JP2007305571A - 高分子電解質膜の製造方法、高分子電解質膜及び直接メタノール型燃料電池 - Google Patents

高分子電解質膜の製造方法、高分子電解質膜及び直接メタノール型燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】メタノールバリア性とプロトン伝導性とを、高水準で達成しうる高分子電解質膜の製造方法、当該製造方法にて得られる高分子電解質膜を提供する。
【解決手段】[1]多価カチオンで塩置換された高分子電解質膜を、加熱処理、活性エネルギー線照射処理及び放電処理から選ばれる改質処理により改質する工程を有する、高分子電解質膜の製造方法。
[2]上記[1]に示す改質処理を経た後、酸処理を施す製造方法。
[3]上記[1]の改質処理が、40℃〜200℃の温度範囲で加熱する処理である製造方法。
[4]上記[1]〜[3]の製造方法で得られる高分子電解質膜。
[5]上記[4]の高分子電解質膜を用いてなる、燃料電池。
【選択図】なし

Description

本発明は、直接メタノール型燃料電池に好適な高分子電解質膜の製造方法に関する。さらには、該製造方法にて得られる高分子電解質膜、該高分子電解質膜を用いた直接メタノール型燃料電池に関する。
近年、住宅や自動車の動力などのエネルギーデバイスとして、固体高分子型燃料電池が注目されている。その中でもメタノールを燃料とする直接メタノール型燃料電池は、小型化が可能であるためパーソナルコンピューターや携帯機器の電源等の用途として注目されている。
直接メタノール型燃料電池(以下、「DMFC」という)は、燃料極に、メタノール水溶液を燃料として供給する。その際に、燃料極と空気極との間にあるプロトン伝導膜が、メタノールに対するバリア性(メタノールバリア性)が低いと、メタノールが該伝導膜を透過して空気極に移動するメタノールクロスオーバー(以下、「MCO」という)という現象が生じる。このようにMCOが生じると、発電性能の低下やメタノールが空気極から漏れ出し、電池自体に損傷が生じるといった問題がある。そのため、直接メタノール型燃料電池に用いられるプロトン伝導膜としては、メタノールバリア性の優れた膜が切望されていた。
ところで、固体高分子型燃料電池のプロトン伝導膜に用いられる、高分子電解質としては、ナフィオン(デュポン社の登録商標)に代表されるパーフルオロアルカン系高分子電解質膜が主として用いられている。しかしながら、パーフルオロアルカン系高分子電解質膜は高価であること、耐熱性や機械強度が十分でないこと等の理由から、これに代る安価で、高性能の炭化水素系高分子電解質膜の開発が活発化している。炭化水素系電解質膜は、パーフルオロアルカン系高分子電解質膜に比べて、メタノールバリア性に優れていることが知られているが、一般にメタノールバリア性と、発電性能に係るプロトン伝導性とは互いに相反するものであり、この2つの特性を高水準で両立し得るプロトン伝導膜を製造するのは困難であった(非特許文献1)。
メタノールバリア性を向上させる方法としては、高分子電解質膜を架橋させてなる架橋膜の適用が広範に検討されており、例えば、特許文献1には、分子内にシアノ基を有する高分子電解質を200℃以上の温度で熱処理(熱架橋)せしめたプロトン(イオン)伝導膜が開示されている。
特開2005−243492号公報(段落[0024],実施例) 新エネルギー・産業技術総合開発機構委託業務 平成15年成果報告書
しかしながら、前記架橋膜は高度のメタノールバリア性を求めて架橋度を高くすると、得られる架橋膜の靭性が低くなる傾向にあり、燃料電池に適用した場合、その稼動・停止に伴う膜の吸水膨張・乾燥伸縮によって、膜に経時劣化が生じ、結果として燃料電池自体の耐久性が低下する傾向があった。
本発明は、このような耐久性低下を及ぼす高分子電解質膜の架橋手段を用いなくとも、高水準のメタノールバリア性とプロトン伝導性とを達成しうる高分子電解質膜の製造方法、当該製造方法にて得られる高分子電解質膜を提供する。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記[1]に示す高分子電解質膜の製造方法を提供する。
[1]多価カチオンで塩置換された高分子電解質膜を、加熱処理、活性エネルギー線照射処理及び放電処理から選ばれる改質処理により改質する工程を有する、高分子電解質膜の製造方法
ここで「塩置換」とは、高分子電解質膜を構成する高分子電解質のカチオン交換基にイオン結合する水素イオンの一部または全部が、水素イオン以外のカチオンでイオン交換されていることを示す。つまり、多価カチオンにて塩置換するとは、該多価カチオンのイオン価をn価(nは2以上5以下の整数を示す)としたとき、カチオン交換基n個にて、1つの多価カチオンとイオン結合し、塩の形態の基になることを意味する。
さらに、得られる高分子電解質膜のプロトン伝導性が、より向上する観点から下記の[2]に示す高分子電解質膜の製造方法を提供する。
[2]多価カチオンで塩置換された高分子電解質膜を、加熱処理、活性エネルギー線照射処理及び放電処理から選ばれる改質処理により改質する工程と、改質後の高分子電解質膜を酸で処理する工程とを有する、高分子電解質膜の製造方法
上記[1]または[2]における、改質処理としては、下記[3]、[4]が、製造上簡便であるため好ましい。
[3]上記改質処理が加熱処理である、上記[1]または[2]の高分子電解質膜の製造方法
[4]上記改質処理が40℃〜200℃の温度範囲で加熱する処理である、上記[1]または[2]に記載の高分子電解質膜の製造方法
さらに、上記多価カチオンで塩置換された高分子電解質膜に係る好適な、下記[5]、[6]、[7]を提供する。
[5]上記多価カチオンで塩置換された高分子電解質膜の塩置換率が50%以上である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の高分子電解質膜の製造方法
[6]上記多価カチオンがアルカリ土類金属イオンである上記[1]〜[5]のいずれかに記載の高分子電解質膜の製造方法
[7]上記多価カチオンがカルシウム(II)イオンを含む、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の高分子電解質膜の製造方法
ここで、「塩置換率」とは、高分子電解質膜を構成する高分子電解質のカチオン交換基の中で、水素イオン以外のカチオンでイオン交換されている基の、カチオン交換基の総数に対する割合を示すものであり、本発明では多価カチオンで塩置換されているカチオン交換基数の、総カチオン交換基数に対する割合である。
さらに本発明に適用される高分子電解質膜が、下記[8]、[9]であると、膜の耐熱性、機械的強度に優れるため、好ましい。
[8]上記高分子電解質膜を構成する高分子電解質が芳香族系高分子電解質である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の高分子電解質膜の製造方法。
[9]上記高分子電解質膜を構成する高分子電解質が、カチオン交換基を有するブロックと、イオン交換基を実質的に有さないブロックとからなるブロック共重合体である、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の高分子電解質膜の製造方法。
また、本発明は、下記[10]に示す高分子電解質膜を提供する。
[10]上記[1]〜[9]のいずれかに記載の製造方法によって得られる高分子電解質膜。
さらに、上記[10]の中でも、直接メタノール型燃料電池として、特に好適である[11]を提供する。
[11]メタノール拡散係数D(cm2/s)とプロトン伝導度σ(S/cm)とが、下記式(1)を満足することを特徴とする上記[10]記載の高分子電解質膜。
D/σ≦9.5×10-6 (1)
上記の高分子電解質膜は、直接メタノール型燃料電池として好適であり、下記の[12]、[13]を提供する。
[12]上記[10]または[11]に記載の高分子電解質膜の両面に触媒層を形成して得られる、膜―電極接合体。
[13]上記[12]記載の膜‐電極接合体を有する直接メタノール型燃料電池。
本発明の製造方法によれば、架橋手段を用いなくとも高水準のメタノールバリア性とプロトン伝導性とを有する高分子電解質膜を得ることができる。当該高分子電解質膜を使用したDMFCは、高い発電特性と、MCOによる電池自体の損傷が抑制され、携帯機器等の用途に好適に用いることができる。
本発明の製造方法に適用される高分子電解質膜を構成する高分子電解質としては、カチオン交換基をイオン交換基として有するものであり、かかる高分子電解質の代表例としては、例えば、
(A)主鎖が脂肪族炭化水素からなる炭化水素系高分子にカチオン交換基を導入した高分子電解質;
(B)主鎖に芳香環を有する高分子にカチオン交換基を導入した炭化水素系高分子電解質;
(C)主鎖が、脂肪族炭化水素とシロキサン基、フォスファゼン基などの無機の単位構造からなる重合体に、カチオン交換基を導入した高分子電解質;
(D)上記(A)〜(C)のカチオン交換基導入前の高分子を構成する繰り返し単位から選ばれるいずれか2種以上の繰り返し単位からなる共重合体に、カチオン交換基を導入した高分子電解質;
等が挙げられ、これらはいずれも用いることができる。
上記の例示の中でも、耐熱性やリサイクルの容易さの観点から、芳香族系高分子電解質が好ましい。当該芳香族系高分子電解質とは、高分子鎖の主鎖に芳香族環を有し、側鎖及び/または主鎖にカチオン交換基を有する高分子化合物を意味する。芳香族系高分子電解質は、溶媒に可溶なものが通常使用され、これらは公知の溶液キャスト法にて、容易に膜化することができるため好ましい。
これらの芳香族系高分子電解質のカチオン交換基は、高分子の主鎖を構成している芳香族環に直接置換していても、主鎖を構成している芳香族環に連結基を介して結合していても、または、それらの組み合わせであってもよい。
「主鎖に芳香環を有する高分子」とは、例えば、主鎖がポリアリーレンのように、2価の芳香族基同士が連結されているものや、2価の芳香族基が、2価の基を介して連結し主鎖を構成しているものを示す。該2価の基としては、オキシ基、チオキシ基、カルボニル基、スルフィニル基、スルホニル基、アミド基(-C(=O)NH-または-NHC(=O)-)、エステル基(-C(=O)O-または-OC(=O)-)、炭酸エステル基(-OC(=O)O-)、炭素数1〜4程度のアルキレン基、炭素数2〜4程度のアルケニレン基、炭素数2〜4程度のアルキニレン基等が挙げられる。また、芳香族基としては、フェニレン基、ナフチレン基、アトラセニレン基、フルオレンジイル基等の芳香族基、ピリジンジイル基、フランジイル基、チオフェンジイル基、イミダゾリル基、インドールジイル基、キノキサリンジイル基等の芳香族複素環基が挙げられる。
また、該2価の芳香族基は、カチオン交換基以外に置換基を有していてもよく、該置換基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、ハロゲノ基、ニトロ基等が挙げられる。
かかる芳香族系高分子電解質の代表例としては、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリイミド、ポリフェニレン、ポリ((4’-フェノキシベンゾイル)-1,4-フェニレン)、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニルキノキサレン等の重合体のそれぞれにカチオン交換性基が導入されたもの、スルホアリール化ポリベンズイミダゾール、スルホアルキル化ポリベンズイミダゾール、ホスホアルキル化ポリベンズイミダゾール(例えば、特開平9−110982号公報参照)、ホスホン化ポリ(フェニレンエーテル)(例えば、J. Appl. Polym. Sci., 18, 1969 (1974)参照)等が挙げられる。
好適な芳香族系高分子電解質としては、上記に例示した芳香族系高分子にカチオン交換基を有するものであるが、さらに好ましくは、該芳香族系高分子電解質を膜にしたとき、カチオン交換基を有するプロトン伝導性に寄与する部分と、イオン交換基を実質的に有さない機械的強度に寄与する部分とを併せ持つ膜、すなわち機能分離(相分離)した膜が得られる高分子電解質であると好ましい。これは、例えばカチオン交換基が導入された繰り返し単位とイオン交換基が実質的に導入されていない繰り返し単位とをそれぞれ一つ以上有する交互共重合体やランダム共重合体(例えば、特開平11−116679号公報参照)、カチオン交換基が導入されたブロックと、イオン交換基が実質的に導入されていないブロックとをそれぞれ一つ以上有するブロック共重合体(例えば、特開2001−250567号公報参照)が例示される。
中でも上記ブロック共重合体は、カチオン交換基を有するブロックと、イオン交換基を実質的に有さないブロックがそれぞれ膜中でドメインを形成し、好適な相分離膜を得ることができるので好ましい。該カチオン交換基としては、スルホン酸基(-SO3H)、ホスホン酸基(-PO3H2)、スルホニルイミド基(-SO2-NH-SO2-)が好ましく、これらを併せ持つものでもよい。中でもカチオン交換基がスルホン酸基であるブロック共重合体が特に好ましい。
上記高分子電解質は、その構造などにより最適分子量範囲を適宜求めることができるが、一般的にはGPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフィー)法によるポリスチレン換算の数平均分子量で表して、1000〜1000000が好ましい。当該数平均分子量の下限としては5000以上、とりわけ10000以上が好ましく、一方、上限としては500000以下、とりわけ300000以下が好ましい。
該数平均分子量が、1000以上であると、膜強度がより向上する傾向にあり、1000000以下であると、該高分子電解質を溶媒に対する溶解性が良好となり、該高分子電解質を溶媒に溶解して得られる溶液の溶液粘度が低下することから、溶液キャスト法による製膜が容易になるため、上記の分子量範囲が好ましい。
次に、溶液キャスト法にて高分子電解質膜を製膜する方法について説明する。
まず、高分子電解質を適当な溶媒に溶解し、得られた高分子電解質溶液を、支持基材上に流延塗布し、溶媒を除去することにより、該支持材上に高分子電解質膜を製造し、次いで支持基材から、高分子電解質膜を剥離する。
この溶液キャスト法は、操作も簡便であるため、本発明に供する高分子電解質膜を得る方法として特に好ましい。
該溶液キャスト法に用いる溶媒は、高分子電解質を溶解可能であり、その後に除去し得るものであるならば特に制限はなく、例えばN,N−ジメチルホルムアミド(以下、「DMF」という)、N,N−ジメチルアセトアミド(以下、「DMAc」という)、N−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」という)、ジメチルスルホキシド(以下、「DMSO」という)等の非プロトン性極性溶媒、あるいはジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルが好適に用いられる。
これらは単独で用いることもできるが、必要に応じて2種以上の溶媒を混合して用いることもできる。中でも、DMF、DMAc、NMP、DMSOが高分子電解質の溶解性が高く好ましい。
溶液キャスト法に用いる支持基材は、上記高分子電解質溶液により膨潤あるいは溶解することなく、かつ製膜後に得られる膜が、剥離し得るものであるならば特に制限は無く、例えばガラス、ステンレス材、ステンレスベルト、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等が好適に用いられる。該基材表面は必要に応じ離型処理、鏡面処理、エンボス処理、あるいは艶消し処理等を施してもよい。また、上記高分子電解質を多孔質状の支持体に保持させた膜としても、本発明の高分子電解質膜の製造に用いることができる。
溶液キャスト法に用いる高分子電解質溶液中の高分子電解質濃度は、使用した高分子電解質自体の分子量にもよるが、通常5〜40重量%、好ましくは5〜30重量%である。該高分子電解質濃度が5重量%以上であると、実用的な膜厚の膜が加工しやすく、40重量%以下であると、得られる溶液の溶液粘度が低くなることから、平滑な表面の膜を得ることが容易となるため好ましい。
このようにして得られる高分子電解質膜の膜厚は特に制限はされないが、当該高分子電解質膜にあるカチオン交換基の実質的に全てが遊離酸の基であるときの膜厚で表して5〜200μmが好ましい。さらに好ましくは8〜100μm、特に好ましくは15〜80μmである。実用に耐える膜強度を得るには5μmより厚い方が好ましく、膜抵抗の低減つまり発電性能の向上のためには200μmより薄い方が好ましい。膜厚は上記高分子電解質溶液の高分子電解質濃度あるいは基材への塗布厚により所望の膜厚を制御することができ、その際には、高分子電解質膜の塩置換率がほぼ0%であるときの高分子電解質膜の膜厚を勘案して、溶液キャスト法で得られる塩置換された高分子電解質膜の膜厚を制御する。
次に、本発明の改質された高分子電解質膜の製造方法の詳細について説明する。
まず、上記に例示した高分子電解質膜中のカチオン交換基にイオン結合している1価カチオンの、一部または全部を多価カチオンで置換する。置換する方法としては、イオン交換反応を用いることができる。
ここで、該イオン交換反応を用いた高分子電解質膜の製造方法としては、
(i)高分子電解質を、そのカチオン交換基にイオン結合している1価カチオンの一部または全部を、多価カチオンにイオン交換しておき、このようにしてイオン交換された高分子電解質を製膜する方法。
(ii)実質的に全てのカチオン交換基が1価カチオンとイオン結合している高分子電解質膜を、溶液キャスト法にて製膜してから、得られた高分子電解質膜のカチオン交換基にイオン結合している1価カチオンの一部または全部を、多価カチオンにイオン交換する方法。
が挙げられ、(i)、(ii)のいずれか、またはその組み合わせの方法を用いることができる。
まず、上記(i)の方法について説明する。
本方法は、高分子電解質におけるカチオン交換基に対して、多価カチオンの水酸化物、塩化物等(以下、「多価カチオン塩置換剤」と総称する)を用いて、該カチオン交換基にイオン結合している1価カチオンを、多価カチオンにイオン交換させる方法である。
具体的には、予め高分子電解質を水、有機溶媒あるいは水/有機溶媒混合液に、溶解または分散させ、それに多価カチオン塩置換剤を加えて、高分子電解質にあるカチオン交換基の一部または全部を、多価カチオンにイオン交換(塩置換)する方法である。ここで、接触させる多価カチオン塩置換剤における多価カチオンのモル当量と、高分子電解質のイオン交換容量(高分子電解質のカチオン交換基の実質的に全てを、一旦遊離酸の基とした後、滴定法にて求められる)とから、該高分子電解質中のカチオン交換基総量に対する、多価カチオンでイオン交換されたカチオン交換基の総数から塩置換率を算出することができる。また、該カチオン交換基のほぼ全てを、多価カチオンでイオン交換する場合は、上記イオン交換容量に対して、多価カチオン塩置換剤を大過剰用いればよい。また、適用した高分子電解質にあるカチオン基のイオン交換能が低い場合(例えば、カチオン交換基がホスホン酸基である場合)、多価カチオンの塩化物等の塩を多価カチオン塩置換剤に用いると、該多価カチオン塩置換剤の使用当量数に対して、所望の塩置換率の高分子電解質が得にくいことがある。この場合は、所望の塩置換率が得られる程度の多価カチオン塩置換剤使用量から徐々に使用量を上げていって得られる高分子電解質の塩置換率を求め、所望の塩置換率が得られる多価カチオン塩置換剤当量数を求める予備実験を行えばよい。なお、高分子電解質のカチオン交換基が好適なスルホン酸基である場合、かかる高分子電解質は一般に高いイオン交換能を有するので、使用した多価カチオン塩置換剤の当量数から容易に、所望の塩置換率を有する高分子電解質が得られるという利点もある。
なお、(i)における溶媒としては水、有機溶媒あるいは水/有機溶媒混合液を用いることができるが、後述の理由により水を含む溶媒が好ましい。また、イオン交換に係る処理時間は、通常10分〜500時間であり、好ましくは0.5〜400時間、より好ましくは1〜350時間であり、処理温度は通常、室温程度で十分である。
ここで、上記1価カチオンが水素イオンである場合、例えば、特開2005−171025号公報に記載の方法に準拠して、上記(i)を行うこともできる。
また、多価カチオン塩置換剤を、先に水、有機溶媒あるいは水/有機溶媒混合液に加えて溶解し、その後、この溶液に高分子電解質を投入しても同等の効果が得られ、仕込みの順序は特に限定されるものではない。
なお、高分子電解質を製造する過程において、そのカチオン交換基の一部または全部が、多価カチオンで塩置換された高分子電解質が得られるときは、その高分子電解質をそのまま、溶液キャスト法等により製膜してもよい。
ここで、上記高分子電解質におけるカチオン交換基の、ほとんどが多価カチオンにてイオン交換されている場合は、通常溶媒への溶解度が低下する場合もあるため、その際は、押し出し成形等、溶液キャスト法以外の製膜法を用いればよい。
次に、上記(ii)の方法について説明する。
まず、多価カチオン塩置換剤を水及び/または有機溶剤に、溶解または分散させた溶液(以下、「多価カチオン溶液」と呼ぶ)を準備し、予め溶液キャスト法にて製膜しておいた高分子電解質膜(ほぼ全てのカチオン交換基が1価カチオンとイオン結合している)を、該多価カチオン溶液に10分〜500時間、好ましくは0.5〜400時間、より好ましくは1〜350時間、接触させる。接触温度は、通常室温程度で十分である。
上記多価カチオン溶液と、高分子電解質膜とを接触させる方法としては、該電解質膜を、多価カチオン溶液に浸漬させる方法や、該電解質膜に多価カチオン溶液をスプレー噴霧する方法等が挙げられる。このように、多価カチオン溶液と、高分子電解質膜との接触方法は限定されるものではないが、処理時間や処理温度を安定的にコントロールしやすく、イオン交換に係る反応再現性が高くなるといった観点から、浸漬法が好ましい。
さらに、該浸漬法においては、浸漬された高分子電解質膜の形態を損なわない範囲で、多価カチオン溶液を攪拌してもよい。
また、接触させる多価カチオン溶液中の多価カチオンのモル当量と、高分子電解質膜のイオン交換容量(高分子電解質膜のカチオン交換基の実質的に全てを、一旦遊離酸の基とした後、滴定法にて求められる)とから、該高分子電解質膜のカチオン交換基総量に対してイオン交換された多価カチオン量(塩置換率)は推算することができ、該カチオン交換基のほぼ全てをイオン交換する場合は、上記イオン交換容量に対して、多価カチオンのモル当量を大過剰用いればよい。
上記多価カチオンとしては、そのイオン価が2価以上であれば特に制限されない。例えばマグネシウム、カルシウムまたはバリウムなどのアルカリ土類金属のイオン、アルミニウムなどの非遷移金属のイオン、スズ、亜鉛などの遷移金属のイオンなどが挙げられる。また、4級アンモニウム基を分子内に複数有する化合物でもよい。
これらの多価カチオン種は単独で用いても複数種を用いることもできる。
上記多価カチオン塩置換剤を具体的に例示すると、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化アルミニウム、塩化スズ、塩化亜鉛、臭化マグネシウム、臭化カルシウム、臭化バリウム、臭化スズ、臭化亜鉛、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸亜鉛等が例示される。
また、分子内に4級アンモニウム基を2つ以上有する化合物でもよく、ビス(トリメチルアンモニオ)エチレン、ビス(トリメチルアンモニオ)プロピレン、ビス(トリメチルアンモニオ)ベンゼン、ビス(トリエチルアンモニオ)ベンゼン、トリス(トリメチルアンモニオ)ベンゼン、トリス(トリエチルアンモニオ)ベンゼン等の複数の4級アンモニウム基を有する多価イオンの水酸化物、塩化物等を使用することができる。
上記に例示した多価カチオンの中でも、アルカリ土類金属イオン、非遷移金属イオンまたは遷移金属イオンが好ましく、アルカリ土類金属イオンが、より好ましく、中でもメタノールバリア性がより良好となる多価カチオンとしては、カルシウム(II)イオンが特に好ましい。
高分子電解質のカチオン交換基にイオン結合している1価カチオンを、多価カチオンにイオン交換させる場合、通常イオン交換反応におけるイオン選択性が多価カチオンの方が、1価カチオンよりも高いため、容易にイオン交換させることができる。
また、多価カチオンに塩置換する前のカチオン交換基に結合する1価カチオンとしては、水素イオンまたはアルカリ金属イオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等)が挙げられ、本発明では通常水素イオンが好ましく、すなわちカチオン交換基が遊離酸の基である高分子電解質のカチオン交換基をイオン交換させるのが好ましい。
上記のようにして得られる、多価カチオンで塩置換された高分子電解質膜における塩置換率の下限は、得られる高分子電解質膜における、所望のメタノール透過性によって最適化できるが、50%以上であると好ましく、80%以上であると、さらに好ましく、100%、すなわち実質的に全てのカチオン交換基が塩置換されていると、特に好ましい。
ここで、「塩置換率」の定義は上記のとおりである。
次に上記改質処理に関して、説明する。
上記のように、加熱処理、活性エネルギー線照射処理または放電処理のいずれか、またはその組み合わせによって、多価カチオンで塩置換された高分子電解質膜を改質処理することで、メタノールバリア性と、プロトン伝導性が高水準で両立する高分子電解質膜が得られることを本発明者らは見出した。そのメカニズムについては、明らかではないが、該改質処理のように、物理エネルギーを該高分子電解質膜に与えることにより、高分子電解質膜のミクロまたはマクロのモルフォロジーが、メタノール透過性を抑制するとともに、高いプロトン伝導経路が得られる相分離構造の膜が得られると推定される。すなわち、これまでに開示されている直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導膜のように、高分子電解質を何らかの方法にて架橋せしめ、膜を緻密化していることでメタノールの透過性を抑制する方法では、プロトン伝導経路自体も抑制してしまうのに対して、本発明の製造方法にて得られる高分子電解質膜は、メタノール透過を抑制しながらも、プロトン伝導経路を有する、好ましい配向状態を形成した高分子電解質膜になりうると推定される。
ここで、活性エネルギー線照射処理とは、α線、β線、中性子線、電子線、γ線、X線、真空紫外線、紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波、電波、レーザー等の電磁波又は粒子線等から選ばれる何れかの活性エネルギー線を照射する方法を示すものである。一方、放電処理とは、コロナ放電処理、グロー放電処理、プラズマ処理(低温プラズマ処理を含む)等の放電処理から選ばれる方法である。
これらの中では、活性エネルギー線照射処理として、X線、電子線、紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波又はレーザーから選ばれる活性エネルギー線を照射する処理が好ましく、紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波、レーザーから選ばれる放射線を照射する方法が、より好ましい。これらの活性エネルギー線は、照射によって膜が過熱される傾向が低く、膜の劣化が生じにくいことから好ましい。
また、放電処理としては低温プラズマ処理が好ましく、この理由も膜が過熱される傾向が低いためである。
上記の活性エネルギー線照射処理や放電処理は、通常高分子フィルムの表面改質処理に用いられる機器、処理方法に準じて行うことが可能であり、例えば文献(日本接着学会編、「表面解析・改質の化学」、日刊工業新聞社、2003年12月19日発行)等に記載された方法を用いることができる。
ここで、前記の活性エネルギー線照射処理または放電処理を行う上で、好ましい処理時間としては10時間以内、より好ましくは3時間以内、さらに好ましくは1時間以内、特に好ましくは30分以内である。また、これらの改質処理を行う際に用いる雰囲気としては、水素、ヘリウム、窒素、アンモニア、酸素、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、アセトニトリル、並びにこれらの混合ガスのいずれも用いることができ、該改質処理に係る圧力は、選択する処理において適宜最適化することができる。
本発明に適用する改質処理の中でも、とりわけ好ましくは加熱処理であり、該加熱処理は前記に例示する活性エネルギー線照射処理または放電処理と比較して、設備が簡便であるといった利点がある。
ここで、好適な加熱処理について説明する。
該加熱処理としては、上記のようにして得られた多価カチオンで塩置換された高分子電解質膜を、オーブン、ファーネスまたはIHホットプレートで直接加熱する方法や、高温スチーム中に曝露する方法、水、有機溶媒あるいはその混合溶媒に、高分子電解質膜を浸漬し、必要に応じて緩やかに溶媒を攪拌しながら加熱する方法等を挙げることができる。
オーブン、ファーネスまたはIHホットプレートで直接加熱する方法を用いた場合、加熱温度は好ましくは40℃以上200℃以下、より好ましくは100℃以上200℃以下、特に好ましくは150℃以上200℃以下である。40℃以上であると、改質工程にかかる時間が短くなるため好ましく、200℃以下であると、イオン交換基の脱離反応や高分子主鎖の分解反応等が抑制される傾向にあるため好ましい。
該加熱処理における雰囲気は、上記の活性エネルギー線照射処理、放電処理にて例示したものと同様なものを例示できるが、通常不活性ガス下で行うことが好ましい。また、圧力に関しても、常圧程度でもよいし、減圧、加圧いずれも使用することができる。処理時間は0.1〜500時間、好ましくは0.5〜400時間、より好ましくは1〜350時間である。これらの加熱処理についても、上述したように、高分子電解質膜の相分離構造において、メタノール伝導経路と、プロトン伝導経路が共に、好ましい配向構造となることが推定される。
上記多価カチオンで塩置換された高分子電解質膜を、高温スチームに曝露する方法や、水中に浸漬させた状態で加熱する方法は、本発明の効果を著しく向上することができるため好ましい。定かではないが、高分子電解質膜が含水状態であると、該高分子電解質膜を構成している高分子の分子鎖の運動性が向上し、好ましい配向構造をとりやすくなると推察される。この方法を用いた場合、処理時間は0.1〜500時間、好ましくは、3〜400時間、特に好ましくは5〜350時間であり、処理温度は40℃以上200℃以下であり、好ましくは50℃以上200℃以下、さらに好ましくは80℃以上150℃以下、特に好ましくは120℃以上150℃以下である。該処理温度は、高分子電解質がダメージを受けない範囲であれば、高温であるほど、短時間での処理が可能であり、メタノールバリア性をより向上することが可能となる。
さらに、該加熱処理は、上記(ii)に示す方法、すなわち高分子電解質膜を上記多価カチオン溶液に浸漬させる方法において、該浸漬を加熱しながら行うと、イオン交換反応と、改質処理とを、ほぼ同時に達成することができるため特に好ましい。すなわち、高分子電解質膜を、上記の多価カチオン溶液に浸漬し、このように膜を浸漬した多価カチオン溶液を加熱する方法が好ましい。処理時間は0.1〜500時間、好ましくは、0.5〜400時間、特に好ましくは3〜350時間である。処理温度は40℃以上200℃以下であり、好ましくは50℃以上200℃以下、さらに好ましくは80℃以上150℃以下で、特に好ましくは120℃以上150℃以下である。この方法においても、高分子電解質がダメージを受けない範囲であれば、高温であるほど、短時間での処理が可能であり、メタノール透過性をより抑制することが可能となる。
上記のようにして得られた改質後の高分子電解質膜に対し、多価カチオンでイオン交換されているカチオン交換基を、水素イオンが結合したカチオン交換基(遊離酸の基)にイオン交換することにより、プロトン伝導性を向上させることができる。このイオン交換は上記改質後の高分子電解質膜に酸処理を施すことにより実施するのが簡便であるので好ましい。該酸処理は、カチオン交換基にイオン結合している多価カチオンあるいは水素イオン以外の1価カチオンを、水素イオンにイオン交換することができる。
ここで、該酸処理は、処理する高分子電解質膜のカチオン交換基の総数(通常、カチオン交換基の実質的に全てを遊離酸とした高分子電解質(膜)のイオン交換容量にて求められる)に対して、大過剰の当量比(好ましくは、高分子電解質膜のイオン交換容量に対して10当量倍以上)になるように酸水溶液を調製し、改質処理後の高分子電解質膜を該酸水溶液に浸漬させることで達成できる。
当該酸水溶液に用いる酸は、強酸であると好ましく、例えば塩酸、硫酸、硝酸等が例示され、これらの酸の、0.1〜5規定程度の濃度の酸水溶液が上記酸処理に好適に用いることができる。
本発明の製造方法にて得られた高分子電解質膜は直接メタノール型燃料電池のプロトン伝導膜として好適に用いることができる。とりわけ、後述する方法にて求められる、メタノール拡散係数D(cm2/s)とプロトン伝導度σ(S/cm)とが、下記式(1)を満足する高分子電解質膜の製造を可能とする。下記式(1)を満足する高分子電解質膜はDMFCに適用されるプロトン伝導膜として特に好ましいものである。
D/σ≦9.5×10-5 (1)
上記(1)式は、メタノールバリア性とプロトン伝導性とを、いずれも高水準で達成することを示すものであり、本発明の製造方法の中でも、より好ましい多価カチオンであるカルシウム(II)イオンで塩置換した高分子電解質膜を、好ましい改質処理である40〜200℃の温度範囲の加熱処理によって改質することで、容易に上記式(1)を満足する高分子電解質膜を得ることが可能となる。なお、上記D/σは9.0×10-6以下であるとさらに好ましく、8.5×10-6以下であると特に好ましい。
次に本発明の製造方法で得られる高分子電解質膜を用いたDMFCについて説明する。
DMFCに用いられる膜−電極接合体(以下、「MEA」と呼ぶ)は、上記のようにして得られた高分子電解質膜の両面に、触媒及び集電体としての導電性物質を接合することにより製造することができる。
該触媒としては、水素または酸素との酸化還元反応を活性化できるものであれば特に制限はなく、公知のものを用いることができるが、白金の微粒子を用いることが好ましい。 白金の微粒子は活性炭や黒鉛などの粒子状または繊維状のカーボンに担持されて用いることが好ましい。
集電体としての導電性物質に関しても公知の材料を用いることができるが、多孔質性のカーボン不織布またはカーボンペーパーが、原料ガスを触媒へ効率的に輸送するために好ましい。
多孔質性のカーボン不織布またはカーボンペーパーに白金微粒子または白金微粒子を担持したカーボンを接合させる方法、及びそれを高分子電解質膜と接合させる方法については、例えばJ. Electrochem. Soc.: Electrochemical Science and Technology, 1988, 135(9), 2209 に記載されている方法等の公知の方法を、膜に直接白金微粒子または白金微粒子を担持したカーボンを接合させる方法については例えば特開2004−319139に記載されている方法等の公知の方法を用いることができる。
以上のようにして、本発明の製造方法にて得られた高分子電解質膜を有するMEAが得られる。該MEAは、DMFCに用いたとき、発電性能に優れ、MCOに基づく電池の損傷が著しく抑制された直接メタノール型燃料電池を得ることが可能となる。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
[分子量測定]
GPC測定装置 TOSOH社製 HLC−8220
カラム TOSOH社製 TSK−GEL GMHHR−M
カラム温度 40℃
移動相溶媒 DMAc(LiBrを10mmol/dm3になるように添加)
溶媒流量 0.5mL/min
[イオン交換容量測定]
イオン交換容量(以下、「IEC」という)は滴定法により求めた。
[プロトン伝導度(σ)の測定]
新実験化学講座19 高分子化学(II)992p(日本化学会編、丸善)に記載の方法で膜抵抗を測定した。ただし、使用したセルはカーボン製であり、また白金黒付白金電極は使用せず、セルに直接インピーダンス測定装置の端子を接続した。まずセルに高分子電解質膜をセットして抵抗値を測定し、その後高分子電解質膜を除いて再度抵抗値を測定して、両者の差から膜抵抗を算出した。高分子電解質膜の両側に接触させる溶液には、1mol/Lの希硫酸を用いた。希硫酸浸漬時の膜厚と抵抗値からプロトン伝導度を算出した。
[メタノール透過係数Dの測定]
実質的に全てのカチオン交換基を遊離酸の基に変換した高分子電解質膜を、10重量%濃度のメタノール水溶液に2時間浸漬した後、セルAとセルBからなるH字型隔膜セルの中央に、高分子電解質膜を挟持させ、セルAに10重量%濃度のメタノール水溶液を、セルBに純水を入れ、23℃において、初期状態及び該初期状態から一定時間t(sec)放置後での、セルB中のメタノール濃度を分析し、メタノール透過係数D(cm2/sec)を下式により求めた。
D={(V×l)/(A×t)}×ln{(C1−Cm)/(C2−C n)}
ここで、
V :セルB 中の液の容量(cm3)、
l :高分子電解質膜の膜厚(cm)、
A :高分子電解質膜の断面積(cm2)、
t :時間(sec)
C1 :初期状態におけるセルB中のメタノール濃度(mol/cm3)、
C2 :一定時間t放置後におけるセルB中のメタノール濃度(mol/cm3)、
Cm :初期状態におけるセルA中のメタノール濃度(mol/cm3)、
Cn :一定時間t放置後におけるセルA中のメタノール濃度(mol/cm3)、
なお、メタノール透過量は十分に小さいので、Vは初期の純水容量で一定値とし、また、Cm=Cnで初期濃度(10重量%)として求めた。
[D/σの算出]
好適な高分子電解質膜は、プロトン伝導度が高く、メタノール透過係数の小さい膜である。その指標として、上記で求められた値から、D/σの値を特性パラメータとして算出した。この値が小さいほど、DMFC用高分子電解質膜として優れていることを示す。
[燃料電池特性評価]
特開2004−319139号公報に記載の方法に準拠し膜−電極接合体を作成した。ただし電極インクとして、アノードにはカーボンに担持された白金ルテニウム触媒(N.E.CHEMCAT社製、Pt/Ru重量比=60/40、白金担持量33重量%)とAldrich社製5重量%Nafion溶液(溶媒:水と低級アルコールの混合物)にエタノールを加えたインクを、カソードにはカーボンに担持された白金触媒(N.E.CHEMCAT社製、白金担持量50重量%)、とAldrich社製5重量%Nafion溶液(溶媒:水と低級アルコールの混合物)にエタノールを加えたインクを用いて、両極共に白金量が1.0g/cm2となるように膜にインクを直接塗布して触媒層を形成した。拡散層として、アノードにはカーボンペーパーを、カソードにはカーボンクロスを用いた。該接合体を40℃に保ち、アノードには10重量%メタノール水溶液を、カソードには無加湿の空気ガスを流し、その発電特性を測定して最大出力密度を求めた。
製造例1(高分子電解質膜の製造例)
アルゴン雰囲気下、共沸蒸留装置を備えたフラスコに、DMSO600ml、トルエン200mL、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム26.5g(106.3mmol)、末端クロロ型である下記ポリエーテルスルホン
Figure 2007305571
(住友化学製スミカエクセルPES5200P、Mn=54000、Mw=120000)10.0g、2,2’−ビピリジル43.8g(280.2mmol)を入れて攪拌した。その後バス温を150℃まで昇温し、トルエンを加熱留去することで系内の水分を共沸脱水した後、60℃に冷却した。次いで、これにビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)73.4g(266.9mmol)を加え、80℃に昇温し、同温度で5時間攪拌した。放冷後、反応液を大量の6mol/L塩酸水溶液に注ぐことによりポリマーを析出させ濾別した。その後6mol/L塩酸水溶液による洗浄・ろ過操作を数回繰り返した後、濾液が中性になるまで水洗を行い、減圧乾燥することにより目的とする下記のブロック共重合体16.3gを得た。このブロック共重合体の数平均分子量は72000、重量平均分子量は188000であった。なお、下式において「block」の表記はブロック共重合体であることを表すものである。
Figure 2007305571
得られたブロック共重合体を10重量%濃度になるようにDMAcに溶解し、高分子電解質溶液を調整した。その後、得られた高分子電解質溶液をガラス板上に流延塗布し、常圧下、80℃で2時間乾燥させる事により溶媒を除去した後、1mol/L塩酸水溶液に2時間浸漬し、イオン交換水での洗浄を経て、約30μmの高分子電解質膜1を作製した。得られた高分子電解質膜1のIECは2.2meq/gであった。
製造例2
アルゴン雰囲気下、共沸蒸留装置を備えたフラスコに、ジメチルスルホキシド(DMSO)258ml、トルエン129ml、3−(2,5−ジクロロフェノキシ)プロパンスルホン酸ナトリウムモノマー9.00g(29.30mmol)、末端クロロ型である下記ポリエーテルスルホン
Figure 2007305571
(Aldrich社製Polyphenylsulfone)5.94g、2,2’−ビピリジル12.59g(80.58mmol)を入れて攪拌し、その後バス温を150℃まで昇温し、トルエンを加熱留去することで系内の水分を共沸脱水した後、70℃に冷却した。次いで、これにニッケル(0)ビス(シクロオクタジエン)20.16g(73.30mmol)を加え、80℃に昇温し、同温度で3時間攪拌した。放冷後、反応液を大量のメタノールに注ぐことによりポリマーを析出させ濾取した。得られた粗ポリマーを6mol/L塩酸水溶液に分散させてから、濾取した。同様の処理を数回繰り返した後、大量のメタノールに分散させ濾取した。同様の作業を数回繰り返した後、得られたポリマーを乾燥させた。その後、得られた粗ポリマーを5重量%の濃度でDMSOに溶解し、大量の6mol/L塩酸水溶液に注ぐことにより、ポリマーの再沈精製を行った。さらに6mol/L塩酸水溶液による洗浄・濾過操作を数回繰り返した後、濾液が中性になるまで水洗を行ない、減圧乾燥することにより目的とするブロック共重合体を9.68gを得た。このブロック共重合体の数平均分子量は16000、重量平均分子量は70000であった。なお、下式において「block」の表記はブロック共重合体であることを表すものである。
Figure 2007305571

得られたポリアリーレン系ブロック共重合体を10重量%の濃度となるようにN−メチルピロリドン(NMP)に溶解後、ガラス板上に流延塗付し、80℃で常圧乾燥した。次いで、1mol/L塩酸水溶液に2時間浸漬し、その後流水で2時間洗浄することにより高分子電解質膜2を得た。得られた高分子電解質膜2のIECは1.8meq/gであった。
製造例3
アルゴン雰囲気下、蒸留管を付けたフラスコに、9,9−ビス(4−ヒドロキシジフェニル)フルオレン12.33g(35.20mmol)、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン3.84g(17.60mmol)、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム8.00g(17.60mmol)炭酸カリウム5.11g(36.96mmol)、DMSO94ml、トルエン44mlを加えて攪拌した。次いで、バス温を200℃まで昇温し、トルエンを加熱留去することで系内の水分を共沸脱水した。トルエン留去後、同温度で3時間反応させた。放冷後、反応混合物を大量の2mol/L塩酸水溶液中へ滴下し、生成した沈殿物を濾過回収、洗液が中性になるまで水で洗浄濾過を繰返した。次いで大過剰の熱水で1時間処理することを2回繰り返した後、減圧乾燥することにより目的とする下記高分子電解質19.26gを得た。この高分子電解質の数平均分子量は54000、重量平均分子量は119000であった。
Figure 2007305571
得られたポリアリーレン系ブロック共重合体を25重量%の濃度となるようにDMAcに溶解後、ガラス板上に流延塗付し、80℃で常圧乾燥した。次いで、1mol/L塩酸水溶液に2時間浸漬し、その後流水で2時間洗浄することにより高分子電解質膜3を得た。得られた高分子電解質膜3のIECは1.5meq/gであった。なお、上式において「ran」の表記はランダム共重合体であることを表すものである。
製造例4
アルゴン雰囲気下、蒸留管を付けたフラスコに、3,3’−ジフェニル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル19.05g(56.28mmol)、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン12.53g(49.28mmol)、炭酸カリウム8.56g(61.91mmol)、DMSO126ml、トルエン50mlを加えて攪拌した。次いで、バス温を150℃まで昇温し、トルエンを加熱留去することで系内の水分を共沸脱水した。トルエン留去後、同温度で10時間反応させた。これを反応マスAとする。
アルゴン雰囲気下、蒸留管を付けたフラスコに、ヒドロキノンスルホン酸カリウム8.00g(35.05mmol)、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム19.12g(42.06mmol)炭酸カリウム5.09g(36.80mmol)、DMSO108ml、トルエン47mlを加えて攪拌した。次いで、バス温を150℃まで昇温し、トルエンを加熱留去することで系内の水分を共沸脱水した。トルエン留去後、同温度で16時間30分反応させた。これを反応マスBとする。
上記の、反応マスAと反応マスBと、DMSO20mlで希釈しながら混合し、この混合液を150℃で27時間30分反応させた。放冷後、反応混合物を大量の2mol/L塩酸水溶液中へ滴下し、生成した沈殿物を濾過回収、洗液が中性になるまで水で洗浄濾過を繰返した。次いで大過剰の熱水で1時間処理することを2回繰り返した後、減圧乾燥することにより目的とする下記高分子電解質40.96gを得た。この高分子電解質の数平均分子量は22000、重量平均分子量は86000であった。なお、下式において「block」の表記はブロック共重合体であることを表すものである。
Figure 2007305571
得られた高分子電解質を20重量%の濃度となるようにNMPに溶解後、ガラス板上に流延塗付し、80℃で常圧乾燥した。次いで、1mol/L塩酸水溶液に2時間浸漬し、その後流水で2時間洗浄することにより高分子電解質膜4を得た。得られた高分子電解質膜4のIECは1.8meq/gであった。
製造例5
アルゴン雰囲気下、共沸蒸留装置を備えたフラスコに、DMSO399ml、トルエン200ml、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム16.00g(64.24mmol)、末端クロロ型である下記ポリエーテルスルホン
Figure 2007305571

(Aldrich社製Polyphenylsulfone)7.10g、2,2’−ビピリジル27.59g(176.67mmol)を入れて攪拌した。その後バス温を150℃まで昇温し、トルエンを加熱留去することで系内の水分を共沸脱水した後、65℃に冷却した。次いで、これにビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)44.18g(160.61mmol)を加え、80℃に昇温し、同温度で3時間攪拌した。放冷後、反応液を大量のメタノールに注ぐことによりポリマーを析出させ濾取した。得られた粗ポリマーを6mol/L塩酸水溶液に分散させてから、濾取した。同様の処理を数回繰り返した後、大量のメタノールに分散させ濾取した。同様の作業を数回繰り返した後、得られたポリマーを乾燥させた。その後、得られた粗ポリマーをNMPに溶解し、大量の6mol/L塩酸水溶液に注ぐことにより、ポリマーの再沈精製を行った。さらに6mol/L塩酸水溶液による洗浄・濾過操作を数回繰り返した後、洗液が中性になるまで水で洗浄濾過を繰返した。次いで大過剰の熱水で1時間処理することを2回繰り返した後、減圧乾燥することにより目的とするブロック共重合体10.46gを得た。このブロック共重合体の数平均分子量は61000、重量平均分子量は218000であった。なお、下式において「block」の表記はブロック共重合体であることを表すものである。

Figure 2007305571

得られた高分子電解質を12重量%の濃度となるようにNMPに溶解後、ガラス板上に流延塗付し、80℃で常圧乾燥した。次いで、1mol/L塩酸水溶液に2時間浸漬し、その後流水で2時間洗浄することにより高分子電解質膜5を得た。得られた高分子電解質膜5のIECは2.3meq/gであった。
実施例1
製造例1で得られた高分子電解質膜1の400mgを0.2mol/L硫酸マグネシウム水溶液80mL中に浸漬させた状態でオートクレーブにセットし、150℃のオーブンの中に入れ加熱した(マグネシウム(II)イオン量は高分子電解質膜1のイオン交換容量に比して大過剰であることから、塩置換率はほぼ100%である)。33時間後膜を取り出し、1mol/L塩酸水溶液及び1mol/L硫酸水溶液に3時間ずつ浸漬し、流水で3時間洗浄した。得られた電解質膜のプロトン伝導度及びメタノールの透過係数の測定を行った。結果を表1に示す。
実施例2〜3
実施例1の硫酸マグネシウム水溶液を下記の溶液に変更した以外は、実施例1と同様の実験を行った。結果を表1に示す。なお、カルシウム(II)イオン、バリウム(II)イオン共に大過剰を用いているため、塩置換率はほぼ100%である。
実施例2 0.2mol/L塩化カルシウム水溶液
実施例3 0.2mol/L塩化バリウム水溶液
実施例4〜7
実施例1の加熱温度、加熱時間を下記の条件に変更した以外は、実施例1と同様の実験を行った。結果を表1に示す。
実施例4 加熱温度:120℃ 加熱時間:62時間
実施例5 加熱温度:100℃ 加熱時間:33時間
実施例6 加熱温度: 80℃ 加熱時間:33時間
実施例7 加熱温度: 40℃ 加熱時間:302時間
実施例8
製造例1で得られた高分子電解質膜1の400mgを、0.2mol/L塩化カルシウム水溶液80mLに2時間浸漬させた(カルシウム(II)イオン量は高分子電解質膜1のイオン交換容量に対して大過剰であることから、塩置換率はほぼ100%である)。その後、処理後の高分子電解質膜を流水で3時間洗浄し、過剰な塩化カルシウムを除去した後に、純水80mLに浸漬させた状態でオートクレーブにセットし、150℃のオーブンに入れ加熱した。15時間後膜を取り出し、1mol/Lの塩酸及び1mol/Lの硫酸に3時間ずつ浸漬し、流水で3時間洗浄した。得られた電解質膜のプロトン伝導度及びメタノールの透過係数の測定を行った。結果を表1に示す。
実施例9
製造例1で得られた高分子電解質膜1の3.3gを、322mgの塩化カルシウムを溶かした水溶液200mLに2時間浸漬させた(カルシウム(II)イオン量は高分子電解質膜1のイオン交換容量に対して0.8当量)。その後、処理後の高分子電解質膜を流水で3時間洗浄し、過剰な塩化カルシウムを除去した後に、純水80mLに浸漬させた状態でオートクレーブにセットし、150℃のオーブンに入れ加熱した。8時間後膜を取り出し、1mol/L塩酸水溶液及び1mol/L硫酸水溶液に3時間ずつ浸漬し、流水で3時間洗浄した。得られた電解質膜のプロトン伝導度及びメタノールの透過係数の測定を行った。結果を表1に示す。
実施例10
製造例1で得られた高分子電解質膜1の2.8gを、171mgの塩化カルシウムを溶かした水溶液200mLに2時間浸漬させた(カルシウム(II)イオン量は高分子電解質膜1のイオン交換容量に対して0.5当量)。その後、処理後の高分子電解質膜を流水で3時間洗浄し、過剰な塩化カルシウムを除去した後に、純水80mLに浸漬させた状態でオートクレーブにセットし、150℃のオーブンに入れ加熱した。8時間後膜を取り出し、1mol/L塩酸水溶液及び1mol/L硫酸水溶液に3時間ずつ浸漬し、流水で3時間洗浄した。得られた電解質膜のプロトン伝導度及びメタノールの透過係数の測定を行った。結果を表1に示す。
実施例11
実施例8の塩化カルシウム水溶液を硫酸アルミニウム水溶液に変更し、また加熱時間を15時間から6時間に代えた以外は、実施例8と同様に実施することで高分子電解質膜を得た(アルミニウム(III)イオン量は高分子電解質膜1のイオン交換容量に比して大過剰であることから、塩置換率はほぼ100%である)。得られた電解質膜のプロトン伝導度及びメタノールの透過係数の測定を行った。結果を表1に示す。
比較例1
製造例1で得られた高分子電解質膜1を、そのままプロトン伝導度及びメタノールの透過係数の測定に供した。結果を表1に示す。
比較例2
実施例1の硫酸マグネシウム水溶液を、超純水とした以外は実施例1と同様に実施したが、膜が薄くかつ脆くなってしまい、プロトン伝導度及びメタノールの透過係数の測定を行うことができなかった。
比較例3
製造例1で得られた高分子電解質膜1の400mgを0.2mol/Lの塩化カルシウム水溶液80mLに2時間浸漬させた(カルシウム(II)イオン量は高分子電解質膜1のイオン交換容量に比して大過剰であることから、塩置換率はほぼ100%である)。処理後の高分子電解質膜を流水で3時間洗浄し過剰な塩化カルシウムを除去し、室温で6時間水に浸漬させた。その後1mol/L塩酸水溶液及び1mol/L硫酸水溶液に3時間ずつ浸漬し、流水で3時間洗浄した。得られた電解質膜のプロトン伝導度及びメタノールの透過係数の測定を行った。結果を表1に示す。
実施例12
製造例1で得られた高分子電解質膜1の400mgを0.2mol/L塩化カルシウム水溶液80mLに2時間浸漬させた(カルシウム(II)イオン量は高分子電解質膜1のイオン交換容量に比して大過剰であることから、塩置換率はほぼ100%である)。その後、処理後の高分子電解質膜を流水で3時間洗浄し過剰な塩化カルシウムを除去した後に、ガラス基盤に貼り付け200℃のオーブンで2時間加熱した。その後1mol/L塩酸水溶液及び1mol/L硫酸水溶液に3時間ずつ浸漬し、流水で3時間洗浄した。得られた電解質膜のプロトン伝導度及びメタノールの透過係数の測定を行った。結果を表1に示す。
Figure 2007305571
*1 比較例1のD/σを100%としたとき、他の実施例、比較例のD/σの値を対比して得られた値を「比較例1比」とする。
表1に示す結果から、本発明の製造方法にて得られた高分子電解質膜は、比較例1との対比において、いずれもD/σ値が低下しており、プロトン伝導度及びメタノールの透過係数が、DMFCとして好適な高分子電解質膜が得られていることが判明した。
実施例13
製造例2で得られた高分子電解質膜2の400mgを、0.2mol/L硫酸マグネシウム水溶液80mL中に浸漬させた状態でオートクレーブにセットし、150℃のオーブンの中に入れた(マグネシウム(II)イオン量は高分子電解質膜2のイオン交換容量に比して大過剰であることから、塩置換率はほぼ100%である)。48時間後膜を取り出し、1mol/L塩酸水溶液及び1mol/L硫酸水溶液に3時間ずつ浸漬し、流水で3時間洗浄した。得られた電解質膜のプロトン伝導度及びメタノール透過係数の測定を行った。結果を表2に示す。
実施例14〜15
実施例13の硫酸マグネシウム水溶液を下記に示した溶液にした以外は、実施例13と同様の実験を行った。結果を表2に示す。なお、カルシウム(II)イオン、バリウム(II)イオン共に大過剰を用いているため、塩置換率はほぼ100%である。
実施例14 0.2mol/L塩化カルシウム水溶液
実施例15 0.2mol/L塩化バリウム水溶液
実施例16
実施例13の加熱時間を、48時間から4.5時間に代えた以外は実施例13と同様の実験を行った。結果を表2に示す。
比較例4
製造例2で得られた高分子電解質膜2を、そのままプロトン伝導度及びメタノールの透過係数の測定に供した。結果を表2に示す。
比較例5
実施例13の硫酸マグネシウム水溶液を超純水とした以外は、実施例13と同様に実施したが、膜が薄くかつ脆くなってしまい、プロトン伝導度及びメタノールの透過係数の測定を行うことができなかった。
比較例6
実施例13の硫酸マグネシウム水溶液を0.4mol/L塩化カリウム水溶液とした以外は、実施例10と同様の実験を行った。なお、カリウム(I)イオンは大過剰を用いているため、塩置換率は、ほぼ100%である。結果を表2に示す。
Figure 2007305571
*2 比較例4のD/σを100%としたとき、他の実施例、比較例のD/σの値を対比して得られた値を「比較例4比」とする。
表2に示す結果から、本発明の製造方法にて得られた高分子電解質膜は、比較例4との対比において、いずれもD/σ値が低下しており、プロトン伝導度及びメタノールの透過係数が、DMFCとして好適な高分子電解質膜が得られている。さらに、比較例6で、一価カチオンであるカリウムイオンで高分子電解質のスルホン酸基(カチオン交換基)をイオン交換したとしても、好適な結果を得ることができないことが判明した。
実施例17
製造例3で得られた高分子電解質膜3の400mgを、0.2mol/L塩化カルシウム水溶液80mL中に浸漬させた状態でオートクレーブにセットし、150℃のオーブンの中にいれた(カルシウム(II)イオン量は高分子電解質膜3のイオン交換容量に比して大過剰であることから、塩置換率はほぼ100%である)。7時間後膜を取り出し、1モル1mol/L塩酸水溶液及び1mol/L硫酸水溶液に3時間ずつ浸漬し、流水で3時間洗浄した。得られた電解質膜のプロトン伝導度及びメタノール透過係数の測定を行った。結果を表4に示す。
比較例7
製造例3で得られた高分子電解質膜3を、そのままプロトン伝導度及びメタノール透過係数の測定に供した。結果を表4に示す。
Figure 2007305571
*3 比較例7のD/σを100%としたとき、実施例17のD/σの値を対比して得られた値を「比較例7比」とする。
表4に示す結果から、本発明の製造方法にて得られた高分子電解質膜は、比較例7との対比において、D/σ値の低下が認められ、プロトン伝導度及びメタノールの透過係数が、DMFCとして好適な高分子電解質膜が得られていることが明らかとなった。
実施例18
製造例4で得られた高分子電解質膜4の400mgを、0.2mol/Lの塩化バリウム水溶液80mL中に浸漬させた状態でオートクレーブにセットし、120℃のオーブンの中にいれた。24時間後膜を取り出し、1mol/L塩酸水溶液及び1mol/L硫酸水溶液に3時間ずつ浸漬し、流水で3時間洗浄した。得られた電解質膜のプロトン伝導度及びメタノール透過係数の測定を行った。結果を表4に示す。
比較例8
製造例4で得られた高分子電解質膜4を、そのままプロトン伝導度及びメタノール透過係数の測定に供した。
Figure 2007305571
*4 比較例8のD/σを100%としたとき、実施例18のD/σの値を対比して得られた値を「比較例8比」とする。
表4に示す結果から、本発明の製造方法にて得られた高分子電解質膜は、比較例8との対比において、D/σ値の低下が認められ、プロトン伝導度及びメタノールの透過係数が、DMFCとして好適な高分子電解質膜が得られていることが明らかとなった。
実施例19
製造例5で得られた高分子電解質膜5の400mgを、0.2mol/Lの塩化カルシウム水溶液80mLに2時間浸漬させた(カルシウム(II)イオン量は高分子電解質膜1のイオン交換容量に比して大過剰であることから、塩置換率はほぼ100%である)。その後、処理後の高分子電解質膜を流水で3時間洗浄し、過剰な塩化カルシウムを除去した後に、純水80mLに浸漬させた状態でオートクレーブにセットし、150℃のオーブンに入れ加熱した。8時間後膜を取り出し、1mol/L塩酸水溶液及び1mol/L硫酸水溶液に3時間ずつ浸漬し、流水で3時間洗浄した。得られた電解質膜のプロトン伝導度及びメタノールの透過係数の測定を行った。結果を表5に示す
比較例9
製造例5で得られた高分子電解質膜5を、そのままプロトン伝導度及びメタノール透過係数の測定に供した。
上記実施例19、比較例9のプロトン伝導度(σ)、メタノールの透過係数(D)の結果、算出されたD/σの値とともに、本発明の製造方法を行っていない比較例9との対比(比較例9のD/σを100%とした場合、他の実施例、比較例の割合)を示した。
Figure 2007305571
*5 比較例9のD/σを100%としたとき、実施例19のD/σの値を対比して得られた値を「比較例8比」とする。
実施例20
実施例19で得られた電解質膜を用いて膜−電極接合体を作成し、燃料電池特性評価を行なった。結果を表6に示す。
比較例10
比較例9の電解質膜を用いて膜−電極接合体を作成し、燃料電池特性評価を行った。結果を表6に示す。
Figure 2007305571
以上の結果より、本発明の製造方法によって得られた高分子電解質膜は、メタノール透過係数とプロトン伝導度とが、直接メタノール型燃料電池(DMFC)用のプロトン伝導膜として極めて優れていることが判明した。

Claims (13)

  1. 多価カチオンで塩置換された高分子電解質膜を、加熱処理、活性エネルギー線照射処理及び放電処理から選ばれる改質処理により改質する工程を有する、高分子電解質膜の製造方法。
  2. 多価カチオンで塩置換された高分子電解質膜を、加熱処理、活性エネルギー線照射処理及び放電処理から選ばれる改質処理により改質する工程と、改質後の高分子電解質膜を酸で処理する工程とを有する、高分子電解質膜の製造方法。
  3. 上記改質処理が加熱処理である、請求項1または2に記載の高分子電解質膜の製造方法。
  4. 上記改質処理が40℃〜200℃の温度範囲で加熱する処理である、請求項1または2に記載の高分子電解質膜の製造方法。
  5. 上記多価カチオンで塩置換された高分子電解質膜の塩置換率が50%以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の高分子電解質膜の製造方法。
  6. 上記多価カチオンがアルカリ土類金属イオンである、請求項1〜5のいずれかに記載の高分子電解質膜の製造方法。
  7. 上記多価カチオンがカルシウム(II)イオンを含む、請求項1〜6のいずれかに記載の高分子電解質膜の製造方法。
  8. 上記高分子電解質膜を構成する高分子電解質が芳香族系高分子電解質である、請求項1〜7のいずれかに記載の高分子電解質膜の製造方法。
  9. 上記高分子電解質膜を構成する高分子電解質が、カチオン交換基を有するブロックと、イオン交換基を実質的に有さないブロックとからなるブロック共重合体である、請求項1〜8のいずれかに記載の高分子電解質膜の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法によって得られる高分子電解質膜。
  11. メタノール拡散係数D(cm2/s)とプロトン伝導度σ(S/cm)とが下記式(1)を満足する、請求項10記載の高分子電解質膜。
    D/σ≦9.5×10-6 (1)
  12. 請求項10または11に記載の高分子電解質膜の両面に触媒層を形成して得られる、膜―電極接合体。
  13. 請求項12記載の膜−電極接合体を有する直接メタノール型燃料電池。
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