JP2007502431A - 磁気共鳴方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 複数のサンプル(1)の少なくとも1つの特性を判定するための磁気共鳴法における改良点は、複数のサンプル(1)を呼掛けゾーンに同時に導入する段階と;勾配の付いた磁界を呼掛けゾーン(103)に加え、呼掛けゾーン(103)内の異なる位置が異なる特定の周波数に敏感になるようにする段階と;異なる位置のサンプルが放出したエネルギーを監視し、異なる周波数帯域内でこれに対応して放出されたエネルギーに比例する特性を有する出力信号を生成する段階と;信号を、特定の位置とサンプル(1)に帰属させ、前記特定の位置及びサンプル(1)の出力信号特性を、少なくとも1つの同様のサンプルから得た同様のデータと比較して、サンプルの対応する特性を表示する段階と、を含んでいる。
【選択図】 図1
【選択図】 図1
Description
本発明は、NMR技法を使った、サンプルの非接触式検査計量に関する。
磁気モーメントを有する原子核は、強力な磁界内では核振動周波数が先鋭に現れる(ラーモア周波数)。各原子核の振動周波数は、その質量、その双極子モーメント、原子の化学的結合、(近傍の他の原子との電磁結合によって影響を受ける)原子の環境、及び原子から見た磁界の強度によって変わる。従って、振動周波数は、様々な原子種の特性であるだけではなく、その分子環境の特性でもある。この振動を共鳴加振することによって、原子種とその環境を正確に判定することができる。この現象は、「核磁気共鳴」又はNMRとして知られている。
RFエネルギーのパルスが特定の種の原子及び環境(例えば、水環境内の水素原子)の共鳴周波数で加えられると、この種の原子核と環境は共鳴加振され、その後、低励起状態へと転移して戻る。この転移には、無線周波数信号を、加振周波数又は既知の低周波数で放出することが伴う。この信号は、自由誘導減衰(FID)として知られている。このFID曲線の振幅と形状は、プロセスに巻き込まれる核の量と、環境に関係する原子の具体的な状態及び特性とに関係する。
測定、検出及び画像化にNMR技法を使用することは、多くの科学的な活動の分野で望まれるものになっている。NMRの非侵襲的で非破壊的な性質は、産業上の計測、分析及び制御業務へ適用をやり易くしている。
周期律表の殆ど全ての元素は、非ゼロ核スピンを伴う同位体を有している。このスピンは、核を磁気的に活性化する。磁気的に活性な核の中で、NMRは、その天然存在度が検出できるほど高い同位体にだけ有効である。一般的に遭遇する磁気的に活性な核は、1H、13C,19F、25Na及び31Pである。最も一般的なのは1Hで、最大の磁気モーメントを保有しており、NMR分光分析法の性能にとって最も好都合になっている。
静磁界(static magnetic field)B0のサンプルに適用すると、サンプル核のスピンは、磁界と整列し、磁界の方向と平行になる。磁気モーメントは、静磁界に平行(NSNS)又は逆平行(NNSS)に整列する。静磁界に平行な整列は、低エネルギー状態であり、磁界に逆平行な整列は、高エネルギー状態である。室温では、低エネルギーレベルN+のスピンを有する核の数は、上位レベルN−の数を僅かに上回る。ボルツマン統計は、
N−/N+=exp(−E/kT) (1)
であるとしており、ここに、Eはスピン状態の間のエネルギー差、kはボルツマン定数の1.3805x10-23ジュール/ケルビン、Tはケルビン温度である。温度が低下すると、比率N−/N+も低下する。温度が上昇すると、比率は1に近づく。
N−/N+=exp(−E/kT) (1)
であるとしており、ここに、Eはスピン状態の間のエネルギー差、kはボルツマン定数の1.3805x10-23ジュール/ケルビン、Tはケルビン温度である。温度が低下すると、比率N−/N+も低下する。温度が上昇すると、比率は1に近づく。
高い状態のスピンを有する核の僅かな不均衡のために、静磁界内のサンプルは、静磁界に平行な磁化を示す。磁化は、静磁界の回りの核の歳差運動(緩和)から生じる。この歳差運動の周波数は、静磁界の強度によって決まり、
ν=γB (2)
と定義され、ここに、Bは磁界の強度であり、ガンマは、サンプル材料内の少なくとも1つの原子、通常は水素、の磁気回転比である。磁気回転比は、分析対象の核の磁気モーメントに関係する。陽子の磁気回転比は42,57MHz/テスラである。このようにして測定された周波数は、静磁界内の核の歳差運動の速度、又は上位状態と下位状態の間で転移が起こり得るエネルギーに対応する周波数、と概念的に解釈することのできるラーモア周波数νとして知られている。
ν=γB (2)
と定義され、ここに、Bは磁界の強度であり、ガンマは、サンプル材料内の少なくとも1つの原子、通常は水素、の磁気回転比である。磁気回転比は、分析対象の核の磁気モーメントに関係する。陽子の磁気回転比は42,57MHz/テスラである。このようにして測定された周波数は、静磁界内の核の歳差運動の速度、又は上位状態と下位状態の間で転移が起こり得るエネルギーに対応する周波数、と概念的に解釈することのできるラーモア周波数νとして知られている。
基本的なNMR信号は、これらの異なる整列の間の転移を誘発することによって引き出される。そのような転移は、サンプルを、典型的にはRFコイルによって生成されるRF(無線周波数)信号の磁気成分に曝すことによって誘発させることができる。磁気成分を磁界に垂直に掛けると、異なる整列の間の転移の間に放出又は吸収されるエネルギーに対応する特定のRF周波数(歳差運動周波数、ラーモア周波数と同じ)で共鳴が起こる。例えば0.1から2テスラ(1T=10,000ガウス)の範囲の強力な磁界が用いられている場合、この共鳴は、通常、FM無線に相当するメガヘルツ周波数範囲内で起こる。而して、放射は、無線周波数(RF)放射として知られている。
NMR分光分析法における信号は、低エネルギー状態から高エネルギー状態への転移を起こすスピンによって吸収されるエネルギーと、高エネルギー状態から低エネルギー状態への転移を同時に起こすスピンによって放出されるエネルギーの間の差から生じる。従って、信号は、状態の間の母集団の差に比例する。NMR分光分析法は、これらの非常に小さな母集団の差を検出することができるので、感度レベルが高い。NMRにその感度を与えるのは、スピンと分光計の間の特定の周波数における共鳴又はエネルギー交換である。
パルス式NMR分光分析法は、磁気バースト又はパルスを伴う技法であり、測定対象のサンプルである特定の核種の核を、そのようなサンプルの陽子が先ず基本的には静磁界の位相に持ち込まれた後、即ちパルスによって歳差運動が修正された後で、加振するように設計されている。通常、静磁界B0の方向は、三次元空間内のZ軸に沿っていると考えられる。平衡状態では、正味磁化ベクトルは、掛けられた磁界B0の方向に沿っており、平衡磁化M0と呼ばれる。この場合、磁化MZのZ成分は、M0に等しい。MZは、縦方向磁化と呼ばれる。そのような場合、横方向(MX又はMY)磁化は無い。
核のスピンシステムを、スピン状態の間のエネルギー差に等しい周波数のエネルギーに曝すことによって、正味磁化を変更することもできる。十分なエネルギーをシステムに注入すれば、スピンシステムを飽和させ、MZ=0にすることができる。MZがその平衡値にどのように戻るかを記述する時定数は、スピン格子緩和時間(T1)と呼ばれる。この挙動を、その変位後の時間tの関数として表す式は、
MZ=M0(1−e−t/T1) (3)
であり、従ってT1は、磁化のZ成分をe倍に変えるのに必要な時間と定義される。従って、t=T1であれば、MZ=0.63M0である。暗騒音を下げ信号品質を高めるのに必要な繰り返し測定を適切に実行するためには、M0をMZに戻せなくてはならない。つまり、飽和するとゼロになる縦方向磁化MZは、+Z方向に完全に戻り、その平衡値M0に達することができなくてはならない。これは、論理的には永遠の時間を要する(即ち、飽和後、t=∞のときMZ=M0)が、t=5T1のときに起こる、MZ=0.99B0であれば十分であると一般的に考えられている。これは、サンプルを複数回測定する速度、又は呼掛け(interrogation)ゾーンでの全体的サンプル処理量に、時間的拘束を課する。
MZ=M0(1−e−t/T1) (3)
であり、従ってT1は、磁化のZ成分をe倍に変えるのに必要な時間と定義される。従って、t=T1であれば、MZ=0.63M0である。暗騒音を下げ信号品質を高めるのに必要な繰り返し測定を適切に実行するためには、M0をMZに戻せなくてはならない。つまり、飽和するとゼロになる縦方向磁化MZは、+Z方向に完全に戻り、その平衡値M0に達することができなくてはならない。これは、論理的には永遠の時間を要する(即ち、飽和後、t=∞のときMZ=M0)が、t=5T1のときに起こる、MZ=0.99B0であれば十分であると一般的に考えられている。これは、サンプルを複数回測定する速度、又は呼掛け(interrogation)ゾーンでの全体的サンプル処理量に、時間的拘束を課する。
スピンシステムは、過飽和して正味磁化が−Z方向に向いてしまうと、徐々にその平衡位置に、z軸に沿ってこれもT1が支配する速さで戻る。この挙動を、その変位後の時間tの関数として表す式は、
MZ=M0(1−2e−t/T1) (4)
である。スピン格子緩和時間(T1)は、縦方向の磁化(MZ)とその平衡値の間の差をe倍に減らす時間である。ここでも、経過時間t=5T1が、MZが0.99M0という値に戻るのに必要で、サンプル処理量に同様の時間的拘束を課する。
MZ=M0(1−2e−t/T1) (4)
である。スピン格子緩和時間(T1)は、縦方向の磁化(MZ)とその平衡値の間の差をe倍に減らす時間である。ここでも、経過時間t=5T1が、MZが0.99M0という値に戻るのに必要で、サンプル処理量に同様の時間的拘束を課する。
正味磁化を90°のパルスだけXY面に回転させると、それは、スピンの2つのエネルギーレベルの間の転移に相当するエネルギーを有する光子の周波数に等しい周波数でZ軸の回りに回転する。この周波数は、ラーモア周波数と呼ばれる。すると、正味磁化は、それを構成している各スピンパケットが僅かに異なる磁界の影響を受け、それによって固有のラーモア周波数で回転するので、回転に加えて、XY面内で位相をずらし始める。パルスに続く経過時間が長くなるほど、位相の差は大きくなる。検出器コイルが、X方向の磁界の測定だけを感知する場合、位相のずれは、信号の減衰に繋がり、最終的にはゼロに近付く。横方向磁化MXYのこの減衰を記述する時定数は、スピン−スピン緩和時間T2と呼ばれる。
MXY=MXY0e−t/T2 (5)
で、T2は常にT1以下である。XY面内の正味磁化は、M0が+Z方向に戻るまで縦方向磁化が成長する間に、ゼロになる。横方向磁化も、同じように挙動する。
で、T2は常にT1以下である。XY面内の正味磁化は、M0が+Z方向に戻るまで縦方向磁化が成長する間に、ゼロになる。横方向磁化も、同じように挙動する。
スピン−スピン緩和時間T2は、横方向の磁化をe倍に減らす時間である。スピン格子緩和とスピン−スピン緩和の間の違いは、前者がM2をM0に戻すよう作用するのに対し、後者はMXYをゼロに戻すよう作用することである。T1とT2は、分かり易いように、上記では別々に論じた。つまり、磁化ベクトルは、XY面を完全に満たした後で、Z軸に沿って成長して戻るように考えられている。実際には、両方のプロセスは同時に起こり、唯一の制約は、T2がT1以下であるということである。
2つの因子は、横方向磁化の減衰、即ち(1)分子の相互作用(純粋なT2分子効果に繋がると言われている)、と(2)異質なT2効果に繋がると言われているB0(加えられる静磁界)の変化、に寄与する。これら2つの因子のを組み合わせが、実際に横方向磁化を減衰する。組み合わせられた時定数は「T2スター」と呼ばれ、記号T2 *を与えられる。分子プロセスによるT2と、磁界内が同質でないことによるT2との間の関係は、
1/T2 *=1/T2+1/T2inh (6)
である。同質でない原因は、磁界の自然の変動のこともあれば、磁界を生成する磁石の不完全さ、或いは鉄又は他の強磁性金属のような磁気的汚染物質のこともある。
1/T2 *=1/T2+1/T2inh (6)
である。同質でない原因は、磁界の自然の変動のこともあれば、磁界を生成する磁石の不完全さ、或いは鉄又は他の強磁性金属のような磁気的汚染物質のこともある。
実際問題として、NMRを使ってサンプルを実際に測定するには、先ず、サンプルを器具の呼掛けゾーンである静磁界B0に置く。次に、磁気パルスを加え、磁化ベクトルを所望の程度、通常は90°又は180°回転させる。例えば90°のパルスは、磁化ベクトルをZ方向からXY面へと回転させ、先に述べたように横方向磁化MXYが生じる。パルスを加えた後、励起された核を伴う磁化の自由誘導減衰(FID)が起こる。
伝統的なフーリエ変換分析は、時間領域スペクトル(磁化ベクトルの振幅対時間)を周波数領域スペクトル(周波数対相対振幅)に変換し、多重位相スペクトルから個々の周波数を分離する。この分離は、関心対象の核を研究する際に効果的に用いられる。パルスの持続時間、パルス間の時間、パルス位相角及びサンプルの組成は、この技法の感度に影響を与えるパラメーターである。
国際特許出願第WO9967606号は、呼掛けゾーンに静磁界を作り、呼掛けゾーン内に位置しているサンプルの中に正味磁化を作るための磁石と、呼掛けゾーンに交流磁界(alternating magnetic field)を掛けて、NMRの原理に従ってサンプルを加振するためのRFコイルと、を含んでいる、製造ライン上のサンプルのための検査計量システムについて記載しており、同出願全体を参考文献としてここに援用する。
製造ライン上のサンプルを検査計量するための技法にNMRを使用すると、限定するわけではないが、サンプルの容器内かシステム内の何処かの何れかに金属粒子のような干渉種があること、磁石又は電子機器の温度の影響、サンプル又はシステムの湿度、容器の機械的不安定さ、を含め、様々な問題に遭遇する。
NMR検査計量システムに関する上に述べた不正確な測定の潜在的な原因を、識別及び/又は補正するためのシステム及び方法を提供することが望まれる。
本方法は、製品の充填又は製造ラインに沿って通過している容器に入った材料を、核磁気共鳴(NMR)技法によって検査計量することに関する。
多くの薬剤は、ブリスターパッケージの形に包装される。包装されている錠剤の存在、形状又は色を判定するのに、光学技法が使用されている。NMR技法を使えば、このパッケージの内容物の重量、及び品質さえも判定することができる。
多くの薬剤は、ブリスターパッケージの形に包装される。包装されている錠剤の存在、形状又は色を判定するのに、光学技法が使用されている。NMR技法を使えば、このパッケージの内容物の重量、及び品質さえも判定することができる。
本方法は、機械的に不安定な容器をNMR呼掛けゾーンを通して円滑に移送するための手段と方法を提供する。
充填又は製造ライン内の複数のサンプルの少なくとも1つの特性を判定するための磁気共鳴法における或る改良点が提供されており、その改良点は、
呼掛けゾーン内に位置するサンプル内に正味磁化を作り出すために、第1磁界を、呼掛けゾーンで第1方向に加える段階と、
呼掛けゾーン内に位置するサンプルの正味磁化を一時的に変えるために、交流磁界を、呼掛けゾーンで第2方向に加える段階と、
サンプルの正味磁化がその元の状態に戻るときにサンプルが放出するエネルギーを監視し、放出されたエネルギーに比例する特性を有する出力信号を生成する段階と、を備え、
複数のサンプルを呼掛けゾーンに同時に導入する段階と、
勾配の付いた磁界を呼掛けゾーンに加え、呼掛けゾーン内の異なる位置が異なる周波数に敏感になるようにする段階と、
異なる位置のサンプルが放出するエネルギーを監視し、異なる周波数帯域内でこれに対応して放出されたエネルギーに比例する特性を有する出力信号を生成する段階と、
信号を、特定の位置とサンプルに帰属させ、特定の位置及びサンプルの出力信号特性を、少なくとも1つの同様のサンプルから得た同様のデータと比較して、サンプルの対応する特性を表示する段階と、を特徴としている。
充填又は製造ライン内の複数のサンプルの少なくとも1つの特性を判定するための磁気共鳴法における或る改良点が提供されており、その改良点は、
呼掛けゾーン内に位置するサンプル内に正味磁化を作り出すために、第1磁界を、呼掛けゾーンで第1方向に加える段階と、
呼掛けゾーン内に位置するサンプルの正味磁化を一時的に変えるために、交流磁界を、呼掛けゾーンで第2方向に加える段階と、
サンプルの正味磁化がその元の状態に戻るときにサンプルが放出するエネルギーを監視し、放出されたエネルギーに比例する特性を有する出力信号を生成する段階と、を備え、
複数のサンプルを呼掛けゾーンに同時に導入する段階と、
勾配の付いた磁界を呼掛けゾーンに加え、呼掛けゾーン内の異なる位置が異なる周波数に敏感になるようにする段階と、
異なる位置のサンプルが放出するエネルギーを監視し、異なる周波数帯域内でこれに対応して放出されたエネルギーに比例する特性を有する出力信号を生成する段階と、
信号を、特定の位置とサンプルに帰属させ、特定の位置及びサンプルの出力信号特性を、少なくとも1つの同様のサンプルから得た同様のデータと比較して、サンプルの対応する特性を表示する段階と、を特徴としている。
充填又は製造ライン内のサンプルの少なくとも1つの特性を判定するための磁気共鳴法における或る改良点が更に提供されており、その改良点は、
呼掛けゾーン内に位置するサンプル内に正味磁化を作り出すために、磁界を、呼掛けゾーンで第1方向に加える段階と、
呼掛けゾーン内に位置するサンプルの正味磁化を一時的に変えるために、交流磁界を、呼掛けゾーンで第2方向に加える段階と、
サンプルの正味磁化がその元の状態に戻るときにサンプルが放出するエネルギーを監視し、放出されたエネルギーに比例する特性を有する出力信号を生成する段階と、を備え、
呼掛けゾーンを通して移動させるために容器を機械的に安定させる段階を特徴としている。
呼掛けゾーン内に位置するサンプル内に正味磁化を作り出すために、磁界を、呼掛けゾーンで第1方向に加える段階と、
呼掛けゾーン内に位置するサンプルの正味磁化を一時的に変えるために、交流磁界を、呼掛けゾーンで第2方向に加える段階と、
サンプルの正味磁化がその元の状態に戻るときにサンプルが放出するエネルギーを監視し、放出されたエネルギーに比例する特性を有する出力信号を生成する段階と、を備え、
呼掛けゾーンを通して移動させるために容器を機械的に安定させる段階を特徴としている。
安定性は、容器を保持するためのポケットを提供し、随意的には配置し取り除く手段を提供すること;容器を渦巻螺旋形搬送構造内で案内すること;容器を一列に、随意的にはカセットシステムで運ぶこと;容器が呼掛けゾーンを通して搬送されている間は、コンベヤーが容器を保持するようにすること;又は、相互に距離を取らずに呼掛けゾーンを通して容器を送ること、で作り出すことができる。
本方法は、製造ラインに沿って通過している容器に入った材料を核磁気共鳴(NMR)技法によって検査計量することに関する。一例として、検査計量は、充填の際に、密封されたガラスのバイアル内の薬剤の量を監視し調整するのに、製薬会社で用いられている。薬剤の重量は、数グラム程度と少量のこともあり、数十グラムのバイアルに入った状態で、毎秒数個の計量速度で、数パーセント以内の精度で計量する必要がある。従来は、必要な精度を得るには、容器の重量を考慮するため、充填の前後の両方で製造ラインからバイアルを取り出してそれらを正確な秤で計量することが必要であった。これには時間が掛かるので、製品のほんの一部しか試験されていない。期待値からの逸脱が検出されると、問題が見極められるまで、大量の一群の製品が廃棄されることになりかねない。バイアルは、充填の前後の両方で計量しなければならないので、計量は、充填と密封の間で、無菌環境で行う必要がある。
サンプルの質量を判断するためのNMR装置は、概略的には、静磁界をサンプルの第1方向に生成するための手段と;交番加振磁界をサンプルの第2方向に加えるための手段と;加振磁界に応答してサンプルが放出するエネルギーを感知し、それに基づいて信号を出力するための手段と;前記感知手段によって出力された信号を、記憶されている較正データと比較し、サンプルの質量を表示するための手段、を備えている。このような装置は、製品充填ラインにオンラインで用いることができる。この装置は、容器がNMRに反応しない材料で作られていれば、容器の質量に関係なく、容器の内容物の質量を非接触測定することができ、20グラム以上のガラス容器に入っている0.1グラムから10グラムの重さのサンプルのような少量のサンプルの質量を判定し、サンプルの重量ではなく質量を表示するのに有用である。
本装置は、容器に所定量のサンプルを充填する段階と;充填された各容器を計量ステーションに搬送する段階と;各容器内のサンプルを計量する段階と;サンプルを容器内に密封する段階と;所定の許容差内の所定量のサンプルが入っていない容器を全て排除する段階とによって容器の内容物を測定するのに用いることができる。サンプルを計量する段階は、呼掛け(interrogation)ゾーン内に位置するサンプル内に正味磁化を作り出すために、呼掛けゾーンで第1方向に静磁界を生成する段階と;呼掛けゾーン内に位置するサンプルの正味磁化を一時的に変えるために、呼掛けゾーンで第2の異なる方向に交流磁界(alternating magnetic field)のパルスを加える段階と;サンプルの正味磁化がその元の状態に戻るときにサンプルが放出するエネルギーを感知し、それに基づいて信号を出力する段階と;感知する段階で出力された信号を、既知の質量の少なくとも1つの同様のサンプルの質量を感知段階で出力された対応する信号に関係付ける較正データと比較して、各容器内のサンプルの質量を表示する段階とを含んでいる。
このような装置と方法は、薬剤だけでなく、限定するわけではないが、化粧品、香水、産業用の化学薬品、生物サンプル及び食品を含む様々な製品に用いることができる。これは、100%サンプリングが無駄の低減に繋がる高価な製品を測定することができ、固体、粉末、液体及び気体、又はそれらの組み合わせの各形態のサンプルの質量を判定するのに用いることができる。
図1は、ガラスのバイアル1に薬剤サンプルを充填する製造ラインの一部を示している。この中には、通過する充填済みの各バイアルを計量するために「インライン」に設けられている計量ステーション3と、製品仕様に合致するだけの量の薬剤を有していないバイアルをラインから取り除く排除ステーション5が含まれている。バイアル1は、矢印9で示すように、コンベヤーホイール11を回転させることによってz方向に移動するコンベヤーベルト7によって、充填(及び、随意的には密封)ステーション(図示せず)から計量ステーション3に運ばれる。計量ステーションは、NMR技法を使って、各ガラスのバイアル1内の薬剤サンプルの質量を判定する。当業者には理解頂けるように、ガラスのバイアルは、測定処理を邪魔する信号を出さないので、容器として有用である。この実施形態では、計量ステーション3は、永久磁石13、RFコイル15及びコンピューターシステム17を備えている。磁石13は、コンベヤーベルト7を横切るx方向に同質の直列電流(DC)又は静磁界を作る。ガラスのバイアル内のサンプルには核があり、各核は、磁気モーメント、例えば1H核(陽子)を保持している。この磁気モーメントは、先に論じたように、核のスピンの結果である。
殆どのNMRシステムでは、静磁界の強度は、サンプルのラーモア周波数が、電磁スペクトルの無線周波数の範囲内にあるような強さである。交流電流(AC)磁界を、サンプルに、サンプルのラーモア周波数で静磁界に対し直交方向に加えると、サンプルの正味磁化は、AC磁界軸回りに、静磁界の方向から離れるように回転する。この実施形態では、この磁界は、対応するAC電流をRFコイル15に加えることによって生成される。正味磁化の回転角度は、RFコイル15へ送られるエネルギーの量を変えることによって変えることができる。
この代表的な実施形態では、90°の回転を引き起こす加振磁界が、サンプルを加振するのに用いられている。90°のパルスがサンプルに加えられた後、サンプルは、高エネルギーの非平衡状態に置かれ、そこから緩和して平衡状態に戻る。緩和する際に、電磁エネルギーがラーモア周波数で放出され、その磁気成分が、RFコイル15内に電流を誘導し、そのピークの振幅は、特に、サンプル内の磁気モーメントの数、従ってサンプル内の分子の数によって変化する。受信された信号はコンピューター制御システム17に送られ、そこで、未知のサンプルから受信された信号のピーク振幅が、既知の質量(又は重量)を有する較正サンプルから受信された信号のピーク振幅と比較され、試験対象サンプルの質量(又は重量)が判定される。検査計量ステーション3は、サンプル内の異なるNMR応答元素を加振するのに必要な異なるラーモア周波数で信号を生成し受信することができる。コンピューター制御システム17が、異なる各サンプル毎に較正データを記憶することができれば、検査計量ステーションは、異なるNMR応答元素からのNMR信号を使って様々なサンプルの質量を判定することができることになる。
或る実施形態の作動について、この実施形態のコンピューター制御システム17の基本的な構成要素のブロック図である図1Fを参照しながら詳細に説明する。制御システムは、制御システムをRFコイル15に接続するための接続端末21を備えている。接続端末21は、スイッチ23を通して、RFコイル15に加えられる加振信号をそれぞれ生成し増幅するように作動可能な信号生成器25と電力増幅器27に接続することができる。接続端末21は、更に、スイッチ23を通して、試験対象サンプルから受信した信号を増幅する受信増幅器31に接続することができる。この増幅された信号は、次に、フィルター33で濾過されてノイズ成分が取り除かれ、ミキサー35に送られ、そこで、受信信号は、信号生成器25で生成された適切な混合信号を掛けることによって中間周波数(IF)にダウンコンバートされる。ミキサー35が出力したIF信号は、次にフィルター37で濾過され、ミキサー35が生成した望ましくない成分が取り除かれる。濾過されたIF信号は、A/D変換器39によって対応するデジタル信号に変換され、マイクロプロセッサー41に送られる。
破線の制御線43と45で示すように、マイクロプロセッサー41は、信号生成器25とスイッチ23の作動を制御する。マイクロプロセッサー41は、充填済みのバイアル1が検査計量ステーション3内の所望の位置にあるときに信号生成器25が確実に加振信号を生成するように作動する。マイクロプロセッサー41は、検査計量ステーション3内に取り付けられている光学位置センサー50に接続端末49を通して接続されている位置センサー電子機器47から受信した信号から、バイアル1が何時正しい位置にくるかを知る。図1に示すように、ガラスのバイアル1が光学位置センサー50の前を通過するとき、光ビーム52が遮断される。位置センサー電子機器47は、これを検出して、マイクロプロセッサー41に信号を送る。この情報と、コンベヤーベルト7の速度(コンベヤー制御器51によって提供される)に基づいて、マイクロプロセッサーは、加振電流のバーストを加えるのに適切な時機を判断し、それに従って信号生成器25に信号を送る。
磁気共鳴に関する当業者には理解頂けるように、サンプルが磁石13によって生成された静磁界に入った後、サンプルの正味磁化がX方向に沿って生じるまでには、或る有限の期間を要する。完全に磁化する前に加振信号をRFコイル15に加えると、サンプルによって生成される信号の強度は、最大値にならない。
正味磁化と、従ってサンプルによって作られる最終的な信号の強度とは、静磁界内に在る時間によって変化する。長手方向緩和時間は、試験対象サンプルと、静磁界の強度によって決まる。従って、静磁界の強度と試験対象サンプルの種類が分かれば、緩和時間を求めることができる。この情報を、コンベヤーベルト7の速度と結びつけて、試験対象サンプルが確実にできる限り大きな信号を生成するのに必要な磁石13のZ方向の最小長さを判定する。
或る実施形態では、コンデンサ(図示せず)がRFコイル15の両端に亘って接続されており、サンプルのラーモア周波数に同調させられるようになっている。水素のようなMR応答元素のラーモア周波数は、静止磁石のDC磁界強度に元素の磁気回転比(水素では42.57MHz/Tesra)を掛けることによって計算される。他のMR応答元素の磁気回転比は、CRCプレス社発行の化学及び物理学のCRCハンドブックで見つけることができる。水素のようなMR応答元素のラーモア周波数は、静止磁石のDC磁界強度に元素の磁気回転比(水素では42.57MHz/Tesra)を掛けることによって計算される。他のMR応答元素の磁気回転比は、CRCプレス社発行の化学及び物理学のCRCハンドブックで見つけることができる。この方法でRFコイル15を同調させると、システムは、電磁干渉、又は磁気回転比が異なる核からの他のMR信号の影響を受け難くなる。RFコイル15を流れる加振電流は、対応する磁界をZ方向に生成する。この加振磁界は、バイアル1内のサンプルの正味磁化を、ラーモア周波数で、X軸の回りに回転させるか、又は歳差運動させる。加振電流をRFコイル15から取り除くと、サンプル内の核は緩和して平衡状態に戻り、緩和する際にラーモア周波数でRFエネルギーを放出する。これは、減衰が見られるRFコイル15内に信号を誘起し、その特性時間は、横緩和時間と呼ばれる。これは、試験対象サンプル次第であり、静磁界の強度には依存しない。
図示のように、誘起された信号のピーク振幅は、加振電流が停止した直後に最大となり、その時点以後は信号がゼロに減衰する。サンプルによってRFコイル15内で誘起された信号のピーク振幅は、サンプル内の磁気モーメントの数に正比例している。従って、この実施形態では、マイクロプロセッサー41は、RFコイル15から加振信号が取り除かれた後でA/D変換器39から受信するピーク信号のレベルを監視する。代わりに、精度を上げるために、マイクロプロセッサーは、或る期間に亘る平均的な信号を求めてもよいし、曲線の形状を調整してもよい。
或る実施形態では、マイクロプロセッサー41は、このピーク信号レベルを、既知の質量の同様のサンプルを試験して得られた較正データと比較し、目下試験しているサンプルの質量を表示する。この実施形態では、この較正データは、量産が始まる前の較正ルーチンの間に、異なる質量を有する多数の同様のサンプルから得られ、メモリ53に記憶されている。この実施形態では、較正データは、試験中のサンプルから受信したMR信号のピーク振幅をサンプルの質量に関係付ける関数である。
上記実施形態で述べたように、RFプローブは、サンプルの正味磁化がその元の平衡状態に戻るときにサンプルが放出するエネルギーを監視し、電流の振幅のような、放出されたエネルギーに比例する特性を有する出力信号を生成する。コンピューター制御システムは、RFプローブ出力信号を受け取る。プロセッサーは、電流の振幅又は他の出力信号特性を、少なくとも1つの既知の質量を有する同様なサンプルから得た同様なデータと比較し、比較結果からサンプルの質量を判定する。分かり易くするために、本実施形態では、誘起された信号のピーク振幅を測定するように説明しているが、放出されたエネルギーと生成された出力信号から1つの値を導き出すのであれば、どの様な化学計量特性技法を使用してもよい。一般に、比較技法は、サンプルのFID特性を、少なくとも1つの既知のサンプルの同様のFIDの特性、即ち較正データと比較する段階を含んでいる。
或る実施形態では、マイクロプロセッサー41が、分析されている目下のサンプルの質量は必要な質量の所与の許容差内に入っていないと判断した場合は、制御線55で排除制御器57に制御信号を出力する。すると、排除制御器は、排除ステーション5に接続されている出力端末59に、試験を受けている目下のバイアル1が排除ステーション5に到着したら排除ステーションがコンベヤーベルト7から取り除くよう、信号を出力する。
図1Fに示すように、コンピューター制御システム17は、更に、ユーザーが所与の生産のバッチ毎に各サンプルの正しい質量を制御システム17にプログラムできるように、ユーザーインターフェース61を備えている。
或る実施形態では、各バイアルに対して、サンプル質量の測定値が個々に判定される。測定の精度は、測定を繰り返して平均を取ることによって改善される。しかしながら、同じサンプルで測定を行える速度は、先に論じた緩和時間によって決まる。特に、加振信号を取り除いた後は、静磁界内で陽子が元の整列状態に戻るには、緩和時間のほぼ3倍掛かり、戻った時点で加振電流の別のバーストを加えることができるようになる。
別々の測定は、Z方向に沿って間隔を空けて配置された多数の異なるRFコイルを使って行うことができる。代わりに、バイアルが呼掛け領域に達する度にコンベヤーベルトを停止して、何度も測定してもよい。
磁石とRFコイルの呼掛けゾーンが、コンベヤーベルトの速度を考慮して複数回測定できるほど大きければ、同じサンプルを複数回測定することができる。そのような実施形態では、システムの精度は、呼掛けゾーン内のRFコイルと磁界の同質性、並びにシステム信号対ノイズ及びRFコイルの充填率に依存する。磁石とRFコイルの磁界パターンが事前に分かっていれば、この知識を用いて、異なる測定値信号を補正することもできる。更に、X、Y及びZコイルを追加(シムとして技術的に知られている)しても、静磁界の均一性を改善することができる。
或る実施形態では、何時でも、1つのバイアルが、RFコイル15の呼掛けゾーン内にある。図1Aは、検査計量ステーション3の構成要素は、複数のバイアルを同時にRFコイルの呼掛けゾーン内に配置し、各バイアル内のサンプルについて個々に質量測定を行うことができる別の実施形態を概略的に示している。これを実現するため、このような実施形態では、静止磁石13とRFコイル15に加えて、別々の対を成すコイル71と73が、コンベヤーベルト7の両側に配置され、コンベヤーベルト7を横切る磁界勾配を作り出している。この勾配の結果、各ガラスのバイアルに加えられる静磁界が異なり、従って、呼掛けゾーン内の3つのバイアルそれぞれのサンプルのラーモア周波数も違ってくる。その結果、各バイアルは、3つの異なる狭帯域RFパルスを適切なラーモア周波数で加えることによって、別々に呼び掛け(interrogate)できるようになる。
代わりに、MR画像化で標準的に実施されているように、広帯域RFパルスを呼掛けゾーンに亘って加え、サンプルから生じたMR信号を、加振パルスが終了した後で受信信号のフーリエ変換を行うことによって解像してもよい。
図1Aに示すように、勾配コイルは、磁石13によって生成される静磁界と同じ方向に勾配を掛けるように配置されている。磁気共鳴画像化技術では周知のように、勾配コイルは、呼掛けゾーンの全体を立体的に解像できるように、X、Y又はZ軸の内の1つ又はそれ以上に磁界勾配を作り出すように配置してもよい。図1Bは、RFコイルの呼掛けゾーンの両端に2つの勾配コイル71と73が設けられている或る実施形態を示している。この実施形態では、RFコイル15は、3つの独立した部分15a、15b及び15cを備えている。当業者には理解頂けるように、コンベヤーベルト7の長さに沿って呼掛けゾーンに磁界勾配を掛けることにより、図1Aに関連付けて説明した実施形態と同じ方法で、各サンプルを、個々に又は同時に呼び掛けすることができるようになる。
図1Aと図1Bに関連付けて説明した実施形態では、複数のサンプルが呼掛けゾーン内に配置され、個々に又は同時に呼び掛けが行われた。これらの実施形態では、これらサンプルのそれぞれは、僅かに異なる磁界を掛けられ、RFコイルに対して異なる位置に在るので、静磁界又はRFコイルが均一でないために起こるエラーを低減するために、感知している各位置に対して別々の較正データが用いられる。
上記の実施形態では、RFコイルは、コンベヤーベルト7の運動方向に沿ってZ方向に磁界を生成した。RFコイルは、RFコイルの生成する磁界が試験を受けるサンプルに亘って比較的均一であり、静磁界に直交する構成要素を備えていれば、DC磁界に対してどの様な角度に配置してもよい。図1cは、3つの個別のRFコイル15d、15e及び15fがコンベヤーベルトの下に設けられ、それぞれがAC磁界をY方向に生成するように作動する或る実施形態を概略的に示している。この実施形態では、3つのバイアル内のサンプルを同時に試験することができる。また、このシステムでは、各バイアル内のサンプルを、各RFコイルで1回、つまり3回呼び掛けできるようになっている。
上記実施形態では、静磁界を生成するのに永久磁石を使用した。当業者には理解頂けるように、必要なDC磁界を生成するのに、永久磁石に換えて、電磁石、電流が流れているコイル、又は超導電磁石を使用することもできる。更に、上記実施形態では、DC磁界を、コンベヤーベルトを横切ってX方向に加えた。当業者には理解頂けるように、DC磁界は、何れの方向でサンプルに加えてもよい。例えば、磁石のN極とS極をコンベヤーベルトの上下に配置して、RFコイルは、例えば第1の実施形態と同じ向きにしてもよい。図1Dは、更に別の実施形態を示しており、コンベヤーベルト7の長さに沿って、即ちZ方向に静磁界を生成するために、ソレノイドコイル75が、コンベヤーベルト7の長さに沿って巻き付けられている。この実施形態では、RFコイル15がコンベヤー7の片側に設けられており、別々の検出器コイル77が、コンベヤーベルト7の両側に設けられている。
バイアル内の製品材料の連続的な非接触計量
図1Eは、複数の製品材料のサンプルが呼掛けゾーンに同時に入ってくる、バイアル又は同様の容器を計量するためのNMR検査計量ステーションを採用している製造ラインの概略平面図である。概括的には、検査計量ステーション100は、コンベヤー又は他の搬送機構を備えた搬入区画101と、磁石、RFアンテナ(又はNMRプローブ)を含み、一部に呼掛けゾーン103を形成している検査計量区画102と、排除バッファ105に繋がっている排除区画104と、搬出区画106とを含んでいる。検査計量ステーション100は、オペレーターパネル107を含んでいる。
図1Eは、複数の製品材料のサンプルが呼掛けゾーンに同時に入ってくる、バイアル又は同様の容器を計量するためのNMR検査計量ステーションを採用している製造ラインの概略平面図である。概括的には、検査計量ステーション100は、コンベヤー又は他の搬送機構を備えた搬入区画101と、磁石、RFアンテナ(又はNMRプローブ)を含み、一部に呼掛けゾーン103を形成している検査計量区画102と、排除バッファ105に繋がっている排除区画104と、搬出区画106とを含んでいる。検査計量ステーション100は、オペレーターパネル107を含んでいる。
図2−6では、検査計量ステーション100の各構成要素を更に詳細に示している。例えば、図2は、検査計量区画102に繋がっているコンベヤーライン(搬入区画101の一部)の写真であり、検査計量区画102は、エンクロージャー110によって領域が画定されている(図3A−3C、4A及び4B)。図3Aと4Aで分かるように、永久磁石は、検査計量ハウジング111の中に入っており、NMRプローブは全体を参照番号112で示されており、両者共にエンクロージャー110の中に備えられている。
磁石の内径寸法は、測定対象製品用の搬送手段を可能にしている。磁石の内側では、NMRプローブ112が、材料を加振し且つ応答を受信する無線周波数電磁エミッタ/レシーバとして作用する。NMRプローブ112は、システムを通して製品を運ぶ搬送機構に対する許容値が最大となるように構成されている。
特定の製品の重量を判定するため、応答信号の、振幅のような特性が用いられる。測定する量の2つ以上の製品に関係する具体的な応答を判定するため、勾配付きの特別な磁界を使用することもできる。この磁界は、各位置を特定の周波数に敏感にする。勾配付き磁界を使用すると、異なる位置にある製品は、異なる周波数帯域に分離することのできるNMR信号を生成する。周波数帯域毎の信号の内容は、特定の製品/位置に起因している。応答曲線の形状を使用することによって、製品の劣化及び活性成分の組成のような内容物の幾つかの品質態様を監視することができる。較正データを提供するために、例えば、標準化された既知の較正サンプルを用いて、「テンプレート」FIDを判定する。曲線の形状を定量的に比較するのに化学分析で用いられている既知のNMR技法が、比較するのに使用される。
バイアルに入っている製品の材料を、エンクロージャー110を通して搬送するため、図3Bと図4Bで分かるように、コンベヤーベルト113が、エンクロージャー102を通して設けられ、バイアルを搬入区画101(図1Eでエンクロージャー102の上流に位置している)から排除区画104(図1Eでエンクロージャー102の下流に位置している)に円滑に搬送するのに用いられている。コンベヤーベルト113は、バイアル用の搬器として働き、ケブラー、テフロン、ポリエステル、ポリウレタン、アラミド、ガラス又は他の熱可塑性材料を含むグループから選択された材料で作られている。NMRプローブ112を通してバイアルを送るため、コンベヤーベルト113は、搬入区画101からNMRプローブ112を通過する。図3Bと図4Bで分かるように、コンベヤーベルト113は、第2水平面114Bに沿って戻るときは、NMRプローブ112の外側(真下)を進む。
搬入区画101は、搬入区画101の残り部分から各種バイアルを受け取るように作られた搬入ホイール115を含んでいる。図3Cと図6で分かるように、搬入ホイール115には、その外周の回りに間隔を空けて配置され、個々のバイアルを受け入れるため理想的な寸法に作られている、様々な受け入れ凹部116が設けられている。
搬入ホイール115の回転(図3Cで分かるように反時計回り)によって、個々のバイアルが、間隔を空けてコンベヤーベルト113に移されるようになっている。具体的には、搬入ホイール115が回転すると、受け入れ凹部116の間に空間があるため、バイアル116をコンベヤーベルト113に沿って間隔を空けて円滑に配置することができる。
バイアルをコンベヤーベルト113に沿って間隔を空けて更に配置し易くしているのは、様々なスペーサーの対118である。スペーサーの対118は、コンベヤーベルト113に沿って間隔を空けて設けられ、その間に受け入れ領域120を画定している。スペーサーの対118は、ピン122を使ってコンベヤーベルト113に取り付けられている。スペーサーピン118とピン122は、ポリキシメチレン(POM)及び/又はポリ塩化ビニル(PVC)で作ることができる。
スペーサーの対118を取り付けるのに加えて、第1駆動ホイール124(エンクロージャー102の下流に設けられている)と第2駆動ホイール(エンクロージャー102の下流に設けられている)に設けられているタイミング穴123と噛み合わせるため、ピン122も設けられている。ピン122は、第1駆動ホイール124及び第2駆動ホイール125に設けられているタイミング穴123と協働して、コンベヤーベルト113を動かす。図4Bで分かるように、第1補助ホイール126と第2補助ホイール127を、コンベヤーベルト113を反対方向に撓ませるように設けて、コンベヤーベルト113の速度変動を減らすこともできる。コンベヤーベルト113を反対方向に撓ませると、コンベヤーベルト113に沿うバイアル同士の間隔の関係が更に安定する。更に、図3B、4B、5A及び5Bで分かるように、下層ガイド128が設けられており、コンベヤーベルト113と、その上に支持されているバイアルの運動を水平面114Aに維持している。図5Bで分かるように、下層ガイド128は、コンベヤーベルト113の横方向位置を維持するのにも用いられる。
図5Aで分かるように、スペーサーの対118の間の間隔、従って受け入れ領域120の寸法は、バイアル(その内の1つを図3B、4B、5A及び5Bに参照番号130で示している)の直径に整合するようになっている。従って、コンベヤーベルト113は、バイアル130が搬入ホイール115から移されると、個々のバイアル130をスペーサーの対118の間に、そして受け入れ領域120の中に受け取るように構成されている。バイアル130が受け入れ領域120内に配置されているとき、バイアル130は、コンベヤーベルト113に沿って呼掛けゾーン103、より具体的にはNMRプローブ112を通る移動の間、正しく間隔を空けて配置される。
バイアル130は、呼掛けゾーン103での分析の後、中間ホイール132によってコンベヤーベルト113から取り外される。中間ホイール132は、排除ステーション104の一部であってもよい。搬入ホイール115と同様に、中間ホイール132(図3C)は、その外周回りに間隔を空けて配置され、個々のバイアルを受け入れるよう理想的な寸法に作られた様々な受け入れ凹部116を含んでいる。中間ホイール132が(図3で分かるように反時計回りに)回転すると、個々のバイアル130がコンベヤーベルト113から受け入れ凹部116に受け取られ、その後は、排除ステーション104の残りの部分に対し取り除かれることになる。図1Eで分かるように、排除ステーション104は、バイアル130を分けるように構成されている。呼掛け処理によって排除されたバイアル130は、排除バッファ105に送られ、排除されなかったバイアル130は、搬出区画106に送られる。
しかしながら、(ブリスターパック、アンプル及び注射器のように、バイアル130以外の容器に入っている)サンプルの質量の測定値を得ることのできる別の構成のNMR検査計量ステーションもある。
アンプル、注射器及びブリスターパック内の製品の材料の連続的な非接触計量
バイアルに入っている製品材料(即ち、流体薬剤製品)の重量又は他の特性を判定するためにNMR技術を利用することについて、上で論じた。上で論じたように、バイアルは、NMR測定のために設計された特定の設定を通して円滑に搬送されるのが望ましい。しかしながら、アンプル又は注射器に入っている製品材料の他の特性を、非破壊法で判定するのは、現在不可能である。先に述べたNMR検査計量ステーションの設定を使っても、これらの容器が機械的に不安定なために、アンプル又は注射器の特性を判定することはできない。従って、アンプルと注射器の内容物の重量又は他の特性を判定するための非破壊的方法は、目下のところ存在しない。
バイアルに入っている製品材料(即ち、流体薬剤製品)の重量又は他の特性を判定するためにNMR技術を利用することについて、上で論じた。上で論じたように、バイアルは、NMR測定のために設計された特定の設定を通して円滑に搬送されるのが望ましい。しかしながら、アンプル又は注射器に入っている製品材料の他の特性を、非破壊法で判定するのは、現在不可能である。先に述べたNMR検査計量ステーションの設定を使っても、これらの容器が機械的に不安定なために、アンプル又は注射器の特性を判定することはできない。従って、アンプルと注射器の内容物の重量又は他の特性を判定するための非破壊的方法は、目下のところ存在しない。
NMRが、製品材料の重量又は他の特性を判定する技術として利用できることは、既に示されている。しかしながら、先に述べたように、アンプルと注射器は、両方共、普通のバイアルよりも扱い難い。更に、現在の製造環境では、それらは、通常は列又は行列で搬送される。先に述べたようにガラスのバイタルの中の液体及び/又は粉末のような材料の非接触且つ非破壊的測定にNMRを使用する方法の改良点として、NMR検査計量ステーションを、アンプル及び注射器の中の製品材料の測定にNMR技法を使用するように適合させることができる。ここでは2つの態様が開示されている。第1の態様は、複数のアンプル又は注射器を、呼掛けゾーン103を通して同時に動かすようになっている特定の解決法に焦点を当てており、第2の態様は、行列(即ち、容器の様々な列)に並べられた複数の容器の中に入っている製品材料の測定に焦点を当てている。第2の態様によって、勾配磁界の印加を、例えば在庫の製品を点検するために、既に幾重にも包装された容器(バイアル、アンプル及び注射器を含む)にも利用することができるようになる。
先に述べたように、アンプルと注射器は、機械的にひどく不安定である。従って、特別に構成されたコンベヤーベルトは、容器がシステムを通して運ばれている間、容器を保持するようになっている。例えば、図7A−7Cで分かるように、バイアル130を運ぶために用いられるコンベヤーベルト113を使ってアンプル(全体を参照番号140で示している)を運ぶのは難しい。受け入れ領域120はアンプル140の寸法に合わせられるが、或る種のアンプル140の重心は高すぎる。従って、アンプル140が受け入れ領域120内でスペーサーの対118の間に配置されると、コンベヤーベルト113(とその上に載っている複数のアンプル140)がエンクロージャー110と呼掛けゾーン103を通して動かされるときに、アンプル140が倒れることもある。
複数のアンプル140(図8A及び図8B)と注射器(図9Aと図9Bに全体を参照番号142で示している)は、特別に構成されたコンベヤーベルト143によって、エンクロージャー110と呼掛けゾーン103を通して同時に動かされる。コンベヤーベルト143は、アンプル140又は注射器142の搬器として働き、本来的な機械的不安定さを克服する様式でアンプル140と注射器142を保持する「砂時計」型のスペーサー144を含んでいる。先に述べたように、そして図8Bと図9Bで分かるように、アンプル140及び/又は注射器142を支持しているコンベヤーベルト143とスペーサー144が水平面114Aに支持されるのを保証するため、下層ガイド128が設けられている。
図8Bと図9Bで良く分かるように、スペーサー144は、コンベヤーベルト113に沿って互いに隣接して間隔を空けて配置されており、ピン145を使ってコンベヤーベルト113に取り付けられている。ピン145は、先に述べた様式で第1駆動ホイール124及び第2駆動ホイール125と協働し、コンベヤー143の運動を駆動する。
スペーサー144は、アンプル140及び注射器142を受け入れるためのポケット(又は受け入れ領域)146を画定する隙間分だけ離れている。ポケット146は、隣接するスペーサー144のウェブ148の間とネック149の間に形成され、アンプル140及び注射器142を、搬入ホイール150(図8Aと図9A)によって、隣接するスペーサー144の間に、先に述べた間隔を空けた関係に配置できるようになっている。
搬入ホイール150の代わりに、アンプルと注射器を上部で捕捉する真空吸引カップ、又は機械式持ち上げ機構(どちらも、ピックアンドプレイス・ロボットで実現することができる)によって、アンプル140と注射器142をスペーサー144の間に配置することもできる。更に、コンベヤーベルト143の代わりに製造ラインに沿ってアンプル及び注射器を案内する長い渦巻螺旋形構造体を設けることもできる。長い渦巻螺旋形構造体は、アンプル140又は注射器142を、エンクロージャー110を通して、呼掛けゾーン103に案内することができる。
コンベヤーベルト143に沿う運動の間、アンプル140と注射器142は、ポケット146のネック149の間の部分が比較的小さいので安定しており、ポケットの中に効果的に保持されている。更に、図8Bと図9Bで分かるように、搬入ホイール150によって配置された後、アンプル140と注射器142をコンベヤーベルト143に沿ってポケット136内の所定の位置に維持するため、側面ガイド152が用いられており、アンプル140と注射器142は、スペーサー144の上面154で保持され、アンプル140及び注射器142の重要部分が、ポケット146のウェブ148の間の所定の位置で浮くようになっている。このように、アンプル140と注射器142の本来的な不安定さは、ポケット146を画定するスペーサー144を備えたコンベヤーベルト142を使うことで克服され(機械的な安定性が作り出され)ている。従って、(論じたような)個々のバイアルの列、アンプル140及び注射器142に入っている材料は、エンクロージャー110を通して搬送し、材料の重量又は他の特性を、対応ゾーン103で測定することができる。
コンベヤーベルト143とそれに沿って設けられているスペーサー144の代わりとして、参照番号160で全体を示しているカセット(図10A−10C参照)を使用することもできる。カセット160は、複数のアンプル140又は注射器142を、間隔を空けた関係で収容し、これらのアンプル140又は注射器142を、エンクロージャー110を通し、呼掛けゾーン103へと同時に動かすように構成されている搬器である。図10Cで分かるように、カセット160は、搬入コンベヤー164(搬入区画101の一部)及び搬出コンベヤー165(排除区画105の一部)によって、コンベヤーベルト163に搬入し、コンベヤーベルト163から搬出することができる。更に、コンベヤーベルト163は、先に述べた種類のスペーサーを必要としないが、カセット160を、先に述べた様式でエンクロージャー110を通して呼掛けゾーン103に搬送するように構成されている。
コンベヤーベルトが然るべく構成されているか、又は隣り合う容器の間に相互距離を取らずに個々の容器(バイアル130、アンプル140及び注射器142を含む)をシステムを通して供給することができるのであれば、代わりに、ブリスターパッケージ、吹き込み充填密封パッケージ及び袋を用いることもできる。例えば、複数のブリスターパッケージを互いに取り付け(搬器として働く1つのブリスターパックを形成する)、これらのブリスターパッケージを、コンベヤーベルトに沿ってエンクロージャー110を通し、呼掛けゾーン103へと同時に送ることもできる。製品材料間の間隔は事前に決めらているので、ブリスターパッケージの構成が決まると、上記の特別に構成されたコンベヤーベルト113又はコンベヤーベルト143は、必要なくなる。第2の代替案(バイアル130用のコンベヤーベルト113と、アンプル140及び注射器142用のコンベヤーベルト142の代わり)は、複数の容器がエンクロージャー110を通して呼掛けゾーン103へと同時に送られ、容器自体は普通は互いに直立位置を維持する瓶詰めラインに似ている。第2の代替案は、特定の配列のNMRシステムが必要である。NMRシステムは、近傍の容器からの相互連結効果を濾過して取り除けるように構成されていなければならず、一回に1つのサンプルだけが加振され測定されるように送信器/受信器(NMRプローブ)を設計することによって、或いは、勾配付き磁界を加えて、周波数帯域によって容器を分けることによって、の何れかで実現することができる。
注射器142に入っている材料の重量又は他の特性を測定する場合、金属針が注射器に装着されているときには特定の問題が持ち上がる。通常、金属は、鉄であれ非鉄であれ、送信器によって作り出される磁界及び周波数に影響を与える。従って、送信器及び対応する電子機器には特殊な配置を施して、それらが、金属に反応せず、磁気共鳴測定方法への影響が限定的なものになるようにしなければならない。
この様に、磁気共鳴測定方法は、金属キャップのような他の容器構成要素の存在に適合させることもできる。特別な配置にしなければ、金属キャップの存在は、先に述べたようにNMRプローブの機能に影響を与える。これに対応する2つの可能な方法は、限定するわけではないが、次の通りである。第一に、製品からのNMR信号への最終的な影響が、(信号/ノイズ比に関して)無視できるほど小さいか、影響がキャップ毎に変化しなければ、キャップ付の製品を含めて測定システムを較正することができる。第二に、放出領域の高さを制限してキャップ材料を加振しないように、プローブ内の導体パターンを設計することができる。
更に、磁気共鳴測定法は、ゴム製ストッパーのような容器閉鎖手段の存在にも適合させることができる。他の固体構成要素と同様に、ゴム製ストッパーのT2(スピン−スピン緩和)は非常に短い。プローブのリングダウンに要する待ち時間とフィルターの整定時間だけで、通常は固体信号が消滅するのには十分である。ストッパーに或る種のシリコンオイル成分のような「液体」成分が入っている場合、待ち時間を追加しなければならない。
上に概説した機構は、アンプルを一列で動かすというアプリケーションを含んでいる。しかしながら、アンプル又は注射器は、複数列の配列又は行列で配置することもできる。(勾配付き磁界のような)特別なNMR技法を適用することによって、どの様な特殊なアンプル又は注射器に入っている材料の重量又は他の特性でも、選択的に測定することができる。これは、既に幾重にも包装され、既に保管されている容器を測定する場合に、特に有用である。
或る実施形態によれば、行列に配置されている製品の内容物を判定する1つの方法は、勾配付き磁界を採用することである。NMRの共鳴周波数は、磁界の強さに線形に比例するので、勾配付き磁界の下では、異なる位置にある製品は、異なる周波数帯域で応答することになる。これらの帯域を濾過して取り除き問題のサンプルを選択すると、先に述べたように、自由誘導減衰(FID)の振幅を求めることによって、内容物の重量又は他の特性を判定することができる。
不完全磁化測定技法
バイアルのような容器の内容物の特性を非静止様式で判定するためにNMR技法を適用する際は、サンプルは、測定位置に入る前に磁界を通し、従って事前に磁化(又は事前に分極化)される。測定位置では、サンプルは、例えば90°の加振パルスで加振される。このパルスによって、陽子はスピンして、主磁界に垂直な面内で歳差運動を行う。緩和プロセスは、個々の陽子のスピン歳差運動の位相ずれによって支配され、この自由誘導減衰(FID)信号が測定される。信号の振幅は、サンプル内の陽子の量に線形に比例しており、従って、サンプル較正によって、本方法を、例えば計量のための測定方法として使用できるようになる。
バイアルのような容器の内容物の特性を非静止様式で判定するためにNMR技法を適用する際は、サンプルは、測定位置に入る前に磁界を通し、従って事前に磁化(又は事前に分極化)される。測定位置では、サンプルは、例えば90°の加振パルスで加振される。このパルスによって、陽子はスピンして、主磁界に垂直な面内で歳差運動を行う。緩和プロセスは、個々の陽子のスピン歳差運動の位相ずれによって支配され、この自由誘導減衰(FID)信号が測定される。信号の振幅は、サンプル内の陽子の量に線形に比例しており、従って、サンプル較正によって、本方法を、例えば計量のための測定方法として使用できるようになる。
分極化のプロセスは、典型的な時定数T1(回転格子定数)を伴うプロセスである。一般的に、NMR測定は、事前磁化が完全なときに行うことができる。磁化時間としてT1のほぼ5倍になったときに、この段階に達する。多くの薬剤製品では、T1は1秒程度である。完全に磁化されたNMR測定には、5秒の事前磁化段階が必要になる。
本方法を高速で移動するサンプルに適用する実施形態では、不完全に磁化されたサンプルに対して測定が行われるが、全ての後続のサンプルの(磁化磁界への曝露に関する)履歴が同じで、例えば、T1影響因子が(具体的な較正によって)既知で、測定値計算(例えば温度)に組み込むことができ、全ての後続のサンプルの速度が不変であるか、又は正確に分かり補正することができるのであれば、この測定は十分正確である。
図11のグラフは、磁化曲線であり、通常、磁化に利用できるT1の半分で、39%の磁化しか作り出さないという結果を示している。
以上、上記詳細な説明と上記例を通して、本発明について詳しく説明してきたが、これらの例は、分かり易くすることのみを目的としており、当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、変更及び修正を加えることができるものと理解されたい。上に述べた実施形態は、代替案であるのみならず、組み合わせてもよい旨理解頂きたい。
以上、上記詳細な説明と上記例を通して、本発明について詳しく説明してきたが、これらの例は、分かり易くすることのみを目的としており、当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、変更及び修正を加えることができるものと理解されたい。上に述べた実施形態は、代替案であるのみならず、組み合わせてもよい旨理解頂きたい。
Claims (16)
- 充填又は製造ライン内の複数のサンプルの少なくとも1つの特性を判定するための磁気共鳴方法において、
呼掛けゾーン内に位置するサンプル内に正味磁化を作り出すために、磁界を、前記呼掛けゾーンで第1方向に加える段階と、
前記呼掛けゾーン内に位置するサンプルの正味磁化を一時的に変えるために、交流磁界を、前記呼掛けゾーンで第2方向に加える段階と、
前記サンプルの正味磁化がその元の状態に戻るときに前記サンプルが放出するエネルギーを監視し、前記放出されたエネルギーに比例する特徴を有する出力信号を生成する段階と、を備え、
複数のサンプルを前記呼掛けゾーンに同時に導入する段階と、
勾配の付いた磁界を前記呼掛けゾーンに加え、前記呼掛けゾーン内の異なる位置が異なる特定の周波数に敏感になるようにする段階と、
前記異なる位置のサンプルが放出するエネルギーを監視し、異なる周波数帯域内でこれに対応して放出されたエネルギーに比例する特性を有する出力信号を生成する段階と、
前記信号を、特定の位置とサンプルに帰属させ、前記特定の位置及びサンプルの前記出力信号特性を、少なくとも1つの同様のサンプルから得た同様のデータと比較して、前記サンプルの対応する特性を表示する段階と、を特徴とする方法。 - 前記出力信号の振幅を比較する段階を含んでおり、前記表示される特性が前記サンプルの重量である、請求項1に記載の方法。
- 前記出力信号の応答曲線の形状を比較する段階を含んでおり、前記表示される特性が前記サンプルの組成である、請求項1に記載の方法。
- 前記複数のサンプルは、ブリスターパックに入っている、請求項1、2又は3の何れかに記載の方法。
- 前記複数のサンプルは、搬器内に配置された別々の容器に入っている、請求項1、2又は3の何れかに記載の方法。
- 前記搬器は、複数の容器のためのパッケージである、請求項5に記載の方法。
- 前記搬器は、前記容器を保持するようになっているコンベヤーである、請求項5に記載の方法。
- 前記複数のサンプルは、磁界に影響を与えることのできる構成要素を有する容器に入っており、
a.前記構成要素の信号が消失するまで前記監視する段階を遅らせる段階と、
b.前記同様のデータ内に、前記構成要素に対応する信号を含んでいる段階と、
c.前記呼掛けゾーンを、前記構成要素を加振しないように作る段階、の内の少なくとも1つを含んでいる、請求項1、2又は3の何れかに記載の方法。 - 充填又は製造ライン内のサンプルの少なくとも1つの特性を判定するための磁気共鳴方法において、前記サンプルは機械的に不安定な容器に入っており、
呼掛けゾーン内に位置するサンプル内に正味磁化を作り出すために、磁界を、前記呼掛けゾーンで第1方向に加える段階と、
前記呼掛けゾーン内に位置するサンプルの正味磁化を一時的に変えるために、交流磁界を、前記呼掛けゾーンで第2方向に加える段階と、
前記サンプルの正味磁化がその元の状態に戻るときに前記サンプルが放出するエネルギーを監視し、前記放出されたエネルギーに比例する特徴を有する出力信号を生成する段階と、を備え、
前記呼掛けゾーンを通して移動させるために前記容器を機械的に安定させる段階を特徴とする方法。 - 前記容器は、アンプル、注射器、ブリスターパック、吹き込み充填密封パッケージ及び袋から成るグループから選択される、請求項9に記載の方法。
- 前記安定させる段階は、
a.前記容器を保持するためのポケットを提供する段階であって、随意的には配置し取り除く手段を提供する段階を含んでいる、段階と、
b.前記容器を渦巻螺旋形搬送構造内で案内する段階と、
c.前記容器を一列に、随意的にはカセットシステムで運ぶ段階と、
d.前記容器が前記呼掛けゾーンを通して搬送されている間は、コンベヤーが前記容器を保持するようにする段階と、
e.相互に距離を取らずに前記呼掛けゾーンを通して前記容器を送る段階と、から成るグループから選択される、請求項9又は10に記載の方法。 - 複数の容器が前記呼掛けゾーンへ同時に導入され、
a.一度に1つのサンプルを加振して測定する段階、又は
b.勾配付き磁界を加えて周波数帯域によって容器を分ける段階、の内の一方を含んでいる、請求項11に記載の方法。 - 複数のサンプルを前記呼掛けゾーンに同時に導入する段階と、
勾配の付いた磁界を前記呼掛けゾーンに加え、前記呼掛けゾーン内の異なる位置が異なる特定の周波数に敏感になるようにする段階と、
前記異なる位置のサンプルが放出するエネルギーを監視し、異なる周波数帯域内でこれに対応して放出されたエネルギーに比例する特性を有する出力信号を生成する段階と、
前記信号を、特定の位置とサンプルに帰属させ、前記特定の位置及びサンプルの前記出力信号特性を、少なくとも1つの同様のサンプルから得た同様のデータと比較して、前記サンプルの対応する特性を表示する段階と、を含んでいる、請求項12に記載の方法。 - 前記容器は、磁界に影響を与えることのできる構成要素を有しており、
a.前記構成要素の信号が消失するまで前記監視する段階を遅らせる段階と、
b.前記同様のデータ内に、前記構成要素に対応する信号を含んでいる段階と、
c.前記呼掛けゾーンを、前記構成要素を加振しないように作る段階、の内の少なくとも1つを含んでいる、請求項9又は10に記載の方法。 - 前記サンプルの放出するエネルギーが監視され、前記サンプルがT1で完全な磁化に到達する前に出力信号が生成される、請求項1又は9に記載の方法。
- 前記出力信号の特性は出力信号の振幅である、請求項1又は9に記載の方法。
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