JP2007509804A - 特異な混合物で覆われたトレッドパターン要素を有するトレッド - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のトレッドは以下の点を特徴としている。すなわち、トレッドの厚さを含む平面における断面で見て、要素(1)を構成する少なくとも1つの横面が、第2ゴム混合物(覆い混合物)で少なくとも部分的に覆われており、この覆い混合物部分は、新しいとき、少なくとも面の高さHの30%に等しい高さHrまで延びている。少なくとも1つの第1基部混合物は、新しいとき、或いは遅くとも、高さHrの最大10%に等しい摩耗後に接触面で終わっている。本発明によれば、覆い混合物はブチルゴムと、不飽和C12-C22の脂肪酸エステルのような可塑化剤とを含有している。
【選択図】図2
Description
湿った道路におけるタイヤのグリップを改良する際、トレッドを形成する(代わりとして「ゴム組成物」と称せられる)ゴム混合物の真の性質が顕著な効果を有することが知られている。かくして、濡れた地面で良好なグリップを有するゴム混合物製のタイヤのトレッドによれば、濡れた地面の状態で走行中に改良性能を得ることが可能である。しかしながら、濡れた地面におけるグリップ性能のこの改良と平行して、一般原則として、乾いた道路における摩耗性能の損失が生じ、その結果、摩耗寿命が低下され、車両におけるタイヤのより頻繁な交換を必要とする。
少なくとも1つの横面と、前記トレッドを備えたタイヤの走行中、接触表面に沿って道路と接触するようになっている1つの接触面とを有するレリーフ状の複数の要素(リブおよび/またはブロック)を備えており、接触面の地面と接触する表面の限界が少なくとも1つの隆起部を形成しており、
向き合っている横面により構成される溝および/または切込みの形態の複数の切開を備えており、
各トレッドパターン要素が主に(「基部混合物」と称せられる)少なくとも1つの第1ゴム混合物で形成されているものであり、
このトレッドは、このトレッドの厚さを含む平面における断面で見て、少なくとも1つの切開を構成する少なくとも1つの面が、少なくとも一部、「覆い混合物」と称される第2ゴム混合物で覆われており、この部分は、新しいとき、少なくとも面の高さHの30%に等しい高さHrにわたって延びている覆い混合物よりなり、少なくとも1つの基部混合物は、新しいとき、或いは遅くとも、多くとも高さHrの10%に等しい摩耗後に接触面に開放し、覆い混合物はブチルゴムを含有しており、この覆い混合物は不飽和C12-C22の脂肪酸エステルの種類の化合物を可塑化剤として含有していることを特徴としている。
覆い混合物を構成するゴム組成物はブチルゴムを含有することの特徴を有している。「ブチルゴム」は、公知のように、イソブチレンとイソプレンとのコポリマー(IIRと略記される)およびこの種類のコポリマーのハロゲン化物、特に、塩素化物または臭素化物を意味するものと理解される。
この理由で、覆い混合物は15phr(エラストマー100部あたりの重量部)、より好ましくは30phrより多いブチルゴムを含有している。ブチルゴムは、例えば50phrと100phrとの間の量で存在する覆い混合物の大部分のジエンエラストマーを構成してもよい。当業者は、本説明を鑑みて、本発明の特定の実施形態、特にこの種類のタイヤの機能として、ブチルゴムの量を調整することができるであろう。
覆い混合物を形成するゴム組成物は、ブチルゴムに加えて、基部混合物用の後で定義される他のジエンエラストマーを含有してもよい。
一般に、「本質的に不飽和」は、少なくとも一部、15%(モルパーセント)より大きいジエン源(共役ジエン)構成要素または単位の含有量を有する共役ジエンモノマーから生じるジエンエラストマーを意味するものと理解される。かくして、例えば、ブチルゴムまたはジエンおよびEPDM型のアルファオレフィンのコポリマーのようなジエンエラストマーは、先の定義内に入らないが、「本質的に飽和の」ジエンエアラストマー(15%より常に低いジエン源の単位の低いまたは非常に低い含有量)であると言ってもよい。「本質的に不飽和の」ジエンエラストマーの種類内では、「高い飽和の」ジエンエラストマーは、特に、50%より大きいジエン源(共役ジエン)の単位の含有量を有するジエンエラストマーを意味するものと理解される。
(a)炭素原子数4ないし12の共役ジエンモノマーの重合により得られるホモポリマー;
(b)1つまたはそれ以上の共役ジエンを互いに、或いは炭素原子数8ないし20の1つまたはそれ以上のビニル-芳香族化合物と共重合することにより得られるいずれかのコポリマー;
(c)エチレン、炭素原子数3ないし6のα-オレフィンを炭素原子数6ないし12の非共役ジエンモノマーと共重合することにより得られるターナリコポリマー、例えば、エチレン、プロピレンと、特に、1,4-ヘキサジエン、エチリジエンノルボネンまたはジシクロペンタジエンのような前記種類の非共役ジエンモノマーとから得られるエラストマー。
詳細には、トレッドが例えば乗用車型の車両のためのタイヤ用になっている場合、ジエンエラストマーは、大部分(すなわち、50phrより多く)、「エマルジョン状態で調製されたSBR(ESBR)または溶液状態で調製されたSBR(「SSBR」)のようなSBR、またはSBR/BR、SBR/NR(またはSBR/IR)またはBR/NR(またはBR/IR)の混合物である。SBRエラストマー、特に、20重量%と30重量%との間のスチレン含有量と、15%と65%との間のブタジエン部分のビニル結合の含有量と、15%と75%との間のトランス-4-結合の含有量と、−20℃と−55℃と間のTg(ASTMD3418-82により測定されたガラス転移温度)とを有するSBRを使用する場合、このようなSBRは、有利には、好ましくは90%より多いシス-1,4-結合を有するBRとの混合物で使用されてもよい。
もちろん、基部混合物は少量のブチルゴムを含有することもできる。しかしながら、好ましくは、基部混合物はブチルゴムを含有しない。
適当なカーボンブラックは、カーボンブラックすべてであり、特に、当業者に知られており、且つ従来からタイヤに使用されている種類HAF、ISAFおよびSAFのブラック、例えば、これらのタイヤのトレッドに代表的に使用されているシリーズ100、200または300(ASTMグレード)の補強用カーボンブラック(例えば、N115、N134、N234、N326、N330、N339、N347、N375)である。
「補強用無機充填材」は、中間カップリング剤以外のいずれの手段もなしに、自身がタイヤトレッドの製造用になっているゴム組成物を補強することが可能、すなわち、補強機能の点でトレッド用の従来のタイヤ級のカーボンブラックに取って代わることが可能であるカーボンブラックとは対照的に、色および源(天然または合成)がどうであれ、「ホワイト充填材またはときどき「透明な」充填材または「非ブラック」充填材とも称される任意の無機または鉱物充填材を意味するものと理解されるであろう。このような充填材は、一般に、公知のように、その表面におけるヒドロキシ(-OH)基の存在により特徴付けられる。
(無機充填材/ジエンエラストマー)カップリング剤は当業者には周知である。タイヤトレッドの製造のために使用可能なゴム組成物において、シリカのような補強用無機充填材と、ジエンエラストマー、特に、少なくとも2官能性である有機シランまたはポリ有機シロキサンとの間の効果的な結合を確保することが可能な任意のカップリング剤が使用されてもよい。例として、例えばTESPTと短縮されるビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドのようなビスヒドロキシシシリルプロピルまたはビス-(C1-C4)アルコキシルシリルプロピルのポリスルフィドが使用される。カップリング剤の含有量は、好ましくは、4phrと12phrとの間、より好ましくは、3phrと8phrとの間である。
前述の基礎成分に加えて、基部混合物および覆い混合物は、更に、芳香族であろうと非芳香族であろうといずれにせよ、例えば、可塑剤または増量剤油、顔料、オゾン亀裂防止ワックス、化学オゾン分解防止剤、酸化防止剤、疲労防止剤のような保護剤、補強用または可塑化樹脂、硫黄を基材とするか、或いは硫黄および/または過酸化物および/またはビスマレイイミドドナーを基材として架橋系統、加硫促進剤または加硫活性化剤のようなトレッドの製造用になっているゴム組成物に使用される従来の添加剤のすべてまたは幾つかを含有している。これらの組成物はまた、カップリング剤に加えて、補強用無機充填材用のカップリング活性化剤または覆い剤を含有してもよい。
好ましくは、使用される脂肪酸は、起源が合成または天然であれ、50重量%より多い量まで、より好ましくは、80重量%より多い量までオレイン酸で構成される。
また、炭化水素可塑化樹脂、特に、例えば特許出願第WO02/072688号に記載のものが、好ましくは5ないし35phrの範囲内の量で、単独で或いは前述のエステルとの組合せで有利に使用可能である。
好ましくは、新しいトレッドに新しい状態から先に可なりの効果を与えるために、少なくとも1つの面の覆い混合物は接触面から始まって配置される。
好ましくは、覆い混合物の厚さは高さHrの少なくとも80%にわたって0.1mmより大きい。好ましくは、覆い混合物の厚さは高さHrの少なくとも80%にわたって少なくとも0.2mmに等しく、多くとも3mmに等しく、より有利には、高さHrの少なくとも80%にわたって0.2mmと2mmとの間である。
「面における覆い混合物の平均厚さ」は、覆い混合物の最大および最小厚さの平均を意味するものと理解され、これらの厚さは、前記面と垂直な初めの状態におけるタイヤで測定されているものと理解される。
「切開(溝、切込み)とこれに実質的に平行である最も近い切開との間の平均距離」は前記切開の間の最大および最小距離の平均を意味するものと理解される。
覆い材は、同じ切開の底部を覆ったり覆わなかったりすることにより前記切開を構成するレリーフ状の要素の向い合った横面に配置されてもよい。
有利には、濡れた地面または滑りやすくなっている地面における(横方向応力下の)コーナリング性能を非常に大幅に改良するために、周方向の一般配向の溝を構成するレリーフ状の要素の横面すべてには、(好ましくは15phrより大きく、より好ましくは30phrより多い量のブチルゴムを含有する覆い混合物が設けられている。もちろん、例えば同じトレッドの溝の配向に応じて、異なる覆い混合物を1つ基部混合物(またはいくつかの基部混合物)との組合わせで使用することが可能であり、この場合、各覆い混合物は以上で指摘した好適な量のブチルゴムを含有しており、この覆い混合物に直接に隣接している各基部混合物は好ましくはブチルゴムを含有していない。
また、本発明の課題は、本発明によるトレッドを備えているときのタイヤ自身である。
本発明の他の特徴および利点は添付の図面を参照して以下に示される説明から明らかになるであろう。
各ブロック1は幅L1および長さL2の矩形であり、この場合、ブロックの長さL1の方向は、トレッドの長さ方向と同じであり、或いは変更例として前記トレッドを備えたタイヤにおける周方向である。
図1の線II-IIに沿っていて、2つのブロック1の接触面2に対して垂直な図2に示される横断面では、長さ方向配向の溝3を制限する横面13、15上の覆いゴム組成物MRの表面における存在が容易にわかる。
驚くことに、本発明の技術的効果は、(例えば、0.1mm未満またはそれに等しい)低い覆い厚さで得られることができるが、時間にわたって耐久性である顕著な効果を得るためには、乗用車両用タイヤのトレッド用になっているトレッドパターンの場合、この平均厚さが0.2mmに少なくとも等しいことが好ましい。
基礎混合物は2つの公知なSBRおよびBRジエンエラストマーを含有しており、低エネルギ消費の「グリーン」タイヤと呼ばれるものに従来から使用されている。覆い混合物は、先のものと同じ構造だが、芳香族油の含有していない50phrのSBRが関連されている20phrのブチルゴムを含有している。組成物C-2はいずれの芳香族油を含有していなく、この芳香族油が脂肪酸エステル(グリセロールトリオレート)および関連炭化水素樹脂により全体的に置き換えられていると言う特徴を有している。
組成物C-1はタイヤP-1(基準タイヤ)のトレッドのすべておよび本発明によるタイヤP-2のトレッドの基部混合物を形成し、組成物C-2は本発明によるタイヤP-2の覆い混合物を構成する。この覆い混合物は、タイヤP-2のトレッドのトレッドパターンのレリーフ状要素すべての横面すべての高さHrの少なくとも80%にわたって1.0mm程度の厚さを有している。タイヤP-2は実質的に図1および図2について述べた構造を採用している。
前述の条件下では、基準タイヤP-1を取付けた同じ車両と比較して、本発明によるタイヤP-2を取付けた車両では、制動距離が20%だけ短くなったことが認められた。
この結果はなおさら予想外で、驚きである。何故なら、タイヤの痕跡で測定された地面と接触している覆い混合物(組成物C-2)の全面が地面と接触しているトレッドの全面のたったの20%を示しているからである。
変形例として、前記組成物におけるブチルゴムの存在を維持しながら、レリーフ状要素の横面をこれらの横面に応じて異なる覆いゴム組成物で覆うことが可能である(同様に、平均厚さが前記面に応じて異なってもよい)。
本発明によるトレッドの工業的製造は、ヨーロッパ特許第0510550号(ストリップを周方向および/または横方向にトレッドに布設される)に記載のように、基部混合物と異なる混合物のストリップを、非加硫基部混合物を備えた非加硫タイヤ素材に布設することよりなってもよい。他の方法はトレッドの押出し時に2つ(それ以上)の混合物を同時に押出すことによりトレッドを製造することよりなってもよい。
タイヤトレッドについて説明したものに適用される本発明は、キャタピラトラックの分野またはシューズの分野、特にスポーツを練習するためのシューズの分野のような他の分野にも適用されることもできる。
(1)18重量%(12.6phr)の油で増量された(乾燥SBRで表される)SBR;25%のスチレン、58%の1,2-ポリブタジエン単位および23%のトランス-1,4-ポリブタジエン単位(Tg=−24℃);
(2)4.3%の1-2;2.7%のトランス;93%のシスを含有するBR(Tg=−106℃);
(3)SBR(乾燥SBR);25%のスチレン、58%の1,2-ポリブタジエン単位および23%のトランス-1,4-ポリブタジエン単位(Tg=−24℃);
(4)臭素化ブチルゴム(BIIR―エクソンからの「EB2222」);
(5)カーボンブラックN234;
(6)ロディア(Rhodia)からのシリカ「ゼオシル1165MP」、種類「HDS」(BETおよびCTAB:ほぼ160m2/g);
(7)TESPTカップリング剤(デグッサ(Degussa)からの「Si69」);
(8)(SBR用の増量油を含む)全芳香族油);
(9)グリセロールトリオレート(85重量%のオレイン酸を含有するひまわり油―ノバックからの「ラブリロブトッド1880」);
(10)Tgの高い可塑化炭化水素樹脂(ヘルクレスからの「R2495」);
(11)ジフェニルグア二ジン(フレックシス(Flexsys)からのパーカシットDPG);
(12)N-1,3-ジメチルブチル-N-フェニルパラフェニレンジアミン(フレックシス(Flexsys)からのサントフレックス6-PPD);
(13)N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド((フレックシス(Flexsys)からのサントキュアCBS-1.8phr)および亜鉛ジベンジルジチオカーバメート(ベイヤーからのバルカシットZBEC-1.8phr)。
Claims (9)
- 特にタイヤ用のゴムトレッドであって、横面(13、14、15、16)と、前記トレッドを備えたタイヤの走行中、表面に沿って道路と接触するようになっている接触面(2)とを有するレリーフ状の複数の要素を備えており、地面との接触面(2)の接触表面の限界が少なくとも1つの隆起部(23、24、25、26)を形成しており、
向き合っている横面(13、15)、(14、16)により構成される溝および/または切込みの形態の複数の切開(3、4)を備えており、
各トレッドパターン要素(1)が(「基部混合物」と称せられる)少なくとも1つの第1ゴム混合物で形成されているタイヤ用のゴムトレッドにおいて、
このトレッドの厚さを含む平面における断面で見て、少なくとも1つの切開を構成する少なくとも1つの面が、少なくとも一部、「覆い混合物」と称される第2ゴム混合物で覆われており、この部分は、新しいとき、少なくとも面の高さHの30%に等しい高さHrにわたって延びている覆い混合物よりなり、少なくとも1つの基部混合物は、新しいとき、或いは遅くとも、多くとも高さHrの10%に等しい摩耗後に接触面に開放し、覆い混合物はブチルゴムを含有しており、この覆い混合物は不飽和C12-C22の脂肪酸エステルの種類の可塑化剤を含有していることを特徴とするタイヤ用のゴムトレッド。 - エステルの量は5phrと80phrとの間、好ましくは10phrと50phrとの間であることを特徴とする請求項1に記載のトレッド。
- 脂肪酸エステルはグリセロールトリオレートであることを特徴とする請求項1または2に記載のトレッド。
- グリセロールトリオレートの量は15phrと30phrとの間であることを特徴とする請求項3に記載のトレッド。
- 覆い混合物は15phrより多い、好ましくは30phr(エラストマーの100部あたりの重量部)より多いブチルゴムを含有していることを特徴とする請求項1ないし4のうちのいずれか1つの項に記載のトレッド。
- 覆い混合物は50ないし100phrのブチルゴムを含有していることを特徴とする請求項5に記載のトレッド。
- 基部混合物はブチルゴムを含有していないことを特徴とする請求項1ないし7のうちのいずれか1つの項に記載のトレッド。
- タイヤの製造または再踏面付けのための請求項1ないし8のうちのいずれか1つの項に記載のトレッドの使用。
- 請求項1ないし8のうちのいずれか1つの項に記載のトレッドを備えているタイヤ。
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