JP2007334162A - 光走査装置、画像表示装置及び網膜走査型画像表示装置 - Google Patents

光走査装置、画像表示装置及び網膜走査型画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、温度変化などの外的要因により、光ビームの出射タイミングが遅れたり早すぎたりすることのなく、光走査が実現される光走査装置を提供する。
【解決手段】画像信号に応じて光ビームを生成する画像変調器200と、少なくとも一部にミラーを備え、画像変調器200から出射される光ビームをミラーの揺動により走査する共振型光スキャナ71と、光スキャナ71の揺動状態を検出し、画像変調器における光ビームの走査開始タイミングの基準となる基準信号を生成するタイミング生成器300と、タイミング生成器300の温度及び画像変調器200の温度の少なくとも一方に基づいて基準信号の遅延量を調整するタイミング調整器400を備えた構成とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、光走査装置に関し、さらに詳しくは、出射される光ビームを所定の揺動により走査する光走査装置、画像表示装置及び網膜走査型画像表示装置に関するものである。
レーザプリンタ装置や投影装置などにおいては、光走査装置が従来から用いられている。この光走査装置においては、揺動により光ビームを走査する光スキャナが用いられており、光スキャナで走査された光ビームは、スクリーンなどの投影面に投影されて画像が形成される。あるいは、眼の網膜上に走査された光ビームが投影されて、網膜上に画像が形成される(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1では、光スキャナの走査位置がビームディテクタにより検出され、この検出結果に基づいて光ビームが光スキャナへ出力される。この処理により、画像が適切な位置に表示される。
すなわち、ビームディテクタは、フォトトランジスタなどから構成され、ビームディテクタで光ビームが検出されると、基準タイミング生成器は、光ビームの出射にかかわる走査開始タイミングの基準となる基準信号を生成する。具体的には、基準タイミング生成器は、光ビームの検出信号を増幅器により増幅して、走査開始タイミングを示す基準信号を生成する。光ビームは、この基準信号に基づいた走査開始のタイミングで出力される。
特開2005−181477号公報
しかしながら、基準タイミング生成器は、コンパレータやアンプなどの増幅器を用いて基準信号を生成する。ここで、コンパレータやアンプなどは、周囲温度により、信号を生成するのに要する時間が変化するので、基準タイミング生成器で生成される基準信号の位相が変動する問題があった。光ビームは、この基準信号を基準として、その出射開始のタイミング(結果的には光スキャナでの走査開始タイミングになる)が定まる。光スキャナは常時揺動しており、光ビームの出射が開始された位置から、光ビームによる走査線が発生する。したがって、出射開始のタイミングと走査開始タイミングは同じであり、本文中では同義である。
このため、この基準信号に基づいて開始される光ビームの出射のタイミングが遅れたり、早すぎたりする問題が生じ、結果的に光スキャナで走査される光ビームのタイミングもずれてしまい、表示される画像が劣化する問題があった。特に、光走査装置は、光ビームを用いるため、温度変化も生じやすい問題がある。
光スキャナによる光走査は、片側方向だけに光走査される片側走査と、往復方向に光走査される両側走査の2つがある。このとき、片側走査の光走査装置であれば、光ビームの出射タイミングの基準となる基準信号がずれたとしても、全ての水平ラインがそろってずれるので、光走査により最終的に形成される画像が劣化することは少ない。
これに対して、往復走査の光走査装置では、光ビームの出射タイミングの基準となる基準信号がずれると、右方向に走査された水平ラインと、左方向に走査された水平ラインとの開始と終了位置がずれ、画面端部においてジグザグの状態となる。すなわち画像が大きく劣化する問題がある。
本発明は、上記課題に鑑み、温度変化により、光ビームの出射タイミングが遅れたり早すぎたりすることのなく、光走査が実現される光走査装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、画像信号に応じて光ビームを生成する画像変調器と、少なくとも一部にミラーを備え、画像変調器から出射される光ビームを前記ミラーの揺動により走査する共振型光スキャナと、光スキャナの揺動状態を検出し、画像変調器における光ビームの走査開始タイミングの基準となる基準信号を生成するタイミング生成器と、タイミング生成器及び画像変調器の温度を検出する温度検出器と、温度検出器で検出されたタイミング生成器の温度及び画像変調器の温度の少なくとも一方に基づいて基準信号の遅延量を調整するタイミング調整器を備えることとした。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光走査装置に加えて、タイミング生成器は、光スキャナによる第1方向への光ビームの走査開始タイミングの基準となる第1基準信号と、光スキャナによる第1方向と逆方向の第2方向への光ビームの走査開始タイミングの基準となる第2基準信号を出力し、タイミング調整器は、第1基準信号の遅延量のみを調整することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の光走査装置に加えてタイミング生成器は、タイミング生成器は、光スキャナによる第1方向への光ビームの走査開始タイミングの基準となる第1基準信号と、光スキャナによる第1方向と逆方向の第2方向への光ビームの走査開始タイミングの基準となる第2基準信号を出力し、タイミング調整器は、第1基準信号の遅延量と第2基準信号の遅延量の両方を調整することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の光走査装置に加えて、タイミング生成器は、検出した光スキャナの揺動状態を示す信号を基準電圧と比較するコンパレータを有することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の光走査装置に加えて、タイミング生成器は、検出した光スキャナの揺動状態を示す信号を増幅する増幅器を有することを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれかに記載の光走査装置に加えて、タイミング調整器は、タイミング生成器の温度の変化に応じて遅延量が変化する遅延回路を有し、遅延回路により、基準信号の遅延量を調整することを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1から5のいずれかに記載の光走査装置に加えて、タイミング調整器は、マスタクロックの周期を基準として、基準信号の遅延量を調整することを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の光走査装置に加えて、タイミング調整器は、マスタクロックの1周期を1単位として、遅延量を調整することを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれかに記載の光走査装置に加えて、タイミング調整器は、所定時間におけるタイミング生成器の温度の変化量に応じて、基準信号の遅延量を調整することを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項1から9のいずれかに記載の光走査装置に加えて、温度検出器は、タイミング生成器の温度である第1温度と、光走査装置の近傍の温度である第2温度を測定し、タイミング調整器は、第1温度と第2温度の差分に基づいて、基準信号の遅延量を調整することを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、請求項4に記載の光走査装置に加えて、タイミング生成器は、コンパレータの基準電圧を生成する基準電圧生成器を備え、基準電圧生成器は、タイミング生成器の温度に基づいて基準電圧の値を決定することを特徴とする。
請求項12に記載の発明は、請求項1から11のいずれかに記載の光走査装置に加えて、光スキャナの揺動状態として揺動角及び周波数の少なくとも一方を検出する光スキャナ状態検出器を備え、タイミング調整器は、タイミング生成器の温度に加えて揺動角及び周波数の少なくとも一方に基づいて、基準信号の遅延量を調整することを特徴とする。
請求項13に記載の発明は、請求項1から12のいずれかに記載の光走査装置に加えて、タイミング生成器、タイミング調整器及び温度検出器の少なくとも2以上が一体化して形成されたことを特徴とする。
請求項14に記載の発明は、請求項1から13のいずれか記載の光走査装置を備え、光走査装置により、光ビームが1次方向及び/又は2次方向に走査されて画像が表示されることを特徴とする。
請求項15に記載の発明は、請求項1から13のいずれか記載の光走査装置を備え、光走査装置により、光ビームが1次方向及び/又は2次方向に走査されて眼の網膜上に画像が投影表示されることを特徴とする
本発明によれば、光走査装置に含まれるタイミング生成器における温度変化があった場合でも、光走査開始タイミングがずれることが無くなる。このため、光ビームの走査位置のずれが発生せず、光走査による画像の表示におけるずれなどの不具合を防止できる。
請求項2に記載の発明によれば、それぞれ方向を逆方向とする第1方向と第2方向とに走査する機構を有する光走査装置において、第1方向及び第2方向のそれぞれの光走査開始タイミングの基準となる第1基準信号と第2基準信号を生成することができる。更に、生成された第1基準信号と第2基準信号の一方のみの遅延量が、温度変化に対応して調整されることで、制御処理を簡略化できる。また、制御処理を簡略化できるにもかかわらず、一方向だけの制御でも、光ビームの走査位置のずれを防止できるので、適正な走査位置の維持と制御処理の簡略化が両立できる。
請求項3に記載の発明によれば、温度依存性が高いコンパレータをタイミング生成器に用いた場合であっても、光走査による画像の表示における表示位置のずれなどの不具合を防止できる。
請求項4に記載の発明によれば、温度依存性が高い増幅器をタイミング生成器に用いた場合であっても、光走査における画像表示のずれなどの不具合を防止できる。
請求項5に記載の発明によれば、コンパレータで検出された信号を検出可能なレベルに増幅できるので、揺動状態の検出エラーが防止できる。
請求項6に記載の発明によれば、基準信号に対する遅延量の調整が、容易に行われる。
請求項7に記載の発明によれば、マスタクロックの周期を基準に、基準信号の遅延量の調整が行われるので、光走査でずれる単位である画素と合致した遅延量の調整が行われる。
請求項8に記載の発明によれば、1画素の走査に要する単位時間毎に、基準信号の遅延量の調整が行われる。結果として、光走査でずれる単位に基づいた遅延量の調整が行われる。
請求項9に記載の発明によれば、所定時間における温度変化に応じて基準信号の遅延量が調整されるので、ある特定時間における温度変化に適切に対応して、光ビームの走査開始タイミングの基準信号を生成できる。
請求項10に記載の発明によれば、2箇所の温度の差分に基づいて遅延量の調整が行われるので、基準信号の生成される回路付近での温度と、光ビームの走査を行う光スキャナの付近での温度の両方が考慮される。結果として、より正確な遅延量の調整が可能となる。
請求項11に記載の発明によれば、光スキャナの揺動状態を検出するコンパレータの閾値となる基準電圧を、周囲の温度に従って決定できるので、コンパレータの検出において、温度変化を加味できる。
請求項12に記載の発明によれば、周囲温度に加えて光スキャナの揺動角や周波数に基づいて、基準信号の遅延量を調整するので、より正確な遅延量の調整が可能となる。
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
(実施の形態1)
まず、光走査装置の構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態1における画像表示装置1のブロック図である。
この画像表示装置1は、その利用者である観察者の瞳孔12に光ビームを入射させて網膜14上に画像を投影することによって、観察者の眼の瞳孔12の前方において虚像を視認させるための装置であり、後述のように光ビームを走査する光走査装置を有している。
ここで、光走査装置を含む画像表示装置1は、画像を表示するが、図1に示されるように観察者の網膜上に画像を直接投影する網膜走査型画像表示装置としても機能する。なお、図1において、垂直走査部80及びこの垂直走査部80に関連する部分が垂直方向(1次方向)の走査装置となり、水平走査部70及びこの水平走査部70に関連する部分が水平方向(2次方向)の光走査装置である。
画像表示装置1の主な構成要件は光ビーム生成手段20と、光路部と、水平走査部70と垂直走査部80である。ここで、水平走査部70と垂直走査部80を合わせて光走査部と呼ぶ。
光ビーム生成手段20は、外部から入力する画像信号Sに基づいて、赤(R)、緑(G)、青(B)の信号を生成し、これらを光ビームとして出力する。
光路部は、生成された光ビームを光走査部に伝達すると共に、垂直走査部80で走査された最終的な画像信号を観察者の眼10に伝達する。
走査部は、光ビームを水平方向に走査する水平走査部70と、垂直方向に走査する垂直走査部80を備え、光ビームを水平方向と垂直方向の両方に走査することで、2次元の画像を形成する。さらに、水平方向と垂直方向に走査された光ビーム(以下、「走査光ビーム」とする。)を瞳孔12へ出射するためのリレー光学系90を備えている。
次に、各部の詳細について説明する。
(光ビーム生成手段について)
光ビーム生成手段20は、外部から入力する画像信号Sに基づいて、青(B)、緑(G)、赤(R)の信号を生成し、これらを光ビームとして出力するものである。
図1に示すように、光ビーム生成手段20には、外部から供給される画像信号Sが入力され、それに基づいて画像を合成するための要素となる各信号等を発生する信号処理回路21が設けられ、この信号処理回路21において、青(B)、緑(G)、赤(R)の各画像信号22a〜22cが生成され、出力される。また、信号処理回路21は、水平走査部70で使用される水平同期信号23と、垂直走査部80で使用される垂直同期信号24とをそれぞれ出力する。
さらに、光ビーム生成手段20は、信号処理回路21から出力される3つの画像信号(B,G,R)22a〜22cをそれぞれ光ビームにする光源部30と、これらの3つの光ビームを1つの光ビームに結合して任意の光ビームを生成するための光合成部40を備えている。
光源部30は、青色の光ビームを発生させるBレーザ34及びBレーザ34を駆動するBレーザ駆動回路31と、緑色の光ビームを発生させるGレーザ35及びGレーザ35を駆動するGレーザ駆動回路32と、赤色の光ビームを発生させるRレーザ36及びRレーザ36を駆動するRレーザ駆動回路33とを備えている。なお、各レーザ34,35,36は、例えば、半導体レーザや高調波発生機構付き固体レーザとして構成することが可能である。
なお、画像信号Sを元に光信号を生成する信号処理回路21と、この光信号に基づく光ビームを出力するBレーザ34、Gレーザ35、Rレーザ36と、これらのレーザを駆動するBレーザ駆動回路31、Gレーザ駆動回路32、Rレーザ駆動回路33を含めて、画像変調器200とする。すなわち、画像変調器200は、画像信号Sに応じて光ビームを生成する。
光合成部40は、光源部30から入射するレーザ光を平行光にコリメートするように設けられたコリメート光学系41,42,43と、このコリメートされたレーザ光を合成するためのダイクロイックミラー44,45,46と、合成された光を光ファイバ100に導く結合光学系47とを備えている。
各レーザ34,35,36から出射したレーザ光は、コリメート光学系41,42,43によってそれぞれ平行化された後に、ダイクロイックミラー44,45,46に入射される。その後、これらのダイクロイックミラー44,45,46により、各レーザ光が波長に関して選択的に反射・透過される。
具体的には、Bレーザ34から出射した青色レーザ光は、コリメート光学系41によって平行光化された後に、ダイクロイックミラー44に入射される。Gレーザ35から出射した緑色レーザ光は、コリメート光学系42を経てダイクロイックミラー45に入射される。Rレーザ36から出射した赤色レーザ光は、コリメート光学系43を経てダイクロイックミラー46に入射される。
それら3つのダイクロイックミラー44,45,46にそれぞれ入射した3原色のレーザ光は、波長選択的に反射又は透過して結合光学系47に達し、集光され光ファイバ100へ出力される。
(光走査部について)
水平走査部70及び垂直走査部80は、光ファイバ100から入射された光ビームを画像として投影可能な状態にするために、水平方向と垂直方向に走査して走査光ビームとするものである。
水平走査部70は、光ビームを水平方向に走査するための光スキャナ71と、この光スキャナ71を駆動させる水平走査駆動回路72を有している。垂直走査部80は、光ビームを垂直方向に走査するためのガルバノミラー81と、このガルバノミラー81を駆動させる垂直走査駆動回路82とを備えている。なお、水平走査駆動回路72と垂直走査駆動回路82は、信号処理回路21から出力される水平同期信号23と垂直同期信号24に基づいてそれぞれ駆動する。
また、水平走査部70と垂直走査部80との間での光ビームを中継するリレー光学系75を備えており、光スキャナ71によって水平方向に走査された光は、リレー光学系75を通って、ガルバノミラー81によって垂直方向に走査されて、走査光ビームとして、リレー光学系90へ出射される。
リレー光学系90は、凸レンズ91,94を有している。垂直走査部80から出射された表示用走査光ビームは、凸レンズ91によって、それぞれの光ビームがその光ビームの中心線を相互に平行にされ、かつそれぞれ収束光ビームに変換される。そして、凸レンズ94によってほぼ平行な光ビームとなると共に、これらの光ビームの中心線が観察者瞳孔に収束するように変換される。
光走査による画像の形成について、図2を用いて説明する。図2は、本発明の実施の形態1における光走査を示すイメージ図である。
光走査部では、水平走査部70と垂直走査部80が揺動する。この揺動の位置の軌跡を表す揺動曲線Aは、図2に示されるように、擬似的なサインカーブを描く。光ビーム生成手段20より出射される光ビームは、光走査部の走査期間中ずっと出射されているのではなく、ある一定の期間だけ出射されている(後で述べる基準信号により光ビームの出射開始タイミングが決定される)。この出射された光ビームは水平走査部70による水平方向(図2におけるX方向)の走査と、垂直走査部80による垂直方向(図2におけるY方向)の走査が行われる。この結果、揺動曲線の形成する平面において、光ビームが出射されている期間だけ、画素が存在し、この画素の集合により画像701が形成される。
このように2次元である1枚の画像701が形成され、この形成された画像が、観察者により視認される。
垂直走査部80における垂直走査を行うガルバノミラー81は、信号処理回路21から出力される垂直同期信号24に基づいて垂直方向の走査における同期合わせが行われる。また、この垂直同期信号24は、垂直走査駆動回路82に入力する。垂直走査駆動回路82は、垂直同期も含めて、ガルバノミラー81の垂直走査を制御する。
(光スキャナについて)
ここで、水平走査部70の中核をなす光スキャナ71の詳細について説明する。なお、光スキャナ71は、軸に対する揺動により、それぞれ方向を逆方向とする第1方向及び第2方向への光ビームを走査する共振型光スキャナである。この光スキャナ71の揺動は、水平走査駆動回路72から出力される信号に基づいて行われるものであり、水平走査駆動回路72は、信号処理回路21から出力される水平同期信号23に基づいて、光スキャナ71を揺動するための信号を光スキャナ71へ出力する。
まず、図3、図4を用いて説明する。図3は、本発明の実施の形態1における光スキャナの斜視図であり、図4は、本発明の実施の形態1における光スキャナの分解斜視図である。
図3及び図4に示すように、光スキャナ71は、本体部110がベース112に装着されて構成されている。
光スキャナ71は共振タイプの共振型光スキャナであり、網膜14の上の光スポットを水平方向に走査するために、光ビームを反射させ光ビームの出射方向を変化させる反射ミラー120を配した振動体124を揺動させており、本実施形態においては振動体124を共振させている。このように振動体124を共振させることによって反射ミラー120の揺動をさせることができる。
図4に示すように、光スキャナ71は、略直方体のベース112を備えており、ベース112の上面中央部には凹部132が開口する状態で形成されると共に、ベース112の上面には本体部110が固着される。なお、ベース112は画像表示装置1の所定の場所に固着して配される。
本体部110は、シリコン等、弾性を有する材料を用いて生成されており、後述の圧電素子部150〜153及び電極181、182等は、等薄膜形成法によって形成されている。この本体部110は、図4の上部に示すように、光が通過しうる貫通孔114を有し、平面視で略長方形をなしている。また、本体部110の外側には固定枠部116を備え、一方、その内側には反射ミラー120を有する振動体124を備えている。
また、ベース112の凹部132開口の上方には振動体124が位置しており、振動体124が揺動したときにもベース112と干渉しないように構成されている。なお、ベース112はその大きさが微細であるため、凹部132は、例えばエッチングにより形成される。
振動体124には複数の構成要素が一体的に形成されており、これらの構成要素として、反射ミラー120と、その反射ミラー120の一側に連結される板状の弾性部材142、弾性部材144及び弾性部材146から構成される第1の梁部140と、同じく反射ミラー120の他側に連結される板状の弾性部材143、弾性部材145及び弾性部材147から構成される第2の梁部141とがある。なお、弾性部材142が第1のばね部に、弾性部材144及び弾性部材146が第2のばね部に対応する。また、弾性部材143が第1のばね部に、弾性部材145及び弾性部材147が第2のばね部に対応する。
ここで、反射ミラー120、第1の梁部140及び第2の梁部141を有する振動体124は、画像表示装置1に固定される固定枠部116に対して可動する可動部材となっている。
図3に示すように、反射ミラー120は、略長方形を成しており、本体部110の略中央部に配置されている。この反射ミラー120は、図4において横方向に延びる揺動軸線Lrまわりに揺動させられることにより、反射ミラー120に入射した光ビームの反射方向を変化させる。
反射ミラー120の一方の側には、弾性部材142から2本の弾性部材144及び弾性部材146が、弾性部材142の幅より広い分岐間隔で互いに並列に分岐するように形成され、また2本の弾性部材144と弾性部材146とは揺動軸線Lrを中心として対称に形成される。同様にして、反射ミラー120の他側には、弾性部材143から2本の弾性部材145及び弾性部材147が弾性部材143の幅より広い分岐間隔で互いに並列的に分岐するように形成され、2本の弾性部材145と弾性部材147は揺動軸線Lrを中心として対称に形成される。そして、第1の梁部140と第2の梁部141とは、反射ミラー120を挟んで対称となる位置に配置される。
また、第1の梁部140に属する弾性部材144と弾性部材146とにはその片面にそれぞれ第1の圧電素子150と第2の圧電素子152がそれぞれ固着されている。この第1の圧電素子150と第2の圧電素子152には、それぞれその一端が固定端として固定枠部116に固着され、他端が固定枠部116に固着されない自由端となっている。なお、第1の圧電素子150と第2の圧電素子152によって第1の圧電素子部が構成される。
この第1の圧電素子150、第2の圧電素子152は、それぞれ同一の構造をしており、その固着面と直角な方向において上部電極と下部電極とによって挟まれている。
実施の形態1においては、対を成す第1の圧電素子150、第2の圧電素子152がそれぞれ駆動源として機能し、揺動軸線Lrのまわりに捩じり振動を生じさせて、反射ミラー120を揺動させる。以下、この点につき具体的に説明する。
第1の圧電素子150の上部電極と下部電極との間に電圧が印加されると、その印加方向のみならず、印加方向と直交する向きにも変位が発生する。このように第1の圧電素子150に変位が発生することにより、第1の圧電素子150は弾性変形して上向き又は下向きに屈曲する。また、第2の圧電素子152も同様に、上部電極と下部電極との間に電圧が印加されると、弾性変形して上向き又は下向きに屈曲する。このように上向きに屈曲するか、下向きに屈曲するかは、電極間に印加する電圧の正負によって制御される。
また、第1の圧電素子150の弾性変形による屈曲に対応して弾性部材144が弾性変形によって屈曲し、第2の圧電素子152の弾性変形による屈曲に対応して弾性部材146が弾性変形によって屈曲する。そして、この弾性部材144、146の弾性変形による屈曲は、弾性部材142の揺動軸線Lrを中心軸とした弾性変形による回動をもたらす。
この弾性部材142の回動により、反射ミラー120が揺動軸線Lrのまわりで回動する。このように、反射ミラー120が揺動軸線Lrに対して揺動軸線Lrのまわりで回動して揺動することによって、光スキャナ71に照射される光ビームは、第1方向へあるいはその逆方向である第2方向へ走査することができる。
したがって、第1の圧電素子150の上部電極と下部電極との間と、第2の圧電素子152の上部電極と下部電極との間とに互いに逆位相の交流電圧を印加することにより、それぞれの自由端が互いに逆向き変位するように弾性変形して屈曲し、交流電圧の周波数で上下の曲げ振動を繰り返す。この曲げ振動は、第1の梁部を介して、揺動軸線Lrを中心軸とした回転運動に変換され、反射ミラー120は、図5に示すように、揺動軸線Lrのまわりで回転する。図5は、本発明の実施の形態1における反射ミラーの斜視図である。
以上から明らかな通り、弾性部材144及び弾性部材146は、それぞれに固着された第1の圧電素子150及び第2の圧電素子152の直線変位を曲げ振動に変換する機能を有し、この曲げ振動を弾性部材142の回転振動に変換する機能を有しているのである。そして弾性部材142の回転振動によって反射ミラー120が回転させられる。このようにばねを付勢する駆動源として圧電素子を用いる場合には装置の小型化が容易に図れる。
また、第2の梁部141は、上述のように反射ミラー120の他側に位置して、揺動軸線Lrを中心として第1の梁部140と対称に形成されており、上述のように第1の梁部140によって発生した回転振動が反射ミラー120を介して伝わる。その結果、第2の梁部141と同様の変位が発生する。すなわち、揺動軸線Lrを中心軸として、弾性部材143は、弾性部材142と略同様に弾性変形して回転振動し、弾性部材145は、弾性部材144と略同様に弾性変形して曲げ振動し、弾性部材147は、弾性部材146と略同様に弾性変形して曲げ振動する。このように、第1の梁部140の変位と同様の変位が第2の梁部141に発生する。
図5において、実線で示したものが第1の圧電素子150及び第2の圧電素子152に電圧を与えない場合の第1の梁部140、第2の梁部141、反射ミラー120の位置である。また、破線で示したものが第1の圧電素子150及び第2の圧電素子152に交流電圧を与えた場合のある電圧における第1の梁部140、第2の梁部141、反射ミラー120の位置である。
ここで、第2の梁部141の弾性部材147には、第4の圧電素子153が固着されており、弾性部材147に上述のような曲げ振動が発生すると、その曲げ振動が第4の圧電素子153により電圧に変換され、第2の弾性部材のねじれ量に応じた電圧信号が出力端子166、167から出力される。また、同様に、第2の梁部141の弾性部材145には、第3の圧電素子151が固着されており、弾性部材145に上述のような曲げ振動が発生すると、その曲げ振動が第3の圧電素子151により電圧に変換され、第2の弾性部材のねじれ量に応じた電圧信号が出力端子162、163から出力される。
この出力端子166,167、出力端子162,163から出力される電圧信号は、光スキャナ71の揺動状態を示すアナログ信号である。すなわち、圧電素子151などにより、反射ミラー120のねじれ量が電圧信号に変換されたものであるから、出力端子166、167などから出力される電圧信号は、反射ミラー120のねじれ状態を示すものである。言い換えると、電圧信号は、光スキャナ71により走査される光ビームの走査位置を表すものである。このよう光スキャナ71の揺動状態を示すアナログ信号を出力する部分が、揺動検出部700に対応する。なお、圧電素子153の出力に、トランスインピーダンス回路を接続して、圧電素子153が出力する電流を、直接、電圧に変換し増幅して出力することで実施しても良い。この場合には、圧電素子153が出力する出力信号をローノイズで検出できるため光スキャナ71により走査される光ビームの走査位置をより精度良く検出できる。
この出力端子166、167などから出力される電圧信号を基準に、後述する光ビームの出射開始タイミングの基準となる基準信号が生成される。
このように第3の圧電素子151及び第4の圧電素子153を用いることにより、第2の梁部141のねじれ量に応じた信号を発生させることができるため、反射ミラーの変位を検出するビームディテクタが不要となり、装置の小型化が可能になる。
ここで、第1の梁部140、第2の梁部141及び反射ミラー120は、上述のように固定枠部116に対して可動する振動体であり、揺動軸線Lrを中心軸として固有の共振周波数でねじれ共振を行う。
この共振のQ(Quality Factor)は数百におよぶため、2個の第1の圧電素子150及び第2の圧電素子152に交流電圧が印加される場合において、その交流電圧の周波数を変化させると振動体124の共振周波数と合致する周波数において、反射ミラー120を含む可動部材の振動の振幅が極端に大きくなる。
したがって、このように共振周波数で振動させる場合には第1の圧電素子150及び第2の圧電素子152に印加する電力が小さくても、通常では得られない反射ミラー120の変位が得られるので極めて電力効率が高いものとなるとともに、光スキャナ71の小型化が図れるものとなっている。
(タイミング生成器とタイミング調整器の概要について)
光ビーム生成手段20は、更に、タイミング生成器300とタイミング調整器400を備える。
タイミング生成器300は、光スキャナ71の揺動状態を検出して、光ビームの走査開始タイミングの基準となる基準信号を生成する。光ビームの走査開始タイミングとは、光ビームの出射開始のタイミングと同じものである。光源部30は、基準信号に従った所定のタイミングで光ビームの出射を開始する。
光ビーム生成手段20から出力された光ビームは、水平走査部70と垂直走査部80により光走査され、図2に示される画像701が形成される。即ち、光ビームの走査範囲(光ビームの出力期間)は、図2に示される画像701に囲まれる範囲に定められる。
タイミング調整器400は、タイミング生成器300の温度に応じて基準信号の遅延量を調整する。上記タイミング生成器300で生成される基準信号は、タイミング生成器300の温度により、その位相がばらつくため、タイミング生成器300によって生成する基準信号をタイミング生成器300の温度に応じて調整することにより、タイミング生成器300において生成される基準信号の位相ばらつきを解消する。すなわち、タイミング調整器400は、タイミング生成器300で生成された基準信号の遅延量を調整するものである。
温度検出器500は、タイミング調整器400において、基準信号の遅延量を調整するためのパラメータとなるタイミング生成器300の温度を検出するものであり、このように検出されたタイミング生成器300の温度の情報は、タイミング調整器400へ出力される。ここで、タイミング生成器300の温度は、タイミング生成器300又はその近傍の温度をいう。要は、タイミング生成器300の温度を結果的に検出できれば良い。
ここで、タイミング生成器300、タイミング調整器400、温度検出器500は、それぞれ独立して画像表示装置1に組み込まれても良く、これらの内の2以上が一体として形成されて画像表示装置1に組み込まれても良い
(タイミング生成とタイミング調整について)
次に、図6〜図9を用いて、光走査のタイミングの生成と調整について説明する。
図6は、本発明の実施の形態1におけるタイミング生成器300とその周辺のブロック図である。図7、図8は、本発明の実施の形態1における基準信号の生成を説明するタイミングチャートである。図9は、本発明の実施の形態1における走査後の画像を表す模式図である。
まず、図6を用いて、タイミング生成器300とタイミング調整器400の構成と動作について説明する。
タイミング生成器300は、光スキャナ71から出力される電圧信号を受ける。電圧信号は、光スキャナ71の出力端子166などから出力される、反射ミラー120の角度を示す電圧信号である。タイミング生成器300は、アンプ301とコンパレータ302を備えている。
光スキャナ71は、上述したように揺動検出部700を含んでおり、この揺動検出部700は、圧電素子やトランスインピーダンス回路などを用いて、揺動状態を検出し、揺動状態を示す電圧信号や電流信号を、アンプ301に出力する。
アンプ301は、光スキャナ71から受け取った電圧信号(あるいは電流信号)を増幅する。電圧信号は、圧電素子150などにより得られる信号であるので、信号レベルが小さいことがある。この電圧信号は、基準信号の基礎とされるので、検出漏れや検出エラーを防止及びコンパレータ302の入力最低スルーレート条件を満たすために、十分なレベルにまでアンプ301にて増幅する。勿論、アンプ301は必須構成ではなく、電圧信号が十分なレベルを有していれば、不要である。
コンパレータ302は、アンプ301によりアンプされた電圧信号、すなわち光スキャナ71の揺動状態を示す信号を、所定の基準値と比較してレベル信号を生成して出力する。電圧信号の電圧値が所定の基準値以上である場合を、Highレベル、基準値未満である場合をLowレベルとして、コンパレータ302は判断する。コンパレータ302で生成される信号が基準信号である。コンパレータ302での処理により、タイミング生成器300は基準信号をタイミング調整器400に出力する。このコンパレータ302で生成される基準信号は、マスタクロック周期以上の間、Highレベル又はLowレベルを保つ信号である。
タイミング調整器400は、タイミング生成器300の温度に応じて、タイミング生成器300で生成された基準信号を調整する機能を有する。これに対応して、温度検出器500は、温度センサ501を備え、タイミング生成器300の温度を測定する。測定結果は、タイミング調整器400に出力される。
タイミング調整器400は、同期部401、AD変換部402、ルックアップテーブル(以下、「LUT」という)403、遅延回路404を備えている。
同期部401は、タイミング生成器300から出力された基準信号を、マスタクロックを用いて同期化する。マスタクロックは、マスタクロック生成器21cにおいて生成され、タイミング調整器400、信号処理回路などの必要な回路に入力される。
AD変換部402は、温度検出器500が測定したタイミング生成器300の温度をアナログ値からデジタル値に変換する。
デジタル値に変換された周辺温度の値は、LUT403にて、調整すべき遅延量との比較が行われる。すなわち、LUT403は、タイミング生成器300の温度の値と、遅延量との対応関係を数式やテーブルにより有しており、この対応関係に従って、遅延量を決定する。例えば、温度が20度の場合には遅延量が1マスタクロックであり、温度が30度の場合には、遅延量が2マスタクロックであるという関係が規定されている。このように遅延量は、マスタクロックの周期に基づいて定められる。
遅延回路404は、LUT403で決定された遅延量に従い、同期化された基準信号を遅延させて、遅延された基準信号を生成する。なお、遅延量がゼロであってもよく、ゼロである場合でも、ここでは遅延された基準信号と呼ぶ。
遅延回路404は、種々の構成により実現される。例えば、多段のリングバッファから構成され、LUT403から指示された遅延量に応じて、リングバッファに含まれる複数のバッファの内、いくつのバッファを使用するかを決定して、遅延量を調整する。あるいは、遅延回路404は、温度によって遅延時間が可変になる素子により実現されても良い。
遅延された基準信号は、信号処理回路21に入力し、信号処理回路21では、外部から入力した画像信号Sを記憶しているRAM21bから、この遅延された基準信号を基準にして、読み出し部21aが画像信号を読み出して、光源部30に出力する。このとき、マスタクロックに同期して、RAM21bから画素毎のデータが読み出される。光源部30では、画素毎に読み出されたデータに基づいて、光ビームが出射される。すなわち、タイミング生成器300の温度に応じて遅延された基準信号に従って、光ビームの出射が開始される。
次に、基準信号の調整と基準信号に基づき光走査されて画像が形成される仕組みについて、まず、光ビームの出射と基準信号との関係について説明する。
光ビームは、光スキャナ71が所定の角度となったところから出射が開始される必要がある。図7においては、図7(f)に示される画像出力の開始位置a,bが、この出射開始タイミングとして決められた位置である。すなわち、全ての水平ラインについて、この位置から光ビームの出射が開始されれば図9(a)に示されるような品質のよい画像が形成される。
そこで、本実施形態における画像表示装置1においては、出射開始タイミングの基準となる基準信号の精度を向上させるようにしている。すなわち、タイミング生成器300により生成された基準信号をタイミング調整器400で調整することによって、光スキャナ71が所定位置のときに基準信号を信号処理回路21に入力するのである。より具体的には、基準信号を、所望の出射開始タイミングより所定の期間(例えばマスタクロックの3周期)だけ前に立ち上がるようにするのである。以下、このように、基準信号を所望の出射開始タイミングより所定の期間だけ前に立ち上がるようにする構成を説明する。
タイミング生成器300の温度によって、基準信号の立ち上がりタイミングが変動する。このとき、LUT403が有する関係式により、温度と遅延量、すなわち温度の値による基準信号の立ち上がりタイミングの変動量は一意に決まる。このため、この変動量を考慮して定まる遅延量により、基準信号の遅延量を調整すれば、基準信号の立ち上がりから定められた出射開始タイミングまでの期間を、常に一定に保つことができる。
この基準信号の遅延調整の一例について、図7を用いて説明する。なお、図7では、説明の便宜上マスタクロックと画像出力である各光ビームについては、本来の周期よりも大きな周期で示している。実際には、1水平ラインの走査では、数百以上の画素(図7では800画素)が走査されるので、1ラインの水平走査に対応するマスタクロックは、数百以上のクロック数を有している。しかし、図7、図8では、図面を見やすくする都合上、1ラインの水平走査に対応するマスタクロックは、数十クロック程度を有するものとして表示して、簡略に説明している。
この例では、定められた出射開始タイミング(すなわち、画像の出力開始位置a)の3マスタクロック前に遅延された基準信号が立ち上がるように調整されるようにしている。すなわち、タイミング生成器300にて生成される基準信号が、図7に示すように、7マスタクロック前に立ち上がったときであっても、タイミング調整器400によって4マスタクロック分の遅延するように基準信号を調整することにより、出射開始タイミングの3マスタクロック前に遅延された基準信号が立ち上がるようにするのである。
例えば、温度が20度の時には、コンパレータ302で生成される基準信号の立ち上がりが理想状態(タイミング生成器300の基準信号生成位置Pで基準信号を生成する状態)より1マスタクロック遅れるとすると、タイミング調整器400は、5マスタクロックの遅延量を付与して、定められた出射タイミングの3マスタクロック前に、遅延された基準信号が立ち上がるようにする。
あるいは、温度が50度の時には、コンパレータ302で生成される基準信号の立ち上がりが理想状態より5マスタクロック遅れる場合には、タイミング調整器400は、1マスタクロックの遅延量を付して、定められた出射タイミングの3マスタクロック前に、遅延された基準信号が立ち上がるようにする。
以上のように、タイミング生成器300により生成された基準信号をタイミング調整器400で調整、すなわちタイミング生成器300の温度変化による基準信号の生成タイミングのばらつきを補正することによって、出射開始タイミングの精度を向上させている。
次に、基準信号の生成と遅延調整による光ビームの出射について、図7のタイミングチャートを用いて説明する。図7のタイミングチャートでは、基準信号が一つの場合(往復走査のうち、往路走査に対してのみの基準信号が用いられる場合)が示されている。
図7(a)は、光スキャナ71から出力された電圧信号である。電圧信号は、図7(a)に示されるようにアナログ信号であり、反射ミラー120のねじれ量によりその電圧値が定まるので、サインカーブを描くアナログ信号である。
図7(b)は、増幅器であるアンプ301で増幅されたアンプ後の電圧信号である。
アンプ後の電圧信号は、コンパレータ302で所定の基準電圧と比較されて、レベル信号である基準信号が生成される。図7(c)は、コンパレータ302により生成された(すなわち、タイミング生成器300で生成された)基準信号である。ここでの基準信号は、タイミング生成器300の温度に応じた調整は行われていない。この基準信号は、水平ライン毎に生成され、基準信号に従って、各水平ラインに対応する光ビームが出射される。なお、光ビームは基準信号に従ったタイミングで出射されるが、基準信号の立ち上がりから一定期間後に出射が開始されるように設計されても良い。
このようなタイミング生成器300の温度に応じた調整が行われていない基準信号により光走査されて形成される画像の問題は、図9(b)に示されている。
図9(b)には、水平ライン毎の走査開始がずれた状態の画像が示されている。基準信号は、光スキャナ71から出力された電圧信号に対するコンパレータ302により生成される。ここで、タイミング生成器300の温度によりコンパレータ302の動作が変動し、基準信号の生成されるタイミングも変動する。このため、水平ライン毎に光ビームの出射開始と終了がずれてしまい、画像の端部がジグザグになってしまう問題が発生しうる。
これに対して、タイミング調整器400において、タイミング生成器300の温度を考慮して基準信号の遅延量が調整され、図7(e)に示される遅延された基準信号が生成される。なお、図7(d)は、1画素の表示期間に対応するマスタクロックを示している。本実施形態においては、マスタクロックとドットクロックの周期が同一であることから、便宜的にドットクロックをマスタクロックとして表現している。なお、ドットクロックは、マスタクロック生成器21cによってマスタクロックから生成されるものである。このドットクロックは、1画素の表示期間に対応するクロックであり、読み出し部21aが画像信号を読み出すタイミングとなる。
図7(e)に示されるとおり、マスタクロックを基準に、基準信号は遅延されている。ここでは、マスタクロックの4周期分だけ基準信号が遅延されて、遅延された基準信号が生成されている。
図7(f)は、遅延された基準信号に従って光源部30から出力される光ビームを示している。遅延された基準信号の立ち上がりから所定の期間Tdfだけ遅れて光ビームが出射されている。ここでは、Tdfはマスタクロックの3周期分に定められている。Tdbは、復路の出射開始タイミングを示したものである。即ち、図7においては、一つの基準信号の立ち上がりから、Tdbを用いて復路の出射開始タイミングを規定している。
なお、Tdf、Tdbは、設計事項として設けられるものであり、必須要件でなく、その期間も適宜決められればよい。
このように、コンパレータ302で生成された基準信号が、タイミング調整器400でタイミング生成器300の温度に応じて遅延調整されているので、光ビームの出射タイミングがいずれの水平ラインにおいても正確に行われる。
この結果、形成される画像は、図9(c)に示される。ここでは、往復走査の内、往路走査に対応する基準信号だけが調整されたので、図9(c)の画像の右側に示される太い矢印のように、水平ラインの内、往路走査にかかわる水平ラインだけが、その開始位置が調整されている。図9(c)では、調整の様子を分かりやすくするために、ジグザグの状態から調整される状態を描いているが、実際には、基準信号の調整により、図9(a)のようなジグザグの無い画像が形成される。
図7と図9(c)から明らかな通り、往路走査と復路走査の一方にかかわる基準信号のみが調整されている。言い換えると、往復走査における第1の方向にかかわる基準信号(以下、「第1基準信号」とする。)と、第2の方向に係る基準信号(以下、「第2基準信号」とする。)の内、一方のみの遅延量が調整されている構成となっている。ここで、第1基準信号は往路走査に係る基準信号であり、往路走査における光ビームの出射開始タイミングを規定する。第2基準信号は、復路走査に係る基準信号であり、復路走査における光ビームの出射開始タイミングを規定する。
往復走査において一方のみが調整される場合でも、往路走査される水平ラインの開始位置と復路走査される水平ラインの終了位置を合わせることができるので、画像劣化を防止できる。なお、一方の基準信号のみが調整される場合、後述する両方の基準信号を調整する場合の約2倍の遅延量を調整する必要がある。
次に、図8と図9を用いて、往路走査にかかわる第1基準信号と復路走査にかかわる第2基準信号のそれぞれが調整される場合について説明する。図8(a)は、光スキャナ71から出力された電圧信号である。図8(b)は、アンプ301で増幅されたアンプ後の電圧信号である。
アンプ後の電圧信号は、コンパレータ302で所定の基準電圧と比較されて、レベル信号である基準信号が生成される。図8(c)は、コンパレータ302により生成された(すなわち、タイミング生成器300で生成された)第1基準信号であり、図8(d)は第2基準信号であり、図8(e)はマスタクロックを示している。ここでの第1基準信号と第2基準信号は、タイミング生成器300の温度は考慮されていない状態である。この場合に形成される画像は上述の通り、図9(b)のような問題を含んでいる。
コンパレータ302で生成された第1基準信号と第2基準信号の立ち上がりタイミングは、タイミング生成器300の温度の影響を受けており、その立ち上がりタイミングが、水平ライン毎に変動する。タイミング調整器400は、これら第1基準信号と第2基準信号の遅延量を調整する。
図8(f)は、遅延された第1基準信号であり、図8(g)は、遅延された第2基準信号である。ここでは、遅延された第1基準信号と、遅延された第2基準信号のそれぞれは、マスタクロックの4周期分遅延されている。
図8(h)は、遅延された第1基準信号に従って光源部30から出射される往路方向の光ビームと、遅延された第2基準信号に従って光源部30から出射される復路方向の光ビームを示している。なお、Tdf1とTdf2は、それぞれ第1基準信号から実際の光ビームの出射までの所定期間と、第2基準信号から実際の光ビームの出射までの所定期間を示している。
このように、第1基準信号と第2基準信号のそれぞれの遅延量が調整されることで、図9(d)に示されるように、適切な画像が形成される。図9(d)では、基準信号の調整の状態が分かるようにするために、ジグザグ状態を残しているが、実際には、図9(a)に示されるような画像が形成される。
図9(d)の各水平ラインの外側に記載された太い矢印から明らかな通り、往路と復路の両方から合わせこみがなされるので、それぞれの遅延量の調整は、一方の基準信号のみを調整する場合の約半分ですむ。
以上のように、光ビームの出射タイミングを規定する基準信号の遅延量が、タイミング生成器300の温度に応じて調整されることで(言い換えると、光ビームの出射に実際に用いられる遅延された基準信号の立ち上がりタイミングが調整されることで)、光走査における水平ライン毎の走査開始位置と走査終了位置のずれがなくなり、画像劣化が防止される。
なお、第1基準信号と第2基準信号の一方のみの遅延量が調整される場合には、マスタクロックの1周期を基準に調整され、第1基準信号と第2基準信号の両方の遅延量が調整される場合には、マスタクロックの半周期を基準に調整されても良い。第1基準信号と第2基準信号のそれぞれは、走査方向が逆になる水平ラインの基準信号であり、それぞれ半周期を基準とした遅延調整が行われれば、第1基準信号と第2基準信号の調整量の合算は、マスタクロックの1周期の倍数となって、適切な調整が行われる。
ところで、タイミング調整器400は、タイミング生成器300の温度の値そのものではなく、所定期間における周囲温度の変化量に基づいて遅延量を調整しても良い。例えば、LUT403は、予め定められた所定期間における周囲温度の変化量と遅延量との対応関係を有しておき、この対応関係に基づいて、遅延回路404は基準信号の遅延量を調整する。変化量に基づいて調整されることで、周囲温度の変化に対応した光ビームの出射と走査が実現され、画像劣化の防止効果が高まる。
また、タイミング生成器300の温度である第1温度と光走査装置の近傍の温度である第2温度の差分に基づいて、基準信号の遅延量が調整されても良い。
このように、第1温度と、第2温度の差分に基づくことで、光走査装置全体の温度状態と、タイミング生成器300の温度との相違を考慮した基準信号の調整ができる。結果として、装置全体とタイミング生成器300との温度乖離による影響を吸収できる。
例えば、光走査装置の温度が低く、タイミング生成器300の温度が低い場合には、温度差が大きいので、コンパレータ302による基準信号の生成での変動が大きい。本変形例であれば、この影響を低減できる。
なお、第1温度と第2温度の差分に基づいて調整される場合には、LUT403は、差分値と遅延量との対応関係を式やテーブルで有しておき、差分値の大きさに従って、遅延回路404で与える遅延量を決定する。
また、本実施形態においては、温度によって生じる基準信号のずれを補正するものであるが、温度以外の湿度などの外的要因に適用することも可能である。たとえば、湿度検出器を設けて、この湿度検出器により検出した湿度に応じて、基準信号の遅延量を調整することができ、さらに精度よく基準信号を調整することができる。
また、温度検出器500は、タイミング生成器300及び画像変調器200の少なくとも一方の温度を検出し、タイミング調整器400は、タイミング生成器300及び画像変調器200の少なくとも一方の温度に基づいて、基準信号のタイミングを調整すればよい。
実施の形態1においては、タイミング調整器400において、説明の便宜上、マスタクロックの周期とドットクロックの周期と同一の場合を例にあげ、マスタクロックを基準として遅延量の調整を行うものとして説明したが、マスタクロックを分周してドットクロックを生成する場合であれば、其の分周値が大きければ大きいほどマスタクロック周期はドットクロック周期より小さくなるため、より細かな遅延量の調整を行える。
(実施の形態2)
次に実施の形態2について説明する。
実施の形態2では、実施の形態1で説明したタイミング生成器300の温度に基づく基準信号の遅延量の調整に加えて、もしくは別個に、光スキャナ71からの電圧信号に基づく基準信号の生成におけるタイミング生成器300の温度を考慮する光走査装置について説明する。
実施の形態2における光走査装置(及び画像表示装置)は、図1で示された構成と同様であり、コンパレータ302とアンプ301の少なくとも一方に、基準電圧生成器が接続されている点が異なる。
タイミング生成器300は、図6に示されるように、コンパレータ302を有しており、アンプ301の出力を基準電圧と比較して比較結果を出力する。このコンパレータ302の出力は、遅延調整がされる前の素の基準信号である。実施の形態1では、この素の基準信号に対して、温度検出器500で測定されたタイミング生成器300の温度に基づいて、遅延量を調整した。図10に示される回路では、基準信号を生成する際に、タイミング生成器300の温度が考慮される。
図10は、本発明の実施の形態2におけるコンパレータとその周辺のブロック図である。コンパレータ302には、アンプ後の電圧信号が入力信号として入力する。一方、この入力信号の比較対象として、基準電圧生成器305の出力が用いられる。基準電圧生成器305は、通常は水平方向に往復揺動する光スキャナ71から出力される電圧信号において、一定値以上(もしくは一定値以下)の期間を抽出するための基準電圧を定める。
ここで、通常においては基準電圧には予め定められた値が用いられる。しかしながら、コンパレータ302は温度変化に過敏に反応するので、固定値の基準電圧を用いると、温度変化によっては、コンパレータ302における入力信号に対する出力信号のタイミングが変動する。すなわち、光スキャナ71からの電圧信号を入力として生成される基準信号の生成タイミングにばらつきが生じる。
ここで、基準電圧生成器305は、タイミング生成器300の温度を考慮して、基準電圧を決定する。温度検出器500の出力は、直接/間接に基準電圧生成器305に入力し、基準電圧生成器305は、この温度検出器500の出力を受けて、基準電圧を決定する。
なお、図10では、温度検出器500の出力が直接基準電圧生成器305に入力しているが、AD変換部402、LUT403を介して入力されても良い。この場合には、LUT403は、タイミング生成器300の温度と基準電圧の値の対応関係を、式やテーブルで有しており、基準電圧生成器305は、この対応関係に従って基準電圧を決定する。
基準電圧生成器305は、例えば、タイミング生成器300の温度が通常より高い場合には、アンプによる位相遅延が大きくなるためコンパレータ302の出力である基準信号の立ち上がりが遅くなる。このため、コンパレータ302が、基準電圧以上を判定する場合において、基準電圧生成器305は、タイミング生成器300の温度が通常より高い場合には、タイミング生成器300の温度が通常の場合よりも低い電圧値を基準電圧として決定し、逆に、タイミング生成器300の温度が通常より低い場合には、タイミング生成器300の温度が通常の場合よりも高い電圧値を基準電圧として決定する。なお、基準電圧の決定は一例であり、他の基準に従って基準電圧が決定されればよい。
以上のように、タイミング生成器の温度を考慮して決定された基準電圧がコンパレータ302で用いられることで、タイミング生成器300の温度を考慮した基準信号が生成される。この生成された基準信号は、タイミング生成器300の温度の考慮があるので、タイミング調整器400におけるタイミング生成器300の温度に基づく遅延量の調整を簡素化することが可能である。なお、タイミング調整器400での遅延量の調整を省略する場合でも、マスタクロックでの同期処理を行うことが好ましい。
勿論、図10に示されるコンパレータ302により生成された素の基準信号を、更にタイミング調整器400で調整する二重の調整により、タイミング生成器300の温度に対応したより正確な基準信号が実現される。
同様に、コンパレータ302と合わせて、もしくは別個にアンプ301の基準電圧についても、基準電圧生成器305を用いて基準電圧を決定することも好適である。図11は、本発明の実施の形態2におけるアンプとその周辺のブロック図である。
図11に示されるとおり、アンプ301の基準電圧は、基準電圧生成器305により生成される。基準電圧生成器305は、上述の通り、タイミング生成器300の温度に基づいて基準電圧を生成する。基準電圧が変化すれば、アンプ301の増幅状態も変化する。アンプ301は、タイミング生成器300の温度に反応して増幅特性が変化する。例えば、タイミング生成器300の温度が高くなれば、増幅遅延が大きくなり、タイミング生成器300の温度が低くなれば、増幅遅延が小さくなる。このため、タイミングを検出信号の立ち上がりで取る場合、タイミング生成器300の温度が高くなる場合には、基準電圧を下げ、タイミング生成器300の温度が低くなる場合には基準電圧を上げるように、またタイミングを検出信号の立ち下がりで取る場合、タイミング生成器300の温度が高くなる場合には、基準電圧を上げ、タイミング生成器300の温度が低くなる場合には基準電圧を下げるように、基準電圧生成器305は、基準電圧を決定する。
この処理により、光スキャナ71からの電圧信号のアンプ301における増幅は、タイミング生成器300の温度を考慮したものとなり、コンパレータ302で生成される素の基準信号もタイミング生成器300の温度を考慮したものとなって、光ビームの出射タイミングの適切な設定が可能となる。
なお、図11に示されるアンプ301でのタイミング生成器300の温度に応じた調整、図10に示されるコンパレータ302でのタイミング生成器300の温度に応じた調整、実施の形態1における基準信号の遅延量の調整は、画像表示装置1において、それぞれ個別に組み込まれても良く、2以上が組み合わされて組み込まれても良い。光走査装置に許容されるコストやサイズとの兼ね合いで決められればよい。図11に示されるアンプ301の温度に応じた調整、図10に示されるコンパレータ302の温度に応じた調整、実施の形態1における基準信号の遅延量の調整の全てが組み込まれた場合には、光ビームの出射タイミングがもっとも正確に規定されるので、画像劣化の防止精度が高い。
(実施の形態3)
次に図13を用いて実施の形態3について説明する。図13は、本発明の実施の形態3における画像表示装置のブロック図である。
実施の形態3における光走査装置、図1で示される実施の形態1における光走査装置に対して、光スキャナ状態検出器600が追加して備えられている。光スキャナ状態検出器600は、光スキャナ71の揺動角及び周波数の少なくとも一つを検出する。タイミング調整器400は、この光スキャナ状態検出器600の出力に基づいて、基準信号を調整することでもよい。
反射ミラー120のねじれから生じる電圧信号以外に、光スキャナ71の物理的状態から、これらを検出する。例えば、基準ビームを光スキャナに照射して、これの反射光の反射位置を用いて揺動角を検出する。同様に、基準ビームに対する反射光の反射位置の移動時間を用いて周波数を検出する。
タイミング調整器400は、タイミング生成器300の温度に加えて、この光スキャナ状態検出器600で検出された揺動角及び周波数の少なくとも一方を用いて、基準信号の遅延量を調整する。
検出された周波数が大きくなった場合には、基準信号の遅延調整早める必要があるため、遅延回路404での遅延量を減らす。同様に、検出された周波数が小さくなった場合は、遅延回路404での遅延量を増やす。
検出された揺動角は、基準信号の開始位置と密接な関係がある。これを利用して、まずは揺動角により粗めに基準信号の遅延が調整され、その後、タイミング生成器300の温度から細密に遅延が調整されても良い。
(実施の形態4)
次に、図12を用いて温度検出器500での温度検出の変形例について説明する。実施の形態4における光走査装置は、図1で示される実施の形態1における光走査装置と構成要件は同様であり、温度検出器500が変形されている。
図12は、本発明の実施の形態2における温度検出器の配置図である。
温度センサ501は、基板510に実装されている。基板510にはIC511も実装されている。このIC511は、タイミング生成器300やタイミング調整器400の機能を有している。すなわち、タイミング生成器300やタイミング調整器400が集積回路で実現されている。
温度センサ501は、基板510の温度そのものと周辺の大気温度の両方の影響を受けて、温度を測定する。すなわち、IC511の温度そのものを測定できない場合がある。例えば、温度センサ501が、基板510においてIC511と離れた位置に実装されている場合には、IC511の温度よりも周辺の大気温度の影響度が大きくなり、温度センサ501は、周辺温度を主として温度を測定してしまう。
このため、タイミング調整器400は、温度センサ501で測定された温度を、周辺の大気温度を考慮して遅延量の調整に用いることが好適である。これは、基板510の有する温度勾配を参考に考慮される。すなわち、温度センサ501の測定する温度変化(温度勾配)は、周辺の大気温度により変わるので、温度勾配を測定すれば、大気温度の影響度も分かり、最終的には測定された温度における大気温度の影響度を計算できる。タイミング調整器400は、この大気温度の影響度を含んだ測定された温度を用いて遅延量を調整する。
IC511の実行する機能を複数のICで行う場合には、複数のICのそれぞれに、温度センサ501を配置し、複数のICのそれぞれの温度を測定することも好適である。また、複数の温度センサ501のそれぞれに対応するLUT403を備えて、IC毎に測定された温度と遅延量との関係を対応付けて、より精細に基準信号の遅延量を調整しても良い。
例えば、LUT403は、タイミング生成器300の温度と遅延量の対応関係のみでなく、温度センサ501の測定結果と大気温度の影響度の対応関係も有しておき、これらの二つの対応関係から遅延量を決定する。
このように、大気温度の影響も含めて基準信号の遅延量が調整されることで、より正確な基準信号が作られる。結果として、光走査により形成される画像の劣化が防止される。
本発明は、光ビームに対して水平方向と垂直方向を走査することで画像を表示する光走査装置などの分野において好適に利用できる。
本発明の実施の形態1における画像表示装置のブロック図である。 本発明の実施の形態1における光走査を示すイメージ図である。 本発明の実施の形態1における光スキャナの斜視図である。 本発明の実施の形態1における光スキャナの分解斜視図である。 本発明の実施の形態1における反射ミラーの斜視図である。 本発明の実施の形態1におけるタイミング生成器とその周辺のブロック図である。 本発明の実施の形態1における基準信号の生成を説明するタイミングチャートである。 本発明の実施の形態1における基準信号の生成を説明するタイミングチャートである。 発明の実施の形態1における走査後の画像を表す模式図である。 本発明の実施の形態2におけるコンパレータとその周辺のブロック図である。 本発明の実施の形態2におけるアンプとその周辺のブロック図である。 本発明の実施の形態2における画像表示装置の配置図である。 本発明の実施の形態3における画像表示装置のブロック図である。
符号の説明
1 画像表示装置
20 光ビーム生成手段
21 信号処理回路
30 光源
71 光スキャナ
72 水平走査駆動回路
81 カルバノミラー
82 垂直走査駆動回路
200 画像変調器
300 タイミング生成器
400 タイミング調整器
500 温度検出器
600 光スキャナ状態検出器

Claims (15)

  1. 画像信号に応じて光ビームを生成する画像変調器と、
    少なくとも一部にミラーを備え、前記画像変調器から出射される光ビームを前記ミラーの揺動により走査する共振型光スキャナと、
    前記光スキャナの揺動状態を検出し、前記画像変調器における光ビームの走査開始タイミングの基準となる基準信号を生成するタイミング生成器と、
    前記タイミング生成器の温度及び前記画像変調器の温度を検出する温度検出器と、
    前記温度検出器で検出された前記タイミング生成器の温度及び前記画像変調器の温度の少なくとも一方に基づいて前記基準信号の遅延量を調整するタイミング調整器を備えることを特徴とする光走査装置。
  2. 前記タイミング生成器は、前記光スキャナによる第1方向への前記光ビームの走査開始タイミングの基準となる第1基準信号と、前記光スキャナによる前記第1方向と逆方向の第2方向への前記光ビームの走査開始タイミングの基準となる第2基準信号を出力し、
    前記タイミング調整器は、前記第1基準信号の遅延量のみを調整することを特徴とする請求項1記載の光走査装置。
  3. 前記タイミング生成器は、前記光スキャナによる第1方向への前記光ビームの走査開始タイミングの基準となる第1基準信号と、前記光スキャナによる前記第1方向と逆方向の第2方向への前記光ビームの走査開始タイミングの基準となる第2基準信号を出力し、
    前記タイミング調整器は、前記第1基準信号の遅延量と前記第2基準信号の遅延量の両方を調整する請求項1記載の光走査装置。
  4. 前記タイミング生成器は、検出した前記光スキャナの揺動状態を示す信号を基準電圧と比較するコンパレータを有することを特徴とする請求項1から3のいずれか記載の光走査装置。
  5. 前記タイミング生成器は、検出した前記光スキャナの揺動状態を示す信号を増幅する増幅器を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか記載の光走査装置。
  6. 前記タイミング調整器は、前記タイミング生成器の温度の変化に応じて遅延量が変化する遅延回路を有し、前記遅延回路により、前記基準信号の遅延量を調整することを特徴とする請求項1から5のいずれか記載の光走査装置。
  7. 前記タイミング調整器は、マスタクロックの周期を基準として、前記基準信号の遅延量を調整することを特徴とする請求項1から5のいずれか記載の光走査装置。
  8. 前記タイミング調整器は、前記マスタクロックの1周期を1単位として、前記遅延量を調整することを特徴とする請求項7記載の光走査装置。
  9. 前記タイミング調整器は、所定時間における前記タイミング生成器の温度の変化量に応じて、前記基準信号の遅延量を調整することを特徴とする請求項1から8のいずれか記載の光走査装置。
  10. 前記温度検出器は、前記タイミング生成器の温度である第1温度と、前記光走査装置の近傍の温度である第2温度を測定し、前記タイミング調整器は、前記第1温度と前記第2温度の差分に基づいて、前記基準信号の遅延量を調整することを特徴とする請求項1から9のいずれか記載の光走査装置。
  11. 前記タイミング生成器は、前記コンパレータの基準電圧を生成する基準電圧生成器を備え、前記基準電圧生成器は、前記タイミング生成器の温度に基づいて前記基準電圧の値を決定することを特徴とする請求項4に記載の光走査装置。
  12. 前記光スキャナの揺動状態として揺動角及び周波数の少なくとも一方を検出する光スキャナ状態検出器を備え、前記タイミング調整器は、前記タイミング生成器の温度に加えて前記揺動角及び前記周波数の少なくとも一方に基づいて、前記基準信号の遅延量を調整することを特徴とする請求項1から11のいずれか記載の光走査装置。
  13. 前記タイミング生成器、前記タイミング調整器及び前記温度検出器の少なくとも2以上が一体化して形成されたことを特徴とする請求項1から12のいずれか記載の光走査装置。
  14. 請求項1から13のいずれか記載の光走査装置を備え、
    前記光走査装置により、前記光ビームが1次方向及び/又は2次方向に走査されて画像が表示されることを特徴とする画像表示装置。
  15. 請求項1から13のいずれか記載の光走査装置を備え、
    前記光走査装置により、前記光ビームが1次方向及び/又は2次方向に走査されて眼の網膜上に画像が投影表示されることを特徴とする網膜走査型画像表示装置。
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