JP2007316545A - フォトソルダーレジストドライフィルム及び該ドライフィルム製造用樹脂組成物並びにソルダーレジスト膜 - Google Patents

フォトソルダーレジストドライフィルム及び該ドライフィルム製造用樹脂組成物並びにソルダーレジスト膜 Download PDF

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敬治 肥田
Junichi Shigeta
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Abstract

【課題】光硬化性に優れ、現像性、めっき性、及び絶縁信頼性に優れたフォトソルダーレジスト膜形成用のドライフィルムを得る。
【解決手段】(a)1分子中に少なくとも2個以上の重合性二重結合及び1個以上のカルボキシル基を有し、分子量が300〜1300である多官能化合物と、(b)1分子中に少なくとも2個以上の重合性二重結合及び1個以上のカルボキシル基を有し、分子量が3000〜20000である感光性プレポリマーと、(c)1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂と、(d)光重合開始剤と、(e)エポキシ樹脂硬化促進剤とを含有し、エポキシ樹脂(c)が固体状態で分散していることを特徴としている。
【選択図】なし

Description

本発明は、プリント配線板などの製造に用いるソルダーレジスト膜を形成するためのフォトソルダーレジストドライフィルム及び該ドライフィルム製造用樹脂組成物並びにこれを用いて形成したソルダーレジスト膜に関するものである。
一般にプリント配線板においては、電子部品を実装するためはんだを供給する際、不要部分にはんだが付着するのを防止したり、回路を保護する目的で、ソルダーレジスト膜が形成されている。このソルダーレジスト膜としては、フォトリソグラフィ法により微細なパターンが容易に形成できるフォトソルダーレジスト膜が普及しており、中でも環境への配慮及びコストの観点から、アルカリ性現像液で現像することができるソルダーレジスト膜が主として用いられている。
このようなソルダーレジスト膜は、パターニングした後、耐熱性を付与するため、熱硬化させるものが多い。従って、このような場合、光硬化性及び熱硬化性を有する樹脂組成物から形成される。
特許文献1においては、アクリレート基とカルボキシル基を有するアクリレート化合物と、エポキシ基を有するエポキシ化合物を用いた液状フォトソルダーレジストインキ組成物が開示されている。このような組成物においては、光硬化させてパターニングさせた後、エポキシ化合物のエポキシ基と、アクリレート化合物のカルボキシル基を反応させることにより熱硬化させている。特許文献1においては、アクリレート化合物として室温で液状である化合物を用いているので、光硬化の際の反応性が高く、良好な現像性が得られる。しかしながら、エポキシ化合物との反応性も高いため、アクリレート化合物とエポキシ基化合物を混合した後の貯蔵安定性が悪く、混合した後すぐに使用しなければならないという問題がある。また、液状であるため、塗布する工程が必要であり、さらには、スルーホールなどの貫通孔を有する基材には、液が裏側に回り込む不具合が発生するため、適用できなかった。
また、基板上の回路段差に沿って表面形状が追随するため、良好な平坦性を得ることが困難であった。
さらには、塗装後の乾燥時に溶剤の飛散があるため、塗装環境に悪影響を及ぼすものであった。
特許文献2及び特許文献3においては、塗布工程が不要となるフォトソルダーレジストのドライフィルムが提案されている。しかしながら、これらのドライフィルムは、光硬化性が不十分であり、また現像性及びめっき性が不十分であるという問題があった。さらには高温高湿下の環境では、電極間にイオンマイグレートが起こり、樹枝状結晶であるデンドライトの発生による絶縁抵抗の低下や電極間の短絡といった不具合が発生し易いため、絶縁信頼性に劣るものであった。
特開平5−202332号公報 特開2004−61566号公報 特開2005−82742号公報
本発明の目的は、光硬化性に優れ、現像性、めっき性、及び絶縁信頼性に優れたフォトソルダーレジスト膜形成用のドライフィルム及び該ドライフィルム製造用の樹脂組成物並びに該ドライフィルムを用いて形成したソルダーレジスト膜を提供することにある。
本発明のフォトソルダーレジストドライフィルムは、(a)1分子中に少なくとも2個以上の重合性二重結合及び1個以上のカルボキシル基を有し、分子量が300〜1300である多官能化合物と、(b)1分子中に少なくとも2個以上の重合性二重結合及び1個以上のカルボキシル基を有し、分子量が3000〜20000である感光性プレポリマーと、(c)1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂と、(d)光重合開始剤と、(e)エポキシ樹脂硬化促進剤とを含有し、エポキシ樹脂(c)が固体状態で分散していることを特徴としている。
本発明においては、エポキシ樹脂(c)が固体状態でドライフィルム中に分散している。エポキシ樹脂(c)が固体状態で分散しているので、熱硬化前においては、多官能化合物(a)及び感光性プレポリマー(b)のカルボキシル基との反応が抑制されるため、貯蔵安定性において優れている。
また、本発明においては、重合性二重結合を有する多官能化合物(a)が添加されているので、感光性プレポリマー(b)と多官能化合物(a)が光硬化性を有しており、良好な光硬化性を発揮する。
また、主成分である感光性プレポリマー(b)のみならず、多官能化合物(A)もカルボキシル基を有しているので、アルカリ現像性に優れており、まためっき性も優れている。
また、エポキシ樹脂(c)と反応するカルボキシル基が、感光性プレポリマー(b)のみならず、多官能化合物(a)にも付与されており、多官能化合物(a)は、感光性プレポリマー(b)に比べ比較的低分子で動きやすい成分とすることができる。従って、パターニング後熱硬化させる際、エポキシ樹脂(c)のエポキシ基との反応が容易であり、未反応のカルボキシル基を低減させることができるので、絶縁信頼性の高いソルダーレジスト膜を形成することができる。すなわち、未反応のカルボキシル基が残っていると、水分等の侵入によりCu等の金属が酸化され絶縁信頼性が低下するが、本発明によれば、未反応のカルボキシル基を低減させることができるので、絶縁信頼性の高いソルダーレジスト膜を形成することができる。
以下、本発明のドライフィルムにおける各成分について詳細に説明する。
<多官能化合物(a)>
本発明における多官能化合物(a)は、1分子中に少なくとも2個以上の重合性二重結合及び1個以上のカルボキシル基を有している。
多官能化合物(a)の分子量は300〜1300の範囲であることが好ましい。分子量が300未満の多官能化合物を調製することは一般に難しく、また多官能化合物の分子量が1300を超えると、化合物の粘度が非常に高くなるため好ましくない。
二重結合当量は100〜200g/eqであることが好ましい。二重結合当量が100g/eq未満であると、硬化後のフィルムが堅く脆くなるため、好ましくない。
二重結合当量が200g/eqを超えると、光硬化性が低下するため、好ましくない。
酸価は、30〜200mgKOH/gであることが好ましい。酸価が30mgKOH/g未満であると、アルカリへの溶解性が低下し、現像後に不溶解成分が残渣となるため好ましくない。
酸価が200mgKOH/gを超えると、熱硬化後に未反応のカルボキシル基が残存し、信頼性が低下するため好ましくない。
多官能化合物(a)としては、多官能アクリレートを酸変性した酸変性多官能アクリレートが挙げられる。
酸変性多官能アクリレートの具体例としては、ポリオール化合物とアクリル酸のエステル化反応における未反応の水酸基に、多塩基酸無水物もしくは多塩基酸を反応させて得られる酸変性多官能アクリレートが挙げられる。ポリオール化合物としては、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジグリセリン、ソルビトールなどが挙げられる。
また、多塩基酸無水物としては、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水コハク酸、無水トリメリット酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸などが挙げられる。
酸変性多官能アクリレートの具体的な化合物としては、ペンタエリスリトールトリアクリレートと無水フタル酸との反応生成物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートと無水コハク酸との反応生成物などポリオール化合物とアクリル酸のエステル化反応における未反応の水酸基と多塩基酸(無水物)を任意に組み合わせて多官能化合物(a)を合成することができる。
多官能化合物(a)は、室温(20℃)で液状であることが好ましい。液状の多官能化合物(a)を用いることにより、さらに良好な現像性及び絶縁信頼性等を得ることができる。
<感光性プレポリマー(b)>
本発明における感光性プレポリマー(b)は、1分子中に少なくとも2個以上の重合性二重結合及び1個以上のカルボキシル基を有している。
本発明における感光性プレポリマー(b)の重量平均分子量は、3000〜20000の範囲であることが好ましい。重量平均分子量が3000未満であると、はんだ耐熱性などの硬化膜特性が得られにくくなり、好ましくない。
重量平均分子量が20000を超えると、アルカリへの溶解性が低下し、不溶解成分が残渣となるため好ましくない。
感光性プレポリマー(b)中の二重結合当量は300〜1000g/eqであることが好ましい。二重結合当量が300g/eq未満であると、硬化後のフィルムが堅く脆くなるため好ましくない。
二重結合当量が1000g/eqを超えると、光硬化性が低下するため好ましくない。
また、酸価は、30〜200mgKOH/gであることが好ましい。酸価が30mgKOH/g未満であると、アルカリへの溶解性が低下し、現像後に不溶解成分が残渣となるため好ましくない。
200mgKOH/gを超えると、熱硬化後に未反応のカルボキシル基が残存し、絶縁信頼性が低下するため好ましくない。
本発明の感光性プレポリマー(b)は、酸変性エポキシアクリレートであることが好ましい。すなわち、エポキシ化合物にアクリレート基を付与させ、これを酸変性したものであることが好ましい。
酸変性エポキシアクリレートの具体例としては、エポキシ化合物に、カルボキシル基を有するアクリレートを反応させ、この反応によって生成した水酸基に、さらに多塩基酸無水物もしくは多塩基酸を反応させて得られるものが挙げられる。
エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、トリスフェノールメタン型、テトラフェノールエタン型のエポキシ樹脂などが挙げられる。
カルボキシル基を有するアクリレートとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸ダイマー、無水フタル酸とヒドロキシエチルアクリレートとの反応物などが挙げられる。
多塩基酸無水物もしくは多塩基酸としては、酸変性多官能アクリレートの説明において列挙をしたものが挙げられる。
<エポキシ樹脂(c)>
本発明におけるエポキシ樹脂(c)は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、固体状態で分散させることができるものであればよい。従って、室温(20℃)で固体状態のものが好ましく用いられる。
エポキシ樹脂(c)の融点は、90〜160℃の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは100〜120℃の範囲内である。融点が低過ぎると、熱硬化のための加熱の前に、多官能化合物(a)及び感光性プレポリマー(b)中のカルボキシル基と反応しやすくなるため、貯蔵安定性が低下する場合がある。また、融点が高過ぎると、熱硬化させる際に十分に溶融せず、多官能化合物(a)及び感光性プレポリマー(b)のカルボキシル基との反応が十分に進行しない場合がある。
また、本発明におけるエポキシ樹脂(c)は、一般的な有機溶剤または希釈剤に難溶性であることが好ましい。このような難溶性のエポキシ樹脂を用いることにより、固体状態で分散したエポキシ樹脂を含有したドライフィルムを容易に製造することができる。
本発明においてエポキシ樹脂(c)として用いることができる難溶性のエポキシ樹脂の具体例としては、ビフェニル型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ジフェノキシスルフィド型エポキシ樹脂、ジグリシジルフタレート樹脂、テトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂などが挙げられる。
具体的なエポキシ樹脂の化合物としては、1、1’−ジグリシジルオキシビフェニル、2、2’−ジメチル−4、4’−ジグリシジルオキシ−5、5’−ジターシャリーブチルジフェニルスルフィド、3、3’、5、5’−テトラメチル−4、4’−ジグリシジルジオキシフェニルメタン、2、5−ジターシャリーブチル−1、4−ジグリシジルオキシベンゼン、トリグリシジルイソシアヌレート等が挙げられる。また、エポキシ樹脂(c)の平均粒子径は、1〜10μmの範囲内であることが好ましい。平均粒子径が1μm未満であると、表面積が増えるため、カルボキシル基と接する確率が高くなり、貯蔵安定性が低下するため好ましくない。平均粒子径が10μmを超えると、塗膜表面に凹凸が形成されるため、平坦性が損なわれたり、粒子の影となる部分が露光されないため、解像度が損なわれたりするため、好ましくない。
<光重合開始剤(d)>
本発明における光重合開始剤は、パターニングのための露光の際、多官能化合物(a)及び感光性プレポリマー(b)の重合性二重結合の光重合を開始させるため含有される。
光重合開始剤としては、ベンゾフェノン類、ベンゾインアルキルエーテル類、アセトフェノン類、チオキサントン類、アントラキノン類等が挙げられる。具体的には、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸メチル、ベンゾイン、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−クロルアントラキノン、ジエチルチオキサントン、ジイソプロピルチオキサントン、クロルチオキサントン、ベンジル、1−ヒドロキシシクロルヘキシルフェニルケトン、2−メチル−[4−(メチルチオ)]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(モルフォリノフェニル)−1−ブタノン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。また、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル等の増感助剤を併用してもよい。
<エポキシ樹脂硬化促進剤(e)>
本発明においては、ドライフィルムをパターニングした後、熱硬化させる際にエポキシ樹脂(c)と、多官能化合物(a)及び感光性プレポリマー(b)との反応を促進するため、エポキシ樹脂硬化促進剤(e)が含有される。
エポキシ樹脂硬化促進剤(e)の具体例としては、ジシアンジアミド、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ペンタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール等とそれら誘導体等、テトラブチルアンモニウムアセテート、テトラブチルアンモニウムブロマイド等の四級アンモニウム塩、トリフェニルフォスフィンなどが挙げられる。
<その他の添加剤>
本発明においては、必要に応じて、ベンゾトリアゾール等の密着性を向上させるための密着性向上剤、印刷を改善させるためのチキソトロピー性付与剤、シリコン、フッ素、アクリルポリマー等の消泡剤やレベリング剤等の他、無機顔料、有機顔料、染料等の着色剤及びシリカ、タルク、硫酸バリウム等の無機充填剤等を添加することができる。
<配合割合>
本発明において、多官能化合物(a)及び感光性プレポリマー(b)と、エポキシ樹脂(c)の配合割合は、多官能化合物(a)及び感光性プレポリマー(b)中のカルボキシル基と、エポキシ樹脂(c)中のエポキシ基との比(カルボキシル基:エポキシ基)が、当量比で0.2:0.8〜0.8:0.2の範囲となるように配合されることが好ましく、さらに好ましくは0.3:0.7〜0.7:0.3の範囲内となるように配合される。カルボキシル基の割合が上記の範囲よりも少ないと、アルカリへの溶解性が低下し、不溶解成分が残渣となるため、好ましくない。
また、カルボキシル基の配合割合が上記の範囲よりも多くなりすぎると、熱硬化後に未反応のカルボキシル基が残存し、絶縁信頼性が低下するため好ましくない。
本発明において、多官能化合物(a)と感光性プレポリマー(b)の配合比(a:b)は、重量比で5:95〜50:50の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは10:90〜30:70の範囲内である。
多官能化合物(a)の配合割合が上記の範囲よりも多くなると、未硬化フィルムに粘着性が発生し、PETフィルムが剥がしにくくなったり、現像装置の搬送ロールに転写するなどの不具合が発生するため、好ましくない。
感光性プレポリマー(b)の配合割合が上記の範囲よりも多くなると、未硬化フィルムの可撓性が低下したり、光硬化性が低下したりする不具合が発生するため好ましくない。
本発明において、多官能化合物(a)と感光性プレポリマー(b)とエポキシ樹脂(c)との配合比(a:b:c)は上記の配合割合を満たす範囲で、重量比で10〜40:20〜70:20〜60の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは、10〜20:30〜70:20〜60の範囲内であり、これらは合計して(すなわちa+b+cが)100となるように設定される。
本発明において、光重合開始剤(d)中の配合割合は、0.1〜20重量%が好ましい。さらに、好ましくは、0.5〜10重量%である。0.1重量%未満であると、光硬化性が低下するため好ましくない。20重量%より多くなると、残存する光重合開始剤のため、塗膜特性が低下する場合があるため、好ましくない。
本発明において、エポキシ樹脂硬化促進剤(e)の配合割合は、0.1〜10重量%である。
(フォトソルダーレジストドライフィルム製造用樹脂組成物)
本発明のフォトソルダーレジストドライフィルム製造用樹脂組成物は、上記本発明のフォトソルダーレジストドライフィルムを製造するための樹脂組成物であり、多官能化合物(a)及び感光性プレポリマー(b)が溶解し、エポキシ樹脂(c)が難溶性を示す有機溶剤に、多官能化合物(a)、感光性プレポリマー(b)、光重合開始剤(d)及びエポキシ樹脂硬化促進剤(e)を溶解し、エポキシ樹脂(c)を分散させたことを特徴としている。
本発明の樹脂組成物は、上記のように、多官能化合物(a)及び感光性プレポリマー(b)が溶解し、エポキシ樹脂(c)が難溶性を示す有機溶剤を用いる。このような有機溶剤として、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエーテルエステル系;カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート等のカルビトール系;ジエチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル系:ソルベッソ−100、ソルベッソ−150等の炭化水素系の溶剤などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、このような有機溶剤に、多官能化合物(a)、感光性プレポリマー(b)、光重合開始剤(d)及びエポキシ樹脂硬化促進剤(e)を溶解し、エポキシ樹脂(c)を分散させる。
樹脂組成物に添加するエポキシ樹脂(c)の平均粒子径は、1〜10μm程度であることが好ましい。
上記のように、エポキシ樹脂(c)を分散させた状態の樹脂組成物を用いてドライフィルムを形成することにより、ドライフィルム中に固体状のエポキシ樹脂(c)が分散した状態のドライフィルムを得ることができる。
本発明の樹脂組成物中における有機溶剤の量は、使用する上記溶剤の種類等により適宜定められるものであり、基材に塗布する際に適当な粘度となるように用いればよく、特に限定されるものではない。
(フォトソルダーレジストドライフィルムの製造方法)
本発明のフォトソルダーレジストドライフィルムの製造方法は、上記本発明の樹脂組成物を剥離性基材の上に塗布した後、60〜120℃で2〜5分間乾燥し、本発明のドライフィルムを形成することを特徴としている。なお、本発明のフォトソルダーレジストドライフィルムは、このような条件で乾燥するものに限定されるものではない。
剥離性基材としては、塗布し、乾燥した後のドライフィルムを容易に剥離することができるものであればよく、例えば、PETフィルムなどのポリエステルフィルムを用いることができる。
(ソルダーレジスト膜)
本発明のソルダーレジスト膜は、上記本発明のドライフィルムを基材の上にラミネートし、マスクを介して活性エネルギー線をドライフィルムに露光し、未露光部をアルカリ性現像液で現像し、除去した後、露光により光硬化した部分を130〜180℃で加熱硬化して得られることを特徴としている。
本発明のソルダーレジスト膜は、上記本発明のドライフィルムを、プリント配線板などのソルダーレジスト膜を形成すべき基材の上にラミネートし、マスクを介して所定のパターンとなるように紫外線などの活性エネルギー線をドライフィルムに露光することにより、光硬化させる。所定の部分を光硬化させた後、光硬化していない未露光部をアルカリ性現像液で現像し、除去してパターニングする。
次に、パターニングにより残した露光部分を130〜180℃に加熱して熱硬化させる。
本発明のソルダーレジスト膜は、上述のように、現像性に優れたドライフィルムを用いて形成しているので、良好な解像度でパターニングされたソルダーレジスト膜である。パターニング部分における残渣が少ないので、めっき性においても優れている。また、上述のように、本発明においては、エポキシ樹脂(c)のエポキシ基と反応するカルボキシル基が、感光性プレポリマー(b)と、多官能化合物(a)のそれぞれに付与されているので、熱硬化の際のエポキシ樹脂の硬化性に優れており、残存する未反応のカルボキシル基の量を低減させることができる。このため、絶縁信頼性に優れたソルダーレジスト膜とすることができる。
なお、上記本発明のソルダーレジスト膜は130〜180℃の温度で加熱硬化しているが、本発明のフォトソルダーレジストドライフィルムは、このような温度で加熱硬化するものに限定されるものではない。
本発明によれば、光硬化性に優れ、現像性、めっき性及び絶縁信頼性に優れたフォトソルダーレジスト膜を形成することができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
多官能化合物(a)として表1に示す酸変性多官能アクリレート、感光性プレポリマー(b)として表1に示す感光性プレポリマー、エポキシ樹脂(c)として表1に示すエポキシ樹脂、光重合開始剤(d)として表1に示す光重合開始剤、エポキシ樹脂硬化促進剤(e)として表1に示すエポキシ樹脂硬化促進剤、その他の添加剤として表1に示す消泡剤、無機顔料、及び着色剤を用いて、フォトソルダーレジストドライフィルム製造用の樹脂組成物を調製した。具体的には、酸変性多官能アクリレート、感光性プレポリマー、及び消泡剤以外の成分を、25重量部の有機溶剤としてのソルベッソ−100に添加し、攪拌混合した後、ダイノーミルを用いて分散し、分散ペーストとした。この分散ペーストに、酸変性多官能アクリレート、感光性プレポリマー、及び消泡剤を添加し攪拌混合してフォトソルダーレジストドライフィルム製造用の樹脂組成物を調製した。
Figure 2007316545
(実施例2)
実施例1における酸変性多官能アクリレートを、コハク酸モノ−3−(3−アクリロイロキシ−2,2−ビスアクリロイロキシメチルプロポキシ)−2,2−ビスアクリロイロキシメチルプロピルエステルに置き換える以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調製した。
(比較例1)
実施例1における酸変性多官能アクリレートを、ペンタエリスリトールテトラアクリレートに置き換える以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調製した。
(比較例2)
実施例1における酸変性多官能アクリレートを、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートに置き換える以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調製した。
(比較例3)
実施例1における感光性プレポリマーを、CNA−142H(日本化薬社製:二重結合当量400g/eq:酸価0mgKOH/g:重量平均分子量7500)に置き換える以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調製した。
(比較例4)
実施例1における酸変性多官能アクリレートをペンタエリスリトールテトラアクリレートに置き換え、感光性プレポリマーをCNA−142Hとする以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調製した。
(比較例5)
実施例1におけるエポキシ樹脂を、エピコート1004(ジャパンエポキシレジン社製:ビスフェノールA型エポキシ樹脂:軟化点97℃)に置き換える以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を調製した。
上記の各実施例及び各比較例において用いた多官能アクリレートの二重結合当量、酸価、分子量及び融点、感光性プレポリマーの二重結合当量、酸価及び重量平均分子量、並びにエポキシ樹脂のタイプ及び融点を以下の表2に示す。
Figure 2007316545
以上の実施例1〜2及び比較例1〜5における感光性プレポリマー、多官能アクリレート、及びエポキシ樹脂の特性をまとめると、以下の表3のようになる。
Figure 2007316545
<フォトソルダーレジストドライフィルムの製造>
以上のようにして得られた実施例1〜2及び比較例1〜5の樹脂組成物を用いて、フォトソルダーレジストドライフィルムを製造した。具体的には、各樹脂組成物をダイコーターを用いて厚み25μmのポリエステルフィルム上に塗布し、60〜100℃に調整したトンネル炉内を通過させ、約2分間乾燥した。この乾燥物の固形分は100重量%であった。フィルムがまだ温かい内に、厚み25μmの光学PETフィルムをこのフィルムの上にラミネートし、間隙を調整したロールに通して、3インチのプラスチック管に巻き取った。このようにして、厚み35μmのフォトソルダーレジストドライフィルムを得た。
<ソルダーレジスト膜の形成及び評価>
以上のようにして得られたドライフィルムを用いて、ソルダーレジスト膜を形成した。具体的には、ドライフィルムを真空ラミネートを用い、光学PETフィルムが上面となるように銅貼り積層板に貼り合わせ、その後マスクを介して紫外線を所定部分に露光した後、光学PETフィルムを剥離し、1重量%のNaCO水溶液で60秒間スプレー現像を行った。現像後、基板上の水分を除去した後、紫外線でポストキュアを行った。次に、150℃で60分間加熱して硬化させソルダーレジスト膜を形成した。
ドライフィルムの現像性、ドライフィルムの露光感度、ソルダーレジスト膜形成後のめっき性、ソルダーレジスト膜形成後の絶縁信頼性について、以下のようにして評価し、結果を表3に示した。
また、ドライフィルムの貯蔵安定性についても評価し、その結果を表3に示した。
(ドライフィルムの現像性)
1重量%のNaCO水溶液で現像した後、直径が50μmのビア(未露光部)の底部において除去されずに残存している残渣について、以下の評価基準で評価した。
〇:残渣が無いもの。
×:残渣が存在したもの。
(ドライフィルムの露光感度)
ストウファー製ステップタブレットを使用し、200mJ/cmの紫外線を露光機を用いて露光し、1重量%のNaCO水溶液で現像した後のソルダーレジスト膜が残存する段数により評価した。
(レジスト膜形成後のめっき性)
直径50μmのビアの部分におけるめっき性を評価した。無電解ニッケルめっき液、及び無電解金めっき液にソルダーレジスト膜を形成した基板を浸漬し、ビア部におけるめっき不良率(めっき不良部分の個数/測定対象のめっき部分の個数)を測定し、以下の評価基準で評価した。なお、めっきの膜厚はニッケルめっきで約3μm、金めっきで0.05μmであった。
○:1%未満
×:1%以上
(ソルダーレジスト膜の絶縁信頼性)
IPC−SM−840に規定するくし形形状の回路パターンを有する基板上に、上記ドライフィルムを真空ラミネートし、上記と同様にしてUV硬化及び熱硬化させた後、130℃、RH85%で、3.3Vの電圧を印可し、電気抵抗値の変化を連続的に観察するとともに、外観のチェックを行った。絶縁信頼性は、以下の基準で評価した。
○:電気抵抗値が初期と変化無く、デンドライトの発生が無いもの。
×:電気抵抗値が低下したり、デンドライトが発生するもの。
(ドライフィルムの貯蔵安定性)
ドライフィルムを24時間室温に放置した後、上記と同様に露光現像し、レジスト膜のビアの形状を観察し、以下の基準で評価した。
○:現像性が初期と変化しないもの。
×:現像性が低下し、現像できないもの。
Figure 2007316545
表4に示す結果から明らかなように、本発明に従う実施例1及び2においては、ドライフィルムの現像性及び安定性に優れており、かつドライフィルムから形成したソルダーレジスト膜のめっき性及び絶縁信頼性においても優れていることがわかる。

Claims (13)

  1. (a)1分子中に少なくとも2個以上の重合性二重結合及び1個以上のカルボキシル基を有し、分子量が300〜1300である多官能化合物と、
    (b)1分子中に少なくとも2個以上の重合性二重結合及び1個以上のカルボキシル基を有し、分子量が3000〜20000である感光性プレポリマーと、
    (c)1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂と、
    (d)光重合開始剤と、
    (e)エポキシ樹脂硬化促進剤とを含有し、
    エポキシ樹脂(c)が固体状態で分散していることを特徴とするフォトソルダーレジストドライフィルム。
  2. 多官能化合物(a)の二重結合当量が100〜200g/eqであり、酸価が30〜200mgKOH/gであることを特徴とする請求項1に記載のフォトソルダーレジストドライフィルム。
  3. 多官能化合物(a)が、ポリオール化合物に対して、不飽和カルボン酸及び多塩基酸がエステル結合した構造を有することを特徴とする請求項1または2に記載のフォトソルダーレジストドライフィルム。
  4. 多官能化合物(a)が、室温で液状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のフォトソルダーレジストドライフィルム。
  5. 感光性プレポリマー(b)の二重結合当量が300〜1000g/eqであり、酸価が30〜200mgKOH/gであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のフォトソルダーレジストドライフィルム。
  6. 感光性プレポリマー(b)が、エポキシ化合物とカルボキシル基を有するアクリレートとが、エポキシ化合物のエポキシ基にカルボキシル基を有するアクリレートのカルボキシル基が付加しており、付加により生じる水酸基に多塩基酸がエステル結合した構造を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のフォトソルダーレジストドライフィルム。
  7. エポキシ樹脂(c)の融点が、90〜160℃の範囲内であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のフォトソルダーレジストドライフィルム。
  8. エポキシ樹脂(c)の平均粒子径が1〜10μmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のフォトソルダーレジストドライフィルム。
  9. 多官能化合物(a)及び感光性プレポリマー(b)中のカルボキシル基と、エポキシ樹脂(c)中のエポキシ基との比(カルボキシル基:エポキシ基)が、当量比で0.2:0.8〜0.8:0.2であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のフォトソルダーレジストドライフィルム。
  10. 多官能化合物(a)と感光性プレポリマー(b)との配合比(a:b)が、重量比で5:95〜50:50であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のフォトソルダーレジストドライフィルム。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載のフォトソルダーレジストドライフィルムを製造するための樹脂組成物であって、
    多官能化合物(a)及び感光性プレポリマー(b)が溶解し、エポキシ樹脂(c)が難溶性を示す有機溶剤に、多官能化合物(a)、感光性プレポリマー(b)、光重合開始剤(d)及びエポキシ樹脂硬化促進剤(e)を溶解し、エポキシ樹脂(d)を分散させたことを特徴とするフォトソルダーレジストドライフィルム製造用樹脂組成物。
  12. 請求項11に記載の樹脂組成物を剥離性基材の上に塗布した後、乾燥し、請求項1〜10のいずれか1項に記載のドライフィルムを形成することを特徴とするフォトソルダーレジストドライフィルムの製造方法。
  13. 請求項1〜10のいずれか1項に記載のドライフィルムを基材上にラミネートし、マスクを介して活性エネルギー線をドライフィルムに露光し、未露光部をアルカリ性現像液で現像し除去した後、露光により光硬化した部分を130〜180℃で加熱硬化して得られることを特徴とするソルダーレジスト膜。
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