JP2007313834A - 複合多孔質体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】三次元網目構造を有するシート状の多孔質体11と、この多孔質体11の側部の少なくとも一部から面方向に延びる枠部材12とが一体に形成されてなる複合多孔質体10であって、枠部材12は、ゴム状弾性材により形成された緩衝部13と、この緩衝部13をその外周部側から覆う樹脂部14とを備え、緩衝部13は、多孔質体11の側部の一部、若しくは外周縁に沿った方向に間隔をあけた複数個所に接合され、樹脂部14において緩衝部13をその外周部側から覆う部分に多孔質体11の外周縁に沿った方向で連なる部分が、多孔質体11の側部に接合されている。
【選択図】図1
Description
このうち、熱可塑性樹脂は、溶融状態から硬化するまでの硬化収縮率が大きいので、複合多孔質体の製造時に反りが生じ易く、このように反った複合多孔質体を複数積層させた状態で配置すると、複合多孔質体同士の間に隙間が生じるため、この隙間を閉じるのに積層方向に押圧したときに、複合多孔質体に亀裂が生ずるおそれがある等、その取り扱い性を低下させることがある。さらに、熱可塑性樹脂の枠部材と多孔質体とでは、熱膨張係数が大きく異なるので、複合多孔質体の使用時に、これらの熱膨張係数差に起因して前記の反りや亀裂の発生を増長させるおそれもある。
一方、枠部材が、例えばゴムや熱可塑性エラストマー等のゴム状弾性材により形成されると、複合多孔質体に反りや亀裂が発生するのを防ぐことができるものの、多孔質体との接合強度を必要十分に確保することが困難になり、多孔質体の側部から枠部材が脱落し易くなるおそれがある。また、ゴム状弾性材は、時間の経過に伴い脆化し易いので、複合多孔質体が使用される過程において前記接合強度が大きく低下し易くなり、複合多孔質体の寿命が短くなるおそれがある。さらに、前記接合強度が低いことに起因して、多孔質体をインサート品としてキャビティ内に配置した状態でゴムを圧入して複合多孔質体を形成する場合、この形成後に型開きして複合多孔質体を取り出す際に枠部材が金型に引張られると容易に多孔質体から外れるおそれもある。
さらに、樹脂部は、多孔質体の側部において枠部材が接合された部分の全域ではなく、この部分において緩衝部の接合された部分を除いた部分に接合されているので、多孔質体の側部における樹脂部との接合部分を最小限に抑えることが可能になり、樹脂部の溶融状態から硬化するまでの硬化収縮や、後硬化するときの収縮が、多孔質体にその面方向内側に向けて及ぼす力を抑えることができる。
以上より、枠部材と多孔質体との接合強度を必要十分に保ちつつ、複合多孔質体に反りや亀裂が生ずるのを防ぐことができる。
本発明の複合多孔質体10は、図1に示すように、シート状の多孔質体11と、この多孔質体11の側部の少なくとも一部から面方向に延びる枠部材12とが一体に形成された平面視矩形の薄板とされている。
また、本実施形態では、多孔質体11の側部は、4つの平板部11bにより構成され、これらの平板部11bにより、平面視矩形とされた多孔質体11の外周縁を構成している。すなわち、多孔質体11の側部は、この多孔質体11の外周縁に沿った方向で隣合う平板部11bの長さ方向端部同士が稜線をなして連結された構成とされている。
スラリーは、例えばSUS316L等の金属粉末、有機バインダ(例えばメチルセルロースやヒドロキシプロピルメチルセルロース)、溶媒(水)を混合してなるものであり、これに加え、加熱処理により昇華あるいは気化する発泡剤(例えば炭素数5〜8の非水溶性炭化水素系有機溶剤(例えばネオペンタン、ヘキサン、ヘプタン))や消泡剤(エタノール)等が必要に応じて添加される。
成形されたスラリーは、さらにキャリアシートによって搬送され、加熱炉を通過する。そして、加熱炉中で乾燥されることにより、SUS316L粉末が有機バインダによって接合された状態のグリーンシートが形成される。
なお、スラリーに発泡剤が含まれる場合、キャリアシート上で延ばされた状態のスラリーを、乾燥前に、高湿度雰囲気下にて加熱処理し、発泡剤を発泡させて発泡スラリーとしてから、乾燥処理を行ってグリーンシートを形成する。
このグリーンシートは、キャリアシートから取り外された後、真空炉にて脱脂、焼成されることにより、有機バインダが取り除かれ、金属粉末同士が焼結された多孔質体11とされる。
さらに、緩衝部13は、多孔質体11の外周縁に沿った方向で隣合う平板部11bがなす稜線から、これらの各平板部11bにおいて前記稜線に連なる端部にかけた隅部11aに接合されている。なお、本実施形態では、図2および図3に示されるように、多孔質体11、緩衝部13および樹脂部14の厚さは同等とされるとともに、それぞれの表裏面は段差なく略一致している。
以上の各材質に代えて、例えば天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、若しくはアクリロニトリルブタジエンゴム等のジエン系ゴム、またはブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、クロロスルフォン化ゴム、塩素化ポリエチレン、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、若しくはフッ素ゴム等の非ジエン系ゴムを採用することもできるが、複合多孔質体10が例えば燃料電池のガス拡散部材として使用される場合には、例えば温度等の使用環境に耐え得る材質、例えばフッ素ゴム、エチレンプロピレンゴム若しくはシリコーンゴムを採用するのが望ましい。
まず、一対の金型間に形成されたキャビティに、インサート部品として多孔質体11を配置し、ランナからゲートを介して射出した溶融樹脂をキャビティ内に充填する。この際、多孔質体11の隅部11aとの間に、その厚さ方向の全域にわたってこの多孔質体11の面方向で隙間を設けた状態で、この多孔質体11の側部における隅部11aを除いた部分、つまり平板部11bの長さ方向中央部から面方向に延びる樹脂部14を射出成形するインサート成形を行う。
以上より、多孔質体11の側部に緩衝部13と樹脂部14とからなる枠部材12を形成して接合することにより複合多孔質体10を形成する。
以上より、枠部材12と多孔質体11との接合強度を必要十分に保ちつつ、複合多孔質体10に反りや亀裂が生ずるのを防ぐことができる。
例えば、前記実施形態では、樹脂部14を、多孔質体11の側部の全周にわたって延在させて、前記側部のうち隅部11aを除いた部分に接合したが、枠部材12が、多孔質体11の側部の一部、若しくは外周縁に沿った方向に間隔をあけた複数個所に接合された緩衝部13と、この緩衝部13をその外周部側から覆う樹脂部14とを備え、この樹脂部14において緩衝部13をその外周部側から覆う部分に多孔質体11の外周縁に沿った方向で連なる部分が、多孔質体11の側部に接合されていれば前記実施形態に限られるものではない。
なお、緩衝部13の表面若しくは裏面と多孔質体11の側部とが樹脂部14により接合されていなければ、緩衝部13および樹脂部14の厚さは同等であっても、緩衝部13の方が樹脂部14の厚さよりも薄くなっていてもよい。
さらに、前記実施形態では、平面視矩形の多孔質体11を示したが、例えば円形状であっても、多角形であってもよい。
11 多孔質体
12 枠部材
13 緩衝部
14 樹脂部
Claims (4)
- 三次元網目構造を有するシート状の多孔質体と、この多孔質体の側部の少なくとも一部から面方向に延びる枠部材とが一体に形成されてなる複合多孔質体であって、
枠部材は、ゴム状弾性材により形成された緩衝部と、この緩衝部をその外周部側から覆う樹脂部とを備え、緩衝部は、多孔質体の側部の一部、若しくは外周縁に沿った方向に間隔をあけた複数個所に接合され、樹脂部において緩衝部をその外周部側から覆う部分に多孔質体の外周縁に沿った方向で連なる部分が、多孔質体の側部に接合されていることを特徴とする複合多孔質体。 - 請求項1記載の複合多孔質体において、
緩衝部は、多孔質体の側部にこの外周縁に沿った方向に間隔をあけて複数設けられ、樹脂部は、緩衝部をその外周部側から覆い、かつ緩衝部同士の間を埋めるように、この多孔質体の全周にわたって延在していることを特徴とする複合多孔質体。 - 請求項1または2に記載の複合多孔質体において、
緩衝部は、多孔質体および樹脂部の表面に対して厚さ方向外方に突出していることを特徴とする複合多孔質体。 - 三次元網目構造を有するシート状の多孔質体と、この多孔質体の側部の少なくとも一部から面方向に延びる枠部材とが一体に形成されてなる複合多孔質体の製造方法であって、
前記多孔質体をインサート部品として、この多孔質体の側部においてその一部、若しくは外周縁に沿った方向に間隔をあけた複数個所との間に、この多孔質体の面方向で隙間を設けた状態で、前記側部におけるこの一部若しくは複数個所を除いた部分から面方向に延びる樹脂部を射出成形するインサート成形を行った後に、
トランスファー成形により、前記隙間にゴム状弾性材を圧入することによって、前記樹脂部により外周部側から覆われるとともに、多孔質体の側部における前記一部若しくは複数個所に接合した緩衝部を形成し、この緩衝部と樹脂部とを有する枠部材を形成して複合多孔質体を形成することを特徴とする複合多孔質体の製造方法。
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