以下、本実施形態について、図を用いて説明する。撮像装置1は、一眼レフなどレンズ交換可能でフォーカルプレーンシャッタ付きのデジタルカメラであるとして説明する。なお、方向を説明するために、撮像装置1において光軸LXと直交する水平方向を第1方向x、光軸LXと直交する鉛直方向を第2方向y、光軸LXと平行な水平方向を第3方向zとして説明する。
撮像装置1の撮像に関する部分は、主電源のオンオフ切り替えを行うPonボタン11、レリーズボタン13、像ブレ補正ボタン14、光学ファインダ15、LCDモニタ17、ファインダ表示部18、CPU21、撮像ブロック22、AE部23、AF部24、像ブレ補正部30の撮像部39a、及び撮影レンズ67から構成される(図1〜3参照)。Ponボタン11の押下に対応してPonスイッチ11aのオンオフ状態が切り替えられ、これにより撮像装置1の主電源のオンオフ状態が切り替えられる。被写体像は、撮像部39aを駆動する撮像ブロック22によって撮影レンズ67を介した光学像として撮像され、LCDモニタ17によって撮像された画像が表示される。また被写体像は光学ファインダ15によって光学的に観察することも可能である。
レリーズボタン13は、半押しすることにより測光スイッチ12aがオン状態にされ測光や測距及び合焦動作が行われ、全押しすることによりレリーズスイッチ13aがオン状態にされ撮像が行われ、撮影像がメモリされる。
ファインダ表示部18は、CPU21のポートP6と接続され、光学ファインダ15内に表示される。ファインダ表示部18は、被写体像表示領域18a、像ブレ補正動作表示領域18b、カメラ動作状態表示領域18cを有する(図4参照)。被写体表示領域18aは、被写体像が投影される領域で、像ブレ補正動作表示領域18bは、“手”を表すマークが表示されて、像ブレ補正動作が行われているか否かを表示する領域で、カメラ動作状態表示領域18cは、撮像装置1の動作状態(シャッタースピード、絞りなど)を表示する領域である。像ブレ補正動作表示領域18bに表示される“手”のマーク(像ブレ補正動作表示マーク)は、像ブレ補正パラメータISが1に設定されて像ブレ補正動作が行われる場合に表示され、像ブレ補正パラメータISが0に設定されて像ブレ補正動作が行われない場合には非表示にされる。
なお、像ブレ補正動作表示マークは、光学ファインダ15内のファインダ表示部18でなく、LCDモニタ17に表示してもよいし、音声などで案内してもよい。
CPU21は、撮像に関する各部の制御、後述する像ブレ補正に関する各部の制御を行う制御手段である。また、CPU21は、後述する補正モードか否かを判断する像ブレ補正パラメータISの値をメモリする。
また、CPU21は、Ponスイッチ11aがオン状態にされて(撮像装置1の主電源がオン状態にされて)からの第1経過時間カウンタton、及び測光スイッチ12aがオン状態にされてからの第2経過時間カウンタtclを計測し、第1経過時間カウンタtonが第1時間T1を超え、第2経過時間カウンタtclが第2時間T2を超えるまでの間は、すなわち第1経過時間カウンタtonが第1時間T1を超えていない場合か第2経過時間カウンタtclが第2時間T2を超えていない場合の少なくとも一方の場合は、像ブレ補正スイッチ14aがオン状態であっても、レリーズスイッチ13aがオン状態にされた時に像ブレ補正動作を行わない(像ブレ補正パラメータIS=0)で撮像動作が行われる。
CPU21は、第1経過時間カウンタton、第2経過時間カウンタtclの値をメモリする。
CPU21は、レリーズスイッチ13aがオン状態にされたか否かを判断し、オン状態にされている場合にはレリーズSWパラメータrpの値を1に設定し、されていない場合にはレリーズSWパラメータrpの値を0に設定する。CPU21は、レリーズSWパラメータrpの値をメモリする。
撮像ブロック22は、撮像部39aを駆動する。AE部23は、被写体の測光動作を実行して露光値を演算し、この露光値に基づき撮影に必要となる絞り値及び露光時間を演算する。AF部24は、測距を行い、この測距結果に基づき撮影レンズ67を光軸方向に変位させ焦点調節を行う。
撮像装置1の像ブレ補正装置すなわち像ブレ補正に関する部分は、像ブレ補正ボタン14、ファインダ表示部18、CPU21、角速度検出部25、駆動用ドライバ回路29、像ブレ補正部30、磁界変化検出素子の信号処理回路としてのホール素子信号処理回路45、及び撮影レンズ67から構成される。
像ブレ補正ボタン14は、押下することにより像ブレ補正スイッチ14aがオン状態にされ、測光など他の動作と独立して、一定時間ごとに、角速度検出部25、及び像ブレ補正部30が駆動されて像ブレ補正動作が行われる。像ブレ補正スイッチ14aがオン状態にされた補正モードの場合に像ブレ補正パラメータISが1に設定され、像ブレ補正スイッチ14aがオフ状態にされた補正モードでない場合に像ブレ補正パラメータISが0に設定する。本実施形態ではこの一定時間を1msであるとして説明する。
但し、第1経過時間カウンタtonが第1時間T1を超え、第2経過時間カウンタtclが第2時間T2を超えるまでの間は、像ブレ補正スイッチ14aがオン状態であっても像ブレ補正パラメータISは0に設定される。
これらのスイッチの入力信号に対応する各種の出力はCPU21によって制御される。測光スイッチ12a、レリーズスイッチ13a、像ブレ補正スイッチ14aのオン/オフ情報は、それぞれ1ビットのデジタル信号としてCPU21のP12、P13、P14に入力される。撮像ブロック22、AE部23、AF部24、ファインダ表示部18は、それぞれポートP3、P4、P5、P6で信号の入出力が行われる。
次に、角速度検出部25、駆動用ドライバ回路29、像ブレ補正部30、ホール素子信号処理回路45についての詳細、及びCPU21との入出力関係について説明する。
角速度検出部25は、第1、第2角速度センサ26a、26b、第1、第2ハイパスフィルタ回路27a、27b、及び第1、第2アンプ28a、28bを有する。第1、第2角速度センサ26a、26bは、撮像装置1の一定時間(1ms)ごとの第1方向x(第2方向yに平行な軸周りのヨーイング)及び第2方向y(第1方向xに平行な軸周りのピッチング)の角速度を検出する。第1角速度センサ26aは、第1方向xの角速度(ヨーイング角速度)を、第2角速度センサ26bは第2方向yの角速度(ピッチング角速度)を検出するジャイロセンサである。第1、第2ハイパスフィルタ回路27a、27bは、第1、第2角速度センサ26a、26bからの出力のヌル電圧やパンニングである低周波成分をカットする。第1、第2アンプ28a、28bは、低周波成分がカットされた角速度に関する信号を増幅し、第1、第2角速度vx、vyとしてアナログ信号をCPU21のA/D0、A/D1に入力する。
CPU21、及び角速度検出部25の各部への電力供給は、Ponスイッチ11aがオン状態にされた(主電源がオン状態にされた)後に開始される。角速度検出部25におけるブレ量検出演算は、測光スイッチ12aがオン状態にされた後に開始される。
第1ハイパスフィルタ27aと第1アンプ28aは、抵抗R1、RS1、Rf1、コンデンサC1、及びオペアンプAmp1から構成される(図5参照)。コンデンサC1の一方の端子は、ヨーイングの角速度に関する情報が出力される第1角速度センサ26aの端子vo1と接続される。コンデンサC1の他方の端子は、抵抗R1の一方の端子、及びオペアンプAmp1の非反転入力端子と接続される。抵抗R1の他方の端子は、ブレ量検出の為の基準電圧Vrefが出力される第1角速度センサ26aの端子Vref、及び抵抗RS1の一方の端子と接続される。抵抗RS1の他方の端子は、オペアンプAmp1の反転入力端子、及び抵抗Rf1の一方の端子と接続される。オペアンプAmp1の出力端子は、抵抗Rf1の他方の端子、及びCPU21のA/D0と接続され、第1角速度vxを出力する。
第2ハイパスフィルタ27bと第2アンプ28bは、抵抗R2、RS2、Rf2、コンデンサC2、及びオペアンプAmp2から構成される。コンデンサC2の一方の端子は、ピッチングの角速度に関する情報が出力される第2角速度センサ26bの端子vo2と接続される。コンデンサC2の他方の端子は、抵抗R2の一方の端子、及びオペアンプAmp2の非反転入力端子と接続される。抵抗R2の他方の端子は、ブレ量検出の為の基準電圧Vrefが出力される第2角速度センサ26bの端子Vref、及び抵抗RS2の一方の端子と接続される。抵抗RS2の他方の端子は、オペアンプAmp2の反転入力端子、及び抵抗Rf2の一方の端子と接続される。オペアンプAmp2の出力端子は、抵抗Rf2の他方の端子、及びCPU21のA/D1と接続され、第2角速度vyを出力する。
CPU21は、A/D0、A/D1に入力された第1、第2角速度vx、vyをA/D変換した後、焦点距離などを考慮した変換係数によって一定時間(1ms)に生じた像ブレ量を演算する。従って、角速度検出部25とCPU21は、像ブレ量演算機能を有する。
CPU21は、演算により求められた像ブレ量に応じた撮像部39aの移動すべき位置Sを第1方向x、第2方向yごとに演算し設定する。位置Sの第1方向x成分をsx、第2方向y成分をsyとする。撮像部39aを含む可動部30aの移動は、後述する電磁力によって行われる。可動部30aをこの位置Sまで移動させるために駆動用ドライバ回路29を介して第1駆動用コイル31aを駆動する駆動力Dの第1方向x成分を第1PWMデューティdx、第2駆動用コイル32aを駆動する第2方向y成分を第2PWMデューティdyとする。
像ブレ補正部30は、レリーズスイッチ13aがオン状態にされた撮像動作時に、CPU21が演算した移動すべき位置Sに撮像部39aを移動させることによって、ブレによって生じた被写体像の結像面における光軸LXのずれを無くし、被写体像と結像面位置を一定に保ち、像ブレを補正する像ブレ補正動作を行う装置であり、撮像部39aを含みxy平面上に移動可能領域をもつ可動部30aと、固定部30bとを備える。レリーズスイッチ13aがオン状態にされた撮像動作時に、像ブレ補正動作を行わない場合は、可動部30aは、特定位置(本実施形態では移動範囲中心)に固定される。
像ブレ補正部30の可動部30aの駆動(特定位置への固定を含む)は、CPU21のPWM0から第1PWMデューティdx、PWM1から第2PWMデューティdyの出力を受けた駆動用ドライバ回路29を介して、駆動手段に含まれる駆動用コイル部、駆動用磁石部による電磁力によって行われる。可動部30aの移動前または移動後の位置Pはホール素子部44a、ホール素子信号処理回路45によって検出される。検出された位置Pの情報は、第1検出位置信号pxが第1方向x成分として、第2検出位置信号pyが第2方向y成分としてそれぞれCPU21のA/D2、A/D3に入力される。第1、第2検出位置信号px、pyはA/D2、A/D3を介してA/D変換される。第1、第2検出位置信号px、pyに対してA/D変換後の位置Pの第1方向x成分、第2方向y成分をそれぞれpdx、pdyとする。検出された位置P(pdx、pdy)のデータと移動すべき位置S(sx、sy)のデータによりPID制御が行われる。
像ブレ補正動作すなわちPID制御による像ブレ補正に対応した移動すべき位置S(sx、sy)への可動部30aの駆動は、像ブレ補正スイッチ14aがオン状態にされた補正モード(IS=1)の時に行われる。像ブレ補正パラメータISが0の時には、可動部30aは、像ブレ補正動作に対応しない特定位置へのPID制御が行われ、移動中心位置に移動せしめられる。
可動部30aは、駆動用コイル部として2つの第1、第2駆動用コイル31a、32a、撮像素子を有する撮像部39a、及び磁界変化検出素子部としてのホール素子部44aを有する。
固定部30bは、駆動用磁石部として2つの第1、第2位置検出及び駆動用磁石411b、412b、第1、第2位置検出及び駆動用ヨーク431b、432bを有する。
固定部30bは、可動部30aを第1方向x、第2方向yに移動自在に支持する。
撮像素子の撮像範囲を最大限活用して像ブレ補正を行うために、撮影レンズ67の光軸LXが撮像素子の中心近傍を通る位置関係にある時に、第1方向x、第2方向yともに可動部30aが移動範囲の中心に位置する(移動中心位置にある)ように可動部30aと固定部30bの位置関係を設定する。撮像素子の中心とは、撮像素子の撮像面を形成する矩形が有する2つの対角線の交点をいう。
可動部30aには、シート状でかつ渦巻き状のコイルパターンが形成された第1、第2駆動用コイル31a、32a、及びホール素子部44aとが取り付けられている。第1駆動用コイル31aのコイルパターンは、第1駆動用コイル31aの電流の方向と第1位置検出及び駆動用磁石411bの磁界の向きから生じる電磁力により第1駆動用コイル31aを含む可動部30aを第1方向xに移動させるべく、第2方向yと平行な線分を有する。第2駆動用コイル32aのコイルパターンは、第2駆動用コイル32aの電流の方向と第2位置検出及び駆動用磁石412bの磁界の向きから生じる電磁力により第2駆動用コイル32aを含む可動部30aを第2方向yに移動させるべく、第1方向xと平行な線分を有する。ホール素子部44aについては後述する。
第1、第2駆動用コイル31a、32aは、フレキシブル基板(不図示)を介してこれらを駆動する駆動用ドライバ回路29と接続される。駆動用ドライバ回路29は、CPU21のPWM0、PWM1から第1、第2PWMデューティdx、dyのそれぞれが入力される。駆動用ドライバ回路29は、入力された第1、第2PWMデューティdx、dyの値に応じて第1、第2駆動用コイル31a、32aに電力を供給し、可動部30aを駆動する。
第1位置検出及び駆動用磁石411bは、第1駆動用コイル31a及び水平方向ホール素子hh10と対向するように固定部30bの可動部30a側に取り付けられる。第2位置検出及び駆動用磁石412bは、第2駆動用コイル32a及び鉛直方向ホール素子hv10と対向するように固定部30bの可動部30a側に取り付けられる。
第1位置検出及び駆動用磁石411bは、第3方向zにおいて固定部30b上で且つ可動部30a側に取り付けられた第1位置検出及び駆動用ヨーク431bの上であって、第1方向xにN極とS極が並べて取り付けられる。
第2位置検出及び駆動用磁石412bは、第3方向zにおいて固定部30b上で且つ可動部30a側に取り付けられた第2位置検出及び駆動用ヨーク432bの上であって、第2方向yにN極とS極が並べて取り付けられる。
第1位置検出及び駆動用ヨーク431bは、軟磁性体材料で構成され、固定部30b上に取り付けられる。第1位置検出及び駆動用ヨーク431bは、第1位置検出及び駆動用磁石411bの磁界が周囲に漏れないようにする役目、及び第1位置検出及び駆動用磁石411bと第1駆動用コイル31a、及び第1位置検出及び駆動用磁石411bと水平方向ホール素子hh10との間の磁束密度を高める役目を果たす。
第2位置検出及び駆動用ヨーク432bは、軟磁性体材料で構成され、固定部30b上に取り付けられる。第2位置検出及び駆動用ヨーク432bは、第2位置検出及び駆動用磁石412bの磁界が周囲に漏れないようにする役目、及び第2位置検出及び駆動用磁石412bと第2駆動用コイル32a、及び第2位置検出及び駆動用磁石412bと鉛直方向ホール素子hv10との間の磁束密度を高める役目を果たす。
ホール素子部44aは、ホール効果を利用した磁電変換素子であるホール素子を2つ有し、可動部30aの第1方向x、第2方向yの現在位置P(第1検出位置信号px、第2検出位置信号py)を検出する1軸ホール素子である。2つのホール素子のうち第1方向xの位置検出用のホール素子を水平方向ホール素子hh10、第2方向yの位置検出用のホール素子を鉛直方向ホール素子hv10とする。
水平方向ホール素子hh10は、第3方向zから見て可動部30a上であって、固定部30bの第1位置検出及び駆動用磁石411bと対向する位置に取り付けられる。鉛直方向ホール素子hv10は、第3方向zから見て可動部30a上であって、固定部30bの第2位置検出及び駆動用磁石412bと対向する位置に取り付けられる。
直線的な変化量を使って精度の高い位置検出が行える範囲を最大限活用して位置検出を行うため、水平方向ホール素子hh10の第1方向xの位置は、撮像素子の中心近傍が光軸LXを通る位置関係にある時に、第1位置検出及び駆動用磁石411bのN極、S極と等距離近傍にあるのが望ましい。同様に、鉛直方向ホール素子hv10の第2方向yの位置は、撮像素子の中心近傍が光軸LXを通る位置関係にある時に、第2位置検出及び駆動用磁石412bのN極、S極と等距離近傍にあるのが望ましい。
ホール素子信号処理回路45は、水平方向ホール素子hh10の出力信号から水平方向ホール素子hh10における出力端子間の水平方向電位差x10を検出し、これから第1方向xの位置を特定する第1検出位置信号pxをCPU21のA/D2に出力する第1ホール素子信号処理回路450と、鉛直方向ホール素子hv10の出力信号から、鉛直方向ホール素子hv10における出力端子間の鉛直方向電位差y10を検出し、これから第2方向yの位置を特定する第2検出位置信号pyをCPU21のA/D3に出力する第2ホール素子信号処理回路460とを有する。
次に、撮像装置1のメイン動作について図6のフローチャートで説明する。
撮像装置1の電源がオンにされると、ステップS11で、角速度検出部25に電力が供給され、電源オン状態にされる。ステップS12で、第1カウンタton、第2カウンタtclの値が0に設定される。
ステップS13で、第1タイマの割り込み処理が開始される。第1タイマの割り込み処理の詳細については、図7のフローチャートを使って後述する。ステップS14で、第2タイマの割り込み処理が開始される。第2タイマの割り込み処理の詳細については、図8のフローチャートを使って後述する。
ステップS15で、像ブレ補正スイッチ14aがオン状態にされたか否かを判断する。像ブレ補正スイッチ14aがオン状態にされていない場合は、ステップS20に進められる。像ブレ補正スイッチ14aがオン状態にされている場合は、ステップS16で、第1経過時間カウンタtonの値が、第1時間T1を超えたか否かが判断される。第1時間T1を超えていない場合は、ステップS20に進められる。超えた場合には、ステップS17で、第2経過時間カウンタtclの値が、第2時間T2を超えたか否かが判断される。第2時間T2を超えていない場合は、ステップS20に進められる。超えた場合には、ステップS18で、像ブレ補正パラメータISの値が1に設定される。ステップS19で、ファインダ表示部18の像ブレ補正動作表示領域18bに、像ブレ補正動作が行われる場合に表示される“手”のマーク(像ブレ補正動作表示マーク)が表示(点灯)される。
ステップS20で、像ブレ補正パラメータISの値が0に設定される。ステップS21で、ファインダ表示部18の像ブレ補正動作表示領域18bに、像ブレ補正動作表示マークが非表示にされる(表示されている場合には消灯される)。
ステップS22で、測光スイッチ12aがオン状態にされているか否かが判断される。測光スイッチ12aがオン状態にされていない場合には、ステップS15に戻される(ステップS15〜21を繰り返す)。測光スイッチ12aがオン状態にされている場合は、ステップS23で、AE部23のAEセンサ駆動により測光が行われ、絞り値や露光時間が演算され、AF部24のAFセンサが駆動され測距が行われ、AF部24のレンズ制御回路駆動により合焦動作が行われる。
また、測光スイッチ12aがオン状態にされた直後の第2タイマ割り込み処理によって、ブレ量検出演算が開始される(図8のステップS71、S72参照)。
ステップS25で、レリーズスイッチ13aがオン状態にされたか否かを判断する。レリーズスイッチ13aがオン状態にされていない場合には、ステップS15に戻される(ステップS15〜24を繰り返す)。レリーズスイッチ13aがオン状態にされている場合は、ステップS26で、レリーズSWパラメータrpの値が1に設定される。
ステップS27で、CCDの電荷蓄積すなわち露光が行われる。露光時間終了後、ステップS28で、CCD入力、すなわち露光時間内の間CCDに蓄積された電荷が移動せしめられ、ステップS29で、移動された電荷が撮像ブロック22によって撮像された画像信号として撮像装置1内の映像メモリに記憶される。ステップS30で、記憶された画像信号は、LCDモニタ17によって表示される。ステップS31で、レリーズSWパラメータrpの値が0に設定され、ステップS15に戻される(ステップS15〜S31を繰り返す)。
次に、一定時間(1ms)ごとに割り込み処理として他の動作と独立して行われる第1経過時間カウンタton、第2経過時間カウンタtclのカウント動作(経過時間計測動作)処理、すなわち第1タイマ割り込み処理について、図7のフローチャートを用いて説明する。
第1タイマ割り込み処理が開始されると、ステップS51で、第1経過時間カウンタtonの値が1だけ加算される。ステップS52で、測光スイッチ12aがオン状態にされたか否かが判断される。測光スイッチ12aがオン状態にされていない場合は、ステップS53で、第2経過時間カウンタtclの値が0に設定される。測光スイッチ12aがオン状態にされている場合は、ステップS54で、第2経過時間カウンタtclの値が1だけ加算される。
次に、一定時間(1ms)ごとに割り込み処理として他の動作と独立して行われる像ブレ補正処理、すなわち第2タイマ割り込み処理について、図8のフローチャートを用いて説明する。
第2タイマ割り込み処理(像ブレ補正処理の割り込み動作)が始まると、ステップS71で、測光スイッチ12aがオン状態にされているか否かが判断される。オン状態にされていない場合は、ステップS80で、第1、第2駆動用コイル31a、32aの駆動がオフ状態にされる。すなわち、この時可動部30aは駆動されない。オン状態にされている場合は、ステップS72で、角速度検出部25から出力された第1、第2角速度vx、vyが、CPU21のA/D0、A/D1を介しA/D変換され入力される。
ステップS73で、レリーズSWパラメータrpの値が1に設定されているか否か、すなわちレリーズスイッチ13aがオン状態にされたか否かが判断される。1に設定されていない場合は、ステップS80で、第1、第2駆動用コイル31a、32aの駆動がオフ状態にされる。すなわち、この時可動部30aは駆動されない。レリーズSWパラメータrpの値が1に設定されている場合は、ステップS74で、ホール素子部44aで位置検出され、ホール素子信号処理回路45で演算された第1、第2検出位置信号px、pyがCPU21のA/D2、A/D3を介しA/D変換され入力され、現在位置P(pdx、pdy)が求められる。
ステップS75で、像ブレ補正パラメータISの値が0か否かが判断される。IS=0すなわち補正モードでない場合は、可動部30aの移動すべき位置S(sx、xy)が可動部30aの移動中心位置と同じに設定される。IS=1すなわち補正モードの場合は、ステップS76で、ステップS72で求めた第1、第2角速度vx、vyから可動部30aの移動すべき位置S(sx、sy)が演算され設定される。
ステップS78で、ステップS76又は77で設定した位置S(sx、sy)と現在位置P(pdx、pdy)より可動部30aの移動に必要な駆動力Dすなわち第1、第2駆動用コイル31a、32aを駆動するのに必要な第1、第2PWMデューティdx、dyが演算される。ステップS78で第1、第2PWMデューティdx、dyにより駆動用ドライバ回路29を介し第1、第2駆動用コイル31a、32aが駆動され可動部30aが移動せしめられ、1msの第2タイマ割り込み処理が終了される。ステップS78、S79の動作は、一般的な比例、積分、微分演算を行うPID自動制御で用いられる自動制御演算である。
角速度検出部25に電力が供給され、電源オン状態にされると、第1、第2ハイパスフィルタ回路27a、27bの充電が開始される。図5中のB点における電位は、充電開始前はGNDで、充電完了後に基準電圧Vrefで一定する。しかし、充電期間中は、GNDから基準電圧Vrefに変化する(一定しない)。このB点の電位が一定しない状態においては正確な角速度検出が行えない。充電期間の長さは、抵抗R1(R2)、コンデンサC1(C2)のCR時定数により求められ、約2秒間である(図9参照)。
本実施形態では、この充電期間を第1時間T1に設定し、主電源がオン状態にされた時から第1時間T1が経過するまでを第1経過時間カウンタtonを用いて計測し、第1時間T1を経過するまでは像ブレ補正スイッチ14aがオン状態であっても像ブレ補正動作を行わない。但し、主電源がオン状態にされてからすぐにレリーズスイッチ13aをオン状態にして撮像動作を行いたいシーンが考えられるため、この間は、像ブレ補正動作を行わない状態で撮像動作が行われる。
また、第1、第2角速度センサ26a、26b、及び第1、第2ハイパスフィルタ回路27a、27bにおけるブレ量検出演算動作が開始されると、開始直後から第2時間T2の間は、ドリフトによりブレ量を正確に検出することが出来ない(図10参照)。図10は、第1角速度センサ26aで、正弦波だけで構成されるブレを検出した場合、第1ハイパスフィルタ回路27aにおける理想的なハイパスフィルタ出力は、第1角速度センサ26aで検出した正弦波と同じ正弦波である(図10の破線参照)。しかし、ドリフトしている期間(第2時間T2)は、ハイパスフィルタ回路における基準値のずれ(図10の点線参照)により、理想的なハイパスフィルタ出力からずれた波形を示す(図10の太実線参照)。このため、この間(基準値のずれが収束するまで)は、正確なブレ量を検出することが出来ない。
しかし、ドリフトが生じている期間(第2時間T2)は、実際のハイパスフィルタ回路におけるハイパスフィルタ処理の基準値(図10の点線参照)と、理想的なハイパスフィルタ処理の基準値(図10の細実線:基準線参照)との間にずれが生じる。実際のハイパスフィルタ処理の基準値は、第2時間T2が経過するまでは徐々に少なくなる変数であり、それ以降は一定である。理想的なハイパスフィルタ処理の基準値は、一定である。そのため、実際のハイパスフィルタ出力の波形(図10の太実線参照)と、理想的なハイパスフィルタ出力の波形(図10の破線参照)との間にずれが生じる。この間(基準値のずれが収束するまで)は、正確なブレ量を検出することが出来ない。
第2期間T2の長さは、ブレ量演算内で行うハイパスフィルタ時定数により求められ、約0.5秒間である。
本実施形態では、ブレ量検出演算処理(第1、第2角速度センサ26a、26b、第1、第2ハイパスフィルタ回路27a、27b、及び第1、第2アンプ28a、28bの動作)が開始される測光スイッチ12aがオン状態にされた時から第2時間T2が経過するまでを第2経過時間カウンタtclを用いて計測し、第2時間T2を経過するまでは像ブレ補正スイッチ14aがオン状態であっても像ブレ補正動作を行わない。但し、測光スイッチ12aがオン状態にされてからすぐにレリーズスイッチ13aをオン状態にして撮像動作を行いたいシーンが考えられるため、この間は、像ブレ補正動作を行わない状態で撮像動作が行われる。
第1経過時間ton、及び第2経過時間tclの計測などにより、正確にブレ量を検出することが出来ない期間については、像ブレ補正スイッチ14aのオンオフ状態のいずれかに関わらず、像ブレ補正動作を行わないで撮像動作が出来るように設定される。これにより、正確でない像ブレ補正動作を撮像結果に影響させないことが出来る上、主電源をオン状態にした直後など急な撮影が要求されるシーンにおいて、急なシャッターチャンスに対してタイミング良く撮像動作を行うことが可能になる。
像ブレ補正動作が行われるか否かについては、ファインダ表示部18の像ブレ補正動作表示領域18bに、像ブレ補正動作表示マークが表示されるか非表示にされるを判断することにより分かる。そのため、使用者の選択操作である像ブレ補正スイッチ14aのオンオフ制御に反して、像ブレ補正動作を行わなかったことを使用者はファインダ表示部18を観察することにより容易に理解できる。
また、撮像素子を含む撮像部39aが可動部30aに配置されて移動する形態を説明したが、撮像部39aは固定で、像ブレ補正レンズを可動部30aに配置して移動させる形態でも同様の効果が得られる。
また、磁界変化検出素子としてホール素子を利用したホール素子部44aによる位置検出を説明したが、磁界変化検出素子として別の検出素子を利用してもよい。具体的には、磁界の変化を検出することにより可動部の位置検出情報を求めることが可能なMIセンサ(高周波キャリア型磁界センサ)、または磁気共鳴型磁界検出素子、MR素子(磁気抵抗効果素子)であり、ホール素子を利用した本実施形態と同様の効果が得られる。
また、本実施形態では、主電源がオン状態にされたあと、像ブレ補正動作のオンオフ状態が第1経過時間カウンタtonの値などによって切り替えられるため、スルー画像表示(ライブビュー)が可能な撮像装置では、像ブレ補正動作のオンオフ状態の切り替えによって、スルー画像を観察する使用者にとって不快感を与えるおそれがある。そのため、本実施形態における撮像装置1は、フォーカルプレーンシャッタなどのシャッタ機構を備えるのが望ましい。この場合、レリーズスイッチ13aがオン状態にされてシャッタ機構が開いた状態の時のみ撮像素子への露光が行われるため表示部17にはスルー画像は表示されない。