JP2007307925A - 剛体電車線 - Google Patents

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Abstract

【課題】トロリ線の摩耗量を測定することができる剛体電車線を提供することを目的とする。
【解決手段】先端に銅製のトロリ線1を保持する架台Kが、略T字形断面のアルミニウム製の架台本体2と、架台本体2の先端部5に固着された銅製のトロリ線受け部材4と、を有する。かつ、トロリ線受け部材4と協働してトロリ線1を掴持する銅製のイヤー3を具備する。さらに、トロリ線受け部材4の先端面とイヤー3の先端面とにトロリ線1よりも反射率の低い低反射面を形成する金属薄膜40を被覆したものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、走行中に電車等に電気を供給するために軌道と平行に敷設される剛体電車線に関する。
略T字形断面の架台の先端に銅製のトロリ線をイヤーにて保持する剛体電車線に於て、架台とイヤーの材質として銅又は銅合金が用いられたものや(例えば、特許文献1参照)、アルミニウム又はアルミニウム合金が用いられたものがある(例えば、特許文献2参照)。
また、高速で軌道上を走行してトロリ線の摩耗量を測定する光学式の測定装置があり、具体的には、測定装置が有するナトリウムランプ光源からトロリ線に黄色可視光を照射する。そして、トロリ線に反射した光を測定装置に搭載した受光器の結像レンズで受光してCCDリニアセンサの素子に映像化(結像)し、その映像からトロリ線の摩耗した摩耗面の幅を測定する。
特開平5−270302号公報 特開平9−58305号公報
しかし、上記光学式の摩耗量測定装置では、上記特許文献1及び2に挙げた剛体電車線のトロリ線の摩耗量を測定することができなかった。この理由を以下に説明する。
まず、図4(a)に示す特許文献1の剛体電車線の場合、先端側(図に於て下方)から光を照射すると、照射した光はトロリ線1,1や、架台Kの先端面、イヤー3,3の先端面等に当たって反射する。そして、それらの反射光をCCDリニアセンサにて映像化(結像)した図4(b)に示すように、(銅製の)架台Kの先端面の反射光は(銅製の)トロリ線1の摩耗面(摺動面)41の反射光と略同一の反射率であるため、それぞれの明度差が判別しにくく、摩耗面41の幅寸法W1 ,W2 の測定ができなかった。つまり、トロリ線1の(摩耗面41の両側の)残存する円弧面に反射した光は、摩耗面41の反射光の結像A及び架台K先端面の反射光の結像Bよりも暗い結像Cとして表示されるが、トロリ線1の摩耗が進んだ(トロリ線1の円弧面の残存量が少ない)状態では、図4(b)に示すように、結像Aと結像Bとの境界となる結像Cが略線状に細く表示され、結像Aと結像Bとを区別することが困難であった。
特許文献2の場合は、アルミニウム製である架台やイヤーの反射率は高いので、これらアルミニウム製の部材の反射光と、銅製のトロリ線(摺動面)の反射光とを、明度差によって判別することが困難であった。また、この問題を解決するためにアルミニウム製の部材に梨地処理をしたが、元々高反射率を有するため効果がなかった。
そこで、本発明は、トロリ線の摩耗量を測定することができる剛体電車線を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る剛体電車線は、銅製の架台の先端に銅製のトロリ線を銅製のイヤーにて保持し、上記架台の先端面と上記イヤーの先端面とに上記トロリ線よりも反射率の低い低反射面を形成する金属薄膜を被覆したものである。
また、先端に銅製のトロリ線を保持する架台が、略T字形断面のアルミニウム製の架台本体と、該架台本体の先端部に固着された銅製のトロリ線受け部材と、を有し、かつ、該トロリ線受け部材と協働して上記トロリ線を掴持する銅製のイヤーを具備し、上記トロリ線受け部材の先端面と上記イヤーの先端面とに上記トロリ線よりも反射率の低い低反射面を形成する金属薄膜を被覆したものである。
また、上記トロリ線受け部材の先端面と上記イヤーの先端面とに亜鉛層・クロメート処理層を内側から順に積層して上記金属薄膜を形成した。
また、上記トロリ線受け部材の先端面と上記イヤーの先端面とに錫層・亜鉛層・クロメート処理層を内側から順に積層して上記金属薄膜を形成してもよい。
また、先端に銅製のトロリ線を保持する架台が、略T字形断面のアルミニウム製の架台本体と、該架台本体の先端部に固着された銅製のトロリ線受け部材と、を有し、かつ、該トロリ線受け部材と協働して上記トロリ線を掴持する銅製のイヤーを具備し、さらに、上記架台本体を銅製のジョイントスプライサにて順次連結し、上記トロリ線受け部材の先端面と上記イヤーの先端面と上記ジョイントスプライサの先端面とに上記トロリ線よりも反射率の低い低反射面を形成する金属薄膜を被覆したものである。
また、上記トロリ線受け部材の先端面と上記イヤーの先端面と上記ジョイントスプライサの先端面とに亜鉛層・クロメート処理層を内側から順に積層して上記金属薄膜を形成した。
また、上記トロリ線受け部材の先端面と上記イヤーの先端面と上記ジョイントスプライサの先端面とに錫層・亜鉛層・クロメート処理層を内側から順に積層して上記金属薄膜を形成してもよい。
本発明は、次のような著大な効果を奏する。
本発明に係る剛体電車線によれば、高速で検査車両を走行させつつ、その車両内に搭載した光学式のトロリ線摩耗量測定装置にて、トロリ線の摩耗量を測定することができる。 特に、トロリ線の摩耗が進んでトロリ線の円弧面の残存量が少なくなった場合であっても、言い換えれば、摩耗量測定装置の受光器にて映像化(結像)するトロリ線(摩耗面)の反射光の結像と、架台及びイヤーの反射光のそれぞれの結像との、境界が判別しにくい場合であっても、トロリ線の摩耗量を測定することができる。即ち、架台の先端面とイヤーの先端面の反射率が、トロリ線表面の反射率より低いので、架台及びイヤーの反射光とトロリ線の反射光とを明度差をつけて摩耗量測定装置の受光器に映像化(結像)することができ、結像の幅寸法(摩耗面の幅寸法)を測定することができる。
このように、本発明の剛体電車線は、トロリ線の周辺部材の反射率をトロリ線表面の反射率よりも低減させ、高速で検査車両を走行させつつ、その車両内に搭載した光学式のトロリ線摩耗量測定装置による検知性を向上させるものである。
以下、実施の形態を示す図面に基づき本発明を詳説する。
図1に示す本発明に係る剛体電車線の第1の実施形態に於て、Kは架台、1は架台Kの先端に取り付けられた銅製のトロリ線である。架台Kは、略T字形断面のアルミニウム製の架台本体2と、架台本体2の先端部5に固着された銅製のトロリ線受け部材4とを有する。
また、3は銅製のイヤーであり、イヤー3の基端は架台本体2に取り付けられると共に、先端にてトロリ線受け部材4と協働してトロリ線1を掴持している。
そして、トロリ線受け部材4の先端面とイヤー3の先端面とにトロリ線1よりも反射率の低い低反射面を形成する金属薄膜40を被覆している。
また、25は架台本体2,2を順次連結する銅製のジョイントスプライサであり、一対のジョイントスプライサ25,25を、ハックボルト26とカラー27とから成るかしめ締結具にて相互に引き寄せて架台本体2に締結し、架台本体2,2相互間を連結している。
そして、ジョイントスプライサ25,25の先端面にもトロリ線1よりも反射率の低い低反射面を形成する金属薄膜40を被覆している。
トロリ線受け部材4・イヤー3・ジョイントスプライサ25の各先端面(以下、トロリ線受け部材4等の各先端面という)を被覆する上記金属薄膜40の実施例を図2の要部拡大断面図に示す。なお、トロリ線受け部材4等の各先端面とは、トロリ線受け部材4等の各部材の先端部に配設される先端方向(図の下方)を向いた面であって、トロリ線摩耗量測定用の光を先端側(下方)から照射した場合にその光が当たる部位である。
図2(a)は、トロリ線受け部材4等の各先端面に亜鉛層30とクロメート処理層31とを内側から順に積層して金属薄膜40を形成したものである。また、図2(b)に示すように、トロリ線受け部材4等の各先端面に錫層32・亜鉛層30・クロメート処理層31を内側から順に積層して金属薄膜40を形成してもよい。
上記図2(a)又は(b)で説明した金属薄膜40は銅製のトロリ線受け部材4等の各先端面の反射率より低い反射率を有するように、黒色を呈することが望ましい。なお、金属薄膜40は銅製のトロリ線受け部材4等の各先端面の反射率より低い反射率を有するものであれば、黒色以外の色であってもよい。
トロリ線受け部材4等の先端面に亜鉛層30・クロメート処理層31を形成する場合について詳しく説明すると、亜鉛層30の厚さ寸法は15μm以下、好ましくは6μm〜10μmがよい。亜鉛層30の厚さ寸法が15μmを越えると集電特性の点から好ましくない。また、亜鉛層30は純亜鉛の他、Sn、Pb、Cd、Al等が含有されていてもよい。
亜鉛層30の形成方法は、電気メッキ法、溶融メッキ法、置換メッキ法、押出法、パイプシンキング法等が使用できるが、本発明ではトロリ線1の機械的特性を低下させない点から電気メッキ法を使用することが好ましい。
クロメート処理層31は、クロム酸を主成分とする塗布型、反応型等の公知の処理浴中に、上記亜鉛層30を形成したトロリ線受け部材4・イヤー3・ジョイントスプライサ25を浸漬することによって形成される。本発明では、クロメート処理層31の表面均一性に優れる無水クロム酸、硫酸、硝酸及び添加剤より成る特殊クロメート処理をする。クロメート処理層31の厚さ寸法は、例えば、0.3 μmとする。
また、上記形成方法によって、亜鉛層30・クロメート処理層31を、トロリ線受け部材4等の先端面のみに限らず、各部材(トロリ線受け部材4・イヤー3・ジョイントスプライサ25)の外面全体に形成しても自由である。この場合、銅製のトロリ線受け部材4・イヤー3・ジョイントスプライサ25と、アルミニウム製の架台本体2との間で生じる電食を高度に抑止することができる。
次に、トロリ線受け部材4等の先端面に錫層32・亜鉛層30・クロメート処理層31を形成する場合について説明する。
錫層32の厚さ寸法は10μm以下、好ましくは2μm〜6μmがよい。錫層32の厚さ寸法が10μmを越えると、集電特性の点から好ましくない。さらに、形成時間が多くかかり製造効率が低下する。
錫層32の形成方法は、電気メッキ法、溶融メッキ法、置換メッキ法、押出法、パイプシンキング法等の公知の方法が使用できる。なお、錫層32は純錫の他、Zn、Pb、Cd、Al等が含有されていてもよい。
錫層32の上に形成される亜鉛層30は、前記と同様にして形成される。この亜鉛層30の厚さ寸法は集電特性・製造効率の点から6μm〜10μmが望ましい。
錫層32・亜鉛層30の上にさらに形成されるクロメート処理層31は前記と同様にして形成される。
また、錫層32・亜鉛層30・クロメート処理層31を、各部材(トロリ線受け部材4・イヤー3・ジョイントスプライサ25)の外面全体に形成しても自由である。この場合、銅製のトロリ線受け部材4・イヤー3・ジョイントスプライサ25と、アルミニウム製の架台本体2との間で生じる電食を高度に抑止することができる。
図1に於て、上記説明した以外の具体的構成について以下説明する。
アルミニウム製の架台本体2は、トンネル内等に設けられる図外のがいしに取り付けられるフランジ部13を基端(図の上端)側に有し、かつ、先端部5の近傍に架台中央面Pに対して対称に配設された一対の凸部14,14を有し、両者間をウエブ15にて連結した形状であって、押出型材、又はその後の冷間引抜き加工にて、製造される。
銅製のトロリ線1は、図1の左右両側に、一対のV字形の係止凹溝10,10を有すると共に、基端側小扇形部16と先端側大扇形部17を合わせた略だるま形である。そして、トロリ線1は基端側に弯曲凸状面18を有している。
トロリ線受け部材4は、基端側の略倒立Π字形の取付部7と、取付部7の先端に一体に連設される略台形の突条部9とから成っている。
取付部7は、その基端側に架台本体2の先端部5が嵌め込まれる嵌合凹部6を有すると共に、先端側に2個のトロリ線1,1の上記弯曲凸状面18,18が接触する当接面8,8が架台中央面Pに対称に配設されている。また、取付部7の先端部に(左右)一対の突片部12,12を有し、突片部12,12の先端面は当接面8,8の一部を形成する。
突条部9は、当接面8,8の間に配設され、トロリ線1,1の互いに向かい合う(内側の)係止凹溝10,10に係合する略三角形状の一対の係止爪部11,11を有する。
一対のイヤー3,3の基端は凸部14,14に当接して配設され、イヤー3の先端にはトロリ線1の係止凹溝10に係合する挟持爪部22を有する。
そして、係止爪部11,11と当接面8,8とイヤー3,3とで協働して2個のトロリ線1,1を掴持している。
また、28は、架台本体2の先端部5とトロリ線受け部材4とを貫通するボルト部材であり、29はボルト部材28と螺合するナット部材である。
このボルト部材28とナット部材29にて、両方のイヤー3,3を架台本体2に取り付けている。
また、ハックボルト26はステンレス製であり、ハックボルト26の膨張係数が銅製のジョイントスプライサ25の膨張係数と略同一となるようにしている。
図3に示すのは、本発明に係る剛体電車線の第2の実施形態であり、この場合、架台Kの先端に1個のトロリ線1が1個のイヤー3にて保持されている。
架台Kは、略T字形断面のアルミニウム製の架台本体2と、架台本体2の先端部5に固着された銅製のトロリ線受け部材4とを有する。また、トロリ線1とイヤー3はどちらも銅製であり、架台本体2,2を順次連結するジョイントスプライサ25も銅製である。
そして、トロリ線受け部材4・イヤー3・ジョイントスプライサ25の各先端面(以下、トロリ線受け部材4等の各先端面という)にトロリ線1よりも反射率の低い低反射面を形成する金属薄膜40が被覆されている。
金属薄膜40は、図2(a)に示すように、トロリ線受け部材4等の各先端面に亜鉛層30とクロメート処理層31とを内側から順に積層したものである。さらに、図2(b)に示す如く、トロリ線受け部材4等の各先端面に錫層32・亜鉛層30・クロメート処理層31を内側から順に積層してもよい。なお、錫層32・亜鉛層30・クロメート処理層31の構成及び形成方法は、上記第1の実施形態と同様の構成及び形成方法であるので説明を省略する。
また、この金属薄膜40を、各部材(トロリ線受け部材4・イヤー3・ジョイントスプライサ25)の外面全体に形成してもよい。
また、図3に示す第2の実施形態の架台本体2と、図1に示す第1の実施形態の架台本体2とは、同じ断面形状であり、これに対し、トロリ線受け部材4の断面形状は異なったものとなっている。
第2の実施形態のトロリ線受け部材4の形状について具体的に説明すると、トロリ線受け部材4は、基端側に架台本体2の先端部5が嵌め込まれる嵌合凹部6を有するU字形の取付部7を具備している。
また、取付部7は先端側にトロリ線1が接触する平坦面状の当接面8を有する。さらに、取付部7の先端には、トロリ線1の一対の係止凹溝10,10のうちの一方(図例では右側)に係合する略三角形状の係止爪部11を有する突条部9が形成されている。
イヤー3の基端は図3の左側の凸部14に当接して配設され、イヤー3の先端にはトロリ線1の上記一対の係止凹溝10,10のうちの他方(図例では左側)に係合する挟持爪部22を有する。
19はトロリ線受け部材4を架台本体2の先端部5に固着するためのステンレス製の締結具であり、締結具19は、先端部5に上記架台中央面Pと直交して貫設された挿通孔21と、トロリ線受け部材4の取付部7に貫設された(図の左右)2個の孔部20,20とに、挿入されている。また、この締結具19は、例えば、リベットやピン或いはスプリングピン等から成るものである。
23は、架台本体2の先端部5とトロリ線受け部材4とを貫通するステンレス製のイヤー締結用ボルトであり、24はボルト23と螺合するステンレス製のブッシュナットである。
このボルト23とブッシュナット24にて、イヤー3を架台本体2に取り付けると共に、イヤー3の先端をトロリ線1側へ引き寄せて、トロリ線受け部材4の係止爪部11と当接面8とで協働して掴持している。ブッシュナット24は図3の右側の凸部14に当接し、この凸部14にてブッシュナット24の回転を防止している。
なお、図3に於て、図1と同一の符号は図1と同様の構成であるので説明を省略する。
また、図示省略するが、銅製のイヤー3にて銅製のトロリ線1を先端に保持する(一体成形された)架台K全体を銅製にし、その銅製の架台Kの先端面と銅製のイヤー3の先端面とに、トロリ線1よりも反射率の低い低反射面を形成する金属薄膜40を被覆してもよい。
さらに、この金属薄膜40を図2の(a)又は(b)のような構成にしてもよく、金属薄膜40を架台Kの外面全体及びイヤー3の外面全体に被覆しても自由である。
また、前記「アルミニウム製」とは、純粋アルミニウム製又はアルミニウム合金製をいうと共に、前記「銅製」とは、純粋銅製又は銅合金製をいうものと定義する。
また、金属薄膜40は、図2(a)(b)に示した実施例に限らず、トロリ線1表面よりも反射率の低い低反射面を形成するものであれば、それ以外の金属材料を用いたものであってもよい。
また、架台Kに取り付けるトロリ線1の断面形状・個数・取付位置に応じて、トロリ線受け部材4やイヤー3の断面形状を変更しても自由である。さらに、トロリ線1の断面形状・個数・取付位置に対応して相違する複数の断面形状のトロリ線受け部材4を一揃え作製し、その一揃えのトロリ線受け部材4を(共通部材としての)架台本体2の先端部5に択一的に選択して固着するように構成してもよい。
上述した本発明の剛体電車線に於て、トロリ線の摩耗量の測定方法について説明する。 図1(a)に示す剛体電車線がトンネル内等に設けられたがいしに取り付けられ軌道と平行に配設されており、剛体電車線のトロリ線1,1は、走行する電車のパンタグラフが摺動することにより摩耗され、図の二点鎖線に示す摩耗面(摺動面)41を有する。
そして、図示省略のナトリウムランプ光源を有する光学式の摩耗量測定車を高速で走行させ、上記剛体電車線の下方(先端側)から黄色可視光を照射する。照射された光は、トロリ線1,1・トロリ線受け部材4・イヤー3,3等に反射し、それぞれの反射光が測定車に搭載した受光器の結像レンズで受光し、CCDリニアセンサの素子に映像化(結像)する。
映像化(結像)した反射光を図1(b)に図示すると、各反射光は帯状又は略線状に表され、Aは摩耗面41の反射光の結像、Bはトロリ線受け部材4の先端面の反射光の結像、Cは(摩耗面41の両側の)残存する円弧面42の反射光の結像、Dはイヤー3の先端面の反射光の結像である。
図1(b)について詳しく説明すると、円弧面42の結像Cは摩耗面41の結像Aに比べて暗く表示される。そして、このように、トロリ線1の摩耗が進んだ状態では、トロリ線1の円弧面42の残存量が少ないので、結像Cは細く略線状に表示される。
また、トロリ線受け部材4(の先端面)及びイヤー3,3(の先端面)には、トロリ線1よりも反射率の低い低反射面を形成する金属薄膜40が被覆されており、トロリ線受け部材4及びイヤー3,3のそれぞれの結像B,Dは、結像Aよりも暗く表示される。
そして、全ての結像の中で最も明るく表示された結像Aの幅寸法W1 ,W2 のデータを、測定車に搭載された処理装置へ送信して演算し、トロリ線1,1の(図の縦方向の)摩耗量を検出する。
また、ジョイントスプライサ25が締結されている架台K,Kの連結部に於て、上記測定車でトロリ線1の摩耗量を測定する場合、照射した光はジョイントスプライサ25にも反射してCCDリニアセンサに映像化される。ジョイントスプライサ25(の先端面)にも、トロリ線1よりも反射率の低い低反射面を形成する金属薄膜40が被覆されているので、図示省略するがジョイントスプライサ25の反射光の結像も、摩耗面41の結像Aよりも暗く表示される。そして、前記と同様に、全ての結像の中で最も明るく表示された結像Aの幅寸法W1 ,W2 のデータを、測定車に搭載された処理装置へ送信して演算し、トロリ線1,1の(図の縦方向の)摩耗量を検出する。
以上のように、本発明の剛体電車線は、銅製の架台Kの先端に銅製のトロリ線1を銅製のイヤー3にて保持し、架台Kの先端面とイヤー3の先端面とにトロリ線1よりも反射率の低い低反射面を形成する金属薄膜40を被覆したので、高速で検査車両を走行させつつ、その車両内に搭載した光学式のトロリ線摩耗量測定装置にて、トロリ線1の摩耗量を測定することができる。
図1(a)(b)に示すように、特に、トロリ線1の摩耗が進んでトロリ線1の円弧面42の残存量が少なくなった場合であっても、即ち、摩耗面41の結像Aと、架台Kの先端面及びイヤー3の先端面の結像B・Dとの、境界となる円弧面42の結像Cが略線状に細くなった場合であっても、架台Kの先端面とイヤー3の先端面の反射率が、トロリ線1の反射率より低いので、架台K及びイヤー3の反射光とトロリ線1の反射光とを明度差をつけて映像化(結像)することができ、結像Aの幅寸法(摩耗面41,41の幅寸法)W1 ,W2 を測定することができる。
このように、本発明の剛体電車線は、トロリ線1の周辺部材の反射率をトロリ線1の反射率よりも低減させ、光学式のトロリ線摩耗量測定装置による検知性を向上させるものであって、光学式高速検測を実現できる。
また、本発明の剛体電車線は、先端に銅製のトロリ線1を保持する架台Kが、略T字形断面のアルミニウム製の架台本体2と、架台本体2の先端部5に固着された銅製のトロリ線受け部材4と、を有し、かつ、トロリ線受け部材4と協働してトロリ線1を掴持する銅製のイヤー3を具備し、トロリ線受け部材4の先端面とイヤー3の先端面とにトロリ線1よりも反射率の低い低反射面を形成する金属薄膜40を被覆したので、高速で検査車両を走行させつつ、その車両内に搭載した光学式のトロリ線摩耗量測定装置にて、トロリ線1の摩耗量を測定することができる。
図1(a)(b)に示すように、特に、トロリ線1の摩耗が進んでトロリ線1の円弧面42の残存量が少なくなった場合であっても、即ち、摩耗面41の結像Aと、トロリ線受け部材4の先端面及びイヤー3の先端面の結像B・Dとの、境界となる円弧面42の結像Cが略線状に細くなった場合であっても、トロリ線受け部材4の先端面とイヤー3の先端面の反射率が、トロリ線1の反射率より低いので、トロリ線受け部材4及びイヤー3の反射光とトロリ線1の反射光とを明度差をつけて映像化(結像)することができ、結像Aの幅寸法(摩耗面41,41の幅寸法)W1 ,W2 を測定することができる。
このように、本発明の剛体電車線は、トロリ線1の周辺部材の反射率をトロリ線1の反射率よりも低減させ、光学式のトロリ線摩耗量測定装置による検知性を向上させるものであって、光学式高速検測を実現できる。
また、将来、銅の価格が高騰する等の銅を入手しにくくなる事情が生じた場合であっても、銅製のトロリ線受け部材4と銅製以外のアルミニウム製の架台本体2とを組み合わせて、銅の通電性・耐食性と、アルミニウムの軽量性を巧妙に結合した架台Kを製造することができる。
また、トロリ線受け部材4の先端面とイヤー3の先端面とに亜鉛層30・クロメート処理層31を内側から順に積層して金属薄膜40を形成したので、金属薄膜40の表面が平滑で銅製のトロリ線1表面よりも低い反射率となる色(例えば、黒色)を呈し、商品価値を大幅に高めることができる。
また、トロリ線受け部材4の先端面とイヤー3の先端面とに錫層32・亜鉛層30・クロメート処理層31を内側から順に積層して金属薄膜40を形成したので、金属薄膜40の表面が平滑で銅製のトロリ線1表面よりも低い反射率となる色(例えば、黒色)を呈し、商品価値を大幅に高めることができる。
最内層に錫層32を形成したので、トロリ線受け部材4とイヤー3との耐食性を一層向上させることができる。
また、本発明の剛体電車線は、先端に銅製のトロリ線1を保持する架台Kが、略T字形断面のアルミニウム製の架台本体2と、架台本体2の先端部5に固着された銅製のトロリ線受け部材4と、を有し、かつ、トロリ線受け部材4と協働してトロリ線1を掴持する銅製のイヤー3を具備し、さらに、架台本体2,2を銅製のジョイントスプライサ25,25にて順次連結し、トロリ線受け部材4の先端面とイヤー3の先端面とジョイントスプライサ25,25の先端面とにトロリ線1よりも反射率の低い低反射面を形成する金属薄膜40を被覆したので、高速で検査車両を走行させつつ、その車両内に搭載した光学式のトロリ線摩耗量測定装置にて、トロリ線1の摩耗量を測定することができる。
図1(a)(b)に示すように、特に、トロリ線1の摩耗が進んでトロリ線1の円弧面42の残存量が少なくなった場合であっても、即ち、摩耗面41の結像Aと、トロリ線受け部材4の先端面及びイヤー3の先端面の結像B・Dとの、境界となる円弧面42の結像Cが略線状に細くなった場合であっても、トロリ線受け部材4の先端面とイヤー3の先端面の反射率が、トロリ線1の反射率より低いので、トロリ線受け部材4及びイヤー3の反射光とトロリ線1(の摺動面41)の反射光とを明度差をつけて映像化(結像)することができ、結像Aの幅寸法(摩耗面41,41の幅寸法)W1 ,W2 を測定することができる。
また、ジョイントスプライサ25の先端面に金属薄膜40が被覆されているので、ジョイントスプライサ25の反射光とトロリ線1(の摺動面41)の反射光とを明度差をつけて映像化(結像)することができ、摩耗面41,41の幅寸法W1 ,W2 を測定することができる。
このように、本発明の剛体電車線は、トロリ線1の周辺部材の反射率をトロリ線1の反射率よりも低減させ、光学式のトロリ線摩耗量測定装置による検知性を向上させるものであって、光学式高速検測を実現できる。
また、将来、銅の価格が高騰する等の銅を入手しにくくなる事情が生じた場合であっても、銅製のトロリ線受け部材4と銅製以外のアルミニウム製の架台本体2とを組み合わせて、銅の通電性・耐食性と、アルミニウムの軽量性を巧妙に結合した架台Kを製造することができる。
また、トロリ線受け部材4の先端面とイヤー3の先端面とジョイントスプライサ25,25の先端面とに亜鉛層30・クロメート処理層31を内側から順に積層して金属薄膜40を形成したので、金属薄膜40の表面が平滑で銅製のトロリ線1表面よりも低い反射率となる色(例えば、黒色)を呈し、商品価値を大幅に高めることができる。
また、トロリ線受け部材4の先端面とイヤー3の先端面とジョイントスプライサ25,25の先端面とに錫層32・亜鉛層30・クロメート処理層31を内側から順に積層して金属薄膜40を形成したので、金属薄膜40の表面が平滑で銅製のトロリ線1表面よりも低い反射率となる色(例えば、黒色)を呈し、商品価値を大幅に高めることができる。
最内層に錫層32を形成したので、トロリ線受け部材4・イヤー3・ジョイントスプライサ25の耐食性を一層向上させることができる。
本発明に係る剛体電車線の第1の実施形態を示す説明図であり、(a)は剛体電車線の断面説明図、(b)はトロリ線摩耗量測定器の受光器に示された反射光の結像を示す説明図である。 要部拡大断面図であって、(a)は金属薄膜の実施の一形態を示す拡大断面図、(b)は金属薄膜の他の実施形態を示す拡大断面図である。 本発明の第2の実施形態を示す断面説明図である。 従来の剛体電車線を示す説明図であり、(a)は剛体電車線の断面説明図、(b)はトロリ線摩耗量測定器の受光器に示された反射光の結像を示す説明図である。
符号の説明
1 トロリ線
2 架台本体
3 イヤー
4 トロリ線受け部材
5 先端部
25 ジョイントスプライサ
30 亜鉛層
31 クロメート処理層
32 錫層
40 金属薄膜
K 架台

Claims (7)

  1. 銅製の架台(K)の先端に銅製のトロリ線(1)を銅製のイヤー(3)にて保持し、上記架台(K)の先端面と上記イヤー(3)の先端面とに上記トロリ線(1)よりも反射率の低い低反射面を形成する金属薄膜(40)を被覆したことを特徴とする剛体電車線。
  2. 先端に銅製のトロリ線(1)を保持する架台(K)が、略T字形断面のアルミニウム製の架台本体(2)と、該架台本体(2)の先端部(5)に固着された銅製のトロリ線受け部材(4)と、を有し、かつ、該トロリ線受け部材(4)と協働して上記トロリ線(1)を掴持する銅製のイヤー(3)を具備し、上記トロリ線受け部材(4)の先端面と上記イヤー(3)の先端面とに上記トロリ線(1)よりも反射率の低い低反射面を形成する金属薄膜(40)を被覆したことを特徴とする剛体電車線。
  3. 上記トロリ線受け部材(4)の先端面と上記イヤー(3)の先端面とに亜鉛層(30)・クロメート処理層(31)を内側から順に積層して上記金属薄膜(40)を形成した請求項2記載の剛体電車線。
  4. 上記トロリ線受け部材(4)の先端面と上記イヤー(3)の先端面とに錫層(32)・亜鉛層(30)・クロメート処理層(31)を内側から順に積層して上記金属薄膜(40)を形成した請求項2記載の剛体電車線。
  5. 先端に銅製のトロリ線(1)を保持する架台(K)が、略T字形断面のアルミニウム製の架台本体(2)と、該架台本体(2)の先端部(5)に固着された銅製のトロリ線受け部材(4)と、を有し、かつ、該トロリ線受け部材(4)と協働して上記トロリ線(1)を掴持する銅製のイヤー(3)を具備し、さらに、上記架台本体(2)(2)を銅製のジョイントスプライサ(25)(25)にて順次連結し、上記トロリ線受け部材(4)の先端面と上記イヤー(3)の先端面と上記ジョイントスプライサ(25)(25)の先端面とに上記トロリ線(1)よりも反射率の低い低反射面を形成する金属薄膜(40)を被覆したことを特徴とする剛体電車線。
  6. 上記トロリ線受け部材(4)の先端面と上記イヤー(3)の先端面と上記ジョイントスプライサ(25)(25)の先端面とに亜鉛層(30)・クロメート処理層(31)を内側から順に積層して上記金属薄膜(40)を形成した請求項5記載の剛体電車線。
  7. 上記トロリ線受け部材(4)の先端面と上記イヤー(3)の先端面と上記ジョイントスプライサ(25)(25)の先端面とに錫層(32)・亜鉛層(30)・クロメート処理層(31)を内側から順に積層して上記金属薄膜(40)を形成した請求項5記載の剛体電車線。
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