JP2006516148A - 極性の、好ましくは水性の溶媒から2−ケト−l−グロン酸(kga)を抽出する方法 - Google Patents

極性の、好ましくは水性の溶媒から2−ケト−l−グロン酸(kga)を抽出する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、極性の、好ましくは水性の溶媒から、好ましくはアスコルビン酸と2-ケト-L-グロン酸の混合物を含有する溶媒から、第3アミンおよび極性の有機希釈剤を含有する抽出剤を用いて液-液抽出を行うことによって、2-ケト-L-グロン酸を抽出する方法に関する。好ましくは、本発明の方法は2-ケト-L-グロン酸の逆抽出および該抽出剤の戻し入れ使用のための工程をも含む。本発明はまた、2-ケト-L-グロン酸からアスコルビン酸を生成させるため、およびそのようにして生成されたアスコルビン酸を単離する方法にも関する。

Description

本発明は極性の、好ましくは水性の溶媒から2-ケト-L-グロン酸(KGA)を抽出する方法に関する。
L-アスコルビン酸(ビタミンC、アスコルビン酸、l-キシロ-アスコルビン酸、l-トレオ-ヘキサ-2-エノン酸γ-ラクトン)は、通常は2-ケト-L-グロン酸(KGA)、モノアセトン-2-ケト-L-グロン酸、またはジアセトン-ケトグロン酸から調製される。より新しい方法では、KGAは、一段または多段の発酵方法、例えば、この目的に適した微生物、それらには特別に改変させた微生物もあるが、それらを用いた、ソルビトールからソルボースを経由する二段階発酵によって得られる。
「Reichstein processs (ライヒスタインプロセス)」の結果得られたKGA、またはジアセトン-2-ケト-L-グロン酸は、直接的に、または中間体、例えばエステル、特にメチルもしくはブチルエステルなどを経由してラクトン化される。酸、通常は無機酸、特に濃塩酸(酸ラクトン化)、または塩基、例えば水酸化ナトリウム溶液、NaHCO3、Na2CO3、アルコラート、その他など(アルカリラクトン化)は、触媒として用いられる。KGAのアスコルビン酸への自己触媒性の変換も報告されている。ラクトン化反応で得られた生成物は様々な量のKGAを含んでいる粗アスコルビン酸であり、それからアスコルビン酸を得るにはさらに精製しなければならない。
文献中には種々の分離方法が報告されている。アスコルビン酸とKGAの混合物の経済的に分画することは原理的にはかなり困難である。アスコルビン酸とKGAの化学構造の相異は、ラクトン化の際に形成されるアスコルビン酸のラクトン構造のみである。従って、これらの2種は互いにその化学反応性がよく似ており、物理学的性質は類似している。従って、これらの酸は双方とも、通常の工業的調製条件下および精製条件下では、分解のpH依存傾向および温度依存傾向が類似しており、着色した分解生成物を形成する。KGAとアスコルビン酸の溶解性は4個の親水性のヒドロキシル基と酸性基によって決定される。KGAとアスコルビン酸の双方とも極性溶媒中への溶解性は類似しており、それらは極性溶媒、特に水に容易に溶解するが、非極性の有機溶媒中にはわずかしか溶けない。
このことは、アスコルビン酸の調製法についての先行技術文献で記載されている、アスコルビン酸をその前駆体であるKGAまたはその誘導体から分離する方法で特に明らかである。
JP 85019285によれば、アスコルビン酸とKGAは水溶液からKGAをNa KGAとして結晶化させることによって分離することができる。その後の工程でKGAをNa KGAから遊離させることが必要である。
結晶アスコルビン酸もJP 31856の方法で提供される。この特許では、ジアセトン-2-ケト-L−グロン酸水和物の、溶媒としてトルエン、アルコール、およびアセトンの混合物中での酸で触媒されるラクトン化が記載されている。
DE 641639では、十分な収率とアスコルビン酸純度を得るためにハロ炭化水素を沈殿助剤として添加する。その結果、アルキルハライドなどの望ましくない副生成物が生じ、それを丹念に取り除くことが必要となる。
アルカリで触媒する方法では。アスコルビン酸のナトリウム塩が得られ、それをさらに別の方法で遊離のACA(アスコルビン酸)に変換しなければならず、それに伴って等モル量のNaClまたはNa2SO4が生ずる。その後に通常はさらに結晶化工程が必要である。
塩を生成させることなく遊離のアスコルビン酸が得られる方法が米国特許第5,041,563号に述べられている。この特許は、長鎖アミンを用いて双極性の溶媒中でKGAエステルの塩基で触媒するラクトン化を行ってアスコルビン酸アンモニウムを得ようとするものである。その後のアスコルビン酸の遊離は非極性溶媒を用いたアミンの抽出によって行う。同時に、着色した副生成物が抽出される。
KGAから触媒を用いずにアスコルビン酸を合成する方法は1940年頃から知られている。
DE 861841は部分的変換をしつつ行う直接的ラクトン化について述べており、アスコルビン酸は選択的結晶化によって取り出し、前駆体は再利用される。未反応の前駆体はアスコルビン酸を結晶化させることによって除去される。その前駆体は結晶化後の母液中で低濃度でなければならないが、それは、もしそうでない場合には生成物中に夾雑物として含まれてしまうからである。従って、変換が高度に起こっている状態で行う必要がある。
米国特許第1,904,619号は、水溶液中での部分的な変換を伴うKGA(誘導体)の連続的ラクトン化方法について述べている。生成物はメタノールからの結晶化および再結晶化によって単離する。母液を全て併せ、濃縮し、水溶液に戻す。
WO 98/08584は、水溶液からの、超臨界CO2を用いた、酸の液-液抽出のための方法について述べている。しかし、この方法は発酵ブロスから純粋なKGAまたはアスコルビン酸を単離するためのみに用いられている。水溶液からのKGAおよびACAの選択的分離については記載されていない。
FR 1050832およびFR 1099614によれば、不純物を水溶液から液-液抽出することにより、糖からのアスコルビン酸の分離を行うことができ、粗アスコルビン酸の精製が可能となる。
当業界ではアスコルビン酸とKGAを分離するための経済的な方法はいまだになく、アスコルビン酸調製の方法では通常、アスコルビン酸へのKGAの夾雑を避けるために、KGAまたは特定の前駆体の完全な変換を行ってラクトン化しなければならない。
多くの方法において前駆体または生成物の誘導体化が行われる。特に、アスコルビン酸がアルコールに不溶性なのに対してKGAのメチルエステルまたはブチルエステルが可溶性であるので、それらのエステルの形成が行われる。これまでに報告されてきた分離方法は非常に複雑であり効率が低い。さらにそれらの方法は環境保護の点からも不満足なもので、それはエネルギーを多量に消費し、有機溶媒、その多くは毒性があるが、そのような有機溶媒を用いるからである。
しかし、アスコルビン酸の調製には、調製方法の全段階において純度と収率についての特別な要求事項があるという特徴がある:第1は、最終製剤をヒトの栄養補給用途に用いることができるようにすることであり、第2は、調製のコストを最小限に抑えることである。
アスコルビン酸と2-ケト-L-グロン酸の混合物から2-ケト-L-グロン酸を選択的かつ経済的に分離することに有利な方法を提供することが本発明の1目的である。
我々はこの目的が本明細書記載の実施形態によって達成され、特許請求の範囲で特徴付けられることを見出した。
従って、本発明は極性溶媒から2-ケト-L-グロン酸(KGA)を抽出する方法に関し、その方法は次の工程:
(a) 式:
Figure 2006516148
(式中、R1、R2、および/またはR3はそれぞれ、互いに独立にまたは同時に、6から14個の炭素原子を有する、飽和した、分枝していないまたは分枝したアルキル基である)
で表される第3アミンと、極性の有機希釈剤とを含む抽出剤1であって、前記溶媒と混和性の格差を有する抽出剤1を用いて、極性の、好ましくは水性の溶媒から2-ケト-L-グロン酸を抽出する工程
を含む。
DE 38 31 071では、KGAは2から6モル当量の長鎖アミンの存在下で、分圧が10から60バールのCO2を用いて抽出される。
EP 359 645では、KGAの希溶液を、ケロシン中にアミン(Adogen 83)を含有する溶液の等量を用いて抽出し、硝酸で逆抽出する。
GE 1,426,018には、抽出法による、水溶液からの、特に、クエン酸、乳酸、およびシュウ酸の単離が述べられている。
それらに基づいて、EP 828 725は、(a)第1の抽出剤として少なくとも1種の第2または第3アルキルアミンで炭素原子の総数が少なくとも20であるもの、および(b)極性の抽出増強性化合物(「エンハンサー」)を含む、水と混和しない組成物を用いて、水溶液からアスコルビン酸を抽出する方法を開示している。エンハンサーに対するアミンのの比は、この場合では少なくとも1:2である。
驚いたことには、本発明の方法が用いることができるようになったことから、現在では極性溶媒からKGAを選択的に抽出することが可能となった。本発明の方法を介して特に、溶液状態でKGAとアスコルビン酸を含有する極性溶媒からKGAを選択的かつ経済的にアスコルビン酸から分離することが可能となったことは、有利なことである。これまでに、2種類の類似の有機酸であるアスコルビン酸とKGAが液-液抽出によって互いに選択的に分離できることが示されたことはなかった。
従って、特に好ましい1実施形態においては、KGAは、アスコルビン酸およびKGAを含む極性溶媒から有利に抽出される。
抽出による経済的な分離は、抽出剤と溶媒の間に混和性の格差があり、分離しようとする物質、この場合はアスコルビン酸とKGAの分配係数の間に差があり、一方の抽出剤中の分配係数が十分に大きい場合に可能となる。アスコルビン酸とKGAは構造的に類似しているため、極性溶媒、特に水と比較した場合に、十分に差があってしかも十分に高い分配係数を有するような抽出剤を見出すことが可能であるとは考えられなかった。このことは、部分的自己触媒性ラクトン化および触媒を用いて分配することの利点は1940年以来知られてはいたが、この調製工程が、前駆体と生成物とを分離するための適切な方法がないためにアスコルビン酸の調製用としては工業的スケールでは用いられていない、という事実からも示されている。
「抽出」または「抽出する」という用語は、本発明ではこれ以降は、非極性から極性の溶媒、または溶媒混合物を用いて、固体または液体のサンプル中に存在する物質、特にアスコルビン酸またはKGAを、そのサンプルから特定の抽出剤または抽出剤の混合物中に移行させることを意味する。また、抽出剤とは、これ以降、種々の溶媒の混合物で、その混合物が本明細書中に記載の抽出剤としての性質、特にアスコルビン酸またはKGAの抽出剤としての働きをすることのできるものである限りは、そのような混合物をも意味する。
本発明での抽出は「液-液抽出」である。本発明では「液-液抽出」とは、ある液体の溶媒中に溶解させた物質の、第2の液体溶媒を用いる抽出を意味する。抽出をどのように行うか、例えば抽出剤または抽出温度をどうするかは、特定の物質が本質的にまたはできるだけ抽出されるかまたは抽出されないように、決定することができる。
極性溶媒は本発明では水性溶液で、それには水、または極性の非プロトン性もしくはプロトン性有機溶媒、例えば、アルキルアルコールで1から4個の炭素原子を有するアルキル基を持つもの、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、もしくはブタノール、または例えば、アセトン、アセトニトリル、もしくはジメチルスルホキシド、またはそれらの混合物が挙げられる。
「水性溶液」という用語は、水または水溶液を意味し、そのようなものとしては、例えば、脱イオン水、脱塩水、蒸留水、または2回蒸留水が挙げられる。水溶液中には1種以上の物質を溶解させるか、または混合することができる。従って、価値のある物質の抽出、安定性、もしくは溶解性を改善するような物質、または好ましい性質、例えば、pH、電導度、塩濃度、その他をもたらすような物質、例えば、塩もしくはバッファー溶液などを存在させることができる。
該溶媒は下記に述べるようなKGA含量を有するものが好ましい。該溶媒がアスコルビン酸をも含んでいるような好ましい1実施形態においては、KGA含量およびアスコルビン酸含量は下記に述べるとおりである。
本発明で「抽出剤1」とは該溶媒とは混和しない溶媒または溶媒混合物であって、該溶媒と混和性の格差を有するものを意味する。従って、抽出によって、KGAが取り込まれた抽出剤を含む相1、及び、該溶媒と、それが適切である場合にはアスコルビン酸とを含んでいる相2をもたらす。
好ましくは、抽出剤1は本質的に、次式:
Figure 2006516148
(式中、R1、R2、および/またはR3はそれぞれ、飽和した、分枝していないまたは分枝したアルキル基であり、互いに独立にまたは同時に、6個から14個の炭素原子を有し、R1、R2、および/もしくはR3は特に、nがそれぞれ6から14である-(CH2)n-CH3である)
で表される本発明の第3アミン、または本発明のアミンの混合物、ならびに極性の有機溶媒を含む。該抽出剤は好ましくは、該アミンまたはそれらの混合物、および極性の有機溶媒のみからなるものである。
8個から12個の炭素原子を有するアルキル基が特に好ましく、nの値は8から12であることが特に好ましい。特に好ましい1実施形態においては、R1とR2とR3が等しいことである。従って、特に好ましい1実施形態は、本発明の方法は、トリ-n-オクチルアミン、および/またはトリ-n-デシルアミンを含む抽出剤を用いた抽出に関する。
本発明で「希釈剤」という用語は、EP 828 725に開示されている極性の、特にプロトン性の、エンハンサー、特にアルカノール、ケトン、アルデヒド、エステル、およびエーテルを意味する。該抽出剤中に存在する極性の有機希釈剤は、好ましくは、4から14個の炭素原子を有する飽和した、分枝しているまたは分枝していないアルキルアルコールからなるものである。好ましくは、該希釈剤は8から12個の炭素原子を有する飽和した、分枝しているまたは分枝していないアルキルアルコールであり、i-デカノールもしくはn-デカノール、またはそれらの混合物が非常に好ましい。
好ましくは、抽出剤1は、トリ-n-オクチルアミンおよびトリ-n-デシルアミン、特にその比が1:0から0:1、好ましくはその比が30:60から60:30のもの、および該希釈剤、特にデカノールからなるものである。このようなアミン混合物はHostarexという商品名で市販されている。
アミンの希釈剤に対する好ましい比率は、用いる成分によって変わる。好ましくはその比は20:80から80:20である。トリ-n-オクチルアミン/トリ-n-デシルアミンをC8-からC12-アルキルアルコール、好ましくはn-またはi-デカノールを含む混合物を、好ましくはトリ-n-オクチルアミン/トリ-n-デシルアミンのn-またはイソデカノールに対する比を20:80から80:20として用いることである。特に好ましいトリ-n-オクチルアミン/トリ-n-デシルアミンのイソデカノールに対する比は40/60である。
次の成分と比率を有するものを用いた抽出が最も好ましい:アミン:トリ-n-オクチルアミン/トリ-n-デシルアミンの比が50:50、およびアミンのイソデカノールに対する比が40:60。
アスコルビン酸とKGAの混合物からのKGAの分離は、アスコルビン酸に対するKGAの分配係数の比が、正常な条件下で少なくとも1.5:1、好ましくは4:1、より好ましくは7:1以上である場合に、本発明に従って経済的に行うことが可能であり、分配係数は本来、温度に依存して変わる。該分配係数は当業者にはよく知られた方法、例えば一段抽出後にHPLC分析およびヨウ素還元滴定を行うなどの方法によってで測定することができる。
本発明の抽出は本明細書に引用した文献類に記載のとおり、または、実施例に記載のとおり行うことができ、例えば、向流抽出カラム、または多段ミキサー/デカンターカスケード(ミキサー-セトラー)を用いて行うことができる。
本発明の方法では、抽出剤1と、溶媒中のアスコルビン酸及びKGAの混合物が、0.5:1から3:1の比で、好ましくは2:1から1:1の比で、特に好ましくは1:1の比で用いられることが好ましい。
1実施形態においては、本発明の方法で溶媒として、水性溶液または、分枝したもしくは分枝していないC1-からC4-アルキルアルコールが用いられる。水または水溶液を用いることが好ましい。本明細書で用いている定義では「水性溶液」という用語は、水と、バッファー、発酵溶液、塩溶液、および、例えばpH、溶液の無菌性、または物質の安定性に影響を及ぼす物質を含んでいるその他の溶液との両方を包含する。該溶媒は発酵ブロスまたは傾斜して取った、ろ過した、またはその他の方法で精製した発酵ブロスの上清とすることもできる。
1実施形態においては、工程(a)でのKGAの抽出の前に、それ以前に行ったラクトン化反応から得られた生成物を、例えば下記のとおり濃縮することができる。このとき、有利には、濃縮後に溶液の冷却を行ったのちKGAの抽出を行う。その濃縮は高温減圧下、例えば本明細書記載の条件で蒸発させることによって行うことが有利である。
きわめて好ましい1実施形態においては、本発明の方法において、例えば下記の比率でKGAとアスコルビン酸を含む水または水溶液、例えば、発酵ブロスを溶媒として用い、トリ-n-オクチルアミン/トリ-n-デシルアミン/i-デカノールを20:20:60の比率で抽出剤1として用いる。
本発明の方法の工程(a)での抽出は10℃から60℃の間の温度で行うことが好ましい。15℃から30℃の間の温度が特に好ましい。当業者であれば、好ましい温度を選択するにあたって、抽出効率と、特定の抽出温度を達成するために注入する冷却エネルギーとの関係、およびその特定の抽出温度での前駆体の溶解性を考慮する。経済的および環境の面での理由とは、好ましい温度が、冷却または加熱のためにエネルギーを追加注入することなく達成しうる温度(常温)であることを意味する。好ましくは、本発明の方法において該工程は30℃から60℃、好ましくは40℃で行われる。
さらに別の1実施形態においては、本発明の方法はさらに次の工程を含む:
(b) 抽出後の前記抽出剤1から、極性の抽出剤2を用いてKGAの逆抽出を行って、KGAが取り込まれた抽出剤2を得る工程。
本発明では、「完全な、または部分的な逆抽出」とは、KGAが好ましくは実質的に少なくとも30重量%から100重量%、抽出剤2中に逆抽出されることを意味している。50重量%が好ましく、75重量%以上がより好ましい。
効率的な逆抽出を可能とするために、逆抽出前の抽出剤2中のKGA濃度は抽出剤1よりも低いこと、すなわち、その比率が10重量%であることが好ましく、5重量%または1重量%以下がより好ましく、0.1重量%未満が最も好ましい。
抽出剤2は上述のとおり極性溶媒であり、好ましくは水または水溶液、または分枝したもしくは分枝していないC1-からC4-アルキルアルコールである。
好ましい1実施形態においては、抽出剤2および溶媒は実質的には同一の溶媒成分からなるものである。
この場合に「実質的に同一の溶媒成分からなる」とは、それらの2つの組成物がそれらの溶媒構成成分において実質的に異ならないこと、例えば30%以下、より好ましくは10%、さらにより好ましくは5%組成が異なるかまたは同一の組成であることを意味している。従って、例えば、一方の組成物は実質的に少量のアルキルアルコールを含んでいる水性溶液からなるものとすることができ、他方、もう一方の組成物は水性溶液のみからなるものとすることができる。好ましい1実施形態においては、それらの2つの組成物は、溶媒成分およびその割合に関して同一である。
抽出剤2は好ましくは同様に極性のものである。溶媒および抽出剤2は水または水溶液であることが特に好ましい。
1実施形態においては、溶媒および抽出剤2は、アスコルビン酸とKGAの割合は別として実質的に同一の物質を含んでいる溶液からなる。
「アスコルビン酸とKGAの割合は別として実質的に同一の物質を含んでいる」とは、2つの組成物が、アスコルビン酸とKGAの割合は別として、溶解したおよび溶解していない構成成分の割合において実質的に同一であって、その相異はわずかであり、アスコルビン酸とKGA以外の構成成分の好ましくは30%以下、さらにより好ましくは5%以下が異なる。
好ましい1実施形態においては、本発明の、アスコルビン酸とKGAの混合物を含んでいる溶媒からのKGAの抽出方法における抽出温度T1は、抽出剤1からの抽出剤2を用いたKGAの逆抽出のための抽出温度T2よりも5℃から100℃低い。それらの差は好ましくは15℃から70℃であり、より好ましくは20℃から40℃である。
GB 1,426,018に示されているとおり、初回の抽出時と同じ溶媒を用いて初回の抽出温度よりも高い温度で、例えば、室温で抽出し100℃で逆抽出すると、逆抽出を行った逆抽出物中により高濃度のものを得ることが可能である。
この結果、本発明の1実施形態においては、抽出温度が10℃から30℃で、逆抽出の温度が20℃から80℃である。常温または室温を組み合わせることが好ましく、このことは抽出のためには温度を15℃から30℃とし、逆抽出のためには温度を40℃から60℃とすることを意味している。
1実施形態においては、本発明の方法は次の工程をも含む:
(c) 工程(b)でKGAが逆抽出された抽出剤1を工程(a)の抽出において再利用する工程。
再利用および工程(a)の抽出剤としての再使用の前にその抽出剤を部分的にまたは完全に排出させ、操作を加えた後に初めて戻し入れることが好ましい。不純物は排出させることによって除去される。その抽出剤は例えば、蒸留、ミクロフィルトレーション、ナノフィルトレーション、または吸着(例えば、活性炭に)によって精製することができる。
排出させた物質の割合は、実質的には、溶媒1の純度、逆抽出された価値のある生成物の量、すなわち逆抽出後の抽出剤1中のKGAの量によって変わる。抽出剤2を用いた逆抽出後に、その抽出剤に含まれる価値ある生成物が少量であり不純物が多量であるような場合には、不純物を含んだ抽出剤1を多量排出させることが可能である。逆抽出において部分的逆抽出しか行わない場合には、多量の価値ある生成物が抽出剤1中に残存し、当業者であれば、排出による損失と、不純物含有の程度との関係を常に考慮することとなろう。
KGAを抽出するための本発明の方法は好ましくはさらに次の工程を含む:
(d) 工程(b)での逆抽出から得られた、KGAが取り込まれた抽出剤2を、KGAからアスコルビン酸を調製する工程で再利用する工程。
そのKGAが取り込まれた溶媒はラクトン化工程へ戻すことが有利であり、その工程でアスコルビン酸へと変換される。次いで、そのラクトン化生成物の排出物は、本明細書に記載の本発明の方法の各工程に供することもできるし、あるいはアスコルビン酸の単離方法として当業界で既知の別の方法の各工程に供することもできる。
1実施形態においては、本発明の方法はさらに次の工程:
(e) 工程(d)での再利用の前に、KGAが取り込まれた抽出剤2を濃縮する工程を含み、さらに任意で次の工程を含む:
(f) (e)での蒸発工程で生じた蒸気を、工程(b)の抽出剤2として再利用する工程。
「濃縮」とは本明細書では、サンプルの液量が減少し、濃縮後のKGAまたはアスコルビン酸の濃度が当初の溶液よりも高くなるが、沈殿は生じさせないことを意味する。該溶媒の液量の10%以上を除去することができる。逆抽出後の抽出剤2は、アスコルビン酸の溶解度の限度まで揮発させるか、または蒸発させることが好ましい。好ましい1実施形態においては、蒸発させる溶媒の量は、再利用を行なう連続系において定常状態を確立するのに十分な量である。従って、「蒸発」とは本明細書では「濃縮」を意味する。
濃縮は、例えば、加熱、特に減圧下での加熱、例えば循環エバポレーター、薄膜エバポレーター、その他によって行うことができる。サンプルはまた、透析によって濃縮することもできる。濃縮は温和な条件下で行わなければならず、反応時間、反応時の圧力、および溶媒によって変わるが、-20℃から100℃で行うことが好ましい。30℃から90℃で濃縮することが好ましく、30℃から50℃で濃縮することが特に好ましい。減圧下で濃縮を行うことが有利である。濃縮は、溶媒または溶媒混合物に応じて、大気圧(1013ミリバール)から10ミリバールの圧力下で行うことができる。水性溶液の場合には、濃縮を500ミリバールから10ミリバールで行うことが好ましい。蒸発の後、その溶媒を例えば、常温またはその後の処理工程の温度へと、例えば熱交換によって、冷却することができる。
本発明の方法での濃縮は、50から80ミリバールの圧力下で30℃から50℃で溶媒を蒸発させることによって行うことが有利である。濃縮後に、それが適切であるならば溶液を冷却し、その後にラクトン化リアクターに投入することができる。
その濃縮操作から得られる蒸気は、実質的には抽出剤2からなっており、従って工程(b)の抽出剤2として有利に再使用することができる。
混合物中のアスコルビン酸とKGAを分離するための本発明の方法において、KGAが抽出によって抽出剤中に移行した場合には、溶媒中には多量のアスコルビン酸が残存している。そのアスコルビン酸を単離するためには、本発明の好ましい1実施形態においては、さらに次の工程を含む方法とすることができる:
(j) アスコルビン酸が取り込まれた溶媒から、好ましくは結晶化によって、母液を残して、アスコルビン酸を単離する工程。
当業者であれば極性溶媒からアスコルビン酸を単離するための種々の処理工程を知っている。例えば、蒸発、冷却、もしくは置換結晶化(displacement crystallization)、または種々の乾燥方法、例えば、カルボン酸用の、特にアスコルビン酸用とすることもできるスプレー乾燥などが報告されている。アスコルビン酸の単離には、不溶性の塩または誘導体を形成することもでき、それらはその後溶媒中に沈殿する。アスコルビン酸を蒸発、冷却、または置換結晶化で単離することが好ましい。
従って、まず最初にアスコルビン酸が取り込まれた溶媒を濃縮することが有利であろう。その結果、1実施形態においては、本発明の方法は工程(j)の前にさらに次の工程のうちの少なくとも1つを含むものとすることができる:
(g) KGAが取り込まれた抽出剤1を、溶媒、または溶媒からのアスコルビン酸結晶化から得られた母液を用いて洗い、そのアスコルビン酸含有の洗浄液と工程(a)のアスコルビン酸を取り込んだ溶媒とを併せる工程;および
(h) 工程(a)でのKGAの抽出後にアスコルビン酸が取り込まれた溶媒1を濃縮する工程。
該洗浄は、抽出を行うことのできる抽出カラムの上部で行うことができる。
濃縮は上述したように行われる。その濃縮は溶媒を減圧下で30℃から50℃で、溶媒を蒸発させることによって有利に行うことができ、温度を40℃とし、圧を50から100ミリバールとして行うことがより有利である。
アスコルビン酸の結晶化に際して工程(j)で残存する母液は依然としてアスコルビン酸を含有している可能性があるので、好ましい1実施形態においては、本発明の方法はさらに次の工程のうちの1つをも含む:
(i) 工程(h)から排出された溶媒を工程(b)の逆抽出に抽出剤2として再利用する工程、
(k) 母液を工程(h)後の濃縮液中に再利用する工程。
溶媒はアスコルビン酸蒸発工程からの溶媒の排出で得られ、その後工程(b)で抽出剤からのKGAの逆抽出のための抽出剤2として用いることができる。本方法での溶媒の消費はこれによって低減される。
本明細書に記載の方法を用いれば、アスコルビン酸、KGA、モノアセトン-2-ケト-L-グロン酸、および/またはジアセトン-ケトグロン酸の混合物からKGAを除去することも可能であろう。
1実施形態においては、本発明は2-ケト-L-グロン酸からアスコルビン酸を調製する方法にも関し、それは次の工程を含む:
i. 2-ケト-L-グロン酸をラクトン化、好ましくは部分的ラクトン化する工程;
ii. 本明細書に記載の方法により、アスコルビン酸/KGA混合物からKGAを抽出する工程;および
iii. アスコルビン酸が取り込まれた溶媒からアスコルビン酸を単離する工程。
KGAとアスコルビン酸の混合物は、当業者には既知の方法、例えば、本明細書に記載のKGAのラクトン化の方法などによって、調製することができる。その混合物は、KGAからアスコルビン酸への直接的部分ラクトン化、特に自己触媒性ラクトン化によって調製することが好ましい。
本発明では、「部分的ラクトン化」とは、前駆体のアスコルビン酸への不完全な変換を意味する。本発明の方法でのその前駆体のアスコルビン酸への変換は、好ましくは10重量%から95重量%、より好ましくは20重量%から 50重量%である。20重量%から40重量%の部分的なKGAの変換が行われる1実施形態が特に好ましい。
ラクトン化反応(i)は、極性溶媒、好ましくは水性溶液、特に水中の、前駆体、好ましくはKGAとアスコルビン酸の混合物が得られるものである限りは、1933年以来先行技術文献で報告されてきた方法により行うことができる。分離方法がないために、文献では通常はKGAのアスコルビン酸への完全な変換を行っているか、または部分変換の場合では分離はKGAのエステルへの誘導体化と結びつけられており、その後、上述のようにアスコルビン酸の結晶化を行っている。
ラクトン化の方法は上述の従来技術およびそれらで引用されている文献中に報告されており、それらは本明細書の開示内容中に組み入れる。
本明細書に記載の方法により、このたび初めて、ラクトン化反応において温和な条件下で短いラクトン化時間または自己触媒作用によりKGAを部分的にアスコルビン酸に変換したのちアスコルビン酸とKGAを選択的に分離することが可能となった。
他の出発材料からアスコルビン酸を分離するために本明細書記載の方法を用いることも可能であろう。通常はアスコルビン酸は2-ケト-L-グロン酸、モノアセトン-2-ケト-L-グロン酸、またはジアセトン-ケトグロン酸から調製される。その他の前駆体、例えば、L-グロノ-γ-ラクトンおよびα-アルキル-KGAピラノシドのナトリウム塩なども報告されている。
直接的ラクトン化は、通常は酸、好ましくは塩酸を気体として用いて、または塩酸(水溶液)を用いて触媒され、そのような方法は当業界では長年にわたって知られている。
アルカリで触媒される方法では、ラクトン化反応速度はより早く、そのため、その装置での、より高い空間-時間収率がもたらされる。用いられる塩基性の触媒は、種々のアルコールまたはアルコール/水混合物中のNaOHの他には、アルコール中の弱酸のアルカリ金属塩(例えば、NaHCO3または酢酸ナトリウム)、Na2CO3、またはナトリウムメトキシドが挙げられる。これらの方法の最初の生成物はアスコルビン酸のナトリウム塩であり、これはさらに別の工程で遊離のアスコルビン酸へと変換しなければならない。遊離のアスコルビン酸を調製する方法は米国特許第5,041,563号で述べられている。
上述の酸を用いる方法では触媒を除去することが必要である。その酸は生成物を分解する可能性がある。アルカリを触媒とすると、最初にアスコルビン酸塩が調製され、それは遊離のアスコルビン酸に変換しなければならない。
KGAおよびKGAエステルのアスコルビン酸への無触媒ラクトン化については、1940年頃以来、水、アルコール、または水と親水性の溶媒の混合物中で130℃を超える温度で単純に加熱し、滞留時間を30分から90時間かけて行うことが報告されている。pHを一定に保持するためにクエン酸およびリン酸塩をバッファーとして添加することで収率を向上させることができるといわれている。
本発明の方法によって、直接的に酸もしくはアルカリで触媒されるかまたは自己触媒性の部分ラクトン化が、例えば酸性イオン交換器(例えば、Bayer Lewatit)、または、好ましくは、固定ベッド触媒を用いることによって有利に行うことができるようになる。好ましくはそのラクトン化は、得られるアスコルビン酸の誘導体化または分解が低減するような低温で行われ、それは特に好ましくは60℃未満で、例えば、生体触媒もしくは酵素触媒を用いて、または酸性触媒を用いて行われる。
従って、本発明では、特に好ましい1実施形態においては、2-ケト-L-グロン酸のラクトン化工程(i)は自己触媒作用により部分的に起こる。これまでの多くの方法におけるラクトン化は、特定の前駆体を完全に変換させることで行われている。自己触媒性の変換の利点は、触媒もその他の補助的なものも必要とせず、それらを反応後の液から除去することも必要としないことである。これまでは自己触媒性のラクトン化を経済的に用いることには成功していなかったが、それは完全な変換が低収率でしか起こらず効率が低いからである。部分的変換で得られるKGAとアスコルビン酸の混合物からアスコルビン酸を単離するための適切な分離方法はこれまで報告されておらず、本発明において初めて行えるようになったものである。
KGAを水溶液中で高温(T>25℃、T<200℃)に暴露させることによってラクトン化できることが知られている。40℃から180℃の温度が好ましい。リアクター中での変換時間を非常に短時間とすることが有利でありそのように行うことができる。KGAの水溶液を80-150℃に加熱し、リアクター中の滞留時間を1分から30分の間に保つと、KGAの変換が25-30%で、選択性を約90%として溶液中のアスコルビン酸を得ることが可能である。前駆体を再利用させつつ部分的変換させる方法は既に報告されているが、それはKGAエステルでの場合のみである。KGAの水中での初濃度は好ましくは30%以下である。
従って、本発明は、2-ケト-L-グロン酸のラクトン化工程(i)を下記の条件下で自己触媒による部分的変換により行う、アスコルビン酸を調製し単離する方法にも関する:
(aa) 60℃から180℃の温度、好ましくは100℃と160℃の間の温度;
(bb) 2-ケト-L-グロン酸の当初の質量の割合が5重量%から 50重量%まで、好ましくは10%と15%の間;
(cc) KGAの変換が10から40重量%、好ましくは20から30重量%;および/または
(dd) ラクトン化リアクター内での滞留時間が1から30分、好ましくは10分以内。
KGAの当初の質量の割合が10から15%で、リアクター温度が110℃から150℃で、滞留時間が3から5分で、KGA変換が20から25重量%であることが特に好ましい。
該ラクトン化に適したリアクターの例としては、チューブバンドル、プレート式熱交換器、ヘリカルチューブリアクター、またはジェットリアクターが挙げられる。
ラクトン化反応後の排出液は上述の濃縮工程に従って運転の定常状態が得られるように濃縮される。次いで、工程(a)のとおり、好ましくは常温または20℃から25℃へ冷却した反応液からアスコルビン酸またはKGAを取り出すことができる。
反応後の排出液は好ましくは濃縮後のKGA含量が5から30重量%であり、特に好ましくは8から25重量%であって、アスコルビン酸含量が3から20重量%、特に好ましくは5から10重量%である。この結果、工程(a)のKGA含有の溶媒もそのKGA含量が5から30重量%、特に好ましくは8から25重量%である。特に好ましい1実施形態においては、工程(a)の溶媒のKGA含量は5から30重量%であり、特に好ましくは8から25重量%であって、アスコルビン酸含量が3から20重量%、特に好ましくは5から10重量%である。
アスコルビン酸を単離するには、そのアスコルビン酸が取り込まれた溶媒を濃縮することが好ましく、アスコルビン酸はその溶媒から結晶化される。
好ましい1実施形態においては、種々の処理工程について上述してきたとおり、本発明の種々の蒸発工程から得た、凝縮した蒸気は実質的に系中に残り、そこで溶媒として働く。それぞれの溶媒の蒸発がそれぞれの操作圧で行われて、エネルギーが第1の蒸発の蒸気コンデンサーから第2の蒸発のエバポレーターへと移送しうることが特に好ましい。
本発明では、本明細書に記載の方法の個々の工程を連続的に、またはバッチ式で行うことが可能である。好ましい実施形態は、連続的に各工程を行うことである。
1実施形態においては、本発明のアスコルビン酸の単離のための、またはアスコルビン酸調製のための方法は、本明細書に記載の工程(a)から(g)、および/または(i)から(iii)、および/または(aa)から(cc)の全ての工程を含む。これによって、塩を生成させることなくアスコルビン酸および/またはKGAが有利に得られる。
本発明は下記の実施例によって説明されるが、この実施例は限定するものと見なされることを意図したものではない。
実験室での実験では、5重量%のアスコルビン酸と10重量%のKGAを含む水溶液を40/60 Hostarex/i-デカノール混合物を用いて、30℃で、抽出剤1の、KGAおよびアスコルビン酸を該濃度で含んでいる溶媒に対する比を、1 kg/kgとして抽出した。分配係数(レシピエント/ドナー相の濃度比)はアスコルビン酸については1.1 kg/kgで、KGAについては6.6 kg/kgであった。従って、分配係数の比、すなわち選択性は6である。
抽出剤1からのKGAの逆抽出については、KGAの分配係数が80℃では、その他の条件は一定として、0.18に低下していることが見出された。
このことは、抽出剤1からの抽出剤2(水)を用いてのKGAの逆抽出には、5.5(0.18の逆数)という比較的高い分配係数が可能であることを意味している。温度に特別に注意を払うことによって、KGAの経済的な抽出/逆抽出が可能となる。

Claims (17)

  1. 極性溶媒から2-ケト-L-グロン酸(KGA)を抽出する方法であって、次の工程:
    (a)式:
    Figure 2006516148
    (式中、R1、R2、および/またはR3はそれぞれ、互いに独立にまたは同時に、6から14個の炭素原子を有する、飽和した、分枝していないまたは分枝したアルキル基である)
    で表される第3アミンと、極性の有機希釈剤とを含む抽出剤1であって、前記溶媒と混和性の格差を有する抽出剤1を用いて、極性の、好ましくは水性の溶媒から2-ケト-L-グロン酸を抽出する工程
    を含む前記方法。
  2. 前記溶媒がアスコルビン酸と2-ケト-L-グロン酸を含むものである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記アルキル基R1、R2、および/またはR3がそれぞれ8から12個の炭素原子を含むものである、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記第3アミンがトリ-n-オクチルアミンおよび/またはトリ-n-デシルアミンである、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記希釈剤が4から14個の炭素原子を有する、飽和した、分枝していないもしくは分枝したアルキルアルコール、またはアミド、または芳香族化合物である、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記希釈剤がi-またはn-ドデカノールである、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記式1の第3アミンの前記希釈剤に対する比が20:80から80:20、好ましくは40:60である、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
  8. さらに次の工程:
    (b) 抽出後の前記抽出剤1から、極性の抽出剤2を用いてKGAの逆抽出を行って、KGAが取り込まれた抽出剤2を得る工程
    を含む、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
  9. 抽出剤2および前記溶媒が本質的に同一の溶媒成分からなる、請求項8に記載の方法。
  10. 前記抽出の温度T1が前記逆抽出の温度T2より5℃から100℃低い温度である、請求項9に記載の方法。
  11. さらに次の工程:
    (c) 工程(b)でKGAが逆抽出された抽出剤1を工程(a)の抽出において再利用する工程
    を含む請求項8から10のいずれかに記載の方法。
  12. さらに次の工程:
    (d) 工程(b)での逆抽出から得られた、KGAが取り込まれた抽出剤2を、KGAからアスコルビン酸を調製する工程で再利用する工程
    を含む請求項8から11のいずれかに記載の方法。
  13. さらに次の工程:
    (e) 工程(d)での再利用の前に、KGAが取り込まれた抽出剤2を濃縮する工程;および、
    (f) 任意で、(e)での蒸発工程で生じた蒸気を、工程(b)の抽出剤2として再利用する工程
    を含む請求項12に記載の方法。
  14. さらに次の工程:
    (g) KGAが取り込まれた抽出剤1を、前記溶媒、または前記溶媒からのアスコルビン酸結晶化から得られた母液を用いて洗い、そのアスコルビン酸含有の洗浄液と、工程(a)のアスコルビン酸を取り込んでいる溶媒とを併せる工程;
    (h) アスコルビン酸が取り込まれた溶媒1を濃縮する工程;および
    (i) 工程(h)から排出された溶媒を工程(b)での逆抽出工程における抽出剤2として再利用する工程
    のうちの少なくとも1つのを含む請求項13に記載の方法。
  15. さらに次の工程:
    (j) アスコルビン酸が取り込まれた溶媒から、母液を残して、アスコルビン酸を単離する工程;および
    (k) 任意で、工程(j)から得られた母液を工程(h)の濃縮工程で再利用する工程
    を含む請求項14に記載の方法。
  16. 次の工程:
    i. 2-ケト-L-グロン酸をラクトン化する工程;
    ii. 請求項2から12のいずれかに記載の、アスコルビン酸/KGA混合物からKGAを抽出する工程;および
    iii. アスコルビン酸が取り込まれた溶媒からアスコルビン酸を単離する工程
    を含むアスコルビン酸を調製する方法。
  17. 部分的ラクトン化が行われる、請求項16に記載の方法。
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