JP5454775B2 - 絶縁性積層体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金属基板上に、金属酸化物からなる絶縁性層を備えた絶縁性積層体の製造方法に関する。
絶縁性材料は、トランジスタなどの半導体素子、集積回路、パソコン、携帯電話、各種電池を始めとする電子デバイスに用いられており、その用途は多岐にわたる。
上記絶縁性材料としては、樹脂材料を金属基板や繊維基板等の任意の基板上に積層して、絶縁性層を設けた基板が広く知られている(例えば特許文献1)。
また金属酸化物系の薄膜材としては、スパッタリング、スプレー熱分解、イオンプレーティング、CVD法などにより、金属基材表面に蒸着原料を蒸着して、アルミナ被膜などのセラミック被膜を被覆したセラミック被膜被覆材が知られている(例えば特許文献2、または3)。
特開2007−318071号公報 特開平02−232357号公報 特開平07−258825号公報
しかし上記特許文献1を例とする樹脂材料を利用した絶縁性基板は、絶縁性能は優れているものの、耐熱性に弱いという課題があった。
一方、上記特許文献2及び3を例とする蒸着材料を用いて金属基板上に金属薄膜が形成されたセラミック被膜被覆材は、金属酸化物材料から構成されているために耐熱性は良好であるが、結晶性が不十分であるために絶縁性に乏しいという課題があった。
即ち、スパッタリング等の方法では、成膜時における成膜エネルギー(成膜温度)が蒸着材料である金属および金属酸化物材料からなるセラミック膜を結晶化させるには至らないことが一般的である。したがってセラミック膜としてスパッタリングで成膜したアルミナ膜を例に説明すれば、金属基板上に形成されるアルミナ膜は、実際にはAl3−X(但し、xは0より大きく3未満の数)の状態にあり、実質的には非晶質な状態にある。アルミナ膜は結晶化されると良好な絶縁性を示すため、上記Al3−Xの状態では高い絶縁性は発揮されない。
一方、金属基板上に形成されたアルミナ膜をAl3−Xの状態からAlの状態にし、結晶化させるためには、アルミナの結晶化温度までアルミナ皮膜を加熱する必要があるが、アルミナをはじめとする絶縁性金属酸化物の結晶化温度は、一般的に1000℃以上であり、かかる温度で加熱処理を実施すると金属基板の熱変形が起こってしまい問題であった。
本発明は上記の実状に鑑みて成し遂げられたものであり、耐熱性に優れ、且つ、良好な絶縁性を示す絶縁性積層体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、金属基板上に、結晶性の金属酸化物粒子を含有する層を積層することによれば、さらなる高温加熱処理を必要とせず、良好な絶縁性を示す積層体を形成することができることを見出した。
また本発明者は、上記絶縁性の積層体を製造する方法として、金属イオン溶液に、結晶性の金属酸化物粒子を配合し、これを金属基板上に塗布して塗膜を形成し、該塗膜中に含有される記金属イオンを非晶質な状態に酸化させる程度の適切な温度で加熱することによって、金属基板にダメージを与えず、且つ、上記金属酸化物粒子を該金属基板上に固着させることができ、これによって絶縁性及び耐熱性に優れた絶縁性積層体を製造することができることを見出した。
本発明は、
(1)金属イオンが含有される金属イオン溶液に結晶性の金属酸化物粒子を混合して絶縁性層形成用組成物を調製し、上記絶縁性層形成用組成物を金属基板上に塗布して塗膜を形成し、次いで、加熱することによって、金属基板上に、非晶質の金属酸化物及び上記結晶性の金属酸化物粒子を含有する絶縁性層を積層することを特徴とする絶縁性積層体の製造方法、
を要旨とするものである。
尚、本発明において「非晶質な金属酸化物」とは、結晶性を示す程度にまで酸化されていない金属酸化物材料を意味する。たとえば、金属イオンを含有する溶液を基板上に塗布して塗膜を形成し、該塗膜を加熱することによって、金属イオンに酸素が付加されて形成される金属酸化物であって、結晶性を示す程度にまで酸化されていない状態の金属酸化物材料などが、上記非晶質な金属酸化物に該当する。
より具体的には、アルミニウムイオンを例にいえば、Al3−X(但し、xは0より大きく3未満の数)の状態まで酸化されたものを意味する。また本発明において「結晶性の金属酸化物粒子」とは、粒子状の金属材料であって、完全に酸化されており結晶性を示す金属材料を意味する。例えば、α−アルミナAlが例に挙げられる。
本発明で得られる絶縁性積層体は、結晶性の金属酸化物粒子が、非晶質の金属酸化物により金属基板上に固着された状態で存在する。上記結晶性の金属酸化物粒子の存在により、良好な絶縁性が発揮される。
また本発明で得られる絶縁性積層体は、基板及び絶縁性層のいずれも金属から構成されるため、耐熱性に優れる。
また本発明の製造方法は、イオンプレーティング法や、スパッタリング法などの特殊な装置を用いることなく、また真空環境を必要とせず、容易に実施することができる。即ち、金属イオンが含有される金属イオン溶液に、結晶性の金属酸化物粒子が混合された絶縁性層形成用組成物を調製し、これを金属基板上に塗布し、次いで大気圧下で加熱するという、非常に容易な方法で実施することができる。
しかも、金属基板上に、非晶質の金属酸化物及び上記結晶性の金属酸化物粒子を含有する絶縁性層を積層形成する本発明の製造方法は、換言すれば、塗膜中に含有される金属イオン、あるいは金属イオン由来の非晶質の金属酸化物が結晶化するために必要な1000℃以上の高温で加熱を実施する必要がなく、金属基板に対する熱のダメージが軽減され、金属基板の熱変形を防止することができる。
実施例1のXRDの結果を示すグラフである。 実施例2のXRDの結果を示すグラフである。 実施例3のXRDの結果を示すグラフである。 実施例4のXRDの結果を示すグラフである。 実施例5のXRDの結果を示すグラフである。 比較例1のXRDの結果を示すグラフである。 比較例2のXRDの結果を示すグラフである。 比較例3のXRDの結果を示すグラフである。
[絶縁性積層体]
以下に本発明で得られる絶縁性積層体の最良の形態について、本発明における金属基板、絶縁性層の順に説明する。
金属基板:
本発明に用いられる金属基板は、特に限定されず、本発明で得られる絶縁性積層体が使用される用途によって適宜選択してよい。具体的には、ステンレス、チタン、ニッケル、クロム、アルミニウムなどを挙げることができる。本発明で得られる絶縁性積層体は、絶縁性層に非晶質な金属酸化物が存在することからも明らかなように、製造時において金属の結晶化温度まで加熱することがない。したがって、金属としては比較的耐熱性が低く、熱変形しやすい材質の基板であっても、本発明において基板として十分使用することが可能である。たとえば、1000℃程度に加熱すると明らかに熱変形が確認されるステンレスであっても、本発明で得られる絶縁性積層体ではそのような高温で加熱することがないので、金属基板として好適に使用することができる。また本発明における金属基板の厚みは、特に限定されないが、例えば10μm〜5mm程度のものが一般的には用いられる。
絶縁性層:
本発明における絶縁性層は、非晶質の金属酸化物と結晶性の金属酸化物粒子とから構成される。上記結晶性の金属酸化物粒子が含有されることによって、当該絶縁性層に絶縁性が付与され、また上記非晶質の金属酸化物が、バインダーとなり、この金属酸化物粒子を金属基板上に固着させる役割を担っている。上記非晶質の金属酸化物における金属元素と、結晶性の金属酸化物粒子における金属元素とは、同じ金属元素であっても異なる金属元素であってもよいが、特に、同じ金属元素であることが、結晶性の金属酸化物粒子と非晶質の金属酸化物との密着性の観点から好ましい。
上記結晶性の金属酸化物粒子としては、例えば、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、セリア(CeO)、イットリア(Y)、チタニア(TiO)などの粒子を挙げることができる。本発明に用いられる際の粒子の寸法は、特に限定されるものではないが、絶縁性層自体の膜厚等を勘案して決定され、絶縁性層の表面平滑性が求められるときは絶縁性層表面に粒子の一部が露出しないよう粒子の寸法を絶縁性層の膜厚よりも十分に小さくする必要がある。一般的には、平均粒子径が50nm〜100μm程度のものが好ましく用いられる。
絶縁性層中における上記金属酸化物粒子の重量比率は、求められる絶縁性能によって適宜調整することができる。より高い絶縁性能が求められる場合には、金属酸化物粒子の含有量を増加させることが望ましいが、絶縁性層と金属基板とにおける膜密着性の観点からは、絶縁性層中における金属酸化物粒子の重量比率は、90重量%以下であることが望ましい。
次に、絶縁性層における非晶質の金属酸化物について説明する。本発明における非晶質の金属酸化物は、金属基板上に上記金属酸化物粒子を固着させるためのバインダーとしての役割を担うことができるものであれば、特に限定されないが、金属酸化物粒子中の金属元素と同じ金属元素を有するものが好ましい。たとえば上記非晶質の金属酸化物としては、金属酸化物粒子が結晶性のアルミナの場合には、非晶質のアルミニウム酸化物であることが好ましく、同様に、金属酸化物粒子が結晶性のジルコニアの場合には、非晶質のジルコニウム酸化物であることが好ましく、金属酸化物粒子が結晶性のセリアの場合には、非晶質のセリウム酸化物であることが好ましい。ただし、上記記載は、本発明における非晶質の金属酸化物を限定する趣旨ではなく、上述で例示の材料以外であってもよい。尚、金属基板上に金属酸化物粒子を固着させるバインダーの役割だけであれば、非晶質の金属酸化物ではなく、樹脂材料であっても可能ではあるが、樹脂材料を用いることにより耐熱性が損なわれるため、本発明では金属酸化物を特に選択するものである。
尚、本発明において金属の状態を「結晶性」あるいは「非晶質」と表すことがあるが、本発明における絶縁性層を構成する金属が、結晶状態にあるか、非晶質状態にあるかは、X線回折法による結晶のピークの有無によって確認することができる。また別の方法として、透過型電子顕微鏡による電子回折像によっても、金属の状態が結晶状態にあるか、非晶質状態にあるかを判断することができる。
また、本発明における絶縁性能は、絶縁性層のリーク電流値の測定を絶縁性試験とし、これによって得られたリーク電流値によって評価される。リーク電流とは、電子回路上などで本来流れるはずのない場所や経路に電流が漏れ出してしまう現象であり、リーク電流値は、半導体などの分野で高い絶縁性能を評価する際の指標とされる。
本発明で得られる絶縁性積層体において絶縁性能がある、というときは、少なくとも絶縁性層を構成する金属酸化物における金属元素と同じ金属元素を有する材料を用いて、スパッタリング法やイオンプレーティング法などの公知の薄膜形成技術により金属基板上に金属膜を形成しただけの積層体よりも、有意に絶縁性能が高いことを意味する。特に、上記絶縁性試験において、リーク電流値が1×10−8A/mm以下で示される場合には、良好な絶縁性能と評価することができ、高範囲な用途において絶縁性積層体として用いることができるので好ましい。
[絶縁性積層体の製造方法]
次に本発明の製造方法を実施するための最良の形態について説明する。本発明の製造方法を実施するためには、まず、金属イオンが含有される金属イオン溶液に、結晶性の金属酸化物粒子が混合された絶縁性層形成用組成物が調製される。
上記絶縁性層形成用組成物は、金属イオン溶液に結晶性の金属酸化物粒子を混合させることによって調製することができる。上記金属イオン溶液は、金属化合物を適当な溶媒に溶解させることによってイオン状態の金属が含有されるものである。
上記金属化合物は、目的の金属元素を含んで構成されるものであれば特に限定されないが、例えばアルミニウム化合物としては、例えば、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、臭化アルミニウム、しゅう酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、乳酸アルミニウム、ほう酸アルミニウム、三ふっ化アルミニウム、よう化アルミニウム、硫酸アルミニウム、りん酸アルミニウム、アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムブトキシド、アルミニウムプロポキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド等を挙げることができる。
また、ジルコニウム化合物としては、塩化ジルコニウム、塩化酸化ジルコニウム、酸化ジルコニウム、硝酸酸化ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、ジルコニウムアセチルアセトナート、ジルコニウムエトキシド、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムプロポキシド、フッ化ジルコニウム等を挙げることができる。
また、セリウムの化合物としては、塩化セリウム、酢酸セリウム、シュウ酸セリウム、硝酸アンモニウムセリウム、硝酸セリウム、炭酸セリウム、二酸化セリウム、硫酸セリウム、セリウムアセチルアセトナート等を挙げることができる。
また、チタンの化合物としては、塩化チタン、二酸化チタン、フッ化チタン、硫酸チタン、チタンアセチルアセトナート、チタンオクチレングリコレート、チタンエチルアセトアセテート、チタンジイソプロポキシビスアセチルアセテート等を挙げることができる。
一方、上記溶媒は、用いる上記金属化合物を溶解することができるものであれば特に限定されないが、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロパノール、ブタノール等の総炭素数が5以下の低級アルコール;トルエン;アセチルアセトン、ジアセチル、ベンゾイルアセトン等のジケトン類;アセト酢酸エチル、ピルビン酸エチル、ベンゾイル酢酸エチル、ベンゾイル蟻酸エチル等のケトエステル類;およびこれらの混合溶媒等を挙げることができる。
上記金属イオン溶液に混合される結晶性の金属酸化物粒子は、本発明で得られる絶縁性積層体に用いられる金属酸化物粒子として上述したものと同様であるので、ここでは割愛する。また上記金属イオン溶液中における金属イオンと、配合される結晶性の金属酸化物粒子中の金属元素とは、同じ金属元素であっても異なる金属元素であってもよいが、上述と同様、結晶性金属酸化物粒子と非晶質の金属酸化物との密着性の観点から同じ金属元素であることが好ましい。
上記絶縁性層形成用組成物中における金属塩及び結晶性の金属酸化物粒子の配合量は、特に限定されず、金属基板上への組成物の塗布性や、金属基板上に形成される絶縁性積層の厚みや絶縁性、金属基板と絶縁性層との膜密着性などを勘案して適宜決定される。絶縁性層の膜密着性の観点からは、絶縁性層形成用組成物における金属塩と金属酸化物粒子の配合量は、形成される絶縁性層において非晶質の金属酸化物の重量と結晶性の金属酸化物粒子の重量の和に対して、上記結晶性の金属酸化物粒子の重量の比率が、90重量%以下となるよう調製することが好ましい。
次に、以上のとおり調製された絶縁性層形成用組成物を、上記金属基板上に、塗布して塗膜を形成する。塗布方法は、バーコート、コンマコート、ダイコート、グラビアコート、スピンコートなどのコーティング方法として従来公知の方法を適宜選択して実施することができる。このとき塗膜の厚みは、後述する加熱後において形成される絶縁性層の所望の厚みに応じて適宜決定される。望ましくは、加熱後の厚みが0.1μm〜1000μm程度となるよう調整して塗布量を決定する。
金属基板上に、塗膜を形成した後、次いで加熱を実施する。本発明の製造方法において塗膜の加熱は、塗膜中に含有される溶媒を除去し、同時に塗膜中に存在する金属イオンを酸化させて、金属酸化物粒子を金属基板上に固着させるために行うものである。加熱後において、絶縁性層は、非晶質の金属酸化物及び上記結晶性の金属酸化物粒子から構成される。換言すると、上記金属イオンが完全に酸化せず結晶化するに至らない温度で上記加熱が実施される。加熱温度は、溶媒の種類などにもよるが、300℃〜600℃の範囲内であることが望ましい。
上記加熱温度の決定は、具体的には、用いられる金属イオン溶液の熱分析によって決定することができる。即ち、金属塩を溶媒に溶解して作製された金属イオン溶液を加熱すると溶媒が除去されることから、その重量が減少するが、一定の温度までくると、溶媒が完全に除去された状態になり重量変化が一定になる。この重量変化が一定になった際の温度を、上記加熱温度として決定することができる。
また、本発明の製造方法において加熱時間は、塗膜中の溶媒量や塗膜厚などを勘案して適宜決定されるため特には限定されないが、10分間〜180分間の範囲内で加熱することが望ましい。
(実施例1)
アルミニウム化合物として、アルミニウムトリスアセチルアセトナート10gを用い、これをトルエン100mlに溶解させて金属イオン溶液を調製した。次いで、上記金属イオン溶液に結晶性の金属酸化物粒子として、粒子径4μmの微粒子アルミナ5gを混合・分散させて、絶縁性層形成用組成物を調製した。次に、0.2mm厚のSUS基板上に、上記絶縁性層形成用組成物をミヤバー(30番)で塗布してSUS基板上に塗膜を形成した。最後に塗膜を備えるSUS基板を、室温の状態の電気炉内に設置し、次いで、電気炉を1時間かけて500℃に昇温させ、その後500℃に維持して1時間加熱し、厚み15μmの絶縁性層を形成して、絶縁性積層体を作成し、これを実施例1とした。絶縁性層の重量に対する金属酸化物粒子の重量比率は65重量%であった。
<絶縁性試験>
実施例1の絶縁性層について以下のとおり試験した。すなわち、絶縁膜上にアルミニウムを500nm蒸着しアルミニウム膜を積層させ、金属基板である実施例1の対向電極とした。そして実施例1の絶縁性層―アルミニウム膜間に100Vの電圧を印加し、その際に発生するリーク電流を微小電流計(アドバンテスト社製 ADVANTEST R8340A ULTRA HIGH RESISTANCE METER)により測定した。測定されたリーク電流値は表1に示す。
<結晶性評価試験>
実施例1における絶縁性層の結晶性評価を、X線回折装置(株式会社リガク製RINT−1500)を用いて実施した。結晶ピークの有無により、基板上に結晶性の金属膜が形成されているか否かを以下のとおり評価した。評価結果を表1に示すとともに、X線回折の結果を示すグラフを図1に示す。
結晶ピークが確認された・・・・・・・・○
結晶ピークが確認されなかった・・・・・×
<膜密着性試験>
実施例1について、以下のとおり密着性試験を実施し、基板に対する絶縁性層の密着性について測定し、以下のとおり評価した。
セロテープ(登録商標)(ニチバン社製、CT−15)を、上記電極活物質層表面に貼り、次いで剥がしとった際、セロテープ側に電極活物質層の転写量が30%未満であった場合に○、30%以上〜100%であった場合に×とした。なお、%はセロテープに締める転写された膜の面積を示す。
(実施例2)
SUS基板の代わりに、0.1mm厚のTi基板を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、絶縁性積層体を作成し、これを実施例2とした。そして、上記絶縁性試験、結晶性評価試験、膜密着性試験と同様の試験方法で、実施例2の絶縁性、結晶性、膜密着性について評価した。評価結果は、表1にまとめて示す。また結晶性試験におけるX回折結果は図2に示す。
(実施例3)
ジルコニウム化合物として、硝酸酸化ジルコニウム二水和物9gを用い、これをアセチルアセトン100mlに溶解させ金属イオン溶液を調製した。次いで、上記金属イオン溶液に結晶性の金属酸化物粒子として、粒子径4μmの微粒子ジルコニア5gを混合・分散させて、絶縁性層形成用組成物を調製した。次に、0.2mm厚のSUS基板上に、上記絶縁性層形成用組成物をミヤバー(30番)で塗布してSUS基板上に塗膜を形成した。最後に塗膜を備えるSUS基板を、室温の状態の電気炉内に設置し、次いで、電気炉を1時間かけて500℃に昇温させ、その後500℃に維持して1時間加熱し、厚み15μmの絶縁性層を形成して、絶縁性積層体を作成し、実施例3とした。絶縁性層の重量に対する金属酸化物粒子の重量比率は55重量%であった。
そして、上記絶縁性試験、結晶性評価試験、膜密着性試験と同様の試験方法で、実施例3の絶縁性、結晶性、膜密着性について評価した。評価結果は、表1にまとめて示す。また結晶性試験におけるX回折結果は図3に示す。
(実施例4)
セリウム化合物として、塩化セリウム七水和物12gを用い、これをアセチルアセトン100mlに溶解させ金属イオン溶液を調製した。次いで、上記金属イオン溶液に結晶性の金属酸化物粒子として、粒子径4μmの微粒子セリア5gを混合・分散させて、絶縁性層形成用組成物を調製した。次に、0.2mm厚のSUS基板上に、上記絶縁性層形成用組成物をミヤバー(30番)で塗布してSUS基板上に塗膜を形成した。最後に塗膜を備えるSUS基板を、室温の状態の電気炉内に設置し、次いで、電気炉を1時間かけて500℃に昇温させ、その後500℃に維持して1時間加熱し、厚み15μmの絶縁性層を形成して、絶縁性積層体を作成し、実施例4とした。絶縁性層の重量に対する金属酸化物粒子の重量比率は47重量%であった。
そして、上記絶縁性試験、結晶性評価試験、膜密着性試験と同様の試験方法で、実施例4の絶縁性、結晶性、膜密着性について評価した。評価結果は、表1にまとめて示す。また結晶性試験におけるX回折結果は図4に示す。
(実施例5)
チタン化合物として、チタンジイソプロポキシビスアセチルアセテート12gを用い、これをイソプロピルアルコール100mlに溶解させ金属イオン溶液を調製した。次いで、上記金属イオン溶液に結晶性の金属酸化物粒子として、粒子径4μmの微粒子チタニア5gを混合・分散させて、絶縁性層形成用組成物を調製した。次に、0.2mm厚のSUS基板上に、上記絶縁性層形成用組成物をミヤバー(30番)で塗布してSUS基板上に塗膜を形成した。最後に塗膜を備えるSUS基板を、室温の状態の電気炉内に設置し、次いで、電気炉を1時間かけて500℃に昇温させ、その後500℃に維持して1時間加熱し、厚み15μmの絶縁性層を形成して、絶縁性積層体を作成し実施例5とした。絶縁性層の重量に対する金属酸化物粒子の重量比率は72重量%であった。
そして、上記絶縁性試験、結晶性評価試験、膜密着性試験と同様の試験方法で、実施例5の絶縁性、結晶性、膜密着性について評価した。評価結果は、表1にまとめて示す。また結晶性試験におけるX回折結果は図5に示す。
(実施例6)
結晶性の金属酸化物粒子として、粒子径4μmの微粒子アルミナ10gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、絶縁性積層体を作成し、これを実施例6とした。絶縁性層の重量に対する金属酸化物粒子の重量比率は79重量%であった。
そして、上記膜密着性試験と同様の試験方法で、実施例6の膜密着性について評価した。評価結果は、表1にまとめて示す。
(実施例7)
結晶性の金属酸化物粒子として、粒子径4μmの微粒子アルミナ20gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、絶縁性積層体を作成し、これを実施例7とした。絶縁性層の重量に対する金属酸化物粒子の重量比率は88重量%であった。
そして、上記膜密着性試験と同様の試験方法で、実施例7の膜密着性について評価した。評価結果は、表1にまとめて示す。
(実施例8)
結晶性の金属酸化物粒子として、粒子径4μmの微粒子アルミナ30gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、絶縁性積層体を作成し、これを実施例8とした。絶縁性層の重量に対する金属酸化物粒子の重量比率は92重量%であった。
そして、上記膜密着性試験と同様の試験方法で、比較例4の膜密着性について評価した。評価結果は、表1にまとめて示す。
(比較例1)
微粒子アルミナを混合させなかったこと以外は、実施例1と同様にして、積層体を作成し、比較例1とした。そして、上記絶縁性試験、結晶性評価試験、膜密着性試験と同様の試験方法で、比較例1の絶縁性、結晶性、膜密着性について評価した。評価結果は、表1にまとめて示す。また結晶性試験におけるX回折結果は図6に示す。
(比較例2)
スパッタリング法にて0.2mm厚のSUS基板上に、膜厚750nmのアルミナ膜を備える積層体を作製し、これを比較例2とした。具体的には成膜室内にステンレス基材をセットし、成膜室の圧力を0.6Pa、アルゴンガス流量を29sccm、酸素ガス流量を20sccmに調整した。ターゲットにはアルミニウムを使用し、投入電力2000W、成膜時間2hの条件で反応性スパッタリングにて成膜した。そして、上記絶縁性試験、結晶性評価試験、膜密着性試験と同様の試験方法で、比較例2の絶縁性、結晶性、膜密着性について評価した。評価結果は、表1にまとめて示す。また結晶性試験におけるX回折結果は図7に示す。
(比較例3)
イオンプレーティング法にて0.2mm厚のSUS基板上に、膜厚750nmのアルミナ膜を備える積層体を作製し、これを比較例3とした。具体的には真空反応槽内にステンレス基材をセット後、槽内を1×10-3Paまで真空に排気した。目標真空度に到達後、300℃に加熱し、2時間保持し、アルミナ粒子(粒径2〜3mm)を9kV、400mAの電子ビームで加熱溶解した。アルミナの溶融面が安定したところで、酸素ガスを導入し、圧力を1.5×10-2Paとして、15分間成膜した。そして、上記絶縁性試験、結晶性評価試験、膜密着性試験と同様の試験方法で、比較例3の絶縁性、結晶性、膜密着性について評価した。評価結果は、表1にまとめて示す。また結晶性試験におけるX回折結果は図8に示す。
以上の結果、実施例1〜7及び比較例1〜3は、いずれも膜密着性が良好であり、基板上に積層層が良好に形成されたことが確認された。
そして、実施例1〜5については、いずれもX線回折によって顕著なピークが確認され、基板上に結晶性の金属粒子が固着されていることが確認された。またいずれの実施例においても、1×10−8A/mm以下のリーク電流値が示され、良好な絶縁性能を発揮することが示された。
一方、比較例1〜3は、リーク電流値がいずれも実施例1〜5に比べて4〜5桁のオーダーで大きな値を示し、充分な絶縁性が示されなかった。
また比較例1は、微粒子アルミナを混合させなかったため、X線回折によって結晶ピークが確認されなかった。換言すると、比較例1の結晶性評価の結果から、実施例1における結晶ピークの出現は、微粒子アルミナの存在によるものであり、基板上に形成された塗膜中の金属イオンは、加熱により酸化されるものの、完全には酸化されずに結晶状態に至っていないことが理解される。
また比較例2及び3は、結晶ピークが確認されなかったことより、アルミナ膜中のアルミニウムは完全には酸化されておらず、結晶状態になっていないことが示された。
また、実施例1に対し、微粒子アルミナの配合量を増加させた実施例6乃至8を実施することによって、本発明における絶縁性層の膜密着性を確認したところ、絶縁性層における微粒子アルミナの重量比率が、絶縁性層の重量に対し90重量%以下となるよう調整することにより、良好な膜密着性が得られることが確認された。以上の結果より、本発明において、絶縁性能だけでなく、良好な膜密着性をも求める場合には、特に、絶縁性層における金属酸化物粒子の重量比率を、絶縁性層の重量に対し90重量%以下に抑えることが望ましいといえる。
Figure 0005454775

Claims (1)

  1. 金属イオンが含有される金属イオン溶液に結晶性の金属酸化物粒子を混合して絶縁性層形成用組成物を調製し、
    上記絶縁性層形成用組成物を金属基板上に塗布して塗膜を形成し、次いで、加熱することによって、金属基板上に、非晶質の金属酸化物及び上記結晶性の金属酸化物粒子を含有する絶縁性層を積層することを特徴とする絶縁性積層体の製造方法。
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