JP2007320314A - 固化方法及びこれに用いる固化剤 - Google Patents
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Abstract
固化作業時の作業性を向上すると共に、多様な固化対象資材に対しても適切な固化強度を容易に達成することが可能な、固化方法及びこれに用いる固化剤を提供すること。
【解決手段】
固化対象資材とカルシウム系組成物とに対し、リグニン系組成物及び珪酸ナトリウムを主成分として調製された溶液Aと、リグニン系組成物及び塩化カルシウムを主成分として調製された溶液Bとを順次又は同時に添加し、攪拌混合して固化対象資材を固化することを特徴とする固化方法である。
【選択図】なし
Description
これに対し、予め、全ての添加剤を混合し、作業現場において必要量だけ計量し使用することも可能であるが、この場合には、添加剤間で化学反応が進行し、溶液がゲル状となり易く、固化対象資材への添加も同時となるため、固化反応が急速に進み、固化作業に係る時間を十分に確保することが出来ないなどの不具合を生じることとなる。
さらに、固化対象資材は多様であるため、固化作業現場において、各種添加剤の量を適切に調整しないと、所要の強度を達成することが出来ないという問題もある。
本発明の固化方法は、固化対象資材とカルシウム系組成物とに対し、リグニン系組成物及び珪酸ナトリウムを主成分として調製された溶液Aと、リグニン系組成物及び塩化カルシウムを主成分として調製された溶液Bとを順次又は同時に添加し、攪拌混合して固化対象資材を固化することを特徴とする。
本発明に係る固化剤は、リグニン系組成物及び珪酸ナトリウムを主成分として調整された固化剤A、及びリグニン系組成物及び塩化カルシウムを主成分として調整された固化剤Bを、主として用いる。
リグニン系組成物は、リグニンスルホン酸化合物、リグニンスルホン酸塩、オキシカルボン酸塩、ポリカルボン酸化合物、ポリカルボン酸エーテル化合物、ナフタレンスルホン酸化合物、スルホン酸塩、グリシトール誘導体、ポリオールの少なくとも一つ又はこれらを組合わせて利用される。リグニン系組成物は、セメントなどのカルシウム系組成物の流動性を向上し、カルシウム系組成物の使用量を抑えると共に、減水作用を高める作用がある。
キレート剤としては、キレート樹脂、フェノール系、活性炭、ステレン系などがあり、特に焼却灰に含まれる有害重金属などの溶出を完全に防止するには、高分子液体キレートが好適である。キレート剤の添加量は、総重量に対し1〜5重量%程度である。
さらに、本発明に係る固化剤は、水溶性であるため、固化剤A,Bは、単に原液のみを意味するのではなく、原液を数十倍〜数百倍に希釈したものを含むものである。
本発明に係る固化方法が適用可能な固化対象資材としては、有機質又は無機質あるいは有機及び無機混合の廃棄物が利用可能であり、例えば、土砂、石炭灰、フライアッシュ、火山灰、汚泥、陸海のヘドロ、焼却灰、木材チップ、解体物廃材などのうち少なくとも一つ又はこれらの組合せが、利用可能である。例えば、生活汚泥や焼却灰を利用した非燃焼煉瓦・ブロック・プランタンなどの固化製品を製造することが可能であり、さらには、下水し尿処理汚泥を利用した下層路盤・埋め戻し材・非燃焼煉瓦など、廃油を利用した植木鉢・プランタンなど、石炭焼却灰を利用した砂利・耐火ボード・道路用路盤材など、火山灰を利用した着色非焼却煉瓦・ブロック・道路用路盤材など、水中ヘドロを利用した漁礁・テトラポット・護岸工事用素材など、おが屑を利用した建築用ボードなど、石粉末・石ヘドロを利用した墓石・線香立て・石板・玉石・骨材など、各種固化対象資材を多様な用途の固化製品に利用することが可能である。
本発明の固化方法は、固化対象資材とカルシウム系組成物とに対し、リグニン系組成物及び珪酸ナトリウムを主成分として調製された固化剤Aと、リグニン系組成物及び塩化カルシウムを主成分として調製された固化剤Bとを順次又は同時に添加し、攪拌混合して固化対象資材を固化することを特徴とする。特に、固化剤A及びBの添加時期や、カルシウム系組成物の混合時期を調整することにより、多様な固化方法を提供することが可能となる。また、攪拌混合工程において、混練工程を併用することで、固化剤A又はBが存在する中で、固化対象資材又はカルシウム系組成物を、密度を上げて均一に混合することが可能となり、結合強度の向上や均質な強度を実現することが可能となる。
このように、固化剤の添加工程と攪拌工程を、2段階の攪拌工程に分けることにより、固化反応が急速に進行するのを調整でき、材料全体での強度のばらつきも抑制することが可能となる。特に、第1攪拌工程で固化した半製品を新たな骨材として利用することも可能となる。このような2段階の攪拌工程においては、カルシウム系組成物を各攪拌工程に分けて添加する方法や、第1又は第2のいずれかの工程のみにおいて添加する方法も可能である。
さらに、第2攪拌工程において、第1攪拌工程で攪拌混合する固化対象資材より粒径の小さい他の固化対象資材を追加投入することで、第1攪拌工程で固化した半製品を新たな骨材とし、追加投入した粒径の小さな他の固化対象資材を、該骨材の周りに付着・固化することも可能となる。これにより、粒径の小さな固化対象資材が含まれる場合も、セメントなどの使用量を抑制しながら効率よく固化を行うことができる。
道路敷設においても、上述したように固化対象資材にセメントや固化剤A及びBを添加したものを、混練機付アスファルトフィニッシャーまたは混練機付グレーダーなどの混練機で練り上げたものを、道路に落下させ、ロードローラーで転圧することも可能である。
この際には、固化対象資材に、道路や路盤の表面材料を粉砕した材料を利用することにより、既存の道路や路盤の表面材料を再利用でき、廃棄物の発生を抑制すると共に、新たな原料・資材の調達・運搬も抑制でき、環境への負荷が少なく、コストの低下も実現可能となる。
(1)路面の不陸修正、
(2)掘削、スタビライザー又はグレーダーブルドーザーなど(路盤の雑石除去)、
(3)切り込み砂利所定圧(例えば3cm厚)、所定粒径(例えば40mm)以下均敷(砂利道では不要)、
(4)ポルトランドセメント撒布(例えば、1m2当たり15kg程度)、
(5)スタビライザーで攪拌混合、
(6)固化剤A又はB撒布(例えば1m2当たり8liter程度。ただし、25〜50倍程度に希釈化した溶液を使用)(モノフレックスのポンプを利用して撒布可能)、
(7)再度スタビライザーで攪拌混合、
(8)不陸修正、
(9)ローラ処理(最初転圧軽め、後は重め)、
(10)軽ローラ後、砕石5〜6号少量撒布、重ローラで締め固め、
(11)固化剤A又はB撒布(例えば、1m2当たり1liter程度。ただし、25〜50倍程度に希釈化した溶液を使用。また、アスファルト乳化剤を添加した固化剤が好ましい。)
(12)撒布後、修正養生。
このように、道路敷設においては、攪拌混合を路面上で行うため、道路や路盤などの大量の材料を処理する場合でも、作業場所を確保できると共に、既存のスタビライザーなどを利用して効率的な作業を行うことが可能となる。
さらに、海砂を固化対象資材として用いる場合には、砂に付着した塩分を取り除くことが好ましく、その際には、固化剤A又はBを40倍程度に希釈し、該希釈液で、砂を洗浄することで、塩分を効果的に除去できるだけでなく、固化作業時の結着能力を高めることが可能となる。なお、洗浄に使用した希釈液は、他の海砂の洗浄に再利用するのが好ましい。なお、海水汲み上げヘドロの固化実験では、塩分濃度は海水の5倍濃度まで固化を確認している。
焼却灰(飛灰。鹿児島県川辺郡川辺町清掃センターから採取)30kgに対し、セメント(製品名:ポルトランド、太平洋セメント株式会社製)2.4kgを混合すると共に、固化剤A(リグニンスルホン酸塩61%,珪酸ナトリウム36%,セルロースを含む添加剤3%)を20倍に希釈した溶液を60cc添加し、混練機(装置名:ペレガイヤ、北川鉄工株式会社製)で4分間混練し、次に、固化剤B(リグニンスルホン酸塩55%,塩化カルシウム42%,グリコースを含む添加剤3%)を30倍に希釈した溶液を30cc添加し、再度、混練機で混練し、型枠内に混練物を流し込み、縦50mm×横50mm×高さ50mmのブロック体を成形した。
製造したブロック体の圧縮強度は233kgf/cm2(2283.4N/cm2)、曲げ強度60kgf/cm2(588N/cm2)が得られた。また、金属等の溶出試験(昭和48年環境庁告示第13号)を行った結果、カドミウム0.005mg/l未満(JIS K0102 55.1,フレーム原子吸光法)、鉛0.01mg/l未満(JIS K0102 54.1,フレーム原子吸光法)、六価クロム0.04mg/l未満(JIS K0102 65.2.2,フレーム原子吸光法)、砒素0.01mg/l未満(JIS K0102 61.2,水素化物発生原子吸光法)、総水銀0.0005mg/l未満(昭和46年環境庁告示第59号付表1,還元気化原子吸光法)、アルキル水銀検出されず(昭和46年環境庁告示第59号付表2,ガスクロマトグラフ法)、セレン0.01mg/l未満(JIS K0102 67.2,水素化合物発生原子吸光法)であり、極めて安定したブロック体を得ることができた。
製造したブロック体の圧縮強度は352kgf/cm2(3449.6N/cm2)、曲げ強度74kgf/cm2(725.2N/cm2)が得られた。
製造したブロック体の圧縮強度は285kgf/cm2(2793N/cm2)、曲げ強度60kgf/cm2(588N/cm2)が得られた。
敷設した道路の強度・加重試験を行ったところ、一軸圧縮強度30.2kgf/cm2(295.96N/cm2)が得られ、通常の道路として十分に機能することが確認された。
Claims (15)
- 固化対象資材とカルシウム系組成物とに対し、リグニン系組成物及び珪酸ナトリウムを主成分として調製された溶液Aと、リグニン系組成物及び塩化カルシウムを主成分として調製された溶液Bとを順次又は同時に添加し、攪拌混合して固化対象資材を固化することを特徴とする固化方法。
- 請求項1に記載の固化方法において、固化対象資材に該溶液A又は該溶液Bのいずれかを添加し、攪拌混合する第1攪拌工程と、その後該溶液A又は該溶液Bのうち残りの溶液を添加し、再度攪拌混合する第2攪拌工程と有することを特徴とする固化方法。
- 請求項1又は2に記載の固化方法において、カルシウム系組成物がセメント、石膏又は石灰であり、添加量が混合される材料の総重量に対し、3〜20重量%であることを特徴とする固化方法。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の固化方法において、該固化対象資材は、有機質又は無機質あるいは有機及び無機混合の廃棄物を含むことを特徴とする固化方法。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の固化方法において、該溶液A又は溶液Bのいずれかにアスファルト乳化剤が含まれていることを特徴とする固化方法。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載の固化方法において、該攪拌混合が、混練工程を有することを特徴とする固化方法。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の固化方法において、攪拌混合した後、形状型枠への圧縮又は流し込みにより成形し、固化することを特徴とする固化方法。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の固化方法において、該固化対象資材が、道路や路盤の表面材料を粉砕した材料を含み、攪拌混合した後、路面に再敷設し固化させることを特徴とする固化方法。
- 請求項8に記載の固化方法において、攪拌混合を路面上で行うことを特徴とする固化方法。
- 請求項8又は9に記載の固化方法において、再敷設した後、該溶液A又は該溶液Bの少なくとも一方の溶液を路面に撒布し養生させることを特徴とする固化方法。
- 請求項1乃至10のいずれかに記載の固化方法に用いるリグニン系組成物及び珪酸ナトリウムを主成分として調整された固化剤。
- 請求項1乃至10のいずれかに記載された固化方法に用いるリグニン系組成物及び塩化カルシウムを主成分として調整された固化剤。
- 請求項11又は12に記載の固化剤において、リグニン系組成物は、リグニンスルホン酸化合物、リグニンスルホン酸塩、オキシカルボン酸塩、ポリカルボン酸化合物、ポリカルボン酸エーテル化合物、ナフタレンスルホン酸化合物、スルホン酸塩、グリシトール誘導体、ポリオールの少なくとも一つを含むことを特徴とする固化剤。
- 請求項11乃至13のいずれかに記載の固化剤において、アスファルト乳化剤が添加されていることを特徴とする固化剤。
- 請求項11乃至14のいずれかに記載の固化剤において、セルロース系又はグリコース系の増粘剤と界面活性剤との混和剤が添加されていることを特徴とする固化剤。
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