JP2007314139A - 冷却装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】排気空間の空気の混入による冷却能力の低下を抑制する冷却装置を提供する。
【解決手段】内気循環モードにおいては、吹き出し口32から吹き出された空気60は、車室内24を循環する。そして、循環する空気60の一部である空気60aは、空気吸入口8で取り込まれて冷却に使用された後に空気排出路10から排出される(空気62)。この空気排出路10による空気62の排出に伴い、車室内24の圧力が低下するが、逆流防止ダンパ14が連通路12を閉塞状態に維持するため、排出された空気62の一部である空気62aは、連通路12の逆流を制限される。一方、排出された空気62の別の一部である空気62bは、空気吸入口8と離れた位置にある後部座席の隙間などから車室内24へ流入する。そのため、この空気62bは、空気吸入口8で取り込まれない。
【選択図】図3

Description

この発明は、車室内の空気を用いて車載機器を冷却する冷却装置に関し、特に、温度の高い空気が車室内に逆流することによる冷却能力の低下を抑制するための技術に関する。
ガソリンなどの燃料の燃焼により作動するエンジンと電気モータとを組合せたハイブリッド車両が実用化されている。このような車両は、走行用の電気モータを駆動するための二次電池やコンデンサといった蓄電装置、ならびにインバータやDC/DCコンバータといった電力変換用機器などの車載機器を搭載している。二次電池は、化学反応を利用して充放電を行ない、この充放電に伴い発熱する。また、インバータやDC/DCコンバータもスイッチング動作に伴う発熱を生じる。
ところで、車載機器は、たとえば、後部座席とトランクルームとの空間に配置されることがある。そして、このような車載機器は、空気通路をなすダクト状のケーシング内に格納され、当該ケーシングの上流側に車載機器を冷却するための冷却風を発生する冷却ファンが配置される。さらに、上流端部は、車室内に連通(たとえば、リアパッケージトレイに開口)しているため、車載機器は、車室内の空気にて冷却されることになる。
たとえば、特開平10−306722号公報(特許文献1)には、空調される車室内の快適性を損なうことなく、効率的に電池の冷却を行なうことができる車両用電池冷却システムが開示されている。この車両用電池冷却システムによれば、冷却ファンによって車室内の空気を電池室内へ供給して電池を冷却する冷却手段と、電池の冷却後の空気を車室内へ案内することにより電池室と車室内との間で循環させる冷却風循環手段と、電池の冷却後の空気を車外へ排出する排出手段と、電池室内の温度ないし電池の温度の少なくとも一方の温度が所定値以上となると排出手段に切換える切換手段とを備える。
特開平10−306722号公報
一般的に、ハイブリッド車両を含めた多くの車両においては、車室内を換気可能とするため、車外空気を車室内前方から導入する一方、導入された車外空気を車室内後方の排気空間(たとえば、トランクルームなど)に排出するように構成される。すなわち、車室内と排気空間とを連通する連通路を配置することで、車室内に導入された空気が車室内を流動可能になる。
このような連通路は、車載機器の冷却空気を取り込むための開口と同様に、リアパッケージトレイに形成されることが多い。そのため、車載機器の冷却に伴い車室内から車室外へ空気が排出されることにより、車室内の圧力が排気空間の圧力に比較して低くなる(負圧になる)と、排気空間の空気が連通路を逆流して車室内へ流入する場合がある。そして、このように逆流した排気空間の空気は、連通路に近接して配置された開口から車載機器の冷却空気として取り込まれてしまう。
排気空間には、車室内の冷却を終えた空気が滞留しており、また元来冷却範囲として設計されていないので、車外からの環境影響(直射日光など)を受けやすい。そのため、排気空間の空気温度は、車室内の空気温度に比較して高くなっていることが多い。この結果、高温の空気が車載機器の冷却空気として用いられてしまい、冷却能力が低下するという問題があった。
この発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、排気空間の空気の混入による冷却能力の低下を抑制する冷却装置を提供することである。
この発明によれば、車室内の空気を用いて車載機器を冷却する冷却装置である。この発明に係る冷却装置は、車室内の空気を流動可能とするために車室内と排気空間とを連通する連通路における車室内側の開口に近接して配置され、車載機器を冷却するために車室内から冷却空気を取り込む空気吸入口と、車載機器を冷却した後の冷却空気を車室外へ排出する空気排出路と、車室内と排気空間との圧力差に応じて、排気空間から連通路を介して車室内へ流れる空気を制限するための制限手段とを備える。
この発明によれば、空気排出路から車載機器を冷却した後の冷却空気が車室外へ排出されて、車室内の圧力が低下した場合であっても、制限手段が車室内と排気空間との圧力差に応じて、排気空間から連通路を介して車室内へ流れる空気を制限する。これにより、排気空間の空気が車室内に逆流することを回避できる。したがって、車載機器を冷却するための冷却空気を取り込む空気吸入口が連通路と近接して配置されている場合であっても、連通路を流れた排気空間の空気が冷却空気として取り込まれてしまうことを回避できる。よって、排気空間における高温の空気が冷却空気として用いられることがないので、冷却装置の冷却能力の低下を抑制できる。同時に、排気空間の空気が車室内に逆流することによる車内快適性の低下を抑制できる。
好ましくは、制限手段は、連通路に配置され、車室内と排気空間との圧力差により可動に構成された感圧部材からなり、感圧部材は、車室内の圧力が排気空間の圧力に比較して低いときに、連通路を流れる空気量を小さくするように構成される。
好ましくは、制限手段は、連通路に配置され、制御指令に応じて連通路を流れる空気量を変化可能に構成され、この発明に係る冷却装置は、冷却空気を車室内に吹き出し可能、かつ内気循環モードまたは外気導入モードを選択可能に構成された温度調整機構における選択中のモードを検知するモード検知手段と、モード検知手段により検知されるモードに応じて、制限手段により連通路を流れる空気量を制御する制御手段とをさらに備える。
好ましくは、制御手段は、選択中のモードとして内気循環モードが検知されると、連通路を流れる空気量を小さくする。
好ましくは、空気吸入口は、連通路における車室内側の開口とは異なる開口を介して車室内から冷却空気を取り込むように構成される。
好ましくは、連通路は、空気吸入口を介して取り込まれた車室内の空気の少なくとも一部を排気空間へ流動可能な位置に開口される。
好ましくは、連通路は、空気吸入口を介して取り込まれた車室内の空気の少なくとも一部を排気空間へ流動可能な位置に開口され、車載機器は、充放電可能に構成された二次電池を含む。そして、この発明に係る冷却装置は、二次電池の電池温度を検知する電池温度検知手段をさらに備え、制御手段は、さらに、電池温度検知手段により検知される電池温度に基づいて、制限手段により連通路を流れる空気量を変化させる。
この発明によれば、排気空間の空気の混入による冷却能力の低下を抑制する冷却装置を実現できる。
この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1に従う冷却装置を搭載した車両100の概略構成図を示す。
図1を参照して、車両100は、一例としてエンジン(図示せず)に加えて、駆動力を発生可能な電気モータ(図示せず)を備えるハイブリッド車両である。
この発明の実施の形態1に従う冷却装置は、車室内(搭乗空間)24より車両後方側のトランクルーム(搭乗空間以外の空間)18に配置される。特に、この冷却装置は、車室内24に配置される前部座席20および後部座席22のうち、後部座席22の背面と近接して配置される。また、この冷却装置は、車両幅方向の両側のタイヤハウスを避けるように車両幅方向のほぼ中央部に配置される。そして、この冷却装置は、車室内24の空気を用いて、車載機器の一例である二次電池4を冷却する。
二次電池4は、一例として、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池などからなり、電気モータ(図示せず)および発電機(図示せず)の少なくとも一方と電気的に接続され、充放電可能に構成される。そして、二次電池4は、たとえば、角型のバッテリセル(通常1.2V程度の出力電圧)が複数個直列に接続されて1個のバッテリモジュールを形成し、さらに多数(20〜30個)のバッテリモジュールを直列に接続してバッテリパックとして構成される。さらに、バッテリパックとして構成された二次電池4は、冷却空気がバッテリパックの表面と接触しながら流れるように形成されたバッテリケース内に格納される。
そして、この発明の実施の形態1に従う冷却装置は、空気吸入口8と、冷却ファン6と、空気排出路10とを備える。
空気吸入口8は、リアガラスの下方部位に位置するリアパッケージトレイ(通常、オーディオのスピーカーなどが設置される部材)に開口しており、二次電池4を冷却するために車室内24の車室内空気(以下、「冷却空気」とも称す)を取り込む。冷却ファン6は、空気吸入口8と二次電池4とを接続するダクトの途中に介挿され、空気吸入口8により取り込まれた冷却空気を吸入する。空気吸入口8に接続されるダクトは、紙面上方から紙面下方に延びるように配置されているため、冷却空気は、図1の矢印で示されるように紙面上方から紙面下方に流れる。この冷却空気は、冷却ファン6によって二次電池4に供給される。
空気排出路10は、二次電池4についての冷却空気の供給端と反対側の端に接続され、二次電池4を冷却した(バッテリモジュールの間を流れた)後の冷却空気を車室内24の外へ排出する。図1においては、一例として、空気排出路10が冷却空気をトランクルームへ排出する構成を図示するが、車両100の車外へ排出するように構成してもよい。
また、車両100は、温度調整機構30と、連通路12とをさらに備える。
温度調整機構30は、吹き出し口32から車室内24へ吹き出す空気を、コンプレッサ・エバポレータなどを含む一般的構成の冷凍サイクルによって冷却および除湿する冷房機構(図示せず)を備える。そして、温度調整機構30は、吹き出し口32から車室内24へ空気を吹き出すためのブロワファン36をさらに備える。また、温度調整機構30は、車外から空気を取り入れる外気導入状態(外気導入モード)と車室内24の空気を循環させる内気循環状態(内気循環モード)とを選択可能とするための内外気切換ダンパ38をさらに備える。
内外気切換ダンパ38は、電気モータや空気アクチュエータにより作動し、図示しない外部ECU(Electronic Control Unit)からの制御指令(内外気切換ダンパ指令)に応じて、2つの位置のうちいずれか一方の位置をとる。具体的には、内外気切換ダンパ38が紙面下側にあるときは外気導入モードとなり、内外気切換ダンパ38が図1の紙面上側にあるときは内気循環モードとなる。
外気導入モードにおいて、内外気切換ダンパ38は、車外に開口された外気取入れ口34から車外の空気を温度調整機構30に導入する。一方、内気循環モードにおいて、内外気切換ダンパ38は、車室内24に開口された内気取入れ口33から車室内24の空気を温度調整機構30に導入する。
連通路12は、リアパッケージトレイの空気吸入口8の開口に隣接した位置に異なる開口を有しており、車室内24とトランクルーム18とを連通する。そして、連通路12は、外気導入モードにおいて吹き出し口32から吹き出され、車室内24を流動した後の空気をトランクルーム18へ排出する。すなわち、連通路12は、車室内24の空気流動により生じる動圧を低減することで車室内24の空気流動を可能とし、新鮮な車外空気を車室内24に導入する。この結果、外気導入モードであれば、車両100のリアガラスにも車外空気が接することになり、フロントガラスのみならずリアガラスについても、曇りにくくなる。
この発明の実施の形態1に従う冷却装置は、逆流防止ダンパ14と、制御装置2とをさらに備える。
逆流防止ダンパ14は、連通路12の開口部に配置され、制御装置2からの制御指令(逆流防止ダンパ指令)に応じて、連通路12を流れる空気量を変化させる制限手段である。一例として、逆流防止ダンパ14は、制御装置2からの制御指令に応じて、連通路12を開放状態または閉塞状態のいずれかにする。具体的には、逆流防止ダンパ14が図1の紙面下側にあるときは連通路12が開放状態となり、逆流防止ダンパ14が紙面上側にあるときは連通路12が閉塞状態となる。なお、逆流防止ダンパ14は、上述した内外気切換ダンパ38と同様に、電気モータや空気アクチュエータにより作動する。
制御装置2は、空気排出路10からの冷却空気の排出に伴う車室内24の圧力低下(負圧状態)が生じたときに、トランクルーム18の空気が連通路12を介して車室内24に逆流しないように、逆流防止ダンパ14を制御する。特に、トランクルーム18の空気は、直射日光などを受けて上昇することが多く、このような比較的高温の空気が連通路12を介して冷却空気に混入すると、冷却装置における冷却能力が低下してしまう。そこで、制御装置2は、逆流防止ダンパ14を制御して、トランクルーム18からの逆流を制限する。
一例として、制御装置2は、内外気切換ダンパ38へ与えられる内外気切換ダンパ指令を受けて、温度調整機構30において選択中のモードを検知し、検知された選択中のモードに応じて、逆流防止ダンパ14に制御指令を与える。具体的には、外気導入モードにおいて、制御装置2は、導入された車外空気が車室内24を可能な限り流動できるように、逆流防止ダンパ14を制御して連通路12を流れる空気量を最大(開放状態)にする。このとき、空気排出路10から排出される冷却空気量は、吹き出し口32から車室内24へ吹き出される車外空気量に比較して少ないので、車室内24の圧力がトランクルーム18の圧力に比較して低くなることはない。そのため、トランクルーム18の空気が連通路12を介して車室内24に逆流することは生じ難い。
一方、内気循環モードにおいては、制御装置2は、トランクルーム18の空気が車室内24に逆流しないように、逆流防止ダンパ14を制御して連通路12を流れる空気量を略ゼロ(閉塞状態)にする。すなわち、内気循環モードにおいては、車室内24に導入される空気が存在しないため、空気排出路10からの冷却空気の排出に伴い車室内24の圧力低下(負圧状態)が生じるが、逆流防止ダンパ14が連通路12を閉塞するので、トランクルーム18からの逆流を回避できる。これにより、高温の空気がトランクルーム18から車室内24に逆流することによる冷却能力の低下を抑制できる。
図2は、従来の車両における車室内の空気の流れを示す概念図である。
図2(a)は、外気導入モードである。
図2(b)は、内気循環モードである。
図2(a)を参照して、外気導入モードにおいては、車外から取り込まれた車外空気54は、吹き出し口32から吹き出される。そして、吹き出された空気50は、車両後方に流れていき、その一部である空気50aは、空気吸入口8で取り込まれて冷却に使用された後に空気排出路10から排出される(空気52)。一方、残りの空気50bは、連通路12を介してトランクルーム18に排出される。
図2(b)を参照して、内気循環モードにおいては、吹き出し口32から吹き出された空気60は、車室内24を循環する。そして、循環する空気60の一部である空気60aは、空気吸入口8で取り込まれて冷却に使用された後に空気排出路10から排出される(空気62)。この空気排出路10による空気62の排出に伴い、車室内24の圧力が低下するので、排出された空気62の一部である空気62aは、連通路12を逆流して車室内24へ流入する。そして、車室内24に流入した空気62aは、連通路12における車室内24側の開口に近接して配置される空気吸入口8で取り込まれる。このように、従来の車両においては、連通路12を逆流する空気62aにより、冷却装置の冷却能力が低下する場合があった。
図3は、この発明の実施の形態1における車室内の空気の流れを示す概念図である。
図3(a)は、外気導入モードである。
図3(b)は、内気循環モードである。
図3(a)を参照して、外気導入モードにおいては、車外から取り込まれた車外空気54は、吹き出し口32から吹き出される。そして、吹き出された空気50は、車両後方に流れていき、その一部である空気50aは、空気吸入口8で取り込まれて冷却に使用された後に空気排出路10から排出される(空気52)。一方、逆流防止ダンパ14は、連通路12を開放状態に維持するため、残りの空気50bは、連通路12を介してトランクルーム18に排出される。すなわち、上述した図2(a)と同様の空気の流れが生じる。
図3(b)を参照して、内気循環モードにおいては、吹き出し口32から吹き出された空気60は、車室内24を循環する。そして、循環する空気60の一部である空気60aは、空気吸入口8で取り込まれて冷却に使用された後に空気排出路10から排出される(空気62)。この空気排出路10による空気62の排出に伴い、車室内24の圧力が低下するが、逆流防止ダンパ14が連通路12を閉塞状態に維持するため、排出された空気62の一部である空気62aは、連通路12の逆流を制限される。一方、排出された空気62の別の一部である空気62bは、空気吸入口8と離れた位置にある後部座席22の隙間などから車室内24へ流入する。そのため、この空気62bは、空気吸入口8で取り込まれることなく、空気60とともに車室内24を循環する。
このように、制御装置2は、選択中のモードに応じて、連通路12を開放状態または閉塞状態に切換えることで、車室内24とトランクルーム18(排気空間)との圧力差に応じて生じる高温空気の逆流を制限する。
図4は、この発明の実施の形態1における制御装置2の制御構造を示すフローチャートである。
図4を参照して、制御装置2は、内外気切換ダンパ指令に基づいて選択中のモードを検知する(ステップS100)。そして、検知されたモードが外気導入モードであれば(ステップS100において「外気導入」)、制御装置2は、逆流防止ダンパ14に制御指令を与え、連通路12を開放状態にする(ステップS102)。
また、検知されたモードが内気循環モードであれば(ステップS100において「内気循環」)、制御装置2は、逆流防止ダンパ14に制御指令を与え、連通路12を閉塞状態にする(ステップS104)。
以下、制御装置2は、上述の処理を所定周期(たとえば、100msec)で繰返し実行する。
この発明の実施の形態1においては、逆流防止ダンパ14が「制限手段」を実現し、制御装置2が「モード検知手段」および「制御手段」を実現する。
なお、この発明の実施の形態1においては、逆流防止ダンパ14が連通路12を開放状態または閉塞状態のいずれかにする構成について説明したが、複数段階または無段階的にその位置を変化可能な逆流防止ダンパを用いることもできる。このような逆流防止ダンパを用いる場合には、車室内24の圧力およびトランクルーム18の圧力に応じて、連通路12を流れる空気量を変化させることが可能となるため、内気循環モードにおいて車室内が過剰な負圧状態になることを回避しつつ、冷却性能の低下も抑制できる。同時に、トランクルーム18の空気が車室内24へ逆流することによる車内快適性の低下を抑制できる。
この発明の実施の形態1によれば、空気排出路10から二次電池4を冷却した後の冷却空気が車室内24の外部にあるトランクルーム18へ排出されることにより、車室内24の圧力が低下する場合において、トランクルーム18から連通路12を介して車室内24へ逆流する空気の流れを遮断できる。このため、空気吸入口8がリアパッケージトレイの連通路12と近接した位置に開口している場合であっても、そのような逆流空気が冷却空気として取り込まれることを回避できる。よって、トランクルーム18に滞留する高温の空気が冷却空気として用いられることがないので、冷却装置の冷却能力の低下を抑制できる。
[変形例]
上述のこの発明の実施の形態1においては、制御指令に応じて、電気モータや空気アクチュエータにより作動する逆流防止ダンパ14で制限手段を実現する構成について説明したが、車室内と排気空間との圧力差を利用する感圧部材により実現することもできる。すなわち、排気空間から車室内への空気の逆流は、車室内の圧力が排気空間の圧力に比較して低い場合(負圧状態)にのみ生じるので、このような圧力差に応じて作動する機構を用いることで、制御装置を不要とする簡素な構成を採用できる。
図5は、この発明の実施の形態1の変形例に従う冷却装置の要部を示す図である。
図5(a)は、車室内24の圧力が排気空間(トランクルーム18)の圧力に比較して高い場合を示す。
図5(b)は、車室内24の圧力が排気空間(トランクルーム18)の圧力に比較して低い場合を示す。
図5(a)および図5(b)を参照して、この発明の実施の形態1の変形例に従う冷却装置は、制限手段を実現する感圧部材15を備える。感圧部材15は、連通路12の流路断面を閉塞可能に配置された可動部材であり、その一面に車室内24の圧力Prを受け、対向する面にトランクルーム18の圧力Ptを受ける。そのため、感圧部材15は、車室内24とトランクルーム18との圧力差(|Pr−Pt|)および連通路12の流路断面積の積に応じた力を受けて、連通路12を開放状態(図5(a))または閉塞状態(図5(b))とするように可動する。なお、感圧部材15の材質としては、ゴムなどの柔軟性を有する材料が挙げられる。
このように、感圧部材15は、車室内24とトランクルーム18との圧力差に応じて作動する。図5(a)に示すように、車室内24の圧力Prがトランクルーム18の圧力Ptに比較して高い場合(外気導入モード時)には、連通路12が開放状態に維持されるため、車室内24に吹き出された空気の一部である空気50bは、トランクルーム18への排出を制限されない。そのため、十分な量の車外空気を車室内24に導入することができる。
一方、図5(b)に示すように、車室内24の圧力Prがトランクルーム18の圧力Ptに比較して低い場合(内気循環モード時)には、連通路12が閉塞状態に維持されるため、トランクルーム18に排出された空気62の一部である空気62aは、連通路12の逆流を制限される。そのため、トランクルーム18から逆流した空気の混入による冷却能力の低下を抑制できる。
上述したように、感圧部材15は、車室内24とトランクルーム18との圧力差により生じる圧力を受けて可動するので、電力や圧空などの駆動源および制御指令を与える制御装置2(図1)が不要になる。
なお、感圧部材15は、自重によって連通路12を閉塞するように作用することが望ましく、図5においては、感圧部材15は、垂直上方を支点とした円弧運動可能なように構成される。
この発明の実施の形態1の変形例においては、感圧部材15が「制限手段」を実現する。
この発明の実施の形態1の変形例によれば、この発明の実施の形態1の効果に加えて、制御装置および駆動源が不要となるので、実現するための構成が簡素化でき、その結果、製造コストを抑えることも可能となる。
[実施の形態2]
上述したこの発明の実施の形態1においては、リアパッケージトレイに空気吸入口および連通路がそれぞれ開口している構成について説明した。一方、この発明の実施の形態2においては、リアパッケージトレイには空気吸入口のみが開口しており、空気吸入口と接続されるダクト内に連通路が開口している構成について説明する。
図6は、この発明の実施の形態2に従う冷却装置を搭載した車両200の概略構成図を示す。
図6を参照して、この発明の実施の形態2に従う車両100は、図1に示す車両200において、連通路12、逆流防止ダンパ14、冷却ファン6および制御装置2に代えて、それぞれ連通路12#、逆流防止ダンパ14#、冷却ファン6#および制御装置2#を配置し、かつ、電池温度検知部16をさらに備えたものと等価である。車両200のその他については、図1に示す車両100と同様であるので、詳細な説明は繰返さない。
連通路12#は、空気吸入口8と冷却ファン6#とを接続するダクトの途中に開口しており、車室内24とトランクルーム18とを連通する。そのため、外気導入モードにおいて吹き出し口32から吹き出された後、車室内24を流動した後の空気は、空気吸入口8で取り込まれて、その一部が連通路12#を介してトランクルーム18へ流動される。なお、空気吸入口8で取り込まれた残りの空気は、二次電池4の冷却に使用される。
逆流防止ダンパ14#は、連通路12#の開口部に配置され、制御装置2#からの制御指令(逆流防止ダンパ指令)に応じて、連通路12#を流れる空気量を変化させる制限手段である。そして、逆流防止ダンパ14#は、制御装置2#からの制御指令に応じて、連通路12#を開放状態または閉塞状態のいずれかにする。具体的には、逆流防止ダンパ14#が図6の紙面上側にあるときは連通路12#が開放状態となり、逆流防止ダンパ14#が紙面下側にあるときは連通路12#が閉塞状態となる。
さらに、逆流防止ダンパ14#は、制御装置2#からの制御指令に応じて、開放状態における連通路12#の開度(流路面積)を連続的に変化させることができる。上述したように、空気吸入口8で取り込まれた空気のうち、トランクルーム18へ排出される空気の量は、逆流防止ダンパ14#の開度に応じて定まる。そのため、二次電池4を冷却するために供給される冷却空気の量は、逆流防止ダンパ14#の開度および冷却ファン6#の風量に依存することになる。その他については、逆流防止ダンパ14と同様であるので、詳細な説明は繰返さない。
冷却ファン6#は、制御装置2#からの制御指令(冷却ファン風量指令)に応じて、その回転数を変化させて、空気吸入口8を介して吸引される冷却空気の風量を変化させる。その他については、冷却ファン6と同様であるので、詳細な説明は繰返さない。
電池温度検知部16は、二次電池4を構成する1または複数のバッテリセルもしくはバッテリモジュールの温度を検知し、その検知結果を制御装置2#へ送信する。なお、複数のバッテリセルもしくはバッテリモジュールの温度が検知された場合には、平均値処理などを行ない、代表値を制御装置2#へ送信するように構成してもよい。
制御装置2#は、空気排出路10からの冷却空気の排出に伴う車室内24の圧力低下(負圧状態)により、トランクルーム18の空気が連通路12#を逆流して車室内24に戻らないように、逆流防止ダンパ14#を制御する。さらに、制御装置2#は、二次電池4が過冷却になるのを回避するため、二次電池4の電池温度Tbに応じて、逆流防止ダンパ14#の開度および冷却ファン6#の風量の少なくとも一方を制御する。
この発明の実施の形態1における制御装置2と同様に、制御装置2#は、外気導入モードまたは内気循環モードのいずれが選択中であるかを検知し、検知されたモードに応じて、逆流防止ダンパ14#に制御指令を与える。具体的には、制御装置2#は、外気導入モードにおいて、連通路12#を開放状態にする一方、内気循環モードにおいて、連通路12#を閉塞状態(開度がゼロ)にする。これにより、高温の空気がトランクルーム18から車室内24に逆流することによる冷却能力の低下を抑制できる。
さらに、制御装置2#は、検知された二次電池4の電池温度Tbに応じて、逆流防止ダンパ14#の開度制御(外気導入モード時)または、冷却ファン6#の風量制御(内気循環モード時)を行ない、二次電池4が過冷却となるのを回避する。
図7は、この発明の実施の形態2における車室内の空気の流れを示す概念図である。
図7(a)は、外気導入モードである。
図7(b)は、内気循環モードである。
図7(a)を参照して、外気導入モードにおいては、車外から取り込まれた車外空気74は、吹き出し口32から吹き出される。そして、吹き出された空気70は、車両後方に流れていき、空気吸入口8により取り込まれる(空気70aおよび70b)。そして、逆流防止ダンパ14#により連通路12#が開放状態にされているので、空気70bは連通路12#を介してトランクルーム18へ排出される一方、空気70aは冷却に使用された後に空気排出路10から排出される(空気72)。
さらに、制御装置2#は、二次電池4の電池温度Tbに応じて、逆流防止ダンパ14#の開度を制御することで、二次電池4に供給される冷却空気(空気70a)の量を調整し、二次電池4の過冷却を回避する。
図7(b)を参照して、内気循環モードにおいては、吹き出し口32から吹き出された空気80は、車室内24を循環する。そして、循環する空気80の一部である空気80aが空気吸入口8で取り込まれる。そして、逆流防止ダンパ14#により連通路12#が閉塞状態にされているので、取り込まれた空気80aはすべて冷却に使用される。冷却に使用された空気80aは、空気排出路10から空気82として排出される。この空気排出路10による空気82の排出に伴い、車室内24の圧力が低下するが、連通路12#が閉塞状態に維持されるため、排出された空気82の一部である空気82aは、トランクルーム18から連通路12#への逆流を制限される。
一方、排出された空気82の別の一部である空気82bは、空気吸入口8と離れた位置にある後部座席22の隙間などから車室内24へ流入する。そのため、この空気82bは、空気吸入口8で取り込まれることなく、空気80とともに車室内24を循環する。
さらに、制御装置2#は、二次電池4の電池温度Tbに応じて、冷却ファン6#の風量を制御することで、二次電池4に供給される冷却空気(空気80a)の量を調整し、二次電池4の過冷却を回避する。
図8は、この発明の実施の形態2における制御装置2#の制御構造を示すフローチャートである。
図8を参照して、制御装置2#は、内外気切換ダンパ指令に基づいて選択中のモードを検知する(ステップS200)。そして、外気導入モードが選択中であると検知すると(ステップS200において「外気導入」)、制御装置2#は、逆流防止ダンパ14#に制御指令を与え、連通路12#を開放状態にする(ステップS202)。
そして、制御装置2#は、二次電池4の電池温度Tbを検知する(ステップS204)。電池温度Tbが所定の基準温度(たとえば、25℃)より高い場合(ステップS204において「高」の場合)には、制御装置2#は、より多くの冷却空気を二次電池4へ供給するために、逆流防止ダンパ14#に制御指令を与え、現在の開度より小さな開度に変更する(ステップS206)。一方、電池温度Tbが所定の基準温度より低い場合(ステップS204において「低」の場合)には、制御装置2#は、二次電池4への冷却空気の供給量を少なくするために、逆流防止ダンパ14#に制御指令を与え、現在の開度より大きな開度に変更する(ステップS208)。ステップS206またはS208の実行後、制御装置2#は、最初の処理に戻る。
一方、内気循環モードが選択中であると検知すると(ステップS200において「内気循環」)、制御装置2#は、逆流防止ダンパ14#に制御指令を与え、連通路12#を閉塞状態にする(ステップS210)。
そして、制御装置2#は、二次電池4の電池温度Tbを検知する(ステップS212)。電池温度Tbが所定の基準温度より高い場合(ステップS212において「高」の場合)には、制御装置2#は、より多くの冷却空気を二次電池4へ供給するために、冷却ファン6#に制御指令を与え、風量を現在の風量より増加させる(ステップS214)。一方、電池温度Tbが所定の基準温度より低い場合(ステップS212において「低」の場合)には、制御装置2#は、二次電池4への冷却空気の供給量を少なくするために、冷却ファン6#に制御指令を与え、風量を現在の風量より減少させる(ステップS216)。ステップS214またはS216の実行後、制御装置2#は、最初の処理に戻る。
この発明の実施の形態2においては、逆流防止ダンパ14#が「制限手段」を実現し、制御装置2#が「モード検知手段」、「制御手段」および「電池温度検知手段」を実現する。
なお、上述のこの発明の実施の形態2においては、二次電池4の過冷却を防止する構成について説明したが、このような過冷却防止の制御を行なわない構成であっても本発明の目的を達成できることは言うまでもない。すなわち、本発明に係る冷却装置は、この発明の実施の形態1およびその変形例と同様に、トランクルーム18の空気が連通路12#を介して車室内24に逆流しないように制限することにより、冷却性能の低下を抑制することを本質的な特徴点とするものである。
この発明の実施の形態2によれば、空気排出路10から二次電池4を冷却した後の冷却空気が車室内24の外部にあるトランクルーム18へ排出されることにより、車室内24の圧力が低下する場合において、トランクルーム18から連通路12を介して車室内24へ逆流する空気の流れを遮断できる。このため、そのような逆流空気が冷却空気として取り込まれることを回避できる。よって、トランクルーム18に滞留する高温の空気が冷却空気として用いられることがないので、冷却装置の冷却能力の低下を抑制できる。同時に、トランクルーム18の空気が車室内24へ逆流することによる車内快適性の低下を抑制できる。
また、この発明の実施の形態2によれば、外気導入モードおよび内気循環モードのいずれが選択されていても、逆流防止ダンパ14#の開度制御または冷却ファン6#の風量制御を行なうことで、二次電池4が過冷却となるのを回避できる。よって、二次電池4の温度上昇による劣化進行を抑制するとともに、過冷却による充放電能力の低下を抑制できる。
また、この発明の実施の形態2によれば、リアパッケージトレイには空気吸入口8だけが開口されるので、車室内とトランクルーム18とを連通する連通路をさらに配置する場合に比較して、構造をより簡素化でき、製造コストを抑制できる。
[その他の実施の形態]
なお、この発明の実施の形態1および2、ならびにこの発明の実施の形態1の変形例においては、車載機器の一例として二次電池を冷却する車両用冷却装置について説明したが、冷却対象はこれに限定されるものではない。すなわち、冷却対象は、蓄電装置を構成するコンデンサや、インバータやDC/DCコンバータなどがパッケージ化されたパワーコントロールユニットであってもよい。
また、この発明の実施の形態1および2、ならびにこの発明の実施の形態1の変形例においては、ハイブリッド車両に搭載される場合について説明したが、電気自動車などに搭載することも好適である。
また、この発明の実施の形態1および2、ならびにこの発明の実施の形態1の変形例においては、本発明に係る冷却装置をいわゆるセダン型車両に搭載する構成について説明したが、ハッチバック型車両やワゴン型車両などにも搭載が可能である。ハッチバック型車両やワゴン型車両においては、トランクルームが小さいまたは存在しないこともあるが、このような場合には、トランクルーム以外の空間を排気空間にすることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明の実施の形態1に従う冷却装置を搭載した車両の概略構成図である。 従来の車両における車室内の空気の流れを示す概念図である。 この発明の実施の形態1における車室内の空気の流れを示す概念図である。 この発明の実施の形態1における制御装置の制御構造を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態1の変形例に従う冷却装置の要部を示す図である。 この発明の実施の形態2に従う冷却装置を搭載した車両の概略構成図である。 この発明の実施の形態2における車室内の空気の流れを示す概念図である。 この発明の実施の形態2における制御装置の制御構造を示すフローチャートである。
符号の説明
2,2# 制御装置、4 二次電池、6,6# 冷却ファン、8 空気吸入口、10 空気排出路、12,12# 連通路、14,14# 逆流防止ダンパ、15 感圧部材、16 電池温度検知部、18 トランクルーム、20 前部座席、22 後部座席、24 車室内、30 温度調整機構、32 吹き出し口、33 内気取入れ口、34 外気取入れ口、36 ブロワファン、38 内外気切換ダンパ、50,50a,50b,52,60,60a,62,62a,62b,70,70a,70b,72,80,80a,82,82a,82b 空気、54,74 車外空気、100,200 車両。

Claims (7)

  1. 車室内の空気を用いて車載機器を冷却する冷却装置であって、
    前記車室内の空気を流動可能とするために前記車室内と排気空間とを連通する連通路における前記車室内側の開口に近接して配置され、前記車載機器を冷却するために前記車室内から冷却空気を取り込む空気吸入口と、
    前記車載機器を冷却した後の前記冷却空気を車室外へ排出する空気排出路と、
    前記車室内と前記排気空間との圧力差に応じて、前記排気空間から前記連通路を介して前記車室内へ流れる空気を制限するための制限手段とを備える、冷却装置。
  2. 前記制限手段は、前記連通路に配置され、前記車室内と前記排気空間との圧力差により可動に構成された感圧部材からなり、
    前記感圧部材は、前記車室内の圧力が前記排気空間の圧力に比較して低いときに、前記連通路を流れる空気量を小さくするように構成される、請求項1に記載の冷却装置。
  3. 前記制限手段は、前記連通路に配置され、制御指令に応じて前記連通路を流れる空気量を変化可能に構成され、
    前記冷却装置は、
    冷却空気を前記車室内に吹き出し可能、かつ内気循環モードまたは外気導入モードを選択可能に構成された温度調整機構における選択中のモードを検知するモード検知手段と、
    前記モード検知手段により検知されるモードに応じて、前記制限手段により前記連通路を流れる空気量を制御する制御手段とをさらに備える、請求項1に記載の冷却装置。
  4. 前記制御手段は、選択中のモードとして前記内気循環モードが検知されると、前記連通路を流れる空気量を小さくする、請求項3に記載の冷却装置。
  5. 前記空気吸入口は、前記連通路における前記車室内側の開口とは異なる開口を介して前記車室内から冷却空気を取り込むように構成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の冷却装置。
  6. 前記連通路は、前記空気吸入口を介して取り込まれた前記車室内の空気の少なくとも一部を前記排気空間へ流動可能な位置に開口される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の冷却装置。
  7. 前記連通路は、前記空気吸入口を介して取り込まれた前記車室内の空気の少なくとも一部を前記排気空間へ流動可能な位置に開口され、
    前記車載機器は、充放電可能に構成された二次電池を含み、
    前記冷却装置は、前記二次電池の電池温度を検知する電池温度検知手段をさらに備え、
    前記制御手段は、さらに、前記電池温度検知手段により検知される前記電池温度に基づいて、前記制限手段により前記連通路を流れる空気量を変化させる、請求項3または4に記載の冷却装置。
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