JP2007332234A - マスターバッチおよびエポキシ樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】カーボンナノファイバーが均一分散されたエポキシ樹脂組成物をもたらすマスターバッチおよびその製造方法を提供し、軽量で、かつ良好な力学物性を示す繊維強化複合材料を得ること。
【解決手段】樹脂成分を総量で60〜95重量%含むとともに、カーボンナノファイバーを5〜40重量%含むマスターバッチであって、樹脂成分に、エポキシ基と反応し得る官能基を有し、かつ、特定の構造を有する熱可塑性樹脂を、樹脂成分中50〜100重量%含むエポキシ樹脂組成物用マスターバッチ。
【選択図】なし
【解決手段】樹脂成分を総量で60〜95重量%含むとともに、カーボンナノファイバーを5〜40重量%含むマスターバッチであって、樹脂成分に、エポキシ基と反応し得る官能基を有し、かつ、特定の構造を有する熱可塑性樹脂を、樹脂成分中50〜100重量%含むエポキシ樹脂組成物用マスターバッチ。
【選択図】なし
Description
本発明は、各種力学物性に優れた繊維強化複合材料を得るためのカーボンナノファイバーの分散性に優れたマスターバッチおよびエポキシ樹脂組成物に関する。
強化繊維とマトリックス樹脂からなる繊維強化複合材料は、その力学物性が優れているため、スポーツレジャー用途をはじめ、航空宇宙用途、一般産業用途などに広く用いられている。かかる用途において、マトリックス樹脂としては、耐熱性、力学特性、成形性のバランスに優れる熱硬化性樹脂組成物が主に用いられ、特にエポキシ樹脂組成物が好ましく用いられる。そして、そのような熱硬化性樹脂組成物には、その機能をより向上させるために、各種のフィラーが加えられることがある。
各種フィラーの中でも、特に、カーボンナノファイバーは、樹脂に高弾性、高強度をもたらすフィラーとして近年注目されているが、カーボンナノファイバーは通常大部分が凝集物として存在しているため、樹脂に分散させた際に、粗大な凝集物が混入しやすく、繊維強化複合材料のマトリックス樹脂である熱硬化性樹脂組成物に適用した場合、かかる凝集物がボイドや欠陥を生じさせ力学特性向上に寄与しないことが多かった。一般に、カーボンナノファイバーのようなフィラーを含む熱硬化性樹脂組成物を製造する場合、フィラーの分散性を向上する観点から、製造しようとする熱硬化性樹脂組成物中の一部の樹脂成分とフィラーとの混合物であるマスターバッチを一旦作製し、そのマスターバッチを熱硬化性樹脂と混合するという手法が採られることが多いが、樹脂成分として熱硬化性樹脂を用いてカーボンナノファイバーをマスターバッチとし、そのマスターバッチを熱硬化性樹脂と混合しても、得られる熱硬化性樹脂組成物においてカーボンナノファイバーの凝集物の混入は避けられなかった。
これに対し、多軸押出機等での混練により、カーボンナノファイバーの良好な分散が得られている例がある(特許文献1、2参照)。しかし、これら文献で開示される技術は、種々の熱可塑性樹脂に対しては有効であるものの、熱硬化性樹脂、特にエポキシ樹脂に対しては十分な分散性が得られなかったのが実状である。そこで、エポキシ樹脂に可溶な熱可塑性樹脂を樹脂成分として用いてマスターバッチとし、これをエポキシ樹脂に混練することで分散させる手法も考えられる。ところが、マスターバッチをエポキシ樹脂に混練して希釈するとカーボンナノファイバーが分散せずに凝集物が存在したり、カーボンナノファイバーの分散性が良好であるにもかかわらず得られるエポキシ樹脂組成物の硬化物力学特性が大きく低下したりするという問題があった。
特表平8−508534号公報
特開2003−12939号公報
本発明は、カーボンナノファイバーが均一分散されたエポキシ樹脂組成物をもたらすマスターバッチおよびその製造方法を提供し、軽量で、かつ良好な力学物性を示す繊維強化複合材料を得るに適したエポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明のマスターバッチは、上記目的を達成するため、次の構成を有する。すなわち、樹脂成分を総量で60〜95重量%含むとともに、カーボンナノファイバーを5〜40重量%含むマスターバッチであって、樹脂成分に、エポキシ基と反応し得る官能基を有し、かつ、下記一般式の構造を有する熱可塑性樹脂を、樹脂成分中50〜100重量%含むエポキシ樹脂組成物用マスターバッチである。
(式中、R1〜R8はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子および炭素数1〜5のアルキル基からなる群から選ばれた一種を表す。)
また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記目的を達成するため、次の構成を有する。すなわち、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂硬化剤および前記マスターバッチを含んでなるエポキシ樹脂組成物
である。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記目的を達成するため、次の構成を有する。すなわち、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂硬化剤および前記マスターバッチを含んでなるエポキシ樹脂組成物
である。
本発明によれば、カーボンナノファイバーが均一分散されたエポキシ樹脂組成物を得ることができ、それをマトリックス樹脂として用いることにより、軽量で、かつ良好な力学特性を示す繊維強化複合材料を得ることができる。
本発明者らは、カーボンナノファイバーと熱可塑性樹脂とを含むマスターバッチとエポキシ樹脂とを混練して得られるエポキシ樹脂組成物において、カーボンナノファイバーの凝集物が存在する原因および力学特性が低下する原因について鋭意検討した結果、特定の熱可塑性樹脂を用いることによってこれら問題を一挙に解決できることを見出し、本発明に到達したものである。
本発明のマスターバッチは、樹脂成分を総量で60〜95重量%、好ましくは70重量%〜93重量%、より好ましくは75重量%〜90重量%含むとともに、カーボンナノファイバーを5重量%〜40重量%、好ましくは7重量%〜30重量%、より好ましくは10重量%〜25重量%の範囲内で含む。ここで、樹脂成分とは、マスターバッチに含まれる熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂の全ての樹脂成分をいう。マスターバッチ中のカーボンナノファイバーの含有量が少なすぎる場合には、所望の力学特性付与効果が得られない一方、かかる含有量が多すぎる場合には、流動性が極端に低下し、熱硬化性樹脂との混練が困難なマスターバッチとなる。
ここで、本発明では、樹脂成分のうちに、その総量に対して、エポキシ基と反応し得る官能基を有し、かつ、下記一般式の構造を有する熱可塑性樹脂(以後、本熱可塑性樹脂と称する)を50〜100重量%、好ましくは75〜100重量%、さらに好ましくは100重量%含んでいる必要がある。
(式中、R1〜R8はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子および炭素数1〜5のアルキル基からなる群から選ばれた一種を表す。)
エポキシ基と反応し得る官能基としては第1級アミン、第2級アミン、水酸基、カルボキシル基、チオール基などが挙げられる。これらの中でもエポキシ基と良好な反応性を有し、かつ、良好な力学特性を示すことから水酸基、特にフェノール性水酸基が好ましい。
エポキシ基と反応し得る官能基としては第1級アミン、第2級アミン、水酸基、カルボキシル基、チオール基などが挙げられる。これらの中でもエポキシ基と良好な反応性を有し、かつ、良好な力学特性を示すことから水酸基、特にフェノール性水酸基が好ましい。
かかる本熱可塑性樹脂としては、フェノール性水酸基を有するポリエーテルスルホンである住友化学製“スミカエクセル(登録商標)”5003Pや、特許2834152号公報における第1表に示されるようなフェノール性水酸基あるいはアミノ基を有するポリアリーレンスルホン、特許2584452号公報の実施例1に示されるような水酸基および/またはアミノ基を有するポリアリーレンポリエーテルスルホンなどが挙げられる。熱可塑性樹脂とは一般的には、例えば平均分子量3000以上のものを指す。なお、平均分子量の測定方法としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって得られる数平均分子量が挙げられる。具体的な数平均分子量の測定方法としては例えば、カラムに、Shodex80M(登録商標、昭和電工製)2本と、Shodex802(昭和電工製)1本を用い、溶媒としてo−クロロフェノール/クロロホルム=2/8(容積比)を用い、サンプルを0.3μL注入し、23℃にて流速1mL/minで測定したサンプルの保持時間を、ポリスチレンの校正用サンプルの保持時間を用いて分子量に換算して求める方法などが使用できる。なお、液体クロマトグラフィーで複数のピークが観測される場合は、目的成分を分離して個々のピークについて分子量の換算を行うことができる。
本熱可塑性樹脂を用いることにより、何故エポキシ樹脂組成物中におけるカーボンナノファイバーの分散がよく、かつ、優れた力学特性を示すのか、その理由は必ずしも明らかになっていないが、本熱可塑性樹脂に含まれるスルホン基とカーボンナノファイバーとの相互作用が強く、かつ、エポキシ基と反応し得る官能基を有するためエポキシ樹脂との相溶性も良好となり、特異的にカーボンナノファイバーとエポキシ樹脂とを結ぶカップリング剤として振る舞うことができるためであると考えられる。
本発明において、カーボンナノファイバーとは、一般的なカーボンナノチューブ(CNT)や気相法炭素繊維(VGCF)を含むものである。これらは、グラファイトの1枚面(グラフェンあるいはグラフェンシート)が筒状に積層された化学構造が主体となったものである方が、高い強度と弾性率を得られることから好ましい。グラファイトの積層構造は高分解能透過型電子顕微鏡で調べることができる。グラファイトの層は、透過型顕微鏡でまっすぐにはっきりと見えるほど好ましいが、グラファイト層が乱れていても構わない。カーボンナノファイバーは一般に、アーク放電法、レーザー蒸発法、熱CVD法、プラズマCVD法などにより製造することができるが、どのような方法で製造したカーボンナノファイバーでも構わない。これらカーボンナノファイバーの形態は、針状、コイル状、チューブ状の形態など任意の形態をとることが出来る。また、これらを2種類以上混合したものでも良い。
本発明のマスターバッチにおいて、カーボンナノファイバーは、その最大凝集サイズが10μm以下、好ましくは5μm以下となっていることが好ましい。それによって、硬化物中の応力分布ムラや強化繊維のアラインメント乱れの発生が抑えられ、力学特性に優れた繊維強化複合材料が得られる。なお、本発明において、カーボンナノファイバーの最大凝集サイズとは、カーボンナノファイバーの凝集サイズのうち、後述する方法で特定される最大のものを意味し、カーボンナノファイバーの凝集サイズとは、カーボンナノファイバーが形成する凝集物の最小外接円の直径を意味する。かかる凝集物とは、カーボンナノファイバーが寄り集まったものであり、元々の配合割合に対して局所的にカーボンナノファイバーの存在量が大きくなった領域である。図1に、本発明において、マスターバッチにおける凝集サイズを測定する際の顕微鏡像のイメージ図を示す。
また、本発明において、カーボンナノファイバーは、その平均繊維直径が好ましくは3nm〜300nm、より好ましくは3nm〜100nm、さらに好ましくは3nm〜50nmの範囲内で、その平均繊維長が好ましくは0.01μm〜100μm、より好ましくは0.03μm〜50μm、さらに好ましくは0.05μm〜20μmの範囲内でマスターバッチ中に存在する。平均繊維直径が小さすぎたり、平均繊維長が大きすぎるカーボンナノファイバーは樹脂中に均一に分散させることが困難であることがあり、一方、平均繊維直径が大きすぎたり、平均繊維長が小さすぎるカーボンナノファイバーは、特に所望の力学特性付与効果を得ることが出来ないことがある。なお、ここでいう平均繊維直径は、高分解能透過型電子顕微鏡観察などの方法により求めることができる。具体的には、エポキシ樹脂組成物中あるいはプリプレグ中に含まれるカーボンナノファイバーの平均繊維直径は、エポキシ樹脂組成物あるいはプリプレグを加熱硬化させた後、樹脂硬化物あるいは繊維強化複合材料を薄切片に加工した後、高分解能透過型電子顕微鏡などで観察する方法により求めることができる。
また、ここでいう平均繊維長は、例えば、適当な溶媒によりマトリックス樹脂を溶かし出し、濾過などで取り出したカーボンナノファイバーを走査型電子顕微鏡観察することで求めることができる。
また、本発明で用いるカーボンナノファイバーは、表面処理を施されたものであることが好ましい。これにより、エポキシ樹脂との親和性が向上し、成形体の強度、弾性率の向上が期待できる。かかる表面処理の方法は特に限定されないが、例えば、カーボンナノファイバー表面にポリビニルピロリドンなどの極性ポリマーやポリ(アリールエチニレン)などの共役ポリマーを非共有結合的に付着させる方法、硝酸、過マンガン酸などの酸化剤と反応させ酸化させる方法、フッ素ガスにより表面をフッ素化する方法、さらに導入された官能基を、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基、スルホキシル基等、あるいはそれらから誘導された活性な官能基を有する化合物で処理する方法などが挙げられる。
さらに、本発明で用いるカーボンナノファイバーは、元素分析による酸素原子と炭素原子の原子数比(O/C)が0.01〜0.20、好ましくは0.01〜0.15、より好ましくは0.02〜0.12の範囲内にあることが望ましい。かかるO/Cが小さすぎると、硬化の際に構成カーボンナノファイバーが再凝集し、その凝集サイズが大きくなる傾向にあり、それによって繊維強化複合材料の力学特性が低下する傾向がある一方で、大きすぎると、カーボンナノファイバー自体の強度が低下する傾向にあり、繊維強化複合材料の力学特性が低下する場合がある。なお、カーボンナノファイバーのO/Cは、元素分析装置を用いて求めることができる。
本発明においては、本発明の効果を奏する限り、樹脂成分に、前記した本熱可塑性樹脂以外に、他の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、エラストマーなどを含めることもできるが、特に推奨される態様は、樹脂成分中に占める熱可塑性樹脂の割合が、50〜100重量%、好ましくは90〜100重量%、特に好ましくは樹脂成分の全てを熱可塑性樹脂で占めるようにすることである。また、本発明の効果を奏する限り、マスターバッチに、樹脂成分やカーボンナノファイバー以外に後述するような硬化剤や、各種充填剤を含めてもよい。また、マスターバッチの樹脂成分にエポキシ樹脂を用いる場合には、後述するようなエポキシ樹脂組成物を得る際にマスターバッチと配合するに用いられるエポキシ樹脂と同様のものを使用するのが良い。
このようなマスターバッチは、本熱可塑性樹脂を樹脂成分中50〜100重量%の範囲で含む樹脂成分をカーボンナノファイバーと混練することで製造できる。
かかる混練工程で混練中の樹脂成分の温度は0〜300℃、好ましくは180〜300℃、より好ましくは200〜250℃の範囲内であることが望ましい。かかる温度が低すぎる場合には、装置への結露の問題が発生しやすく、大がかりな工程となる場合がある一方で、高すぎる場合には、カーボンナノファイバーや樹脂成分に変性を生じ、所望の力学特性付与効果が得られない場合がある。かかる混練工程で用いられる装置としては、多軸押出混練機等の押出混練機、3本ロール等のオープンロール、ニーダー、プラネタリーミキサー、ホモミキサー、ディゾルバー、ボールミル、ビーズミル等を用いることが好ましく、中でも多軸押出混練機または3本ロールが好適に用いることができる。
本発明において、マスターバッチをエポキシ樹脂に配合し、前記したマスターバッチを1〜90重量%、好ましくは2重量%〜50重量%、より好ましくは3重量%〜30重量%含有したエポキシ樹脂組成物を調整する。マスターバッチの含有量が少ない場合には、エポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化物において所望の力学特性付与効果が得られないし、一方、多すぎると、混練が困難となりカーボンナノファイバーの分散性が低下する。
本発明におけるエポキシ樹脂組成物を得るために、マスターバッチと配合するに用いられるエポキシ樹脂としては、例えば、ノボラック型エポキシ樹脂(ノボラックとエピクロロヒドリンの反応により得られるエポキシ樹脂)、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタンやトリス(グリシジルオキシ)メタンのようなグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、及びテトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾール、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン、テトラグリシジルキシリレンジアミンのようなグリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フタル酸ジグリシジルエステル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ベンゼンジメタノールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とジイソシアネートの反応により得られるエポキシ樹脂、およびこれらの水素添加物や、ハロゲン置換体、アルキル置換体などが使用される。
これらの中でも、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾール、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン、テトラグリシジルキシリレンジアミンのようなグリシジルアミン型エポキシ樹脂を用いた場合、優れた力学特性が得られるため好ましい。この理由については明確ではないが、グリシジルアミン型エポキシ樹脂に含まれるアミノ基と本熱可塑性樹脂との相互作用、アミノ基がカーボンナノファイバーへのエポキシ樹脂の濡れ性を向上させるために、他のエポキシ樹脂と比較して特異的に優れた力学特性示していると考えられる。本発明におけるエポキシ樹脂組成物にはグリシジルアミン型エポキシ樹脂がエポキシ樹脂全体のうち、好ましくは10〜100重量%、さらに好ましくは25〜100重量%、特に好ましくは40〜100重量%含まれる。20重量%より少ないと、上述したような相互作用などが得られない場合がある。
本発明において、エポキシ樹脂組成物には、通常、エポキシ樹脂の硬化剤が含まれるが、その硬化剤は、エポキシ樹脂組成物の調製工程でマスターバッチと共に投入するのが一般的であるが、マスターバッチに予め含まれていても構わない。かかる硬化剤は、エポキシ樹脂との共存下で硬化反応をもたらすものであり、一般的な硬化剤のみならず、開始剤、触媒、硬化促進剤、硬化助剤、およびこれらの組み合わせを含むものである。具体的には、硬化剤として、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミンのような活性水素を有する芳香族アミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、ビス(アミノメチル)ノルボルナン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ポリエチレンイミンのダイマー酸エステルのような活性水素を有する脂肪族アミン、これらの活性水素を有するアミンにエポキシ化合物、アクリロニトリル、フェノールとホルムアルデヒド、チオ尿素などの化合物を反応させて得られる変性アミン、ジメチルアニリン、ジメチルベンジルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールや1−置換イミダゾールのような活性水素を持たない第三アミン、ジシアンジアミド、テトラメチルグアニジン、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルナジック酸無水物のようなカルボン酸無水物、アジピン酸ヒドラジドやナフタレンジカルボン酸ヒドラジドのようなポリカルボン酸ヒドラジド、ノボラック樹脂などのポリフェノール化合物、チオグリコール酸とポリオールのエステルのようなポリメルカプタン、三フッ化ホウ素エチルアミン錯体のようなルイス酸錯体、芳香族スルホニウム塩などがあげられる。これらの中でも本熱可塑性樹脂との相溶性に優れ、優れた力学特性を与えることから、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、およびこれらの混合物が好ましい。また、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、およびこれらの混合物を用いる場合にはエポキシ樹脂のエポキシ基1モルに対し、アミノ基の活性水素が0.6〜1.1モルとなるように配合することが好ましく、0.6〜0.9モルであるとさらに好ましい。
これらの硬化剤には、硬化活性を高めるために適宜硬化助剤を組み合わせることができる。好ましい例としては、ジシアンジアミドに、3−フェニル−1,1−ジメチル尿素、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素(DCMU)、3−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−1,1−ジメチル尿素、2,4−ビス(3,3−ジメチルウレイド)トルエンのような尿素誘導体を硬化助剤として組み合わせる例、カルボン酸無水物やノボラック樹脂に第三アミンを硬化助剤として組み合わせる例などがあげられる。硬化助剤として使用される化合物は、単独でもエポキシ樹脂を硬化させる能力を持つものが好ましい。
本発明において、エポキシ樹脂組成物に本熱可塑性樹脂以外の熱可塑性樹脂やエラストマーを含有させる場合には、それをエポキシ樹脂組成物の調製工程でマスターバッチと共に投入するのが一般的であるが、マスターバッチに予め含まれていても構わない。
本熱可塑性樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、エポキシ樹脂に可溶なものが好ましい。またエポキシ樹脂に不溶のものであっても、粉砕し、微粒子化したものは好ましく、配合することができる。具体的にはポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアラミド、ポリアリレーンオキシド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリカーボネート、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリビニルアセタール、ポリビニルホルマール、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリプロピレン、ポリベンズイミダゾール、ポリメタクリル酸メチルや、エポキシ基と反応し得る官能基を有せず、かつ、下記一般式の構造を有する熱可塑性樹脂等が用いられる。
(式中、R1〜R8はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子および炭素数1〜5のアルキル基からなる群から選ばれた一種を表す。)
本発明に用いるエラストマーとしては、液状ゴム、固形ゴム、熱可塑性エラストマー、コアシェルゴム粒子、架橋ゴム粒子などをいずれも好適に使用できる。また、エラストマー変性エポキシなど、エラストマーを原料とする成分も含まれるものである。
本発明に用いるエラストマーとしては、液状ゴム、固形ゴム、熱可塑性エラストマー、コアシェルゴム粒子、架橋ゴム粒子などをいずれも好適に使用できる。また、エラストマー変性エポキシなど、エラストマーを原料とする成分も含まれるものである。
本発明で得られるエポキシ樹脂組成物は、80℃でのカッソン粘度が0.1〜100Pa・s、かつカッソン降伏値が1〜1000Paであることが好ましい。かかるカッソン粘度が低すぎる場合には、エポキシ樹脂組成物を強化繊維に含浸させた中間材料(プリプレグ)とした際に、裂けを生じる等、その形態を保持しにくく、積層作業に支障をきたすことがある一方、カッソン粘度が大きすぎる場合には、プリプレグのタック性、またはドレープ性が不足し、積層作業に支障をきたすことがある。また、ここでのカッソン降伏値が小さすぎる場合には、カーボンナノファイバーの分散が不十分であり、所望の力学特性付与効果が得られないことがある一方、カッソン降伏値が大きすぎる場合には、成形過程でのエポキシ樹脂組成物の流動性が不足し、成型物にボイドを生じることがある。
本発明のマスターバッチを用いることにより、カーボンナノファイバーの最大凝集サイズが10μm以下、好ましくは5μm以下となっているエポキシ樹脂組成物を得ることができる。かかるエポキシ樹脂組成物によって、硬化物中の応力分布ムラや強化繊維のアラインメント乱れの発生が抑えられ、力学特性に優れた繊維強化複合材料が得られる。なお、エポキシ樹脂組成物中のカーボンナノファイバーの最大凝集サイズは、マスターバッチと同様の方法にて評価することができる。
本発明で得られるエポキシ樹脂組成物を強化繊維に含浸することにより、繊維強化複合材料の中間基材としてのプリプレグを製造することができる。強化繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維などが好ましく用いられる。これらの繊維を2種以上混合して用いても構わないが、より軽量で、より耐久性の高い成形品を得るために、炭素繊維がより好ましく用いられる。また強化繊維の形態や配列については限定されず、例えば、一方向に引き揃えた長繊維、トウ、織物(クロス)、マット、ニット、組み紐などが用いられる。
プリプレグは、マトリックス樹脂となるエポキシ樹脂組成物を溶媒に溶解して低粘度化し、含浸させるウエット法と、加熱により低粘度化し、含浸させるホットメルト法(ドライ法)などの方法により製造することができる。ホットメルト法は、強化繊維とエポキシ樹脂組成物を離型紙などの上にコーティングしたフィルムを両側あるいは片側から重ね、加熱加圧することにより樹脂を含浸させプリプレグを作製する方法である。
このようにして得られたプリプレグを裁断したパターンを積層後、積層物に圧力を付与しながら樹脂を加熱硬化させることにより繊維強化複合材料が作製される。圧力を付与する方法は、プレス成形とオートクレーブ成形が代表的な方法で、その他にもシートワインディング成形、内圧成形などがあり、いずれの方法も利用できる。
さらに、本発明のエポキシ樹脂組成物と強化繊維により、フィラメント・ワインディング法、プルトルージョン法、レジン・インジェクション・モールディング法などの成形法によっても繊維強化複合材料を作製することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。まず、本実施例で用いた各種材料を次に示す。
[エポキシ樹脂]
・“エピクロン(登録商標)”830(大日本インキ工業(株)製、ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂)
・“エピコート(登録商標)”1004(ジャパンエポキシレジン(株)製、ビスフェノールA型固形エポキシ樹脂)
・“スミエポキシ(登録商標)”ELM−434(住友化学(株)製、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン)
[硬化剤]
・“スミキュア(登録商標)”S(住友化学工業(株)、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン)
[熱可塑性樹脂]
・“スミカエクセル”PES5003P(住友化学(株)製、末端にフェノール性水酸基を有するポリエーテルスルホン、数平均分子量:30000)
・“スミカエクセル”PES5200P(住友化学(株)製、末端に塩素基を有するポリエーテルスルホン、数平均分子量:35000)
・DY965(ハンツマン・アドバンスト・マテリアル(株)製、分子中にフェノール性水酸基を有するポリウレタンポリオール)
[カーボンナノファイバー]
・CNF−1:多層カーボンナノチューブ(MWCNT)
K.Hernadi、A.Fonsecaらによる報告を参照(Zeolites 17:416−423、1996)し、酢酸鉄(2g)、酢酸コバルト(2g)、Y型ゼオライト(10g)を秤量し、メタノール(100ml)を加えて、振とう器にて1時間攪拌後、メタノール分を乾燥除去し、触媒を得た。次に、CVD反応装置を用いて、反応管内の石英ウール上に触媒1gをあらかじめセットし、窒素(30cc/分)雰囲気下で600℃まで昇温後、アセチレン(6cc/分)、窒素(30cc/分)雰囲気下で600℃×5時間保持しカーボンナノファイバーを合成した。その後、窒素(30cc/分)雰囲気下で室温まで冷却し、反応混合物を取り出した。
[エポキシ樹脂]
・“エピクロン(登録商標)”830(大日本インキ工業(株)製、ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂)
・“エピコート(登録商標)”1004(ジャパンエポキシレジン(株)製、ビスフェノールA型固形エポキシ樹脂)
・“スミエポキシ(登録商標)”ELM−434(住友化学(株)製、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン)
[硬化剤]
・“スミキュア(登録商標)”S(住友化学工業(株)、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン)
[熱可塑性樹脂]
・“スミカエクセル”PES5003P(住友化学(株)製、末端にフェノール性水酸基を有するポリエーテルスルホン、数平均分子量:30000)
・“スミカエクセル”PES5200P(住友化学(株)製、末端に塩素基を有するポリエーテルスルホン、数平均分子量:35000)
・DY965(ハンツマン・アドバンスト・マテリアル(株)製、分子中にフェノール性水酸基を有するポリウレタンポリオール)
[カーボンナノファイバー]
・CNF−1:多層カーボンナノチューブ(MWCNT)
K.Hernadi、A.Fonsecaらによる報告を参照(Zeolites 17:416−423、1996)し、酢酸鉄(2g)、酢酸コバルト(2g)、Y型ゼオライト(10g)を秤量し、メタノール(100ml)を加えて、振とう器にて1時間攪拌後、メタノール分を乾燥除去し、触媒を得た。次に、CVD反応装置を用いて、反応管内の石英ウール上に触媒1gをあらかじめセットし、窒素(30cc/分)雰囲気下で600℃まで昇温後、アセチレン(6cc/分)、窒素(30cc/分)雰囲気下で600℃×5時間保持しカーボンナノファイバーを合成した。その後、窒素(30cc/分)雰囲気下で室温まで冷却し、反応混合物を取り出した。
前記の反応混合物を、フッ化水素酸10%水溶液中で3時間攪拌後、ろ紙(Toyo Roshi Kaisha、Filter Paper 2号 125mm)を用いてろ過し、ろ紙上の固形物を、イオン交換水、アセトン溶液にて洗浄後、乾燥し、MWCNT(CNF−1)を得た。CNT−1の透過型電子顕微鏡(TEM)観察結果から、平均繊維直径が10nmであることが分かった。
・CNF−2:表面処理MWCNT
CNF−1をフラスコに5g測り取り、濃硫酸150g、60%硝酸50gを加え、100℃で30分加熱した。反応液を水500mlで希釈し、メンブレンフィルターで濾別後、水でよく洗浄し、表面処理MWCNT(CNF−2)を得た。
・CNF−3:気相法炭素繊維(VGCF、昭和電工(株)製)、平均繊維直径150nm、繊維長20〜50μm
・CNF−4:表面処理VGCF
CNF−3をフラスコに5g測り取り、濃硫酸150g、60%硝酸50gを加え、100℃で1時間加熱した。反応液を水500mlで希釈し、メンブレンフィルター(PTFE製、ポアサイズ1μm)で濾別後、水でよく洗浄し、表面処理VGCF(CNF−4)を得た。
・CNF−2:表面処理MWCNT
CNF−1をフラスコに5g測り取り、濃硫酸150g、60%硝酸50gを加え、100℃で30分加熱した。反応液を水500mlで希釈し、メンブレンフィルターで濾別後、水でよく洗浄し、表面処理MWCNT(CNF−2)を得た。
・CNF−3:気相法炭素繊維(VGCF、昭和電工(株)製)、平均繊維直径150nm、繊維長20〜50μm
・CNF−4:表面処理VGCF
CNF−3をフラスコに5g測り取り、濃硫酸150g、60%硝酸50gを加え、100℃で1時間加熱した。反応液を水500mlで希釈し、メンブレンフィルター(PTFE製、ポアサイズ1μm)で濾別後、水でよく洗浄し、表面処理VGCF(CNF−4)を得た。
また、本発明において、各種特性は次のようにして測定する。
[マスターバッチ中のカーボンナノファイバー最大凝集サイズ]
マスターバッチをスライドガラスに少量取り、カバーガラスで挟みこみ、厚み10μm程度の薄膜とした。これを、光学顕微鏡を用いて、10倍の接眼レンズと100倍の対物レンズを使用して、個々の凝集物の凝集サイズを測定する。すなわち、図1に示すように、一つの凝集物に外接する最小の円を描き、その直径を測定し、凝集サイズを得る。任意に3箇所の視野を選択し、それらの視野中で最も大きい凝集サイズを最大凝集サイズとする。なお、それぞれの視野中に凝集サイズが10μmを超える凝集物が一つもない場合、凝集サイズが10μm以下であるといえる。
[樹脂硬化物の曲げ弾性率および曲げ撓み量]
エポキシ樹脂組成物を80℃に加熱してモールドに注入し、180℃の熱風乾燥機中で2時間加熱硬化して厚さ2mmの樹脂硬化板を作製した。次に、樹脂硬化板より、幅10mm、長さ60mmの試験片を切り出し、試験速度2.5mm、支点間距離32mmで3点曲げ試験を行い、JIS K 7203に従い、曲げ弾性率、および曲げ撓み量を求めた。なお、本試験は温度23℃、相対湿度50%の環境で行った。
(実施例1)
表1に示すマスターバッチの組成において、熱可塑性樹脂とカーボンナノファイバーとを、多軸押出機を用いて220℃で混練して、マスターバッチを得た。
[マスターバッチ中のカーボンナノファイバー最大凝集サイズ]
マスターバッチをスライドガラスに少量取り、カバーガラスで挟みこみ、厚み10μm程度の薄膜とした。これを、光学顕微鏡を用いて、10倍の接眼レンズと100倍の対物レンズを使用して、個々の凝集物の凝集サイズを測定する。すなわち、図1に示すように、一つの凝集物に外接する最小の円を描き、その直径を測定し、凝集サイズを得る。任意に3箇所の視野を選択し、それらの視野中で最も大きい凝集サイズを最大凝集サイズとする。なお、それぞれの視野中に凝集サイズが10μmを超える凝集物が一つもない場合、凝集サイズが10μm以下であるといえる。
[樹脂硬化物の曲げ弾性率および曲げ撓み量]
エポキシ樹脂組成物を80℃に加熱してモールドに注入し、180℃の熱風乾燥機中で2時間加熱硬化して厚さ2mmの樹脂硬化板を作製した。次に、樹脂硬化板より、幅10mm、長さ60mmの試験片を切り出し、試験速度2.5mm、支点間距離32mmで3点曲げ試験を行い、JIS K 7203に従い、曲げ弾性率、および曲げ撓み量を求めた。なお、本試験は温度23℃、相対湿度50%の環境で行った。
(実施例1)
表1に示すマスターバッチの組成において、熱可塑性樹脂とカーボンナノファイバーとを、多軸押出機を用いて220℃で混練して、マスターバッチを得た。
得られたマスターバッチと残りの樹脂原料とを表1に示す組成で、ニーダー混練機によって混練してエポキシ樹脂組成物を得た。なお、ニーダー混練に際しては、残りの樹脂原料のうち、まずエポキシ樹脂とマスターバッチとを投入し150℃で2時間混練した後、60℃に降温後、硬化剤を投入してさらに混練した。
得られたエポキシ樹脂組成物をオーブン中、180℃で2時間硬化することにより樹脂硬化物を得た。表1に、得られたマスターバッチ、エポキシ樹脂組成物および樹脂硬化物の特性を併せて示す。得られたマスターバッチに3μmのサイズの凝集物が見られたが、樹脂曲げ特性は問題ないレベルであった。
(実施例2)
マスターバッチの組成を表1のとおり変更した以外は、実施例1と同様にしてマスターバッチ、エポキシ樹脂組成物および樹脂硬化物を得た。表1に、得られたマスターバッチ、エポキシ樹脂組成物および樹脂硬化物の特性を併せて示す。図2に示すとおり、マスターバッチ凝集物は全く見られず、得られた樹脂硬化物の曲げ特性は問題ないレベルであった。
(実施例2)
マスターバッチの組成を表1のとおり変更した以外は、実施例1と同様にしてマスターバッチ、エポキシ樹脂組成物および樹脂硬化物を得た。表1に、得られたマスターバッチ、エポキシ樹脂組成物および樹脂硬化物の特性を併せて示す。図2に示すとおり、マスターバッチ凝集物は全く見られず、得られた樹脂硬化物の曲げ特性は問題ないレベルであった。
(実施例3〜8)
マスターバッチの組成を表1のとおり変更した以外は、実施例1と同様にしてマスターバッチ、エポキシ樹脂組成物および樹脂硬化物を得た。表1に、得られたマスターバッチ、エポキシ樹脂組成物および樹脂硬化物の特性を併せて示す。得られた樹脂硬化物の曲げ特性は問題ないレベルであった。
(比較例1)
マスターバッチの代わりにポリエーテルスルホンを用いてカーボンナノファイバーを含まない組成にした以外は、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物および樹脂硬化物を得た。表1に、得られたマスターバッチ、エポキシ樹脂組成物および樹脂硬化物の特性を併せて示す。得られた樹脂硬化物は、樹脂曲げ弾性率が不十分なものであった。
(比較例2)
マスターバッチの組成を表1のとおり変更した以外は、実施例1と同様にしてマスターバッチ、エポキシ樹脂組成物および樹脂硬化物を得た。表1に、得られたマスターバッチ、エポキシ樹脂組成物および樹脂硬化物の特性を併せて示す。得られたマスターバッチに凝集物は全く見られなかったが、得られた樹脂硬化物には22μmのサイズの凝集物が見られ、樹脂曲げ撓み量が不十分なものであった。
(比較例3)
マスターバッチの組成を表1のとおり変更した以外は、実施例1と同様にしてマスターバッチ、エポキシ樹脂組成物および樹脂硬化物を得た。表1に、得られたマスターバッチ、エポキシ樹脂組成物および樹脂硬化物の特性を併せて示す。得られたマスターバッチに凝集物は全く見られなかったが、図3に示す通り、得られた樹脂硬化物には43μmのサイズの凝集物が見られ、樹脂曲げ撓み量が不十分なものであった。
(比較例4)
マスターバッチの組成を表1のとおり変更し、かつ、マスターバッチ作製の混練温度を35℃にした以外は、実施例1と同様にしてマスターバッチ、エポキシ樹脂組成物および樹脂硬化物を得た。表1に、得られたマスターバッチ、エポキシ樹脂組成物および樹脂硬化物の特性を併せて示す。得られた樹脂硬化物には58μmのサイズの凝集物が見られ、樹脂曲げ撓み量が不十分なものであった。
(実施例2)
マスターバッチの組成を表1のとおり変更した以外は、実施例1と同様にしてマスターバッチ、エポキシ樹脂組成物および樹脂硬化物を得た。表1に、得られたマスターバッチ、エポキシ樹脂組成物および樹脂硬化物の特性を併せて示す。図2に示すとおり、マスターバッチ凝集物は全く見られず、得られた樹脂硬化物の曲げ特性は問題ないレベルであった。
(実施例2)
マスターバッチの組成を表1のとおり変更した以外は、実施例1と同様にしてマスターバッチ、エポキシ樹脂組成物および樹脂硬化物を得た。表1に、得られたマスターバッチ、エポキシ樹脂組成物および樹脂硬化物の特性を併せて示す。図2に示すとおり、マスターバッチ凝集物は全く見られず、得られた樹脂硬化物の曲げ特性は問題ないレベルであった。
(実施例3〜8)
マスターバッチの組成を表1のとおり変更した以外は、実施例1と同様にしてマスターバッチ、エポキシ樹脂組成物および樹脂硬化物を得た。表1に、得られたマスターバッチ、エポキシ樹脂組成物および樹脂硬化物の特性を併せて示す。得られた樹脂硬化物の曲げ特性は問題ないレベルであった。
(比較例1)
マスターバッチの代わりにポリエーテルスルホンを用いてカーボンナノファイバーを含まない組成にした以外は、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物および樹脂硬化物を得た。表1に、得られたマスターバッチ、エポキシ樹脂組成物および樹脂硬化物の特性を併せて示す。得られた樹脂硬化物は、樹脂曲げ弾性率が不十分なものであった。
(比較例2)
マスターバッチの組成を表1のとおり変更した以外は、実施例1と同様にしてマスターバッチ、エポキシ樹脂組成物および樹脂硬化物を得た。表1に、得られたマスターバッチ、エポキシ樹脂組成物および樹脂硬化物の特性を併せて示す。得られたマスターバッチに凝集物は全く見られなかったが、得られた樹脂硬化物には22μmのサイズの凝集物が見られ、樹脂曲げ撓み量が不十分なものであった。
(比較例3)
マスターバッチの組成を表1のとおり変更した以外は、実施例1と同様にしてマスターバッチ、エポキシ樹脂組成物および樹脂硬化物を得た。表1に、得られたマスターバッチ、エポキシ樹脂組成物および樹脂硬化物の特性を併せて示す。得られたマスターバッチに凝集物は全く見られなかったが、図3に示す通り、得られた樹脂硬化物には43μmのサイズの凝集物が見られ、樹脂曲げ撓み量が不十分なものであった。
(比較例4)
マスターバッチの組成を表1のとおり変更し、かつ、マスターバッチ作製の混練温度を35℃にした以外は、実施例1と同様にしてマスターバッチ、エポキシ樹脂組成物および樹脂硬化物を得た。表1に、得られたマスターバッチ、エポキシ樹脂組成物および樹脂硬化物の特性を併せて示す。得られた樹脂硬化物には58μmのサイズの凝集物が見られ、樹脂曲げ撓み量が不十分なものであった。
Claims (6)
- 樹脂成分を総量で60〜95重量%含むとともに、カーボンナノファイバーを5〜40重量%含むマスターバッチであって、樹脂成分に、エポキシ基と反応し得る官能基を有し、かつ、下記一般式の構造を有する熱可塑性樹脂を、樹脂成分中50〜100重量%含むエポキシ樹脂組成物用マスターバッチ。
- 前記熱可塑性樹脂が、フェノール性水酸基を有するポリエーテルスルホンである請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物用マスターバッチ。
- カーボンナノファイバーは、その凝集サイズが10μm以下である請求項1または2に記載のエポキシ樹脂組成物用マスターバッチ。
- カーボンナノファイバーが表面処理を施されたものである請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物用マスターバッチ。
- エポキシ樹脂、エポキシ樹脂硬化剤および請求項1〜4のいずれかに記載のマスターバッチを含んでなるエポキシ樹脂組成物
- エポキシ樹脂としてグリシジルアミン型エポキシ樹脂を含む請求項5に記載のエポキシ樹脂組成物。
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-
2006
- 2006-06-14 JP JP2006164320A patent/JP2007332234A/ja active Pending
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