JP2007307930A - 車両の制動力制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】適切にLSD制御を実行することによって、スピンなどの発生を抑制することが可能な車両の制動力制御装置を提供する。
【解決手段】上記の車両の制動力制御装置は、左右輪における車輪速度の差が閾値を越えている場合に、車輪速度の差が低減されるように制動力を付与する制御を行う。また、車両の制動力制御装置は、スピンが発生する可能性が高い場合に、制動力の制御に用いる閾値を低い値へ変更する。これにより、左右輪の車輪速度の差が閾値を超える確率が高くなるため、制動力を付与する制御が発動されやすくなる。このような制動力を付与する制御を実行することにより、左右輪における車輪速度の差を低減させることができるため、車両に生じるヨーモーメントを低減することが可能となる。よって、車両に発生し得るスピンなどを適切に抑制することができる。
【選択図】図4
【解決手段】上記の車両の制動力制御装置は、左右輪における車輪速度の差が閾値を越えている場合に、車輪速度の差が低減されるように制動力を付与する制御を行う。また、車両の制動力制御装置は、スピンが発生する可能性が高い場合に、制動力の制御に用いる閾値を低い値へ変更する。これにより、左右輪の車輪速度の差が閾値を超える確率が高くなるため、制動力を付与する制御が発動されやすくなる。このような制動力を付与する制御を実行することにより、左右輪における車輪速度の差を低減させることができるため、車両に生じるヨーモーメントを低減することが可能となる。よって、車両に発生し得るスピンなどを適切に抑制することができる。
【選択図】図4
Description
本発明は、車両に対して付与する制動力を制御する車両の制動力制御装置に関する。
従来から、急激なハンドル操作などが行われた際に車両の安定性を確保するために、エンジン出力及び各車輪に付与する制動力の制御(以下、この制御を「VSC(Vehicle Stability Control)制御」と呼ぶ。)が行われている。また、左右輪における車輪速度の差が所定値以上となった場合に、ブレーキにより車輪速度の差を低減させる制御(以下、この制御を「LSD(Limited Slip Differential)制御」と呼ぶ。)が行われている。例えば、特許文献1にはLSD制御に関する技術が記載されている。
ところで、VSC制御及びLSD制御を行うことが可能な車両において、VSC制御の実行のオン/オフを切り替えられるように構成した場合、以下のような問題が発生する場合があった。VSC制御をオフに設定した場合、LSD制御が実行されることによって、VSC制御と概ね同様の効果を期待することができる。しかしながら、VSC制御をオフにした状態で車両にスピンなどが発生した場合に、必ずしもLSD制御が実行されるとは限らないと考えられる。これは、車両にスピンなどが発生した場合に、LSD制御が開始されるような左右輪の車輪速度の差が生じない場合があるからである。そのため、VSC制御をオフにした場合に、十分にスピンなどを抑制することが困難であった。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、適切にLSD制御を実行することによって、スピンなどの発生を抑制することが可能な車両の制動力制御装置を提供することにある。
本発明の1つの観点では、車両の制動力制御装置は、各車輪の車輪速度を取得する車輪速度取得手段と、左右輪における車輪速度の差が閾値を越えている場合に、車輪に対して制動力を付与する制御を行う制動力制御手段と、車両に発生するスピンを判定するスピン判定手段と、前記スピン判定手段により前記スピンが発生する可能性が高いと判定された場合に、前記スピンが発生する可能性が低いと判定された場合よりも、前記制動力制御手段が用いる閾値を低い値へ変更する閾値変更手段と、を備える。
上記の車両の制動力制御装置は、車両に対して付与する制動力を制御する装置である。車輪速度取得手段は、各車輪の車輪速度をセンサなどから取得し、制動力制御手段は、左右輪における車輪速度の差が閾値を越えている場合に、車輪速度の差が低減されるように車輪に対して制動力を付与する制御を行い、スピン判定手段は、車両に発生するスピンを判定する。また、閾値変更手段は、スピン判定手段によりスピンが発生する可能性が高いと判定された場合に、スピンが発生する可能性が低いと判定された場合よりも、制動力制御手段が用いる閾値を低い値へ変更する。
これにより、左右輪の車輪速度の差が閾値を超える確率が高くなるため、制動力を付与する制御が発動されやすくなる。このような制動力を付与する制御を実行することにより、左右輪における車輪速度の差を低減させることができるため、車両に生じるヨーモーメントを低減することが可能となる。したがって、上記した車両の制動力制御装置によれば、車両に発生し得るスピンなどを適切に抑制することができる。即ち、車両を安定状態に確保することが可能となる。
上記の車両の制動力制御装置の一態様では、横滑り抑制制御の実行がオンに設定されているか、或いはオフに設定されているかを取得する手段を更に備え、前記閾値設定手段は、前記横滑り抑制制御の実行がオフに設定されている場合において、前記スピン判定手段により前記スピンが発生する可能性が高いと判定された場合に、前記閾値の変更を実行する。
この態様では、車両の制動力制御装置は、横滑り抑制制御のオン/オフが切り替えられるように構成された車両に適用される。ここで、横滑り抑制制御は、車両の安定性を確保するために実行される制御であり、車両に付与する駆動力又は制動力の制御が行われる。閾値設定手段は、横滑り抑制制御の実行がオフに設定されている際にスピンが発生する可能性が高い場合に、制動力制御手段が用いる閾値を低い値に変更する。これにより、横滑り抑制制御がオフに設定されていても、制動力制御手段による制御を効果的に実行させることができるため、車両に生じ得るスピンなどを適切に抑制することが可能となる。また、横滑り抑制制御をオフに設定した運転者の意図に反して、車両に対して付与される駆動力が変動(例えば、低減)することがないため、操作フィーリングの悪化を防止することができる。
上記の車両の制動力制御装置において好適には、前記制動力制御手段は、駆動輪及び非駆動輪の少なくともいずれかに、前記制動力を付与する。
この場合、制動力制御手段は、駆動輪に制動力を付与するだけでなく、駆動輪の代わりに非駆動輪に対して制動力を付与する制御を行うことができる。また、駆動輪及び非駆動輪の両方に対して、制動トルクを付与する制御を行うことも可能である。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
[車両の構成]
まず、本発明の実施形態に係る車両の制動力制御装置が適用された車両100の全体構成について、図1を用いて説明する。
まず、本発明の実施形態に係る車両の制動力制御装置が適用された車両100の全体構成について、図1を用いて説明する。
図1は、車両100の概略構成を示す模式図である。なお、図1は、上方から車両100を観察した図であり、左が車両100の前で、右が車両100の後ろを示している。また、図中の破線矢印は、信号の入出力を示している。
車両100は、主に、エンジン(内燃機関)1と、車輪2fR、2fL、2rR、2rLと、車輪速度センサ3fR、3fL、3rR、3rLと、ブレーキシステム4と、油路4aと、ブレーキ5fR、5fL、5rR、5rLと、加速度センサ7と、ヨーレートセンサ8と、VSCカットオフスイッチ9と、ECU(Engine Control Unit)10と、ステアリング11と、舵角センサ12と、を備える。
なお、以下では、車輪2fR、2fLを「前輪2f」と呼び、車輪2rR、2rLを「後輪2r」と呼ぶ。また、車輪2fR、又は車輪2rRを「右輪2R」と呼び、車輪2rL、又は車輪2fLを「左輪2L」と呼ぶ。更に、前述した構成要素において、前後左右などの区別をしない場合には、符号に付した「fR」、「fL」、「rR」、「rL」を省略するものとする。
エンジン1は、燃焼室内の混合気を爆発させて、動力を発生する内燃機関である。エンジン1によって発生した動力は、図示しないトルクコンバータやトランスミッションやドライブシャフトなどを介して、前輪2f及び後輪2rの少なくともいずれかに伝達される。エンジン1は、後述するECU10から供給させる制御信号によって、発生する駆動力(以下、「駆動トルク」とも呼ぶ。)などが制御される。
車輪速度センサ3fR、3fL、3rR、3rLは、それぞれ車輪2fR、2fL、2rR、2rLの回転速度(以下、「車輪速度」と呼ぶ。)を検出するセンサである。車輪速度センサ3は、車輪速度に対応する検出信号をECU10に供給する。
ブレーキシステム4は、油圧系のシステムによって構成される。ブレーキシステム4は、図示しないマスターシリンダやハイドロユニットなどを備え、油路4aを介してブレーキ5fR、5fL、5rR、5rLに接続されている。ブレーキシステム4は、ECU10から供給される制御信号によって制御される。ブレーキ5fR、5fL、5rR、5rLは、ドラムブレーキやディスクブレーキなどの摩擦ブレーキによって構成される。ブレーキ5fR、5fL、5rR、5rLは、ブレーキシステム4から油路4aを介して供給される油圧によって駆動され、車輪2fR、2fL、2rR、2rLのそれぞれに対して制動力(以下、「制動トルク」とも呼ぶ。)を付与する。この場合、ブレーキ5は、ブレーキシステム4より供給される油圧の値に応じた制動トルクを付与する。なお、本発明においては、車両100に対して制動トルクを付与する機構を、油圧式のブレーキシステム4によって構成することに限定はされない。
加速度センサ(Gセンサ)7は、車両100の加速度を検出すると共に、走行路の坂路勾配(坂路の傾斜)を検出する。加速度センサ7は、検出した値に対応する検出信号をECU10に供給する。ヨーレートセンサ8は、車両100に発生するヨーレートを検出し、検出した値に対応する検出信号をECU10に供給する。
VSCカットオフスイッチ9は、VSC制御のオン/オフを切り替えるために運転者などによって操作されるスイッチである。具体的には、VSCカットオフスイッチ9が「オン」である場合には所定の条件が満たされた場合にVSC制御が実行され、VSCカットオフスイッチ9が「オフ」である場合にはVSC制御は実行されない。即ち、VSCカットオフスイッチ9が「オフ」である場合にはVSC制御の実行が禁止される。例えば、運転者は、ぬかるみ等がある道を走行する際にVSC制御が発動されないように、VSCカットオフスイッチ9をオフに設定する。なお、VSCカットオフスイッチ9のオン/オフに対応する信号は、ECU10に供給される。
ステアリング11は、運転者が車両100を旋回させるために操作される。舵角センサ12は、運転者によるステアリング11の操作に対応する舵角を検出するセンサであり、検出した値に対応する検出信号をECU10に供給する。
ECU10は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などを備える。ECU10は、上記した各種センサから供給される検出信号に基づいて、車両100に対する制御を実行する。具体的には、ECU10は、加速度センサ7、ヨーレートセンサ8、及び舵角センサ12から供給された加速度、ヨーレート、及び舵角に基づいて車両100に生じる横滑りを検出し、車両100がスピンする可能性があるか否かを判定する(以下、車両にスピンなどが発生する可能性が高い状態を「不安定状態」と呼ぶ)。そして、ECU10は、車両100が不安定状態にあると判定された場合、車両100に生じるスピンや横滑りなどを抑制するために、VSC制御(所謂、横滑り抑制制御)を実行する。具体的には、ECU10は、スロットルバルブ(不図示)の開度などを変化させることによって駆動トルクの制御を行ったり、ブレーキシステム4などを制御することによって制動トルクの制御を行う。
また、ECU10は、車輪速度センサ3から供給される車輪速度に基づいて左右輪における車輪速度の差を求め、車輪速度の差が閾値(以下、この閾値を「LSD制御判定値」と呼ぶ。)を超えた場合にLSD制御を実行する。この場合、ECU10は、左右輪における車輪速度の差を低減させるために、ブレーキシステム4などを制御することによって制動トルクの制御を行う。
更に、ECU10は、VSCカットオフスイッチ9がオンである場合にはVSC制御の実行を許可し、VSCカットオフスイッチ9がオフである場合にはVSC制御の実行を禁止する。本実施形態では、ECU10は、VSCカットオフスイッチ9がオフである場合、車両100の状態に基づいてLSD制御方法を切り替える。具体的には、VSC制御がオフである際に車両100が不安定状態であると判定された場合には、車両100が安定状態にあると判定された場合よりも、LSD制御が実行されやすくなるようにする。こうするのは、不安定状態にある車両100に対して効果的にLSD制御を実行させることによって、車両100に発生するスピンなどを抑制するためである。
以上のように、ECU10は、本発明における車両の制動力制御装置として機能する。具体的には、ECU10は、本発明における車輪速度取得手段、制動力制御手段、スピン判定手段、及び閾値変更手段として動作する。
[LSD制御方法]
次に、本実施形態に係るLSD制御方法について説明する。
次に、本実施形態に係るLSD制御方法について説明する。
本実施形態では、前述したように、VSCカットオフスイッチ9がオフである場合には、車両100の状態に基づいてLSD制御方法を切り替える。即ち、車両100が不安定状態にある場合には、車両100が安定状態にある場合よりも、LSD制御が実行されやすくなるようにする。具体的には、車両100が不安定状態にあると判定された場合に、LSD制御に用いるLSD制御判定値を低い値に変更する。つまり、車両100が不安定状態にある場合、車両100が安定状態である場合よりも、LSD制御判定値を低く設定する。これにより、左右輪の車輪速度の差がLSD制御判定値を超える確率が高くなるため、LSD制御が発動されやすくなる。なお、車両100が安定状態である場合には、VSCカットオフスイッチ9がオンである場合に設定されるLSD制御判定値と同一のLSD制御判定値を用いる。即ち、本実施形態では、VSCカットオフスイッチ9がオンからオフに設定されても、LSD制御判定値自体を変更しない。
上記のようにLSD制御方法を切り替えることにより、VSCカットオフスイッチ9がオフに設定されている際において車両100が不安定状態になった場合に、LSD制御を適切に実行させることができる。このように不安定状態にある車両100に対してLSD制御を実行することにより、車輪2に対して制動トルクを付与することにより左右輪における車輪速度の差を低減させることができるため、車両100に生じるヨーモーメントを低減することが可能となる。これにより、車両100に発生し得るスピンなどを抑制することができる。つまり、VSCカットオフスイッチ9がオフに設定されていても、LSD制御を実行することによって、VSC制御と同様の効果を得ることができる。
以上のように、本実施形態に係るLSD制御によれば、VSCカットオフスイッチ9がオフに設定されている場合であっても、LSD制御を効果的に実行させることによって、車両100に生じ得るスピンなどを適切に抑制することが可能となる。即ち、車両100を安定状態に確保することができる。
ここで、図2及び図3を用いて、本実施形態に係る制御を具体的に説明する。なお、図2及び図3に示す例では、VSCカットオフスイッチ9がオフに設定されているものとする。
図2は、車両100が安定状態にある場合に行われる制御を説明するための図である。図2(a)はVSC制御開始フラグを示しており、図2(b)はブレーキ制御油圧を示しており、図2(c)は車輪速度を示しており、図2(d)はヨーレートを示しており、それぞれ横軸に時間を示している。図2(a)に示すVSC制御開始フラグは、専らVSC制御に用いられるフラグであり、車両100の状態がVSC制御を開始すべき状況であるか否かを示している。即ち、VSC制御開始フラグがオンである場合には車両100が不安定状態にあることを示しており、VSC制御開始フラグがオフである場合には車両100が安定状態にあることを示している。図2(b)に示すブレーキ制御油圧は、ブレーキ5に供給される油圧を示しており、車輪2に付与される制動トルクに概ね対応する。また、図2(c)では、太線50は右輪2Rの車輪速度を示し、細線51は左輪2Lの車輪速度を示している。加えて、破線55は、右輪2Rの車輪速度50に対してLSD制御判定値を加算した値を示している。以下、この破線55をLSD制御閾値と呼ぶ。
図2に示す例においては、図2(a)に示すようにVSC制御開始フラグがオフであるため、即ち車両100が安定状態であるため、ECU10は、LSD制御閾値55を変更しない(図2(c)参照)。この場合、右輪2Rの車輪速度50と左輪2Lの車輪速度51とに差が生じているが、左輪2Lの車輪速度51がLSD制御閾値55を超えていない、即ち右輪2Rの車輪速度50と左輪2Lの車輪速度51との差がLSD制御判定値を超えていない。そのため、ECU10はLSD制御を実行しない。具体的には、ECU10は、図2(b)に示すようにブレーキ制御油圧を「0」に維持する。
図3は、車両100が不安定状態にある場合に行われる制御を説明するための図である。図3(a)はVSC制御開始フラグを示しており、図3(b)はブレーキ制御油圧を示しており、図3(c)は車輪速度を示しており、図3(d)はヨーレートを示しており、それぞれ横軸に時間を示している。図3(c)では、太線50は右輪2Rの車輪速度を示し、細線52は左輪2Lの車輪速度を示している。また、破線55及び一点鎖線56は、右輪2Rの車輪速度50に対してLSD制御判定値を加算することによって得られたLSD制御閾値を示している。具体的には、LSD制御閾値56は、LSD制御閾値55を変更した後の値である。即ち、LSD制御閾値56は、LSD制御判定値を低い値に設定したときに得られた閾値を示している。
図3に示す例の場合、図3(b)に示すように、時刻t20において、VSC制御開始フラグがオンとなる、即ち車両100が不安定状態となる。例えば、車両100にスピンが生じかけている。そのため、ECU10は、図3(c)に示すように、LSD制御閾値55をLSD制御閾値56に変更する。この場合、左輪2Lの車輪速度52がLSD制御閾値56を超えるため、言い換えると右輪2Rの車輪速度50と左輪2Lの車輪速度52との差が変更後のLSD制御判定値を越える。そのため、ECU10は、図3(b)に示すようにブレーキ制御油圧を制御する。これより、変更前のLSD制御閾値55ではLSD制御の実行がされなかったような状態に対して、変更したLSD制御閾値56を用いることによって、LSD制御を実行させることができたと言える。
上記したLSD制御を実行することによって、図3(c)に示すように、左輪2Lの車輪速度52は概ねLSD制御閾値56付近の速度にまで抑制される。即ち、左右輪の車輪速度の差が低減される。そのため、図3(d)に示すようにヨーレートの上昇が抑制されていることがわかる。これにより、時刻t21において、VSC制御開始フラグがオンからオフになる。つまり、車両100に生じるスピンなどが抑制されたと言える。このように、本実施形態に係るLSD制御によれば、VSCカットオフスイッチ9がオフに設定されている場合であっても、LSD制御を効果的に実行させることによって、車両100に生じるスピンなどを適切に抑制することができる。
ここで、本実施形態に係る制御と、車両100が不安定状態になった場合に、VSCカットオフスイッチ9がオフであるにも関わらずにVSC制御を強制的に実行する比較例と、を比較すると、本実施形態に係る制御では、不安定状態になった場合に運転者の意図に反して駆動トルクなどが付与されることがないため、操作フィーリングの悪化を防止することができる。更に、本実施形態に係る制御と、VSCカットオフスイッチ9がオフに設定された際に車両100の状態によらずにLSD制御判定値を低い値に設定する比較例と、を比較すると、本実施形態に係る制御では、車両100が不安定状態になった場合にのみLSD制御判定値を低い値に設定するため、LSD制御の早期作動や操作フィーリングの悪化などの発生を防止することができる。
[LSD制御処理]
次に、本実施形態に係るLSD制御処理について説明する。
次に、本実施形態に係るLSD制御処理について説明する。
図4は、本実施形態に係るLSD制御処理を示すフローチャートである。この処理は、VSCカットオフスイッチ9のオン/オフや、車両が不安定状態であるか安定状態であるかに基づいて、LSD制御方法を切り替えるために実行される。なお、LSD制御処理は、所定の周期でECU10によって繰り返し実行される。
まず、ステップS101では、ECU10は、VSCカットオフスイッチ9からVSCカットオフ信号取得する。そして、処理はステップS102に進む。
そして、ステップS102では、ECU10は、取得したVSCカットオフ信号に基づいて、VSCカットオフ状態であるか否かを判定する。つまり、VSCカットオフスイッチ9がオフに設定されているか否かを判定する。VSCカットオフ状態である場合(ステップS102;Yes)、処理はステップS103に進み、VSCカットオフ状態でない場合(ステップS102;No)、処理はステップS106に進む。
ステップS103では、ECU10は、加速度センサ7、ヨーレートセンサ8、及び舵角センサ12から供給される加速度、ヨーレート、及び舵角に基づいて、車両100が不安定状態であるか否かを判定する。ステップS103では、LSD制御方法を切り替えるべき状態にあるか否かを判定している。車両100が不安定状態である場合(ステップS103;Yes)、処理はステップS104に進み、車両100が安定状態である場合(ステップS103;No)、処理はステップS106に進む。
ステップS104では、VSCカットオフ状態であり、車両100が不安定状態であるため、ECU10は、LSD制御判定値を変更する。即ち、LSD制御が実行されやすい状態にする。具体的には、LSD制御判定値を、LSD制御に通常用いるLSD制御判定値よりも低い値に変更する。そして、処理はステップS105に進む。
ステップS105では、ECU10は、変更されたLSD制御判定値を用いたLSD制御(緊急時LSD制御)を実行する。具体的には、ECU10は、左右輪の車輪速度の差が変更後のLSD制御判定値を超えた場合、車輪速度の差が減少されるようにLSD制御を実行する。この場合、LSD制御判定値が低い値に変更されているので、左右輪の車輪速度の差がLSD制御判定値を超える確率が高くなるため、LSD制御が発動される可能性は高いと言える。以上の処理が終了すると、処理は当該フローを抜ける。
一方、ステップS106では、VSCカットオフ状態でないか(ステップS102;No)、或いはVSCカットオフ状態であっても車両100が安定状態であるため(ステップS103;No)、ECU10は、通常のLSD制御判定値に設定する。即ち、LSD制御判定値を変更しない。この場合には、LSD制御を実行されやすくする必要はないからである。そして、処理はステップS107に進む。
ステップS107では、ECU10は、通常のLSD制御判定値を用いたLSD制御(通常LSD制御)を実行する。この場合、ECU10は、左右輪の車輪速度の差が通常のLSD制御判定値を超えた場合に、LSD制御を実行する。また、VSCカットオフ状態でない場合において、車両が不安定状態になった場合には、VSC制御を実行する。以上の処理が終了すると、処理は当該フローを抜ける。
このように、本実施形態に係るLSD制御処理によれば、LSD制御を効果的に実行させることによって、車両100に生じるスピンなどを適切に抑制することができる。更に、本実施形態によれば、VSC制御をオフに設定した運転者の意図に反して、車両100に対して付与される駆動トルクが変動することがないため、操作フィーリングの悪化を防止することができる。
[変形例]
本実施形態に係るLSD制御においては、駆動輪に対して制動トルクを付与することに限定はされず、駆動輪に対して制動トルクを付与する代わりに、非駆動輪に対して制動トルクを付与することができる。詳しくは、VSC制御がオフの際に車両100が不安定状態になった場合に、非駆動輪に対して制動トルクを付与するLSD制御を実行することができる。この場合も、制動トルクの付与により非駆動輪の左右輪における車輪速度の差が減少するため、車両100におけるヨーモーメントが低減され、スピンなどを抑制することができる。
本実施形態に係るLSD制御においては、駆動輪に対して制動トルクを付与することに限定はされず、駆動輪に対して制動トルクを付与する代わりに、非駆動輪に対して制動トルクを付与することができる。詳しくは、VSC制御がオフの際に車両100が不安定状態になった場合に、非駆動輪に対して制動トルクを付与するLSD制御を実行することができる。この場合も、制動トルクの付与により非駆動輪の左右輪における車輪速度の差が減少するため、車両100におけるヨーモーメントが低減され、スピンなどを抑制することができる。
更に他の例では、VSC制御がオフの際に車両100が不安定状態になった場合に、駆動輪及び非駆動輪の両方に対して、制動トルクを付与する制御を行うことも可能である。
1 エンジン
2 車輪
3 車輪速度センサ
4 ブレーキシステム
5 ブレーキ
7 加速度センサ
8 ヨーレートセンサ
9 VSCカットオフスイッチ
10 ECU
11 ステアリング
12 舵角センサ
100 車両
2 車輪
3 車輪速度センサ
4 ブレーキシステム
5 ブレーキ
7 加速度センサ
8 ヨーレートセンサ
9 VSCカットオフスイッチ
10 ECU
11 ステアリング
12 舵角センサ
100 車両
Claims (3)
- 各車輪の車輪速度を取得する車輪速度取得手段と、
左右輪における車輪速度の差が閾値を越えている場合に、車輪に対して制動力を付与する制御を行う制動力制御手段と、
車両に発生するスピンを判定するスピン判定手段と、
前記スピン判定手段により前記スピンが発生する可能性が高いと判定された場合に、前記スピンが発生する可能性が低いと判定された場合よりも、前記制動力制御手段が用いる閾値を低い値へ変更する閾値変更手段と、を備えることを特徴とする車両の制動力制御装置。 - 横滑り抑制制御の実行がオンに設定されているか、或いはオフに設定されているかを取得する手段を更に備え、
前記閾値設定手段は、前記横滑り抑制制御の実行がオフに設定されている場合において、前記スピン判定手段により前記スピンが発生する可能性が高いと判定された場合に、前記閾値の変更を実行することを特徴とする請求項1に記載の車両の制動力制御装置。 - 前記制動力制御手段は、駆動輪及び非駆動輪の少なくともいずれかに、前記制動力を付与することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の制動力制御装置。
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