JP2007519669A - 脂肪異栄養症を治療するための方法及び組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、脂肪異栄養症の治療方法及び治療組成物に関する。本方法はHIV及び非HIV患者における脂肪異栄養症の治療を意図する。より詳細には、本方法は脂肪異栄養症の治療を有効にするための成長ホルモン及びスタチンを採用する組合せ治療に関する。

Description

本発明は、概して脂肪異栄養症を治療するための方法及び組成物に関する。より詳細には、本発明は、脂肪異栄養症を治療するために、成長ホルモン及び1つ以上のスタチン系薬物を含む組成物を使用する組合せ治療に関する。
脂肪異栄養症とは、脂肪細胞の欠乏及び/または破壊によって引き起こされる徴候である。この疾患は脂肪の選択的損失によって特徴付けられ、且つしばしば糖尿病をもたらす高グリセリド血症、肝臓脂肪症、及び重篤なインスリン耐性に付随する(Rossini等., Metabolism., 26: 637-650,1977;Reitman等., Trends Endocrinol. Metab., 11:410-416,2000 ; Arioglu等., Ann. Intern. Med. 133: 263-274,2000)。
先天的全身性脂肪異栄養症は、脂肪組織の欠乏により特徴付けられ、且つインスリンに対する重篤な耐性に付随して起こる常染色体劣性疾患であり、高インスリン血症、高血糖症、及び肥大した脂肪肝を導く(Seip等., Acta Paediatr. Suppl. 413:2-28,1996)。この先天的疾患に加えて、後天的にも脂肪異栄養症になり得る。もっとも顕著なのは、高活性抗レトロウィルス治療(HAART)の劇的な臨床的利益はHIV-脂肪異栄養症候群の発達により妨げられることが認められた。HIVに付随する異形症/代謝異常症候群(HADDS)を含む多様な意味を有するこの徴候は、本明細書において以後、当該用語が言及される。HIV-関連脂肪再分布症候群(HARS)は、HADDSの一部として見なされ、内臓の脂肪組織肥大(lipohypertrophy)によって主に特徴づけられる。
HADDSは、異常な脂肪堆積、萎縮、例えば高脂血症、早期のアテローム性動脈硬化症、及び糖尿病等の代謝性合併症により特徴づけられ(Carr A等., J Acquir Defic Syndr., 33: 571-576,2003)、更に除脂肪体重の減少を伴い得る。この徴候は現在、HIV感染の治療をした、特にプロテアーゼインヒビター等のHIV治療剤で治療をした、及びスタブジン等のヌクレオシド逆転写酵素インヒビターを使用した、60%を超える患者が一般に直面している。Kravcikにより示されたように(HIV Clin. Trials, 1 (3):37-50,2000)、今日までHIV-脂肪異栄養症候群の発症は、大きな解明がなされないままであり、そして脂肪変化に関する大部分の治療は不成功のままであった。
従って、HAARTは後天性免疫不全症候群(AIDS)を有する個体群の生存を効果的に延長させる間に、慢性、高罹患率の後天的HIV-関連脂肪異栄養症候群へ当該疾患を変換し、後天的な脂肪異栄養症の形成の症例を憂慮すべきほどに増加させた(Carr等., AIDS. 12:F51-F58, 1998;Carr等., N Engl J Med. 339: 1296,1998,Carr等., Lancet, 353: 2093-2099,1999, Miller等., Lancet, 351: 871-875,1998 ; Vigouroux等., Diabete Metab. 25: 225-232,1999)。この疾患において見られる脂質代謝での異常性は、更にHIV患者における加速したアテローム性動脈硬化症の増加した症例を導き得る(Barbaro等., Clin. Therap. 25 (9):2405-18, 2003;Sklar等., N Engl J Med., 349 (21):2065-7, 2003;Friis-Moller等., N Engl J Med., 349 (21):1993-2003, 2003)。従って、HIV-関連脂肪異栄養症は多因子的症候群であり、そして現にこの疾患のための治療は広範囲に渡り存在しない。
アテローム発生の異常脂質血症(AD)は、脂肪異栄養症候群の主要な欠陥であり、そして独立した冠状動脈性心疾患の危険因子としても認められている。それは更に、制限されずに高グリセリド血症(HTG)、インスリン耐性(IR)、耐糖能異常(IGT)及び2型糖尿病(DM-2)を含む脂肪異栄養症候群中に含まれる任意の症状の発病を伴い、且つ当該任意の症状の発病に寄与する。HIV-関連脂肪異栄養症に付随する代謝異常の進行におけるADの主要な役割のために、ADの効果的な治療は最大限に重要である。HIV-非感染個体群に関するデータは、脂肪異栄養症が高レベルの総コレステロール、低密度-リポタンパク質(LDL)コレステロール、及びトリグリセリド、及び低レベルの高密度-リポタンパク質(HDL)コレステロールを更に含み得ることを示唆する。これらの確立されたリスクのために、National Cholesterol Education Program (NCEP)は、危険な状態にある(非-HIV-感染)患者のためのAD治療ガイドラインを発表した。
非-HIV患者における肥満症は、成長ホルモンの濃度が過剰体重及び体脂肪を逆に変化させることを示す場合、減少した成長ホルモン分泌に付随するものとして認識される(Veldhuis等., J Clin Endocrinol Metab. 80: 3209-3222,1995;Veldhuis等., J Clin Endocrinol Metab.72:51-59,1991;Ghigo等., 代謝. 41:560-563,1992)。上記で検討した通り、HIV-脂肪異栄養症における脂肪堆積は再分布され、そして脂肪異栄養症個体群は、過剰体重の傾向にないから、HIV-脂肪異栄養症は、正常の肥満症とは異なる。近年、HIV脂肪異栄養症を有し、且つ内臓脂肪の蓄積が増加した個体は、減少した成長ホルモン分泌も有することが実証された(Rietschel等.,JCEM 86: 504-510,2001)。
従って、プロテアーゼインヒビター及びヌクレオシド逆転写酵素インヒビターによるHAARTの導入は、AIDS患者の予測寿命を大きく改善させた。不運にも、この伸びた予測寿命と共に、これらの患者での異常脂質分布疾患を導く二次性合併症が大きく発達する。HAARTの有効性については疑いの余地はないので、AIDS患者の寿命を延ばすために引き続き使用されるだろう。
従って、これはAIDS患者の長期維持治療のためにHAARTの副作用を管理すべく追加治療を提供する必要性を導く。特にこれらのHAARTの副作用の中で改善が要求されるものは、脂肪異栄養症及び他のHADDS-関連代謝機能不全である。脂肪異栄養症は非-HIV患者においても見られる。従って、HIV-関連及び非-HIV関連脂肪異栄養症の治療的介入のために新規且つ効果的な方法を同定する必要性が存在する。
発明の概要
本発明は、脂肪異栄養症の治療のための方法及び組成物に関する。特定の態様では、本発明は異常脂質分布疾患で苦しんでいるヒトを治療するための方法を提供し、当該方法は、成長ホルモン及びスタチンを基礎とする治療剤を対象に投与することを含んで成る。好適には、当該スタチンを基礎とする薬剤及び成長ホルモンは、単一の医薬組成物において提供される。他の態様は、第一の医薬組成物中にスタチンを基礎とする薬剤を提供し、そして第二の医薬組成物中に成長ホルモンを提供することを意図する。好適には、当該成長ホルモンは組換え成長ホルモンである。しかしながら、当該成長ホルモンは動物から単離されたものであってもよい。スタチンを基礎とする薬物は、当業者に公知の任意のスタチンを基礎とする薬剤、またはスタチンの任意のアナログであってもよい。好適には、当該スタチンを基礎とする薬剤はロバスタチンまたはロバスタチンアナログである。例示的な態様では、当該スタチンを基礎とする薬物は、アトルバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、及びフルバスタチンから成る群から選定される。
特定の態様では、異常脂質分布疾患は、非-HIV-関連脂肪異栄養症である。特に好適な態様では、本発明の方法は、HIV-関連異常脂質分布疾患を治療するために使用され得る。より詳細には当該HIV-関連異常脂質分布疾患は、アテローム発生の異常脂質血症、高グリセリド血症、上昇したレベルのコレステロール、上昇したレベルの低密度リポタンパク質コレステロール、及び低レベルの高密度リポタンパク質コレステロールから選定される。他の態様では、当該方法は、脂肪過多症(adiposity)に関連した糖尿病に付随する徴候を明示する対象の治療において使用される。より詳細には、脂肪過多症に関連する糖尿病の徴候は、インスリン耐性、β-細胞機能不全、第一相インスリン分泌の損失、耐糖能異常(IGT)、上昇した内因性グルコース産生、過度のグルコース新生から成る群から選定される。特定の態様では、本発明の方法は2型糖尿病で苦しんでいる対象の治療において使用される。本発明の方法は、糖尿病の治療のために伝統的に使用される治療によって、個体の治療に有利に関与し得る。例えば、当該方法はインスリン分泌促進剤を投与することを含んで成る。抗-糖尿病剤として使用される分泌促進剤は当業者に周知であり、そして、制限されずにスルホニル尿素;トルブタミド; クロルプロパミド;グリメピリド;グリピザイド;グリブリド;メグリチニド;レパグリニド;プラムリンタイド;モルフィリノグアニド(morphilinoguanide);アセチルコリン;ムスカリンアゴニスト;カルバコール;ベタネコール;β-L-グルコースペンタアセテート;chiro-イノシトール;myo-イノシトール;GIP;GLP-1;及びExtendin-4を含む。誘導体、アナログ及び他の分子は、それらの分子に基づく理論的な薬物デザインによって作製され、分泌促進剤として使用され得る。
特定の態様では、インスリン分泌促進剤は非-グルコース依存性インスリン分泌促進剤であり、そして成長ホルモン、スタチン及びインスリン分泌促進剤を投与する組合せた効果は、グルコール依存性に達することができるインスリン放出パターン、低血糖症の発生を減少させるようなニ相性放出特性を生み出す。
特定の例では、本発明の方法は、更にレプチンにより対象を治療することを含み得る。
本発明の他の観点は、異常脂質分布疾患のための組合せ治療において治療するための治療剤を提供し、当該組成物は、医薬的に許容され得る担体、賦形剤、または希釈剤中に組換え成長ホルモンを含む第一組成物;及び医薬的に許容され得る担体、賦形剤、または希釈剤中にスタチンを基礎とする薬物を含む第二組成物を含んで成る。成長ホルモン及びスタチンを基礎とする薬物は単一製剤中で製剤化され得るということが予期される。しかしながら好適には、当該成長ホルモンは、スタチンを基礎とする薬物製剤から独立した製剤に製剤化される。特定の態様では、成長ホルモン製剤及びスタチンを基礎とする薬物製剤は、注射剤として製剤化され得る。しかしながら好適な態様では、スタチンを基礎とする薬物製剤は、経口投与のために製剤化される。特定の態様では、当該治療剤は、多様な治療成分を投与するために適切な手段を含むキットに製剤化され得る。当該キットは詳細には、スタチンを基礎とする薬物として、ロバスタチンまたはそれらのアナログを含み得る。特定の態様では、当該スタチンを基礎とする薬物の治療組成物は、アトルバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、及びフルバスタチンから成る群から選定され得る。本発明の組成物及び方法は、単一のスタチン剤を使用してよく、または2つ以上のかかる薬剤を使用してよい。
本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、本発明の精神及び範囲の中での多様な改変及び修飾は、詳細な説明から当業者にとって明白になるであろうから、説明のみの方法によって提供される詳細な説明及び特定の実施例は本発明の好適な態様を示していると理解されるだろう。
好適な態様の説明
個体中で不良な予後を導く後天性脂肪異栄養症(または脂肪組織肥大)は、HIV感染と闘うためにHAARTを受けているAIDS患者において重大な問題である。脂肪異栄養症の他の形態、例えば、肥満に関連した脂肪異栄養症は、付随する糖尿病に関連した合併症を有し、更に現在の医学界に重要な変化を提供する。HIV及び非-HIV患者における全てのこれらの脂肪異栄養症及び脂質分布疾患は、"異常脂質分布疾患"として、一般的に言及され得る。本発明は肥満症治療のための新規の方法を提供する。これらの治療方法は、成長ホルモンとスタチンを基礎とする薬物、高脂血症の薬剤、例えばLipitor(商標)(アトルバスタチン)、Pravachol(商標)(プラバスタチン)、Zocor(商標)(シンバスタチン)、Mevacor(商標)(ロバスタチン)、及びLescol(商標)(フルバスタチン)の新規な組合せに基づく。それらの両薬物分類(即ち、成長ホルモン及びスタチン系)は当業者に周知であるので、現在認可されているこれらの薬剤を組合せて、脂肪異栄養症候群の治療的に有益な改良を成し得る。この新規な発見は本発明において有効に利用され、かかる治療効果を達成するための新規方法及び組成物の組合せを教示する。当該疾患、方法及び組成物は、本明細書において後に詳述する。
A. 本発明によって治療される疾患
上記で検討したように、HIV患者の大多数はHADDSに悩みHAARTを受け、特異的な局所貯蔵物(regional depots)中での病理学的な脂肪組織の蓄積に関与する。HADDSの病的な脂肪組織蓄積は、代謝系の異常、早期のアテローム性動脈硬化症、除脂肪体重の減少、及び/または他の異常な生理機能の有無を問わず、他のどこかで(脂肪異栄養症または脂肪組織萎縮症)異常な脂肪組織減少に関与する。本発明の方法は、成長ホルモンとスタチン系薬物の組合せを投与することを含んで成り、HADDSの治療をもたらす。この治療は、HADDSに関与する任意の徴候の減少、改善、または是正によって証拠立てられる。
従って、一定の態様では、本発明の方法は、この徴候を有す患者の腹部、特に内臓脂肪組織区画における脂肪組織の異常蓄積を減少させることが意図される(Miller等, Lancet 21,351 (9106):871-875,1998;Kotler等., J Acquired Immun Defic Syndr 20:228-237,1999;Kotler等., HIV/AIDS 1999 Annual Update, 85-92, hiv.medscape. com, 1999;Engelson等., Antiviral Therapy 4:(Sup 2):11 [Abstract 006],1999;Englemson等., Am J Clin Nutr 69 (6):1162-1169,1999)。HADDS患者は、dorsocervical領域("野牛肩(buffalo hump)")、顎下腺領域("馬の首輪(horse collar)")、胸部、乳房、及び/または鎖骨上領域における異常な脂肪組織蓄積、並びに/或いは皮下脂肪腫(単一または複数の被包性良性脂肪種)も呈し得る。少なくとも1種の成長ホルモン組成物と1種のスタチンを基礎とする治療剤(例えば、Lipitor(商標)、Pravachol(商標)、Zocor(商標)、Mevacor(商標)、及びLescol(商標)、または他のロバスタチンのアナログ)を含んで成る本発明の組合せ治療が、腹部(内臓性)脂肪堆積、dorsocervical領域、顎下腺領域、胸部、乳房、鎖骨上領域、及び/または皮下脂肪種中における堆積から成る群から選定される1以上の領域での脂肪堆積の大きさまたは量を減少させるため、異常脂肪組織を減少、または除去するであろうと考えられる。
上記異常脂肪過多症を改善することに加えて、本発明の方法は、更にHADDS患者の脂肪組織萎縮症を減少させることに関する。HADDS患者は、他の特定部位で減少した皮下脂肪組織、いわゆる"末梢性脂肪異栄養症"(または脂肪組織萎縮症)が異常に発達することが公知である。この脂肪減少は、典型的に表面において(頬、耳下腺、及び耳周辺の脂肪体)、及び肢、胴、及び/または臀部領域を取り囲んでいる皮下脂肪組織において観察される。従って、本発明は、特にHADDSに付随する皮下脂質減少を成長ホルモンと少なくとも1つのスタチン剤を組合せた治療を施すことによって減少させる方法を意図する。
一部のHADDS患者は、更に異常な脂質及び/またはグルコース代謝に付随する代謝異常症も呈する(Carr等., AIDS 12:F51-58,1998 ;Carr等., Lancet 131:1881-1883, 1998;Carr等., Lancet 353(9170):2093-2099,1999;Carr等., Antiviral Therapy 4 (Sup 2):19[Abstract 11], 1999;Lipodystrophy Rapid Report,1999)。臨床的徴候は、顕性糖尿病の有無を問わず、空腹時高グリセリド血症、高脂血症、及びインスリン/グルコース軸の異常症(上昇した空腹時インスリン、上昇したC-ペプチド、インスリン耐性または減少したインスリン感受性)を含み得る(Carr等., AIDS 12:F51-58,1998;Carr等., Lancet 131:1881-1883, 1998;Carr等., Lancet 353 (9170):2093-2099,1999;Carr等., Antiviral Therapy 4 (Sup 2):19 [Abstract 11], 1999;Henry等., Lancet 351:1328,1998;Henry等., Lancet 352:1031-1032,1998;Grunfeld, Antiviral Therapy 4 (Sup 2):7 [Abstract 004],1999)。本発明の方法は、1以上のこれらの代謝機能不全の治療において有用である。
本発明により治療されることが明確に意図される他の疾患は、HADDS関連冠状動脈性心疾患(CHD)を含む。HADDSを有する患者が、冠状動脈性心疾患(CHD)の増加したリスクの前臨床エビデンスを示すことを示唆する予備的報告がある。CHDの前臨床指標は、電子ビーム・コンピュータ断層撮影(EBCT)により定量されるような増加した冠動脈石灰化(CAC)を含む。そして例えば、頸動脈における上昇した中膜肥厚度(IMT)、及び上腕動脈における正常に機能しない血流を介した拡張等の、超音波検査により定量化されるような過剰な冠状動脈の指標は、内皮性機能不全を示し、アテローム性動脈硬化症及びCHDの原因と成り得る。HIVプロテアーゼ阻害剤(PI)治療の開始後、異常に蓄積した内臓脂肪組織により増加した異常な胴回りに発達したHADDSを有す8人の患者において、EBCTが施され(Kosmiski等., Antiviral Therapy 4 (Sup 2):49 [Abstract 056],(1999))、最小限の識別可能なプラーク負荷(plaque burden)と一致する平均CACスコアが報告された。内皮性機能不全を示す異常な頸動脈IMT(Maggi等., Antiviral Therapy 4 (Sup 2):39 [Abstract 038], 1999)及び正常に機能しない上腕循環を介した拡張(Stein, Conference News Reports, AIDS Weekly via News Rx.com (November 22,1999)を呈する、PIsを受けているHIV患者を示す予備的報告も存在する。本発明の治療方法は、1以上の上記検討したHADDS関連CHDの徴候を治療するために使用され得る。
HADDSを有する一部の患者は、更に除脂肪体重の減少による無意識の体重損失(AIDS消耗または悪液質)、及び場合によっては明白な体重損失がない除脂肪体重の減少(超自然的消耗)も示す。本発明の方法は、かかる個体において有用な体重獲得を生み出し得る。本発明の方法を用いてHADDSまたは脂肪異栄養症候群を有す患者において治療され得る他の異常な生理機能は、痛風及び膵炎(恐らく重篤な高グリセリド血症に起因する)、肝臓脂肪症(おそらく慢性乳酸アシドーシスを反映している)、性腺機能低下症、及び場合によっては他のホルモン異常症を含む(Henry等., Lancet 351:1328,1998;Henry等., Lancet 352:1031-1032,1998;Brinkman, Antiviral Therapy 4:(Sup 2):15[Abstract 009], 1999;Lipodystrophy Rapid Report,1999)。
HADDS及び脂肪異栄養症候群は、他の異常症、例えば皮膚異常(薄くなっている頭髪、抜け毛、頭髪脆弱、乾燥皮膚、異常な爪、足の巻き爪等)、血友病患者における増加した出血をもたらす凝固症候群の疾患、臀部の骨粗鬆症または虚血壊死、末梢性ニューロパシー、吐き気、疲労、体重減少、慢性下痢、発熱、月経痛及び月経異常症、正常に機能しない性機能不全(性欲減退、勃起不全)、並びにペイロニー病に似た生殖器異常症に付随しても、付随しなくてもよい(Carr等.,AIDS 12 : F51-58,1998 ; Carr等., Lancet 131: 1881-1883,1998 ; Carr等., Lancet 353 (9170): 2093-2099,1999 ; Carr等., Antiviral Therapy 4 (Sup 2): 19 [Abstract 11], 1999;Lipodystrophy Rapid Report, 1999)。本発明の組合せ治療計画は、これらのHADDS関連病変の一部または全ての改善における有用性を証明し得る。
HIV患者において現れる脂肪異栄養症に加えて、本発明の方法は、非-HIV対象における肥満関連の脂肪異栄養症を治療するためにも使用され得る。
B. 本発明の方法において使用するための組成物
本発明の方法は、脂肪異栄養症の治療をもたらすために、成長ホルモン及びスタチンに関連した薬物の組合せを採用する。本明細書の上記に例示した任意の1以上の脂肪異栄養症候群は当該組合せ治療を使用することによって改善され得ることが意図される。他の疾患の治療において以前から使用されている成長ホルモン及びスタチンに関連した両薬剤のように、当業者は既存の組成物及び使用計画を本発明に容易に適応させることができるだろう。単に例示方法による以下のセクションでは、本発明において使用され得る例示的な成長ホルモンとスタチン関連組成物を発表する。
a. 成長ホルモン
本発明の治療方法において使用される1つの活性薬剤は成長ホルモンである。好適には、使用される成長ホルモンはヒト成長ホルモンである。ソマトトロピンとして公知でもあるヒト成長ホルモンは、下垂体前葉のソマトトロピン細胞によって産生及び分泌されるタンパク質ホルモンである。分泌は、放出因子、即ち、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、及び抑制因子、ソマトスタチンによって調節される。ヒト成長ホルモンは、タンパク質、糖質及び脂質代謝へのその影響を通して、肉体の成長の中で主要な役割を果たす。
ヒト成長ホルモンは、191個のアミノ酸の一本鎖ポリペプチドであり(Bewley等.,Int J Pept Protein Res 4 (4):281-287,1972)、2つのジスルフィド結合を有し、一方はCys-53とCys-165との間で分子中に大きなループを形成し、そして他方はCys-182とCys-189との間でC-末端付近で小さなループを形成している。アミノ酸配列が確認されたDNA配列は、Martial等.,Science 10;205 (4406):602-607,1979によって報告された。精製されたhGHは、その凍結乾燥形態において白色のアモルファスパウダーである。それは希釈水性緩衝剤中(濃度>10mg/L)において、7.2超のpHで容易に溶解し得る。
溶液中において、hGHは主に小さなフラクションを有する単量体として、ニ量体及び高分子量のオリゴマーとして存在する。ある特定の条件下では、hGHは大量のニ量体、三量体及びより多きいオリゴマーを形成するために誘導され得る。天然の誘導体、変異体及び代謝産物、生合成のhGHの最初の分解産物及び遺伝的方法によって産生したhGHの遺伝子操作した誘導体を含むhGHのいくつかの誘導体は公知である。hGHの天然の誘導体の1つの例は、GH-V、胎盤中で見出された成長ホルモンの変異体である。遺伝子座の他のメンバーは、Chen等., Genomics 4 (4):479-497,1989に発表されている。
体内での長期持続を意図した誘導体を含むhGHの任意の誘導体は、hGHの生物活性を保持する限り、本発明の目的のために使用され得る。更にGH誘導体の混合群を使用しても良いことが意図される。
組換えDNA技術によって産生されたhGHの最初の形態であったメチオニルhGHは、本発明において有用であるだろう。当該化合物は、そのN-末端で1つの追加のメチオニン残基を有しているhGHの誘導体である(Goeddel等., Nature 281 (5732):544-548,1979)。有用であるだろう他のGHは、20-k-hGHと呼ばれる天然のhGH変異体である。当該hGHの変異体は、下垂体及び血流中で発生することが報告されている(Lewis等.,J Biol Chem 25;253 (8):2679-2687,1978 ; Lewis等., Biochem Biophys Res Comm29;92 (2):511-516,1980)。Glu-32からGln-46に15個のアミノ酸残基を欠く当該化合物は、メッセンジャーリボ核酸の選択的スプライシングにより生じる(DeNoto等., Nucleic Acids Res 9 (15):3719-3730, 1981)。当該化合物は、hGHの生物学的特質の全てではないが、多くを共通にする。当該誘導体は、本発明の方法及び組合せ治療組成物において使用され得る。
20-k-hGHは下垂体で作られ、そして血中に分泌される。それは大人で約5%の成長ホルモン産出、及び子供で約20%の成長ホルモン産出を作り出す。それは22kDの成長ホルモンと同等の成長促進活性を有し、そして22kD形態としての脂肪分解活性の量と同等、または同等より大きい量を有することが報告されている。それは22kDの成長ホルモンと同等の親和性で成長ホルモン受容体と結合し、そして22kDのホルモンの10分の1の乳腺刺激性(プロラクチン-様)生物活性を有す。22kDとは異なり20-k-hGHは、弱抗-インスリン活性を有す。
hGHの多くの誘導体は、当該分子のタンパク質分解修飾から生じる。hGHの主代謝経路は、タンパク質分解を含む。hGH付近の残基130-150の領域は、タンパク質分解に極めて影響されやすく、そして当該領域中にニックまたは欠失を有するhGHのいくつかの誘導体が発表されている(Thorlacius-Ussing, Neuroendocrinology, 45 (3):233-242, (1987))。当該領域はhGHの大ループ中にあり、そして当該領域中のペプチド結合の開裂は、2本鎖の生成をもたらし、Cys-53とCys-165間でジスルフィド結合を通して連結される。多くのこれらの2本鎖形態は、増加した生物活性を有することが報告された(Singh等., Endocrinology 94 (3):883-891,1974)。ヒト成長ホルモンの多くの誘導体は、酵素の使用によって人工的に作製された。当該酵素トリプシン及びスブチリシン、並びにその他は、当該分子中の多様な部位でhGHを修飾するために使用されている(Lewis等., Endocrinology 101 (5):1587-1603,1977, Graff等., J Biol Chem 257:2365,1982)。2本鎖同化タンパク質(two-chain anabolic protein:2-CAP)と呼ばれる1つのかかる誘導体は、トリプシンを用いたhGHの制御されたタンパク質分解によって形成された(Becker等, Abstract No.342, 71st Annual Meeting, The Endocrine Society, Seattle, WA, June 1989)。2-CAPは、原型を保つhGH分子の特質から非常に明確に区別される生物学的特質を有することが見出された。ここでは、hGHの成長促進活性が大きく保持され、そして糖質代謝への影響の大部分が除去された。
タンパク質中のアスパラギン及びグルタミン残基は、適宜条件下で脱アミド反応されやすい。下垂体hGHは、このタイプの反応を受け、Asn-152のアスパラギン酸への変換、そして更に、より小さい範囲で、Gln-137のグルタミン酸への変換をもたらすことが示された(Lewis等., J Biol Chem 25;256 (22):11645-11650,1981)。脱アミド化されたhGHは、酵素スブチリシンによるタンパク質分解に対して異なる感受性を有することが示され、脱アミド化がhGHのタンパク質分解的開裂を導く中で、生理学的重要性を有し得ることが示唆されている。生合成のhGHは公知であり、特定の貯蔵条件下で分解され、多様なアスパラギン残基(Asn-149)での脱アミド化をもたらす。これは脱アミド化の主要部位であるが、Asn-152での脱アミド化が観察されている(Becker等.,Biotechnol Appl Biochem 10 (4):326-337,1988)。Gln-137での脱アミド化は、生合成のhGHにおいて報告されていない。
タンパク質中のメチオニン残基は、主にスルホキシドに対して酸化を受けやすい。下垂体由来及び生合成のhGHは、共にMet-14及びMet-125でのスルホキシド化を受ける(Becker等., Biotechnol Appl Biochem 10 (4):326-337,1988)。Met-170での酸化は、下垂体においても報告されているが、生合成のhGHでは報告されていない。脱アミド化されたhGH及びMetl4スルホキシドhGHは、共に全生物学的活性を示すことが見出された(Becker等., Biotechnol Appl Biochem 10 (4): 326-337,1988)。hGHの切断型は、酵素作用を通して、または遺伝的方法によって作製された。制御されたトリプシンの作用によって作製された2-CAPは、hGHのN-末端で最初の8つの残基が除去された。他のhGHの切断異形は適宜宿主中での発現前に遺伝子を修飾することによって作製された。最初の13残基が除去され、ポリペプチド鎖が開裂していない、特有の生物学的特質を有する誘導体が生産された(Gertler等.,Endocrinology 72118 (2):720-6,1986)。
本明細書において使用される用語"ヒト成長ホルモン"とは、上記の通り20kD及び22kDのヒト成長ホルモン、GH-V、及び、Chen等.,Genomics 4 (4):479-497,1989で発表されるような成長ホルモン遺伝子座の他のメンバーを制限されずに含む天然誘導体を含むことが意図される。この用語は、成長ホルモン、即ち、成長ホルモン受容体に対するアゴニストとして作用する成長ホルモンの生物学的活性を保持する機能的誘導体、フラグメント、変異体、アナログ、または塩を更に含む。言い換えると、それらは成長ホルモン受容体に結合することができ、受容体のシグナル伝達活性を開始する。
本明細書において使用される"機能的誘導体"は、当業界において公知の手段によって残基の側鎖、或いはN-またはC-末端基として生じる官能基から調製され得る誘導体にまで及び、そしてそれらが医薬的に許容され得るままである限り、即ち、それらが本明細書で発表されたようなhGH生物学的活性を損なわず、即ち、hGH受容体と結合し、そして受容体シグナル伝達を開始することができる能力を損なわず、そして当該誘導体を含む組成物に毒性を与えない限り、本発明に含まれる。かかる誘導体が、hGHの生物学的活性を保持する限り、且つ医薬的に許容され得るままである限り、化学的部分、例えば糖質またはホスフェート残基等を有してよい。
例えば、誘導体は、カルボキシル基の脂肪族エステル、アンモニアまたは第一もしくは第二アミンとの反応によるカルボキシル基のアミド、アシル部位(例えば、アルカノイルまたは炭環式アロイル基)により形成されるアミノ酸残基のN-アシル誘導体もしくは遊離アミノ酸、またはアシル部位により形成される遊離ヒドロキシル基の0-アシル誘導体(例えば、セリルまたはトレオニル残基のもの)を含み得る。かかる誘導体は、例えば、ポリエチレングリコール側鎖を更に含んでもよく、それは抗原部位をマスクすることができ、そして体液中の当該分子の存在場所を拡張し得る。
特に重要なのは、長時間持続するように誘導化され、または錯化剤と組合わされた成長ホルモンである。例えば、体内で長時間維持されることを示すpeg化異形、または遺伝的に操作された成長ホルモンは、本発明に従って、HADDS、または他の異常脂質分布疾患を治療するために使用することができる。上昇した半減期を有する例示的なhGH組成物、例えば、Alkermes/Genentech により販売されているNutropin Depot(商標)徐放ポリアクチド-コグリコリド(polyactide-coglycolide)カプセル化hGH(Cook等.,J Clin Endocrinol Metab. 87 (10):4508-14,2002)及びAlbutropin(商標)(HGS)、臨床試験中のhGHのアルブミン融合体(Osborn等., Eur J Pharmacol.;456 (1-3):149-58,2002)を含む。
N-末端でアセチル化されたhGHは、単離且つ同定されている(Lewis等.,Endocrinology 104 (5):1256-1265,1979)。アセチル化が調節的な役割を提供するかどうか、または単に精製した合成品であるかどうかは明確でない。しかしながら、当該分子は他のhGH誘導体と同様な様式で抗-HADDS活性を示すことが期待される。
本明細書における用語"塩"とは、hGH分子またはそれらのアナログのカルボキシル基の塩、及びアミノ基の酸付加塩の両方を言う。カルボキシル基の塩は、当業界において公知の手段によって形成され得、そして無機塩、例えば、ナトリウム、カルシウム、アンモニウム、鉄もしくは亜鉛の塩等、及び例えば、アミン、例えばトリエタノールアミン、アルギニンまたはリシン、ピペリジン、プロカイン等により形成される有機塩基との塩を含む。酸付加塩は、例えば塩酸または硫酸等の無機酸との塩、例えば酢酸またはシュウ酸等の有機酸との塩を含む。もちろん任意のかかる塩は、本発明に関するhGHの生物学的活性、即ち、hGH受容体への結合能及び受容体シグナル伝達開始能を保持しなければならない。
本発明による成長ホルモンの"フラグメント"とは、当該分子の任意のサブセットを言い、即ち、所望される生物学的活性を保持するより短いペプチドを言う。フラグメントは、hGH分子のいずれかの末端からアミノ酸を除去し、そしてhGH受容体アゴニストとして得られた特性を試験することによって容易に調製され得る。ポリペプチドのN-末端またはC-末端のいずれかから一度に一つのアミノ酸を除去するプロテアーゼは公知であるので、所定の実験を必要とするのみで、所望される生物学的活性を保持するフラグメントが決定される。
更に、hGH、アナログまたは変異体、塩、それらの機能的誘導体またはフラグメントである、かかるhGH受容体アゴニスト活性を有すポリペプチドは、hGHポリペプチドに隣接している追加のアミノ酸残基を含み得る。得られた分子がコアポリペプチドのhGH受容体アゴニスト能を保持する限り、所定の実験によって、任意のかかる隣接残基は、当該コアペプチドの基礎的且つ新規特質、即ち、その受容体アゴニスト特質に影響を及ぼすか否かが決定され得る。用語"本質的に成る"とは、特定配列を言う場合、追加の隣接残基が当該特定配列の基礎的且つ新規特質に影響を及ぼさずに存在できることを意味する。
本発明に係るヒト成長ホルモンの"変異体"とは、全ペプチドまたはそれらのフラグメントのいずれかに実質的に類似する分子を言う。変異体ペプチドは、当業界において周知の方法を用いて、当該変異体ペプチドの直接的な化学合成によって都合よく調製され得る。もちろん変異体ヒト成長ホルモンは、好適にはhGHと同様のhGH受容体結合及びシグナル伝達開始活性を有し、それによってhGHと同様の抗-HADDS活性を有すことが期待されるだろう。
ヒト成長ホルモンのアミノ酸配列変異体は、合成されたヒト成長ホルモン誘導体をコードするDNA中の突然変異によって調製することができる。かかる変異体は、例えば、アミノ酸配列中の残基の欠失形態、または挿入もしくは置換を含む。欠失、挿入、及び置換の任意の組合せは、最終構造が所望される活性を保持することを条件に、当該最終構造に到達するように作製され得る。明白に、突然変異は変異体ペプチドをコードしたDNA中に作製することができ、読み枠を変化させてはならず、そして好適には2次構造のmRNAを生み出し得る相補的領域を作り出さない(参照によって本明細書にその全内容が組み入れられた欧州特許公開No.EP75,444を参照)。
これらの変異体は、通常では遺伝子レベルで、ペプチド分子をコードするDNA中のヌクレオチドの部位特異的突然変異誘発法(Adelman等., DNA 2 (3):183-193,1983による例示)により調製され、それによって変異体をコードするDNAを産出し、その後、組換え細胞培養中に当該DNAを発現させる。当該変異体は、典型的に非変異体ペプチドと同一の性質の生物学的活性を示す。
本発明に係るヒト成長ホルモンの"アナログ"とは非天然分子を言い、全分子またはそれらの活性フラグメントと実質的に同じようである。好適には本発明において有用であるヒト成長ホルモンのアナログは、少なくともスタチンとの組合せにおいて投与される場合であって、好適には単独で投与されない場合に抗-HADDS活性を示すだろう。
本発明において使用するためのhGHのアナログを得るために使用され得るタンパク質中でアミノ酸置換を生み出す例は、例えば米国特許登録33,653;4,959,314;4,588,585及び4,737,462、Mark等.;5,116,943、Koths等.;4,965,195、Namen等.;及び5,017,691、Lee等.,に発表された任意の公知方法のステップ、並びに米国特許4,904,584 (Shaw等.)に発表されたリシン置換タンパク質等を含む。
ヒト成長ホルモン受容体に結合し、そしてシグナル伝達を開始させる物質の中でも本発明に従って使用され得る物質は、例えば、米国特許5,851,992;5,849,704;5,849,700;5,849,535;5,843,453;5,834,598;5,688,666;5,654,010;5,635,604;5,633,352;5,597,709;及び5,534,617等に開示されている文献において既に公知であるそれらの成長ホルモンアナログ及び成長ホルモン様物質の全てである。
好適には、hGH変異体またはアナログは、それらの天然配列または生物学的に活性なフラグメントのコア配列と同一のコア配列を有し、天然アミノ酸配列に対して少なくとも70%同一性を有するアミノ酸配列を有し、且つそれらの生物学的活性を保持する。より好適には、かかる配列は、天然配列に対して少なくとも80%同一性、少なくとも90%同一性、または最適には少なくとも95%同一性を有す。
ヒト成長ホルモンは、当初は死体の下垂体腺から得ていたが、これらの調製物は電気泳動的に均質ではなく、そして抗体は純度50%オーダーの調製物により処置した患者の血清中に現れ、その免疫原性は不活性成分に起因する。組換えDNA技術は、多くの多様なシステムにおけるhGHの無制限供給の生産を許容した。培養培地からのhGHの精製は、ほんの少量の汚染タンパク質の存在により促進される。事実、逆相HPLCカラム上での単一精製により実験室規模で精製され得ることが示された(Hsiung等.,Biotechnology 7: 267,1989)。
組換えヒト成長ホルモン、rhGHは、Serono S.A.,によりSEROSTIM(商標)として製造され、当該製品はHIV患者における体重減少及び消耗の治療に対してFDA認可を取得している。Genentech, Inc.(South San Francisco, CA)により製造されるN末端に追加のメチオニン残基を有するPROTROPIN(商標)は、天然配列のhGHと構造において軽度に異なる。組換えhGHは、hGHと追加の賦形剤、例えばグリシン及びマンニトールを、凍結乾燥形態中に含むバイアルとして一般に販売されている。併用希釈剤バイアルは、患者に投与剤を投与する前に、当該製品を所望される濃度へ再構成することを可能にするように提供される。組換えhGHは、他の周知の方法、例えば充填前のシリンジ等によっても販売することができる。
特定の態様では、本明細書で発表した方法は、Serono S.Aにより製造されたSEROSTIM(商標)、組換えヒト成長ホルモン(rhGH)を使用するであろうことを意図する。本製品は近年、HIVに付随する消耗または悪液質を有する患者における消耗性症候群の治療に対してFDA認可を受けた。かかる成長ホルモン組成物は、本発明の方法において有用であるだろう。明白なAIDS消耗を有する多くの患者は、比較的高い投与量(6 mg/日)で皮下投与(s.c.)される組換え成長ホルモン(rhGH;Serono社のSEROSTIM(商標))に、投与量軽減または治療の中断を要求するような副作用を発達させずに耐性であり得ることがかつて注目された(Schambelan等., Ann Intern Med 125 (11):873-882,1996)。
当業者がrhGHの投与量を変え、そしてrhGH投与に由来する副作用の徴候が発達している患者をモニターすることができることが意図される。詳細には対象が1 mg/日、2 mg/日、3 mg/日、4 mg/日、5 mg/日、6 mg/日、7 mg/日、8 mg/日、9 mg/日、または10 mg を超えるより多くのrhGHを毎日受容することが意図される。かかる治療は、単回で投与してよく、または複数回投与に分割して、1日を通して規定の間隔で投与してもよい。更にGH組成物は、毎日でない間隔で投与してもよいことが意図される。例えば、対象はGH治療を1日おきまたは週に1回投与され得る。GHの副作用を評価するためにモニターされるべき徴候は、制限されずに、組織膨圧、間接硬直、関節痛、及び/または知覚障害を含む。臨床医学者は、かかる徴候を指針パラメーターとして使用して、GHの投与量が調整されるべきか否か(増量または減量)を評価することが可能であろう。
現在、当業者は投与量範囲を決める試験を実施し、HADDSを有す患者に対するrhGHの更なる有効且つ安全な投与量を調査している。従って、AIDS患者において使用するためのGHの投与量は、当業界において周知である。かかる試験による投与量は、本明細書において発表された方法において使用するために容易に適用され得る。
HIVに付随する消耗は、体重減少、徐脂肪体重の減少、及び体脂肪の貯蔵、筋衰弱への誘導、及び臓器不全によって特徴付けられることがWindisch等., Ann Pharmacother 32(4):437-445,1998により報告された。FDAは組換え成長ホルモンをHIVに付随する消耗の治療に対して認可したが、有害事象プロファイルは、他の組換え成長ホルモン製品と同様である。HIV/AIDSを有する患者の消耗の制御における組換え成長ホルモンの試験は、奨励されている。1996年からSEROSTIM(商標)を受けている10,000を超えるHIV/AIDS消耗患者による市販後調査では、AIDS消耗を有する患者の大部分において3ヶ月間の治療コースが有効であった。
AIDS消耗へのSEROSTIM(商標)の影響により見られたこれまでの発見は、少なくとも1つのスタチン剤との組合せにおいて投与されるrhGHの組合せ治療を意図する本発明の治療方法が、HIVに関連した、または他の異常脂質分布疾患を制御するために一定期間ごとに使用され得るということを意図する。例えば、かかる定期的な治療は、1、2、3、4、5または6ヶ月間での組合せ治療のコースによる患者の治療を課すだろう。或いは、HIV関連する脂肪異栄養症またはHADDSを有する患者において、本発明の方法は、HAARTとの結合における継続的治療として使用され、脂肪異栄養症、HADDS等において明白であるHAARTの副作用を制御し得る。更にそれは、提供された治療が絶対的なものである必要がなく、臨床的価値に達するに十分である限り、有用であると理解されるだろう。他の薬剤が特定の個体に対して不十分である場合、保護の全てのレベルを増強させるために他の薬剤との組合せにおいて使用することができる場合、或いは競合薬よりも安全である場合、競合薬よりも低い程度の治療を提供する薬剤でも、尚、価値があるだろう。
治療の間、患者の徴候をモニターして、GH由来の副作用がないことを確実にすることは、都合が良いであろう。副作用が見られず、且つ当該組合せ治療が不変の十分な治療帰結をもたらさない症例では、より積極的な治療コースで投与してよく、ここでrhGH及び/またはスタチン剤の投与量は増量される。例えば、組織膨圧、間接硬直、関節痛、及び/または四肢知覚異常等の副作用を生み出す治療症例では、rhGHの投与量を減少させて、副作用を軽減することができる。
Krentz等., J Acquir Immune Defic Syndr 6 (3):245-251,1993は、組換えヒト成長ホルモンをHIV/AIDSを有する10人の患者に5.0 mg、対2.5 mg、一日置きで投与(qod)することによって引き起こされる代謝及び身体測定の変化を比較した。治療の間、インスリン様成長因子-I(IGF-I)レベルは、薬理活性物質rhGHを5.0 mg qod投与される治療群において有意に増加した。一方、rhGHを2.5 mg qod投与される群では、IGF-Iの有意な変化が観察されなかった。hGHの5.0 mg qodの投与量での治療群では、当該試験に先行する体重減少が、試験を終えたそれぞれ4人の患者において取り消された。この体重増加は、除脂肪体重と体内総水分の増加、及び同時に起こる脂肪の塊と尿窒素排出の減少に付随した。
大規模、無作為化、プラセボコントロール試験において、Schambelan等., Intern Med 125 (11): 873-882,1996は、二重X線吸収測定法(DXA)スキャンニングを用いて、組換えヒト成長ホルモンを0.1 mg/kg/日(または患者の体重に依存して1日当り4から6 kg)の用量で投与することによって生み出される身体組成の変化を、12週に渡るプラセボ処置コースと比較して評価した。治療が終了するまでに、プラセボ群と比較した除脂肪体重と体重の有意な増加がrhGH群において観察され、そしてこれらの増加は、身体機能の改善に関連する(トレッドミルパフォーマンス)。rhGH治療は、空腹時血漿グルコース中の軽微な増加に付随するが、それは臨床的に取るに足らないものである。
Krentz等., J Acquir Immune Defic Syndr 6 (3):245-251,1993及びSchambelan等., Intern Med 125 (11):873-882,1996,の試験は、本発明のGH/スタチンを基礎とする組合せた治療方法により容易に反復され得る。かかる決定は単に一般的なものであり、そして1つ以上の脂肪異栄養症候群を減少、改善または改良させる有用性を示すだろう。
b. スタチン剤
本明細書において検討されるように、本発明の治療方法は、GHに加えて第二の化合物を採用する。本発明の組合せ治療における第二の活性化合物は、スタチン関連薬剤である。"スタチン関連"薬剤または薬物について、本出願では、任意に現に販売されているスタチン剤、または現に販売されているスタチン剤から改良されたスタチン剤を言い、そして本発明で使用される成長ホルモン組成物と組合せた場合に治療効果を有するスタチン剤を言う。そのようなものとして既存のスタチン系アナログ及び変異体は、本明細書において有用であると意図されると理解されるべきである。かかるアナログまたは変異体は、当業者に公知の合理的なドラッグデザイン技術を通して生産され得る。特にスタチン系薬物は、HMGCoAレダクターゼ阻害剤として公知である。これらの薬物は、高コレステロールに対する闘いにおいて、そして心臓発作(再発及び最初の心臓発作の両方)の制御における薬物として現在臨床的に使用される。これらの薬剤は、一般的に副作用を殆ど有さず、そして総コレステロール、LDLコレステロール及びトリグリセリドを低くするだけでなく、HDLコレステロールを増加させることを助長する。
スタチン系は、ロバスタチン(CAS登録No.75330-75-5;mevinolin(商標)またはmonacolin K(商標)としても知られている)によって例示され、そして本化合物のアナログは、多くの刊行物及び特許において発表された。例示的なスタチン組成物は、Lipitor(商標)(アトルバスタチン)、Pravachol(商標)(プラバスタチン)、Zocor(商標)(シンバスタチン)、Mevacoir(商標)(ロバスタチン)、及びLescol(商標)(フルバスタチン)を含み商業的に入手可能である。かかる化合物を調製するための方法は、当業界において周知である(例えば、米国特許No.6,521,762;4,420,491;4,342,767;4,319,039;4,294,846;4,444,784;4,582,915及び4,820,850参照)。先行する特許において発表されたように、スタチン系は、アスペルギルス属(Aspergillus genus)、モナスカス属(Monascus genus)、ヒラタケ属(Pleurotus genus)、コニオスィリウム属(Coniothyrium genus)等由来の有機体を用いる発酵を通して伝統的に生産される(米国特許No.6,521,762、発酵手順の検討を参照)。
更に、医薬品としてのスタチン系製剤は、例えば、米国医薬品便覧(Physician's Desk Reference)に記載されている。例えば、Lipitor(商標)(アトルバスタチンカルシウム)の錠剤は、米国医薬品便覧(57版、2003)の2547-2551ページ(Parke-Davis, NJ.)及び2610-2613ページ(Pfizer, NY)に発表されている。これらの製剤は10 mg、20 mg、40 mg、50 mg、及び80 mgのアトルバスタチンを含むアトルバスタチンカルシウム錠剤として供給される。当該錠剤は、10 mg/日から80 mg/日の範囲で投与される。現にヒトのコレステロールを下げるために使用されているLipitor(商標)の組成物は、本発明の組合せ治療において使用して、HADDS及び関連した脂肪異栄養症の治療的改善を生み出すことができる。
Pravachol(商標)(プラバスタチンナトリウム;Bristol-Myers Squibb, NY)は、他の例示的な商業的に入手可能なスタチンであり、本発明の組合せ治療において使用され得る。Pravachol(商標)は、10 mg、20 mg、40 mg、及び80 mg錠として供給される。これらの錠剤は、10 mg/日から80 mg/日の一日投与量の範囲で投与され得る。高コレステロール血症の例示的な治療では、食事の有無を問わず、40 mg/日が単回一日投与量として投与される。しかしながら、当該用量は治療を受けている患者の腎機能及び肝機能のレベルに依存して増加または減少してよいと一般的に理解されている。Pravachol(商標)の投与量は及び治療ガイドラインは、米国医薬品便覧(57版、2003)の1101-1105ページに更に詳細に論じられており、そして本発明の方法におけるスタチン系の使用のためのガイドラインを提供するために使用され得る。
Zocor(商標)(シンバスタチン;Merck & Co. , Inc., NJ)は、他の例示的なスタチン組成物であり、本発明において使用され得る。当該スタチン製剤は、米国医薬品便覧(57版、2003)の2126-2131ページに記載されている。一日投与量は5 mg/日から80 mg/日の範囲内にあってよく、そして当業者は、本発明のために使用及び/または改良され得る治療プロトコールに関する更なるガイドラインのために米国医薬品便覧を参照する。コレステロールを低くするために有用である投与量及び治療プロトコールは、本出願において発表されたHADDSの治療においても有用であろうことが意図される。
Mevacor(商標)(ロバスタチン;Merck & Co. , Inc. NY)、及びLescol(商標)(フルバスタチン)は、他の例示的なスタチン剤であり、米国医薬品便覧(57版、2003)の2036-2041ページ及び2283-2287ページにそれぞれ記載されている。当業者は本発明の方法のために多様なスタチン関連剤を含む上記参照した医薬組成物を容易に改良できるだろう。
治療プロトコールに関して、当業者は任意の上記参照した医薬のスタチン剤のために使用されるガイドラインを使用し得る。スタチンを含む通常の錠剤は、1日に1回、2回、3回または3回以上投与される。従って、当業者は、本発明の治療方法において使用するために、任意の上記で言及したスタチン系の予備測定量として上記適応症に有効であることが以前に証明された投与量を使用してよい。
スタチン剤の経口投与量は、詳細に熟考される。かかる経口投与量は、一日当り、約 5 mgから約 80 mgのスタチン薬物の投与から構成され得る。しかしながら、例えば、200 mg/日をまでのより高用量を使用してもよい。従って、対象は、5 mg、10 mg、15 mg、20 mg、25 mg、30 mg、35 mg、40 mg、45 mg、50 mg、55 mg、60 mg、65 mg、70 mg、75 mg、80 mg、85 mg、90 mg、95 mg、100 mg、125 mg、150 mg、175 mg、200 mgまたはそれ以上のスタチン薬物を経口で投与されてよい。もちろん対象は程度の差はあるがスタチンを服用してよいということが理解されるべきである。更に他の一般的な投与経路を通して、同様の投与量を投与してよいということが理解されるべきである。スタチンは、単回投与で送達され得、または投与期間を通して、反復投与に分割して投与され得る。
C. 追加の治療剤との組合せ治療
本発明の方法は、成長ホルモンとスタチン関連化合物を組合せた使用に関する。しかしながら、単にGH/スタチン組合せ治療の送達にのみ基づく治療に加えて、本発明の方法は、特に1以上の脂肪異栄養症候群を標的にする第三の組成物との組合せ治療も意図する。本発明の明細書において、GH/スタチンに基づく方法は、例えば肥満、糖尿病等を治療する他の薬剤との結合において同様に使用され得ることが意図される。かかる追加の治療化合物は、更に成長ホルモン及び/またはスタチン関連剤の効果を増強させる組成物も含み得る。
特定の態様では、本発明による成長ホルモン/スタチン治療は、内因性成長ホルモンの産生を、内因性ソマトスタチン分泌を抑制することによって、直接的または間接的に刺激する物質を投与することにより補うことができることを意図する。ヒト成長ホルモン放出ホルモン(hGHRH)は、hGHの放出を刺激することが公知である。従って、hGHの生物学的活性は、GHRHの生物学的活性、即ち、成長ホルモンの放出刺激能を保持するGHRHまたはそれらの機能的誘導体、塩、変異体、アナログまたはフラグメントを投与することによって間接的に得ることができる。従って、例えばGHRHの他に、上記定義に従うそれらの機能的誘導体、それらのアナログまたは変異体の使用もあり得、少なくとも70%の配列同一性、より好適には80%もしくは90%、または、最適には、95%の配列同一性を有し、それをもって、GHRH、または変異体もしくはアナログの生物学的活性をなお保持し、適度なストリンジェント条件下で、または好適には高いストリンジェント下で、上記定義に係る全てのGHRHをコードする天然DNAとハイブリダイズするDNAによってコードされるポリペプチドである。文献で公知になった、及び成長ホルモンの放出刺激剤として開示された任意のGHRHもしくはGHRHアナログまたはアゴニスト(例えば米国特許5,792,747;5,776,901;5,696,089;5,137,872;5,767,085;5,612,470;5,846,936;及び5,847,066に開示されたような)を本発明において使用することができる。Thorner等., Recent Prog Horm Res., (1997), Felix等., Int J Pept Protein Res., 46 (3-4):253-64 (1995), Alba-Roth等 J. Clin. Endo. Metab., 67,1186-1189 (1988);Friend等., Eur J Endocrinol., 137 (4):377-86 (1997)も参照。
in vivoで成長ホルモンの放出を促進することができる他の物質であって、本発明において使用され得るものは、米国特許5,807,985;5,604,578;5,795,957;5,777,112;5,767,118;5,731,317;5,726,319;5,726,307;5,721,251;5,721,250等において開示されたものを含む。
下垂体成長ホルモン分泌細胞上の受容体と結合する任意の他の分子を本発明に従い使用し、そしてその受容体のシグナル伝達を開始することもできる。例えば、分泌促進剤とも呼ばれる低分子が発達し、GHRS受容体と結合し、そしてそれらのシグナル伝達を開始させる原因となり、そのシグナル伝達開始は、当該受容体に結合する天然のグレリンにより得るものと同一であることが公知である。かかる分子は、例えば、米国特許5,773,441;5,798,337;5,630,433;5,767,124;及び5,723,616により公知である。Bowers等 Endocrinology, 128:2027-2035 (1991), Thorner等., Recent Prog Horm Res., 52:215-46 (1997), Camanni等.,Front Neuroendocrinol. 19(1):47-72, (1998), Ankersen等. , JMed Chem., 41 (19):3699-704, (1998), Smith等., Science, 260 (5114):1640-3 (1993)及びGhigo等., Horm Res., 51 Suppl 3:9-15 (1998)も参照。従って、本発明は、HADDSの治療の程度と関連する、天然hGHの投与と同一の決定的な質的な効果を得るために、GHRS受容体と結合し、そしてそれらのシグナル伝達を開始する任意の物質を含むことを意図する。
他の態様では、本発明の成長ホルモン/スタチンを基礎とする組合せ治療は、肥満に関連した糖尿病を治療する治療計画により補足されることが意図される。かかる治療計画は、前記対象にインスリン分泌促進剤を投与することを含み得る。糖尿病の改善のためのかかる分泌促進剤の使用は、当業者に周知である。使用され得る分泌促進剤の分類は、制限されずにスルホニル尿素;トルブタミド;クロルプロパミド;グリメピリド;グリピザイド;グリブリド;メグリチニド系(米国医薬品便覧56版、ページ2432の例示的なメグリチニドの医薬製剤の記載を参照);レパグリニド;プラムリンタイド;モルフィリノグアニド(morphilinoguanide);アセチルコリン;ムスカリンアゴニスト;カルバコール;ベタネコール;β-L-グルコースペンタアセテート;chiro-イノシトール;myo-イノシトール;GIP;GLP-1;及びExtendin-4を含む。当業者はインスリン及び経口血糖降下剤について記載するGoodman & Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics, Eds. Hardman等.,9版、60章を参照して、本発明と結合して使用することができた。特に好適な経口血糖降下剤は、スルホニル尿素を含む(Goodman & Gilmanの1507-1510ページに記載されている。更に現在使用されている例示的なスルホニル尿素医薬製剤の記載に関する米国医薬品便覧、56版717、741、2680、2692、2693、及び1086ページも参照)。メトホルミン(例示的なメトホルミン医薬製剤の記載に関する米国医薬品便覧、56版1080ページ参照)、フェンホルミンまたは他のビグアニドも使用され得ることが意図される。更にチアゾリジンジオン系(Thiazolidendiones)、例えば、シグリタゾン及びピオグリタゾンも、本発明の方法において有用であることが証明され得る。当業者は、現在使用されている例示的なチアゾリジンジオン医薬製剤の記載に関する、米国医薬品便覧、56版、3275及び1490ページも参照する。ジアゾキシド血圧降下剤は、高血糖治療剤能を有すことも公知である。所定のスタチン化合物、例えばLiptor(商標)等は、HMG-CoAレダクターゼ阻害剤であるようであり、かかる追加の阻害剤中で確認されるだろう追加のかかる阻害剤は、本発明において使用されて、本発明に係る脂肪異栄養症に対して追加の治療効果をもたらし得る。かかる追加の薬剤は、それらがロバスタチンアナログと同様な方法でHMG-CoAレダクターゼ阻害剤として作用する限り、ロバスタチンのアナログであってもなくてもよい。
レプチン(Zhang等., Nature 372: 425,1994)は、体重、代謝及び生殖機能の調節において重要な効果を有すタンパク質ホルモンである(例えば、米国特許No.5,935,810を参照)。当該タンパク質は質量において約16 kDaであり、そして肥満(ob)遺伝子によりコードされる。レプチンは、脂肪細胞により優性に発現するが、レプチンは胃の上皮組織及び胎盤中の細胞によっても分泌される。レプチン受容体は、体重調節において重要であることが公知である視床下部の領域、並びにTリンパ球及び血管内皮細胞中で高く発現する。肥満及び非-肥満のヒトでの試験は、体脂肪の比率を有する血清レプチン濃度の強い正相関を示し、そして更に高濃度のob mRNAが、肥満でない被験者と比べて肥満である被験者の脂肪中に存在したことを示した。トリグリセリド蓄積によって脂肪細胞の大きさは増大するとともに、脂肪細胞はますます多くのレプチンを合成するようである。組換えマウス、またはob/obマウス(即ち、レプチンを合成できない肥満マウス突然変異体)へのヒトレプチンの毎日の注入は、数日以内の食物摂取の劇的な減少、及び一月以内の体重のおよそ50%の減少を導いた。更に、レプチンを正常マウスに与えた場合、マウスの体重は減少し、脂肪組織の完全な枯渇(profound depletion)を示し、そして除脂肪体重の増加を明白にする。レプチンによる治療は、脂肪組織における脂肪分解を促進するが、除脂肪組織への明確な効果を有さないことを示した。得られたこれらの結果は、本発明のrhGH/スタチンを基礎とする治療が、レプチンを有する対象を提供する治療計画により都合よく補完され得ることを意図する。
当該組合せ治療に適した治療帰結を達成することは、本明細書において、胴回りの異常な脂肪堆積が起こる領域の減少、脂肪が激減し始めた場所での身体領域の明白な改善、低血糖症の減少、インスリン分泌または産生の増加、または他のパラメーター(一般的にGH及びスタチン関連組成物、及び少なくとも一つの他の治療剤(第三の治療剤)について対象に対して管理されるもの)であることが意図される。これらの組成物は、組合せた有効量において提供され、所望される治療帰結を生み出しだろう。本方法は、rGH治療、スタチンを基礎とする治療組成物及び第三の治療組成物を同時に投与することを含み得る。これは全ての活性剤を含む単一組成物または医薬製剤を投与することによって、或いは3つの別個の組成物または製剤を同時に対象に投与することによって達成され得、ここでの第一の組成物はrhGHを含み、第二の組成物はスタチン関連剤を含み、そして第三の組成物は第三の治療剤を含む。
或いはrhGH治療は、数分から数週間の間隔を置いて、スタチンを基礎とする治療及び/または第三の薬剤治療に先行してもその後に続いてもよい。2つ以上の治療組成物が別々に投与される場合の態様において、第一の薬剤の送達時間の間、即ち、スタチンを基礎とする薬剤の送達時間の間の、一般的に有効である、失効しなかった時間を確実にし、並びにrhGH及び/または第三の薬剤は、更に細胞への都合のよい組合せ効果を発揮することができだろう。かかる例において、全ての3つの組成物が互いに約12-24時間以内に投与され、そして、より好適には、互いに約6-12時間以内に、最適には約12時間のみの遅延時間で投与されるだろうということが意図される。しかしながら、いくつかの状況、反復投与間が数日(2、3、4、5、6または7)から数週間(1、2、3、4、5、6、7または8)経過する場合において、有意義に治療するために期間を延長することが所望され得る。
D. 医薬組成物
本発明に係る投与のための医薬組成物は、任意に医薬的に許容され得る担体と組合された、医薬的に許容され得る形態にある本発明に係る少なくとも1つのヒト成長ホルモン製剤を含み得る。これらの組成物は任意の手段によって投与され、それらの意図された目的を達成することができる。本発明に係る組成物を投与するための量及び計画は、HADDS、または他の異常脂質分布疾患を治療するために通常の当業者により容易に決定することができる。上記検討の通り、当業者は現に医療現場で使用されているGHの量及び計画を最初に採用することができた。この趣旨で、当業者等は、本明細書に参照により組み入れられた米国医薬品便覧、56版、2818-2820ページ(GENOTROPIN(商標))、3215-3215ページ(GEREF(商標))、1930-1934ページ(HUMATROPE(商標))、2419-2421ページ(NORDITROPIN(商標))、1417-1425ページ(NUTROPIN(商標))、3225-3226ページ(SAIZEN(商標))、及び3229-3231ページ(SEROSTIM(商標))中のそれぞれ全文を詳細に参照する。米国医薬品便覧中の個々のそれらの全文は、剤型、投与経路及び治療計画に関する例示的なガイダンスを提供し、GHを投与する中で使用され得る。任意のプロトコールに記載された製剤、投与経路等は、本発明において使用するために容易に修飾することができる。
本発明の範囲にある組成物は、意図した目的を達成するための有効量にある本発明に係る少なくとも1つのヒト成長ホルモンまたはそれらの誘導体、アナログ、もしくは変異体を含む全ての組成物を含む。同様に、本発明の治療方法は組合せ治療を意図し、ここでのスタチンを基礎とする薬剤は、ヒト成長ホルモンを基礎とする治療に加えて投与され、本発明の医薬組成物は、ヒト成長ホルモンとの組合せにおいて投与される場合、更に少なくとも1つのスタチンを基礎とする治療剤、またはそれらのアナログを1つ以上の脂肪異栄養症候群の改善を達成するための有効量で含む全ての組成物を意図する。
個々のニーズは様々であるが、個々の成分の有効量の最適範囲の決定は当業者にある。成長ホルモンの局所投与は、1日当り、約0.01から約0.1 mg/kg体重を含み、通常、約 1-6 mg/日の量で、皮下に、例えば5〜12週間投与されるだろう。もちろん、当業者は、例えば、48週間まで継続する治療計画を選定してよい。AIDS患者へ投与される場合、hGH抗-HADDS治療剤は、他のAIDS治療剤または本明細書の上記において検討されたような脂肪異栄養症候群を軽減するためにデザインされた他の治療剤と同時に投与され得る。hGH(>5 mg/日)の超生理学的投与量は、一日当り、s.c.注入で2〜4年間継続してAIDS消耗患者へ安全に投与されたので、成長ホルモン及び少なくとも1種類のスタチン剤を採用する組合せ治療は、更にかかる期間を通して有効であり得ることが意図される。毎日の継続的投与が意図されるが、脂肪異栄養症候群が軽減した場合には、当該組合せ治療を中断することを所望してよい。もちろん当該治療は、異常脂肪組織の再蓄積の症例において再開してよい。
本発明にかかる組成物の適切な投与量は、受容者の年齢、健康及び体重、もしあれば同時治療の種類、治療の頻度、並びに所望される効果の性質に依存するであろうと理解されている。しかしながら、最適な投与量は、過度の実験なしでも当業者に理解され、決定されるように、個々の対象へ個別に調整することができる。これは典型的に標準投与量の調整、例えば患者が低体重ならば、投与量の減量を含む。
上記検討の通り、それぞれの治療に要求される総投与量は、反復投与または単回投与で投与され得る。当該組成物は、当該疾患に対して、またはそれらの疾患の他の徴候に対して、単独または他の治療剤と結合させて投与され得る。
本明細書における開示から明らかであるように、広い観点において、本出願は、成長ホルモン製剤を含む第一の組成物、そしてスタチンを基礎とする薬剤を含む第二の組成物を含む組合せ治療の臨床適用を意図する。従って、当該組成物は、適切な医薬組成物、即ちかかる組合せ治療におけるin vivo適用のために適する形態に製剤化されるべきである。一般的に、ピロゲン、及びヒトまたは動物に有害であり得る他の不純物が本質的に存在しない組成物を調製することを必要とするであろう。
送達ベクター(delivery vectors)を安定させ、そして標的細胞による取り込みを許容するために、一般的に適宜塩及び緩衝剤を用いることが所望されるだろう。更に緩衝剤は、組換え細胞が患者に導入される時に使用してもよいだろう。本発明の水性組成物は、医薬的に許容され得る担体または水性媒体中で使用され、溶解され、または分散されている有効量の個々の治療剤を含む。かかる組成物は、接種材料としても言及される。語句"医薬的に、または薬理学的に許容され得る"とは、動物またはヒトに投与した場合、副作用、アレルギー反応、または他の予期しない反応を生み出さない分子全体及び組成物を言う。本明細書において使用される"医薬的に許容され得る担体"とは、任意の溶媒及び全ての溶媒、分散媒体、被覆剤、抗バクテリア剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤(absorption delaying agents)等を含む。医薬活性物質のかかる媒体及び試薬の使用は、当業界において周知である。任意の慣用媒体または試薬を除き、治療組成物と両立せず、治療組成物の中でのその使用が意図される。補助的な活性成分を当該組成物中に組み入れることもできる。
本発明の活性組成物は、本明細書において既に検討され、及び当業者に公知である成長ホルモンの古典的な医薬調製品を含む。更にスタチン系、例えばLipitor(商標)等は、当業者に公知である。本発明に係るそれらの組成物を投与することは、標的組織が当該経路を介して使用され得る限り任意の一般的な経路を介するだろう。最も一般的なそれらの組成物は、経口投与のために製剤化される。しかしながら他の慣用的な投与経路、例えば皮下、静脈内、皮内、筋肉内、乳房内、腹腔内、髄腔内、眼球内、延髄後、肺内(例えば、term release)、エアロゾル、舌下、鼻、肛門、膣、または経皮的送達による、或いは特定部位での外科的移植による投与経路は、特に経口投与に問題がある場合にも使用され得る。当該治療は、一定期間に渡る単回投与または反復投与から成りうる。
活性化合物は、ヒドロキシプロピルセルロース等の界面活性剤により水の中で適切に混合された遊離塩基または医薬的に許容され得る塩類の溶液として投与するために調製され得る。更に分散剤は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、及びそれらの混合物中、並びにオイル中で調製することもできる。通常の貯蔵及び使用条件下において、これらの調製品は、微生物の成長を阻害するための保存剤を含む。
注入して使用するために適した医薬形態は、殺菌した注入可能な溶液または分散剤の下準備なしの調製のために、殺菌水性溶液または分散剤及び殺菌パウダーを含む。全てのケースにおいて、当該形態は殺菌されるべきであり、そして容易に注入可能性が存在する程度に流動性であるべきである。それは製造及び貯蔵条件下で安定であるべきであり、そして微生物、例えば、バクテリア及び真菌の汚染作用に対して保存される必要がある。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール等)、それらの適切な混合物、及びベジタブルオイルを含む溶媒または分散媒体であることができる。適切な流動性は、例えば、コーティング、例えばレシチンの使用によって、分散の際に要求される粒子径の維持によって、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。 微生物作用の予防は、多様な抗バクテリア、抗真菌剤、例えば、パラベン類、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール等によってもたらされ得る。多くの場合、等張剤、例えば、糖または塩化ナトリウムを含むことが好適であろう。注入可能な組成物の延長した吸収は、組成物中で、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチン等の吸収を延長させる試薬を使用することによってもたらされ得る。
殺菌した注入可能な溶液は、上記に列挙した多様な他の成分を有する適宜溶媒中で要求される量の活性化合物を導入し、要求があればろ過殺菌をすることによって調製される。一般的に分散は、基礎的な分散媒体及び要求される上記列挙した他の成分を含む殺菌ビヒクル中へ多様な殺菌活性成分を導入することにより調製される。殺菌した注入可能な溶液を調製するための殺菌パウダーである場合、好適な調製方法は、真空乾燥及び凍結乾燥技術であり、それらは活性成分+任意の追加の所望される成分のパウダーを、前もって殺菌ろ過したそれらの溶液から産出する。
本明細書で使用される"医薬的に許容され得る担体"とは、任意且つ全ての溶媒、分散媒体、被覆、抗バクテリア及び抗菌剤、等張及び吸収遅延剤等を含む。医薬活性物質のためのかかる媒体及び試薬の使用は、当業界において周知である。治療組成物における使用が意図される任意の慣用的な媒体または試薬以外の場合は、活性成分に準拠しない。補助的な活性成分は、更に当該組成物中に導入することができる。
本発明の治療剤の経口投与に関しては、賦形剤を導入してよく、摂取不可能なマウスウォッシュ及び歯磨剤の形態として使用してもよい。マウスウォッシュは活性成分を適宜溶媒、例えばホウ酸ナトリウム溶液(Dobell's 溶液)中に要求される量で導入して調製してよい。或いは、活性成分はホウ酸ナトリウム、グリセリン及び炭酸水素カリウムを含む殺菌洗浄中へ導入され得る。更に活性成分をゲル、ペースト、パウダー及びスラリーを含む歯磨剤中で分散させてよい。当該活性成分を治療有効量で、水、結合剤、研磨剤、香味剤、発泡剤、及び保湿剤を含み得るペースト歯磨剤へ付加してもよい。
本発明の組成物は、中性または塩形態に製剤化され得る。医薬的に許容され得る塩は、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基により形成される)を含み、そしてそれらは無機酸(例えば、塩酸またはリン酸等)、あるいは有機酸(例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸等)により形成される。更に遊離カルボキシル基により形成される塩は、無機塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、または水酸化第二鉄等)、及び有機塩基(イソプロピルアミン、トリエチルアミン、ヒスチジン、プロカイン等)から誘導することができる。
製剤上での溶液は、投与製剤に準拠した方法で、そして治療有効量で投与される。当該製剤は、例えば注入可能な溶液、薬物放出カプセル等の多様な投与形態において容易に投与される。水性溶液中での非経口投与のために、例えば当該溶液は必要とされるならば適切に緩衝化させるべきであり、そして液体希釈剤は最初に充分な生理食塩水またはグルコースによって等張性にされる。これらの詳細な水性溶液は、特に静脈内、筋肉内、皮下及び腹腔内投与に適する。
"単位投与量"とは、適宜担体中に分散した治療組成物の別個の量として定義される。成長ホルモン及びスタチンの好適な投与量の例は、上記に検討されている。治療化合物の一方または両方の非経口投与は、最初はボーラスにより実施してよく、継続的な注入を続けて、薬物の治療循環レベルを維持する。通常の当業者は良好な医療行為(good medical practice)及び個々の患者の臨床状態によって決定されるような効果量及び投与計画を容易に最適化するだろう。
投薬回数は、薬剤の薬物動態パラメーター及び投与経路に依存するだろう。最適な医薬製剤は、投与経路及び所望される投与量に依存して当業者によって決定されるだろう。例えば、本明細書中に参照によって組み入れられたRemington's Pharmaceutical Sciences,18版.(1990, Mack Publ. Co, Easton PA 18042)1435〜1712ページ参照。かかる製剤は、物理的状態、安定性、in vivoでの放出速度及びin vivoでの投与薬剤のクリアランス速度に影響を及ぼし得る。投与経路に依存している適切な投与量は、体重、体表面積または器官の大きさによって算出され得る。更に適した治療投与量を決定するために必要な計算の微調整は、特に本明細書において開示される投与情報及びアッセイ、並びに動物またはヒトでの臨床試験において観察される薬物動態データを考慮に入れた過度の実験をしないで、通常の当業者によってごく普通に成される。
適切な投与量は、関連する投与量応答データと併せて、血中レベルを決定するために確立されたアッセイの使用によって確認され得る。最終の用法用量は、薬物の作用を修飾する要因(例えば、薬物の比活性度、患者のダメージの重篤度及び感受性、患者の年齢、症状、体重、性別及び食習慣、任意の感染の重篤度、投与時間及び他の臨床的要因)を考慮して担当医によって決定されるだろう。実施された試験のように、適した投与量レベル並びに具体的な疾患及び症状の治療継続期間に関する更なる情報が表面化するだろう。
特定の態様では、成長ホルモンまたは他のタンパク質は、ウィルス送達を使用する遺伝子治療態様を用いて投与され得、単位投与量は投与されるウィルス粒子の投与量によって算出され得る。ウィルス投与量は、ウィルス粒子または単位を形成するプラーク(pfu)の多くの特定の数を含む。アデノウィルスに関する態様では、特定の単位投与量は、103、104、105、106、107、108、109、1010、101l、1012、1013または1014pfuを含む。粒子投与量は、感染欠陥のある粒子の存在のためにいくぶん高くてよい(10から100倍)。
本発明の医薬組成物及び治療方法がヒト用医薬及び獣医用医薬の分野において有用であり得ることが理解されるだろう。従って治療される対象が哺乳動物、好適にはヒトまたは他の動物であってよい。獣医用目的に関する対象は、例えば、家畜(乳牛、羊、豚、馬及びヤギ)、ペット(例えばイヌ及びネコ、外来動物及び/または動物園の動物を含む)、研究室の動物(マウス、ラット、ウサギ、モルモット及びハムスターを含む);及び家禽(例えばニワトリ、七面鳥、カモ及びガチョウ)を含む。
E. 実施例
以下の実施例は本発明の好適な態様を実証することを含む。本発明者によって発見された技術を以下に示す実施例中で開示された技術が、本発明の実施においてよく機能するので、その実施のための好適な様式を構成することを考えることができることが当業者によって理解されるだろう。しかしながら当業者は、本発明の開示を踏まえて、多くの改変が開示された特定の態様の中でなされ、そして本発明の精神及び範囲から離れずに類似または同様の結果をさらに得ることができることを理解するだろう。
野牛肩、中枢性脂肪過多症及び疲労に付随する末梢性筋肉消耗を含むHADDSの徴候を明示し、上昇した血漿中トリグリセリド及び/またはコレステロールレベルの変化に付随するHAARTの長期間使用歴(平均12ヶ月)を有するAIDS患者が本試験のために選定される。
rhGH(SEROSTIM(商標))による治療は、例えば皮下に4 mg/日の投与量で全ての患者で開始される(その他の濃度は、例えば6 mg/日を使用できる)。同時に患者等は、40 mg/日の量のスタチンを経口投与された。本投与量は、抗高脂血症目的のために通常投与されるスタチン剤の平均投与量に基づく。患者等は3ヶ月間の本投与計画が続けられ、そして2週間ごとに脂肪分布異常の改善がモニターされる。並行治療では、患者等はrhGHのみ及びスタチンのみにより治療される。3ヶ月後、野牛肩症候群及び胴回りが25〜75%減少し、末梢性脂肪異栄養症に変化がない、脂肪分布異常の顕著な改善が、rhGHとスタチンの組合せ治療において見られる。rhGHまたはスタチンを単独で受容している個体は、当該組合せ治療で見られるような脂肪分布異常における劇的な改善を経験しない。脂肪が存在しない質量が5〜10%増えたにもかかわらず、体重は安定し、そして総体脂肪及び血中脂質中に一貫した変化は無かった。
本発明の方法による効果的な治療は、野牛肩及び体幹の脂肪過多症の大きさ、及び硬度の任意の顕著な減少である。好適には、組合せたrhGH/スタチン治療により見られる、野牛肩及び体幹の脂肪過多症の大きさ、及び硬度の減少は、rhGH単独で治療されたHADDSを有する患者において見られるものよりも大きいことにより確認された(Torres等., Abstract 32164:12th World AIDS Conference, Geneva [Abstract 32164], 1998;Torres, Abstract 675:6th Conference on Retroviruses and Opportunistic Infections [Abstract 675], 1999;Wanke等., AIDS 13 (15):2099-2103,1999;Mauss等., Antiviral Therapy 4 (Sup 2):27[Abstract 018], 1999;Engleson等., Antiviral Therapy 4:(Sup 2):11 [Abstract 006], 1999;Engleson等., Am J Clin Nutr 69 (6):1162-1169,1999;Milano等., Antiviral Therapy 4 (Sup 2):41 [Abstract 042], 1999)。Torres, Abstract 675: 6th Conference on Retroviruses and Opportunistic Infections [Abstract 675], 1999は、4ヶ月間、4〜6 mg/日を投与するrhGH治療は、野牛肩の大きさ及び硬度を有意に減少させ、そして体幹の脂肪過多症を、末梢性脂肪異栄養症を変化させずに減少させるが、脂肪が存在しない質量を5〜10%増加させることを報告している。体重、総体脂肪、または血中脂質の治療期間における有意または不変な変化はなかった。
上記引用した臨床試験を総合すると、1日当り3〜6 mg、12〜24週間、皮下投与されるrhGH(SEROSTIM(商標))による治療は、異常に蓄積した脂肪を、ベースラインと比較して有意に減少させることを実証する。特に、SEROSTIM(商標)(rhGH)は異常な胴回り(Wanke等., AIDS 13 (15):2099-2103,1999)、内臓の脂肪過多症(Engleson等., Antiviral Therapy 4:(Sup 2):11 [Abstract 006], 1999;Engleson等., Am J Clin Nutr 69 (6):1162-1169,1999;Mauss等., AIDS 12 (Sup 4):145,1998)、野牛肩(Torres, Abstract 32164:12th world AIDS Conference, Geneva [Abstract 32164], 1998;Torres等., Abstract 675:6th Conference on Retroviruses and Opportunistic Infections [Abstract 675],1999)、及び孤立性脂肪腫(Milano等., Antiviral Therapy 4 (Sup 2):41[Abstract 042], 1999)を減少させることが示されている。rhGH(SEROSTIM(商標))による治療は、電気抵抗分析により定量されるように、更に除脂肪体重及び体細胞量を増加させた(Wanke等., AIDS 13 (15):2099-2103,1999;Engleson等., Antiviral Therapy 4:(Sup 2):11 [Abstract006], 1999;Engleson等.,Am J Clin Nutr 69 (6):1162-1169,1999)。rhGHとの組合せにあるスタチン剤の使用は、脂肪異栄養症候群のより効果的な減少を期待する。更に、スタチンは、治療効果を生み出すために必要とされる投与量及びrhGH投与の頻度を効果的に減少させ得ることが意図される。
rhGH投与の全体的な副作用は、組織膨圧、空腹時グルコース及びトリグリセリドの少数の過度の上昇による指の膨張または知覚障害を含む。スタチンを基礎とする治療剤の使用は、それらのrhGH治療の副作用を改善し得ることが意図される。12週で、総コレステロール及び空腹時トリグリセリドは有意に低下し、一方HDLコレステロール及びグルコースは増加したが、それらの変化のいずれも臨床的に有意とみなされなかった(Engleson等., Antiviral Therapy 4: (Sup 2):11 [Abstract 006], 1999;Engleson等., Am J Clin Nutr 69 (6):1162-1169, 1999)。高血圧症または上昇した膵酵素の追加の症状の発現も報告されなかった。
本出願において開示及びクレームされた全ての組成物及び/または方法は、過度の実験をしないで、本発明の開示を踏まえて作製し、実行することができる。一方、本発明の組成物及び方法は、好適な態様に関して発表され、バリエーションが当該組成物及び/または方法に対し、並びに本明細書において発表されたステップまたは本明細書において発表されたステップの順番において、本発明の概念、精神及び範囲から離れずに適用され得ることは当業者には明白であろう。より詳細には、化学的且つ物理的に関連した所定の薬剤を本明細書で発表された薬剤と置換してもよく、同一または類似の結果が達成されるということは明白であろう。全てのかかる同様の代替及び修飾は、添付の特許請求の範囲によって定義されるように、本発明の精神、範囲及び概念の中にあると当業者に見なされることは明白である。
本明細書を通して引用した参考文献は、例示的な手続き、または本明細書において発表された当該参考文献に対する他の詳細な補充を提供する範囲で、全て本明細書中に参考文献により詳細に組み入れられた。

Claims (24)

  1. 異常脂質分布疾患で苦しんでいるヒトを治療するための方法であって、当該対象に成長ホルモン及びスタチンを基礎とする治療剤を投与することを含んで成る方法。
  2. 前記スタチンを基礎とする薬剤及び前記成長ホルモンが、単一の医薬組成物中に提供される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記スタチンを基礎とする薬剤が第一の医薬組成物中に提供され、及び前記成長ホルモンが第二の医薬組成物中に提供される、請求項1に記載の方法。
  4. 前記成長ホルモンが組換え成長ホルモンである、請求項1に記載の方法。
  5. 前記成長ホルモンが動物から単離される、請求項1に記載の方法。
  6. 前記スタチンを基礎とする薬剤がロバスタチンまたはロバスタチンアナログである、請求項1に記載の方法。
  7. 前記スタチンを基礎とする薬物が、アトルバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、及びフルバスタチンから成る群から選定される、請求項1に記載の方法。
  8. 前記異常脂質分布疾患が非HIV関連脂肪異栄養症である、請求項1に記載の方法。
  9. 前記異常脂質分布疾患がHIV関連異常脂質分布疾患である、請求項1に記載の方法。
  10. 前記HIV関連異常脂質分布疾患が、アテローム性異常脂質血症、高トリグリセリド血症、上昇したレベルのコレステロール、上昇したレベルの低密度リポタンパク質コレステロール、及び低レベルの高密度リポタンパク質コレステロールから選定される、請求項9に記載の方法。
  11. 前記対象が脂肪過多症に付随する糖尿病に付随する徴候を明示する、請求項1に記載の方法。
  12. 前記徴候がインスリン耐性、β細胞機能不全、第一相インスリン分泌の損失、耐糖能異常(IGT)、上昇した内因性グルコース産生、過度のグルコース新生から成る群から選定される、請求項11に記載の方法。
  13. 前記対象が2型糖尿病で苦しんでいる、請求項1に記載の方法。
  14. 更に前記対象の糖尿病を治療する方法であって、インスリン分泌促進剤を投与することを含んで成る、請求項11に記載の方法。
  15. 前記インスリン分泌促進剤がスルホニル尿素;トルブタミド;クロルプロパミド;グリメピリド;グリピザイド;グリブリド;メグリチニド;レパグリニド;プラムリンタイド;モルフィリノグアニド;アセチルコリン;ムスカリンアゴニスト;カルバコール;ベタネコール;β-L-グルコースペンタアセテート;chiro-イノシトール;myo-イノシトール;GIP;GLP-1;及びExtendin-4から成る群から選定される、請求項14に記載の方法。
  16. 前記インスリン分泌促進剤が非グルコース依存性インスリン分泌促進剤であり、及び成長ホルモン、スタチン及びインスリン分泌促進剤を組合せて投与する効果は、グルコース依存性に達することができるインスリン放出パターン、低血糖症の発生を減少させるようなニ相性放出特性を生み出す、請求項15に記載の方法。
  17. 前記対象が更にレプチンにより治療される、請求項1に記載の方法。
  18. 異常脂質分布疾患に対する組合せ治療において使用するための治療剤であって:
    a. 組換え成長ホルモンを医薬的に許容され得る担体、賦形剤または希釈剤中に含む第一の組成物;及び
    b. スタチンを基礎とする薬物を医薬的に許容され得る担体、賦形剤、または希釈剤中に含む第二の組成物を含んで成る治療剤。
  19. 前記成長ホルモン及びスタチンを基礎とする薬物が、単一製剤中に製剤化される、請求項18に記載の治療剤。
  20. 前記成長ホルモンが前記スタチンを基礎とする薬物製剤由来の個別製剤に製剤化される、請求項18に記載の治療剤。
  21. 前記成長ホルモン製剤及びスタチンを基礎とする薬物製剤が、注入可能製剤として製剤化される、請求項20に記載の治療剤。
  22. 前記スタチンを基礎とする薬物製剤が経口投与のために製剤化される、請求項20に記載の治療剤。
  23. 前記スタチンを基礎とする薬物がロバスタチンまたはそのアナログである、請求項20に記載の治療剤。
  24. 前記スタチンを基礎とする薬物が、アトルバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、及びフルバスタチンから成る群から選定される、請求項20に記載の治療剤。
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