JP2007314353A - 水素製造用マイクロリアクターおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金属基板の一方あるいは両面に燃料ガスの流路となる凹条溝を形成し、該金属基板の一部あるいは全面に、少なくともアルコキシシラン化合物、縮合触媒、溶媒、水、または/或いは添加剤を含有するゾル溶液を塗布し、その後、乾燥し、その後、焼成することにより、前記金属基板上にシリカ性絶縁層を形成することを特徴とする水素製造用マイクロリアクターの製造方法において、
シリコンアルコキシド化合物を化学式RnSi(OR’)4−n(n=0から3、RおよびR’:任意のアルキル、アリール基)とする。
【選択図】図2
Description
これまで燃料電池は宇宙開発や海洋開発用途で開発されてきたが、近年では自動車や家庭用、携帯機器用途のマイクロ燃料電池の開発が進められている。
携帯機器用途の燃料電池は、固体高分子型燃料電池に水素ボンベ、水素吸蔵合金やケミカルハライドの水素源を利用する直接水素型と、メタノールより直接発電するダイレクトメタノール型、燃料ガスを改質して水素を取り出し、その水素を発電に利用する改質型の3種が主に検討されている。
ダイレクトメタノール型は理論上高効率の発電が可能ではあるが、燃料であるメタノールが電解質膜を透過し、空気極でメタノールが副反応をおこすことで電池出力の低下がおこるいわゆるメタノールクロスオーバーの影響により、現状では10W/cm2程度の発電能力にとどまっており実用化の観点からでは、電解質膜の更なる研究開発が必要となる。
マイクロチャンネルの形成方法の例として、シリコン基板やセラミック基板にマイクロチャンネルを形成した後に触媒を担持して作成したマイクロリアクターが開発されている。(特許文献1参照)
さらには、携帯機器に使用した場合、シリコン基板やセラミック基板では、持ち運び時等の物理的ショックで基板にクラックが発生し故障の原因となる問題もある。
そこで、金属基板を使用したマイクロリアクターが開発されている。(特許文献2、3参照)
また、面内の膜厚の均一性を保つことが困難であり、十分な絶縁性を確保するには全体の膜厚を厚くする必要もあり、製造にも時間がかかり、コストも高くなってしまう。
さらにここで考えられる絶縁性皮膜の形成方法としては、たとえば気相成長法(特許文献4参照)、大気開放型の化学気相成長法(CVD法)(特許文献5参照)粉体静電塗装によるガラスの成膜方法(特許文献6参照)等が考えられる。
また、大気開放型CVDでは通常の気相成長法とは異なり、減圧プロセスが無いために連続成膜が可能であるという優れた点があるものの、焼成時に熱化学反応を促すために金属基板を高温に加熱する必要がある。
金属基板の一方あるいは両面に燃料ガスの流路となる凹条溝を形成し、該金属基板の一部あるいは全面に、少なくともアルコキシシラン化合物、縮合触媒、溶媒、水、または/或いは添加剤を含有するゾル溶液を塗布し、その後、乾燥し、その後、焼成することにより、前記金属基板上にシリカ性絶縁層を形成することを特徴とする水素製造用マイクロリアクターの製造方法である。
ゾル溶液に上記添加剤を用いることにより、ゾル溶液に増粘性が付与され、添加剤を添加していない系と比較してシリカ絶縁層を厚くすることができる。
さらにはゾル溶液の分散性を安定にする効果がある。
前記焼成の温度として、400℃以上800℃以下の温度を用いることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の水素製造用マイクロリアクターの製造方法である。
この場合、縮合による脱アルコールおよび架橋による体積収縮でクラックが生じやすくなる。
より好ましくは0.3mol%以上20mol%以下であることが望ましい。
一般例として、Rはエチル、メチル、フェニル基などでよい。
さらには、他反応を起こす官能基よって修飾されたアルコールは好ましくない。
R’はメチル基あるいはエチル基であることが望ましい。
本発明ではエーテル、エステル、ケトン、およびアミドの溶媒を用いる。
エーテルとしては、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノおよびジメチルエーテル、エチレングリコールモノおよびジエチルエーテル、エチレングリコールモノおよびジプロピルエーテル、エチレングリコールモノおよびジブチルエーテル、プロピレングリコールモノおよびジメチルエーテル、プロピレングリコールモノおよびジエチルエーテル、プロピレングリコールモノおよびジプロピルエーテル、プロピレングリコールモノおよびジブチルエーテル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール等があげられる。エステルであれば酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノおよびジアセテート、プロピレングリコールモノおよびジアセテート、エチレングリコールモノメチルあるいはエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルあるいはエチルエーテルアセテート等が上げられる。
溶媒は、アルコール、ケトン、エーテル、エステル、アミドから選ばれた1種または2種以上の混合物であっての良い。
30%vol以上であると、溶媒の極性が低下することでゾル成分が沈殿することがあるため30%vol以下であることが望ましい。
さらに、酸および塩基触媒を添加するが、酸が塩酸あるいはアンモニア水溶液のように水溶液である場合、酸あるいは塩基にあらかじめ含まれる水の量を計算し、不足分を添加すればよい。
より好ましくは、縮合触媒中の水と不足分の水の総量がシリコンアルコキサイド1分子あたり7当量以上20等量の範囲である。
添加方法はあらかじめ選定した溶媒中に加える。
酸としては乾燥、焼成の時に揮発するものを選定する。
硫酸および燐酸等の不揮発性のものを選定すると、焼成後も膜中に残留して絶縁性の低下を招くことになる。
有機酸であれば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、シュウ酸、マロン酸、モノフルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸等が上げられる。
0.001等量以下であるとゾル溶液を作成したときに十分な縮合が起こりにくく、乾燥や焼成時にアルコキシシラン化合物が蒸発してしまうために厚く塗布することが困難となる。
30等量以上であるとゾルの分散安定が困難となり沈殿を生じることがある。
より好ましくは0.05〜20等量の範囲である。
ゾル溶液に上記添加剤を用いることにより、ゾル溶液に増粘性が付与され、添加剤を添加していない系と比較してシリカ絶縁層を厚くすることができる。
さらにはゾル溶液の分散性を安定にする効果がある。
これら添加剤は使用するアルコキシシラン化合物の総量100重量部に対して0.01重量部以上30重量部以下の範囲で添加すると効果がある。
こうしてできた溶媒中に上述したアルコキシシラン化合物を滴下する方法でゾル溶液を調整し、ゾル溶液を作成する。
5g/L以下である場合、ゾル分が少なすぎて十分なシリカ絶縁膜の厚みが薄くなってしまう。
また、200g/Lである場合、過度に縮合が進むことがあり極端にゾル溶液が増粘し、場合によっては沈殿を起こし均一なゾル溶液を作成することが困難となる。
アルコキシシラン化合物は、溶媒(主溶媒であるアルコール類とその他溶媒の総量)に対して10g/L量部以上150g/Lであることがより望ましい。
金属基板を使用すれば、持ち運び時などの物理的ショックで携帯電話部材にクラックが発生する問題はない。
また、水素製造用マイクロリアクターにガス流路を形成する製造工程においても、ウエットエッチング法やプレス加工法を使うことができ、高い生産性で製造することができる。
不活性ガス雰囲気中にて焼成しない場合、1乃至3アルキルあるいはアリール置換アルコキシシラン化合物のアルキルあるいはアリール基が脱離し、そこがシラノール化されることでシリカ絶縁膜の絶縁性が低下してしまう。
一般的には窒素ガス、ネオンガス、アルゴンガスが上げられるが、コスト的な観点からも窒素ガスであることが望ましい。
このようにして水素製造用マイクロリアクターに緻密なシリカ性絶縁層を形成することができる。
まず、厚み300μmのステンレス板をアルカリ脱脂し、膜厚20μmの市販のドライフイルムレジスト基板片面に貼り合わせた。
シリカ絶縁層の膜厚は触針式膜厚計を用いて測定した。
測定結果を図1に示す。
測定結果を図1に示す。
測定結果を図1に示す。
測定結果を図1に示す。
測定結果を図1に示す。
測定結果を図1に示す。
測定結果を図1に示す。
測定結果を図1に示す。
測定結果を図1に示す。
測定結果を図1に示す。
実施例1と同様にマイクロチャンネルを形成した。
測定結果を図1に示す。
実施例1と同様にマイクロチャンネルを形成した。
シリカ絶縁層の膜厚は2μmであった。
測定結果を図1に示す。
実施例1と同様にマイクロチャンネルを形成した。
測定結果を図1に示す。
ステンレス板をアルミニウム板に変えた以外は実施例1と同様にマイクロチャンネルを形成した。
測定結果を図1に示す。
実施例1と同様にマイクロチャンネルを形成した。
焼成は1000℃で行った。
焼成後、12時間かけて室温に戻した。
測定結果を図1に示す。
ゾル溶液に添加剤を添加することにより、ゾル溶液を増粘し、ゾル溶液の均一塗布性、乾燥性が向上することができ、ゾル溶液を厚膜に塗ることが可能となり、絶縁信頼性を高めることができた。
102…ガス流路
103…絶縁層
104…発熱体
Claims (10)
- 燃料を改質して水素ガスを得るためのマイクロリアクターの製造方法において、
金属基板の一方あるいは両面に燃料ガスの流路となる凹条溝を形成し、該金属基板の一部あるいは全面に、少なくともアルコキシシラン化合物、縮合触媒、溶媒、水、または/或いは添加剤を含有するゾル溶液を塗布し、その後、乾燥し、その後、焼成することにより、前記金属基板上にシリカ性絶縁層を形成することを特徴とする水素製造用マイクロリアクターの製造方法。 - 前記アルコキシシラン化合物が、化学式RnSi(OR’)4−n(n=0から3、RおよびR’:任意のアルキル、アリール基)で示されることを特徴とする請求項1に記載の水素製造用マイクロリアクターの製造方法。
- 前記縮合触媒が、揮発性あるいは焼成により分解揮発する酸、または、塩基からなることを特徴とした請求項1または請求項2に記載の水素製造用マイクロリアクターの製造方法。
- 前記溶媒が少なくともアルコール、ケトン、エーテル、エステル、アミドから選ばれた1種または2種以上の液体からなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の水素製造用マイクロリアクターの製造方法。
- 前記添加剤が、前記ゾル溶液に均一に混和し、かつ、前記焼成時に熱分解し前記シリカ性絶縁層に残存しない高分子化合物を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の水素製造用マイクロリアクターの製造方法。
- 前記シリカ性絶縁層の厚みが0.2μm以上10μm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の水素製造用マイクロリアクターの製造方法。
- 前記シリカ性絶縁層の耐熱温度が450℃以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の水素製造用マイクロリアクターの製造方法。
- 前記塗布の方法として、スピンコート法、スプレーコート法、ディップコート法、ダイコート法、ドクターコート法、スリットコート法、静電塗装法を用いることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の水素製造用マイクロリアクターの製造方法。
- 前記凹条溝の形成方法として、エッチング法、プレス加工法、または、切削加工法を用い、
前記焼成の温度として、400℃以上800℃以下の温度を用いることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の水素製造用マイクロリアクターの製造方法。 - 燃料ガスの流路となる凹条溝を設けた金属基板の該凹条溝と反対側の面上に、シリカ性絶縁層を設け、該シリカ性絶縁層上に発熱体を設けたことを特徴とする水素製造用マイクロリアクター。
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