JP2007512505A - ガドリニウム含有量が異なる2つのロッドを含む加圧水型原子炉用の燃料集合体 - Google Patents

ガドリニウム含有量が異なる2つのロッドを含む加圧水型原子炉用の燃料集合体 Download PDF

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Abstract

【課題】加圧水型原子炉の炉心の管理の安全性を高めると共に簡素化することである。
【解決手段】本発明は、加圧水型原子炉用の燃料集合体(1)に関する。本発明による燃料集合体は、第1の重量含有量であるガドリニウムを含む第1の核燃料棒(15)と、第2の重量含有量であるガドリニウムを含む第2の核燃料棒(17)とから構成される。本発明によれば、第2の濃度は第1の濃度に比べて多くなっていて、第1の質量濃度は、厳密に2%よりも多くなっている。
【選択図】図1

Description

本発明は、加圧水型原子炉用の燃料集合体に関し、かかる燃料集合体は、第1の重量含有量であるガドリニウムを含む第1の核燃料棒と、第2の重量含有量であるガドリニウムを含む第2の核燃料棒とから構成され、第2の重量含有量は第1の重量含有量に比べて多くなっているものである。
ガドリニウムは、中性子毒(反応阻害物質)であって、核燃料集合体において使用された場合、2つの機能を果たす。
第1に、ガドリニウムは中性子を吸収するため、すべての又は一部の新たな燃料集合体に交換した後、炉心の初期反応度を抑制することができるガドリニウムが徐々に消耗することで、燃料の消耗疲労が補償される。
第2に、原子炉の炉心の内部に、ガドリニウムを含有する燃料集合体を適切に分布させることによって、半径方向についてより規則的であるような出力分布が得られ、この状態は、燃料再充填まで、炉心の運転サイクルにわたって持続する。
かつて使用されてた核燃料集合体にあっては、すべての中性子毒ロッドは、酸化ガドリニウム(Gd23)を同じ重量含有量だけ、つまり概略5%〜12%ほど含有していた。
それにもかかわらず、そうした燃料集合体は、特に18ヶ月〜24ヶ月といった長期にわたる実用サイクルにわたって、満足のいくようには、炉心を管理統制することができないことが見い出された。
EP 0 799 484号は、酸化ガドリニウムの重量含有量が相違する、2つの組立体を提案している。同文献が、頼りにしている観察においては、ガドリニウムによって提供される初期の反応阻害性は、ガドリニウムの含有量には比例しないが、含有量が約1%を越えると、はるかにゆっくりと増加する。
EP 0 799 484号
このため、同文献においては、0.5%〜2%の範囲である第1の重量含有量の酸化ガドリニウムを含有させた第1のロッドを用いると共に、5%〜12%の範囲である第2の重量含有量を含有させた第2のロッドを用いることを教示している。第1のロッドは、初期の反応度を、満足のいくように、抑制すべく働く。さらに、その含有量が少ないために、反応サイクルが開始すると反応阻害度は極めて急激に低下して、第1のロッドは、残りのサイクル中において出力の半径方向分布を妨げることがなく、出力分布は第2の中性子毒ロッドによって制御できる。
しかしながら、そうした燃料集合体では、実用サイクルがとりわけ長期である炉心にあっては、完全に満足のいく炉心管理をすることができないことが見い出された。
特に、そうした燃料集合体にあっては、減速材の温度係数が、絶対値において小さすぎる、負の値になる。
かかる係数は、減速材、すなわち原子炉の一次側回路を流れる冷却水が、炉心の温度が上昇したときに中性子を吸収できる能力の高さの指標であることを想起されたい。かかる係数は、いわば、炉心が自ら停止できる能力を示す指標である。
さらに、半径出力ピーク係数Fxyは、サイクル中に、初期値つまりサイクル開始時の値を越えて、増加し得ることが見い出されている。
半径出力ピーク係数Fxyは、炉心内のロッドが放出し得る最大出力と、炉心内のロッドが放出する平均出力との比率であることを想起されたい。この係数は、炉心内のロッド同士間に存在する出力不均衡を表す指標である。
そのように係数Fxyが初期値を越えて高まると、原子炉のオペレータに対する管理上の拘束は複雑化するので、オペレータにとっては、サイクル開始時に最大不均衡に達した方がまだ気楽である。
本発明の目的は、上述の問題点を解決し、加圧水型原子炉の炉心の管理の安全性を高めると共に簡素化することである。
上述の目的を達成するため、本発明によって提供される加圧水型原子炉用の燃料集合体は、第1の重量含有量であるガドリニウムを含む第1の核燃料棒(15)と、第2の重量含有量であるガドリニウムを含む第2の核燃料棒(17)とから構成され、第2の重量含有量は第1の重量含有量に比べて多くなっていて、第1の重量含有量は、厳密に2%よりも多くなっていることを特徴としている。
特定の実施形態においては、燃料集合体は、以下の特徴のうち1又は複数の特徴を、単独で、または、技術的に実現可能な組み合わせにおいて備える。
・第1の重量含有量は、2.1%であるか、又はそれ以上であること、
・第1の重量含有量は、2.2%であるか、又はそれ以上であること、
・第1の重量含有量は、2.5%であるか、又はそれ以上であること、
・第1の重量含有量は、3%であるか、又はそれ以上であること、
・第1の重量含有量は、4%であるか、又はそれ以上であること、
・第1の重量含有量は、5%であるか、又はそれ以上であること、及び、
・第1の重量含有量は、8%であるか、又はそれ以上であること。
以下、本発明をより良く理解できるように、添付図面を参照しつつ、例示的な実施形態について説明する。
図1は、加圧水型原子炉(PWR)のための第1のタイプの組立体1を示している。
この組立体1の一般的な構造は在来のものであり、従って、詳しくは説明しない。思い出しておくべきことは、組立体1が、核燃料棒と、代表的には正方形を基本とする規則的な配列の節点に、これらの核燃料棒を保持するための支持骨組みとを備えていることである。
骨組みは、底部ノズルと、上部ノズルと、2つのノズルを相互に連結するガイド管5とを備え、原子炉の炉心の運転状態を制御すべく、クラスターのロッドを受け入れるべくデザインされている。
骨組みはさらに、核燃料棒を保持するための格子7を備える。これらの格子7は、従来においては、交差して組み合わさせた板から構成され、それらの間にセル9を形成し、セル9は規則的な配列の節点に中心合わせされる。それぞれのセル9は、燃料棒(そのうちのほとんどは図1に図示していない)を、または、ガイド管5を受け入れるべくデザインされていて、中心のセル9は計測管11を受け入れる。
図1の例においては、保持格子7は、ひとつの側面あたり17個のセル9を備えている。変形例としては、セルの数は異なっていても良く、例えば14×14又は15×15としても良い。
図1においては空白になっているセル9は、実際には、ガドリニウムを含有しない核燃料棒を収容する。代表的には、これらの燃料棒は、同位元素235により2.5%までの重量割合まで濃縮された酸化ウランを含んでいる。
これらの無毒な燃料棒に加えて、燃料集合体1は、毒性の核燃料棒を含んでいる。
より正確には、燃料集合体は、第1の濃度であるガドリニウム酸化物を含む4本の第1の核燃料棒15と、第2の濃度であるガドリニウム酸化物を含む16本の第2の核燃料棒17とから構成され、第2の濃度は第1の濃度に比べて高い濃度になっている。第1の燃料棒15は×印にて示し、第2の燃料棒は陰影線にて示している。
EP 0 799 484号に開示され、添付図面のうち図2に示すように、ガドリニウムを含有するロッドの初期の有効性は、ガドリニウム酸化物の含有量を示す数値に対して、直線的には変化はしない。
例えば、図2から分かるように、当初にウラン235で4.5%まで濃縮されたロッドについては、1%のガドリニウムによって提供される反応阻害度は、500pcm("parts per hundred thousand")程度であり、他方、8%のガドリニウムによって提供される反応阻害度はわずか約750pcmである。従って、初期のガドリニウム含有量を1/8に減らしても、反応阻害度の減少は、およそ1.5から1へと減少するに留まる。破線の曲線は、ウラン235で3.9%の濃縮の場合について、同じく結果を示している。例えば2.5%のウラン235など、ウラン235での異なる濃縮についても、同様な挙動が観察される。
こうした理由から、EP 0 799 484号においては、2%未満の重量含有量であるような第1の濃度のガドリニウムを用いることが教示されている。
かかる教示に反して、この場合においては、第1のガドリニウム酸化物(Gd23)の含有量は5重量%であり、第2の含有量は10重量%である。また、ロッド15及び17は、2.5重量%のウラン235で濃縮される。
数値シミュレーションによれば、図1に示した組立体1は、原子炉の炉心をより簡単に、かつ、より高い信頼性にて、管理できることが見い出された。この目的のために、第1のタイプの組立体1を装填した場合と、図3に示した第2のタイプの組立体21を装填した場合とについて、炉心の運転状態に関してシミュレーションを行った。
第1のタイプの組立体とは異なり、これらの組立体21は8本だけのロッド17を備えている。組立体21におけるロッド15とロッド17との配置は図3に示している。
図4は、原子炉の炉心23の1/4の部分を示していて、4次の対称性をもっていることが分かる。図4において、2本の対称軸線は、破線にて示している。
従って、炉心23の総合的な構造は、図4だけから推測できるだろう。
白い正方形は、第1のタイプの組立体1と第2のタイプの組立体21とにおいて、サイクルの開始時に更新された組立体を示している。組立体21は、炉心の周辺に配置されていることが分かるだろう。全部で、炉心23は、52台の組立体1と、20台の組立体21とを有する。
薄い陰影を付された正方形は、既に1回のサイクルにて使用され、第2のサイクルを開始しようとしているものである。
濃い陰影を付された正方形は、既に2回のサイクルにて使用され、最後のサイクルとなる第3のサイクルを開始しようとしているものである。
炉心23によれば、代表的には、488fped("full power equivalent days")といった、比較的長いサイクルの運転を行うことが可能になる。
サイクルの開始時には、半径出力ピーク係数Fxyの値は、約1.465であり、減速材の温度係数は−3.7pcm/℃である。
初期における係数Fxyの値はとりわけ高くて、EP 0 799 484号の教示に従った組立体に比べても、著しく高い。
さらに、第1のロッド15からガドリニウムを消耗させるのに必要な時間は、EP 0 799 484号の場合に比べて長くなる。
従って、サイクル中には係数Fxyが続いて上昇し、その強さは、半径出力ピーク係数Fxyの初期の値に比べて、はるかに低くなる。
これらの2つの効果は、第1のロッド15における第1の重量含有量が、厳密に2%よりも多くなっていることに起因し、特に、比較的長い持続時間をもった第1のロッド15による毒性から来る利益である。
従って、炉心23の運転は簡単になるが、というのは、半径出力ピーク係数Fxyの最大値が、サイクルの開始時に一定して表れるからである。
同様に、減速材の温度係数は極めて小さく、つまり高い絶対値をもっているので、一次回路を流れる冷媒に高い初期濃度の硼素を必要とせずとも、炉心23の運転に際しては高い安全性が保証される。
より一般的には、酸化ガドリニウム(Gd23)の第1の重量含有量を、例えば2.1%、2.2%、2.5%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、またはそれ以上のように、厳密に2%よりも多くすることによって本発明は実施可能である。
最良の結果は、4%〜6%の範囲の値において得られることが見い出された。
ガドリニウム酸化物(Gd23)についての第2の含有量は、第1の含有量に比べて多い量であり、例えば5%〜15%の範囲にある。従って、そうした値は、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、または、15%である。
ロッド15及びロッド17の数を上述した数とは異ならせることも可能である。従って、8本のロット15と12本のロッド17を具備した組立体1と、8本のロット15と8本のロッド17を具備した組立体21とは、8本のロット15と4本のロッド17を具備したその他の組立体21と併せて用いることも可能である。
一般には、炉心23に配置されるガドリニウム含有組立体の数と配列とは、図4に示したものとは異なるだろう。
同様に、ガドリニウム含有ロッド15及び17のウラン235の含有量もまた、ガドリニウムをまったく含まないロッドにおける含有量とは異なる、例えば少ない量であろう。
より一般的には、核燃料は、同位元素235及び/又はプルトニウムを濃縮された酸化ウランから構成される。
図1は、本発明による第1のタイプの組立体について、燃料棒の分布を示した模式的な平面図である。 図2は、ロッドによる反応阻害度を、そのガドリニウム含有量の関数として2つの組立体について示したグラフであって、ウラン235により4.50%まで濃縮した酸化燃料を連続線にて、3.90%を破線にて示している。 図3は、図1と同様な平面図であるが、本発明による第2のタイプの組立体について示している。 図4は、図1及び図3に示した組立体のうち、原子炉の炉心の1/4を占有する部分について、ひとつの可能性のある分布について示した模式図である。

Claims (8)

  1. 加圧水型原子炉用の燃料集合体(1,21)であって、この燃料集合体が、第1の重量含有量であるガドリニウムを含む第1の核燃料棒(15)と、第2の重量含有量であるガドリニウムを含む第2の核燃料棒(17)とから構成され、第2の重量含有量は第1の重量含有量に比べて多くなっていて、第1の重量含有量は、厳密に2%よりも多くなっていることを特徴とする燃料集合体。
  2. 第1の重量含有量は、2.1%であるか、又はそれ以上であることを特徴とする請求項1に記載の燃料集合体。
  3. 第1の重量含有量は、2.2%であるか、又はそれ以上であることを特徴とする請求項1に記載の燃料集合体。
  4. 第1の重量含有量は、2.5%であるか、又はそれ以上であることを特徴とする請求項1に記載の燃料集合体。
  5. 第1の重量含有量は、3%であるか、又はそれ以上であることを特徴とする請求項1に記載の燃料集合体。
  6. 第1の重量含有量は、4%であるか、又はそれ以上であることを特徴とする請求項1に記載の燃料集合体。
  7. 第1の重量含有量は、5%であるか、又はそれ以上であることを特徴とする請求項1に記載の燃料集合体。
  8. 第1の重量含有量は、8%であるか、又はそれ以上であることを特徴とする請求項1に記載の燃料集合体。
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