JP2007327946A - 標的酵素の活性を測定する方法、標的酵素の活性を測定するためのキット、および標的酵素の活性を測定するためのバイオセンサ - Google Patents

標的酵素の活性を測定する方法、標的酵素の活性を測定するためのキット、および標的酵素の活性を測定するためのバイオセンサ Download PDF

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Abstract

【課題】標的酵素の活性を測定する方法、標的酵素の活性を測定するためのキット、およびバイオセンサを提供する。
【解決手段】(a)標的酵素を基材に固定化させる工程、(b)結合調節分子および標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体を前記基材に接触させる工程、(c)前記標的酵素の触媒作用によりゲル化する基質を前記基材に接触させる工程、および(d)IER法を利用して、前記基材に照射した光の反射光強度を測定する工程を含み、前記標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体は、第1および第2のオリゴヌクレオチドを含み、前記第1のオリゴヌクレオチドは、第1の塩基配列と、前記結合調節分子に結合しうる結合調節分子アプタマーの塩基配列とを含み、前記第2のオリゴヌクレオチドは、第2の塩基配列と、前記結合調節分子アプタマーの塩基配列の少なくとも一部と相補的な塩基配列とを含んでなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、標的酵素の活性を測定する方法、標的酵素の活性を測定するためのキット、および標的酵素の活性を測定するためのバイオセンサに関する。
臨床検査では、病気の診断、治療、早期発見のための一指標として、血中や尿中の標的酵素の活性が測定されている。標的酵素の活性は一般に、吸光度法、蛍光法、発光法により測定されている。例えば、血液凝固能の一指標として、血液中の標的酵素(トロンビン)の活性が測定されている(非特許文献1)。
トロンビンの活性の評価は、一般に、血漿中で金属球を回転させた状態でフィブリノーゲンを添加することにより、血漿中のトロンビンによる酵素反応によってフィブリノーゲンがフィブリンへと分解される結果、血漿が凝固して金属球が停止するまでの時間を測定することにより行なわれる。
しかしながら、この評価試験では、血漿が凝固して金属球が停止するまでの時間によって血液凝固能が評価されるため、トロンビンの活性を定量的に測定することが困難である。
血液凝固検査ハンドブック改訂第2版、福武勝博ほか編、克誠堂出版
本発明の目的は、標的酵素の活性を定量的に測定することができる標的酵素の活性を測定する方法、標的酵素の活性を測定するためのキット、および標的酵素の活性を測定するためのバイオセンサを提供することである。
本発明の一態様に係る標的酵素の活性を測定する方法は、
(a)標的酵素を基材に固定化させる工程、
(b)結合調節分子および標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体を前記基材に接触させる工程、
(c)前記標的酵素の触媒作用によりゲル化する基質を前記基材に接触させる工程、および
(d)IER法を利用して、前記基材に照射した光の反射光強度を測定する工程
を含み、
前記複合体は、第1および第2のオリゴヌクレオチドを含み、
前記第1のオリゴヌクレオチドは、第1の塩基配列と、前記結合調節分子に結合しうる結合調節分子アプタマーの塩基配列とを含み、
前記第2のオリゴヌクレオチドは、第2の塩基配列と、前記結合調節分子アプタマーの塩基配列の少なくとも一部と相補的な塩基配列とを含み、
前記第1および第2の塩基配列は、前記標的酵素と結合して該標的酵素の特性を変化させることができる標的酵素アプタマーを分割して得られる。
この場合、第1および第2の塩基配列は、前記標的酵素アプタマーを2つに分割して得られることができる。
さらに、この場合、前記(c)において、前記標的酵素と前記複合体との結合が弱まる結果、前記基質に対する前記標的酵素の活性が上昇し、前記基材上でゲルの形成が進行することができる。
本発明の一態様に係る標的酵素の活性を測定する方法は、
(a)標的酵素を基材に固定化させる工程、
(b)結合調節分子および標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体を前記基材に接触させる工程、
(c)前記標的酵素の触媒作用によりゲル化する基質を前記基材に接触させる工程、および
(d)IER法を利用して、前記基材に照射した光の反射光強度を測定する工程
を含み、
前記複合体は、
前記標的酵素と結合して該標的酵素の特性を変化させることができる標的酵素アプタマーの塩基配列と、
前記結合調節分子に結合しうる結合調節分子アプタマーの塩基配列の少なくとも一部と相補的な塩基配列と、を含む。
この場合、前記(c)において、前記標的酵素と前記複合体との結合が強まる結果、前記基質に対する前記標的酵素の活性が低下し、前記基材上でゲルの形成が抑制されることができる。
上記方法では、前記(b)の後、前記(c)の前に、(e)前記基材を洗浄する工程をさらに含むことができる。
上記方法では、前記標的酵素がトロンビンであることができる。
上記方法では、前記結合調節分子が核酸、低分子化合物、またはタンパク質であることができる。
本発明の一態様に係る標的酵素の活性を測定するためのキットは、
標的酵素と、
結合調節分子と、
標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体と、
前記標的酵素の触媒作用によりゲル化する基質と、
を含み、
前記複合体は、第1および第2のオリゴヌクレオチドを含み、
前記第1のオリゴヌクレオチドは、第1の塩基配列と、前記結合調節分子に結合しうる結合調節分子アプタマーの塩基配列とを含み、
前記第2のオリゴヌクレオチドは、第2の塩基配列と、前記結合調節分子アプタマーの塩基配列の少なくとも一部と相補的な塩基配列とを含み、
前記第1および第2の塩基配列は、前記標的酵素と結合して該標的酵素の特性を変化させることができる標的酵素アプタマーを分割して得られる。
本発明の一態様に係る標的酵素の活性を測定するためのキットは、
標的酵素と、
結合調節分子と、
標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体と、
前記標的酵素の触媒作用によりゲル化する基質と、
を含み、
前記複合体は、
前記標的酵素と結合して該標的酵素の特性を変化させることができる標的酵素アプタマーの塩基配列と、
前記結合調節分子に結合しうる結合調節分子アプタマーの塩基配列の少なくとも一部と相補的な塩基配列と、を含む。
本発明の一態様に係る標的酵素の活性を測定するためのバイオセンサは、
標的酵素を基材に固定化した後、結合調節分子および標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体を添加し、次いで、前記標的酵素の触媒作用によりゲル化する基質を添加して、該標識酵素と前記基質とを反応させる反応部と、
IER法を利用して、前記基材に照射した光の反射光強度を測定する測定部と、
を含み、
前記複合体は、第1および第2のオリゴヌクレオチドを含み、
前記第1のオリゴヌクレオチドは、第1の塩基配列と、前記結合調節分子に結合しうる結合調節分子アプタマーの塩基配列とを含み、
前記第2のオリゴヌクレオチドは、第2の塩基配列と、前記結合調節分子アプタマーの塩基配列の少なくとも一部と相補的な塩基配列とを含み、
前記第1および第2の塩基配列は、前記標的酵素と結合して該標的酵素の特性を変化させることができる標的酵素アプタマーを分割して得られる。
本発明の一態様に係る標的酵素の活性を測定するためのバイオセンサは、
標的酵素を基材に固定化した後、結合調節分子および標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体を添加し、次いで、前記標的酵素の触媒作用によりゲル化する基質を添加して、該標識酵素と前記基質とを反応させる反応部と、
IER法を利用して、前記基材に照射した光の反射光強度を測定する測定部と、
を含み、
前記複合体は、
前記標的酵素と結合して該標的酵素の特性を変化させることができる標的酵素アプタマーの塩基配列と、
前記結合調節分子に結合しうる結合調節分子アプタマーの塩基配列の少なくとも一部と相補的な塩基配列と、を含む。
上記方法によれば、簡便な操作手段により標的酵素の活性を定量的に測定することができる。また、上記方法は、IER法を利用することにより、標的酵素の活性の測定を簡易な光学的手法により行うことができることから、蛍光光度計等の高価な大型機器を必要としないという利点を有する。さらに、上記方法によれば、熱的安定性および設計が容易なアプタマーを使用するため、安定した測定結果を得ることができる。加えて、上記方法によって標的酵素の活性を測定することにより、結合調節分子の検出を行うこともできる。
また、上記キットおよびバイオセンサによれば、共存物質の影響が少ないうえに、簡便な装置によって、標的酵素の活性を定量的に測定することができる。
以下、本発明の一実施形態に係る標的酵素の活性を測定する方法、標的酵素の活性を測定するためのキット、および標的酵素の活性を測定するためのバイオセンサについて詳細に説明する。
1.標的酵素の活性を測定する方法
1.1.第1の実施形態
本発明の第1の実施形態に係る標的酵素の活性を測定する方法は、
(a)標的酵素を基材に固定化させる工程、
(b)結合調節分子および標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体を基材に接触させる工程、
(c)標的酵素の触媒作用によりゲル化する基質を基材に接触させる工程、および
(d)IER法を利用して、基材に照射した光の反射光強度を測定する工程
を含み、
標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体は、第1および第2のオリゴヌクレオチドを含み、
第1のオリゴヌクレオチドは、第1の塩基配列と、結合調節分子に結合しうる結合調節分子アプタマーの塩基配列とを含み、
第2のオリゴヌクレオチドは、第2の塩基配列と、結合調節分子アプタマーの塩基配列の少なくとも一部と相補的な塩基配列とを含み、
第1および第2の塩基配列は、標的酵素と結合して該標的酵素の特性を変化させることができる標的酵素アプタマーを分割して得られる。
ここで、第1および第2の塩基配列は、標的酵素アプタマーを2つに分割して得ることができる。
前記(c)において、標的酵素と標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体との結合が弱まる結果、基質に対する標的酵素の活性が上昇し、基材上でゲルの形成が進行する。
第1の実施形態において、標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体は、結合調節分子の非存在下では、第1のオリゴヌクレオチドと第2のオリゴヌクレオチドとが相補鎖を形成することにより、第1のオリゴヌクレオチドと第2のオリゴヌクレオチドとが一体化して標的酵素と結合するため、標的酵素の活性が低下する(図1の中央図参照)。一方、結合調節分子の存在下では、結合調節分子と第2のオリゴヌクレオチドと結合することにより、第1のオリゴヌクレオチドと第2のオリゴヌクレオチドとが分離する結果、標的酵素が遊離の状態で存在するため、標的酵素の活性が高まる(図1の右図参照)。また、第1の実施形態に係る標的酵素の活性を測定する方法によって標的酵素の活性を測定することにより、結合調節分子の検出を行うこともできる。
1.2.第2の実施形態
本発明の第2の実施形態に係る標的酵素の活性を測定する方法は、
(a)標的酵素を基材に固定化させる工程、
(b)結合調節分子および標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体を基材に接触させる工程、
(c)標的酵素の触媒作用によりゲル化する基質を基材に接触させる工程、および
(d)IER法を利用して、基材に照射した光の反射光強度を測定する工程
を含み、
標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体は、標的酵素と結合して該標的酵素の特性を変化させることができる標的酵素アプタマーの塩基配列と、結合調節分子に結合しうる結合調節分子アプタマーの塩基配列の少なくとも一部と相補的な塩基配列とを含む。
ここで、前記(c)において、標的酵素と標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体との結合が強まる結果、基質に対する標的酵素の活性が低下し、基材上でゲルの形成が抑制される。
第2の実施形態に係る標的酵素の活性を測定する方法によれば、標的酵素と結合して該標的酵素の特性を変化させることができる標的酵素アプタマーの塩基配列と、結合調節分子に結合しうる結合調節分子アプタマーの塩基配列の少なくとも一部と相補的な塩基配列とを含む標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体を使用することにより、該複合体が一本のオリゴヌクレオチドから構成されるため、試料中の共存物質の種類や濃度が多少変化しても、該複合体が標的酵素アプタマーとしての構造を確実に構築することができる。これにより、標的酵素の活性をより正確に測定することができる。また、第2の実施形態に係る標的酵素の活性を測定する方法によって標的酵素の活性を測定することにより、結合調節分子の検出を行うこともできる。
1.3.各工程の説明
1.3.1.(a)工程
(a)工程は、標的酵素を基材に固定化させる工程である。
1.3.1−1.標的酵素
標的酵素は、本実施形態に係る標的酵素の活性を測定する方法において、その測定の対象(標的)となる酵素である。
標的酵素は、基質をゲル化させる反応を触媒する酵素である。標的酵素は、基質に作用してゲルを生じさせ、膜の膜厚の変化を生じさせることのできる酵素であれば、特に限定されない。ゲル化反応に必要な酵素はごく少量であるので、本実施形態に係る標的酵素の活性を測定する方法によれば、ごく少量の標的酵素を検出することができる。
標的酵素としては、例えば、プロテアーゼ、ペプチターゼ等を挙げることができるが、これに限定されない。この場合、基質としては、例えば、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド等を挙げることができる。
より好ましくは、標的酵素は、血液凝固反応に関与する酵素である。さらに好ましくは、標的酵素はトロンビンであり、基質はフィブリノーゲンである。なぜなら、トロンビンによるフィブリノーゲンのゲル化は、共存物質の影響を受けにくく、安定した測定が可能だからである。この場合、血液凝固反応に関与する酵素であるトロンビンによって、基質であるフィブリノーゲンが加水分解されてゲル化し、不溶性のフィプリンが生成される。これによって、膜の膜厚に変化が生じる。
あるいは、本実施形態において、エンドトキシン(内毒素)によるゲル化反応を利用してもよい。より具体的には、カブトガニの血液凝固反応の1つである、エンドトキシンまたはグリカン類(例えば、β−D−グリカン等)とカブトガニ血球抽出物(LAL、ライセート)とによるゲル化反応を利用することができる。特に、エンドトキシンまたはグリカン類とカブトガニ血球抽出物とによるゲル化反応は、リム/レス試験として医薬品等の品質管理等の分野で利用されており、取り扱いが容易であるため、本実施形態において好適なゲル化反応である。
カブトガニ血球成分によるゲル化は、以下に説明する反応機能により進行する。すなわち、カブトガニのライセート中には、エンドトキシンに反応し活性化されるC因子系とβ−D−グリカン(植物多糖で、真菌細胞壁の構成成分の1つ)と反応し活性化されるG因子系が確認されており、これら2つの経路は途中からは共通である。すなわち、不活性型凝固酵素(proclotting enzyme)が活性化され、凝固酵素(Clottin genzyme)が生成され、この酵素がその基質であるコアグローゲン(coagulogen)を部分水解させ、その結果、ペプチドC(peptideC)が遊離し、コアグリン(coagulin)が生成しゲル化する。
エンドトキシンと特異的に反応しゲル化するカブトガニ血球成分由来の試薬は、現在、和光純薬工業(コード番号:298−22341)および生化学工業(エンドスペシー:登録商標)から市販されており、容易に入手することが可能である。前者はカブトガニのライセートをデキストラン硫酸セファロースカラムで分画後、G因子系の画分を除いて再構成したものである。後者は、ライセートにカルポキシメチル化カードラン(β−D−グリカン)を大過剰添加し、G因子系の活性化を逆に抑制させてエンドトキシン特異的にしたものである。一方、グリカン等と特異的に反応しゲル化するカブトガニ血球成分由来の試薬は、生化学工業、マルハ、和光純薬工業(商品名:β−グリカンテストワコ一等)から市販されている。その他、特異性はないが、ゲル化する試薬が生化学工業(商品名:エンドトキシントキシンテストーD等)から市販されている。
さらに他の好適なゲル化反応として、ペプチドグリカン(細菌の細胞壁成分の1つ)やβ−グリカン(真菌の細胞壁成分の1つ)等のグリカン類によって活性化されるカイコ体液抽出物によるゲル化反応を挙げることができる。また、カイコ体液抽出物は、SLP試薬セットとして和光純薬工業から市販されており(コード番号:297−51500)、容易に入手可能であり好適である。
また、本実施形態で使用可能な標的酵素として、活性化される前の不活性型の酵素や、活性型酵素の前駆体を利用することもできる。さらに、本実施形態で使用できる基質としては、標的酵素が直接的に作用し、ゲル化する基質だけでなく、この基質の前駆体等を利用することができる。すなわち、ここで、「基質」とは、標的酵素が直接的に作用する基質だけでなく、その前駆体をも含む概念である。また、本実施形態で使用可能な基質は、1種類の基質だけでもよく、2種類以上の基質の混合物であってもよい。また、本実施形態においては、種々の活性化物質を基質の他に添加することもできる。例えば、ゲル化反応が、複数の反応を含むカスケード反応である場合、該カスケード反応を活性化させる活性化物質等を反応系に添加することができる。
1.3.1−2.基材
標的酵素を固定化する基材としては、公知のあらゆる材料を使用することができる。したがって、例えば、多孔性ガラス、シリカゲル、ヒドロキシアパタイト等の無機高分子化合物;金、銀、白金等の金属が基材として利用可能である。さらに、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート等の合成高分子;デンプン、グルテン、キチン、セルロース、天然ゴム等の天然高分子;およびこれらの誘導体を挙げることができる。また、疎水基を有するアガロース誘導体、ニトロセルロース、およびそれらの誘導体等を基材として挙げることができる。
特に、本発明ではIER法を採用しているため、ガラスなどの高反射性基材を用いることが好ましい。
さらに、上記の基材の形状は、特に限定されず、使用方法に応じて、マイクロプレート、ビーズ、フイルム、シート、膜、チューブ、繊維、スティック等の形状とすることができる。また、基材として、多孔性の物質を採用することもできる。
1.3.2.(b)工程
(b)工程は、結合調節分子および標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体を基材に接触させる工程である。
1.3.2−1.結合調節分子
結合調節分子は、標的酵素と、標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体との結合を調節する物質である。また、結合調節分子は1種類であっても、2種類以上であってもよい。
結合調節分子は、例えば、核酸、低分子化合物、またはタンパク質であることができる。結合調節分子は、結合調節分子に結合しうる結合調節分子アプタマーが存在するものであることが好ましい。このような結合調節分子としては、アデノシンなどのヌクレオチドや、プローブDNAなどのオリゴヌクレオチドが挙げられる。
結合調節分子アプタマーが確認されている結合調節分子の他の例としては、以下のものが挙げられる:T4DNAポリメラーゼ、R17コートタンパク質、MS2コートタンパク質、E.Coli S1タンパク質、E.Coli rhoタンパク質、E.Coli 30S粒子+S1、E.Coli 30S粒子−S1、E.Coli metJタンパク質、QBレプリカーゼ、HIV−1 Revタンパク質、HIV−1 tatタンパク質、HIV−1intタンパク質、HIV−1リバーストランスクリプターゼ、MMLVリバーストランスクリプターゼ、AMVリバーストランスクリプターゼ、FIVリバーストランスクリプターゼ、HTLV−1 rexペプチド、U1A、U2AF、トロンビン、エラスターゼ、テオフィリン、ヒト絨毛性腺刺激ホルモン、pPLA2、NGF、bFGF、VEGF、抗gp−10抗体、SLEモノクローナル抗体、抗インスリンレセプター、IgE、FMN、AMP、アルギニン、シトルリン、トブラマイシン、ネオマイシンB、ヘマトポルフィリン、キチン、コール酸(Hermann, et, al., (2000), Adaptive recognition by nucleic acid aptamers, Science, 287, 820-825.)。
また、アプタマーの選択および応用に関するさらに詳細な説明は、Osborene SE, Ellington, AD. (1997), Nucleic Acid Selection and the Challenge of Combinatorial Chemistry. Chem Rev. Apr1; 97(2):349-370に見いだすことができる。
1.3.2−2.アプタマー
本明細書において、「アプタマー」とは、特定の分子に結合する核酸リガンドを表す。アプタマーは一般に、DNA合成機で固相合成することにより容易に製造することができる。
(A)標的酵素アプタマー
標的酵素アプタマーは、標的酵素との結合様式を変化させて、該標的酵素の特性を変化させることができるアプタマーである。
標的酵素アプタマーと標的酵素との結合様式が変化することにより、標的酵素の特性が変化する。この結合様式の変化は、アプタマーの構造の変化によるものと考えられる。しかしながら、標的酵素アプタマーは、結合様式の変化のメカニズムにより限定されるものではない。
(B)結合調節分子アプタマー
結合調節分子アプタマーは、結合調節分子に結合しうるアプタマーである。例えば、後述する実施例に示されるように、結合調節分子がアデノシンである場合、結合調節分子アプタマーはアデノシンアプタマーであり、結合調節分子がSARSコロナウイルスのRNAポリメラーゼ中の塩基配列である場合、結合調節分子アプタマーは該塩基配列に結合しうるアプタマーである。結合調節分子がSARSコロナウイルスのRNAポリメラーゼ中の塩基配列である場合、結合調節分子アプタマーは、一般にプローブDNAと呼ばれる、該塩基配列に相補的な塩基配列を有するオリゴヌクレオチドであってもよい。
(C)標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体
標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体は、標的酵素アプタマーと、結合調節分子アプタマーとの両方の機能を有するアプタマーである。
標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体は、2つ以上の分離したオリゴヌクレオチドから構成されていてもよいし(第1の実施形態)、あるいは、1つのオリゴヌクレオチドから構成されていてもよい(第2の実施形態)。
第1の実施形態に係る標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体は、結合調節分子の非存在下では標的酵素アプタマーとして機能し、結合調節分子の存在下では結合調節分子アプタマーとして機能する(図1参照)。
これに対して、第2の実施形態に係る標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体は、結合調節分子の非存在下では、結合調節分子アプタマーおよび標的酵素アプタマーのいずれとしても機能せず、結合調節分子の存在下では、結合調節分子アプタマーおよび標的酵素アプタマーの両方として機能する(図6参照)。
(C−1)第1の実施形態に係る標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体
上記第1の実施形態に係る方法においては、第1および第2のオリゴヌクレオチドを含む標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体を使用することができる。すなわち、標的酵素アプタマーを少なくとも2つに分割し、その一方(第1の塩基配列)に結合調節分子アプタマーの塩基配列を付加して第1オリゴヌクレオチドとし、もう一方(第2の塩基配列)に結合調節分子アプタマーの少なくとも一部と相補的な塩基配列を付加して第2のオリゴヌクレオチドとし、この第1および第2のオリゴヌクレオチドからなる混合物を標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体として使用することができる。
この場合、標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体と標的酵素との結合様式が変化し(該複合体と標的酵素との結合が弱まり)、その結果、標的酵素の特性が変化する(標的酵素の活性が上昇する)。すなわち、標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体と標的酵素との結合が弱まることにより、標的酵素の活性を高めることができる。
上記第1の実施形態に係る方法において、標的酵素がトロンビンであって、結合調節分子がアデノシンである場合、使用可能な標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体としては、以下に示す配列を有する標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体4,6,7が挙げられる(図2および図3参照)。
(i)複合体4:第1のオリゴヌクレオチド3と第2のオリゴヌクレオチド2との複合体
第2のオリゴヌクレオチド2:
5’CACTGGTAGGTTGGTGTGGTTACCTTCCTCCG’3 (配列番号1)
第1のオリゴヌクレオチド3:
5’ACCTGGGGGAGTATTGCGGAGGAAGGTTGGGGCCAGTG’3 (配列番号2)
(ii)複合体6:第2のオリゴヌクレオチド2’と第1のオリゴヌクレオチド3との複合体
第2のオリゴヌクレオチド2’:
5’CACTGGTAGGTTGGTGTGGTTACCTTCCT’3 (配列番号3)
(iii)複合体7:第2のオリゴヌクレオチド2”と第1のオリゴヌクレオチド3との複合体
第2のオリゴヌクレオチド2”:
5’CACTGGTAGGTTGGTGTGGTTACCT 3’(配列番号5)
図2および図3に示すように、複合体4,6,7が存在する場合、複合体4,6,7と標的酵素(トロンビン)との結合様式が強まる。その結果、トロンビンの活性が低下する。
これに対して、標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体とともに、結合調節分子(アデノシン)が存在する場合(図3の5の場合)、第1のオリゴヌクレオチド3と結合調節分子とが結合することにより、第1のオリゴヌクレオチド3と第2のオリゴヌクレオチド2ととの結合が弱まる結果、トロンビンと第1および第2のオリゴヌクレオチド3,2との結合が弱くなる。その結果、トロンビンの活性を増加させることができる。
(C−2)第2の実施形態に係る標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体
上記第2の実施形態に係る方法においては、標的酵素と結合して該標的酵素の特性を変化させることができる標的酵素アプタマーの塩基配列と、結合調節分子に結合しうる結合調節分子アプタマーの塩基配列の少なくとも一部と相補的な塩基配列とを含む標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体を使用することができる。
この場合、標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体と標的酵素との結合様式が変化し(該複合体と標的酵素との結合が強まり)、その結果、標的酵素の特性が変化する(標的酵素の活性が低下する)。すなわち、標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体と標的酵素との結合が強まることにより、標的酵素の活性を低下させることができる。
上記第2の実施形態に係る方法において、標的酵素がトロンビンである場合、使用可能な標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体としては、例えば、以下に示す配列を有する標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体14が挙げられる(図7および図8参照)。
この複合体14は、トロンビンアプタマー8の塩基配列(配列番号4)と、SARSコロナウイルスのRNAポリメラーゼ中の27merの塩基配列(結合調節DNA)15(配列番号6)と相補的な塩基配列16(配列番号8)とを有する。この場合、標的酵素アプタマーは、トロンビンアプタマー8であり、結合調節分子は、SARSコロナウイルスのRNAポリメラーゼ中の27merの塩基配列(結合調節DNA)15である。
(i)トロンビンアプタマー8:
5’CACTGGTAGGTTGGTGTGGTTGGGGCCAGTG 3’(配列番号4)
(ii)結合調節DNA15:
5’TTAAGTGAGATGGTCATGTGTGGCGGC 3’(配列番号6)
(iii)複合体14:
5’CACTGGTAGGTTGGTGTGGTTGGGGCCAGTGGCCGCCACACATGACCATCT
CACTTAA 3’(配列番号7)
(iv)結合調節DNA15と相補的な塩基配列16:
5’GCCGCCACACATGACCATCTCACTTAA 3’(配列番号8)
図7の3に示すように、結合調節分子(結合調節DNA)15が存在しない場合、複合体14と標的酵素(トロンビン)との結合が弱まるため、遊離のトロンビンが増加する。その結果、トロンビンの活性が増加する。
これに対して、図7の4に示すように、結合調節DNA15が存在する場合、複合体14と結合調節分子とが結合することにより、複合体14の構造が変化し、トロンビンと複合体14との結合が強くなる。その結果、遊離のトロンビンが減少するため、トロンビンの活性が低下する。
1.3.3.(c)工程
(c)工程は、標的酵素の触媒作用によりゲル化する基質を基材に接触させる工程である。
なお、(b)工程を行った後、(c)工程を行う前に、(e)基材を洗浄する工程をさらに行なってもよい。(e)基材を洗浄する工程により、遊離の結合調節分子および標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体を除去することができるため、標的酵素の活性をより正確に測定することができる。
(e)基材を洗浄する工程は例えば、結合調節分子および標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体を含む溶液を回収することにより行われる。
1.3.4.(d)工程
(d)工程は、IER法を利用して、基材に照射した光の反射光強度を測定する工程である。
すなわち、標的酵素の活性は、IER法を利用して、標的酵素を固定化した基材に照射した光の反射光強度を測定することにより検出することができる。
本実施形態に係る標的酵素の活性を測定する方法においては、標的酵素および基質によるゲル化反応に伴う膜厚の変化をIER法(Interference Enhanced Reflection Method:干渉増幅反射法)によって測定することによって、標的酵素の活性を定量的に測定することができる。IER法は、比較的簡単な測定装置により測定することができ、かつ、汎用器の開発が容易であることから、好ましい測定方法である。
IER法は、ある角度で入射された光の、膜の空気側(又は溶液側)と基材側からの2つの界面からの反射光同士の干渉現象を利用する方法である。例えば、ある膜厚では、2つの界面からの光の位相が強め合うことにより膜厚の増加と共に反射光強度が増加し、また、別の膜厚では、2つの界面からの光の位相が弱め合うことにより膜厚の増加と共に反射光強度が減少する。さらに、反射強度が減少モードから増加モードへ移行する膜厚では、反射強度がゼロとなる無反射状態(Anti−Reflective Coating;ARコート膜)となる。したがって、IER法においては、検出される反射光強度が、膜の光学膜厚(屈折率と膜厚の積)に応じて、サインカーブ状に変化する。よって、標的酵素の働きによって、膜の膜厚が変化した場合、基材に照射した光の反射光強度を測定することにより、膜厚を測定することができる。この膜厚の変化から、標的酵素の活性を定量的に測定することができる。
例えば、特開平6−222006号公報、特開平7−260773号公報、特開平6−341894号公報、特開平8−184560号公報、特開平9−329553号公報、特開平10−104163号公報、特開2004−117325号公報にIER法に関する記載がある。
2.標的酵素の活性を測定するためのキット
本発明の第3の実施形態に係る標的酵素の活性を測定するためのキット(以下、「測定キット」とする。)は、標的酵素と、結合調節分子と、標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体と、標的酵素の触媒作用によりゲル化する基質と、を含む。
この場合、標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体は、第1および第2のオリゴヌクレオチドを含み、第1のオリゴヌクレオチドは、第1の塩基配列と、結合調節分子に結合しうる結合調節分子アプタマーの塩基配列とを含み、第2のオリゴヌクレオチドは、第2の塩基配列と、結合調節分子アプタマーの塩基配列の少なくとも一部と相補的な塩基配列とを含み、第1および第2の塩基配列は、標的酵素と結合して標的酵素の特性を変化させることができる標的酵素アプタマーを分割して得られるものであってもよい。
あるいは、この場合、標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体は、標的酵素と結合して標的酵素の特性を変化させることができる標的酵素アプタマーの塩基配列と、結合調節分子に結合しうる結合調節分子アプタマーの塩基配列の少なくとも一部と相補的な塩基配列とを含んでいてもよい。
本実施形態に係る測定キットは、さらに、標識酵素を固定化するための基材、標準溶液、ゲル化反応の増感剤、バッファー、使用説明書、パッケージ等を含んでもよい。
3.標的酵素の活性を測定するためのバイオセンサ
本発明の第4の実施形態に係る標的酵素の活性を測定するためのバイオセンサは、反応部および測定部を含む。
この場合、反応部では、標的酵素を基材に固定化した後、結合調節分子および標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体を添加し、次いで、標的酵素の触媒作用によりゲル化する基質を添加して、標識酵素と基質とを反応させる。また、測定部では、IER法を利用して、基材に照射した光の反射光強度が測定される。
この場合、標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体は、第1および第2のオリゴヌクレオチドを含み、第1のオリゴヌクレオチドは、第1の塩基配列と、結合調節分子に結合しうる結合調節分子アプタマーの塩基配列とを含み、第2のオリゴヌクレオチドは、第2の塩基配列と、結合調節分子アプタマーの塩基配列の少なくとも一部と相補的な塩基配列とを含み、第1および第2の塩基配列は、標的酵素と結合して標的酵素の特性を変化させることができる標的酵素アプタマーを分割して得ることができる。
あるいは、この場合、標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体は、標的酵素と結合して標的酵素の特性を変化させることができる標的酵素アプタマーの塩基配列と、結合調節分子に結合しうる結合調節分子アプタマーの塩基配列の少なくとも一部と相補的な塩基配列とを含むことができる。
4.実施例
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
4.1.実施例1
実施例1では、上記第1の実施形態に係る標的酵素の活性を測定する方法の検証を行った。
より具体的には、実施例1においては、DNA合成機で固相合成されたオリゴヌクレオチド2〜8(図3参照)をそれぞれ使用し、これらを加熱した場合、標的酵素(トロンビン)の活性が変化するかどうかを確認した。なお、各アプタマーの配列は以下の通りである。
(i)第2のオリゴヌクレオチド2:
5’CACTGGTAGGTTGGTGTGGTTACCTTCCTCCG 3’(配列番号1)
(ii)第1のオリゴヌクレオチド3:
5’ACCTGGGGGAGTATTGCGGAGGAAGGTTGGGGCCAGTG 3’(配列番号2)
(iii)標的酵素アプタマー・プローブ複合体4:
第1のオリゴヌクレオチド3と第2のオリゴヌクレオチド2との複合体
(iv)混合物5:
標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体4と、結合調節分子(アデノシン1mM)との混合物
(v)標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体6:
第1のオリゴヌクレオチド3と第2のオリゴヌクレオチド2’との複合体(複合体6では、第2のオリゴヌクレオチド2’の3’末端から8塩基が第1のオリゴヌクレオチド3とハイブリダイズしうる。)
第2のオリゴヌクレオチド2’:
5’CACTGGTAGGTTGGTGTGGTTACCTTCCT 3’(配列番号3)
(vi)標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体7:
第1のオリゴヌクレオチド3と第2のオリゴヌクレオチド2”との複合体(複合体7では、第2のオリゴヌクレオチド2”の3’末端から4塩基が、第1のオリゴヌクレオチド3とハイブリダイズしうる。)
第2のオリゴヌクレオチド2”:
5’CACTGGTAGGTTGGTGTGGTTACCT 3’(配列番号5)
(vii)標的酵素アプタマー(トロンビンアプタマー)8:
5’CACTGGTAGGTTGGTGTGGTTGGGGCCAGTG 3’(配列番号4)
まず、各オリゴヌクレオチド(200nM)と、バッファー(pH7.4、50mMTris−HCl,5mM KCl,100mM NaCl)とを混合して全量90μlとした溶液Aを室温にて30秒間インキュベートし、次いで急冷した後、この溶液とトロンビン(標的酵素)(1Unit)(和光純薬工業)とを混合して溶液Bを調製した。次に、この溶液Bと1.4mg/mlのフィブリノーゲン(基質)100μl(和光純薬工業)とを混合して得られた溶液Cについて、凝固時間(秒)をそれぞれ測定した。その結果を図3に示す。
なお、本実施例および後述する実施例において、凝固時間は、溶液が固まる時間であり、凝固時間は、自動血液凝固測定装置(KC4A micro,AMELUNG)により測定された。
また、図3において、横軸の「1」は、オリゴヌクレオチドを使用しない場合の測定結果を示し、横軸の「2」〜「8」はそれぞれ、オリゴヌクレオチド2〜8を使用した場合の測定結果を示す。ここで、溶液の凝固時間が長いほど、標的酵素(トロンビン)の活性(フィブリノーゲンからフィブリンに変換する能力)が低いといえる。
図3によれば、オリゴヌクレオチド4,6,8および混合物5を使用した場合、これらを使用しない場合と比較して、標的酵素(トロンビン)の活性が低いことが確認された。
また、結合調節分子(アデノシン)の存在下でオリゴヌクレオチド2および3を使用した場合(混合物5を使用した場合;図3の横軸「5」参照)、アデノシンの非存在下で第1および第2のオリゴヌクレオチド3,2を使用した場合(図3の横軸「4」参照)と比較して、標的酵素(トロンビン)の活性が高かった。その理由としては、アデノシンが存在する場合、アデノシンが存在しない場合と比較して、第1のオリゴヌクレオチド3と第2のオリゴヌクレオチド2とのハイブリダイズが抑制され、アプタマーのトロンビンへの結合が弱まったため、トロンビンの活性が増加したことが推測される。
4.2.実施例2
実施例2では、上記第1の実施形態に係る標的酵素の活性を測定する方法の検証を行った。
より具体的には、実施例2では、混合物5および異なる濃度の結合調節分子(アデノシン)およびシチジンの存在下での標的酵素(トロンビン)の活性を測定した。
まず、混合物5(1μM)と、バッファー(pH7.4、50mM Tris−HCl,5mM KCl,100mM NaCl)とを混合して全量90μlとした溶液Aを室温にて30秒間インキュベートし、次いで急冷した後、この溶液とトロンビン(標的酵素)(54nM)(和光純薬工業)とを混合して溶液Bを調製した。次に、この溶液Bと1.0mg/mlのフィブリノーゲン(基質)100μl(和光純薬工業)とを混合して得られた溶液Cについて、凝固時間(秒)をそれぞれ測定した。その結果を図4に示す。
図4によれば、異なるシチジンの濃度においても凝固時間はほとんど変化しなかったのに対して、アデノシンの濃度が上昇するにつれて凝固時間が短くなることが確認された。すなわち、シチジンは、標的酵素(トロンビン)の活性に影響をほとんど与えなかったのに対して、アデノシンは、濃度が高くなるほど標的酵素(トロンビン)の活性が増加することが明らかになった。
以上の結果より、結合調節分子(アデノシン)を標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体4と共存させることにより、標的酵素(トロンビン)の活性を制御できることが理解できる。
4.3.実施例3
実施例3では、上記第1の実施形態に係る標的酵素の活性を測定する方法の検証を行った。
より具体的には、実施例3では、標的酵素(トロンビン)と基質(フィブリノーゲン)との反応により生じるゲルをIER法により測定した。すなわち、実施例3においては、トロンビンを固定化した基板に光(波長670nm)を照射して得られた反射光のシグナル強度を測定した。
4.3.1.実験手順
まず、ガラス基板(14.5mm×14.5mm)を、10% 3−aminopropyltriethoxysilane(γ−APTES:信越化学工業製)中で99℃にて一晩インキュベートし、次いで、2%グルタルアルデヒド(和光純薬工業製)溶液で室温にて3時間処理した(処理1)。
次に、上記基板上にトロンビン溶液(ヒトトロンビン10μg/ml:和光純薬工業製)を1ml添加し、室温にて3時間インキュベートして、基板上に標的酵素(トロンビン)が固定された基板(トロンビン固定化基板)を作製した(処理2)。
次いで、終濃度1mMの結合調節分子(アデノシン)存在下で、終濃度10nMの標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体4を室温で10分間インキュベートし、その混合溶液をトロンビン固定化基板に添加し、室温で10分間インキュベートした(volume 200μl)(処理3)。
その後、混合溶液を回収し、室温でインキュベートしておいた基質(フィブリノーゲン)溶液(終濃度2mg/0.6ml、Totalvolume 200μ1:和光純薬工業製)をトロンビン固定化基板に添加し、IERシグナル強度を測定した(処理4)。その結果を図5の(1)に示す。
一方、処理1,2を行った後、処理3において、アデノシンの非存在下で同様の操作を行った後、処理4を行ってIERシグナル強度を測定した。その結果を図5の(2)に示す。
さらに、処理1,2を行った後、処理3を行わずに処理4を行った結果を図5の(3)に示す。
4.3.2.測定結果
図5の(3)によれば、標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体4が存在しないため、標的酵素(トロンビン)の活性によりゲル化反応が進行した。すなわち、トロンビンが固定化された基板では、標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体4の非存在下で基質(フィブリノーゲン)を添加するとゲル化が起こり、このゲルによる膜厚をIER法により測定することにより、トロンビンの活性を測定できることが確認された。
したがって、標的酵素としてトロンビンを固定化した基板に、基質であるフィブリノーゲンを添加すると、フィブリノーゲンがフィブリンに分解されてゲル化が生じ、このゲル化により生じた膜の膜厚をIER法により測定測定することにより、標的酵素(トロンビン)の活性を測定できることが確認された。また、標的酵素(トロンビン)の活性を測定することにより、結合調節分子(アデノシン)の検出を行うことができることが確認された。
これに対して、図5の(1)によれば、標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体4の存在により、標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体4と標的酵素(トロンビン)との結合が強まるため、標的酵素(トロンビン)の活性が低下し、ゲル化反応が抑制されたと推測される。
一方、図5の(2)によれば、結合調節分子(アデノシン)の存在により、標的酵素(トロンビン)の活性は、図5の(1)の場合と比較して上昇した。このため、図5の(2)では、ゲル化反応は図5の(1)よりも進行した。その理由としては、以下の理由が推測される。
図5の(2)では、結合調節分子(アデノシン)の存在により、第1のオリゴヌクレオチド3と第2のオリゴヌクレオチド2とのハイブリダイズが抑制されるため、標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体4が開裂して、第1のオリゴヌクレオチド3および第2のオリゴヌクレオチド2が分離して存在する結果、第1および第2のオリゴヌクレオチド3,2と標的酵素(トロンビン)との結合が弱まる。その結果、標的酵素(トロンビン)の活性が上昇するため、ゲル化が進行したと推測される。
4.4.実施例4
実施例4では、上記第2の実施形態に係る標的酵素の活性を測定する方法の検証を行った。
具体的には、実施例4では、標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体14および結合調節分子(結合調節DNA)15存在下での標的酵素(トロンビン)の活性を測定した。
実施例4で用いる標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体14は、トロンビンアプタマー8の3’末端に、結合調節DNA15と相補的な塩基配列を付加したものである。結合調節DNA15は、SARSコロナウイルスのRNAポリメラーゼ中の27merの塩基配列(配列番号6)である。
(i)結合調節DNA15(27merの塩基配列):
5’TTAAGTGAGATGGTCATGTGTGGCGGC 3’(配列番号6)
(ii)標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体14:
5’CACTGGTAGGTTGGTGTGGTTGGGGCCAGTGGCCGCCACACATGACCATCT
CACTTAA 3’(配列番号7)
まず、標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体14(1μM)と、結合調節DNA15(1μM)と、バッファー(pH7.4、50mM Tris−HCl,5mM KCl,100mM NaCl)とを混合して全量90μlとした溶液Aを室温にて30秒間インキュベートし、次いで急冷した後、この溶液Aとトロンビン(標的酵素)(54nM)(和光純薬工業)とを混合して溶液Bを調製した。次に、この溶液Bと1.0mg/mlのフィブリノーゲン(基質)100μl(和光純薬工業)とを混合して得られた溶液Cについて、凝固時間(秒)をそれぞれ測定した。その結果を図7に示す。
図7において、「1」は、コントロールとして、溶液Aを使用せずに溶液Bを調製した場合(複合体14および結合調節DNA15の非存在下でトロンビンとフィブリノーゲンとを混合した場合)を示し、「2」は、複合体14および結合調節DNA15のかわりにトロンビンアプタマー8を用いた場合(トロンビンアプタマー8の存在下でトロンビンとフィブリノーゲンとを混合した場合)を示し、「3」は、結合調節DNA15を使用しない溶液Aを用いて調製された溶液Bを使用した場合(結合調節DNA15の非存在下かつ複合体14の存在下でトロンビンとフィブリノーゲンとを混合した場合)を示し、「4」は、溶液Aを用いて調製された溶液Bを使用した場合(複合体14および結合調節DNA15の存在下でトロンビンとフィブリノーゲンとを混合した場合)を示す。
図7によれば、結合調節DNA15の非存在下でかつ複合体14の存在下でトロンビンとフィブリノーゲンとを混合した場合(3の場合)、コントロール(1の場合)と同様の凝固時間であった。このことから、結合調節DNA15の非存在下でかつ複合体14の存在下でトロンビンとフィブリノーゲンとを混合した場合、複合体14と標的酵素(トロンビン)との結合が弱まるため、トロンビンの活性が上昇したことが理解できる。
これに対して、複合体14および結合調節DNA15の存在下でトロンビンとフィブリノーゲンとを混合した場合(4の場合)の凝固時間は、結合調節DNA15の非存在下でかつ複合体14の存在下でトロンビンとフィブリノーゲンとを混合した場合(3の場合)の凝固時間と比較して大幅に増加した。このことから、複合体14および結合調節DNA15の存在下でトロンビンとフィブリノーゲンとを混合した場合、結合調節DNA15が複合体14中の相補鎖部分とハイブリダイズする結果、複合体14と標的酵素(トロンビン)との結合が強まるため、トロンビンの活性が低下したことが理解できる。
4.5.実施例5
実施例5では、上記第2の実施形態に係る標的酵素の活性を測定する方法の検証を行った。
より具体的には、実施例5では、標的酵素(トロンビン)と基質(フィブリノーゲン)との反応により生じるゲルの形成の有無をIER法により測定した。なお、測定に用いた機器は、実施例3と同様のものを使用した。
4.5.1.実験手順
まず、ガラス基板(14.5mm×14.5mm)を、10% 3−aminopropyltriethoxysilane(γ−APTES:信越化学工業製)中で99℃にて一晩インキュベートし、次いで、2%グルタルアルデヒド(和光純薬工業製)溶液で室温にて3時間処理した(処理1)。
次に、上記基板上にトロンビン溶液(ヒトトロンビン10μg/ml:和光純薬工業製)を1ml添加し、室温にて3時間インキュベートして、基板上に標的酵素(トロンビン)が固定された基板(トロンビン固定化基板)を作製した(処理2)。
次いで、終濃度100nMの結合調節分子(結合調節DNA15)存在下で、終濃度100nMの標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体14を室温で10分間インキュベートし、その混合溶液をトロンビン固定化基板に添加し、室温で10分間インキュベートした(volume 200μl)(処理3)。
その後、混合溶液を回収し、室温でインキュベートしておいた基質(フィブリノーゲン)溶液(終濃度2mg/0.6ml、Totalvolume 200μ1:和光純薬工業製)をトロンビン固定化基板に添加し、IERシグナル強度を測定した(処理4)。その結果を図8の(1)に示す。
一方、処理1,2を行った後、処理3において、結合調節DNA15の非存在下で同様の操作を行った後、処理4を行ってIERシグナル強度を測定した。その結果を図8の(2)に示す。
さらに、処理1,2を行った後、処理3を行わずに処理4を行った結果を図8の(3)に示す。
4.5.2.測定結果
図8の(3)によれば、IERシグナル強度は、時間の経過とともに低下した。このことから、図8の(3)では処理3を行わなかったので、標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体14が基板上に存在しないため、標的酵素(トロンビン)の活性が上昇した結果、ゲル化反応が進行したと推測される。すなわち、トロンビンが固定化された基板では、標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体14の非存在下で基質(フィブリノーゲン)を添加すると、トロンビンの活性が発現してフィブリノーゲンのゲル化が起こり、このゲルによる膜厚の変化をIER法により測定できることが確認された。
したがって、標的酵素としてトロンビンを固定化した基板に、基質であるフィブリノーゲンを添加すると、フィブリノーゲンがフィプリンに分解されゲル化し、このゲル化により生じた膜の膜厚の変化をIER法により測定できることが確認された。これにより、標的酵素(トロンビン)の活性を測定できることが確認された。
これに対して、図8の(1)によれば、IERシグナル強度は、時間の経過とともにほとんど変化しなかった。このことから、標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体14の存在により、標的酵素(トロンビン)と複合体14との結合が強まった結果、標的酵素(トロンビン)の活性が低下したため、ゲル化反応が抑制されたことが推測される。
一方、図8の(2)によれば、IERシグナル強度は、時間の経過とともに低下した。このことから、図8の(2)では、結合調節DNA15が存在しないため、標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体14がトロンビンアプタマーとして機能せず、標的酵素(トロンビン)と複合体14との結合が弱まった結果、標的酵素(トロンビン)の活性が発現し、ゲル化反応が抑制されたことが推測される。
以上の結果により、IER法によって、基板に照射した光の反射光強度を測定することにより、標的酵素(トロンビン)の活性を測定できることが確認された。また、標的酵素(トロンビン)の活性を測定することにより、結合調節分子(結合調節DNA15)の検出を行うことができることが確認された。
本発明に係る標的酵素の活性を測定する方法、標的酵素の活性を測定するためのキット、および標的酵素の活性を測定するためのバイオセンサによれば、共存物質の影響が少なく、標的酵素の活性を定量的に測定することができる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る標的酵素の活性を測定する方法における標的酵素の活性発現機構を模式的に示す図である。 図2は、本発明の第1の実施形態に係る標的酵素の活性を測定する方法において使用される標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体の構造を模式的に示す図である。 図3は、各種のアプタマーの存在下で標的酵素(トロンビン)の活性を測定した結果を示す図である(実施例1)。図中、2〜8はそれぞれ、使用したオリゴヌクレオチドを示す。 図4は、標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体ならびに結合調節分子(アデノシン)またはシチジンの存在下で、標的酵素(トロンビン)の活性を測定した結果を示す図である(実施例2)。 図5は、標的酵素(トロンビン)を固定化した基板上に基質(フィブリノーゲン)を添加した場合のIERシグナルの変化を示す図である(実施例3)。図中、(1)は、トロンビン固定化基材を結合調節分子(アデノシン)非存在下にて、標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体4をインキュベートした後、フィブリノーゲンを添加した場合であり、(2)は、トロンビン固定化基材をアデノシン存在下にて標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体4をインキュベートした後、フィブリノーゲンを添加した場合であり、(3)は、トロンビン固定化基材を標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体4とインキュベートせずにフィブリノーゲンを添加した場合である。 図6は、本発明の第2の実施形態に係る標的酵素の活性を測定する方法における標的酵素の活性抑制機構を模式的に示す図である。 図7は、標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体ならびに結合調節分子(結合調節DNA)の存在下で、標的酵素(トロンビン)の活性を測定した結果を示す図である(実施例4)。図中、1は標識酵素(トロンビン)のみが存在する場合、2は標識酵素(トロンビン)および標的酵素アプタマー(トロンビンアプタマー)8を添加した場合、3は標識酵素(トロンビン)および標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体(3’トロンビン−SARS DNAアプタマー複合体)14を添加した場合、4は標識酵素(トロンビン)、標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体(3’トロンビン−SARS DNAアプタマー複合体)14、および結合調節分子(結合調節DNA15)を添加した場合を示す。 図8は、標的酵素(トロンビン)を固定化した基板上に基質(フィブリノーゲン)を添加した場合のIERシグナル強度の変化を示す図である(実施例5)。図中、(1)は、結合調節分子(結合調節DNA)15の存在下にて、トロンビン固定化基板上で標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体(3’トロンビン−SARS DNAアプタマー複合体)14をインキュベートした後、フィブリノーゲンを添加した場合であり、(2)は、結合調節DNA15の非存在下にて、トロンビン固定化基板上で標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体14をインキュベートした後、フィブリノーゲンを添加した場合であり、(3)は、結合調節DNA15および標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体14の非存在下にて、トロンビン固定化基板上にフィブリノーゲンを添加した場合である。
符号の説明
2、2’、2”・・・第1のオリゴヌクレオチド
3・・・第2のオリゴヌクレオチド
4、6、7、14・・・標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体
5・・・第1のオリゴヌクレオチド3と、第2のオリゴヌクレオチド2と、結合調節分子(アデノシン)の混合物
8・・・標的酵素アプタマー(トロンビンアプタマー)
10・・・標的酵素(トロンビン)
15・・・結合調節分子(結合調節DNA)
16・・・結合調節分子と相補的な塩基配列部分

Claims (12)

  1. (a)標的酵素を基材に固定化させる工程、
    (b)結合調節分子および標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体を前記基材に接触させる工程、
    (c)前記標的酵素の触媒作用によりゲル化する基質を前記基材に接触させる工程、および
    (d)IER法を利用して、前記基材に照射した光の反射光強度を測定する工程
    を含み、
    前記複合体は、第1および第2のオリゴヌクレオチドを含み、
    前記第1のオリゴヌクレオチドは、第1の塩基配列と、前記結合調節分子に結合しうる結合調節分子アプタマーの塩基配列とを含み、
    前記第2のオリゴヌクレオチドは、第2の塩基配列と、前記結合調節分子アプタマーの塩基配列の少なくとも一部と相補的な塩基配列とを含み、
    前記第1および第2の塩基配列は、前記標的酵素と結合して該標的酵素の特性を変化させることができる標的酵素アプタマーを分割して得られる、標的酵素の活性を測定する方法。
  2. 請求項1において、
    第1および第2の塩基配列は、前記標的酵素アプタマーを2つに分割して得られる、標的酵素の活性を測定する方法。
  3. 請求項1または2において、
    前記(c)において、前記標的酵素と前記複合体との結合が弱まる結果、前記基質に対する前記標的酵素の活性が上昇し、前記基材上でゲルの形成が進行する、標的酵素の活性を測定する方法。
  4. (a)標的酵素を基材に固定化させる工程、
    (b)結合調節分子および標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体を前記基材に接触させる工程、
    (c)前記標的酵素の触媒作用によりゲル化する基質を前記基材に接触させる工程、および
    (d)IER法を利用して、前記基材に照射した光の反射光強度を測定する工程
    を含み、
    前記複合体は、
    前記標的酵素と結合して該標的酵素の特性を変化させることができる標的酵素アプタマーの塩基配列と、
    前記結合調節分子に結合しうる結合調節分子アプタマーの塩基配列の少なくとも一部と相補的な塩基配列と、
    を含む、標的酵素の活性を測定する方法。
  5. 請求項4において、
    前記(c)において、前記標的酵素と前記複合体との結合が強まる結果、前記基質に対する前記標的酵素の活性が低下し、前記基材上でゲルの形成が抑制される、標的酵素の活性を測定する方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかにおいて、
    前記(b)の後、前記(c)の前に、(e)前記基材を洗浄する工程をさらに含む、標的酵素の活性を測定する方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかにおいて、
    前記標的酵素がトロンビンである、標的酵素の活性を測定する方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかにおいて、
    前記結合調節分子が核酸、低分子化合物、またはタンパク質である、標的酵素の活性を測定する方法。
  9. 標的酵素と、
    結合調節分子と、
    標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体と、
    前記標的酵素の触媒作用によりゲル化する基質と、
    を含み、
    前記複合体は、第1および第2のオリゴヌクレオチドを含み、
    前記第1のオリゴヌクレオチドは、第1の塩基配列と、前記結合調節分子に結合しうる結合調節分子アプタマーの塩基配列とを含み、
    前記第2のオリゴヌクレオチドは、第2の塩基配列と、前記結合調節分子アプタマーの塩基配列の少なくとも一部と相補的な塩基配列とを含み、
    前記第1および第2の塩基配列は、前記標的酵素と結合して該標的酵素の特性を変化させることができる標的酵素アプタマーを分割して得られる、標的酵素の活性を測定するためのキット。
  10. 標的酵素と、
    結合調節分子と、
    標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体と、
    前記標的酵素の触媒作用によりゲル化する基質と、
    を含み、
    前記複合体は、
    前記標的酵素と結合して該標的酵素の特性を変化させることができる標的酵素アプタマーの塩基配列と、
    前記結合調節分子に結合しうる結合調節分子アプタマーの塩基配列の少なくとも一部と相補的な塩基配列と、
    を含む、標的酵素の活性を測定するためのキット。
  11. 標的酵素を基材に固定化した後、結合調節分子および標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体を添加し、次いで、前記標的酵素の触媒作用によりゲル化する基質を添加して、該標識酵素と前記基質とを反応させる反応部と、
    IER法を利用して、前記基材に照射した光の反射光強度を測定する測定部と、
    を含み、
    前記複合体は、第1および第2のオリゴヌクレオチドを含み、
    前記第1のオリゴヌクレオチドは、第1の塩基配列と、前記結合調節分子に結合しうる結合調節分子アプタマーの塩基配列とを含み、
    前記第2のオリゴヌクレオチドは、第2の塩基配列と、前記結合調節分子アプタマーの塩基配列の少なくとも一部と相補的な塩基配列とを含み、
    前記第1および第2の塩基配列は、前記標的酵素と結合して該標的酵素の特性を変化させることができる標的酵素アプタマーを分割して得られる、標的酵素の活性を測定するためのバイオセンサ。
  12. 標的酵素を基材に固定化した後、結合調節分子および標的酵素アプタマー・結合調節分子アプタマー複合体を添加し、次いで、前記標的酵素の触媒作用によりゲル化する基質を添加して、該標識酵素と前記基質とを反応させる反応部と、
    IER法を利用して、前記基材に照射した光の反射光強度を測定する測定部と、
    を含み、
    前記複合体は、
    前記標的酵素と結合して該標的酵素の特性を変化させることができる標的酵素アプタマーの塩基配列と、
    前記結合調節分子に結合しうる結合調節分子アプタマーの塩基配列の少なくとも一部と相補的な塩基配列と、
    を含む、標的酵素の活性を測定するためのバイオセンサ。
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