JP2007307632A - 超音波カッター - Google Patents

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Masaya Takasaki
正也 高▲崎▼
Toshiaki Hara
俊昭 原
Keiji Ushikubo
啓詞 牛窪
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Saitama University NUC
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Abstract

【課題】超音波振動の節に起因する切れ味の低下を、刃の移動を伴わずに回避できる超音波カッターを提供する。
【解決手段】超音波カッターの刃11に複数のモードの超音波振動を励起する振動励起手段40、50、60、70と、この振動励起手段によって刃に励起される超音波振動のモードを所定時間ごとに切替える切替え手段81、82とを設け、振動励起手段は、切替え手段により超音波振動のモードが切替えられた後に、切替え前の超音波振動と振動の節の位置が異なる超音波振動を刃に励起する。この超音波カッターでは、刃に励起される超音波振動のモードの切替えにより、振動の節の位置が等価的に移動する。この超音波カッターを組込む自動切断装置は、切断過程で刃を機械的に動かす駆動機構やその制御機構が不要であり、装置を簡素化できる。超音波振動の節の移動が機械的に刃を動かすよりも素早いため、切れ味が良好である。
【選択図】図2

Description

本発明は、超音波振動が励起された刃でケーキやサンドイッチ等を切断する超音波カッターに関し、特に、切れ味の向上を実現したものである。
ケーキの切断に使用される超音波カッターは、下記特許文献1に記載されているように、ホールケーキの載置台と共に自動切断装置に組み込まれている。この超音波カッターはホールケーキの直径よりも長い刃を有しており、ホールケーキを載せた載置台は、超音波振動が励起された超音波カッターの刃の位置でせり上がり、載置台上のホールケーキが、この刃で切断されてピースに切り分けられる。
図14は、従来の超音波カッターを図示している。
この超音波カッターの刃11には、ホーン12を介して、ボルト締めランジュバン型振動子20が取り付けられている。このランジュバン型振動子20は、環状の圧電体23、25と、振動子を取付けるためのフランジ22と、これらの積層体を挟み込む金属ブロック21、26と、締め付け用のボルト27とを有している。圧電体23、25の電極は、圧電体23と圧電体25との間(24)、金属ブロック26と圧電体25との間、及び、フランジ22と圧電体23との間に配置されており、これらの電極に発振器30の交流電圧が印加される。
ボルト27は、金属ブロック26、電極、圧電体23、25及びフランジ22の各中央穴を貫通するネジ軸を有しており、このネジ軸が金属ブロック21の螺孔に螺合されている。そのため、ボルト27を回転することで、圧電体23、25及び電極を含む積層体の締め付けを調節できる。
この超音波カッターでは、発振器30の交流電圧が電極に印加されると、圧電体23、25の厚みが交流の周波数に同期して変化し、そのために超音波振動が発生する。この振動は、ホーン12で増幅されて刃11に伝わり、刃11の縦振動を励起する。超音波振動が励起された刃11は、切断物との摩擦が小さくなり、切れ味が向上する。
図15は、超音波振動を励起した刃で切断したケーキ切断面(c)と、超音波振動を加えない刃で切断したケーキ切断面(b)とを対比して示している。超音波振動を加えない場合(b)は、切断面の苺が潰れているが、超音波振動を加えた場合(c)は、苺が潰れずに切断されていることが分かる。
特開平6−343395号公報
超音波カッターでは、刃11に大きな超音波振動が励起されるように、発振器30の発振周波数は、刃11で機械的共振を生じる周波数に設定される。
しかし、そうした場合に、ケーキ切断用の超音波カッターは、刃渡りが長い(約410mm)ため、図16に示すように、刃11の部分に振動の節13が発生する。なお、図16では、刃11に発生する縦振動の定在波を、分かり易く表すために横波の形で描いている。この定在波は、刃11の先端に振動の腹が存在する。
この振動の節13では振動の振幅が小さいため、切れ味が低下する。
従来の自動切断装置では、ケーキ切断時に刃11を前後に移動させて、節13の部分がケーキ載置台の同一箇所に留まらないように構成し、節13による切れ味の低下を防いでいる。
しかし、そのためには、刃11を前後に移動させる駆動機構や、それを制御する制御機構が必要であり、装置の複雑化や製造コストの上昇が避けられない。
本発明は、こうした事情を考慮して創案したものであり、超音波振動の節に起因する切れ味の低下を、刃の移動を伴わずに回避できる超音波カッターを提供することを目的としている。
本発明では、切断用の刃を備えた超音波カッターに、刃に複数のモードの超音波振動を励起する振動励起手段と、振動励起手段によって刃に励起される超音波振動のモードを所定時間ごとに切替える切替え手段とを設け、振動励起手段は、切替え手段により超音波振動のモードが切替えられたとき、切替えられる前の超音波振動における節の位置と異なる位置に節を有する超音波振動を刃に励起するように構成している。
この超音波カッターでは、刃に励起される超音波振動のモードが切替え手段で切替えられる毎に、刃に現れる振動の節の位置が移動する。
また、本発明の超音波カッターでは、前記振動励起手段が、第1のモードの超音波振動を刃に励起する第1の超音波振動子と、共働して第2のモードの超音波振動を刃に励起する第2の超音波振動子及び第3の超音波振動子と、1つの分岐点から延びる4つの分岐部を有し、第1の分岐部の先端には第1の超音波振動子が結合され、第2の分岐部の先端には第2の超音波振動子が結合され、第3の分岐部の先端には第3の超音波振動子が結合され、第4の分岐部の先端には刃が結合され、第1の分岐部と第4の分岐部とが直線的に接続し、第2の分岐部と第3の分岐部とが第1の分岐部及び第4の分岐部の中心線を対称軸として対称的に接続している振動選択ブロックとを有している。
この超音波カッターでは、第1の超音波振動子を駆動したとき、第1の超音波振動子で発生した第1のモードの超音波振動が、振動選択ブロックの第1の分岐部及び第4の分岐部を通じて刃に伝搬する。また、第2の超音波振動子及び第3の超音波振動子を同時に駆動したとき、第2の超音波振動子で発生した第2のモードの超音波振動と第3の超音波振動子で発生した第2のモードの超音波振動とが振動選択ブロックの分岐点で交わり、第4の分岐部の方向に伝搬する超音波振動に変換されて、第2のモードの超音波振動が刃に伝搬する。
また、本発明の超音波カッターでは、前記振動選択ブロックの第2の分岐部及び第3の分岐部が、第1の分岐部及び第4の分岐部の中心線に直交している。
この超音波カッターでは、第2の超音波振動子及び第3の超音波振動子を同時に駆動したとき、第2の超音波振動子で発生した超音波振動と第3の超音波振動子で発生した超音波振動とが振動選択ブロックの分岐点で直交変換されて、刃に伝搬する。
また、本発明の超音波カッターでは、前記振動選択ブロックの分岐点から延びる第1の分岐部、第2の分岐部及び第3の分岐部の根元が括れ(くびれ)ている。
括れた箇所は剛性が低下し、超音波振動が伝わり難くなる。そのため、第1の超音波振動子で発生した超音波振動は、第2の分岐部及び第3の分岐部には殆んど伝わらずに、刃が結合された第4の分岐部の方向に伝搬する。また、第2の超音波振動子及び第3の超音波振動子を同時に駆動したときに振動選択ブロックの分岐点で発生する方向変換された超音波振動は、第1の分岐部には殆んど伝わらすに、刃が結合された第4の分岐部の方向に伝搬する。
また、本発明の超音波カッターでは、前記切替え手段が、第1の駆動周波数の交流電圧を第1の振動子に印加する第1の印加動作と、第2の駆動周波数の交流電圧を第2の振動子及び第3の振動子に印加する第2の印加動作とを交互に切替える。
第1の駆動周波数の交流電圧が印加された第1の振動子は、第1のモードの超音波振動を発生し、また、第2の駆動周波数の交流電圧が印加された第2の振動子及び第3の振動子は、第2のモードの超音波振動を発生する。
また、本発明の超音波カッターは、さらに、刃の共振周波数の変化に応じて前記第1の駆動周波数及び第2の駆動周波数を修正する共振周波数追従手段を備えている。
超音波カッターでは、同一モードではあるが共振周波数が使用中に変化する(ずれる)ことがある。この超音波カッターでは、使用中に共振周波数が変化しても、駆動周波数を追従させて、刃の振動振幅の減少を防ぐことができる。
本発明の超音波カッターは、刃を動かさなくても、超音波振動の節の位置を等価的に移動させることができる。そのため、この超音波カッターを組み込む自動切断装置は、切断過程で刃を機械的に動かす駆動機構や、それを制御する制御機構が不要であり、装置の簡素化や製造コストの低減を図ることができる。
また、本発明の超音波カッターは、超音波振動の節の移動を、機械的に刃を動かすよりも素早く行うことができるため、切れ味が良好である。
図1は、本発明の実施形態における超音波カッターの斜視図を示し、図2は、この超音波カッターの駆動回路を示している。
この超音波カッターは、刃11と、刃11に対して第1のモードの超音波振動を励起する後部ランジュバン型振動子40と、上部ランジュバン型振動子50と、刃11に対して上部ランジュバン型振動子50と共働して第2のモードの超音波振動を励起する下部ランジュバン型振動子60と、各ランジュバン型振動子40、50、60が励起した超音波振動を刃11に伝える振動選択ブロック70とを備えている。
上部ランジュバン型振動子50及び下部ランジュバン型振動子60は、図14のランジュバン型振動子20と同様の構造を有している。ここでは図を省略して、圧電体53、63、ボルト51、61、フランジ52、62及びホーン54、64だけを表示している。また、後部ランジュバン型振動子40は、フランジを持たない点だけが図14のランジュバン型振動子20と相違している。ここでは図を省略して、圧電体42、ボルト41及びホーン44だけを表示している。圧電体43、53、63への給電は、図14のランジュバン型振動子20と同様に、圧電体中央の電極と両端のグランド電極に対し行われる。また、上部ランジュバン型振動子50及び下部ランジュバン型振動子60のフランジ52、62は、超音波カッターを自動切断装置に取り付けるために使用される。
振動選択ブロック70は、図3(a)に示すように、鉄やジュラルミン等の金属を用いて、十字形状に一体成形したものであり、刃11に結合される分岐部72と、上部ランジュバン型振動子50のホーン54に結合される分岐部73と、下部ランジュバン型振動子60のホーン64に結合される分岐部74と、後部ランジュバン型振動子40のホーン44に結合される分岐部71とを備えている。分岐部72の先端にはスリットを設け、このスリットに刃11を差し込んで固定している。また、分岐部71、73、74の先端に雌ねじを切り、各ランジュバン型振動子41、50、60のホーン44、54、64の先端に設けられている雄ねじを螺合して各振動子を結合している。
また、分岐部71、73、74の根元には切欠き75、76、77、78を形成しており、分岐部71、73、74は、その付根で括れている。振動選択ブロック70の十字形状は、この括れの形状も含めて、分岐部71及び分岐部72の中心線に対して線対称を成している。
振動選択ブロック70の括れて細くなった箇所は、他の箇所に比べて剛性が低下し、バネ要素として作用する。そのため、図3(b)に示すように、分岐部71から超音波振動が入力した場合に、この振動は、分岐部73及び分岐部74には殆ど伝わらずに、その大部分が、剛性の高い分岐部72の側に進入する。また、図3(c)に示すように、分岐部73及び分岐部74から等しい強さの超音波振動が入力した場合は、応力が集中する十字の交点において超音波振動が直交変換され、入力方向と90度向きを変えた方向に振動が伝播するが、このときにも、超音波振動は、分岐部71には殆ど伝わらずに、その大部分が、剛性の高い分岐部72の側に進入する。
この超音波カッターの駆動回路は、入力信号がロウ(L)のときに第1のモードにおける共振周波数の交流電圧を出力し、入力信号がハイ(H)のときに第2のモードにおける共振周波数の交流電圧を出力する周波数切替発振器81と、入力信号がロウ(L)のときに周波数切替発振器81の出力先として後部ランジュバン型振動子40を選択し、入力信号がハイ(H)のときに周波数切替発振器81の出力先として上部ランジュバン型振動子50及び下部ランジュバン型振動子60を選択する切替スイッチ82とを有している。なお、こうした動作を行う周波数切替発振器81は、例えば特開2005−159573号公報に開示されている。
第1のモードの共振周波数は、後部ランジュバン型振動子40を駆動して、超音波カッターの刃11に例えば奇数次の縦振動の定在波を励起し、また、第2のモードの共振周波数は、上部ランジュバン型振動子50及び下部ランジュバン型振動子60を駆動して、超音波カッターの刃11に、例えば偶数次の縦振動の定在波を励起する。
図4(a)は、このときに上部ランジュバン型振動子50及び下部ランジュバン型振動子60によって励起される縦振動を模式的に示し、図4(b)は、後部ランジュバン型振動子40によって励起される縦振動を模式的に示している。
このように、上部ランジュバン型振動子50及び下部ランジュバン型振動子60が刃11に励起する縦振動の次数と、後部ランジュバン型振動子40が刃11に励起する縦振動の次数とを違えることにより、図5に示すように、それぞれの縦振動における節131、132の位置が違って来る。
そのため、第1のモードの共振周波数に設定した交流電圧の後部ランジュバン型振動子40への印加と、第2のモードの共振周波数に設定した交流電圧の上部ランジュバン型振動子50及び下部ランジュバン型振動子60への印加とを切替えた場合に、刃11の縦振動に現れる節の位置は、刃11を動かさなくても、等価的に移動することになる。
この交流電圧印加の切替えを、例えば5Hzの周期で繰り返した場合に、縦振動の節は200ms毎に移動することになる。この節の移動は、従来のように刃11を機械的に前後に動かすときの移動速度よりも遥かに速いため、この超音波カッターの切れ味は格段に向上する。交流電圧印加の切替え周波数は、30Hz以上に設定することも可能であり、この切替え周波数を上げることで超音波カッターの切れ味は更に向上する。
次に、この超音波カッターの製作方法について説明する。
この超音波カッターの素材として、圧電体42、53、63にPZTを使用し、ボルト41、51、61、フランジ52、62、ホーン44、54、64、及び、刃11にステンレスのSUS303を使用し、振動選択ブロック70に鉄のS50Cを用いた。図6には、各材料の特性値を示している。
まず、有限要素法解析により、後部ランジュバン型振動子40による振動系と上部ランジュバン型振動子50及び下部ランジュバン型振動子60による振動系とで次数の異なる振動モードが励起できるように超音波カッターの形状、及び、各振動系での共振周波数を設計する。
また、この設計の際に、上部ランジュバン型振動子50及び下部ランジュバン型振動子60の長さは、後部ランジュバン型振動子40よりも短く設定する。こうした場合、上部ランジュバン型振動子50及び下部ランジュバン型振動子60が励起する共振周波数は、後部ランジュバン型振動子40が励起する共振周波数よりも高次となる。この設定は、超音波カッターをなるべく小型に構成するために行っている。また、上部ランジュバン型振動子50及び下部ランジュバン型振動子60のフランジ52、62は、超音波振動の節の位置に設定する。これは、フランジ52、62を使って、超音波カッターを自動切断装置に固定するためである。
次に、設計した形状に超音波カッターを組み立てる。その際、上部ランジュバン型振動子50及び下部ランジュバン型振動子60は、振動選択ブロック70での振動の直交変換を実現するために、単独の特性が同じであるものを使用する。
ランジュバン型振動子は、図7に示すように、ボルト41、51、61の締付トルクの強さを変えて、その振動子の共振周波数を微調整することが可能である。この特性を利用して、組立後に、刃11の先端における縦振動の振幅が最大になるように、上部ランジュバン型振動子50及び下部ランジュバン型振動子60の締付トルクを調整し、この振動系の共振周波数を設定する。
次いで、後部ランジュバン型振動子40の締付トルクを調整し、刃11の先端の振幅が最大になる周波数であって、上部ランジュバン型振動子50及び下部ランジュバン型振動子60の振動系の共振周波数とは異なる周波数を、後部ランジュバン型振動子40の振動系の共振周波数として設定する。
図8(a)は、こうして製作した超音波カッターの刃11の先端における振動振幅の周波数応答について測定した結果を示している。
この測定は、図8(b)に示すように、刃11の先端にレーザドップラ振動計810のレーザを照射して行った。図8(a)中の“R Vibration mode”と表示した測定データは、後部ランジュバン型振動子40のみに交流電圧を印加し、その交流電圧の周波数を変えて刃11の先端の振動振幅を測定した結果を示している。また、図8(a)中の“TB Vibration mode”と表示した測定データは、上部ランジュバン型振動子50及び下部ランジュバン型振動子60に交流電圧を印加し、その交流電圧の周波数を変えて刃11の先端の振動振幅を測定した結果を示している。図8(a)の横軸は周波数を表し、縦軸は振幅を表している。
図8(a)から明らかなように、後部ランジュバン型振動子40に24.3kHzの交流電圧を印加する駆動と、上部ランジュバン型振動子50及び下部ランジュバン型振動子60に29.0kHzの交流電圧を印加する駆動とを交互に行うことにより、超音波カッターの刃11に次数の異なる振動モードを励起することができる。
なお、刃11に縦振動を励起すると、縦振動の応力集中によってポアソン比による横方向(縦振動の伝播方向に直交する方向)の伸縮が刃11に発生する。そのため、縦振動の振幅は、横方向の伸縮を測定して求めることができる。
図9は、この原理を用いて刃11の各部の振動を測定した測定装置を模式的に示している。この装置は、振動している超音波カッターの刃11にレーザを照射し、レーザドップラ効果を利用して刃11の紙面上下方向の振動速度を測定するレーザドップラ振動計810と、刃11の共振周波数の信号を発振する共振周波数追従システム830(このシステムの詳細は後述する。)と、共振周波数追従システム830から発振された信号を増幅して超音波カッターの振動子に印加する増幅器840と、超音波カッターの振動子に印加された信号とレーザドップラ振動計810の測定結果とを照合して刃11の振動特性を検出するロックインアンプ820と、超音波カッターのレーザ照射位置を移動するリニアスライダ850とを備えている。
図10は、図9の測定装置を用いて、レーザドップラ振動計810のレーザ照射位置を超音波カッターの刃11に沿って移動させながら、刃11の振動分布について測定した結果を示している。図10の横軸は刃11の位置を表し、縦軸はレーザドップラ振動計810の出力位相を表している。
測定は、印加電圧を27Vとし、後部ランジュバン型振動子40の駆動周波数を24.293kHz、上部ランジュバン型振動子50及び下部ランジュバン型振動子60の駆動周波数を29.556kHzに設定して行っている。後部ランジュバン型振動子40のみを駆動したときの測定データをグラフの上半分に“R Vibration mode”として表示し、また、上部ランジュバン型振動子50及び下部ランジュバン型振動子60を駆動したときの測定データをグラフの下半分に“TB Vibration mode”として表示している。図中の位相が反転する点が縦振動の腹に当たり、反転する点の中間(○を付した箇所)が縦振動の節に当たる。
“R Vibration mode”と“TB Vibration mode”との各位相分布を比較すると、切断に必要な刃11の中心部分において、節の位置が半波長程度ずれていることが分かる。
この結果は、駆動する振動子を選択することにより、刃に励起する超音波振動の振動モードの次数を変えて、振動の節を等価的に移動できることを示している。
なお、超音波カッターでは、刃が切断物に接触すると全体の共振周波数が変化したり、長時間の作業中に発生する熱の影響で共振周波数が変化したりするが、振動子の駆動周波数と実際の超音波カッターの共振周波数との“ずれ”が僅かである場合は、引き込み現象により、超音波カッターは機械的に共振する。しかし、この“ずれ”が大きくなると、超音波カッターの機械的共振が維持できなくなり、刃の振動振幅が減少する。
この“ずれ”は、振動子の駆動周波数を実際の超音波カッターの共振周波数に追従させることで解消できる。図11は、振動子の駆動周波数を超音波カッターの共振周波数に追従させる共振周波数追従システム830の構成を示している。
このシステムでは、“振動子の印加電圧”と“振動子に流れる電流”との位相差に着目して振動子の駆動周波数と実際の超音波カッターの共振周波数との“ずれ”を検出する。即ち、振動子の駆動周波数が超音波カッターの共振周波数に一致するときは、“振動子の印加電圧”に対する“振動子に流れる電流”の位相が定数であり、駆動周波数が共振周波数より低くなると、この位相が進み、逆に、駆動周波数が共振周波数より高くなると、この位相が遅れることを利用して共振周波数への追従を実行する。
このシステムは、駆動時の振動子831の印加電圧及び振動子831に流れる電流を矩形波に変換するコンパレータ833と、変換された2つの矩形波の位相差から次回の周波数を決定するマイコン834と、決定された周波数の駆動電圧を発振するダイレクトデジタルシンセサイザ(Direct digital synthesizer:DDS)835と、DDS835から出力された駆動電圧を増幅して振動子831に印加する増幅器832とを備えている。
このシステムでは、振動子831に印加される電圧と電流とがコンパレータ833で矩形波に変換される。マイコン834は、この二つの矩形波のエッジ間の時間を計測して位相差φを求め、その位相差φから、次式により次回の周波数を決定する。
n+1 = fn−Kp(φr−φ)
ここで、fnは現在の発振周波数、fn+1は次回の発振周波数であり、φrは振動子の駆動周波数が超音波カッターの共振周波数に一致するときの位相差、Kpは比例ゲインである。
決定された周波数はDDS835に送信され、この周波数がDDS835から発振されて、振動子831に印加される。この動作を駆動信号の1周期ごとに繰り返すことで常に振動子831に対して共振周波数を発振することが可能になる。
図12は、ステップ状の共振周波数の変化を生じさせ、そのときの共振周波数追従システム830の追従性能について測定した結果を示している。Kpの値が大きいと、応答は速いもののオーバーシュートが大きい。一方、Kpの値が小さいと、応答は遅いがオーバーシュートは小さい。何れにしろ、このシステムでは、20ms以内で共振周波数に追従することが可能である。
このように、この超音波カッターは、刃に対して、振動の節の位置が異なる超音波振動の定在波を交互に励起している。そのため、刃を動かさなくても、超音波振動の節が等価的に移動し、超音波振動の節に起因する切れ味の低下を防ぐことができる。
また、共振周波数追従システムを設けたものでは、使用中に超音波カッターの共振周波数が変化しても、刃の振動振幅の減少を防ぐことができ、良好な切れ味を保つことができる。
刃に交互に励起する超音波振動は、一方が奇数次の振動で、他方が偶数次の振動であることが望ましい。それらの振動では、節の位置が重なることがないためである。また、できるだけ次数の少ない超音波振動を励起することが望ましい。次数が少ない程、節の数が少ないためである。
なお、ここでは、十字形状の振動選択ブロックについて説明したが、振動選択ブロックの形状は、それに限らない。分岐部73と分岐部71との角度、及び、分岐部74と分岐部71との角度が同一であり、分岐部73と分岐部74とが分岐部71を対称軸として対称であれば良い。
また、振動選択ブロックは、Y字形状(あるいは、Y字の上側に位置する分岐部の一方を他方より多少短くした形状)であっても良い。この場合、Y字の下側の分岐部には刃を結合し、Y字の上側の各分岐部には振動子を結合し、これらの振動子に異なる駆動周波数の交流電圧を印加する。この超音波カッターの形状を図13に示す。
また、ここでは、刃に縦振動を励起する場合について説明したが、超音波の横振動を励起するように構成しても良い。
また、刃に対して、振動の節の位置が異なる超音波縦振動と超音波横振動とを交互に励起するようにしても良い。
また、ここでは、刃に対して、二つのモードの超音波振動を交互に加える場合について説明したが、三つ以上のモードの超音波振動を切替えて加えるようにしても良い。
また、超音波カッターの駆動回路に示した周波数切替発振器81は一例であって、本発明では、各振動子に印加する交流電圧の周波数を切替えることができる手段であれば、どのようなものでも利用できる。
本発明の超音波カッターは、優れた切れ味を有しており、ケーキやサンドイッチ、果物等の食品、あるいは紙やプラスチック等の軟質物の切断に広く用いることができる。
本発明の実施形態における超音波カッターの斜視図 本発明の実施形態における超音波カッター及び駆動回路を示す図 本発明の実施形態における振動選択ブロック(a)と、その動作(b)(c)を示す図 本発明の実施形態における超音波カッターに生じる振動を示す図 本発明の実施形態における超音波カッターに生じる振動の節を示す図 本発明の実施形態の超音波カッターで用いた材料の特性を示す図 本発明の実施形態の超音波カッターで用いたランジュバン型振動子の特性を示す図 本発明の実施形態における超音波カッターの縦振動による刃先の振幅の周波数応答特性を示す図 本発明の実施形態における超音波カッターの振動測定に用いた装置を示す図 本発明の実施形態における超音波カッターの刃に現れた振動の節を示す図 本発明の実施形態における共振周波数追従システムを示すブロック図 本発明の実施形態における共振周波数追従システムの追従性能を示す図 本発明の実施形態における超音波カッターの他の形状を示す図 従来の超音波カッターの構成を示す図 超音波カッターの切れ味を示す図 超音波カッターでの振動の節を示す図
符号の説明
11 刃
12 ホーン
13 節
20 ボルト締めランジュバン型振動子
21 金属ブロック
22 フランジ
23 圧電体
24 電極
25 圧電体
26 金属ブロック
27 ボルト
40 後部ランジュバン型振動子
41 ボルト
42 圧電体
44 ホーン
50 上部ランジュバン型振動子
51 ボルト
52 フランジ
53 圧電体
54 ホーン
60 下部ランジュバン型振動子
61 ボルト
62 フランジ
63 圧電体
64 ホーン
70 振動選択ブロック
71 分岐部
72 分岐部
73 分岐部
74 分岐部
75 切欠き
76 切欠き
77 切欠き
78 切欠き
81 周波数切替発振器
82 切替スイッチ
131 節
132 節
810 レーザドップラ振動計
820 ロックインアンプ
830 共振周波数追従システム
831 振動子
832 増幅器
833 コンパレータ
834 マイコン
835 ダイレクトデジタルシンセサイザ
840 増幅器
850 リニアスライダ

Claims (6)

  1. 切断用の刃を備えた超音波カッターであって、
    前記刃に複数のモードの超音波振動を励起する振動励起手段と、
    前記振動励起手段によって前記刃に励起される超音波振動のモードを所定時間ごとに切替える切替え手段と
    を備え、前記振動励起手段は、前記切替え手段により超音波振動のモードが切替えられたとき、切替えられる前の超音波振動における節の位置と異なる位置に節を有する超音波振動を前記刃に励起することを特徴とする超音波カッター。
  2. 請求項1に記載の超音波カッターであって、前記振動励起手段が、
    第1のモードの超音波振動を前記刃に励起する第1の超音波振動子と、
    共働して第2のモードの超音波振動を前記刃に励起する第2の超音波振動子及び第3の超音波振動子と、
    1つの分岐点から延びる4つの分岐部を有し、第1の分岐部の先端には前記第1の超音波振動子が結合され、第2の分岐部の先端には前記第2の超音波振動子が結合され、第3の分岐部の先端には前記第3の超音波振動子が結合され、第4の分岐部の先端には前記刃が結合され、前記第1の分岐部と前記第4の分岐部とが直線的に接続し、前記第2の分岐部と前記第3の分岐部とが前記第1の分岐部及び第4の分岐部の中心線を対称軸として対称的に接続している振動選択ブロックと
    を有することを特徴とする超音波カッター。
  3. 請求項2に記載の超音波カッターであって、前記振動選択ブロックの前記第2の分岐部及び第3の分岐部が、前記第1の分岐部及び第4の分岐部の中心線に直交していることを特徴とする超音波カッター。
  4. 請求項2または3に記載の超音波カッターであって、前記振動選択ブロックの前記分岐点から延びる前記第1の分岐部、第2の分岐部及び第3の分岐部の根元がくびれていることを特徴とする超音波カッター。
  5. 請求項2に記載の超音波カッターであって、前記切替え手段が、第1の駆動周波数の交流電圧を前記第1の振動子に印加する第1の印加動作と、第2の駆動周波数の交流電圧を前記第2の振動子及び第3の振動子に印加する第2の印加動作とを交互に切替えることを特徴とする超音波カッター。
  6. 請求項5に記載の超音波カッターであって、さらに、前記刃の共振周波数の変化に応じて前記第1の駆動周波数及び第2の駆動周波数を修正する共振周波数追従手段を備えることを特徴とする超音波カッター。
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