図1はディジタル信号伝送システム例を示すブロック図である。ディジタル信号伝送システム10は、送信機20、通信チャネル30及び受信機40を有する。送信機20は、チャネル30を介してディジタル情報を運ぶ信号を受信機40に送信する適切な如何なる送信機で構成されてもよい。特定の実施例では、送信機20は比較的高速に情報を通信するかもしれない。チャネル30は適切な如何なるチャネルでも他の通信媒体でもよい。チャネル30は、例えば、信号を運ぶケーブル、ケーブルを絶縁する絶縁体、ケーブル周囲のパッケージ及び/又はコネクタを含んでもよい。チャネル30は送信機20からの信号を受け、その信号を受信機40に転送する。受信機40は、チャネル30を介して送信機20からの信号を受信し、受信した信号中のディジタル情報を適切に処理する適切な如何なる受信機で構成されてもよい。
例えば高速通信システムのような一般的なディジタル信号伝送システムでは、受信機40で受信された信号は、グラフ32に示されるような周波数依存性の減衰に起因する歪を受けるのが一般的である。概して、導電性通信媒体中の信号減衰に関して2つの主要な原因が存在する。第1の主要な原因は、通信媒体に沿う信号の伝搬による表皮効果(skin effect)である。第2の主要な原因は、通信媒体による信号の誘電吸収(dielectric absorption)である。一般に、表皮効果の信号損失量はデシベルでas・x・√fの積になり、asは材料の表皮効果係数であり、xは材料に沿って伝搬する長さであり、fは信号の周波数である。誘電吸収による損失量は、ad・x・fの積になり、adは材料の誘電吸収係数である。
これらの効果の相対的な重要性は材料及び信号周波数に依存して大きく変化するかもしれない。例えば、ケーブルは表皮効果係数より十分に小さい誘電吸収係数を有し、表皮効果による損失が高周波を除いて支配的になる。一方、バックプレーントレースは高い誘電吸収係数を有し、誘電吸収による損失は、表皮効果による損失量に匹敵する又はそれより多くなる。更に、温度変動のような動作条件の変化も信号特性に影響するかもしれない。
受信機40で処理される信号は、残留DCオフセット歪も示すかもしれない。残留DCオフセットは、例えば、製造技術(例えば、装置寸法の不整合、閾電圧の不整合等)に及び/又は受信機部品自身に起因するかもしれない。図2及び3に関連して詳細に説明されるように、イコライザが周波数依存性の減衰を補償するのに使用され、オフセットキャンセラは残留DCオフセットをキャンセルするのに使用される。
図2は、図1のディジタル信号伝送システム例を詳細に示すブロック図である。図示されているように、送信機20は送信機ロジック22及び送信機イコライザ24を有する。送信機ロジック22は情報をエンコード及び送信する適切な如何なる論理装置で構成されてよい。送信機イコライザ24は、(例えば、送信される信号のゲインを調整することで)或る歪を補償する適切な如何なるイコライザで構成されてよく、その歪は周波数依存性の減衰に起因してチャネル30で送信信号が受けるかもしれないものである。単なる一例として、特定の実施例では、ゲインはグラフ26に示されるように補償されてもよい。この方法では、イコライザ24は、(例えば、送信機のプリエンファシス等化を用いて)歪が実際に生じる前に、信号に予備補償(pre-compensation) (又は等化)を適用する。特定の実施例では、送信機イコライザ24は、図3に関連して以下で説明されるような受信機イコライザ34と同様に、受信機ロジック47からのフィードバックに基づいて動作する。しかしながら、イコライザ24は歪が生じる前に信号に補償を適用するが、イコライザ42は歪が生じた後に信号に補償を適用する点に留意すべきである。(後述の)ロジック47のロジックの全部又は一部は、送信機20の中にあってもよいし或いは適切な他の如何なる場所にあってもよく、受信機40に全て包含されなくてもよいことにも留意すべきである。
受信機40は受信機イコライザ42、イコライザ出力46、受信機ロジック47、ゲイン制御信号48及びオフセット制御信号49を有する。受信機イコライザ42は、入力データ信号を含む入力信号を入力ポートで受信し、受信した入力データ信号にゲイン及び/又はオフセットを適用する適切な如何なるイコライザで構成されてもよい。受信機ロジック47は、クロック信号を受信する、サンプラのような適切な如何なる素子又は素子群で構成されてもよい。クロック信号は、例えば復元されたクロック信号のような適切な如何なるクロック信号で構成されてよく、その復元されたクロック信号は、クロック及びデータリカバリ(CDR: Clock Data Recovery)回路により入力信号から復元される。図3に関連して以下で詳細に説明されるように、受信したクロック信号を利用して、受信機ロジック47は、イコライザ出力46をサンプル(標本化)し、そのサンプリングに基づいて、入力データ信号に適用されるゲイン制御信号48及び/又はオフセット制御信号49を調整し、信号歪を補償する。単なる一例として、特定の実施例では、ゲインはグラフ52に示されるように補償される。ゲインを補償することは、特定の実施例では、あるイコライザ出力46を生成し、そのイコライザ出力は、グラフ54に示されるように周波数依存性歪が完全に補償されたものである。代替実施例では、イコライザ出力46は完全には補償されなくてよい。特定の実施例では、受信機40は、イコライザ出力46のダウンストリームで適切な如何なる方法で及び適切な1つ以上のコンポーネントのいくつにでも情報を通信してよい。
以下で詳細に説明されるように、歪を検出する専用の監視回路を利用しないで、受信機40は信号歪を補償する。専用の監視回路を利用しないので、受信機40は1つ以上の技術的利点を有する。これらの利点は、例えば、イコライザ42の最大動作速度を改善すること及び/又は受信機40で消費される電力を削減することを含む。更に、チップ領域が削減され、既存のイコライザ素子及び/又は機能が再利用されてよくなり、及び/又は(専用の監視回路を設計する必要が無くなることで)受信機40を設計するのに要する設計負担が削減される。
特定の実施例では、予備補償は適用されず、送信機20はイコライザ24を含まなくてもよいことに留意すべきである。これらの実施例では、受信機40はイコライザ42を用いて歪を補償してもよい。代替実施例では、送信機20はイコライザ24を含み、予備補償が適用される(即ち、送信機のプリエンファシスである。)。これらのいくつかの実施例では、受信機40はイコライザ42を用いて歪を補償してもよい。他の実施例では、受信機40はイコライザ42を用いて歪を補償せず、受信機40はイコライザ42を含まなくてもよい。
特定の実施例では、歪に備えて信号に補償を施すコンポーネント又は素子(例えば、ロジック47及びイコライザ42、ロジック47及びイコライザ24、及び/又はロジック47及び複数のイコライザ)は、アダプティブイコライザの一部として言及されてもよいことに留意すべきである。アダプティブイコライザは、(上述の)信号伝送システム以外で、上述の方法で補償を適用してよいことにも留意すべきである。例えば、アダプティブイコライザは、上述の方法で(又は同様な方法で)、例えば磁気記録チャネル又は光記録チャネルのような記録チャネルで補償を適用してもよい。また、ここで説明された補償は、例えばリニアイコライザ及び判定フィードバックを含む適切な何らかの形式のイコライザを用いて適用されてもよい。
図3は、図2のディジタル信号伝送システム例10での特定の実施例による受信機例40を示すブロック図である。イコライザ42は、通信媒体30を介してイコライザ42に通知される信号の減衰を補償する。図示の例では、受信機ロジック47はアダプティブコントローラ102を含み、アダプティブコントローラは、サンプラ104でサンプルされた出力信号に基づいて、3つの信号パス101A,101B,101C各々に適用されるゲイン量を調整する。イコライザ42のパフォーマンスは、残留DCオフセットの影響を受ける。受信機ロジック47はオフセットコントローラ106も含み、オフセットコントローラは、サンプラ104でサンプルされた出力信号のDCオフセットに基づいて、到来する信号に適用されるDCオフセット補償量を調整する。イコライザ42の他の素子は、可変利得限定増幅器110、算術演算器(S)112、遅延生成器114、可変利得増幅器116、ミキサ118及びドライブ増幅器120を含む。受信機ロジック47の他の素子は、サンプラ104及びクロック105を含む。サンプラ104からの出力信号は出力50として描かれている。
周波数依存性の歪を補償するため、イコライザ42は、3つの信号パス101A,101B,101Cの間で、受信した入力信号108を(何らかの適切な分割器を用いて)分割し、可変利得増幅器116を用いて各パスで一部の信号を選択的に増幅する。第1パス101Aは、入力信号の受信部分に何らの算術演算処理も施さない。第2パス101Bは、例えば微分処理のような一次の算術演算処理を信号に施す。この処理は、信号の周波数に基づいてもよく、算術演算オペレータ(S)112のように示されている。以下で説明されるように、第3パス101Cは、二次の微分処理のような二次の算術演算処理を信号に適用する。この処理は、信号の周波数に基づいてもよく、2つの算術演算オペレータ(S)112を適用するように示されている。一次の及び二次の信号成分を選択的に増幅することで、イコライザ42は、図2のチャネル30の周波数依存性の損失効果を近似的に補償する。代替実施例では、イコライザ42は適切なパスをいくつでも含んでよい(例えば1パスしかない場合も含む)。イコライザ42の具体例は、歪を並列に補償するイコライザであってもよい。歪補償は、適切な如何なる等化技術を利用して(例えば、送信プリエンファシス等化及び/又は受信等化)及び適切な如何なるイコライザ(例えば、アナログ連続時間一次微分フィルタ、アナログ連続時間二次微分フィルタ、マルチタップ有限インパルス応答フィルタ及び/又はマルチタップ判定フィードバックイコライザ等)を利用して、適切な如何なる方法で(例えば、歪が生じる前に及び/又は後で)並列的に適用されてもよいことに留意すべきである。代替実施例では、適切な如何なる等化技術(例えば、送信プリエンファシス等化及び/又は受信等化)を用いて及び適切な如何なるイコライザ(例えば、線形イコライザ及び/又は判定フィードバックイコライザ)を用いて適切な如何なる方法で(例えば、歪が生じる前に及び/又は後に)歪補償がシリアルに行われてよいことにも留意すべきである。
アダプティブコントローラ102は、イコライザ42の出力信号に関する情報を分析し、可変利得増幅器116各々のゲインをそれぞれ調整する適切な如何なる素子又は素子群で構成されてもよい。アダプティブコントローラ102は、トランジスタ、抵抗器、増幅器、定電流源又は同様な他の素子のようなアナログ及び/又はディジタル電子素子を含んでよい。アダプティブコントローラ102は、アナログ信号をディジタル信号へ又はその逆に信号を変換する適切な素子も含んでよい。特定の実施例では、アダプティブコントローラ102は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、組み込みロジック又は他の情報処理素子等のようなディジタルプロセッサを含んでよい。
特定の実施例では、アダプティブコントローラ102は、サンプラ104からの出力信号に関するデータ及び境界値情報を受信する。この値の情報は、例えば、サンプルされたデータ及び/又は境界値各々に関する高い又は低い値(例えば、“1”又は“0”)を含んでもよい。以下で更に説明されるように、この値の情報に基づいて、アダプティブコントローラ102は、入力データ信号に適用されるゲインに適切な調整を施す。ゲインを調整するために、特定の実施例では、アダプティブコントローラ102は可変利得増幅器116各々に適用されるバイアス電流を調整し、適用されるゲインを調整する。バイアス電流を用いて増幅器116を制御することの1つの利点は、増幅器の帯域を変更せずに増幅器に適用されるゲイン量を調整し、ゲインが増えた場合でさえも増幅器は自身のダイナミックレンジを維持できることである。
サンプラ104は、例えばドライブ増幅器120からイコライザ出力46を及び例えばクロック105からクロック信号を受信し、クロック信号で決められたインターバルでイコライザ出力46をサンプリングするように構成される適切な如何なる素子で構成されてもよい。サンプリングは、イコライザ出力46に関する境界値及び/又はデータ値のものでもよく、それらの値各々についてハイ又はローの値を示してもよい。更にサンプラ104はサンプリングされたデータ値及び境界値をアダプティブコントローラ102及び/又はオフセットコントローラ106に転送してもよい。特定の実施例では、サンプラ104は、サンプリング及び1ビットアナログ−トゥ−ディジタル変換を行う判定ラッチで構成されてもよい。代替実施例では、サンプラ104は、アナログ信号処理に備えてアナログ情報をサンプリングして転送するアナログサンプルホールド(S/H)回路で構成されてもよい。更に別の実施例では、サンプラ104は多重ビットアナログ−トゥ−ディジタル変換器(ADC)で構成され、ディジタル信号処理に備えてディジタル情報を転送してもよい。イコライザ42のイコライザ出力46に関する情報を分析し、可変利得増幅器116の1つ以上のステージに適用されるDCオフセット補償量を調整する適切な如何なる素子又は素子群で、オフセットコントローラ106が構成されてもよい。特定の実施例では、オフセットコントローラ106は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、組み込みロジック又は他の情報処理素子等のようなディジタルプロセッサを含んでよい。
特定の実施例では、オフセットコントローラ106は、イコライザ出力46に関する境界値情報及びデータをサンプラ104から受信する。この値の情報は、例えば、サンプルされたデータ及び/又は境界値各々についてのハイ又はローの値を示してもよい。以下で更に説明されるように、この値の情報に基づいて、オフセットコントローラ106は、入力データ信号に適用される補償電圧(補正電圧)に対する適切な調整を施し、如何なる残留DCオフセットについても補正又は補償する(即ち、キャンセルする)。
DCオフセット補償は、イコライザ42の様々な素子によって、特に可変利得増幅器116によって信号に施されてもよい。多段の可変利得増幅器では、DCオフセットはステージ間で累積的になる。オフセットを補正するため、オフセットコントローラ106は、可変利得増幅器116によって増幅される信号に或るDC電圧を適用する。特定の実施例によれば、オフセットコントローラ106は複数のステップで補償(即ち、補正)電圧を適用し、各ステップは可変利得増幅器116の異なるステージ(段)に適用される。そのような実施例では、各ステップで適用される電圧量は適切な如何なる方法で決定されてもよい。例えば、総補正電圧が、各ステップで等しく分割されてもよいし、或いは各ステージのゲインに比例する量で分配されてもよい。或いは、オフセットコントローラ106で実行されるタスクの全部又は一部は、例えばサンプラ104のような適切な他の如何なる素子で実行されてもよいことに留意すべきである。
可変利得限定増幅器(VGLA)110は、イコライザ42で受信した入力信号108を調整する1つの素子又は素子の集合を表現する。調整プロセスは、算術演算器(S)112及び遅延生成器114のダイナミックレンジ内に信号を維持するように、入力信号108の全体的なレベルを調整する。特定の実施例では、VGLA110で適用される増幅量は、VGLA110に適用されるバイアス電流で制御される。
算術演算器(S)112は、ある出力を生成する何らかの素子又は素子群を表現し、その出力は、到来する信号の時間に関する微分に線形に比例し、「一次処理」として言及される。算術演算器S112は、例えば、所望の算術演算を実行するためのハイパスフィルタ等のような適切な如何なる電子素子又は電子素子群を含んでもよい。特定の実施例によれば、その処理は微分演算であり、到来する信号の時間に関する微分を実行し、例えば到来信号の100ピコ秒当たりの電圧変化で表現される。算術演算器S112は、1回又は複数回信号に適用され、適用されるS112の回数に応じて、一次の、二次の、三次の又はそれより高次の到来信号の時間に関する導関数を得てもよい。
遅延生成器114は、信号通信に時間遅延を導入する何らかの素子又は素子の集合を表す。遅延生成器114は適切な如何なる電子素子又は回路を含んでもよい。特定の実施例によれば、遅延生成器114によって信号に導入される遅延波、信号に適用される算術演算器S112に必要な時間に近似的に等しい。従って遅延生成器114は、対応するパス101A,101B,101Cに下って行く入力信号の各部分に必要な時間を等化するのに使用されてもよい。このように、信号の各部分はそれらがミキサ118に到着するときに同期させられている。
可変利得増幅器116は、信号を増幅する如何なる素子又は素子群を表現してもよい。可変利得増幅器116は、特定の実施例では適切な如何なる電子素子を含んでもよく、各可変利得増幅器116は、特定の可変利得増幅器116に適用されるバイアス電流によって制御される。場合によっては、増幅を実行する特定の素子の応答時間が長すぎて、増幅器は(高低値の間で高速に変化する)高周波信号を効果的に増幅できないかもしれない。従って可変利得増幅器116は一連のステージを含み、各ステージが増幅全体の内の一部分を実行してもよい。増幅全てを実行する負荷を有するステージは無いので、ゲイン各々を適用する各ステージに必要な時間も少なくなる。これは、多段可変利得増幅器116が、より高い周波数の信号に応答できるようにする。
可変利得増幅器116は、DCオフセット補償を信号に施してもよい。多段増幅器では、各ステージ(段)はあるDCオフセット補償を施す。DCオフセットを補正する1つの方法は、信号中のDCオフセットを補正するように補正電圧を適用することである。補正電圧は、信号が増幅される前に初期の信号に全体的に適用されてもよい。しかしながら、ある地点で全体的に電圧をかけることは、増幅器116の1つ以上のステージのダイナミックレンジから信号を逸脱させるかもしれない。更に、適用される電圧は、新たなステージが追加される毎に再計算され調整され、仮にゲインが各ステージで可変であったならば、DCオフセットはステージの間で不均等に分配されるかもしれない。この問題を取り扱うために、特定の実施例は、多段増幅器116で補正電圧をかけることを含む。これは、各ステージについてのDCオフセットがそのステージで補正されることを可能にし、補正に起因して増幅器のダイナミックレンジから信号が逸脱するおそれを減らし、ステージが追加される毎にアレイ全体についてのDCオフセットを再計算する必要性を取り除く。更に、各ステージで補正電圧をかけることは、各ステージのゲインが独立に可変であった場合にDCオフセットを補正することを促し、様々なステージが様々なゲインを有し、様々なDCオフセットを施すようにする。
ミキサ118は、通信パス101A,101B,101Cの信号を1つの信号に再結合する素子又は素子の集合を表現する。ミキサ118は適切な如何なる電子部品を含んでもよい。ミキサ118は合成された信号をドライブ増幅器120に与える。ドライブ増幅器120は、合成された信号を増幅する如何なる素子又は素子の集合をも表現する。ドライズ増幅器120は、合成された信号について適切な何らかの増幅を実行し、イコライザ42からイコライザ出力46を生成し、イコライザ出力は、その出力信号のサンプラ104への通知を可能にする程度に十分高い信号レベルを有する。
動作時にあっては、イコライザ42は入力データ信号を含む入力信号108を受信し、入力信号は、通信媒体を介した通信により減衰させられる。VGLA110は信号を調整し、その信号レベルが、算術演算器(S)112及び遅延生成器114のダイナミックレンジの範疇にあるようにする。イコライザ42は3つのパス101A,101B,101Cの間で入力信号を分割する。パス101Aの信号は、パス101Aでの信号がパス101Bの信号(算術演算器112を1回経て遅延生成器114により1回遅延させられた信号)及びパス101Cの信号(算術演算器112を2回経由した信号)と同期するように遅延生成器114で2回遅延させられる。こうして、3つのパス101A,101B,101Cでの入力信号成分は、算術演算の施されてない入力信号、一次の処理が施された入力信号及び二次の処理が施された入力信号に対応し、3つの成分は(遅延生成器114を用いて)同期させられ、近似的に同時にミキサ118に至る。
イコライザ42は、可変利得増幅器116各々を用いて各パスの信号を増幅する。各増幅器116のゲインはアダプティブコントローラ102により制御され、そのゲインはパス101A,101B,101C各々で異なってもよい。このことは、イコライザ42が損失の影響について異なる程度の補償をもたらすことを可能にし、その補償は、信号の周波数と別様な比例関係を有する。一般に、基準信号に対する特定の影響についての補償量は、パス101Aの未修正信号振幅と関連するパスの振幅との比率に比例する。従ってパス101Aはゲインが全く適用されていなくてもよいし、或いは他のパスに適用される補償の相対的な影響を増やすように僅かに負のゲイン(dB)を有していてもよい。オフセットコントローラ106は、対応する増幅器116により及び/又は適切な他の何らかのコンポーネントにより、各パス101A,101B,101Cでの信号各々に与えられた如何なるDCオフセットをも補正する。
各パスで増幅された信号はミキサ118で1つの信号に合成される。駆動増幅器120はこの出力信号を増幅し、その出力信号を他の宛先に有効に通信することを可能にする。サンプラ104は、ドライブ増幅器120からイコライザ出力信号46を及びクロック105からクロック信号を受信する。サンプラ104は、クロック信号で決められた設定間隔でイコライザ出力信号46をサンプリングし、イコライザ出力信号36に関するデータ値及び境界値を生成する。或いは、サンプラ104は、イコライザ出力信号46をサンプリングし、データ値だけを生成し、サンプリングしたデータ値及び他の適切な位相情報をアダプティブコントローラ102及びオフセットコントローラ106に転送する。そして、アダプティブコントローラ102及びオフセットコントローラ106は、転送されたデータ値及び位相情報を用いて1つ以上の境界値を導出してもよい。一般に、位相が早ければ、境界値の高い値又は低い値は、直前のデータ値の高い値又は低い値と同じである。位相が遅ければ、境界値の高い値又は低い値は、直後のデータ値の高い値又は低い値と同じである。
後に更に詳細に説明されるように、アダプティブコントローラ102は、イコライザ出力信号46に関連する境界値及びサンプルされたデータをお分析し、1つ以上のパス101A,101B,101Cに適用されるゲイン量を調整し、残留する周波数依存性の減衰を適切に補償する。オフセットコントローラ106は、イコライザ出力信号46に関連する境界値及びサンプルされたデータを分析し、1つ以上のパス101A,101B,101Cに適用される補正電圧量を調整し、残留DCオフセットを適切に補償する。
上記のアダプティブイコライザで専用のモニタ回路(一般的な多くのシステムでは使用されている)を利用しない1つの利点は、特定の実施例でイコライザ出力46のローディングが削減されるかもしれないことである。特に、高速電子回路では、イコライザ出力信号46のローディングを減らすことは、イコライザ42の最大動作速度を改善し、及び/又はイコライザ42により消費される電力を減らす。専用のモニタ回路を使用しないことは、チップ面積を減らすことにもなり、既存の受信素子(即ち、クロック105)を有効に再利用でき、専用のモニタ回路を設計しなければならない設計労力を減らす。
特定の実施例のイコライザ42が詳細に説明されているが、多くの他の可能な実施例が存在する。可能な変形は、例えば、様々な損失特性を補償するために様々な又は追加的な算術処理をパス101A,101B,101Cに適用すること、パス数を増やす又は減らすこと、自動的なフィードバック制御ではなくコントローラ102,106についてマニュアル制御を利用すること、例えば低電圧差動シグナリング(LVDS: Low-Voltage Differential Signaling)におけるような差動シーケンスを含む信号を受信すること、及び上記で示唆される他の変形等を含む。一般に、素子は適切な如何なる方法で再編成、修正又は省略されてもよく、素子で実行される機能は、適切な方法で、様々な素子若しくは追加的な素子の中で分散されてもよいし、或いは1つの素子の中に統合されてもよい。更に、受信機40、イコライザ42及び受信機ロジック47の実施は、そのような如何なる変形をも包含すること、及び本発明の特定の実施例は適切如何なるイコライザで使用されてもよいことに留意すべきである。ここで使用されてもよい特定のイコライザ素子の更なる詳細については、西暦2004年2月20日付けに出願された“Adaptive Equalizer with DC Offset Compensation”と題する仮でない出願第10/783,170号を参照されたい。
上述したように、チャネル30を介して送信され受信機40で受信された信号は、周波数依存性の減衰を受ける。受信機40では、イコライザ42は或るゲインを受信した入力信号に適用し、その信号に生じた減衰を補償する。受信機ロジック47は、調整されたイコライザ出力信号46を残留減衰について分析し、イコライザ42により入力信号に適用されたゲインをフィードバックに基づいて調整する。具体的には、サンプラ104は、イコライザ出力信号46(調整済み入力信号)及びクロック信号を受信し、クロック信号で決定されている特定の時点で出力信号をサンプリングし、データ値及び境界値を生成する。サンプラ104は、(後述されるように)これらのデータ及び境界値をアダプティブコントローラ102に適切な分析に備えて転送する。この分析に基づいて、アダプティブコントローラ102は到来する入力信号に適用されたゲインを調整してもよい。
図4A,4B及び4Cは、ある種のシンボル間干渉の影響を示すイコライザ出力信号との比較でクロック信号例を示す。特定の実施例では、サンプラ104はこれらの図に示されるような信号を受信し、2倍のオーバーサンプリングクロック及びデータリカバリ(CDR)法に従って出力信号をサンプルする。そのような方法では、サンプラ104は、受信信号をデータビット期間当たり2回サンプリングし、その頻度はクロック信号で決定されてもよい。1データビット期間の間に、サンプラ104は、例えば、出力信号中のデータ値に対応すべき時点で一度、及び出力信号中の境界値に対応する時点で一度出力サンプルをサンプリングする。特定のデータ及び境界値の分析に基づいて、以下で更に説明されるように、アダプティブコントローラ102はイコライザ42で受信した信号に適用されるゲインを調整してもよい。
図4Aはイコライザ出力信号46との比較でクロック信号例200を示し、イコライザ出力信号はクロック信号と同相であり且つ如何なるシンボル間干渉も生じていない。クロック信号はデータ点(D0-D5に対応する矢印で示される)及び境界点(E0-E4に対応する矢印で示される)を規定する。サンプラ104は或るデータ点でイコライザ出力信号46をサンプリングしてデータ値(即ち、D0-D5)を生成し、境界点でサンプリングして境界値(即ち、E0-E4)を生成する。サンプリングされたデータ値各々は、低い値(“L”で示される)、高い値(“H”で示される)又はランダムな値(“X”で示される)を含んでもよく、ランダムな値は高い値又は低い値をランダムにとる。特定の実施例では、低い値は“0”であり、高い値は“1”であり、ランダム値の平均は“0.5”を有する。代替実施例では、低い値は“-1”であり、高い値は“1”であり、ランダム値は“-1”又は“1”をランダムにとり、ランダム値の平均は“0”をとる。サンプラ104は、サンプリングされたデータ値及び境界値をアダプティブコントローラ102へ適切な処理及びゲイン調整に備えて転送してもよい。
連続的なデータ値の間で高い値から低い値への変化又は低い値から高い値への変化は、遷移又はトランジション(transition)と呼ばれる。図示の例200では、低いデータ値D2及び高いデータ値D3の間で、高いデータ値D3及び低いデータ値D4の間で、及び低いデータ値D4及び高いデータ値D5の間で遷移が生じている。例200のように残留シンボル間干渉が全くない性質を示す信号では、反対の値(例えば、境界値E2,E3,E4)を含む2つの連続的なデータ値は、一般にランダムな値(“X”で示される)を有する。そのような信号の場合、アダプティブコントローラ102は、入力信号に適用されるゲインをランダムに上昇又は下降させるよう調整してよい。シンボル間干渉の影響は既に十分に補償されている又は存在しないからである。上昇させる調整数及び下降させる調整数が実質的に等しい場合、入力信号に適用されるゲインは平均的に同じレベルにとどまる。上昇させる調整数及び下降させる調整数が実質的に等しくない場合、入力信号に適用されるゲインは初期のレベルからわずかにドリフトするかもしれない。そのようなゲインレベルのドリフトは、僅かな残留シンボル間干渉をもたらすかもしれない。以下に説明されるように、イコライザ受信機は、この干渉を検出し、平均的な初期レベルに戻るようにそのゲインを修正する。
図4Bは、イコライザ出力信号46との比較でクロック信号例300を示し、イコライザ出力信号はクロック信号と同相であるが、補償不足の残留シンボル間干渉を示す。この場合、イコライザは信号を十分には補償しておらず、その信号は低周波指向(low-frequency oriented)である。低周波指向信号では、ハイ又はローの同じ値のいくつか続いたデータ値の後に(例えば、D0-D2の後に)データパルスが生じた場合(例えば、D3でのデータパルス)、データパルスの高さは、高周波成分不足により低下している。データパルスの前(例えば、E2)及び後(例えば、E3)の境界値は、パルス前のデータ値(高値又は低値)(例えば、D2)と同じになる傾向がある(即ち、それらはランダム値を構成しない。)。こうして、以下で更に説明されるように、特定のデータ値及び境界値を分析する場合、アダプティブコントローラ102は入力信号に適用されるゲインを増やし、この低周波歪を補償する。しかしながら、特定の実施例では上述したように、アダプティブコントローラ102は、遷移(例えば、D2及びD3の間)が生じるまで、出力信号で生じた低周波歪を保証することができないかもしれないことに留意すべきである。数個の連続的な遷移後の境界値(例えば、E4)は、ランダム値“X”になるかもしれない。なぜなら、そのような連続的な遷移は高周波成分を増やし、低周波成分を信号の中で減らし、残留シンボル間干渉に対する境界値の感度を減らすからである。
図4Cは、イコライザ出力信号46との比較でクロック信号例400を示し、イコライザ出力信号はクロック信号と同相であるが、補償され過ぎた残留シンボル間干渉を示す。この場合、イコライザは入力信号を過剰に補償し、その信号は高周波指向(low-frequency oriented)である。高周波指向信号では、ハイ又はローの同じ値のいくつか続いたデータ値の後に(例えば、D0-D2の後に)データパルスが生じた場合(例えば、D3でのデータパルス)、データパルスの高さは、強調された高周波成分により上昇させられている。データパルスの前(例えば、E2)及び後(例えば、E3)の境界値は、データパルス前のデータ値(高値又は低値)(例えば、D2)と逆になる傾向がある(即ち、それらはランダム値を構成しない。)。こうして、以下で更に説明されるように、特定のデータ値及び境界値を分析する場合、アダプティブコントローラ102は入力信号に適用されるゲインを増やし、この低周波歪を補償する。しかしながら、特定の実施例では上述したように、アダプティブコントローラ102は、遷移(例えば、D2及びD3の間)が生じるまで、出力信号で生じた低周波歪を保証することができないかもしれないことに留意すべきである。数個の連続的な遷移後の境界値(例えば、E4)は、ランダム値“X”になるかもしれない。なぜなら、そのような連続的な遷移は高周波成分を増やし、低周波成分を信号の中で減らし、残留シンボル間干渉に対する境界値の感度を減らすからである。
図5は、残留シンボル間干渉を補償するために出力信号値を解釈する本発明の特定の実施例による方法を示すフローチャートである。本方法はステップ510から始まり、出力信号がクロック信号を用いてサンプリングされる。出力信号はイコライザの出力でもよく、出力信号は図3に関連して説明されたようにクロック信号に従ってサンプリングされてもよい。
特定の実施例では、出力信号はクロック信号で決定されるリファレンスデータ点及び境界点でサンプリングされてもよい。或いは、出力信号が境界点でサンプリングされず、これらのサンプリングされてない時点に対応する境界値が導出されてもよい。特定の実施例では、アダプティブコントローラ102は、サンプリングされたデータ値及び他の位相情報(即ち、出力信号が進んでいるか又は遅れているかの情報)から境界値を導出してもよい。例えば、出力信号の位相が進んでいた場合、アダプティブコントローラ102は、境界値の高い又は低い値が、境界値直前のデータ値の高い又は低い値と同じであることを確認してもよい。出力信号の位相が遅れていた場合、アダプティブコントローラ102は、境界値の高い又は低い値が、境界値直後のデータ値の高い又は低い値と同じであることを確認してもよい。
ステップ520では、出力信号がサンプリングされた後に、サンプリングされたデータ値が分析され、その値で遷移が生じたか否かを確認する。この分析は例えばアダプティブコントローラ102により実行されてもよい。ステップ530では、遷移が検出されなかった場合に、本方法はステップ520に戻る。連続的なデータ値の間で遷移が検出された場合、本方法はステップ540に進む。特定の実施例では、受信したデータ値を互いに直接的に比較することで遷移が検出されてよいことに留意すべきである。代替実施例では、受信データ及び境界値を、遷移を含む(及び特定の適応制御動作に対応する)予め決められたデータパターンと比較することで遷移が検出される。特定の実施例では、適応動作は1つの遷移のみを検出した後に実行されてもよいことに更に留意すべきである。
遷移が検出された場合、ステップ540では、遷移を含む連続的なデータ値の中での境界値は、境界値前のデータ値1.5ビット(又はシンボル)と比較される。特定の実施例では、境界値及び境界値前のデータ値1.5ビット(又はシンボル)の間の関係は、アダプティブイコライザの応答動作を決定してもよい。例えば、特定の実施例では、排他的OR (XOR)処理(又は排他的NOR(XNOR)処理)が2つの値に適用されてもよい。そのような実施例では、XOR処理(又はXNOR処理)の結果は、出力信号によって示される特定の種類のシンボル間干渉に対応し、従ってアダプティブイコライザ制御動作を決定するのに使用されてもよい。代替実施例では、逆相関関数(又は相関関数)が2つの値に適用されてもよい。そのような実施例では、逆相関関数(又は相関関数)の結果は、出力信号により示される特定のタイプのシンボル間干渉に対応し、従ってアダプティブイコライザ制御動作を決定するのに使用されてもよい。更に別の実施例では、境界値及び境界値前のデータ値1.5ビット(又はシンボル)は、受信データ値及び境界値を所定値のパターン(特定のアダプティブイコライザ制御動作に対応する)と比較することで比較されてもよい。また、代替実施例では、境界値に近い又は遠いデータ値が使用されてもよく、境界値前のデータ値1.5ビット(又はシンボル)であることは必須でない。ここでのいくつかの議論はビットの観点から説明されているが、そのような議論は適切ならば代替的にシンボルに関して解釈されてもよいことに留意すべきである。
上記(及び下記)の境界値分析は単なる例示に過ぎないことにも留意すべきである。より一般的には、例えば説明された特定の境界値のような誤差値が、出力信号のサンプリングに基づいて、(周波数依存性歪及び/又はDCオフセット歪(後述))残留歪を示してもよい。生成された誤差値に基づいて、データ信号に適用される損失補償(及び/又はオフセット補償)が調整されてもよい。特定の実施例では、例えば、誤差値はパルス幅値(広い、狭い又は代表的なもの)を含み、2つの連続的な境界値から及び2つの遷移を伴う3つの連続的なデータ値の中のデータ値の間で、そのパルス幅値が導出されてもよい。パルス幅値は適用される損失補償を調整するのに使用されてもよい。
ステップ550では、境界値及び境界値以前のデータ値1.5ビット(又はシンボル)が同じ高値又は低値を有するか否かがの判定がなされる。特定の実施例では、上述したように、2つの値がXOR(又はXNOR)処理で比較されてもよい。代替実施例では、逆相関関数(又は相関関数)が2つの値に適用されてもよい。更に別の代替例では、2つの値はそれらと所定のパターンとを比較することで比較されてもよい。2つの値が同じ高値又は低値を有する場合(例えば、XOR演算結果が“0”に等しい場合、逆相関関数の演算結果が“-1”に等しい場合、又はその値が特定の所定値パターンに対応する場合)、本方法はステップ560に進む。ステップ560では、イコライザはその信号に適用されるゲインを増やす。ゲインを増やすことは、特定の実施例では、信号により示される補償不足の残留シンボル間干渉を補償する。そのような干渉は
“0”のXOR演算結果により示唆され、図4Bに示されるようなものである。
代替実施例では、適応制御処理は、様々な従来の適応制御アルゴリズムの中の適切な如何なる適応制御処理でもよいことに留意すべきである。例えば、適応制御処理は、最小二乗平均(LMS)アルゴリズム、サインサイン最小二乗平均(SS-LMS)アルゴリズム、ゼロフォーシング(ZF)アルゴリズム等のような従来の適応制御アルゴリズムに基づいていてもよい。
ステップ550にて、境界値及び境界値以前のデータ値1.5ビット(又はシンボル)が逆の高値又は低値を有することが確認された場合(例えば、XOR演算結果が“1”に等しい場合、逆相関関数の演算結果が“+1”であった場合、又はその値が特定の所定値パターンに対応していた場合)、本方法はステップ570に進む。ステップ570では、イコライザは信号に適用されるゲインを減らす。ゲインを減らすことは、特定の実施例では、その信号により示される過剰に補償された残留シンボル間干渉を補償する。そのような干渉は“1”のXOR演算結果により示唆され、図4Cに示されるようなものである。
特定の実施例では、ステップ550,560及び570はアダプティブコントローラ102により実行され、適用されるゲインは可変利得増幅器116を用いて調整されてもよいことに留意すべきである。また、特定の実施例では、ゲインが1つより多くの信号パスに(例えば、イコライザ例42のパス101に)適用される場合、適用されるゲインは、あるパスについては調整され、他のパスについては固定されていてもよい。代替実施例では、特定の関数を用いて複数のパスについて独立した制御変数がマッピングされ、そのマッピングに従ってパスにゲインが適用されてもよい。図7−10に関連して以下で説明されるように、各パスについてゲインが独立に調整されてもよい。
図6は、図5の方法500に関連するゲイン制御法を例示するテーブル600である。各行602は特定の値のパターンに対応し、特定のアダプティブイコライザ制御動作がそのパターンについて実行される。列610は、一連のサンプルされたデータ及び境界値各々についての高値又は低値(この特定の例では“+1”又は“-1”であるが、他の例では“+1”又は“0”でもよいし、適切な他の如何なる値でもよい。)を示す。列“D1”は出力信号の最初にサンプルされたデータ値を含み、列“D2”は出力信号の2番目にサンプルされたデータ値を含み、列“D3”は出力信号の3番目にサンプルされたデータ値を含み、列“E2”は第2及び第3データ値の間の境界値を含む。これらの値は図4A−4Cに示されるものと同様である。各パターンに見受けられるように、列“D2”及び“D3”のデータ値の間で遷移が生じている。
各行602内の値のパターンがサンプラ104でサンプリングされ、アダプティブコントローラ102に送信されることに留意すべきである。特定の実施例では、アダプティブコントローラ102は図示されているものより多数の値を受信してもよく、例えば、列“D1”及び“D2”内のデータ値の間の境界値を含んでもよい。或いは上述したようにアダプティブコントローラ102はサンプルされたデータ値及び他の位相情報のみを受信してもよく、特定の境界値(例えば、列E2での境界値を含む)は、データ値及び位相情報から導出されてもよい(及びサンプラ104でサンプリングされなくてもよい)。
列612はISIレベルを含む。ISIレベルは出力信号に関連する特定の値から導出される。例えば、ISIレベルは、1つの遷移を含む2つのデータ値の間の境界値に適用される及び境界値以前のデータ値1.5ビットに適用される逆相関関数の演算結果でもよい。特定の実施例では、“高/低”値に対応する“+1/−1”値を用いて、境界値及びデータ値の積の反転値としてISIレベルが計算されてもよい。テーブル600では、列612におけるISIレベルは、同じ行602の中での列E2の境界値及び列D1のデータ値(境界値以前の1.5ビット)に適用された逆相関関数の演算結果である。ISIレベルは、“高/低”値に対応する“+1/−1”値を用いて、E2及びD1の積の反転値として計算されてもよい。列614及び616に示されるように、“-1”のISIレベルは補償不足の等化レベルに及び等化補償の増加に関連付けられる。“+1”のISIレベルは過剰補償の等化レベルに及び等化補償の減少に関連付けられる。こうして、ISIレベルに基づいて、特定の適応等化処理が適用される。代替実施例では、受信データ及び境界値が予め決められた値のパターンと比較され、これらの予め決められた値のパターンが特定の適応制御処理に対応してもよい。
特定の実施例では、アダプティブコントローラ102は、サンプリングされた値のストリームを受信し、これらの値の内適切なもの(例えば、遷移を含む2つのデータ値の間の境界値、及び境界値以前のデータ値1.5ビット)を選択してよいことに留意すべきである。そしてアダプティブコントローラ102は、例えば逆相関関数をこれらの選択された阿智に適用することで、これらの選択された値からISIレベルを導出する。そしてアダプティブコントローラ102は、逆相関関数の演算結果に基づいて適切な適応制御動作を適用してもよい。或いは、アダプティブコントローラ102はサンプルした値を所定値のパターンと比較してもよい(所定値のパターンは、特定の適応制御処理に対応する。)。サンプルされた値が対応する特定の所定値パターンに基づいて、アダプティブコントローラ102は対応する適応制御処理を適用してもよい。
本発明の範囲から逸脱せずに、修正、付加又は省略が説明済みのシステム及び方法になされてもよい。説明されたシステム及び方法の要素は、具体的なニーズに応じて統合されてもよいし、分離されてもよい。更に説明されたシステム及び方法の処理は、より多数の、より少数の又は別の要素で実行されてもよい。
特定の実施例では、図3のイコライザ42のようなイコライザは、例えば未修正の、一次の及び二次の信号成分のような1つより多くの独立したパラメータを制御してもよい。マルチパラメータ(多次元)イコライザの具体例には、二回微分等化器及び3タップ有限インパルス応答(FIR)フィルタ等が含まれる。上述したように、例えば適用されるゲインが1つのパラメータについては調整され且つ他のパラメータについては固定されている場合に、方法500が多次元イコライザに使用されてもよい。或いは、適用されるゲインが、複数の独立したパラメータを組み込む特別な関数に従って調整される場合に、方法500が多次元イコライザに使用されてもよい(但し、独立したパラメータ各々に独立にゲインを調整しない)。或いは、適用されるゲインが、独立した制御パラメータ各々に独立に調整されてもよい。3タップFIRでは、例えば、第2及び第3タップ係数が独立に調整され、これら各々の調整は、以下に更に説明されるような歪補償に対する調整を含んでもよい。
遷移を含む連続的なデータ値の間の境界値以前のサンプルデータ値1.5ビットと1つ以上のサンプルデータとの間の特定の関係に基づいて、例えばゲインのような補償量は独立した制御パラメータ各々に独立に調整されてもよい。特定の関係は例えば、特定の独立した制御パラメータに関する特定のタイプのシンボル間干渉に対応してもよい。例えば、(予め決められたデータ値のパターン等を用いて)複数のサンプリングされたデータ値の中でアダプティブコントローラ102がそのような関係を検出した場合、アダプティブコントローラ102は特定の適応等化制御処理を適用し、特定の1つ以上の独立した制御パラメータを調整する。
サンプリングされたデータ値の到来するストリームと比較するためにアダプティブコントローラ102で使用される予め決められたデータ値のパターンは、特定の独立した制御パラメータにとってシンボル間干渉に特に敏感かもしれない。例えば、遷移を含むデータ値の間の境界値の感度(調整される独立した制御パラメータに対する感度)に基づいて、これらのパラメータが選択されてもよい。特に、独立した制御パラメータに対する等化されたチャネルインパルス応答の偏導関数(partial derivative)に基づいて(例えば、偏導関数の符合及び大きさ等に基づいて)、これらのパラメータが選択されてもよい。これは、イコライザ出力信号46が、送信データシーケンス及び等化されたチャネルインパルス応答の畳み込みとして表現されることに起因する。
例えば、アナログの二次微分イコライザでは、一次微分ゲインに対する等化チャネルインパルス応答の偏導関数は、ピーク後1.5及び2.5ビットで負になるように仮定されてもよい。従って、一次微分ゲインが高すぎた場合、境界値及び境界値以前のデータ値1.5及び2.5ビットの間の補償は、ともに負になる傾向にある。一方、一次微分ゲインが低すぎた場合、境界値及び境界値以前のデータ値1.5及び2.5ビットの間の補償は、ともに正になる傾向にある。これは、データはインパルス応答のピークに対応し、境界はインパルス応答のピーク後のテールに対応することに起因する。二次微分ゲインに対する等化チャネルインパルス応答の偏導関数は、ピーク後1.5ビットで負に及びピーク後2.5ビットで正になるように仮定されてもよい。従って、二次微分ゲインが高すぎた場合、境界値及び境界値以前のデータ値1.5ビットの間の補償は、負になる傾向になり、境界値及び境界値以前のデータ値2.5ビットの間の補償は、正になる傾向になる。一方、二次微分ゲインが低すぎた場合、境界値及び境界値以前のデータ値1.5ビットの間の補償は、正になる傾向になり、境界値及び境界値以前のデータ値2.5ビットの間の補償は、負になる傾向になる。これらの関係を用いて、(例えば後述の方法700等のような)様々な技法が、入力信号の一次導関数成分に適用されるゲイン及び入力信号の二次導関数成分に適用されるゲインを調整するために使用されてもよい。
別の例として、3タップ有限インパルス応答(FIR)フィルタイコライザ(メインタップは第1タップである)では、第2タップ係数に対する等化チャネルインパルス応答の偏導関数は、ピーク後1.5及び2.5ビットで正になるように仮定されてもよい。第3タップ係数に対する等化チャネルインパルス応答の偏導関数は、ピーク後1.5ビットでゼロになり、ピーク後2.5ビットで正になるように仮定されてもよい。これらの関係を用いて、第2タップ係数及び第3タップ係数を調整するいくつもの技術(例えば、後述の方法1000)が使用されてもよい。この方法では、FIRフィルタ等化器はマルチタップFIR等化器を並列的に適用してもよい。異なるタイプの等化器について異なる関係が使用されてもよいことに留意すべきである。例えば、マルチタップ判定フィードバック等化を並列的に適用するマルチタップ判定フィードバック等化器に様々な関係が使用されてもよい。
図7は、アナログ2次微分イコライザで複数の独立した制御パラメータについて出力信号値を解釈する本発明の特定の実施例による方法例を示すフローチャートである。アナログ二次微分イコライザの場合、3つの独立した制御パラメータが制御されてもよく、例えば制御パラメータは、入力信号の未修正部分に適用されるゲイン、入力信号の一次微分になるように修正される入力信号部分に適用されるゲイン及び入力信号の二次微分になるように修正される入力信号部分に適用されるゲインを含む。例えば、アナログ連続時間一次微分フィルタ等化器により及び/又はアナログ連続時間二次微分フィルタ等化器により、並列的な補償が適用されてもよい。
方法700はステップ710から始まる。ステップ710−770は上記の方法500のステップ510−570と同様であり、繰り返し詳細には説明されない。しかしながら、ステップ710−770では第1の独立したパラメータは第1パスで制御されてもよいことに留意すべきである。例えば、ステップ710−770は、第1パス(例えば、イコライザ42のパス101A)の入力信号の未修正部分に適用されるゲインを調整するのに使用されてもよい。特定の実施例では、第1パスでイコライザ補償量を増やすことは、第1パスで入力信号の未修正部分に適用されるゲインを減らすことで実現されてもよく、第1パスでイコライザ補償量を減らすことは、第1パスで入力信号の未修正部分に適用されるゲインを増やすことで実現されてもよい。これは、イコライザ補償量は第1パスに対する第2及び第3パスの相対的なゲインに依存すること、そして第1パスのゲインを増やすことは第1パスに対する第2及び第3パスの相対的なゲインを実効的に減らすことになるからである。ステップ780−850では、第2及び第3の独立パラメータが第2パス及び第3パスでそれぞれ制御されてもよい。例えば、ステップ780を利用して、第2パス(例えば、イコライザ42のパス101B)の入力信号の一次微分になるように修正される入力信号部分に適用されるゲインを調整し、第3パス(例えば、イコライザ42のパス101C)の入力信号の二次微分になるように修正される入力信号部分に適用されるゲインを調整してもよい。
ステップ780及び790では、遷移を含むデータ値の間の境界値と境界値以前のデータ値1.5ビットとが異なる値(高い又は低い値)を有する場合、境界値以前のデータ値1.5ビットの値(高い又は低い値)が、境界値以前のデータ値2.5ビットの値と同じである又は逆であるかが判定される。この判定は、適切な処理を実行することで又は受信データ値及び境界値を所定の値のパターン(特定の適応制御動作に対応する)と比較することでなされてもよい。2つのデータ値が異なる(逆である)場合、本方法700はステップ800に進み、第3パスの入力信号の二次微分成分に適用されるゲインが減らされる。2つのデータ値が同じ場合、本方法700はステップ810に進み、第2パスの入力信号の一次微分成分に適用されるゲインが減らされる。
ステップ820及び830では、遷移を含むデータ値の間の境界値と境界値以前のデータ値1.5ビットとが同じ値(高い又は低い値)を有する場合、境界値以前のデータ値1.5ビットの値(高い又は低い値)が、境界値以前のデータ値2.5ビットの値と同じである又は逆であるかが判定される。再び、この判定は、適切な処理を実行することで又は受信データ値及び境界値を所定の値のパターン(特定の適応制御動作に対応する)と比較することでなされてもよい。2つのデータ値が異なる(逆である)場合、本方法700はステップ840に進み、第3パスの入力信号の二次微分成分に適用されるゲインが増やされる。2つのデータ値が同じ場合、本方法700はステップ850に進み、第2パスの一次微分成分に適用されるゲインが増やされる。
上記方法700で説明されたように、独立した制御パラメータ数は、特定の実施例では調整されるパラメータ数と同じであってもよいことに留意すべきである。代替実施例では、独立した制御パラメータ数は、調整されるパラメータ数より少なくてもよい。例えば、アナログ二次微分イコライザでは、2つの独立した制御パラメータがあり(即ち、入力信号の一次微分成分に適用される第1ゲインと、入力信号の二次微分成分に適用される第2ゲインとである。)、3つの調整されるパラメータ(即ち、入力信号の未修正部分に適用される第3の固定されたゲイン)があってもよい。別の例として、第1独立制御変数は、未修正成分に適用されるゲイン及び一次微分成分に適用されるゲインの間の関係を制御し、第2制御変数は、二次微分成分に適用されるゲインと、未修正成分に適用されるゲイン及び一次微分成分に適用されるゲインの内の大きい方との間の関係を制御してもよい。方法700はこれら様々な状況を満足するように適切に修正されてよい。
図8は、図7の方法700に関連するゲイン制御方法例を示すテーブル900である。各行902は特定の値のパターンに対応し、特定の適応等化制御処理がそのパターンについて実行される。列910はサンプルデータ及び境界値のパターンを含み、値は高(“1”)又は低(“0”)である。列“D0”は出力信号のゼロ次のサンプルされたデータ値を含み、列“D1”は出力信号の第1のサンプルされたデータ値を含み、列“D2”は出力信号の第2のサンプルされたデータ値を含み、列“D3”は出力信号の第3のサンプルされたデータ値を含み、列“E2”は第2及び第3データ値の間の境界値を含む。これらの値は図4A−4Cに示されるものと同様である。各パターン中の列“D2”及び“D3”のデータ値の間で遷移が生じていることが分かる。
各行902の値は、サンプラ104でサンプリングされ、アダプティブコントローラ102に送られることに留意すべきである。アダプティブコントローラ102はサンプルされた値と1つ以上の所定値パターンとを比較する。特定の実施例では、一致を検出すると、アダプティブコントローラ102は1つ以上の一群の関連する適応等化処理を行ってもよい。そのような実施例では、それらの値の間の特定の関係が既に既知であり(例えば、所定のパターンの値が使用されることに起因して既知である)、方法700で説明済みの1つ以上のステップ(例えば、ステップ780,790,820及び830)が必ずしも実行されてなくてよい。
特定の実施例では、アダプティブコントローラ102は図示されているものより多数の値を受信してもよく、例えば、列“D0”及び“D1”のデータ値の間の境界値や、列“D1”及び“D2”のデータ値の間の境界値等を含んでよいことに更に留意すべきである。或いは上述したように、アダプティブコントローラ102はサンプルデータ値及び他の位相情報だけを受信し、そのデータ値及び他の位相情報から特定の境界値(例えば、列E2の境界値を含んでもよい)が導出されてもよい(その特定の境界値はサンプラ104でサンプリングされなくてもよい)。
列920は各行902について列“E2”での代替的な境界値を含む。列924は、特定のパターンについて、入力信号の未修正成分に関連する適応等化処理及び特定の補償レベルを含む。適応等化処理は方法700で説明されたように適用されてもよい。列930は、特定のパターンについて、入力信号の一次微分成分に関連する適応等化処理及び特定の補償レベルを含む。これらの適応等化処理も方法700で説明されたように適用されてよい。列940は、特定のパターンについて、入力信号の二次微分成分に関連する適応等化処理及び特定の補償レベルを含む。これらの適応等化処理も方法700で説明されたように適用されてよい。
図9は、3タップFIRフィルタの複数のイコライザパラメータ用の出力信号値を解釈する本発明の特定の実施例による方法例1000を示すフローチャートである。方法1000はステップ1010から始まる。ステップ1010−1030は、上述の方法500のステップ510−530と同様であり、繰り返し詳細には説明されない。特定の実施例では、第1タップ係数は固定され、適応制御によっては調整されない。ステップ1080−1170は第2及び第3タップ係数を調整する。3タップFIRフィルタでは、第2及び第3タップ係数は以下に説明されるように独立に調整されてもよく、これら各々の調整は歪に対する補償量の調整を含んでよいことに留意すべきである。一般に、3タップFIRフィルタ等化器、アナログ微分フィルタ等化器又は適切な他の何らかの等化器のいずれにせよ、全てのパスからの出力がともに結合される場合であって、補償が集合的にしか生じない及び各パスが補償の一部しか実行しない場合でさえ、各パスで実行される処理は、歪補償に対する調整又はその適用として言及されてよい。
ステップ1080及び1090では、遷移を含むデータ値の間の境界値以前のデータ値1.5ビットの値(高い又は低い値)が、境界値以前のデータ値2.5ビットのデータ値と同じであるか又は逆であるかが判定される。この判定は、適切な処理を実行することで又は受信データ値及び境界値を所定の値のパターン(特定の適応制御動作に対応する)と比較することでなされてもよい。2つのデータ値が異なる(逆である)場合、本方法1000はステップ1100に進む。2つのデータ値が同じ場合、本方法1000はステップ1140に進む。
ステップ1100,1110では、遷移を含むデータ値の間の境界値以前のデータ値2.5ビットの値(高い又は低い値)が、境界値の値と同じであるか又は逆であるかが判定される。この判定は、適切な処理を実行することで又は受信データ値及び境界値を所定の値のパターン(特定の適応制御動作に対応する)と比較することでなされてもよい。2つのデータ値が異なる(逆である)場合、本方法1000はステップ1120に進み、第3タップ係数が増やされる。2つのデータ値が同じ場合、本方法1000はステップ1130に進み、第3タップ係数が減らされる。
ステップ1140,1150では、遷移を含むデータ値の間の境界値以前のデータ値2.5ビットの値(高い又は低い値)が、境界値の値と同じであるか又は逆であるかが判定される。再び、この判定は、適切な処理を実行することで又は受信データ値及び境界値を所定の値のパターン(特定の適応制御動作に対応する)と比較することでなされてもよい。2つのデータ値が異なる(逆である)場合、本方法1000はステップ1160に進み、第2及び第3タップ係数が増やされる。2つのデータ値が同じ場合、本方法1000はステップ1170に進み、第2及び第3タップ係数が減らされる。
図10は、図9の方法に関連するゲイン制御方法例を示すテーブル1200である。各行1202は特定の値のパターンに対応し、特定の適応等化制御処理がそのパターンについて実行される。列1210はサンプルデータ及び境界値のパターンを含み、値は高(“1”)又は低(“0”)である。列“D0”は出力信号のゼロ番目にサンプルされたデータ値を含み、列“D1”は出力信号の第1のサンプルされたデータ値を含み、列“D2”は出力信号の第2のサンプルされたデータ値を含み、列“D3”は出力信号の第3のサンプルされたデータ値を含み、列“E2”は第2及び第3データ値の間の境界値を含む。これらの値は図4A−4Cに示されるものと同様である。各パターン中の列“D2”及び“D3”のデータ値の間で遷移が生じていることが分かる。
各行1202のパターンの値は、サンプラ104でサンプリングされ、アダプティブコントローラ102に送られることに留意すべきである。アダプティブコントローラ102はサンプルされた値と1つ以上の所定値パターンとを比較する。特定の実施例では、一致を検出すると、アダプティブコントローラ102は1つ以上の一群の関連する適応等化処理を行ってもよい。そのような実施例では、それらの値の間の特定の関係が既に既知であり(例えば、所定のパターンの値が使用されることに起因して既知である)、方法1000で説明済みの1つ以上のステップ(例えば、ステップ1080)が必ずしも実行されてなくてよい。
特定の実施例では、アダプティブコントローラ102は図示されているものより多数の値を受信してもよく、例えば、列“D0”及び“D1”のデータ値の間の境界値や、列“D1”及び“D2”のデータ値の間の境界値等を含んでよいことに更に留意すべきである。或いは上述したように、アダプティブコントローラ102はサンプルデータ値及び他の位相情報だけを受信し、そのデータ値及び他の位相情報から特定の境界値(例えば、列E2の境界値を含んでもよい)が導出されてもよい(その特定の境界値はサンプラ104でサンプリングされなくてもよい)。
列1220は各行1202について列“E2”での代替的な境界値を含む。列1230は、特定のパターンについて、第2タップ係数に関連する適応等化処理及び特定の係数レベルを含む。これらの適応等化処理も方法1000で説明されたように適用されてもよい。列1240は、特定のパターンについて、第3タップ係数に関連する適応等化処理及び特定の係数レベルを含む。これらの適応等化処理も方法1000で説明されたように適用されてよい。
本発明の範囲から逸脱せずに、修正、付加又は省略が説明済みのシステム及び方法になされてもよい。説明されたシステム及び方法の要素は、具体的なニーズに応じて統合されてもよいし、分離されてもよい。更に説明されたシステム及び方法の処理は、より多数の、より少数の又は別の要素で実行されてもよい。
図5に関連して説明されたように、遷移を含む一連のデータ値の間の境界値と、境界値以前のデータ値1.5ビットとの間の関係が、信号の特手の等化レベルに関連(相関)していてもよい。この相関は、十分にランダム化されたデータシーケンスを有する信号について特に正確になるかもしれない。しかしながら、信号が周期性を有する又は準周期的な(quasi-periodic)データシーケンスを含んでいた場合、その相関はシーケンスの周期性によって影響を受けるかもしれない。特に、到来信号又はクロック信号がデューティサイクル歪を有する場合、相関は、シーケンスの周期性の影響を特に強く受けるかもしれない。
一般に、周期的な又は準周期的なデータシーケンスは、隣接するデータ値のようなデータ値の間で強い相関を有し、信号の周波数スペクトルに影響を及ぼす。例えば、隣接するデータ値が、異なる値よりも同じ値の方が多い傾向にあったならば、その信号は低周波指向(low-frequency oriented)になり、隣接するデータ値が、同じ値よりも異なる値の方が多い傾向にあったならば、その信号は高周波指向(high-frequency oriented)になる。信号の周波数スペクトルにおけるそのような歪は、信号スペクトルを平坦にするようにアダプティブイコライザの能力に影響するかもしれない。一般に、周期的な又は準周期的なデータシーケンスは、たとえデューティサイクル歪がなかったとしても、イコライザの適応ゲイン制御についてそのような不都合な影響(負の影響)を有する。
デューティサイクル歪は、イコライザの適応ゲイン制御で、周期的及び準周期的シーケンスのそのような負の影響を強調するおそれがある。例えば、到来するデータが偶数データ及び奇数データのように交互にラベル付けされたとする。データの間の境界も、偶数境界及び奇数境界のように交互にラベル付けされてもよい。ここで、偶数境界は偶数データの後であって奇数データの前を示し、奇数境界は奇数データの後であって偶数データの前を示してもよい。デューティサイクル歪は、受信機ロジックの偶数及び奇数境界値が、「進んだ(early)」位相に(即ち、以前のデータ値と同様に)又は「遅れた(late)」位相に(即ち、次のデータ値と同様に)強くバイアスされることを引き起こすかもしれない。例えば、偶数境界値は「進んだ」位相にバイアスされ、奇数境界値は「遅れた」位相にバイアスされるかもしれない。
周期的な又は準周期的なデータシーケンスの周期が2つのデータ値の倍数であった場合、偶数境界での遷移数及び奇数境界での遷移数も更にバイアスされる。例えば、周期的な又は準周期的なデータシーケンスの中で、奇数境界よりも偶数境界で、より頻繁に遷移が生じるかもしれない。イコライザ制御は、デューティサイクル歪に起因して偶数又は奇数境界で境界値がどのようにバイアスされているか(即ち、「進んだ」位相であるか又は「遅れた」位相であるか)による影響を受け、そのバイアスは周期的な又は準周期的なデータシーケンスの中での遷移を支配する。そのような影響は、復元されるクロックが周期的な又は準周期的な到来データシーケンスにロックするまでは決定論的(deterministic)でないかもしれない。なぜなら、デューティサイクル歪に起因する「進んだ」又は「遅れた」位相を有する境界値のバイアスと、周期的な又は準周期的なデータシーケンスに起因する「支配的な又は非支配的な」遷移を有する境界のバイアスとの間の対応関係は、デューティサイクル歪とともに復元されたクロックが、到来する周期的な又は準周期的なデータシーケンスにどのようにロックするかに依存するかもしれない。
周期的又は準周期的なデータシーケンスの中で遷移を支配する、「偶数」又は「奇数」境界での「進んだ」位相又は「遅れた」位相の何れかである境界値のそのようなバイアスに起因して、イコライザの制御処理もバイアスされるおそれがある。特定のイコライザ制御処理に対する不均衡なバイアスは、そのイコライザ制御で許容できない結果を招くかもしれない。
図11は、デューティサイクル歪の影響を受ける境界情報を例示する図である。信号1310は、受信機ロジックで受信され、デューティサイクル歪とともに4相ハーフレートでサンプリングされる。偶数データ値はクロックA(CLKA)1320の立ち上がりエッジでサンプリングされ、奇数データ値はクロックC(CLKC)1340の立ち上がりエッジでサンプリングされ、偶数境界値はクロックB(CLKB)1330の立ち上がりエッジでサンプリングされ、奇数境界値はクロックD(CLKD)1350の立ち上がりエッジでサンプリングされる。この例では、クロックB1330のデューティサイクルは50%より多く、クロックD1350のデューティサイクルは50%より少ない。その結果、クロックB1330の立ち上がりエッジでサンプリングされる偶数境界値は「進んだ」位相に強くバイアスされ、クロックD1350の立ち上がりエッジでサンプリングされる奇数境界値は「遅れた」位相に強くバイアスされる。クロックリカバリループは、「進んだ」カウントと「遅れた」カウントの平均になる場合、この位相位置にロックできる。到来する周期的又は準周期的な信号が偶数及び奇数境界の間でバイアスされた遷移を有する場合、遷移を支配する境界でバイアスされた位相は、適応制御処理をバイアスするであろう。例えば、クロックB(CLKB)1330の立ち上がりエッジでサンプリングされた偶数境界値が、クロックD(CLKD)1350の立ち上がりエッジでサンプリングされた奇数境界より多くの遷移を有する場合、適応制御動作は偶数境界での「進んだ」位相にバイアスされる。これらのバイアスがイコライザの適応ゲインコントローラの中で償われなかったならば、イコライザの適応処理の結果が影響を受けるおそれがある。
偶数及び奇数境界値の逆のバイアスを償う1つの方法は、バイアスのバランスをとることである。コントローラが特定のデータパターンを検出した場合にのみ適応等化処理を適用することで、そのバランスが達成されてもよい(特定のデータパターンは、2つの位相で実質的に均等に分配されている(実質的に同じ出現確率を有する))。これらの特定のデータパターン(フィルタパターンと言及されてもよい)は、(準)周期的なデータシーケンスの中で生じるバイアスのバランスをとるのに使用され、問題がなければ、十分にランダム化されたデータシーケンスとともに使用される。このように、適応等化制御特性は(準)周期的データシーケンス及び十分にランダム化されたデータシーケンスと首尾一貫していてもよい。1つより多くの独立制御変数が存在する場合、適応等化器制御は、特定のフィルタパターンを使用して、特定の独立制御パラメータ各々に適用されるゲインを制御する。特定の実施例では、特定の制御パラメータに適用されるゲインを制御するのに使用されるフィルタパターンは、実質的に等しく生じるパターン群から選択され、及び図7−10に関して説明されたようにパラメータの等化チャネルインパルス応答の偏導関数に従って選択されてもよい。
図12は、デューティサイクル歪の負の影響を減らすフィルタパターンを選択する本発明の特定の実施例による方法例1400を示すフローチャートである。方法1400は周期的な又は(準)周期的なデータシーケンスと共に使用するフィルタパターンを選択するために使用されてよく、データシーケンスは例えば電気電子技術規格(IEEE)802.3ae規格で決められている8B10Bアイドルシーケンス及び8B10BCJPATテストシーケンスのようなものである。
方法1400はステップ1410から始まり、偶数及び奇数の一群のデータシーケンスが監視される。一群の偶数データシーケンスは偶数データから始まる(即ち、偶数位相の)データシーケンスを含み、以後奇数データ、偶数データ、奇数データ等が続く。一群の奇数データシーケンスは奇数データから始まる(即ち、奇数位相の)データシーケンスを含み、以後偶数データ、奇数データ、偶数データ等が続く。ステップ1420では、偶数及び奇数データシーケンス中のデータパターン分布が確認される。特定の実施例では、データパターンは6ビットを含む。代替実施例では、データパターンは5ビットを含んでもよい。別の代替実施例では、データパターンは適切な如何なる他のビット数を含んでもよい。ステップ1430及び1440では、偶数及び奇数データシーケンス双方で観測されるパターンのみが更に分析される。双方のシーケンスでは観測されないこれらのパターンは、ステップ1500でフィルタパターンとしては選択されない。
ステップ1450及び1460では、偶数及び奇数データシーケンス双方のデータパターン分布内で観測されたパターンについて、何らかのパターンが偶数及び奇数データシーケンス双方の中で等しく(又は実質的に等しく)分布しているか否かの確認がなされる。上述したように、実質的に等しく分布したデータパターンをフィルタパターンとして選択することは、デューティサイクル歪で生じるバイアスをキャンセルする。等しく(又は実質的に等しく)分布したこれらのパターンの場合、方法1400はステップ1470に進む。実質的に等しい分布でない如何なるパターンもステップ1500でフィルタパターンとして選択されない。
ステップ1470及び1480では、残っているパターンが最後の2ビットの間で遷移を含むか否かの確認がなされる。上述したように、遷移を含む連続的なデータの間の境界値と、境界値に先行する1つ以上のデータ値との間の関係は、使用される適応等化処理を決定するのに使用される。こうして、特定の実施例は、最後の2ビットの中に遷移を含むデータパターンのみを選択する。そのような実施例では、最後の2ビットに遷移を含まない如何なるパターンもステップ1500でフィルタパターンとしては選択されない。
ステップ1490では、双方のシーケンスで観測され、双方のシーケンスで(実質的に)等しく分配され且つ最後の2ビットの間で遷移を有するパターンが、フィルタパターンとして選択される。しかしながら、これらの偶数パターンはフィルタパターンとして選択される前に別途分析されてもよいことに留意すべきである。例えば以下で更に説明されるように、これらの中の特定のパターンは、特定のパターンが特定の独立制御パラメータを制御するのに一層適していた場合に、特定の独立制御パラメータを制御するために選択されてもよい。これらのフィルタパターンはここで説明されたようにイコライザ制御調整をなすように使用される。
図13は、偶数及び奇数8B10Bアイドルデータシーケンスでの6ビットデータパターン分布例を示すテーブルである。列1610は6ビットデータパターンを含み、列1620は偶数の8B10Bアイドルデータシーケンスの中で特定のパターンを見出す確率を含み、列1630は奇数の8B10Bアイドルデータシーケンスの中で特定のパターンを見出す確率を含む。ここで、偶数データシーケンスは、偶数データで始まるデータシーケンスに関連し、奇数データ、偶数データ、奇数データ等が続く。奇数データシーケンスは、奇数データで始まるデータシーケンスに関連し、偶数データ、奇数データ、偶数データ等が続く。列1610中の各データパターンに関し、進んだビットは、遅れたビットの左側にある。列1620又は列1630における空白のセルは、関連するデータシーケンスの中で関連するデータパターンを見出す確率がゼロであることを示す。
分布1600に示されているように、4つのデータパターン−−000010,111010,000101,111101−−は、偶数及び奇数の8B10Bアイドルデータシーケンス双方で見出される。これら4つのパターンは双方のパターンの中に等しく分散し、各パターンは4.796%の時間で見出される。更に、これら4つのパターンは最後の2ビットで1つの遷移を有する。従って特定の実施例ではこれらのデータパターンは方法1400を用いてフィルタパターンとして選択され、これらのフィルタパターンが観察された場合にのみ適応制御処理が適用される。これらのフィルタパターンを利用して、デューティサイクル歪の負の影響が削減される。更に、8B10Bアイドルデータシーケンスの制御動作は、十分にランダム化されたデータシーケンスについての制御動作に一致する。
特定の実施例では、(二次微分イコライザで)入力信号の一次の及び二次の導関数成分に適用されるゲインを調整するために、独立制御パラメータが使用されてもよいことに留意すべきである。そのような場合、8B10Bアイドルデータシーケンスを受信するときに、観察され且つ等しく分布したフィルタパターンの内の特定の1つが、独立制御パラメータについて一層相応しくなる。例えば、十分に相応しいフィルタパターンは、遷移を含む連続的なデータ値の間に境界値を有するものを含み、一次又は二次の導関数成分に適用されるゲインに比較的敏感である。従ってこの例では十分に相応しいフィルタパターンは、アダプティブコントローラが、一次の又は二次の導関数信号成分を効果的に等化することを引き起こすものを含む。
8B10Bアイドルデータシーケンスの場合、十分に相応しいフィルタパターンは、000010及び111101を含み、一次導関数成分に対するゲインを適用する。特定の実施例では、これらのフィルタパターンに対応するデータ値がイコライザで観測された場合にのみ、適応制御処理が一次導関数成分に適用される。この方法により、一次導関数信号成分が有効に等化される。(8B10Bアイドルデータシーケンスに関連して)二次導関数成分に対するゲインを適用する場合、十分に相応しいフィルタパターンは000101及び111010を含む。特定の実施例では、これらのフィルタパターンに対応するデータ値がイコライザで観測された場合にのみ、適応等化処理が二次導関数成分に適用される。この方法により、二次導関数信号成分が有効に等化される。
図14は、図13のテーブルから導出されたフィルタパターン例を用いて、未修正の、一次微分の及び二次微分の入力信号成分に適用されるゲインを調整することに関するゲイン制御方法例のテーブル1700を示す。入力信号は、例えば、8B10Bアイドルデータ信号、別の(準)周期的な信号(図13のフィルタパターンが実質的に等しく分散しているもの)又は十分にランダム化された信号でもよい。各行1702は特定の値のパターンに対応し、特定の適応等化制御処理がその特定のパターンについて実行される。行1702のデータパターンの各々は、図13に関して上記で説明された選択されたフィルタパターンの1つに対応する。
列1710はサンプリングされたデータ値及び境界値のパターンを含み、値は高(“1”)又は低(“0”)の値を有する。列“D0”は出力信号のゼロ次のサンプリングされたデータ値を含み、列“D1”は出力信号の第1のサンプリングされたデータ値を含み、列“D2”は出力信号の第2のサンプリングされたデータ値を含み、列“D3”は出力信号の第3のサンプリングされたデータ値を含み、列“D4”は出力信号の第4のサンプリングされたデータ値を含み、列“D5”は出力信号の第5のサンプリングされたデータ値を含み、列“E4”は第4及び第5データ値の間の境界値を含む。各パターンの中で列“D4”及び“D5”のデータ値の間で遷移が生じていることが分かる。
各行1702での値のパターンはサンプラ104でサンプリングされ、アダプティブコントローラ102に送られることに留意すべきである。アダプティブコントローラ102は、サンプリングされた値と、1つ以上の所定のフィルタパターンとを比較する。特定の実施例では、一致を検出すると、アダプティブコントローラ102は1つ以上の一群の関連する適応等化処理を上述したように行う。
特定の実施例では、アダプティブコントローラ102は図示されているものより多数の値を受信してもよく、例えば、列“D0”乃至“D4”のデータ値の間の境界値を含んでもよいことに更に留意すべきである。或いは、上述したように、アダプティブコントローラ102はサンプリングされたデータ値及び他の位相情報のみを受信し、そのデータ値及び他の位相情報から特定の境界値(例えば、列E4の境界値を含む)が導出されてもよい(及び特定の境界値はサンプラ104によりサンプリングされなくてもよい。)。
列1720は各行1702について列“E4”での代替的な境界値を含む。列1724は、特定のパターンについて、入力信号の未修正成分に関連する適応等化処理及び特定の補償レベルを含む。適応等化処理は適切な如何なる方法で制御されてもよく、その方法は例えば特定の値を分析することを含む。列1730は、特定のパターンについて、入力信号の一次微分成分に関連する適応等化処理及び特定の補償レベルを含む。これらの適応等化処理も適切な如何なる方法で制御されてもよく、その方法は例えば特定の値を分析することを含む。列1740は、特定のパターンについて、入力信号の二次微分成分に関連する適応等化処理及び特定の補償レベルを含む。これらの適応等化処理も適切な如何なる方法で制御されてよく、その方法は例えば特定の値を分析することを含む。
図15は、偶数及び奇数8B10BCJPATデータシーケンスでの6ビットデータパターン分布例1800を示すテーブルである。列1810は6ビットデータパターンを含み、列1820は偶数の8B10BCJPATデータシーケンスの中で特定のパターンを見出す確率を含み、列1830は奇数の8B10Bアイドルデータシーケンスの中で特定のパターンを見出す確率を含む。ここで、偶数データシーケンスは、偶数データで始まるデータシーケンスに関連し、奇数データ、偶数データ、奇数データ等が続く。奇数データシーケンスは、奇数データで始まるデータシーケンスに関連し、偶数データ、奇数データ、偶数データ等が続く。列1810中の各データパターンに関し、進んだビットは、遅れたビットの左側にある。列1820又は列1830における空白のセルは、関連するデータシーケンスの中で関連するデータパターンを見出す確率がゼロであることを示す。分布1800は“CJPAT的な”データシーケンス中のデータパターンの分布であることに留意すべきである。CJPAT的なデータシーケンスは、スタートアップ、プリアンブル、CRC及びIPGシーケンスのようなレーン毎の相違を除いて、IEEE802.3ae規格の8B10BCJPATデータシーケンスと同じである。CJPAT的なデータシーケンスの全体的な特性は、実際の8B10BCJPATデータシーケンスと比較的同様である。
分布1800に示されているように、パターン001110及び110001は偶数及び奇数の8B10BCJPATテストデータシーケンス双方で見出される。更にこれら2つのパターンは双方のパターンの中で実質的に等しく分散している。パターン001110は偶数シーケンスでは7.340%で及び奇数シーケンスでは7.394%で見出される。パターン110001は偶数シーケンスでは7.394%で及び奇数シーケンスでは7.394%で見出される。更に、これら4つのパターンは最後の2ビットで1つの遷移を有する。従って特定の実施例ではこれらのデータパターンは方法1400を用いてフィルタパターンとして選択され、これらのフィルタパターンが観察された場合にのみ適応制御処理が適用される。これらのフィルタパターンを利用して、デューティサイクル歪の負の影響が削減される。更に、8B10BCJPATデータシーケンスの制御動作は、十分にランダム化されたデータシーケンスについての制御動作に一致する。
特定の実施例では、8B10Bアイドルデータシーケンスについて及び8B10BCJPATについて選択されたフィルタパターンは、8B10Bアイドルデータシーケンス、8B10BCJPATデータシーケンス及びランダムシーケンスを受信するイコライザで同時に使用されてもよいことに留意すべきである。8B10BCJPATデータシーケンス分布1800から分かるように、8B10Bアイドルフィルタパターン−−000010,111101,000101,111010−−は偶数及び奇数シーケンスで不均衡に生じる。しかしながら、これらの不均衡なフィルタパターンは、8B10BCJPATデータシーケンスの受信中に比較的低い確率でしか観察されないので、8B10BCJPATデータシーケンスの受信中にそれらを使用することは、一般的には、適応制御に悪影響をもたらさないであろう。8B10BCJPATデータシーケンス分布1600から分かるように、8B10BCJPATデータシーケンスの受信中に8B10BCJPATフィルタパターン001110及び110001を利用することは、適応制御に悪影響をもたらさないであろう。なぜなら、これらのフィルタパターンは8B10BCJPATデータシーケンスで決して観察されないからである。
特定の実施例では、(例えば二次微分等化器では)一次及び二次導関数の入力信号成分に適用されるゲインを調整するために、独立制御パラメータが使用されてもよいことに更に留意すべきである。その場合、8B10BCJPATデータシーケンスを受信するときに、観察され且つ等しく分布したフィルタパターンの内の特定の1つが、独立制御パラメータについて一層相応しくなる。
8B10BCJPATデータシーケンスの場合、一次導関数成分に対するゲインを適用するのに十分に相応しいフィルタパターンは、000010及び111101を含む。特定の実施例では、これらのフィルタパターンに対応するデータ値がイコライザで観測された場合にのみ、適応制御処理が一次導関数成分に適用される。この方法により、一次導関数信号成分が有効に等化される。上述したように8B10Bアイドルフィルタパターンが使用される実施例では、一次導関数成分に対するゲインを適用するのに十分に相応しいフィルタパターンも000010及び111101を含む。
(8B10BCJPATデータシーケンスに関して)二次導関数成分に対するゲインを適用する場合、十分に相応しいフィルタパターンは、000101及び111010を含む。これらのフィルタパターンは、イコライザで使用されるものと同じであり、8B10Bアイドルデータシーケンスの二次導関数成分に対するゲインを適用することに留意すべきである。これら2つのフィルタパターンは、8B10BCJPATデータシーケンスの中で偶数及び奇数データシーケンスで不均衡に生じることに更に留意すべきである。しかしながら、これら不均衡なフィルタパターンは比較的低い確率でしか観察されないので、8B10BCJPATデータシーケンスの受信中にそれらを利用することは適応制御で悪影響をもたらさないであろう。
図16は、図15のテーブルから導出されたフィルタパターン例を用いて、未修正の、一次微分の及び二次微分の入力信号成分に適用されるゲインを調整することに関するゲイン制御方法例のテーブルを示す。入力信号は、例えば、8B10BCJPATデータ信号、別の(準)周期的な信号(図15のフィルタパターンが実質的に等しく分散しているもの)又は十分にランダム化された信号でもよい。各行1902は特定の値のパターンに対応し、特定の適応等化制御処理がその特定のパターンについて実行される。行1902のデータパターンの各々は、図15に関して上記で説明された選択されたフィルタパターンの1つに対応する。
列1910はサンプリングされたデータ値及び境界値のパターンを含み、値は高(“1”)又は低(“0”)の値を有する。列“D0”は出力信号のゼロ次のサンプリングされたデータ値を含み、列“D1”は出力信号の第1のサンプリングされたデータ値を含み、列“D2”は出力信号の第2のサンプリングされたデータ値を含み、列“D3”は出力信号の第3のサンプリングされたデータ値を含み、列“D4”は出力信号の第4のサンプリングされたデータ値を含み、列“D5”は出力信号の第5のサンプリングされたデータ値を含み、列“E4”は第4及び第5データ値の間の境界値を含む。各パターンの中で列“D4”及び“D5”のデータ値の間で遷移が生じていることが分かる。
各行1902での値のパターンはサンプラ104でサンプリングされ、アダプティブコントローラ102に送られることに留意すべきである。アダプティブコントローラ102は、サンプリングされた値と、1つ以上の所定のフィルタパターンとを比較する。特定の実施例では、一致を検出すると、アダプティブコントローラ102は1つ以上の一群の関連する適応等化処理を上述したように行う。
特定の実施例では、アダプティブコントローラ102は図示されているものより多数の値を受信してもよく、例えば、列“D0”乃至“D4”のデータ値の間の境界値を含んでもよいことに更に留意すべきである。或いは、上述したように、アダプティブコントローラ102はサンプリングされたデータ値及び他の位相情報のみを受信し、そのデータ値及び他の位相情報から特定の境界値(例えば、列E4の境界値を含む)が導出されてもよい(及び特定の境界値はサンプラ104によりサンプリングされなくてもよい。)。
列1920は各行1902について列“E4”での代替的な境界値を含む。列1924は、特定のパターンについて、入力信号の未修正成分に関連する適応等化処理及び特定の補償レベルを含む。適応等化処理は適切な如何なる方法で制御されてもよく、その方法は例えば特定の値を分析することを含む。列1930は、特定のパターンについて、入力信号の一次微分成分に関連する適応等化処理及び特定の補償レベルを含む。これらの適応等化処理も適切な如何なる方法で制御されてもよく、その方法は例えば特定の値を分析することを含む。列1940は、特定のパターンについて、入力信号の二次微分成分に関連する適応等化処理及び特定の補償レベルを含む。これらの適応等化処理も適切な如何なる方法で制御されてよく、その方法は例えば特定の値を分析することを含む。
本発明の範囲から逸脱せずに、修正、付加又は省略が説明済みのシステム及び方法になされてもよい。説明されたシステム及び方法の要素は、具体的なニーズに応じて統合されてもよいし、分離されてもよい。更に説明されたシステム及び方法の処理は、より多数の、より少数の又は別の要素で実行されてもよい。
フィルタパターンは特定の実施例ではデューティサイクル歪及び特定の(準)周期的信号の負の影響を減らすために使用されてもよい。上述したように、フィルタパターンは、1つ以上の(準)周期的な信号の中で十分に均整のとれた偶数及び奇数のシーケンス群の出現パターンに基づいて選択される。特定の実施例では、フィルタパラメータは8B10Bアイドル信号又は8B10BCJPAT信号のような予め決められた特定の信号について特別に選択されてもよい。これらのフィルタパターンが検出された場合にのみ、これらのフィルタパターンが適応制御を引き起こすように使用されてもよい。特定の所定の周期的な信号をイコライザが受信している間に(その信号についてフィルタパターンが特別に選択される)、フィルタパターンを利用することは、デューティサイクル歪の負の影響を減らす。しかしながら、他の周期的信号をイコライザが受信している間に(その信号についてそのフィルタパターンは特別に選択されない)、そのフィルタパターンを利用することは、適応等化制御の受け入れられない結果を招くかもしれない。なぜならこれらのフィルタパターンは、これらの他の周期的信号について十分に均衡がとれていないからである。
選択されたフィルタパターンの限定された適用性に対する1つの解(ソリューション)は、フィルタパターンが到来信号に対してコンパチブルであることの確認ができない場合に適応等化制御を凍結する(止める或いは不使用にする)ことである。例えば、適応等化制御は、ある到来データシーケンスについて凍結され、そのデータシーケンスは、フィルタパターンを選択するのに使用される(準)周期的なシーケンスでないとして又は十分にランダム化されていないものとして識別される。アダプティブイコライザは、追加的に又は代替的に到来するデータシーケンスについて凍結されてもよく、そのデータシーケンスは両立可能であるとも不可能であるとも識別できなかったものである。例えば、アダプティブイコライザは、両立不可能な(準)周期的シーケンスが外見上十分にランダム化されているシーケンスに含まれているか否か判別できなかった場合、その外見上十分にランダム化されているシーケンスについて凍結されてもよい。
適応等化制御を一時的に凍結することが受入可能であってもよい。なぜなら、チャネル特性は短期間の間に変化する傾向があるからである。しかしながら、比較的長期間にわたって等化制御を凍結することは有利でないかもしれない。なぜなら、シンボル間干渉に影響するチャネル特性が変化するかもしれないからである。例えば、温度ドリフトやケーブル移動のような環境変化は、シンボル間干渉に影響を及ぼすかもしれない。チャネル特性が変化し、シンボル間干渉が影響を受ける場合、イコライザの適応制御はその変化した信号減衰を補償することを要する。このようなわけで、選択されたフィルタパターンとコンパチブルなデータシーケンスを待機させつつ長期間にわたって適応制御を凍結することは、特定の状況では有利でないかもしれない。
第2の解は、等化制御によってバランス法で適用される場合に、何らかの(準)周期的なデータ信号とコンパチブルな有用なフィルタパターン群を選択することである。特定の実施例では、これらのフィルタパターンは、特定の(準)周期的信号中のパターン分布にかならずしも依存しなくてよい。従ってリスト中の1つ以上のフィルタパターンは、特定の(準)周期的データ信号の中で偶数及び奇数シーケンスで均等に現れなくてもよい;しかしながら、様々な潜在的に不均衡に分布したフィルタパターンの内バランスのとれたアプリケーションは、不均衡に分布したフィルタパターンのバイアスをキャンセルするかもしれない。バランスのとれたアプリケーションは、観察され実質的に均等に活性化される偶数パターン及び奇数パターンになり、それらの適応バイアスをキャンセルし、デューティサイクル歪及び何らかのタイプの到来する(準)周期的信号の負の影響を減らす。
デューティサイクル歪に起因する適応バイアスをキャンセルすることに加えて、フィルタパターンのバランスのとれたアプリケーションは、(準)周期的データ信号に生じる様々な的そうバイアスをキャンセルすることで、何らかの(準)周期的な又は十分にランダムなデータについての適応制御の一貫した結果をもたらす。言い換えれば、フィルタパターンの適用が均衡していなかった場合、適応制御の結果は支配的なフィルタパターンを強固にバイアスし、そのフィルタパターンは様々な(準)周期的な又は十分にランダムなデータシーケンスの中で変化し、従って適応制御の結果は到来するデータシーケンスに依存する。例えば、到来するデータシーケンスが低周波指向であった場合、適応制御は低周波パターンにバイアスされ、適応制御の結果は高周波指向になる。到来するデータシーケンスが高周波指向であった場合、適応制御は高周波パターンにバイアスされ、適応制御の結果は低周波指向になる。フィルタの適用が均衡していると、各フィルタパターンについて実質的に同じ確率で適応制御が行われ、従って適応制御結果は如何なる(準)周期的又は十分にランダムな信号について首尾一貫した結果になる。
特定の実施例では、有用なフィルタパターンのリストが最初に精製され、適応等化制御の動作中に不変に(即ち、固定的に)維持される。リストが6ビットのフィルタパターンを含む場合、そのリストは6ビットパターンの全ての可能な変形例を含んでもよい。或いはそのリストは或るデータ遷移を伴う6ビットパターンの可能な全ての変形例を含んでもよく、そのデータ遷移は最後の2データビットのような連続的な或る2つのビットの間のデータ遷移である。更に別の例では、リストは、6ビットパターンの全ての可能な変形例の内の部分集合しか含まない。リストの生成器は特定の部分集合が有用であることを決定してもよい。いずれにせよ、適応制御は、有用なフィルタパターンの固定的なリストの中で適切な如何なる方法で巡回されてもよい。例えば、図20−22に関して以下で説明されるように、適応制御は固定されたリストの中で巡回されてもよい。
特定の実施例では不変のリストが使用されるが、代替実施例では到来するシーケンスに順応する動的なリストを利用することが有利になるかもしれない。特定の実施例では、到来するシーケンスに順応する動的なリストを利用することで、適応制御処理の頻度を増やし、より頻繁に変化するチャネル特性に対処する。適応制御は、適切な如何なる方法で動的なリストを巡回してもよい。例えば適応制御は、図20−22に関連して以下に説明されるように動的なリストの中を巡回してもよい。特定の実施例では、適応等化制御は固定的な又は動的なリストを使用しながら常にイネーブルにされていてもよいことに留意すべきである。1つより多くの独立制御パラメータが存在する場合、特定の実施例では、ドク散る制御パラメータ各々について、有用なフィルタパターンの別々のリスト(固定的な又は動的なリスト)が使用されてもよいことに更に留意すべきである。
一方、様々な(準)周期的な又は十分にランダム化されたデータの中での適応制御結果の一貫性については、動的なリストよりも固定的なリストの方が有利になるかもしれない。なぜなら、動的なリストは、フィルタパターンのリストを動的に変えることで適応制御結果の非一貫性についていくらか妥協するかもしれないが、固定的なリストは、フィルタパターンの固定的なリストを主張することで適応制御結果の非一貫性について一切妥協しないからである。
図17は、本発明の特定の実施例による有用なフィルタパターンのリストを動的に生成する方法例2000を示すフローチャートである。方法2000は、例えば到来するシーケンスで観察された有用なパターンを含むように且つもはや有用でないパターンを除外するように、有用なフィルタパターンのリストを更新するように実行される。方法2000はステップ2010から始まり、有用なフィルタパターンの新たなリストが使用される。特定の実施例では、有用なフィルタパターンの新たなリストは、図20及び21に関連して以下で説明されるようなバランス法で使用されてもよい。また、図22に関して以下で説明されるように、検出されなかったフィルタパターンはスキップされてもよい。
ステップ2020では、到来するシーケンス中のデータパターンがモニタされ、有用な及び有用でないデータパターンが検出される。特定の実施例では、或るビットサイズ(適用されるフィルタパターンのサイズに対応するビットサイズ)のデータパターンのみがモニタされる。有用なデータパターンは例えば或るデータパターンを含み、そのデータパターンは、到来するシーケンスの中で頻繁に観測され、且つそのパターン中の連続的なデータ値の間で少なくとも1回の遷移を含む。特定の実施例では、パターン中の最後の2つのデータ値のような或る2つのデータ値の間で遷移が生じる場合にのみ、データパターンは有用であってよい。例えば、境界値についての制御パラメータの感度をデータパターンが強める場合に、そのデータパターンは有用であってよい。例えば、境界値以前のデータ値2.5ビットと同じ境界値以前のデータ値1.5ビットを有するデータパターンは、アナログ二次微分イコライザの一次導関数成分のゲインを制御するのに有用になる一方、境界値以前のデータ値2.5ビットと異なる境界値以前のデータ値1.5ビットを有するデータパターンは、アナログ二次微分イコライザの二次導関数成分のゲインを制御するのに有用になる。有用でないパターンは、観察されない又はまれにしか観察されないもの、パターン中の連続的なデータ値の間で少なくとも1回の遷移を含んでいないもの、境界値での制御パラメータの感度を減少させるもの等を含むかもしれない。例えば、境界値以前のデータ値2.5ビットと異なる境界値以前のデータ値1.5ビットを有するデータパターンは、アナログ二次微分イコライザの一次導関数成分のゲインを制御するには有用でなく、境界値以前のデータ値2.5ビットと同じ境界値以前のデータ値1.5ビットを有するデータパターンは、アナログ二次微分イコライザの二次導関数成分のゲインを制御するには有用でないかもしれない。これらのパターンが有用でないのは、それらが適応制御処理の頻度を増進せず、動的リストを利用する目的に沿わず、適応制御に有用に寄与しないからである。検出後に、有用なパターンはリスト中にコンパイルされる(まとめられる)或いは格納される。特定の実施例では、有用でないパターンもリスト中にコンパイルされ、或いは格納されてもよい。
ステップ2030では、十分な到来シーケンスがモニタされたか否かの判定がなされる。到来シーケンスが十分にモニタされていなかったならば、本方法はステップ2020に戻る。十分な到来シーケンスがモニタされていたならば、本方法はステップ2040に進む。例えば、所定数の又は所定のタイプのデータパターンが検出された後に、或いは所定時間が経過した後に、十分な到来シーケンスがモニタされたものとしてよい。
ステップ2040では、有用なフィルタパターンのリストが、例えば到来シーケンス中で検出される有用なパターンのコンパイルされたリストを用いて更新される。特定の実施例では、到来データシーケンスで検出された1つ以上の(又は全ての)有用なパターンが加えられてもよいし、又は有用なフィルタパターンのリストを置き換えてもよい。或いは、有用なフィルタパターンのリストは検出されたパターンを既に含んでいるかもしれないので、検出されたパターンを含むように必ずしも修正されなくてよい。何れの場合でも、有用でないフィルタパターンは、有用なフィルタパターンのリストから削除されてよい。特定の実施例では、有用でない検出されたパターンのコンパイルされたリストは、削除されてもよい。有用なフィルタパターンのリストを更新した後に、本方法はステップ2010に戻り、有用なフィルタパターンの新たなリストが使用される。
図18は、本発明の特定の実施例による有用なフィルタパターンのリストを動的に生成する別の方法例2100を示すフローチャートである。方法2000と同様に、方法2100は到来するシーケンスで観察された有用なパターンを含むように且つもはや有用でないパターンを除外するように、有用なフィルタパターンのリストを更新するように実行される。方法2100は偶数及び奇数データシーケンスについて別個の動的リストを更に生成する。方法2100は選択的にこれらのリストを編集し、偶数シーケンスも奇数シーケンスも適応制御で支配的にならないようにする。そのようにすることは、デューティサイクル歪の負の影響を減らすかもしれない。
方法2100はステップ2110から始まり、有用なフィルタパターンの新たなリストが使用される。特定の実施例では、有用なフィルタパターンの新たなリストは、図20,21に関連して以下で説明されるようにバランス法で使用されてもよい。フィルタパターンの新たなリストは、ある時間切れの検出と共に使用され、図22に関連して以下で説明されるように或る時間経過後に未検出のフィルタパターンをスキップ(省略)してもよい。
ステップ2120では、偶数及び奇数データシーケンス中のデータパターンがモニタされ、各データシーケンス中の有用な及び有用でないデータパターンが検出される。モニタされるデータパターンは、偶数ビットから始まって奇数ビット、偶数ビット、奇数ビット等が続くもの又は奇数ビットから始まって偶数ビット、奇数ビット、偶数ビット等が続くものである。有用なデータパターンは例えば或るデータパターンを含み、そのデータパターンは、到来データシーケンス中で頻繁に観察され且つそのパターン内で連続するデータ値の間で少なくとも1回の遷移を含む。特定の実施例では、データパターンは、そのパターン内で或る2つのデータ値の間で遷移が生じた場合にのみ有用になるかもしれない。データパターンは、例えば、境界値での制御パラメータの感度をそのデータパターンが強調する場合に有用になるかもしれない。例えば、境界値以前のデータ値2.5ビットと同じ境界値以前のデータ値1.5ビットを有するデータパターンは、アナログ二次微分イコライザの一次導関数成分のゲインを制御するのに有用である一方、境界値以前のデータ値2.5ビットと異なる境界値以前のデータ値1.5ビットを有するデータパターンは、アナログ二次微分イコライザの二次導関数成分のゲインを制御するのに有用である。有用でないパターンは、観察されない又はまれにしか観察されないもの、パターン中の連続的なデータ値の間で少なくとも1回の遷移を含んでいないもの、境界値での制御パラメータの感度を減少させるもの等を含むかもしれない。例えば、境界値以前のデータ値2.5ビットと異なる境界値以前のデータ値1.5ビットを有するデータパターンは、アナログ二次微分イコライザの一次導関数成分のゲインを制御するには有用でなく、境界値以前のデータ値2.5ビットと同じ境界値以前のデータ値1.5ビットを有するデータパターンは、アナログ二次微分イコライザの二次導関数成分のゲインを制御するには有用でないかもしれない。検出された有用なパターンは偶数及び奇数データシーケンス用の別々のリストにコンパイルされる或いは別々に格納されてもよい。特定の実施例では、有用でないパターンも偶数及び奇数データシーケンス用の別々のリストにコンパイルされる或いは別々に格納されてもよい。
ステップ2130では、十分な到来シーケンスがモニタされたか否かの判定がなされる。到来シーケンスが十分にモニタされていなかったならば、本方法はステップ2120に戻る。十分な到来シーケンスがモニタされていたならば、本方法はステップ2140に進む。例えば、所定数の又は所定のタイプのデータパターンが検出された後に、或いは所定時間が経過した後に、十分な到来シーケンスがモニタされたものとしてよい。
ステップ2140では、検出された有用なパターンに関し、偶数シーケンス及び奇数シーケンスの一方にしか現れていなパターンが破棄される。特定の実施例では、偶数データシーケンスで検出された有用なパターンが、奇数データシーケンスで検出された有用なパターンと比較され、偶数及び奇数シーケンスの一方でしか観察されていないパターンは、フィルタパターンの新規リスト中のフィルタパターンとしての考察対象から除外される。これらのパターンは、例えば、検出された有用なパターンのコンパイルされた偶数又は奇数リストからそれらを除外することで破棄されてもよい。特定の実施例では、これらのパターンは検出された有用でないパターンのコンパイルされた偶数又は奇数リスト内で置き換えられてもよい。
ステップ2150では、有用なフィルタパターンのリストが更新される。特定の実施例では、偶数シーケンス及び奇数シーケンスの一方でしか現れていないパターンが、検出されたパターンのコンパイルされたリストから除外された後に、検出されたパターンのコンパイルされたリスト中の1つ以上の(又は全ての)有用なパターンが加えられてもよいし、又は有用なフィルタパターンのリストを置き換えてもよい。或いは、そのリストは検出されたパターンを既に含んでいるかもしれないので、検出されたパターンを含めるように必ずしも修正されなくてよい。何れの場合でも、有用でないフィルタパターンは、有用なフィルタパターンのリストから除外されてよい。特定の実施例では、有用でない検出されたパターンのコンパイルされた偶数又は奇数リストは、削除されてもよい。有用なフィルタパターンのリストを更新した後に、本方法はステップ2110に戻り、有用なフィルタパターンの新たなリストが使用される。
図19は、本発明の特定の実施例による有用なフィルタパターンのリストを動的に生成する更に別の方法例2200を示すフローチャートである。方法2000及び2100と同様に、方法2200は到来するシーケンスで観察された有用なパターンを含むように且つもはや有用でないパターンを除外するように、有用なフィルタパターンのリストを更新するように実行される。方法2100と同様に、方法2200は偶数ビット及び奇数ビットで始まるデータシーケンスについて別個の動的なリスト(即ち、偶数リスト及び奇数リスト)を作成し、偶数シーケンスも奇数シーケンスも適応制御で支配的にならないようにこれらのリストを編集する。方法2200は、偶数リスト中のパターン数及び奇数リスト中のパターン数をカウントし、2つの数を比較し、より大きな数のパターンを有するリストからパターンを除外することを、偶数リスト中のパターン数が奇数リスト中のパターン数に等しくなるまで行うことで上記の編集を実行してもよい。このようにしてデューティサイクル歪の影響が減らされてもよい。また、方法2200は到来データシーケンスに比較的依存しないかもしれない。
方法2200はステップ2210から始まり、有用なフィルタパターンの新たなリストが使用される。特定の実施例では、有用なフィルタパターンの新たなリストは、図20,21に関連して以下で説明されるようにバランス法で使用されてもよい。フィルタパターンの新たなリストは、ある時間切れの検出と共に使用され、図22に関連して以下で説明されるように或る時間経過後に未検出のフィルタパターンをスキップしてもよい。
ステップ2220では、偶数データシーケンス中のデータパターン(偶数ビットから始まって奇数ビット、偶数ビット、奇数ビット等が続く)及び奇数データシーケンス中のデータパターン(奇数ビットから始まって偶数ビット、奇数ビット、偶数ビット等が続く)がモニタされ、各データシーケンス中の有用な及び有用でないデータパターンが検出される。有用なデータパターンは例えば或るデータパターンを含み、そのデータパターンは、到来データシーケンス中で頻繁に観察され且つそのパターン内で連続するデータ値の間で少なくとも1回の遷移を含む。特定の実施例では、データパターンは、そのパターン内で或る2つのデータ値の間で遷移が生じた場合にのみ有用になるかもしれない。データパターンは、例えば、境界値での制御パラメータの感度をそのデータパターンが強調する場合に有用になるかもしれない。例えば、境界値以前のデータ値2.5ビットと同じ境界値以前のデータ値1.5ビットを有するデータパターンは、アナログ二次微分イコライザの一次導関数成分のゲインを制御するのに有用である一方、境界値以前のデータ値2.5ビットと異なる境界値以前のデータ値1.5ビットを有するデータパターンは、アナログ二次微分イコライザの二次導関数成分のゲインを制御するのに有用である。有用でないパターンは、観察されない又はまれにしか観察されないもの、パターン中の連続的なデータ値の間で少なくとも1回の遷移を含んでいないもの、境界値での制御パラメータの感度を減少させるもの等を含むかもしれない。例えば、境界値以前のデータ値2.5ビットと異なる境界値以前のデータ値1.5ビットを有するデータパターンは、アナログ二次微分イコライザの一次導関数成分のゲインを制御するには有用でなく、境界値以前のデータ値2.5ビットと同じ境界値以前のデータ値1.5ビットを有するデータパターンは、アナログ二次微分イコライザの二次導関数成分のゲインを制御するには有用でないかもしれない。検出された有用なパターンは偶数及び奇数データシーケンス用の別々のリストに(「偶数」リスト及び「奇数」リストに)コンパイルされる或いは別々に格納されてもよい。特定の実施例では、有用でないパターンも偶数及び奇数データシーケンス用の別々のリストにコンパイルされる或いは別々に格納されてもよい。
ステップ2230では、到来する偶数及び奇数シーケンスが十分にモニタされたか否かの判定がなされる。到来シーケンスが十分にモニタされていなかったならば、本方法はステップ2220に戻る。十分な到来シーケンスがモニタされていたならば、本方法はステップ2240に進む。例えば、所定数の又は所定のタイプのデータパターンが検出された後に、或いは所定時間が経過した後に、十分な到来シーケンスがモニタされたものとしてよい。
ステップ2240では、偶数及び奇数リストで検出されたパターンが比較され、偶数リストでのみ現れているパターン数及び奇数リストでのみ現れているパターン数がカウントされる。ステップ2250では、偶数リストでのみ現れているパターン数が、奇数リストでのみ現れているパターン数と同じであるか否かの判定がなされる。その数が相違していたならば、本方法はステップ2260に進む。数が同じであったならば、本方法はステップ2270に進む。
ステップ2260では、偶数リストでのみ現れているパターン数が、奇数リストでのみ現れているパターン数と異なっていた場合に、一方のパターンが、より多数のパターンに関するリストから除外される。特定の実施例では、より多数のパターンを有するリストから、適切な如何なるパターンが適切な如何なる方法で除外されてもよい。例えば、特定の実施例では、偶数又は奇数のデータシーケンスで最も頻繁に生じているパターンが除外されてもよい。より多数のパターンを伴うリストからパターンを除外した後に、本方法はステップ2240に戻り、偶数リスト中でしか現れていないパターン数及び奇数リスト中でしか現れていないパターン数が数えられ、比較される。
ステップ2270では、偶数リストでのみ現れているパターン数が、奇数リストでのみ現れているパターン数と同じであった場合に、例えば検出されたパターンの編集されたリストを用いて、有用なフィルタパターンのリストが更新される。特定の実施例では、検出されたパターンの編集されたリストの中で1つ以上の(又は全部の)有用なパターンが加えられてもよいし、又は有用なフィルタパターンのリストを置き換えてもよい。或いは、有用なフィルタパターンのリストは検出されたパターンを既に含んでいるかもしれないので、検出されたパターンを含めるように必ずしも修正されなくてよい。何れの場合でも、有用でないフィルタパターンは、有用なフィルタパターンのリストから除外されてよい。特定の実施例では、有用でない検出されたパターンのコンパイルされた偶数又は奇数リストは、削除されてもよい。有用なフィルタパターンのリストを更新した後に、本方法はステップ2210に戻り、有用なフィルタパターンの新たなリストが使用される。
本発明の範囲から逸脱せずに、修正、付加又は省略が説明済みのシステム及び方法になされてもよい。説明されたシステム及び方法の要素は、具体的なニーズに応じて統合されてもよいし、分離されてもよい。更に説明されたシステム及び方法の処理は、より多数の、より少数の又は別の要素で実行されてもよい。
上述したように有用なフィルタパターンのリストは固定的でもよいし又は動的でもよい。何れのタイプのリストでもフィルタパターンは、イコライザ制御によるバランス法で使用され、デューティサイクル歪の負の影響を減らす。バランス法でフィルタパターンを利用することは、概して、フィルタパターンのリストの中で各フィルタパターンを均等に使用すること又はそのリストの中で各フィルタパターンを同じウエイトで或いは同じ確率で選択することに関連する。
図20は、フィルタパターンをバランス法で使用する本発明の特定の実施例による方法例2300を示すフローチャートである。方法2300はステップ2310から始まり、有用なフィルタパターンのリストの中から或るフィルタパターンが選択される。有用なフィルタパターンのリストは固定的でも動的でもよい。有用なフィルタパターンの中から適切な如何なる方法でフィルタパターンが選択されてもよい。特定の実施例では、フィルタパターンはリストの中から順番に選択されてもよい。代替実施例では、フィルタパターンはリストの中から等しい確率でランダムに選択されてもよい。フィルタパターンは例えば6ビットパターンを含み、最後の2ビットのような特定の2ビットの間で遷移を含んでいてもよいことに留意すべきである。
ステップ2320では、選択されたフィルタパターンについて、到来する信号のデータシーケンスがモニタされる。ステップ2330では、選択されたフィルタパターンが検出されなかった場合に、到来する信号のデータシーケンスは監視され続けられてもよい。選択されたフィルタパターンが検出されると、本方法はステップ2340に進む。
ステップ2340では、イコライザパラメータを制御する適切な制御処理がなされる。特定の実施例では、検出されたパターンのデータ及び境界値情報が分析され、適切な制御処理が上述したようになされてもよい。出力値を解釈する方法例は、図5,7,9に関連して上記で説明されたものでもよい。出力信号値を分析した後に、イコライザはその信号に適切な制御処理を適用する。本発明の他の実施例では、ステップ2340で行われる適応制御処理は、従来の様々な適応制御アルゴリズムにおける適切な如何なる適応制御処理でもよい。例えば、ステップ2340での適応制御処理は、最小二乗平均(LMS)アルゴリズム、サインサイン最小二乗平均(SS-LMS)アルゴリズム、ゼロフォーシング(ZF)アルゴリズム等のような従来の適応制御アルゴリズムに基づいていてもよい。これらの従来の適応制御アルゴリズムは、一般に、到来するデータが十分にランダム化されていることを必要とし、到来するデータが(準)周期的なデータであった場合は、許容できない結果を招くかもしれない。特定の実施例では、フィルタパターンを用いる適応制御処理のバランスアプリケーションは、これら従来の適応制御アルゴリズムが、様々な(準)周期的な及び十分にランダム化されたデータシーケンスの間で首尾一貫した適応制御結果をもたらすことを可能にする。これら従来の適応制御アルゴリズムは適応制御処理を行うのにデータ遷移を必ずしも必要としないので、特定の実施例ではフィルタパターンはデータ遷移を必ずしも含まなくてよい。制御処理が適用された後に、本方法はステップ2310に戻り、新たなフィルタパターンが選択される。このようにフィルタパターンは、バランス法で使用され、デューティサイクル歪の負の影響を減らし、(準)周期的な及び十分にランダムな様々なデータシーケンスの中で首尾一貫した適応制御結果をもたらす。
図21は、フィルタパターンをバランス法で使用する本発明の特定の実施例による別の方法例2400を示すフローチャートである。リスト中のフィルタパターンは、ある複数のフィルタパターンについて同時にモニタされ、検出され且つ適応処理が行われるそのフィルタパターンにフラグが立てられる或いはそれが識別され、そして全てのフィルタパターンが検出されると、もはや監視されなくなり、フラグはクリアされる。このようにして、フィルタパターンはバランス法で使用され、デューティサイクル歪の負の影響を減らす。
方法2400はステップ2410から始まる。ステップ2410では、全てのフラグがクリアされ、どのパターンにもフラグが立っていないようにする。あるパターンに関連するフラグの無いことは、そのパターンについて、到来するデータシーケンスが監視されることを示す(そのパターンは未だ検出されていないからである。)。フラグは、そのフラグの対応するパターンについて、到来するデータシーケンスはもはや監視されなくてよいことを示す(そのパターンは既に検出されているからである。)。この例ではフラグが使用されているが、別の例では、パターンが検出済みであることを示す適切な如何なる技法が実施されてよいことに留意すべきである。有用なフィルタパターンのリストは固定的でも動的でもよいことに更に留意すべきである。
ステップ2420では、未だフラグの立ってないフィルタパターンについて、到来するデータシーケンスが監視される。全てのフラグがクリアされた直後に、有用なフィルタパターンのリスト中の全てのフィルタパターンについて、到来するデータシーケンスがモニタされる。特定の実施例では、フラグの立ってない全てのフィルタパターンが同時にモニタされてもよい。フィルタパターンが検出され、作用し、フラグが立てられると、より少ないフィルタパターン(フラグの立っていないもの)について、到来するデータシーケンスが監視される。
ステップ2430では、監視される何らかのフィルタパターンが到来するデータシーケンス内で検出されたか否かの判定がなされる。どのフィルタパターンも検出さていなかったならば、到来するデータシーケンスはそのフィルタパターンについて監視され続け、各フィルタパターンの対応するフラグは未検査のまま残る。フィルタパターンの1つが検出されると、本方法はステップ2440に進む。
ステップ2440では、イコライザパラメータを制御するため、適切な制御処理が行われる。特定の実施例では、検出されたパターンのデータ及び境界値情報が分析され、制御処理が行われる。出力信号値を解釈する方法例は、図5,7,9に関連して上述したものでもよい。出力信号値を分析した後に、イコライザは適切な制御処理を信号に適用してよい。代替実施例では、ステップ2440で行われる適応制御処理は、従来の様々な適応制御アルゴリズムにおける適切な如何なる適応制御処理でもよい。例えば、ステップ2440での適応制御処理は、最小二乗平均(LMS)アルゴリズム、サインサイン最小二乗平均(SS-LMS)アルゴリズム、ゼロフォーシング(ZF)アルゴリズム等のような従来の適応制御アルゴリズムに基づいていてもよい。これらの従来の適応制御アルゴリズムは、一般に、到来するデータが十分にランダム化されていることを必要とし、到来するデータが(準)周期的なデータであった場合は、良好でない結果を招くかもしれない。フィルタパターンを用いる適応制御処理のバランスアプリケーションは、これら従来の適応制御アルゴリズムが、(準)周期的な及び十分にランダム化された様々なデータシーケンスの間で首尾一貫した適応制御結果をもたらすことを可能にする。フィルタパターンが検出された後に(及び選択的に、制御処理がなされた後に)、検出されたフィルタパターンのフラグが立てられる。
ステップ2450では、有用なフィルタパターンのリスト中の全てのフィルタパターンについてフラグが立てられたか否かの判定がなされる。そうでなかったならば、本方法はステップ2420に戻り、到来するデータシーケンスは、未だフラグの立ってないフィルタパターンについて監視される。有用なフィルタパターンのリスト中の全てのフィルタパターンのフラグが立っていたならば、本方法はステップ2410に進み、全てのフラグがクリアされる。このようにフィルタパターンは、バランス法で使用され、デューティサイクル歪の負の影響を減らし、(準)周期的な及び十分にランダムな様々なデータシーケンスの中で首尾一貫した適応制御結果をもたらす。
本発明の範囲から逸脱せずに、修正、付加又は省略が説明済みのシステム及び方法になされてもよい。説明されたシステム及び方法の要素は、具体的なニーズに応じて統合されてもよいし、分離されてもよい。更に説明されたシステム及び方法の処理は、より多数の、より少数の又は別の要素で実行されてもよい。
上述したように、フィルタパターンは、バランス法で使用され、デューティサイクル歪の負の影響を減らし、(準)周期的な及び十分にランダムな様々なデータシーケンスの中で首尾一貫した適応制御結果をもたらし、バランス法でフィルタパターンを使用する方法例が図20,21に関連して説明された。しかしながら、方法2300のステップ2330で又は方法2400のステップ2430でフィルタパターンが検出されたか否かについての判定を行う場合、例えば所望のフィルタパターンが検出されなかったときに、本方法は行き詰まるかもしれない。言い換えれば、特定のフィルタパターンが検出されなかった場合に、別の適応処理が一切なされないかもしれない。この方法で適応制御を凍結させることは短期的に有利でなくはないかもしれない。なぜなら、チャネル特性は変化しそうにないかもしれないからである。しかしながら、短期的でさえも及び長期的には特に、所定期間経過後に未検出フィルタパターンを本法が省略することを強制することは、イコライザが、変動する状況に速やかに適合するのを可能にするかもしれない。より頻繁な適応制御を許可することで、未検出フィルタパターンをスキップすることは、チャネル特性が変化する場合に、適応制御が行き詰まることを防ぐ。
図22は、未検出のフィルタパターンをある期間の後にスキップする本発明の特定の実施例による方法例2500を示すフローチャートである。方法2500では、或る期間経過後にタイムアウトが検出され、その期間内ではフィルタパターン到来データシーケンス中に検出されていない。タイムアウトが検出された後に、そのフィルタパターンは(例えば、方法2300のステップ2330で)スキップされる、或いは(上記の方法2400のステップ2430で)フラグが立てられる。
タイムアウト検出は、有用なフィルタパターンの固定的な又は動的なリストに関連して使用されてよいことに留意すべきである。しかしながら、タイムアウト検出は、固定的なリストを使用する場合よりも動的なリストを使用する場合の方でより少なくしか行われないかもしれない。なぜなら、動的なリストのフィルタパターンは、到来するシーケンスでのそれらの頻度に依存して更新されるからである。言い換えれば、到来するシーケンスの中で頻繁に観察されるパターンは、有用なフィルタパターンのリストに含まれ、頻繁には観察されないパターンは除外されるならば、タイムアウトが検出される機会は少なくなる。それでもなお方法2500は、動的なリストに関連して使用され、到来するシーケンスの変化後に動的リストを更新する際の如何なる遅延をも補償する。
方法2500はステップ2510から始まり、タイマーがリセットされる。方法2300に関し、ステップ2310で次のフィルタパターンが選択された後に、タイマーはリセットされてもよい。方法2400に関連して、例えば、全てのフラグがステップ2410で始めにクリアされた後で及び/又はステップ2430でのフィルタパターンの検出後に、タイマーがリセットされてもよい。タイマーは或る時間に設定されてもよく、その或る時間経過後にフィルタパターン(又は方法2400でのフィルタパターン)はスキップされる。タイマーで設定される期間は適切な如何なる期間を含んでいてもよい。
ステップ2520では、あるフィルタパターンが到来するデータシーケンスの中で検出されたか否かの判定がなされる。フィルタパターンが検出されたならば、本方法はステップ2510に戻り、タイマーはリセットされる。フィルタパターンが検出されなかったならば、本方法はステップ2530に進む。
ステップ2530では、タイムアウトが生じたか否かの判定がなされる。タイムアウトは、タイマーで設定された時間が時間切れになったことを示す。タイムアウトが生じなければ、本方法はステップ2520に戻る。タイムアウトが生じると、本方法はステップ2540に進む。
タイムアウトが生じた後に、未検出のそのフィルタパターンはステップ2540でスキップされる。方法2300に関連して、フィルタパターンはスキップされ、次のフィルタパターンがステップ2310で選択される。方法2400に関連して、全ての残りのフラグの立ってないフィルタパターンがスキップされ(例えば、それらはすべてフラグが立てられる)、全てのフラグがステップ2410でクリアされ、本プロセスがリスタートできるようにする。特定の実施例では、スキップされたどのパターンも有用なフィルタパターンのリストから除外される(スキップされたパターンが、適応等化器を再び行き詰まらせることを防ぐためである。)。そして方法2500はステップ2510に戻り、タイマーがリセットされる。こうして、未検出のフィルタパターンがスキップされ、適応制御処理がより頻繁になされ、未検出のフィルタパターンについて適応制御が行き詰まることを防ぐ。
一方、特定の実施例では、タイムアウトの検出を行わないことが、(準)周期的な又は十分にランダム化された様々なデータの中で一貫した適応制御結果を得る観点からは、有利になるかもしれない。なぜなら、タイムアウトの検出は、未検出のフィルタパターンをスキップすることで適応制御結果の非一貫性について或る低度妥協するかもしれないが、タイムアウトを実施しないことは、たとえ行き詰まったとしても、全てのフィルタパターンについて言い張ることで、適応制御結果の非一貫性について一切妥協しないからである。特定の実施例では、ストーリング(stalling)は問題にならないかもしれない或いは連続的な0101データシーケンスのような或るデータシーケンスについては最も望ましくなりさえするかもしれない。なぜなら、そのように非常に周期的なデータシーケンスは周波数領域でのスペクトルについては不足しており、適応制御について十分な情報を含んでいないかもしれないからである。適応制御が一連の0101のような非常に周期的なデータシーケンスについて行き詰まらなかった場合、制御パラメータは悪い値にドリフトしているおそれがある。従って特定の実施例では、ストーリングはそのような非常に周期的なデータシーケンスについて最も好ましい方法になるかもしれない。タイムアウトの検出を行わないことは、そのように非常に周期的なデータシーケンスのストーリングを許容する。
本発明の範囲から逸脱せずに、修正、付加又は省略が説明済みのシステム及び方法になされてもよい。説明されたシステム及び方法の要素は、具体的なニーズに応じて統合されてもよいし、分離されてもよい。更に説明されたシステム及び方法の処理は、より多数の、より少数の又は別の要素で実行されてもよい。
上記の多くの議論は、残留シンボル間干渉として知られている種類の信号歪に焦点を当てていた。電気通信で生じる別の種類の信号歪は、信号中の残留DCオフセットである。残留DCオフセットは、仮にキャンセルされなかったならば(補償されなかったならば)、受信機の入力感度を減らすかもしれない。従って残留DCオフセットを受信機でキャンセルすることが有益である。判定回路の前に限定増幅器(リミッタ)又はイコライザのようなアナログフロントエンドを受信機が有する場合に、残留DCオフセットをキャンセルすることは特に有用である。なぜなら、これらの成分はその信号にオフセットを加えるおそれがあるからである。
図1−3を再び参照するに、通信チャネル30を介して伝送される信号は、シンボル間干渉に加えてDCオフセット歪の影響を受け、DCオフセット歪は受信機のイコライザ42で更に強調されるおそれがある。受信機イコライザ42は、信号に生じるDCオフセットをキャンセルするために、DCオフセット補償(即ち、補正)を受信信号に適用する。受信機ロジック47は、残留DCオフセットに備えて、調整された出力信号を分析する。特に、サンプラ104はイコライザ出力信号46(調整された入力信号)及びクロック信号を受信してもよい。サンプラ104は、クロック信号で決定される特定の時点で出力信号をサンプリングし、データ値及び境界値を生成する。サンプラ104はこれらのデータ値及び境界値を適切な分析(後述)に備えてオフセットコントローラ106に転送する。この分析に基づいて、受信機ロジック47のオフセットコントローラ106及びイコライザ42は、到来する入力信号中のDCオフセット歪を補償する。
図23A,23B,23Cは、ある種の残留DCオフセットを示すイコライザ出力信号46との比較でクロック信号例を示す。特定の実施例では、サンプラ104はこれらの図に示されるようなイコライザ出力信号を受信し、2倍のオーバーサンプリングクロック及びデータリカバリ(CDR)法に従ってイコライザ出力信号46をサンプリングする。そのような方法では、サンプラ104は或るデータビット期間当たりイコライザ出力信号46を2回サンプリングし、データビット期間はクロック信号で決められてもよい。或るデータビット期間の間に、データ値に対応すべきイコライザ出力信号46の時点で一度及び境界値に対応すべきイコライザ出力信号46の時点で一度、サンプラ104は例えばイコライザ出力信号46をサンプリングしてもよい。そしてサンプラ104はこれらのデータ値及び境界値をオフセットコントローラ106に転送する。特定のデータ値及び境界値の分析に基づいて、以下で更に説明されるように、オフセットコントローラ106は、イコライザ42で受信した信号に適用されるDCオフセット補償を調整する。特定の実施例では、オフセットコントローラ106に転送されたのと同じデータ及び境界値の情報が上述したようにアダプティブコントローラ102にも転送され、適応利得制御に関連して使用されることに留意すべきである。
図23Aは、残留DCオフセットの全くないイコライザ出力信号46との比較でクロック信号例2600を示す。例2600は、図4Aに関連して上述した例200と同様であり、繰り返し詳細には説明されない。しかしながら、残留シンボル間干渉が全くない性質を示す信号では、例2600のように、遷移を含む2つの連続的なデータ値の間の各境界値(例えば、境界値E2,E3,E4)は、上述したように、高値又は低値(“X”で示される)をランダムに含むことに留意を要する。そのような信号の場合、オフセットコントローラ106は、入力信号に適用されるDCオフセット補償量をランダムに上昇又は下降させるよう調整してよい。DCオフセット歪は既に十分に補償されている又は存在しないからである。上昇させる調整数及び下降させる調整数が実質的に等しい場合、入力信号に適用されるDCオフセット補償は平均的に同じレベルにとどまる。上昇させる調整数及び下降させる調整数が実質的に等しくない場合、入力信号に適用されるDCオフセット補償は初期のレベルからわずかにドリフトするかもしれない。そのようなDCオフセット補償レベルのドリフトは、僅かなDCオフセット歪をもたらすかもしれない。以下に説明されるように、イコライザ受信機は、この歪を検出し、平均的な初期レベルに戻るようにそのDCオフセット補償を修正する。
図23Bは、正の残留DCオフセットを示すイコライザ出力信号46との比較でクロック信号例2650を示す。正の残留DCオフセットを示すイコライザ出力信号46は、(図示されているように)残留DCオフセットを全く示さない信号に比較して上方にドリフトしている。高いパルス(例えば、D3でのパルス)以前の境界値(例えば、E2)及び以後の境界値(例えば、E3)は、そのパルス(例えば、D3)でのデータ値と同程度になりがちである。低いパルス以前の及び以後の境界値は、そのパルスでのデータ値と異なる傾向がある。従って以下で更に説明されるように、特定のデータ値及び境界値を分析する際に、オフセットコントローラ106は入力信号に適用されるDCオフセット補償量を減らし、正の残留DCオフセットをキャンセルする。特定の実施例では及び以下で説明されるように、オフセットコントローラ106は、遷移(例えば、D2及びD3の間の遷移)が生じるまで、出力信号に示される正の残留DCオフセットをキャンセルできないかもしれないことに留意すべきである。
図23Cは、負の残留DCオフセットを示すイコライザ出力信号46との比較でクロック信号例2700を示す。負の残留DCオフセットを示すイコライザ出力信号46は、(図示されているように)残留DCオフセットを全く示さない信号に比較して下方にドリフトしている。高いパルス(例えば、D3でのパルス)以前の境界値(例えば、E2)及び以後の境界値(例えば、E3)は、そのパルスでのデータ値と異なる(逆になる)傾向にある。低いパルス以前の及び以後の境界値は、そのパルスでのデータ値と同じになる傾向がある。従って以下で更に説明されるように、特定のデータ値及び境界値を分析する際に、オフセットコントローラ106は入力信号に適用されるDCオフセット補償量を増やし、負の残留DCオフセットをキャンセルする。特定の実施例では及び以下で説明されるように、オフセットコントローラ106は、遷移(例えば、D2及びD3の間の遷移)が生じるまで、出力信号に示される負の残留DCオフセットをキャンセルできないかもしれないことに留意すべきである。
図24は、残留DCオフセットをキャンセルするために出力信号値を解釈する本発明の特定の実施例による方法例2800を示すフローチャートである。方法2800はステップ2810から始まり、出力信号46はクロック信号を用いてサンプリングされる。出力信号46はイコライザの出力でもよく、出力信号は図3に関連して説明されるようなクロック信号に従ってサンプリングされてもよい。特定の実施例では、オフセットコントローラ106は、サンプリングされたデータ値及び他の位相情報(例えば、出力信号の位相が進んでいるか又は遅れているかの情報)から境界値を導出してもよい。例えば、出力信号の位相が進んでいた場合、オフセットコントローラ106は、境界値の高い又は低い値が、境界値直前のデータ値の高い又は低い値と同じであることを確認してもよい。出力信号の位相が遅れていた場合、オフセットコントローラ106は、境界値の高い又は低い値が、境界値直後のデータ値の高い又は低い値と同じであることを確認してもよい。
ステップ2820では、出力信号がサンプリングされた後に、サンプリングされたデータ値が分析され、その値で遷移が生じたか否かを確認する。ステップ2830では、遷移が検出されなかった場合に、本方法はステップ2820に戻る。連続的なデータ値の間で遷移が検出された場合、本方法はステップ2840に進む。特定の実施例では、受信したデータ値を互いに直接的に比較することで遷移が検出されてよいことに留意すべきである。代替実施例では、受信データ値及び境界値を、遷移を含む(及び特定のオフセットキャンセル処理に対応する)予め決められた値のパターンと比較することで遷移が検出される。特定の実施例では、オフセットキャンセル処理は1つの遷移のみを検出した後に実行されてもよいことに更に留意すべきである。
遷移が検出された後に、ステップ2840では、遷移を含むデータ値の間の境界値の値(高値又は低値)が確認される。ステップ2850では、境界値が高値であった場合、本方法はステップ2860に進み、信号を下方に調整するように負のオフセットキャンセル処理が行われる(残留DCオフセットは正だからである。)。境界値が低値であった場合、本方法はステップ2870に進み、信号を上方に調整するように正のオフセットキャンセル処理が行われる(残留DCオフセットは負だからである。)。特定の実施例では、境界値が確認され、オフセットキャンセル処理は、境界値と所定のパターン(特定のオフセットキャンセル処理に対応する)とを比較することでなされてもよい。
特定の実施例では、ステップ2820−2870はオフセットコントローラ106で実行され、DCオフセットキャンセル処理は例えば可変利得増幅器116を用いて適用されてもよいことに留意すべきである。また、特定の実施例では、DCオフセット補償が1つより多くの信号パスに適応される場合(例えば、イコライザ42のパス101に適用される場合)、適用されるDCオフセット補償は、あるパスについては調整され別のパスについては固定されてもよい。代替実施例では、特殊な関数を用いて独立制御変数が複数のパスにマッピングされ、そのマッピングに従ってDCオフセット補償が複数のパスに適用されてもよい。或いは、図30−40に関連して以下で更に説明されるように、DCオフセット補償は各パスに独立に調整されてもよい。
図25は、図24の方法2800に関連するDCオフセット制御方法例2900を示すテーブルである。各行2902は、特定のオフセットキャンセル処理が実行される特定の値のパターンに対応する。列2910はサンプリングされる一連のデータ及び境界値の各々についての高値又は低値(“1”又は“0”)を含む。列“D1”は出力信号の第1のサンプルデータ値を含み、列“D2”は出力信号の第2のサンプルデータ値を含み、列“E1”は第1及び第2のデータ値の間の境界値を示す。これらの値は図23A−23Cに示されるものと同様である。各パターンの中で列“D1”及び“D2”のデータ値の間で遷移の生じていることが分かる。
各行2902のデータパターンはサンプラ104によりサンプリングされ、オフセットコントローラ106に送られることに留意すべきである。或いは、オフセットコントローラ106はサンプリングされたデータ値及び他の位相情報のみを受信し、特定の境界値(例えば、列E1の境界値を含む)はデータ値及び位相情報から導出されてもよい(特定の境界値はサンプラ104でサンプリングされなくてもよい。)。
列2912は各行2902について列“E1”での代替的な境界値を含む。列2914は、特定のパターンについて、特定の残留DCオフセットレベルを含む。列2916は、特定のパターンについて、特定の残留DCオフセットレベルを補償するよう設定するオフセットキャンセルに対する特定の処理を含む。オフセットキャンセル設定に対する処理は方法2800で説明されたのと同様に適用されてもよい。
特定の実施例では、オフセットコントローラ106はサンプルされた値のストリームを受信し、それらの値の内適切なもの(例えば、遷移を含む2つのデータ値の間の境界値)を選択してよいことに留意すべきである。オフセットコントローラ106は、境界値に基づいて適切なオフセットキャンセル処理を適用してもよい。或いは、オフセットコントローラ106はサンプルされた値と所定の値のパターン(特定のオフセットキャンセル処理に対応する)とを比較してもよい。サンプルされた値が対応する所定の値の特定のパターンに基づいて、オフセットコントローラ106は対応するオフセットキャンセル処理を適用してもよい。
本発明の範囲から逸脱せずに、修正、付加又は省略が説明済みのシステム及び方法になされてもよい。説明されたシステム及び方法の要素は、具体的なニーズに応じて統合されてもよいし、分離されてもよい。更に説明されたシステム及び方法の処理は、より多数の、より少数の又は別の要素で実行されてもよい。
残留DCオフセットを評価するために出力信号値を利用することから生じる1つの問題は、フォールスロッキング問題(false-locking problem)である。フォールスロッキング問題は、クロック信号及びオフセットキャンセラが不適切に相互作用し、フォールスロッキング状態を生み出す場合に生じる。フォールスロッキング状態は、例えば、初期残留オフセットが入力信号振幅と同程度に高かった場合に生じるかもしれない。フォールスロッキング状態では、境界値及びデータ値についてのサンプリング位相が入れ替わってしまう。オフセットは、実際の中心から大きくシフトし、実際のアイ開口より上の又は下の交点でサンプリングする境界にロックする。フォールスロッキング問題は、出力信号値を用いた残留DCオフセットの評価を歪ませる。
図26は、残留DCオフセットをキャンセルする際にフォールスロッキングを正す本発明の特定の実施例による方法例3000を示すフローチャートである。方法3000は、各境界値の値(高値又は低値)に基づいてDCオフセット補償量を調整することで、フォールスロッキング問題に対処する。従って方法2800とは異なり、DCオフセット補償は、同じ値を有するデータ値の間にある境界値(更に、遷移を含むデータ値の間にあるもの)に基づいて調整される。結果的に、方法3000では、DCオフセット補償を調整する前に遷移が必ずしも確認されなくてよい。この方法でDCオフセット補償を調整することで、方法3000はフォールスロッキング状態にある信号をフォールスロッキング状態外に促す。方法3000はステップ2820及び2830を除いて上述の図24の方法2800と同様であることに留意すべきである。
方法3000はステップ3010から始まり、出力信号はクロック信号を用いてサンプリングされる。出力信号はイコライザの出力でもよく、出力信号は図3に関連して説明されるようなクロック信号に従ってサンプリングされてもよい。特定の実施例では、出力信号はクロック信号で決められるリファレンスデータ点及び境界点でサンプリングされてもよい。或いは、出力信号は境界点でサンプリングされず、サンプリングされてない時点に対応する境界値は、導出されてもよい。この時点で信号はフォールスロッキング状態にあってもよいことに留意すべきである。
出力信号がサンプリングされた後に、ステップ3020では、境界値の値(高又は低)が判定される。ステップ3030では、境界値が高かった場合、本方法はステップ3040に進み、信号を下方に調整するために負のオフセットキャンセル処理が行われる。境界値が低かった場合、本方法はステップ3050に進み、信号を上方に調整するために正のオフセットキャンセル処理が行われる。特定の実施例では、境界値が確認され、オフセットキャンセル処理は、境界値及び所定のパターン(特定のオフセットキャンセル処理に対応する)を比較することで行われてもよい。
何らかの境界値に基づいて(即ち、遷移が確認されているか否かによらず)オフセットキャンセル処理を行うことで、フォールスロッキング状態の信号は、フォールスロッキング状態から抜け出るように促される。更に、使用されるいくつかの境界値は、遷移を含む連続的なデータ値の間で生じるので、オフセット調整は残留DCオフセットもキャンセルするかもしれない。
図27は、図26の方法3000に関連するオフセット制御方法例を示すテーブル3100である。各行3102は、特定のオフセットキャンセル処理が実行される特定の値のパターンに対応する。列3110はサンプリングされる一連のデータ及び境界値の各々についての高値又は低値(“1”又は“0”)を含む。列“D1”は出力信号の第1のサンプルデータ値を含み、列“D2”は出力信号の第2のサンプルデータ値を含み、列“E1”は第1及び第2のデータ値の間の境界値を示す。これらの値は図23A−23Cに示されるものと同様である。各パターンの中で列“D1”及び“D2”のデータ値の間で遷移の生じていることが分かる。
各行3102内の値のパターンは、サンプラ104によりサンプリングされ、オフセットコントローラ106に送られることに留意すべきである。或いは、オフセットコントローラ106はサンプリングされたデータ値及び他の位相情報のみを受信し、特定の境界値(例えば、列E1内の境界値を含む)はデータ値及び位相情報から導出されてもよい(特定の境界値はサンプラ104でサンプリングされなくてもよい。)。
列3112は各行3102内の列“E1”における代替的な境界値を含む。列3114は、特定のパターンについて、特定の残留DCオフセットレベルを含む。列3116は、特定のパターンについて、オフセットキャンセル設定に対する特定の処理を含む。オフセットキャンセル設定に対する処理は、方法3000で上述したように適用されてもよい。
列3112内の特定の境界値は括弧内に記載されていることに留意すべきである。括弧内の境界値は、境界値直近の2つのデータ値の内の高値又は低値と異なる高値又は低値を有するものである。そのような場合は、特定の実施例における特殊な場合である。にもかかわらず、オフセットキャンセル処理は、特定の実施例で境界値の高値又は低値に基づいてなされてよい。
方法3000はフォールスロッキング問題に対する有効な解決手段をもたらし、特に、ランダム信号に適用される場合や、リサンプリング(データレートより低いレートでのサンプリング)が使用される場合に有用になる。しかしながら、到来する信号が(準)周期的な信号であり、リサンプリングが使用される場合、方法3000は系統的な(systematic)残留オフセットが或る状況での信号に生じることを防げないかもしれない。例えば、リサンプリングのサイクルが周期的な信号のサイクルにロックする場合、そのようになるかもしれない。従ってフォールスロッキング問題を解決でき且つリサンプリングが使用される場合に(準)周期的信号の残留DCオフセットを適切に調整できるオフセットキャンセラは、特定の状況で有利になるかもしれない。
図28は、残留DCオフセットをキャンセルする際にフォールスロッキングを正す本発明の特定の実施例による別の方法例3200を示すフローチャートである。方法3200は、出力信号を用いて、データDCアンバランスを先ずモニタすることで、周期低信号のフォールスロッキング問題に対処する。アンバランス(不均衡)が検出された場合、DCオフセット補償量は、検出されたアンバランスに基づいて調整される。アンバランスが検出されなかった場合、DCオフセット補償は、遷移を含む連続的なデータ官の境界値だけの値(高又は低)に基づいて調整される(上述の方法2800と同様)。方法3200を用いて、データDCアンバランスは、許容可能な範囲内に収まるように、(準)周期的データ信号をサンプリングするためにリサンプリングが使用される場合でさえも制御される。
方法3200はステップ3210から始まり、出力信号がクロック信号を用いてサンプリングされる。出力信号はイコライザの出力でもよいし、出力信号は図3に関連して上述したようにクロック信号に従ってサンプリングされてもよい。特定の実施例では、出力信号は、クロック信号で決められたリファレンスデータ点及び境界点でサンプリングされてもよい。或いは、出力信号は境界点でサンプリングされず、サンプリングされてない時点に対応する境界値は導出されてもよい。特定の実施例では、オフセットコントローラ106はサンプリングされたデータ値及び他の位相情報(例えば、位相が進んでいるか又は遅れているかの情報)から境界値を導出してもよい。
ステップ3220では、出力信号がサンプリングされた場合に、低いデータ値(即ち、“0”)の数及び高いデータ値(即ち、“1”)の数がカウントされ、このカウント値は信号がサンプリングされるにつれて更新される。特定の実施例では、各勘定(カウント)でのデータ値の数(低及び高)が、観察された以前のデータ値の数のみを含むかもしれない。代替実施例では、各カウントのデータ値の数は、ある期間の間に観察された過去のデータ値のみを含んでもよい。適切な如何なるカウンタが、観察された高データ値の数及び低データ値の数を格納してもよく、このカウンタは到来するデータ値の高い又は低い値に基づいて更新されてもよい。
ステップ3230では、高データ値のカウントが、低データ値のカウントと比較され、ある種のデータ値が他よりも非常に多く頻繁に観察されているか否かの判定がなされる(信号がフォールスロッキング状態にあるか否かを確認する)。ある種のデータ値が他よりも非常に多く頻繁に観察された場合(単なる一例として、3倍多く頻繁に観察された場合)、方法3200はステップ3240に進む。どのタイプのデータ値も他のデータ値より非常に多く頻繁に観察されなかった場合、方法3200はステップ3270に進む。特定の実施例では、各タイプのデータ値の数又は各タイプのデータ値の数の比率の差分が、所定の数又は比率とそれぞれ比較されてもよい。
ステップ3240では、高データ値が低データ値より非常に多く頻繁に観察されているか否かの判定がなされる。高データ値が低データ値より非常に多く頻繁に観察されていた場合、方法3200はステップ3250に進み、負のオフセットキャンセル処理が信号を下方に調整する。低データ値が高データ値より非常に多く頻繁に観察されていた場合、方法3200はステップ3260に進み、正のオフセットキャンセル処理が信号を上方に調整する。この方法で適用されるDCオフセット補償を調整することで、フォールスロッキング状態にある信号は、フォールスロッキング状態から抜けるように促される。
方法3200は出力データ値を勘定及び比較することでデータDCアンバランスをモニタするが、代替実施例では、出力データ値及び/又は境界値は同様な方法で勘定及び比較され、データDCアンバランスをモニタすることに留意すべきである。データ値及び/又は境界値の勘定は、入力データ信号に適用されるオフセット補償を調整するのと同様な方法で分析されてもよい。
ステップ3230では、何れのタイプのデータ値も他のデータ値より非常に多く頻繁に観察されなかった場合に、本方法3200はステップ3270に進む。ステップ3270では、サンプリングされたデータ値は、遷移がその値で生じたか否かを確認するために分析される。ステップ3280では、遷移が検出されなかった場合に、本方法はステップ3210に戻り、出力信号がサンプリングされる。連続的なデータ値の間で遷移が検出された場合、本方法はステップ3290に進む。特定の実施例では、受信データ値を互いに直接的に比較することで、遷移が検出されてもよいことに留意すべきである。代替実施例では、受信データ値及び境界値を、遷移を含む所定の値のパターン(特定のオフセットキャンセル処理に対応する)と比較することで、遷移が検出される。特定の実施例では、オフセットキャンセル処理が1回だけの遷移を検出した後に行われてよいことに更に留意すべきである。
遷移が検出されると、ステップ3290で、遷移を含むデータ値の間の境界値の値(高又は低)が確認される。ステップ3300では、境界値が高かった場合に、本方法はステップ3250に進み、信号を下方に調整するように負のオフセットキャンセル処理が行われる(なぜなら、残留DCオフセットが正だからである。)。境界値が低かった場合に、本方法はステップ3260に進み、信号を上方に調整するように正のオフセットキャンセル処理が行われる(なぜなら、残留DCオフセットが負だからである。)。特定の実施例では、境界値が確認され、境界値と所定のパターン(特定のオフセットキャンセル処理に対応する)とを比較することでオフセットキャンセル処理が行われてもよい。そして、方法3200はステップ3210及び3220に戻り、出力信号をサンプリングし、勘定した低及び高データ値の数を更新する。
特定の実施例では、ステップ3220−3300はオフセットコントローラ106で実行されてもよいこと及びDCオフセットキャンセル処理は例えば可変利得増幅器116を用いてなされてもよいことに留意すべきである。また、特定の実施例では、DCオフセット補償が1つより多くの信号パス(例えば、イコライザ42のパス101)に適用される場合、適用されるDCオフセット補償は或るパスでは調整されるが別のパスでは固定されるようにしてもよい。代替実施例では、特別な関数を用いて或る独立制御変数が複数のパスにマッピングされ、そのマッピングに従ってDCオフセット補償がパスに適用されてもよい。或いは、図30−40に関して以下で更に説明されるように、DCオフセット補償が各パスに独立に適用されてもよい。
図示されているように方法3200は二分岐を有し、特定のデータ値が観察される相対的な頻度に基づいてDCオフセット補償が調整される。或るタイプのデータ値が別のタイプのデータ値よりも非常に多く観察されたならば、方法3200はそのアンバランスを補正し、そのアンバランスはおそらくはフォールスロッキングに起因して生じている。どのタイプのデータ値についても、他のタイプより非常に頻繁に観察されなかったならば、方法3200は、その信号がフォールスロッキング状態にないものと仮定し、遷移を含む連続的なデータ値の間の境界値のみを分析し、残留DCオフセットを補正する。この方法では、方法3200は何らかのデータDCアンバランスが或る許容範囲内で残ることを引き起こす。特定の実施例では、到来信号が(準)周期的アン信号であってリサンプリングが使用される場合でさえ、データDCアンバランスが或る許容範囲内に残るかもしれない。
図29は、図28の方法に関連するオフセット制御方法例を示すテーブル3400である。各行3402は特定のパターンの値に対応し、その特定のパターンについて特定のオフセットキャンセル処理が実行される。列3410は一連のサンプリングされたデータ及び境界値の各々について高値又は低値(“1”又は“0”)を含む。列“D1”は出力信号の第1のサンプリングされたデータ値を含み、列“D2”は出力信号の第2のサンプリングされたデータ値を含み、列“E1”は第1及び第2データ値の間の境界値を含む。これらの値は図23A−23Cに示されるものと同様である。図示されているように、各パターンの中で列“D1”及び“D2”内のデータ値の間で必ずしも遷移は生じていない。
各行3402内の値のパターンは、サンプラ104でサンプリングされ、オフセットコントローラ106に送信されてもよいことに留意すべきである。或いは、オフセットコントローラ106はサンプリングされたデータ値及び他の位相情報のみを受信し、特定の境界値(例えば、列E1中の境界値を含む)はそのデータ値及び位相情報から導出されてもよい(特定のデータ値はサンプラ104でサンプリングされなくてもよい。)。
列3412は行3402a,3402bについての列“E1”での代替的な遷移境界値を含む。行3402c,3402dについては列3412の中で“X”が含まれている。なぜなら、同じ値を有する連続的なデータ値について、オフセットキャンセル処理を行う際に、境界値は考えられないからである。その代わりに、高い又は低いデータ値の相対的な頻度が方法3200で上述したように考察される。列3414は特定のパターンについて特定の残留DCオフセットレベルを含む。列3416は特定のパターンについてオフセットキャンセル設定に対する特定の処理を含む。オフセットキャンセル設定に関する処理は、方法3200で上述したように適用されてもよい。
本発明の範囲から逸脱せずに、修正、付加又は省略が説明済みのシステム及び方法になされてもよい。説明されたシステム及び方法の要素は、具体的なニーズに応じて統合されてもよいし、分離されてもよい。更に説明されたシステム及び方法の処理は、より多数の、より少数の又は別の要素で実行されてもよい。
特定の実施例では、図3のイコライザ42のようなイコライザは、例えば未修正の(DC)、一次の及び二次の信号成分のような1つより多くの信号パスにDCオフセットキャンセル処理を適用してもよい。DCオフセットキャンセル処理を1つより多くの信号パスに適用してよいイコライザの例は、二次微分イコライザを含む。あるイコライザでは、DCオフセットキャンセル処理は、所定の方法で複数の信号パスに適用されてもよい。所定の方法でDCオフセットキャンセル処理を適用することは、あるパスではDCオフセット補償を調整し、別のパスではDCオフセット補償を固定することを含む。或いは、所定の方法でDCオフセットキャンセル処理を適用することは、特別な関数を用いて複数のパスに独立制御変数をマッピングし、そのマッピングに従ってそのパスにおけるDCオフセット補償を調整することを含む。
所定の方法で複数の信号パスにDCオフセットキャンセル処理を適用することは、特定の状況では不利になるかもしれない。例えば、複数の信号パスが反対向きに残留DCオフセットを含んでいた場合(即ち、それらは仮にコンバイナ118で合成されたならば互いに相殺する場合)、イコライザは各信号パスの残留DCオフセットを補償せず、DCオフセットは1つ以上のパスで信号成分を飽和させてもよい。残留DCオフセットが1つ以上のパスの中で存続することを許可することは、イコライザのパフォーマンスを劣化させ、例えばイコライザ回路の線形動作範囲を限定してしまうかもしれない。
図30は、負の残留DCオフセットを示すDCパス出力3510、正の残留DCオフセットを示す一次微分パス出力3520及び一次微分イコライザ例のほとんどゼロの残留DCオフセットを示すイコライザ出力信号3530をクロック信号と比較した図3500を示す。DCパス出力3510及び一次微分パス出力3520はクロック信号との比較で示されているが、受信機は、出力3510又は3520を個々にモニタしなくてもよいし、或いはクロック信号を用いて出力3510及び3520をサンプリングしてもよいことに留意すべきである。図示の例では、イコライザ出力3530は、DCパス出力3510及び一次微分パス出力3520の和である。図示されているように、イコライザ出力3530は全面的にほとんどゼロのDCオフセットを示すが、DCパス出力3510は飽和して負のオフセットを示し、一次微分パス出力3520は正のオフセットを示している。従って所定の方法でパスにDCオフセットキャンセル処理を適用するイコライザは、個々のパスで残留DCオフセットを補償しなくてよいかもしれないが、残留DCオフセットはイコライザのパフォーマンスを劣化させるかもしれない。従って、信号成分のパス各々で残留DCオフセットをキャンセルできるイコライザは、特定の状況では有利になる。
イコライザ出力3530は境界E3及び境界E4で全体的にほとんど相殺されたオフセットを示すが、境界E2では僅かに正のオフセットを示していること、及びそのオフセットは一次微分パス出力3520のオフセットと同じ極性であることに留意すべきである。これはDCパス出力3510の飽和によって引き起こされているかもしれない。換言すれば、DCパス出力3510及び一次微分パス出力3520は、逆の極性で同じ大きさの残留DCオフセットを有する場合、E3及びE4のような複数の連続した遷移後の境界では、残留DCオフセットはイコライザ出力3530で互いに完全に相殺される。なぜなら、DCパス出力3510は複数の連続的な遷移の後では飽和していないからである。一方、DCパス出力3510及び一次微分パス出力3520が逆極性の同じ大きさの残留DCオフセットを含んでいた場合でさえも、E2のような同じ値のいくつかのデータビット後の境界では、残留DCオフセットはイコライザ出力3530で互いに完全には相殺されず、イコライザ出力3530は一次微分パス出力3520と同じ極性のオフセットを持つようになる。なぜなら、DCパス出力3530はDCパス出力3510の飽和効果に起因して一次微分パス出力3520よりも僅かに小さな大きさのオフセットを持ち、そのオフセットは同じ値の連続的なデータビットの後に生じる。このように一次微分パス出力3520のような個別的なパスの残留DCオフセットは、境界に先行するデータパターンに従って境界値を選択することでイコライザ出力3530全体から検出されてもよい。
図31は、一次微分アナログイコライザで残留DCオフセットをキャンセルする本発明の特定の実施例による方法例3600を示すフローチャートである。方法3600は、一次微分イコライザの未修正DCパスの及び一次微分パスの残留DCオフセットを、特定の状況でパスの一方又は双方にオフセットキャンセル処理を適用することでキャンセルする。
高い又は低い同じ値を有する連続的なデータ値が遷移前に観察された場合、オフセットキャンセル処理は一次微分パスにのみ適用されてもよい。同じ値を有する連続的なデータ値は、そのDCパスが飽和していることを示唆しているかもしれない(但し、信号の全体的なオフセットは実質的にキャンセルされていることを仮定している。)。このように、遷移を含むデータ値の間の境界値(高い又は低い値)は、一次微分パスの残留DCオフセットに対応しやすい。高い又は低い異なる値を有する連続的なデータ値が遷移前に観察された場合、オフセットキャンセル処理は一次微分パス及び未修正DCパスの双方に適用されてもよい。そのような方法でオフセットキャンセル処理を適用することで、未修正DCパス及び一次微分パスが逆向きの残留オフセットを示している場合でさえ、方法3600は各信号パスで残留オフセットを補正する。
方法3600はステップ3610から始まり、出力信号46はクロック信号を用いてサンプリングされる。出力信号はイコライザの出力でもよく、出力信号は図3に関連して説明されるようなクロック信号に従ってサンプリングされてもよい。特定の実施例では、出力信号は、クロック信号で決定されるリファレンスデータ点及び境界点でサンプリングされてもよい。或いは、出力信号は境界点でサンプリングされず、サンプルされない時点に関連する境界値は導出されてもよい。特定の実施例ではオフセットコントローラ106は、サンプリングされたデータ値及び他の位相情報(例えば、出力信号の位相が進んでいるか又は遅れているかの情報)から境界値を導出してもよい。
ステップ3620では、出力信号がサンプリングされた後に、サンプリングされたデータ値が分析され、そのデータ値の中で遷移が生じたか否かを確認する。ステップ3630では、遷移が検出されなかった場合に、本方法はステップ3620に戻る。連続的なデータ値の間で遷移が検出された場合、本方法はステップ3640に進む。特定の実施例では、受信したデータ値を互いに直接的に比較することで遷移が検出されてよいことに留意すべきである。代替実施例では、受信データ値及び境界値を、遷移を含む(及び特定のオフセットキャンセル処理に対応する)予め決められた値のパターンと比較することで遷移が検出される。特定の実施例では、オフセットキャンセル処理は1つの遷移を検出した後に実行されてもよいことに更に留意すべきである。
遷移が検出された後に、ステップ3640では、遷移を含む連続的なデータ値の間の境界値が確認される。ステップ3650にて境界値が高値であった場合、本方法はステップ3660に進む。境界値が低値であった場合、本方法はステップ3690に進む。
ステップ3660では、境界値以前のデータ値0.5及び1.5ビットが同じであるか否かの判定がなされる。同じであれば、DCパスは飽和しているかもしれないし、境界値の値は一次微分パスの残留DCオフセットを反映しているかもしれない。境界値以前のデータ値0.5及び1.5ビットが同じであった場合、方法3600はステップ3670に進み、負のオフセットキャンセル処理が一次微分パスに適用され、信号を下方に調整する(なぜなら、残留する一次微分パスオフセットは正だからである。)。境界値以前のデータ値0.5及び1.5ビットが違っていた場合、方法3600はステップ3680に進み、負のオフセットキャンセル処理が未修正DCパス及び一次微分パスに適用され、信号を下方に調整する(なぜなら、残留イコライザフセットは正だからである。)。特定の実施例では、境界値が確認され、データ値の比較がなされ、オフセットキャンセル処理は、境界値及びデータ値と所定のパターン(特定のオフセットキャンセル処理に対応する)とを比較することでなされてよいことに留意すべきである。
ステップ3650で境界値が低かった場合、方法3600はステップ3690に進む。ステップ3690では、境界値以前のデータ値0.5及び1.5ビットが同じであるか否かの判定がなされる。同じであれば、DCパスは飽和しているかもしれないし、境界値の値は一次微分パスの残留DCオフセットを反映しているかもしれない。境界値以前のデータ値0.5及び1.5ビットが同じであった場合、方法3600はステップ3700に進み、正のオフセットキャンセル処理が一次微分パスに適用され、信号を上方に調整する(なぜなら、残留する一次微分パスオフセットは負だからである。)。境界値以前のデータ値0.5及び1.5ビットが違っていた場合、方法3600はステップ3710に進み、正のオフセットキャンセル処理が未修正DCパス及び一次微分パスに適用され、信号を得上方に調整する(なぜなら、残留イコライザフセットは負だからである。)。特定の実施例では、境界値が確認され、データ値の比較がなされ、オフセットキャンセル処理は、境界値及びデータ値と所定のパターン(特定のオフセットキャンセル処理に対応する)とを比較することでなされてよいことに留意すべきである。
特定の実施例では、ステップ3620−3710はオフセットコントローラ106で実行され、DCオフセットキャンセル処理は例えば可変利得増幅器116を用いて適用されてもよいことに留意すべきである。境界値以前のデータ値0.5ビット及び1.5ビットの間の関係は、オフセット補償をどの一群のパスに適用するかを決めるのに使用されるが、適切な如何なるデータ値間の又はデータ値内の関係が使用されてもよいことに更に留意すべきである(例えば、境界値以前のデータ値2.5ビットを考慮してもよい。)。方法3600は適切な如何なる信号パス数のイコライザにも適用されるよう一般化されてよいことにも留意すべきである。
図32は、図31の方法に関連するオフセット制御方法例を示すテーブル3800である。各行3802は特定のパターンの値に対応し、その特定のパターンについて特定のオフセットキャンセル処理が実行される(一次微分パスについて、又は一次微分パス及び未修正DCパス双方について実行される。)。列3810は一連のサンプリングされたデータ及び境界値の各々について高値又は低値(“1”又は“0”)を含む。列“D0”は出力信号のゼロ次のサンプリングされたデータ値を含み、列“D1”は出力信号の第1のサンプリングされたデータ値を含み、列“D2”は出力信号の第2のサンプリングされたデータ値を含み、列“E1”は第1及び第2データ値の間の境界値を含む。これらの値は図23A−23Cに示されるものと同様である。図示されているように、各パターンの中で列“D1”及び“D2”のデータ値の間で遷移が生じている。
各行3802内の値のパターンは、サンプラ104でサンプリングされ、オフセットコントローラ106に送信されてもよいことに留意すべきである。或いは、オフセットコントローラ106はサンプリングされたデータ値及び他の位相情報のみを受信し、特定の境界値(例えば、列E1中の境界値を含む)はそのデータ値及び位相情報から導出されてもよい(特定のデータ値はサンプラ104でサンプリングされなくてもよい。)。
列3812は行3802について列“E1”での代替的な遷移境界値を含む。列3814は、特定のパターンについて、入力信号の未修正DCパスに関連するDCオフセットキャンセル処理及び特定の残留DCオフセットレベルを含む。DCオフセットキャンセル処理は、方法3600で上述したように適用されてもよい。列3816は、特定のパターンについて、入力信号の一次微分パスに関連するDCオフセットキャンセル処理及び特定の残留DCオフセットレベルを含む。DCオフセットキャンセル処理は、方法3600で上述したように適用されてもよい。
図33は、一次微分アナログイコライザで残留DCオフセットをキャンセルする本発明の特定の実施例による別の方法例3900を示すフローチャートである。図31の方法3600と同様に、方法3900は、一次微分イコライザの未修正DCパスの及び一次微分パスの残留DCオフセットを、特定の状況でパスの一方にオフセットキャンセル処理を適用することでキャンセルする。
方法3900では、高い又は低い同じ値を有する連続的なデータ値が遷移前に観察された場合、オフセットキャンセル処理は一次微分パスにのみ適用されてもよい。同じ値を有する連続的なデータ値は、そのDCパスが飽和していることを示唆しているかもしれない(但し、信号の全体的なオフセットは実質的にキャンセルされていることを仮定している。)。このように、遷移を含むデータ値の間の境界値(高い又は低い値)は、一次微分パスの残留DCオフセットに対応しやすい。高い又は低い異なる値を有する連続的なデータ値が遷移前に観察された場合、オフセットキャンセル処理は未修正DCパスにのみ適用されてもよい。そのような方法でオフセットキャンセル処理を適用することで、未修正DCパス及び一次微分パスが逆向きの残留オフセットを示している場合でさえ、方法3900は各信号パスで残留オフセットを補正する。
方法3900はステップ3910から始まり、出力信号はクロック信号を用いてサンプリングされる。ステップ3910−3960及び3990はそれぞれステップ3610−3660及び3690と同様であるので、ステップ3910−3960及び3990は詳細には説明されない。
境界値以前のデータ値0.5及び1.5ビットが同じであるか否かの判定がステップ3960でなされた後、その値が同じであったならば方法3900はステップ3970に進み、値が異なっていたならばステップ3980に進む。ステップ3970では、負のオフセットキャンセル処理が一次微分パスに適用され、信号を下方に調整する(なぜなら、残留する一次微分パスオフセットは正だからである。)。ステップ3980では、境界値以前のデータ値0.5及び1.5ビットが異なっていた場合に、負のオフセットキャンセル処理が未修正DCパスに適用され、信号を下方に調整する(なぜなら、残留イコライザフセットは正だからである。)。特定の実施例では、境界値が確認され、データ値の比較がなされ、オフセットキャンセル処理は、境界値及びデータ値と所定のパターン(特定のオフセットキャンセル処理に対応する)とを比較することでなされてよいことに留意すべきである。
境界値以前のデータ値0.5及び1.5ビットが同じであるか否かの判定がステップ3990でなされた後、その値が同じであったならば方法3900はステップ4000に進み、値が異なっていたならばステップ4010に進む。ステップ4000では、正のオフセットキャンセル処理が一次微分パスに適用され、信号を上方に調整する(なぜなら、残留する一次微分パスオフセットは負だからである。)。ステップ4010では、境界値以前のデータ値0.5及び1.5ビットが異なっていた場合に、正のオフセットキャンセル処理が未修正DCパスに適用され、信号を上方に調整する(なぜなら、残留イコライザフセットは負だからである。)。特定の実施例では、境界値が確認され、データ値の比較がなされ、オフセットキャンセル処理は、境界値及びデータ値と所定のパターン(特定のオフセットキャンセル処理に対応する)とを比較することでなされてよいことに留意すべきである。
特定の実施例では、ステップ3920−4010はオフセットコントローラ106で実行され、DCオフセットキャンセル処理は例えば可変利得増幅器116を用いて適用されてもよいことに留意すべきである。境界値以前のデータ値0.5ビット及び1.5ビットの間の関係は、オフセット補償をどの一群のパスに適用するかを決めるのに使用されるが、適切な如何なるデータ値間の又はデータ値内の関係が使用されてもよいことに更に留意すべきである(例えば、境界値以前のデータ値2.5ビットを考慮してもよい。)。方法3900は適切な如何なる信号パス数のイコライザにも適用されるよう一般化されてよいことにも留意すべきである。
図34は、図33の方法3900に関連するオフセット制御方法例を示すテーブル4100である。各行4102は特定のパターンの値に対応し、その特定のパターンについて特定のオフセットキャンセル処理が実行される(一次微分パスについて又は未修正DCパス双方について実行される。)。列4110は一連のサンプリングされたデータ及び境界値の各々について高値又は低値(“1”又は“0”)を含む。列“D0”は出力信号のゼロ次のサンプリングされたデータ値を含み、列“D1”は出力信号の第1のサンプリングされたデータ値を含み、列“D2”は出力信号の第2のサンプリングされたデータ値を含み、列“E1”は第1及び第2データ値の間の境界値を含む。これらの値は図23A−23Cに示されるものと同様である。図示されているように、各パターンの中で列“D1”及び“D2”のデータ値の間で遷移が生じている。
各行4102内の値のパターンは、サンプラ104でサンプリングされ、オフセットコントローラ106に送信されてもよいことに留意すべきである。或いは、オフセットコントローラ106はサンプリングされたデータ値及び他の位相情報のみを受信し、特定の境界値(例えば、列E1中の境界値を含む)はそのデータ値及び位相情報から導出されてもよい(特定のデータ値はサンプラ104でサンプリングされなくてもよい。)。
列4112は行4102各々について列“E1”での代替的な遷移境界値を含む。列4114は、特定のパターンについて、入力信号の未修正DCパスに関連するDCオフセットキャンセル処理及び特定の残留DCオフセットレベルを含む。DCオフセットキャンセル処理は、方法3900で上述したように適用されてもよい。列4116は、特定のパターンについて、入力信号の一次微分パスに関連するDCオフセットキャンセル処理及び特定の残留DCオフセットレベルを含む。DCオフセットキャンセル処理は、方法3900で上述したように適用されてもよい。
図35は、一次微分アナログイコライザで残留DCオフセットをキャンセルする本発明の特定の実施例による更に別の方法例4200を示すフローチャートである。図31の方法3600と同様に、方法4200は、ある状況の下で、一次微分イコライザの未修正DCパスの及び一次微分パスの残留DCオフセットの双方又は一方にオフセットキャンセル処理を適用し、パス中の残留オフセットをキャンセルする。方法4200はそれを実行するために、高い又は低い同じ値を有する連続的なデータ値が遷移前に観察された場合、未修正DCパス及び一次微分パス双方にオフセットキャンセル処理を適用する。高い又は低い異なる値を有する連続的なデータ値が遷移前に観察された場合、オフセットキャンセル処理は未修正DCパスにのみ適用されてもよい。そのような方法でオフセットキャンセル処理を適用することで、方法4200は各信号パスで残留オフセットを補正する。
方法4200はステップ4210から始まり、出力信号はクロック信号を用いてサンプリングされる。ステップ4210−4260及び4290はそれぞれステップ3610−3660及び3690と同様であるので、ステップ4210−4260及び4290は詳細には説明されない。境界値以前のデータ値0.5及び1.5ビットが同じであるか否かの判定がステップ4260でなされた後、その値が同じであったならば方法4200はステップ4270に進み、値が異なっていたならばステップ4280に進む。ステップ4270では、正のオフセットキャンセル処理が未修正DCパスを上方に調整するように未修正DCパスに適用され、負のオフセットキャンセル処理が一次微分パスを下方に調整するように一次微分パスに適用される(なぜなら、残留する一次微分パスオフセットは正だからである。)。全体的なオフセット補正を同じレベルに維持するために、未修正DCパスのオフセットは一次微分パスとは反対の方法で上方に調整される一方、一次微分パスのオフセットは下方に調整される。ステップ4280では、境界値以前のデータ値0.5及び1.5ビットが異なっていた場合に、負のオフセットキャンセル処理が未修正DCパスに適用され、信号を下方に調整する(なぜなら、残留イコライザフセットは正だからである。)。特定の実施例では、境界値が確認され、データ値の比較がなされ、オフセットキャンセル処理は、境界値及びデータ値と所定のパターン(特定のオフセットキャンセル処理に対応する)とを比較することでなされてよいことに留意すべきである。
境界値以前のデータ値0.5及び1.5ビットが同じであるか否かの判定がステップ4290でなされた後、その値が同じであったならば方法4200はステップ4300に進み、値が異なっていたならばステップ4310に進む。ステップ4300では、負のオフセットキャンセル処理が未修正DCパスを下方に調整するように未修正DCパスに適用され、正のオフセットキャンセル処理が一次微分パスを上方に調整するように一次微分パスに適用される(なぜなら、残留する一次微分パスオフセットは負だからである。)。全体的なオフセット補正を同じレベルに維持するために、未修正DCパスのオフセットは一次微分パスとは反対の方法で下方に調整される一方、一次微分パスのオフセットは上方に調整される。ステップ4310では、境界値以前のデータ値0.5及び1.5ビットが異なっていた場合に、正のオフセットキャンセル処理が未修正DCパスに適用され、信号を上方に調整する(なぜなら、残留イコライザフセットは負だからである。)。特定の実施例では、境界値が確認され、データ値の比較がなされ、オフセットキャンセル処理は、境界値及びデータ値と所定のパターン(特定のオフセットキャンセル処理に対応する)とを比較することでなされてよいことに留意すべきである。
特定の実施例では、ステップ4220−4310はオフセットコントローラ106で実行され、DCオフセットキャンセル処理は例えば可変利得増幅器116を用いて適用されてもよいことに留意すべきである。境界値以前のデータ値0.5ビット及び1.5ビットの間の関係は、オフセット補償をどの一群のパスに適用するかを決めるのに使用されるが、適切な如何なるデータ値間の又はデータ値内の関係が使用されてもよいことに更に留意すべきである(例えば、境界値以前のデータ値2.5ビットを考慮してもよい。)。方法4200は適切な如何なる信号パス数のイコライザにも適用されるよう一般化されてよいことにも留意すべきである。
図36は、図35の方法4200に関連するオフセット制御方法例4400を示すテーブルである。各行4402は特定のパターンの値に対応し、その特定のパターンについて特定のオフセットキャンセル処理が実行される(一次微分パス及びDCパスについて又はDCだけについて実行される。)。列4410は一連のサンプリングされたデータ及び境界値の各々について高値又は低値(“1”又は“0”)を含む。列“D0”は出力信号のゼロ次のサンプリングされたデータ値を含み、列“D1”は出力信号の第1のサンプリングされたデータ値を含み、列“D2”は出力信号の第2のサンプリングされたデータ値を含み、列“E1”は第1及び第2データ値の間の境界値を含む。これらの値は図23A−23Cに示されるものと同様である。図示されているように、各パターンの中で列“D1”及び“D2”のデータ値の間で遷移が生じている。
各行4402内の値のパターンは、サンプラ104でサンプリングされ、オフセットコントローラ106に送信されてもよいことに留意すべきである。或いは、オフセットコントローラ106はサンプリングされたデータ値及び他の位相情報のみを受信し、特定の境界値(例えば、列E1中の境界値を含む)はそのデータ値及び位相情報から導出されてもよい(特定のデータ値はサンプラ104でサンプリングされなくてもよい。)。
列4412は行4402各々について列“E1”での代替的な遷移境界値を含む。列4414は、特定のパターンについて、入力信号の未修正DCパスに関連するDCオフセットキャンセル処理及び特定の残留DCオフセットレベルを含む。DCオフセットキャンセル処理は、方法4200で上述したように適用されてもよい。列4416は、特定のパターンについて、入力信号の一次微分パスに関連するDCオフセットキャンセル処理及び特定の残留DCオフセットレベルを含む。DCオフセットキャンセル処理は、方法4200で上述したように適用されてもよい。
図37は、一次微分アナログイコライザで残留DCオフセットをキャンセルする本発明の特定の実施例による更に別の方法例4500を示すフローチャートである。図31の方法3600と同様に、方法4500は、ある状況の下で、一次微分イコライザの未修正DCパスの及び一次微分パスの残留DCオフセットの双方にバイアスされた方法でオフセットキャンセル処理を適用し、パス中の残留オフセットをキャンセルする。方法4500はそれを実行するために、高い又は低い同じ値を有する連続的なデータ値が遷移前に観察された場合、一次微分パスのバイアスと共に、DCパス及び一次微分パス双方にオフセットキャンセル処理を適用する。高い又は低い異なる値を有する連続的なデータ値が遷移前に観察された場合、DCパスのバイアスと共に、オフセットキャンセル処理はDCパス及び一次微分パス双方に適用されてもよい。そのようなバイアス法でオフセットキャンセル処理を適用することで、未修正DCパス及び一次微分パスが逆向きの残留オフセットを示す場合でさえ、方法4500は各信号パスで残留オフセットを補正する。
方法4500はステップ4510から始まり、出力信号はクロック信号を用いてサンプリングされる。ステップ4510−4560及び4590はそれぞれステップ3610−3660及び3690と同様であるので、ステップ4510−4560及び4590は詳細には説明されない。境界値以前のデータ値0.5及び1.5ビットが同じであるか否かの判定がステップ4260でなされた後、その値が同じであったならば方法4500はステップ4570に進み、値が異なっていたならばステップ4580に進む。ステップ4570では、負のオフセットキャンセル処理が未修正DCパスを下方に調整するように未修正DCパスに適用され、より多くの負のオフセットキャンセル処理が一次微分パスを下方に調整するように一次微分パスに適用される(なぜなら、残留する一次微分パスオフセットは正だからである。)。ステップ4580では、境界値以前のデータ値0.5及び1.5ビットが異なっていた場合に、負のオフセットキャンセル処理が一次微分パスを下方に調整するように一次微分パスに適用され、より大きな負のオフセットキャンセル処理が未修正DCパスを下方に調整するように未修正DCパスに適用される(なぜなら、残留イコライザフセットは正だからである。)。特定の実施例では、境界値が確認され、データ値の比較がなされ、オフセットキャンセル処理は、境界値及びデータ値と所定のパターン(特定のオフセットキャンセル処理に対応する)とを比較することでなされてよいことに留意すべきである。
境界値以前のデータ値0.5及び1.5ビットが同じであるか否かの判定がステップ4590でなされた後、その値が同じであったならば方法4500はステップ4600に進み、値が異なっていたならばステップ4610に進む。ステップ4600では、正のオフセットキャンセル処理が未修正DCパスを上方に調整するように未修正DCパスに適用され、より多くの負のオフセットキャンセル処理が一次微分パスを上方に調整するように一次微分パスに適用される(なぜなら、残留する一次微分パスオフセットは負だからである。)。ステップ4610では、境界値以前のデータ値0.5及び1.5ビットが異なっていた場合に、正のオフセットキャンセル処理が一次微分パスを上方に調整するように一次微分パスに適用され、より大きな正のオフセットキャンセル処理が未修正DCパスを上方に調整するように未修正DCパスに適用される(なぜなら、残留イコライザフセットは負だからである。)。特定の実施例では、境界値が確認され、データ値の比較がなされ、オフセットキャンセル処理は、境界値及びデータ値と所定のパターン(特定のオフセットキャンセル処理に対応する)とを比較することでなされてよいことに留意すべきである。
特定の実施例では、ステップ4520−4610はオフセットコントローラ106で実行され、DCオフセットキャンセル処理は例えば可変利得増幅器116を用いて適用されてもよいことに留意すべきである。境界値以前のデータ値0.5ビット及び1.5ビットの間の関係は、オフセット補償をどの一群のパスに適用するかを決めるのに使用されるが、適切な如何なるデータ値間の又はデータ値内の関係が使用されてもよいことに更に留意すべきである(例えば、境界値以前のデータ値2.5ビットを考慮してもよい。)。方法4500は適切な如何なる信号パス数のイコライザにも適用されるよう一般化されてよいことにも留意すべきである。
図38は、図37の方法4500に関連するオフセット制御方法例を示すテーブル4700である。各行4702は特定のパターンの値に対応し、その特定のパターンについて特定のオフセットキャンセル処理が実行される(一次微分パス及びDCパス双方について実行される。)。列4710は一連のサンプリングされたデータ及び境界値の各々について高値又は低値(“1”又は“0”)を含む。列“D0”は出力信号のゼロ次のサンプリングされたデータ値を含み、列“D1”は出力信号の第1のサンプリングされたデータ値を含み、列“D2”は出力信号の第2のサンプリングされたデータ値を含み、列“E1”は第1及び第2データ値の間の境界値を含む。これらの値は図23A−23Cに示されるものと同様である。図示されているように、各パターンの中で列“D1”及び“D2”のデータ値の間で遷移が生じている。
各行4702内の値のパターンは、サンプラ104でサンプリングされ、オフセットコントローラ106に送信されてもよいことに留意すべきである。或いは、オフセットコントローラ106はサンプリングされたデータ値及び他の位相情報のみを受信し、特定の境界値(例えば、列E1中の境界値を含む)はそのデータ値及び位相情報から導出されてもよい(特定のデータ値はサンプラ104でサンプリングされなくてもよい。)。
列4712は行4702各々について列“E1”での代替的な遷移境界値を含む。列4714は、特定のパターンについて、入力信号の未修正DCパスに関連するDCオフセットキャンセル処理及び特定の残留DCオフセットレベルを含む。DCオフセットキャンセル処理は、方法4500で上述したように適用されてもよい。列4716は、特定のパターンについて、入力信号の一次微分パスに関連するDCオフセットキャンセル処理及び特定の残留DCオフセットレベルを含む。DCオフセットキャンセル処理は、方法4500で上述したように適用されてもよい。
図39は、二次微分アナログイコライザで残留DCオフセットをキャンセルする本発明の特定の実施例による方法例4800を示すフローチャートである。方法4800は、ある状況の下で、二次微分アナログイコライザのDC、一次及び二次のパスにオフセットキャンセル処理を適用し、パス中の残留オフセットをキャンセルする。方法4800はそれを実行するために、高い又は低い同じ値を有する3つの連続的なデータ値が遷移前に観察された場合、二次微分パスだけにオフセットキャンセル処理を適用する。高い又は低い同じ値を有する2つの連続的なデータ値が遷移前に観察された場合、方法4800は一次及び二次微分パス双方にオフセットキャンセル処理を適用する。高い又は低い異なる値を有する2つの連続的なデータ値が遷移前に観察された場合、方法4800はオフセットキャンセル処理を3つすべてのパスに適用する。そのような方法でオフセットキャンセル処理を適用することで、3つのパスの残留オフセットが互いに相殺し合う場合でさえ、方法4800は各信号パスで残留オフセットを補正する。
方法4800はステップ4810から始まり、出力信号はクロック信号を用いてサンプリングされる。ステップ4810−4850はそれぞれステップ3610−3650と同様であるので、ステップ4810−4850は詳細には説明されない。境界値が高い(例えば、“1”に等しい)か否かの判定がステップ4850でなされた後、境界値が高かったならば方法4800はステップ4860に進み、境界値が低かったならば(例えば、“0”に等しい)ステップ4910に進む。
ステップ4860では、境界値以前のデータ値0.5,1.5及び2.5ビットが同じであるか否かの判定がなされる。それらの値が同じであったならば、方法4800はステップ4870に進み、負のオフセットキャンセル処理が二次微分パスを下方に調整するように適用される(なぜなら、残留する一次微分パスオフセットは正だからである。)。ステップ4860で、データ値が同じでないことが確認されると、本方法4800はステップ4880に進む。特定の実施例では、境界値が確認され、データ値の比較がなされ、オフセットキャンセル処理は、境界値及びデータ値と所定のパターン(特定のオフセットキャンセル処理に対応する)とを比較することでなされてよいことに留意すべきである。
ステップ4880では、境界値以前のデータ値0.5及び1.5ビットが同じであるか否かの判定がなされる。それらの値が同じであったならば、方法4800はステップ4890に進み、値が異なっていたならばステップ4900に進む。ステップ4890では、負のオフセットキャンセル処理が一次及び二次微分パス各々を下方に調整するように適用される(なぜなら、残留する一次微分パスオフセットは正だからである。)。ステップ4900で、境界値以前のデータ値0.5及び1.5ビットが同じでない場合、負のオフセットキャンセル処理が3つのパス各々に適用され、3つのパス各々を下方に調整する(なぜなら、残留イコライザオフセットは正だからである。)。特定の実施例では、境界値が確認され、データ値の比較がなされ、オフセットキャンセル処理は、境界値及びデータ値と所定のパターン(特定のオフセットキャンセル処理に対応する)とを比較することでなされてよいことに留意すべきである。
ステップ4850で境界値の低いことが確認されると、本方法4800はステップ4910に進む。ステップ4910では、境界値以前のデータ値0.5,1.5及び2.5ビットが同じであるか否かの判定がなされる。それらの値が同じであったならば、方法4800はステップ4920に進み、正のオフセットキャンセル処理が二次微分パスに適用され、信号を下方に調整する(なぜなら、残留する二次微分パスオフセットは負だからである。)。ステップ4910で、データ値が同じでないことが確認されると、本方法4800はステップ4930に進む。特定の実施例では、境界値が確認され、データ値の比較がなされ、オフセットキャンセル処理は、境界値及びデータ値と所定のパターン(特定のオフセットキャンセル処理に対応する)とを比較することでなされてよいことに留意すべきである。
ステップ4930では、境界値以前のデータ値0.5及び1.5ビットが同じであるか否かの判定がなされる。それらの値が同じであったならば、方法4800はステップ4940に進む。それらの値が異なっていたならば、本方法4800はステップ4950に進む。ステップ4940では、正のオフセットキャンセル処理が一次及び二次微分パス各々を上方に調整するように一次及び二次微分パス各々に適用される(なぜなら、残留する一次及び/又は二次微分パスオフセットは正だからである。)。ステップ4950で、境界値以前のデータ値0.5及び1.5ビットが違う場合、正のオフセットキャンセル処理が3つのパス各々に適用され、3つのパス各々を上方に調整する(なぜなら、残留イコライザオフセットは負だからである。)。特定の実施例では、境界値が確認され、データ値の比較がなされ、オフセットキャンセル処理は、境界値及びデータ値と所定のパターン(特定のオフセットキャンセル処理に対応する)とを比較することでなされてよいことに留意すべきである。
特定の実施例では、ステップ4820−4950はオフセットコントローラ106で実行され、DCオフセットキャンセル処理は例えば可変利得増幅器116を用いて適用されてもよいことに留意すべきである。境界値以前のデータ値0.5,1.5及び2.5ビットの間の関係は、オフセット補償をどの一群のパスに適用するかを決めるのに使用されるが、適切な如何なるデータ値間の又はデータ値内の関係が使用されてもよいことに更に留意すべきである(例えば、境界値以前のデータ値3.5ビットを考慮してもよい。)。方法4800は適切な如何なる信号パス数のイコライザにも適用されるよう一般化されてよいことにも留意すべきである。
図40は、図39の方法4800に関連するオフセット制御方法例を示すテーブル5000である。各行5002は特定のパターンの値に対応し、その特定のパターンについて特定のオフセットキャンセル処理が実行される(DCパス、一次微分パス及びDCパスの1つ以上の群について実行される。)。列5010は一連のサンプリングされたデータ及び境界値の各々について高値又は低値(“1”又は“0”)を含む。“X”はその値が“0”かもしれないし又は“1”かもしれないことを示す。列“D0”は出力信号のゼロ次のサンプリングされたデータ値を含み、列“D1”は出力信号の第1のサンプリングされたデータ値を含み、列“D2”は出力信号の第2のサンプリングされたデータ値を含み、列“D3”は出力信号の第3のサンプリングされたデータ値を含み、列“E2”は第2及び第3データ値の間の境界値を含む。これらの値は図23A−23Cに示されるものと同様である。図示されているように、各パターンの中で列“D2”及び“D3”のデータ値の間で遷移が生じている。
各行5002内の値のパターンは、サンプラ104でサンプリングされ、オフセットコントローラ106に送信されてもよいことに留意すべきである。或いは、オフセットコントローラ106はサンプリングされたデータ値及び他の位相情報のみを受信し、特定の境界値(例えば、列E2中の境界値を含む)はそのデータ値及び位相情報から導出されてもよい(特定のデータ値はサンプラ104でサンプリングされなくてもよい。)。
列5012は行5002各々について列“E2”での代替的な遷移境界値を含む。列5014は、特定のパターンについて、入力信号の未修正DCパスに関連するDCオフセットキャンセル処理及び特定の残留DCオフセットレベルを含む。DCオフセットキャンセル処理は、方法4800で上述したように適用されてもよい。列5016は、特定のパターンについて、入力信号の一次微分パスに関連するDCオフセットキャンセル処理及び特定の残留DCオフセットレベルを含む。DCオフセットキャンセル処理は、方法4800で上述したように適用されてもよい。列5018は、特定のパターンについて、入力信号の二次微分パスに関連するDCオフセットキャンセル処理及び特定の残留DCオフセットレベルを含む。DCオフセットキャンセル処理は、方法4800で上述したように適用されてもよい。
図30−40に示される実施例は特定の実施例では共に併合されてもよいことに留意すべきである。例えば特定の実施例では方法4200のステップ4280及び4310が、方法3600のステップ3680及び3710でそれぞれ置換されてもよい。他の実施例では、一次微分パスと同じオフセット補償を二次微分パスに適用することで、方法3600,3900,4200又は4500が二次微分アナログイコライザに適用されてもよい。なぜなら、方法4800を用いて一次及び二次微分パス間のパス各自の残留オフセットを効率的に見分けることは困難であり、一次及び二次微分パスに対する個々のオフセットを制御することは困難になるからである。そのような例では、一次及び二次微分パスの残留オフセットは、それらが逆の極性にある場合でも、完全にはキャンセルされないかもしれない。しかしながら、特定の実施例では、それらを共に結び付けることは、それらをランダムに変化させることよりは有利になるかもしれないし、方法4800を用いて一次及び二次微分パス間の残留オフセット各自の非効率的な検出に起因して制御不能にするよりは有利になるかもしれない。
本発明の範囲から逸脱せずに、修正、付加又は省略が説明済みのシステム及び方法になされてもよい。説明されたシステム及び方法の要素は、具体的なニーズに応じて統合されてもよいし、分離されてもよい。更に説明されたシステム及び方法の処理は、より多数の、より少数の又は別の要素で実行されてもよい。
図11に関して言及されたように、デューティサイクル歪は、周期的な又は準周期的なデータシーケンスの適応利得制御に影響するおそれがある。デューティサイクル歪は、周期的な又は準周期的なデータシーケンスのオフセットキャンセル制御にも影響するおそれがある。データの周期が偶数のデータ値であった場合、そのデータシーケンスで遷移を支配する「偶数の」又は「奇数の」境界値は、デューティサイクル歪によって「進んだ」又は「遅れた」位相に強くバイアスされるかもしれない。このバイアスに起因して、イコライザ補償もバイアスされ、例えば、信号中のオフセット又はゲインを増やすように又は減らすようにバイアスされ、適応利得制御及びオフセット制御を許容可能な動作状態から逸脱させるおそれがある。
図12−22に関して言及されたように、特定のパターンがフィルタパターンとして選択され、デューティサイクル歪の負の影響を減らし、(準)周期的な信号の中で首尾一貫した結果をもたらす。特定の実施例では、これらのフィルタパターンは特定の(準)周期的な信号に特有であってよい。上述したように、特定の(準)周期的な信号に特有のフィルタパターンを使用する1つの欠点は、それらの利用可能性を制限することである。例えば、これらのフィルタパターンは、他の(準)周期的な信号における偶数及び奇数のデータシーケンスの中で実質的に均等に分散していないかもしれないし、それらの他の(準)周期的な信号と共に使用された場合には許容できない動作状態を招くおそれがある。
特定の(準)周期的信号に特有のフィルタパターンを利用する別の潜在的な欠点は、リサンプリングが使用される場合に、それらのフィルタパターンが偶数及び奇数シーケンス間で実質的に均等に分散していないかもしれないことである。ここで、リサンプリングは「ベクトルリサンプリング(vector re-sampling)」に関連し、チャネルそのもののスピードより遅いレートで周期的に「ベクトルサンプリング」を開始するが、「リサンプリングされた」ベクトル各々は、そのフィルタパターンと同じ長さの間にチャネルそのもののスピードで連続的にサンプリングされた境界値及びデータのセグメントに関連する。「リサンプリング」周期がフィルタパターンの長さより短かったならば、「リサンプリングされた」ベクトルは互いに重複しているかもしれない。リサンプリングが、(準)周期的な信号と共に調和する周期でなされていた場合、(準)周期的信号全体で生じるものと異なる確率でパターンが生じるかもしれない。
これらの種類の歪に対処するいくつかの方法は図17−22に関連して上述されている。例えば、特定の(準)周期的信号に固有に選択されるのではなく、フィルタパターンは順番に、ランダムに又は同時に、有用なフィルタパターンの固定的な又は動的なリストから選択されてもよいし、バランス法で使用されてもよい。しかしながら、デューティサイクル歪及び/又はリサンプリング及び(準)周期的信号の負の影響を減らす他の方法も存在し、上記のフィルタパターン法と代替的に又はそれに関連して使用されてもよい。
図41は、デューティサイクル歪の影響を減らす本発明の特定の実施例による方法例5100を示すフローチャートである。偶数データシーケンス(偶数データから始まり、奇数データ、偶数データ、奇数データ等が続く)及び奇数データシーケンス(奇数データから始まり、偶数データ、奇数データ、偶数データ等が続く)の間でバランス法で適応利得制御処理及び/又はオフセットキャンセル処理を監視及び実行ことで、方法5100はデューティサイクル歪及び/又はリサンプリング及び(準)周期的信号の影響を減らす。方法5100は、図17−22に関して言及されたフィルタパターン法と関連して又は代替的に使用されてもよい。
方法5100はステップ5110から始まる。ステップ5110では、論理装置(例えば、受信機ロジック47)は、偶数データ及び奇数データの交番する到来信号を受信する。到来する信号は特定の実施例では(準)周期的信号でもよい。論理装置は、制御処理を行う状態に関し、偶数データで始まる偶数データシーケンスをモニタする(及び奇数データで始まる奇数データシーケンスはモニタしない)。特定の実施例では、論理装置は1つ以上のフィルタパターンを用いて偶数データで始まる偶数データシーケンスをモニタする。偶数データシーケンスは特定の実施例では方法5100で最初にモニタされるが、奇数データシーケンスが最初にモニタされてもよいことに留意すべきである。
ステップ5120では、制御処理を行う状態が検出されたか否かの判定がなされる。或いは、フィルタパターンに対応する特定のデータパターンが検出されたか否かの判定がなされてもよい。その状態が検出されなかったならば、本方法5100はステップ5110に戻り、論理装置は偶数データで始まる偶数データシーケンスをその状態についてモニタし続ける。その状態が検出されると、本方法5100はステップ5130に進む。ステップ5130では、第1制御処理が行われる。第1制御処理は適応利得制御処理及び/又はオフセットキャンセル処理でもよい。第1制御処理は、例えば図5−10,24−29及び31−40に関連して言及されたように、サンプリングされた境界値及び/又は1つ以上のデータ値に基づいてもよいし、或いは最小二乗平均(LMS)アルゴリズム、サインサイン最小二乗平均(SS-LMS)アルゴリズム及びゼロフォーシング(ZF)アルゴリズムを含む従来の適応制御アルゴリズムのような適切な他の技法を利用してもよい。
第1制御処理がなされた後に、本方法5100はステップ5140に進む。ステップ5140では、論理装置は、制御処理を行う状態に関し、奇数データで始まる奇数データシーケンスをモニタする(及び偶数データで始まる偶数データシーケンスはモニタしない)。特定の実施例では、論理装置は1つ以上のフィルタパターンを用いて奇数データで始まる奇数データシーケンスをモニタする。ステップ5150では、制御処理を行う状態が検出されたか否かの判定がなされる。或いは、フィルタパターンに対応する特定のデータパターンが検出されたか否かの判定がなされてもよい。その状態が検出されなかったならば、本方法5100はステップ5140に戻り、論理装置は奇数データで始まる奇数データシーケンスをその状態についてモニタし続ける。その状態が検出されると、本方法5100はステップ5160に進む。ステップ5160では、第2制御処理が行われる。第2制御処理は適応利得制御処理及び/又はオフセットキャンセル処理でもよい。第2制御処理は、例えば図5−10,24−29及び31−40に関連して言及されたように、サンプリングされた境界値及び/又は1つ以上のデータ値に基づいてもよいし、或いは最小二乗平均(LMS)アルゴリズム、サインサイン最小二乗平均(SS-LMS)アルゴリズム及びゼロフォーシング(ZF)アルゴリズムを含む従来の適応制御アルゴリズムのような適切な他の技法を利用してもよい。第2制御処理が実行された後に、本方法5100はステップ5110に戻る。偶数及び奇数データシーケンスを交互にモニタすることで、本方法5100はデューティサイクル歪に起因する「進んだ」又は「遅れた」位相バイアスを均衡させ、デューティサイクル歪及び/又はリサンプリング及び(準)周期的信号の負の影響を減らす。
特定の実施例では、本方法5100は、(準)周期的信号のサイクルに位相がロックしてしまうことを回避するためにランダム法(無作為抽出法)に関連して使用され、可能性のある他の歪を回避してもよい。ランダム法は、例えば、以下で説明される方法5300,5400や、上述したような方法2300のラムダムなフィルタパターン選択の例等を含む。上述したように、方法5100は、適応利得制御及び/又はオフセットキャンセル制御に関連して使用されてもよいし、上記のフィルタパターン法と代替的に又はそれに関連して使用されてもよい。
図42は、デューティサイクル歪の影響を減らす本発明の特定の実施例による別の方法例5200を示すフローチャートである。方法5200はステップ5210から始まる。ステップ5210では、論理装置(例えば、受信機ロジック47)は偶数及び奇数データを交互に含む到来信号を受信する。到来信号は特定の実施例では(準)周期的信号である。論理装置は偶数データシーケンス(偶数データから始まり、奇数データ、偶数データ、奇数データ等が続く)又は奇数データシーケンス(奇数データから始まり、偶数データ、奇数データ、偶数データ等が続く)を等しい確率でランダムに選択し、モニタする。特定の実施例では、論理装置は、例えば、1ビットのランダム数(例えば、“1”又は“0”)を生成し、そのランダム数の値に基づいて偶数データシーケンス又は奇数データシーケンスの何れかを選択する。
ステップ5220では、偶数又は奇数データシーケンスが選択されたか否かの判定がなされる。その判定は、例えば、生成されたランダム数の値に基づいてもよい。偶数データシーケンスの選択されたことが確認された場合、本方法5200はステップ5230に進む。奇数データシーケンスの選択されたことが確認された場合、本方法5200はステップ5260に進む。
偶数データシーケンスが選択された場合、ステップ5230で、論理装置は制御処理を行う状態について受信した偶数データで始まる偶数データシーケンスをモニタする(受信した奇数データで始まる奇数データはモニタしない。)。特定の実施例では、1つ以上のフィルタパターンを用いて偶数データで始まる偶数データシーケンスを論理装置がモニタする。
ステップ5240では、制御処理を行う状態が検出されたか否かの判定がなされる。或いは、フィルタパターンに対応する特定のデータパターンが検出されたか否かの判定がなされてもよい。その状態が検出されなかったならば、本方法5200はステップ5230に戻り、論理装置は偶数データで始まる偶数データシーケンスをその状態についてモニタし続ける。その状態が検出されると、本方法5200はステップ5250に進む。ステップ5250では、制御処理が行われる。制御処理は適応利得制御処理及び/又はオフセットキャンセル処理でもよい。制御処理は、例えば図5−10,24−29及び31−40に関連して言及されたように、サンプリングされた境界値及び/又は1つ以上のデータ値に基づいてもよいし、或いは最小二乗平均(LMS)アルゴリズム、サインサイン最小二乗平均(SS-LMS)アルゴリズム及びゼロフォーシング(ZF)アルゴリズムを含む従来の適応制御アルゴリズムのような適切な他の技法を利用してもよい。制御処理がなされた後に、本方法5200はステップ5210に戻る。
ステップ5220で奇数データシーケンスが選択された場合、本方法はステップ5260に進む。ステップ5260では、論理装置は制御処理を行う状態について奇数データで始まる奇数データシーケンスをモニタする(偶数データで始まる偶数データはモニタしない。)。特定の実施例では、1つ以上のフィルタパターンを用いて奇数データで始まる奇数データシーケンスを論理装置がモニタする。
ステップ5270では、制御処理を行う状態が検出されたか否かの判定がなされる。或いは、フィルタパターンに対応する特定のデータパターンが検出されたか否かの判定がなされてもよい。その状態が検出されなかったならば、本方法5200はステップ5260に戻り、論理装置は奇数データで始まる奇数データシーケンスをその状態についてモニタし続ける。その状態が検出されると、本方法5200はステップ5280に進む。ステップ5280では、制御処理が行われる。制御処理は適応利得制御処理及び/又はオフセットキャンセル処理でもよい。制御処理は、例えば図5−10,24−29及び31−40に関連して言及されたように、サンプリングされた境界値及び/又は1つ以上のデータ値に基づいてもよいし、或いは最小二乗平均(LMS)アルゴリズム、サインサイン最小二乗平均(SS-LMS)アルゴリズム及びゼロフォーシング(ZF)アルゴリズムを含む従来の適応制御アルゴリズムのような適切な他の技法を利用してもよい。制御処理がなされた後に、本方法5200はステップ5210に戻る。
偶数又は奇数データで始まる1つのデータシーケンスをランダム法で等しい確率で選択してモニタすることで、本方法5200はデューティサイクル歪に起因する「進んだ」又は「遅れた」位相バイアスの均衡を図り、デューティサイクル歪及び/又はリサンプリング及び(準)周期的信号の特に長期間にわたる負の影響を減らす。しかしながら、短期的には、デューティサイクル歪及び/又はリサンプリング及び(準)周期的信号の負の影響を減らすことに関し、方法5200は方法5100より劣るかもしれない(なぜなら、例えば、偶数又は奇数の同じデータシーケンスが、方法5200を用いてランダムに連続的に選択されるかもしれないからである。)。しかしながら、方法5200の方法5100を上回る利点は、方法5200のデータシーケンスのランダム選択は、(準)周期的信号のサイクルに対する位相ロッキングを回避し、可能性のある他の歪を減らすということである。方法5200は適応利得制御及び/又はオフセットキャンセル処理に関連して使用されてもよいことに留意すべきである。更に、方法5200は上述のフィルタパターン法と代替的に又はそれに関連して使用されてもよい。
図5−10,24−29及び31−40に関連して言及されたように、サンプリングされた境界値及び/又は1つ以上のデータ値に基づいて、適応利得制御及び/又はオフセットキャンセル処理を行うことに加えて、方法5100,5200は適切な他の如何なる制御システム(デューティサイクル歪及び/又はリサンプリング及び(準)周期的信号の負の影響を減らすためにサンプラ出力を利用するシステム)に適用されてもよいことに留意すべきである。例えば、特定の実施例では、これらの方法は、最小二乗平均(LMS)アルゴリズム、サインサイン最小二乗平均(SS-LMS)アルゴリズム及びゼロフォーシング(ZF)アルゴリズム等のような従来のアルゴリズムに基づいて、従来の適応等化制御に適用されてもよい。特定の実施例では、これらの方法は、サンプラ出力に基づいてサンプラ用に復元されたクロックを調整するクロック/データリカバリ(CDR)システムに適用されてもよい。
本発明の範囲から逸脱せずに、修正、付加又は省略が説明済みのシステム及び方法になされてもよい。説明されたシステム及び方法の要素は、具体的なニーズに応じて統合されてもよいし、分離されてもよい。更に説明されたシステム及び方法の処理は、より多数の、より少数の又は別の要素で実行されてもよい。
上述したように、リサンプリングは「ベクトルリサンプリング」に関連し、チャネルそのもののスピードより遅いレートで周期的に「ベクトルサンプリング」を開始するが、「リサンプリングされた」ベクトル各々は、そのフィルタパターンと同じ長さでチャネルそのもののスピードで連続的にサンプリングされた境界値及びデータのセグメントに関連する。リサンプリングの周期は、リサンプリングされる(準)周期的信号の周期にロックされるので、リサンプリングされるデータで観察されるデータパターンは全体的な(準)周期的信号のデータパターンとは異なるかもしれない。例えば、320ビット周期の周期的信号についてリサンプリングが1/32のレートで行われたとすると、その周期的信号は各周期で同じ10個の時点で反復的にリサンプリングされ、他の310個の時点では決してリサンプリングされない。(準)周期的信号の全ての時点の内の一部分だけでサンプリングすることは、イコライザで実行される制御処理を歪ませてしまうかもしれない。
(準)周期的信号の周期にロッキングするリサンプリング周期の問題に対処するソリューションは、リサンプリング周期の中で(準)周期的信号がリサンプリングされる時点を変えることである。例えば、リサンプリングが1/32のレートで実行される場合、リサンプリングサイクルは32ビットであり、リサンプリングサイクル各々の中で(準)周期的信号をリサンプリングするための32個の可能な時点がある。リサンプリングを行う時点は、32ビットのリサンプリングサイクル各々について変わるように選択されてもよい。
リサンプリングサイクルでのリサンプリングは、例えば、そのサイクル中の特定の時点の前、後又は近辺の複数のデータビットをサンプリングすることを含んでよいことに留意すべきである。例えば、1/32のリサンプリングレートが使用され、リサンプリングが6ビットをサンプリングすることを含む場合、32ビットサイクル各々の中の特定の時点の前に、後に又は近辺でその6ビットがサンプリングされてよい。リサンプリングサイクル各々でリサンプリングが起こる時点を変える方法例は、図43−45に関連して後述される。
(準)周期的信号の周期にリサンプリング周期がロックする問題に対処する別のソリューションは、(準)周期的信号がリサンプリングされる次の時点を、所定のリサンプリングサイクルに限定せずにランダムに選択することである。例えば、第1の時点がランダムに選択されてサンプリングされ、次の時点もランダムに選択されてサンプリングされる等々であり、各時点は1つのリサンプリングサイクル内に限定される必要はない。特定の実施例では、擬似乱数生成器が使用され、擬似乱数生成器は平均的なリサンプリングレートが生じるように適切な何らかの方法で重み付けされていてもよい。例えば、特定の実施例では、次にランダムに選択される時点が、以前の時点から或るビット数を超えないように、擬似乱数生成器は制限されてもよい。そのような例でのその制限は、平均的なリサンプリングレートを規定するよう機能する。代替実施例では、リサンプリングレートは或る最大リサンプリングレートより常に遅くなるように、次の時点が様々な制約の下で選択されてもよい。
(準)周期的信号の周期にリサンプリング周期がロックする問題に対処する更に別のソリューションは、リサンプリングサイクルのリサンプリング周期又はリサンプリング時点をランダムに選択するのではなく、サンプリング時点各々について生成された乱数に基づいて、或る固定された確率で又は可変な確率で制御処理を行うことである。特定の実施例では、擬似乱数生成器が使用され、生成された擬似乱数が或る範疇に収まる場合にのみサンプリングがなされる。制御処理を行う確率は固定されていてもよいし、可変でもよい。特定の実施例では、一旦サンプリングが行われると、可変確率は或る期間の間又は或る期間に至るまでゼロに設定され、最大リサンプリングレートを所定値より小さく制限してもよい。他の実施例では、サンプリングが行われなかった場合に、可変確率は時間経過と共に徐々に増加し、制御処理が行われるとゼロに又は或る一定の小さな値にリセットされ、平均サンプリングレート及び/又は最少サンプリングレートを或る値より大きく制限してもよい。
図43は、各リサンプリングサイクルでリサンプリングが起こる時点を変更する本発明の特定の実施例による方法例5300を示すフローチャートである。方法5300は、リサンプリングサイクル各々について、典型的には等確率でランダムに時点を選択することで、リサンプリング時点を変更する。方法5300はステップ5310から始まり、リサンプリング時点が或るリサンプリングサイクルの間にランダムに選択される。リサンプリング時点は例えば擬似乱数生成器を用いてランダムに選択されてもよい。リサンプリングが例えば1/32のレートで行われる場合、ランダムに選択されるリサンプリング時点は、そのリサンプリングサイクル中の32個の時点の内のどの1つでもよい。
ステップ5320では、選択されたリサンプリング時点で信号がサンプリングされる。上述したように、選択されたリサンプリング時点でサンプリングすることは、その選択された時点の前、後又は近辺で複数のデータビットを選択することを含む。例えば、特定の実施例では、6ビットがサンプリングされ、第1ビットは選択された時点に対応してもよい。選択されたリサンプリング時点でサンプリングすることは、ある制御処理を達成してもしなくてもよいことに留意すべきである。例えば、そのサンプリングにおいて遷移が生じる場合に制御処理がなされ、サンプリングで遷移が生じなかった場合に制御処理がなされなくてもよい。他の例として、フィルタパターンが使用される特定の実施例では、適切なフィルタパターンがサンプリングで観察されなかった場合に、制御処理はなされないかもしれない。サンプリングでフィルタパターンが観察された場合に、制御処理がなされてもよい。そのサイクルの中で選択されたリサンプリング時点で信号がサンプリングされた後に、本方法5300はステップ5310に戻り、次のサイクルについて新たなリサンプリング時点がランダムに選択される。このようにして、(準)周期的信号の周期に対するリサンプリング周期の如何なるロッキングも回避される。
図44は、各リサンプリングサイクルでリサンプリングが起こる時点を変更する本発明の特定の実施例による別の方法例5400を示すフローチャートである。方法5400は、リサンプリングサイクル各々について、典型的には等確率でランダムに時点を選択することで、リサンプリング時点を変更し、その後に制御処理が行われる。方法5400はステップ5410から始まり、リサンプリング時点が或るリサンプリングサイクルの間にランダムに選択される。リサンプリング時点は例えば擬似乱数生成器を用いてランダムに選択されてもよい。リサンプリングが例えば1/32のレートで行われる場合、ランダムに選択されるリサンプリング時点は、そのリサンプリングサイクル中の32個の時点の内のどの1つでもよい。
ステップ5420では、選択されたリサンプリング時点で信号がサンプリングされる。上述したように、選択されたリサンプリング時点でサンプリングすることは、その選択された時点の前、後又は近辺で複数のデータビットを選択することを含む。選択されたリサンプリング時点でサンプリングすることは、ある制御処理を達成してもしなくてもよい。例えば、そのサンプリングにおいて遷移が生じる場合に制御処理がなされ、サンプリングで遷移が生じなかった場合に制御処理がなされなくてもよい。他の例として、フィルタパターンが使用される特定の実施例では、適切なフィルタパターンがサンプリングで観察されなかった場合に、制御処理はなされないかもしれない。サンプリングでフィルタパターンが観察された場合に、制御処理がなされてもよい。
ステップ5430では、制御処理がなされたか否かの判定がなされる。なされていなければ、本方法5400はステップ5420に戻り、次のサイクルにおける選択されたリサンプリング時点で信号がサンプリングされる。(最初の又は以後のリサンプリングサイクルで)制御処理のなされたことがステップ5430で確認されると、本方法5400はステップ5410に戻り、新たなリサンプリング時点がランダムに選択される。このようにして、(準)周期的信号の周期に対するリサンプリング周期の如何なるロッキングも回避される。
特定の実施例では、ゲイン制御及びオフセットキャンセルについて制御処理が異なる時間になされてもよいことに留意すべきである。異なる時点で制御処理を行うことは、ゲイン制御及びオフセットキャンセルについて、リサンプリング時点を選択する異なるレート招くかもしれない。特定の実施例では、選択されるリサンプリング時点は、ゲイン又はオフセットが調整される場合にゲイン制御及びオフセットキャンセルの双方についてリセットされる。
図45は、各リサンプリングサイクルでリサンプリングが起こる時点を変更する本発明の特定の実施例による更に別の方法例5500を示すフローチャートである。方法5500は、リサンプリングサイクル各々について、リサンプリング時点のリストを順番に巡回することでリサンプリング時点を変更し、その後に制御処理が行われる。方法5500はステップ5510から始まり、リスト中の次のリサンプリング時点が或るリサンプリングサイクルの間に選択される。リサンプリング時点のリストは順番通りでなくてもよいことに留意を要する。リサンプリングが例えば1/32のレートで行われ、以前のリサンプリング時点がリサンプリングサイクル中の時点13であった場合、次のリサンプリング時点はステップ5510でそのリサンプリングサイクル中の時点14に選択される。
ステップ5520では、選択されたリサンプリング時点で信号がサンプリングされる。上述したように、選択されたリサンプリング時点でサンプリングすることは、その選択された時点の前、後又は近辺で複数のデータビットを選択することを含む。選択されたリサンプリング時点でサンプリングすることは、ある制御処理を達成してもしなくてもよい。例えば、そのサンプリングにおいて遷移が生じる場合に制御処理がなされ、サンプリングで遷移が生じなかった場合に制御処理がなされなくてもよい。他の例として、フィルタパターンが使用される特定の実施例では、適切なフィルタパターンがサンプリングで観察されなかった場合に、制御処理はなされないかもしれない。サンプリングでフィルタパターンが観察された場合に、制御処理がなされてもよい。
ステップ5530では、制御処理がなされたか否かの判定がなされる。なされていなければ、本方法5500はステップ5520に戻り、次のサイクルにおける選択されたリサンプリング時点で信号がサンプリングされる。(最初の又は以後のリサンプリングサイクルで)制御処理のなされたことがステップ5530で確認されると、本方法5500はステップ5510に戻り、次のリサンプリング時点がランダムに選択される。リサンプリング時点のリストを介して巡回することは、リサンプリング時点のリストを介して進行する全体的な周期と(準)周期的信号の周期との別のレベルのロッキングを導入するかもしれない。しかしながら、リストを介して進行する全体的な周期はリサンプリング周期より非常に長いので、本方法はリサンプリングと(準)周期的信号の周期とのロッキングするおそれを有効に減らす。
特定の実施例では、ゲイン制御及びオフセットキャンセルについて制御処理が異なる時間になされてもよいことに留意すべきである。異なる時点で制御処理を行うことは、ゲイン制御及びオフセットキャンセルについて、リサンプリング時点を選択する異なるレート招くかもしれない。特定の実施例では、選択されるリサンプリング時点は、ゲイン又はオフセットが調整される場合にゲイン制御及びオフセットキャンセルの双方についてリセットされる。
方法5100はリサンプリングが1/2のレートで実行される方法5500の特別な場合を含み、方法5200はリサンプリングが1/2のレートで実行される方法5400の特別な場合を含むことにも留意すべきである。
特定の実施例では、方法5300,5400,5500は様々な形態で共に組み合わされてもよいことに更に留意すべきである。例えば、リサンプリングが1/32のレートで実行される場合に、32個の可能なリサンプリング時点が、4つのリサンプリング時点を含む8つのグループに階層的に分割されてもよい。特定の実施例では、リサンプリング時点の8つの可能なグループ中の1つが、方法5300を用いて選択され、各グループの中で可能なリサンプリング時点4つの内の1つが方法5400を用いて選択されてもよい。
特定の実施例では、図5−10,24−29及び31−40に関連して言及されたように、サンプリングされた境界値及び/又は1つ以上のデータ値に基づいて、適応利得制御及び/又はオフセットキャンセル処理を行うことに加えて、リサンプリングと(準)周期的信号とのロッキングを回避又は軽減するため、方法5300,5400及び5500は適切な他の如何なる制御システム(サンプラ出力を利用するシステム)に適用されてもよいことに留意すべきである。例えば、特定の実施例では、これらの方法は、最小二乗平均(LMS)アルゴリズム、サインサイン最小二乗平均(SS-LMS)アルゴリズム及びゼロフォーシング(ZF)アルゴリズム等のような従来のアルゴリズムに基づいて、従来の適応等化制御に適用されてもよい。特定の実施例では、これらの方法は、サンプラ出力に基づいてサンプラ用に復元されたクロックを調整するクロック/データリカバリ(CDR)システムに適用されてもよい。
本発明の範囲から逸脱せずに、修正、付加又は省略が説明済みのシステム及び方法になされてもよい。説明されたシステム及び方法の要素は、具体的なニーズに応じて統合されてもよいし、分離されてもよい。更に説明されたシステム及び方法の処理は、より多数の、より少数の又は別の要素で実行されてもよい。
上述したようにイコライザは信号を等化するために2つ以上の制御ループを同時に使用してもよい。例えばイコライザはゲインと残留シンボル間干渉を調整するために1つの適応等化コントローラを利用してもよい。そのイコライザは1つのオフセットキャンセラを用いてオフセットの調整及び残留オフセットの相殺を同時に行ってもよい。
複数の制御ループを同時に利用することで生じる1つの問題は、複数の制御ループ間の潜在的なカップリングである。複数の制御ループ間のカップリングは、収束時間を遅らせたり、それらの制御ループを不安定にさえするかもしれない。例えば、ゲインは最適であるが残留オフセットは次善であった場合、境界値は高い又は低い値にバイアスされがちになる(例えば、残留オフセットが正ならば高い値に、残留オフセットが負ならば低い値になりがちである。)。イコライザゲインコントローラは、バイアスされた境界値及び/又は他の情報を、過剰に補償された又は補償不足の状態として誤解するかもしれない。イコライザゲイン制御で高値及び低値の勘定が均衡していなかった場合、過剰な又は足りない補償の誤認定は不均衡をもたらし、イコライザのゲインを最適なものから次善のものへシフトさせるかもしれない。同様に、ゲインが次善であった場合に、残留オフセットは最適値から次善値にシフトするかもしれない。
特定の実施例では、複数の制御ループを互いに鈍感にすることで、複数の制御ループは分離される。例えば、適応等化制御は残留オフセットに対して鈍感にさせられてもよいし、オフセットキャンセラが残留シンボル間干渉に対して鈍感にさせられてもよい。適応等化制御及びオフセットキャンセラを互いに鈍感にするため、特定の実施例では、相補的な2つのデータパターン群が、適応等化制御及びオフセットキャンセラにより均衡法で使用される。相補的なデータパターンは、例えば、パターン中の特定のビットで異なる値のデータ値(例えば、“0”又は“1”)を有するデータパターンで構成されてもよい。
例えば、遷移を含む連続的なデータ値の間の境界値と、境界値以前のデータ値1.5ビットとの比較に基づいて制御処理がなされる場合、適応等化コントローラ及びオフセットキャンセラは、境界値以前のデータ値1.5ビットが高い又は低いときに行う制御処理数を均衡させてもよい。特定の実施例では、適応等化コントローラ及びオフセットキャンセラはそれを行うために、フィルタパターン中に遷移を含むデータ値直前の高い又は低いデータ値を有するフィルタパターンを交互に利用する。この方法では、適応等化コントローラは残留オフセットに対して鈍感に(又は敏感でないように)させられ、オフセットキャンセラは残留シンボル間干渉に対して鈍感に(又は敏感でないように)させられ、それらの制御ループを分離する。制御ループを分離する特定の実施例は、図46及び47に関連して更に説明される。
図46は、複数の制御ループを分離する本発明の特定の実施例による方法例5600を示すフローチャートである。方法5600は、例えば、相補的な2つのデータ群をバランス法で使用することで、適応等化制御及びオフセットキャンセル制御を分離する。2つのデータパターン群の一方について到来信号を監視し、その一方の群に基づいて制御処理を行うこと、及び他方の群について到来信号を監視し、その他方の群に基づいて制御処理を行うことを交互に行うことで、方法5600は相補的な2つのデータパターン群をバランス法で使用する。例えば、遷移を含む連続的なデータ値の間の境界値と、境界値以前のデータ値1.5ビットとの比較に基づいて制御が行われ、第1群のデータパターンは境界値以前の高いデータ値1.5ビットを伴うものを含み(即ち、遷移を含むデータ値直前の高いデータ値を伴うものを含む)、第2群のデータパターンは境界値以前の低いデータ値1.5ビットを伴うものを含む(又はその逆でもよい)。
方法5600はステップ5610から始まり、例えば受信機ロジック47のような論理装置が第1群のデータパターンについて到来信号を監視する。例えば、論理装置は遷移を含む連続的なデータ値を求めて到来信号をモニタし、その連続的なデータ値直前のデータ値は低い値を有するものである。特定の実施例では、論理装置はそのような監視に備えてフィルタパターンを利用してもよい。適切なフィルタパターンは、例えば、図6,8,10,14,16,32,34,36,38及び40に関連して言及及び図示された特定のパターンを含んでもよい。ステップ5620では、第1群のデータパターンに該当するデータパターンが検出され、方法5600はステップ5630に進む。第1群のデータパターン中のデータパターンが検出されなかったならば、方法5600はステップ5610に戻り、論理装置は第1群のデータパターンを求めて到来信号を監視し続ける。
ステップ5630では、第1群のデータパターン中のデータパターンが検出された後に、適切な制御処理が行われる。特定の実施例では、例えば、遷移を含む連続的なデータ値の間の境界値と、境界値以前のデータ値1.5ビットとの比較に基づいて制御処理がなされてもよい。制御処理は適応等化処理でもよいし及び/又はオフセットキャンセル処理でもよい。制御処理は特定の実施例では従来の適応制御アルゴリズムに基づいていてもよい。制御処理が実行されると、方法5600はステップ5640に進む。
ステップ5640では、論理装置は第2群のデータパターンを求めて到来信号を監視する。例えば論理装置は遷移を含む連続的なデータ値を求めて到来信号を監視し、その連続的なデータ値直前のデータ値は高い値を有するものである。特定の実施例では、論理装置はそのような監視に備えてフィルタパターンを利用してもよい。適切なフィルタパターンは、例えば、図6,8,10,14,16,32,34,36,38及び40に関連して言及及び図示された特定のパターンを含んでもよい。ステップ5650では、第2群のデータパターンに該当するデータパターンが検出され、方法5600はステップ5660に進む。第2群のデータパターン中のデータパターンが検出されなかったならば、方法5600はステップ5640に戻り、論理装置は第2群のデータパターンを求めて到来信号を監視し続ける。
ステップ5660では、第2群のデータパターン中のデータパターンが検出された後に、適切な制御処理が行われる。特定の実施例では、例えば、遷移を含む連続的なデータ値の間の境界値と、境界値以前のデータ値1.5ビットとの比較に基づいて制御処理がなされてもよい。制御処理は適応等化処理でもよいし及び/又はオフセットキャンセル処理でもよい。制御処理は特定の実施例では従来の適応制御アルゴリズムに基づいていてもよい。制御処理が実行されると、方法5600はステップ5610に戻る。相補的な2つのデータパターン群をバランス法で使用することで、方法5600は適応等化制御とオフセットキャンセル制御を分離する。(準)周期的信号の周期と共にロックする2つのデータパターン群を用いて交番するサイクルを用意する代わりに、ランダム化されたバランサが同時に使用されてもよいことに留意すべきである(例えば、上記の方法5300,5400参照。)。
図47は、複数の制御ループを分離する本発明の特定の実施例による別の方法例5700を示すフローチャートである。例えば、相補的な2つのデータパターン群をバランス法で使用することで、方法5700は適応等化制御処理及びオフセットキャンセル処理を分離する。方法5700は、等しい確率で2つのデータ群の一方を選択し、選択された群について到来信号を監視し、選択された群に基づいて制御処理を実行し、等しい確率で再び2つのデータ群の一方を選択することで、相補的な2つのデータパターン群をバランス法で使用する。例えば、遷移を含む連続的なデータ値の間の境界値と、境界値以前のデータ値1.5ビットとの比較に基づいて制御が行われ、第1群のデータパターンは境界値以前の高いデータ値1.5ビットを伴うものを含み(即ち、遷移を含むデータ値直前の高いデータ値を伴うものを含む)、第2群のデータパターンは境界値以前の低いデータ値1.5ビットを伴うものを含む(又はその逆でもよい)。
方法5700はステップ5710から始まり、例えば受信機ロジック47のような論理装置は、一般的には等確率で相補的な2つのデータパターン群の一方を選択する。例えば擬似乱数生成器を利用し、生成される一方の数と一方の群とを関連付け、生成される他方数と他方の群を関連付けることで、論理装置は2つの群の一方をランダムに選択してもよい。相補的な2つのデータパターン群の一方を選択した後に、方法5700はステップ5720に進む。
ステップ5720にて、選択されたデータパターン群が第1群であった場合には(例えば、遷移を含むデータ値直前の低いデータ値をデータパターンが含む場合)、方法5700はステップ5730に進む。選択されたデータパターン群が第2群であった場合には(例えば、遷移を含むデータ値直前の高いデータ値をデータパターンが含む場合)、方法5700はステップ5760に進む。
ステップ5730では、論理装置は第1群のデータパターンを求めて到来信号を監視する。例えば論理装置は遷移を含む連続的なデータ値を求めて到来信号を監視し、その連続的なデータ値直前のデータ値は低い値を有するものである。特定の実施例では、論理装置はそのような監視に備えて或るフィルタパターンを利用してもよい。適切なフィルタパターンは、例えば、図6,8,10,14,16,32,34,36,38及び40に関連して言及及び図示された特定のパターンを含んでもよい。
ステップ5740にて、第1群のデータパターン中のデータパターンが検出された場合には、本方法5700はステップ5750に進む。第1群のデータパターン中のデータパターンが検出されなかったならば、方法5700はステップ5730に戻り、第1群のデータパターンについて到来信号は監視され続ける。ステップ5750では、第1群のデータパターン中のデータパターンが検出された後に、適切な制御処理が実行される。特定の実施例では、例えば、遷移を含む連続的なデータ値の間の境界値と、境界値以前のデータ値1.5ビットとの比較に基づいて制御処理がなされてもよい。制御処理は適応等化処理でもよいし及び/又はオフセットキャンセル処理でもよい。制御処理は特定の実施例では従来の適応制御アルゴリズムに基づいていてもよい。制御処理が実行された後に、方法5700はステップ5710に戻り、相補的な2つのデータパターン群の一方がランダムに選択される。
ステップ5710,5720にて、選択されたデータパターン群が第2群であった場合には(例えば、遷移を含むデータ値直前の高いデータ値をデータパターンが含む場合)、方法5700はステップ5760に進む。ステップ5760では、論理装置は第2群のデータパターンを求めて到来信号を監視する。例えば論理装置は遷移を含む連続的なデータ値を求めて到来信号を監視し、その連続的なデータ値直前のデータ値は高い値を有するものである。特定の実施例では、イコライザはそのような監視に備えて或るフィルタパターンを利用してもよい。適切なフィルタパターンは、例えば、図6,8,10,14,16,32,34,36,38及び40に関連して言及及び図示された特定のパターンを含んでもよい。
ステップ5770にて、第2群のデータパターン中のデータパターンが検出された場合には、本方法5700はステップ5780に進む。第2群のデータパターン中のデータパターンが検出されなかったならば、方法5700はステップ5760に戻り、第2群のデータパターンについて到来信号は監視され続ける。ステップ5780では、第2群のデータパターン中のデータパターンが検出された後に、適切な制御処理が実行される。特定の実施例では、例えば、遷移を含む連続的なデータ値の間の境界値と、境界値以前のデータ値1.5ビットとの比較に基づいて制御処理がなされてもよい。制御処理は適応等化処理でもよいし及び/又はオフセットキャンセル処理でもよい。制御処理が実行された後に、方法5700はステップ5710に戻り、相補的な2つのデータパターン群の一方がランダムに選択される。相補的な2つのデータパターン群をバランスされた方法で利用することで、方法5700は適応等化制御処理とオフセットキャンセル処理とを分離する。
本発明の範囲から逸脱せずに、修正、付加又は省略が説明済みのシステム及び方法になされてもよい。説明されたシステム及び方法の要素は、具体的なニーズに応じて統合されてもよいし、分離されてもよい。更に説明されたシステム及び方法の処理は、より多数の、より少数の又は別の要素で実行されてもよい。
上述したように、例えば受信機ロジック47のような論理装置は、特定のデータ及び境界値を検出した後に、到来信号に適用されるゲイン及び/又はオフセットを調整してもよい。特定の実施例では、ゲイン及び/又はオフセットはバンバン制御法で調整されてもよい。
バンバン制御法では、制御変数(例えば、ゲイン又はオフセット)はバイナリオブジェクト変数(例えば、上述のISIレベル、EQレベル又は残留オフセットの2進値形式や、自動利得制御(AGC)システムでの残留振幅エラーの2進値形式)に基づいて調整され、バイナリオブジェクト変数は「高」又は「低」の2状態の一方をとり、オブジェクト変数の「高」状態は制御変数の「高い」値に起因し、オブジェクト変数の「低」状態は制御変数の「低い」値に起因する。そのような状況では、オブジェクト変数が「高」状態を示す場合には、制御変数は減らされ、オブジェクト変数が「低」状態を示す場合には、制御変数は増やされる。
従来のバンバン制御システム(例えば、自動利得制御(AGC)システム)では、制御変数(例えば、増幅器ゲイン)は対称的な方法で更新され、制御変数の増量は制御変数の減量と同じ大きさになるようにされる。なぜならバイナリオブジェクト変数(例えば、残留振幅誤差のバイナリ形式)は定性的な情報しか搬送しないからである。このように、同数の増加及び減少が制御変数に適用される場合、制御変数は平均的に同じレベルにとどまり、制御システムは平衡状態に達する。バイナリオブジェクト変数に例えば「高」又は「低」状態に対応する「1」及び「−1」の数値が(図6に関連して上述されたようなISIレベルと同様な方法で)割り当てられた場合、バイナリオブジェクト変数の平均は、従来のバンバン制御システムでは平衡状態でゼロに収束することに留意すべきである。
平衡状態で平均値ゼロを有するバイナリオブジェクト変数は、特定のシステム(例えば、AGCシステム)では望ましいかもしれない。例えば、バイナリオブジェクト変数(例えば、残留振幅誤差のバイナリ形式)がコンパレータの出力から導出され、そのコンパレータがアナログオブジェクト変数(例えば、増幅器の出力の振幅)と制御ターゲット(例えば、振幅の目標レベル)とを直接的に比較している場合、バイナリオブジェクト変数の平衡状態での最適な平均値は自然にゼロになるからである。なぜなら、アナログオブジェクト変数が制御ターゲットに最も近くなる場合、コンパレータは同数の「1」及び「−1」の出力を生成するよう予想されるからである。そのような状況は、従来のバンバン制御法のアプリケーションに非常に一般的であり、従って従来のバンバン制御法は制御変数について単に対称的な更新を行う。
一方、平衡状態で平均値ゼロを有するバイナリオブジェクト変数は、特定のシステムでは必ずしも望ましくないかもしれない。例えば、チャネルロス及び到来信号自身のような様々な条件に依存して、図6に関連して上述したISIレベルの最適な平均値はゼロより大きいかもしれないし又は小さいかもしれない。特定の実施例では、最適な平均ISIレベルは、高損失性のチャネルでは高く、低損失性のチャネルでは低くなるかもしれない。また、単なる一例として、最適な平均ISIレベルは、−0.6乃至+0.5の範疇で変化するかもしれない。例えばデータサンプラでなく境界値サンプラでのキャンセルされないオフセットのような残留オフセット指標における様々な系統的な誤差に依存して、図25に関連して言及された残留オフセットは、最適な状態から正に又は負に向けて統計的に傾くかもしれない。従って平衡状態でゼロでない平均値のバイナリオブジェクト変数は、特定の状況では有利になるかもしれない。
特定の実施例では、バンバン制御システムの平衡状態におけるバイナリオブジェクト変数(例えば、ISIレベル)の平均は、以下の一群の数式に示されるような制御変数の非対称な更新を導入することで、ゼロと異なるようにしてもよい。しかしながら、非対称なバンバン制御法は、適切な如何なる制御変数と共に(例えば、最良の残留オフセットがゼロでない場合のオフセット制御と共に)適切な如何なる状況で(上述のものだけでない)使用されてもよいことに留意すべきである。以下の数式では、Kp及びKnは制御ステップ値であり、制御変数(例えば、イコライザゲイン)はその制御ステップ値の分だけそれぞれ増減され、Np及びNnは平衡状態で制御変数に対する単位時間当たりの上昇及び下降処理数をそれぞれ示し、Aは平衡状態でのバイナリオブジェクト変数の平均値である。ここで、制御変数がそれぞれ「高」又は「低」であった場合、バイナリオブジェクト変数は「+1」又は「−1」の値をとるよう仮定されている。Np及びNnは、「低」及び「高」状態を有するバイナリオブジェクト変数の単位時間当たりの数をそれぞれ表すことにも留意すべきである。理解されるように、Kp及びNpの積は長期的にはKn及びNnの積に等しくなる。制御変数は平衡状態で変わるべきでないからである。Kp及びKnを異ならせることでAはゼロ以外になり得ることにも留意を要する。例えば特定の実施例では、Kpが0.3であり、Knが0.2であった場合に、Aは0.2になってよい。Aは−1(Kp=0及びKn>0の場合)から+1(Kp>0及びKn=0の場合)に至るまでの如何なる値でもよいことに留意すべきである。Kp=Kn>0の場合Aはゼロになり、これは従来のバンバン制御法の場合になることにも留意すべきである。
図48は、平衡状態で特定のバイナリオブジェクト変数の平均値(例えば、ISIレベル、EQレベル又は残留オフセット)を生成する本発明の特定の実施例による方法例5800を示すフローチャートである。本方法はステップ5810から始まり、例えばアダプティブイコライザ102を用いて適切な何らかの方法でオブジェクト変数がハイ又はローであるか否かが確認される。例えば特定の実施例では、遷移を含む連続的なデータ値の間の境界値及び境界値以前のデータ値1.5ビットに、反転された相関関数(又は相関関数)又はXOR(又はNXOR)処理を適用することで、ISIレベルが「+1」又は「−1」であるか否かが検査され、或いはEQレベルが「高」又は「低」であるか否かが検査される。代替実施例では、例えば図6,8,10,14,16に関して言及された特定のフィルタパターンを利用して検査が行われてもよい。別の例では、図25,27,29,32,34,36,38及び40に関して言及されたテーブルを用いて、残留オフセットレベルが「正」又は「負」であるか否かが検査される。
ステップ5810で確認されたオブジェクト変数の高値又は低値に基づいて、制御変数(例えば、イコライザゲイン)が増減されるべきか否かの判定がステップ5820及び5830でなされる。例えばイコライザゲイン制御の特定の実施例では、ステップ5810でISIレベルが「−1」又はEQレベルが「低」であった場合、イコライザゲインを増やす判定がなされ、本方法はステップ5840に進む。ステップ5810でISIレベルが「+1」又はEQレベルが「高」であった場合、イコライザゲインを減らす判定がなされ、本方法はステップ5850に進む。フィルタパターンを利用する代替実施例では、検出された特定のフィルタパターンは、イコライザゲインが増やされる又は減されるか否かを決めてもよい。別の例としてオフセット制御に関する特定の実施例では、ステップ5810で残留オフセットが「負」であった場合、イコライザゲインを増やす判定がなされ、本方法はステップ5840に進む。ステップ5810で残留オフセットが「正」であった場合、イコライザゲインを減らす判定がなされ、本方法はステップ5850に進む。フィルタパターンを用いる代替実施例では、検出される特定のフィルタパターンは、イコライザオフセットが減らされる又は増やされるか否かを判定してもよい。
ステップ5840では、制御変数を増やす判定がなされた後に、制御変数はKpだけ増やされる。例えばイコライザゲイン制御の特定の実施例では、イコライザゲインがKpだけ増やされる。別の例としてイコライザオフセット制御の特定の実施例では、イコライザオフセットはKpだけ増やされる。制御変数を増やした後に、方法5800はステップ5810に戻る。
ステップ5850では、制御変数を減らす判定がなされた後に、制御変数はKnだけ減らされる。例えばイコライザゲイン制御の特定の実施例では、イコライザゲインがKnだけ減らされる。別の例としてイコライザオフセット制御の特定の実施例では、イコライザオフセットはKnだけ減らされる。制御変数を減らした後に、方法5800はステップ5810に戻る。
従来のバンバン制御システムとは異なり、Kpは必ずしもKnに等しくなくてよい。むしろ、Kp及びKnは或るパラメータTを用いる以下の一群の数式に基づいて別様であってよく、Tは平均的なバイナリオブジェクト変数値の平衡状態における制御ターゲットである。−1乃至+1の適切な如何なる値がTについて選択されてもよく(ゼロでなくてもよい)、特定の実施例では、Tの値は例えばビットエラーレートに関連する様々な条件に依存してもよく、これらの条件の下での最適なターゲット値に対応してもよい。代替実施例では、Tの値が固定されていてもよい。特定の実施例ではKp及びKnの間の比率又は差分にTが関連付けられていてもよい。例えば特定の実施例では、制御ターゲット値Tは、第2状態及び第1状態でオブジェクト変数を検出する頻度の目標比率(固定又は可変)で構成されてもよい。
以下の数式では、Kは制御変数を増やすこと及び減らすことの双方に関する共通ループ定数であり、Kp及びKnの算術平均で定義される。理解できるように、Kp=K×(1+T)及びKn=K×(1-T)の場合、バイナリオブジェクト変数の平均値Aは、平衡状態でTに収束する。
ゼロに等しくなくてよい制御ターゲットTを用いることで、方法5800は、(例えば、ISIレベル、等化レベル、残留オフセット又は他の適切なオブジェクト変数のような)バイナリオブジェクト変数の平均が、特定の状況にとって一層適切な所に収束することを可能にする。上述したように特定の実施例では、制御ターゲットTは固定されていてもよい。代替実施例では、制御ターゲッットTは特定の1つ以上の変数の関数として動的に変化してもよい。
図49は、平衡状態でバイナリオブジェクト変数の平均値(例えば、ISIレベル)の制御ターゲットを動的に生成する本発明の特定の実施例による方法例を示すフローチャート5900である。上述したように特定の実施例では、最適な平均ISIレベルは、ハイロスチャネルでは高く、ローロスチャネルでは低くなりがちである。従って(例えば、イコライザゲイン設定値のような)制御変数の値と共に動的に変わるバイナリオブジェクト変数(例えば、ISIレベルその他の適切な等化レベル)の平均に関する制御ターゲットは、特定の実施レでは有利になるかもしれない。
方法5900はステップ5910から始まり、例えばアダプティブイコライザ102を用いて適切な何らかの方法でオブジェクト変数が高い又は低いことが確認される。ステップ5910−5950は上述のステップ5810−5890と同様なので、繰り返し説明されない。ステップ5940で制御変数がKpだけ増やされた後に又はステップ5950で制御変数がKnだけ減らされた後に、方法5900はステップ5960に進む。ステップ5960では、制御変数(例えば、イコライザゲイン)の値が確認される。ステップ5970では、バイナリオブジェクト変数(例えば、ISIレベル又は他の適切な等化レベル)の平均に関する制御ターゲットT及び制御ステップ値Kp,Knが、制御変数(例えば、イコライザゲイン)の確認された値に基づいて調整される。
例えば、特定の実施例では、制御ターゲットTは、ある一定の範囲内で制御変数(例えば、イコライザゲイン)と共に変わるように調整されてよい。単なる一例として、制御ターゲットTは、制御変数値が相対的に高かった場合に+0.4に設定され、相対的に低かった場合に−0.4に設定されてもよい。制御変数値が相対的に高い及び低い値の間にある場合、制御ターゲットTは+0.4及び−0.4の間の補間値に設定されてもよい。このようにKp及びKnが制御変数(例えば、イコライザゲイン)から動的に生成され、これによりビットエラーレートに基づいてバイナリオブジェクト変数(例えば、ISIレベル)の最適な平均値を生成する。
特定の実施例では、制御ターゲットTは以下の数式群を用いて制御変数(例えば、イコライザゲインコード)の現在値の関数として動的に計算されてもよい:
ここで、G(例えば、0〜126)は制御変数の現在値である(制御変数は例えばイコライザゲインであり、そのイコライザに適用される補償頻度数を示す。)。T
H(例えば、−1.0〜+1.0)は制御変数の相対的に高いTの値であり、T
L(例えば、−1.0〜+1.0)は制御変数の相対的に低いTの値であり、G
C(例えば、0,1,2,4,8,16,32,64)は関数のコーナーでのGの値であり、Gがそのコーナーより上にある場合、Tは平坦な値をとる。例えば、アダプティブコントローラ102のようなアダプティブコントローラは、動的に計算されたT及びループ定数K(上述)を用いて、Kp及びKnについての更新値を生成する。T,Kp,Knが更新された後、本方法5900はステップ5910に戻る。
図50は、制御ターゲットの数式を適用し、イコライザゲイン制御の平衡状態でバイナリオブジェクト変数の平均値の制御ターゲットを動的に生成した本発明の特定の実施例による結果を示すグラフ6000である。制御ターゲット数式例は、T(G)として上記に示された式である。理解できるように、イコライザゲインコードの現在値Gがゼロに等しい場合、制御ターゲットTは比較的低いゲインTLの値に等しい。Gが0及びGCの間にある場合、制御ターゲットTは、TLと比較的高いゲインの値THとの間の補間値に設定されてもよい。GがGCより大きい場合、制御ターゲットTはTHに等しくなる。代替実施例では、異なる制御ターゲットの数式が使用され、グラフ6000に示されるものとは異なるグラフを生成してもよいことに留意すべきである。本説明は平均ISIレベルに関する制御ターゲットを説明しているが、別の方法で(及び平均ISIレベルを必ずしも追跡しなくてよい)等化レベルが説明され目標にされてもよいことにも繰り返し留意すべきである。
特定の実施例では、高周波ゲインコードGが多次元イコライザの2つ以上のパス(例えば、上記のパス101A−C)の中で分割されてもよい。例えば、アダプティブコントローラ102は高周波ゲインコードGをDCパスゲインコード及び一次パスゲインコードに変換してもよい。高周波ゲインコードGは、例えば以下の図51及び52に示されるような適切な如何なる方法で変換されてもよい。
図51は、高周波ゲインコードをDCパスゲインコード及び一次パスゲインコードに変換する本発明の特定の実施例による方法例6100を示すテーブルである。方法6100の列6110は、高周波ゲインコードGの値を含み、GはDCパスゲインコード及び一次パスゲインコードに変換される。列6120はDCパスゲインコードG0の値を含み、列6130は一次パスゲインコードG1の値を含む。各行6140は高周波ゲインコード(又は、高周波ゲインコードの範囲)並びに対応するDCパス及び一次パスゲインコードを含む。方法6100では、G0MAXはアダプティブコントローラ102のレジスタで指定されるDCパスゲインコードの最大値であることに留意すべきである。また、一次パスゲインコードの最大値は特定の実施例では63である。
図52A及び52Bは、高周波ゲインコードをDCパスゲインコード及び一次パスゲインコードに変換する本発明の特定の実施例による図51の方法例6100を適用した結果を示すグラフである。図52AはDCパスゲインコードを高周波ゲインコードの関数として示すグラフ6200を示す。図52Bは一次パスゲインコードを高周波ゲインコードの関数として示すグラフ6300を示す。代替実施例では、方法6100と異なる変換法が使用され、グラフ6200,6300に示されるものとは異なるグラフを生成してよいことに留意すべきである。
本発明の範囲から逸脱せずに、修正、付加又は省略が説明済みのシステム及び方法になされてもよい。説明されたシステム及び方法の要素は、具体的なニーズに応じて統合されてもよいし、分離されてもよい。更に説明されたシステム及び方法の処理は、より多数の、より少数の又は別の要素で実行されてもよい。
以上本発明は様々な実施例と共に説明されてきたが、変更例、変形例、代替例、置換例及び修正例の多数のものが当業者に示唆され、本発明は、そのような変更例、変形例、代替例、置換例及び修正例を添付の特許請求の範囲内に包含することが意図される。例えば、いくつかの実施例はゲイン制御の観点から図示及び説明されているが、代替実施例はオフセット制御の観点から或いは適切ならば他の適切な如何なる制御パラメータの観点からでも追加的に又は代替的に実現されてもよい。いくつかの実施例はオフセット制御の観点から図示及び説明されているが、代替実施例はゲイン制御の観点から或いは適切ならば他の適切な如何なる制御パラメータの観点からでも追加的に又は代替的に実現されてもよい。
以下、本発明により教示される手段を例示的に列挙する。
(付記1)
入力データ信号を受信するステップと、
前記入力データ信号の第1パスでの第1部分及び前記入力データ信号の第2パスでの第2部分を通信するステップと、
前記第1パスに第1オフセット補償を及び前記第2パスに第2オフセット補償を適用するステップと、
少なくとも前記第1パス及び前記第2パスを結合し、出力信号を生成するステップと、
クロック信号を利用して前記出力信号をサンプリングし、複数のデータ値及び境界値を生成するステップであって、各々の値は、前記出力信号のサンプリングに基づく高値又は低値を含むステップと、
2つの連続的なデータ値間の値の遷移を検出し、該2つの連続的なデータ値間のサンプリングされた境界値を確認するステップと、
前記境界値の前記高値又は前記低値に少なくとも基づいて及び前記境界値直前に到来した少なくとも2つのデータ値の高値又は低値に基づいて、前記第1パスに適用される前記第1オフセット補償及び前記第2パスに適用される前記第2オフセット補償を別々に調整するステップと、
を有する信号を調整する方法。
(付記2)
前記境界値の前記高値又は前記低値に少なくとも基づいて及び前記境界値以前の少なくともデータ値0.5及び1.5シンボルの高値又は低値に基づいて、前記第1パスに適用される前記第1オフセット補償及び前記第2パスに適用される前記第2オフセット補償が別々に調整される付記1記載の方法。
(付記3)
前記第1パスは未修正入力データ信号パスであり、前記第2パス配置時微分入力データ信号パスである付記1記載の方法。
(付記4)
前記境界値が低くかった場合に、前記第1オフセット補償及び前記第2オフセット補償の少なくとも一方が正をなす付記1記載の方法。
(付記5)
前記境界値が高かった場合に、前記第1オフセット補償及び前記第2オフセット補償の少なくとも一方が負をなす付記1記載の方法。
(付記6)
前記境界値直前に到来する2つのデータ値の高い又は低い値が異なっていた場合に、前記未修正入力データ信号パスに適用される少なくとも第1オフセット補償が調整される付記3記載の方法。
(付記7)
前記境界値直前に到来する2つのデータ値の高い又は低い値が異なっていた場合に、前記一次微分入力データ信号パスに適用される少なくとも第2オフセット補償が調整される付記3記載の方法。
(付記8)
前記入力データ信号の第3部分を、二次微分入力データ信号パスを含む第3パスで更に通信するステップと、
第3オフセット補償を前記第3パスに更に適用するステップと、
前記第1パス、前記第2パス及び前記第3パスを結合し、出力信号を生成するステップと、
前記境界値の前記高値又は前記低値に少なくとも基づいて及び前記境界値直前に到来した少なくとも3つのデータ値の高値又は低値に基づいて、前記第1パスに適用される前記第1オフセット補償、前記第2パスに適用される前記第2オフセット補償及び前記第3パスに適用される前記第3オフセット補償を別々に調整するステップと、
を有する付記3記載の方法。
(付記9)
前記境界値直前に到来する3つのデータ値の高い又は低い値が同じであった場合に、前記二次微分入力データ信号パスに適用される少なくとも第3オフセット補償が調整される付記8記載の方法。
(付記10)
前記クロック信号が、前記出力信号に関連する付記1記載の方法。
(付記11)
前記入力データ信号が、テスト信号ではない付記1記載の方法。
(付記12)
入力信号を受信する入力ポートと、
前記入力信号の第1部分を第1パスで及び前記入力信号の第2部分を第2パスで通信するディバイダと、
前記第1パスに第1オフセット補償を適用する第1増幅器と、
前記第2パスに第2オフセット補償を適用する第2増幅器と、
前記第1パス及び前記第2パスを少なくとも結合し、出力信号を生成するミキサと、
サンプラと、
アダプティブコントローラと、
を有する受信機であって、前記サンプラは、前記出力信号及びクロック信号を受信し、クロック信号を利用して前記出力信号をサンプリングし、複数のデータ値及び境界値を生成し、該値の各々は、前記出力信号のサンプリングに基づく高値又は低値を含み、
前記アダプティブコントローラは、2つの連続的なデータ値間の値の遷移を検出し、該2つの連続的なデータ値間のサンプリングされた境界値を確認し、前記境界値の前記高値又は前記低値に少なくとも基づいて及び前記境界値直前に到来した少なくとも2つのデータ値の高値又は低値に基づいて、前記第1パスに適用される前記第1オフセット補償及び前記第2パスに適用される前記第2オフセット補償を別々に調整する受信機。
(付記13)
前記境界値の前記高値又は前記低値に少なくとも基づいて及び前記境界値以前の少なくともデータ値0.5及び1.5シンボルの高値又は低値に基づいて、前記第1パスに適用される前記第1オフセット補償及び前記第2パスに適用される前記第2オフセット補償が別々に調整される付記12記載の受信機。
(付記14)
前記第1パスは未修正入力データ信号パスであり、前記第2パス配置時微分入力データ信号パスである付記12記載の受信機。
(付記15)
前記境界値が低くかった場合に、前記第1オフセット補償及び前記第2オフセット補償の少なくとも一方が正をなす付記12記載の受信機。
(付記16)
前記境界値が高かった場合に、前記第1オフセット補償及び前記第2オフセット補償の少なくとも一方が負をなす付記12記載の受信機。
(付記17)
前記境界値直前に到来する2つのデータ値の高い又は低い値が異なっていた場合に、前記未修正入力データ信号パスに適用される少なくとも第1オフセット補償が調整される付記14記載の受信機。
(付記18)
前記境界値直前に到来する2つのデータ値の高い又は低い値が異なっていた場合に、前記一次微分入力データ信号パスに適用される少なくとも第2オフセット補償が調整される付記14記載の受信機。
(付記19)
前記ディバイダは、前記入力データ信号の第3部分を、二次微分入力データ信号パスを含む第3パスで更に通信し、
当該受信機は、第3オフセット補償を前記第3パスに適用する第3増幅器を更に有し、
前記ミキサは、前記第1パス、前記第2パス及び前記第3パスを結合し、出力信号を生成し、
前記アダプティブコントローラは、前記境界値の前記高値又は前記低値に少なくとも基づいて及び前記境界値直前に到来した少なくとも3つのデータ値の高値又は低値に基づいて、前記第1パスに適用される前記第1オフセット補償、前記第2パスに適用される前記第2オフセット補償及び前記第3パスに適用される前記第3オフセット補償を別々に調整する付記14記載の受信機。
(付記20)
前記境界値直前に到来する3つのデータ値の高い又は低い値が同じであった場合に、前記二次微分入力データ信号パスに適用される少なくとも第3オフセット補償が調整される付記19記載の受信機。
(付記21)
前記クロック信号が、前記出力信号に関連する付記12記載の受信機。
(付記22)
前記入力データ信号が、テスト信号ではない付記12記載の受信機。
(関連出願のクロスリファレンス)
本願は35U.S.C.§119(e)により西暦2006年5月30日に出願された“Adaptive Equalizer”と題する米国仮出願番号第60/803,451号の優先権の利益を享受する。