JP2007321144A - 熱可塑性樹脂組成物及びそれよりなる成形体及び照明器具 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物及びそれよりなる成形体及び照明器具 Download PDF

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Abstract

【課題】表面外観が良好であり、耐光変色性及び高い光線反射性能に優れたポリブチレンテレフタレート樹脂を主材料とする熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形体等を提供すること。
【解決手段】ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)に、加工酸化チタン(B)を配合した熱可塑性樹脂組成物であり、前記加工酸化チタン(B)が、純水中へのアルカリ金属陽イオンおよびアルカリ土類金属陽イオンの溶出量が70ppmより多く、140ppm以下であるルチル形酸化チタン(a)にアルミナ水和物、ケイ酸水和物およびポリシロキサンを含む処理剤(b)を添加して得られたものである熱可塑性樹脂組成物に係るものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリブチレンテレフタレートからなる熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形体、照明器具等に関し、さらに詳しくは、耐光変色性、表面外観に優れるとともに、高い光線反射性能を有する、ポリブチレンテレフタレートからなる熱可塑性樹脂組成物及びそれからなる成形体、照明器具等に関する。
従来、照明器具用途に用いられる光反射板としては、ガラス製や樹脂成形品に金属メッキ加工や金属薄膜を蒸着したもの、あるいは塗装したものが使用されてきた。
しかし、ガラス製反射板は、重くて割れやすいという欠点があり、樹脂成形品に金属メッキ加工や金属薄膜を蒸着した反射板は、メッキ加工や蒸着に要する費用が高く、トータルコストが高いという問題点があった。従って、低価格で、後加工の必要がなく、高い光線反射率を有する樹脂成形品が求められていた。
また、金属メッキ加工や金属薄膜を蒸着した反射板は、光線反射率の全体に占める正反射率の割合が非常に高く、逆に拡散反射率が低いため、非常に指向性の高い光学系を発生させ易い。例えば下面開放型のダウンライトやベースライトのような照明器具の反射板あるいはルーバー等に用いられた場合に、見る角度によっては、非常にギラギラした感覚、あるいは何となく暗いという不快感を与える原因となっていた。従って、高い光線反射率を有し、かつ光線反射率の全体に占める拡散反射率の割合が非常に高い白色系の樹脂成形品が求められていた。
白色系の樹脂反射板としては、近年、ポリエチレンテレフタレート製発泡フイルム(以下「PET製発泡フイルム」と略記する)や、ポリカーボネート樹脂組成物からなるものが多用されている。前記のPET製発泡フイルムは、白色顔料を添加したポリエチレンテレフタレートを発泡させて、マイクロボイドを形成し、これによって高光反射機能を持たせたものである。PET製発泡フイルムからなる反射板は、高い光反射機能を有する一方でフイルム状であるために、射出成形品のような形状の自由度がなく、複数部品の複合化は困難であった。さらに機械強度が低いために、構造機能を兼ねる部材への適用は困難であった。機械強度を上げるためには複数枚使用したり、バックアップ用の部品を組み合わせたりする必要があり、コストが高くなるという問題があった。
一方、前記のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂、白色顔料(主に酸化チタン)及びポリカーボネート樹脂安定化剤を含有しており、当該ポリカーボネート樹脂組成物からなる反射板は白色顔料による光の反射効果を利用するものである。この反射板は、その肉厚を調整することによって遮光性を調整することができるので、PET製発泡フイルムからなる反射板を用いる場合よりも、輝度の高い反射板を得ることが可能である。また、ポリカーボネート樹脂組成物に占める酸化チタンの含有量を高めることによって、その肉厚をそれほど厚くしなくても遮光性を向上させ、光線反射率を高めることが可能である。
しかしながら、反射板の材料として利用されている従来のポリカーボネート樹脂組成物では、酸化チタンの含有量を高めると、酸化チタン表面に存在する化学的活性点が原因となって、加熱溶融条件下でポリカーボネートの分子量が低下し、機械特性が低下すると同時に、着色したり、シルバーが発生してしまうために、満足する反射板を提供するには至らなかった。
このような問題点を解決するために、これまでさまざまなポリカーボネート樹脂安定化剤の検討が行われ、それを配合したポリカーボネート樹脂組成物よりなる反射板が実用化されている。しかしながら、このような樹脂安定化剤を配合した場合、耐光変色性が低下したり材料コストが高くなるという問題点があった。
一方、ポリブチレンテレフタレート樹脂に対して、着色性金属材料の含有率70ppm以下のルチル型酸化チタン(a)にアルミナ水和物およびケイ酸水和物を含む処理剤を添加して得られた加工酸化チタンを配合するという提案がある。(特許文献1)
しかしながら、この提案では、ある程度の光線反射率向上効果は認められるが、全光線反射率が満足いくものではなく、また耐光性が良好でなかった。
特開2004−51775号公報
本発明の目的は、上述した問題を解消し、表面外観が良好であり、耐光変色性及び高い光線反射性能に優れたポリブチレンテレフタレート樹脂を主材料とする熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形体等を提供することにある。
すなわち、本発明は、下記(1)〜(12)からなるものである。
(1)ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)に、加工酸化チタン(B)を配合した熱可塑性樹脂組成物であり、前記加工酸化チタン(B)が、純水中へのアルカリ金属陽イオンおよびアルカリ土類金属陽イオンの溶出量が70ppmより多く、140ppm以下であるルチル形酸化チタン(a)にアルミナ水和物、ケイ酸水和物およびポリシロキサンを含む処理剤(b)を添加して得られたものである熱可塑性樹脂組成物。
(2)前記加工酸化チタン(B)中の前記ルチル型酸化チタン(a)の含有量が、92重量%以上97重量%以下であることを特徴とする上記(1)記載の熱可塑性樹脂組成物。
(3)前記ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100重量部に対し、前記加工酸化チタン(B)を20〜49重量部を配合してなることを特徴とする上記(1)または(2)記載の熱可塑性樹脂組成物。
(4)前記加工酸化チタン(B)の平均粒子径が0.18〜0.22μmであることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
(5)更にポリカーボネート樹脂(C)を添加してなる上記(1)〜(4)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
(6)さらにリン酸エステル系難燃剤(D)を添加してなる上記(1)〜(5)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
(7)前記リン酸エステル系難燃剤(D)が、下記一般式(1)で示されるものである上記(6)記載の熱可塑性樹脂組成物。
Figure 2007321144
(式中、Meはメチル基を表し、nは0から5の整数、k、mはそれぞれ0以上2以下の整数を示し、かつk+mは2以下の整数を示す。)
(8)さらに、トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩(E)を添加してなる上記(1)〜(7)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
(9)熱可塑性樹脂と加工酸化チタンの合計量を100重量部としたとき、リン酸エステル系難燃剤(D)およびトリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩(E)が7重量部より大きく100重量部以下である上記(8)記載の熱可塑性樹脂組成物。
(10)上記(1)〜(9)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体。
(11)上記(1)〜(9)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる光反射板。
(12)上記(11)に記載の光反射板を用いてなる照明器具。
本発明によれば、成形加工時にシルバーが発生せずに良好な表面外観が得られるとともに、優れた耐光変色性および光線反射性能を有するポリブチレンテレフタレート樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物ならびにそれからなる成形体等を得ることができる。
以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物について詳細に説明する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)に、加工酸化チタン(B)を配合した熱可塑性樹脂組成物であり、該加工酸化チタン(B)が、純水中へのアルカリ金属陽イオンおよびアルカリ土類金属陽イオンの溶出量が70ppmより多く、140ppm以下であるルチル形酸化チタン(a)にアルミナ水和物、ケイ酸水和物およびポリシロキサンを含む処理剤(b)を添加して得られたものである。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成する(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂とは、テレフタル酸あるいはそのエステル形成性誘導体と1,4−ブタンジオールあるいはそのエステル形成性誘導体とを主成分とし重縮合反応させる等の通常の重合方法によって得られる重合体からなる樹脂であって、ポリブチレンテレフタレート樹脂が有する特性が損なわれない範囲、例えば20モル%程度以下であれば、他の共重合成分を含んでいてもよい。酸成分としては、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、シュウ酸などを、グリコール成分として、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオールなど、あるいは分子量400〜6000の長鎖グリコール、すなわちポリエチレングリコール、ポリ−1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどを20モル%以下共重合することもできる。これら重合体あるいは共重合体の好ましい例としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/セバケート)、ポリブチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレン(テレフタレート/ナフタレート)、ポリブチレン(テレフタレート/ポリテトラメチレングリコール)などが挙げられ、単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。なお、ここで「/」は、共重合を意味する。
上記ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)は、以下のように製造することができる。すなわち、(テレフタル酸またはそのエステル等の低級アルキルエステル)と、1,4−ブタンジオールを主たる原料としてポリブチレンテレフタレート樹脂を製造するに際し、反応触媒として用いる有機チタン化合物、有機すず化合物溶液中に、酸化防止剤を添加することが好ましい。反応触媒は有機チタンを単独で用いることが好ましい。酸化防止剤としては、フェノール系化合物、イオウ系化合物、あるいはリン系化合物などを好適に用いることができるが、この中でもヒンダードフェノール系化合物が特に好適に用いることができる。
ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)のペレット色調を測定したときのb値が2以下であることが好ましい。b値が高いペレットを使用することで、本発明の樹脂組成物は高い反射率を得ることができる。その方法は以下の通りである。直径6cm、高さ3cmの円柱形のアクリル容器に、側面は黒い画用紙で覆い、その中にペレットを50g敷き詰め、スガ試験機株式会社製SMカラーコンピューターSM5−IS−2Bで反射のLabを測定した。
本発明においてポリブチレンテレフタレート樹脂(A)に配合する酸化チタンには、純水中へのアルカリ金属陽イオンおよびアルカリ土類金属陽イオンの溶出量が70ppmより多く、140ppm以下のルチル型酸化チタン(a)に、アルミナ水和物、ケイ酸水和物およびポリシロキサンを含む処理剤(b)を添加して得られた加工酸化チタン(B)が用いられる。
また、本発明でいう「加工酸化チタン」とは、酸化チタンに、アルミナ水和物、ケイ酸水和物およびポリシロキサンを含む処理剤を添加して得られたものをいい、本発明では、中でも、純水中へのアルカリ金属陽イオンおよびアルカリ土類金属陽イオンの溶出量の合計量が70ppmより多く、140ppm以下のルチル型酸化チタン(a)に、アルミナ水和物、ケイ酸水和物およびポリシロキサンを含む処理剤(b)を添加して得られたものを使用する。
酸化チタンの結晶形態には、ルチル型とアナターゼ型があるが、ルチル型酸化チタンは優れた隠蔽作用を有するため、光反射率を向上させる作用を有する。また、ルチル型酸化チタンの製造法には、硫酸法と塩素法とがあるが、塩素法で製造されたものが好ましく使用される。
また、酸化チタンは、純水中へのアルカリ金属陽イオンおよびアルカリ土類金属陽イオンの溶出量が70ppmより多く、140ppm以下であり、好ましくは120ppmより多く、140ppm以下である。70ppmより少ない場合は、酸化チタンの分散性が悪くなり、凝集を起こして、光線反射率が低下する。140ppmよりも多い場合は白色度が低くなり、熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる成形体において、目的とする高い光線反射性能を達成できない。また、表面にシルバー、ヤケが発生し、耐光変色性が低下する。
加工酸化チタン(B)の表面処理剤には、樹脂との分散性を良好にするために、アルミナ水和物、ケイ酸水和物およびポリシロキサンを含む処理剤(b)が使用される。この処理剤(b)の量は、光反射率を確保できる必要最低限に抑えることが好ましく、加工酸化チタン(B)中のルチル型酸化チタンの含有量として92重量%以上97重量%以下であることが好ましく、より好ましくは93〜95重量%である。酸化チタンの含有量が92重量%より低いと光線反射率の確保が難しくなる方向であり、いずれ用途などによっては制約を受けることがあり好ましくない。97重量%より高いと樹脂との分散が悪くなり、光線反射率が低下する。
ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)に対する加工酸化チタン(B)の配合量としては、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100重量部に対し、20〜49重量部とするのが好ましく、より好ましくは40〜49重量部にするとよい。加工酸化チタン(B)の配合が20重量部より低いと光線反射率の確保が困難になり、また、49重量部よりも多くなると、成形品の表面外観、成形時の流動性、機械的強度の靭性の確保が難しくなる方向であり、用途によっては好ましくない。
また(B)加工酸化チタンの平均粒子径は0.18〜0.22μmであることが好ましく、より好ましくは0.19〜0.21μmである。平均粒子径が0.18μmより小さいと分散性が悪くなる方向であり、凝集を起こして耐光性・光線反射率が低下する方向であるので用途面で制約を受ける場合があり好ましくない。また、平均粒子径が0.22μmより大きいと、成形品の外観不良が発生したり、また、光線反射率も低下する方向であるので、用途面で制約を受ける場合があり好ましくない。
本発明で使用されるポリカーボネート(C)は、具体的には2価以上のフェノール系化合物と、ホスゲン、ジフェニルカーボネートのような炭酸ジエステル化合物とを反応させてえられる熱可塑性樹脂で、本発明の組成物に難燃性、耐衝撃性、耐熱変形性、機械的強度、低ソリ性などの特性を付与するために使用される成分である。
前記2価以上のフェノール系化合物としてさまざまなものが存在するが、特に2価フェノール化合物である2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称 ビスフェノールA)が機械的強度の点から好ましい。ビスフェノールA以外の2価フェノール化合物の例としては、たとえばビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−(4−イソプロピルフェニル)メタン、ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1−ナフチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2−メチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1−エチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、4−メチル−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、1,10−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンなどのジヒドロキシジアリールアルカン類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロデカンなどのジヒドロキシジアリールシクロアルカン類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)スルホンなどのジヒドロキシジアリールスルホン類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテルなどのジヒドロキシジアリールエーテル類;4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノンなどのジヒドロキシジアリールケトン類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィドなどのジヒドロキシジアリールスルフィド類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシドなどのジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4′−ジヒドロキシジフェニルなどのジヒドロキシジフェニル類;9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどのジヒドロキシアリールフルオレン類などがあげられる。また、2価フェノール化合物以外に、ヒドロキノン、レゾルシノール、メチルヒドロキノンなどのジヒドロキシベンゼン類;1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレンなどのジヒドロキシナフタレン類などが2価のフェノール系化合物として使用しうる。
なお、3価以上のフェノール系化合物も、得られるポリカーボネート樹脂(C)が熱可塑性を維持する範囲で使用しうる。前記3価以上のフェノール系化合物の例としては、2,4,4′−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,4,4′−トリヒドロキシフェニルエーテル、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシフェニルエーテル、2,4,4′−トリヒドロキシジフェニル−2−プロパン、2,2′−ビス(2,4−ジヒドロキシ)プロパン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシジフェニルメタン、2,4,4′−トリヒドロキシジフェニルメタン、1−[α−メチル−α−(4′−ジヒドロキシフェニル)エチル]−3−[α′,α′−ビス(4″−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、1−[α−メチル−α−(4′−ジヒドロキシフェニル)エチル]−4−[α′,α′−ビス(4″−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、α,α′,α″−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5′−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4′−ヒドロキシフェニル)−2−ヘプテン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4′−ヒドロキシフェニル)−2−ヘプタン、1,3,5−トリス(4′−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス[4,4−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル]プロパン、2,6−ビス(2′−ヒドロキシ−5′−イソプロピルベンジル)−4−イソプロピルフェノール、ビス[2−ヒドロキシ−3−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、ビス[2−ヒドロキシ−3−(2′−ヒドロキシ−5′−イソプロピルベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2′,4′,7−トリヒドロキシフラバン、2,4,4−トリメチル−2′,4′,7−トリヒドロキシフラバン、1,3−ビス(2′,4′−ジヒドロキシフェニルイソプロピル)ベンゼン、トリス(4′−ヒドロキシフェニル)−アミル−s−トリアジンなどがあげられる。
これらの2価以上のフェノール系化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリカーボネート樹脂(C)には、必要に応じて、3価以上のフェノール系化合物以外にも分岐ポリカーボネート系樹脂にするための成分を、耐薬品性、熱安定性、機械的物性を損わない範囲で含有させることができる。前記分岐ポリカーボネート系樹脂を得るために用いられる3価以上のフェノール系化合物以外の成分(分岐剤)としては、例えば、フロログルシン、メリト酸、トリメリト酸、トリメリト酸クロリド、無水トリメリト酸、没食子酸、没食子酸n−プロピル、プロトカテク酸、ピロメリト酸、ピロメリト酸二無水物、α−レゾルシン酸、β−レゾルシン酸、レゾルシンアルデヒド、トリメチルクロリド、イサチンビス(o−クレゾール)、トリメチルトリクロリド、4−クロロホルミルフタル酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸などが挙げられる。
ポリカーボネート樹脂(C)の共重合成分として、この他に、例えば、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸などの直鎖状脂肪族2価カルボン酸を用いてもよい。
また、ポリカーボネート樹脂(C)の成分として、必要に応じて、重合時の末端停止剤として使用される公知の各種のものを、耐薬品性、熱安定性、機械的物性を損わない範囲で用いてもよい。具体的には、1価フェノール系化合物である、例えば、フェノール、p−クレゾール、p−t−ブチルフェノール、p−t−オクチルフェノール、p−クミルフェノール、ブロモフェノール、トリブロモフェノール、ノニルフェノールなどが挙げられる。
ポリカーボネート樹脂(C)の原料として使用する炭酸ジエステル化合物としては、ジフェニルカーボネートなどのジアリールカーボネートや、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのジアルキルカーボネートが挙げられる。
本発明において成形性及び機械強度、耐熱性に優れた特性を有するために用いられるポリカーボネート樹脂(C)の重量平均分子量は、10000〜1100000の範囲のものであり、重量平均分子量が10000〜1000000の範囲であれば、重量平均分子量の異なるポリカーボネート樹脂を併用してもよい。重量平均分子量60000〜1100000の範囲のポリカーボネート樹脂がとくに好ましく用いられる。重量平均分子量とは、溶媒にテトラヒドロフランを用い、ゲル透過クロマトグラフィーにより、ポリスチレン換算で測定して得られるものである。
本発明のポリカーボネート樹脂(C)の添加量は、機械強度向上、難燃性付与、低反り性向上の観点から、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100重量部に対して、10重量部〜1000重量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは30重量部〜500重量部である。光線反射率の向上のためには、加工酸化チタン(B)を添加する必要があるが、それにより、耐衝撃性、タッピング強度を低下するおそれがある。そこで、ポリカーボネートを添加することによって、これらの物性の改善に効果がある。樹脂成形体に直接タッピングネジを介して部品を取り付ける場合等に特に有効である。10重量部より多いとポリカーボネート樹脂添加による機械強度の向上効果、難燃性の付与がより発現できる。また、1000重量部より少ないと成形品の表面外観がより良好となる。
本発明においては、リン酸エステル系難燃剤(D)を用いることで、ハロゲン化合物を用いることなくポリブチレンテレフタレート系樹脂を難燃化することができる。難燃剤として使用されるリン酸エステル系難燃剤(D)としては、縮合リン酸エステルを用いることができる。例えば、レゾルシノールホスフェート類(レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジクレジルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)、ハイドロキノンビス(ジフェニルホスフェート))、ハイドロキノンホスフェート類(ハイドロキノンビス(ジクレジルホスフェート)、ハイドロキノンビス(ジキシレニルホスフェート))、ビフェノールホスフェート類(ビフェノールビス(ジフェニルホスフェート)、ビフェノールビス(ジクレジルホスフェート)、ビフェノールビス(ジキシレニルホスフェート))、ビスフェノールホスフェート類(ビスフェノール−Aビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノール−Aビス(ジクレジルホスフェート)、ビスフェノール−Aビス(ジキシレニルホスフェート))などが挙げられる。好ましくは、ビスフェノールAホスフェート類が含まれる。
本発明のリン酸エステル系難燃剤(D)は、難燃性、ブリードアウト性、耐光処理後の全光線反射率の保持の観点から、好ましくは、下記一般式(1)で示される化合物である。
Figure 2007321144
(式中、Meはメチル基を表し、nは0から5の整数、k、mはそれぞれ0以上2以下の整数を示し、かつk+mは2以下の整数を示す。)。
かかるビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)を主成分とするリン酸エステルはリン含有量が高いため、それを含む樹脂組成物は難燃性が良好であり、成形時の流動性も良好である。更にかかるリン酸エステルはその構造上耐加水分解性も良好であるため、それを含む樹脂組成物は長期の品質保持性にも優れる。
また、本発明の加工酸化チタン(B)と一般式(1)に記載のリン酸エステル系難燃剤の組み合わせにより、樹脂中の酸化チタンの分散性が著しく向上させ、成形品の全光線反射率、耐光処理後の反射率の保持が著しく向上する。
本発明のリン酸エステル系難燃剤(D)は、好ましくはその100重量部中の縮合度nにおけるそれぞれの割合がn=0の成分0.1〜3重量部、より好ましくは0.5〜2.5重量部、n=1〜3の成分95.5〜98.5重量%、より好ましくは96.5〜98.5重量部、およびn>3の成分1.5重量%以下、より好ましくは1重量%以下の割合からなる。なお、上記各n成分とは、所定の二価フェノールおよび一価フェノールから合成される成分をいい、反応副生物などを含まない。例えば、一価フェノールとしてフェノールを使用する場合n=0の成分はトリフェニルホスフェートである。
本発明において、リン酸エステル系難燃剤(D)の配合量は、熱可塑性樹脂と加工酸化チタン(B)の合計を100重量部に対し1重量部より大きく100重量部以下であり、好ましくは7〜50重量部、より好ましくは7〜30重量部である。配合量が1重量部未満であると難燃性が発現しない。また、100重量部を越えるとブリードアウトが発生し、耐光処理後の反射率も低下する。
本発明におけるトリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸の塩(E)とは、シアヌール酸またはイソシアヌール酸とトリアジン系化合物との付加物が好ましく、通常は1対1(モル比)、場合により1対2(モル比)の組成を有する付加物である。トリアジン系化合物のうち、シアヌール酸またはイソシアヌール酸と塩を形成しないものは除外される。また、トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩(E)のうち、とくにメラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、2−アミド−4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、モノ(ヒドロキシメチル)メラミン、ジ(ヒドロキシメチル)メラミン、トリ(ヒドロキシメチル)メラミンの塩が好ましく、とりわけメラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミンの塩が好ましく、公知の方法で製造されるが、例えば、トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸の混合物を水スラリーとし、良く混合して両者の塩を微粒子状に形成させた後、このスラリーを濾過、乾燥後に一般には粉末状で得られる。また、上記の塩は完全に純粋である必要はなく、多少未反応のトリアジン系化合物ないしシアヌール酸、イソシアヌール酸が残存していてもよい。また、樹脂に配合される前の塩の平均粒径は、成形品の難燃性、機械的強度や耐湿熱特性、滞留安定性、表面性の点から100〜0.01μmが好ましく、更に好ましくは80〜1μmである。また、上記の塩の分散性が悪い場合には、トリス(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートなどの分散剤や公知の表面処理剤、シリカ、ポリビニルアルコールなどを併用してもかまわない。
本発明において、熱可塑性樹脂と加工酸化チタンの合計量を100重量部としたとき、リン酸エステル(D)およびトリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩(E)が7重量部より大きく100重量部以下であることが好ましく、より好ましくは7〜50重量部、さらに好ましくは7〜30重量部である。配合量が1重量部未満であると難燃性が発現しない場合がある。また、100重量部を越えると、耐光処理後の反射率も低下する場合がある。
また、トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸の塩(E)の配合量は、リン酸エステル系難燃剤(D)100重量部に対して100重量部以下が好ましく、より好ましくは50重量部以下である。トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸の塩(E)を添加することで難燃性を付与することができ、リン酸エステル系難燃剤(D)の配合量を減らすことができ、それにより、耐光処理後の反射率を向上することができる。しかしながら、100重量部を超えると機械強度が低下する場合がある。
本発明で用いられるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物には、前記成分以外に、本発明の効果が損なわれない範囲で、各種添加剤、例えば、離型剤、充填材、酸化防止剤、安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、難燃剤、難燃助剤、衝撃改良剤、滑剤、あるいは結晶化促進剤・帯電防止剤等を配合してもよい。
離型剤としては、カルナウバワックス、ライスワックス等の植物系ワックス、密ろう、ラノリン等の動物系ワックス、モンタンワックス等の鉱物系ワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等の石油系ワックス、ひまし油及びその誘導体、脂肪酸及びその誘導体等の油脂系ワックスが挙げられる。
充填材としては、各種、各形状のものが用いることができ、例えばガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維、金属繊維、アスベスト、ホイスカー等の繊維状充填材、ガラスビーズ、ガラスフレーク、炭酸カルシウム、タルク、雲母、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、ケイ酸カルシウム、クレー、金属粉等の球状板状又は無定形の粉粒状の天然もしくは合成の充填材が挙げられる。
酸化防止剤の例としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、テトラキス(メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート等のフェノール系化合物、ジラウリル−3,3´−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3´−チオジプロピオネート等のイオウ系化合物、トリスノニルフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト等のリン系化合物等が挙げられる。
安定剤としては、2−(2´−ヒドロキシ−5´−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールを含むベンゾトリアゾール系化合物、ならびに2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンのようなベンゾフェノン系化合物、モノまたはジステアリルホスフェート、トリメチルホスフェートなどのリン酸エステル等を挙げることができる。
これらの各種添加剤は、2種以上を組み合わせることによって相乗的な効果が得られることがあるので、併用して使用してもよい。なお、例えば、酸化防止剤として例示した添加剤は、安定剤や紫外線吸収剤として作用することもある。また、安定剤として例示したものについても酸化防止作用や紫外線吸収作用のあるものがある。すなわち、前記分類は便宜的なものであり、作用を限定したものではない。
紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2´−ジヒドロキシ−4,4´−ジメトキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン等に代表されるベンゾフェノン系紫外線吸収剤を挙げることができる。
また、紫外線吸収剤として例えば2−(2´−ヒドロキシ−5´−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2´−ヒドロキシ−3´,5´−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2´−ヒドロキシ−3´,5´−ビス(α,α´−ジメチルベンジル)フェニルベンゾトリアゾール、2,2´メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、メチル−3−[3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート−ポリエチレングリコールとの縮合物に代表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を挙げることができる。
更に、紫外線吸収剤として、例えば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール、2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール等のヒドロキシフェニルトリアジン系化合物を挙げることができる。
また、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ポリ〔[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)イミノ]〕、ポリメチルプロピル3−オキシ−[4−(2,2,6,6−テトラメチル)ピペリジニル]シロキサン等に代表されるヒンダードアミン系の光安定剤も含むことができ、かかる光安定剤は上記紫外線吸収剤や各種酸化防止剤との併用において、耐候剤等の点においてより良好な性能を発揮する。
難燃剤は、ハロゲン系、金属塩系、リン酸エステル系以外のリン系、赤リン、シリコン系、金属水和物系等であり、フッ素系樹脂の滴下防止剤も含む。着色剤は有機染料、有機顔料、無機顔料等が挙げられる。その他蛍光増白剤、蓄光顔料、蛍光染料、流動改質剤、無機及び有機の抗菌剤、光触媒系防汚剤、グラフトゴムに代表される衝撃改質剤、赤外線吸収剤、フォトクロミック剤等を挙げることができる。
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を用いた成形体が、その固定方法や使用用途等により、靭性が要求される場合においては、本発明の効果が損なわれない範囲内において、グラフトゴムに代表される衝撃改質剤を添加することができる。特に、分子構造中にPBTとの相溶性を持つ部分を有し、本発明の樹脂組成物中に凝集することなく均一に分散することができ、かつ耐光性が高い衝撃改質剤であることが望ましい。具体的には、ポリエステルエラストマ、アクリルゴム、アクリロニトリルゴム、シリコーンゴム、シリコーン変性アクリルゴム、エチレン−グリシジルジメタクリレート共重合体、エチレン−グリシジルジメタクリレート−ポリメチレンメタクリレートグラフト共重合体、エチレン−グリシジルジメタクリレート−酢酸ビニルグラフト共重合体、等が挙げられる。また、これらの複数の成分をコア/シェル構造にしたものを衝撃改質剤として用いることもできる。この中でもポリエステルエラストマは成形品の全光線反射率を低下させることなく、衝撃性を向上できることから、好ましい。
帯電防止剤は、界面活性剤として知られているものとして、ラウリン酸金属塩、ステアリン酸金属塩、N−ラウリルメチルアミノ酢酸ポリエーテルエステルアミド、グリセリンモノステアレート、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム塩、無水マレイン酸モノグリセライド、無水マレイン酸ジグリセライド、アルカンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
本発明で使用するポリブチレンテレフタレート樹脂(A)にフェノール系酸化防止剤を100〜1000ppm添加したものが好ましい。これは、ポリブチレンテレフタレート樹脂製造時の反応触媒として、有機チタン化合物を用いる際、その有機チタンは吸湿しやすく、このため有機チタン化合物が加水分解を起こして触媒活性を著しく低下させるという問題がある。しかも、この失活した有機チタン化合物は重合体中で不溶異物化し、それが光線反射率に悪影響を与える可能性がある。これに対して有機チタン化合物触媒にフェノール系酸化防止剤を併用することが上記問題を回避し、より光線反射率の高いポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を得ることができる。また、重合触媒として、有機すず化合物を有機チタン化合物と併用することによって重合時に発生する溶液へイズが増加し、結果としてポリブチレンテレフタレート樹脂の全光線反射率が低下するため、重合触媒として有機チタン単独で使用することが好ましい。
上記効果を発現するために、フェノール系酸化防止剤を100ppm以上添加する必要があり、また、1000ppm以上の添加は酸化防止剤そのものの変色により耐光処理後の全光線反射率低下を招くため100〜1000ppmが好ましい。
また、溶液へイズは5%以下であることが好ましい。ポリマの溶液へイズは、触媒金属化合物の反応系中での析出により生じる濁り度を表し、この値が高いと光線反射率を低下させる。5%以下であれば、光線反射率に大きな影響を与えないことから、この値を5%以下にすることによって、高い光線反射率を有する樹脂組成物を得ることが可能となる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、これら配合成分が均一に分散されていることが好ましい。その配合方法は、特に限定されるものではなく、任意の方法を用いることができる。代表例として、単軸あるいは2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダーあるいはミキシングロール等、公知の溶融混練機を用いて、200〜350℃の温度で、溶融混練する方法を挙げることができる。各成分は、予め一括して混合しておき、それから溶融混練してもよい。あるいは(A)〜(C)成分の合計100重量部に対し、例えば1重量部以下であるような少量添加剤成分については、他の成分を上記の方法等で混練しペレット化した後、成形前に添加することもできる。なお、各成分に付着している水分は少ない方がよく、予め事前乾燥しておくことが望ましいが、必ずしも全ての成分を乾燥させる必要があるわけではない。
好ましい製造方法の例としては、シリンダ温度230〜300℃の2軸押出機を用い、(A)〜(B)成分及びその他の添加物を配合した原料を該押出機に供給して混練する方法が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法、ブロー成形法、トランスファー成形法、真空成形法、注型法等の、熱可塑性樹脂の一般的な各種成形法により成形することができるが、所望の形状を精度よく再現でき、加えて生産性の高いという特徴を有することから射出成形法が好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形することにより、各種の成形体を成形することができ、特に光反射板を成形するとき、優れた性能のものを得ることができる。例えば、熱可塑性樹脂組成物を肉厚2mmの成形体に成形したときに、波長450〜800nmにおける全光線反射率は97%以上にすることができる。
このような光反射板は、各種照明器具、例えば、ダウンライト、ベースライト、スタンド、ブラケット用の反射板やルーバー、液晶モニタのバックライト用反射板、自動車、自動二輪車等をはじめとする車両用灯具向けの反射板等に好適に用いることができるが、特にダウンライト用反射板に好適に用いることができる。
以上より、良好な表面外観が得られるとともに、優れた耐光変色性及び高い光線反射性能を有する熱可塑性樹脂組成物およびそれから成形される成形体を得ることができる。
また、その成形体からは、上記優れた特性を備えた光反射板とそれを有する照明器具を得ることができる。
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。
なお、本発明の説明で使用した各種のパラメータは、以下の測定方法により得られる値である。
(イ)純水中へのアルカリ金属陽イオンおよびアルカリ土類金属陽イオンの溶出量:
予め内部を純水で洗浄した要領100ミリリットルのポリエチレン製容器内に試料1gを秤量し、純水40ミリリットルに懸濁させた。試料1gを3ミリリットルのメタノールに浸漬させた後、純水38ミリリットルを加えて懸濁させ、室温で1時間振とうした後、30分間静置して粉体を沈降させた。次いで、シリンジに上澄み液部を抜き出し、細孔径0.45μmのディスポーザブルシリンジフィルター(ジーエルサイエンス社製、クロマトディスク)でろ過しながら、下記条件にイオンクロマト装置(DX−120、DIONEX社製)に打ち込み分析した。本発明でいう、純水中へのアルカリ金属陽イオンおよびアルカリ土類金属陽イオンの溶出量とは、該アルカリ金属陽イオンと該アルカリ土類金属陽イオンの溶出量の合計である。なお、測定値は、試験数3回の平均とした。
イオンクロマト装置の分析条件:
<カチオン分析条件>
カラム:Ionpac CG12A+Ionpac CS12A
溶離液:20ミリモル/リットル メタンスルホン酸
サブレッサ:CSRS 4mm リサイクルモード
検出器:電気伝導度型
試料導入量:100マイクロリットル
<アニオン分析条件>
カラム:Ionpac AG12A+Ionpac AS12A
溶離液:2.7ミリモル/リットル Na2CO3/0.3ミリモル/リットル NaHCO3
サブレッサ:ASRS 4mm リサイクルモード
検出器:電気伝導度型
試料導入量:100マイクロリットル
(ロ)加工酸化チタンの平均粒子値:
電子顕微鏡で50000倍に拡大し、100個の粒子径を測定し、その数平均を平均粒子径とした。
(ハ)樹脂のペレット色調のb値:
直径6cm、高さ3cmの円柱形のアクリル容器に、側面は黒い画用紙で覆い、その中にペレットを50g敷き詰め、スガ試験機株式会社製SMカラーコンピューターSM5−IS−2Bで反射のLabを測定した。
また、実施例および比較例に使用した樹脂成分や加工酸化チタンの配合組成を、以下に示す。
(1)ポリブチレンテレフタレート
(A−1)ポリブチレンテレフタレート樹脂:固有粘度1.23(東レ(株)製″トレコン″1200T)、ペレット色調b値2.5。
(A−2)ポリブチレンテレフタレート樹脂:固有粘度0.85(東レ(株)製″トレコン″1100T)、ペレット色調b値1.8である。
(2)加工酸化チタン成分
(B−1)加工酸化チタン(石原産業(株)製″タイペーク″PC3)
平均粒子径0.21μmであり、塩素法により製造した純水中へのアルカリ金属陽イオンおよびアルカリ土類金属陽イオンの溶出量135ppmのルチル型酸化チタンに、アルミナ水和物およびケイ酸水和物、ポリシロキサンを処理剤として使用した。ルチル型酸化チタン含有量は93%である。
(B−2)加工酸化チタン(石原産業(株)製″タイペーク″CR63)
平均粒子径0.21μmであり、塩素法により製造した純水中へのアルカリ金属陽イオンおよびアルカリ土類金属陽イオンの溶出量13ppmのルチル型酸化チタンに、アルミナ水和物及びケイ酸水和物の2種類のみを処理剤として使用した。ルチル型の酸化チタン含有量は97重量%である。
(B−3)加工酸化チタン
平均粒子径0.21μmであり、塩素法により製造した純水中へのアルカリ金属陽イオンおよびアルカリ土類金属陽イオンの溶出量150ppmのルチル型酸化チタンに、アルミナ水和物およびケイ酸水和物、ポリシロキサンを処理剤として使用した。ルチル型酸化チタン含有量は93%である。
(B−4)加工酸化チタン
平均粒子径0.21μmであり、塩素法により製造した純水中へのアルカリ金属陽イオンおよびアルカリ土類金属陽イオンの溶出量135ppmのルチル型酸化チタンに、アルミナ水和物およびケイ酸水和物、ポリシロキサンを処理剤として使用した。ルチル型酸化チタン含有量は91%である。
(B−5)加工酸化チタン
平均粒子径0.21μmであり、塩素法により製造した純水中へのアルカリ金属陽イオンおよびアルカリ土類金属陽イオンの溶出量135ppmのルチル型酸化チタンに、アルミナ水和物およびケイ酸水和物、ポリシロキサンを処理剤として使用した。ルチル型酸化チタン含有量は98%である。
(B−6)加工酸化チタン
平均粒子径0.17μmであり、塩素法により製造した純水中へのアルカリ金属陽イオンおよびアルカリ土類金属陽イオンの溶出量135ppmのルチル型酸化チタンに、アルミナ水和物およびケイ酸水和物、ポリシロキサンを処理剤として使用した。ルチル型酸化チタン含有量は93%である。
(B−7)加工酸化チタン
平均粒子径0.23μmであり、塩素法により製造した純水中へのアルカリ金属陽イオンおよびアルカリ土類金属陽イオンの溶出量135ppmのルチル型酸化チタンに、アルミナ水和物およびケイ酸水和物、ポリシロキサンを処理剤として使用した。ルチル型酸化チタン含有量は93%である。
(B−8)加工酸化チタン
平均粒子径0.21μmであり、塩素法により製造した純水中へのアルカリ金属陽イオンおよびアルカリ土類金属陽イオンの溶出量60ppmのルチル型酸化チタンに、アルミナ水和物およびケイ酸水和物、ポリシロキサンを処理剤として使用した。ルチル型酸化チタン含有量は93%である。
(B−9)加工酸化チタン
平均粒子径0.21μmであり、塩素法により製造した純水中へのアルカリ金属陽イオンおよびアルカリ土類金属陽イオンの溶出量125ppmのルチル型酸化チタンに、アルミナ水和物およびケイ酸水和物、ポリシロキサンを処理剤として使用した。ルチル型酸化チタン含有量は93%である。
(B−10)加工酸化チタン
平均粒子径0.21μmであり、塩素法により製造した純水中へのアルカリ金属陽イオンおよびアルカリ土類金属陽イオンの溶出量140ppmのルチル型酸化チタンに、アルミナ水和物およびケイ酸水和物、ポリシロキサンを処理剤として使用した。ルチル型酸化チタン含有量は93%である。
(B−11)加工酸化チタン
平均粒子径0.21μmであり、塩素法により製造した純水中へのアルカリ金属陽イオンおよびアルカリ土類金属陽イオンの溶出量100ppmのルチル型酸化チタンに、アルミナ水和物およびケイ酸水和物、ポリシロキサンを処理剤として使用した。ルチル型酸化チタン含有量は93%である。
(3)ポリカーボネート
(C−1)ポリカーボネート樹脂:(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製″ユーピロン″3000)、粘度平均分子量20000。ビスフェノールAを出発原料としたポリカーボネート樹脂である。
(4)リン酸エステル系難燃剤
(D−1)ビスフェノール−Aビス(ジフェニルフォスフェート)(旭電化工業(株)製 FP−600)
(D−2)レゾルシノールビス(ジキシレニルフォスフェート)(大八化学工業(株)製 PX200)。
(5)トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩
(E−1)メラミンシアヌレート(三菱化学(株)製 MCA)。
(6)帯電防止剤(花王(株)製″エレクトロストリッパ″PC−3)
(7)蛍光増白剤(住化カラー(株)製″Whitefouor″)
(8)樹脂安定化剤(東レダウコーニング・シリコーン(株)製″n−ヘキサデシルトリメトキシシラン″)
(9)衝撃改良材
・エチレン/グリシジルメタクリレート=88/12(重量%)共重合体(住友化学社製ボンドファースト−E)
・ポリエステルエラストマ ハイトレル 4047
実施例及び比較例の評価方法を次に示す。
<評価方法>
[1]全光線反射率
図1に示したような薄型(ランプ横型)ダウンライト器具用の反射板を用いて、日立製作所製自記分光光度計U−4000により、波長λ=555nmの全光線反射率を測定した。
[2]表面外観
上述した[1]の全光線反射率と同形状の反射板を成形後、光反射面の外観を目視で確認し、表面状態を下記の通りの判定基準にて、◎、○、△、×で判定した。
◎・・・・・シルバー、ヤケ等の異常は全く認められない
○・・・・・シルバー、ヤケ等の異常がほとんど認めらない
△・・・・・シルバー、ヤケ等の異常が認められる
×・・・・・著しいシルバー、ヤケ等の異常が認められる
[3]耐光性(実用点灯試験)
上述した[1]の全光線反射率と同形状の反射板を用いて、コンパクト蛍光灯32W(松下電器産業製:FHT32EXN)を使用し、24時間連続点灯(反射板最高温度130℃)、試験期間3ヶ月実施後、(株)日立製作所製自記分光光度計U―4000により、波長λ=555nmの全光線反射率を測定しその反射率の低下で変色度合を下記の通りの判定基準にて、◎、○、△、×で判定した。
◎・・・・・ 反射率低下3%以内:変色は全く認められない。
○・・・・・ 反射率低下3 〜10%以内:変色が若干認められる。
△・・・・・ 反射率低下10〜20% 以内:変色が認められる。
×・・・・・ 反射率低下20%以上:著しい変色が認められる。
実施例1〜23
(A)成分から(E)成分およびその他添加剤を、表1、表2に示す組み合わせで配合した。各実施例に記載した材料の製造方法は次の通りである。
すなわち、シリンダ温度250℃に設定したスクリュー径φ57mmの2軸押出機を用いて製造した。(A)成分(ポリブチレンテレフタレート樹脂)、(B)成分(加工酸化チタン)、並びにその他の添加剤全てを元込め部から供給して溶融混練を行い、ダイスから吐出されたストランドを冷却バス内で冷却した後、ストランドカッターにてペレット化した。
得られた各材料は、130℃の熱風乾燥機で3時間以上乾燥した後、前記評価方法記載の方法により成形し、それぞれの全光線反射率、表面外観、耐光性を測定し、その結果を表1、2に併記した。得られた組成物は、何れも、光線反射率、表面外観、耐光性に優れたものであった。
実施例1は、ISO179に準拠した方法でノッチ付きシャルピ衝撃値を測定したところ、0.3kJ/m2 であった。その他の特性は表1の通りである。
実施例16は、ISO179に準拠した方法でノッチ付きシャルピ衝撃値を測定したところ、0.5kJ/m2 であった。その他の特性は表1の通りである。
実施例17は、ISO179に準拠した方法でノッチ付きシャルピ衝撃値を測定したところ、1.0kJ/m2 であった。その他の特性は表1の通りである。
実施例18は、ISO179に準拠した方法でノッチ付きシャルピ衝撃値を測定したところ、2.0kJ/m2 であった。その他の特性は表1の通りである。
実施例19は、UL94のV試験に準拠した方法で1.5mm厚みの燃焼性を確認したところ、V0であった。また、ISO179に準拠した方法で、ノッチ付きシャルピ衝撃値を測定したところ、1.2kJ/m2 であった。その他の特性は表1の通りである。
実施例20は、UL94のV試験に準拠した方法で1.5mm厚みの燃焼性を確認したところ、V1であった。また、ISO179に準拠した方法で、ノッチ付きシャルピ衝撃値を測定したところ、1.1kJ/m2 であった。その他の測定は表1の通りである。
実施例21は、UL94のV試験に準拠した方法で1.5mm厚みの燃焼性を確認したところ、V0であった。また、ISO179に準拠した方法で、ノッチ付きシャルピ衝撃値を測定したところ、1.1kJ/m2 であった。その他の特性は表1の通りである。
実施例22は、UL94のV試験に準拠した方法で1.5mm厚みの燃焼性を確認したところ、V0であった。また、ISO179に準拠した方法で、ノッチ付きシャルピ衝撃値を測定したところ1.2kJ/m2 であった。その他の特性は表1の通りである。
実施例23は、UL94のV試験に準拠した方法で1.5mm厚みの燃焼性を確認したところ、V0であった。また、ISO179に準拠した方法で、ノッチ付きシャルピ衝撃値を測定したところ、0.8kJ/m2 であった。その他の特性は表1の通りである。
比較例1〜6
比較例の配合処方並びに評価結果を表2に示す。
比較例1は、PBTに指定の加工酸化チタンを44重量部配合した系であるが、加工酸化チタンに純水中へのアルカリ金属陽イオンおよびアルカリ土類金属陽イオンの溶出量が低く、かつ表面処理剤も異なるため、耐光変色性が満足いくものではなかった。
比較例2は、ポリカーボネート樹脂に指定の加工酸化チタンを44重量部配合した系であるが、耐光変色性、成形品の表面外観ともに満足いくものではなかった。
比較例3は、比較例2の処方に樹脂安定化剤を添加した処方であるが成形品の表面外観は良好になったものの耐光変色性の向上効果は認められなかった。
比較例4は、純水中へのアルカリ金属陽イオンおよびアルカリ土類金属陽イオンの溶出量が150ppmである酸化チタンを使用した処方であるが、表面外観が満足いくものではなかった。
比較例5は、純水中へのアルカリ金属陽イオンおよびアルカリ土類金属陽イオンの溶出量が60ppmである酸化チタンを使用した処方であるが、表面外観は良好なものの耐光性は満足いくものではなかった。
比較例6は、PBTに指定の加工酸化チタンを10重量部配合した系であるが、加工酸化チタンの純水中へのアルカリ金属陽イオンおよびアルカリ土類金属陽イオンの溶出量が低く、かつ表面処理剤も異なるため、全光線反射率は満足いくものではなかった。
Figure 2007321144
Figure 2007321144
図1は、本発明の実施例、比較例の評価をするのに使用した薄型(ランプ横型)ダウンライト器具を示した概略斜視図である。

Claims (12)

  1. ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)に、加工酸化チタン(B)を配合した熱可塑性樹脂組成物であり、前記加工酸化チタン(B)が、純水中へのアルカリ金属陽イオンおよびアルカリ土類金属陽イオンの溶出量が70ppmより多く、140ppm以下であるルチル形酸化チタン(a)にアルミナ水和物、ケイ酸水和物およびポリシロキサンを含む処理剤(b)を添加して得られたものである熱可塑性樹脂組成物。
  2. 前記加工酸化チタン(B)中の前記ルチル型酸化チタン(a)の含有量が、92重量%以上97重量%以下であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100重量部に対し、前記加工酸化チタン(B)を20〜49重量部を配合してなることを特徴とする請求項1または2記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 前記加工酸化チタン(B)の平均粒子径が0.18〜0.22μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. さらにポリカーボネート樹脂(C)を添加してなる請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. さらにリン酸エステル系難燃剤(D)を添加してなる請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 前記リン酸エステル系難燃剤(D)が、下記一般式(1)で示されるものである請求項6記載の熱可塑性樹脂組成物。
    Figure 2007321144
    (式中、Meはメチル基を表し、nは0から5の整数、k、mはそれぞれ0以上2以下の整数を示し、かつk+mは2以下の整数を示す。)
  8. さらに、トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩(E)を添加してなる請求項1〜7のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  9. 熱可塑性樹脂と加工酸化チタンの合計量を100重量部としたとき、リン酸エステル系難燃剤(D)およびトリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩(E)が7重量部より大きく100重量部以下である請求項8記載の熱可塑性樹脂組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体。
  11. 請求項1〜9のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる光反射板。
  12. 請求項11に記載の光反射板を用いてなる照明器具。
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