JP2007319784A - 淡水化装置及び淡水化方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】海水を貯留する海水受水槽(1)と、貯留した海水中にマイクロバルブを発生させる超微細気泡生成手段(2)と、マイクロバブルを含んだ海水を落下させる落下装置(4)と、落下する超微細気泡を含んだ海水が衝突する複数の衝突部材(51、52)を設けた蒸発室(5)と、蒸気室(5)で発生した水蒸気が流過する水蒸気流路(6)と、水蒸気流路(6)を通過した水蒸気を凝縮させる凝縮室(7)と、凝縮室(7)で生じた淡水(純水)を回収する淡水回収槽(3)、とを備える。
【選択図】図1
Description
海洋に面した地域において、海水から安価で、且つ安全な淡水を得る技術の向上は、そのような陸地の砂漠化に歯止めをする意味でも重要である。
動植物を問わず生命体の維持のため、あるいは工業や農業の用途のために、「水」を確保することは、21世紀における最大の課題の一つと言える。
そのため、経済的に余裕のある国はともかく、現時点で砂漠化の危機に晒されている様な発展途上国においては、実施が極めて困難な場合が多い。
しかし、係る技術では、蒸発器における蒸発効率が低く、装置を大規模化しなければ十分な量の淡水が得られない、という問題点が存在する。
しかし、上述した技術は第2段目の逆浸透膜の劣化防止が主たる目的であって、上述したような問題点を解決するものではない。また、逆浸透膜はメンテナンスに多大な労力を必要とするという問題点を有している。
(1) マイクロバルブ及び/又はナノバブルは、体積当たりの表面積が大きい。
(2) マイクロバブルは、障害物等に衝突して圧壊を起こす際に、約5500℃の高温を発生してナノバブルとなり、圧壊によって周囲にその熱を放出する。
(3) マイクロバルブ及び/又はナノバブルは、水中に長時間留まることができる。
(4) マイクロバルブ及び/又はナノバブルを含む水は蒸発面積が大きく、通常水に比べて約10倍の蒸発性を有している。
(5) 海水にマイクロバルブ及び/又はナノバブルを混入すると、海水の水素分子結合が分断され、通常より少ない熱量(通常水は1gが蒸発するのに539Calを必要とする)で蒸発させることができる。
(6) 海水は含有物質が多いため、通常水に比べてマイクロバルブ及び/又はナノバブルを発生させ易く、且つ、気泡密度が高くなる。
本発明の淡水化装置は、海水を貯留する海水受水槽(1)と、貯留した海水中に超微細気泡(マイクロバルブ)を発生させる超微細気泡生成手段(2)と、超微細気泡(マイクロバブル)を含んだ海水を落下させる落下装置(散布装置4)と、落下する超微細気泡を含んだ海水が衝突する複数の衝突部材(51、52)を設けた蒸発室(5)と、蒸気室(5)で発生した水蒸気が流過する水蒸気流路(6)と、水蒸気流路(6)を通過した水蒸気を凝縮させる凝縮室(7)と、凝縮室(7)で(水蒸気が凝縮することにより)生じた淡水(純水)を回収する淡水回収槽(3)、とを備えることを特徴としている(請求項1)。
ここで、前記衝突部材は、じゃま板(51)と樋(52)が対となったユニットが、蒸発室(5)に沿って複数設けられているのが好ましい。
ここで、前記海水供給ライン(L1)は外気によって冷却されるように構成されていることが好ましい。
この場合、蓄電装置を備え、自然のエネルギーを用いて発電を行う発電装置(62、64)からの発電出力を蓄電可能に構成するのが好ましい。
上述した様に、マイクロバブル及び/又はナノバブルを含む海水は、含まない海水に比較して、蒸発し易いこととも相俟って、本発明によれば、従来技術に比較して、高速で海水を蒸発することが出来ると共に、蒸発に要する消費エネルギーを大幅に削減できる。
この場合、海水供給ライン(L1)を外気によって冷却されるように構成すれば、海水ラインを流れる海水から凝縮室(7)の水蒸気に対して、より多くの冷熱が投入されて、蒸気の凝縮能力をさらに向上させることが出来る。
ここで、蓄電装置(60)を備え、該蓄電装置(60)には太陽光発電や風力発電で発生した電気を蓄電可能に構成すれば、ランニングコストを削減することに加えて、太陽光発電が出来ない夜間においても、淡水化装置の操業が可能となる。
先ず、図1〜図6を参照して、第1実施形態に係る淡水化装置の概要について説明する。
図1において、第1実施形態に係る淡水化装置は、海水受水槽1と超微細気泡生成器2と、淡水回収槽3と、蒸発室5と、凝縮室7とを有している。
海水受水槽1に貯留された海水は、経路F2を介して、超微細気泡(マイクロバブル)生成器2に送られる。
超微細気泡生成器2では、経路F2を介して流入する海水中に、超微細気泡(マイクロバブル)を発生させる様に構成されている。
超微細気泡(マイクロバブル)は圧壊の際に凡そ5500℃の高温となり、周囲にその熱を放出する。この熱エネルギーによって、超微細気泡(マイクロバブル)のナノ化現象が生じている海水は、急速に蒸発する。
また、蒸発室5の障害物に溜まった含有物質(例えば、塩)Sは、経路F6で示す様に除去され(例えば、定期的に除去)、そして、例えば食塩や工業用・農業用材料として利用される。
図2において、全体を符号100で示す淡水化装置は、ケーシング10を備えている。ケーシング10は、その底部に、海水受水槽1と、超微細気泡生成器2と、淡水回収槽3とを有している。
淡水海水槽3は垂直な外壁部10B側に設置されており、海水入水槽1と淡水回収槽3との間の領域には超微細気泡生成器2が配置されている。
明確には図示されていないが、集熱板10Dは散水装置等(図示せず)を有しており、定期的に水を流して自動で洗浄できるように構成されている。
搬送(圧送)ポンプP2を介装したラインL2(図1における経路F3に相当)によって、散布装置4は超微細気泡生成器2と連通している。
傾斜した外壁部10Aと第1の隔壁56とで挟まれた領域は、マイクロバブル及びナノバブルを含む海水を蒸発させるための蒸発室5となっている。
図3において、散布装置4の下面には複数の小孔41が穿孔されており、小孔41から超微細気泡(マイクロバブル)を含んだ海水が勢いよく散布されるように構成されている。
また、外壁部10Aと対向する第1の隔壁56には、樋52が取り付けられている。樋52は、じゃま板51の斜め上方に取り付けられており、隔壁56に取り付けてある部分が水平で、且つ、先端が斜め上方に反り上がる様に取り付けられている。そして、じゃま板51と樋52とで構成される対が、蒸発室5の上部から下部に向かって、図2の例では6対設けられている。
上述した様に、海水中に含まれるマイクロバブルは、衝突によって圧壊してナノバブルとなり、圧壊の際に発生する高温と集熱板で集められた太陽熱によって、海水が蒸発する。
極微細気泡(ナノバブル)を含む海水の一部は樋52に残溜し、太陽熱によって時間をかけて蒸発する。
蒸発しなかった海水は、落下して受水槽1に戻る。
第2の隔壁8の上端位置(図2における上下方向における上端位置)は、散布装置4の下端と概略等しい。
水蒸気流路6は、上方に向かうに従って流路面積が漸減するように形成されている。そのように構成することによって、水蒸気流路6の上方ほど水蒸気の流速が増加し、水蒸気が滞留して水蒸気流路6内で凝縮し、凝縮水が受水槽1へ落下してしまうことを防止している。
第2の隔壁8の傾斜した面81から垂直な面82に向かって、複数の貫通孔83が平行に形成されている。水蒸気流路6を上昇する水蒸気が、隔壁8の厚みの部分を斜め方向上方へ通過し、以って、水蒸気流路6の各レベル(高さ)を流れている水蒸気が、折り返し点9を経由しないでも、最寄りの貫通孔83から凝縮室7へ流入(短絡)出来る様にするためである。
凝縮室7の下方には、淡水回収槽3が配置されている。
ここで、蒸発室5では海水が常時蒸発しており、そのため、圧力が上昇するので、蒸発室5で発生した水蒸気は圧力の低い水蒸気流路6側に流入する。そして、水蒸気流路6内を上昇する水蒸気が、圧力の高い蒸発室5内へ流入してしまうことはない。
除去(採取)された塩は、食塩や工業材料として利用することが出来る。
海水供給ラインL1は、搬送ポンプP1を介装しており、海水受水槽1に海水を供給する。
図2では、凝縮室7内を通過する海水供給ラインL1は垂直の線で表現されているが、これは図示の簡略化のためであり、実機では、海水供給ラインL1は凝縮室7内を九十九折状に通過している。
従って、集熱板10Dで集められた太陽熱によって蒸発室5内の温度が上昇し、蒸発室5における海水(マイクロバブル及び/又はナノバブルを含む海水)の蒸発を促進させる。
ケーシング10の太陽光受光面(図2における傾斜した外壁部)10Aは、ケーシング10を上方から視た場合には湾曲して凹面に形成され、凹んだ部分に熱溜まり部を作っている。凹んだ部分に熱溜まり部を構成するのは、風によって太陽熱が奪われないようにするためである。そして、面10Aを凹んだ形状にすることにより、太陽光により加熱された空気(符号Wh)が熱溜まり部に集まり易くなる。
なお、図4において、矢印Fwは風の流れの方向を示し、矢印Whは太陽光で加熱された空気の流れる向きを示し、矢印Wcは冷たい風の向きを示している。
図5において、集熱板(或いは集熱フィルム)10D及び外壁10Aの構成材料である硝子板(或いはアクリル板)は、取り付けボルトBによって着脱が自在に構成されている。
外壁10Aの一部を取り付けボルトBによって着脱自在に構成したので、定期的に硝子板を取り外して、樋52に溜まった含有物(主として塩)Sを回収することができる。
先ず、図示しない海水取水口から海水供給ラインL1を介して海水を取水し(ステップS1)、受水槽1に供給する(ステップS2)。貯留した海水は超微細気泡生成器2に送られ、超微細気泡生成器2によって海水中にマイクロバブルを生成する(ステップS3)。
蒸発室5内に散布されたマイクロバブルを含む海水は、じゃま板51及び樋52に衝突し、マイクロバブルの一部が圧壊によってナノバブルに変化する(ステップS5)。
一方、蒸発しなかった海水は、受水槽1に落下して戻される(ステップS6で「未気化」)。
なお図6においては、水蒸気が水蒸気流路6を上昇する旨を、「煙道上昇」と表現している。
水蒸気が凝縮して得られた淡水(純水)は、淡水回収槽3に落下して回収される(ステップS9)。
発明者の実験によれば、マイクロバブル及び/又はナノバブルを含む海水は、含まない海水に比較して、蒸発量が10倍程度に促進されることが確認されている。そして、ナノバルブを含む海水は、マイクロバルブのみを含む海水に比較して、さらに蒸発量が増加することも確認されている。
ここで、海水供給ラインL1を外気によって冷却されるように構成することによって、更に蒸気の凝縮能力を向上させることが出来る。
図7において、全体を符号102で示す淡水化装置は、電動の装備(図2における海水供給ポンプP1及び圧送ポンプP2、その他の図示しない電動の装備)の電力を、風力発電装置及び/又は太陽光発電装置で発電して賄うように構成されている。
その場合、淡水化を意図した時間帯においては、風力発電装置62、太陽光発電装置64の内、少なくとも何れか一方は発電していることが必要である。
図7の実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、第1実施形態の淡水化装置100と同様である。
図8において、全体を符号103で示す淡水化装置は、夜間でも海水を淡水化することが可能に構成されており、24時間、淡水化運転が可能に構成されている。
また、マイクロバブルを含む海水が流れるラインL2の途中には、3方弁Vを介装し、3方弁Vと第2の散布装置4AとをバイパスラインL3で接続している。
コントロールユニット70は、例えば、予め設定された時間帯になると、3方弁Vを第2の散布装置4Aと連通する側に切り換え、散布装置4と連通する側を遮断する様に構成されている。
しかし、日照の無い夜間は太陽熱を利用できないので、海水をわざわざ高い位置の散布装置4まで、電力を使って持ち上げる必要は無い。そのため、3方弁Vを切り換えて、第2の散布装置4Aを使用する。
従って、日照が無く、更には凪によって風力発電が行われない夜間においても、コンデンサ66に蓄えられた電力で淡水化装置103は無人(自動)で運転が可能となる。
図7の第2実施形態及び図8の第3実施形態は、太陽光や風力の様な自然エネルギーを利用するため、化石燃料等を使用せずに、最小限のランニングコストで、環境に優しい淡水化システムを実現することが出来る。
2・・・超微細気泡生成器
3・・・淡水回収槽
4・・・落下手段/散布装置
5・・・蒸発室
6・・・水蒸気流路
7・・・凝縮室
8・・・第2の隔壁
10・・・ケーシング
10A・・・傾斜した外壁
10D・・・集熱板
51・・・じゃま板
52・・・樋
56・・・第1の隔壁
100、102、103・・・淡水化装置
Claims (8)
- 海水を貯留する海水受水槽と、貯留した海水中に超微細気泡を発生させる超微細気泡生成手段と、超微細気泡を含んだ海水を落下させる落下装置と、落下する超微細気泡を含んだ海水が衝突する複数の衝突部材を設けた蒸発室と、蒸気室で発生した水蒸気が流過する水蒸気流路と、水蒸気流路を通過した水蒸気を凝縮させる凝縮室と、凝縮室で生じた淡水を回収する淡水回収槽、とを備えることを特徴とする淡水化装置。
- 水蒸気流路と凝縮室とを仕切る隔壁が設けられており、該隔壁は水蒸気が通過可能に構成されている請求項1の淡水化装置。
- 前記水蒸気流路の流路面積は上方に向けて漸減するように形成されている請求項1、2の何れかの淡水化装置。
- 前記蒸発室と前記水蒸気流路とは隣接しており、蒸発室と水蒸気流路とは蒸気の透過を許容する隔壁で仕切られている請求項1〜3の何れか1項の淡水化装置。
- 前記凝縮室には、海水を海水受水槽に供給する海水供給ラインが通過している請求項1〜4の何れか1項の淡水化装置。
- 自然のエネルギーを用いて発電を行う発電装置を有している請求項1〜5の何れか1項の淡水化装置。
- 自然のエネルギーを用いて発電を行う前記発電装置の発電出力が、運転に必要な電力需要以上に構成されている請求項1〜6の何れか1項の淡水化装置。
- 請求項1〜7の何れか1項の淡水化装置を用いて海水の淡水化を行う淡水化方法において、海水を取水して海水受水槽に貯留する工程と、超微細気泡生成手段によって貯留した海水中に超微細気泡を生成する工程と、微細気泡を含んだ海水を蒸発室に落下させる工程と、蒸発室で海水を蒸発させる工程と、蒸発した海水を凝縮室において凝縮させる工程、とを有することを特徴とする淡水化方法。
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