JP2007336650A - 回転電機の固定子 - Google Patents
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Abstract
【課題】占積率の向上とコイルの相間の絶縁とを両立する。
【解決手段】固定子は、回転電機の回転軸に平行な方向に複数のスロットを有するステータコアと、複数枚のコイルプレートが、ステータコアのバックヨーク側から軸中心側への方向に、積層するようにスロットに挿入されるコイルプレート積層体138,144と、同一スロット内に挿入される、複数相のコイルプレート積層体133,138を一体的に保持する樹脂インシュレータ140とを含む。樹脂インシュレータ140は、複数相のコイルプレート積層体138,144を相毎に分離する絶縁板142を含む。
【選択図】図4
【解決手段】固定子は、回転電機の回転軸に平行な方向に複数のスロットを有するステータコアと、複数枚のコイルプレートが、ステータコアのバックヨーク側から軸中心側への方向に、積層するようにスロットに挿入されるコイルプレート積層体138,144と、同一スロット内に挿入される、複数相のコイルプレート積層体133,138を一体的に保持する樹脂インシュレータ140とを含む。樹脂インシュレータ140は、複数相のコイルプレート積層体138,144を相毎に分離する絶縁板142を含む。
【選択図】図4
Description
本発明は、回転電機の固定子に関し、特に、絶縁性を改善する構造を有する固定子の構造に関する。
従来、固定子と回転子とからなる回転電機の固定子において、固定子鉄心に設けられた複数の歯部(以下、ティースという)間の溝(以下、スロットという)に、一体形の積層コイルを挿入して形成される固定子が開示されている。一体形の積層コイルは、たとえば、直線状の薄板状導体が複数枚積層された2組のコイル積層体を樹脂モールド成形により一体的に形成されるものである。回転軸に直交する方向のスロットの断面積に近づくように薄板状導体を積層することにより、スロットの断面積に対するコイルが占有する断面積の面積比(以下、占積率という)を向上させることができる。このような回転電機の固定子の構造に関して、以下の公報に開示された技術がある。
たとえば、特開2001−178053号公報(特許文献1)は、コイルエンド部の長さを短くして、小型化できるとともに、作業性を向上させた回転電機の固定子を開示する。この回転電機の固定子は、固定子鉄心と、この固定子鉄心の歯部と歯部の間に形成される複数のスロットに装着される固定子コイルとを有する。固定子コイルは、積層された2組の直線状の薄板状導体を絶縁樹脂により一体モールド成形して形成される。固定子コイルは、導体の両端部に接続端部が形成された積層コイル片と、積層された薄板状導体を絶縁樹脂により一体モールド成形して形成された第1及び第2の接続コイル片とから構成される。歯部を挟んで固定子鉄心の複数のスロット内にそれぞれ挿入された積層コイル片の薄板状導体の一方の端部は、歯部を挟むようにして第1の接続コイル片の薄板状導体により接続される。他方の端部は、歯部を挟むようにして、かつ、固定子鉄心の半径方向に積層された薄板状導体を半径方向に一つずつずらすようにして第2の接続コイルの薄板状導体により接続される。固定子は、このように固定子コイルが歯部に巻回されて形成されることを特徴とする。
この公報に開示された回転電機の固定子によると、コイルエンド部の長さを短くして、小型化できるとともに、作業性を向上することができる。
特開2001−178053号公報
しかしながら、上述した公報に開示された回転電機の固定子において、占積率をより高めようとすると、絶縁性能が十分に確保できないという問題がある。特に、同一スロット内には、異なる相の固定子コイルが挿入されているため、相間の絶縁性能が十分に確保できないと、回転電機は所望の性能が発揮できない場合がある。
上述した公報に開示された固定子コイルは、間隙を有するように薄板状導体が積層された後に、樹脂の充填により一体モールド成形して形成されるものである。そのため、占積率を高めるために、相間の間隙をさらに小さくしようとすると、一定の粘性を有する樹脂を間隙に充填させることができない可能性がある。すなわち、上述した公報に開示された回転電機の固定子によって、占積率を高める際に絶縁性能を十分に確保できないという問題を解決することはできない。また、予め間隙を空けた後に樹脂を充填させるため、固定子コイル、固定子鉄心の製造精度やそれらの組付け精度により絶縁状態が維持できる距離を確保できず絶縁性能が低下する場合がある。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、占積率の向上とコイルの相間の絶縁とを両立できる回転電機の固定子を提供することである。
第1の発明に係る回転電機の固定子は、回転子と固定子とからなる回転電機の固定子である。この固定子は、回転電機の回転軸に平行な方向に複数のスロットを有する固定子鉄心と、複数枚のコイルプレートが、固定子鉄心のバックヨーク側から軸中心側への方向に、積層するようにスロットに挿入されるコイルプレート積層体と、同一スロット内に挿入される、複数相のコイルプレート積層体を一体的に保持する絶縁部材とを含む。絶縁部材は、複数相のコイルプレート積層体を相毎に分離する絶縁板を含む。
第1の発明によると、絶縁部材には、複数相のコイルプレート積層体を相毎に分離する絶縁板が形成される。たとえば、絶縁板の厚さを、相間電圧に対してコイルプレート積層体間の絶縁状態が維持できる距離以上となる厚さにすると、同一スロット内に挿入されるコイルプレート積層体間を確実に絶縁することができる。また、コイルプレート積層体間の絶縁状態が維持できる範囲内で絶縁板の厚さを可能な限り薄くすると、占積率を高めることができる。また、コイルプレート積層体間の間隙が小さくなったとしても、間隙には絶縁板が介在するため、樹脂を充填させる必要がない。そのため、樹脂の成形不良に起因した絶縁性の悪化を抑制することができる。さらに、間隙に絶縁板が介在することにより、コイルプレートおよび固定子鉄心の製造精度および組付け精度の悪化に起因した絶縁性能の悪化を抑制できる。したがって、占積率の向上とコイル相間の絶縁とを両立できる回転電機の固定子を提供することができる。
第2の発明に係る回転電機の固定子においては、第1の発明の構成に加えて、絶縁部材は、少なくとも固定子鉄心とコイルプレート積層体との間の絶縁状態を維持できる厚さを有する。
第2の発明によると、絶縁部材は少なくとも固定子鉄心とコイルプレート積層体との間の絶縁状態を維持できる厚さを有する。絶縁部材により、固定子鉄心とコイルプレート積層体との間を確実に絶縁することができる。
第3の発明に係る回転電機の固定子においては、第1または2の発明の構成に加えて、絶縁板は、少なくとも同一スロット内の複数相のコイルプレート積層体間の絶縁状態を維持できる厚さを有する。
第3の発明によると、絶縁板は、少なくとも同一スロット内の複数相のコイルプレート積層体間の絶縁状態を維持できる厚さを有する。絶縁板により、複数相のコイルプレート積層体間を確実に絶縁することができる。
第4の発明に係る回電機の固定子においては、第3の発明の構成に加えて、絶縁状態を維持できる厚さは、相間電圧に対応したコイルプレート積層体間の放電開始距離よりも大きい。
第4の発明によると、絶縁板の厚さにより相間電圧に対応したコイルプレート積層体間の放電開始距離よりも大きくなるように複数層のコイルプレート積層体を分離することにより、確実に絶縁することができる。
第5の発明に係る回転電機の固定子においては、第1〜4のいずれかの発明の構成に加えて、絶縁板は、異なる相のコイルプレートの端部間に設けられる。
第5の発明によると、絶縁板は、異なる相のコイルプレートの端部間に設けられる。これにより、固定子鉄心および絶縁部材から、回転軸と平行な方向に突出したコイルプレート積層体の部分において、隣接するコイルプレート積層体間には絶縁板が介在することとなる。また、コイルプレート積層体間における沿面距離が絶縁板を介在させることにより相間電圧による放電開始距離よりも長くなると、コイルプレート積層体間が確実に絶縁される。
第6の発明に係る回転電機の固定子においては、第1〜5のいずれかの発明の構成に加えて、固定子鉄心には、スロット間に、回転電機の軸中心に向けて突出するティースが形成される。スロット内のコイルプレート積層体は、絶縁部材によりティースの軸中心側の端面から、予め定められた距離以上離隔した位置に保持される。
第6の発明によると、スロット内のコイルプレート積層体は、絶縁部材によりティースの軸中心側の端面から、予め定められた距離以上離隔した位置に保持される。ティースの軸中心側になるほど、固定子鉄心からスロット内に多量の磁束が流れる。すなわち、コイルプレートが軸中心側に位置するほど、渦電流損失が大きくなる。そのため、ティースの軸中心側の端面から、予め定められた距離以上離隔した位置にコイルプレート積層体を保持することにより、渦電流の発生および渦電流による損失を抑制することができる。
第7の発明に係る回転電機の固定子においては、第1〜6のいずれかの発明の構成に加えて、絶縁部材は、同一相のコイルプレート積層体の、回転軸と平行な方向周りの周囲の面に貼付される絶縁フィルムと、スロットの内壁面に当接し、回転軸と平行な方向に貫通する中空の形状であって、内側にコイルプレート積層体が挿入されることにより、コイルプレート積層体を、固定子鉄心から離隔するように保持する保持部材とをさらに含む。保持部材は、固定子鉄心と接する面に開口部を有する予め定められた形状に形成される。絶縁フィルムは、開口部において、コイルプレート積層体と固定子鉄心との間に介在するように貼付される。
第7の発明によると、同一相のコイルプレート積層体には、回転軸と平行な方向周りの周囲の面に絶縁フィルムが貼付される。また、コイルプレート積層体は、スロットの内壁面に当接し、回転軸に平行な方向に貫通する中空の形状の保持部材の内側に挿入される。コイルプレート積層体が保持部材の内側に挿入されると、コイルプレート積層体は、固定子鉄心から離隔するように保持される。保持部材は、固定子鉄心と接する面に開口部を有する予め定められた形状に形成される。絶縁フィルムは、開口部において、コイルプレート積層体と固定子鉄心との間に介在するように貼付される。開口部が形成されるため、熱伝導率の高い絶縁材料を充填するなどされると、スロット内におけるコイルプレートの熱を、熱伝導率の高い絶縁材料を介して固定子鉄心に伝熱させることができる。これにより、固定子の冷却性能を向上させることができる。また、一般に熱伝導性の高い絶縁材料は、複雑な形状に成形される場合においては、成形不良が発生し易くなる。成形不良が発生するとピンホールが形成されるなどして、絶縁性能が悪化する場合がある。そのため、開口部において、固定子鉄心とコイルプレート積層体との間に絶縁フィルムが介在するように貼付されることにより、充填された樹脂の成形不良に起因した絶縁性能の悪化を抑制することができる。
第8の発明に係る回転電機の固定子においては、第1〜6のいずれかの発明の構成に加えて、絶縁部材は、スロットの内壁面を覆うように貼付される対地絶縁フィルムと、同一スロット内に挿入される複数相のコイルプレート積層体が互いに対向する面のうちの少なくとも一方に貼付される絶縁フィルムと、コイルプレート積層体を、固定子鉄心から離隔するように複数箇所で保持する保持部材とさらにを含む。
第8の発明によると、固定子鉄心には、スロットの内壁面を覆うように対地絶縁フィルムが貼付される。また、同一スロット内に挿入される複数相のコイルプレート積層体が対向する面のうちの少なくとも一方には、絶縁フィルムが貼付される。さらに、コイルプレート積層体は、保持部材により、固定子鉄心から離隔するように複数箇所で保持される。一般に熱伝導性の高い絶縁材料は、複雑な形状に成形される場合においては、成形不良が発生し易くなる。成形不良が発生するとピンホールが形成されるなどして、絶縁性能が悪化する場合がある。したがって、スロットの内壁面を対地絶縁フィルムで覆うことにより、固定子鉄心とコイルプレート積層体とを確実に絶縁することができる。さらに、複数相のコイルプレート積層体が対向する面のうちの少なくとも一方に、絶縁フィルムを貼付することにより、コイルプレート積層体間を確実に絶縁することができる。また、保持部材によりコイルプレート積層体を保持している箇所以外の間隙に熱伝導率の高い絶縁材料を充填するようにすると、スロット内におけるコイルプレートの熱を、熱伝導率の高い絶縁材料を介して固定子鉄心に伝熱させることができる。これにより、固定子の冷却性能を向上させることができる。
第9の発明に係る回転電機の固定子においては、第1〜6のいずれかの発明の構成に加えて、絶縁部材は、同一相のコイルプレート積層体の、回転軸と平行な方向周りの周囲を覆うように巻回される絶縁フィルムと、絶縁フィルムが巻回されたコイルプレート積層体を、固定子鉄心から離隔するように複数箇所で保持する保持部材とさらにを含む。
第9の発明によると、同一相のコイルプレート積層体には、回転軸と平行な方向周りの周囲を覆うように絶縁フィルムが巻回される。また、保持部材は、絶縁フィルムが巻回されたコイルプレート積層体を、固定子鉄心から離隔するように複数箇所で保持する。一般に熱伝導率の高い絶縁材料は、複雑な形状に成形される場合においては成形不良が発生し易くなる。成形不良が発生するとピンホールが形成されるなどして、絶縁性能が悪化する場合がある。そこで、コイルプレート積層体の、回転軸と平行な方向周りの周囲を覆うように絶縁フィルムを巻回することにより、コイルプレート積層体と固定子鉄心との間を確実に絶縁することができる。さらに、保持部材によりコイルプレート積層体を保持している箇所以外の間隙に熱伝導率の高い絶縁材料を充填するようにすると、スロット内におけるコイルプレートの熱を、熱伝導率の高い絶縁材料を介して速やかに固定子鉄心に伝熱させることができる。これにより、固定子の冷却性能を向上させることができる。
第10の発明に係る回転電機の固定子においては、第9の発明の構成に加えて、絶縁フィルムは、同一スロット内で隣接するコイルプレート積層体の互いに対向する面上の位置を巻き始めの位置としてコイルプレート積層体の周囲に巻回される。互いに対向するコイルプレート積層体の巻き始め位置は、予め定められた距離以上離隔される。
第10の発明によると、絶縁フィルムの巻き始め位置は、隣接するコイルプレート積層体の対向する面上の位置である。また、対向するコイルプレート積層体のそれぞれの巻き始め位置は、予め定められた距離以上離隔される。すなわち、隣接する2つのコイルプレート積層体のうちの一方の巻き始め位置においては、他方のコイルプレート積層体との間に絶縁フィルムが介在することとなる。さらに、隣接するコイルプレート積層体の巻き始め位置は、予め定められた距離以上離隔される。したがって、巻き始め位置において絶縁フィルムの始端と終端との間に隙間が生じ、コイルプレート積層体の一部が露出していても、コイルプレート積層体間において絶縁状態が維持できる距離を確保することができる。そのため、コイルプレートの積層体間(相間)を確実に絶縁することができる。
第11の発明に係る回転電機の固定子においては、第10の発明の構成に加えて、予め定められた距離は、同一スロット内で隣接するコイルプレート積層体間の絶縁状態を維持できる距離である。
第11の発明によると、予め定められた距離は、同一スロット内で隣接するコイルプレート積層体間の絶縁状態を維持できる距離である。そのため、巻き始め位置において絶縁フィルムの始端と終端との間に隙間が生じ、コイルプレート積層体の一部が露出していても、コイルプレート積層体間において絶縁状態が維持できる距離を確保することができる。そのため、コイルプレート積層体間(相間)を確実に絶縁することができる。
第12の発明に係る回転電機の固定子においては、第7〜11のいずれかの発明の構成に加えて、回転軸と平行な方向における絶縁フィルムの長さは、固定子鉄心の回転軸と平行な方向の長さよりも長く、かつ、回転軸と平行な方向についての保持部材の端面間の最大長さよりも長い。
第12の発明によると、回転軸と平行な方向における絶縁フィルムの長さは、固定子鉄心の回転軸と平行な方向の長さよりも長く、かつ、回転軸と平行な方向についての保持部材の端面間の最大長さよりも長い。そのため、コイルプレート積層体と保持部材および固定子鉄心との間には、絶縁フィルムが介在することとなる。一般に、熱伝導率の高い絶縁材料は、複雑な形状に成形される場合において成形不良が発生し易くなる。そこで、コイルプレート積層体と保持部材および固定子鉄心との間に絶縁フィルムを介在させることにより、コイルプレート積層体と保持部材および固定子鉄心との間の間隙に熱伝導率の高い絶縁材料が充填されたときに成形不良が発生しても、絶縁性の悪化を抑制することができる。
第13の発明に係る回転電機の固定子においては、第1〜12のいずれかの発明の構成に加えて、コイルプレートと固定子鉄心との間には、樹脂が充填される。
第13の発明によると、コイルプレートと固定子鉄心との間は、樹脂が充填される。コイルプレートと固定子鉄心との間の間隙に、熱伝導率の高い樹脂を充填させるようにすると、回転電機の作動中にコイルプレートの電気的な抵抗に起因して発生する熱を樹脂を介して固定子鉄心に速やかに放熱することができる。そのため、固定子の冷却性能を向上させることができる。
第14の発明に係る回転電機の固定子においては、第13の発明の構成に加えて、絶縁フィルムの厚さは、予め定められた比とコイルプレートおよび固定子鉄心の間における樹脂の厚さとに基づいて設定される。
第14の発明によると、絶縁フィルムの厚さは、予め定められた比とコイルプレートおよび固定子鉄心の間における樹脂の厚さとに基づいて設定される。たとえば、絶縁フィルムは比較的熱伝導率が低い傾向にあるため、厚みが大きいと、コイルプレートの熱が固定子鉄心を介して外部に放熱しにくくなり、冷却性能が低下する可能性がある。その一方で、厚みが小さいと、コイルプレートと固定子鉄心との間に充填される樹脂の成形不良に起因した絶縁性能の悪化の影響を受ける可能性がある。予め定められた比とコイルプレートおよび固定子鉄心の間の距離とに基づいて絶縁フィルムの厚さを設定することにより、冷却性能と絶縁性能とを両立させることができる。
第15の発明に係る回転電機の固定子においては、第14の発明の構成に加えて、予め定められた比は、樹脂および絶縁フィルムのそれぞれの熱伝達率に基づいて設定される。
第15の発明によると、予め定められた比は、樹脂および絶縁フィルムのそれぞれの熱伝達率に基づいて設定される。そのため、予め定められた比とコイルプレートおよび固定子鉄心の間の距離とに基づいて絶縁フィルムの厚さを設定することにより、冷却性能と絶縁性能とを両立させることができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰り返さない。
<第1の実施の形態>
本実施の形態に係る固定子は、固定子と永久磁石からなる回転子とから構成される回転電機の固定子である。本実施の形態においては、固定子は、極数が21である三相交流同期回転電機の固定子であるが、本発明は、コイルが巻回される固定子に適用されるべきものであって、特に極数が21に限定されるものではなく、さらに、三相交流同期回転電機の固定子に限定して本発明が適用されるものでもない。
本実施の形態に係る固定子は、固定子と永久磁石からなる回転子とから構成される回転電機の固定子である。本実施の形態においては、固定子は、極数が21である三相交流同期回転電機の固定子であるが、本発明は、コイルが巻回される固定子に適用されるべきものであって、特に極数が21に限定されるものではなく、さらに、三相交流同期回転電機の固定子に限定して本発明が適用されるものでもない。
図1に示すように、固定子100は、固定子鉄心(以下、ステータコアという)102と、コイルサブアッシー108と、渡り部材の積層体110,112と、バスバー114とから構成される。
ステータコア102は、中空円筒形状に形成される。ステータコア102には、回転軸と平行な方向に貫通する溝(以下、スロットという)106がステータコア102の周方向に沿って予め定められた個数だけ形成される。さらに、ステータコア102のスロット106間には、回転軸の軸中心に対向するように歯部(以下、ティースという)104が予め定められた個数だけ形成される。予め定められた個数は、極数に対応しており、本実施の形態においては、スロット106およびティース104は、それぞれ21個形成される。また、本実施の形態において、ステータコア102は、複数の電磁鋼板が積層されて形成される。
ステータコア102に形成されたスロット106には、コイルサブアッシー108が挿入されている。コイルサブアッシー108は、2組のコイルプレート積層体(図示せず)が樹脂インシュレータ(図示せず)により一体的に保持されて構成される。コイルプレート積層体は、複数枚のI字形状のコイルプレートが径方向に積層されて構成される。なお、コイルプレート積層体は、複数枚のI字形状のコイルプレートがコイルプレートの幅方向がスロット内のティース壁面に直交するように積層されて構成されるようにしてもよい。また、本実施の形態においてコイルプレートの形状は、I字形状を有するとして説明するが、特にI字形状に限定されるものではない。コイルプレートは、たとえば、スロット106に挿入される部分がI字形状である、U字形状のコイルプレートであってもよい。
ステータコア102の円筒形状の外周面には、径方向外側に突出した突出部128,130,132が形成される。突出部128,130,132には、それぞれ回転軸方向に貫通する貫通穴が形成される。ステータコア102は、貫通穴に挿入されたボルトの締結により、回転電機の筐体に固定される。
ティース104の両脇のスロットに挿入された2つのコイルサブアッシー108のうち、同一のティースに隣接するコイルプレート積層体同士が、渡り部材の積層体110,112により接続される。ティース104の図1の紙面上方側には、渡り部材の積層体110が組付けられる。ティース104の図1の紙面下方向側には、渡り部材の積層体112が組付けられる。渡り部材の積層体110,112によりコイルエンドが形成される。
渡り部材の積層体110,112は、それぞれ渡り部材が複数枚積層されて構成される。渡り部材は、ティース104の両脇に位置する(すなわち、異なるスロットに挿入された)2つのコイルプレート積層体を構成するコイルプレートの端部間を接続する。
渡り部材の積層体110,112がティース104の両脇に位置する2つのコイルプレート積層体に組付けられることにより、ティース104に予め定められたターン数(本実施の形態においては14ターン)のコイルが螺旋状に巻回された状態となる。なお、各ティースに巻回されたコイルの巻回方向は全て同じ方向である。
このとき、ティース104に巻回された14ターンのコイルの端部は、最も軸中心側であって、渡り部材が接続されないコイルプレートの端部、および、最も軸中心から離れている側であって、渡り部材が接続されないコイルプレートの端部である。
これらの端部には、バスバー114の一方端がそれぞれ接続される。バスバー114の他方端は、他のティースに巻回された同一相のコイル(すなわち、異なるスロットに挿入されたコイルプレート積層体)の端部に接続される。このようにして、ステータコア102には、U相、V相およびW相の各相に対応する14ターンのコイルが各ティースに巻回された状態となる。
各相のコイルの端部には、端子部材116〜126が設けられる。ここで、端子部材116と端子部材122とがU相のコイルの端部に対応し、端子部材118と端子部材124とがV相のコイルの端部に対応し、端子部材120と端子部材126とがW相のコイルの端部に対応する。
以下に、本実施の形態に係る固定子100の製造方法の手順について、図2のフローチャートを用いて詳細に説明する。
ステップ(以下、ステップをSと記載する)100にて、I字形状のコイルプレートがプレス加工により形成される。
図3に示すように、コイルプレート136は、プレス工程において銅圧延素材の金属平板を加工してI字形状に形成される。コイルプレート136は、たとえば、シャーリング加工によりI字形状に加工される。コイルプレート136の材質として銅を用いることにより、高い熱伝導率によりコイルプレート136の放熱性を向上させることができる。また、銅は内部抵抗が低く、導体としても伝導率も高い。そのため、電流密度を向上させたときの発熱も低減させることができる。
また、コイルプレート136の両端部には、接合面を有する段差が形成される。本実施の形態においては、接合面を有する段差は、たとえば、切削加工等により形成されるものとする。また、コイルプレート136の接合面には、予め定められた塗布範囲134に接合材が塗布される。本実施の形態において、接合材は、有機物により被覆された金属ナノ粒子と有機溶媒とを含む、ペースト状の接合材(以下、金属ナノ粒子ペーストという)である。金属ナノ粒子は、たとえば、金、銀、銅およびプラチナのうちのいずれかの金属のナノ粒子であるが、本実施の形態においては、たとえば、有機物により被覆された銀ナノ粒子と有機溶媒とを含む、ペースト状の接合材(以下、銀ナノ粒子ペーストという)を用いるものとして説明する。銀ナノ粒子ペーストは、加熱により保護層である有機物が分解すると、銀ナノ粒子が低温で焼結を開始する。そのため、焼結温度が約260℃前後と低く、PPS(ポリフェニレンスルフィド)等の絶縁材料の溶融温度よりも低い。一方、焼結後においては、銀ナノ粒子は、金属結合状態となり、金属銀とコイルプレートの材質である銅との共晶温度(約1000度前後)付近になるまで溶融しない。なお、金属ナノ粒子を含む接合材については、公知の技術であるため、その詳細な説明は行なわない。
接合面に付着された銀ナノ粒子ペーストは、タックフリー状態になるまで乾燥される。これにより、接合面に付着された銀ナノ粒子ペーストの表面は硬化して、流動が抑制される。
さらに、コイルプレート136の少なくとも片面側には、絶縁フィルムが付着される。なお、絶縁フィルムに代えて絶縁塗装の塗装膜を付着させるようにしてもよい。絶縁フィルムは、コイルプレート間の絶縁が確保できる厚さを有していれば、特に材質などは限定されるものではないが、たとえば、ポリイミドフィルムである。絶縁フィルムは、コイルプレート136の厚さ方向の対向する2面のうちの少なくともいずれか一方の面に貼付される。本実施の形態において、絶縁フィルムは、接合面が形成されない側の面を全て覆うようにコイルプレート136に貼付されるものとする。
さらに、コイルプレートの厚さおよび幅を含む断面形状は、積層されたときのコイルプレートの位置に応じた寸法になるように形成される。
より具体的には、ステータコア102のバックヨーク側に位置するコイルプレートであるほど、幅が大きくなり厚さが小さくなるような寸法の形状に形成される。このように積層されたときのコイルプレートの位置に応じて断面形状を変更することにより、スロットに挿入されるコイルプレート積層体の断面形状を自由に設定することができる。すなわち、コイルプレート積層体の断面形状の面積をスロットの断面形状の面積に近づけることにより、占積率を向上させることができる。
図2に戻って、S102にて、I字形状のコイルプレートが積層化されて、コイルサブアッシー108が組み立てられる。
図4に示すように、複数枚のコイルプレートにより構成されるコイルプレート積層体138,144が樹脂インシュレータ140の内側に、樹脂インシュレータ140の長手方向に向けて挿入されることにより、図5に示すコイルサブアッシー108が組み立てられる。このとき、コイルプレート積層体138,144において、各コイルプレート間に絶縁フィルムが介在するように、コイルプレートが積層される。
複数枚のコイルプレートが樹脂インシュレータ140の内側に挿入されると、樹脂インシュレータ140により位置が制限される。樹脂インシュレータ140は、スロットの内壁面に当接するように形成される中空の絶縁部材である。なお、樹脂インシュレータ140は、少なくともコイルプレート積層体138,144の位置を制限して、コイルプレート積層体138,144を一体的に保持できればよく、特に中空の形状であることに限定されるものではない。
樹脂インシュレータ140の材質は、たとえば、エポキシ、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、液晶(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等であって、予め定められた形状に成形される。なお、樹脂インシュレータ140の材質は、樹脂成形が可能な絶縁材料であれば、特に上記した材質に限定されるものではない。
さらに、樹脂インシュレータ140の中央部には、コイルプレート積層体138,144を分断するように絶縁板142が形成される。絶縁板142は、同一スロット内の2つの異なる相のコイルプレート積層体同士の当接を抑制する。絶縁板142により、同一スロット内に挿入されるコイルプレート積層体間(相間)を絶縁することができる。
さらに、樹脂インシュレータ140の長手方向の端部のいずれか一方には、樹脂インシュレータ140の外周方向に沿って突出部146が形成される。
図6に、図5の矢視Aを視点としたコイルサブアッシーの外観を示す。図6に示すように、樹脂インシュレータ140の断面形状は、その外周面がスロットの内壁面に当接するように形成された略扇形である。絶縁板142は、略扇形の中心角を2等分するように樹脂インシュレータ140の内側の空間を2分割する。
図6の紙面上方の樹脂インシュレータ140の内壁面には、樹脂インシュレータ140の長手方向に沿って形成された複数の突出部150により溝が設けられる。突出部150は、径方向に沿って予め定められた間隔を空けて形成される。各突出部150間の溝の幅は、挿入されるコイルプレートの厚さに対応する。したがって、径方向に沿って略扇形の中心側になるほど、溝の幅が大きくなるように突出部150が形成される。この溝によりコイルプレート(斜線部)の厚さ方向の位置が制限される。
また、図6の紙面上方の内壁面に対向する位置の絶縁板142の表面には、階段状の突出部152が形成される。突出部152は、溝の底面と平行な面を有する。突出部152は、樹脂インシュレータ140の長手方向に沿って形成される。このとき、溝の底面から絶縁板142に形成された突出部152の面までの距離は、挿入されるコイルプレートの幅に対応する。したがって、径方向に沿って略扇形の中心側になるほど、溝の底面から突出部152の面までの長さが短くなる。絶縁板142に形成された突出部152の面によりコイルプレートの幅方向の位置が制限される。
本実施の形態においては、コイルプレート積層体138は、14枚のコイルプレートにより構成される。したがって、樹脂インシュレータ140には、突出部150により14個の溝が形成される。さらに、絶縁板142においても14個の突出部152が形成される。
なお、絶縁板142の紙面下方の空間においても同様に、突出部154,156が形成され、コイルプレート144を構成する14枚の積層されたコイルプレートの厚さ方向および幅方向の位置を制限する。その詳細については繰り返さない。
また、コイルプレート積層体138,144を構成する複数枚のコイルプレートは、それぞれの断面形状に対応した位置の溝に摺動して挿入される。挿入された複数枚のコイルプレートは、樹脂インシュレータ140および絶縁板142の内壁面により挿入方向の位置を制限される。
すなわち、樹脂インシュレータ140は、コイルプレート積層体138が挿入されると、突出部150、突出部150間の溝および絶縁板142に形成された突出部152によりコイルプレート積層体138を狭持する。そのため、摩擦力によりコイルプレート積層体138の挿入方向の位置が制限される。なお、コイルプレート積層体を構成するコイルプレートの端部のそれぞれに、L字形状に屈曲した部分あるいは突起部を形成することにより、挿入方向の位置を制限するようにしてもよい。なお、積層されたコイルプレート間の距離は、少なくともコイルプレート間に介在する絶縁フィルムの厚さおよび相間電圧から決まる放電開始距離よりも大きい。
さらに、図7に示すように、スロット106内のコイルプレート積層体144は、ティース104の軸中心側の端面から予め定められた距離L2以上離隔した位置に樹脂インシュレータ140により保持される。なお、予め定められた距離L2は、ティース104の端面およびコイルプレート積層体138,144において最もバックヨーク側の端面間の距離L1に予め定められた比を乗じて算出される。予め定められた比は、回転電機の体格あるいはコイルプレートの形状等に基づいて実験あるいは解析等により適合されるものである。
図8に示すように、ティース104の軸中心側であるほど、渦電流による損失が大きくなる。これは、回転電機の高負荷作動時において、スロット106内には、ステータコア102から多量に磁気が漏れ、その漏れ磁束に応じてコイルプレートに渦電流が発生するためである。したがって、スロット106において、ティース104の軸中心側にコイルプレートが挿入されると、渦電流による損失が大きくなる傾向にある。また、漏れ磁束は、ティース104の先端側を中心に発生するため、ティース104の端面から径方向に離れるほど渦電流による損失は低減する。したがって、ティース104の先端から渦電流による損失の影響が小さい距離L2の位置よりも径方向に離れた位置にコイルプレート積層体144を保持することにより、渦電流の損失の増加が抑制される。
上述したとおり、予め定められた距離L2は、ティース104の端面およびコイルプレート積層体138,144において最もバックヨーク側の端面間の距離L1に予め定められた比を乗じて算出される。これは、ティース104の先端から渦電流による損失の影響が小さくなるまでの距離が、ティース104の端面からバックヨーク側のコイルプレートの端面までの距離のうちの一定の割合の領域であるためである。予め定められた比は、回転電機の体格毎あるいは種類毎に適合されることにより、コイルの占積率を向上させつつ、渦電流による損失を抑制することができる。
図2に戻って、S104にて、コイルサブアッシー108がスロット106に挿入される。図9に示すように、樹脂インシュレータ140の突出部146が形成されている端部を下側にして、ステータコア102の紙面下方向側からスロット106に挿入される。
コイルサブアッシー108がステータコア102に挿入されると、突出部146とスターアコア102の端面とが当接する。これにより、コイルサブアッシー108の紙面上方への移動が制限される。ステータコア102に形成されるすべてのスロット(21箇所)にコイルサブアッシー108が挿入される。
図10に示すように、コイルサブアッシー108がステータコア102に挿入されると、コイルプレート積層体138,144は、樹脂インシュレータ140により径方向、周方向、軸方向の位置が制限される。さらに、コイルプレート積層体138,144は、樹脂インシュレータ140によりステータコア102に直接接触することが抑制される。
図2に戻って、S106にて、コイルプレート積層体138,144を構成する各コイルプレートの端部間を接続するように渡り部材を挿入する。
図11に示すように、ティース104の両脇に対向して挿入されるコイルプレート積層体138,144間を接続するように、ティース104の上部に渡り部材の積層体112が組付けられ、ティース104の下部に渡り部材の積層体110が組付けられる。
図11の紙面下方側において、ティース104を挟んで対向する位置関係にある2つのコイルプレートの端部間は、渡り部材の積層体110を構成する渡り部材により接続される。
一方、図11の紙面上方側において、ティース104を挟んで対向する位置関係にある2つのコイルプレートの端部のうちいずれか一方の端部と、他方の端部のバックヨーク側に隣接するコイルプレートの端部との間が、渡り部材の積層体112を構成する渡り部材により接続される。
上述した位置関係にある、各コイルプレートの端部間が、渡り部材により接続されると、ティース104にコイルが螺旋状に予め定められたターン数(本実施の形態においては、14ターン)だけ巻回された状態となる。
渡り部材の積層体110,112は、複数枚の渡り部材(以下、コイルエンドプレートともいう)が複数枚積層されて、絶縁材料で形成された保持部材158により一体的に保持される。保持部材158は、積層された複数枚の渡り部材の中央部を樹脂モールド等により一体成形するものであってもよいし、積層された複数枚の渡り部材の中央部を狭持して一体的に保持する部材であってもよい。
図12(A)に示す渡り部材160は、渡り部材の積層体112を構成するコイルエンドプレートである。渡り部材160は、バスバー114の一方端に接続されるコイルプレートの端部を有する側(リード側)のコイルエンドプレートである。
渡り部材160の両端には、接合面184,186を有する段差が形成される。渡り部材160の両端部の接合面184,186には、予め定められた塗布範囲に銀ナノ粒子ペーストが付着される。銀ナノ粒子ペーストは、渡り部材160のプレス加工工程において付着される。なお、渡り部材160の端部およびコイルプレートの端部のうちのいずれか一方の接合面に銀ナノ粒子ペーストが付着されるようにしてもよい。
一方、図12(B)に示す渡り部材162は、渡り部材の積層体110を構成するコイルエンドプレートである。渡り部材162は、バスバー114に接続されるコイルプレートの端部を有しない側(反リード側)のコイルエンドプレートである。
渡り部材162の両端には、接合面188,190を有する段差が形成される。渡り部材162の両端部の接合面188,190には、予め定められた塗布範囲に銀ナノ粒子ペーストが付着される。銀ナノ粒子ペーストは、渡り部材162のプレス加工工程において付着される。なお、渡り部材162の端部およびコイルプレートの端部のうちのいずれか一方の接合面に銀ナノ粒子ペーストが付着されるようにしてもよい。
図13(A)のコイルプレートと渡り部材との接合部分を模式的に示す図のように、渡り部材160の両端部の接合面184,186は、いずれか一方の接合面が他方の接合面の同一平面から予め定められた距離だけ平行移動した位置関係を有する。したがって、渡り部材160は、コイルプレート194の端部を、ティース104を挟んで対向する位置関係のコイルプレート196のバックヨーク側に隣接するコイルプレート192の端部とを接合する。
なお、積層されたコイルエンドプレートの厚さはスロット内の径方向の位置に応じて異なる。そのため、渡り部材160の両端部の接合面184,186間の距離は、接続されるコイルプレートの厚さに応じて異なる。
渡り部材の積層体112は、13枚の渡り部材160が積層されて構成される。13枚の渡り部材160は、保持部材158によりその各々が対応するコイルプレートの端部のそれぞれに当接するように位置決めされて、一体的に保持される。
一方、図13(B)に示す図のように、渡り部材162の両端部の接合面188,190は、同一平面となる。したがって、渡り部材162は、ティース104を挟んで対向する位置関係の2つのコイルプレート194,196の端部間を接続する。
渡り部材の積層体110は、14枚の渡り部材162が積層されて構成される。14枚の渡り部材162は、保持部材によりティース104を挟んで対向する位置関係の2つのコイルプレートの端部にそれぞれ当接するように位置決めされて、一体的に保持される。
したがって、上下各21個の渡り部材の積層体110,112がステータコア102に組み付けられると、所定の位置関係にあるコイルプレートと渡り部材とにおいて、コイルプレート積層体138,144のコイルプレートの所定の接合面と渡り部材の両端部の接合面とが当接する。なお、本実施の形態においては、コイルプレートの端部の接合面は、ステータコア102の径方向外側に向いており、渡り部材の接合面は、径方向内側に向いているものとする。
図2に戻って、S108にて、バスバー114がコイルプレートの端部に挿入される。図14に示すように、すべてのコイルサブアッシー108間(上下各21箇所)に渡り部材の積層体110,112が組付けられた後、バスバー114がコイルサブアッシー108に組付けられる。
より具体的には、バスバー114は、棒状の形状を有する。バスバー114の両端には、それぞれ接合面198,200を有する突出部がL字形状に形成される。バスバー114は、両端の接合面198,200がコイルプレート積層体138,144のそれぞれのコイルプレートの端部の接合面に当接するように予め定められた形状に屈曲される。
18本のバスバー114が、3ティース間隔毎のティースに巻回されたコイルを接続する。バスバー114の一方端は、ティース104に巻回されたコイルを構成するコイルプレートのうち最も軸中心側のコイルプレートの端部164に当接するように組付けられる。すなわち、バスバー114の一方端は、コイルプレート積層体144の最も軸中心側のコイルプレートの端部164に当接するように組付けられる。コイル端部164は、渡り部材160が接続されない端部である。
バスバー114の他方端は、ティース104から3ティース分だけ離れたティース168に巻回されたコイルのうち最も軸中心から離れた側のコイルプレートの端部166に当接するように組付けられる。すなわち、バスバー114の他方端は、コイルプレート積層体138の最も軸中心から離れた側のコイルプレートの端部166に当接するように組付けられる。端部166は、渡り部材160が接続されない端部である。
図2に戻って、S110にて、端子部材116〜126がコイル端部に組付けられる。図15に示すように、ステータコア102に挿入されたコイルサブアッシー108のうち最も軸中心側であって、バスバー114も渡り部材160も接続されないコイルプレートの端部170,172,174には、端子部材116,118,120がそれぞれ組付けられる。なお、最も軸中心側のコイルプレートの端部170,172,174の接合面は、径方向外側に向いている。そのため、端子部材116,118,120の接合面は、端部170,172,174と、径方向に隣接するコイル端部との間に挿入して組付けられる。
また、最も軸中心から離れた側であって、バスバー114も渡り部材160も接続されないコイルプレートの端部176,178,180には、端子部材122,124,126がそれぞれ組付けられる。最も軸中心から離れた側のコイルプレートの端部の接合面は、径方向外側に向いている。そのため、端子部材122,124,126が仮止め等により位置決めされて組付けられる。
以上のようにして、ステータコア102のスロット106にコイルサブアッシー108が組付けられ、コイルサブアッシー108間に渡り部材の積層体110,112が組付けられ、バスバー114および端子部材116〜126が組付けられると、図16に示すような接合前の固定子100が組み立てられる。
図2に戻って、S112にて、多点同時接合処理が実施される。具体的には、組み立てられた固定子100において、当接した各接合面同士を接合させる処理が実施される。すなわち、図17に示すように、バスバー114あるいは端子部材116〜126および渡り部材の積層体110,112が組付けられたすべてのコイルプレート積層体のコイル端部を径方向から挟みこむように(図17の矢印の方向)に加圧した上で温度を上昇させることにより、多点同時接合処理が実施される。
温度が上昇することにより、銀ナノ粒子ペーストに含まれる銀ナノ粒子を被覆する保護層が分解して銀ナノ粒子が焼結する。また、加圧することにより、保護層が分解する際に生じるペースト内のガス等が接合部分から排除される。接合部分は、銀ナノ粒子ペーストが焼結して、金属結合により接合される。そのため、接合処理後においては、金属銀の融点約1000℃付近まで加熱しないと接合部分は溶融しない。なお、銀ナノ粒子を被覆する保護層は、約260℃前後で分解するため、金属ナノ粒子は、約260℃前後で保護層が分解された後に低温で焼結する。したがって、加温は、コイルプレートに貼付された絶縁フィルムあるいは樹脂インシュレータ140が溶融する温度よりも小さい約260℃前後の予め定められた温度になるまで行なわれる。そのため、絶縁フィルムおよび樹脂インシュレータ140が溶融することはない。
図2に戻って、S114にて、樹脂モールド処理が実施される。図18に示すように、接合面同士の接合が完了した固定子100のコイルエンド部に対して樹脂等の射出成形によりモールド処理が実施される。このとき、ステータコア102の外周面および端子部材116〜126の端子以外の部分が樹脂182により覆われる。
以上のようにして完成した固定子100と回転子(図示せず)とからなる回転電機においては、端子部材116〜126のそれぞれに交流電力が供給されると、供給された電力に応じた磁界が発生する。回転子は、発生した磁界に基づいて回転力を得ることにより回転する。
上述したような構成を有する固定子において、本発明は、同一スロット内に挿入される、複数相のコイルプレート積層体を一体的に保持する樹脂インシュレータに、複数相のコイルプレート積層体を相毎に分離する絶縁板が形成される点に特徴を有する。
以下、本発明の特徴的な部分を説明する便宜上、上述したコイルサブアッシー108に代えて、図19〜図22に示すコイルサブアッシー250の図を用いて詳細に説明する。なお、コイルサブアッシー250は、コイルサブアッシー108と比較して断面形状が略正方形である点と、I字形状のコイルプレートの一方端に突出部が形成される点以外は同様の構成である。
図19(A)および(B)に示すように、コイルサブアッシー250は、樹脂インシュレータ256と、コイルプレート積層体258,260とから構成される。コイルプレート積層体258,260は、上述したとおり、径方向にコイルプレートが複数枚積層されて、構成されるものである。また、コイルプレート積層体258,260を構成するコイルプレート間には、絶縁フィルムが介在している。
樹脂インシュレータ256は、中空形状であって、ステータコアのスロットの内壁面に当接する形状を有する。すなわち、スロットの断面形状が略正方形であると、樹脂インシュレータ256のスロットの挿入される部分の断面形状についても略正方形となるように形成される。樹脂インシュレータ256は、樹脂の射出成形により一体で形成される。
また、樹脂インシュレータ256の、回転電機の回転軸と平行な方向(図19(B)の紙面上下方向)についての端部には、樹脂インシュレータ256の断面形状の外縁の一部あるいは全部がスロットの断面形状よりも大きくなる突出部252が形成される。突出部252の形状は特に限定されるものではなく、樹脂インシュレータ256がスロットに挿入されたときに、突出部252とステータコアとが当接することにより、挿入方向における樹脂インシュレータ256の位置が制限されればよい。図19に示す樹脂インシュレータ256には、四辺がそれぞれスロット断面形状の外縁から予め定められた距離だけ外側に突出した略正方形状の突出部252が形成される。
さらに、図19(A)および(B)に示すように、樹脂インシュレータ256にはコイルプレート積層体258,260を分離するように絶縁板254が形成される。すなわち、樹脂インシュレータ256は絶縁板254で仕切られた二室構造を有する。図20に、図19(B)の20−20断面を示す。図21に、図19(A)の21−21断面を示す。図20および図21に示すように、絶縁板254は、中空形状の樹脂インシュレータ256を貫通するように形成される。また、図21に示すように、絶縁板254の回転電機の回転軸と平行な方向の長さは樹脂インシュレータ256よりも長い。
また、コイルプレート積層体258,260を構成するコイルプレートの各々においては、図21の紙面上方側の端部にL字形状の突出部が形成される。そのため、コイルプレート積層体258,260が樹脂インシュレータ256の内側に挿入されると、L字形状の突出部が樹脂インシュレータ256に当接して、図21の紙面下方向の移動が制限される。
さらに、絶縁板254は、異なる相のコイルプレート積層体258,260を構成するコイルプレートの端部間に設けられる。そのため、コイルプレート積層体258,260は、絶縁板254により完全に分離される。また、絶縁板254は、少なくとも同一スロット内の複数相のコイルプレート積層体間の絶縁状態を維持できる厚さを有する。したがって、絶縁板254によりコイルプレート積層体258,260間が絶縁される。
より具体的には、図22に示すように、回転電機の径方向における、絶縁板254の端部262とコイルプレート積層体258の一方の端面264との間の距離は、予め定められた距離aである。また、絶縁板254の端部262とコイルプレート積層体260の一方の端面274との間の距離も、予め定められた距離aである。また、回転電機の径方向における、絶縁板254の端部266とコイルプレート積層体258の他方の端面268との間の距離は、予め定められた距離cである。また、絶縁板254の端部266とコイルプレート積層体260の他方の端面276との間の距離も、予め定められた距離cである。さらに、絶縁板254の厚さは、予め定められた厚さbである。さらに、回転電機の回転軸と平行な方向において、絶縁板254の端部270とコイルプレート積層体258の端部272との間の距離は、予め定められた距離dである。また、絶縁板254の端部270とコイルプレート積層体258の端部との間の距離も、予め定められた距離dである。上述したa〜dの値については、コイルプレート積層体258,260間(すなわち、相間)の電圧から決まる放電開始距離L3に基づいて設定される。放電開始距離L3は、L3=α(係数)×V(相間電圧)により算出される。
すなわち、絶縁板254が介在した状態において、コイルプレート積層体258,260間の沿面距離は、d(端部272と端部270との距離)+b(絶縁板254の厚さ)+d(端部272とコイルプレート積層体260の端部と距離)と、a(端面264と端部270との距離)+b(絶縁板254の厚さ)+a(端部270と端面274との距離)と、c(端面268と端部266との距離)+b(絶縁板254の厚さ)+a(端部266と端面276との距離)とのうちのいずれか最短距離である。したがって、b+2×d>L3、b+2×a>L3およびb+2×c>L3のすべてが成立するようにa〜dの値が設定される。
図23に、軸中心から視た、コイルサブアッシー250と渡り部材の積層体278,280とを含む固定子の構造を示す。図23に示すように、ステータコア284には、コイルサブアッシー250と渡り部材の積層体278,280が組付けられる。渡り部材積層体278,280は、図11−図13を用いて説明した渡り部材の積層体110,112と同様の構造を有するため、その詳細な説明は繰り返さない。また、ステータコア284についても、スロットの断面形状がコイルサブアッシー250の断面形状に合致する点以外については、ステータコア102と同様の構造を有するため、その詳細な説明は繰り返さない。
コイルサブアッシー250は、ステータコア284の各スロットに挿入される。渡り部材の積層体278,280は、コイルプレート積層体258と、ティース282を挟んで対向する位置のコイルプレート積層体260の両端部を接続するように組付けられる。これにより、ティース282は予め定められたターン数のコイルが巻回された状態となる。
コイルサブアッシー250がスロット内に挿入されると、樹脂インシュレータ256に形成された突出部252がステータコア282に当接する位置において、挿入方向おけるコイルサブアッシー250の位置が制限される。コイルサブアッシー250がスロットに挿入されても、コイルプレート積層体258,260とステータコア282との間には、樹脂インシュレータ256が介在するため、両者は絶縁状態となる。
さらに、コイルサブアッシー250において、コイルプレート積層体258,260間には、絶縁板254が介在する。また、絶縁板254が介在することにより、コイルプレート積層体258,260間の沿面距離は、放電開始距離L3よりも長い。そのため、コイルプレート積層体258,260は絶縁状態となる。
以上のようにして、本実施の形態に係る回転電機の固定子によると、樹脂インシュレータには、複数相のコイルプレート積層体を相毎に分離する絶縁板が形成される。絶縁板の厚さを、相間電圧に対して絶縁状態が維持できる距離以上の厚さにすることにより、同一スロット内に挿入されるコイルプレート積層体間を確実に絶縁することができる。また、絶縁板の厚さをコイルプレート積層体間の絶縁状態が維持できる範囲内で可能な限り薄くすることにより、占積率を高めることができる。また、コイルプレート積層体間の間隙が小さくても、間隙に樹脂を充填させる必要がない。そのため、樹脂の成形不良を抑制することができる。これにより、樹脂の成形不良による絶縁性の悪化を抑制することができる。さらに、間隙に絶縁板が介在することにより、コイルプレートおよび固定子鉄心の製造精度および組付け精度の悪化に起因した絶縁性能の悪化を抑制できる。したがって、占積率の向上とコイル相間の絶縁とを両立できる回転電機の固定子を提供することができる。
さらに、樹脂インシュレータは少なくともステータコアとコイルプレート積層体との間の絶縁状態を維持できる厚さを有する。樹脂インシュレータにより、ステータコアとコイルプレート積層体との間を確実に絶縁することができる。
また、絶縁板は、異なる相のコイルプレートの端部間に設けられる。これにより、ステータコアおよび絶縁部材から、回転軸と平行な方向に向けて突出したコイルプレート積層体の部分において、隣接するコイルプレート積層体間には絶縁板が介在することとなる。また、コイルプレート積層体間における沿面距離を、絶縁板が介在することにより、放電開始距離L3よりも長くするようにすることにより、コイルプレート積層体間を確実に絶縁することができる。
そして、スロット内のコイルプレート積層体は、絶縁部材によりティースの軸中心側の端面から、予め定められた距離以上離隔した位置に保持される。ティースの軸中心側になるほど、ステータコアからスロット内に多量の磁束が流れる。すなわち、コイルプレートが軸中心側にあるほど、渦電流損失が大きくなる。そのため、ティースの軸中心側の端面から、予め定められた距離以上離隔した位置にコイルプレート積層体を保持することにより、渦電流の発生および渦電流による損失を抑制することができる。
<第2の実施の形態>
以下、本発明の第2の実施の形態に係る回転電機の固定子について説明する。本実施の形態に係る回転電機の固定子は、上述の第1の実施の形態に係る回転電機の固定子の構成と比較して、コイルサブアッシー108に代えてコイルサブアッシー286を含む点が異なる。それ以外の構成は、上述の第1の実施の形態に係る回転電機の固定子100の構成と同じ構成である。それらについては同じ参照符号が付してある。それらの機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
以下、本発明の第2の実施の形態に係る回転電機の固定子について説明する。本実施の形態に係る回転電機の固定子は、上述の第1の実施の形態に係る回転電機の固定子の構成と比較して、コイルサブアッシー108に代えてコイルサブアッシー286を含む点が異なる。それ以外の構成は、上述の第1の実施の形態に係る回転電機の固定子100の構成と同じ構成である。それらについては同じ参照符号が付してある。それらの機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
図24に示すように、本実施の形態に係る回転電機の固定子において、コイルサブアッシー286は、樹脂キャップ288,292と、絶縁フィルム290,298と、コイルプレート積層体138,144とから構成される。樹脂キャップ288,292には、それぞれ、コイルプレート積層体138,144を分離する絶縁板294,296が設けられる。
絶縁フィルム290は、同一相のコイルプレート積層体138の、回転軸と平行な方向周りの周囲を覆うように巻回される。絶縁フィルム298は、同一相のコイルプレート積層体144の、回転軸と平行な方向周りの周囲を覆うように巻回される。絶縁フィルム290,298は、薄膜のフィルムであって、たとえば、接着層付きのPPSあるいはカプトン等の絶縁フィルムである。
樹脂キャップ288,292は、絶縁フィルム290が巻回されたコイルプレート積層体138および絶縁フィルム298が巻回されたコイルプレート積層体144を、スロット106内でステータコア102から離隔するように複数箇所で保持する保持部材である。本実施の形態においては、樹脂キャップ288,292によりコイルプレート積層体138,144は、スロット106内でステータコア102から離隔するように2箇所で保持される。樹脂キャップ288,292は、ステータコア102のスロット106の両開口端に設けられる。
樹脂キャップ288,292は、絶縁材料により予め定められた形状に形成されるものであって、ステータコア102に当接する部分には、スロット106の内壁面に当接する嵌合部が形成される。樹脂キャップ288,292に形成された嵌合部は、スロット106の断面形状に合致するように形成される。また、樹脂キャップ288,292の嵌合部の反対側の部分には、スロット106の断面形状の外縁よりも大きい突出部が形成される。したがって、樹脂キャップ288,292の嵌合部がスロット106に嵌合すると、突出部がステータコア102に当接した位置で挿入方向の位置が固定される。さらに、嵌合部により樹脂キャップ288,292の挿入方向と直交する方向の位置が固定される。また、樹脂キャップ288,292は、内側にコイルプレート積層体138,144が挿入される2つの開口部を有する中空形状である。開口部は、挿入されたコイルプレート積層体138,144が分離されるように形成され、かつ、樹脂キャップ288,292により、コイルプレート積層体138,144がスロット106内において、回転電機の回転軸に平行な方向に保持される。
すなわち、コイルプレート積層体138,144が挿入された樹脂キャップ288,292の嵌合部がステータコア102のスロット106に嵌合すると、コイルプレート積層体138,144が絶縁板294,296により分離され、さらに、コイルプレート積層体138,144は、樹脂キャップ288,292によりステータコア102と離隔するように保持される。なお、コイルプレート積層体138,144は、ステータコア102から離隔して保持されればよく、上述した樹脂キャップ288,292に代えて、接着層付きの帯状の絶縁フィルムをコイルプレート積層体138,144に巻回するようにしてもよい。すなわち、コイルプレート積層体138,144の、軸周りの周囲の面とスロット106の内壁面とが対向する位置に帯状の絶縁フィルムを巻回するようにしてもよい。このようにしても、帯状の絶縁フィルムによりコイルプレート積層体138,144を、ステータコア102から離隔して保持することができる。
以下、図24に示すコイルサブアッシー286が組み立てられる手順について図25を用いて説明する。
図25(A)に示すように、コイルプレート136がプレス加工により形成される。図3を用いて説明したように、コイルプレート136の少なくとも一方の面には、絶縁フィルム(図示せず)が貼付される。
図25(B)に示すように、予め定められた組合せの寸法を有するコイルプレートが予め定められた順序で、複数枚積層されて、コイルプレート積層体144が形成される。たとえば、コイルプレート積層体144は、コイルプレートの端面の面積に基づいた順序で複数枚積層されて形成される。
図25(C)に示すように、形成されたコイルプレート積層体144の、回転軸と平行な方向周りの周囲を覆うように絶縁フィルム298が巻回される。また、同様に、コイルプレート積層体138の周囲にも絶縁フィルム290が巻回される。絶縁フィルム290,298には接着層が形成されている。コイルプレート積層体138,144に絶縁フィルム290,298が巻回されると、接着剤がコイルプレート積層体138,144と絶縁フィルム290,298との間に充填される。そのため、コイルプレート積層体138,144と絶縁フィルム290,298との間に空隙が生じない。
樹脂キャップ288,292をステータコア102に組付けた後、コイルプレート積層体138,144をそれぞれ樹脂キャップ288,292の開口部に挿入すると、図25(D)に示すように、コイルサブアッシー286が組み立てられる。
図26に、軸中心から視た、コイルサブアッシー286と渡り部材の110,112とを含む固定子の構造を示す。図26に示すように、ステータコア102には、コイルサブアッシー286と渡り部材の積層体110,112が組付けられる。
コイルサブアッシー286は、ステータコア102の各スロット106に挿入される。渡り部材の積層体110,112は、コイルプレート積層体138と、ティース104を挟んで対向する位置のコイルプレート積層体144の両端部を接続するように組付けられる。これにより、ティース104には予め定められたターン数のコイルが巻回された状態となる。ここで、回転軸と平行な方向における絶縁フィルム290,298の長さHは、ステータコア102の回転軸と平行な方向の長さよりも長く、かつ、回転軸と平行な方向における、樹脂キャップ288,292の、コイルプレート積層体138,144を保持する部分の端面間の最大長さLよりも長い。すなわち、絶縁フィルム290,298の長さHは、絶縁板294を除く樹脂キャップ288,292の端面322から端面324までの長さLよりも長い。
スロット106内のコイルサブアッシー286は、樹脂キャップ288,292のステータコア102に当接する部分に設けられた嵌合部により、ステータコア102に離隔するように保持される。
また、図27に、図24の27−27断面を示す。図27に示すように、コイルプレート積層体138に巻回された絶縁フィルム290の巻き始め位置304は、コイルプレート積層体144と対向する面上の位置である。また、同様に、コイルプレート積層体144に巻回された絶縁フィルム298の巻き始め位置306は、コイルプレート138と対向する面上の位置である。このようにすると、巻き始め位置304,306における絶縁フィルム290,298の始端と終端とに間隙を有していても、コイルプレート積層体138,144の間隙から露出した部分がステータコア102に対向する位置となることを防止することができる。
また、巻き始め位置304,306は、互いに予め定められた距離mだけ離れた位置に形成される。さらに、巻き始め位置304,306のうちバックヨーク側の巻き始め位置306は、バックヨークから予め定められた距離nだけ離れた位置に形成される。
予め定められた距離mは、巻き始め位置304,306におけるフィルム290,298の始端と終端とに間隙を有していても、コイルプレート積層体138,144の間隙から露出した部分間において、放電開始距離以上の絶縁状態が維持できる距離である。
予め定められた距離nは、巻き始め位置306におけるィルム298の始端と終端とに間隙を有していても、コイルプレート積層体144の間隙から露出した部分とバックヨークとの間において、放電開始距離以上の絶縁状態が維持できる距離である。
上述したように形成された固定子100が樹脂によりモールド成形されると、図28に示すように、コイルプレート積層体138とステータコア102との間には、絶縁フィルム290と充填された樹脂182が介在する。同様に、コイルプレート積層体144とステータコア102との間には、絶縁フィルム298と充填された樹脂182が介在する。
図29に、図28の破線枠の拡大図を示す。図29に示すように、コイルプレート積層体138とステータコア102との間の距離はT2であり、絶縁フィルム290の厚さはT1である。絶縁フィルムの厚さT1は、コイルプレート積層体138とステータコア102との間の距離T2と予め定められた比とに基づいて算出される。予め定められた比は、特に限定されるものではないが、たとえば、絶縁フィルム290および樹脂182のそれぞれの熱伝導率に基づいて設定される値であって、回転電機の冷却性能および絶縁性能とが両立するように、実験および解析等により適合される。
たとえば、樹脂の熱伝導率をλmとした場合、(T2−T1)/λm=K(定数)を満足するようにT1およびT2を変更するようにしてもよい。たとえば、樹脂の熱伝導率λmが2倍になると、樹脂の厚み(T2−T1)を2倍になるまで大きくしても同等の放熱性が得られる。
以上のようにして、本実施の形態に係る回転電機の固定子によると、樹脂キャップは、絶縁フィルムが巻回されたコイルプレート積層体を、ステータコアから離隔するように複数箇所で保持する。一般に熱伝導率の高い絶縁材料は、複雑な形状に成形される場合においては成形不良が発生し易くなる。これは、熱伝導率を上げるためにフィラーを混入しているため、粘度が高いことに起因する。成形不良が発生するとピンホールが形成されるなどして、絶縁性能が悪化する場合がある。
そこで、コイルプレート積層体の、回転軸と平行な方向周りの周囲を覆うように絶縁フィルムを巻回することにより、コイルプレート積層体とステータコアとの間を確実に絶縁することができる。さらに、樹脂キャップによりコイルプレート積層体を保持している箇所以外の間隙に熱伝導率の高い樹脂を充填するようにすると、スロット内におけるコイルプレートの熱を、熱伝導率の高い絶縁材料を介して速やかにステータコアに伝熱させることができる。これにより、固定子の冷却性能を向上させることができる。
そこで、コイルプレート積層体の、回転軸と平行な方向周りの周囲を覆うように絶縁フィルムを巻回することにより、コイルプレート積層体とステータコアとの間を確実に絶縁することができる。さらに、樹脂キャップによりコイルプレート積層体を保持している箇所以外の間隙に熱伝導率の高い樹脂を充填するようにすると、スロット内におけるコイルプレートの熱を、熱伝導率の高い絶縁材料を介して速やかにステータコアに伝熱させることができる。これにより、固定子の冷却性能を向上させることができる。
さらに、巻き始め位置において絶縁フィルムの始端と終端との間に隙間が生じ、コイルプレート積層体の一部が露出していても、コイルプレート積層体間において絶縁状態を維持できる距離を確保することができる。そのため、コイルプレートの積層体間(相間)を確実に絶縁することができる。
さらに、回転軸と平行な方向における絶縁フィルムの長さHは、ステータコアの回転軸と平行な方向の長さよりも長く、かつ、回転軸と平行な方向についての樹脂キャップの保持部分の端面間の最大長さLよりも長い。そのため、コイルプレート積層体と樹脂キャップおよびステータコアとの間には、絶縁フィルムが介在することとなる。一般に、熱伝導率の高い絶縁材料は、複雑な形状に成形される場合において成形不良が発生し易くなる。そこで、コイルプレート積層体と樹脂キャップおよびステータコアとの間に絶縁フィルムを介在させることにより、コイルプレート積層体と樹脂キャップおよびステータコアとの間の間隙に熱伝導率の高い絶縁材料が充填されたときに、樹脂あるいは樹脂キャップにボイド等の成形不良が発生しても、絶縁性の悪化を抑制することができる。
さらに、コイルプレートとステータコアとの間は、熱伝導率の高い樹脂が充填される。これにより、回転電機の作動中にコイルプレートの電気的な抵抗に起因して発生する熱を樹脂を介してステータコアに速やかに放熱することができる。そのため、固定子の冷却性能を向上させることができる。
さらに、絶縁フィルムの厚さは、充填される絶縁材料および絶縁フィルムのそれぞれの熱伝達率に基づいて設定される予め定められた比とコイルプレートおよびステータコアの間の距離とに基づく厚さである。絶縁フィルムは比較的熱伝導率が低い傾向にあるため、厚みが大きいと、冷却性能が低下する可能性がある。その一方で、厚みが小さいと、コイルプレートとステータコアとの間に充填される樹脂の成形不良に起因した絶縁性能が悪化の影響を受ける可能性がある。予め定められた比とコイルプレートおよびステータコアの間の距離とに基づいて絶縁フィルムの厚さを設定することにより、冷却性能と絶縁性能とを両立させることができる。
<第3の実施の形態>
以下、本発明の第3の実施の形態に係る回転電機の固定子について説明する。本実施の形態に係る回転電機の固定子は、上述の第2の実施の形態に係る回転電機の固定子の構成と比較して、コイルサブアッシー286に代えてコイルサブアッシー308を含む点が異なる。それ以外の構成は、上述の第2の実施の形態に係る回転電機の固定子100の構成と同じ構成である。それらについては同じ参照符号が付してある。それらの機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
以下、本発明の第3の実施の形態に係る回転電機の固定子について説明する。本実施の形態に係る回転電機の固定子は、上述の第2の実施の形態に係る回転電機の固定子の構成と比較して、コイルサブアッシー286に代えてコイルサブアッシー308を含む点が異なる。それ以外の構成は、上述の第2の実施の形態に係る回転電機の固定子100の構成と同じ構成である。それらについては同じ参照符号が付してある。それらの機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
図30に示すように、本実施の形態においてコイルサブアッシー308は、第2の実施の形態において説明したような、絶縁フィルム290,298がそれぞれのコイルプレート積層体138,144に巻回されるものではなく、相間絶縁フィルム310が同一スロット内に挿入される複数相のコイルプレート積層体138,144が互いに対向する面のうちの少なくとも一方に貼付されるものである。本実施の形態においてコイルプレート積層体144側に相間絶縁フィルム310が貼付されるものとして説明するが、コイルプレート積層体138側に貼付されてもよいし、コイルプレート積層体138,144の両方に貼付されるようにしてもよい。
また、本実施の形態においてステータコア102のスロット106の内壁面全体に対地絶縁フィルム312が貼付される。対地絶縁フィルム312は、たとえば、数十μmの厚さである。さらに、対地絶縁フィルム312は、ステータコア102の回転軸方向の端面と樹脂キャップ288,292とが当接する部分に介在するように貼付される。ステータコア102の端面と樹脂キャップ288,292とが当接する部分にも対地絶縁フィルム312を貼付することにより、コイルプレート積層体138,144とステータコア102との間における沿面距離が放電開始距離よりも長くなり、絶縁状態が維持される。
このようにして、コイルプレート積層体138,144とステータコア102と間に対地絶縁フィルム312が介在するように固定子100が組み立てられる。そのため、コイルプレート積層体138,144とステータコア102との間の間隙に樹脂182が充填されると、図31に示すように、コイルプレート積層体138とステータコア102との間およびコイルプレート積層体144とステータコア102との間に対地絶縁フィルム312および樹脂182が介在する。また、コイルプレート積層体138,144間には、相間絶縁フィルム310および樹脂182が介在する。これにより、コイルプレート積層体138,144とステータコア102とが確実に絶縁される。
なお、樹脂182が充填されたときに、コイルプレート積層体138,144間の間隙に樹脂が完全に充填される場合であって、放電開始距離以上の絶縁状態が維持できる間隙を有する場合においては、相間絶縁フィルム310を貼付しなくてもよい。
以上のようにして、本実施の形態に係る回転電機の固定子によると、スロットの内壁面を対地絶縁フィルムで覆うことにより、ステータコアとコイルプレート積層体とを確実に絶縁できる。さらに、複数相のコイルプレート積層体が対向する面のうちの少なくとも一方に、相間絶縁フィルムを貼付することにより、コイルプレート積層体間を確実に絶縁することができる。また、占積率を高めるために、相間あるいはコイルプレート積層体とステータコアとの間隙が小さくなり、樹脂の充填が困難であっても、対地絶縁フィルムおよび相間絶縁フィルムにより、絶縁性の悪化を抑制することができる。したがって、占積率の向上と絶縁の確保とを両立できる。
<第4の実施の形態>
以下、本発明の第4の実施の形態に係る回転電機の固定子について説明する。本実施の形態に係る回転電機の固定子は、上述の第1の実施の形態に係る回転電機の固定子の構成と比較して、コイルサブアッシー108に代えてコイルサブアッシー314を含む点が異なる。それ以外の構成は、上述の第1の実施の形態に係る回転電機の固定子100の構成と同じ構成である。それらについては同じ参照符号が付してある。それらの機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
以下、本発明の第4の実施の形態に係る回転電機の固定子について説明する。本実施の形態に係る回転電機の固定子は、上述の第1の実施の形態に係る回転電機の固定子の構成と比較して、コイルサブアッシー108に代えてコイルサブアッシー314を含む点が異なる。それ以外の構成は、上述の第1の実施の形態に係る回転電機の固定子100の構成と同じ構成である。それらについては同じ参照符号が付してある。それらの機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
本実施の形態においては、コイルサブアッシー314は、コイルプレート積層体138,144と、図32に示す樹脂インシュレータ316とから構成される。図32に示すように、樹脂インシュレータ316は、開口部318が形成される点以外については、上述した第1の実施の形態において説明した樹脂インシュレータ140と同形状の構造を有する。
本実施の形態においては、樹脂インシュレータ316とスロット106の内壁面と当接する部分に開口部が形成される点に特徴を有する。開口部318は、樹脂インシュレータ316の1箇所に設けられるようにしてもよいし、複数箇所に設けられるようにしてもよい。本実施の形態においては、樹脂インシュレータ316の、ティース104側の内壁面に当接する面において、回転軸と平行な方向に3つの開口部が形成されるものとする。開口部318は、コイルプレート138,144が挿入される空間と樹脂インシュレータ316の外部の空間とを貫通するように形成される。
図33に、軸中心から視た、コイルサブアッシー314と渡り部材の積層体110,112とを含む固定子100の構造を示す。図33に示すように、ステータコア102には、コイルサブアッシー314と渡り部材の積層体110,112が組付けられる。
コイルサブアッシー314は、ステータコア102の各スロット106に挿入される。渡り部材の積層体110,112は、コイルプレート積層体138と、ティース104を挟んで対向する位置のコイルプレート積層体144の両端部を接続するように組付けられる。これにより、ティース104には予め定められたターン数のコイルが巻回された状態となる。
スロット106内の樹脂インシュレータ316に挿入されたコイルプレート積層体138,144のそれぞれにおいて、開口部318が形成される樹脂インシュレータ316の内壁面に当接する側の面には、絶縁フィルム320が貼付される。
以上のように構成されるコイルサブアッシー314が組付けられた固定子100において、上述の第1の実施の形態において説明した樹脂インシュレータ140と比較して、コイルプレート積層体138,144の、樹脂インシュレータ316により覆われる部分の面積は小さい。一方、充填された樹脂がコイルプレート積層体138,144に接触する部分の面積は増加する。充填された樹脂は、樹脂インシュレータの絶縁材料よりも熱伝導率が高い。そのため、コイルプレート積層体138,144の樹脂に接触する部分が増加することにより、コイルプレートにおいて発生する熱が樹脂を介して速やかにステータコア102に伝熱されるため、固定子100の冷却性能が向上する。
以上のようにして、本実施の形態に係る回転電機の固定子によると、樹脂インシュレータは、ステータコアに接する面に開口部が形成される。そのため、熱伝導率の高い絶縁材料を充填するなどされると、スロット内におけるコイルプレートの熱を、熱伝導率の高い絶縁材料を介してステータコアに伝熱させることができる。これにより、固定子の冷却性能を向上させることができる。
また、一般に熱伝導性の高い絶縁材料は、複雑な形状に成形される場合においては、成形不良が発生し易くなる。成形不良が発生するとピンホールが形成されるなどして、絶縁性能が悪化する場合がある。そのため、開口部において、ステータコアとコイルプレート積層体との間に絶縁フィルムが介在するように貼付されることにより、充填された樹脂の成形不良に起因した絶縁性能の悪化を抑制することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
100 固定子、102 ステータコア、104,168 ティース、106 スロット、108,250,286,308,314 コイルサブアッシー、110,112,278,280 渡り部材の積層体、114 バスバー、116,118,120,122,124,126 端子部材、128,130,132,146,150,152,154,156,252 突出部、134 接合面、136 コイルプレート、138,144,258,260 コイルプレート積層体、140,256,316 樹脂インシュレータ、142,254,294,296 絶縁板、158 保持部材、160,162 渡り部材、164,166,170,172,174,176,178,180,262,266,270,272 端部、182 樹脂、264,268,274,276,322,324 端面、288,292 樹脂キャップ、290,298,320 絶縁フィルム、304,306 巻き始め位置、310 相間絶縁フィルム、312 対地絶縁フィルム、318 開口部。
Claims (15)
- 回転子と固定子とからなる回転電機の固定子であって、
前記回転電機の回転軸に平行な方向に複数のスロットを有する固定子鉄心と、
複数枚のコイルプレートが、前記固定子鉄心のバックヨーク側から軸中心側への方向に、積層するように前記スロットに挿入されるコイルプレート積層体と、
同一スロット内に挿入される、複数相のコイルプレート積層体を一体的に保持する絶縁部材とを含み、
前記絶縁部材は、前記複数相のコイルプレート積層体を相毎に分離する絶縁板を含む、回転電機の固定子。 - 前記絶縁部材は、少なくとも前記固定子鉄心と前記コイルプレート積層体との間の絶縁状態を維持できる厚さを有する、請求項1に記載の回転電機の固定子。
- 前記絶縁板は、少なくとも前記同一スロット内の複数相のコイルプレート積層体間の絶縁状態を維持できる厚さを有する、請求項1または2に記載の回転電機の固定子。
- 前記絶縁状態を維持できる厚さは、相間電圧に対応した前記コイルプレート積層体間の放電開始距離よりも大きい、請求項3に記載の回転電機の固定子。
- 前記絶縁板は、異なる相のコイルプレートの端部間に設けられる、請求項1〜4のいずれかに記載の回転電機の固定子。
- 前記固定子鉄心には、前記スロット間に、前記回転電機の軸中心に向けて突出するティースが形成され、
前記スロット内のコイルプレート積層体は、前記絶縁部材により前記ティースの軸中心側の端面から、予め定められた距離以上離隔した位置に保持される、請求項1〜5のいずれかに記載の回転電機の固定子。 - 前記絶縁部材は、
同一相のコイルプレート積層体の、前記回転軸と平行な方向周りの周囲の面に貼付される絶縁フィルムと、
前記スロットの内壁面に当接し、前記回転軸と平行な方向に貫通する中空の形状であって、内側に前記コイルプレート積層体が挿入されることにより、前記コイルプレート積層体を、前記固定子鉄心から離隔するように保持する保持部材とをさらに含み、
前記保持部材は、前記固定子鉄心と接する面に開口部を有する予め定められた形状に形成され、
前記絶縁フィルムは、前記開口部において、前記コイルプレート積層体と前記固定子鉄心との間に介在するように貼付される、請求項1〜6のいずれかに記載の回転電機の固定子。 - 前記絶縁部材は、
前記スロットの内壁面を覆うように貼付される対地絶縁フィルムと、
前記同一スロット内に挿入される複数相のコイルプレート積層体が互いに対向する面のうちの少なくとも一方に貼付される絶縁フィルムと、
前記コイルプレート積層体を、前記固定子鉄心から離隔するように複数箇所で保持する保持部材とさらにを含む、請求項1〜6のいずれかに記載の回転電機の固定子。 - 前記絶縁部材は、
同一相のコイルプレート積層体の、前記回転軸と平行な方向周りの周囲を覆うように巻回される絶縁フィルムと、
前記絶縁フィルムが巻回されたコイルプレート積層体を、前記固定子鉄心から離隔するように複数箇所で保持する保持部材とさらにを含む、請求項1〜6のいずれかに記載の回転電機の固定子。 - 前記絶縁フィルムは、前記同一スロット内で隣接するコイルプレート積層体の互いに対向する面上の位置を巻き始めの位置として前記コイルプレート積層体の周囲に巻回され、
前記互いに対向するコイルプレート積層体の巻き始め位置は、予め定められた距離以上離隔される、請求項9に記載の回転電機の固定子。 - 前記予め定められた距離は、同一スロット内で隣接するコイルプレート積層体間の絶縁状態を維持できる距離である、請求項10に記載の回転電機の固定子。
- 前記回転軸と平行な方向における前記絶縁フィルムの長さは、前記固定子鉄心の前記回転軸と平行な方向の長さよりも長く、かつ、前記回転軸と平行な方向についての前記保持部材の端面間の最大長さよりも長い、請求項7〜11のいずれかに記載の回転電機の固定子。
- 前記コイルプレートと前記固定子鉄心との間には、樹脂が充填される、請求項1〜12のいずれかに記載の回転電機の固定子。
- 前記絶縁フィルムの厚さは、予め定められた比と前記コイルプレートおよび前記固定子鉄心の間における樹脂の厚さとに基づいて設定される、請求項13に記載の回転電機の固定子。
- 前記予め定められた比は、前記樹脂および前記絶縁フィルムのそれぞれの熱伝達率に基づいて設定される、請求項14に記載の回転電機の固定子。
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