JP2007305571A - 高分子電解質膜の製造方法、高分子電解質膜及び直接メタノール型燃料電池 - Google Patents
高分子電解質膜の製造方法、高分子電解質膜及び直接メタノール型燃料電池 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】[1]多価カチオンで塩置換された高分子電解質膜を、加熱処理、活性エネルギー線照射処理及び放電処理から選ばれる改質処理により改質する工程を有する、高分子電解質膜の製造方法。
[2]上記[1]に示す改質処理を経た後、酸処理を施す製造方法。
[3]上記[1]の改質処理が、40℃〜200℃の温度範囲で加熱する処理である製造方法。
[4]上記[1]〜[3]の製造方法で得られる高分子電解質膜。
[5]上記[4]の高分子電解質膜を用いてなる、燃料電池。
【選択図】なし
Description
メタノールバリア性を向上させる方法としては、高分子電解質膜を架橋させてなる架橋膜の適用が広範に検討されており、例えば、特許文献1には、分子内にシアノ基を有する高分子電解質を200℃以上の温度で熱処理(熱架橋)せしめたプロトン(イオン)伝導膜が開示されている。
本発明は、このような耐久性低下を及ぼす高分子電解質膜の架橋手段を用いなくとも、高水準のメタノールバリア性とプロトン伝導性とを達成しうる高分子電解質膜の製造方法、当該製造方法にて得られる高分子電解質膜を提供する。
すなわち、本発明は、下記[1]に示す高分子電解質膜の製造方法を提供する。
[1]多価カチオンで塩置換された高分子電解質膜を、加熱処理、活性エネルギー線照射処理及び放電処理から選ばれる改質処理により改質する工程を有する、高分子電解質膜の製造方法
ここで「塩置換」とは、高分子電解質膜を構成する高分子電解質のカチオン交換基にイオン結合する水素イオンの一部または全部が、水素イオン以外のカチオンでイオン交換されていることを示す。つまり、多価カチオンにて塩置換するとは、該多価カチオンのイオン価をn価(nは2以上5以下の整数を示す)としたとき、カチオン交換基n個にて、1つの多価カチオンとイオン結合し、塩の形態の基になることを意味する。
[2]多価カチオンで塩置換された高分子電解質膜を、加熱処理、活性エネルギー線照射処理及び放電処理から選ばれる改質処理により改質する工程と、改質後の高分子電解質膜を酸で処理する工程とを有する、高分子電解質膜の製造方法
[3]上記改質処理が加熱処理である、上記[1]または[2]の高分子電解質膜の製造方法
[4]上記改質処理が40℃〜200℃の温度範囲で加熱する処理である、上記[1]または[2]に記載の高分子電解質膜の製造方法
[5]上記多価カチオンで塩置換された高分子電解質膜の塩置換率が50%以上である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の高分子電解質膜の製造方法
[6]上記多価カチオンがアルカリ土類金属イオンである上記[1]〜[5]のいずれかに記載の高分子電解質膜の製造方法
[7]上記多価カチオンがカルシウム(II)イオンを含む、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の高分子電解質膜の製造方法
ここで、「塩置換率」とは、高分子電解質膜を構成する高分子電解質のカチオン交換基の中で、水素イオン以外のカチオンでイオン交換されている基の、カチオン交換基の総数に対する割合を示すものであり、本発明では多価カチオンで塩置換されているカチオン交換基数の、総カチオン交換基数に対する割合である。
[8]上記高分子電解質膜を構成する高分子電解質が芳香族系高分子電解質である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の高分子電解質膜の製造方法。
[9]上記高分子電解質膜を構成する高分子電解質が、カチオン交換基を有するブロックと、イオン交換基を実質的に有さないブロックとからなるブロック共重合体である、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の高分子電解質膜の製造方法。
[10]上記[1]〜[9]のいずれかに記載の製造方法によって得られる高分子電解質膜。
さらに、上記[10]の中でも、直接メタノール型燃料電池として、特に好適である[11]を提供する。
[11]メタノール拡散係数D(cm2/s)とプロトン伝導度σ(S/cm)とが、下記式(1)を満足することを特徴とする上記[10]記載の高分子電解質膜。
D/σ≦9.5×10-6 (1)
[12]上記[10]または[11]に記載の高分子電解質膜の両面に触媒層を形成して得られる、膜―電極接合体。
[13]上記[12]記載の膜‐電極接合体を有する直接メタノール型燃料電池。
(A)主鎖が脂肪族炭化水素からなる炭化水素系高分子にカチオン交換基を導入した高分子電解質;
(B)主鎖に芳香環を有する高分子にカチオン交換基を導入した炭化水素系高分子電解質;
(C)主鎖が、脂肪族炭化水素とシロキサン基、フォスファゼン基などの無機の単位構造からなる重合体に、カチオン交換基を導入した高分子電解質;
(D)上記(A)〜(C)のカチオン交換基導入前の高分子を構成する繰り返し単位から選ばれるいずれか2種以上の繰り返し単位からなる共重合体に、カチオン交換基を導入した高分子電解質;
等が挙げられ、これらはいずれも用いることができる。
これらの芳香族系高分子電解質のカチオン交換基は、高分子の主鎖を構成している芳香族環に直接置換していても、主鎖を構成している芳香族環に連結基を介して結合していても、または、それらの組み合わせであってもよい。
また、該2価の芳香族基は、カチオン交換基以外に置換基を有していてもよく、該置換基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、ハロゲノ基、ニトロ基等が挙げられる。
該数平均分子量が、1000以上であると、膜強度がより向上する傾向にあり、1000000以下であると、該高分子電解質を溶媒に対する溶解性が良好となり、該高分子電解質を溶媒に溶解して得られる溶液の溶液粘度が低下することから、溶液キャスト法による製膜が容易になるため、上記の分子量範囲が好ましい。
まず、高分子電解質を適当な溶媒に溶解し、得られた高分子電解質溶液を、支持基材上に流延塗布し、溶媒を除去することにより、該支持材上に高分子電解質膜を製造し、次いで支持基材から、高分子電解質膜を剥離する。
この溶液キャスト法は、操作も簡便であるため、本発明に供する高分子電解質膜を得る方法として特に好ましい。
これらは単独で用いることもできるが、必要に応じて2種以上の溶媒を混合して用いることもできる。中でも、DMF、DMAc、NMP、DMSOが高分子電解質の溶解性が高く好ましい。
まず、上記に例示した高分子電解質膜中のカチオン交換基にイオン結合している1価カチオンの、一部または全部を多価カチオンで置換する。置換する方法としては、イオン交換反応を用いることができる。
ここで、該イオン交換反応を用いた高分子電解質膜の製造方法としては、
(i)高分子電解質を、そのカチオン交換基にイオン結合している1価カチオンの一部または全部を、多価カチオンにイオン交換しておき、このようにしてイオン交換された高分子電解質を製膜する方法。
(ii)実質的に全てのカチオン交換基が1価カチオンとイオン結合している高分子電解質膜を、溶液キャスト法にて製膜してから、得られた高分子電解質膜のカチオン交換基にイオン結合している1価カチオンの一部または全部を、多価カチオンにイオン交換する方法。
が挙げられ、(i)、(ii)のいずれか、またはその組み合わせの方法を用いることができる。
本方法は、高分子電解質におけるカチオン交換基に対して、多価カチオンの水酸化物、塩化物等(以下、「多価カチオン塩置換剤」と総称する)を用いて、該カチオン交換基にイオン結合している1価カチオンを、多価カチオンにイオン交換させる方法である。
具体的には、予め高分子電解質を水、有機溶媒あるいは水/有機溶媒混合液に、溶解または分散させ、それに多価カチオン塩置換剤を加えて、高分子電解質にあるカチオン交換基の一部または全部を、多価カチオンにイオン交換(塩置換)する方法である。ここで、接触させる多価カチオン塩置換剤における多価カチオンのモル当量と、高分子電解質のイオン交換容量(高分子電解質のカチオン交換基の実質的に全てを、一旦遊離酸の基とした後、滴定法にて求められる)とから、該高分子電解質中のカチオン交換基総量に対する、多価カチオンでイオン交換されたカチオン交換基の総数から塩置換率を算出することができる。また、該カチオン交換基のほぼ全てを、多価カチオンでイオン交換する場合は、上記イオン交換容量に対して、多価カチオン塩置換剤を大過剰用いればよい。また、適用した高分子電解質にあるカチオン基のイオン交換能が低い場合(例えば、カチオン交換基がホスホン酸基である場合)、多価カチオンの塩化物等の塩を多価カチオン塩置換剤に用いると、該多価カチオン塩置換剤の使用当量数に対して、所望の塩置換率の高分子電解質が得にくいことがある。この場合は、所望の塩置換率が得られる程度の多価カチオン塩置換剤使用量から徐々に使用量を上げていって得られる高分子電解質の塩置換率を求め、所望の塩置換率が得られる多価カチオン塩置換剤当量数を求める予備実験を行えばよい。なお、高分子電解質のカチオン交換基が好適なスルホン酸基である場合、かかる高分子電解質は一般に高いイオン交換能を有するので、使用した多価カチオン塩置換剤の当量数から容易に、所望の塩置換率を有する高分子電解質が得られるという利点もある。
なお、(i)における溶媒としては水、有機溶媒あるいは水/有機溶媒混合液を用いることができるが、後述の理由により水を含む溶媒が好ましい。また、イオン交換に係る処理時間は、通常10分〜500時間であり、好ましくは0.5〜400時間、より好ましくは1〜350時間であり、処理温度は通常、室温程度で十分である。
ここで、上記1価カチオンが水素イオンである場合、例えば、特開2005−171025号公報に記載の方法に準拠して、上記(i)を行うこともできる。
なお、高分子電解質を製造する過程において、そのカチオン交換基の一部または全部が、多価カチオンで塩置換された高分子電解質が得られるときは、その高分子電解質をそのまま、溶液キャスト法等により製膜してもよい。
ここで、上記高分子電解質におけるカチオン交換基の、ほとんどが多価カチオンにてイオン交換されている場合は、通常溶媒への溶解度が低下する場合もあるため、その際は、押し出し成形等、溶液キャスト法以外の製膜法を用いればよい。
まず、多価カチオン塩置換剤を水及び/または有機溶剤に、溶解または分散させた溶液(以下、「多価カチオン溶液」と呼ぶ)を準備し、予め溶液キャスト法にて製膜しておいた高分子電解質膜(ほぼ全てのカチオン交換基が1価カチオンとイオン結合している)を、該多価カチオン溶液に10分〜500時間、好ましくは0.5〜400時間、より好ましくは1〜350時間、接触させる。接触温度は、通常室温程度で十分である。
上記多価カチオン溶液と、高分子電解質膜とを接触させる方法としては、該電解質膜を、多価カチオン溶液に浸漬させる方法や、該電解質膜に多価カチオン溶液をスプレー噴霧する方法等が挙げられる。このように、多価カチオン溶液と、高分子電解質膜との接触方法は限定されるものではないが、処理時間や処理温度を安定的にコントロールしやすく、イオン交換に係る反応再現性が高くなるといった観点から、浸漬法が好ましい。
さらに、該浸漬法においては、浸漬された高分子電解質膜の形態を損なわない範囲で、多価カチオン溶液を攪拌してもよい。
また、接触させる多価カチオン溶液中の多価カチオンのモル当量と、高分子電解質膜のイオン交換容量(高分子電解質膜のカチオン交換基の実質的に全てを、一旦遊離酸の基とした後、滴定法にて求められる)とから、該高分子電解質膜のカチオン交換基総量に対してイオン交換された多価カチオン量(塩置換率)は推算することができ、該カチオン交換基のほぼ全てをイオン交換する場合は、上記イオン交換容量に対して、多価カチオンのモル当量を大過剰用いればよい。
これらの多価カチオン種は単独で用いても複数種を用いることもできる。
上記多価カチオン塩置換剤を具体的に例示すると、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化アルミニウム、塩化スズ、塩化亜鉛、臭化マグネシウム、臭化カルシウム、臭化バリウム、臭化スズ、臭化亜鉛、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸亜鉛等が例示される。
また、分子内に4級アンモニウム基を2つ以上有する化合物でもよく、ビス(トリメチルアンモニオ)エチレン、ビス(トリメチルアンモニオ)プロピレン、ビス(トリメチルアンモニオ)ベンゼン、ビス(トリエチルアンモニオ)ベンゼン、トリス(トリメチルアンモニオ)ベンゼン、トリス(トリエチルアンモニオ)ベンゼン等の複数の4級アンモニウム基を有する多価イオンの水酸化物、塩化物等を使用することができる。
上記に例示した多価カチオンの中でも、アルカリ土類金属イオン、非遷移金属イオンまたは遷移金属イオンが好ましく、アルカリ土類金属イオンが、より好ましく、中でもメタノールバリア性がより良好となる多価カチオンとしては、カルシウム(II)イオンが特に好ましい。
また、多価カチオンに塩置換する前のカチオン交換基に結合する1価カチオンとしては、水素イオンまたはアルカリ金属イオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等)が挙げられ、本発明では通常水素イオンが好ましく、すなわちカチオン交換基が遊離酸の基である高分子電解質のカチオン交換基をイオン交換させるのが好ましい。
ここで、「塩置換率」の定義は上記のとおりである。
上記のように、加熱処理、活性エネルギー線照射処理または放電処理のいずれか、またはその組み合わせによって、多価カチオンで塩置換された高分子電解質膜を改質処理することで、メタノールバリア性と、プロトン伝導性が高水準で両立する高分子電解質膜が得られることを本発明者らは見出した。そのメカニズムについては、明らかではないが、該改質処理のように、物理エネルギーを該高分子電解質膜に与えることにより、高分子電解質膜のミクロまたはマクロのモルフォロジーが、メタノール透過性を抑制するとともに、高いプロトン伝導経路が得られる相分離構造の膜が得られると推定される。すなわち、これまでに開示されている直接メタノール型燃料電池用プロトン伝導膜のように、高分子電解質を何らかの方法にて架橋せしめ、膜を緻密化していることでメタノールの透過性を抑制する方法では、プロトン伝導経路自体も抑制してしまうのに対して、本発明の製造方法にて得られる高分子電解質膜は、メタノール透過を抑制しながらも、プロトン伝導経路を有する、好ましい配向状態を形成した高分子電解質膜になりうると推定される。
また、放電処理としては低温プラズマ処理が好ましく、この理由も膜が過熱される傾向が低いためである。
該加熱処理としては、上記のようにして得られた多価カチオンで塩置換された高分子電解質膜を、オーブン、ファーネスまたはIHホットプレートで直接加熱する方法や、高温スチーム中に曝露する方法、水、有機溶媒あるいはその混合溶媒に、高分子電解質膜を浸漬し、必要に応じて緩やかに溶媒を攪拌しながら加熱する方法等を挙げることができる。
該加熱処理における雰囲気は、上記の活性エネルギー線照射処理、放電処理にて例示したものと同様なものを例示できるが、通常不活性ガス下で行うことが好ましい。また、圧力に関しても、常圧程度でもよいし、減圧、加圧いずれも使用することができる。処理時間は0.1〜500時間、好ましくは0.5〜400時間、より好ましくは1〜350時間である。これらの加熱処理についても、上述したように、高分子電解質膜の相分離構造において、メタノール伝導経路と、プロトン伝導経路が共に、好ましい配向構造となることが推定される。
ここで、該酸処理は、処理する高分子電解質膜のカチオン交換基の総数(通常、カチオン交換基の実質的に全てを遊離酸とした高分子電解質(膜)のイオン交換容量にて求められる)に対して、大過剰の当量比(好ましくは、高分子電解質膜のイオン交換容量に対して10当量倍以上)になるように酸水溶液を調製し、改質処理後の高分子電解質膜を該酸水溶液に浸漬させることで達成できる。
当該酸水溶液に用いる酸は、強酸であると好ましく、例えば塩酸、硫酸、硝酸等が例示され、これらの酸の、0.1〜5規定程度の濃度の酸水溶液が上記酸処理に好適に用いることができる。
D/σ≦9.5×10-5 (1)
上記(1)式は、メタノールバリア性とプロトン伝導性とを、いずれも高水準で達成することを示すものであり、本発明の製造方法の中でも、より好ましい多価カチオンであるカルシウム(II)イオンで塩置換した高分子電解質膜を、好ましい改質処理である40〜200℃の温度範囲の加熱処理によって改質することで、容易に上記式(1)を満足する高分子電解質膜を得ることが可能となる。なお、上記D/σは9.0×10-6以下であるとさらに好ましく、8.5×10-6以下であると特に好ましい。
DMFCに用いられる膜−電極接合体(以下、「MEA」と呼ぶ)は、上記のようにして得られた高分子電解質膜の両面に、触媒及び集電体としての導電性物質を接合することにより製造することができる。
該触媒としては、水素または酸素との酸化還元反応を活性化できるものであれば特に制限はなく、公知のものを用いることができるが、白金の微粒子を用いることが好ましい。 白金の微粒子は活性炭や黒鉛などの粒子状または繊維状のカーボンに担持されて用いることが好ましい。
集電体としての導電性物質に関しても公知の材料を用いることができるが、多孔質性のカーボン不織布またはカーボンペーパーが、原料ガスを触媒へ効率的に輸送するために好ましい。
以上のようにして、本発明の製造方法にて得られた高分子電解質膜を有するMEAが得られる。該MEAは、DMFCに用いたとき、発電性能に優れ、MCOに基づく電池の損傷が著しく抑制された直接メタノール型燃料電池を得ることが可能となる。
GPC測定装置 TOSOH社製 HLC−8220
カラム TOSOH社製 TSK−GEL GMHHR−M
カラム温度 40℃
移動相溶媒 DMAc(LiBrを10mmol/dm3になるように添加)
溶媒流量 0.5mL/min
イオン交換容量(以下、「IEC」という)は滴定法により求めた。
新実験化学講座19 高分子化学(II)992p(日本化学会編、丸善)に記載の方法で膜抵抗を測定した。ただし、使用したセルはカーボン製であり、また白金黒付白金電極は使用せず、セルに直接インピーダンス測定装置の端子を接続した。まずセルに高分子電解質膜をセットして抵抗値を測定し、その後高分子電解質膜を除いて再度抵抗値を測定して、両者の差から膜抵抗を算出した。高分子電解質膜の両側に接触させる溶液には、1mol/Lの希硫酸を用いた。希硫酸浸漬時の膜厚と抵抗値からプロトン伝導度を算出した。
実質的に全てのカチオン交換基を遊離酸の基に変換した高分子電解質膜を、10重量%濃度のメタノール水溶液に2時間浸漬した後、セルAとセルBからなるH字型隔膜セルの中央に、高分子電解質膜を挟持させ、セルAに10重量%濃度のメタノール水溶液を、セルBに純水を入れ、23℃において、初期状態及び該初期状態から一定時間t(sec)放置後での、セルB中のメタノール濃度を分析し、メタノール透過係数D(cm2/sec)を下式により求めた。
D={(V×l)/(A×t)}×ln{(C1−Cm)/(C2−C n)}
ここで、
V :セルB 中の液の容量(cm3)、
l :高分子電解質膜の膜厚(cm)、
A :高分子電解質膜の断面積(cm2)、
t :時間(sec)
C1 :初期状態におけるセルB中のメタノール濃度(mol/cm3)、
C2 :一定時間t放置後におけるセルB中のメタノール濃度(mol/cm3)、
Cm :初期状態におけるセルA中のメタノール濃度(mol/cm3)、
Cn :一定時間t放置後におけるセルA中のメタノール濃度(mol/cm3)、
なお、メタノール透過量は十分に小さいので、Vは初期の純水容量で一定値とし、また、Cm=Cnで初期濃度(10重量%)として求めた。
好適な高分子電解質膜は、プロトン伝導度が高く、メタノール透過係数の小さい膜である。その指標として、上記で求められた値から、D/σの値を特性パラメータとして算出した。この値が小さいほど、DMFC用高分子電解質膜として優れていることを示す。
特開2004−319139号公報に記載の方法に準拠し膜−電極接合体を作成した。ただし電極インクとして、アノードにはカーボンに担持された白金ルテニウム触媒(N.E.CHEMCAT社製、Pt/Ru重量比=60/40、白金担持量33重量%)とAldrich社製5重量%Nafion溶液(溶媒:水と低級アルコールの混合物)にエタノールを加えたインクを、カソードにはカーボンに担持された白金触媒(N.E.CHEMCAT社製、白金担持量50重量%)、とAldrich社製5重量%Nafion溶液(溶媒:水と低級アルコールの混合物)にエタノールを加えたインクを用いて、両極共に白金量が1.0g/cm2となるように膜にインクを直接塗布して触媒層を形成した。拡散層として、アノードにはカーボンペーパーを、カソードにはカーボンクロスを用いた。該接合体を40℃に保ち、アノードには10重量%メタノール水溶液を、カソードには無加湿の空気ガスを流し、その発電特性を測定して最大出力密度を求めた。
アルゴン雰囲気下、共沸蒸留装置を備えたフラスコに、DMSO600ml、トルエン200mL、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム26.5g(106.3mmol)、末端クロロ型である下記ポリエーテルスルホン
(住友化学製スミカエクセルPES5200P、Mn=54000、Mw=120000)10.0g、2,2’−ビピリジル43.8g(280.2mmol)を入れて攪拌した。その後バス温を150℃まで昇温し、トルエンを加熱留去することで系内の水分を共沸脱水した後、60℃に冷却した。次いで、これにビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)73.4g(266.9mmol)を加え、80℃に昇温し、同温度で5時間攪拌した。放冷後、反応液を大量の6mol/L塩酸水溶液に注ぐことによりポリマーを析出させ濾別した。その後6mol/L塩酸水溶液による洗浄・ろ過操作を数回繰り返した後、濾液が中性になるまで水洗を行い、減圧乾燥することにより目的とする下記のブロック共重合体16.3gを得た。このブロック共重合体の数平均分子量は72000、重量平均分子量は188000であった。なお、下式において「block」の表記はブロック共重合体であることを表すものである。
得られたブロック共重合体を10重量%濃度になるようにDMAcに溶解し、高分子電解質溶液を調整した。その後、得られた高分子電解質溶液をガラス板上に流延塗布し、常圧下、80℃で2時間乾燥させる事により溶媒を除去した後、1mol/L塩酸水溶液に2時間浸漬し、イオン交換水での洗浄を経て、約30μmの高分子電解質膜1を作製した。得られた高分子電解質膜1のIECは2.2meq/gであった。
アルゴン雰囲気下、共沸蒸留装置を備えたフラスコに、ジメチルスルホキシド(DMSO)258ml、トルエン129ml、3−(2,5−ジクロロフェノキシ)プロパンスルホン酸ナトリウムモノマー9.00g(29.30mmol)、末端クロロ型である下記ポリエーテルスルホン
(Aldrich社製Polyphenylsulfone)5.94g、2,2’−ビピリジル12.59g(80.58mmol)を入れて攪拌し、その後バス温を150℃まで昇温し、トルエンを加熱留去することで系内の水分を共沸脱水した後、70℃に冷却した。次いで、これにニッケル(0)ビス(シクロオクタジエン)20.16g(73.30mmol)を加え、80℃に昇温し、同温度で3時間攪拌した。放冷後、反応液を大量のメタノールに注ぐことによりポリマーを析出させ濾取した。得られた粗ポリマーを6mol/L塩酸水溶液に分散させてから、濾取した。同様の処理を数回繰り返した後、大量のメタノールに分散させ濾取した。同様の作業を数回繰り返した後、得られたポリマーを乾燥させた。その後、得られた粗ポリマーを5重量%の濃度でDMSOに溶解し、大量の6mol/L塩酸水溶液に注ぐことにより、ポリマーの再沈精製を行った。さらに6mol/L塩酸水溶液による洗浄・濾過操作を数回繰り返した後、濾液が中性になるまで水洗を行ない、減圧乾燥することにより目的とするブロック共重合体を9.68gを得た。このブロック共重合体の数平均分子量は16000、重量平均分子量は70000であった。なお、下式において「block」の表記はブロック共重合体であることを表すものである。
得られたポリアリーレン系ブロック共重合体を10重量%の濃度となるようにN−メチルピロリドン(NMP)に溶解後、ガラス板上に流延塗付し、80℃で常圧乾燥した。次いで、1mol/L塩酸水溶液に2時間浸漬し、その後流水で2時間洗浄することにより高分子電解質膜2を得た。得られた高分子電解質膜2のIECは1.8meq/gであった。
アルゴン雰囲気下、蒸留管を付けたフラスコに、9,9−ビス(4−ヒドロキシジフェニル)フルオレン12.33g(35.20mmol)、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン3.84g(17.60mmol)、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム8.00g(17.60mmol)炭酸カリウム5.11g(36.96mmol)、DMSO94ml、トルエン44mlを加えて攪拌した。次いで、バス温を200℃まで昇温し、トルエンを加熱留去することで系内の水分を共沸脱水した。トルエン留去後、同温度で3時間反応させた。放冷後、反応混合物を大量の2mol/L塩酸水溶液中へ滴下し、生成した沈殿物を濾過回収、洗液が中性になるまで水で洗浄濾過を繰返した。次いで大過剰の熱水で1時間処理することを2回繰り返した後、減圧乾燥することにより目的とする下記高分子電解質19.26gを得た。この高分子電解質の数平均分子量は54000、重量平均分子量は119000であった。
得られたポリアリーレン系ブロック共重合体を25重量%の濃度となるようにDMAcに溶解後、ガラス板上に流延塗付し、80℃で常圧乾燥した。次いで、1mol/L塩酸水溶液に2時間浸漬し、その後流水で2時間洗浄することにより高分子電解質膜3を得た。得られた高分子電解質膜3のIECは1.5meq/gであった。なお、上式において「ran」の表記はランダム共重合体であることを表すものである。
アルゴン雰囲気下、蒸留管を付けたフラスコに、3,3’−ジフェニル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル19.05g(56.28mmol)、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン12.53g(49.28mmol)、炭酸カリウム8.56g(61.91mmol)、DMSO126ml、トルエン50mlを加えて攪拌した。次いで、バス温を150℃まで昇温し、トルエンを加熱留去することで系内の水分を共沸脱水した。トルエン留去後、同温度で10時間反応させた。これを反応マスAとする。
得られた高分子電解質を20重量%の濃度となるようにNMPに溶解後、ガラス板上に流延塗付し、80℃で常圧乾燥した。次いで、1mol/L塩酸水溶液に2時間浸漬し、その後流水で2時間洗浄することにより高分子電解質膜4を得た。得られた高分子電解質膜4のIECは1.8meq/gであった。
アルゴン雰囲気下、共沸蒸留装置を備えたフラスコに、DMSO399ml、トルエン200ml、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム16.00g(64.24mmol)、末端クロロ型である下記ポリエーテルスルホン
(Aldrich社製Polyphenylsulfone)7.10g、2,2’−ビピリジル27.59g(176.67mmol)を入れて攪拌した。その後バス温を150℃まで昇温し、トルエンを加熱留去することで系内の水分を共沸脱水した後、65℃に冷却した。次いで、これにビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)44.18g(160.61mmol)を加え、80℃に昇温し、同温度で3時間攪拌した。放冷後、反応液を大量のメタノールに注ぐことによりポリマーを析出させ濾取した。得られた粗ポリマーを6mol/L塩酸水溶液に分散させてから、濾取した。同様の処理を数回繰り返した後、大量のメタノールに分散させ濾取した。同様の作業を数回繰り返した後、得られたポリマーを乾燥させた。その後、得られた粗ポリマーをNMPに溶解し、大量の6mol/L塩酸水溶液に注ぐことにより、ポリマーの再沈精製を行った。さらに6mol/L塩酸水溶液による洗浄・濾過操作を数回繰り返した後、洗液が中性になるまで水で洗浄濾過を繰返した。次いで大過剰の熱水で1時間処理することを2回繰り返した後、減圧乾燥することにより目的とするブロック共重合体10.46gを得た。このブロック共重合体の数平均分子量は61000、重量平均分子量は218000であった。なお、下式において「block」の表記はブロック共重合体であることを表すものである。
得られた高分子電解質を12重量%の濃度となるようにNMPに溶解後、ガラス板上に流延塗付し、80℃で常圧乾燥した。次いで、1mol/L塩酸水溶液に2時間浸漬し、その後流水で2時間洗浄することにより高分子電解質膜5を得た。得られた高分子電解質膜5のIECは2.3meq/gであった。
製造例1で得られた高分子電解質膜1の400mgを0.2mol/L硫酸マグネシウム水溶液80mL中に浸漬させた状態でオートクレーブにセットし、150℃のオーブンの中に入れ加熱した(マグネシウム(II)イオン量は高分子電解質膜1のイオン交換容量に比して大過剰であることから、塩置換率はほぼ100%である)。33時間後膜を取り出し、1mol/L塩酸水溶液及び1mol/L硫酸水溶液に3時間ずつ浸漬し、流水で3時間洗浄した。得られた電解質膜のプロトン伝導度及びメタノールの透過係数の測定を行った。結果を表1に示す。
実施例1の硫酸マグネシウム水溶液を下記の溶液に変更した以外は、実施例1と同様の実験を行った。結果を表1に示す。なお、カルシウム(II)イオン、バリウム(II)イオン共に大過剰を用いているため、塩置換率はほぼ100%である。
実施例2 0.2mol/L塩化カルシウム水溶液
実施例3 0.2mol/L塩化バリウム水溶液
実施例1の加熱温度、加熱時間を下記の条件に変更した以外は、実施例1と同様の実験を行った。結果を表1に示す。
実施例4 加熱温度:120℃ 加熱時間:62時間
実施例5 加熱温度:100℃ 加熱時間:33時間
実施例6 加熱温度: 80℃ 加熱時間:33時間
実施例7 加熱温度: 40℃ 加熱時間:302時間
製造例1で得られた高分子電解質膜1の400mgを、0.2mol/L塩化カルシウム水溶液80mLに2時間浸漬させた(カルシウム(II)イオン量は高分子電解質膜1のイオン交換容量に対して大過剰であることから、塩置換率はほぼ100%である)。その後、処理後の高分子電解質膜を流水で3時間洗浄し、過剰な塩化カルシウムを除去した後に、純水80mLに浸漬させた状態でオートクレーブにセットし、150℃のオーブンに入れ加熱した。15時間後膜を取り出し、1mol/Lの塩酸及び1mol/Lの硫酸に3時間ずつ浸漬し、流水で3時間洗浄した。得られた電解質膜のプロトン伝導度及びメタノールの透過係数の測定を行った。結果を表1に示す。
製造例1で得られた高分子電解質膜1の3.3gを、322mgの塩化カルシウムを溶かした水溶液200mLに2時間浸漬させた(カルシウム(II)イオン量は高分子電解質膜1のイオン交換容量に対して0.8当量)。その後、処理後の高分子電解質膜を流水で3時間洗浄し、過剰な塩化カルシウムを除去した後に、純水80mLに浸漬させた状態でオートクレーブにセットし、150℃のオーブンに入れ加熱した。8時間後膜を取り出し、1mol/L塩酸水溶液及び1mol/L硫酸水溶液に3時間ずつ浸漬し、流水で3時間洗浄した。得られた電解質膜のプロトン伝導度及びメタノールの透過係数の測定を行った。結果を表1に示す。
製造例1で得られた高分子電解質膜1の2.8gを、171mgの塩化カルシウムを溶かした水溶液200mLに2時間浸漬させた(カルシウム(II)イオン量は高分子電解質膜1のイオン交換容量に対して0.5当量)。その後、処理後の高分子電解質膜を流水で3時間洗浄し、過剰な塩化カルシウムを除去した後に、純水80mLに浸漬させた状態でオートクレーブにセットし、150℃のオーブンに入れ加熱した。8時間後膜を取り出し、1mol/L塩酸水溶液及び1mol/L硫酸水溶液に3時間ずつ浸漬し、流水で3時間洗浄した。得られた電解質膜のプロトン伝導度及びメタノールの透過係数の測定を行った。結果を表1に示す。
実施例8の塩化カルシウム水溶液を硫酸アルミニウム水溶液に変更し、また加熱時間を15時間から6時間に代えた以外は、実施例8と同様に実施することで高分子電解質膜を得た(アルミニウム(III)イオン量は高分子電解質膜1のイオン交換容量に比して大過剰であることから、塩置換率はほぼ100%である)。得られた電解質膜のプロトン伝導度及びメタノールの透過係数の測定を行った。結果を表1に示す。
製造例1で得られた高分子電解質膜1を、そのままプロトン伝導度及びメタノールの透過係数の測定に供した。結果を表1に示す。
実施例1の硫酸マグネシウム水溶液を、超純水とした以外は実施例1と同様に実施したが、膜が薄くかつ脆くなってしまい、プロトン伝導度及びメタノールの透過係数の測定を行うことができなかった。
製造例1で得られた高分子電解質膜1の400mgを0.2mol/Lの塩化カルシウム水溶液80mLに2時間浸漬させた(カルシウム(II)イオン量は高分子電解質膜1のイオン交換容量に比して大過剰であることから、塩置換率はほぼ100%である)。処理後の高分子電解質膜を流水で3時間洗浄し過剰な塩化カルシウムを除去し、室温で6時間水に浸漬させた。その後1mol/L塩酸水溶液及び1mol/L硫酸水溶液に3時間ずつ浸漬し、流水で3時間洗浄した。得られた電解質膜のプロトン伝導度及びメタノールの透過係数の測定を行った。結果を表1に示す。
製造例1で得られた高分子電解質膜1の400mgを0.2mol/L塩化カルシウム水溶液80mLに2時間浸漬させた(カルシウム(II)イオン量は高分子電解質膜1のイオン交換容量に比して大過剰であることから、塩置換率はほぼ100%である)。その後、処理後の高分子電解質膜を流水で3時間洗浄し過剰な塩化カルシウムを除去した後に、ガラス基盤に貼り付け200℃のオーブンで2時間加熱した。その後1mol/L塩酸水溶液及び1mol/L硫酸水溶液に3時間ずつ浸漬し、流水で3時間洗浄した。得られた電解質膜のプロトン伝導度及びメタノールの透過係数の測定を行った。結果を表1に示す。
製造例2で得られた高分子電解質膜2の400mgを、0.2mol/L硫酸マグネシウム水溶液80mL中に浸漬させた状態でオートクレーブにセットし、150℃のオーブンの中に入れた(マグネシウム(II)イオン量は高分子電解質膜2のイオン交換容量に比して大過剰であることから、塩置換率はほぼ100%である)。48時間後膜を取り出し、1mol/L塩酸水溶液及び1mol/L硫酸水溶液に3時間ずつ浸漬し、流水で3時間洗浄した。得られた電解質膜のプロトン伝導度及びメタノール透過係数の測定を行った。結果を表2に示す。
実施例13の硫酸マグネシウム水溶液を下記に示した溶液にした以外は、実施例13と同様の実験を行った。結果を表2に示す。なお、カルシウム(II)イオン、バリウム(II)イオン共に大過剰を用いているため、塩置換率はほぼ100%である。
実施例14 0.2mol/L塩化カルシウム水溶液
実施例15 0.2mol/L塩化バリウム水溶液
実施例13の加熱時間を、48時間から4.5時間に代えた以外は実施例13と同様の実験を行った。結果を表2に示す。
製造例2で得られた高分子電解質膜2を、そのままプロトン伝導度及びメタノールの透過係数の測定に供した。結果を表2に示す。
実施例13の硫酸マグネシウム水溶液を超純水とした以外は、実施例13と同様に実施したが、膜が薄くかつ脆くなってしまい、プロトン伝導度及びメタノールの透過係数の測定を行うことができなかった。
実施例13の硫酸マグネシウム水溶液を0.4mol/L塩化カリウム水溶液とした以外は、実施例10と同様の実験を行った。なお、カリウム(I)イオンは大過剰を用いているため、塩置換率は、ほぼ100%である。結果を表2に示す。
製造例3で得られた高分子電解質膜3の400mgを、0.2mol/L塩化カルシウム水溶液80mL中に浸漬させた状態でオートクレーブにセットし、150℃のオーブンの中にいれた(カルシウム(II)イオン量は高分子電解質膜3のイオン交換容量に比して大過剰であることから、塩置換率はほぼ100%である)。7時間後膜を取り出し、1モル1mol/L塩酸水溶液及び1mol/L硫酸水溶液に3時間ずつ浸漬し、流水で3時間洗浄した。得られた電解質膜のプロトン伝導度及びメタノール透過係数の測定を行った。結果を表4に示す。
製造例3で得られた高分子電解質膜3を、そのままプロトン伝導度及びメタノール透過係数の測定に供した。結果を表4に示す。
製造例4で得られた高分子電解質膜4の400mgを、0.2mol/Lの塩化バリウム水溶液80mL中に浸漬させた状態でオートクレーブにセットし、120℃のオーブンの中にいれた。24時間後膜を取り出し、1mol/L塩酸水溶液及び1mol/L硫酸水溶液に3時間ずつ浸漬し、流水で3時間洗浄した。得られた電解質膜のプロトン伝導度及びメタノール透過係数の測定を行った。結果を表4に示す。
製造例4で得られた高分子電解質膜4を、そのままプロトン伝導度及びメタノール透過係数の測定に供した。
製造例5で得られた高分子電解質膜5の400mgを、0.2mol/Lの塩化カルシウム水溶液80mLに2時間浸漬させた(カルシウム(II)イオン量は高分子電解質膜1のイオン交換容量に比して大過剰であることから、塩置換率はほぼ100%である)。その後、処理後の高分子電解質膜を流水で3時間洗浄し、過剰な塩化カルシウムを除去した後に、純水80mLに浸漬させた状態でオートクレーブにセットし、150℃のオーブンに入れ加熱した。8時間後膜を取り出し、1mol/L塩酸水溶液及び1mol/L硫酸水溶液に3時間ずつ浸漬し、流水で3時間洗浄した。得られた電解質膜のプロトン伝導度及びメタノールの透過係数の測定を行った。結果を表5に示す
製造例5で得られた高分子電解質膜5を、そのままプロトン伝導度及びメタノール透過係数の測定に供した。
実施例19で得られた電解質膜を用いて膜−電極接合体を作成し、燃料電池特性評価を行なった。結果を表6に示す。
比較例9の電解質膜を用いて膜−電極接合体を作成し、燃料電池特性評価を行った。結果を表6に示す。
Claims (13)
- 多価カチオンで塩置換された高分子電解質膜を、加熱処理、活性エネルギー線照射処理及び放電処理から選ばれる改質処理により改質する工程を有する、高分子電解質膜の製造方法。
- 多価カチオンで塩置換された高分子電解質膜を、加熱処理、活性エネルギー線照射処理及び放電処理から選ばれる改質処理により改質する工程と、改質後の高分子電解質膜を酸で処理する工程とを有する、高分子電解質膜の製造方法。
- 上記改質処理が加熱処理である、請求項1または2に記載の高分子電解質膜の製造方法。
- 上記改質処理が40℃〜200℃の温度範囲で加熱する処理である、請求項1または2に記載の高分子電解質膜の製造方法。
- 上記多価カチオンで塩置換された高分子電解質膜の塩置換率が50%以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の高分子電解質膜の製造方法。
- 上記多価カチオンがアルカリ土類金属イオンである、請求項1〜5のいずれかに記載の高分子電解質膜の製造方法。
- 上記多価カチオンがカルシウム(II)イオンを含む、請求項1〜6のいずれかに記載の高分子電解質膜の製造方法。
- 上記高分子電解質膜を構成する高分子電解質が芳香族系高分子電解質である、請求項1〜7のいずれかに記載の高分子電解質膜の製造方法。
- 上記高分子電解質膜を構成する高分子電解質が、カチオン交換基を有するブロックと、イオン交換基を実質的に有さないブロックとからなるブロック共重合体である、請求項1〜8のいずれかに記載の高分子電解質膜の製造方法。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法によって得られる高分子電解質膜。
- メタノール拡散係数D(cm2/s)とプロトン伝導度σ(S/cm)とが下記式(1)を満足する、請求項10記載の高分子電解質膜。
D/σ≦9.5×10-6 (1) - 請求項10または11に記載の高分子電解質膜の両面に触媒層を形成して得られる、膜―電極接合体。
- 請求項12記載の膜−電極接合体を有する直接メタノール型燃料電池。
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