JP2007319156A - 家畜用飼料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】トレハロースを飼料に添加し、この飼料を用いて哺乳動物を飼育する。
【選択図】図1
Description
また、トレハロースの上記の効果を利用して、動物の飼料の保存性を高める技術も報告されている(特許文献4、5)。これらの飼料においては、具体的にトレハロースは、タンパク質の変性防止効果を利用して飼料酵素の残存率を高めるなど、含有成分の安定性を向上させる目的で用いられている。また、嗜好性を付与するためにトレハロースを甘味料として用いることも報告されている(特許文献6)。しかしながら、トレハロースを哺乳動物に投与して乳量を増加させることについては検討されていない。
カルシウムの吸収率を高める方法としては、ビタミンDを投与する方法が知られている。しかしながら、ビタミンDは、摂取しすぎると血管壁やカルシウムの沈着を促すなどの副作用があるため、厳密な管理下での使用が必要である。
一方、トレハロースはカルシウムと相互作用を行い、リン酸カルシウムなどの不溶性の塩類の生成を抑制することが知られている(非特許文献1)。また、マウスにおいて、塩化カルシウムと同時にトレハロースを経口投与すると、血中のカルシウム濃度が増加することも知られている(非特許文献2)。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)トレハロースを有効成分として含有する哺乳動物の乳量増加剤。
(2)上記哺乳動物が牛、山羊、羊である(1)に記載の乳量増加剤。
(3)(1)又は(2)に記載の乳量増加剤を含有する飼料。
(4)トレハロースの含有量が乾物質量当たり10質量ppm〜10000質量ppmであることを特徴とする(3)に記載の飼料。
(5)(3)又は(4)に記載の飼料を泌乳期の哺乳動物に供与することを含む、哺乳動物の飼育方法。
(6)トレハロースを有効成分として含有する哺乳動物に属する家畜のカルシウム吸収促進剤。
(7)トレハロースを有効成分として含有する哺乳動物に属する家畜の乳中のカルシウム増量剤。
(8)上記家畜が牛、山羊、羊である(6)又は(7)に記載のカルシウム吸収促進剤又は乳中のカルシウム増量剤。
(9)(6)〜(8)の何れか一に記載のカルシウム吸収促進剤又は乳中のカルシウム増量剤を含有する飼料。
(10)トレハロースの含有量が乾物質量当たり10質量ppm〜10000質量ppmであることを特徴とする(9)に記載の飼料。
(11)(9)又は(10)に記載の飼料を泌乳期の哺乳動物に属する家畜に供与することを含む、哺乳動物に属する家畜の飼育方法。
本発明の乳量増加剤に含有するトレハロースは、α,α−トレハロース、α,β−トレハロース、β,β−トレハロースの何れであってもよいが、好ましくはα,α−トレハロースである。また、トレハロースの製造方法、由来、形態は制限されない。例えば、酵母由来のトレハロースなど天然に見出されているトレハロースを用いてもよいし、マルトースやデンプンから製造されたトレハロースを用いてもよい。また、市販されているトレハロースを用いることもできる。
任意成分としては、例えば、エンテロコッカス属細菌、バチルス属細菌、ビフィズス属細菌などの生菌剤、アミラーゼ、リパーゼなどの酵素、L−アスコルビン酸、塩化コリン、イノシトール、葉酸などのビタミン、塩化カリウム、クエン酸鉄、酸化マグネシウム、リン酸塩類などのミネラル、DL−アラニン、DL−メチオニン、塩酸L−リジンなどのアミノ酸、フマル酸、酪酸、乳酸、酢酸及びそれらの塩類などの有機酸、エトキシキン、ジブチルヒドロキシトルエンなどの抗酸化剤、プロピオン酸カルシウムなどの防カビ剤、カルボキシメチルセルロース、カゼインナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウムなどの粘結剤、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルなどの乳化剤、アスタキサンチン、カンタキサンチンなどの色素、エステル類、エーテル類、ケトン類などの着香料、ブドウ糖、乳糖、ラフィノースなどの単糖、オリゴ糖類が挙げられる。
本発明の飼料におけるトレハロースの含有量は、与える動物の種類、飼料の成分、年齢、体重、時期等により適宜調節することができ、特に制限されないが、乾物質量当たり10質量ppm〜10000質量ppmであることが好ましい。
本発明のカルシウム吸収を促進するための飼料におけるトレハロースの含有量も乳量増加剤と同様に適宜調節することができる。
また、本発明の乳中のカルシウム増量剤を家畜の飼料に用いられる他の飼料成分と混合して、乳量を増加させ、かつ乳中のカルシウム濃度を維持するための飼料とすることができる。トレハロースの含有量、飼料の種類や成分は、特に制限されず、本発明の乳量増加剤やカルシウム吸収促進剤を含む飼料と同様に調製することができる。また、カルシウム補給剤などと組み合わせる形態も好ましい。
また、飼料の供与方法についても特に制限されず、乳量増加剤やカルシウム吸収促進剤を含有する飼料の供与と同様に行うことができる。
試験開始前の所見において異常の認められない健康な乳牛15頭を使用し、乳量にばらつきが生じないようにして、乳牛15頭を3頭ずつ5群に分けて28日間の飼育試験を行った。このうち3群に対しては、乳牛用飼料(ハイデーリィバルキー72、日本農産工業(株)製)にトレハロース(和光純薬工業製)を1日1回それぞれ10g、50g、200g添加して供与し、1群に対してはトレハロースの代わりにマルトース(和光純薬工業製)50gを添加して飼料を供与し、別の1群に対してはトレハロースを添加せずに飼料を供与した。トレハロース及びマルトースは飼料供与時に上から振りかけた。
飼育期間中の乳量を測定し、各群の乳量の平均を求めた。乳量の変化を図1に示す。
た。トレハロース50g、200g添加飼料により飼育した群では、乳量が顕著に増加し、カルシウム濃度も維持された。すなわち、総カルシウム量は顕著に増加したことが分かる。
以上より、トレハロースを添加した飼料を与えることにより、乳量が増加すると同時に、カルシウム吸収も促進され、結果として、乳中のカルシウム濃度が維持されることが分かった。また、乳の生産に利用される総カルシウム量が増加することも分かった。
Claims (11)
- トレハロースを有効成分として含有する哺乳動物の乳量増加剤。
- 上記哺乳動物が牛、山羊、羊である請求項1に記載の乳量増加剤。
- 請求項1又は2に記載の乳量増加剤を含有する飼料。
- トレハロースの含有量が乾物質量当たり10質量ppm〜10000質量ppmであることを特徴とする請求項3に記載の飼料。
- 請求項3又は4に記載の飼料を泌乳期の哺乳動物に供与することを含む、哺乳動物の飼育方法。
- トレハロースを有効成分として含有する哺乳動物に属する家畜のカルシウム吸収促進剤。
- トレハロースを有効成分として含有する哺乳動物に属する家畜の乳中のカルシウム増量剤。
- 上記家畜が牛、山羊、羊である請求項6又は7に記載のカルシウム吸収促進剤又は乳中のカルシウム増量剤。
- 請求項6〜8の何れか一項に記載のカルシウム吸収促進剤又は乳中のカルシウム増量剤を含有する飼料。
- トレハロースの含有量が乾物質量当たり10質量ppm〜10000質量ppmであることを特徴とする請求項9に記載の飼料。
- 請求項9又は10に記載の飼料を泌乳期の哺乳動物に属する家畜に供与することを含む、哺乳動物に属する家畜の飼育方法。
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