JP2007518821A - Pggの分離および精製 - Google Patents

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Abstract

HPLCを必要としない、ペンタ−O−ガロイル−D−グルコース(PGG)のα−形態およびβ−形態の単純で、安価かつ効率的な分離および精製方法。本明細書中で提供されるこの方法は、α−PGGおよびβ−PGGならびに他の化学物質を含む混合物からα−PGGまたはβ−PGGを分離するのに有用である。α−PGGとβ−PGGとの混合物からα−PGGを分離するための方法は、以下の工程を包含する:50%以上のα−PGGと、50%以下のβ−PGGとを含むサンプルに水を提供する工程;そのPGGと水とを混合して、そのPGGを溶解させる工程;任意の溶解していない粒子を濾過して除去する工程;およびその濾過された溶液を結晶が形成されるまで平静に静置する工程。

Description

(関連出願に対する相互参照)
本出願は、2004年1月23日に出願された米国仮特許出願番号60/538,698(その全体は参考として本明細書に援用される)に対する優先権を主張する。
(発明の背景)
PGGおよびそのアナログは、抗糖尿病性および他の有益な生物活性を示し、このことは、新規薬物の開発においてこれらを有用なものにしている。代表的には、新規薬物のFDA認可のために、その薬物の純度は95%よりも高くなければならない。現在、グラムスケール〜キログラムスケールでPGDまたはそのアナログを調製および精製する効率的で費用効果の高い方法は存在しない。現在まで、クロマトグラフ精製法が、95%以上の純度でPGGまたはそのアナログを生成するための唯一公知の方法であった。しかし、クロマトグラフ法は高価であり、かつPGGおよびそのアナログの大スケールの精製には受け入れられない。現在利用可能な方法を用いる工業的スケールでのPGGの生成は、極めて高価である。
従って、現在公知の方法よりも安価であり、より大きいスケールの生成に受け入れられる、PGGおよびそのアナログを分離および精製する方法に対する必要性が存在する。
(発明の要旨)
ペンタ−O−ガロイル−D−グルコース(PGG)のα−形態およびβ−形態の分離および精製のための、単純で、安価かつ効率的な方法が、本明細書で提供される。具体的には、本明細書で提供されるこの方法は、α−PGGおよびβ−PGGならびに他の化学物質を含む混合物からα−PGGまたはβ−PGGを分離するのに有用である。本明細書に記載される方法は、以前の分離および精製方法と異なり、HPLC工程を必要としない。HPLC工程を必要としないので、本明細書に記載される方法は、大量の精製されたα−PGGおよびβ−PGGを生成するのに受け入れられる。
α−PGGおよびβ−PGGを含む混合物からα−PGGを分離する方法が提供される。α−PGGおよびβ−PGGの両方を含む混合物からβ−PGGを分離するための方法もまた、提供される。本明細書に記載される方法は、50%より多いα−PGGを含むα−PGGとβ−PGGとの混合物からα−PGGを分離するか、または50%よりも多いβ−PGGを含むα−PGGとβ−PGGとの混合物からβ−PGGを分離するのに特に適切である。
α−PGGおよびβ−PGGを95%よりも高い純度まで精製する方法もまた提供される。1つの実施形態において、この方法は、α−PGGまたはβ−PGGを98%よりも高い純度で提供する。α−PGGの単結晶およびβ−PGGの単結晶を成長させる方法もまた提供される。
PGGのグルコース部分が他の糖に置換されたα−PGGのアナログおよびβ−PGGのアナログを分離および精製するための方法もまた提供される。いくつかの実施形態において、その糖は、ヘキソース、ペントースまたはテトロースである。グルコースが1以上のヘキソースで置換される実施形態において、そのヘキソースは、ガラクトース、マンノース、イドース、タロース、アルトロース、アロース、グロース、フルクトースまたは類似物から選択され得るが、これらに限定されない。グルコースが1以上のペントースによって置換される実施形態において、そのペントースは、キシロース、リボース、アラビノースおよびリキソースから選択され得るが、これらに限定されない。グルコースがテトロースで置換される実施形態において、適切なテトロースとしては、トレオースおよびエリトロースが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載される方法は、α−PGGアナログおよびβ−PGGアナログを、このα−形態およびβ−形態の両方を含む混合物から分離し得る。本明細書に記載される方法に従って、アナログのα−形態は、50%以上のα−形態を含む混合物から分離され、アナログのβ−形態は、50%以上のβ−形態を含む混合物から分離される。いずれの場合においても、α−形態およびβ−形態は、95%以上の純度のレベルまで精製され得る。α−形態またはβ−形態を98%以上の純度で生成するための方法もまた、本明細書に記載される。
PGGのグルコース部分が他の糖(例えば、他のヘキソース、ペントースまたはテトロース)によって置換され、その糖アナログの環酸素が炭素、窒素または硫黄によって置換された、α−PGGおよびβ−PGGのアナログを分離および精製するための方法もまた、本明細書中に提供される。これらの糖に関して、本明細書に記載される方法は、α−PGGアナログおよびβ−PGGアナログを分離し得る。この分離方法は、不純な出発物質中に、それぞれ50%よりも多いα−PGGアナログまたは50%よりも多いβ−PGGアナログが存在する場合に、さらに向上される。本明細書に記載される方法に従って、α−PGGアナログおよびβ−PGGアナログの両方が95%以上の純度まで精製され得る。α−形態またはβ−形態を98%以上の純度で生成するための方法もまた、提供される。
α−PGGおよびβ−PGGのアナログの分離および精製方法もまた提供され、そのPGGの没食子酸部分は他のフェノールによって置換されている。いくつかの実施形態において、そのフェノールとしては、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、および3,5−ジヒドロキシ安息香酸が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載される方法に従って、これらのα−PGGアナログおよびβ−PGGアナログは、α−PGGアナログとβ−アナログとの混合物から分離され得る。いくつかの実施形態において、アナログのα−形態の精製のための出発物質は、50%よりも多いα−形態を含み、アナログのβ−形態の精製のための出発物質は、50%より多いβ−形態を含む。さらに、別のフェノールによって置換された没食子酸を有するα−PGGアナログおよびβ−PGGアナログはいずれも、95%以上の純度まで、または98%以上の純度まで精製され得る。
α−PGGおよびβ−PGGの混合物からα−PGGを分離するための方法は、(a)50%以上のα−PGGと、50%以下のβ−PGGを含むサンプルに水を添加する工程、(b)そのPGGと水とを混合して、そのPGGを溶解させる工程、(c)任意の溶解していない粒子を濾過して除去する工程、ならびに(d)その濾過された溶液を結晶が形成するまで平静に静置する工程を包含する。いくつかの実施形態において、上記水は二重蒸留水(double distilled water)が使用される。いくつかの実施形態において、PGGに対する水の割合は、約1gのPGGに対して約20mLの水である。いくつかの実施形態において、工程における混合は、約5分間行われる。必要に応じて、その混合工程は、PGGの溶解を助けるために高温で行われ得る。いくつかの実施形態において、上記混合工程は、フラスコを水浴インキュベーターまたは類似物の中に置くことによって、80℃で行われる。いくつかの実施形態において、上記濾過は、45μフィルターによって行われる。いくつかの実施形態において、濾過された溶液を含むフラスコは、室温で静置されるが、そのフラスコは結晶の迅速な形成のためにより低い温度に保たれ得る。上記方法は、より純粋なα−PGGを得るために繰り返され得る。本明細書に記載される方法に従って、このα−PGGの精製のための方法はまた、α−PGGのアナログに対して使用され得、このα−PGGのアナログとしては、そのPGGのグルコースがヘキソース、ペントース、テトロースによって置換されたアナログ;グルコースが糖アナログによって置換され、その糖アナログの環酸素が炭素、窒素または硫黄によって置換されたアナログ;ならびにそのPGGの没食子酸部分が他のフェノールによって置換されたアナログが挙げられるが、これらに限定されない。
α−PGGおよびβ−PGGの混合物からβ−PGGを分離するための方法は、(a)50%以上のβ−PGGと、50%以下のα−PGGとを含むサンプルにアセトンを添加する工程、(b)そのPGGとアセトンとを混合して、そのPGGを溶解させる工程、(c)任意の溶解していない粒子を濾過して除去する工程、ならびに(d)その濾過された溶液を結晶が形成するまで平静に静置する工程を包含する。いくつかの実施形態において、上記アセトンは、約1gのPGGに対して約5mLのアセトンの割合で、PGGに添加される。いくつかの実施形態において、工程(b)の混合は、約5分間行われる。必要に応じて、上記混合工程(b)は、PGGの溶解を助けるために高温で行われ得る。いくつかの実施形態において、工程(b)は、そのフラスコを水浴インキュベーターまたは類似物の中に置くことによって、80℃で行われ得る。いくつかの実施形態において、上記濾過は、濾紙によって行われる。いくつかの実施形態において、濾過された溶液を含むフラスコは、室温で静置されるが、そのフラスコは、結晶の迅速な形成のために、より低い温度に保たれ得る。本明細書に記載される方法に従って、このβ−PGGの精製のための方法はまた、β−PGGのアナログに対して使用され得、このβ−PGGのアナログとしては、そのPGGのグルコースがヘキソース、ペントースまたはテトロースによって置換されたアナログ;グルコースが糖アナログによって置換され、その糖アナログの環酸素が炭素、窒素または硫黄によって置換されたアナログ、ならびにそのPGGの没食子酸部分が他のフェノールによって置換されたアナログが挙げられるが、これらに限定されない。
単結晶α−PGGを調製するための方法は、(a)純粋な(95%以上)α−PGGのサンプルに水を添加する工程、(b)そのα−PGGと水とを混合して、そのα−PGGを溶解させる工程、(c)任意の溶解していない粒子を濾過して除去し、その濾過された溶液を清浄な容器に入れる工程、および(d)その濾過された溶液を結晶が現れるまで平静に維持する工程を包含する。いくつかの実施形態において、二重蒸留水がα−PGGの単結晶を調製する方法において使用される。いくつかの実施形態において、上記水は、約1.0gのα−PGGに対して約100mLの水の割合で、そのα−PGGに添加される。いくつかの実施形態において、工程(b)の混合は、約5分間行われる。必要に応じて、その溶液は、α−PGGの溶解を助けるために、混合工程(b)の間、加熱され得る。いくつかの実施形態において、混合工程(b)は、80℃で行われる。いくつかの実施形態において、溶液は工程(c)において濾紙によって濾過される。いくつかの実施形態において、工程(d)は、室温にて約15日間行われる。本明細書に記載される方法に従って、このα−PGGの単結晶を調製するための方法はまた、α−PGGのアナログに対して使用され得、このα−PGGのアナログとしては、そのPGGのグルコースがヘキソース、ペントースまたはテトロースによって置換されたアナログ;グルコースが糖アナログによって置換され、その糖アナログの環酸素が炭素、窒素または硫黄によって置換されたアナログ;ならびにそのPGGの没食子酸部分が他のフェノールによって置換されたアナログが挙げられるが、これらに限定されない。
単結晶β−PGGを調製するための方法は、(a)純粋な(95%以上)β−PGGのサンプルにアセトンを添加する工程、(b)そのβ−PGGとアセトンとを混合して、そのβ−PGGを溶解させる工程、(c)任意の溶解していない粒子を濾過して除去し、その濾過された溶液を清浄な容器に入れる工程、および(d)その濾過された溶液を結晶が現れるまで平静に維持する工程を包含する。いくつかの実施形態において、PGGに対するアセトンの割合は、約1.0gのβ−PGGあたり約50mLのアセトンである。いくつかの実施形態において、工程(b)の混合は、約5分間行われる。必要に応じて、その溶液は、PGGの溶解を助けるために、混合工程(b)の間、加熱され得る。いくつかの実施形態において、混合工程(b)は、80℃で行われる。いくつかの実施形態において、溶液は工程(c)において濾紙によって濾過される。いくつかの実施形態において、工程(d)は、室温にて約20日間行われる。このβ−PGGの単結晶を調製するための方法はまた、β−PGGのアナログに対して使用され得、このβ−PGGのアナログとしては、そのPGGのグルコースがヘキソース、ペントースまたはテトロースによって置換されたアナログ;グルコースが糖アナログによって置換され、その糖アナログの環酸素が炭素、窒素または硫黄によって置換されたアナログ;ならびにそのPGGの没食子酸部分が他のフェノールによって置換されたアナログが挙げられるが、これらに限定されない。
(発明の詳細な説明)
本明細書中に提供されるのは、PGGのα−異性体とβ−異性体との結晶化による分離および精製のための方法である。本明細書中に記載される方法はまた、薬剤として有用である可能性のあるものを含む、多くの異なるPGGアナログのα−異性体とβ−異性体とを分離するために使用され得る。本明細書中に記載される方法は、なお95%以上の純度の異性体を生成しながら、実験室スケールからkg量、トン量までの量の範囲に使用され得る。さらに、本明細書中に記載される方法は、非常に費用効果が高く、なおかつ環境にやさしい。なぜならば、水が唯一必要とされる溶媒であるからである。本明細書中に記載される方法はまた、α−PGG、β−PGGまたはこれらのアナログの単結晶を生成するためにも使用され得る。
本明細書中に記載される方法は、α−PGGおよびβ−PGG、ならびにこれらのアナログの分離および精製を、kg〜トンのスケールで達成するので、この方法は、産業上の用途に適切である。さらに、本明細書中に記載される方法は、安価である−本発明では、唯一必要とされる溶媒が水であり、そして、標準的な器具が使用され得る。さらに、このプロセスは、室温で実施され、それにより、高価でかつ時間のかかる、加熱および/または冷却の工程が不要となる。この方法はまた、有機溶媒を必要としないので、環境にやさしく、そして、このプロセスは、加熱および冷却なしで実行され得る。
今日まで、高純度のα−PGG異性体およびβ−PGG異性体を生成するために利用可能な唯一の方法は、高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)であった。HPLCは、多くの欠点を有し、大量の物質の分離には適さない。HPLCは、mg〜gの量のPGGの分離に使用され得るのみである。さらに、HPLCは、購入に少なくとも$25,000〜$30,000を費やす、複雑なHPLCシステムを必要とするので、結晶化よりも遅く、そして、ずっと高額である。さらに、大量の溶媒が、HPLCを実行するために使用されなければならず、そして、高い純度を維持するためには、有意な量の化合物を犠牲にしなければならない(破棄しなければならない)が、回収される物質の収量は低い。
本明細書中に記載される方法を使用すれば、PGGおよびそのアナログは、非常に低コストかつ高収量で、水または水ベースの溶媒系中で分離および精製され得る。本明細書中に記載される方法は、少なくとも95%、95%以上の純度でのPGGおよびそのアナログの異性体の製造にかかる総コストを下げる。
本明細書中に記載される方法は、α−PGGおよびβ−PGGを含有する混合物からα−PGGを分離すること、そして、α−PGGおよびβ−PGGの両方を含有する混合物からβ−PGGを分離することに有用である。本発明の方法は、50%より多いα−PGGを含有する、α−PGGおよびβ−PGGの混合物からα−PGGを分離すること、ならびに、50%より多いβ−PGGを含有する、α−PGGおよびβ−PGGの混合物からβ−PGGを分離すること、に特に適している。
本明細書中に記載される結晶化方法は、95%より高い純度で、α−PGGおよびβ−PGG、ならびにこれらのアナログを提供する。別の実施形態において、本明細書中に記載される方法は、98%以上の純度でα−PGGもしくはβ−PGG、またはこれらのアナログを生成する。また、α−PGGの単結晶およびβ−PGGの単結晶を成長させる方法も提供される。
また、α−PGGおよびβ−PGGの多くのアナログのアナログの分離および精製のための方法が提供される。1つのこのようなアナログにおいて、PGGのグルコース部分は、他の糖(例えば、ヘキソース、ペントースまたはテトロース)により置換されている。使用され得るヘキソースとしては、ガラクトース、マンノース、イドース、タロース、アルトロース、アロース、グロース、フルクトースなどが挙げられるがこれらに限定されない。使用され得るペントースとしては、キシロース、リボース、アラビノースおよびリキソースが挙げられるがこれらに限定されない。使用され得るテトロースとしては、トレオースおよびエリスロースが挙げられるがこれらに限定されない。本明細書中に記載される方法は、αおよびβの混合物から、α−PGGおよびβ−PGGのアナログを分離し得る。これは、α−形態が50%より多く存在する場合、およびβ−形態が50%より多く存在する場合を含む。両方の場合において、α−形態およびβ−形態は、95%以上の純度レベルまで精製され得る。
本明細書中に記載される分離および精製の方法に適したPGGアナログの第2の分類は、PGGのグルコース部分が、グルコース、他のヘキソース、ペントースまたはテトロースの糖アナログにより置換されている、α−PGGおよびβ−PGGのアナログであり、ここで、糖アナログの環酸素は、炭素、窒素または硫黄により置換される。これらのアナログに関して、本明細書中に記載される方法は、α−PGGアナログおよびβ−PGGアナログを分離し得る。これらの方法は、50%より多いα−PGGアナログ、または50%より多いβ−PGGアナログが存在する混合物に適している。本明細書中に記載される方法によれば、α−PGGアナログおよびβ−PGGアナログの両方が、95%以上の純度まで精製され得る。
また、PGGの没食子酸部分が他のフェノールで置き換えられている、α−PGGおよびβ−PGGのアナログの精製および分離の方法が提供される。使用され得る他のフェノールとしては、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸および3,5−ジヒドロキシ安息香酸が挙げられるがこれらに限定されない。本明細書中に記載される方法によれば、これらのα−PGGアナログおよびβ−PGGアナログは、50%より多いα−形態を含有するか、または、50%より多いβ−形態を含有するかのいずれかである、α−PGGアナログおよびβ−PGGアナログの混合物から分離され得る。さらに、別のフェノールで置き換えられた没食子酸を有するα−PGGアナログおよびβ−PGGアナログの両方が、95%以上の純度まで精製され得る。
(方法)
(α−PGGまたはそのアナログの結晶化の標準的な操作手順)
結晶化は、以下のようにして、実験室スケールで実施される:(1)50%以上の純度を有するα−PGGを含有するサンプル(1.0g)を、100mLフラスコに加える。(2)次いで、20mLの二重蒸留水をこのフラスコに加える。(3)このフラスコを、80℃の水浴インキュベーターに約5分間置き、そして、穏やかに振盪して、サンプルを溶解する。(4)溶解していない粒子を全て、0.45μmのフィルタメンブレンを用いて除去する。濾過した溶液を、きれいなフラスコに加える。(5)このフラスコを、白色結晶が現れるまで、約5〜7日間、室温に静置する。
結晶化の速度は、温度によって影響され、そして、結晶化は、室温より下の温度にフラスコを維持することによって加速され得る。
より高い純度が所望される場合は、結晶を濾過して、工程1〜5を繰り返す。98%より高い純度を有するサンプルは、これらの工程を5回以上繰り返すことによって得られ得る。
この手順をスケールアップするために、サンプル1gあたり20mLの二重蒸留水を加えて、上に概説した手順に従う。
(α−PGGの単結晶を成長させるための、標準的な操作手順)
(1)95%以上の純度を有するα−PGG(1.0g)を、200mLフラスコに加える。(2)100mLの二重蒸留水をこのフラスコに加える。(3)このフラスコを、80℃の水浴インキュベーターに約5分間置き、そして、穏やかにフラスコを振盪して、サンプルを溶解する。(4)溶解していない粒子を全て、濾紙を用いて除去し、透明な濾過した溶液を、きれいなフラスコに加える。(5)このフラスコを、いくつかの細い無色の針状結晶が現れるまで、約15日間、室温に静置する。(6)この結晶を濾過し、密封したフラスコ内に保存する。
(β−PGGの結晶化のための標準的な操作手順)
β−PGGの結晶化のための手順は、以下のとおりである:(1)50%以上の純度を有するβ−PGGを含有するサンプル(1.0g)を、10mLフラスコに加える。(2)5.0mLのアセトンをこのフラスコに加える。(3)このフラスコを、80℃の水浴インキュベーターに約10分間置き、そして、穏やかにフラスコを振盪して、サンプルを溶解する。(4)濾紙を通して溶液を濾過し、濾過した溶液を、きれいなフラスコに加える。(5)このフラスコを、いくつかの無色の針状結晶が現れるまで、約15日間、室温に静置する。(6)より高い純度が所望される場合は、結晶を濾過して、工程1〜5を繰り返す。この手順をスケールアップするために、サンプル1gあたり5gのアセトンの割合でアセトンを加えて、β−PGGを結晶化する。
(β−PGGの単結晶を成長させるための標準的な操作手順)
(1)(95%以上)純粋なβ−PGGを含むサンプル(1.0g)を、100mLフラスコに加える。(2)50mLのアセトンをこのフラスコに加える。(3)このフラスコを、80℃の水浴インキュベーターに約10分間置き、そして、穏やかにフラスコを振盪して、サンプルを溶解する。(4)濾紙を通して溶液を濾過し、濾過した溶液を、きれいなフラスコに加える。(5)このフラスコを、いくつかの無色の針状結晶が現れるまで、約20日間、室温に静置する。(6)この結晶を濾過し、密封したフラスコ内に保存する。
図1は、微分干渉コントラスト顕微鏡下でのα−PGG(左)およびβ−PGG(右)の結晶構造を示す。

Claims (29)

  1. α−ペンタ−O−ガロイル−D−グルコース(PGG)もしくはそのアナログと、β−PGGもしくはそのアナログとの混合物からα−PGGを分離するための方法であって、該方法は、以下の工程:
    a)50%以上のα−PGGおよび50%以下のβ−PGGを含むPGG混合物に水を添加する工程;
    b)該PGGと水とを混合して該PGGを溶解させる工程;
    c)任意の溶解していない粒子を濾過して除去する工程;ならびに
    d)該濾過された溶液を結晶が形成するまで平静に静置する工程
    を包含し、該結晶は、該α−PGGもしくはα−PGGアナログを含む、方法。
  2. 二重蒸留水が工程(a)で使用される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記PGGに対する水の割合が、約1gのPGGに対して約20mLの水である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記混合工程が約5分間行われる、請求項1に記載の方法。
  5. 前記混合工程が高温で行われる、請求項1に記載の方法。
  6. 前記混合工程が80℃で行われる、請求項5に記載の方法。
  7. 前記濾過工程が45μmフィルターを用いて行われる、請求項1に記載の方法。
  8. 工程(d)の前記濾過された溶液が、室温よりも低い温度に保たれる、請求項1に記載の方法。
  9. 前記PGGのα−アナログおよびβ−アナログが、該PGGのグルコースがヘキソース、ペントースまたはテトロースによって置換されたアナログから選択される、請求項1に記載の方法。
  10. 前記PGGのα−アナログおよびβ−アナログが、グルコースまたは他のヘキソース、ペントースもしくはテトロースの環酸素が炭素、窒素または硫黄によって置換されたアナログから選択される、請求項1に記載の方法。
  11. 前記PGGのα−アナログおよびβ−アナログが、該PGGの没食子酸部分が他のフェノールによって置換されたアナログから選択される、請求項1に記載の方法。
  12. 前記α−PGGもしくはα−PGGアナログの純度が95%以上である、請求項1に記載の方法。
  13. α−PGGもしくはそのアナログと、β−PGGもしくはそのアナログとの混合物からβ−PGGもしくはそのアナログを分離するための方法であって、該方法は、以下の工程:
    a)50%以上のβ−PGGおよび50%以下のα−PGGを含むPGGの混合物にアセトンを添加する工程;
    b)該PGGとアセトンとを混合して該PGGを溶解させる工程;
    c)任意の溶解していない粒子を濾過して除去する工程;ならびに
    d)該濾過された溶液を結晶が形成するまで平静に静置する工程
    を包含し、該結晶は、該β−PGGもしくはβ−PGGアナログを含む、方法。
  14. 前記アセトンが、約1gのPGGに対して約5mLのアセトンの割合で、該PGGに添加される、請求項13に記載の方法。
  15. 工程(b)の混合工程における前記混合が、約5分間行われる、請求項13に記載の方法。
  16. 前記混合工程(b)が高温で行われ得る、請求項13に記載の方法。
  17. 前記混合工程(b)が80℃で行われる、請求項16に記載の方法。
  18. 前記濾過工程(c)が濾紙によって行われる、請求項13に記載の方法。
  19. 工程(d)が室温よりも低い温度で行われる、請求項13に記載の方法。
  20. 前記PGGのα−アナログおよびβ−アナログが、該PGGのグルコースがヘキソース、ペントースまたはテトロースによって置換されたアナログから選択される、請求項13に記載の方法。
  21. 前記PGGのα−アナログおよびβ−アナログが、グルコースまたは他のヘキソース、ペントースもしくはテトロースの環酸素が炭素、窒素または硫黄によって置換されたアナログから選択される、請求項13に記載の方法。
  22. 前記PGGのα−アナログおよびβ−アナログが、該PGGの没食子酸部分が他のフェノールによって置換されたアナログから選択される、請求項13に記載の方法。
  23. 前記β−PGGもしくはβ−PGGアナログの純度が95%以上である、請求項13に記載の方法。
  24. 単結晶α−PGGもしくはそのアナログを調製するための方法であって、該方法は、以下の工程:
    a)95%以上の純度を有するα−PGGのサンプルに水を添加する工程;
    b)該α−PGGと水とを混合して、該α−PGGを溶解させる工程;
    c)任意の溶解していない粒子を濾過して除去し、該濾過された溶液を清浄な容器に入れる工程;および
    d)該濾過された溶液をα−PGG結晶が現れるまで平静に維持する工程
    を包含する、方法。
  25. 前記水が、約1.0gのα−PGGに対して約100mLの水の割合で該α−PGGに添加される、請求項24に記載の方法。
  26. 工程(d)が約15日間行われる、請求項24に記載の方法。
  27. 単結晶β−PGGを調製するための方法であって、該方法は、以下の工程:
    a)95%以上の純度を有するβ−PGGのサンプルにアセトンを添加する工程;
    b)該β−PGGとアセトンとを混合して、該β−PGGを溶解させる工程;
    c)任意の溶解していない粒子を濾過して除去し、該濾過された溶液を清浄な容器に入れる工程;および
    d)該濾過された溶液を、結晶が現れるまで平静に維持する工程
    を包含する、方法。
  28. PGGに対するアセトンの割合が、約1.0gのβ−PGGあたり約50mLのアセトンである、請求項27に記載の方法。
  29. 工程(d)が約20日間行われる、請求項27に記載の方法。
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