JP2007320893A - アトピー性皮膚炎の改善用飲食品 - Google Patents

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Abstract

【課題】アトピー性皮膚炎の皮膚症状を改善する。
【解決手段】アトピー性皮膚炎の改善用飲食品を梅の葉を主材料として構成した。
【選択図】なし

Description

本発明は、アトピー性皮膚炎の皮膚症状(炎症および痒み)を改善する飲食品に関するものである。
近年、アトピー性皮膚炎にかかる患者が急増しており、深刻な問題となっている。アトピー性皮膚炎は「寛解・増悪を繰り返す、掻痒のある湿疹を主病変とする疾患」と定義づけられているが、その病態の詳細は依然不明であり、確立した治療法や食事療法がいまだにないのが実情である。アトピー性皮膚炎の治療としては、これまでも副腎皮質ホルモン、抗ヒスタミン剤などの薬剤の投与等がなされてきているが、体質によっては効果が充分でないことに加えて、長期間の使用による副作用の問題もあった。
また、アトピー性皮膚炎の治療としては、食物アレルギーに起因するものでは、食材から卵、牛乳、大豆等を除く食事療法があげられ、また、生活環境からダニ、真菌(カビ)などの抗原物質の除去なども試みられているが、これらの抗原物質を完全に除くことは困難であり、取り除くという作業の負担が大きいものであると同時に、精神的負担も大きいという問題点もあった。
一方、梅はバラ科サクラ属の植物であって、その実は、昔から、梅干、梅酒、梅酢などとして飲食に供されており、胃がんの抑制、殺菌、高血圧と動脈硬化の防止、血液サラサラ、血糖値の低下、抗酸化の各働きがあることが知られているが、その葉自体は何ら注目されることなく、廃棄されているのが実情である。したがって、梅の葉にアトピー性皮膚炎を治療する作用があることは知られる筈もなく、まして、梅の葉をアトピー性皮膚炎の治療に用いることは全く考えられていなかった。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、副作用に悩まされることがなく、摂取が容易で、かつ、安価にアトピー性皮膚炎を治療または症状の軽減を実施できるアトピー性皮膚炎改善用飲食用品の提供をその目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明のアトピー性皮膚炎の改善用飲食品は、梅の葉を主原料とするという構成をとる。ここで、梅の葉を主原料とするとは、梅の葉を直接もしくは粉末状にして湯または水で抽出して飲用に供したり、梅の葉を粉末にしてふりかけ状にして食用に供するものを含み、それらの原料の過半を梅の葉が占めることをいう。
すなわち、本発明者は、種々の茶葉、梅の実をはじめとし、各種の植物の葉、実についてアトピー性皮膚炎に対する薬効について実験、研究を重ね、従来、不要物として廃棄されていた梅の葉が、アトピー性皮膚炎に対し有効であることを見いだし、本発明に到達した。
このように、本発明のアトピー性皮膚炎の改善用飲食品は、梅の葉を主原料とするため、副作用に悩まされることなく長期間の摂取が可能であり、また、通常飲用しているお茶などに代えて摂取することができ、しかも、従来不要物として廃棄されていた梅の葉を有効利用することから、安価である。
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明のアトピー性皮膚炎の改善用飲食品は、梅(Prunus mume)の葉を乾燥させ粉末化(狭義の粉末だけでなく、微小片も含む)して茶葉状にしたもの、または、上記茶葉状の梅の葉を湯水で抽出した水性抽出液等の形態をとる。水性抽出液には、抽出液そのもの、もしくは、その抽出液中に抽出残渣である梅の葉を含んでいるものが含まれる。
本発明のアトピー性皮膚炎の改善用飲食品は、前記のような優れた効果を奏する。そこで、本発明者が、梅の葉の水性抽出液を分析した結果、一般的な緑茶等に含まれるカテキン(エピガロカテキンガレート)は検出しなかったが、ポリフェノールの一種であるタンニン(タンニン酸)は、青梅の40倍も含まれていることが判明した。その分析結果を表1に示す。
Figure 2007320893
この分析結果から、梅の葉の水性抽出液の有効成分は、タンニン(タンニン酸)であり、これに基づき、アトピー性皮膚炎に対する改善効果が得られると推測される。
本発明のアトピー性皮膚炎の改善用飲食品は、先に述べたように、例えば梅の葉の乾燥物を湯水で抽出することにより製造することができる。すなわち、梅の葉の乾燥物100重量部(以下「部」と略する)に対して、8000部の水を加えて沸騰させ、沸騰水中で10分間程度抽出(抽出液濃度「梅の葉有効成分固形物/水=0.05部/100部」)を行うことにより得ることができる。この場合、通常は、抽出残渣である梅の葉はろ過等で除かれるが、お茶を喫飲するように、梅の葉をそのまま残しておいてもよい。また、上記湯水抽出液を希釈したり、さらに抽出液の濃度を高めるようにしてもよい。その際の濃度は、0.01〜10.00部/100部の範囲内、好ましくは0.05〜0.10部/100部の範囲内に設定される。また、上記抽出液を乾燥させ粉末状にし、これを本発明の改善用飲食品としてもよい。この場合、上記抽出液を、エバポレーター、スプレードライヤー、凍結乾燥機等に順次かけて行う。
本発明のアトピー性皮膚炎の改善用飲食品は、上記の抽出物を水抽出液の状態のままお茶として飲用することができる。また、乾燥物としての抽出物を使用する場合には、錠剤、丸剤、散剤、粉剤、顆粒剤、シロップ剤、液剤、懸濁剤、乳剤、カプセル剤等としてもよい。さらに、梅の葉の乾燥物を粉砕したものを、そのまま摂取または使用してもよい。また、梅の葉を佃煮、漬物等に加工してもよい。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
まず、実施例および比較例に先立ち、下記のように、梅の葉抽出液の調製、アトピー性皮膚炎発症マウスの準備をした。
〔梅の葉抽出液の調製〕
乾燥させた梅の葉6gに、500mlの水を加え、100℃の条件下で10分攪拌して梅の葉抽出液を調製した(濃度:梅の葉有効成分固形物/水=0.05g/100g)。
〔皮膚炎発症マウス〕
アトピー性皮膚炎モデル動物として汎用されているNC/Ngaマウス(以下「マウス」という)20匹を、空気中微生物の制御を行っていない通常の環境下において115.3±27.5日、市販飼料:日本クレア社CE−2(以下「市販飼料」という)で飼育し、ヒトのアトピー性皮膚炎に類似した皮膚炎を発症させた。
その後、マウスの皮膚炎症状を観察し、アトピー性皮膚炎の臨床評価方法に基づき、掻痒、痂皮、表皮剥離(耳欠損+耳出血)、顔出血(顔出血+紅斑)、浮腫、鱗屑、触診、脱毛の8項目について、それぞれ全く症状の見られないものを0、重度のものを6として、下記の評価基準に基づいて点数をつけ、0〜6までの7段階で評価を行った。このように評価した上記8項目の点数を合計し、マウスの〔皮膚炎症状度〕とした。上記痂皮、表皮剥離、顔出血、浮腫は、皮膚の炎症に基づく痒みのため、マウスが患部をかきむしって(掻き毟って)生じたものである。
〔1:掻痒の評価基準〕
ケージの外からマウスの行動を1回30秒間、2回ずつ観察した。
1・・・激しい身づくろいが見られる。
2・・・頭頂部を中心に前足を使って掻く行為が見られる。
3・・・頭頂部を中心に前足を使って執拗に掻く行為が見られる。
4・・・後足も使って体全体を掻く行為が見られる。
5・・・後足も使って体全体を執拗に掻く行為が見られる。
6・・・間断なく、体全体を掻きむしる行為が見られる。
〔2:痂皮の評価基準〕
頭部・頚部・背部(顔面、耳介部は除く)の皮膚の状態を観察した。
1・・・小さい痂皮が1〜2個見られる。
2・・・中程度の痂皮が1〜2個見られる。
3・・・小さな痂皮が多数見られる。
4・・・中程度の痂皮が多数見られる。
5・・・多数の痂皮が目立ち、出血を伴うものが数個ある。
6・・・多数の痂皮が目立ち、出血を伴うものが無数にある。
〔3−1:耳欠損の評価基準〕
1・・・左右いずれかの耳介辺縁に極小の裂傷が1ヶ所見られる。
2・・・耳介辺縁に極小の裂傷が見られる。
3・・・耳介辺縁に裂傷あるいは変形が見られ、耳が元の大きさの7割程度に萎縮している。
4・・・耳介辺縁に裂傷あるいは変形が見られ、耳が元の大きさの半分程度に萎縮している。
5・・・耳介辺縁に裂傷あるいは変形が見られ、耳が元の大きさの3割程度に萎縮している。
6・・・耳介辺縁の裂傷あるいは変形の程度が甚だしく、耳が元の大きさの2割以下に萎縮している。
〔3−2:耳出血の評価基準〕
1・・・左右いずれかの耳介辺縁に1ヶ所わずかな出血跡が見られる。
2・・・耳介辺縁に、1〜2ヶ所わずかな出血跡が見られる。
3・・・耳介辺縁沿って、出血跡が1〜2ヶ所見られる。
4・・・耳介辺縁沿って、出血部が1〜2ヶ所見られる。
5・・・耳介辺縁に、広範囲にわたる出血部が数ヶ所見られる。
6・・・耳介辺縁に、広範囲にわたる出血部が数ヶ所見られ、出血の程度が激しい。
〔4−1:顔出血の評価基準〕
1・・・左右いずれかの顔面に、わずかな出血跡が見られる。
2・・・小さな出血跡が複数個見られる。
3・・・出血跡が広がり、血の滲んでいる部分が見られる。
4・・・出血部が広がり、左右いずれかの出血が激しい。
5・・・出血部が広範囲にわたっていて、左右とも出血が見られる。
6・・・出血部が広範囲にわたっていて、左右とも出血の程度が激しい。
〔4−2:紅斑の評価基準〕
顔面における病変部を観察した。
1・・・紅斑または潰瘍部が1ヶ所見られる。
2・・・紅斑が数個連なって見られる。または眼に沿って潰瘍部が広がっている。
3・・・左右いずれかの潰瘍部が頬まで広がっている。
4・・・左右とも潰瘍部が頬まで広がっている。
5・・・左右とも潰瘍部が広範囲に及び、顔面の半分以上にわたっている。
6・・・左右とも潰瘍部が広範囲に及び、顔面の7割以上にわたっている。
〔5:浮腫の評価基準〕
1・・・鼻の周囲にむくみが見られる。
2・・・鼻周辺のむくみが目立ち、左右いずれかの眼球が小さく見える。
3・・・鼻周辺を中心にむくんでいて、左右いずれがの眼球が落ちくぼんで見える。
4・・・むくみが顔面に広がり、眼球が小さく見える。
5・・・顔面のむくみが目立ち、眼球が細く見える。
6・・・顔面がむくみ、眼球がほとんど閉じている。
〔6:鱗屑の評価基準〕
1・・・極微小の鱗屑が1〜2個見られる。
2・・・微小の鱗屑が多数見られる。
3・・・鱗屑が局所的に密集して見られる。
4・・・鱗屑が頭部から背部にかけてまばらに広がっている。
5・・・鱗屑が体全体に広がり、大きな鱗屑が1〜2個見られる。
6・・・鱗屑が体全体に広がり、大きな鱗屑が多数見られる。
〔7:触診の評価基準〕
頚部・背部を中心に指先で皮膚をつまみ、湿疹および痂皮形成部、凝血塊を触診した。本法は体毛に被われ、検出困難な発症の識別に有効である。
1・・・小さな湿疹または痂皮が、1個触知できる。
2・・・小さな湿疹または痂皮が、数個触知できる。
3・・・湿疹または痂皮が、局所的に複数個触知できる。
4・・・湿疹または痂皮が、広範囲にわたり多数触知できる。
5・・・湿疹または痂皮が、体全体に広がり、凝血塊が触知できる。
6・・・体全体に湿疹、痂皮、凝血塊が広がり、軽く触れただけで凹凸が触知できる。
〔8:脱毛の評価基準〕
1・・・毛並みが悪い。
2・・・頭部から頚部にかけての毛が薄く、まばらになっている。
3・・・毛が薄くなっている部分が広範囲にわたっている。
4・・・頭部から背部にかけての脱毛が明らかで、広範囲にわたっている。
5・・・脱毛により、背部の表面が見える。
6・・・脱毛により、背部だけでなく腹部の表皮も見える。
次に、皮膚炎症状度が均等になるようマウス20匹を2群(1群=10匹)に分け、一方を実施例1(梅の葉抽出液投与群)とし、他方を比較例1(対照群)とした。
〔実施例1〕
梅の葉抽出液投与群である上記マウス10匹を、水に代えて上記のようにして調製した梅の葉抽出液を自由摂取させるとともに、市販飼料を自由摂取させ、49日間飼育した。
〔比較例1〕
対照群である前記マウス10匹を、実施例1の梅の葉抽出液に代えて水を自由摂取させ、実施例1と同様に49日間飼育した。
実施例1および比較例1について、それぞれ症状度の評価を行い、実験開始時の症状度と比較を行った。結果を表2に示す。なお、結果は、平均値で表している(以下、表3、表4において同じ)。
Figure 2007320893
上記の表2において、皮膚炎症状改善割合は、次のようにして求めた。すなわち、実験開始時および実験終了時の症状度の差を算出し、この値を〔症状改善度〕とした。また、皮膚炎症状改善度を実験開始時の皮膚炎症状度で除し、100を乗じて算出した値を〔皮膚炎症状改善割合〕として、実験開始時の皮膚炎症状度に対する改善度の割合を示している。算出した結果を表3に示す。
Figure 2007320893
上記表2に示された結果より、実施例1、比較例1とも実験開始時の皮膚炎症状度(合計値)は20前後であったが、比較例1は、実験開始後有意に悪化し、実験終了時(49日後)には、25.9±4.0であることがわかる(p<0.01)。それに対し実施例1は、症状に改善がみられ、実験終了時の皮膚炎症状度は14.3±2.5で、有意な改善が認められた(p<0.01)。また、実験終了時の実施例1、比較例1の症状度には、表3に示すように、有意な差がみられた(p<0.01)。すなわち、梅の葉抽出液を摂取させることで、アトピー性皮膚炎の症状が顕著に改善されることが示された。
一方、実施例1および比較例1について、実験開始時および実験終了時に体重を、実験終了時に臓器重量の測定を行った。また、試験期間中に摂取した市販飼料の量も測定した。測定した結果を表4、表5に示す。
Figure 2007320893
Figure 2007320893
上記の表4、表5から、マウスの体重、摂食量、臓器重量とも、実施例1と比較例1との間に有意な差は見られないことがわかる。したがって、梅の葉抽出液は、マウスの体重、摂食量、臓器重量に影響を与えないと考えられる。
次に、梅の葉抽出液を摂取させることによる皮膚症状の改善が、高IgE血症状態を解消することによるものであるかを検討すべく、実施例1と比較例1のIgE値の測定をエライザ(ELISA)法を用いて行った。ここで、エライザ(ELISA)法とは、抗原抗体反応の定量的測定法の一種で、標識した酵素(抗原)を用いて抗体(IgE)を定量する方法で、エンザイムイムノアッセイ(Enzyme linked immuno-sorbent assay,ELISA)と呼ばれている。本発明では、具体的には、IgEの測定にサンドウイッチ法を用いて行った。その結果、実施例1は19.189μg/ml、比較例1は18.382μg/mlであり、両者に有意な差は認められなかった。したがって、梅の葉抽出液は、IgEの産生に影響を与えるのではなく、各種メディエーターの産出遊離の抑制等の別の機構により、アトピー性皮膚炎の症状を改善するものと考えられる。なお、IgEとは、免疫抗体の一種で、IgE抗体が抗原と反応すると障害反応が現れる。アトピー性アレルギー(アトピー)は、IgE抗体が介するアレルギー反応が主要な病態である。アトピー性疾患にはアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性喘息があり、本発明はこれらに有効である。
〔実施例2〕
実施例1と同様の方法で得られた梅の葉抽出液を、アトピー性皮膚炎患者(女性7名、年齢20歳、男性1名、18歳の合計8名)に一日300mlを数回に分けて2週間摂取させた。摂取開始前の症状に対する摂取終了後の症状の改善について、患者のアンケートを行った。アンケートの結果を表6に示す。
Figure 2007320893
上記表6より、梅の葉抽出液を摂取した患者の全員が症状が改善したと回答し、梅の葉抽出液の摂取が症状の改善に効果があり、皮膚が良くなったと実感していた。梅の葉抽出液は、マウスだけでなく、人のアトピー性皮膚炎の症状を改善する効果があることがわかった。

Claims (2)

  1. 梅の葉を主原料とするアトピー性皮膚炎の改善用飲食品。
  2. 上記食品がお茶であることを特徴とする請求項1記載のアトピー性皮膚炎の皮膚症状を改善する食品。
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JP2013081447A (ja) * 2012-01-23 2013-05-09 Takasumi Hieda 松茶・竹茶・梅茶を混合加工した、慶祝用を中心とする松竹梅茶。

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