JP2007508026A - Es細胞の自己再生および系統仕様の制御ならびにそのための培地 - Google Patents

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Abstract

培養中の多分化能性細胞の自己再生は、Id遺伝子産物とgp130下流シグナル伝達経路のアクチベーターとの組み合わせを用いて促進される。

Description

本発明は、幹細胞自己再生を促進するため、および幹細胞の分化を抑制もしくは制御するための、多分化能性幹細胞の培地、培養条件、および培養方法に関する。本発明はさらに、多分化能性幹細胞の均質な調製物の誘導、単離、および維持のための方法を提供する。提供される方法および組成物は、多分化能性幹細胞(例えば、胚性幹(ES)細胞)、特に、哺乳動物(ヒトを含む)幹細胞の培養および単離に適している。
血清および白血病阻止因子(LIF)を含む培地の存在下でのインビトロでの多分化能性幹細胞培養物の樹立および維持は、周知である(Smithら (1988) Nature 336: 688-90)。この方法は、許容マウスの系統由来の多分化能性胚性幹(ES)細胞を、多くの継代にわたって維持するために使用されてきた。多分化能性幹細胞培養物の維持および自己再生は、幹細胞がフィーダー細胞またはそれらの抽出物(通常、マウス線維芽細胞)の存在下で培養される場合、さらに支持される。このような条件下で、培養中、多くの継代にわたって多分化能状態でヒトES細胞を維持することが可能である。
この分野において未だ続いている課題は、懸命な努力にもかかわらず、ES細胞の多分化能性培養物が長期にわたっては、数種からしか、さらにこれらの種においてさえも全ての胚からは未だに誘導および維持できない場合が残っていることである。いくつかの場合、多分化能性細胞が同定され得るが、これらは次いで、細胞またはそれらの遺伝子操作の研究を可能にするのに十分な時間、培養中で維持できない。このことは、げっ歯類(いくつかの系統のマウス以外の)細胞にとって特に問題である。
近年まで、さらなる課題は、実に多くの継代にわたって培養中で多分化能状態で維持され得たES細胞が、血清もしくは血清抽出物を含み、このため非限定であるか、または他の細胞(例えば、ヒトES細胞を維持するために使用される線維芽細胞フィーダー細胞)の存在を必要とする細胞培養条件を用いる培地を用いてのみ、そのように維持され得たことであった。しかし、ES細胞が、引き続き、所望の細胞型への制御された分化に供せられることが意図される場合、非限定培養培地を用いることまたは異種細胞が存在することは望ましくない。
多分化能性幹細胞の培養に代表的に使用される血清は、ウシ胎児血清であり、これは、サイトカインと他のシグナル伝達分子との複合混合物を含むことが知られる。分化経路を制御するために、培養培地に未知のサイトカインを導入することは望ましくない。なぜなら、分化の最終結果に対するそれらの影響は定量可能でなく、そして潜在的に有害であり得るからである。さらに、各血清バッチは独自であり、そして培養プロトコルに変動を導入する。
結果として、このような複合培地での培養により得られるES細胞は、およびそれらのいかなる分化子孫も、培地の成分および/またはES細胞を維持するために必要なフィーダー細胞のような細胞により汚染される危険性を有する。これらの因子は、ES細胞およびそれらの子孫の治療への応用および他の応用のための適正な製造基準の開発を緩和する。
ES細胞培養物から分化細胞集団を誘導する場合、ES細胞を高い割合で同じ型の子孫に転換(すなわち、できるだけ均質な細胞集団を維持)し得ることが望ましい。しかし、実際には、分化後に、不均質な細胞混合物を含む細胞集団が得られることが観察される。したがって、より純粋な子孫集団を得るような様式で、またはそのような因子を用いて、ES細胞集団の分化を実施し得ることが望ましい。
出願人による先願WO-A-03/095628では、gp130(例えば、LIF)シグナル伝達経路およびTGF−βスーパーファミリー(例えば、BMP4)シグナル伝達経路のアゴニストを含む無血清培地中での多分化能性幹細胞(例えば、ES細胞)の培養が、複数継代にわたって幹細胞の自己再生を促進するために使用される。gp130シグナル伝達の存在下で、TGF−βスーパーファミリーシグナル伝達経路のアゴニストは、驚くべきことに、分化前シグナルではなく自己再生刺激を提供した。
本発明の目的は、多分化能性幹細胞を培養するための代替(好ましくは、改善)方法およびそれに適した培養培地を提供することである。これらは、多くの継代にわたって未分化状態で該幹細胞の自己再生を支持し得る。本発明のさらなる目的は、細胞の分化が制御された様式で誘導されるまで、インビトロで多分化能性幹細胞培養物を維持させ得る代替の培養システムを提供することである。本発明のなおさらなる目的は、多分化能性幹細胞の誘導および単離を増強し、そしてES細胞単離が難しい生物からの、または多分化能性幹細胞が未だ単離されていなかった生物からのそれらの誘導および単離を容易にする方法および組成物を提供することである。
本発明によれば、gp130シグナル伝達の存在下で多分化能性細胞においてIdタンパク質を提供することは、分化を抑制し、そして自己再生を促進する。
本発明では、多分化能性幹細胞(例えば、ES細胞)が、(例えば、(i)Id遺伝子を発現するSmad経路もしくはId遺伝子の発現の直接的な活性化、または(ii)細胞中にId遺伝子産物もしくは等価なシグナルの存在による)Id遺伝子発現と同時に起こるgp130(例えば、LIF)シグナル伝達経路のアゴニストを含む無血清培地中で培養される。それにより、複数継代にわたる幹細胞の自己再生が促進される。したがって、gp130シグナル伝達の存在下で、多分化能性細胞におけるId遺伝子活性は、自己再生刺激を提供する。
したがって、本発明は、培養中の多分化能性細胞の自己再生の促進におけるId遺伝子産物の使用を提供する。本発明に従って、Id遺伝子産物が目的にかなって細胞中に提供され、かつ/またはId遺伝子もしくは等価物が目的にかなって活性化される。gp130シグナル伝達(特に、サイトカイン(例えば、LIF)を用いる)と一致して、多分化能性細胞の自己再生が得られた。
LIFを用いる自己再生およびTGF−βスーパーファミリーのレセプターの下流のシグナル伝達の活性化を促進することは、本発明者らの先願から公知である。本発明では、Id遺伝子活性は、LIFとの組み合わせで、ES細胞の自己再生を生じる。したがって、本発明は、その自己再生シグナルを提供するさらなる手段、すなわち、
(i)Idタンパク質またはIdタンパク質活性を増大させる薬剤(ここで該薬剤は、TGF−βスーパーファミリーのレセプターから下流のシグナル伝達経路のアクチベーターを除く);および
(ii)gp130下流シグナル伝達経路のアクチベーター
の組み合わせによる手段、を提供する。
Idタンパク質という場合、Idタンパク質と他のタンパク質(例えば、トランスロケーションドメイン)との融合物、および以下に記載のようなIdタンパク質を含む組成物を含む。(i)の薬剤は、適切には、TGF−βスーパーファミリーのレセプターを介する作用なしに、Id遺伝子発現を誘導するかつ/またはIdタンパク質活性を誘導する外部因子である。例としては、フィブロネクチン、フィブロネクチンレセプターのアゴニスト、インテグリンシグナル伝達のアクチベーター、nanog、およびId遺伝子発現またはIdタンパク質活性を誘導する上記の全てのホモログが挙げられる。本発明の方法は、多分化能性幹細胞(特に、胚性幹細胞)の培養に適している。
以下の実施例で、本発明者らは、自己再生を促進するようにId遺伝子の発現を誘導した。本発明の別の実施形態では、以下にも記載するように、本発明者らは、例えば、Id遺伝子を含むベクターを多分化能性細胞に導入することにより、該多分化能性細胞がId遺伝子を発現するように、多分化能性細胞を遺伝子操作した。ベクター中の誘導性プロモーターを使用して、精密な制御が達成され得る。このタイプの遺伝子改変は、薬物スクリーニングについて細胞を用いる場合には許容され得るが、細胞または子孫が治療に用いられる場合はそうとはいえず、この場合、自己再生を促進するには外部因子の使用が好ましい。
より詳細に以下に記載する特定の方法では、培養中の多分化能性細胞の自己再生を促進する方法は、(i)Id遺伝子を発現もしくはId遺伝子の発現を誘導する工程、および(ii)gp130下流シグナル伝達を活性化する工程を含む。Id遺伝子は、好都合には、エピソームにより発現され得る。
本発明のさらなる局面は、培養中の多分化能性細胞の自己再生の促進における、
(a)Id遺伝子発現および/またはId遺伝子の発現を生じるIdタンパク質活性のアクチベーター;および
(b)gp130下流シグナル伝達経路のアクチベーター
の組み合わせの使用を提供する。
本発明の代替の局面は、培養中の多分化能性細胞の自己再生の促進における、
(a)Id遺伝子産物;および
(b)gp130下流シグナル伝達経路のアクチベーター
の組み合わせの使用を提供する。
以下により詳細に記載する本発明の特定の実施形態では、Id1を構成的に発現するES細胞が培養される培地中に、LIFが含まれる。自己再生は増強され、これは、LIFと発現されたId遺伝子との相乗作用を示す。
本発明の利点は、自己再生の促進において、Id遺伝子産物を細胞中に直接提供することである。自己再生を直接誘導することで自己再生の制御がより大きくなると共に、例えば、自己再生機構の作用因から離れたいくつかの段階での経路の活性化に起因し得る副作用が低減される。
Id遺伝子という場合、文献で定義されるような遺伝子(例えば、Id1、Id2、Id3、およびId4)を含むことが意図され、そしてId遺伝子産物の特性(すなわち、myoDおよびmash1のようなbHLH因子の転写活性を阻害する特性)を示すそれらの模倣物(機能的フラグメントおよび誘導体を含む)を含むことが意図される。特定のマウス、ラット、イヌ、およびヒトIdタンパク質配列を、配列番号1〜4に示す。他の特定のIdタンパク質配列は、公共の利用可能な配列データベースを介して入手可能である。Id遺伝子活性は、bHLH遺伝子の発現もしくは活性を抑制もしくは減少させることにより、またはEタンパク質の発現もしくは活性を抑制もしくは減少させることにより、適切に模倣され得る。これは、遺伝子ノックアウトもしくは阻害RNAストラテジーを用いて、または外部誘導因子を排除することにより、達成され得る。ある種のRNAターゲティング法においてアンチセンスRNAが用いられ得るか、またはsiRNAに基づくアプローチが用いられ得る。
増大したIdタンパク質活性に等価なシグナルが、(i)bHLH遺伝子のインヒビター、(ii)myoDのインヒビター、(iii)mash1のインヒビター、(iv)増大したhes遺伝子活性、(v)増大したhesタンパク質活性、および(vi)上記全てのうちの1つ以上の組み合わせにより提供され得る。
従来技術では、BMPのような因子が、TGF−βスーパーファミリーのレセプターから下流の1つ以上のシグナル伝達経路を活性化するために用いられる。本発明は、それが細胞におけるId遺伝子活性の直接の提供(例えば、Id遺伝子を発現するベクターを介して)に依存するか、またはそれがTGF−βスーパーファミリーのレセプターを介する以外の、Id遺伝子発現および/またはIdタンパク質活性の活性化に依存する、すなわち、このような活性化の効果を直接的に模倣する点で、上記とは異なる。本発明は、従来技術よりも目的を明確とし、そしてこれまでよりも自己再生表現型の維持においてより高い精密性を可能にする。
1つ以上のgp130下流シグナル経路の活性化は、gp130を介して作用するサイトカイン(例えば、LIFレセプターのサイトカインもしくは他のアゴニスト)の使用により達成され得る。
gp130を介して作用し得、そしてこのためgp130シグナル伝達を活性化し得るサイトカインとしては、LIF、CNTF、カルジオトロピン、オンコスタチンM、およびIL−6とsIL−6レセプター、ならびにハイパーIl−6が挙げられる。適切なサイトカインには、gp130に結合し得る、および/またはgp130を介するシグナル伝達を活性化し得る模倣物、融合タンパク質、またはキメラが含まれる。gp130を介して作用するサイトカインの血清の存在下における役割は、十分に確立されているが、これらのサイトカインが血清の不在下で未分化細胞を維持する能力は制限される。
したがって、本発明は、1つの実施形態で、血清、血清抽出物、フィーダー細胞、およびフィーダー細胞抽出物を含まない培地におけるES細胞の代替および/または改善された培養を提供する。LIFと、本発明の特定の実施形態の直接的Id遺伝子発現および/またはIdタンパク質活性を活性化する培地とを用いる場合、ES細胞の長期の継代が可能である。
本発明の培養システムの別の利点は、血清の存在下での培養に比較してES細胞の分化が低下することである。このことは、しばしば、ほとんどの多分化能性ES細胞が、血清中で著しく分化する傾向があり、それらの操作および拡張が問題となるから重要である。この結果は、本発明の培養条件により、血清の不在下でES細胞が自己再生できることを示す。
マウス(Bradleyら (1984) Nature 309: 255-56)、アメリカミンク(Mol Reprod Dev (1992) 12月; 33 (4): 418-31)、ブタおよびヒツジ(J Reprod Fertil Suppl (1991); 43: 255-60)、ハムスター(Dev Biol (1988) 5月;127 (1) : 224-7)、およびウシ(Roux Arch Dev Biol (1992); 201:134-141)を含む多数の哺乳動物供給源由来の胚性幹細胞が、報告されている。本発明の方法および組成物は、他の哺乳動物の多分化能性細胞培養物(霊長類(特に、ヒト)、げっ歯類(特に、マウスおよびラット)を含む)および鳥類ES細胞の培養への適用に適していることが理解される。
詳細には、ヒトES細胞に関して、ヒトES細胞は、LIFに応答することが公知であり、したがって本発明の培地および方法では、自己再生刺激がLIFおよびIdタンパク質の組み合わせに応じて得られ、これらは、ヒトES細胞に対して適用される。
本発明の方法に適した細胞密度は、用いられている多分化能性幹細胞および所望の子孫の性質に従って変動する。単層培養で胚性幹細胞を培養し、該胚性幹細胞を解離し、そして続いて0.2〜2.5×104細胞/cm2の密度、より特定すると、0.5〜1.5×104細胞/cm2の密度で培養表面上の単層培養で胚性幹細胞を培養することにより、良好な結果が得られている。細胞は、接着単層として増殖し、そしてLIFと共に血清含有培地中で増殖したES細胞に匹敵する倍加時間を有することが観察されている。
本発明によるES細胞およびそれらの子孫の培養のための代表的な表面は、細胞培養に有用であるとしてこの分野で認識されている培養表面であり、そしてこれらには、プラスチック製表面、金属製表面、複合材製表面が含まれるが、通常は、広く市販されているプラスチック製組織培養プレートのような表面が用いられる。このようなプレートは、しばしば、直径数センチメートルである。スケールアップのために、このタイプのプレートは、ずっとより大きい直径で用いられ得、そして多くの繰り返しプレート単位が用いられ得る。
さらに通常には、培養表面は、細胞接着タンパク質を含み、これは、通常、表面上にコーティングされる。細胞上のレセプターもしくは他の分子が、該タンパク質または他の細胞培養基材に結合し、そしてこれは、表面への接着を促進し、そしてそのことが増殖を促進することが示唆される。ゼラチンでコーティングしたプレートが一般に利用可能であり、そして本発明に適しており、そして他のタンパク質もまた用いられ得る。
本発明の実施形態では、培養期間の少なくとも一部の期間に、分化を抑制する薬剤(例えば、FGFレセプターもしくはMEK/Erkシグナル伝達のインヒビター)を培養培地中に含むことが、ES細胞が分化する傾向を抑制することが見出される。1つの実施形態では、ES細胞は、特定の期間、LIFとFGFレセプターインヒビターとを含む所定の無血清培地中で培養され、次いで、FGFレセプターインヒビターが除去され、そしてSmadシグナル伝達の直接アクチベーターと置き換えられる。FGFレセプターインヒビターは、特に、ヒト細胞以外の細胞に用いられ、そして例としては、化合物SU5402およびPD173074が挙げられる。あるいは、FGFレセプターの競合インヒビターが用いられ得、適切には、レセプターの可溶性形態である。適切なMEK/Erkインヒビターとしては、PD98059、U0126、およびPD184352が挙げられる。
別の実施形態では、必要に応じて、FGFレセプターもしくはMEK/Erkインヒビターを除去しない。したがって、これらのインヒビターは、Idタンパク質のインデューサーの存在下または不在下のいずれでも、長期にわたって培養培地中に存在する。これにより、ES細胞は、LIFおよびFGFインヒビターの存在下、N2B27培地中で、少なくとも20継代にわたって培養中で増殖され得る。インヒビターが培地から除去されない場合、該インヒビターは特異的なインヒビターであり、そして他のレセプターに対してほとんどまたは全く活性を有しないことが好ましい。
本発明の第二の局面は、ES細胞自己再生を促進するようにES細胞を培養する方法を提供し、この方法は、
(1)(a)TGF−βスーパーファミリーのレセプターを介して作用するもの以外の、Id遺伝子の発現を生じる細胞内シグナル伝達経路のアクチベーター、または(b)Id遺伝子産物;および
(2)gp130下流シグナル伝達経路のアクチベーター
を含む培地中で、該ES細胞を維持する工程を含む。
本発明の方法は、血清を含まず、かつ血清抽出物も含まない培地中で、以前に血清もしくは血清抽出物の存在下で継代されているES細胞の自己再生を刺激するために使用され得る。好ましくは、このような方法は、フィーダー細胞および/もしくはフィーダー細胞抽出物の不在下でも実施される。例えば、以下の工程を含むES細胞の培養が実施され得る:
−gp130を介して作用するサイトカインおよび血清もしくは血清抽出物の存在下で、必要に応じてフィーダー上で、培養中、多分化能状態で該ES細胞を維持する工程;
−少なくとも1回該ES細胞を継代させる工程;
−該血清もしくは該血清抽出物を該培地から除去し、(存在する場合には)該フィーダーを除去し、該培地がフィーダー、血清、および血清抽出物を含まないようにする工程;および
−引き続き、(TGF−βレセプターを介して作用するもの以外の)Id遺伝子発現および/またはIdタンパク質活性の直接アクチベーターもしくはエフェクター;およびgp130下流シグナル伝達経路のアクチベーターの存在下で、多分化能状態で該ES細胞を維持する工程。
血清もしくは血清抽出物が培地から除去される時点のあたりで、必要に応じて、分化を抑制する薬剤(例えば、FGFレセプターインヒビター)を培地に添加する。Idタンパク質の存在下で細胞を維持するのと同時に、またはその後に、必要に応じて、分化のインヒビターが除去される。血清もしくは抽出物は、フィーダー細胞もしくは抽出物の除去と同時、またはその前に、またはその後に、除去され得る。
本発明はまた、ES細胞のトランスフェクトされた集団を得る方法を提供し、この方法は、
−ES細胞を、選択マーカーをコードする構築物でトランスフェクトする工程;
−該ES細胞を播種する工程;
−Id遺伝子発現および/またはIdタンパク質活性の直接アクチベーターもしくはエフェクター;およびgp130下流シグナル伝達経路のアクチベーターの存在下で、該ES細胞を培養する工程;および
−該選択マーカーを発現する細胞について選択する工程;
を含む。
選択マーカーは、抗生物質耐性、細胞表面マーカー、もしくは例えば、EP-A-0695351に記載されるような別の選択マーカーをコードし得、そして好ましくは、所望の細胞で選択マーカーを優先的に発現するプロモーターに作動可能に連結した選択マーカーをコードするヌクレオチド配列を含む。
さらなる実施形態では、本発明は、ES細胞を培養する方法を提供し、この方法は、個々のES細胞を培養容器(例えば、プレート上の個々のウェル)に移す工程、ならびに該ES細胞を、Smadシグナル伝達経路の直接アクチベーターもしくはエフェクターおよびgp130下流シグナル伝達経路のアクチベーターの存在下で培養する工程を含み、それによって全てが単一のES細胞からの子孫であるES細胞のクローン集団を得る。
ES細胞の安定した均一な培養が得られると、培養条件は、外胚葉、中胚葉、または内胚葉の細胞運命から選択される1つ以上の細胞型への細胞の分化を導くように変更され得る。サイトカインおよびシグナル伝達因子の添加または除去が、高効率での特定の分化細胞集団の誘導を可能とし得る。非神経外胚葉運命へのES細胞の分化は、gp130を介して作用するサイトカインおよびSmadシグナル伝達経路の直接アクチベーターもしくはエフェクターの存在下でES細胞を維持し、次いでサイトカインを除去しながら、Smadシグナル伝達経路の直接アクチベーターもしくはエフェクターを維持すること、および/または分化を導き得るさらなるシグナル伝達分子を添加することにより、達成され得る。上記の方法は全て、必要に応じて、プロセスの産物である分化細胞を得る工程および/または単離する工程を含む。
例えば、LIFの不在下でのBMP4への曝露は、中胚葉細胞型および内胚葉細胞型の誘導に至る。gp130シグナル伝達経路のアゴニストおよびTGF−βシグナル伝達経路のアゴニストを除去し、かつ/または両経路を遮断することにより、神経外胚葉表現型の誘導に至る。あるいは、他のシグナル伝達因子が培養条件に添加されて、他の分化経路に導き得る(例えば、アクチビン、ソニックヘッジホッグ(shh)、Wnt、およびFGF)。
使用の際、ES細胞培養の終わりに向けて、シグナルが弱まり、そしてその後の分化の間にシグナルの遺物がなくなることを確実にするために、分化を開始する少なくとも1継代前に、Smadシグナルを除去することが望ましい。1つの実施形態では、Id遺伝子発現および/またはIdタンパク質活性の直接アクチベーターもしくはエフェクターを除去しながら、FGFレセプターアンタゴニストが、1〜2継代にわたって培養物に添加される。
本発明のさらなる局面は、ES細胞の自己再生用の細胞培養培地を提供する。1つのこのような培地は、
−基本培地;
−Id遺伝子発現および/またはIdタンパク質活性の直接アクチベーターもしくはエフェクター;
−gp130下流シグナル伝達経路のアクチベーター;および
−鉄輸送因子
を含み、ここで該培地は、必要に応じて、血清および血清抽出物を含まない。
ヒト多分化能性幹細胞に好ましい培地は、Id遺伝子発現および/またはIdタンパク質活性の直接アクチベーターもしくはエフェクター;gp130下流シグナル伝達経路のアクチベーター;およびFGFレセプターのアゴニストを含む。ヒト幹細胞以外の多分化能性幹細胞に好ましい培地は、Id遺伝子発現および/またはIdタンパク質活性の直接アクチベーターもしくはエフェクター;gp130下流シグナル伝達経路のアクチベーター;およびES細胞分化のインヒビターを含む。
基本培地は、ES細胞に炭素および/またはビタミンおよび/またはミネラルの必須供給源を供給する培地である。一般的に、基本培地は、タンパク質を含まず、それ自体はES細胞の自己再生を支持できない。鉄輸送因子は、鉄の供給源を提供するか、または培養培地から鉄を取り込む能力を提供する。適切な鉄輸送因子としては、トランスフェリンおよびアポトランスフェリンが挙げられる。
培地は、インスリンもしくはインスリン様増殖因子およびアルブミン(好ましくは組換え体)の1つ以上をさらに含み、そしてフィーダー細胞およびフィーダー細胞抽出物を含まないことが好ましい。
本発明の特定の培地は、追加的な基本培地と共にまたは追加的な基本培地なしで、LIF、BMP、インスリン、アルブミン、およびトランスフェリンを含む。
本発明はまた、細胞培養培地を提供し、この培地は、
−Id遺伝子発現および/またはIdタンパク質活性の直接アクチベーターもしくはエフェクター;および
−gp130を介して作用するサイトカイン
を含む。
培養培地は、必要に応じて、上記のようなES細胞の分化のインヒビター、または分化を所望する場合、特定の表現型へのES細胞の分化を導くシグナル伝達因子が補充される。
培地は、血清もしくは血清抽出物を含まないことが好ましい。最も好ましくは、培地は、完全に限定されている。
本発明の好ましい実施形態では、培養培地は、10U/mlと1000U/mlとの間の濃度で、より好ましくは、50U/mlと500U/mlとの間の濃度で、なおより好ましくは、ほぼ100U/mlで、gp130レセプター結合サイトカインであるLIFを含む。
特定のヒト多分化能性幹細胞培地は、(a)LIF、(b)BMP、および(c)FGFを含む。非ヒト多分化能性幹細胞のための特定の培地は、(a)LIF、(b)BMP、および(c)FGFのインヒビターを含む。培地成分の置換は、本明細書中に記載するように行われ得る。
本発明はさらに、胚盤胞から多分化能性細胞を誘導する方法を提供し、この方法は、
(1)胚盤胞を得る工程;
(2)gp130下流シグナル伝達のアクチベーターの存在下で該胚盤胞を培養し、内部細胞塊を得る工程;
(3)該内部細胞塊を解離する工程;
(4)該解離した内部細胞塊から1つまたは複数の細胞を単離する工程;および
(5)該単離した1つまたは複数の細胞を、gp130下流シグナル伝達のアクチベーター、およびId遺伝子発現のアクチベーターもしくはId遺伝子発現の産物の存在下で、培養する工程
を含む。
好ましくは、この方法は、LIF中で、より好ましくは2〜4日間、胚盤胞を培養する工程を含む。
単離した1つまたは複数の細胞は、好ましくは、無血清培地中で培養される。代表的には、これらの細胞は、クランプとして再播種される。以下の実施例で、本発明者らは、LIFとBMPレセプターのアゴニストとの組み合わせを用いて、良好な結果を得ている。
胚盤胞もまた、好ましくは無血清培地中で、必要に応じてBMPレセプターのアゴニストの不在下で、培養される。
なおさらなることに、本発明では、プロモーターに作動可能に連結したId遺伝子を含む、ベクターが提供される。
プロモーターは、適切には、誘導性プロモーターであり、外部因子を用いて発現が制御される。これは、例えば、以下の実施例に記載のようなエピソームベクターであり得る。
本発明のさらなる培養培地は、TGF−βレセプタースーパーファミリーのレセプターを介して作用する薬剤以外の、Idタンパク質発現を誘導する薬剤を含むものである。例としては、フィブロネクチン、フィブロネクチンレセプターのアゴニスト、インテグリンシグナル伝達のアクチベーター、nanog、およびId遺伝子発現またはIdタンパク質活性を誘導する上記の全てのホモログが挙げられる。
培地は、Idタンパク質(例えば、多分化能性細胞の細胞膜を横断するIdタンパク質のトランスロケーションを容易にするために、トランスロケーションドメインに連結されたIdタンパク質)を含み得る。
「トランスロケーションドメイン」とは、膜もしくは脂質二層を横断するそれ自体および/または他のタンパク質および物質の輸送を引き起こす、タンパク質のドメインもしくはフラグメントを意味し、そして天然のドメイン、ならびにこの結合機能を保持するフラグメント、改変体、および誘導体を包含する。後者の膜は、レセプター媒介エンドサイトーシスのプロセスの間にトランスロケーションが生じるエンドソームの膜であり得る。トランスロケーションドメインは、しばしば、低pHで脂質膜中に測定可能な程度の孔を形成し得る特性によって、同定され得る(Shoneら (1987) Eur J. Biochem. 167,175-180は適切な試験を記載する)。したがって、トランスロケーションドメインの後者の特性は、本発明の構築物内でトランスロケーションドメインとして機能し得る他のタンパク質ドメインを同定するために用いられ得る。細菌神経毒素に由来するトランスロケーションドメインの例は、以下の通りである:
ボツリヌス菌A型神経毒素−アミノ酸残基(449〜871)
ボツリヌス菌B型神経毒素−アミノ酸残基(441〜858)
ボツリヌス菌C型神経毒素−アミノ酸残基(442〜866)
ボツリヌス菌D型神経毒素−アミノ酸残基(446〜862)
ボツリヌス菌E型神経毒素−アミノ酸残基(423〜845)
ボツリヌス菌F型神経毒素−アミノ酸残基(440〜864)
ボツリヌス菌G型神経毒素−アミノ酸残基(442〜863)
破傷風菌神経毒素−アミノ酸残基(458〜879)。
他の適切なトランスロケーションドメインは、TAT(例えば、HIV−1由来)およびペネトラチンであり、共有結合ペプチドをインターナライズし、そして核にそれらを運搬するかもしくは運搬されることを可能にする、アミノ酸からなる短い配列である。タンパク質導入ドメインと呼ばれるさらなる適切なドメイン(例えば、VP22、アンテナペディアおよび他の誘導体)は、Wadiaら, 2002に記載されている。これらのドメインが化学的に(例えば、チオール官能基を介して)Idタンパク質に連結され得るか、またはIdタンパク質および該ドメインを含む融合物が発現され得る。特定のドメインを配列番号5〜6に示し、そしてIdタンパク質およびタンパク質導入ドメインを含む特定の融合タンパク質を配列番号7〜9に示す。連結した分子、融合物、および組成物は、本発明の別の局面からのものと同じものを含む。これらは、Id遺伝子で細胞をトランスフェクトする代替として、例えば、培養培地への添加剤として、使用され得る。
トランスロケーションドメインに関して「トランスロケーション」とは、細胞表面への結合後に生じるインターナライゼーション事象を意味する。これらの事象は、細胞のサイトゾルへの物質の輸送に至る。
したがって、ES細胞への因子の送達のための組成物は、
該因子、および
ES細胞に該因子をトランスロケートするトランスロケーションドメイン(適切には、クロストリジウム菌毒素のHドメイン)
を含む。
トランスロケーションドメインはまた、(1)ジフテリア菌毒素のHドメイン、(2)ジフテリア菌毒素のHドメインのトランスロケート活性を実質的に保持する(1)のフラグメントもしくは誘導体、(3)融合性ペプチド、(4)膜破壊ペプチド、および(5)(3)および(4)のトランスロケートフラグメントおよび誘導体から選択され得る。
なおさらなることに、本発明において、多分化能性細胞の自己再生の促進における、該多分化能性細胞でIdタンパク質活性を増大させる薬剤の使用が提供される。
この薬剤は、適切には、本明細書の他の箇所に記載されるとおりであり、そして、細胞中のIdタンパク質の量を増加させるか、または細胞中のIdタンパク質の活性を増強するものであり得る。
TGF−βスーパーファミリーのレセプターから下流のシグナル伝達経路の活性化が、TGF−βレセプターの上流アゴニスト(例えば、レセプターリガンド)、構成的に活性なレセプター、またはシグナル伝達経路の活性化した下流成分(例えば、SMADシグナル伝達分子)のいずれによってももたらされ得ることが当業者により理解される。同様に、gp130シグナル伝達経路の上流エフェクター(例えば、サイトカイン)および下流エフェクター(例えば、Stat)も、この経路を活性化し得る。したがって、TGF−βレセプターの下流のシグナル伝達の活性化に関する本発明の実施形態(例えば、ES細胞誘導の方法)は、多分化能性幹細胞の自己再生を促進するために、TGF−βレセプタースーパーファミリーシグナル伝達経路を活性化し得る(好ましくは、BMPレセプターを介して作用する)分子を含む全ての組成物を包含する。BMPレセプターに対して適切なリガンドとしては、BMPおよびGDFが挙げられる。
本発明によれば、細胞の培養は、接着培養で実施されることがさらに好ましく、そして本発明の実施例において、多分化能状態で細胞を維持した後、高度の均一性で、そして高い細胞生存度で、分化が誘導され得ることが見出されている。接着培養は、細胞接着タンパク質を含有させることにより促進され得、そして本発明の特定の実施例においては、ゼラチンが、培養基材用のコーティングとして用いられている。
本発明によれば、多分化能性細胞を単層培養で培養することもまた好ましいが、必要に応じて、細胞は、懸濁培養でまたはプレ細胞凝集体として増殖され得る。細胞はまた、ビーズ上、またはメンブレンもしくは他の三次元構造体のような他の適切な足場上でも増殖され得る。
本発明による多分化能性細胞の培養のための培地のさらなる成分であって、存在することが好ましい成分は、細胞の生存および/または代謝を促進する因子である。本発明の特定の実施形態では、インスリンの存在下で、細胞が培養される。代替因子は、インスリン様増殖因子であり、そして他のこのような生存および/または代謝促進因子が代替的に用いられ得る。
本発明の実施例で使用される培養培地はまた、好ましくは、血清アルブミンを含む。これは、精製形態または組換え形態で用いられ得、そして組換え形態である場合、これは、夾雑の可能性のある因子、サイトカインなどを含まないという利点を有する。培養培地は、血清アルブミンを含む必要はない。この成分は、省かれ得、または、Wilesらにより記載されるように、別のバルクタンパク質もしくは合成ポリマー(ポリビニルアルコール)に置き換えられ得る。
本発明の特に好ましい培地は、完全に規定されている培地である。この培地は、非限定である成分(いわゆる、含有量が不明な成分、または特定されていない非限定または変動のある因子を含み得る成分)を含まない。完全限定培地を用いる利点は、多分化能性細胞の培養およびそれに続く操作のために、効率的かつ一貫したプロトコルが導かれ得ることである。さらに、多分化能状態での細胞の維持が、より高い効率およびより大きな予測可能性で達成可能であり、そして限定培地を用いて培養した細胞で分化が誘導される場合、分化シグナルに対する応答は、非限定培地を用いた場合よりも均一であることが見出されている。
本発明の培地は、任意の成体組織に由来する多分化能性幹細胞の培養に用いられ得る。
本発明の方法はまた、分化した細胞を得る方法も包含する。この方法は、記載のように多分化能性細胞を培養する工程、および該細胞に分化を可能にするかもしくは分化を生じさせる工程を含む。ここで細胞は、他の細胞型(多分化能性幹細胞を含む)と比較して所望の分化細胞において分別発現が可能な選択マーカーを含む。これにより、選択マーカーの分別発現が、所望の分化細胞の優先的な単離および/または生存および/または分割を生じる。
分化細胞は、組織幹細胞または前駆細胞であり得、そして終末分化細胞であり得る。
本発明はまた、多分化能性幹細胞またはEGもしくはEC細胞を単離する方法も提供し、この方法は、胚由来の細胞もしくは組織、または胎児もしくは成体由来の体細胞を、
−gp130を介して作用するサイトカイン;および
−Idタンパク質、またはId遺伝子発現および/またはIdタンパク質活性の直接アクチベーターもしくはエフェクター;および/または
−FGFレセプターのインヒビターまたはMEK/Erkのインヒビター
を含む培地中で培養する工程を含む。
好ましくは、培地は、完全に限定された培地である。
また概して、本発明は、本明細書に記載の本発明の方法のいずれかに従うことにより得られる細胞にまで拡張される。本発明の細胞は、薬物発見のためのアッセイにおいて用いられ得る。本発明の細胞はまた、細胞治療のために使用され得、したがって本発明の方法は、本発明のgp130シグナル伝達とIdタンパク質活性および/または発現との組み合わせを用いて、多分化能性細胞を誘導および/維持する工程、それから細胞治療用に細胞を誘導する工程、および細胞治療にそれらの細胞を用いる工程を含む。
本発明によって、細胞を再プログラミングする方法が提供され、これは、非多分化能性細胞から多分化能性細胞を生じる。したがって、多分化能性細胞を得る方法は、細胞においてId遺伝子を発現させもしくはId遺伝子の発現を誘導する工程か、またはIdタンパク質を含む培地中で細胞を培養する工程、および該細胞においてgp130下流シグナル伝達を活性化する工程を含み、ここで該細胞は、胎児または成体の体細胞または組織から得られる。得られる多分化能性細胞は、好ましくは、Rex1、Oct4、およびnanogに対して陽性であることにより特徴付けられる。
本発明によって、Idタンパク質に代わる活性を有する因子についてのアッセイが提供され、このアッセイは、
(1)Idタンパク質活性およびgp130下流シグナル伝達の存在下で細胞を培養し、それにより該細胞を多分化能状態で維持する工程;
(2)該Idタンパク質活性を除去するまたは低下させる工程;
(3)該因子を該細胞に導入する工程;および
(4)該細胞が多分化能を保持しているかまたは分化しているかを決定する工程
を含む。
(1)におけるIdタンパク質活性の存在下で細胞を培養する工程は、適切には、(a)Id遺伝子を発現させる工程、(b)Id遺伝子の発現を誘導する工程、または(b)該細胞が培養される培地にIdタンパク質を添加する工程を含み、そして因子を細胞に導入する工程は、適切には、(a)該因子を発現させる工程、または(b)該細胞が培養される培地に該因子を添加する工程を含む。本発明のさらなる局面は、それにより得られる因子にまで拡張される。
Id遺伝子は、未分化ES細胞におけるBMP/Smadシグナル伝達の卓越した標的である。Idは、bHLH因子(例えば、myoDおよびmash1)の転写活性を妨害するようにEタンパク質を隔離するネガティブヘリックスループヘリックス型因子であり(Jenら, 1992;Lydenら, 1999)、そして造血のネガティブレギュレーターの候補である(Nogueiraら, 200)。それらはまた、PaxおよびEts転写因子と相互作用し得、そしてこれらを阻害し得る(Norton, 2000)。本発明の特定の実施形態では、IdでトランスフェクトしたES細胞は、LIF単独の添加の際に無血清培養で自己再生し、BMP/Smadの重要な寄与がId発現を誘導することであることを確立する。
LIFを除去した際に、Id発現ES細胞は容易に分化するが、神経前駆体を生じない。このように、Idタンパク質は系統特異的に作用し、中胚葉または原内胚葉への方向付けに対してほとんどまたは全く影響を与えることなく神経決定を抑制する。したがって、Idは、STAT3による他の系統の遮断を補完することにより、自己再生に寄与する(図7)。Id機能の少なくとも一部は、成熟前発現プロ神経因子の作用をブロックすることであり得る。このように、Idは、系統プライミングの機能結果から幹細胞を隔離するように作用し得る(Huら, 1997)。
したがって、LIF/STAT3およびBMP/Smadは、組み合わせで作用して、ES細胞の自己再生を持続する。また、これらの2つの経路は、アフリカツメガエル(Xenopus)胚の腹側化を媒介する(Nishinakamuraら, 1999)。その場合、各々、他方の活性とは十分に独立しているようであり、STAT3とSmad1との間に交差調節の証拠はない。
ホメオドメインタンパク質Nanogは、血清含有培地においてSTAT3の活性化の要求を迂回し得る(Chambersら, 2003)。また、Nanogは、少なくとも一部にはIdの構成性発現を与えることにより、BMP/血清刺激の要求に取って代わるように用いられ得る。
以下に、本発明の説明のための例を、添付の図面と共に示す。
より詳細に、かつ以下に示す実施例に言及して、各図を説明する。図1は、LIF+BMPが無血清培地中でES細胞自己再生を持続することを示す:
A.示した因子を添加したN2B27中で培養したOct4−GiP細胞の位相差画像および蛍光画像。TuJ1免疫染色はニューロン分化を検出し、緑色蛍光は未分化ES細胞におけるOct4プロモーターの活性を反映する。バー:50μm。
B.FCS+LIFを添加した従来の培地またはLIF(10ng/ml)+BMP4(10/ng/ml)を添加したN2B27中で継代を進行させた間のOct4−GFP陽性未分化ES細胞の累積数のプロット。細胞解離緩衝液を用いて48時間ごとに培養物を継代し、10cm2ウェル当たり4×10細胞で再播種した。GFP陽性細胞の数を各継代でFACS分析により決定した。
C.Oct4、Nanog、T(短尾奇形)、およびSox1のmRNAのRT−PCR分析:(1)LIF+BMPを添加したN2B27中で6継代間のES細胞、(2)LIFを含む血清で培養したES細胞、(3)8日目の胚様体、(4)レチノイン酸処理した8日目の胚様体。
図2は、LIF+BMPを添加したN2B27中でのES細胞のクローン形成性、潜在能、および誘導を示す:
A.E14Tg2a細胞のエレクトロポレーションおよびピューロマイシンでの選択により単離したCAG−taugfpトランスフェクタントコロニー。
B.単一CAG−taugfpトランスフェクタントES細胞および誘導コロニー。
C.LIF+BMPを添加したN2B27における6継代後のTP6.3 ES細胞から生成された妊娠中期胎児キメラ。GFP蛍光は、ES細胞子孫を示す。
D.C57Bl/6交配によるCAG−taugfpトランスフェクトES細胞からの雄性キメラおよび子孫。アグーチ(agouti)の毛色は、子孫のES細胞起源を示す。
E.LIF+BMPを添加したN2B27中で誘導された第一の継代のSF1 ES細胞のコロニー。キメラはSF1 ES細胞から生じた。
バー:50μm。
図3は、ES細胞におけるBMPシグナル伝達を示す:
A.Oct−GiP細胞由来のRNAサンプルの逆転写PCR分析:(1)LIF+BMPを添加したN2B27中で、6継代目、(2)血清+LIF中、逆転写酵素なしのコントロール、(3)血清+LIF中、(4)LIFまたはBMPを添加しないN2B27中で播種後1日目、(5)LIFまたはBMPを添加せず5日目。
B.N2B27中で終夜培養後、偽処理(non)またはLIF、BMP、もしくはLIF+BMPによる15分間もしくは1時間の刺激に対するSmad1、erk、およびp38応答を示す免疫ブロット。
C.LIF、BMP、およびLIF+BMPに対するSTAT3チロシンリン酸化応答を示す免疫ブロット。
D.Smad7エピソームトランスフェクタントは、血清およびLIFの存在下で分化し、そして神経前駆体マーカー(Sox1−GFP)およびニューロンマーカー(TuJ)を発現する。
E.SB203580(30μM)p38インヒビターは、LIF+BMP中で自己再生を抑制せず、またはLIF単独中で神経分化を抑制しない。Oct4−GFPは未分化ES細胞を示し、そしてTuJ1免疫染色はニューロンを同定する。
F.ES細胞における活性Smad1およびSTAT3の同時免疫沈降。左のパネル:FLAGはFLAGタグ化Smad1によるトランスフェクション後に免疫沈降する。右のパネル:STAT3は非操作ES細胞から免疫沈降する。細胞を、示したように1時間刺激した。
バー:50μm。
図4は、ES細胞におけるId類の発現および機能を示す:
A.LIF、BMP、またはLIF+BMPに応答した遺伝子誘導のLightCycler逆転写PCR分析。ES細胞をN2B27単独中で終夜培養し、次いで45分間刺激した。
B.Oct4−GiP細胞におけるIdのmRNA発現のノーザンハイブリダイゼーション。Con:血清含有培地+LIF中で維持した定常状態ES細胞。レーン2〜11、因子を含まないN2B27中で終夜培養し、次いで示したように45分間刺激した細胞。Fn、フィブロネクチン。
C.ベクター単独でトランスフェクトし、そしてLIFを添加した血清含有培地中で培養した46C ES細胞におけるId1タンパク質の定常状態レベル、ならびにId1およびfId1安定組み込みクローンにおける、および46C/T細胞のエピソームスーパートランスフェクション後の過剰発現。後者のブロットは、10秒間しか曝露しなかった。トランスフェクトしたId1は、FLAGタグ化されており、その結果、内因性のId1と比較して移動が遅延した。
D.N2B27+LIF中で培養したId1安定組み込みES細胞コロニーにおけるNanogおよびOct4のmRNAのインサイチュハイブリダイゼーション。Id2トランスフェクタントおよびId3トランスフェクタントで等しい結果が得られた。バー:50μm。
図5は、Idが神経分化を抑制し、そしてES細胞自己再生に必要であることを示す:
A.因子を含まないN2B27中の分化6日後のベクターおよびId3安定組み込み46Cクローンの位相差画像およびGFP蛍光画像。Id1トランスフェクタントおよびId2トランスフェクタントは、神経分化の同様の抑制を示した。
B.上のパネル:fId1トランスフェクタント46C細胞は、LIF単独を添加したN2B27中で自己再生コロニーを形成する。中のパネル:Cre切り出し後、fId1C細胞は、LIF中で分化し、そしてESコロニー形成のためにLIF+BMPを必要とする。下のパネル:flox化したId1−STOPカセットの切り出し後に構成性CAG単位により駆動されたfId1CコロニーにおけるGFP発現。
C.fId1細胞は、N2B27においてLIFの除去の際に非神経分化を受け、そしてSox1−GFPを活性化せず、TuJを発現しない。Cre切り出し後、fId1C細胞は、TuJ陽性神経細胞の回復した分化を示す。(Sox1−GFPは、GFPの構成性活性化のために、fIdC細胞において特異的に検出され得ない)
D.ES細胞におけるおよび神経分化の間のmash1およびngn2発現の逆転写PCR分析。サンプルは図3Aに示すとおり。
E.E47の過剰発現はES細胞自己再生をブロックするが、これは、Id1の増加により救済され得る。46C/T ES細胞をE47でスーパートランスフェクトするか、またはE47エピソーム発現ベクター+Id1エピソーム発現ベクターで同時スーパートランスフェクトし、そしてLIFを添加した血清含有培地中で、ピューロマイシンおよびゼオシンの二重選択下で6日間培養した。
F.E47の増加は、神経分化のId1抑制を克服する。46C/T ES細胞を、Eに示すようにスーパートランスフェクトし、次いでトランスフェクションの24時間後に、N2B27(因子添加なし)に移し、そして二重選択下で6日間培養した。
バー:50μm。
図6は、NanogがBMP/血清要求性を迂回してIdを誘導することを示す:
A.EF4C細胞を、N2B27中で、またはN2B27+BMP中で6日間培養した。EF4 Nanogトランスフェクタントを、6継代の間、示した条件下で培養し、次いで写真撮影した。バー:50μm。
BおよびC.血清+LIF(Con)中で、または因子を含まないN2B27中で終夜における、E14Tg2a親ES細胞およびEF4 NanogトランスフェクタントのId1およびId3のmRNAのノーザンハイブリダイゼーション、ならびにmRNAレベル。
図7は、BMP/IdおよびLIF/STAT3による協同的な系統制限を模式的に示す:
ES細胞自己再生は、系統方向付けの抑制を必要とする。BMPもしくは他のシグナルにより誘導されたId遺伝子は、神経系統への進入を遮断する。このような神経系統への進入は、それ以外には、LIF/STAT3によって部分的にのみ妨害される。並行して、BMPが中胚葉および内胚葉の分化を誘導する能力は、STAT3によって拘束される。これは、おそらく直接的ならびに間接的な機構が関与する。したがって、LIFの除去により、自己再生の支持から系統方向付けの促進へとBMP作用が切り替わる。
本発明の配列表において、以下の配列番号は、以下に対応する:
1 マウスId3のアミノ酸配列
2 ラットId3のアミノ酸配列
3 イヌId3のアミノ酸配列
4 ヒトId3のアミノ酸配列
5 Tat由来のタンパク質形質導入ドメイン
6 アンテナペディア由来のタンパク質形質導入ドメイン
7 Tat−ヒトId3融合物
8 アンテナペディア−ヒトId3融合物
9 マウスId3−アンテナペディア融合物。
ウシ胎児血清は、最小培地における未分化ES細胞の生存のために重要である(WilesおよびJohansson, 1999)。しかし、N2およびB27添加物を含む富化された基本培地中で、ES細胞生存度は依然として高い(YingおよびSmith, 2003)。このことから、本発明者らは、血清因子が存在しない場合、LIFが、連続的な周期の自己再生を駆動し得るか否かを調べた。
N2B27培地単独中では、接着ES細胞は、効率的にSox1陽性神経前駆体へ転換する(Yingら, 2003)。LIFは、これらの条件下で神経分化を減少させるが、排除しない。N2B27培地+LIF中で連続的に継代する際、本発明者らは、未分化ES細胞の数が、初めに増大した後プラトーに達し、次いで2〜3の継代後、減少し始めることを見出した。この所見は、いくつかの異なるES細胞株を用いて再現された。これらの培養物中の多くの細胞は、神経前駆体または未熟ニューロンの形態を有した。神経分化を、46C ES細胞におけるSox1−GFP神経レポーターの活性化によって確認した(Yingら, 2003)。これらの観察は、LIF/STAT3へのさらなるシグナル伝達経路が、ES細胞自己再生を促進するために、および特に、神経決定を抑制するために必要とされることを示している。
BMPは、脊椎動物胚における周知の抗神経因子であり(WilsonおよびHemmati-Brivanlou, 1995;WilsonおよびEdlund, 2001)、そしてES細胞の神経分化に拮抗することが示されている(Tropepeら, 2001;Yingら, 2003)。BMPは単独で、非神経運命へのES細胞の分化を促進し(JohanssonおよびWiles, 1995;WilesおよびJohansson, 1999;Yingら, 2003)、このため、初めは、自己再生因子の候補とは思われないようであった。しかし、本発明者らは、BMPの添加が、LIFによる同時刺激と共に、分化の阻害に寄与し得るか否かを調べた。本発明者らは、LIF+BMP4(もしくはBMP2)の組み合わせが自己再生を増強し、N2B27中で2または3の継代後に未分化ES細胞の純度の高い集団を生じることを見出した(図1A)。これらの培養物は、続いて、増殖率または生存度に悪化を生じたり、神経分化を生じたりすることなく、複数継代にわたって拡張され得た(図1A、B)。この応答は、11の異なるES細胞株の各々において、3つの独立した誘導から発生することが観察された。Oct4陽性の未分化細胞の提示および集団倍加時間は、血清+LIFにおいて得られるよりもわずかに高かった(図1B)。ES細胞状態は、SSEA−1およびアルカリホスファターゼの発現(図示せず)、ならびにES細胞特異的転写因子NanogおよびOct4のmRNAの発現と、中胚葉のマーカー(T)および神経外胚葉のマーカー(Sox1)がないこと(図1C)とにより確認した。
N2の成分およびB27の成分は、生存度を改善するが、自己再生には必須ではない。トランスフェリンのみを添加した基本培地では、LIF+BMPによって、自己再生および未分化ES細胞拡張が、複数継代にわたって持続され得るが、LIF単独によっては持続されない。したがって、BMP要求性は、B27中の成分によって誘導されない。
本発明者らは、BMPの相対的な増殖分化因子−6(growth and differentiation factor-6)(GDF−6)を試験し、そしてGDF−6が、同様に、LIFの存在下でES細胞自己再生を支持することを見出した(図1A)。しかし、これは、TGF−βスーパーファミリーの一般的な特徴ではなく、BMPレセプターリガンドに制限される。TGF−β1は、ES細胞に対して認知できる効果を有さなかった。一方、アクチビンは、生存度および/または増殖を増大したが、分化を抑制しなかった。
LIF+BMPにより支持されるES細胞増殖の効率を試験するために、本発明者らは、安定トランスフェクタントのエレクトロポレーションおよび選択に着手した。tauGFPを安定に発現するコロニーが容易に単離され(図2A)、そしてバルク培養にまで増幅され得た。このことは、遺伝子操作プロトコルにおいてこの無血清系を用いる実行可能性を示している。
次いで、単離されたES細胞の自己再生を調べた。単一ES細胞を、LIFのみまたはLIF+BMP4を添加したN2B27において、96ウェルプレートに移した(図2B)。LIF単独の存在下で形成した単一コロニーは、高い割合で分化細胞を含み、そしてそれ以上に拡張され得なかった。対照的に、LIF+BMP4では、192ウェルのうち12ウェルにおいて未分化コロニーが形成され、これらのうち10は、無血清下で増幅された(表)。
LIF+BMPにおいて培養したES細胞は、複数世代後、二倍体染色体補完を維持した。それらは、分化能もまた保持した。LIFおよびBMPの両方の除去により、神経分化が生じた。BMPを保持したままLIFを除去すると、扁平上皮様細胞のシートへの分化が引き起こされた。したがって、BMPに対する自己再生応答は、依然として、連続的なLIFシグナル伝達に依存している。
マウスES細胞の決定的な機能的特質は、それらが胚発生に再度進み、そしてキメラマウスにおける分化組織の全レパートリーに寄与する能力である。本発明者らは、LIF+BMPを添加したN2B27で3週間の増殖後、GFPレポーターES細胞をマウス胚盤胞に注入した。妊娠中期での分析は、種々の組織へのES細胞寄与が高いいくつかのキメラを同定した(図2C)。より厳密な試験として、本発明者らは、taugfpでトランスフェクトしたES細胞を用い、LIF+BMPにおいて選択および拡張した。新生児キメラを得、2匹の雄の動物は、ES細胞ゲノムを受け継いだ(図2D)。
(フィーダーもしくは血清なしでのES細胞の誘導)
本発明者らは、BMPに対する応答が、樹立ES細胞の培養への適合であり得るか、またはES細胞誘導の初期段階の間の形質発現であるのかを調べた。本発明者らは、BMP+LIFを添加したN2B27中に胚盤胞を播種した。数日後、拡張した内部細胞塊(ICM)を解離し、そして同じ培養条件で再播種した。初期の試みでは、ES細胞分化の標準的な時間である培養5〜6日後のICM解離後には、ES細胞コロニーが得られなかった(Nicholsら, 1990;Robertson, 1987)。しかし、血清が存在せず、かつBMPが存在する場合、ICMは、増殖の減少、およびより早い明白な分化開始を示す。したがって、本発明者らは、続いて、LIFのみにおける4日のみの胚盤胞培養後にICMを解離し、そして再播種の際にBMP4を添加した。これらの条件下で、一次ES細胞コロニーが形成した(図2E)。これらは、形態学的に未分化のES細胞として継代および拡張され得た。1つの株(SF1)をさらに特徴付けた。LIFおよびBMPを除去した際、SF1 ES細胞は、インビトロで神経分化を受けた。さらに、SF1細胞は、広範囲にキメラのマウスを生成した(図2F)。12のキメラは全て雄であった。このことは、高度に寄与するXY ES細胞による性転換(Bradleyら, 1984)を示している。
したがって、本発明者らは、gp130シグナル伝達と、TGF−βスーパーファミリーのレセプターから下流のシグナル伝達のアクチベーターとの存在下で再播種した細胞を培養することにより、本発明に従ってES細胞を誘導した。
(未分化ES細胞は機能的BMPシグナル伝達機構を発現する)
LIF+BMP培養において、単一細胞がクローン化されて、分化がほぼ完全にないことは、BMPの効果は、分化した子孫を介して媒介されるよりもむしろ、ES細胞に対して直接的であると思われることを、本発明者らに示唆した。しかし、BMPレセプター発現およびES細胞分化の間のBMP応答性を報告している、以前の研究(Adelmanら, 2002;Hollnagelら, 1999)は、未分化状態でのES細胞が実際にBMPに対して応答し得るか否かを確立していない。このことを確認するために、本発明者らは、Oct4トランスジーンの活性に対する選択(Yingら, 2002)を用い、RNAおよびタンパク質分析のために未分化細胞を精製した。
BMPは、1型およびII型のセリン/トレオニンキナーゼレセプターのヘテロダイマーを介して作用する(ShiおよびMassague, 2003)。未分化ES細胞は、I型のBmprIb mRNAをほとんどまたは全く示さないが、I型のBmprIaおよびII型のBmprIIレセプターmRNAの両方を発現する(図3A)。未分化ES細胞において、BMP4およびGDF6転写物もまた容易に検出可能である。BMPレセプターの下流の主要なエフェクターは、Smad転写因子である(AttisanoおよびWrana, 2002;von BubnoffおよびCho, 2001)。R−Smad1、5、および8が、活性BMPレセプター複合体に補充されてリン酸化され、次いでSmad4と結合して核に転位する。本発明者らは、活性セリンリン酸化形態のSmad1に特異的な抗体を用いる免疫ブロッティングにより、Smad活性化を調べた。BMP4添加後、未分化ES細胞においてSmad1リン酸化の増大がみられる(図3B)。BMP刺激はまた、p38の基礎活性化、および1時間までに、erkマイトジェン活性化プロテインキナーゼの基礎活性化も増強する(図3B)。これらのデータは、未分化ES細胞が、BMP刺激に対する応答性のためにシグナル伝達機構を保有すること、そしてさらに、それらが、BMP4およびGDF生成を介して自己分泌刺激する可能性を有し得ることを確立する。
(BMPはSmad活性化を介する自己再生を支持する)
LIFの自己再生作用は、転写因子STAT3を介して媒介される(Matsudaら, 1999;Niwaら、1998)。BMPは単独では、チロシン705のリン酸化により測定されるSTAT3を活性化しない(図3C)。しかも、LIFによるSTAT3活性化も増大しない。gp130の下流のerk活性化は、ES細胞自己再生に必要ではないが、プロ分化シグナルであるようである(Burdonら, 1999a)。このように、低下したerk活性は、ES細胞誘導を容易にし(BuehrおよびSmith, 2003)、そして自己再生を促進する(Burdonら, 1999b)。しかし、LIFに応じたerk活性化は、BMPの存在によって、認められるほどには阻害されなかった(図3B)。これらのデータは、BMPがES細胞においてgp130シグナル伝達を調整しないことを示しており、BMPシグナル伝達経路が自己再生に直接的に寄与することが示唆される。
本発明者らは、阻害性のSmadファミリーメンバーであるSmad6およびSmad7(ShiおよびMassague, 2003;von BubnoffおよびCho, 2001)をES細胞に導入し、BMPシグナル伝達に拮抗させた。細胞をトランスフェクトし、血清およびLIFの存在下、ピューロマイシン選択下で増殖させた。Smad6またはSmad7の発現ベクターは、空ベクターでのトランスフェクションと比較して、より少なくかつ小さなES細胞コロニーを生じた。さらに、Smad6トランスフェクタント、およびより多くにはSmad7トランスフェクタントは、継代後、あまり拡張しなかった。これらのトランスフェクト細胞集団では、高レベルで分化することが明らかであった。神経分化は、通常、接着培養においては血清によって抑制されるが、Smad7トランスフェクション後は容易に見られた(図3D)。
Smad活性をブロックすることに加えて、Smad6/7はまた、BMPRの下流のTAK/p38経路を阻害し得る(Kimuraら, 2000)。ES細胞におけるp38の寄与の可能性を評価するために、本発明者らは、特異的インヒビターSB203580を用いた(Cuendaら, 1995)。この試薬は、BMPが自己再生を支持する能力に対して目立った効果を有さなかった(図3E)。LIFのみでは、SB203580は、自己再生と神経分化との間の平衡を変化させなかったが、全細胞生存度を増強するようであった。このことは、他の細胞型と同様にES細胞においても、p38がプロアポトーシス性であることを示唆する(Kimuraら, 2000)。したがって、Smad経路は、自己再生シグナルの有望なトランスデューサーである。
SmadとSTAT3との間の協同転写調節のメカニズムが、神経上皮細胞において特徴付けられている(Nakashimaら, 1999;Sunら, 2001)。これは、遍在性転写共アクチベーターp300により架橋された三元複合体の形成を包含し、そして神経膠特異的プロモーターの相乗的な活性化を生じる。本発明者らは、STAT3およびSmadを含む複合体が、LIF+BMPで刺激したES細胞において形成され得るか否かを調べた。FLAGタグ化Smad1でのトランスフェクション後の免疫沈降は、活性化したSTAT3およびSmad1が共局在し得ることを示した(図3F)。この結論は、LIF+BMP刺激後の内因性リン酸化Smad1およびSTAT3の同時免疫沈降によって立証された(図3F)。
(BMPはES細胞において遺伝子をターゲティングする)
ES細胞自己再生を生じるために、BMP/SmadおよびLIF/STAT3シグナル伝達は、例えば、p300との三元複合体を介して、別個の標的遺伝子に対して並行して作動し得、および/または共通の標的遺伝子に収束し得る。本発明者らは、リアルタイムRT−PCRを用いて、Oct選択ES細胞におけるLIF、BMP、またはLIF+BMPによる誘導について候補遺伝子を調べた(図4A)。2つの公知のLIF標的であるtis11およびc−fosは、BMPに対して何の応答も示さなかった。2つの他のもの(junBおよび特にsocs3)は、BMPの存在下でLIFによってより高度に誘導されるようであった。これらのデータは、STAT3標的遺伝子のサブセットがBMPによる同時刺激に対して応答性であり得ることを示唆する。しかし、JunBもSocs3も自己再生のエフェクターの候補ではない:junBヌルES細胞は、何の欠陥も示さず(Schorpp-Kistnerら, 1999)、そしてSOCS3は、過剰発現された場合に自己再生をブロックするgp130シグナル伝達のネガティブフィードバックレギュレーター(Schmitzら, 2000)として機能する。
本発明者らはまた、Id遺伝子の発現を調べた。この遺伝子は、ネガティブbHLH因子をコードし、そして神経上皮細胞(Nakashimaら, 2001)およびC2C12筋芽細胞(Lopez-Roviraら, 2002)においてBMP/Smadにより誘導されることが示されている。BMPによるId mRNA誘導はまた、ES細胞培養物の分化においても報告されている(Hollnagelら, 1999)。本発明者らは、Id1およびId3が、BMPにより(およびGDFにより、データは示さず)強く誘導されるが、LIFによっては誘導されないことを見出した(図4A)。ノーザンハイブリダイゼーションは、これらの知見を確認し、そしてそれらをId2にまで拡張した(図4B)。アクチビン(データは示さず)もTGF−β1もId遺伝子発現を誘導せず、このことは、この応答がBMPレセプターの下流のSmadに対して特異的であることを示している。
Id遺伝子は、ウシ胎児血清によっておよびフィブロネクチンによっても誘導されるが、BMPによって誘導されるほどには程度は高くない(図4B)。血清中で培養したES細胞は、容易に検出可能な定常状態量のIdのmRNAを示す。本発明者らは、Id2およびId3を誘導するフィブロネクチンが、N2B27培養物中でBMPの代わりとなり得るか否かを調べた。可溶性フィブロネクチンは、LIFと組み合わせて、少なくとも10継代にわたって、未分化Oct4−GiP細胞を拡張し得たが、BMPにおけるよりも分化が多く、そして集団拡張は遅かった。
(構成性IdはES細胞自己再生のBMPまたは血清要求性を迂回する)
本発明者らは、Id誘導が、神経分化の特定の制限を提供し、STAT3の自己再生活性を補完し得ると仮定した。したがって、本発明者らは、Id1、Id2、およびId3について発現構築物を調製し、そしてこれらをES細胞に導入した。コロニーは、エピソームスーパートランスフェクションおよび従来の安定組み込みの両方によって容易に回収された。Id1については、高いタンパク質発現が免疫ブロッティングによって確認された(図4C)。トランスジーンの過剰発現は、内因性Id1タンパク質の減少と関連しているようであり、フィードバックまたは自己調節性ループの作動が示される。
Id発現が強められても、血清の存在下で、ES細胞自己再生は損なわれず、そして分化もブロックされなかった。これらの条件下で、これらのトランスフェクタントは、親ES細胞または空ベクタートランスフェクタントとは明らかに異なっていた。対照的に、無血清N2B27では、Idトランスフェクタントは、依然としてLIF依存性ではあるが、BMP要求性から解放された。これらの細胞は、LIF単独において、LIF+BMPにおける親ES細胞と同程度に迅速に増殖し、そして同程度に分化が少なかった。培養物は、未分化形態または因子依存性になんら変更なく、複数回継代され得た。ES細胞表現型は、Oct4およびNanogのmRNAの発現によって確認された(図4D)。Id発現が血清またはBMP/GDFの代わりとなる能力についての厳密な試験として、本発明者らは、N2B27中に単一細胞を播種した。LIF単独において、未分化の継代可能なコロニーが、LIF+BMPにおける単離細胞からのコロニー形成に匹敵し得る頻度(10%)で形成した(表)。
(Idタンパク質はES細胞分化に系統特異的ブロックを及ぼす)
本発明者らの培養では、LIFは、Idトランスフェクタントの自己再生に必須である。なぜなら、Id類は、ES細胞分化を完全にブロックすることはないからである。LIFが血清含有培地において除去された場合、Idトランスフェクタント細胞は、親ES細胞と同様に分化する。接着培養では、それらは、いくつかの線維芽細胞とともにほとんどが扁平上皮様細胞を生じた。凝集の際に、それらは、中胚葉(T)および内胚葉(Hnf4)マーカー発現の活性化(データは示さず)と共に胚様体を形成し、そして心筋細胞分化を示す自発収縮性を発生した。しかし、LIFが存在しないN2B27においては、Idトランスフェクタントは、他のES細胞とは異なって挙動した。神経分化は、形態およびSox1−GFPの活性化により評価したところ、最小限であった(図5A)。代わりに、トランスフェクタントは、BMP単独に曝露された親ES細胞と同様に、扁平上皮様細胞のシートに分化した(図1A参照)。
本発明者らは、復帰型の発現構築物を調製し、自己再生および神経分化の遮断が連続的なId発現に依存しているか否かを試験した。本発明者らは、flox化したId1を発現する46C ES細胞(fId1細胞)、および続いてId1トランスジーンを切り出したCre処理誘導クローン(fId1C)を生成した。Cre切り出し後、fId1C細胞は、FLAG−Id1の不在および内因性Id1のレベル回復を示す(図4C)。fId1細胞およびfId1C細胞を、LIFまたはLIF+BMPを添加したN2B27においてクローン密度で播種した。fId1細胞は、LIF単独において効率的に幹細胞コロニーを形成したが、この能力は、fId1C細胞においては失われ、fId1C細胞は、BMPを含まないLIFにおいては、分化した細胞のみを生成した(図5B)。N2B27単独中で、fId1細胞は、非神経分化を受けたが、fId1C細胞は、親ES細胞と同一の様式で挙動し、高い割合のTuJ陽性ニューロンを生成した(図5C)。
これらの所見は、Id発現が、LIFの不在下でのBMP処理で多く観察されるように(Yingら, 2003)、神経系統方向付けを特異的にブロックし、そして分化中のES細胞を別の運命に向けることを示している。したがって、Idを発現するES細胞は、非神経系統方向付けの阻害および多分化能の維持について、LIF/STAT3に全体的に依存性である。
神経性bHLH転写因子は、発生中のCNSにおいてIdタンパク質によって拮抗されることが知られている(Lydenら, 1999)。インビボでは、神経胚形成の前、これらのbHLH因子は報告されていない。しかし、培養したES細胞は、分化する系統においてのみ見出されることが予期されるmRNAの発現を示す(Ramalho-Santosら, 2002)。したがって、本発明者らは、Oct4選択ES細胞における2つのbHLH遺伝子、mash1およびニューロゲニン2、の発現可能性を調べた。ニューロゲニン2のmRNAは、バックグラウンドレベルを上回るレベルで検出可能ではないが、mash1のmRNAは、比較的豊富であるようである(図5D)。したがって、本発明者らは、Id発現が、mash1および他のプロ神経bHLH因子の早期発現により引き起こされるES細胞の連続的な神経分化を妨害するのに必要であり得ると提唱する。このような作用はまた、PaxおよびEts因子などの非bHLHパートナー(Norton, 2000)も包含し得る。
Idタンパク質は、遍在性HLH因子であるEタンパク質に高い結合活性で結合する(Norton, 2000)。いずれかの過剰発現が、他方を隔離し、そしてその活性をブロックする。Idタンパク質が通常ES細胞増殖に必要とされ得るか否かを評価するために、本発明者らは、単独でまたはId1もしくはId3との同時トランスフェクションでのいずれかで、エピソームスーパートランスフェクションによって、E47タンパク質を過剰発現した。E47は、単独でまたは空ベクターとの同時トランスフェクションでは、少数の非常に小さく弱いコロニーを生じた(図5E)。対照的に、E47ベクターおよびIdベクターの同時トランスフェクションからは、健常なES細胞コロニーが生成された。同時トランスフェクタントコロニーは、Id単独または空ベクターでトランスフェクトした細胞からは、血清含有培地において識別不能であるようであった。このことは、E47の増大が、本質的に毒性ではないが、Idの隔離に起因して特異的増殖阻害作用を有することを示唆する。他の細胞型で観察される(Norton, 2000)ように、あるレベルの遊離IdがES細胞増殖に必要とされ得る。LIFもしくはBMPを含まないN2B27に移した場合、同時トランスフェクタントは、非神経分化よりもむしろ神経分化を受けた(Sox1−GFPの活性化により示す)(図5F)。したがって、E47は、Idの神経抑制効果を中和する。これは、Idが、プロ神経bHLH因子とのパートナー形成について、Eタンパク質の利用可能性を制限するように作用するとの示唆と一致する。
(NanogはBMPまたは血清要求性を迂回し得る)
改変体ホメオドメインタンパク質Nanogの増大したレベルは、ES自己再生を血清の存在下でLIF/STAT3とは独立したものとする(Chambersら, 2003)。本発明者らは、LIFおよび/またはBMPが、N2B27中でNanog過剰発現ES細胞の自己再生に必要であるか否かを検討した。図6Aは、flox化Nanogトランスジーンを発現するEF4細胞が、LIFまたはBMPのいずれも添加しないN2B27中で増殖され得ることを示す。この挙動は、Nanogに直接起因し得る。なぜならNanogトランスジーンがCreリコンビナーゼにより切り出された誘導EF4C細胞は、迅速に神経分化を受けるからである。BMP単独の添加は、いくらかの分化が明らかになる6日よりも長い間、培養物を継代せずに維持しない限り、EF4細胞に対して明らかな影響を有さない(考察を参照のこと)。LIFを添加した際、BMPを添加してもしなくても、EF4細胞は、培養皿に対してより均一に接着し(図6A)、そして集団倍加速度は増大する。このことは、以前に示されたES細胞におけるLIF/STAT3とNanogとの組み合わせ効果(Chambersら, 2003)と一致する。
NanogはBMPまたは血清刺激を過剰にするので、本発明者らは、EF4細胞がIdを発現するか否かを問題とした。LIFまたはBMPを含まないN2B27中で終夜培養した後、Id1およびId3の発現は、親E14Tg2a細胞において顕著にダウンレギュレートされた。対照的に、EF4細胞においては、Id1のmRNAは、減少したがなお認められる程度であり、そしてId3のmRNAは実際に増大した(図6B)。したがって、Nanogの過剰発現は、実質的なレベルのId発現を構成的に維持するために使用され得る。
(実験手順)
(ES細胞培養)
ES細胞をフィーダー細胞を添加することなく維持した。無血清培養のために、ES細胞を、10ng/ml LIF(Sigma)および10ng/ml BMP4もしくは200ng/ml GDF6(R & D Systems)を添加したN2B27培地(YingおよびSmith, 2003)中で、ゼラチンコーティングしたプレート上に播種した。細胞を、酵素を含まない細胞解離緩衝液(Invitrogen)または0.025%トリプシン/1%トリ血清のいずれかを用いて、2〜4日毎に継代した。解離した細胞を、N2B27中に回収し、そしてペレット化した。上清を吸引し、そして細胞ペレットをN2B27中に再懸濁し、そして直接再播種した。単一細胞クローン化のために、N2B27を予め入れた微量注入パスツールピペットを用いて、個々の細胞を10μl滴中に採取し、次いで、1ウェル当たり150μlのN2B27をLIFまたはLIF+BMP4と共に予め入れた96ウェルプレートに別々に滴下した。8日後、ES細胞コロニーを同定し、そして継代した。キメラを生成するために、ES細胞をC57Bl/6胚盤胞に注入した。生殖細胞系列伝達を、雄キメラをC57Bl/6雌と交配することにより試験した。
(無血清培地におけるES細胞の誘導)
129系統マウスを妊娠第三日に卵巣切除し、そして休眠中の胚を4日後に洗い流した(Nicholsら, 1990)。無傷の胚盤胞を、LIF(10ng/ml)を添加したN2B27において、ゼラチンコーティングしたプラスチック上に播種した。3〜6日後、各外植片の中心塊を採取し、PBS中でリンスし、そして数分間トリプシン滴中に配置した。細胞塊を、培地を予め入れた微量注入パスツールピペットで吸い上げてトリプシンのキャリーオーバーを最小とし、そしてLIFおよびBMP4(10ng/ml)を添加したN2B27において新鮮なウェル中に、穏やかに粉砕しながら排出した。得られた一次ES細胞コロニーを、96ウェルプレートのウェル中に個々に継代した。その後、細胞を、遠心分離および吸引を用いる全培養物のトリプシン処理によって拡張し、再播種した。
(RNA分析)
Oct4GiP ES細胞(Yingら, 2002)を4〜6日間ピューロマイシンの存在下で培養し、分化した細胞を除去した。精製したES細胞を、LIFを加えた完全培地中で24時間培養し、次いでPBSで一度洗浄し、そして一晩N2B27培地に移し、その後、20ng/ml LIF、50ng/ml BMP4、LIF+BMP4、10ng/ml TGF−β1(全てR & D Systems)または15% FCSで45分間刺激した。定量的RT−PCRをLightCycler Instrument(Roche)を用いて実施した。データをOct4増幅に対して標準化した。プライマー対および反応条件は、必要に応じて入手可能である。ノーザンハイブリダイゼーションを全RNAの5μgアリコートで実施した。
(プラスミド構築およびトランスフェクション)
Smad6およびSmad7プラスミドをHitoshi Niwaにより、そしてFLAGタグ化Id1をTetsuya Tagaから好意により提供された。マウスId2、Id3、およびE47のオープンリーディングフレーム(ORF)をPCRにより増幅し、pCR2.1にクローニングし、そして配列分析により変異がないことを確認した。発現ベクターをES細胞にエピソームによりまたは安定組み込みにより導入した。Flox化したId1およびCre切除した誘導ES細胞株をChambersら, 2003により記載のストラテジーを用いて誘導した。
(免疫化学)
予備選択したOct4GiP ES細胞をN2B27培地に一晩移し、その後LIF(20ng/ml)、BMP4(50ng/ml)、またはLIF+BMP4で15分間または1時間刺激した。リン酸化したstat3、smad1、erk1/2およびp38を、免疫ブロッティング(Cell Signaling Technology)により検出した。細胞溶解および免疫沈降(Nakashimaら, 1997)は、抗FLAG(Sigma)または抗Stat3(Transduction Labs)を用いた。免疫染色は、既報(Yingら, 2003)通りに実施した。
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Figure 2007508026
(配列表)
本発明の特定の実施形態で使用される配列および本発明の特定の融合タンパク質を以下に記載する:
配列番号
1 マウスId3のアミノ酸配列
2 ラットId3のアミノ酸配列
3 イヌId3のアミノ酸配列
4 ヒトId3のアミノ酸配列
5 Tat由来のタンパク質形質導入ドメイン
6 アンテナペディア由来のタンパク質形質導入ドメイン
7 Tat−ヒトId3融合物
8 アンテナペディア−ヒトId3融合物
9 マウスId3−アンテナペディア融合物
(配列番号1−マウスId3)
MKALSPVRGCYEAVCCLSERSLAIARGRGKSPSTEEPLSLLDDMNHCYSRLRELVPGVPRGTQLSQVEILQRVIDYILDLQVVLAEPAPGPPDGPHLPIQTAELTPELVISKDKRSFCH
(配列番号2−ラットId3)
MKALSPVRGCYEAVCCLSERSLAIARGRGKSPSAEEPLSLLDDMNHCYSRLRELVPGVPRGTQLSQVEILQRVIDYILDLQVVLAEPAPGPPDGPHLPIQTAELTPELVISKDKRSFCH
(配列番号3−イヌd3)
MKALSPVRGCYEAVCCLSERSLAIARGRGKGPAAEEPLSLLDDMNHCYSRLRELVPGVPRGTQLSQVEILQRVIDYILDLQVVLAEPAPGPPDGPHLPIQTAELAPELVISNDKRSFCH
(配列番号4−ヒトId3)
MKALSPVRGCYEAVCCLSERSLAIARGRGKGPAAEEPLSLLDDMNHCYSRLRELVPGVPRGTQLSQVEILQRVIDYILDLQVVLAEPAPGPPDGPHLPIQTAELAPELVISNDKRSFCH
(配列番号5−Tat由来のタンパク質形質導入ドメイン)
YGRKKRRQRRR
(配列番号6−アンテナペディア由来のタンパク質形質導入ドメイン)
RQIKIWFQNRRMKWKK
(配列番号7−Tat−ヒトId3融合物)
YGRKKRRQRRRMKALSPVRGCYEAVCCLSERSLAIARGRGKGPAAEEPLSLLDDMNHCYSRLRELVPGVPRGTQLSQVEILQRVIDYILDLQVVLAEPAPGPPDGPHLPIQTAELAPELVISNDKRSFCH
(配列番号8−アンテナペディア−ヒトId3融合物)
RQIKIWFQNRRMKWKKMKALSPVRGCYEAVCCLSERSLAIARGRGKGPAAEEPLSLLDDMNHCYSRLRELVPGVPRGTQLSQVEILQRVIDYILDLQVVLAEPAPGPPDGPHLPIQTAELAPELVISNDKRSFCH
(配列番号9−マウスId3−アンテナペディア融合物)
MKALSPVRGCYEAVCCLSERSLAIARGRGKSPSTEEPLSLLDDMNHCYSRLRELVPGVPRGTQLSQVEILQRVIDYILDLQVVLAEPAPGPPDGPHLPIQTAELTPELVISKDKRSFCHRQIKIWFQNRRMKWKK
LIF+BMPが無血清培地においてES細胞自己再生を持続することを示す。 LIF+BMPを添加したN2B27におけるES細胞のクローン形成性、潜在能、および誘導を示す。 ES細胞におけるBMPシグナル伝達を示す。 ES細胞におけるIdの発現および機能を示す。 Idが神経分化を抑制し、そしてES細胞自己再生に必要であることを示す。 NanogがBMP/血清要求性を迂回し、Idを誘導することを示す。 BMP/IdおよびLIF/STAT3による協同的な系統制限を示す。

Claims (55)

  1. 培養中の多分化能性細胞の自己再生の促進におけるId遺伝子産物の使用。
  2. 請求項1に記載の使用であって、前記Id遺伝子産物とgp130下流シグナル伝達経路のアクチベーターとの組み合わせの使用。
  3. 培養中の多分化能性細胞の自己再生の促進における、
    (i)Idタンパク質の発現または活性を増大させる薬剤;および
    (ii)gp130下流シグナル伝達経路のアクチベーター
    の組み合わせの使用。
  4. 前記gp130下流シグナル伝達経路のアクチベーターがLIFである、請求項1から3のいずれかの項に記載の使用。
  5. 前記多分化能性細胞が胚性幹細胞である、請求項1から4のいずれかの項に記載の使用。
  6. 前記胚性幹細胞がマウス細胞またはヒト細胞である、請求項5に記載の使用。
  7. 前記薬剤(i)が、フィブロネクチン、フィブロネクチンレセプターのアゴニスト、インテグリンシグナル伝達のアクチベーター、nanog、およびId遺伝子発現またはIdタンパク質活性を誘導する上記の全てのホモログから選択される、請求項3から6のいずれかの項に記載の使用。
  8. Id遺伝子の発現を誘導することを含む、請求項1から7のいずれかの項に記載の使用。
  9. 多分化能性細胞を遺伝子操作してId遺伝子を発現させることを含む、請求項1から8のいずれかの項に記載の使用。
  10. Id遺伝子を含むベクターを多分化能性細胞に導入することを含む、請求項1から9のいずれかの項に記載の使用。
  11. 前記Id遺伝子産物がIdタンパク質である、請求項1から11のいずれかの項に記載の使用。
  12. 培養中の多分化能性細胞の自己再生を促進する方法であって、(1)該細胞においてId遺伝子を発現させるかもしくはId遺伝子の発現を誘導する、またはIdタンパク質を含む培地中で該細胞を培養する、工程、および(2)GP130下流シグナル伝達を活性化する工程、を含む、方法。
  13. 前記細胞においてエピソームによってId遺伝子を発現させる工程を含む、請求項12に記載の方法。
  14. 誘導性プロモーターを含むエピソームベクターからId遺伝子を発現させる工程を含む、請求項13に記載の方法。
  15. gp130を介して作用するサイトカインを含む培地中で前記細胞を培養することにより、gp130下流シグナル伝達を刺激する工程を含む、請求項12から14のいずれかの項に記載の方法。
  16. 前記サイトカインが、LIF、CNTF、カルジオトロピン、オンコスタチンM、およびIL−6とsIL−6レセプターとの組み合わせから選択される、請求項15に記載の方法。
  17. 培養中の多分化能性細胞の自己再生の促進における、
    (a)TGF−βスーパーファミリーのレセプターを介して作用するものを除くId遺伝子発現および/またはIdタンパク質活性の直接アクチベーターもしくはエフェクター;および
    (b)gp130下流シグナル伝達経路のアクチベーター
    の組み合わせの使用。
  18. ES細胞自己再生を促進するようにES細胞を培養する方法であって、
    (a)Idタンパク質、あるいはTGF−βスーパーファミリーのレセプターを介して作用するものを除くId遺伝子発現および/またはIdタンパク質活性の直接アクチベーターもしくはエフェクター;および
    (b)gp130下流シグナル伝達経路のアクチベーター
    を含む培地中で、該ES細胞を維持する工程を含む、方法。
  19. ES細胞を培養する方法であって、
    (a)gp130を介して作用するサイトカインおよび血清もしくは血清抽出物の存在下で、必要に応じてフィーダー上で、該ES細胞を培養中に多分化能状態で維持する工程;
    (b)該ES細胞を少なくとも1回継代させる工程;
    (c)該血清もしくは該血清抽出物を該培地から除去し、そして存在する場合は該フィーダーを除去し、該培地がフィーダー、血清、および血清抽出物を含まないようにする工程;および
    (d)引き続き、
    (i)TGF−βスーパーファミリーのレセプターを介して作用するものを除くId遺伝子発現および/またはIdタンパク質活性の直接アクチベーターもしくはエフェクター;および
    (ii)gp130下流シグナル伝達経路のアクチベーター
    の存在下で、該ES細胞を多分化能状態で維持する工程;
    を含む、方法。
  20. ES細胞のトランスフェクトされた集団を得る方法であって、
    (a)ES細胞を、ES細胞において優先的に選択マーカーを発現するプロモーターに作動可能に連結した該選択マーカーをコードする構築物でトランスフェクトする工程;
    (b)該ES細胞を播種する工程;
    (c)
    (i)TGF−βスーパーファミリーのレセプターを介して作用する1つのアクチベーターを除くId遺伝子発現および/またはIdタンパク質活性の直接アクチベーターもしくはエフェクター;および
    (ii)gp130下流シグナル伝達経路のアクチベーター
    の存在下で、該ES細胞を培養する工程;および
    (d)該選択マーカーを発現する細胞を選択する工程;
    を含む、方法。
  21. ES細胞を培養する方法であって、
    個々のES細胞を培養容器に移す工程、および
    該ES細胞を、
    (a)TGF−βスーパーファミリーのレセプターを介して作用するものを除くId遺伝子発現および/またはIdタンパク質活性の直接アクチベーターもしくはエフェクター;および
    (b)gp130下流シグナル伝達経路のアクチベーター
    の存在下で培養する工程を含み、
    それによって全てが単一のES細胞からの子孫であるES細胞のクローン集団を得る、方法。
  22. ES細胞の分化を非神経外胚葉運命に導く方法であって、
    (a)gp130を介して作用するサイトカイン、およびTGF−βスーパーファミリーのレセプターを介して作用するものを除くId遺伝子発現および/またはIdタンパク質活性の直接アクチベーターもしくはエフェクターの存在下で、該ES細胞を維持する工程;ならびに
    (b)該サイトカインを除去しながら、
    (c1)Id遺伝子発現および/またはIdタンパク質活性の直接アクチベーターもしくはエフェクターを維持する工程;および/または
    (c2)分化を導き得るさらなるシグナル伝達分子を添加する工程
    を含む、方法。
  23. ES細胞の自己再生用の培地であって、
    (1)基本培地;
    (2)TGF−βスーパーファミリーのレセプターを介して作用するものを除くId遺伝子発現および/またはIdタンパク質活性の直接アクチベーターもしくはエフェクター;
    (3)gp130下流シグナル伝達経路のアクチベーター;および
    (4)鉄輸送因子
    を含み、ここで該培地が血清もしくは血清抽出物を含まない、培地。
  24. 胚盤胞から多分化能性細胞を誘導する方法であって、
    (1)胚盤胞を得る工程;
    (2)gp130下流シグナル伝達のアクチベーターの存在下で該胚盤胞を培養し、内部細胞塊を得る工程;
    (3)該内部細胞塊を解離する工程;
    (4)該解離した内部細胞塊から細胞を単離する工程;および
    (5)該単離した細胞を、gp130下流シグナル伝達のアクチベーター、およびId遺伝子発現のアクチベーターもしくはId遺伝子発現の産物の存在下で、培養する工程
    を含む、方法。
  25. 前記胚盤胞をLIF中で培養する工程を含む、請求項24に記載の方法。
  26. 前記単離した細胞を、LIFとBMPレセプターのアゴニストとの組み合わせ中で培養する工程を含む、請求項24または25に記載の方法。
  27. 前記胚盤胞を2〜4日間培養する工程を含む、請求項24から26のいずれかの項に記載の方法。
  28. 前記単離した細胞を無血清培地中で培養する工程を含む、請求項24から27のいずれかの項に記載の方法。
  29. 前記胚盤胞を無血清培地中で培養する工程を含む、請求項24から28のいずれかの項に記載の方法。
  30. 前記胚盤胞を、BMPレセプターのアゴニストの不在下で培養する工程を含む、請求項24から29のいずれかの項に記載の方法。
  31. プロモーターに作動可能に連結したId遺伝子を含む、ベクター。
  32. 前記プロモーターが誘導性プロモーターである、請求項31に記載のベクター。
  33. エピソームベクターである、請求項31または32に記載のベクター。
  34. TGF−βレセプタースーパーファミリーのレセプターを介して作用する薬剤以外の、Idタンパク質発現を誘導する薬剤を含む培養培地。
  35. Idタンパク質を含む培養培地。
  36. 多分化能性細胞の細胞膜を横断する前記Idタンパク質のトランスロケーションを容易にするようにトランスロケーションドメインに連結した該Idタンパク質を含む、請求項35に記載の培養培地。
  37. TAT、VP22、またはペネトラチンに連結したIdタンパク質を含む、請求項35または36に記載の培養培地。
  38. Idタンパク質およびトランスロケーションドメインを含む、組成物。
  39. 融合タンパク質を含む、請求項38に記載の組成物。
  40. 前記トランスロケーションドメインがTAT、VP22、またはペネトラチンを含む、請求項38または39に記載の組成物。
  41. 多分化能性細胞の自己再生の促進における、該多分化能性細胞でIdタンパク質活性を増大させる薬剤の使用。
  42. 前記薬剤が、前記細胞中のIdタンパク質の量を増大させる、請求項41に記載の使用。
  43. 前記薬剤が、請求項38から40のいずれかの項に記載の組成物を含む、請求項41に記載の使用。
  44. gp130シグナル伝達ならびにIdタンパク質の活性化および/または発現の存在下での多分化能性細胞のインビトロ培養により得られる細胞。
  45. 分化した細胞を得る方法であって、
    (1a)細胞においてId遺伝子を発現させもしくはId遺伝子の発現を誘導し、そして
    (1b)該細胞においてGP130下流シグナル伝達を活性化させる工程;
    (2)該細胞を分化させる工程;ならびに
    (3)分化した細胞を得る工程
    を含む、方法。
  46. 工程(1)の細胞が、選択マーカーをコードするヌクレオチド配列が、所望の細胞において該選択マーカーを優先的に発現するプロモーターに作動可能に連結されている構築物を含む、請求項45に記載の方法。
  47. 前記選択マーカーを発現する細胞を選択する工程を含む、請求項46に記載の方法。
  48. 請求項45から47のいずれかの項に記載の方法により得られる細胞。
  49. 多分化能性細胞を得る方法であって、
    細胞においてId遺伝子を発現させもしくはId遺伝子の発現を誘導するか、またはIdタンパク質を含む培地中で細胞を培養する工程、および該細胞においてgp130下流シグナル伝達を活性化する工程を含み、ここで該細胞が、胎児または成体の体細胞または組織から得られる、方法。
  50. 前記多分化能性細胞が、Rex1、Oct4、およびnanogに対して陽性であることにより特徴付けられる、請求項49に記載の方法。
  51. 請求項49から50のいずれかの項に記載の方法により得られる細胞。
  52. Idタンパク質に代わる活性を有する因子のアッセイであって、
    (1)Idタンパク質活性およびgp130下流シグナル伝達の存在下で細胞を培養し、それにより該細胞を多分化能状態で維持する工程;
    (2)該Idタンパク質活性を除去するまたは低下させる工程;
    (3)該因子を該細胞に導入する工程;および
    (4)該細胞が多分化能を保持しているかまたは分化しているかを決定する工程
    を含む、アッセイ。
  53. (1)においてIdタンパク質活性の存在下で前記細胞を培養する工程が、(a)Id遺伝子を発現させる工程、(b)Id遺伝子の発現を誘導する工程、または(b)該細胞が培養される培地にIdタンパク質を添加する工程を含む、請求項52に記載のアッセイ。
  54. 前記因子を前記細胞に導入する工程が、(a)該因子を発現させる工程、または(b)該細胞が培養される培地に該因子を添加する工程を含む、請求項52または53に記載のアッセイ。
  55. 請求項52から54のいずれかの項に記載の方法により得られる因子。
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