本発明によれば、コンピュータ制御式高密度相流体洗浄システムが提供される。この洗浄システムは好適には、洗浄チャンバと分析器とコントローラと温度制御システムとを含む。洗浄チャンバは、高密度相流体を受け入れるための入口と排出流体を排出するための出口とを有する。分析器は、出口に流体的に連結され、排出流体を分析するように構成される。コントローラは、分析器による排出流体の分析に少なくとも部分的に基づいて洗浄チャンバ内での高密度相流体洗浄プロセスを制御するために分析器に電気的に接続される。温度制御システムもまた、コントローラに電気的に接続される。温度制御システムは、チャンバ内の温度を制御する。圧力ポンプは、好適にはコントローラに接続され、また好適には出口と入口との間の高密度相流体回路に沿って配置される。
好適な実施形態では、温度制御システムはチャンバ内のヒータであるか、あるいは冷却システムである。この冷却システムは好適には、チャンバを取り囲む冷却ジャケットと、冷却ジャケットの入口に流体的に連結された冷却剤容器と、冷却ジャケットの入口と冷却ジャケットの出口との間に流体的に連結された熱交換器と、冷却ジャケットの入口と冷却ジャケットの出口との間に流体的に連結されたポンプと、を含む。このポンプは好適には、コントローラに電気的に接続される。
好適な実施形態では、冷却ジャケットの入口と冷却ジャケットの出口との間にポンプが流体的に連結される。このポンプはまた、コントローラに電気的に接続される。好適な実施形態では、セパレータが出口に流体的に連結される。このセパレータは、排出流体から汚染物質を分離するように構成される。流体回路には化学薬品容器も連結され得る。同様に、洗浄チャンバ内には撹拌器が配置され得る。
更に本発明のもう一つの実施形態によれば、高密度相流体を使用して基板を洗浄するための自動化された方法が提供される。高密度相流体洗浄に関するプロセスパラメータが決定される。この後で基板を入れた洗浄チャンバが、これらのプロセスパラメータに基づいて高密度相流体で加圧される。それから基板は、これらのプロセスパラメータに基づいて高密度相流体で洗浄される。排出流体は、洗浄チャンバから排出されて分析される。それからプロセスパラメータは、この分析に基づいて調整されたプロセスパラメータにリセットされる。それから基板が清浄になるまで、これらの調整されたプロセスパラメータに基づいて加圧と洗浄とが繰り返される。
好適な実施形態では、加圧するステップは高密度相流体を洗浄チャンバ内にポンプ注入するステップを含む。また温度と圧力は好適には、洗浄チャンバ内で継続的に測定される。温度と圧力はまた好適には、プロセスパラメータに基づいて制御される。排出流体の分析は好適には、排出流体内の汚染物質、化学薬品、反応副生物(単数または複数)、化学マーカー(単数または複数)、およびこれら上記成分の任意の組合せの濃度を決定する。更に、これらのプロセスパラメータは、温度(単数または複数)、圧力(単数または複数)、各温度における消費時間、各圧力における消費時間、各温度と圧力との組合せにおける消費時間、化学薬品のタイプ、高密度相流体のタイプ、化学薬品の体積、高密度相流体の体積、化学薬品の組合せ、高密度相流体の組合せ、相遷移頻度、圧力サイクル、などを含む。
したがって本発明は、基板から汚染物質をより効率的かつ効果的に除去する。更に本発明は、各基板の変化にリアルタイムで自動的に対応する。
本発明の本質と目的のより良い理解のために、添付図面と関連してなされた説明は以下の詳細な説明に参照されるべきである。
これらの図面の数個の図を通して、同様な参照数字は対応する部分を指している。
図1は、本発明の一実施形態による自動化された高密度相流体洗浄システム100の概略ブロック図である。このシステム100は、基板104を洗浄するために使用される。基板104は、好適には半導体ウェハであるが、洗浄を必要とする他の如何なる構成要素であってもよい。下記の詳細説明では単に1枚の基板が説明されるが、如何なる数の基板でも同時に処理できることは理解されるべきである。例えば基板104は、1バッチの多数の個別基板からなる可能性がある。実際に、1半導体バッチでは25枚から100枚のウェハが同時に処理されることは一般的であり、洗浄システム100は1バッチ全体の基板を収容するように構成される。
この高密度相流体洗浄システム100は好適には、基板104を洗浄するために高密度相流体が使用される洗浄チャンバ102を含む。高密度相流体は、洗浄される基板の物理的または化学的特性を低下させない温度と圧力で超臨界流体に変換され得る、または液化され得る既知のガスの如何なるものも含む。これらのガスは典型的には、(1)炭化水素、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、エチレン、およびプロピレン、(2)ハロゲン化炭化水素、例えばテトラフルオロメタン、クロロジフルオロメタン、六フッ化硫黄およびパーフルオロプロパン、(3)無機物、例えば二酸化炭素、アンモニア、ヘリウム、クリプトン、アルゴン、三酸化硫黄および亜酸化窒素、および(4)これらの混合物を含むが、これらに限定されない。ここで使用される用語「高密度相流体」は、このような高密度相流体の混合物を含むように意図されている。
更に特定の汚染物質を除去するために使用される高密度相流体は、目標とする汚染物質の溶解度化学特性に類似した溶解度化学特性を有するように選択される。例えばもし水素結合が、ある汚染物質の内部凝集エネルギー容量または安定度に大きな寄与をするならば、選択される高密度相流体は、溶媒和が起こるために少なくとも適度の水素結合能力を所有しなくてはならない。ある幾つかのケースでは、所望の溶媒特性を持つように、二つ以上の高密度相流体の混合物が組み合わされる可能性がある。選択された高密度相流体はまた、洗浄される基板に適合しなければならず、また好適には低いコストと高い保健性と高い安全性とを有する。更に高密度相流体は、基板からの有害な汚染物質の除去を助けるための一つ以上の化学薬品、例えば副溶媒または界面活性剤を含むことがあり得る。
二酸化炭素は、低価格で無毒であるので本発明を実施する際の使用ために好適な高密度相流体である。二酸化炭素の臨界温度は、約305°K(32℃)であって、臨界圧力は約72.9気圧(1057psi)である。これらの臨界圧力と臨界温度の更に詳細な説明は、参照によってここに組み入れられている米国特許第5,013,366号に見ることができる。臨界圧力より高い圧力において二酸化炭素の相は、305ケルビン(K)の臨界温度より高く、または低く温度を変化させることによって液相と超臨界流体相との間で遷移(シフト)し得る。更に液体二酸化炭素は、少なくとも約305°K(32℃)において約4.14気圧(60psi)から約34.47気圧(500psi)の間の圧力にあるときに洗浄のために有用である。同様に気体二酸化炭素は、少なくとも約305°K(32℃)において約72気圧(1044psi)から約206気圧(3000psi)の間の圧力にあるときに洗浄のために有用である。温度は上げることができ、これは洗浄効率の助けになり得る。プロセス温度は、基板材料によって制限される。
好適な実施形態では洗浄チャンバ102は好適には、約4.14気圧(60psi)から約206気圧(3000psi)の間の内部圧力で動作するように構成される。更に好適な実施形態では洗浄チャンバ102は、約6.9気圧(100psi)と約138気圧(2000psi)との間の内部圧力で動作するように構成される。最も好適な実施形態では洗浄チャンバ102は、液体に関しては約305°K(32℃)において約4.14気圧(60psi)から約34.47気圧(500psi)の間の内部圧力で、また少なくとも約305°K(32℃)において約73.77気圧(1070psi)から約124.1気圧(1800psi)の間の内部圧力で、動作するように構成される。
これらの高い圧力で動作するために洗浄チャンバ102は、当業者によく知られた特性を持つように設計される。例えば洗浄チャンバ102は、内部圧力を広げるために環状または球形の内部を持つことができ、適当な鋼、例えばSS316などで作ることができる。
システム100は更に、温度制御システムを含む。この温度制御システムは好適には、チャンバ102内の温度を上げるためにチャンバ102内に配置されたヒータアセンブリ106を含む。このヒータアセンブリ106は好適には、コントローラ108に電気的に接続される。好適な実施形態ではヒータアセンブリは、高密度相流体との直接的接触から電気的化学的に隔離されている抵抗性加熱要素である。コントローラ108は好適には、ヒータアセンブリ106に供給される電力を制御することによって好適にヒータアセンブリ106の温度を精密に制御するコンピュータである。コントローラ108は好適には、アナログまたはディジタル入力、例えば洗浄チャンバ内の温度と圧力を、あるいは分析器136からの結果を受信して、温度制御システムと種々のポンプおよび/またはバルブ(弁)にアナログ出力またはディジタル出力を送信する。このコントローラは好適には、中央処理装置(CPU)と、通信回路と、入力/出力ポートと、オペレーティングシステム、データベース、および他の測定値と制御ソフトウエア例えばメニュー方式のアドバンスド・プロセス開発制御(APDC)ソフトウエアを入れているメモリと、を含む。
本システムは更に、チャンバが一定圧力に保持されながら流体を循環させるために撹拌器144を含む。好適な大容積バッチシステムでは撹拌器は高密度相流体を機械的に撹拌するためのプロペラ型撹拌器であるが、好適な単一ウェハ半導体チャンバでは撹拌器は基板を回転させることによって基板表面全体に亘る流体の動きが達成される回転ウェハチャックである。代替として撹拌器は、流体の動きを維持するためにチャンバ圧力と同じ圧力の閉ループを有する再循環ジェットでもよく、あるいはチャンバが一定圧力に保持されながらも基板表面全体に亘る連続的な流体の動きを保証するように設計された入口ジェットでもよい。更に他の実施形態では、上記の如何なる組合せでも十分であろう。
温度制御システムはまた好適には、洗浄チャンバ102内の温度を下げるように構成された冷却システム110を含む。この冷却システム110は好適には、冷却剤を蓄積するための冷却剤容器112と、冷却剤ジャケット116、または洗浄チャンバ102を取り囲むことができるが冷却コイルなどであり得る他の適当な構造体と、冷却剤回路124に冷却剤を循環させるためのポンプ118と、冷却剤から熱を取り除くための熱交換器120と、種々のバルブ(図示せず)と、を含む。ポンプ118は、コントローラ108に電気的に接続される。使用時にコントローラ108は、冷却材容器112から冷却剤ライン114を通して冷却剤ジャケット116内に、また冷却剤ジャケット116を通して冷却剤を導入するようにポンプ118を動作させることによって洗浄チャンバ102内の温度を下げる。冷却剤ジャケット116から排出される、より暖かい冷却剤は、冷却剤容器112に冷却剤を蓄積する前に余分な熱を除去するために熱交換器120を通過させられる。したがってコントローラ108は、ヒータアセンブリ106または冷却剤システム110を動作させることによって洗浄チャンバ102内の温度を正確に上げたり、下げたりすることができる。
システム100はまた、高密度相流体洗浄システムそのものを含む。この高密度相流体洗浄システムは、高密度相流体回路121と、高密度相流体容器122と、圧力ポンプ124と、高密度相流体を洗浄チャンバ102内に導入するための入口ライン126と、洗浄チャンバ102から排出流体を排出するための出口ライン128と、を含む。この高密度相流体洗浄システムはまた好適には、一つ以上の化学薬品容器(単数または複数)132と、この化学薬品容器(単数または複数)内に入れられた化学薬品(単数または複数)を高密度相流体回路121内にポンプ注入するための化学薬品ポンプ134と、を含む。ここで使用される化学薬品という用語は、一つ以上の副溶媒、界面活性剤、添加剤などを含む。圧力ポンプ124と化学薬品ポンプ134は、コントローラ108に電気的に接続される。使用時にコントローラ108は、流体入口126を介して化学薬品を持つ、または持たない高密度相流体を洗浄チャンバ102内に導入するために圧力ポンプ124と化学薬品ポンプ134とを動作させる。洗浄チャンバ102内の圧力を維持するために、排出流体は洗浄チャンバ102から出口128を介して排出される。
システム100はまた好適には、排出流体の組成を決定するための分析器システムを含む。この分析器システムは好適には、排出流体の成分を分離するためのセパレータ130を含む。分析器システムはまた好適には、分離された成分を分析するための分析器136を含む。この分析器は、顕微鏡、重量分析器、分光分析器、クロマトグラフィー分析器などのような視覚的識別装置であり得る。この分析器は、コントローラ108に電気的に接続される。
最後にシステム100はまた好適には、洗浄チャンバ102内に入れられた温度センサー140と圧力センサー142とを含む。これらの温度センサー140と圧力センサー142は両者とも、コントローラ108に電気的に接続される。
高密度相流体を使用し、コントローラ108によって制御される、基板104を洗浄するためのプロセスは、図3を参照しながら説明される。通常の洗浄時間は典型的には、1バッチ処理に関しては約20分から60分であり、単一基板処理に関しては3分未満、好適には1分である。
図2は、図1のシステム100を使用して基板を洗浄するために必要とされるプロセスパラメータを取得するための方法200のフローチャートである。プロセスパラメータは、高密度相流体の導入前の洗浄チャンバの初期の温度および圧力、高密度相流体洗浄を実行するための方法手順などを含む。この方法手順は、洗浄チャンバが洗浄中に反復すべき圧力および温度と、相遷移サイクルの数と、このサイクル内の各ステップに関する温度変化と、各温度および/または圧力における滞留時間と、を含む。この方法手順は、必要とされる汚染物質除去の程度に依存する。
好適な実施形態では本発明のプロセスを実行する際に使用される動作温度および圧力の値は、二つの方法のうちの一つを使用して計算される。第1に、プロセスパラメータは、計算202を介して決定することができ、この場合、公表されているデータから汚染物質の凝集エネルギー値が計算され、あるいは溶解度が得られ、その後、選択された高密度相流体の臨界温度および圧力の両者のデータに基づいて、また既知のガス溶媒方程式を使用して1セットの圧力/温度が計算される。これらの計算は、コントローラ108(図1)によって実行される。第2に、プロセスパラメータは、経験に基づいて決定することができる204。
プロセスパラメータを経験に基づいて決定するためのプロセス204は、ステップ206から始まる。ステップ208で、初期のまたは予備的なセットのプロセスパラメータがコントローラ108(図1)のメモリにロードされる。これらの初期プロセスパラメータは、ステップ202で計算されたものであるか、あるいは本システムのオペレータによって入力されたものでもよい。これらの初期プロセスパラメータにしたがって、ステップ210で高密度相流体回路121(図1)に化学薬品が添加される。それからステップ212で洗浄チャンバは、化学薬品を持つ、または持たない高密度相流体で加圧または充填される。この高密度相流体と化学薬品(単数または複数)は、新しいか、再生利用されるか、あるいは再循環されるか、いずれでもよい。それからステップ214で、洗浄チャンバ内の基板は、プロセスパラメータにしたがって、好適には基板を1サイクル以上の相遷移サイクルに曝すことによって高密度相流体を使用して洗浄される。洗浄中はステップ216で、圧力と温度がセンサー140、142(図1)によって絶えず測定される。次いでステップ218で、除去された汚染物質を含む排出流体が洗浄チャンバから排出される。
それから好適にはセパレータ130(図1)は、高密度相流体を排出流体の残余分から分離する。それからステップ220で分析器136は、排出流体の残余分の内容を分析する。このような分析は好適には、排出流体内に存在する汚染物質または化学薬品の量、品質、タイプ、濃度および/または純度を決定する。この目的のためには、視覚的分析、重量分析、分光分析、またはクロマトグラフィー分析が使用できる。
それから最適量の汚染物質が除去されたかどうかを決定するために、汚染物質除去の程度が種々のプロセスパラメータと相関付けされる。好適な実施形態では汚染物質の最適な量は、すべての汚染物質、あるいは少なくとも検出可能なすべての汚染物質である。それからステップ222で、分析の結果はコントローラのメモリ内に蓄積される。それからステップ224でコントローラは、プロセスパラメータを経験的に決定するためのプロセス204を完了したかどうかを決定する。これは、プロセス204を所定の回数だけ実行すること、所定の量のデータを取得すること、などによって決定できる。もしプロセス204は終了すべきである(224でYes)と決定されれば、このプロセスはステップ226で終了する。代替としてもしプロセス204は終了すべきでない(224でNo)と決定されれば、ステップ228でプロセスパラメータが調整され、そしてこのプロセスは、プロセス204が完了したとコントローラが決定するまで繰り返される。プロセスパラメータの調整は、初期温度および/または圧力を調整するステップ、洗浄圧力および/または温度を調整するステップ、高密度相流体に添加される化学薬品の量またはタイプを調整するステップ、各温度および/または圧力における消費時間を調整するステップなどを含むことができる。このようにして、取得された結果に依存して、選択されたプロセスパラメータは変えることができ、また汚染物質除去の程度へのプロセスパラメータの影響が決定できる。したがって特定の洗浄要件のために最適なプロセスパラメータが決定できる。有用であることが分かっている典型的なプロセスパラメータは、下記のもの:すなわち、約5〜100Kだけ臨界温度より高い温度の変化、約5〜25Kだけ臨界温度より低い温度の変化、約5〜10Kの段階的温度変化、および約1〜60分の各ステップにおける滞留時間を含むが、これらに限定されない。このようなプロセスパラメータが洗浄される基板に基づいて変わり得ることは留意されるべきである。
図3は、図1に関連して上記に説明された自動化された高密度相流体洗浄システム100を使用して基板を洗浄するためのプロセス300のフローチャートである。いったんこのプロセス300がステップ302から始まると、コントローラは、ステップ303で基板を洗浄するための所定の基準を設定する。これらの基準は好適には、除去されることが必要とされる汚染物質の量または体積と、洗浄後に排出流体内に残留すべき化学薬品の量または体積などを含む。これらの基準は好適には、システム100(図1)のオペレータによって設定され、その後このプロセスは完了するまで、更なる人の介入なしで続行される。それからステップ304で、初期プロセスパラメータが決定される。これらのプロセスパラメータは、温度(単数または複数)、圧力(単数または複数)、各温度または圧力における消費時間(単数または複数)、化学薬品(単数または複数)のタイプと量または体積、高密度相流体(単数または複数)のタイプと量または体積、化学薬品(単数または複数)または高密度相流体(単数または複数)の濃度、相遷移頻度、圧力サイクル、などを含む。このような初期プロセスパラメータは好適には、図2に関連して上記に説明されたセットアッププロセス200を使用して決定される。
それから洗浄すべき基板104(図1)が洗浄チャンバ102(図1)内に配置され、図1に関連して上記に説明されたように温度制御システムを使用して、ステップ308で洗浄チャンバ102(図1)内の初期温度が設定される。それからステップ310で洗浄チャンバは好適には、パージされる。洗浄チャンバをパージすることは、所望の高密度相流体(単数または複数)および/または化学薬品(単数または複数)だけが洗浄チャンバ内に導入されることを保証する。洗浄チャンバをパージすることはまた、前の洗浄セッションからの汚染物質を減らす。もしプロセスパラメータによって必要とされるのであれば、ステップ312で一つ以上の化学薬品が高密度相流体に添加される。化学薬品(単数または複数)の量とタイプはプロセスパラメータによって決定される。これらの化学薬品は、新しいものか、再生利用されたものか、再循環されたものか、いずれでもよい。
それからステップ314で洗浄チャンバ102(図1)は、圧力ポンプ124(図1)によって入口ライン126(図1)を介して、化学薬品を持つ、あるいは持たない高密度相流体で充填または加圧される。洗浄チャンバ102(図1)は、特定の高密度相流体に関する臨界圧力以上の圧力に加圧される。この臨界圧力は一般に、約20気圧(1平方インチ当たり300ポンド、あるいは1平方センチメートル当たり20.6キログラム)と102気圧(1平方インチ当たり1500ポンド、あるいは1平方センチメートル当たり105.4キログラム)との間にある。処理圧力は好適には、必要とされる溶媒スペクトルの幅と、関連する相遷移範囲とに依存して、1気圧と臨界圧力より高い272気圧(1平方インチ当たり15ポンドと4000ポンド、あるいは1平方センチメートル当たり1.03キログラムと281.04キログラム)との間にある。この高密度相流体は、新しいものか、再生利用されたものか、再循環されたものか、いずれでもよい。
それからステップ316で、好適にはプロセスパラメータにしたがって1サイクル以上の相遷移サイクルに基板を曝すことによって洗浄が行われる。典型的にはこれは、超臨界液体と超臨界気体との間で高密度相流体を循環させるように温度を上げ、また下げるステップを含む。言い換えれば洗浄チャンバ102(図1)内の温度は、高密度相流体に関する臨界温度より低い温度(未臨界)または臨界温度以上の温度(超臨界)に調整される。次に洗浄チャンバ102(図1)は、この流体に関する臨界圧力以上の圧力に加圧される。それから高密度流体の相は、除去すべき汚染物質のタイプと量によって決定されるように、臨界点より高いところから低いところまでの所定の範囲に亘って温度を変化させることによって、前述のように液体状態と超臨界状態との間を遷移(シフト)する。高密度流体として二酸化炭素が使用されるときには、洗浄チャンバの温度は305Kより高い温度と低い温度の間で循環させられる。温度と圧力とガス流量の制御は、既知の方法を使用し、圧力および温度センサー140、142(図1)によって取得された測定値に基づいて、コントローラ108(図)の制御下で遂行される。この洗浄はまた、超音波式または機械式撹拌などを使用するノズルによって高密度相流体を方向付けするステップを含むこともあり得る。
いったん洗浄チャンバ102(図1)内の圧力が臨界圧力より高い所望の点に達すると、洗浄チャンバ内を一定の圧力に維持しながら洗浄チャンバを通る排出流体の連続的な流れを与えるために、圧力ポンプ124(図1)が継続的に動作し、出口128(図1)が開かれる。代替として出口128(図1)は、バッチ処理に備えるために、汚染物質を除去するように一定の圧力降下における十分な長さの時間の後に開放されてもよい。例えば20分の洗浄期間に亘る272気圧(4,000psi)から102気圧(1500psi)への圧力降下が達成される。
この洗浄は、バッチ型洗浄でも連続洗浄でもよい。ここで「バッチ」は、化学的バッチを指しており、同時に処理される基板の数を指すものではない。バッチ型洗浄に関して洗浄チャンバ102(図1)は、所望のレベルに加圧され、高密度相流体の温度は、高密度相流体の臨界温度より高いか低いかどちらかである、相遷移順序に関する開始点に調整される。洗浄チャンバ102(図1)は、元の圧力開始点から臨界圧力より低い圧力に、繰り返し加圧され、減圧される。汚染物質のタイプと実行される加圧/減圧ステップとに依存して洗浄チャンバ102(図1)の温度は、順次に上/下に調整される。
連続洗浄プロセスに関して高密度流体は、洗浄チャンバ102(図1)内の圧力を臨界圧力に、あるいはそれより高く維持するために、汚染された流体が出口128(図1)を介して除去されると同じ流量で圧力ポンプ124(図1)によって洗浄チャンバ102(図1)内に導入される。このタイプのプロセスは、洗浄チャンバ102(図1)内の高密度流体の相が温度サイクルを通じて未臨界状態と超臨界状態との間で前後に遷移(シフト)しながら、汚染された排出流体の連続的な除去を行っている。
洗浄プロセス全体を通して洗浄チャンバ内の圧力と温度は、ステップ318でセンサー140、142(図1)によって測定される。これらの圧力と温度の測定値は、プロセスパラメータにしたがって洗浄チャンバ内の圧力と温度を絶えず調整するためにこれらの測定値を使用するコントローラ108(図1)に送信される。
それから汚染物質または排出流体を含む、結果として得られた高密度流体は、ステップ320で洗浄チャンバ102(図1)の出口128(図1)から排出される。それからセパレータ130(図1)は好適には、飛沫同伴された汚染物質(化学薬品(単数または複数)を含む)を排出流体から除去し、それによって高密度相流体の再生利用(リサイクル)を可能にする。高密度相流体は再利用のために流体容器122(図1)に再循環させられるが、飛沫同伴された汚染物質は汚染物質除去レベルを決定するためにステップ322で分析器136(図1)によって分析される。このような分析は好適には、排出流体内に存在する汚染物質およびまたは化学薬品の量、品質、タイプ、濃度および/または純度を決定する。
このような分析322は、視覚的分析332または他の適当な分析334によって行われ得る。このような分析は、排出流体内に存在する汚染物質の量とタイプ、排出流体内に残留する化学薬品の量などを決定する。この目的のために、重量分析、分光分析、またはクロマトグラフィー分析が使用できる。排出流体内に存在する汚染物質の量が排出流体内に存在する化学薬品の量に反比例する、すなわち汚染物質が増加するにつれて化学薬品が減少し、その逆も真であることは留意されるべきである。
それからこの分析の結果は、コントローラに送られ、ステップ324でこれらの結果は所定の基準と比較される。好適な実施形態では、所定の基準は基板からすべての汚染物質を除去することであり、あるいは少なくとも検出可能なすべての汚染物質を除去することである。それからステップ326でコントローラは、この比較324から基板の洗浄が所定の基準を満足させるかどうかを決定する。もし洗浄が所定の基準を満足させる(326でYes)ならば、このプロセスはステップ330で終了する。しかしながらもし洗浄が所定の基準を満足させない(326でNo)ならば、ステップ328でプロセスパラメータが調整され、ステップ310で洗浄チャンバはパージされ、ステップ326で所定の基準が満たされる時までこのプロセスのステップ310〜330が繰り返される。洗浄チャンバ12は、各温度変化で必要とされるだけの回数、高密度相流体で再加圧され、減圧される可能性がある。有用であることが分かっている典型的なプロセスパラメータは、下記のもの:すなわち、約5〜100Kだけ臨界温度より高い温度の変化、約5〜25Kだけ臨界温度より低い温度の変化、約5〜10Kの段階的温度変化、および約1〜60分の各ステップにおける滞留時間を含むが、これらに限定されない。このようなプロセスパラメータが洗浄される基板に基づいて変わり得ることは留意されるべきである。基準が満たされたかどうかを決定し、プロセスパラメータを調整するこのフィードバックループは好適にはリアルタイムで、自動化された仕方で、すなわちこれ以上の如何なる人手の介入もなしで実行される。しかしながら好適な実施形態では、自動化された洗浄サイクルをオペレータが打ち消すことを可能にするオーバーライド(打消し機能)が存在する可能性がある。
本発明の幾つかの特定の実施形態の前述の説明は、例示と説明の目的のために提示されたものである。これらは、網羅的であることも、本発明を開示された正確な形式に限定することも意図していない。例えばここに説明された如何なる方法も、単に本発明を実施する一つの方法を例示することを意図した例に過ぎない。上記の教えを考慮すれば多くの修正と変形が可能であることは明らかである。これらの実施形態は、本発明の原理と本発明の実際の応用とを最もよく説明するために、またそれによって、考えられる特定の用途に適するように、当業者が本発明と種々の修正による種々の実施形態とを最もよく利用することを可能にするために、選択され説明されたものである。更に本方法におけるステップの順序は、必ずしも配列された順序に行われることを意図していない。本発明の範囲は前記の請求項とそれらの同等事項とによって定義されることが意図されている。