プラズマディスプレイパネル(以下、「PDP」という)として代表的な交流面放電型パネルは、対向配置された2つの基板の前面板と背面板との間に多数の放電セルが形成されている。前面板は、対をなして互いに平行な走査電極と維持電極とからなる表示電極対が前面ガラス基板上に複数対形成され、それら表示電極を覆うように誘電体層および保護層(例えばMgO薄膜)が形成されている。背面板は、背面ガラス基板上に複数の平行なデータ電極と、それらを覆うように誘電体層と、さらにその上にデータ電極と平行に複数の隔壁がそれぞれ形成され、誘電体層の表面と隔壁の側面とに蛍光体層が形成されている。そして、表示電極とデータ電極とが立体交差するように前面板と背面板とが対向配置されて密封され、内部の放電空間には放電ガスが封入されている。ここで各放電セルが、1つの表示電極対と1つのデータ電極とを備え、それらの間の放電空間を含んで構成される。
このようなPDPを備えたプラズマディスプレイ装置には、PDPの各電極にそれぞれ駆動電位信号を与えるための駆動回路、具体的には、走査電極に駆動電位信号を与える走査電極駆動回路、維持電極に駆動電位信号を与える維持電極駆動回路、データ電極に駆動電位信号を与えるデータ電極駆動回路が備えられている。
プラズマディスプレイ装置では、通常1秒間当りに50から100枚程度の画像が表示されており、その画像の1つ1つはフィールドと呼ばれる。PDPの駆動方法においては、そのフィールドを更に複数のサブフィールドに分割した上で、発光させるサブフィールドの組み合わせによって階調表示を行う方法が一般的である(サブフィールド法)。
図6はサブフィールド法を用いた従来のPDPの駆動方法による各電極に与える駆動電位信号の波形図である。ここで用いられるPDPは、例えば図2に示されるように、行方向にn本の走査電極SCN1〜SCNnおよびn本の維持電極SUS1〜SUSnが交互に配列され、列方向にm本のデータ電極D1〜Dmが配列されている。
1フィールド期間は、それぞれ初期化期間、書込み期間および維持期間を有する第1〜第xのx個のサブフィールドで構成されているものとし、それぞれ第1SF、第2SF、・・・、第xSFと略記する。また、初期化期間においては、画像表示を行うすべての放電セルに対して初期化放電を行わせる全セル初期化動作と、直前のサブフィールドの維持期間中に点灯した放電セルに対してのみ選択的に初期化放電を行わせる選択初期化動作とのうちのいずれかの動作を行うようにしている。例えば、表示すべき画像データの平均輝度レベル(APL)に基づいて、各々のサブフィールドの初期化期間において全セル初期化動作か選択初期化動作のいずれの動作を行うかを決定する(例えば、特許文献1参照)。
まず、初期化期間に全セル初期化動作を行うサブフィールドにおける動作を説明する。
例えば第1SFの初期化期間では、全セル初期化動作を行う。この初期化期間の前半部では、走査電極SCN1〜SCNnに緩やかに上昇するランプ電位を与えることにより、走査電極SCN1〜SCNnを陽極とし維持電極SUS1〜SUSnおよびデータ電極D1〜Dmを陰極とする微弱な初期化放電を起こし、書込み動作に必要な壁電荷を各電極上に形成する。このとき後で壁電荷の最適化を図ることを見越して過剰に壁電荷を形成しておく。そして、初期化期間の後半部では、走査電極SCN1〜SCNnに緩やかに下降するランプ電位を与えることにより走査電極SCN1〜SCNnを陰極とし維持電極SUS1〜SUSnおよびデータ電極D1〜Dmを陽極とする微弱な2回目の初期化放電を起こし、各電極上に過剰に蓄えられた壁電荷を減らし、各々の放電セルに対して適切な量の壁電荷に調整する。
次に、第1SFの書込み期間では、後に続く維持期間において点灯させるべき放電セルにおいて書込み放電を起こす。書込み期間では、まず、1行目の走査電極SCN1に走査パルス電位Vb(V)を与えるとともに、データ電極D1〜Dmのうち、1行目に点灯させるべき放電セルのデータ電極Dkに正の書込みパルス電位Vw(V)を与えることにより、1行目に点灯させるべき放電セルで書込み放電を起こして各電極上に壁電荷を蓄積する書込み動作が行われる。このような書込み動作をn行目の放電セルに至るまで順次行い、書込み期間が終了する。このように、書込み期間では、走査電極に順次走査パルスを与えるとともに、データ電極には表示すべき画像信号に対応した書込みパルス電位を与えることにより、走査電極とデータ電極との間で選択的に書込み放電を起こし、選択的に壁電荷形成を行う。
次に、第1SFの維持期間では、走査電極SCN1〜SCNnおよび維持電極SUS1〜SUSnに交互に維持パルス電位Vm(V)を与えることにより、書込み放電を起こした放電セルにおいて維持放電を起こし、対応する放電セルの蛍光体層を発光させることにより画像表示を行う。
次に、初期化期間に選択初期化動作を行うサブフィールドにおける動作を説明する。
例えば第2SFの初期化期間では、選択初期化動作を行う。この初期化期間では、維持電極SUS1〜SUSnをVh(V)に保持し、データ電極D1〜Dmを0(V)に保持し、走査電極SCN1〜SCNnにVq(V)からVa(V)に向かって緩やかに下降するランプ電位を与える。これにより、直前のサブフィールドの維持期間で維持放電を行った放電セルにおいて微弱な初期化放電が発生し、走査電極SCNi、維持電極SUSi及びデータ電極Dk上の過剰な壁電荷が減らされ、書込み動作に適した壁電荷量に調整される。一方、直前のサブフィールドで書込み放電および維持放電が行われなかった放電セルについては、放電は発生しない。
この後に続く書込み期間および維持期間については、初期化期間に全セル初期化動作を行うサブフィールド(例えば第1SF)の書込み期間および維持期間と同様であるため説明を省略する。
次に、以上のような一連の期間によるPDPの駆動における問題点について図7、図8、図9を用いて説明する。
図7に、あるサブフィールドの書込み期間を示す。また、図8(a)、(b)にそれぞれ図7の時刻t1、t2でのセル内の壁電荷の状態を模式的に示す。図7の時刻t1での放電セル内の壁電荷の分布は、図8(a)に示すように、初期化期間終了直後のため、走査電極SCN(SCN1〜SCNn)側に負の壁電荷が、維持電極SUS(SUS1〜SUSn)側とデータ電極DATA(D1〜Dm)側に正の壁電荷がそれぞれ十分に蓄積された状態となる。それに対して、図7の時刻t2での放電セル内の各電極の壁電荷の分布は、図8(b)に示すように、図8(a)の場合に比べて減少した状態となる。これは、初期化放電や維持放電によって放電セル空間中に浮遊していたプライミング粒子や、維持放電によって活性化して保護層のMgOから放出される電子等が、書込み待機中の放電セル内の電界によって加速され、初期化放電によって蓄積された壁電荷が徐々に中和されるためである。
図8(a)の状態で書込み動作が行われると、十分な壁電荷およびプライミング粒子のため、放電遅れが小さくなり良好な書込み放電が可能となる。一方、図8(b)の状態で書込み動作が行われると、壁電荷およびプライミング粒子とも不十分であるため、放電遅れが大きくなり書込みミスが多発し、良好な画質を得ることができなくなる。このような現象を抑えるために、走査パルス電圧Vscnの電圧を高くすることにより、書込み待機時の放電セル内の電界を弱め、壁電荷の中和を抑制する手法がとられている。図9は書込み待機時間に対して良好な書込み放電を行うために必要である走査パルス電圧Vscnの一例を示した図である(駆動方法やPDPによって異なる)。ここでいう書込み待機時間とは、(走査電極数n)×(1本の走査電極に対する走査パルスの付与時間)+(各走査パルス間の時間の合計)で示されるものである。走査パルス電圧Vscnは、走査電極駆動回路に使用されるドライバ回路の耐圧によってその上限が決まるため、図9に示すような駆動可能範囲が存在する。近年のフルスペックハイビジョン対応やスーパーハイビジョン(2k4k)等の高解像度化によって、書込み待機時間が急増しており、この駆動可能範囲内での駆動が困難となってきている。
このような問題に対して、書込み期間を前半と後半の期間に分け、前半の書込み期間中に、後半の書込み期間に選択される走査電極に対して、壁電荷の中和を抑制するための所定の電位を与えることにより、上記の電荷中和現象を軽減するPDPの駆動方法が開示されている(例えば、特許文献2、3参照)。
特開2005−326611号公報
特許第3511495号公報
特開2005−316480号公報
上記のように、書込み期間を前半と後半の期間に分け、前半の書込み期間中に、後半の書込み期間に選択される走査電極に対して、壁電荷の中和を抑制するための所定の電位を与えることにより、書込みミスをある程度低減することが可能になる。しかしながらこの方法でも書込みミスを完全に無くすことは困難であり、さらに書込みミスを低減するために改善の余地がある。なお、書込みミスとは、書込み放電が行われるべき放電セルに対し、十分な書込み放電が発生しないことや、全く書込み放電が発生しないことにより、維持期間において維持放電が行われない(不灯になる)現象のことである。
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、書込みミスをより低減し、良好な画質を得ることができるプラズマディスプレイパネルの駆動方法及びプラズマディスプレイ装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明のプラズマディスプレイパネルの駆動方法は、それぞれ対をなす走査電極及び維持電極からなる複数の表示電極対と複数のデータ電極とが隙間を有して交差するように配設され、前記表示電極対と前記データ電極とのそれぞれの隙間からなる放電空間と、前記放電空間となる前記隙間を形成する前記表示電極対及び前記データ電極とを有する複数の放電セルを有したプラズマディスプレイパネルの駆動方法であって、前記表示電極対を、複数の電極グループにグループ分けし、1フィールド期間を、それぞれ、前記放電セル内部を書込み放電が可能な帯電状態にするための初期化期間と、前記初期化期間の後に続く期間であって点灯させるべき前記放電セルに前記書込み放電を生じさせるための書込み期間と、前記書込み期間の後に続く期間であって前記書込み放電を生じさせた前記放電セルを点灯させるための維持期間とを有する複数のサブフィールド期間に分割し、各サブフィールド期間の前記書込み期間を、それぞれ異なる1つの前記電極グループを割り当てるようにして複数のサブ期間に分割し、それぞれの前記サブ期間に、前記サブ期間に割り当てられた電極グループの前記放電セルのうち前記点灯させるべき放電セルに前記書込み放電を生じさせるために、前記サブ期間に割り当てられた電極グループの前記維持電極に対し、第1待機電位を与えるとともに、前記走査電極に対し、選択と非選択とに応じて選択電位と第1非選択電位とを与えるようにして前記走査電極を順次選択し、各々の前記走査電極の選択と同期して選択すべき前記データ電極に書込み電位を与えるようにし、前記複数のサブ期間のうち最後の前記サブ期間を除く一の前記サブ期間においてそれぞれの前記走査電極に対して前記選択電位を与える時間を、前記最後のサブ期間においてそれぞれの前記走査電極に対して前記選択電位を与える時間よりも短くし、一の前記電極グループに割り当てたサブ期間より前のいずれかの前記サブ期間において、前記一の電極グループの維持電極に対し、前記第1待機電位より低い第2待機電位を与えるようにしている。
この駆動方法によれば、初期化期間の後に続く書込み期間を複数のサブ期間に分割し、ある電極グループ(電極グループαとする)を割り当てたサブ期間より前のいずれかのサブ期間において、その電極グループαの維持電極に対し、第1待機電位より低い第2待機電位を与えることにより、電極グループαに対応する放電セルにおいて、従来問題になっていた壁電荷の中和をより抑制することができる。
さらに、あるサブ期間(例えば、サブ期間Txとする)において走査電極に対して選択電位を与える時間を、最後のサブ期間において走査電極に対して選択電位を与える時間よりも短くすることにより、サブ期間Txを短縮し、サブ期間Txより後のサブ期間を初期化期間終了時に近づけることができ、サブ期間Txより後のサブ期間において書込み放電の対象となりうる放電セルの書込み待機中における壁電荷及びプライミング粒子の減少を抑えることが可能になる。
以上のことから、初期化期間終了時における書込み放電が可能な帯電状態の維持をより良好に行うことができ、書込み待機時間の増加による書込みミスをより低減することが可能になる。
なおここで、前記一の電極グループに割り当てたサブ期間より前のいずれかの前記サブ期間において、前記一の電極グループの走査電極に対し、前記第1非選択電位より高い第2非選択電位を与える駆動を、上記駆動方法と共に併用することが望ましい。
こうすれば、初期化期間の後に続く書込み期間を複数のサブ期間に分割し、ある電極グループ(電極グループαとする)を割り当てたサブ期間より前のいずれかのサブ期間において、その電極グループαの走査電極に対し、第1非選択電位より高い第2非選択電位を与えるともに、電極グループαの維持電極に対し、第1待機電位より低い第2待機電位を与えることになり、電極グループαに対応する放電セルにおいて、従来問題になっていた壁電荷の中和がより適切に抑制され、初期化期間終了時における書込み放電が可能な帯電状態の維持をより良好に行うことができ、書込み待機時間の増加による書込みミスをより低減することが可能になる。
また、各サブフィールド期間において、前記初期化期間に、前記走査電極に対し、上昇後に下降する第1のランプ電位と、前記第1のランプ電位の最高電位よりも低い電位から下降する第2のランプ電位とのうちのいずれかを与えるようにし、前記第2非選択電位は、前記第1のランプ電位の最高電位より低いようにすればよい。
また、前記第2待機電位は、前記選択電位より高いようにすればよい。
また、前記第2待機電位は、接地電位であるようにしてもよい。
また、前記電極グループのグループ数が2つであるようにしてもよい。
電極グループのグループ数の増加は、走査電極及び維持電極を駆動する回路の複雑化及び制御の複雑化を招くことになり、このようなデメリットを考慮すれば電極グループのグループ数を2つにするのが好ましい。
また、前記一の電極グループの前記走査電極に対し、前記第1非選択電位から前記第2非選択電位に変化する第1電位パルスを与えるとともに、前記一の電極グループの前記維持電極に対し、前記第1待機電位から前記第2待機電位に変化する第2電位パルスを与え、前記第1電位パルスによる前記第2非選択電位の付与期間と、前記第2電位パルスによる前記第2待機電位の付与期間と、が異なるようにしてもよい。
これにより、走査電極に付与される急激な電位の変化および、維持電極に付与される急激な電位の変化の同時発生が回避され、このような電位変化の相互干渉に基づくPDPの放射ノイズを適切に低減できる。
また、前記放電セルに、分圧比が7%以上のキセノンガスを含む放電ガスが充填されるようにしてもよい。
放電セル内のキセノンガスの分圧比が7%以上の高い分圧比において書込み待機時間の増加による書込みミスが多発していたので、この場合に書込みミスをより効果的に低減することができる。
また、各々の前記データ電極が全ての前記走査電極と交差するように配設され、前記書込み期間において前記走査電極を1本ずつ選択するようにしてもよい。
これはシングルスキャン方式を用いた方法であり、このシングルスキャン方式では、ダブルスキャン方式よりも書込み待機時間が増加するため、この場合に書込みミスをより効果的に低減することができる。
また、各々の前記放電セルの占有面積が、2.696×10-4cm2以上、4.432×10-3cm2以下であってもよい。
プラズマディスプレイパネルの解像度が例えば100万画素(HD)以上のように高くなると、上記のように放電セルの面積が小さくなり、書込み待機時間の増加に伴う書込みミスが発生しやすくなるため、この場合に書込みミスをより効果的に低減することができる。
また、本発明のプラズマディスプレイ装置は、それぞれ対をなす走査電極及び維持電極からなる複数の表示電極対と複数のデータ電極とが間隙を有して交差するように配設され、前記表示電極対と前記データ電極とのそれぞれの間隙からなる放電空間と、前記放電空間となる前記間隙を形成する前記表示電極対及び前記データ電極とを有する複数の放電セルを有したプラズマディスプレイパネルと、前記プラズマディスプレイパネルを駆動する駆動装置とを備え、前記駆動装置は、前記表示電極対を、複数の電極グループにグループ分けし、1フィールド期間を、それぞれ、前記放電セル内部を書込み放電が可能な帯電状態にするための初期化期間と、前記初期化期間の後に続く期間であって点灯させるべき前記放電セルに前記書込み放電を生じさせるための書込み期間と、前記書込み期間の後に続く期間であって前記書込み放電を生じさせた前記放電セルを点灯させるための維持期間とを有する複数のサブフィールド期間に分割し、各サブフィールド期間の前記書込み期間を、それぞれ異なる1つの前記電極グループを割り当てるようにして複数のサブ期間に分割し、それぞれの前記サブ期間に、前記サブ期間に割り当てられた電極グループの前記放電セルのうち前記点灯させるべき放電セルに前記書込み放電を生じさせるために、前記サブ期間に割り当てられた電極グループの前記維持電極に対し、第1待機電位を与えるとともに、前記走査電極に対し、選択と非選択とに応じて選択電位と第1非選択電位とを与えるようにして前記走査電極を順次選択し、各々の前記走査電極の選択と同期して選択すべき前記データ電極に書込み電位を与えるようにし、前記複数のサブ期間のうち最後の前記サブ期間を除く一の前記サブ期間においてそれぞれの前記走査電極に対して前記選択電位を与える時間を、前記最後のサブ期間においてそれぞれの前記走査電極に対して前記選択電位を与える時間よりも短くし、一の前記電極グループに割り当てたサブ期間より前のいずれかの前記サブ期間において、前記一の電極グループの前記維持電極に対し、前記第1待機電位より低い第2待機電位を与えるように構成されている。
この構成によれば、初期化期間の後に続く書込み期間を複数のサブ期間に分割し、ある電極グループ(電極グループαとする)を割り当てたサブ期間より前のいずれかのサブ期間において、その電極グループαの維持電極に対し、第1待機電位より低い第2待機電位を与えることにより、電極グループαに対応する放電セルにおいて、従来問題になっていた壁電荷の中和をより抑制することができる。
さらに、あるサブ期間(例えば、サブ期間Txとする)において走査電極に対して選択電位を与える時間を、最後のサブ期間において走査電極に対して選択電位を与える時間よりも短くすることにより、サブ期間Txを短縮し、サブ期間Txより後のサブ期間を初期化期間終了時に近づけることができ、サブ期間Txより後のサブ期間において書込み放電の対象となりうる放電セルの書込み待機中における壁電荷及びプライミング粒子の減少を抑えることが可能になる。
以上のことから、初期化期間終了時における書込み放電が可能な帯電状態の維持をより良好に行うことができ、書込み待機時間の増加による書込みミスをより低減することが可能になる。
なおここで、前記一の電極グループに割り当てたサブ期間より前のいずれかの前記サブ期間において、前記一の電極グループの前記走査電極に対し、前記第1非選択電位より高い第2非選択電位を与える駆動を上記駆動方法と共に併用することが望ましい。
こうすれば、初期化期間の後に続く書込み期間を複数のサブ期間に分割し、ある電極グループ(電極グループαとする)を割り当てたサブ期間より前のいずれかのサブ期間において、その電極グループαの走査電極に対し、第1非選択電位より高い第2非選択電位を与えるともに、電極グループαの維持電極に対し、第1待機電位より低い第2待機電位を与えることになり、電極グループαに対応する放電セルにおいて、従来問題になっていた壁電荷の中和がより適切に抑制され、初期化期間終了時における書込み放電が可能な帯電状態の維持をより良好に行うことができ、書込み待機時間の増加による書込みミスをより低減することが可能になる。
また、前記駆動装置は、各サブフィールド期間において、前記初期化期間に、前記走査電極に対し、上昇後に下降する第1のランプ電位と、前記第1のランプ電位の最高電位よりも低い電位から下降する第2のランプ電位とのうちのいずれかを与えるようにし、前記第2非選択電位は、前記第1のランプ電位の最高電位より低いようにすればよい。
また、前記第2待機電位は、前記選択電位より高いようにすればよい。
また、前記第2待機電位は、接地電位であるようにしてもよい。
また、前記電極グループのグループ数が2つであるようにしてもよい。
電極グループのグループ数の増加は、走査電極及び維持電極を駆動する回路の複雑化及び制御の複雑化を招くことになり、このようなデメリットを考慮すれば電極グループのグループ数を2つにするのが好ましい。
また、前記駆動装置は、前記一の電極グループの前記走査電極に対し、前記第1非選択電位から前記第2非選択電位に変化する第1電位パルスを与えるとともに、前記一の電極グループの前記維持電極に対し、前記第1待機電位から前記第2待機電位に変化する第2電位パルスを与え、前記第1電位パルスによる前記第2非選択電位の付与期間と、前記第2電位パルスによる前記第2待機電位の付与期間と、が異なるようにしてもよい。
これにより、走査電極に付与される急激な電位の変化および、維持電極に付与される急激な電位の変化の同時発生が回避され、このような電位変化の相互干渉に基づくPDPの放射ノイズを適切に低減できる。
また、前記放電セルに、分圧比が7%以上のキセノンガスを含む放電ガスが充填されているようにしてもよい。
放電セル内のキセノンガスの分圧比が7%以上の高い分圧比において書込み待機時間の増加による書込みミスが多発していたので、この場合に書込みミスをより効果的に低減することができる。
また、各々の前記データ電極が全ての前記走査電極と交差するように配設され、前記駆動装置は前記書込み期間において前記走査電極を1本ずつ選択するようにしてもよい。
これはシングルスキャン方式を用いた構成であり、このシングルスキャン方式では、ダブルスキャン方式よりも書込み待機時間が増加するため、この場合に書込みミスをより効果的に低減することができる。
また、各々の前記放電セルの占有面積が、2.696×10-4cm2以上、4.432×10-3cm2以下であってもよい。
プラズマディスプレイパネルの解像度が例えば100万画素(HD)以上のように高くなると、上記のように放電セルの面積が小さくなり、書込み待機時間の増加に伴う書込みミスが発生しやすくなるため、この場合に書込みミスをより効果的に低減することができる。
本発明は、以上に説明した構成を有し、書込みミスをより低減し、良好な画質を得ることができるプラズマディスプレイパネルの駆動方法及びプラズマディスプレイ装置を提供することができるという効果を奏する。
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態に用いるプラズマディスプレイパネルの要部を示す斜視図である。
このプラズマディスプレイパネル1(以下、「PDP1」という)は、ガラス製の前面基板2と背面基板3とを互いに主面を対向配置して、その間に放電空間を形成するように構成されている。前面基板2の主面には、表示電極対を構成する走査電極4と維持電極5とが互いに平行に対をなして複数形成されている。そして、走査電極4および維持電極5を覆うように誘電体層6が形成され、さらに誘電体層6を覆う保護層7が形成されている。保護層7としては安定した放電を発生させるために二次電子放出係数が大きくかつ耐スパッタ性の高い材料が望ましく、例えば、MgO薄膜が用いられている。また、背面基板3の主面には、複数のデータ電極9が形成され、その上にデータ電極9を覆う絶縁体層8が形成され、データ電極9の間の絶縁体層8上にデータ電極9と平行して隔壁10が設けられている。また、絶縁体層8の表面および隔壁10の側面に蛍光体層11が設けられている。そして、走査電極4および維持電極5とデータ電極9とが交差するように前面基板2と背面基板3とを対向配置しており、その間に形成される放電空間には、放電ガスとして、例えば、ヘリウム、ネオン、キセノンまたはこれらの混合ガスが封入されている。
図2は本発明の実施の形態に用いるPDP1の電極配列図である。行方向にn本の走査電極SCN1〜SCNn(図1の走査電極4)およびn本の維持電極SUS1〜SUSn(図1の維持電極5)が交互に配列され、列方向にm本のデータ電極D1〜Dm(図1のデータ電極9)が配列されている。そして、対をなす走査電極SCNiおよび維持電極SUSi(i=1〜n)と1つのデータ電極Dj(j=1〜m)とが、放電空間を挟んで交差する領域およびその近傍領域が画像表示に寄与する1つの放電セル21となる。したがって、各放電セル21は、1対の表示電極対(走査電極SCNiおよび維持電極SUSi)と1つのデータ電極とを備え、それらの間の放電空間を含んで構成される。このPDP1には、放電セル21がm×n個形成されている。
このような構成のPDP1において、各放電セル内でガス放電により紫外線を発生させ、この紫外線で蛍光体層11の蛍光体を励起発光させる。蛍光体層11を放電セルごとに、例えば、光の3原色である赤緑青(RGB)に塗り分ければ、カラー表示を行うことができる。
図3は本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置の構成を示すブロック図である。
本実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置は、PDP1と、その駆動装置とを備えている。駆動装置は、データ電極駆動回路12、走査電極駆動回路13、維持電極駆動回路14、タイミング発生回路15、A/D(アナログ・デジタル)変換器16、走査数変換部17、サブフィールド変換部18及びAPL(アベレージ・ピクチャ・レベル)検出部19を備えて構成されている。
図3において、水平同期信号Hおよび垂直同期信号Vはタイミング発生回路15、AD変換器16、走査数変換部17及びサブフィールド変換部18に入力される。
タイミング発生回路15は、水平同期信号Hおよび垂直同期信号Vをもとにして各々の駆動回路12、13、14のタイミング信号を発生し、各々のタイミング信号をデータ電極駆動回路12、走査電極駆動回路13および維持電極駆動回路14に与える。データ電極駆動回路12は、与えられるタイミング信号に基づいてデータ電極D1〜Dmを駆動し、走査電極駆動回路13は、与えられるタイミング信号に基づいて走査電極SCN1〜SCNnを駆動し、維持電極駆動回路14は、与えられるタイミング信号に基づいて維持電極SUS1〜SUSnを駆動する。
また、アナログの画像信号VDはA/D変換器16に入力される。A/D変換器16は、アナログの画像信号VDをデジタル信号の画像データに変換し、その画像データを走査数変換部17およびAPL検出部19に出力する。APL検出部19は画像データの平均輝度レベル(APL)を検出し、タイミング発生回路15へ出力する。走査数変換部17は、画像データをPDP1の画素数に応じた画像データに変換し、サブフィールド変換部18に出力する。サブフィールド変換部18は、各画素の画像データを、1フィールドを構成する複数のサブフィールドに対応する複数のビットに分割し、サブフィールド毎の画像データをデータ電極駆動回路12に出力する。データ電極駆動回路12は、サブフィールド毎の画像データを各データ電極D1〜Dmに対応する信号に変換し、その信号に基づいて各々のサブフィールドの書込み期間において各データ電極D1〜Dmを駆動する。
また、タイミング発生回路15は、APL検出部19から出力される平均輝度レベルに基づいて、1フィールドを構成する各々のサブフィールドの初期化期間において全セル初期化動作か選択初期化動作のいずれの動作を行うかを決定して、1フィールド内の全セル初期化動作の回数を制御する。このような構成は、公知であり(例えば、特開2005−326611号公報等)、その詳細な説明は省略する。また、本実施の形態では、全セル初期化動作を行うか、あるいは選択初期化動作を行うかの決定を画像データの平均輝度レベルに基づいて行うようにしているが、このような構成に限られるものではなく、例えば、APL検出部19を設けずに、各々のサブフィールドの初期化期間について全セル初期化動作を行うか、あるいは選択初期化動作を行うかが予め定められてあってもよい。
図4は、本発明の実施の形態における走査電極及び維持電極とそれぞれの駆動回路との接続関係を示す図である。
走査電極SCN1〜SCNnは、PDP1内部においては、PDP1の上端から下端方向へ、SCN1、SCN2、・・・SCNnの順に配列されており、それぞれ外部へ引き出されて走査電極駆動回路13へ接続されている。同様に維持電極SUS1〜SUSnは、PDP1内部においては、PDP1の上端から下端方向へ、SUS1,SUS2,・・・SUSnの順に配列されて、それぞれ外部へ引き出されて維持電極駆動回路14へ接続されている。
走査電極駆動回路13は、その内部に第1駆動回路13A及び第2駆動回路13Bを有している。また、走査電極駆動回路13内部において、走査電極SCN1〜SCNnは、上半分(番号が小さい側)の走査電極SCNa(a=1、2、・・・、n/2)のグループ4Aと、下半分(番号が大きい側)の走査電極SCNb(b=n/2+1、・・・、n−1、n)のグループ4Bとにグループ分けされ、グループ4Aの走査電極SCNaはそれらを駆動する第1駆動回路13Aに接続され、グループ4Bの走査電極SCNbはそれらを駆動する第2駆動回路13Bに接続されている。ここで、第1駆動回路13Aには、複数の出力端子P1、P2、・・・、Pz(z=n/2)が設けられ、それぞれに上半分の走査電極SCNaが配列順に接続されている。同様に、第2駆動回路13Bには、複数の出力端子Q1、Q2、・・・、Qzが設けられ、それぞれに下半分の走査電極SCNbが配列順に接続されている。また、走査電極駆動回路13には、タイミング発生回路15から与えられるタイミング信号に基づいて第1駆動回路13A及び第2駆動回路13Bを制御する制御回路(図示せず)を有している。
維持電極駆動回路14は、その内部に第1駆動回路14A及び第2駆動回路14Bを有している。また、維持電極駆動回路14内部において、維持電極SUS1〜SUSnは、上半分の維持電極SUSa(a=1、2、・・・、n/2)のグループ5Aと、下半分の維持電極SUSb(b=n/2+1、・・・、n−1、n)のグループ5Bとにグループ分けされ、グループ5Aの維持電極SUSaは共通接続されて、それらを駆動する第1駆動回路14Aの出力端子Rに接続され、グループ5Bの走査電極SUSbは共通接続されて、それらを駆動する第2駆動回路14Bの出力端子Sに接続されている。また、維持電極駆動回路14には、タイミング発生回路15から与えられるタイミング信号に基づいて第1駆動回路14A及び第2駆動回路14Bを制御する制御回路(図示せず)を有している。
また、以下の説明では、上半分の走査電極SCNaのグループ4Aと上半分の維持電極SUSaのグループ5Aとを電極グループAとし、下半分の走査電極SCNbのグループ4Bと下半分の維持電極SUSbのグループ5Bとを電極グループBとする。
次に、本実施の形態のPDPの駆動方法について説明する。
本実施の形態のPDPの駆動方法も、従来例と同様、サブフィールド法による駆動方法であり、各サブフィールドはそれぞれ初期化期間、書込み期間および維持期間から構成されている。また、初期化期間においては、画像表示を行うすべての放電セルに対して初期化放電を行わせる全セル初期化動作と、直前のサブフィールドの維持期間中に点灯した放電セルに対してのみ選択的に初期化放電を行わせる選択初期化動作とのうちのいずれかの動作を行うことにより、各放電セルの内部が書込み期間における書込み放電が可能な帯電状態、すなわち書込み放電を行うのに適した壁電荷量になる。この初期化期間及び維持期間における駆動方法は、図6に示された従来例と同様であり、書込み期間における駆動方法が従来例とは異なる。なお、壁電荷は、電極を覆う誘電体層あるいは蛍光体層上に蓄積される。
図5は本実施の形態のPDPの駆動方法による各電極に与える駆動電位信号の波形図である。この図5では、上半分の走査電極グループ4Aのある1つの走査電極SCNaと、下半分の走査電極グループ4Bのある1つの走査電極SCNbと、上半分の維持電極グループ5Aの維持電極SUSaと、下半分の維持電極グループ5Bの維持電極SUSbと、データ電極D1〜Dmとについて、ある1つのサブフィールド期間における駆動電位信号を示している。なお、初期化期間及び維持期間においては、走査電極駆動回路13から全ての走査電極SCN1〜SCNnに共通の走査電極駆動電位信号が与えられるとともに、全ての維持電極SUS1〜SUSnに共通の維持電極駆動電位信号が与えられる。
図5に示された初期化期間では、全セル初期化動作を行う。この初期化期間の前半部では、維持電極SUS1〜SUSnおよびデータ電極D1〜Dmを0(V)に保持し、走査電極SCN1〜SCNnに対して放電開始電圧以下となる電位Vp(V)から放電開始電圧を超える電位Vr(V)に向かって緩やかに上昇するランプ電位を与える。これにより、走査電極SCN1〜SCNnを陽極とし維持電極SUS1〜SUSnおよびデータ電極D1〜Dmを陰極とする微弱な初期化放電が発生する。このようにして、全ての放電セルにおいて1回目の微弱な初期化放電を発生させ、走査電極SCN1〜SCNn上に負の壁電荷を蓄えるとともに維持電極SUS1〜SUSn上およびデータ電極D1〜Dm上に正の壁電荷を蓄える。この初期化期間の前半部の微弱放電は前のサブフィールドでの維持放電の有無にかかわらず、全ての放電セルにおいて発生するものである。
続いて初期化期間の後半部では、維持電極SUS1〜SUSnを正の電位Vh(V)に保ち、走査電極SCN1〜SCNnに電位Vg(V)から電位Va(V)に向かって緩やかに下降するランプ電位を与える。これにより、全ての放電セルにおいて、走査電極SCN1〜SCNnを陰極とし維持電極SUS1〜SUSnおよびデータ電極D1〜Dmを陽極とする2回目の微弱な初期化放電が起きる。これにより、初期化期間の前半部において走査電極SCN1〜SCNn、維持電極SUS1〜SUSn、およびデータ電極D1〜Dm上に過剰に蓄えられた壁電荷が減らされ、次の書込み期間における書込み動作に適した壁電荷量に調整される。
このように、全セル初期化動作では、全ての放電セルで一斉に初期化放電を行い、それ以前の個々の放電セルに対する壁電荷の履歴を消去するとともに、書込み動作のために必要な壁電荷形成を行う。また、放電遅れを小さくし、書込み放電を安定して発生させるためのプライミング粒子(放電のための起爆剤=励起粒子)を発生させる。
次に、書込み期間は、第1のサブ期間Taと第2のサブ期間Tbとで構成される。第1のサブ期間Taは、上半分の電極グループAに割り当てられたサブ期間、すなわち電極グループAに対応する放電セルに対して書込み動作を行う期間である。また、第2のサブ期間Tbは、下半分の電極グループBに割り当てられたサブ期間、すなわち電極グループBに対応する放電セルに対して書込み動作を行う期間である。各電極グループA、B内では、例えば、画面の上側(番号が小さい行)の走査電極に対応する放電セルから順番に画面の下側(番号が大きい行)の走査電極に対応する放電セルに対して書込み動作を行うようにする。
第1のサブ期間Taでは、まず、走査電極SCN1〜SCNnを一旦、第1非選択電位Vs(V)に保持した後、電極グループBの全ての走査電極SCNbを第1非選択電位Vs(V)よりも高い第2非選択電位Vx(V)に保持するとともに、電極グループBの全ての維持電極SUSbを第1待機電位である電位Vh(V)よりも低い第2待機電位Vy(V)に保持する。要するに、第2駆動回路13B(図4参照)は、第1のサブ期間Taにおいて、図5に示す如く、電極グループBの走査電極SCNbに対し、第1非選択電位Vs(V)からこれより高い第2非選択電位Vx(V)に変化する第1電位パルスS1を与えるとともに、電極グループBの記維持電極SUSbに対し、第1待機電位Vh(V)からこれより低い第2待機電位Vy(V)に変化する第2電位パルスS2を与えている。一方、電極グループAの全ての維持電極SUSaについては初期化期間から保持されている第1待機電位である電位Vh(V)を維持する。その後、電極グループAに対応する放電セルに対して書込み動作を行う。まず、電極グループAに対応する最初の行である1行目の放電セルに対して書込み動作を行う。この書込み動作では、1行目の走査電極SCN1に選択電位である走査パルス電位Vb(V)を与えるとともに、データ電極D1〜Dmのうち、1行目に点灯させるべき放電セルのデータ電極Dkに正の書込みパルス電位Vw(V)を与える。このとき、データ電極Dkと走査電極SCN1との交差部の電圧は、外部印加電圧(Vw−Vb)に、データ電極Dk上の壁電荷により生じる電圧および走査電極SCN1上の壁電荷により生じる電圧の大きさが加算されたものとなり、放電開始電圧を超える。そして、データ電極Dkと走査電極SCN1との間および維持電極SUS1と走査電極SCN1との間に書込み放電が起こり、この放電セルの走査電極SCN1上に正の壁電荷が蓄積され、維持電極SUS1上に負の壁電荷が蓄積され、データ電極Dk上にも負の壁電荷が蓄積される。このようにして、1行目に点灯させるべき放電セルで書込み放電を起こして各電極上に壁電荷を蓄積する書込み動作が行われる。一方、正の書込みパルス電位Vw(V)を与えなかったデータ電極と走査電極SCN1との交差部の電圧は放電開始電圧を超えないので、書込み放電は発生しない。次に、同様にして2行目の放電セルに対して書込み動作を行う。以降も同様に、電極グループAに対応する最後の行であるn/2行目の放電セルに至るまで順次書込み動作を行う。そして、n/2行目の放電セルに対する書込み動作が終了すると、電極グループBの全ての走査電極SCNbを第1非選択電位Vs(V)に保持するとともに、電極グループBの全ての維持電極SUSbを第1待機電位である電位Vh(V)に保持し、第1のサブ期間Taが終了する。なお、第1待機電位Vh(V)は、走査電極の第1非選択電位Vs(V)よりも高く、維持パルス電位Vm(V)よりも低い電位に設定される。
次に、第2のサブ期間Tbでは、その期間中、電極グループA、Bの全ての維持電極SUS1〜SUSnについて保持されている電位Vh(V)を維持する。そして、電極グループBに対応する放電セルに対して書込み動作を行う。まず、電極グループBに対応する最初の行である(n/2+1)行目の放電セルに対して書込み動作を行う。この(n/2+1)行目の放電セルに対する書込み動作は、前述の1行目の放電セルに対する書込み動作と同様である(但し、後述のように、1ライン書込み時間ta、tbが異なる)。次に、同様にして(n/2+2)行目の放電セルに対して書込み動作を行う。以降も同様に、電極グループBに対応する最後の行であるn行目の放電セルに至るまで順次書込み動作を行う。そして、n行目の放電セルに対する書込み動作が終了すると、全ての維持電極SUS1〜SUSnを0Vに保持し、第2のサブ期間Tbが終了する。
このように本実施の形態における書込み期間では、電極グループAに対応する行の放電セルに対して書込み動作を行った後、電極グループBに対応する行の放電セルに対して書込み動作を行うようにし、それぞれの書込み動作では、走査電極に順次走査パルスを与えるとともに、データ電極には表示すべき画像信号に対応した書込みパルス電位を与えることにより、走査電極とデータ電極との間及び走査電極と維持電極との間で選択的に書込み放電を起こし、選択的に壁電荷形成を行う。
さらに、本実施の形態では、各走査電極に走査パルス電位Vb(V)を与える時間である1ライン書込み時間を、第1のサブ期間Taと第2のサブ期間Tbとで異ならせている。すなわち、第1のサブ期間Taにおける1ライン書込み時間taを、第2のサブ期間Tbにおける1ライン書込み時間tbよりも短くしている。第1のサブ期間Taでは、第2のサブ期間Tbと比較して、初期化期間終了時からの経過時間が短く、放電セル内の壁電荷及びプライミング粒子の減少が少ないため、放電遅れが小さく、1ライン書込み時間taを短くしても良好な書込み放電が得られる。そして、1ライン書込み時間taを短くすることにより、第1のサブ期間Taを短縮できる。また、書込み期間中の壁電荷の中和量は、初期化期間の動作終了時から書込み動作が行われるまでの時間(書込み待機時間)が長い放電セルほど大きく、また、壁電荷の中和現象は、初期化放電によるプライミング粒子の大量発生等により、初期化期間の動作終了直後ほど顕著に発生するため、第1のサブ期間Taを短くすることにより、第1のサブ期間Taにおいて書込み動作の対象となる放電セルの書込み待機中における壁電荷及びプライミング粒子の減少を抑えることが可能になり、第1のサブ期間Taの後半部における書込みミスをより防止することができる。また、第1のサブ期間Taを短縮することにより、第2のサブ期間Tbを初期化期間終了時に近づけることができ、第2のサブ期間Tbにおいても書込み動作の対象となる放電セルの書込み待機中における壁電荷及びプライミング粒子の減少を抑えることが可能になり、第2のサブ期間Tbにおける書込みミスを防止することができる。
次に、維持期間では、まず、維持電極SUS1〜SUSnを0(V)に戻し、走査電極SCN1〜SCNnに正の維持パルス電位Vm(V)を与える。このとき、書込み放電を起こした放電セルにおいて、放電空間における走査電極SCNi近傍部分と維持電極SUSi近傍部分との間の電圧は、維持パルス電圧(Vm)に走査電極SCNi上の壁電荷により生じる電圧および維持電極SUSi上の壁電荷により生じる電圧の大きさが加算されたものとなり放電開始電圧を超える。そして、走査電極SCNiと維持電極SUSiとの間に維持放電が起こり、走査電極SCNi上に負の壁電荷が蓄積され、維持電極SUSi上に正の壁電荷が蓄積される。このときデータ電極Dk上にも正の壁電荷が蓄積される。書込み期間において書込み放電が起きなかった放電セルでは維持放電は発生せず、初期化期間の終了時における壁電荷状態が保持される。続いて、走査電極SUS1〜SUSnを0(V)に戻し、維持電極SUS1〜SUSnに正の維持パルス電位Vm(V)を与える。これにより、維持放電を起こした放電セルでは、放電空間における維持電極SUSi近傍部分と走査電極SCNi近傍部分との間の電圧は放電開始電圧を超えるので、再び維持電極SUSiと走査電極SCNiとの間に維持放電が起こり、維持電極SUSi上に負の壁電荷が蓄積され走査電極SCNi上に正の壁電荷が蓄積される。以降同様に、走査電極SCN1〜SCNnと維持電極SUS1〜SUSnとに交互に維持パルスを与えることにより、書込み期間において書込み放電を起こした放電セルにおいて維持放電が継続して行われることにより点灯する。このとき、この維持パルスの回数が輝度の重みとなり、各サブフィールドにおいて維持パルス数を異ならせ、それらの組み合わせにより任意の階調を実現する。なお、維持期間の最後には走査電極SCN1〜SCNnと維持電極SUS1〜SUSnとの間にいわゆる細幅パルスを印加して、データ電極Dk上の正の壁電荷を残したまま、走査電極SCN1〜SCNnおよび維持電極SUS1〜SUSn上の壁電荷を消去している。このようにして維持期間における維持動作が終了する。このように、維持期間では、走査電極と維持電極との間に輝度重みに応じた所定の回数の維持パルス電圧を印加し、書込み放電による壁電荷形成を行った放電セルを選択的に放電させ発光(点灯)させる。
次に、初期化期間に選択初期化動作を行うサブフィールドにおける動作を説明する。
この初期化期間については図示していないが、図6の例えば第2SFの初期化期間と同様であり、維持電極SUS1〜SUSnをVh(V)に保持し、データ電極D1〜Dmを0(V)に保持し、走査電極SCN1〜SCNnにVq(V)からVa(V)に向かって緩やかに下降するランプ電位を与える。これにより、直前のサブフィールドの維持期間で維持放電を行った放電セルでは、走査電極SCN1〜SCNnを陰極とし維持電極SUS1〜SUSnおよびデータ電極D1〜Dmを陽極とする微弱な初期化放電が発生し、走査電極SCNi、維持電極SUSi上の壁電荷およびデータ電極Dk上の過剰な壁電荷が書込み動作に適した壁電荷量に調整される。一方、直前のサブフィールドで書込み放電および維持放電が行われなかった放電セルについては、放電は発生しない。
この後に続く書込み期間および維持期間については、初期化期間に全セル初期化動作を行うサブフィールドの書込み期間および維持期間と同様であるため説明を省略する。
なお、本実施の形態では、維持電極SUS1〜SUSnに対し書込み期間に与える第1待機電位Vh(V)が初期化期間に与える正の電位Vh(V)と等しくなるように構成しているが、必ずしもこのような構成に限られるものではなく、例えば、書込み期間に与える第1待機電位Vh(V)が、初期化期間に与える正の電位よりも若干(例えば5〜20V程度)高くなるように構成してもよい。
本実施の形態では、書込み期間の第1のサブ期間Taにおいて、電極グループBの全ての走査電極SCNbに与える第2非選択電位Vx(V)を、第1非選択電位Vs(V)よりも電圧Vscn2の分だけ高い電位とし、電圧Vscn2を走査パルス電圧Vscnと等しくなるように設定している。この第2非選択電位Vx(V)は、第1非選択電位Vs(V)よりも高く、全セル初期化動作を行う初期化期間の最高電位Vrよりも低い電位に設定すればよい。但し、走査電極SCNbと、維持電極SUSb及びデータ電極D1〜Dmとの間で、放電が発生しないような電位に設定する。
また、第1のサブ期間Taにおいて、電極グループBの全ての維持電極SUSbに与える第2待機電位Vy(V)を接地電位に設定している。この第2待機電位Vy(V)は、第1待機電位Vh(V)よりも低く、走査電極の選択電位Vb(V)よりも高い電位に設定すればよい。但し、維持電極SUSbと、走査電極SCNb及びデータ電極D1〜Dmとの間で、放電が発生しないような電位に設定する。
上記の駆動方法において、初期化期間及び維持期間の動作については、図6に示された従来例と同様であり、データ電極駆動回路12によって全てのデータ電極D1〜Dmが同一の電位(例えば0V)に保持され、走査電極駆動回路13の第1及び第2駆動回路13A、13Bによって全ての走査電極SCN1〜SCNnが同じように駆動され、維持電極駆動回路14の第1及び第2駆動回路14A、14Bによって全ての維持電極SUS1〜SUSnが同じように駆動される。
また、書込み期間において書込み動作を行う行の選択順(走査電極の選択順)は、予めデータ電極駆動回路12に記憶されているか、あるいはデータ電極駆動回路12が行の選択順に応じて動作するように構成されており、データ電極駆動回路12は、サブフィールド変換部18から入力されるサブフィールド毎の画像データを、各データ電極D1〜Dmに対応する信号に変換する際、書込み動作を行う行の選択順に応じて各データ電極D1〜Dmに対応する信号(書込み信号)に変換して各データ電極D1〜Dmに与える。また、データ電極駆動回路12は、走査電極駆動回路13による走査電極の選択に同期して各データ電極D1〜Dmに書込み信号を与えるように構成され、第1のサブ期間Taにおいて書込み信号を与える時間は、走査電極の選択時間である1ライン書込み時間taに準じ、第2のサブ期間Tbにおいて書込み信号を与える時間は、1ライン書込み時間tbに準じる。
また、書込み期間において、走査電極駆動回路13は、まず、第1のサブ期間Taに第1駆動回路13Aによって走査電極を第1の書込み周期(1ライン書込み時間ta+走査パルス間の時間)ごとに順次選択し、第2のサブ期間Tbには第2駆動回路13Bによって走査電極を第2の書込み周期(1ライン書込み時間tb+走査パルス間の時間)ごとに順次選択するように構成されるとともに、第1のサブ期間Taには第2駆動回路13Bから電極グループBの全ての走査電極SCNbに第2非選択電位Vx(V)を与えるように構成されている。なお、1ライン書込み時間taを1ライン書込み時間tbよりも短くしているので、第1の書込み周期も第2の書込み周期よりも短い。また、走査パルス間の時間を短くすることで、第1の書込み周期を略1ライン書込み時間taとし、第2の書込み周期を略1ライン書込み時間tbとすることができる。さらに走査パルス間の時間を0にすれば、第1の書込み周期を1ライン書込み時間taと等しくし、第2の書込み周期を1ライン書込み時間tbと等しくすることができる。
書込み期間の第1のサブ期間Taにおいて、走査電極駆動回路13では、第1駆動回路13Aが、出力端子P1、P2、・・・、Pzに対しその並び順に走査パルス電位Vb(V)を順次与えることにより、上半分の走査電極SCNaが所定の選択順(本実施の形態ではPDP1内の上半分の行についての配列順と同じ)に選択される。また、第2のサブ期間Tbにおいては、第2駆動回路13Bが、出力端子Q1、Q2、・・・、Qzに対しその並び順に走査パルス電位Vb(V)を順次与えることにより、下半分の走査電極SCNbが所定の選択順(本実施の形態ではPDP1内の下半分の行についての配列順と同じ)に選択される。このように、PDP1内の全ての走査電極における配列順と同じ選択順に走査電極を選択するために、第1駆動回路13A及び第2駆動回路13Bでは、それぞれの出力端子の並び順に走査パルス電位Vb(V)を順次与えるようにすればよいので、第1駆動回路13A及び第2駆動回路13Bの構成が簡単になる。
以上のように、走査電極駆動回路13は、書込み期間の書込み動作を行うときには、所定の選択順に走査電極を選択するように構成されている。
また、維持電極駆動回路14では、第1駆動回路14Aによって、初期化期間から続いて書込み期間中に、電極グループAの全ての維持電極SUSaに対し第1待機電位Vh(V)を与え、第2駆動回路14Bによって、電極グループBの全ての維持電極SUSbに対し、書込み期間の第1のサブ期間Taに第2待機電位Vy(V)を与え、第2のサブ期間Tbに第1待機電位Vh(V)を与えるように構成されている。
前述の動作から明らかなように、走査電極駆動回路13において、電極グループBの走査電極SCNbを駆動する第2駆動回路13Bは、第1駆動回路13Aに対して、第1のサブ期間Taに、電極グループBの全ての走査電極SCNbに第2非選択電位Vx(V)を与えるための構成が追加された構成になっている。また、維持電極駆動回路14において、電極グループBの維持電極SUSbを駆動する第2駆動回路14Bは、第1駆動回路14Aに対して、第1のサブ期間Taに、電極グループBの全ての維持電極SUSbに第2待機電位Vy(V)を与えるための構成が追加された構成になっている。
本実施の形態では、初期化期間の後の書込み期間を複数のサブ期間に分割し、第1のサブ期間Ta中に、第1のサブ期間Taより後の第2のサブ期間Tbに割り当てられた電極グループBの走査電極SCNbに対し、第1非選択電位Vs(V)より高い第2非選択電位Vx(V)を与えることにより、書込み待機中の放電セル(電極グループBに対応する放電セル)において、放電空間における走査電極SCNb近傍部分とデータ電極D1〜Dm近傍部分との間の電位差、及び走査電極SCNb近傍部分と維持電極SUSb近傍部分との間の電位差を小さくして、従来問題になっていた壁電荷の中和を抑制することができる。さらに電極グループBの維持電極SUSbに対し、第1待機電位Vh(V)よりも低い第2待機電位Vy(V)を与えることにより、書込み待機中の放電セルにおいて、放電空間における走査電極SCNb近傍部分と維持電極SUSb近傍部分との間の電位差をより小さくすることができ、壁電荷の中和をより抑制することができる。すなわち、本実施の形態では、電極グループBの走査電極SCNbの電位および電極グループBの維持電極SUSbの電位の両方を適切に設定という両者の相乗効果に基づき、壁電荷の中和抑制がより効果的になされている。勿論、電極グループBの走査電極SCNbに対し、第1非選択電位Vs(V)より高い第2非選択電位Vx(V)を与えるだけでも、ある程度の壁電荷の中和を抑制でき、電極グループBの維持電極SUSbに対し、第1待機電位Vh(V)よりも低い第2待機電位Vy(V)を与えるだけでも、ある程度の壁電荷の中和を抑制できる。
さらに、第1のサブ期間Taにおける1ライン書込み時間taを、第2のサブ期間Tbにおける1ライン書込み時間tbよりも短くすることにより、第1のサブ期間Taを短縮し、第1のサブ期間Taの後半部及び第2のサブ期間Tbを初期化期間終了時に近づけることができ、第1のサブ期間Taの後半部及び第2のサブ期間Tbにおいて書込み動作の対象となる放電セルの書込み待機中における壁電荷及びプライミング粒子の減少を抑えることが可能になる。
以上のことから、初期化期間終了時における書込み放電が可能な帯電状態の維持をより良好に行うことができ、書込み待機時間の増加による書込みミスをより低減することが可能になる。
また、本実施の形態では、書込み動作をシングルスキャン方式で行う構成であり、このシングルスキャン方式では、ダブルスキャン方式よりも書込み待機時間が増加するため、書込み待機時間の増加による書込みミスをより効果的に低減することができる。なお、書込み動作をダブルスキャン方式で行う構成に、本発明を適用してもよい。
また、従来、放電セル内のキセノンガスの分圧比が7%以上の高い分圧比において書込み待機時間の増加による書込みミスが多発していたので、放電セル内のキセノンガスの分圧比が7%以上の場合に書込みミスをより効果的に低減することができる。
また、プラズマディスプレイパネルの解像度が例えば100万画素(HD)以上のように高い場合には、各々の放電セルの占有面積が、2.696×10-4cm2以上、4.432×10-3cm2以下のように小さく、各々の放電セルに蓄積可能な壁電荷量が少なくなり、書込み待機時間の増加に伴う書込みミスが発生しやすくなるため、このような構成の場合に書込みミスをより効果的に低減することができる。なお、各々の放電セルの占有面積が、2.696×10-4cm2である場合は、例えば、37型画面において走査電極を1080本、データ電極を4320×3本備えた構成の場合に相当し、4.432×10-3cm2である場合は、例えば、100型画面において走査電極を1080本、データ電極を1920×3本備えた構成の場合に相当する。
なお、本実施の形態では、1フィールドを構成する各々のサブフィールドにおいて、書込み期間を第1及び第2のサブ期間Ta、Tbに分割し、前半の第1のサブ期間Taに上半分の電極グループAを割り当て、後半の第2のサブ期間Tbに下半分の電極グループBを割り当てるようにしている。この前半と後半の各々のサブ期間に割り当てる電極グループA、Bを、1フィールドごと、または1サブフィールドごとに異なるようにしてもよい。または、1フィールドごとに異なり、かつ1サブフィールドごとに異なるようにしてもよい。
電極グループA、Bを1フィールドごとに異なるサブ期間に割り当てる場合、例えば、第1フィールドの各サブフィールドにおいて、第1のサブ期間に電極グループAを、第2のサブ期間に電極グループBを割り当て、第1フィールドに続く第2フィールドの各サブフィールドにおいて、第1のサブ期間に電極グループBを、第2のサブ期間に電極グループAを割り当てるようにし、以降のフィールドにおいても同様に繰り返される。この場合、書込み待機時間の増加による書込みミスがたとえ発生したとしても、それによって不灯になる放電セルの位置が1フィールド(例えば周波数が60Hzの場合には、約16.7ms)毎に異なるため、放電セルの不灯による画質劣化が肉眼では認識できず、目立たなくなる。
電極グループA、Bを1サブフィールドごとに異なるサブ期間に割り当てる場合、例えば、各フィールドにおいて、第1サブフィールドでは、第1のサブ期間に電極グループAを、第2のサブ期間に電極グループBを割り当て、第1サブフィールドに続く第2サブフィールドでは、第1のサブ期間に電極グループBを、第2のサブ期間に電極グループAを割り当てるようにし、以降のサブフィールドにおいても同様に繰り返される。この場合、書込み待機時間の増加による書込みミスがたとえ発生したとしても、それによって不灯になる放電セルの位置が1サブフィールド(例えば周波数が60Hzで、1フィールドが11個のサブフィールドで構成される場合には、約1.5ms)毎に異なるため、放電セルの不灯による画質劣化が肉眼では認識できず、目立たなくなる。
電極グループA、Bを1フィールドごとに異なり、かつ1サブフィールドごとに異なるサブ期間に割り当てる場合、例えば、第1フィールドにおける第1サブフィールドでは、第1のサブ期間に電極グループAを、第2のサブ期間に電極グループBを割り当て、第1サブフィールドに続く第2サブフィールドでは、第1のサブ期間に電極グループBを、第2のサブ期間に電極グループAを割り当てるようにし、以降のサブフィールドにおいても同様に繰り返される。そして第1フィールドに続く第2フィールドにおける第1サブフィールドでは、第1のサブ期間に電極グループBを、第2のサブ期間に電極グループAを割り当て、第1サブフィールドに続く第2サブフィールドでは、第1のサブ期間に電極グループAを、第2のサブ期間に電極グループBを割り当てるようにし、以降のサブフィールドにおいても同様に繰り返される。さらに、以降のフィールドにおいても同様に繰り返される。この場合、書込み待機時間の増加による書込みミスがたとえ発生したとしても、それによって不灯になる放電セルの位置が1フィールド毎及び1サブフィールド毎に異なるため、放電セルの不灯による画質劣化が肉眼では認識できず、目立たなくなる。
また、本実施の形態では、表示電極対を2つの電極グループにグループ分けするとともに、書込み期間をそれぞれの電極グループが割り当てられる2つのサブ期間からなるようにしたが、3つ以上の電極グループにグループ分けして、書込み期間をそれぞれの電極グループが割り当てられる3つ以上のサブ期間からなるようにしてもよい。例えば、表示電極対を4つの電極グループにグループ分けする場合、図2のように配列された走査電極SCN1〜SCNnを、SCNc(c=1〜n/4)、SCNd(d=(n/4+1)〜2n/4)、SCNe(e=(2n/4+1)〜3n/4)、SCNf(f=(3n/4+1)〜n)の4つにグループ分けするとともに、同様に、維持電極SUS1〜SUSnを、SUSc(c=1〜n/4)、SUSd(d=(n/4+1)〜2n/4)、SUSe(e=(2n/4+1)〜3n/4)、SUSf(f=(3n/4+1)〜n)の4つにグループ分けして、走査電極SCNcと維持電極SUScとを電極グループCとし、走査電極SCNdと維持電極SUSdとを電極グループDとし、走査電極SCNeと維持電極SUSeとを電極グループEとし、走査電極SCNfと維持電極SUSfとを電極グループFとする。
この場合、書込み期間を、第1のサブ期間、第2のサブ期間、第3のサブ期間、第4のサブ期間の順に4つのサブ期間に分割し、例えば、電極グループCを第1のサブ期間に、電極グループDを第2のサブ期間に、電極グループEを第3のサブ期間に、電極グループFを第4のサブ期間に、それぞれ割り当てるようにすればよい。そして、電極グループCが割り当てられた第1のサブ期間においては、電極グループD、E、Fの走査電極及び維持電極に、図5の第1のサブ期間Taにおける電極グループBの走査電極及び維持電極と同じ電位を与え、電極グループDが割り当てられた第2のサブ期間においては、電極グループE、Fの走査電極及び維持電極に、図5の第1のサブ期間Taにおける電極グループBの走査電極及び維持電極と同じ電位を与え、電極グループEが割り当てられた第3のサブ期間においては、電極グループFの走査電極及び維持電極に、図5の第1のサブ期間Taにおける電極グループBの走査電極及び維持電極と同じ電位を与えるようにすればよい。
このように、3つ以上の電極グループにグループ分けした場合、任意の電極グループについて、各電極グループが割り当てられたサブ期間より以前の全てのサブ期間において、図5の第1のサブ期間Taにおける電極グループBと同じ電位を与えるようにすることが最も好ましいが、少なくとも1つの電極グループについて、その電極グループが割り当てられたサブ期間より以前の少なくとも1つのサブ期間において、図5の第1のサブ期間Taにおける電極グループBと同じ電位を与えるようにすることにより、書込みミスをある程度は低減できる。
また、3つ以上の電極グループにグループ分けした場合の走査電極の1ライン書込み時間については次のように設定すればよい。例えば前述のように4つの電極グループC〜Fにグループ分けし、書込み期間を、4つの各電極グループC〜Fに対応するように第1〜第4の順に4つのサブ期間に分割した場合について説明する。この場合、第1のサブ期間における電極グループCの1ライン書込み時間をtc、第2のサブ期間における電極グループDの1ライン書込み時間をtd、第3のサブ期間における電極グループEの1ライン書込み時間をte、第4のサブ期間における電極グループFの1ライン書込み時間をtfとすると、tc<td<te<tfとすることにより、第1〜第3のサブ期間を短縮して、第2〜第4のサブ期間において書込み動作の対象となる放電セルの書込み待機中における壁電荷及びプライミング粒子の減少を抑えることが可能になる。このように、初期化期間に近いサブ期間ほど1ライン書込み時間が短くなるようにすることが最も好ましいが、tc<td<te=tf、tc<td=te<tf、tc=td<te<tf、tc<td=te=tf、tc=td=te<tf等としても有る程度の効果は得られる。また、td<te=tf=tc、te<td=tf=tcとしても少なくとも最後のサブ期間を初期化期間終了時に近づけることができ、有る程度の効果は得られる。すなわち、書込み期間を構成する複数のサブ期間のうち、最後のサブ期間における1ライン書込み時間より短い1ライン書込み時間が設定されるサブ期間が少なくとも1つ存在するようにすればよい。但し、最後のサブ期間における1ライン書込み時間より長い1ライン書込み時間が設定されるサブ期間は存在しないものとする。
また、3つ以上の電極グループにグループ分けした場合も、各々のサブ期間に割り当てる電極グループを、1フィールドごと、または1サブフィールドごとに異なるようにしてもよいし、または、1フィールドごとに異なり、かつ1サブフィールドごとに異なるようにしてもよい。
なお、電極グループのグループ数の増加は、走査電極駆動回路13及び維持電極駆動回路14の複雑化及び制御の複雑化を招くことになり、このようなデメリットを考慮すれば電極グループのグループ数を2つにするのが好ましい。
なお、以上では、各々の電極グループに属する表示電極対の数を等しいものとしたが、各々の電極グループに属する表示電極対の数が異なってもよい。
また、第1非選択電位Vs(V)からこれより高い第2非選択電位Vx(V)に変化する第1電位パルスS1(図5参照)による第2非選択電位Vx(V)の付与期間と、第1待機電位Vh(V)からこれより低い第2待機電位Vy(V)に変化する第2電位パルスS2(同図参照)による第2待機電位Vy(V)の付与期間と、が異なるようにしてもよい。これにより、走査電極に付与される急激な電位の変化および、維持電極に付与される急激な電位の変化の同時発生が回避され、このような電位変化の相互干渉に基づくPDPの放射ノイズを適切に低減できる。