に記載の方法。
  29. 前記疎水性タンパク質または部分的に疎水性のタンパク質がレセプタータンパク質である、請求項27または28に記載の方法。
  30. 前記レセプタータンパク質が、Gタンパク質結合型レセプターである、請求項29に記載の方法。
  31. 前記レセプタータンパク質が、5−ヒドロキシトリプタミンレセプター、βアドレナリン作動性レセプター、ドーパミンD4レセプター、リゾホスファチジン酸レセプターまたはケモカインレセプターである、請求項30に記載の方法。
  32. 前記ケモカインレセプターが、CXCR4レセプターまたはCCR5レセプターである、請求項31に記載の方法。
  33. 前記疎水性タンパク質または部分的に疎水性のタンパク質がトランスヒドロゲナーゼまたはアスパルテートレセプタータンパク質である、請求項27に記載の方法。
  34. 前記可溶化剤が、界面活性剤またはペプチド界面活性剤または200〜200,000気圧の流体力学上の圧力である、請求項15に記載の方法。
  35. 前記可溶化剤が、コレート、デオキシコレート、1−パルミトイル−2−オレイル−sn−グリセロホスホコレート、1−パルミトイル−2−オレイル−sn−グリセロホスホセリン、1−パルミトイル−2−オレイル−sn−グリセロホスホエタノールアミン、n−ドデシル−β−D−マルトシド、オクチル−グルコピラノシド、Triton X−100、ミリストイルスルホベタイン、ジヘキサノイル−ホスホチジルコリン、ジギトニン、エマルゲン913またはJB3−14である、請求項27に記載の方法。
  36. 前記可溶化剤が透析または吸着によって除去される、請求項27に記載の方法。
  37. MSP:可溶化剤:膜脂質のモル比が1:25:50〜1:2000:1000である、請求項16に記載の方法。
  38. MSP:可溶化剤:膜脂質のモル比が1:75:150である、請求項37に記載の方法。
  39. 少なくとも1つのリン脂質、アポリポタンパクA−1ではない膜骨格タンパク質、およびさらなる疎水性分子または部分的に疎水性の分子を含む、ナノスケール粒子。
  40. 前記さらなる疎水性分子または部分的に疎水性の分子が治療用分子であり、前記膜骨格タンパク質が請求項9に記載の人口膜骨格タンパク質である、請求項39に記載のナノスケール粒子。
  41. 前記少なくとも1つのリン脂質が、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、1−パルミトイル−2−オレイル−ホスファチジルコリン、1−パルミトイル−2−オレイル−ホスファチジルセリン、1−パルミトイル−2−オレイル−ホスファチジルエタノールアミン、ジヘキサノイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルイノシトール、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルイノシトール、ジヘキサノイルホスファチジルエタノールアミン、ジヘキサノイルホスファチジルイノシトール、1−パルミトイル−2−オレイル−ホスファチジルエタノールアミンおよび1−パルミトイル−2−オレイル−ホスファチジルイノシトールである、請求項40に記載のナノスケール粒子。
  42. 前記治療用分子が、抗菌剤、抗新生物剤、血管由来因子、血栓溶解剤、カルシウム拮抗薬、反アテローム生成剤、血圧降下薬、変カ性因子、消炎剤、抗不整脈剤、抗ウイルス因子、抗真菌因子、血液凝固阻止剤、反再狭窄剤、治療用タンパク質、光力学性剤、治療用ペプチド、治療用核酸分子、治療用炭水化物または少なくとも1つのビタミンである、請求項40に記載のナノスケール粒子。
  43. 前記抗菌剤がアンホテリシンBまたはケトコナゾールである、請求項42に記載のナノスケール粒子。
  44. 前記治療薬剤が送達される細胞表面に特異的に結合する標的因子をさらに含む、請求項40に記載のナノスケール粒子。
  45. 前記標的因子が、レクチン、一本鎖抗体または抗体の抗原結合フラグメントである、請求項44に記載のナノスケール粒子。
  46. 前記標的因子が前記膜骨格タンパク質に共有結合する、請求項47に記載のナノスケール粒子。
  47. 標的因子が前記粒子に非共有結合する、請求項44に記載のナノスケール粒子。
  48. 前記さらなる疎水性分子または部分的に疎水性の分子がタンパク質である、請求項39に記載のナノスケール粒子。
  49. 前記タンパク質が膜レセプタータンパク質である、請求項48に記載のナノスケール粒子。
  50. 前記膜レセプタータンパク質がGタンパク質結合型レセプターである、請求項49に記載のナノスケール粒子。
  51. 前記Gタンパク質結合型レセプターが、5−ヒドロキシトリプタミンレセプターβアドレナリン作動性レセプター、ケモカインレセプター、リゾホスファチジン酸レセプターまたはドーパミンレセプターである、請求項50に記載のナノスケール粒子。
  52. 前記ケモカインレセプターが、CXCR4レセプターまたはCCR5レセプターである、請求項51に記載のナノスケール粒子。
  53. 前記タンパク質がトランスヒドロゲナーゼまたはアスパルテートレセプタータンパク質である、請求項48に記載のナノスケール粒子。
  54. 前記タンパク質がシトクロムP450タンパク質である、請求項48に記載のナノスケール粒子。
  55. 電子伝達系、シトクロムP450レダクターゼまたはシトクロムb5をさらに含む、請求項54に記載のナノスケール粒子。
  56. コレステロールまたはコレステロールエステルをさらに含む、請求項48に記載のナノスケール粒子。
  57. 前記膜骨格タンパク質が、配列番号91、配列番号91のアミノ酸24〜201、配列番号92、配列番号92のアミノ酸24〜190、配列番号93、配列番号93のアミノ酸24〜179、配列番号94、配列番号94のアミノ酸24〜289、配列番号95、配列番号94のアミノ酸24〜289、配列番号95、配列番号95のアミノ酸24〜278、配列番号96、配列番号96のアミノ酸24〜423、配列番号97、配列番号97のアミノ酸24〜199、配列番号98、配列番号98のアミノ酸24〜401、配列番号99、配列番号99のアミノ酸24〜392、配列番号111、配列番号111のアミノ酸24〜397、配列番号113、配列番号113のアミノ酸24〜383、配列番号115、配列番号115のアミノ酸24〜379、配列番号117、配列番号117のアミノ酸24〜381、配列番号119、配列番号119のアミノ酸13〜1094、配列番号129、配列番号129のアミノ酸25〜214、配列番号131、配列番号131のアミノ酸25〜212、配列番号133、配列番号133のアミノ酸25〜212、配列番号135および配列番号135のアミノ酸13〜212からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項48に記載のナノスケール粒子。
  58. 前記膜骨格タンパク質が、配列番号6、配列番号9、配列番号17、配列番号17のアミノ酸13〜414、配列番号19、配列番号19のアミノ酸13〜422、配列番号23、配列番号23のアミノ酸13〜168、配列番号29、配列番号29のアミノ酸13〜168、配列番号43、配列番号43のアミノ酸13〜201、配列番号44、配列番号44のアミノ酸13〜201、配列番号45、配列番号45のアミノ酸13〜392、配列番号73、配列番号73のアミノ酸13〜234、配列番号74、配列番号74のアミノ酸13〜256、配列番号75、配列番号75のアミノ酸13〜278、配列番号76、配列番号76のアミノ酸24〜223、配列番号77、配列番号78、配列番号78のアミノ酸24〜212、配列番号79、配列番号80、配列番号80のアミノ酸24〜201、配列番号81、配列番号81のアミノ酸13〜168、配列番号82、配列番号82のアミノ酸13〜168、配列番号83、配列番号83のアミノ酸13〜190、配列番号84、配列番号84のアミノ酸13〜201、配列番号85、配列番号85のアミノ酸13〜190、配列番号86、配列番号86のアミノ酸24〜381、配列番号91、配列番号91のアミノ酸24〜201、配列番号92、配列番号92のアミノ酸24〜190、配列番号93、配列番号93のアミノ酸24〜179、配列番号94、配列番号94のアミノ酸24〜289、配列番号95、配列番号94のアミノ酸24〜289、配列番号95、配列番号95のアミノ酸24〜278、配列番号96、配列番号96のアミノ酸24〜423、配列番号97、配列番号97のアミノ酸24〜199、配列番号98、配列番号98のアミノ酸24〜401、配列番号99、配列番号99のアミノ酸24〜392、配列番号111、配列番号111のアミノ酸24〜397、配列番号113、配列番号113のアミノ酸24〜383、配列番号115、配列番号115のアミノ酸24〜379、配列番号117、配列番号117のアミノ酸24〜381、配列番号119、配列番号119のアミノ酸13〜1094、配列番号129、配列番号129のアミノ酸25〜214、配列番号131、配列番号131のアミノ酸25〜212、配列番号133、配列番号133のアミノ酸25〜212、配列番号135、および配列番号135のアミノ酸13〜212のアミノ酸配列を含み、該配列が、1〜5の保存的アミノ酸、1〜5のアミノ酸の挿入または1〜5のアミノ酸の欠失によって改変される、請求項48に記載のナノスケール粒子。
  59. 前記疎水性分子または部分的に疎水性の分子が親油性色素、蛍光色素、または結像剤である、請求項38に記載のナノスケール粒子。
  60. 前記結像剤が、ガドリニウム、テクネチウム、テルリウム、イリジウム、またはヨウ素を含む、請求項59に記載のナノスケール粒子。
  61. レセプター−リガンド相互作用を調節する分子を同定するための方法であって、該方法は、以下の工程:
    少なくとも1つのリン脂質、リガンドレセプタータンパク質を含むナノスケール粒子と、リガンドおよび膜骨格タンパク質とを接触させる工程であって、ここで、該膜骨格タンパク質が、配列番号91、配列番号91のアミノ酸24〜201、配列番号92、配列番号92のアミノ酸24〜190、配列番号93、配列番号93のアミノ酸24〜179、配列番号94、配列番号94のアミノ酸24〜289、配列番号95、配列番号94のアミノ酸24〜289、配列番号95、配列番号95のアミノ酸24〜278、配列番号96、配列番号96のアミノ酸24〜423、配列番号97、配列番号97のアミノ酸24〜199、配列番号98、配列番号98のアミノ酸24〜401、配列番号99、配列番号99のアミノ酸24〜392、配列番号111、配列番号111のアミノ酸24〜397、配列番号113、配列番号113のアミノ酸24〜383、配列番号115、配列番号115のアミノ酸24〜379、配列番号117、配列番号117のアミノ酸24〜381、配列番号119、配列番号119のアミノ酸13〜1094、配列番号129、配列番号129のアミノ酸25〜214、配列番号131、配列番号131のアミノ酸25〜212、配列番号133、配列番号133のアミノ酸25〜212、配列番号135、配列番号135のアミノ酸13〜212に記載されるアミノ酸配列、あるいは上記の配列の改変体を含み、該アミノ酸配列が、1〜5のアミノ酸の保存的アミノ酸置換、1〜5のアミノ酸の挿入または1〜5アミノ酸の欠失によって改変される、工程;
    該リガンドの該ナノスケール粒子に対する結合を測定する工程;
    該リガンドレセプタータンパク質および該リガンドを候補調節因子の存在下で接触させる工程;
    該リガンドの該レセプターに対する結合を該候補調節因子の存在下で測定する工程;
    該リガンドの該レセプターに対する結合を該候補調節因子の存在下および非存在下で比較する工程を包含し、
    これにより、該リガンドの該レセプターに対する結合を増加または減少させる能力によって調節因子が同定される、方法。
  62. 前記リガンドレセプタータンパク質がGタンパク質結合型レセプターである、請求項61に記載の方法。
  63. 前記Gタンパク質結合型レセプターが、5−ヒドロキシトリプタミンレセプターβアドレナリン作動性レセプター、ケモカインレセプター、リゾホスファチジン酸レセプターまたはドーパミンレセプターである、請求項62に記載の方法。
  64. 前記ケモカインレセプターが、CXCR4レセプターまたはCCR5レセプターである、請求項63に記載の方法。
  65. 前記ナノスケール粒子が固体支持体に付着される、請求項61に記載の方法。
  66. 前記固体支持体が金粒子または金表面である、請求項65に記載の方法。
  67. 前記固体支持体が、水晶、ポリスチレン、プラスチック、シリコン、シリカ、二酸化ケイ素、窒化ケイ素または樹脂である、請求項66に記載の方法。
  68. 前記少なくとも1つのリン脂質が、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、1−パルミトイル−2−オレイル−ホスファチジルコリン、1−パルミトイル−2−オレイル−ホスファチジルセリン、1−パルミトイル−2−オレイル−ホスファチジルエタノールアミン、ジヘキサノイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルイノシトール、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルイノシトール、ジヘキサノイルホスファチジルエタノールアミン、ジヘキサノイルホスファチジルイノシトール、1−パルミトイル−2−オレイル−ホスファチジルエタノールアミンおよび1−パルミトイル−2−オレイル−ホスファチジルイノシトールである、請求項61に記載の方法。
  69. 疎水性基質を含有するサンプルから疎水性基質または部分的に疎水性の基質を除去するための方法であって、該方法は、該サンプルと請求項62に記載の1つ以上のナノ粒子を接触させる工程を包含し、これにより、該疎水性基質は該サンプルから該ナノ粒子のリン脂質二重層に分配される、方法。
  70. 前記サンプルが液体である、請求項69に記載の方法。
  71. 前記サンプルが粒子状固体である、請求項69に記載の方法。
  72. 前記ナノ粒子が溶液中のアレイに結合される、請求項69に記載の方法。
  73. 接触させる工程の後に、前記サンプルから前記ナノ粒子を分離する工程をさらに包含する、請求項69に記載の方法。
  74. 可溶性ナノスケール円板状粒子を調製する方法であって、該方法が、以下の工程:
    人工膜骨格タンパク質を可溶化剤を用いて可溶化して、可溶化膜骨格タンパク質を生成する工程であって、該膜骨格タンパク質が、配列番号91、配列番号91のアミノ酸24〜201、配列番号92、配列番号92のアミノ酸24〜190、配列番号93、配列番号93のアミノ酸24〜179、配列番号94、配列番号94のアミノ酸24〜289、配列番号95、配列番号94のアミノ酸24〜289、配列番号95、配列番号95のアミノ酸24〜278、配列番号96、配列番号96のアミノ酸24〜423、配列番号97、配列番号97のアミノ酸24〜199、配列番号98、配列番号98のアミノ酸24〜401、配列番号99、配列番号99のアミノ酸24〜392、配列番号111、配列番号111のアミノ酸24〜397、配列番号113、配列番号113のアミノ酸24〜383、配列番号115、配列番号115のアミノ酸24〜379、配列番号117、配列番号117のアミノ酸24〜381、配列番号119、配列番号119のアミノ酸13〜1094、配列番号129、配列番号129のアミノ酸25〜214、配列番号131、配列番号131のアミノ酸25〜212、配列番号133、配列番号133のアミノ酸25〜212、配列番号135および配列番号135のアミノ酸13〜212に示されるアミノ酸配列を含むか、あるいは該アミノ酸配列が、1〜5のアミノ酸の保存的アミノ酸置換、1〜5のアミノ酸の挿入または1〜5のアミノ酸の欠失によって改変されるアミノ酸配列を含む、工程;
    少なくとも1つのリン脂質を該可溶化膜骨格タンパク質に提供する工程;ならびに
    該可溶化剤を除去する工程
    を包含し、これにより、該膜骨格タンパク質が該リン脂質と自己集合して、ナノスケール円板状粒子を形成する、方法。
  75. 安定で可溶性のナノスケール円板状粒子を含む免疫原性組成物であって、該粒子は、膜骨格タンパク質、少なくとも1つの疎水性抗原分子または部分的に疎水性の抗原分子、および少なくとも1つのリン脂質を含み、該免疫原性組成物は必要に応じて免疫学的アジュバントをさらに含む、免疫原性組成物。
  76. 前記疎水性抗原分子または部分的に疎水性の抗原分子が、可溶化膜調製物または可溶化膜断片調製物に由来する、請求項75に記載の免疫原性組成物。
  77. 前記疎水性抗原分子または部分的に疎水性の抗原分子が、タンパク質、リポタンパク質、リポ多糖類、リポオリゴ糖類、炭水化物、糖タンパク質、糖脂質または脂質である、請求項75に記載の免疫原性組成物。
  78. 前記膜骨格タンパク質が、配列番号6、配列番号9、配列番号17、配列番号17のアミノ酸13〜414、配列番号19、配列番号19のアミノ酸13〜422、配列番号23、配列番号23のアミノ酸13〜168、配列番号29、配列番号29のアミノ酸13〜168、配列番号43、配列番号43のアミノ酸13〜201、配列番号44、配列番号44のアミノ酸13〜201、配列番号45、配列番号45のアミノ酸13〜392、配列番号73、配列番号73のアミノ酸13〜234、配列番号74、配列番号74のアミノ酸13〜256、配列番号75、配列番号75のアミノ酸13〜278、配列番号76、配列番号76のアミノ酸24〜223、配列番号77、配列番号78、配列番号78のアミノ酸24〜212、配列番号79、配列番号80、配列番号80のアミノ酸24〜201、配列番号81、配列番号81のアミノ酸13〜168、配列番号82、配列番号82のアミノ酸13〜168、配列番号83、配列番号83のアミノ酸13〜190、配列番号84、配列番号84のアミノ酸13〜201、配列番号85、配列番号85のアミノ酸13〜190、配列番号86、配列番号86のアミノ酸24〜381、配列番号91、配列番号91のアミノ酸24〜201、配列番号92、配列番号92のアミノ酸24〜190、配列番号93、配列番号93のアミノ酸24〜179、配列番号94、配列番号94のアミノ酸24〜289、配列番号95、配列番号94のアミノ酸24〜289、配列番号95、配列番号95のアミノ酸24〜278、配列番号96、配列番号96のアミノ酸24〜423、配列番号97、配列番号97のアミノ酸24〜199、配列番号98、配列番号98のアミノ酸24〜401、配列番号99、配列番号99のアミノ酸24〜392、配列番号111、配列番号111のアミノ酸24〜397、配列番号113、配列番号113のアミノ酸24〜383、配列番号115、配列番号115のアミノ酸24〜379、配列番号117、配列番号117のアミノ酸24〜381、配列番号119、配列番号119のアミノ酸13〜1094、配列番号129、配列番号129のアミノ酸25〜214、配列番号131、配列番号131のアミノ酸25〜212、配列番号133、配列番号133のアミノ酸25〜212、配列番号135、および配列番号135のアミノ酸13〜212に示されるアミノ酸配列を含むか、あるいは該アミノ酸配列に、1〜5のアミノ酸の保存的アミノ酸置換、1〜5のアミノ酸の欠失または1〜5のアミノ酸の挿入が存在するアミノ酸配列を含む、請求項75に記載の免疫原性組成物。
  79. 前記抗原性分子が、微生物、寄生虫、ウイルス、あるいはヒト新生細胞または動物の新生細胞に由来する、請求項75に記載の免疫原性組成物。
  80. 前記微生物が、バクテリア、リケッチア、マイコプラズマ、真菌または原生動物である、請求項79に記載の免疫原性組成物。
  81. 前記抗原性分子が、ヒト免疫不全ウイルスのgp120、ヘルペス単純ウイルスのエンベロープグリコタンパク質、はしかウイルスのエンベロープグリコタンパク質、SARSウイルスの「スパイク」タンパク質、インフルエンザウイルスのヘマグルチニン、パラインフルエンザウイルスのヘマグルチニン、Streptococcus pyogenesのM6タンパク質、Porphoryomonas gingivalisのフィムブリリン(fimbrillin)、Listeria monocytogenesのInIBタンパク質、Listeria monocytogenesのActAタンパク質、Yersinia enterocoliticaのYadAタンパク質、Shigella flexneriのIcsAタンパク質、Yersinia pseudotuberculosisのインベーシン、Vibrio choleraeの少なくとも1つのacf遺伝子産物、Bacillus anthracisのポリ−D−グルタメートポリペプチドを含むカプセル状物質、Staphylococcus aureusのフィブリノーゲン/フィブリン結合タンパク質、Yersinia pestisのVおよび/またはW抗原、Yersinia enterocoliticaまたはYersinia pseudotuberculosis、Campylobacterjejuniのフラジェリン、Campylobacterjejuniのポリン、ならびにSalmonella typhi、Salmonella choleraesuisまたはSalmonella enteritidisのO抗原からなる群より選択される、請求項75に記載の免疫原性組成物。
  82. 前記ヒト新生細胞または前記動物の新生細胞が、悪性黒色腫細胞、胃腸癌細胞、神経芽腫細胞、骨肉腫細胞、腎癌細胞、乳癌細胞、肺癌細胞、白血病細胞、リンパ腫細胞縁骨髄腫細胞である、請求項79に記載の免疫原性組成物。
  83. 前記ナノスケール粒子が、細胞表面に対して該ナノスケール粒子を標的化する分子をさらに含む、請求項75に記載の免疫原性組成物。
  84. 前記細胞表面が粘膜細胞表面である、請求項83に記載の免疫原性組成物。
  85. 前記粘膜細胞表面が腸の粘膜細胞表面である、請求項84に記載の免疫原性組成物。
  86. 前記細胞表面が上皮細胞表面である、請求項83に記載の免疫原性組成物。
  87. 2つ以上の請求項39に記載のナノスケール粒子を含むアレイ。
  88. 前記ナノスケール粒子が膜骨格タンパク質を含み、該膜タンパク質が1つ以上のシステイン残基を含み、該ナノスケール粒子がジスルフィド結合によって一緒に結合する、請求項87に記載のアレイ。
  89. 前記ナノスケール粒子が固体表面に付着する、請求項87に記載のアレイ。
  90. 前記固体表面が、金属、水晶、ポリスチレン、プラスチック、シリコン、シリカ、二酸化ケイ素もしくは窒化ケイ素、または樹脂である、請求項89に記載のアレイ。
  91. 前記金属表面が金である、請求項90に記載のアレイ。
  92. 前記ナノスケール粒子が、少なくとも1つのリガンドに結合する結合分子をさらに含む、請求項87に記載のアレイ。
  93. 前記結合分子がレセプタータンパク質である、請求項92に記載のアレイ。
  94. 前記レセプタータンパク質がGタンパク質結合型レセプターである、請求項93に記載のアレイ。
  95. 前記Gタンパク質結合型レセプターが、5−ヒドロキシトリプタミンレセプターβアドレナリン作動性レセプター、リゾホスファチジン酸レセプター、ケモカインレセプター、またはドーパミンレセプターである、請求項94に記載のアレイ。
  96. 少なくとも1つの結合したリガンドがGタンパク質である、請求項92に記載のアレイ。
  97. 前記膜骨格タンパク質が、配列番号6、配列番号9、配列番号17、配列番号17のアミノ酸13〜414、配列番号19、配列番号19のアミノ酸13〜422、配列番号23、配列番号23のアミノ酸13〜168、配列番号29、配列番号29のアミノ酸13〜168、配列番号43、配列番号43のアミノ酸13〜201、配列番号44、配列番号44のアミノ酸13〜201、配列番号45、配列番号45のアミノ酸13〜392、配列番号73、配列番号73のアミノ酸13〜234、配列番号74、配列番号74のアミノ酸13〜256、配列番号75、配列番号75のアミノ酸13〜278、配列番号76、配列番号76のアミノ酸24〜223、配列番号77、配列番号78、配列番号78のアミノ酸24〜212、配列番号79、配列番号80、配列番号80のアミノ酸24〜201、配列番号81、配列番号81のアミノ酸13〜168、配列番号82、配列番号82のアミノ酸13〜168、配列番号83、配列番号83のアミノ酸13〜190、配列番号84、配列番号84のアミノ酸13〜201、配列番号85、配列番号85のアミノ酸13〜190、配列番号86、配列番号86のアミノ酸24〜381、配列番号91、配列番号91のアミノ酸24〜201、配列番号92、配列番号92のアミノ酸24〜190、配列番号93、配列番号93のアミノ酸24〜179、配列番号94、配列番号94のアミノ酸24〜289、配列番号95、配列番号94のアミノ酸24〜289、配列番号95、配列番号95のアミノ酸24〜278、配列番号96、配列番号96のアミノ酸24〜423、配列番号97、配列番号97のアミノ酸24〜199、配列番号98、配列番号98のアミノ酸24〜401、配列番号99、配列番号99のアミノ酸24〜392、配列番号111、配列番号111のアミノ酸24〜397、配列番号113、配列番号113のアミノ酸24〜383、配列番号115、配列番号115のアミノ酸24〜379、配列番号117、配列番号117のアミノ酸24〜381、配列番号119、配列番号119のアミノ酸13〜1094、配列番号129、配列番号129のアミノ酸25〜214、配列番号131、配列番号131のアミノ酸25〜212、配列番号133、配列番号133のアミノ酸25〜212、配列番号135、および配列番号135のアミノ酸13〜212に示されるようなアミノ酸配列を有するか、あるいは該アミノ酸配列に、1〜5の保存的アミノ酸置換、1〜5のアミノ酸の欠失または1〜5のアミノ酸の挿入が存在するアミノ酸配列を有する、請求項83に記載のアレイ。
  98. 人工膜骨格タンパク質および少なくとも1つのリン脂質を含むナノスケール粒子であって、該膜骨格タンパク質が、配列番号91、配列番号91のアミノ酸24〜201、配列番号92、配列番号92のアミノ酸24〜190、配列番号93、配列番号93のアミノ酸24〜179、配列番号94、配列番号94のアミノ酸24〜289、配列番号95、配列番号94のアミノ酸24〜289、配列番号95、配列番号95のアミノ酸24〜278、配列番号96、配列番号96のアミノ酸24〜423、配列番号97、配列番号97のアミノ酸24〜199、配列番号98、配列番号98のアミノ酸24〜401、配列番号99、配列番号99のアミノ酸24〜392、配列番号111、配列番号111のアミノ酸24〜397、配列番号113、配列番号113のアミノ酸24〜383、配列番号115、配列番号115のアミノ酸24〜379、配列番号117、配列番号117のアミノ酸24〜381、配列番号119、配列番号119のアミノ酸13〜1094、配列番号129、配列番号129のアミノ酸25〜214、配列番号131、配列番号131のアミノ酸25〜212、配列番号133、配列番号133のアミノ酸25〜212、配列番号135および配列番号135のアミノ酸13〜212からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むか、あるいは該配列が、1〜5のアミノ酸の保存的置換、1〜5のアミノ酸の挿入または1〜5のアミノ酸の欠失によって改変されるアミノ酸配列を含む、ナノスケール粒子。
  99. 前記少なくとも1つのリン脂質が、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、1−パルミトイル−2−オレイル−ホスファチジルコリン、1−パルミトイル−2−オレイル−ホスファチジルセリン、1−パルミトイル−2−オレイル−ホスファチジルエタノールアミン、ジヘキサノイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルイノシトール、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルイノシトール、ジヘキサノイルホスファチジルエタノールアミン、ジヘキサノイルホスファチジルイノシトール、1−パルミトイル−2−オレイル−ホスファチジルエタノールアミンおよび1−パルミトイル−2−オレイル−ホスファチジルイノシトールである、請求項98に記載のナノスケール粒子。
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