JP2007308728A - 結晶性薄膜の成膜方法 - Google Patents
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Abstract
【効果】本発明によれば、シングルカソードマグネトロンパルススパッタリング法又はデュアルカソードマグネトロンパルススパッタリング法において、低温あるいは無加熱の基板上へ、ターゲットの状態によらず、常に安定した結晶性薄膜を成膜することができる。
【選択図】なし
Description
[1]シングルカソードマグネトロンパルススパッタリング法による薄膜の成膜方法において、ターゲット電極に印加する印加電力のデューティ比を60%以下にすると共に、ターゲット直上の水平方向磁場を30mT以上としたことを特徴とする結晶性薄膜の成膜方法。
[2]ターゲット電極に印加する印加電力の周波数が1〜200kHzであることを特徴とする[1]記載の結晶性薄膜の成膜方法。
[3]2つのターゲット電極に交互に電力を印加するデュアルカソードマグネトロンパルススパッタリング法による薄膜の成膜方法において、前記2つのターゲット電極にそれぞれ印加する印加電力のデューティ比を40%以下にすると共に、ターゲット直上の水平方向磁場を30mT以上としたことを特徴とする結晶性薄膜の成膜方法。
[4]ターゲットに印加する印加電力の周波数が1〜200kHzであることを特徴とする[3]記載の結晶性薄膜の成膜方法。
[5]成膜進行に伴うターゲットの消費又はエロージョンの進行に従い、該ターゲットと磁石との距離を調整し、該ターゲット直上の水平方向磁場強度を一定に保って、薄膜の結晶化度をターゲットライフタイム中で安定させることを特徴とする[1]乃至[4]のいずれか1項記載の結晶性薄膜の成膜方法。
[6]前記ターゲットと磁石との距離の調整を、該ターゲットへの積算投入電力によって制御することを特徴とする[5]記載の結晶性薄膜の成膜方法。
[7]前記ターゲットと磁石との距離の調整を、該ターゲットの放電電圧を一定に保つように制御することを特徴とする[5]記載の結晶性薄膜の成膜方法。
デューティ比=[オン時間/(オン時間+オフ時間)]×100(%)
と表され、このデューティ比を60%以下にすることで、結晶性の薄膜を形成し得るものである。
デューティ比(A)=[Xa/(Xa+Ya)]×100(%)
デューティ比(B)=[Xb/(Xb+Yb)]×100(%)
(Xa:カソードAのオン時間、Ya:カソードAのオフ時間)
(Xb:カソードBのオン時間、Yb:カソードBのオフ時間)
において、それぞれのカソードでのデューティ比を40%以下とすることにより、結晶性薄膜が形成されるものである。
図6において、21は基板であり、その上に薄膜層22が設けられている。なお、図には示さないが、必要に応じて基板21と薄膜層22の間に下地層を設け、両者を隔絶してもよい。
これらのスパッタリング法は、不活性ガスの存在下で行うか、又は不活性ガス及び酸素ガス等の反応性ガスの存在下で行うことができる。
その際、1周期中のオンの時間の比率であるデューティ比を低下させることにより、瞬間的に大きな放電電流が流れ、それに伴いプラズマ中の活性粒子密度が向上し、結晶性の高い薄膜層が得られる。
デュアルカソードマグネトロンパルススパッタリング装置の2つのカソードにそれぞれTiターゲット(放電面積270cm2/1個)を設置し、基板として石英ガラスをセットした。ターゲット背面の磁石位置を調整することにより、ターゲット上の水平方向磁場を40mT(400ガウス)とした。一旦、5×10-4Paまで真空引きした後に、装置内にArガスを導入して、0.5Paとし、電力3kW、デューティ比30%のパルス電力を50kHzの周波数でそれぞれ交互に各ターゲット電極に印加し、反応性ガスとして酸素ガスを用いて反応性マグネトロンパルススパッタリングを行った。この場合の放電電流値を図7に示す。反応性ガスはプラズマの発光をモニタリングし、500nmの発光強度がArのみでスパッタした場合の約20%の強度となるようにフィードバック制御して酸素を導入し、二酸化チタン薄膜を無加熱の基板上に300nmになるまで成膜させた。この薄膜を公知のX線回折法に基づき分析した結果、図8に示したように二酸化チタン結晶に帰属する回折ピークが認められたことから、結晶性薄膜であることを確認した。
デュアルカソードマグネトロンパルススパッタリング装置の2つのカソードにそれぞれTiターゲット(放電面積270cm2/1個)を設置し、基板として石英ガラスをセットした。ターゲット背面の磁石位置を調整することにより、ターゲット上の水平方向磁場を28mT(280ガウス)とした。一旦、5×10-4Paまで真空引きした後に、装置内にArガスを導入して、0.5Paとし、電力3kW、デューティ比45%のパルス電力を50kHzの周波数でそれぞれ交互に各ターゲット電極に印加し、反応性ガスとして酸素ガスを用いて反応性マグネトロンパルススパッタリングを行った。この場合の放電電流値を図9に示す。反応性ガスはプラズマの発光をモニタリングし、500nmの発光強度がArのみでスパッタした場合の約20%の強度となるようにフィードバック制御して酸素を導入し、二酸化チタン薄膜を無加熱の基板上に300nmになるまで成膜させた。この薄膜を公知のX線回折法に基づき分析した結果、図10に示したようにブロードパターンのみが認められたことから、アモルファス薄膜であることを確認した。
シングルカソードマグネトロンパルススパッタリング装置のカソードにTiターゲット(放電面積270cm2)を設置し、基板として石英ガラスをセットした。ターゲット背面の磁石位置を調整することにより、ターゲット上の水平方向磁場を40mT(400ガウス)とした。一旦、5×10-4Paまで真空引きした後に、装置内にArガスを導入して、0.5Paとし、電力2kW、デューティ比40%のパルス電力を80kHzの周波数でターゲット電極に印加し、反応性ガスとして酸素ガスを用いて反応性マグネトロンパルススパッタリングを行った。反応性ガスはプラズマの発光をモニタリングし、500nmの発光強度がArのみでスパッタした場合の約20%の強度となるようにフィードバック制御して酸素を導入し、二酸化チタン薄膜を無加熱の基板上に300nmになるまで成膜させた。この薄膜を公知のX線回折法に基づき分析した結果、実施例1と同様に二酸化チタン結晶に帰属する回折ピークが認められたことから、結晶性薄膜であることを確認した。
シングルカソードマグネトロンパルススパッタリング装置のカソードにTiターゲット(放電面積270cm2)を設置し、基板として石英ガラスをセットした。ターゲット背面の磁石位置を調整することにより、ターゲット上の水平方向磁場を28mT(280ガウス)とした。一旦、5×10-4Paまで真空引きした後に、装置内にArガスを導入して、0.5Paとし、電力2kW、デューティ比80%のパルス電力を80kHzの周波数でターゲット電極に印加し、反応性ガスとして酸素ガスを用いて反応性マグネトロンパルススパッタリングを行った。反応性ガスはプラズマの発光をモニタリングし、500nmの発光強度がArのみでスパッタした場合の約20%の強度となるようにフィードバック制御して酸素を導入し、二酸化チタン薄膜を無加熱の基板上に300nmになるまで成膜させた。この薄膜を公知のX線回折法に基づき分析した結果、比較例1と同様にブロードパターンのみが認められたことから、アモルファス薄膜であることを確認した。
11 ターゲット
11a ターゲット直上
12 磁石
13 基板
14 スイッチングユニット
15 直流又は交流電源
16 チャンバー
21 基板
22 薄膜層
Claims (7)
- シングルカソードマグネトロンパルススパッタリング法による薄膜の成膜方法において、ターゲット電極に印加する印加電力のデューティ比を60%以下にすると共に、ターゲット直上の水平方向磁場を30mT以上としたことを特徴とする結晶性薄膜の成膜方法。
- ターゲット電極に印加する印加電力の周波数が1〜200kHzであることを特徴とする請求項1記載の結晶性薄膜の成膜方法。
- 2つのターゲット電極に交互に電力を印加するデュアルカソードマグネトロンパルススパッタリング法による薄膜の成膜方法において、前記2つのターゲット電極にそれぞれ印加する印加電力のデューティ比を40%以下にすると共に、ターゲット直上の水平方向磁場を30mT以上としたことを特徴とする結晶性薄膜の成膜方法。
- ターゲットに印加する印加電力の周波数が1〜200kHzであることを特徴とする請求項3記載の結晶性薄膜の成膜方法。
- 成膜進行に伴うターゲットの消費又はエロージョンの進行に従い、該ターゲットと磁石との距離を調整し、該ターゲット直上の水平方向磁場強度を一定に保って、薄膜の結晶化度をターゲットライフタイム中で安定させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の結晶性薄膜の成膜方法。
- 前記ターゲットと磁石との距離の調整を、該ターゲットへの積算投入電力によって制御することを特徴とする請求項5記載の結晶性薄膜の成膜方法。
- 前記ターゲットと磁石との距離の調整を、該ターゲットの放電電圧を一定に保つように制御することを特徴とする請求項5記載の結晶性薄膜の成膜方法。
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JP2006136068A JP2007308728A (ja) | 2006-05-16 | 2006-05-16 | 結晶性薄膜の成膜方法 |
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