JP2007502270A - 乳癌および卵巣癌の予防のための医薬組成物および方法 - Google Patents

乳癌および卵巣癌の予防のための医薬組成物および方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、セレン(またはその塩もしくは誘導体あるいは他の任意のセレン含有化合物)の医薬組成物および乳癌/卵巣癌の予防のためのその使用方法に関する。

Description

発明の分野
本発明はセレン(またはその塩もしくは誘導体あるいは他の任意のセレン化合物)の組成物、ならびに癌の遺伝的高リスクを有する女性、特にBRCA1遺伝子突然変異の保有者における乳癌/卵巣癌の予防方法に関する。
発明の背景
BRCA1(US 5654155)およびBRCA2遺伝子は、癌に対する高い遺伝的素因と関連する。現在、BRCA1およびBRCA2遺伝子はクローニングされており、その異常をDNAおよびRNAレベルで検出することができる。上記遺伝子内の突然変異の保有者は、乳癌および/または卵巣癌の高リスクを有する。BRCA1は乳癌および卵巣癌の高リスクに関連することが認められた最初の遺伝子である(Mikiら, Science, 266-271, 1994)。BRCA1遺伝子(GENBANK 登録番号: U14680および15595)は、100kbpのゲノムDNA内に散在した24個のエクソンを含み、そのmRNAは7.8kbpの長さである。この遺伝子の集中的な研究により多くのBRCA1突然変異を同定することができた。例えば、US 5693473はかかる変化の膨大な記録を報告している。次に、WO 99/29903は15個のBRCA1突然変異を記載している。BRCA2遺伝子(GENBANK登録番号U43746)は70kbpのゲノムDNA内に散在した27個のエクソンを含み、そのmRNAは11〜12kbpの長さである。BRCA2遺伝子の多くの突然変異が癌の素因と関連することが報告されている(例えばWO 9928506)。
記載された全てのBRCA1およびBRCA2遺伝子突然変異は、http://www.nchgr.nih.gov/dir/lab-transfer/bicのホームページで入手可能である。
BRCA1およびBRCA2突然変異は、異なるエクソンに位置し得る。乳癌/卵巣癌を有する家族集団における選択した特定の突然変異の頻度の増加が、アシュケナージ系ユダヤ人などのBRCA1 185delAG、5382insCおよびBRCA2 6174delTの高発生率が周知である一部の人種群/集団で認められている。ポーランドでは、以下のBRCA1突然変異の頻度の増加が報告されている:ex 2-185delAG、ex 5-300T→G、ex 5-309T→C、ex 11.15-3819delGTAAA、ex 11.17-4153delA、ex 20-5382insC (ポーランド特許P 335917)。異常の検出において感度が有意に欠失しない限定数の突然変異の分析を基礎とするDNA試験の機会は、幾つかの国で価値のある、費用効果が極めて高いBRCA1/BRCA2調査の可能性をもたらしている。ポーランドでは、約100,000人の女性がBRCA1突然変異の保有者である。
最近の25年間に及ぶ研究により、セレンが栄養所要量をわずかに5〜10倍上回る用量で動物に与えられた場合に、癌の発生率の低減に効果的であることが証明されている(El-Bayoumy K., The role of selenium in cancer prevention, Philadelphia, Lippincott, 1-15, 1991)。動物モデル系におけるセレンを用いた化学予防研究は、この成分が全てではないが大部分の器官系で効果的であり、かつ多様な傷害による発癌作用に対して保護的であることを示してきた(El-Bayoumy K., The role of selenium in cancer prevention, Philadelphia, Lippincott, 1-15, 1991)。疫学的研究およびサプリメンテーション試験も、肝臓癌、大腸癌、前立腺癌および肺癌の発生率を低下するセレンの有効性を支持している(Yu S.Y.ら Protective role of selenium against hepatitis B virus and primary liver cancer in Qidong, Biol Trace Elem Res, 56: 117-124, 1997, Clark L.C.らEffects of selenium supplementation for cancer prevention in patients with carcinoma of the skin. J Am Med Assoc, 276: 1957-1963, 1996, Yoshizawa K.らStudy of prediagnostic selenium level in toenails and risk of advanced prostate cancer, J Natl Cancer Inst (Betsheda), 90: 1219-1224, 1998; Brooks J.D.らPlasma selenium level before diagnosis and risk of prostate cancer development, J Urol, 166: 2034-2038, 2001)。しかし、最新の文献データは、患者体内のセレンレベルと乳癌のリスクとの負の相関関係を支持してはいない。
Garland M.らはセレンを補充した食事が女性の乳癌のリスクに影響しないと結論付けた(J. Am. Coll Nutr. 1993, Aug; 12(4): 400-11, J Natl Cancer Inst 1995, Apr 5; 87(7) :497-505)。同様の結論がGhadirian P.らによって報告されている(A case-control study of noenail selenium and cancer of the breast, colon and prostate, Cancer Detect Prev, 24: 305-13, 2000)。
さらに、セレン含有化合物およびこれらの化合物を用いて毒性傷害から哺乳動物を保護する方法に関するEP 1003760において、「現在のセレンサプリメントは、亜セレン酸ナトリウム(Na2SeO3)またはセレン酸ナトリウム(Na2SeO4)などの無機形態に依存している。これらの形態はいくらかの価値を有するが、必要以上に有毒であると考えられ、癌の化学予防に有効ではなさそうである」と記述されている。
発明の目的
近年、乳癌は異質性疾患であり、約10%の続発性乳癌/卵巣癌は、癌に対する遺伝性の高遺伝的素因の結果として生じることが認められている。したがって、本発明の一目的は、これらの腫瘍に対する高遺伝的素因を有する個体、特にBRCA1遺伝子突然変異の保有者における乳癌/卵巣癌のリスクを効果的に低下させる医薬組成物およびその使用方法を提供することである。本発明の別の目的は、BRCA1遺伝子の構成性突然変異を有する女性に提供されるべき乳癌/卵巣癌の化学予防用の上記医薬を提供することである。
発明の概要
意外にも、上述した問題は本発明によって少なくともその大部分が解決されている。
本発明は、疾患の遺伝的高リスクを有するヒト、特にBRCA1突然変異の保有者において乳癌/卵巣癌のリスクを低下させるための医薬組成物に関する。該組成物は治療上有効量のセレン(例えば、セレン塩またはその他の誘導体あるいはその他任意の既知のセレン含有化合物の形態で)および必要に応じて製薬上許容される担体を含むことにより特徴付けられる。
本発明の一実施形態に従って、セレンは、メチルセレノシステイン、メチルセレニン酸、セレノメチオニン、セレノシステイン等のセレンの有機形態、あるいは二酸化セレン、セレノン酸、セレン酸およびこれらの塩等のセレンの無機形態の中から選択される。またセレンがセレン濃縮酵母またはブロッコリーなどの天然物を起源とすることも望まれ得る。本発明の次の実施形態に従って、セレン化合物は亜セレン酸バリウム、亜セレン酸リチウム、亜セレン酸カルシウムおよび、特に価値のある亜セレン酸ナトリウムの中から選択される塩である。医薬組成物が0.1〜10% w/wの濃度でセレンを含む等張液であることが好ましい。10〜96% w/wの濃度のエタノール水溶液、蒸留水、(好ましくは緩衝化)生理学的溶液を溶剤として用いることも望まれ得る。本発明による組成物がエタノール水溶液中にセレン塩を含むことも同様に望まれ得る。
発明の主題はまた、腫瘍の遺伝的高リスクを有するヒト、特にBRCA1の女性保有者において乳癌/卵巣癌を予防する方法であって、セレン(またはその塩もしくは誘導体)を含む化合物による患者のサプリメンテーションによって、および上述の組成物を用いることによって特徴付けられる、前記方法である。本発明の方法では、患者に1日当たり50〜1000μgの用量でセレンが補充されることが望まれ得る。本発明の方法においては、患者において構成性BRCA1遺伝子突然変異を検出した後に、セレンを含む組成物を使用することに価値がある。
意外にも、Hsuによる細胞遺伝学的試験を用いて測定されるブレオマイシンに対する感受性の増加がBRCA1突然変異保有者で検出され(1細胞当たり0.58対0.39染色体切断;p<10-4)、これは1日当たり約300μgの用量でセレンを含む食餌を1ヶ月サプリメンテーションした後に正常化した。
さらに、同じく意外にも、乳癌/卵巣癌のリスクの低下が観察された(実施例3参照)。2年間の間、新たな乳癌/卵巣癌の発生率を、亜セレン酸ナトリウムのエタノール溶液を1日当たり300μgの用量で補充したBRCA1突然変異の保有者(開始時は健康)のグループ(30人)、および突然変異型と生年が合致したBRCA1保有者の対照グループ(30人)において分析した。上記試験的研究の間、乳癌の1症例がセレンを補充したグループで観察され、対照クループで乳癌の4症例および卵巣癌の1症例が観察された。
さらに、1年間の間、新たな乳癌/卵巣癌の発生率を、亜セレン酸ナトリウムのエタノール溶液を1日当たり300μgの用量で補充したBRCA1突然変異の保有者(開始時は非罹患)のグループ(200人)、および突然変異型が合致しかつ年齢/平均年齢が38.6歳であるBRCA1保有者の対照グループ(200人)において分析した。上記試験研究の間、乳癌の1症例および腹膜癌の1症例がセレンを補充したグループで観察されたが、乳癌の2症例および卵巣癌の2症例が対照グループで診断された。
本発明の詳細な説明
本発明は乳癌/卵巣癌に対する高遺伝的素因を有する個体、特にBRCA1遺伝子突然変異の保有者においてこれらの癌のリスクを効果的に低下させる医薬組成物およびその使用方法を提供する。さらに、本発明はBRCA1遺伝子の構成性突然変異を有する女性に提供されるべき乳癌/卵巣癌の化学予防用の上記医薬を提供する。
本発明は疾患の遺伝的高リスクを有するヒト、特にBRCA1突然変異の保有者において乳癌/卵巣癌のリスクを低下させるための医薬組成物であって、セレン(またはその塩もしくは誘導体あるいは他の任意のセレン含有化合物)および必要に応じて製薬上許容される担体を含む、前記組成物を提供する。
本明細書で用いられる「セレンまたはその塩もしくは誘導体」という用語は、特に定めがない限り、あらゆる既知のセレン含有化合物を指す。セレンは元素形態でおよび/または他の全ての有機または無機セレン化合物として存在し得る。係る化合物では、セレンは−2、0、+2、+4、および+6の酸化状態であり得る。通常は、体内で高酸化状態の形態を還元して−2にし、メチル化してジメチルセレニドを形成することによってこれらを解毒する。ジメチルセレニドは好適であり、これは他のセレン含有化合物と併用して使用することができる。特に、二酸化セレン、セレノン酸、セレン酸およびこれらの塩、特に金属セレン化物または亜セレン酸塩(例えば、セレン化カリウム、セレン化ナトリウム、亜セレン酸ナトリウム、セレン酸亜鉛、亜セレン酸バリウム、亜セレン酸リチウム、亜セレン酸カルシウムおよび他の金属セレン化物または亜セレン酸塩)等の化合物を無機セレン化合物として使用し得る。さらに、セレンはセレノ-アミノ酸(例えば、メチルセレノシステイン、メチルセレニン酸、セレノメチオニン、セレノシステイン)など、セレンの有機形態で使用することができる。他の有用な有機セレン化合物の例は、ジメチルセレニド、他の全ての有機セレニド、セレノグルタチオン、および有機セレン複合体因子3である。セレンがセレン濃縮酵母またはブロッコリーなどの天然物を起源とすることも望まれ得る。セレンは、多種多様な食物において様々な量で自然発生的に生じ、天然形態の含硫アミノ酸中の不純物として(例えばメチオニンと共に化合物セレノメチオニンとして)も存在する。後者は硫黄とセレンの化学的性質および反応性が非常に似ているという事実に起因する。したがって、食品用含硫アミノ酸中に、通常は対応するセレノアミノ酸が存在するため、十分な量でセレンを含む。かかる有用な食用含硫アミノ酸の例は、システイン、メチオニン、シスチン、シスタチオニン、二硫化ペニシラミンシステイン(pencillamine cysteine disulfide)、ペニシラミン、2−アミノ−4,4−ジメチル−メルカプト酪酸、ビタミンU、ブラシニン(brasinine)、ジェンコール酸、2−アミノ−4−イソプロピル−メルカプト酪酸、2−アミノ−4−ブチルメルカプト酪酸、2−アミノ−4,4−ジエチル−メルカプト酪酸、ジベンゾ−イルジェンコール酸(dibenzo-yldjenkolic acid)、ジェンコール酸のモノ塩酸塩、システインの塩酸塩、2−アミノ−2−エチル−3−メルカプト−プロパン酸、2−チオールヒスチジン、チオリンゴ酸、システインの塩酸塩、ホモシステイン、パンテテイン、パンテシン、補酵素Aおよびシステイン酸である。全ての異性体型を使用することができる。含硫アミノ酸、タンパク質およびペプチドは、より容易に水に溶けるため、通常は塩酸塩の形態で使用されるかまたは弱酸塩もしくは弱塩基塩の形態で使用される。有用な天然の含硫ペプチドの例は、グルタチオン(グルタミン酸、システインおよびグリシンのトリペプチドであり、γ−グルタミル−システイニル−グリシンとも称する)、システイニル−グリシンおよびγ−システイニル−メチオニル−グリシンである。有用な含硫タンパク質の例は、ケラチン、インスリン、アルブミン、リボヌクレアーゼ、フィブロイン、コラーゲンおよびエラスチンである。全ての硬タンパク質(アルブミノイド)(その一部は上述されている)もセレンの天然供給源として有用であり得る。
本明細書で使用されている「製薬上許容される担体」という用語は、当業者に非常によく知られている用語である。医薬組成物の調製のための方法および製薬担体は、Remington's Pharmaceutical Sciences, 第17版, Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvania, USA等の教本に公表されるように当技術分野で周知である。好適な製剤に関する更なる情報は、下記に公開する本発明のより詳細な記載においても提供される(実施例1参照)。
「治療上有効量」という用語は、上で定義されるように、所望の治療反応を生ずるセレン含有化合物の量、すなわち乳癌/卵巣癌に対する高遺伝的素因を有する個体(特にBRCA1遺伝子突然変異の保有者)においてこれらの癌のリスクを十分に低下させる上記化合物の量を意味する。具体的な「治療上有効量」が、被験者の健康状態、使用する具体的な製剤および使用する「セレンまたはその塩もしくは誘導体」の構造等の要素によって変化することは明確であろう。特に、本発明の方法において、患者に1日当たり50〜1000μgの用量のセレン、または係る量のセレンを含む適当な用量のセレン含有化合物が補充されることが望まれ得る。本発明の化合物は、1以上の他の既知の抗悪性腫瘍薬および/または癌予防薬と併用して投与し得る。本発明の化合物および第二薬剤は一緒にまたは順次投与し得る。
発明の意義を示すべく、発明の説明は実施例1〜3によって詳述される。しかし、提示される本発明の意義と一般的に利用可能な知識との組合せに基づいて当業者は記載の請求項に含まれる他の変形を作製できるであろうから、これは特許請求の範囲を実施例に記載される実施形態に限定することを意図するものではない。
実施例1 セレン含有組成物
薬局方から入手可能な情報に基づいて、当業者はセレン含有組成物(特にセレン(IV))の別の変種を調製することができる。例えば、セレンは、メチルシステイン、メチルセレニン酸、セレノメチオニン、セレノシステイン等の有機形態から、または二酸化セレン、セレン酸(H2SeO3)またはその塩等の無機形態から選択することができる。例えば本発明の組成物の調製に有益なセレン(IV)塩は亜セレン酸ナトリウムである。セレン濃縮酵母またはブロッコリーなど、高濃度のセレンを含む天然物も同様に魅力的な化合物である。
唯一ではないが、本発明の特に価値のある組成物は、0.1〜10% w/wの濃度のセレン溶液(特に等張液)である。係る溶液は、例えば10〜96% w/w濃度のエタノール水溶液、蒸留水、(特に緩衝化)生理学的溶液などの溶剤を用いることによって作製することができる。
最適な薬理効果がセレンの一日量が50〜1000μgである場合に実現し得ることが示されている。上記の値は、組成物の調製に用いられるセレンの生物学的経路に応じて修正可能であり、同様にこれに結合される化合物、製薬担体の影響に応じて修正可能である。
唯一ではないが、上記組成物の選択的な例を以下に示す:
A)亜セレン酸ナトリウムのエタノール溶液
1000gの組成物を調製するために、2.03gの亜セレン酸ナトリウム(Na2SeO3)を334.32gのH2Oで溶解させる。上で得た亜セレン酸ナトリウムの水溶液に663.65gの96%エタノールの水溶液を添加し、溶液を注意深く混合する。このように調製した組成物は、患者の経口サプリメンテーション(1日当たり10滴を二回、これは一日量である約300μgの純粋なセレンに相当する)に用いることができる。組成物を11〜12gを含むボトルに分ける事が望まれ得る。というのも、係る量は1ヶ月分のサプリメンテーションを賄うからである。記載される組成物は安定であり、4℃で保管すればその形態および活性を少なくとも18ヶ月維持する。これは副作用を生じることなく患者に使用され得る。
B)水溶液
水ベースの組成物は、Aの製法におけるエタノールを蒸留水または(好ましくは緩衝化)生理学的溶液に置き換えることによって調製することができる。
実施例2 BRCA1保有者における染色体切断率の増加はセレン経口サプリメンテーションによって低下される
研究対象は、Hereditary Cancer Centre of the Pomeranian Academy of Medicine(シュチェチン、ポーランド)の一家族性癌診療所の出席者の中から勧誘した。乳癌または卵巣癌の家系により女性はこの診療所へ回された。この研究に参加した女性は既に遺伝子検査を申し込んでおり、かつこれに同意していた。症例の女性は、BRCA1遺伝子に欠失突然変異を保有していることがわかっていた女性の中から勧誘した。最も共通の突然変異はポーランド人が見出した突然変異である5382insC(16人の保有者)であったが、他のBRCA1突然変異を有する10人の女性も存在した。対照の被験者は、欠失突然変異を保有していないと判断された、保有者(症例)の家族の中から勧誘した。26組の症例対照ペアを構成することが可能であった。20例においては対照は症例の姉妹であり、6例においては対照はより遠縁の関係であった。健康な女性のみがこの研究に参加すべく招かれた(すなわち乳癌、卵巣癌または他形態の癌の病歴のある女性を除いた)。各女性は1年間の研究の間のある時点で血液サンプルを提供した。
ブレオマイシンに対する染色体の感受性は、Hsuらの方法(Sensitivity to the genotoxic effects of bleomycin in humans; possible relationship to environmental carcinogenesis, Int J Cancer, 1989, 43, 403-409)に従って測定した。培養を終える5時間前に0.03 IU/mlの濃度でブレオマイシン(Nippon-Kayuka)を細胞培養物に添加した。従来の回収およびギムザ染色を利用した。各被験者について、100個の連続的な中期正倍数性細胞を読み出した(重なり合った染色体を有する細胞は除いた)。各染色分体異常(ギャップを除く)を1破壊点として記録し、各交換型異常は2破壊点として記録した。100細胞当たりの破壊点の総数を各被験者について記録した。暗号化スライドの読み出しは、本発明者らの一人によって盲検的(blindly)に行った。無作為に選択した20症例について、この数は正当な同意を得た二人の細胞遺伝学の専門家によってそれぞれ決定された。1細胞当たりの切断数の平均は100個の細胞の目視検査後に算出した。染色体切断の平均レベルをpaired t検定を用いて26症例対照ペアにおいて比較した。
1細胞当たりの染色体切断数の平均はBRCA1突然変異保有者については0.58(0.34〜0.73の範囲)であり、対照については0.39(0.28〜0.62の範囲)であった(表1)。26ペアの内の23ペアについては、保有者の値がこれと関係のある対照の値を上回り、2ペアについては対照の値が保有者の値より高く、1ペアについては両者の値は等しかった(p<0.0001;符号検定)。2つのグループ間での平均差は非常に有意であった(p<0.0001)。
Figure 2007502270
BRCA1保有者の第2グループは、染色体切断の頻度に対するセレンサプリメンテーションの効果を調査する目的でこの診療所から勧誘した。BRCA1突然変異を有する35人の女性がこの研究段階に参加することに同意した。血液サンプルはセレンサプリメンテーションの開始前に得て、さらに日常的なセレンサプリメンテーションの開始後1ヶ月から3ヶ月の時点で再び得た。セレンサプリメンテーション前は、1細胞当たりで誘導された染色体切断の平均数は0.63(0.42〜0.81の範囲)であった。1mlの70%エタノール当たり690μgの純粋なセレンを亜セレン酸ナトリウム(Na2SeO3)の形態で含んだ経口セレン溶液を研究被験者に与えた。被験者に一日2回、0.2mlの溶液を摂取することを求めた。第2血液サンプルはセレンサプリメンテーションの摂取後1ヶ月から3ヶ月の時点で得て、ブレオマイシン試験を繰り返した。セレンサプリメンテーションの平均1.5ヶ月後に、1細胞当たりの染色体切断の平均数は0.40(0.27〜0.60の範囲)まで減少した。全ての症例で、サプリメンテーション後のレベルは基線レベルからの低下を示し(表2)、平均差はかなり有意であった(p<10−10)。
Figure 2007502270
要約すれば、経口セレンはBRCA1遺伝子に突然変異を有する女性における化学予防に有効な候補である。
実施例3 セレンによるBRCA1突然変異女性保有者のサプリメンテーションは乳癌/卵巣癌のリスクを有意に低下する
一日に300μgの用量で亜セレン酸ナトリウムのエタノール溶液を経口的に摂取しているBRCA1突然変異の保有者(開始時は健康)30人のグループ、および突然変異型と生年とが合致する30人のBRCA1保有者の対照グループにおける乳癌/卵巣癌の発生を2年間観察した。いずれのグループも平均年齢は46.5歳であった。観察期間の間、乳癌の1症例がセレンを補充したグループで診断され、乳癌の4症例および卵巣癌の1症例が対照グループで診断されている(表3)。
さらに1年の間、1日当たり300μgの用量の亜セレン酸ナトリウムのエタノール溶液が補充されたBRCA1突然変異の保有者(開始時は非罹患)200人のグループ、および突然変異型が合致し、年齢/平均年齢が38.6歳である200人のBRCA1保有者の対照グループにおいて、新たな乳癌/卵巣癌の発生を分析した。上記試験的研究の間、乳癌の1症例および腹膜癌の1症例がセレンを補充したグループで観察されたが、乳癌の2症例および卵巣癌の2症例が対照グループで診断された。
Figure 2007502270

Claims (17)

  1. 乳癌/卵巣癌の遺伝的高リスクを有するヒト、特にBRCA1遺伝子突然変異の女性保有者においてこれらの癌のリスクを低下する医薬組成物であって、治療上有効量のセレン、その塩または誘導体と、可能な限り製薬上許容される担体とを含んでなる前記組成物。
  2. セレンがその有機または無機形態から選択されるものである、請求項1に記載の組成物。
  3. 有機形態のセレンが、セレノメチルシステイン、メチルセレニン酸、セレノメチオニンおよびセレノシステインの中から選択される化合物である、請求項2に記載の組成物。
  4. 無機形態のセレンが、二酸化セレン、セレン酸(H2SeO3)またはその塩の中から選択される化合物である、請求項2に記載の組成物。
  5. セレンが天然物から誘導されたものである、請求項1に記載の組成物。
  6. 天然物がブロッコリーなどの植物性産物またはセレン濃縮酵母である、請求項1に記載の組成物。
  7. セレンが、亜セレン酸ナトリウム、亜セレン酸バリウム、亜セレン酸リチウム、亜セレン酸カルシウムの中から選択されるセレン(IV)塩である、請求項1に記載の組成物。
  8. セレン含有化合物が亜セレン酸ナトリウムである、請求項7に記載の組成物。
  9. 等張液であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
  10. セレン化合物が0.1〜10% w/wの濃度の溶液である、請求項1に記載の組成物。
  11. 溶剤が、製薬上許容される溶媒において10〜96% w/wの濃度のエタノール水溶液を含有する、請求項6に記載の組成物。
  12. 溶媒が、蒸留水、生理学的溶液、または緩衝化生理食塩水の中から選択されるものである、請求項6に記載の組成物。
  13. セレン塩のエタノール水溶液を含む、請求項1に記載の組成物。
  14. 乳癌/卵巣癌の遺伝的高リスクを有するヒト、特にBRCA1遺伝子突然変異の女性保有者においてこれらの癌を予防する方法であって、被験者にセレンまたはその塩もしくは誘導体あるいは請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物を投与することを含む、前記方法。
  15. 乳癌/卵巣癌の遺伝的高リスクを有するヒト、特にBRCA1遺伝子突然変異保有者においてこれらの癌を予防する方法であって、被験者にセレンまたはその塩もしくは誘導体あるいは請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物を投与することを含む、前記方法。
  16. 1日当たり50〜1000μgのセレンを被験者に投与することを含む、請求項15に記載の方法。
  17. 患者のDNAにおいてBRCA1遺伝子中の構成性突然変異を検出した後に、セレンを含む組成物の投与について判断することができる、請求項15に記載の方法。
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