JP4685792B2 - 特異な混合物で覆われたトレッドパターン要素を有するトレッド - Google Patents
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Description
湿った道路におけるタイヤのグリップを改良する際、トレッドを形成する(代わりとして「ゴム組成物」と称せられる)ゴム混合物の真の性質が顕著な効果を有することが知られている。かくして、濡れた地面で良好なグリップを有するゴム混合物製のタイヤのトレッドによれば、濡れた地面の状態で走行中に改良性能を得ることが可能である。しかしながら、濡れた地面におけるグリップ性能のこの改良と平行して、一般原則として、乾いた道路における摩耗性能の損失が生じ、その結果、摩耗寿命が低下され、車両におけるタイヤのより頻繁な交換を必要とする。
少なくとも1つの横面と、前記トレッドを備えたタイヤの走行中、接触表面に沿って道路と接触するようになっている1つの接触面とを有するレリーフ状の複数の要素(リブおよび/またはブロック)を備えており、接触面の地面と接触する表面の限界が少なくとも1つの隆起部を形成しており、
向き合っている横面により構成される溝および/または切込みの形態の複数の切開を備えており、
各トレッドパターン要素が主に(「基部混合物」と称せられる)少なくとも1つの第1ゴム混合物で形成されているものであり、
このトレッドは、このトレッドの厚さを含む平面における断面で見て、少なくとも1つの切開を構成する高さHの少なくとも1つの面が、少なくとも一部、「覆い混合物」と称せられる第2ゴム混合物で覆われており、この部分が、少なくとも面の高さHの30%に等しい高さHrにわたって延びている覆い混合物よりなり、少なくとも1つの基部混合物が、新しいとき、或いは遅くとも、多くとも高さHrの10%に等しい摩耗後に接触面に開放し、基部混合物が、2phr(エラストマーの100部あたりの重量部)より多い量のカーボンブラックを有しており、覆い混合物がカーボンブラックを欠いておらず、覆い混合物のカーボンブラックの量が0phrより多く且つ2phr未満か或いはそれに等しいことを特徴としている
覆い混合物のブラックの量は好ましくは0.1phrと1.0phrとの間、より好ましくは0.1phrと0.5phrとの間である。
適当なカーボンブラックは、ゴム組成物に黒着色をもたらすことが可能なカーボンブラックすべてであり、特に、当業者に知られており、且つ従来からタイヤに使用されている種類HAF、ISAFおよびSAFのブラック、例えば、これらのタイヤのトレッドに代表的に使用されているシリーズ(ASTMグレード)100、200または300の補強用カーボンブラック(例えば、N115、N134、N234、N326、N330、N339、N347、N375)およびより高いシリーズ400ないし700の非補強型のカーボンブラック(例えば、ブラックN660、N683、N773)である。
カーボンブラックは、市販されているように分離状態で使用されてもよいし、或いは任意の他の形態で、例えば、使用されているゴム製造添加剤のうちの幾つか用の支持体として使用されてもよい。
「ジエン」エラストマー(またはゴム)は、公知のように、少なくとも一部、ジエンモノマー(共役であろうとなかろうといずれにしても、2つの二重炭素‐炭素結合を保有しているモノマー)から生じるエラストマー(すなわち、ホモポリマーまたはコポリマー)を意味するものと理解される。これらのジエンエラストマーは2つ種類:「本質的に不飽和」または「本質的に飽和」に分けられる。
(a)炭素原子数4ないし12の共役ジエンモノマーの重合により得られるホモポリマー;
(b)1つまたはそれ以上の共役ジエンを互いに、或いは炭素原子数8ないし20の1つまたはそれ以上のビニル-芳香族化合物と共重合することにより得られるいずれかのコポリマー;
(c)エチレン、炭素原子数3ないし6のα-オレフィンを炭素原子数6ないし12の非共役ジエンモノマーと共重合することにより得られるターナリコポリマー、例えば、エチレン、プロピレンと、特に、1,4-ヘキサジエン、エチリジエンノルボネンまたはジシクロペンタジエンのような前記種類の非共役ジエンモノマーとから得られるエラストマー、
(d)イソブチレンおよびイソプレンのコポリマー、およびこの種類のコポリマーのハロゲン化物、特に、塩化物または臭素化物。
詳細には、トレッドが例えば乗用車型の車両のためのタイヤ用になっている場合、ジエンエラストマーは、大部分(すなわち、50phrより多く)、「エマルジョン状態で調製されたSBR(ESBR)または溶液状態で調製されたSBR(「SSBR」)のようなSBR、またはSBR/BR、SBR/NR(またはSBR/IR)またはBR/NR(またはBR/IR)の混合物である。SBRエラストマー、特に、20重量%と30重量%との間のスチレン含有量と、15%と65%との間のブタジエン部分のビニル結合の含有量と、15%と75%との間のトランス-4-結合の含有量と、−20℃と−55℃と間のTg(ASTMD3418-82により測定されたガラス転移温度)とを有するSBRを使用する場合、このようなSBRは、有利には、好ましくは90%より多いシス-1,4-結合を有するBRとの混合物で使用されてもよい。
しかしながら、本発明の好適な実施の形態によれば、基部混合物および覆い混合物の両方は、補強用充填材としての無機充填材と、公知のように、無機充填材とエラストマーとの結合または連結をもたらすカップリング剤とを含有している。この補強用無機充填材は、好ましくは大部分の充填材、すなわち、混合物の種類で使用される全体の補強用充填材の50重量%より多い量を表す充填材である。
これらの組成物は、ナフテン油、パラフィン油、MES油、TDAE油、グリセロールエステル(特に、トリオレート)、好ましくは高いTg値(好ましくは30℃より高い)を有する炭化水素可塑化樹脂およびこのような化合物の混合物よりなる群から選択される少なくとも1つの化合物を好適な(非芳香族またはほんの僅かな芳香族)可塑化剤として含有している。
好ましくは、新しいタイヤにおける可なりの効果を有するために、少なくとも1つの面の覆い混合物は、新しいとき、接触面から始まって前記面のより構成される切開の底部の方向に配置されている。
好ましくは、覆い混合物の厚さは高さHrの少なくとも80%にわたって少なくとも0.2mmに等しい。より好ましくは、覆い混合物の厚さは高さHrの少なくとも80%にわたって少なくとも0.2mmに等しく、多くとも3mmに等しく、より有利には、高さHrの少なくとも80%にわたって0.2mmと2mmとの間である。
「面における覆い混合物の平均厚さ」は、覆い混合物の最大および最小厚さの平均を意味するものと理解され、これらの厚さは、前記面と垂直な初めの状態におけるタイヤで測定されているものと理解される。
「切開(溝、切込み)とこれに実質的に平行である最も近い切開との間の平均距離」は前記切開の間の最大および最小距離の平均を意味するものと理解される。
覆い材は、同じ切開の底部を覆ったり覆わなかったりすることにより前記切開を構成するレリーフ状の要素の向い合った横面に配置されてもよい。
種々の理由で、特に、使用に伴い且つ時間にわたる材料の特性の変化のため、材料が初めはトレッドの厚さ内で均一であっても、濡れた地面におけるタイヤのグリップのレベルは次第に減少してしまうことが知られている。この欠点を解消するために、本発明の規定との組合せで、濡れた地面において第1基部混合物より良好に付着し、且つレリーフ状要素の接触面に幅にわたって次第に現れ、或いはより一般に、トレッドが摩耗するにつれてトレッドの走行面の幅にわたって次第に現れてくるように要素内に配置されている第2基部混合物が存在することが有利である。多の有利な変形例によれば、第2混合物は覆い混合物と同じであってもよい。
また、本発明の課題は、本発明によるトレッドを備えているときのタイヤ自身である。
本発明の他の特徴および利点は添付の図面を参照して以下に示される説明から明らかになるであろう。
各ブロック1は幅L1および長さL2の矩形であり、この場合、ブロックの長さL1の方向は、トレッドの長さ方向と同じであり、或いは変更例として前記トレッドを備えたタイヤにおける周方向である。
4つの横面13、14、15、16は、覆いゴム組成物MRの(この場合、溝の深さHに等しい全覆い高さHrにわたって)実質的に一定である(図2に見える)厚さE1で全体的に覆われており、この覆いゴム組成物MRは、ゴム組成物MB(以後、基部組成物と称する)とは、これらのゴム組成物がカーボンブラックを異なる量で含有しており、覆い混合物MRのカーボンブラックの量が0.05phrと多くとも2phrとの間であり、基部混合物MBの量が2phrより覆いと言う点で異なっている。
横面の覆い体MRの平均厚さE1はブロックの全幅L1の半分未満であり、好ましくは、ブロック1の幅L1の30%未満である。好ましくは、幅方向における2つの対向した横面(13、15)および長さ方向における2つの対向した横面(14、16)の覆い体の幅の合計は、それぞれ、幅L1の50%未満および長さL2の50%未満である。
驚くことに、本発明の技術的効果は、(例えば、0.1mm未満またはそれに等しい)低い覆い厚さで得られることができるが、時間にわたって耐久性である顕著な効果を得るためには、乗用車両用タイヤのトレッド用になっているトレッドパターンの場合、この平均厚さが0.2mmに少なくとも等しいことが好ましい。
組成物C-1では、カーボンブラックは、従来技術の教示によれば、本質的に黒着色剤およびUV防止剤として、示された6phrの量で使用されている。
組成物C-2では、0.3phrの示された非常に少ない量のカーボンブラックが黒着色剤の機能を果たすが、効果的なUV防止剤の機能を果たさなく、さらに補強に対する寄与は極僅かである。
組成物C-1はタイヤP-1(基準タイヤ)のトレッドのすべておよび本発明によるタイヤP-2のレリーフ状要素のトレッドの基部混合物を形成し、組成物C-2は(図1および図2を参照して述べたようにして)本発明によるタイヤP-2のレリーフ状要素すべての横面の覆い混合物を構成する。この覆い混合物は覆い高さの少なくとも80%にわたって0.2mm程度の厚さを有している。タイヤP-2は実質的に図1および図2について述べた構造を採用している。
次いで、タイヤすべてを、ABSブレーキ装置を備えた自動車の前部に取付けて(ルノーラグナ、2.0の前後圧力)、濡れた地面(アスファルトコンクリート)における急ブレーキ時に50km/hから10km/hになるのに必要な距離を測定することよりなる濡れた道路における制動試験を行なった。
被覆混合物MRの厚さE1は,ここにおける場合のように、覆い体の全高さにわたって実質的に一様であり、乗用車タイヤの場合、0.2mmと3mmとの間、より好ましくは0.2mmと2mmとの間であってもよい。
変形例として、多くとも2phrに等しいカーボンブラックの量を維持しながら、レリーフ状要素の横面をこれらの横面に応じて異なる覆いゴム組成物で覆うことが可能である(同様に、平均厚さが前記面に応じて異なってもよい)。
本発明によるトレッドの工業的製造は、ヨーロッパ特許第0510550号(ストリップを周方向および/または横方向にトレッドに布設される)に記載のように、基部混合物と異なる混合物のストリップを、非加硫基部混合物を備えた非加硫タイヤ素材に布設することよりなってもよい。他の方法はトレッドの押出し時に2つ(それ以上)の混合物を同時に押出すことによりトレッドを製造することよりなってもよい。
タイヤトレッドについて説明したものに適用される本発明は、キャタピラトラックの分野またはシューズの分野、特にスポーツを練習するためのシューズの分野のような他の分野にも適用されることもできる。
(1)18重量%(12.6phr)の油で増量された(乾燥SBRで表される)SBR(または計82.6phrの増量SBR);25%のスチレン、58%の1,2-ポリブタジエン単位および23%のトランス-1,4-ポリブタジエン単位(Tg=−24℃);
(2)4.3%の1-2;2.7%のトランス;93%のシスを含有するBR(Tg=−106℃);
(3)カーボンブラックN234;
(4)カーボンブラックN772;
(5)ロディア(Rhodia)からのシリカ「ゼオシル1165MP」、種類「HD」-(BETおよびCTAB;ほぼ160m2/g);
(6)TESPTカップリング剤(デグッサ(Degussa)からの「Si69」);
(7)(SBR用の増量油を含む)全芳香族油);
(8)ジフェニルグア二ジン(フレックシス(Flexsys)からのパーカシットDPG);
(9)N-1,3-ジメチルブチル-N-フェニルパラフェニレンジアミン(フレックシス(Flexsys)からのサントフレックス6-PPD);
(10)N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド((フレックシス(Flexsys)からのサントキュアCBS)。
Claims (9)
- タイヤ用のゴムトレッドであって、横面(13、14、15、16)と、前記トレッドを備えたタイヤの走行中、表面に沿って道路と接触するようになっている接触面(2)とを有するレリーフ状の複数の要素を備えており、前記横面(13、14、15、16)の前記接触面(2)との交線が、少なくとも1つの稜線(23、24、25、26)を形成しており、
向き合っている横面(13、15)、(14、16)により構成される溝および/または切込みの形態の複数の切開(3、4)を備えており、
各トレッドパターン要素(1)が(「基部混合物」と称せられる)少なくとも1つの第1ゴム混合物で形成されているタイヤ用のゴムトレッドにおいて、
このトレッドの厚さを含む平面における断面で見て、少なくとも1つの切開(3、4)を構成する少なくとも1つの面は、少なくとも一部、「覆い混合物」と称せられる第2ゴム混合物で覆われており、この部分は、新しいとき、少なくとも面の高さHの30%に等しい高さHrにわたって延びている覆い混合物よりなり、少なくとも1つの基部混合物は、新しいとき、或いは遅くとも、多くとも高さHrの10%に等しい摩耗後に接触面(2)に開放し、基部混合物は2phrより多い量のカーボンブラックを有しており、覆い混合物は0phrより多く且つ多くとも2phrに等しい量のカーボンブラックを有していることを特徴とするタイヤ用のゴムトレッド。 - 覆い混合物は0.1phrと1.0phrとの間のカーボンブラックを含有していることを特徴とする請求項1に記載のトレッド。
- 覆い混合物は0.1phrと0.5phrとの間のカーボンブラックを含有していることを特徴とする請求項2に記載のトレッド。
- 基部混合物は5phrと20phrとの間のカーボンブラックを含有していることを特徴とする請求項1ないし3のうちのいずれか1つの項に記載のトレッド。
- 基部混合物は5phrと10phrとの間のカーボンブラックを含有していることを特徴とする請求項4に記載のトレッド。
- 各々の覆われた横面上の覆い混合物の平均厚さは、この横面と、これに最も近く、同じゴム要素が構成する横面との間の平均距離の多くとも50%に等しいことを特徴とする請求項1ないし5のうちのいずれか1つの項に記載のトレッド。
- 少なくとも1つの横面(13、14、15、16)の覆い混合物は新しいとき接触面(2)から始まって配置されていることを特徴とする請求項1ないし6のうちのいずれか1つの項に記載のトレッド。
- タイヤの製造または再踏面付けのための請求項1ないし7のうちのいずれか1つの項に記載のトレッドの使用。
- 請求項1ないし7のうちのいずれか1つの項に記載のトレッドを備えているタイヤ。
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