JP2012091108A - 太陽熱を用いた減圧蒸留装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】太陽熱を利用した減圧蒸留法を用いて、原料水の供給、淡水の生成及び濃縮水の排出を連続的に行うことができる減圧蒸留装置を提供する。
【解決手段】減圧蒸留装置1は、原料水を貯留する原料水タンク4と、淡水を貯留する淡水タンク3と、濃縮水を貯留する濃縮水タンク2と、淡水タンク及び濃縮水タンクに連通し、各タンク間に真空部5が形成される第1の管路6と、第1の管路から分岐し、原料水タンクに連通する第2の管路9と、その分岐する位置P1から原料水を第1の管路内に供給する量を制御する第1の制御弁15と、濃縮水タンクから真空部に至る第1管路内の原料水を加熱し真空部内に蒸発させるための蒸発器7と、蒸発器によって蒸発させられた蒸気を冷却して凝縮させる凝縮器8と、原料水の蒸発により濃縮された濃縮水を濃縮水タンクに排出する量を制御する第2の制御弁10と、を備える。
【選択図】図1
【解決手段】減圧蒸留装置1は、原料水を貯留する原料水タンク4と、淡水を貯留する淡水タンク3と、濃縮水を貯留する濃縮水タンク2と、淡水タンク及び濃縮水タンクに連通し、各タンク間に真空部5が形成される第1の管路6と、第1の管路から分岐し、原料水タンクに連通する第2の管路9と、その分岐する位置P1から原料水を第1の管路内に供給する量を制御する第1の制御弁15と、濃縮水タンクから真空部に至る第1管路内の原料水を加熱し真空部内に蒸発させるための蒸発器7と、蒸発器によって蒸発させられた蒸気を冷却して凝縮させる凝縮器8と、原料水の蒸発により濃縮された濃縮水を濃縮水タンクに排出する量を制御する第2の制御弁10と、を備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、海水や汚染物質を含んだ原料水を減圧蒸留により淡水化する減圧蒸留装置に関する。
従来、海水等の含有物の多い原料水を淡水化して飲料水や灌概用水を得るための淡水化装置は、蒸発法や逆浸透(Reverse Osmosis)膜法などが使用されてきた。蒸発法では大型の真空装置内に原料水を入れ、ボイラー等で加熱したスチームを熱源とし、原料水の加熱と減圧(真空)下での蒸発を用い、大量の海水等で冷却して凝縮させていた。このため、従来の蒸発法は、大規模な装置群を必要とし、大量のエネルギーと冷却水を消費する方法であった。また、逆浸透膜法では高圧をかけた原料水を中空繊維などの逆浸透膜に送り込み、淡水を分離させていたため、送水ポンプに多くの電カを必要とし、原料水の処理に複数の薬剤やフィルターを必要とし、逆浸透膜そのものも寿命があり、その結果、維持運転の費用が非常にかかる方法であった。
そこで、維持運転の費用を低く抑える淡水化装置として、蒸発法で大量のエネルギーを消費するという欠点を補うため、太陽熱で原料水を加熱し、減圧下で蒸発させる減圧蒸留法を用いた淡水化装置(以下、単に「減圧蒸留装置」という。)が様々提案されている(特許文献1、2等)。
従来の減圧蒸留装置は、大型の真空容器や排気装置、特殊な制御が必要であったことから装置の費用の増大と大重量化を来していた。特に、この減圧蒸留装置を砂漢などの僻地で運用する場合、装置重量と装置の複雑な操作は大きな障害となっていた。例えば、特許文献1記載の減圧蒸留装置は、蒸発槽や生成水槽などの装置全体を真空に保持する必要があり、真空圧に耐える堅牢で大型の装置と、複雑な制御が必要であった。
加えて、これまで提案されている小規模な減圧蒸留装置では生成される淡水の量が少なく、日産1〜10トンの淡水を製造して滴下灌概等を行うには適していなかった。例えば、特許文献2記載の減圧蒸留装置は、真空タンクを不要とするために吸熱する部分と蒸発する部分とを分離した特殊な真空容器を使用しており、蒸留の効率が悪く、その結果、生成される淡水の量が少なかった。
また、従来の減圧蒸留装置では、海水等のように原料水の蒸発によって生成される濃縮水が原料水よりも比重の大きいものであると、当然のごとく原料水よりも下に溜まっていき、加熱している原料水からその濃縮水を取り除く必要があった。
なお、多くの発展途上国の乾燥地帯では、大きな設備投資を必要とせず、維持運用の費用も低く抑えられる蒸留方式であって、現地の作業者で維持管理できる減圧蒸留装置でなければ、現地に数十年にわたって農業生産と生産物の流通を定着させることはできない。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、減圧下で蒸発させる減圧蒸留法を用いて、原料水の供給、淡水の生成及び濃縮水の取り出しを連続的に行うことができる減圧蒸留装置を提供することを主たる技術的課題とする。
本発明者は、減圧下で蒸発させる減圧蒸留法を用いる減圧蒸留装置において、減圧部を配管内とし、真空を維持し、原料水の供給、原料水の混入を抑えた淡水の生成及び濃縮水の取り出しとを連続的に行う構成を着想した。
本発明に係る減圧蒸留装置は、減圧蒸留により原料水から淡水を生成する減圧蒸留装置であって、前記原料水を貯留する原料水タンクと、生成された前記淡水を貯留する淡水タンクと、前記原料水を蒸留することにより濃縮された濃縮水を貯留する濃縮水タンクと、前記淡水タンク内及び前記濃縮水タンク内に連通するとともに、前記淡水タンクと前記濃縮水タンクとの間に真空部が形成される第1の管路と、前記第1の管路から分岐するとともに、前記原料水タンク内に連通する第2の管路と、前記第1の管路と前記第2の管路とが分岐する位置から前記原料水を前記第1の管路内に供給する量を制御する第1の制御弁と、前記濃縮水タンクから前記真空部に至る前記第1管路内の前記原料水を加熱し前記真空部内に蒸発させるための蒸発器と、前記蒸発器によって蒸発させられた蒸気を冷却して凝縮させる凝縮器と、前記原料水の蒸発により濃縮された濃縮水を前記濃縮水タンクの濃縮水内に排出する量を制御する第2の制御弁と、を備えることを特徴とする。
この構成によると、真空部を管路内にとどめて維持することにより、原料水を容易に蒸発させることができる。そして、本発明に係る減圧蒸留装置では、一旦真空部を形成して作動させると、原料水タンク、濃縮水タンク及び淡水タンクの各水面からの各管路内の水柱の高さを維持するように制御するだけで運転することもできる。
また、第1の制御弁により原料水の供給量を、第2の制御弁により濃縮水の排出量をそれぞれ制御することができるため、減圧蒸留装置自体を停止させることなく連続的に運転させることができる。このため、濃縮率を上げて製塩等に適した濃縮も行える。
また、本発明に係る減圧蒸留装置は、トリチェリの真空を用いる場合には管路内以外の部分は、基本的に大気圧付近で動作させることができるため、耐真空圧構造が不要で簡便な液体容器が使用でき、装置の構造を従来の減圧蒸留法を用いた減圧蒸留装置よりも大幅に簡素にすることができる。なお、第1の管路及び第2の管路をいずれも円管にすると、円筒構造自体が耐圧性に優れているため、金属パイプや安価な塩化ビニル管、耐圧ホース等でも真空圧に耐え、それらを第1の管路及び第2の管路に用いることができる。また、第1の管路及び第2の管路以外の管路にもそれらを用いてもよい。
また、本発明に係る減圧蒸留装置は、さらに、前記第1の管路内の原料水の水位を検出するために前記第1の管路と分岐した原料水レベル検出配管と、前記原料水レベル検出配管に設けられたレベルセンサーと、を備え、前記レベルセンサーの出力に基づいて前記第1の制御弁が制御されることが好ましい。第1の管路内の沸騰中の水面レベルを検出することは困難であるため、新たに第1の管路の下方部と第1の管路の真空部とを連通させた原料水レベル検出配管を設けて、その原料水レベル検出配管の水面をレベルセンサーで検出することにより第1の管路内の原料水の水位を検出することができる。
また、本発明に係る減圧蒸留装置は、さらに、前記前記第1の管路内の原料水の濃度を検出する濃度センサーを備え、前記濃度センサーの出力に基づいて前記第2の制御弁が制御されることが好ましい。
原料水は第1の管路内の真空部である沸騰し易い条件下で加熱されているため、突沸が生じ易い。そのため、本発明に係る減圧蒸留装置において、前記第1の管路は、前記真空部内に突沸による原料水を遮るためのバッフルを備えることが好ましい。この構成によると、原料水が淡水に混入することを抑えることができる。
また、本発明に係る減圧蒸留装置において、前記バッフルは、開口部を有する第1の仕切り板と、前記第1の仕切り板よりも外形が小さい第2の仕切り板と、を備え、前記真空部内に前記第1の仕切り板と前記第2の仕切り板とを間隔を開けて交互に配置することが好ましい。
また、本発明に係る減圧蒸留装置において、前記第1の管路が円管であるとともに、前記開口部が円形状であり、前記第1の管路の直径は、前記バッフルの開口部の直径の2.5倍以上であることが好ましい。
また、本発明に係る減圧蒸留装置は、さらに、前記真空部を排気するための真空ポンプと、前記真空部の圧力を検出する圧力センサーと、前記真空ポンプと前記真空部との間に介在された第3の制御弁と、を備え、前記圧力センサーの出力に基づいて、前記真空部が所定圧力以下に維持されるように前記第3の制御弁及び前記真空ポンプが制御されることが好ましい。
また、本発明に係る減圧蒸留装置は、さらに、前記凝縮器が空冷用ファンを備え、前記空冷用ファンに電力を供給するための太陽電池を備えることが好ましい。この構成によると、外部からの電源供給がない地域でも淡水化を行うことができる。
また、本発明に係る減圧蒸留装置において、前記第1管路及び前記第2管路の少なくとも前記真空部が形成される部位が、合成樹脂管で形成されていることが好ましい。
また、本発明に係る減圧蒸留装置において、前記蒸発器は、太陽熱を利用した蒸発器であることが好ましい。
また、本発明に係る減圧蒸留装置において、前記原料水は、塩化カルシウム水溶液により空気中の水分を吸収させた水溶液であってもよい。この構成によると、周辺に地下水や海水等の水資源がほとんどない地域であっても、塩化カルシウムで空気中の水分を吸収させる等して塩化カルシウム水溶液を生成し、その塩化カルシウム水溶液を原料水として用いることで、淡水を生成することができる。
本発明によれば、原料水を容易に蒸発させて大量に淡水を生成することができる。また、原料水の供給、淡水の生成及び濃縮水の取り出しの運転を連続的に実施することができるため、従来の減圧蒸留法を用いた減圧蒸留装置よりも運転を非常に簡素化することができる。また、従来の減圧蒸留法を用いた減圧蒸留装置よりも大幅に簡素な構造とすることができ、製造費用もより低く抑えることができる。また、バッフルを備えるた場合には、淡水に原料水が混入することを抑えることができる。また、蒸発器に太陽熱を、冷却器に太陽電池をそれぞれ用いた場合には、維持運転の費用が従来の減圧蒸留法を用いた減圧蒸留装置よりも低く抑えられる。また、原料水に塩化カルシウムに水分を吸収させた水溶液を用いた場合には、周辺に海水等の水資源のほとんどない地域であっても淡水を生成することができる。
したがって、本発明により、従来の減圧蒸留法を用いた減圧蒸留装置よりも装置の大幅な軽量化と運転の簡便化、低い製造費用、低い維持運転の費用を実現することができる。そして、本発明により、多くの発展途上国の乾燥地帯であっても長期にわたって農業用水を供給することができ、農業生産と生産物の流通を定着させることが期待できる。
本発明を実施するための第1の実施形態について、図1を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、原料水は、蒸発して濃縮された濃縮水が原料水よりも比重を大きくするものを対象にしており、例えば、海水などが挙げられる。なお、各実施形態はいずれも例示であり、本発明の限定的な解釈を与えるものでない。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の減圧蒸留装置において基本構成の一例を示す図である。第1の実施形態の減圧蒸留装置1は、原料水として主に海水を用いるものであり、図1に示すように、太陽熱で直接的に加熱する減圧蒸留装置である。第1の実施形態の減圧蒸留装置1は、濃縮水タンク2と、淡水タンク3と、原料水タンク4と、濃縮水タンク2内及び淡水タンク3内に連通するとともに両タンク2,3間に真空部5が形成される第1の管路6と、第1の管路6内の原料水を直接的に太陽熱を用いて加熱して蒸発させる蒸発器7と、蒸発した蒸気を凝縮させる凝縮器8と、蒸発器7の上部近傍で第1の管路6から分岐するとともに原料水タンク4内に連通し、原料水を第1の管路6に供給する第2の管路9と、原料水の蒸発により濃縮された濃縮水を濃縮水タンク2の濃縮水内に排出する量を制御する第2の制御弁10と、第1の管路内に原料水の供給する量を制御する第1の制御弁15と、真空部5内に突沸による原料水を遮るためのバッフル21と、第1の管路6内の原料水の水位を検出するための原料水レベル検出配管22と、原料水レベル検出配管22に設けられたレベルセンサー16と、を備えている。
図1は、第1の実施形態の減圧蒸留装置において基本構成の一例を示す図である。第1の実施形態の減圧蒸留装置1は、原料水として主に海水を用いるものであり、図1に示すように、太陽熱で直接的に加熱する減圧蒸留装置である。第1の実施形態の減圧蒸留装置1は、濃縮水タンク2と、淡水タンク3と、原料水タンク4と、濃縮水タンク2内及び淡水タンク3内に連通するとともに両タンク2,3間に真空部5が形成される第1の管路6と、第1の管路6内の原料水を直接的に太陽熱を用いて加熱して蒸発させる蒸発器7と、蒸発した蒸気を凝縮させる凝縮器8と、蒸発器7の上部近傍で第1の管路6から分岐するとともに原料水タンク4内に連通し、原料水を第1の管路6に供給する第2の管路9と、原料水の蒸発により濃縮された濃縮水を濃縮水タンク2の濃縮水内に排出する量を制御する第2の制御弁10と、第1の管路内に原料水の供給する量を制御する第1の制御弁15と、真空部5内に突沸による原料水を遮るためのバッフル21と、第1の管路6内の原料水の水位を検出するための原料水レベル検出配管22と、原料水レベル検出配管22に設けられたレベルセンサー16と、を備えている。
濃縮水タンク2は真空タンクであり、第1の管路6の一方端が接続されている。濃縮水タンク2に、第1の管路6には、第1の管路6内の濃縮水を濃縮水タンク2に排出する量を制御する第1制御弁10が介在されている。濃縮水は、図外のポンプによって、外部に流出させてもよい。濃縮水タンク2は、トリチェリの水柱を用いる場合には上部に大気開放のための開口部を備えてもよい。すなわち、第1の管路6内の水柱高さが充分にあって第2の制御弁10を開いても濃縮水が第1の管路6から濃縮水タンク2に流下する場合、濃縮水タンク2は大気開放されていてもよい。
淡水タンク3は真空タンクであり、下部に第1の管路6の他方端が接続されている。淡水タンク3もトリチェリの水柱を用いる場合には上部に大気開放のための開口部を備えてもよい。すなわち、第1の管路6内の水柱高さが充分にあって淡水排出弁23を開いても淡水が第1の管路6から淡水タンク3に流下する場合、淡水タンク3は大気開放されていてもよい。
原料水タンク4は、上部に大気開放のための開口部4aを備える。第1の制御弁15を開くと、第2に管路9が真空部5に通じているので、原料水タンク4から第2の管路9を介して第1の管路6内に吸い上げられる。第1の制御弁15を開いても原料水が原料水タンク4から第2の管路9を介して第1の管路6内に吸い上げられない場合、第2の管路9にポンプを設けてそのポンプにより原料水を吸い上げて第1の管路6内に原料水を供給してもよい。また、原料水タンク4を密閉耐圧構造とし加圧して第1の管路6内に原料水を供給してもよい。海水等の原料水は、図外のポンプによって、原料水タンク4に供給される。原料水タンク4に、第2の管路9の一方端が接続されている。第2の管路9には、第1の管路6内に原料水の供給量を制御する第1制御弁15が介在されている。
第1の管路6は、所定高さの位置に第2の管路9が接続されている。第2の管路9は、第1の管路6から分岐して下方へ延び、原料水タンク4に接続されている。第1の管路6の真空部5が形成される箇所には、排気管11が接続され、排気管11に第3の制御弁12を介して真空ポンプ13が接続されている。
第1の管路6内の濃縮水、第2の管路9の原料水、第1の管路6の淡水の上方に、真空部5が形成される。なお、真空部5は、第2の管路9から第1の管路6内に原料水を供給できるように形成されており、トリチェリの真空の原理に基づくものであってもよい。トリチェリの真空は、第1の管路6内の濃縮水、第1の管路6内の淡水の水面の高さをそれぞれ制御することで容易に形成することができる。
原料水レベル検出配管22は、一方端を第1の管路6の真空部5に接続され、他端を濃縮水の溜まる第1の管路6の下方部に接続されている。さらに、原料水レベル検出配管22は、水位センサー16と、排出管22aと、排出弁22bと、を備える。
第2の管路9に設けられた第1の制御弁15を制御することによって、第2の管路9から第1の管路6へのオーバーフロー量、すなわち、原料水の供給量を制御する。第1の制御弁15は、原料水レベル検出配管22の水位センサー16で第1の管路6の水位を検出し、その出力に基づいて第1の制御弁15を制御することができる。第1の管路6の水位をレベルセンサー16やフロートスイッチで検出してもよいが、沸騰で水面レベルが測定し難いため、原料水レベル検出配管22の水位を測定することで正確に第1の管路6の水位を測定することができる。ただし、原料水が濃縮されて第1の管路6内に濃縮水が矢印Fwの方向に流れて溜まってくると水面レベルが正確に測定することができなくなる。そのため、原料水レベル検出配管22内の濃縮水を排出管22aを介して排出弁22bから濃縮水タンク2等に排出することができるようになっている。或いは、第1の管路6に流れ落ちる原料水の流量を流量センサーで検出し、その出力に基づいて制御してもよい。レベルセンサー16や流量センサーは、公知のものを使用することができる。或いは、第2の制御弁10の制御により、定量の濃縮水を抜き取り、第2の管路9から第1の管路6へ、定量の原料水を定期的にオーバーフローさせてもよい。
第1の管路6への原料水の供給は、蒸発器7による蒸発速度に応じて、絶えず蒸発量を補う形で行うことが好ましい。なお、真空部5が形成されていることにより蒸発温度は低下している。例えば、0.0133MPa(100Torr)の雰囲気では水の沸点は、51.3℃である。蒸発器7によって第1の管路6内の原料水は、その液面から真空部5へ蒸発し、それに伴って濃縮された濃縮水は、第1の管路内の原料水の下であって第2の制御弁10の上部に溜まっていくことになる。この濃縮水は、第1の管路6内の濃度を濃度センサー14で検出し、その出力に基づいて第2の制御弁10を制御することができる。或いは、濃縮水の重さや真空部5の真空度と第1の管路の濃縮水の溜まっている下部の圧力から濃縮度を測定し、その結果に基づいて第2の制御弁10を制御してもよい。
第1の制御弁15で原料水の供給を、第2の制御弁10で濃縮水の排出をそれぞれ連続的若しくは間欠的に実施することが好ましい。そうすることで、蒸発器7のオーバーヒートを防止できるとともに、結晶性の析出物によって第1の管路6及び第2の管路9が塞がれてしまうことを防止できる。
バッフル21は、第1の管路6の真空部5内であって第1の管路6の最上部よりも蒸発器7側に、原料水の突沸から原料水が凝縮器8に流れ込まないように設けられている。ここで、突沸とは、液体が沸点に達しても沸騰せず、さらに加熱を続けると沸点より高い温度で突然激しく沸騰する現象をいい、この突沸により、蒸留された水蒸気とともに原料水が流されて淡水に混入する。原料水の混入した淡水を再度減圧蒸留装置で蒸留することや他の処理で淡水から原料水を除去することも可能であるが、さらに、時間と費用がかかる。そのため、如何にバッフル21で原料水の淡水への混入を抑えるかが重要となっている。バッフル21は、原料水の突沸を遮るものであればどのようなものを用いてもよい。ただし、水蒸気の流れを阻害しない開口を有する必要がある。
太陽熱を利用した蒸発器7は、一般に、並列配置された蒸発管6cを内部に備え、蒸発管6cが第1の管路6の一部を構成している(図1では1本だけが示されている。)。詳細は図示しないが、熱効率の観点から、太陽熱温水器の集熱管に利用されているような、真空断熱壁で囲まれた真空断熱管で形成された蒸発管を備えてもよい。また、図示しないが、蒸発器7に太陽光Sを集光させて加熱効率を高める太陽光吸収板6dを備えてもよい。なお、淡水の生成能力は、蒸発器の受光する太陽光の光量で決まるため、1kW以上の太陽光パワーを受ける場合には第1の管路6の径を大きくする必要がある。
蒸発器7により真空部5内へ蒸発した水蒸気は凝縮器8によって凝縮され、水蒸気を凝縮して得られた淡水は淡水タンク3に受け入れられる。凝縮器8は、図1に示すように空冷用ファン8aを備え、第1の管路6の一部を構成する凝縮管6eを空冷することが好ましい。空冷用ファン8aは、太陽電池17から電力の供給を受けることができる。第1の管路6内の淡水の水位は、凝縮管6eより低い位置になるように制御される。詳細を図示しないが、凝縮器8として、濃縮水の顕熱を利用した冷却方法を併用又は単独使用してもよく、凝縮方法は限定されない。
上記構成を有する減圧蒸留装置1の操作手順について、時間を追って説明する。最初に、原料水タンク4に原料水(海水など)を供給し、第3の制御弁12を開いて真空ポンプ13を作動させ、第1の管路6の蒸発器7の上部に真空部5を発生させる。真空部5が発生すれば、第3の制御弁12を閉じて真空ポンプ13を停止させる。一旦真空が得られると、蒸発器7の内部で加熱された原料水から水蒸気が発生し、その水蒸気が凝縮器8で冷やされて凝縮することで真空が維持され、真空蒸留が開始される。なお、トリチェリの水柱を用いる場合、第1の管路6の上部に図示しない注入口を設け、第1の管路6と各タンクに通じる各弁を閉じた状態で、その注入口から淡水を第1の管路6内に充填した後、注入口を閉じて各弁を開いてトリチェリの水柱を形成してもよい。
第2の管路9内の原料水の水位を一定に保つと、真空部5の圧力は蒸発管6cへの熱入力と凝縮管6dの温度で自動的に決まり、加熱と冷却の熱流量によって変動するが、連続的な蒸留が可能となる。生成できる水の量は、主に蒸発器7の熱源のパワーと凝縮器8の冷却能力で決まり、蒸発器7と凝縮器8との間を水蒸気が移動する原理は従来の真空蒸留装置と変わらない。蒸発管6c内で濃縮された原料水(海水等)は、第2の制御弁10を制御して蒸発管6cから装置作動中にでも取り出すことができる。したがって、装置を作動し始めると、その後は第2の管路9内の原料水の水位を調整し、原料水の供給と生成水の取り出し、濃縮水の取り出しを適宜に行えばよい。なお、原料水中の溶存空気が真空部5に蒸発することで真空部5の真空度が低下することがあるが、圧力センサー20によって真空部5の圧力を監視しておき、真空部5の真空度が既定値以下になった場合には、真空ポンプ13を駆動して第3の制御弁12を開き、真空度を上げる(圧力を下げる)操作を自動的に行うことができる。
上記説明から明らかなように、本発明では、減圧蒸留に必要な真空を、発生した水蒸気の冷却で発生させることから、簡単な水面の高さの維持制御だけで装置を連続的に運転することができる。
また、トリチェリの水柱を用いる場合には従来の減圧法でこれまで必要とされていた原料水・蒸発タンクや生成水貯蔵タンクなどの真空容器を必要とせず、原料水タンク、濃縮水タンク、及び淡水タンクを大気圧下で作動させるため、耐圧構造が不要となり、安価で軽量のタンクを利用できる。
また、第1の管路6、第2の管路9は、円管で形成されていると、それ自体が耐圧性に優れており、規格製品として販売されている安価な管材で製作することが可能である。例えば、蒸発管6cや凝縮管6dを除き、第1の管路6及び第2の管路9は、塩化ビニル等の合成樹脂製管で製作することも可能である。ただし、合成樹脂の部分は、熱交換に関わらない部分とすることが好ましい。これは、例えば、冷却フィン8bで第1の管路6の冷却する部分に合成樹脂を用いると熱交換率が低下してしまい、水蒸気の冷却効率も悪くなるからである。
本発明により簡便な構造の減圧蒸留装置を構成できるため、淡水化が容易となり、例えば砂漠の奥地でも、原料となる海水や、塩類で汚染された原料水があれば、それらを効率よく淡水化できるため、生活用水や灌概用水として用いることが可能となり、種々の果樹や食物の生産を行うことができる。本発明の方式では、必要とされる熱源には太陽光が、冷却源には空冷ないしは濃縮水の顕熱が、ポンプ動力には太陽光発電などが使えるため、原料水のみが現地で入手できれば、簡便な設備でほとんどランニングコストをかけずに淡水を得ることができる。また、多くの地域で住人を苦しめている塩害や有毒物質の混入した地下水に対しても、蒸留による淡水化は非常に有効な対策といえる。なによりも、本方式は装置自体が低コストで実現できる方式であり、維持も容易で、ランニングコストもほとんどかからないことから、多くの地域に適用できるものと考えられる。例えば、ヒ素などの汚染水を淡水と濃縮水である汚染水とに容易に分離することができ、これまで吸着剤等で浄化して得ていた水よりも低い費用で淡水を得ることができる。これにより、多くの砂漢地帯や塩害、地下水汚染地帯を緑化、農地化することができるため、世界規模で食料増産と雇用の創出が実現されるものと考えられる。また、海水を高い濃度まで濃縮することができ、固形の塩まで濃縮して容易にその塩を回収することができる。塩類の中には、マグネシウムやリチウムなどの希少金属も含まれているため、それらの希少金属も回収することが期待される。
(第2の実施形態)
図2は、第2の実施形態の減圧蒸留装置において基本構成の一例を示す図である。第2の実施形態の減圧蒸留装置1は、原料水として主に汚染した淡水を用いるものであり、図2に示すように、太陽熱で間接的に加熱する減圧蒸留装置である。第2の実施形態の減圧蒸留装置1では、第1の管路6、第2の管路9、第1の制御弁15、第2の制御弁10及び蒸発器7以外の構成は第1の実施形態と同じである。第1の管路6は淡水タンク3及び原料水タンク4にそれぞれ接続されている。第2の管路9は、第1の管路6の所定の位置で分岐して濃縮水タンク2に接続されている。それに伴って第1の制御弁15は第1の管路6に、第2の制御弁10は第2の管路9にそれぞれ設けられている。蒸発器7は、太陽熱温水パネル7aと、熱交換器7bと、送水ポンプ7cと、を備える。
図2は、第2の実施形態の減圧蒸留装置において基本構成の一例を示す図である。第2の実施形態の減圧蒸留装置1は、原料水として主に汚染した淡水を用いるものであり、図2に示すように、太陽熱で間接的に加熱する減圧蒸留装置である。第2の実施形態の減圧蒸留装置1では、第1の管路6、第2の管路9、第1の制御弁15、第2の制御弁10及び蒸発器7以外の構成は第1の実施形態と同じである。第1の管路6は淡水タンク3及び原料水タンク4にそれぞれ接続されている。第2の管路9は、第1の管路6の所定の位置で分岐して濃縮水タンク2に接続されている。それに伴って第1の制御弁15は第1の管路6に、第2の制御弁10は第2の管路9にそれぞれ設けられている。蒸発器7は、太陽熱温水パネル7aと、熱交換器7bと、送水ポンプ7cと、を備える。
第2の実施形態の減圧蒸留装置1では、第1の制御弁15を開くと原料水が原料水タンク4から第1の管路6内に吸い上げられ、熱交換器7bで加熱して濃縮された濃縮水は第2の制御弁10を開くことにより濃縮水タンク2に排出される。
蒸発器7は、送水ポンプ7cにより、太陽熱温水パネル7aで加熱された水を熱交換器7bに、熱交換器7bで冷却された水を太陽熱温水パネル7aにそれぞれ送って循環させることで、間接的に第1の管路6内の原料水を加熱している。なお、原料水が汚染した淡水であっても、図1と同じ太陽熱で直接的に第1の管路6内の原料水を加熱してもよい。逆に、第2の実施形態の減圧蒸留装置においても原料水が海水であってもよい。
(第3の実施形態)
−バッフルについて−
第3の実施形態の減圧蒸留装置は、原料水の突沸により原料水を含有した水蒸気を、第1の管路6内の中心付近を通す仕切り板と、第1の管路6内の内周付近を通す仕切り板と、を有し、それらの仕切り板を交互に配置したバッフルを備えている。減圧蒸留装置のその他の構成は第1の実施形態と同じである。以下、第1の管路6を円管としてこのバッフルについて説明する。
−バッフルについて−
第3の実施形態の減圧蒸留装置は、原料水の突沸により原料水を含有した水蒸気を、第1の管路6内の中心付近を通す仕切り板と、第1の管路6内の内周付近を通す仕切り板と、を有し、それらの仕切り板を交互に配置したバッフルを備えている。減圧蒸留装置のその他の構成は第1の実施形態と同じである。以下、第1の管路6を円管としてこのバッフルについて説明する。
図3は、第3の実施形態の減圧蒸留装置においてバッフルの一例を示す図であり、水蒸気の流れ方向に向かってバッフルを正面から見た第1の管路内の断面図である。なお、図3は、第1の管路の一部を示している。バッフル21は、円形状の第1の仕切り板21aと、円形状の第2の仕切り板21bと、を備えている。
図4は、第3の実施形態の減圧蒸留装置においてバッフルの一例を示す図であり、図2のA−Aの断面を示す図である。なお、図4の矢印は、水蒸気の流れる方向を示している。
図3及び図4に示すように、第1の仕切り板21aは、直径がR1であり、中心に直径R2の円形状の開口部21cを有し、第1の管路6内に外周部を接合されている。また、第2の仕切り板21bは、R1よりも小さくR2よりも大きい直径R3を有する。第1の仕切り板21aと第2の仕切り板21bとは、間隔を開けて交互に配置され、ボルト21eとナット21dで固定されている。なお、第1の仕切り板21a及び第2の仕切り板21bの固定は、ネジ、接着剤、ボルト及びナット等様々な固定方法を用いることができる。また、バッフル全体は、第1の管路6に必ずしも接合されている必要はなく、所定の位置、すなわち、第1の管路6の真空部5内であって、第1の管路6の最上部よりも蒸発器7側に配置されていればよく、例えば、第1の管路6内に設けた突出部と嵌合することもできる。
沸騰時の泡のサイズが10mm程度であって、バッフルでの圧力損失を抑えつつ、水蒸気の流れがバッフルに遮られずに直接抜けることがないようにするためには、第1の管路径R4は、開口部21cの直径R2の2.5倍以上であることが好ましい。また、第1の仕切り板21a及び第2の仕切り板21bは、交互に配置する枚数として合計10枚以上を用いることが好ましい。第1の仕切り板21a及び第2の仕切り板21bは、樹脂や金属等様々な材料を用いることができる。また、その材料は、原料水や水蒸気の圧力等によって適宜変更してもよい。
実際に、図3及び図4に示すようなバッフルを用いて実験したところ、原料水の淡水への混入を抑えることができた。具体的には、図2に示すようなバッフルにおいて、第1の管路径R4及び仕切り板21aの直径R1を54mmとし、開口部21cの直径R2を20mmとし、第2の仕切り板21bの直径R2を44mmとし、第1の仕切り板21aと第2の仕切り板21bとの間隔Pを15mmとし、第1の仕切り板21aと第2の仕切り板21bとを交互に合わせて10枚(第1の仕切り板21aを5枚、第2の仕切り板21bを5枚)配置した。このとき、第3の実施形態の減圧蒸留装置は、熱効率が約70%であり、淡水の生成量が太陽光パネル1m2を用いて1日当たり11kgとなる。
なお、バッフル21は、本実施形態に限られず、原料水の突沸を遮るものであればどのようなものを用いてもよく、ネット等の網目構造のものを間隔を開けて配置してもよい。
(第4の実施形態)
−塩化カルシウムを用いた減圧蒸留装置−
第4の実施形態の減圧蒸留装置は、周辺に海水や地下水等の水資源がない場所であっても、塩化カルシウム水溶液を用いて、空気中の水分を吸湿させることで淡水を生成することができる。以下、その一例として、塩化カルシウムを用いた減圧蒸留装置について説明する。
−塩化カルシウムを用いた減圧蒸留装置−
第4の実施形態の減圧蒸留装置は、周辺に海水や地下水等の水資源がない場所であっても、塩化カルシウム水溶液を用いて、空気中の水分を吸湿させることで淡水を生成することができる。以下、その一例として、塩化カルシウムを用いた減圧蒸留装置について説明する。
図5は、第4の実施形態の減圧蒸留装置において基本構成の一例を示す図である。なお、図5の破線の矢印F1は、塩化カルシウム水溶液の濃縮水の流れを、破線の矢印F2は吸湿した塩化カルシウム水溶液をそれぞれ示す。
第4の実施形態の減圧蒸留装置1では、基本的には、蒸発器7以外の構成は第1の実施形態と同じであり、蒸発器7の構成は第2の実施形態と同じである。そして、第4の実施形態の減圧蒸留装置1は、原料水を塩化カルシウム水溶液とし、さらに、吸湿装置24と、濃縮水タンク2内及び吸湿装置24とに連通する第3の管路26と、蒸留水を貯留する真空タンク25と、を備える。吸湿装置24は、送風ファン24aと、回転ドラム24bと、を備える。図5では、主に図1の濃度センサー14、レベルセンサー16、バッフル21及び原料水レベル検出配管22を省略している。この構成によって塩化カルシウム水溶液を循環使用する。塩化カルシウム水溶液は予め塩化カルシウム粉末を水に溶解させておくなど様々な方法で得ることができる。
吸湿装置24は、空気の流入出し易い構造が好ましい。送風ファン24aは塩化カルシウム水溶液と空気との接触頻度を上げ、回転ドラム24bは塩化カルシウム水溶液と空気との接触面積を大きくする役割があり、いずれも、塩化カルシウム水溶液の水分の吸収を促進させる。なお、塩化カルシウム水溶液の水分の吸収を促進させるものであれば、吸湿装置24は、どのような構成であってもよく、送風ファン24a及び回転ドラム24b以外のものも用いてもよい。送風ファン24a及び回転ドラム24bは、太陽電池を電力の供給源とすることができる。
第4の実施形態における塩化カルシウム水溶液は塩化カルシウムの濃度が高く、沸騰温度が高いため、第4の実施形態の減圧蒸留装置1は、第1の管路6を断熱性にする等高温に対応できる構成とすることが好ましい。また、第4の実施形態の減圧蒸留装置1は、固形物の炭酸カルシウムの析出を抑えるために、塩化カルシウム水溶液に塩化ナトリウム(NaCl)を添加することが好ましい。ナトリウムは、カルシウムよりも炭酸ガスと結合し易く、また、析出した炭酸ナトリウムは、水に溶けるため、塩化ナトリウムを入れておくと、二酸化炭素は炭酸ナトリウムとして溶ける。そのため、炭酸カルシウムの析出を抑えることができる。
第4の実施形態の減圧蒸留装置1は、基本的に、第1の実施形態と同様にして運転することができるが、濃縮された塩化カルシウム水溶液は、再度、空気中の水分を吸収させて原料水として用いることができるため、適宜図示しないポンプで第3の管路26を介して吸湿装置24内に送ることが好ましい。なお、吸湿装置24は、複数を並列して用いることができる。また、トリチェリの水柱を用いて真空タンク25等の真空貯槽をなくすことができる。
第4の実施形態の減圧蒸留装置1は、安価な塩化カルシウムを用いることにより、水資源のない場所であっても淡水を生成することができる。また、第4の実施形態の減圧蒸留装置1は、原料水が塩化カルシウム水溶液以外であっても、濃縮水を原料水として再利用する場合に有効である。
−その他−
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変更可能である。得られた水蒸気を熱源としてを本発明方式によって再度、減圧蒸留する多段減圧蒸留式の減圧蒸留装置としてもよい。さらに、上記実施形態では、太陽熱と空冷などの自然熱を使用する例を述べたが、可能であれば火力発電所などの熱源や海水等の冷却水を使用できること、及び操作を容易にするために真空排気装置を使用することも可能である。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変更可能である。得られた水蒸気を熱源としてを本発明方式によって再度、減圧蒸留する多段減圧蒸留式の減圧蒸留装置としてもよい。さらに、上記実施形態では、太陽熱と空冷などの自然熱を使用する例を述べたが、可能であれば火力発電所などの熱源や海水等の冷却水を使用できること、及び操作を容易にするために真空排気装置を使用することも可能である。
本発明によれば、簡素な構造、簡素な運転、低い製造費用及び低い維持運転の費用で、長期にわたって海水等の原料水から淡水及び濃縮水を得ることができるため、様々な分野に用いられることが期待される。特に、水不足が深刻な問題となっているが、設備投資や維持運転等に大きな費用をかけることが困難な多くの発展途上国の乾燥地帯で十分な生活用水や農業用水を得るために用いられることが期待される。したがって、産業上の利用可能性は極めて大きい。
1 減圧蒸留装置
2 濃縮水タンク
3 淡水タンク
4 原料水タンク
5 真空部
6 第1の管路
7 蒸発器
8 凝縮器
8a 空冷用ファン
9 第2の管路
10 第2の制御弁
12 第3の制御弁
13 真空ポンプ
14 濃度センサー
15 第1の制御弁
16 レベルセンサー
17 太陽電池
21 バッフル
22 原料水レベル検出管
23 蒸留水排出バルブ
24 吸湿装置
2 濃縮水タンク
3 淡水タンク
4 原料水タンク
5 真空部
6 第1の管路
7 蒸発器
8 凝縮器
8a 空冷用ファン
9 第2の管路
10 第2の制御弁
12 第3の制御弁
13 真空ポンプ
14 濃度センサー
15 第1の制御弁
16 レベルセンサー
17 太陽電池
21 バッフル
22 原料水レベル検出管
23 蒸留水排出バルブ
24 吸湿装置
Claims (11)
- 減圧蒸留により原料水から淡水を生成する減圧蒸留装置であって、
前記原料水を貯留する原料水タンク(4)と、
生成された前記淡水を貯留する淡水タンク(3)と、
前記原料水を蒸留することにより濃縮された濃縮水を貯留する濃縮水タンク(2)と、
前記淡水タンク内及び前記濃縮水タンク内に連通するとともに、前記淡水タンクと前記濃縮水タンクとの間に真空部(5)が形成される第1の管路(6)と、
前記第1の管路から分岐するとともに、前記原料水タンク内に連通する第2の管路(9)と、
前記第1の管路と前記第2の管路とが分岐する位置から前記原料水を前記第1の管路内に供給する量を制御する第1の制御弁(15)と、
前記濃縮水タンクから前記真空部に至る前記第1管路内の前記原料水を加熱し前記真空部内に蒸発させるための蒸発器(7)と、
前記蒸発器によって蒸発させられた蒸気を冷却して凝縮させる凝縮器(8)と、
前記原料水の蒸発により濃縮された濃縮水を前記濃縮水タンクの濃縮水内に排出する量を制御する第2の制御弁(10)と、を備える
ことを特徴とする減圧蒸留装置。 - さらに、前記第1の管路内の原料水の水位を検出するために前記第1の管路と分岐した原料水レベル検出配管(22)と、
前記原料水レベル検出配管に設けられたレベルセンサー(16)と、を備え、
前記レベルセンサーの出力に基づいて前記第1の制御弁が制御される
ことを特徴とする請求項1記載の減圧蒸留装置。 - さらに、前記第1の管路内の原料水の濃度を検出する濃度センサー(14)を備え、
前記濃度センサーの出力に基づいて前記第2の制御弁が制御される
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の減圧蒸留装置。 - 前記第1の管路は、前記真空部内に
突沸による原料水を遮るためのバッフル(21)を備える
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の減圧蒸留装置。 - 前記バッフルは、
開口部(21c)を有する第1の仕切り板(21a)と、
前記第1の仕切り板よりも外形が小さい第2の仕切り板(21b)と、を備え、
前記真空部内に
前記第1の仕切り板と前記第2の仕切り板とを間隔を開けて交互に配置する
ことを特徴とする請求項4記載の減圧蒸留装置。 - 前記第1の管路が円管であるとともに、前記バッフルの開口部が円形状であり、
前記第1の管路の直径(R4)は、前記開口部の直径(R2)の2.5倍以上である
ことを特徴とする請求項5記載の減圧蒸留装置。 - さらに、前記真空部(5)を排気するための真空ポンプ(13)と、
前記真空部の圧力を検出する圧力センサー(20)と、
前記真空ポンプと前記真空部との間に介在された第3の制御弁(12)と、を備え、
前記圧力センサーの出力に基づいて、前記真空部が所定圧力以下に維持されるように前記第3の制御弁及び前記真空ポンプが制御される
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の減圧蒸留装置。 - さらに、前記凝縮器が空冷用ファン(8a)を備え、
前記空冷用ファンに電力を供給するための太陽電池(17)を備える
ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の減圧蒸留装置。 - 前記第1管路及び前記第2管路の少なくとも前記真空部が形成される部位が、合成樹脂で形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の減圧蒸留装置。 - 前記蒸発器は、太陽熱を利用した蒸発器であることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に減圧蒸留装置。
- 前記原料水は、塩化カルシウム水溶液に空気中の水分を吸収させた水溶液である
ことを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の減圧蒸留装置。
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JP2010240154A JP2012091108A (ja) | 2010-10-26 | 2010-10-26 | 太陽熱を用いた減圧蒸留装置 |
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- 2010-10-26 JP JP2010240154A patent/JP2012091108A/ja active Pending
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Date | Code | Title | Description |
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RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
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